初めに記録媒体装着装置に装着される記録媒体について説明する。
図1は記録媒体装着装置に装着される記録媒体を示す外観斜視図である。
図2以下に示す記録媒体装着装置に装着されるのは、例えば図1に示すような着脱自在な記録媒体1である。前記記録媒体1は薄い立方体形状のカートリッジ2を有しており、例えば図1に実線で示すような1.8インチ型の小型のディスクと、一点鎖線で示すような2.5インチ型の大型のディスクなどが規格化されているリムーバブルハードディスクなどが存在する。例えば、最近これらのディスクをベースに、カートリッジやコネクタなどの規格化を行ない、リムーバブル化したiVDR(Information Versatile Disk for Removable usage)が開発されている。なお、前記大型のディスク(iVDR)の本体サイズは130×80×12.7mm(幅×奥行き×高さ)であり、小型のディスク(iVDR mini)の本体サイズは80×10×67mmである。
図1に示すように、大型のディスクおよび小型のディスクは、ともに外装ケースとして機能するカートリッジ2を有している。
前記カートリッジ2は、例えば合成樹脂材料で形成されている。前記カートリッジ2のY1側の前面2Aには開口部2aが形成されている。前記開口部2aはカートリッジ2の幅(X)方向の中心を通る中心線O1−O1に対して左右対称ではなく、一方(図示X1側)にΔLだけ片寄った位置に形成されており、この開口部2a内に接続用の外部接続部(外部コネクタ)3が設けられている。
前記カートリッジ2のX1およびX2方向の側面2B,2BのY1側の前方の位置には、図示Y方向に延びる案内溝2b,2bが形成されている。そして、この案内溝2b,2bの上方(Z1側)には同じくY方向に延びる段差部2c,2cが形成されており、前記段差部2c,2cには被係止部として機能する凹部2d,2dが形成されている。
図1に示すように、カートリッジ2の内部には、磁気ディスク4と、この磁気ディスク4を回転駆動するスピンドルモータなどの回転駆動手段5が設けられている。
前記カートリッジ2内には、磁気ヘッド装置6が内蔵されている。磁気ヘッド装置6は、磁気ディスク4の磁気記録面に対向する磁気ヘッドチップ6aと、この磁気ヘッドチップ6aに所定のロード圧を与えるロードビーム6bと、前記ロードビーム6bが軸6dを中心に回動させられるアクセスアクチュエータ6cとを有している。
前記磁気ヘッドチップ6aは、磁気ディスク4の記録面に対向するスライダと、このスライダに取り付けられた磁気抵抗効果素子による読取り部と、薄膜インダクティブヘッドによる書き込み部が設けられている。記録媒体1へのデジタル信号の記録動作、あるいは記録媒体1からのデジタル信号の再生動作では、高速で回転する磁気ディスク4の表面のエアーベアリングにより磁気ヘッドチップ6aがわずかに浮上姿勢となる。そしてアクセスアクチュエータ6cによりロードビーム6bが揺動動作させられて、磁気ディスク4の記録面のセクタが検索され、前記読取り部と書き込み部がトラッキングして読取り動作や書き込み動作が行われる。
またカートリッジ2の内部には、回路基板が実装されており、この回路基板に、前記回転駆動手段5を駆動制御する制御回路、磁気ヘッド装置6の動作を制御する制御回路、書き込み信号をフォーマット化し読取り信号をデフォーマット化するなどのデジタル信号処理回路、およびインターフェース部などが実装されている。
この実施の形態に示す前記外部接続部3は、例えば基板の表裏両面にY方向に延びる導電部3aがX方向に所定の間隔で複数配列されたスロットインタイプのものである。ただし、前記外部接続部3は複数の接続ピンが設けられたタイプのものであってもよい。
次に、本発明の記録媒体装着装置について説明する。
図2は本発明の実施の形態として記録媒体装着装置の内部構造を示す分解斜視図、図3は主として記録媒体装着装置の下部シャーシと開閉扉の開閉機構の構造を示す分解斜視図、図4ないし6は下部シャーシの動作状態を示す平面図であり、図4は記録媒体が挿入される前の初期状態、図5は挿入された記録媒体が移動している搬送状態、図6は記録媒体の搬送が完了した搬送終了状態を示している。
図7は主として図4のA1−A1線における切断断面図、図8ないし図10は記録媒体装着装置の平面図を示し、図8は図4に対応する初期状態、図9は図5に対応する搬送状態、図10は図6に対応する搬送終了状態を示している。なお、図8ないし図10では、案内部材30や各種の長孔などは省略して示してある。
また図11は記録媒体装着装置を図4の矢印B1方向から見た開閉機構の側面図、また図12は図4と同じ方向を見た場合の開閉機構の動作を示す部分側面図であり、Aは図4及び図8に対応する初期状態、Bは図5及び図9に示す搬送状態、Cは図6及び図10に対応する搬送終了状態を示している。
さらに図13および図14は記録媒体装着装置の前方部分を図8の矢印B2方向から見た拡大して示す側面図であり、図13は図4および図8に対応する初期状態、図14は記録媒体が挿入され引込み手段によって掛合された状態を示している。
本発明の記録媒体装着装置10は、例えばコンピュータ、あるいは室内又は車載用のAV機器などの機器本体(図示せず)に搭載されており、前記記録媒体装着装置10を介して記録媒体1と機器本体との間でデジタルデータの再生や記録が行うものである。
図2および図3に示す前記記録媒体装着装置10では、Z2側の下方に金属板で形成された下部シャーシ11が設けられ、その上方(Z1側)にも金属板で形成されたベースシャーシ(装着部)20が設けられており、両シャーシ11,20は互いに平行な状態で対向配置されている。
前記下部シャーシ11の底板11Aには軸11aが設けられたおり、この軸11aには大きな円盤状のカム板12が回転自在に支持されている。図4および図7に示すように、前記カム板12の表面(Z1側の面)には摺動溝12aが形成されており、裏面(Z2側の面)には開閉用カム部12bと摺動リブ12cが形成されている。またカム板12の外周側面には歯12dが周設されている。
