JP4360576B2 - 単リール型のテープカートリッジ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、ICチップを記憶素子とする非接触型のメモリーカートリッジを備えている単リール型のテープカートリッジに関する。
【0002】
【従来の技術】
ケース内部にメモリーカートリッジが配置してあるテープカートリッジは、例えば特開平8−161859号公報に公知である。そこでは、左右一対のリールやリールロックなどのケース内部品と共に、メモリーカートリッジを下ケースに組み込んだ後、上ケースを下ケースに組み付けて、メモリーカートリッジを上下ケース内のリブで挟持し、さらにリブの傾斜面でメモリーカートリッジをケース後壁に押し付け固定している。この場合のメモリーカートリッジは接触型として構成してあり、ケース外面に露出する接触端子を介して、磁気テープの特性データや、録画時の設定データ等を読み書きできるようになっている。非接触型のメモリーカートリッジを内蔵したテープカートリッジも提案されている(文献不詳)。
【0003】
主として大容量のコンピュータデータの記録や、そのバックアップ用の記録媒体として用いられる単リール型のテープカートリッジにおいても、上記のようなメモリーカートリッジを付加することが検討されている。そこでは、メモリーカートリッジに、例えばテープに記録されたデータのディレクトリや使用履歴データ等を記憶させて、より迅速なデータ検索を実現し、さらに、使用開始以後のテープカートリッジ自体の、あるいはデータファイルの経過情報等を記録して、その管理等を行うことが予定されている。また、ロット番号、テープの仕様や特性等のメーカーデータも併せて記録することが予定されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
非接触型のメモリーカートリッジを内蔵する単リール型のテープカートリッジにおいては、ケース外面に接触端子を設ける必要がないので、接触型のメモリーカートリッジにおいて不可避の、接触不良に基づく読み書きエラーや動作不良を生じる余地がなく、その分、信号の授受に関してテープカートリッジの信頼性を向上できる。
【0005】
しかし、問題がない訳ではない。非接触型のメモリーカートリッジには限らないが、工場出荷後に何等かの原因でメモリーカートリッジが機能不全に陥ると、先に述べたようなディレクトリ情報や履歴情報等を利用できないので、テープカートリッジそのものが不良品の扱いを受けてしまう。こうしたテープカートリッジは、メモリーカートリッジを交換するか、磁気データを新規なテープカートリッジに複写する以外にない。しかし、ケース本体に内蔵したメモリーカートリッジを交換するには、ケース本体の上下ケースを分解したうえで、再び組み立て直す必要があり、その手間が煩わしいのはもちろん、テープカートリッジの信頼性を考慮すると、こうした作業をユーザーに委ねることに問題がある。ケース本体が上下ケースを溶着して形成してある場合には、メモリーカートリッジを交換できたとしても意味がない。不良扱い品をメーカーで修理することは不可能ではないが、新規のテープカートリッジに磁気データを複写するコストに比べて、修理コストの方が高くついてしまう。
【0006】
近い将来、メモリーカートリッジを備えている単リール型のテープカートリッジは、従来型に取って代わるであろう。しかし、普及段階に至るまでには、従来型のテープカートリッジで良しとするユーザーの要望にも応える必要がある。そこで、細心の考慮を払うならば、従来型テープカートリッジにメモリーカートリッジを付加するだけで、メモリーカートリッジを備えた新規なテープカートリッジと互換使用できる拡張性を与えておくべきである。本発明者は、上記のような状況に対処するために検討を重ねた結果、本発明を提案するに至った。
【0007】
この発明の目的は、メモリーカートリッジをケース本体の内部に設けた装填部に対して、ケース外面側から後組みでき、必要があれば装填したメモリーカートリッジを交換できるようにした単リール型のテープカートリッジを提供することにある。この発明の目的は、メモリーカートリッジが内蔵された仕様と、メモリーカートリッジを備えていない仕様との、いずれの仕様でも供給できるうえ、後者仕様のテープカートリッジであっても、メモリーカートリッジを追加装填することにより、メモリーカートリッジを備えている仕様に簡単に変更できる、機能拡張性に優れた単リール型のテープカートリッジ提供することにある。この発明の目的は、製造時あるいは出荷後に、ケース本体に組み込んだメモリーカートリッジが機能不全に陥った場合に、メモリーカートリッジの交換を容易に行えるうえ、ユーザー自身が交換作業を行ったとしても、テープカートリッジの信頼性を損なうことのない単リール型のテープカートリッジを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明のテープカートリッジは、ケース本体1の内部に、テープ3を巻き込んだ1個のリール2が配置され、ケース本体1の内部に設けた装填部10に非接触型のメモリーカートリッジMが配置してある。装填部10に臨むケース周壁に、ケース外面からメモリーカートリッジMを装填するための装填スロット23を開口する。
