JP4065748B2 - カラー画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等のカラー画像形成装置に係り、詳しくは、複数色のトナー像を順次転写することで得られる合成トナー像を単一の記録材の各面にそれぞれ転写させるカラー画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種のカラー画像形成装置では、転写工程にワンパス両面転写方式を採用するものが知られている。このワンパス両面転写方式を採用したカラー画像形成装置では、記録材の各面に画像を形成する際に、その記録材を1回搬送するだけでその各面に合成トナー像を転写することができる。具体例の1つを挙げると、まず、記録材の第1面に転写される第1の合成トナー像を構成する各色トナー像を、単一の潜像担持体上に順次形成するか、複数の潜像担持体上にそれぞれに形成する。そして、その各色トナー像を第1の像担持体上に重なり合うように順次転写した後、その第1の合成トナー像を第2の像担持体上に転写する。その後、記録材の第2面に転写される第2の合成トナー像を構成する各色トナー像を潜像担持体上に新たに形成し、これを第1の像担持体上に順次重なり合うようにして転写する。そして、第1の像担持体上の第2の合成トナー像を、第2の像担持体上の第1の合成トナー像とともに、単一の記録材の各面にそれぞれ転写する。このようなワンパス両面転写方式を採用すれば、記録材の各面に画像を形成する場合、記録材を転写ニップに2回通して各面にトナー像を個別に転写する方式に比べて、作像プロセスの効率化を図ることができる。
なお、上述したようなワンパス両面転写方式の画像形成装置であっても、片面にのみカラー画像を形成することはできる。この場合、例えば、記録材の片面に転写される合成トナー像を構成する各色トナー像を第1の像担持体上に順次重なり合うように転写した後、その合成トナー像を第2の像担持体上に転写せずにそのまま記録材上に転写すればよい。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上述したようなワンパス両面転写方式の画像形成装置では、記録材の各面に形成された2つの画像間で、画像濃度や黒色の光沢が互いに異なってしまうという問題が発生する。このような問題が発生する原因は次のように考えられる。
すなわち、ワンパス両面転写方式を採用した画像形成装置では、記録材の第1面に転写される第1の合成トナー像は、第1の像担持体から第2の像担持体への転写工程と、第2の像担持体から記録材への転写工程の2回の転写工程を経る。これに対し、記録材の第2面に転写される第2の合成トナー像は、第1の像担持体から記録材への転写工程の1回だけである。これらの各転写工程では、それぞれ、合成トナー像を構成する各色トナー像の重なり順序が転写元と転写先とで反転することになる。そのため、各色トナー像を第1の像担持体上に転写させる順序が第1の合成トナー像と第2の合成トナー像の間で同じである場合、記録材上の各面に転写された各色トナー像の重なり順序は逆さまになる。
【0004】
ここで、カラー画像は、複数の色(以下、トナーの色と区別するために「画像構成色」という。)を組み合わせることで構成される。そして、その画像構成色は、通常、黒色トナー、マゼンタ色トナー、シアン色トナー、イエロー色トナーの4色のトナーを適宜組み合わせることでそれぞれ表現される。このとき、各画像構成色の画像濃度は、記録材上における黒色トナーの重なり順序によって異なってくる。一般に、記録材上において黒色トナーの重なり順序が上であればあるほど、画像構成色の画像濃度が高くなる。そのため、実用化されている画像形成装置の多くは、記録材上において黒色トナーの重なり順序が最も上になるように構成されている。また、上述したワンパス両面転写方式を採用した画像形成装置でも、片面にのみ画像を形成することが多い。そのため、第1の像担持体上の合成トナー像を直接記録材上に転写するときに、その記録材上の各色トナー像のうち黒色トナー像が最も上になるように構成される。よって、この画像形成装置において記録材の各面にそれぞれ合成トナー像を転写する場合、記録材上における第1の合成トナー像の黒色トナーの重なり順序は最も下となり、第2の合成トナー像の黒色トナーの重なり順序は最も上になる。すなわち、第1の合成トナー像と第2の合成トナー像との間で記録材上の黒色トナー像の重なり順の順番のズレが2以上となる。したがって、記録材の各面に合成トナー像を転写した場合、その記録材の各面で画像濃度が大きく異なる結果となる。
