JP3532357B2 - 磁気ディスクカートリッジ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 【０００１】 【発明の属する技術分野】本発明は、円盤状の磁気ディ
スクメディアをケース内に収容し磁気ヘッド挿入用開口
を開閉するシャッター部材を備えた磁気ディスクカート
リッジに関するものである。 【０００２】 【従来の技術】従来より、フレキシブルなポリエステル
シート等からなる円盤状のベースの両面に磁性体層が形
成され、回転駆動されながら磁気ヘッドにより上記磁性
体層に磁気記録がなされる磁気ディスクメディア（いわ
ゆるフロッピー・ディスク）を扁平ケース内に収容した
磁気ディスクカートリッジが提供され、その取扱いの容
易性、低コストといった利点から、主としてコンピュー
タ用の記録媒体として用いられている。 【０００３】また、上記磁気ディスクカートリッジに
は、磁気記録再生のための磁気ヘッドが磁気ディスクメ
ディアの片面または両面に外部から接触もしくは近接す
るため出し入れされる磁気ヘッド挿入用開口が設けら
れ、さらにこの開口には不使用時における塵埃等の侵入
を防止するための開閉シャッター部材が設けられてい
る。 【０００４】ところで、上記のような磁気ディスクカー
トリッジを使用するコンピュータの小型化が進み、ノー
トブック型パソコンが普及し、特に小型のものではその
大きさの制約から外部記憶装置として磁気ディスクカー
トリッジ用のディスクドライブ装置を内蔵せず、外付け
方式としたものが販売されるようになっている。この外
付け方式の採用は、小型パソコンの携帯性といった観点
では優れているが、例えば、小型パソコンの持ち運び先
で磁気ディスクカートリッジが使えないため、大量のデ
ータの記録再生が行えないといった問題や、データを複
数の磁気ディスクカートリッジに記録することができな
いといった問題を生じさせている。 【０００５】上記点から、小型のパソコンには外部イン
ターフェースおよび増設メモリ対応としてＰＣカードス
ロット（PCMCIA仕様準拠）が設けられたものがあり、メ
モリカード等の電子回路によるＰＣカードが装着されて
使用される。そこで、このＰＣカードスロットを利用し
て磁気ディスクカートリッジを使用した外部記憶装置を
構成することが提案されている。 【０００６】上記ＰＣカードスロットに装着し得るＰＣ
カードの仕様は、タイプIIで厚みが５．０mmであり、こ
の厚みの中に磁気ディスクカートリッジとディスクドラ
イブ装置を構成しようとするものであるから、設計上磁
気ディスクカートリッジとしての厚みは２mm程度の超薄
型に構成する必要がある。 【０００７】このような厚みの制約から、そのディスク
ドライブ装置においては、磁気ヘッドは、従来の記録容
量が１〜２ＭＢの３．５インチ磁気ディスクカートリッ
ジ用のディスクドライブ装置の磁気ヘッドのように上下
に移動するスペースを確保できないため、この磁気ヘッ
ドを固定式として、磁気ディスクカートリッジのケース
およびシャッター部材の挿入前面から上下面の少なくと
も一方を開放して、この部分を通った磁気ヘッドが磁気
ディスクメディアに接近するように構成することが考え
られている。 【０００８】 【発明が解決しようとする課題】しかして、上記のよう
な超薄型磁気ディスクカートリッジを構成する場合に、
前記シャッター部材の開閉作動を行うについては、この
シャッター部材のケースからの外れ防止を行うために、
シャッター部材にガイド爪を設ける一方、ケースにはこ
のガイド爪が挿入されるガイド溝を移動方向に沿って形
成するようにしている。そして、上記ガイド爪はシャッ
ター部材の移動方向の両端部近傍に設けて確実な平行移
動が得られるようにする必要があるが、このようにケー
スに２本のガイド溝を形成することは、薄肉に形成しな
ければならないという制約のあるケースの強度を一層低
下させることになる。また、ケースの強度を確保する観
点から、ガイド溝を浅く設けると、ガイド爪の高さも低
くなって両者の係合が外れやすく信頼性に欠ける問題を
有している。 【０００９】つまり、ケースのシャッター部材のスライ
ド部分は、このシャッター部材の厚み相当だけ凹状に形
成されてさらに薄肉に形成されるものである。したがっ