図4に示すように、前記摺動溝12aは、外周側と内周側とを結ぶ二種類の円弧状の溝を連結させることによって形成されている。すなわち、カム板12は、外周側から内周側に向かって径寸法の大きな曲率半径からなる大円弧溝12a1がほぼ1/2周分にわたって形成され、内周側には前記大円弧溝12a1よりも小さな曲率半径からなる小円弧溝12a2がほぼ1/2周分にわたって形成されている。そして、前記大円弧溝12a1から小円弧溝12a2に切り換わる部分が連結部12a4である。
また前記摺動溝12aの外周側(前記大円弧溝12a1の外周側)の溝幅は、内周側の溝幅および小円弧溝12a2の溝幅に比較して拡張された幅広部12a3で形成されている。なお、前記摺動溝12aの最内周部(小円弧溝12a2の最内周)12a5は前記軸11aに近接する位置に形成されている。
前記開閉用カム部12bはカム板12の裏面(Z2側の面)に前記軸を中心とする所定の半径寸法でほぼ3/4周にわたって環状に形成されたカム溝である。ただし、開閉用カム部12bの一方の端部である外周端部(回転開始位置)12b1は、前記所定の半径寸法よりも僅かに大きな半径寸法で形成されており、他方の端部である内周端部(回転終了位置)12b2は前記所定の半径寸法よりも僅か小さな半径寸法で形成されている。そして、開閉用カム部12bの外周端部12b1と内周端部12b2との間に前記摺動溝12aの外周側を形成する幅広部12a3が設けられている。
前記摺動リブ12cは、前記開閉用カム部12bの内側にリング状に形成されており、図7に示すようにその断面は図示Z2方向に突出する凸形状である。すなわち、カム板12は、下部シャーシ11の底板11A上を前記摺動リブ12cが摺動しながら前記軸11aを中心に回転するようになっており、前記摺動リブ12cは摺動時の摩擦抵抗を軽減している。
図3および図4に示すように、前記下部シャーシ11の底板11A上で且つ前記カム板12の近傍には、円柱形状からなる伝達歯車14が回転自在に設けられており、前記伝達歯車14の下部側に形成された歯14aが前記カム板12の歯12dに噛み合っている。前記伝達歯車14の上端には、径寸法の大きな歯車14bが一体に形成されており、図2に示すベースシャーシ20上に固定された駆動モータMのウォーム歯車M1に噛み合っている。よって、前記駆動モータMが発生する動力が前記ウォーム歯車M1および伝達歯車14を介して伝達されることにより、前記カム板12は時計回り方向および反時計周り方向に回転させられる。
図3および図4に示すように、前記下部シャーシ11の底板11A上で且つ前記カム板12の外周部の近傍には揺動軸11bが設けられており、この揺動軸11bには揺動部材15が揺動自在に支持されている。前記揺動部材15は略三角形状をした薄板で形成されており、Y1方向の端部には図示Z1方向に突出する制御ピン15aが設けられ、Y2方向の端部には図示Z1方向に折り曲げられることにより形成された押圧部15bが設けられている。また前記揺動部材15のX1方向の端部にはU字形状に切り欠かれた係止溝15cが形成されている。
前記揺動部材15の前記Y1方向の端部は前記底板11Aとカム板12との間の隙間に挿入されており、前記制御ピン15aは前記カム板12の裏面側に設けられた前記開閉用カム部12bに挿入されている。
また前記揺動部材15の前記押圧部15bは、基板16に設けられた第1のスイッチ部材17aと第2のスイッチ部材17bに対向するように配置されている。すなわち、図3および図4に示すように、前記下部シャーシ11の図示Y2側の前方の位置には基板16が設けられており、この基板16の下面には第1のスイッチ部材17aと第2のスイッチ部材17bが固定され、前記基板16の上面には第3のスイッチ部材17cが固定されている。
前記第1のスイッチ部材17aと第2のスイッチ部材17bとは前記基板16のY1側の縁部にX方向に並べて配置されている。前記第1,第2のスイッチ部材17a,17bは、前記基板16の縁部から図示Y1方向に突出するアクチュエータ17a1,17b1を有しており、前記アクチュエータ17a1,17b1は図示X1およびX2方向に操作させるたびにスイッチの状態が切り換わるものである。そして、このアクチュエータ17a1,17b1の前方の位置に前記揺動部材15の押圧部15bが対向配置されている。
なお、前記第3のスイッチ部材17cは、図示Z1方向に突出するとともにZ方向に進退自在に設けられたアクチュエータ17c1を有している。前記第3のスイッチ部材17cは、前記アクチュエータ17c1が押圧操作されるたびにスイッチの状態が切り換わるようになっている。
また前記揺動部材15のX1方向に設けられた係止溝15cは、前記下部シャーシ11に設けられた摺動板18に突設された係止ピン18aを係止している。前記摺動板18は略L字形状の薄板で形成されており、Z1方向に突出する係止ピン18a、Z2方向に突出する案内ピン18b,18cを有している。また摺動板18のX1方向の縁部には、Z1方向に曲成された折曲片18dが一体に形成されており、この折曲片18dのX1側の面にはX1方向に突出する制御凸部18eが設けられている。
前記下部シャーシ11の底板11Aには、長孔11c,11dが形成されており、この長孔11c,11dには前記案内ピン18b,18cがそれぞれ挿入されている。そして、前記摺動板18は前記長孔11c,11dおよび前記案内ピン18b,18cに案内されることにより、Y1およびY2方向に直線的に移動できるようになっている。
図4に示すように、前記カム板12が時計回り方向に最大量回転し、前記制御ピン15aが開閉用カム部12bの外周端部12b1に達すると、前記揺動部材15が揺動軸11bを中心に反時計回り方向に揺動させられる。このとき、前記押圧部15bが前記第1のスイッチ部材17aの前記アクチュエータ17a1を図示X1方向に押圧するため、前記第2のスイッチ部材17aのスイッチ状態が切り換えられる。同時に、前記揺動部材15の係止溝15cが前記係止ピン18aをY1方向に押圧するため、前記摺動板18がY1方向の第1の閉鎖位置に移動させられる。