【0005】
また、カラー画像形成装置においても、文書等をプリントする場合など、画像構成色として黒色が使用される頻度が高い。そのため、黒色の光沢は、プリントされる画像の画質を決める上で重要な要素となる。ここで、カラー画像形成装置でプリントされる画像において黒色を表現する場合、黒色トナーのみを使用するのではなく4色を組み合わせて表現することがある。この場合、記録材上における黒色トナーの重なり順序が上であればあるほど、黒色の光沢がよい結果となる。そのため、上述した画像濃度の問題と同様に、ワンパス両面転写方式を採用した画像形成装置において記録材の各面に黒色を画像構成色としてもつ合成トナー像を転写した場合、その記録材の各面で黒色の光沢が大きく異なる結果となる。
【0006】
以上のように、記録材上における黒色トナー像が最も上に位置する場合と最も下に位置する場合とで、記録材各面の画像間において画像濃度や黒色の光沢が大きく異なる結果となるが、その理由は次のように考えられる。
図6(a)は、記録材上に転写された合成トナー像の断面を示す説明図である。
図6(b)は、その合成トナー像を定着工程を経て記録材上に熱定着した後の断面を示す説明図である。
【0007】
記録材上に合成トナー像が転写されると、その合成トナー像の断面は、一般に、図6(a)のように、各色のトナーがおおよそ層状に重なり合ったものと見ることができる。そして、この記録材上の合成トナー像は、定着工程において加熱、加圧されることで、最終的に記録材上に定着される。この定着工程では、合成トナー像を構成する各色トナーが熱によって融解する。これにより、各色トナーが互いに混ざり合い、所望の画像構成色が表現されることになる。しかし、実際には、合成トナー像を構成する各色トナーの一部に融解しない部分が存在する。具体的には、図6(b)に示すように、層の上側に重なった部分のトナーは完全に融解するものの、下側に重なった部分は完全には融解しない。ここで、各色トナーがもつ各色の光沢は、そのトナーが定着工程で融解することによって増すことになるため、そのトナーが完全に融解しない状態だとその色の光沢は少ないものとなる。そのため、黒色トナーが最も下に重なった状態のカラー画像においては、黒色トナーが最も上に重なった状態のカラー画像に比べて、黒色トナーによる光沢が少ない。その結果、画像濃度が低いものとなる。また、黒色を画像構成色としてもつモノクロ画像又はカラー画像においても、黒色トナーが最も下に重なった状態の画像においては、黒色トナーが最も上に重なった状態の画像に比べて、黒色部分の光沢が少ないものとなる。
【0008】
本発明は、上記問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、記録材の各面に形成される画像間において生じる画像濃度や黒色の光沢の違いを少なくすることができる画像形成装置を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、潜像担持体と、該潜像担持体上に形成された複数の潜像にそれぞれ異なる色のトナーを付着させて得られる各色トナー像を、第1の像担持体上に順次重ね合わせて転写する第1の転写手段と、各色トナー像が重なり合うことで得られた該第1の像担持体上の第1の合成トナー像を第2の像担持体上に転写する第2の転写手段と、上記第1の像担持体上の第1の合成トナー像を上記第2の像担持体上に転写させた後、該第1の像担持体上に新たに担持された第2の合成トナー像と、該第2の像担持体上の第1の合成トナー像とを、単一の記録材の各面にそれぞれ転写する第3の転写手段とを備えたカラー画像形成装置において、上記複数の潜像にそれぞれ付着するトナーの色数は、黒色を含む3色以上であり、上記第1の転写手段による上記第1の像担持体上への各色トナー像の転写順序は、上記第1の合成トナー像が上記記録材の第1面上に転写されたときの黒色トナーからなる黒色トナー像の