【0009】
装填部10に差し込み装填されたメモリーカートリッジMを係合固定する係合構造は、装填部10の内部に設けられた第1係合部24と、第1係合部24に対応してメモリーカートリッジMの外面に設けた第2係合部25とで構成されており、第1・第2の両係合部24・25が互いに凹凸係合して、メモリーカートリッジMを装填部10に抜け外れ不能に係合固定している。第2係合部25の強度を第1係合部24の強度よりも小さく設定してある。以て、メモリーカートリッジMを、装填部10に対してケース外面側から後組み可能としてある。
【0010】
装填部10は、ケース本体1の周側壁と、リール2の周縁に沿う部分円弧状の区分壁8との間の内隅空所S内に設ける。装填スロット23はケース周側壁に開口する。
【0011】
メモリーカートリッジMは、四角形状の基板12と、基板12と一体化されたICチップ13およびアンテナ14とを含む。第1係合部24は、メモリーカートリッジMの装填部方向と交差する向きに突設したリブで形成する。第2係合部25は、基板12の装填始端側の周縁に突設した先導片15と、先導片15の周縁に凹み形成した係合凹部16とで構成する。
【0013】
【発明の作用効果】
ケース内の装填部10に臨むケース周壁に装填スロット23を開口し、メモリーカートリッジMを装填部10に対してケース外面から組み付けられるようにするので、つまり組み立てが完了したテープカートリッジに対してメモリーカートリッジMを後組み可能とするので、メモリーカートリッジMを内蔵する仕様と、メモリーカートリッジMを備えていない仕様との、いずれの仕様のテープカートリッジであってもユーザーの希望に応じて供給できる。後者仕様のテープカートリッジを購入したユーザーであっても、メモリーカートリッジMを装填スロット23から装填部10へ追加装填するだけの簡単な操作で、メモリーカートリッジ内蔵型に仕様変更できる。
【0014】
メモリーカートリッジMを装填部10に対して後組み可能とするので、必要があればケース本体1を分解するまでもなく、メモリーカートリッジMを装填部10から取り外すことができる。従って、装填部10に組み込んだメモリーカートリッジMが機能不全に陥った場合には、一旦メモリーカートリッジMを抜き取ったうえで、正常なメモリーカートリッジMを交換装填すればよく、テープカートリッジそのものを犠牲にすることなくそのまま再利用できる。ケース外面からメモリーカートリッジMを抜き差しするだけでその交換を行えるので、ユーザー自身がメモリーカートリッジMの交換を行うことでテープカートリッジの信頼性が損なわれるのを防止できるうえ、とくにテープ3にデータが記録してある場合に、テープ3やそこに記録されたデータにダメージを与えることなくメモリーカートリッジMのみを交換できる点で有利である。
【0015】
装填部10とメモリーカートリッジMに設けた第1係合部24と第2係合部25とで係合構造を構成し、両係合部24・25を互いに凹凸係合させることによって、メモリーカートリッジMを抜け外れ不能に係合固定する形態のテープカートリッジによれば、係合構造が簡素化し、装着済みのメモリーカートリッジMが装填部10から脱落するのを確実に阻止できる。機能不全に陥ったメモリーカートリッジMを装填部10から取り外す際には、第1・第2の両係合部24・25の凹凸係合を無理やり解除する。このとき、メモリーカートリッジM側に設けた第2係合部25の硬さや強度等を第1係合部24のそれより小さく設定しておくと、メモリーカートリッジMを取り外す際の、第1係合部24の破損や変形を防いで、再装填した新規のメモリーカートリッジMを装填部10側の第1係合部24によって再び確実かつ適正に係合固定できる。
【0016】
装填部10を部分円弧状の区分壁8で区分される内隅空所S内に設けると、塵埃等が装填スロット23から装填部10へ侵入する場合にも、塵埃を内隅空所S内に止めて、区分壁8よりケース内方のリール収容空間側へ侵入するのを阻止できる。また、元来はデッドスペースであった内隅空所Sを利用して、そこに装填部10を設けるので、メモリーカートリッジM用の装填部10を新たに設けることで、ケース本体1の外形寸法が大きくなるのを避けられる。
【0017】