て、前述のガイド溝をケースの上面または下面に形成す
ることは強度的に不利となり、係る制限条件の下ではケ
ースの設計、成形が困難である。したがって、ケースの
シャッター部材のスライド部分の構成が、磁気ディスク
カートリッジ全体を薄く形成する上での障害となってい
る。 【００１０】そこで本発明は上記事情に鑑み、ＰＣカー
ドスロットにディスクドライブ装置と共に装填可能なほ
ど薄型であって、かつケースの強度を確保しつつ構成し
得る磁気ディスクカートリッジを提供せんとするもので
ある。 【００１１】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決した本発
明の磁気ディスクカートリッジは、円盤状の磁気ディス
クメディアを平板状ケース内に回転可能に収容すると共
に、このケースの前端面部から上下両面に連通して磁気
ヘッド挿入用開口を開口し、該ヘッド挿入用開口をディ
スクドライブ装置への挿入方向と直交方向にスライドし
て開閉するシャッター部材を設け、このシャッター部材
は、ケースの上面に沿う上面板部と、ケースの下面に沿
う下面板部と、両面板部を連結する端面部と、該端面部
から両面板部に連通して開口する窓部とで構成すると共
に、上記窓部の両側にある各端面部に、該端面部よりほ
ぼ直角方向に屈曲して上下面板部と平行に延びる係合用
突起を設ける一方、前記ケースにはその上面または下面
から前端面部のほぼ半分の厚みにガイド部を形成し、前
記ガイド部を前記シャッター部材の上面板部または下面
板部と係合用突起とで挟持するように前端面側から係合
し、少なくとも２カ所の係合用突起によりシャッター部
材をケースに取り付けたことを特徴とするものである。 【００１２】また、前記シャッター部材の端面部に設け
た各係合用突起は、両側で異なる方向からケースのガイ
ド部に係合させるのが好適である。さらに、前記シャッ
ター部材の係合用突起の先端部を抜け止め構造に設け、
ケースのガイド部に設けたガイド溝に係合するのが望ま
しい。 【００１３】 【発明の効果】上記のような本発明の磁気ディスクカー
トリッジによれば、シャッター部材の窓部の両側にある
各端面部に上下面板部とほぼ平行に係合用突起を設ける
一方、ケースにはケース前端面のほぼ半分の厚みにガイ
ド部を設け、このガイド部をシャッター部材の上または
下面板部と係合用突起とで挟持するように前端面側から
係合し、少なくとも２カ所の係合用突起によりシャッタ
ー部材をケースに取り付けるようにしたことにより、ケ
ースの上面または下面にはシャッター部材の開閉方向に
沿う凹状のガイド溝の形成を不要とすると共に、ケース
の厚みの大きいガイド部にシャッター部材を係合保持す
るのでケースの強度低下を抑制することができ、しかも
少なくとも２カ所の係合用突起で保持することで安定し
たシャッター部材の開閉作動が確保でき、その外れも確
実に防止でき、ケース設計、成形を容易とし信頼性の高
い薄型磁気ディスクカートリッジを得ることができる。
しかも、ケースに対するシャッター部材の組立挿入方向
に沿って係合用突起が延びることで、組立性に優れ、生
産性が向上する。 【００１４】 【発明の実施の形態】以下、図面に示す実施の形態に基
づいて本発明を詳細に説明する。図１は一例の磁気ディ
スクカートリッジの外観斜視図、図２はシャッター部材
が開状態の同斜視図、図３は分解斜視図、図４は概略断
面図、図５はケースに取り付けた状態の断面図である。
なお、各図は構造を明確にするため、各部の厚み等は実
際の寸法とは異なる比率で示している。 【００１５】磁気ディスクカートリッジ１は、例えばア
クリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体のよう
な合成樹脂から形成された平板状ケース２（ハードケー
ス）内に、センターコア５に保持された円盤状の磁気デ
ィスクメディア６が回転自在に収容されている。この磁
気ディスクメディア６は、フレキシブルなポリエステル
シート等からなる円盤状のベースの片面または両面に磁
性体層が形成されたものである。 【００１６】前記ケース２は２つのシェルハーフの内面
が蓋合わせ状に固着されてなるものであり、このケース
２の前端面２ｃから上面２ａおよび下面２ｂに連通して