重なり順の順番と、上記第2の合成トナー像が該記録材の第2面上に転写されたときの黒色トナー像の重なり順の順番とのズレが1以内であり、上記潜像担持体上の黒色トナーからなる黒色トナー像を上記第1の像担持体上に既に転写されている他色のトナー像に重なり合うように転写し、かつ、該黒色トナー像が転写された後に更に別の他色のトナー像を転写して、上記第1の合成トナー像及び上記第2の合成トナー像を形成するものであり、上記潜像担持体を各色ごとに複数設け、その複数の潜像担持体を、上記第1の像担持体の表面移動方向に沿って上記第2の転写手段による転写位置よりも該表面移動方向上流側に並べて配置した上で、黒色に対応する潜像担持体を、該第1の像担持体における表面移動方向の最上流に配置される他色に対応する潜像担持体と、該表面移動方向の最下流に配置される別の他色に対応する潜像担持体との間に配置したことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1のカラー画像形成装置において、上記複数の潜像にそれぞれ付着するトナーは、黒色トナーと、マゼンタ色トナーと、シアン色トナーと、イエロー色トナーとからなり、上記潜像担持体上から上記第1の像担持体上に転写される各色トナー像の順序を、イエロー色トナー像、シアン色トナー像、黒色トナー像、マゼンタ色トナー像の順か、又は、マゼンタ色トナー像、黒色トナー像、シアン色トナー像、イエロー色トナー像の順としたことを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、潜像担持体と、該潜像担持体上に形成された複数の潜像にそれぞれ異なる色のトナーを付着させて得られる各色トナー像を、第1の像担持体上に順次重ね合わせて転写する第1の転写手段と、各色トナー像が重なり合うことで得られた該第1の像担持体上の第1の合成トナー像を第2の像担持体上に転写する第2の転写手段と、上記第1の像担持体上の第1の合成トナー像を上記第2の像担持体上に転写させた後、該第1の像担持体上に新たに担持された第2の合成トナー像と、該第2の像担持体上の第1の合成トナー像とを、単一の記録材の各面にそれぞれ転写する第3の転写手段とを備えたカラー画像形成装置において、上記複数の潜像にそれぞれ付着するトナーの色数は、黒色を含む3色以上であり、上記第1の転写手段による上記第1の像担持体上への各色トナー像の転写順序は、上記第1の合成トナー像が上記記録材の第1面上に転写されたときの黒色トナーからなる黒色トナー像の重なり順の順番と、上記第2の合成トナー像が該記録材の第2面上に転写されたときの黒色トナー像の重なり順の順番とのズレが1以内であり、上記重なり順の順番が上記第1の合成トナー像と上記第2の合成トナー像との間で互いに同じであり、上記潜像担持体を、黒色については2つ、他色については色ごとに設け、その複数の潜像担持体を、上記第1の像担持体の表面移動方向に沿って上記第2の転写手段による転写位置よりも該表面移動方向上流側に配置し、上記第1の合成トナー像を上記黒色に対応する一方の潜像担持体を用いて形成し、上記第2の合成トナー像を該黒色に対応する他方の潜像担持体を用いて形成することを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項3のカラー画像形成装置において、上記転写順序は、上記第1の合成トナー像については黒色トナー像を最後に転写し、上記第2の合成トナー像については黒色トナー像を最初に転写することを特徴とするものである。
本発明に係る画像形成装置においては、第1の合成トナー像と第2の合成トナー像との間で、記録材上に転写されたときの黒色トナー像の重なり順の順番のズレが1以内となるようにしている。具体的には、その重なり順の順番のズレが1以内となるように、第1の合成トナー像及び第2の合成トナー像について、各合成トナー像を構成する各色トナー像の第1の像担持体上への転写順序を設定している。これにより、第1の合成トナー像と第2の合成トナー像との間で記録材上の黒色トナー像の重なり順の順番のズレが上述したように2以上となるものに比べて、その重なり順の順番のズレを小さくすることができる。このように黒色トナー像の重なり順のズレが小さくなれば、記録材の各面に形成されるカラー画像の画像濃度差を小さくすることができ、また、黒色を画像構成色としてもつ画像中の黒色の光沢差を小さくすることができる。記録材の各面に形成される画像間の画質の違いを少なくすることができる。なお、記録材の各面に形成される画像間の画質の違いを少なくするという点では、黒色トナー像の重なり順にズレがないことが望ましい。しかし、装置構成上困難な場合も多い上、そのズレが1以内であれば記録材両面の画質差が実用的に問題となる場合はほとんどない。