四角形状の基板12を含んでメモリーカートリッジMを構成し、基板12の装填始端側に設けた先導片15と係合凹部16とで第2係合部25を構成したテープカートリッジによれば、メモリーカートリッジMを装填スロット23にある程度差し込んだ状態、即ちメモリーカートリッジMが装填部10のガイド壁や受壁である程度位置決めされて、第1・第2の両係合部24・25どうしがほぼ正対する状態で、両係合部24・25を圧嵌係合できるので、凹凸係合する両係合部24・25どうしを無理なく円滑に係合できる。つまり、メモリーカートリッジMの装填部10への組み込みが、誰でも支障なく簡単に行える。
【0019】
【実施例】
図1ないし図5はこの発明に係る単リール型のテープカートリッジの実施例を示す。図2において磁気テープカートリッジは、上下ケース1a・1bを蓋合わせ状に結合してなる角箱状のケース本体1を有し、ケース本体1の内部に配置した1個のリール2にテープ3が巻装されている。ケース本体1の前側壁の一側端には、テープ引出口4を設けてあり、これをスライド自在な蓋5で開閉できるようにしている。蓋5はばねで閉じ勝手に移動付勢されている。テープ3の繰り出し端には、テープドライブ側の連結具で捕捉連結される先導体7を設け、不使用時の先導体7を直立する待機姿勢で保持固定するために、テープ引出口4の内面上下にキャッチ機構を設ける。
【0020】
ケース本体1の内部四隅のうち、テープ引出口4を除く隅部のそれぞれに内隅空所Sが設けてある。これら内隅空所Sとテープ引出口4の近傍とに設けた4個のねじボスどうしをビス6で締結することにより、上下ケース1a・1bを接合固定している。内隅空所Sは、リール2の周縁に沿う部分円弧状の区分壁8と、ケース本体1のコーナー壁とで略三角形状に形成する。これら空所のうち、ケース後方に位置し、かつ図2に向かって右側の内隅空所Sを利用して、メモリーカートリッジMを装填するための装填部10を設け、そのケース後ろ側に誤消去防止用の切換ピース9を設けている。切換ピース9は左右にスライド変位して、書き込み可能な状態と、書き込みを禁止する状態とに切り換え操作できる。
【0021】
図3においてメモリーカートリッジMは、絶縁性を有する横長四角形の基板12と、基板12の片面に配置したICチップ13と、ICチップ13の周囲を囲むアンテナ14とからなり、ICチップ13およびアンテナ14の外面を絶縁性接着剤で被覆し封止して、非接触型のメモリーカートリッジとして構成してある。基板12の装填始端縁の下部には、四角形状の先導片15を突設し、その下縁に係合凹部16を設ける。これらの先導片15と係合凹部16とで、第2係合部25を構成している。先導片15の突端隅部はそれぞれ丸めてある。
【0022】
装填部10は、先の切換ピース9用の案内壁19を利用して、その内側に形成する。詳しくは、図5に示すように案内壁19の内方に、基板12の上下縁を受け止める一対の溝20と、ICチップ13側の膨らみを受け入れる凹部21とを設けて装填部10とする。案内壁19と、溝20および凹部21が形成される壁22とは、それぞれ上下ケース1a・1bの上壁および底壁から対向状に突設して、ケース周壁と同様に接合する。装填部10に臨むケース周壁、具体的には図2に向かって右側のケース側壁に、先のメモリーカートリッジMを差し込み装填するための装填スロット23を開口する。図5に想像線で示すように、装填スロット23はメモリーカートリッジMの縦断面形状に合致して横向き凸字状に開口し、これによりメモリーカートリッジMの装填可能な姿勢を特定姿勢にのみ制限している。
【0023】
メモリーカートリッジMは、基板12の板面が垂直になる状態で、しかもICチップ13がケース前方を指向する状態で装填スロット23に差し込む。このとき装填部10内においては、基板12の上下縁を一対の溝20でスライド案内し、かつ位置決め保持する。装填部10に装填したメモリーカートリッジMを抜け外れ不能に係合固定するために、装填部10の内奥とメモリーカートリッジMの装填始端との間に係合構造を設ける。
【0024】
図1に示すように、係合構造は装填部10の内奥において、下ケース1b側から上向きに突設した第1係合部(リブ)24と、メモリーカートリッジMに形成した第2係合部25とからなり、第1係合部24と係合凹部16とが係合することによって、メモリーカートリッジMを係合固定する。第1係合部24の上方にはメモリーカートリッジMの差し込み限界を規定するストッパー壁26を設ける。
【0025】
メモリーカートリッジMを装填部10に装填するとき、基板12は溝20に案内されて装填姿勢が矯正される。メモリーカートリッジMの殆どの部分が装填部10内へ入り込むと、第2係合部25の先導片15が第1係合片24の上面へ乗り上がる。そのため、メモリーカートリッジMの差し込み抵抗が急に増加するが、この抵抗力に逆らって、更にメモリーカートリッジMを強く押し込むと、係合凹部16が第1係合部24にパチンと落ち込み係合し、基板12の差し込み始端縁がストッパー壁26で受け止められる。この状態では、基板12の外端縁はケース側壁と面一状、あるいは僅かにケース内方へ凹んだ状態になっている。