磁気ヘッド挿入用開口２１が矩形状に設けられている。
また、ケース下面２ｂの中心部には前記センターコア５
が露出する磁気ディスクメディア駆動用のハブ孔２２
（図４参照）が円形状に開口されている。 【００１７】上記ケース２は、詳細は図示しないが、各
シェルハーフの周囲に壁状に外周リブが、各コーナー部
の中心側に斜めに内リブが形成され、これらに囲まれた
内側の扁平空間に上下にライナー９，９（図４参照）を
介して磁気ディスクメディア６が収容される。 【００１８】さらに、上記ケース２には、前記磁気ヘッ
ド挿入用開口２１を開閉するために、挿入方向と直交す
る開閉方向に滑動自在とされたシャッター部材３が組み
付けられ、その摺動範囲のケース２の表面には浅い摺動
溝２３が形成されている。上記磁気ヘッド挿入用開口２
１が開いた際に、磁気ヘッド１１が磁気ディスクメディ
ア６に対して挿入される。 【００１９】このシャッター部材３は金属製で、例えば
ステンレス鋼板もしくはアルミニウム板から断面略コ字
状に形成されたもので、図３に示すように、ケース２の
前方のケース上面２ａを覆う上面板部３１と、ケース下
面２ｂを覆う下面板部３２とが、ケース前端面２ｃを覆
う端面部３３によって連結されている。また、該シャッ
ター部材３の端面部３３から上面板部３１および下面板
部３２に連通して開放した窓部３４が設けられ、ケース
２の磁気ヘッド挿入用開口２１と連通可能である。この
窓部３４はシャッター部材３の中心より偏った位置に設
けられている。 【００２０】上記シャッター部材３の前記窓部３４の両
側にある各端面部３３，３３の内側に、該端面部３３よ
りほぼ直角方向に屈曲して上下面板部３１，３２と平行
に延びる係合用突起３５，３６がそれぞれ設けられてい
る。また、前記係合用突起３５，３６は、先端部がＬ字
状に屈曲した抜け止め構造３５ａ，３６ａに設けられ、
両側で異なる方向から後述のケース２の前端面部のガイ
ド部２５，２６に係合する。 【００２１】具体的には、シャッター部材３の窓部３４
に対して一方に位置する幅の狭い端面部３３に形成され
た第１の係合用突起３５は、下面板部３２側から屈曲さ
れ、先端部はさらに上面板部３１側に屈曲して抜け止め
部３５ａに形成されている。また、窓部３４に対して他
方に位置する幅の広い端面部３３に形成された第２の係
合用突起３６は、上面板部３１側から屈曲され、先端部
はさらに下面板部３２側に屈曲して抜け止め部３６ａに
形成されている。 【００２２】一方、前記ケース２における前端面２ｃの
ヘッド挿入用開口２１の両側には、ケース全体の厚みの
ほぼ半分の厚み、すなわち、上下に分割されたシェルハ
ーフの厚みにシャッター部材３の開閉方向に沿って延び
るガイド部２５，２６がそれぞれ形成され、このガイド
部２５，２６の内面にはガイド溝２５ａ，２６ａが形成
されている。つまり、一方のシェルハーフの先端部が除
去されて他方のシェルハーフの先端部によって上記ガイ
ド部２５，２６が形成されている。 【００２３】具体的には、第１の係合用突起３５が摺動
する第１のガイド部２５は上面２ａから半分の厚みに形
成され、その下面にガイド溝２５ａ（図５参照）が設け
られている。また、第２の係合用突起３６が摺動する第
２のガイド部２６は、下面２ｂから半分の厚みに形成さ
れ、その上面にガイド溝２６ａが設けられている。そし
て、両ガイド部２５，２６はヘッド挿入用開口２１の両
側部分には形成されていない。 【００２４】上記のような係合用突起３５，３６を有す
るシャッター部材３を前端面２ｃ側からケース２に装着
すると、第１のガイド部２５をシャッター部材３の上面
板部３１と第１の係合用突起３５で挟持するように、第
２のガイド部２６をシャッター部材３の下面板部３２と
第２の係合用突起３６で挟持するように、互いに異なる
方向から係合し、先端抜け止め部３５ａ，３６ａはそれ
ぞれガイド溝２５ａ，２６ａに係合されるもので、２カ
所の係合用突起３５，３６によりシャッター部材３がケ
ース２に取り付けられている。 【００２５】なお、前記シャッター部材３の開閉機構に
ついては示していないが、例えば、このシャッター部材
３の一端部に開閉作動用の連結部材を連結し、その先端
部がケース２の側面に設けられた挿入方向に移動可能な
作動片に連結され、磁気ディスクカートリッジ１のディ