ここで、第1の合成トナー像と第2の合成トナー像との間で上述したような黒色トナー像の重なり順を実現するための上記転写順序の設定方法は、種々考えられる。例えば、各色トナー像に対応する潜像の形成順序を設定するなどの制御的な方法や、各色トナー像に対応する潜像担持体の配置順序を設定するなどの機構的な方法などが挙げられる。前者は、主に、単一の潜像担持体上に各色トナー像を順次形成し、これを第1の像担持体上に重ねて転写して合成トナー像を形成する画像形成装置に適用される。この場合、例えば、黒色トナー像に対応する潜像形成順序を制御して、第1の合成トナー像と第2の合成トナー像との間で互いに異ならせることで、上述したような黒色トナー像の重なり順を実現できる。一方、後者は、主に、第1の像担持体の無端移動方向に並べて配置される複数の潜像担持体上に各色トナー像を形成し、これらをその配置順に第1の像担持体上に順次重ねて転写して合成トナー像を形成する画像形成装置に適用される。この場合、例えば4色のトナーを用いてカラー画像を形成するのであれば、黒色用の潜像担持体の配置順序を第1の像担持体の無端移動方向最上流及び最下流以外の位置に配置することで、上記の黒色トナー像の重なり順を実現できる。
【0010】
【発明の実施の形態】
〔実施形態1〕
以下、本発明を、カラー画像形成装置としての電子写真方式のプリンタ(以下、単に「プリンタ」という。)に適用した実施形態(以下、本実施形態を「実施形態1」という。)について説明する。本プリンタは、イエロー(以下、「Y」と記す。)、シアン(以下、「C」と記す。)、ブラック(以下、「K」と記す。)、マゼンタ(以下、「M」と記す。)の4色のトナーから、カラー画像を形成するものである。
【0011】
まず、本プリンタの基本的な構成について説明する。
図1は、本実施形態1に係るプリンタの概略構成図である。本プリンタは、潜像担持体として4つの感光体ドラム1Y,1C,1K,1Mを備えている。感光体ドラム1Y,1C,1K,1Mは、その直径が30mm以上100mm以下程度の円筒状のアルミニウム基体の表面に、光導電性物質である有機半導体の層を設けたものである。なお、有機半導体の層の代わりに、アモルファスシリコンの層を設けたものも同様に採用することができる。また、ここでは、ドラム状の感光体を例に挙げているが、ベルト状の感光体を採用することもできる。各感光体ドラム1Y,1C,1K,1Mは、それぞれ第1の像担持体としての第1転写ベルト10に接触しながら、図中矢印の方向に回転駆動する。各感光体ドラム1Y,1C,1K,1Mの周りには、その表面移動方向に沿って、ドラムクリーニング装置2、除電装置L、帯電装置3、現像装置5の順に配置されている。帯電装置3と現像装置5との間には、潜像形成手段としての露光装置4から発せられる光が感光体ドラム1Y,1C,1K,1Mまで通過できるようにスペースが確保されている。なお、各感光体ドラム1Y,1C,1K,1Mの周りに配置されている各部品の構成は同じであるため説明を省略している。
【0012】
各帯電装置3は、それぞれ感光体ドラム1Y,1C,1K,1Mの表面を例えば負極性に一様帯電する。このように一様帯電せしめられた感光体ドラム1Y,1C,1K,1Mの表面は、露光装置4によって露光されて各色に対応した静電潜像をそれぞれ担持する。この露光装置4は、公知のレーザ方式を採用することができ、各色に対応した画像情報に基づいて、各感光体ドラム1Y,1C,1K,1Mに対して各色に対応した静電潜像を形成する。なお、LEDアレイと結像手段からなる露光装置を採用することもできる。また、各現像装置5は、その詳細な構成は図示しないが、そのケーシングの開口から現像ローラを部分的に露出させている。