また前記カム板12が反時計回り方向に最大量回転し、前記制御ピン15aが開閉用カム部12bの内周端部12b2に達すると、前記揺動部材15が時計回り方向に揺動させられる。このとき、前記押圧部15bが前記第2のスイッチ部材17bのアクチュエータ17b1を図示X2方向に押圧するため、前記第2スイッチ部材17bのスイッチ状態が切り換えられる。同時に、前記揺動部材15の係止溝15cが前記係止ピン18aをY2方向に押圧するため、前記摺動板18がY2方向の第2の閉鎖位置に移動させられる。
そして、前記制御ピン15aが前記外周端部12b1と内周端部12b2以外の開閉用カム部12b内に位置するときには、前記揺動部材15の押圧部15bは、第1のスイッチ部材17aと第2のスイッチ部材17bのいずれにも接することのない中立位置に設定されている。このとき、前記揺動部材15の係止溝15cは前記摺動板18を前記第1の閉鎖位置と第2の閉鎖位置の中間である開放位置に設定する。
よって、制御部は、前記第1,第2のスイッチ部材17a,17bのスイッチ状態を検知することにより、記録媒体装着装置10の動作モードが、カム板12が時計回り方向に最大量回転した初期状態、すなわち回転開始位置であるか(図4、図8参照)、または反時計回り方向に最大量回転した装着完了状態、すなわち回転終了位置であるか(図6、図10参照)、あるいはこれら以外のローディング状態(図5、図9参照)にあるかを検出することが可能となっている。
なお、前記第1ないし第3のスイッチ部材17a,17b,17cの各スイッチの状態を示すスイッチ信号は、機器本体内に設けられた制御部(図示せず)に送出される。
図3および図11に示すように、前記下部シャーシ11のY2方向には、金属板の一部を折り曲げて形成した側面11B,11Cが設けられている。両側面11B,11Cには、軸穴11e,11eが対称な位置に形成されており、この軸穴11e,11eには開閉扉100が揺動自在に支持されている。すなわち、前記開閉扉100上部のX方向の両端には、軸部101,101が突設されており、この軸部101,101が前記軸穴11e,11eに挿通されている。また前記開閉扉100の一方(X1側)の側面102には、図示Z方向に延びる操作溝103が形成されている。
前記開閉扉100の前方(Y2方向)の位置には、上記記録媒体1が挿入される挿入口111を備えたノーズ部110が設けられている。前記開閉扉100は、前記挿入口111に対向することにより、前記挿入口111を閉鎖することが可能となっている。
図3および図11に示すように、前記一方の側面11BのY1側には、Y1側の縁部を開放端とする直線状のガイド長孔11fが形成され、その近傍には軸孔11gが形成されている。前記ガイド長孔11fには前記摺動板18に設けられた制御凸部18eが挿入されており、前記制御凸部18eは摺動板18の移動の際に前記ガイド長孔11f内をY方向に移動できるようになっている。このため、制御凸部18eは一定の高さを維持した状態でY方向に直線的に移動できるようになっている。
前記軸孔11gには、略クランク形状に形成された操作部材19が設けられている。図11に示すように、前記操作部材19の下段側の折曲部とY2側の先端には図示X2方向に突出する軸部19aと操作ピン19bが設けられている。前記軸部19aは前記側面11Bの軸孔11gに挿入されており、前記操作部材19は、前記軸部19aを中心として、図11にてα1方向およびα2方向に回動自在に支持されている。前記側面11Bには、前記軸孔11gを曲率中心とする円弧溝11hが形成されており、前記操作ピン19bは前記円弧溝11hに挿通されるとともに前記開閉扉100に形成された前記操作溝103の内部を自在に移動可能な状態で挿入されている。
図11に示すように、前記操作部材19のY1側の端部には、前記操作部材19をα1およびα2方向に回動させることにより、前記開閉扉100を開放姿勢と閉鎖姿勢とに設定する扉設定部19Aが形成されている。前記扉設定部19Aは凸部19dと凹部19eとで形成されており、凸部19dと凹部19eとの間は傾斜部19fで連結されている。また凸部19dの先端にも傾斜部19gが設けられている。
また前記操作部材19の上段側の折曲部には掛止片19cが形成され、下部シャーシ11には掛止片11iが形成されている。前記掛止片19cと掛止片11iとの間にはコイルスプリングなどからなる付勢部材S4が設けられており、常に前記操作部材19をα2方向に引っ張っている。
図11に示すように、操作部材19がα2方向に引かれている初期状態では、前記操作ピン19bは円弧溝11hのZ2方向の下端に当接しており、このとき前記扉設定部19Aの傾斜部19gの先端が前記制御凸部18eの下部側に当接している。このとき、前記制御凸部18eを有する摺動板18はY1方向の第1の閉鎖位置に移動させられている(図4参照)。
図2に示すように、前記ベースシャーシ20は金属板をプレス加工および打抜き加工などすることにより形成されている。ベースシャーシ20の中央には略小判形状に開口する開口穴21が穿設されており、この開口穴21のX1側の縁部には固定側ラック部21aが形成されている。また前記開口穴21のY1側の縁部にはY方向に延びる長穴21bが連続して形成されている。前記長穴21bの図示Y2側の縁部には掛止穴26が形成されている。
前記ベースシャーシ20の幅方向(X1およびX2方向)の両端には、図示Y方向に延びる長孔22a,22bが形成されている。前記長孔22a,22bには、後述する移動手段50に形成された係合片(離脱部材)52a,52aが挿通されるようになっている。また前記開口穴21の両側には、Y方向に延びる案内長孔23a,23bが形成され、前記一方の長孔22bと一方の案内長孔23bとの間にもY方向に延びる長穴24が形成されている。
前記ベースシャーシ20の幅方向の両端には、合成樹脂などによって形成された一対の案内部材30,30が固定されている。前記案内部材30は、底面31、側面32および上面33の3つの面が断面コの字形状に形成されており、前記側面32および上面33は図示Y方向に延びて形成されている。そして、この3つの面で囲まれる空間内に前記カートリッジ2のX1およびX2方向の側部が挿入されるようになっている。前記底面31、側面32および上面33の3つの面の前端には、傾斜面31a,32a,33aがそれぞれ形成されており、これら左右の傾斜面31a,32a,33aで囲まれる部分が記録媒体装着装置10の挿入部10Aを構成している。なお、前記挿入部10Aの前方(Y2方向)の位置には、上記開閉扉100とノーズ部110に設けられた挿入口111が設けられている。