スクドライブ装置に対する挿入取り出し移動に連動した
作動片の移動によって連結部材を介して開閉作動するよ
うに構成される。その他の開閉機構を採用してもよい。 【００２６】上記のシャッター部材３の開閉作動におい
て、該シャッター部材３は両側の係合用突起３５，３６
とガイド部２５，２６との係合により、シャッター部材
３の開閉摺動が案内されると共に、シャッター部材３が
ケース２から外れるのが防止される。 【００２７】また、上記磁気ディスクカートリッジ１を
挿入するディスクドライブ装置は、奥部に開閉作動しな
い磁気ヘッド１１（図２、図４参照）を有すると共に、
下方には起伏移動可能にドライブユニットが設けられ、
挿入された磁気ディスクカートリッジ１の磁気ディスク
メディア６のセンターコア５にスピンドルが係止して回
転駆動するように構成される。 【００２８】なお上記実施の形態においては、ケース２
のヘッド挿入用開口２１の両側についてはガイド部２
５，２６を形成しないようにして、シャッター部材３の
閉状態におけるヘッド挿入用開口２１に対する遮蔽性を
高めるようにしているが、この部分についてもガイド部
２５，２６を形成するようにしてもよい。また、両側の
係合用突起３５，３６は互いに異なる方向からガイド部
２５，２６に係合するように設けているが、同一方向か
ら係合するように設けてもよい、その際にはシャッター
部材３の上面板部３１に係合用突起形成用の開口が現れ
ないように構成するのが外観性の点からは好ましい。 【００２９】さらに、ガイド溝２５ａ，２６ａへの抜け
止め部３５ａ，３６ａ係合によってシャッター部材３の
外れ止めを行っているが、開閉機構との連結構造によっ
てはこの抜け止め構造を設ける必要のない場合もあり、
その際には単に係合用突起３５，３６を平坦に形成して
ガイド部２５，２６を挟持するように設ければよい。 【００３０】上記のようなシャッター部材３の構造によ
って、ケース２の強度を確保しつつケース２のシャッタ
ースライド部分の厚みを制約条件とせずに、磁気ディス
クカートリッジ１の厚みを薄くできるので、ＰＣカード
スロットに装着可能な外部記憶装置が構成可能となるも
のである。

【図面の簡単な説明】 【図１】本発明の一つの実施の形態による磁気ディスク
カートリッジを示す外観斜視図 【図２】図１のシャッター部材が開いた状態の斜視図 【図３】シャッター部材を組み付ける前の状態の分解斜
視図 【図４】ケースの概略断面図 【図５】シャッター部材を取り付けた状態での図３のＡ
−Ａ線に沿う要部断面図 【符号の説明】 １ 磁気ディスクカートリッジ ２ ケース ２ａ 上面 ２ｂ 下面 ２ｃ 前端面 ３ シャッター部材 ６ 磁気ディスクメディア １１ 磁気ヘッド ２１ ヘッド挿入用開口 ２３ 摺動溝 ２５，２６ ガイド部 ２５ａ，２６ａ ガイド溝 ３１ 上面板部 ３２ 下面板部 ３３ 端面部 ３４ 窓部 ３５，３６ 係合用突起 ３５ａ，３６ａ 抜け止め部

Claims (1)

1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項１】 円盤状の磁気ディスクメディアを平板状
   ケース内に回転可能に収容すると共に、このケースの前
   端面部から上下両面に連通して磁気ヘッド挿入用開口が
   開口し、該ヘッド挿入用開口をディスクドライブ装置へ
   の挿入方向と直交方向にスライドして開閉するシャッタ
   ー部材が設けられてなる磁気ディスクカートリッジにお
   いて、 前記シャッター部材は、ケースの上面に沿う上面板部
   と、ケースの下面に沿う下面板部と、両面板部を連結す
   る端面部と、該端面部から両面板部に連通して開口する
   窓部とで構成されると共に、 上記窓部の両側にある各端面部に、該端面部よりほぼ直
   角方向に屈曲して上下面板部と平行に延びる係合用突起
   が設けられる一方、前記ケースにはその上面または下面
   から前端面部のほぼ半分の厚みにガイド部が形成され、 前記ガイド部を前記シャッター部材の上面板部または下
   面板部と係合用突起とで挟持するように前端面側から係
   合し、少なくとも２カ所の係合用突起によりシャッター
   部材をケースに取り付けたことを特徴とする磁気ディス
   クカートリッジ。