各現像ローラは、それぞれ異なる色の像形成物質であるトナーを表面に担持して回転し、各感光体ドラム1Y,1C,1K,1Mと対向する現像領域でトナーを静電潜像に付着させる。この付着によって各感光体ドラム1Y,1C,1K,1M上の静電潜像がそれぞれ異なる色のトナー像に現像される。また、各ドラムクリーニング装置2は、トナー像転写後の感光体ドラム1Y,1C,1K,1Mに残留したトナーをドラム表面から除去してクリーニングする。除去されたトナーはドラムクリーニング装置2の内部に蓄えられる。また、各除電装置Lは、クリーニング後の各感光体ドラム1Y,1C,1K,1Mの残留電荷を除電する。この除電により、各感光体ドラム1Y,1C,1K,1Mの表面が初期化されて次の画像形成に備えられる。
【0013】
上記第1転写ベルト10は、3つの支持ローラ11,12,13に張架されており、図中矢印の方向に表面移動する構成となっている。これらの支持ローラ11,12,13のうちの少なくとも1つ又はこれらのローラとは別に設けるローラを、第1転写ベルト10に張力を与えるためのテンション手段として適宜設ける。本実施形態では、支持ローラ11,12,13とは別のテンションローラ14を設けた構成となっている。ここで、第1転写ベルト10には、容易に伸縮せず、感光体ドラム1Y,1C,1K,1Mからトナー像を静電的に転写するために必要な所望の抵抗値を備えることが必要となる。第1転写ベルト10は、基体の厚みが20μm以上600μm以下の樹脂フィルム又はゴムを基体にした耐熱性のベルトであって、トナーとの接触角が110度、表面粗さ(Rz)が1μm以上4μm以下であることが好ましい。本実施形態では、厚さ20μm以上50μm以下のシームレスポリイミドを厚さ20μm以上30μm以下のPFAチューブに張り合わせたものを採用している。
【0014】
静電的な転写方法としては、チャージャ転写方式を用いることもできるが、本実施形態では転写チリの発生が少ない第1の転写手段としての第1転写ローラ20を使用するローラ転写方式を用いている。具体的には、各感光体ドラム1Y,1C,1K,1Mと接触する第1転写ベルト10の部分の裏面に、それぞれ第1転写手段としての第1転写ローラ20を配置している。各第1転写ローラ20により押圧された第1転写ベルト10の部分と各感光体ドラム1Y,1C,1K,1Mとによって、第1転写ニップ部が形成されている。本実施形態では、各第1転写ローラ20は、比較的低い電圧を印加する。第1転写ベルト10に接触するローラ11,12,13は、これらの第1転写ローラ20を除いて接地されている。また、支持ローラ11に張架された第1転写ベルト10の部分は、第2の像担持体としての第2転写ベルト30と接触している。この支持ローラ11は、図示しない発熱体が内臓されており、第3の転写手段として機能している。
【0015】
上記第1転写ベルト10の周りには、その表面に残留したトナーを除去するための第1クリーニング装置15が設けられている。この第1クリーニング装置15は、第1転写ベルト10の表面に残留したトナーをクリーニングローラ15aに付着させ、これをブレード15bで掻き取り、回収手段15cで図示しない回収部に搬送する構成となっている。このクリーニングローラ15aの表面は、第1転写ベルト10の表面粗さより粗く形成されている。そのため、内部の発熱体によってクリーニングローラ15aが加熱されることで、第1転写ベルト10上のトナーを溶かし、これを表面に付着させることができる。クリーニングローラ15aの材質としては、例えば熱伝導性の高い銅やアルミニウムを採用することができる。
【0016】
上記第2転写ベルト30は、第1転写ベルト10と同様に耐熱性のベルトで構成されている。第2転写ベルト30は、5つのローラ31,32,33,34,35に張架されており、図中矢印の方向に表面移動する構成となっている。これらのローラのうち、符号31で示すローラは、第2転写ベルト30を加熱するための第2の転写手段及び第3の転写手段として機能している。第2転写ベルト30も、その基体の厚みが20μm以上600μm以下の樹脂フィルム又はゴムを基体にしたベルトである。具体的には、トナー接触角が90度、表面粗さ(Rz)が5μm以上10μm以下であるのが好ましい。本実施形態では、厚さ20μm以上50μm以下のシームレスポリイミドに厚さ20μm以上100μm以下のETFEをコートしたものを採用している。