前記底面31には図示Y方向に延びる長穴31bと取付け穴31c,31dが形成されており、取付け穴31c,31dをベースシャーシ20に形成された固定穴20a,20bに位置合わせしてネジ止めすると、図示X1側の案内部材30では前記ベースシャーシ20の長孔22bと前記長穴31bとが重なり合う。また図示X2側の案内部材30では、前記ベースシャーシ20の長孔22aの近傍に前記底面31が平行に寄り添うように配置される。
前記側面32の前方の位置には、側面32からZ1方向に突出する延長側面32Aが一体で形成されている。前記側面32にはY方向に沿って延びるガイド長孔32cが形成されている。前記ガイド長孔32cのY2方向の前端には、前記ガイド長孔32cから連続して上方(Z1方向)に傾斜して延びる傾斜部32dが形成されている。さらの前記側面32と前記延長側面32Aとにまたがる位置には、前記傾斜部32dに連続する長方形状の支持穴32eが形成されている。なお、前記支持穴32eのY2側の下端が支持部32fであり、Y1側の縁部が規制部32gである。また前記側面32の内壁のY1側には、図示内方に凸状に突出するとともに図示Y方向に延びる案内突部32hが形成されている。
前記ベースシャーシ20には受け側となる内部コネクタ40が基板39上に固定されている。前記内部コネクタ40は全体を覆う絶縁性の外装カバー41を有している。外装カバー41の前側(Y2側)が接続部42であり、この接続部42の内側には開口部43が形成されている。前記内部コネクタ40は、前記外装カバー41の幅方向(X方向)の中心を通る中心線O2−O2を、前記カートリッジ2の幅方向の中心を通る中心線O1−O1(または両案内部材30,30の側面32a,32a間の中間に位置する中心線、あるいはベースシャーシ20の幅方向の中心線でもよい)に対して、X1方向に前記ΔLだけずらした位置に固定されている(図8参照)。
前記内部コネクタ40は、例えば弾性を有する複数の導電性の接続端子が前記開口部43の上下の面に幅方向に並べて設けられており、前記記録媒体1側の外部接続部3を前記開口部43に差し込むと、前記内部コネクタ40側の各接続端子が前記外部接続部3の基板の表裏両面に形成された各導電部3aを弾圧しながら接触するタイプのコネクタなどである。あるいは、前記記録媒体1側の外部接続部3が接続ピンである場合には、前記接続ピンが挿入可能なレセクタブルが複数配列されたタイプのコネクタである。
前記基板39の幅方向の両端にはネジ穴39a,39aが穿設されており、前記基板39は前記ネジ穴39a,39aが前記案内部材30の取付け穴31d,31dに重ねられた状態で図示しないねじ部材により共締めされて固定される。
図2に示すように前記下部シャーシ11とベースシャーシ20との間には、移動手段50と可動手段60とが設けられている。前記移動手段50は金属板を折り曲げることによって平面T字形状に形成された基部50Aと、前記基部50Aの幅の広い部分の両端を垂直に折り曲げて形成した側部50B,50Bとを有している。前記基部50Aの中心には略小判形状に開口する開口穴51が形成されている。また基部50A上で前記開口穴51のX方向の両側の位置で、且つ前記内部コネクタ40の幅方向(X方向)の中心線O2−O2と対称となる位置には切欠穴52,52が形成されており、この切欠穴52,52のY1方向の縁部にはその一部を垂直に折り曲げた形成した一対の係合片(離脱部材)52a,52aが設けられている。
前記係合片(離脱部材)52a,52aは前記ベースシャーシ20に形成されている長孔22a,22bに挿通され、その先端は前記ベースシャーシ20の上方に突出している。
さらに前記移動手段50の下面には、前記基部50Aの一部を図示Z2方向に陥没させることにより形成された押圧部53が設けられている。図13に示すように前記押圧部53は上記第3のスイッチ部材17cに対向配置される。
前記移動手段50の前記開口穴51の近傍には、基部50Aから上下両方向に突出する案内ピン54,55が設けられている。なお、前記案内ピン54,55の機能については後述する。
前記移動手段50の側部50B,50Bには窓56,56が形成されており、この窓56、56の近傍には引込み手段70,70が設けられている。前記引込み手段70は合成樹脂などによって形成されており、前記側部50BのY1側の位置に設けられた軸71において回動自在に支持されている。
前記引込み手段70は、図示Y2方向に延びる腕部72と図示Z1方向に延びる掛止片73とを有している。前記腕部72の先端の内面には内側方向に突出する掛合部74が形成されている。また前記腕部72の外面には外側方向に突出する規制突起75が形成されており、前記窓56内に挿入されている。したがって、前記引込み手段70は、前記規制突起75が前記窓56の上下の縁部に当接する範囲内で前記軸71を中心として上下方向に揺動自在に支持されている。前記移動手段50の側部50B,50BのY2方向の前端には、図示Z1方向に延びる掛止片57,57が一体に形成されている。前記掛止片57,57はわずかに内側方向に折り曲げられており、この掛止片57,57と前記引込み手段70の掛止片73,73との間にはコイルスプリングなどからなる付勢部材S1,S1が架設されている。よって、引込み手段70は、常に前記腕部72の先端部が図示下方(Z2方向)に回動する方向に付勢されている。
前記可動手段60は金属板で形成されており、その中央部には略小判形状に開口する開口部61が形成されている。前記開口部61の図示X2側の縁部には可動側ラック部62が形成されている。
前記可動手段60の幅方向(X方向)の寸法は前記移動手段50の基部50Aの幅の狭い部分の幅寸法とほぼ同寸法で形成されており、前記可動手段60は前記基部50Aの下面(Z2側の面)に接している。前記可動手段60の前記開口部61の両側には、図示Y方向に延びる案内長孔63,64が形成されており、この案内長孔63,64には前記移動手段50に設けられた前記案内ピン54,55の下端が挿入されている。前記可動手段60は、前記案内ピン54,55によって前記移動手段50の下面に支持されるとともに、前記案内長孔63,64に沿ったY方向への移動が可能とされている。