【0026】
上記のように、装填部10に装着したメモリーカートリッジMが、何等かの理由で機能不全状態に陥った場合には、プライヤーなどの工具を用いて基板12をつかみ、係合凹部16と第1係合部24との係合力に逆らって抜き取り、新規なメモリーカートリッジMを再装填する。なお、上側の溝20に設けたばねで基板12を押圧し、係合凹部16と第1係合部24との係合状態を維持する場合には、メモリーカートリッジMの取り出しを容易化できる。
【0027】
図6は第2係合部25の別実施例を示す。そこでは、先導片15を基板12の上縁前端に設け、その下縁に係合凹部16を切り欠き形成した。この場合の第1係合部24はストッパー壁26を兼ねている。他は先の実施例と同じであるので、同一部材に同じ符号を付してその説明を省略する。以下の実施例においても同じ扱いとする。
【0028】
図7においては、基板12の装填始端寄りの板面に係合穴30を通設して、これを第2係合部25とした。さらに、装填部10の縦方向の面側に突起31を設けて、これを第1係合部24とした。この実施例から理解できるように、第1・第2の両係合部24・25は、メモリーカートリッジMの装填方向と交差する向きに凹凸係合するものであれば、その形成位置は任意に選択できる。必要があれば上下方向と前後方向の二方向で係合し、あるいは複数個所で係合する形態に係合構造を形成できる。
【0030】
上記以外に、装填スロット23は装填部10の配置位置に応じてケース後壁、ケース上壁、ケース底壁に開口することができる。基板12の外形形状は四角形以外の多角形状に形成することができる。メモリーカートリッジMを内蔵しない仕様のテープカートリッジにおいては、装填部10にダミー基板を装填しておいて、塵埃の侵入を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】メモリーカートリッジの装填構造を示す断面図である。
【図2】テープカートリッジの内部平面図である。
【図3】メモリーカートリッジの斜視図である。
【図4】図1におけるA−A線断面図である。
【図5】図1におけるB−B線断面図である。
【図6】係合構造の別の実施例を示す背面図である。
【図7】係合構造のさらに別の実施例を示す断面図である。
【符号の説明】
10 装填部
12 基板
15 先導片
16 係合凹部
23 装填スロット
24 第1係合部
25 第2係合部
26ストッパー壁
M メモリーカートリッジ(ICカートリッジ)
S 内隅空所
Claims (3)
- ケース本体(1)の内部に、テープ(3)を巻き込んだ1個のリール(2)が配置され、ケース本体(1)の内部に設けた装填部(10)に非接触型のメモリーカートリッジ(M)が配置してあるテープカートリッジであって、
装填部(10)に臨むケース周壁に、ケース外面からメモリーカートリッジ(M)を装填するための装填スロット(23)が開口されており、
装填部(10)に差し込み装填されたメモリーカートリッジ(M)を係合固定する係合構造が、装填部(10)の内部に設けられた第1係合部(24)と、第1係合部(24)に対応してメモリーカートリッジ(M)の外面に設けた第2係合部(25)とで構成されており、
第1・第2の両係合部(24・25)が互いに凹凸係合して、メモリーカートリッジ(M)を装填部(10)に抜け外れ不能に係合固定しており、
第2係合部(25)の強度を第1係合部(24)の強度よりも小さく設定してあり、
メモリーカートリッジ(M)が、装填部(10)に対してケース外面側から後組み可能であることを特徴とする単リール型のテープカートリッジ。 - 装填部(10)が、ケース本体(1)の周側壁と、リール(2)の周縁に沿う部分円弧状の区分壁(8)との間の内隅空所(S)内に設けられており、
装填スロット(23)がケース周側壁に開口している請求項1記載の単リール型テープカートリッジ。 - メモリーカートリッジ(M)が、四角形状の基板(12)と、基板(12)と一体化されたICチップ(13)およびアンテナ(14)とを含んでおり、
第1係合部(24)が、メモリーカートリッジ(M)の装填方向と交差する向きに突設したリブで形成されており、
第2係合部(25)が、基板(12)の装填始端側の周縁に突設した先導片(15)と、先導片(15)の周縁に凹み形成した係合凹部(16)とで構成してある請求項1または2記載の単リール型テープカートリッジ。
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