また、第2転写ベルト30の周りには、上記第1転写ベルト10と同様に第2クリーニング装置36が配置されている。この第2クリーニング装置36は、そのクリーニングローラが第2転写ベルト30の表面に対して接離可能な構成となっている。
【0017】
第1転写ベルト10を張架する第1加熱ローラ11と、第2転写ベルト30を張架する第2加熱ローラ31は、これらの間に形成される第2転写ニップ部で転写を行う際のベルト温度が温度制御されている。具体的には、そのベルト温度がトナーのガラス転移温度と軟化温度の間の温度となるように温度制御されている。この第2転写ニップ部のニップ幅としては、5mm以上10mm以下の範囲内に設定するのが好ましい。そのため、第1加熱ローラ11及び第2加熱ローラ31の外径は40mm以上60mm以下の範囲内とするのがよく、必要に応じて表面にゴム層を設ける。このゴム層の厚みはベルトの厚みを考慮して所望のニップ幅が得られるように決める。
【0018】
なお、感光体ドラム1Y,1C,1K,1M、第1転写ベルト10、第2転写ベルト30等を、一緒に又はそれぞれ別個に組み込んだプロセスカートリッジとして構成してもよい。例えば、図2に示すように、第2転写ベルト30及び第2クリーニング装置36を、一体に組み込んだプロセスカートリッジ37として構成することができる。この構成では、軸38aを支点にケーシング38を回動させることで、プロセスカートリッジ37を図示のように着脱することができる。このような構成とすれば、本プリンタを構成する部品の一部に寿命が到来したときにはその一部だけを交換することができる。
【0019】
また、露光装置4の図中下側には、給紙カセット40a,40b、給紙ローラ41、レジストローラ対42等を有する給紙手段が配設されている。給紙カセット40a,40bには記録材としての転写紙Pが複数枚収納されるようになっており、一番上の転写紙Pには給紙ローラ41が当接している。給紙ローラ41が図示しない駆動手段によって図中反時計回りに回転すると、その一番上の転写紙Pがレジストローラ対42のローラ間に挟み込まれる。レジストローラ対42は、挟み込んだ転写紙Pを適切なタイミングで第2転写ニップ部に向けて送り出す。
【0020】
また、第2転写ニップ部の転写紙搬送方向下流側には、加熱定着装置50が配置されている。この加熱定着装置50は、図示しないヒータを内蔵した2つの定着ローラ51a,51bを有しており、第2転写ニップ部を通過した転写紙Pがこれら両ローラ間に挟み込まれる。各定着ローラ51a,51bは、芯金上にシリコーンゴム層を設けたものであり、その層厚は2mm以上5mm以下の範囲内である。なお、シリコーンのほか、テフロン(登録商標)など離型性の良い樹脂やゴムを採用することもできる。また、各定着ローラ51a,51bの温度は160℃以上200℃以下の範囲内に制御されている。
【0021】
次に、本プリンタの動作について説明する。まず、第2転写ニップ部において転写紙Pの両面にトナー像を同時に転写する場合について説明する。
まず、露光装置4によって、帯電装置3で一様に帯電された各感光体ドラム1Y,1C,1K,1M上に各色に応じた静電潜像が形成される。この静電潜像は、第2転写ニップ部で図中右側に向いた転写紙Pの面(第1面)上の画像に対応するものである。露光装置4は、図中一番左側に位置する感光体ドラム1Yから順に静電潜像を形成する。各感光体ドラム1Y,1C,1K,1M上に形成された静電潜像は、それぞれ現像装置5によって現像され、トナー像となる。このようにして形成された各色トナー像は、それぞれ各第1転写ローラ20によって、第1転写ベルト10上に重なり合うように順次転写される。この転写の際、各第1転写ローラ20には転写バイアスが印加され、これにより形成される転写電界の作用を受けて、各感光体ドラム1Y,1C,1K,1M上のトナー像は、第1転写ベルト10上に移動する。
【0022】