前記可動手段60の図示Y1側で且つX2側の縁部には図示X2方向に突出する掛止部65が形成されている。そして、この掛止部65と前記移動手段50の基部50Aの側面に設けられた掛止部58との間にコイルスプリングなどからなる付勢部材(第1の付勢部材)S2が架設されている。よって、常に前記可動手段60と移動手段50とは重なり合った状態で互いに接近し合うY方向に引き合っている。よって、通常は前記移動手段50に設けられた前記案内ピン54,55の下端は、前記可動手段60の案内長孔63,64のY1側に端部に当接している。
図2に示すように、前記ベースシャーシ20の表面上で且つ前記一方の案内部材30と他方の案内部材30との間の領域には、長方形状に形成された金属板からなるスライド手段80が設けられている。前記スライド手段80の中央には図示Z1方向にプレス加工された隆起部80Aが形成されており、前記隆起部80Aの中心には孔80aが設けられている。前記孔80aには軸81が挿入され、その先端はスライド手段80の下面側(図示Z2方向)に延びている。前記軸81の先端には移動歯車90が回転自在に支持されている。前記移動歯車90は、大径のピニオンギヤ91の上部に小径のピニオンギヤ92が一体に設けられた二段歯車で構成され、前記大径のピニオンギヤ91の下面には図示Z2方向に突出する摺動ピン93が設けられている。なお、前記大径のピニオンギヤ91の歯数をN1、小径のピニオンギヤ92の歯数をN2とすると、両者の関係はN1>N2である。
前記スライド手段80の幅方向の両縁部には、Y方向に延びる2つの案内長孔82,83が形成されており、この案内長孔82,83には前記移動手段50に設けられた案内ピン54,55の先端が挿入されている。すなわち、前記案内ピン54,55は、ベースシャーシ20の案内長孔23a,23bに挿通され、さらにその先端が前記スライド手段80の案内長孔82,83に挿入されている。よって、スライド手段80は、前記案内ピン54,55と案内長孔82,83によって図示Y方向に直線的に移動できる状態にある。なお、前記スライド手段80は前記ベースシャーシ20の表面をY方向に移動可能であり、Y1方向に移動するときには前記ベースシャーシ20と基板39との間に形成される隙間内(案内部材30の底面31の肉厚寸法内)を移動する。
前記スライド手段80の隆起部80Aの近傍には切欠穴84が穿設されており、この切欠穴84のY2方向の縁部にはその一部を図示Z2方向に折り曲げられた突出片85が形成されている。前記突出片85は前記ベースシャーシ20に形成された前記長穴21bに挿入されている。前記突出片85と前記掛止穴26との間にはコイルスプリングなどからなる付勢部材(第2の付勢部材)S3が架設されている。よって、前記スライド手段80は、常に前記ベースシャーシ20上において前方(図示Y2方向)に引っ張られている。
なお、本実施の形態では、前記付勢部材S3がカートリッジ2の幅方向の中心線O1−O1上に沿って設けられているが、前記スライド手段80をバランスよく付勢してY方向へのスムーズな移動を実現する上では、前記付勢部材S3が前記外装カバー41の幅方向の中心線O2−O2に沿うように設ける構成が好ましい。
前記スライド手段80が前記ベースシャーシ20の表面に装着されている状態では、前記移動歯車90の小径のピニオンギヤ92が前記ベースシャーシ20の開口穴21に形成されている固定側ラック部21aに噛み合っている。また前記移動歯車90の大径のピニオンギヤ91は、前記移動手段50の開口穴51と可動手段60の開口部61内に入り込んでおり、前記可動手段60に設けられた可動側ラック部62に噛みあっている。すなわち、前記移動歯車90は、固定側ラック部21aと可動側ラック部62とによってX方向の両側から噛み合わされている。
前記移動歯車90に設けられた摺動ピン93は、前記カム板12の表面に形成されている前記摺動溝12aに挿入されており、前記摺動溝12a内を自在に移動可能とされている。
以下には記録媒体装着装置10の動作について説明する。
(初期状態)
図4および図12Aに示すように、記録媒体1のカートリッジ2が挿入口111に挿入される前の初期状態では、上述のように前記カム板12が時計回り方向に最大量回転させられており、前記摺動板18は最もY1方向の第1の閉鎖位置に移動させられている。そして、前記扉設定部19Aの傾斜部19gの先端が前記制御凸部18eの下部側に当接しており、操作部材19は付勢部材S4の付勢力によってα2方向に回動させられている。このとき、操作ピン19bは円弧溝11hのZ2方向の下端に位置しており、前記操作ピン19bは前記開閉扉100の操作溝103を図示Y2方向に押圧しているため、開閉扉100は前記軸部101,101を中心に閉鎖方向に回動させられている。このため、前記開閉扉100は閉鎖姿勢に設定されている。
また図4および図8に示すように、前記移動歯車90の摺動ピン93は、前記カム板12に形成された摺動溝12aの前記幅広部12a3内のY2側(軸11aから離れる側)に位置している。
このとき、図8に示すように前記移動手段50と可動手段60は前記付勢部材S2の付勢力により、ほぼ一体化した状態で図示Y2方向の挿入待機位置に移動させられている。同様に、前記スライド手段80も前記付勢部材S3の付勢力によって前記挿入待機位置に移動させられている。
図13に示すように、初期状態では前記移動手段50が前記挿入待機位置に移動させられている結果、引込み手段70の腕部72は前記付勢部材S1の付勢力に抗して図13にて反時計回り方向に回動させられている。すなわち、引込み手段70の掛合部74が、案内部材30の傾斜部32dを登った支持穴32e内の支持部32fに支持されている。
また第3のスイッチ部材17cのアクチュエータ17c1が、移動手段50の押圧部53により押圧させられており、前記第3のスイッチ部材17cのスイッチ状態がOFFに設定されている。よって、制御部はカートリッジ2の凹部2dが前記引込み手段70によって未だ掛合されていないことを検知することができる。