各色トナー像が重なってできた合成トナー像は、第1転写ベルト10上に担持された状態で、第2転写ニップ部に搬送される。そして、この第2転写ニップ部において、その第1転写ベルト10上の合成トナー像が第2転写ベルト30上に熱転写される。このときの転写では、転写紙Pは第2転写ニップ部に送り込まれず、レジストローラ対42で待機している。また、このときには、第2クリーニング装置36のクリーニングローラは、第2転写ベルト30の表面から離間した状態になっている。よって、第2転写ベルト30上の合成トナー像は、そのクリーニングローラによって乱されることなく、再度第2転写ニップ部に搬送されることができる。
【0023】
ここで、本実施形態において、第1転写ベルト10から第2転写ベルト30への転写は、静電転写方式ではなく、熱転写方式である。静電転写方式の場合、第1転写ベルト10と第2転写ベルト30との間が密着していない部分があると、これらの接触時及び剥離時において放電や電界の乱れによる影響を受け、画像中にチリやニジミが発生し画像が劣化するおそれがある。これに対し、本実施形態では、静電転写方式のように転写電界を印加せずに、熱と圧力によって第1転写ベルト10上のトナーを第2転写ベルト30上に転移させるため、画像中にチリやニジミは発生しない。
このような熱と圧力による転写を行う場合、トナーのガラス転移温度と軟化温度との間の温度を第2転写ベルト30に与えるとともに、そのトナーに一定の圧を加える。このときの圧力は、2N/cm2以上10N/cm2以下の範囲内であるのが好ましい。これにより、第1転写ベルト10上のトナーは、塑性変形して第2転写ベルト30の凹凸部に食い込む。このとき、トナーは、トナー接触角で表されるベルトの離型性が低く、ベルトの表面粗さが大きい方のベルトに転移することになる。したがって、本実施形態の場合、第1転写ベルト10上のトナーは、第2転写ベルト30上に転移することになる。
【0024】
第2転写ベルト30上に合成トナー像が転写される間又は転写された後、第1転写ベルト10には、第2転写ニップ部で図中左側に向いた転写紙Pの面(第2面)上の画像に対応する各色トナー像が転写される。そして、その各色トナー像による合成トナー像の先端が第2転写ニップ部に到達するタイミングに合わせて、レジストローラ対42で待機していた転写紙Pが第2転写ニップ部に搬送される。また、このタイミングで、第2転写ベルト30上に転写された最初の合成トナー像の先端も第2転写ニップ部に到達する。そして、転写紙Pが第2転写ニップ部に入り込むと、その第1面には第2転写ベルト30上の合成トナー像が熱転写され、その第2面には第1転写ベルト10上の合成トナー像が熱転写される。この転写の際、各合成トナー像は、第1加熱ローラ11及び第2加熱ローラ31による熱によってトナーが溶け、転写紙Pの各面の繊維の隙間に入り込む。そして、本実施形態で使用している転写紙Pの表面粗さ(Rz)は20μm以上40μm以下の範囲内であるため、アンカー効果によって各合成トナー像は転写紙Pの各面に仮定着する。
【0025】
このようにして両面に合成トナー像が仮定着された転写紙Pは、そのまま図中上方に送られ、加熱定着装置50の定着ローラ51a,51b間に入り込む。これにより、各合成トナー像は、熱によって軟化しながら加圧されて転写紙Pの両面にそれぞれ最終的に定着される。その後、転写紙Pは、本体フレーム上部の排紙スタック部に排出される。なお、この排紙スタック部にスタックされる転写紙Pの上面には最初に作像された合成トナー像が形成され、その下面には後から作像された合成トナー像が形成されることになる。
【0026】
以上の説明は、転写紙Pの両面に同時にトナー像を転写して両面に画像を形成する場合であるが、本プリンタは転写紙Pの片面にだけ画像を形成することもできる。その場合、まず、上述と同様にして、各感光体ドラム1Y,1C,1K,1M上の各色トナー像を第1転写ベルト10に転写して合成トナー像を形成する。さくつつ記録媒体(用紙)Pに転写する。そして、その合成トナー像の先端が第2転写ニップ部に到達するタイミングに合わせて、転写紙Pを第2転写ニップ部に搬送する。そして、第2転写ニップ部において、第1転写ベルト10上の合成トナー像を転写紙P上に熱転写する。
【0027】
次に、本発明の特徴部分である各感光体ドラム1Y,1C,1K,1Mから第1転写ベルト10への各色トナー像の転写順序について説明する。