さらには図4に示すように、揺動部材15が反時計回り方向に揺動しており、第1のスイッチ部材17aのアクチュエータ17a1が押圧部15bにより押圧させられ、第1のスイッチ部材17aがON、および第2のスイッチ部材17bがOFFに設定されている。よって、制御部は前記移動手段50が前記挿入待機位置に位置していることを前記カム板12の回転の状態から検出することが可能である。
(挿入動作)
この初期状態において、前記記録媒体1のカートリッジ2が正常な向きで前記ノーズ部110の挿入口111に挿入されると、図12Bに示すように前記カートリッジ2の前面2Aが開閉扉100の前面をY1方向に押圧するため、開閉扉100は軸部101を中心に図12Aにおいて反時計回り方向に回動させられるため、前記開閉扉100が記録媒体装着装置の内方に向けて回動させられた開放姿勢に設定される。
なお、このときには、前記操作ピン19bが操作溝103に押されて円弧溝11h内を図示Z1方向に移動させられるため、前記操作部材19は前記付勢部材S4に抗してα1方向に回動させられており、前記扉設定部19Aの傾斜部19gは前記制御凸部18eから離れている。
図14に示すように、正常な向きのカートリッジ2が前記挿入口111を介して前記挿入部10Aに挿入されると、カートリッジ2の両側面2B,2Bが前記X方向の両端に設けられた案内部材30,30の各底面31、側面32および上面33の間に挟まれた状態で挿入方向(Y1方向)に案内される。
さらに前記カートリッジ2が挿入方向に挿入されると、カートリッジ2の前面2Aの両側に隣接する側部2A1,2A2が、移動手段50に設けられた前記係合片52a,52aにそれぞれ当接するため、前記移動手段50が挿入方向に押圧される。よって、前記移動手段50が前記付勢部材S3の付勢力に抗して前記カートリッジ2とともに挿入方向に移動させられる。カートリッジ2の挿入のときには、前記付勢部材S3の弾性力が前記移動手段50のダンパとして機能するため、記録媒体装着装置10の挿入感覚を高めることができる。
ここで、前記移動手段50が挿入方向に移動させられると、前記移動手段50の案内ピン54,55の下端が前記可動手段60の案内長孔63,64のY1側の端部を挿入方向に押圧するため、前記移動手段50と可動手段60とが一体化した状態で挿入方向に移動させられる。このとき、前記可動手段60の可動側ラック部62に噛み合う大径のピニオンギヤ91を有する前記移動歯車90も挿入方向に移動させられることになるが、移動歯車90の摺動ピン93は前記カム板12の幅広部12a3内に位置しているため、前記移動歯車90を前記幅広部12a3の幅寸法分だけ挿入方向に移動させることが可能である(図14参照)。よって、前記付勢部材S3によるダンパ機能が前記移動歯車90によって妨げられるのを回避することが可能とされている。
図14に示すように、移動手段50が挿入方向に移動させられると、引込み手段70も前記移動手段50とともに挿入方向に移動させられる。そして、前記引込み手段70の掛合部74が前記案内部材30の支持部32fから移動して傾斜部32dに達すると、前記引込み手段70が前記付勢部材S1により図示時計回り方向に付勢されているため、前記掛合部74は前記傾斜部32dを下降できるようになる。ただし、挿入初期の段階では、前記掛合部74はカートリッジ2の側面2Bに設けられた段差部2cに支えられるため、引込み手段70の回動が制限され前記掛合部74はガイド長孔32cに至ることができないように規制される。そして、さらにカートリッジ2が挿入されて前記側面2Bに設けられた凹部2dが前記案内部材30の傾斜部32dと重なる位置に達すると、前記引込み手段70の回動が許容されようになるため、前記掛合部74が段差部2cを下降してガイド長孔32cに至るとともに前記凹部2dを掛合する。
またこのときには、移動手段50に設けられた前記押圧部53が前記第3のスイッチ部材17cのアクチュエータ17c1から外れるため、前記第3のスイッチ部材17cのスイッチ状態がOFF状態からON状態に切り換えられる。よって、機器本体側の制御部は、前記記録媒体装着装置10の挿入部10Aにカートリッジ2が挿入され、前記引込み手段70の掛合部74によってカートリッジ2の凹部2dが掛合されたことを検出することが可能である。
またカートリッジ2が不正常な状態で挿入部10Aに対して誤挿入された場合、例えば前記カートリッジ2の後面2D側を挿入部10Aに向けて挿入された場合や、カートリッジ2の上下を逆にした状態で挿入された場合には、前記引込み手段70の掛合部74,74が前記カートリッジ2の凹部2d,2dを掛合することができなくなる。このため、前記引込み手段70の回動は許容されず、カートリッジ2を搬送することが不可能となる。
さらに不正常な状態にあるカートリッジ2が挿入方向に押し込まれると、前記引込み手段70は図13に示す状態でわずかに挿入方向に移動させられるが、前記掛合部74が支持穴32eの規制部32gに当接し、これ以上の引込み手段70の挿入方向への移動を禁止することができる。その結果、前記押圧部53は前記第3のスイッチ部材17cのアクチュエータ17c1の押圧状態を維持し、前記第3のスイッチ部材17cのスイッチ状態の切り換わりを防止することが可能となる。よって、不正常な状態のカートリッジ2がローディング動作によって自動的に挿入方向へ搬送されることを防止することが可能となる。
(カートリッジのローディング動作)
前記制御部は、前記カートリッジ2が正常な向きの状態で挿入され、前記第3のスイッチ部材17cがON状態に切り換わったこと(正常な動作モード)を検知すると、制御部は挿入口111に挿入されたカートリッジ2の向きは正常である判断し、前記駆動モータMを始動させてカム板12を反時計回り方向に回転させる。
前記カム板12が反時計回り方向に回転させられると、前記移動歯車90に設けられた摺動ピン93が前記摺動溝12aに沿って挿入方向に移動させられる。このとき、前記小径のピニオンギヤ92が前記固定側ラック部21aに噛み合いながら時計回り方向に転動するため、移動歯車90が挿入方向に移動させられる。そして、前記移動歯車90を搭載したスライド手段80が付勢部材S3に抗しながら挿入方向に移動させられる。
同時に、前記大径のピニオンギヤ91に噛み合う可動側ラック部62が、前記移動歯車90の時計回り方向の回転によって挿入方向に送られるため、前記可動側ラック部62を有する可動手段60も挿入方向に移動させられる。前記可動手段60が挿入方向に移動させられると、前記移動手段50は前記付勢部材S2を介して挿入(Y1)方向へ引っ張られるため、移動手段50も可動手段60とともに挿入方向に移動させられる。そして、前記移動手段50が挿入方向へ移動させられると、前記移動手段50に搭載された前記引込み手段70の掛合部74によって掛合されているカートリッジ2が、自動的に記録媒体装着装置10の奥部に搬送される。すなわち、前記駆動モータM、カム板12、移動歯車90、移動手段50、可動手段60および引込み手段70などは、カートリッジ2を挿入方向に搬送するローディング機構を構成している。同時に、前記カム板12および移動歯車90は、前記駆動モータMが発生した動力を前記可動手段60に伝達する動力伝達機構を構成している。
前記カートリッジ2は、その両側面2B,2Bが前記案内部材30,30の底面31、側面32および上面33の3つの面に保持された状態で挿入方向に移動させられるが、前記カートリッジ2が案内部材30,30の奥部側に達すると、前記両側面2B,2Bに形成された案内溝2b,2b内に前記案内部材30,30の内壁に設けられた前記案内突部32h,32hが挿入されるようになるため、前記カートリッジ2をより安定した姿勢で挿入方向に移動させることが可能である。
また図5に示すように、カートリッジ2がローディングされているときには、揺動部材15の制御ピン15aは、前記カム板12の開閉用カム部12b内の前記外周端部12b1および内周端部12b2以外の部分(開放溝部)に位置しており、揺動部材15は図4の位置からわずかに時計回り方向に回転させられた中立位置に設定されている。よって、押圧部15bは第1のスイッチ部材17aと第2のスイッチ部材17bの中間の位置にあっていずれも操作されない状態にあるため、前記制御部はカム板12がローディングの状態にあることを把握することができる。
このとき、前記摺動板18は、前記揺動部材15の係止溝15cにより、わずかにY2方向に移動させられた前記開放位置に設定されている。よって、図12Bに一点鎖線で示すように、摺動板18に設けられた制御凸部18eがY2方向の実線で示す位置に移動して、前記操作部材19の扉設定部19Aの凸部19dを係止する。
(コネクタの接続動作)
図9に示すように、摺動ピン93が摺動溝12aの連結部12a4を過ぎると、前記摺動ピン93は小円弧溝12a2によって挿入方向に移動させられる。図10に示すように、摺動ピン93が摺動溝12aの最内周部12a5に達すると、摺動ピン93の移動に伴って引込み手段70に掛合されている前記カートリッジ2の前面2Aに設けられた開口部2a内に内部コネクタ40の接続部42が挿入される。このとき、前記カートリッジ2の開口部2aのX1方向のずれ量と、内部コネクタ40のX1方向のずれ量とは共にΔLで等量であるため、開口部2a内に内部コネクタ40の接続部42を確実に挿入させることができる。
前記カートリッジ2の外部接続部3と内部コネクタ40の前記開口部43とが装着し合うときには、これらの間に摩擦抵抗などによる挿入負荷が生じる。このため、前記移動歯車90の大径のピニオンギヤ91に噛み合う可動手段60が挿入方向に移動しても、前記カートリッジ2を掛合する引込み手段70を備えた移動手段50の移動は制限させられるため、前記外部接続部3と内部コネクタ40とが不完全な状態で嵌合する。ただし、前記可動手段60は前記装着完了位置まで移動させられるため、前記可動手段60の移動に伴って前記可動手段60と移動手段50との間に架設された付勢部材S2が伸張させられ、前記付勢部材S2の引っ張り力が徐々に増大させられる。そして、前記付勢部材S2の引っ張り力が、前記外部接続部3と内部コネクタ40間の挿入負荷を超えると、前記移動手段50が前記引っ張り力によって前記装着完了位置まで移動させられるため、前記外部接続部3と内部コネクタ40とを完全嵌合させることが可能となる。
前記内部コネクタ40の開口部43内にカートリッジ2側の前記外部接続部3が完全嵌合されると、外部接続部3に設けられた各導電部3aと内部コネクタ40の前記開口部43内に設けられた各接続端子とが電気的に接続される。これにより、記録媒体1と記録媒体装着装置10を備えた機器本体との間でデジタルデータの再生や記録が可能となる。
図10に示すように、前記外部接続部3と内部コネクタ40との装着(完全嵌合)が完了すると、揺動部材15の制御ピン15aは前記カム板12の開閉用カム部12bの内周端部12b2に入り込むため、図6に示すように前記揺動部材15はさらに時計回り方向に揺動させられる。このとき、揺動部材15の押圧部15bが第2のスイッチ部材17bのアクチュエータ17b1を押圧するため、前記制御部はカム板12がコネクタの装着が完了した状態に達したこと、および制御ピン15aが内周端部12b2である回転終了位置に達したことを把握することができる。
また図6に示すように、前記揺動部材15の制御ピン15aが内周端部(回転終了位置)12b2に達すると、前記摺動板18はY2方向の第2の閉鎖位置に移動させられるため、制御凸部18eがY2方向に移動して前記操作部材19の前記扉設定部19Aの凹部19eを係止する。これにより、操作部材19のα2方向の回転が許容されるようになる。そして、図12Cに示すように、カートリッジ2が、前記外部接続部3が内部コネクタ40に装着される位置まで移動させれ、前記カートリッジ2の後面2Dが前記開閉扉100から離れると、前記操作部材19が前記付勢部材S4の付勢力によってα2方向に回転させられるため、開閉扉100が閉鎖姿勢に設定される。
すなわち、前記開閉用カム部12bの一方の端部である外周端部(回転開始位置)12b1と他方の端部である内周端部(回転終了位置)12b2とは、前記開閉扉100を閉鎖姿勢に導く閉鎖溝部を形成し、前記外周端部12b1と内周端部12b2との間は前記開閉扉100を開放姿勢に導く開放溝部を形成している。また前記揺動部材15、摺動板18および操作部材19は、前記開閉扉100を閉鎖姿勢と開放姿勢との間で開閉動作させる開閉機構を構成している。
(排出動作)
カートリッジ2の排出動作は、前記カム板12を時計回り方向に回転させることにより行うことができ、このときカム板12は図6→図5→図4および図10→図9→図8の順で回転させられる。
カム板12が図6の状態からわずかに時計回り方向に回転させられると、前記制御ピン15aが内周端部(回転終了位置)12b2からわずかに外周側に移動させられた状態に設定される。よって、揺動部材15が反時計回り方向にわずかに回動させられるため、摺動板18がY1方向の開放位置に移動させられる。このとき、前記摺動板18の制御凸部18eが操作部材19の前記扉設定部19Aの凹部19eから傾斜部19fを登り凸部19dを係止するため、図12Bに示すように前記開閉扉100を開放姿勢に設定することができる。
同時に、摺動ピン93が小円弧溝12a2内を図10に示す状態から図9に示す状態に移動させられるため、移動歯車90、スライド手段80、移動手段50および可動手段60が排出方向(Y2方向)に移動させられる。同時に引込み手段70,70もカートリッジ2を保持した状態でY2方向に移動させられる。
このとき、移動手段50に設けられた前記係合片52a,52aが、カートリッジ2の前面2Aの両側に隣接する前記側部2A1,2A2を係合しながらカートリッジ2を排出方向(Y2方向)に強固な押圧力で移動させるため、前記カートリッジ2の外部接続部(外部コネクタ)3が前記記録媒体装着装置10の内部コネクタ40から脱離させられる。
前記係合片52a,52aは、内部コネクタ40の幅方向の中心線O2−O2に対し左右対称の位置に設けられている。このため、カートリッジ2に作用する前記係合片52a,52aによる押圧力を、前記中心線O2−O2に対しほぼ左右対称に発生させることができ、しかも前記外部接続部3と内部コネクタ40との間に作用する摺動摩擦抵抗による摩擦力も前記中心線O2−O2に対しほぼ左右均等に発生させることができる。よって、カートリッジ2の側部2A1と側部2A2のいずれか一方に摩擦力が偏って作用するのを防止することができるため、従来のように離脱動作の際に回転モーメントが発生するのを抑制することができる。このため、カートリッジ2を排出方向に直線的に離脱させることが可能となる。よって、外部接続部3が幅方向の中心線に対して非対称の位置に設けられたカートリッジ2であっても、上記のような自動的なローディング機構を用いて円滑且つ確実に排出させることが可能となる。
さらにカム板12が時計回り方向に回転させられると、カートリッジ2に保持された引込み手段70,70が前方の挿入部側の挿入待機位置に移動させられる。このとき、前記開閉扉100は開放姿勢にあるため、カートリッジ2の後部(Y2側)を挿入口111から装置の外部に露出させることができる。
そして、図4に示すように、前記カム板12が時計回り方向に最大量回転させられ、前記制御ピン15aが外周端部(回転開始位置)12b1に達すると、前記摺動板18が第1の閉鎖位置に至るため、図12Aに示すように、前記制御凸部18eが扉設定部19Aの凸部19dから傾斜部19gの先端に達する。この結果、前記操作部材19は付勢部材S4の付勢力によりα2方向に回動し開閉扉100を閉鎖姿勢にできる状態に設定される。ただし、この状態では挿入口111内にカートリッジ2が装填されており、開閉扉100がカートリッジ2の上面に支持されているため閉鎖姿勢となることはない。
このとき、カートリッジ2は挿入待機位置に移動させられるが、図13に示すように引込み手段70の掛合部74が前記ガイド長孔32cから傾斜部32dを登って前記支持部32fに達するため、前記掛合部74が凹部2dから外れてカートリッジ2の掛合が解除される。
この状態では、前記カートリッジ2は、その後部が挿入口111から装置の外部に露出された状態で停止されている。よって、操作者は前記カートリッジ2を手にしてY2方向に引き抜くことにより、カートリッジ2を外部に取り出すことが可能である。
そして、カートリッジ2が挿入口111から装置の外部に取り出されると、前記操作部材19が前記付勢部材S4の付勢力によりα2方向に回動させられるため、開閉扉100が挿入口111を閉鎖する閉鎖姿勢に設定される。
以上のように、カートリッジ2を挿入口111に挿入する前、およびカートリッジ2が装置内に装着された後、さらにはカートリッジ2を挿入口111から取り出した後には、開閉扉100を閉鎖姿勢に設定して前記挿入口111を閉鎖することができるため、記録媒体装着装置10内への塵埃の侵入を防止することが可能である。
上記においては、図8ないし図10に示すように、前記移動歯車90の摺動ピン93が前記カートリッジ2の幅(X)方向の中心線O1−O1に沿って移動する実施の形態を示したが、前記摺動ピン93の移動奇跡は可能な限り前記内部コネクタ40の幅方向(X方向)の中心線O2−O2に沿って移動する構成とすることが好ましい。この場合、移動手段50を均等は力でバランスよくY方向に移動させることができるようになるため、カートリッジ2の両前側部2A1,2A2に作用する前記移動手段50の係合片52a,52aによる押圧力を左右均等に設定することができる。よって、カートリッジ2に押圧力の差による回転モーメントの発生を抑制することが可能となるため、カートリッジ2をさらに円滑且つ確実に排出させることができる。
また上記実施の形態では、移動部材50と可動手段60とは別体で構成したものを示したが、本発明はこれに限定されるものではなく可動側ラック部62を移動手段50の開口穴51の縁部に一体に形成した構成とすることも可能である。ただし、上記のように別体の構成とした方が、前記付勢部材S2の引っ張り力を利用して外部接続部3と内部コネクタ40とを完全嵌合できる点で有利である。
なお、上記実施の形態では、コネクタを有する記録媒体の実施の形態としてリムーバブルハードディスクを用いて説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、その他の例えばカートリッジ2内に磁気ディスクの代わりにICメモリを内蔵した記録媒体であってもよい。