本実施形態では、図1に示すように、4つの感光体ドラム1Y,1C,1K,1Mが、第1転写ベルト10の表面移動方向に沿って並んで配置されている。そして、第1転写ベルト10上に合成トナー像を形成する場合、第1転写ベルト10の表面移動方向下流側に位置する感光体ドラム1Yから、その配置順に各色トナー像が、第1転写ベルト10上に順次転写される。すなわち、本実施形態では、イエロー色トナー像、シアン色トナー像、黒色トナー像、マゼンタ色トナー像の順に第1転写ベルト10上に転写され、合成トナー像が形成される。この順序は、第1の合成トナー像も第2の合成トナー像も同じである。
【0028】
ここで、本実施形態のプリンタにおいては、黒色用潜像担持体である感光体ドラム1Kが、第1転写ベルト10の表面移動方向下流側から3番目に配置されている。これにより、第1の合成トナー像が転写紙Pの第1面に転写されたとき、その各色トナー像の重なり順序は、上からマゼンタ色トナー像、黒色トナー像、シアン色トナー像、イエロー色トナー像の順になる。一方、第2の合成トナー像が転写紙Pの第2面に転写されたときには、上からイエロー色トナー像、シアン色トナー像、黒色トナー像、マゼンタ色トナー像の順になる。このように、転写紙Pの各面に転写される合成トナー像の間では、その各色トナー像の重なり順序が逆さまになるが、転写紙P上における各面の黒色トナー像の重なり順の順番のズレは1以内となっている。
【0029】
以上、本実施形態1によれば、転写紙P各面の黒色トナー像の重なり順の順番のズレが1以内であるため、その順番のズレが2以上となる画像形成装置に比べ、第2転写ニップ部で各合成トナー像の黒色トナーに伝わる熱量差を小さくできる。また、加熱定着装置50で各合成トナー像の黒色トナーに伝わる熱量差も小さくできる。これにより、転写紙Pの各面に転写された合成トナー像間において、黒色トナーの融解度合いの差を小さくできるため、黒色トナーの光沢差を小さくできる。その結果、転写紙Pの各面に形成されるカラー画像の画像濃度差を小さくすることができる。
【0030】
また、本プリンタは、黒色の画像構成色部分が存在するカラー画像を形成する場合や、黒色の画像構成色からなるモノクロ画像を形成する場合、全色のトナーを使用して明度の高い黒色を表現する。この場合でも、本実施形態によれば、上述したように、第2転写ニップ部で各合成トナー像の黒色トナーに伝わる熱量差を小さくでき、かつ、加熱定着装置50で各合成トナー像の黒色トナーに伝わる熱量差も小さくできる。よって、転写紙Pの各面に転写された合成トナー像間において、黒色トナーの融解度合いの差を小さくでき、転写紙Pの各面に形成される画像間で黒色の光沢差を小さくできる。
【0031】
特に、本実施形態1によれば、第1の合成トナー像と第2の合成トナー像との間で第1転写ベルト10への転写順序を変える必要がないため、その転写順序を切り換えるための機構や制御が不要である。したがって、装置構成や制御方法を複雑化することなく、転写紙Pの各面に形成されるカラー画像の画像濃度差及び黒色の光沢差を小さくすることができるという利点がある。
【0032】
ここで、本発明者らの研究の結果、転写紙Pの各面に形成される画像の画像濃度差や黒色の光沢差は、黒色トナー像の重なり順序だけでなく、他色の重なり順序も影響してくることが判明した。そこで、転写紙Pの各面における黒色トナー像の重なり順序が本実施形態のように上から2番目及び3番目になるときに、その黒色トナーの光沢差が最も小さくなる他の3色のトナー像の重なり順序を確認する実験を行った。この実験では、本実施形態1のプリンタを用い、黒色用の感光体ドラム1Kの配置を第1転写ベルト10の表面移動方向下流側から3番目に固定配置する場合と、2番目に固定配置する場合について行った。そして、両者について、他色用の3つの感光体ドラム1Y,1C,1Mの配置を種々変更し、各配置について両面にカラー画像が形成された転写紙Pをそれぞれ100枚プリントした。本実験では、各配置でそれぞれ形成した各100枚の転写紙Pの両面に形成された画像の画像濃度を所定の測定装置を用いて測定し、その平均値を各配置における各面の画像濃度として採用した。この実験の結果、第1転写ベルト10への転写順序が、イエロー、シアン、黒、マゼンタの順に重なっている場合と、マゼンタ、黒、シアン、イエローの順である場合が、転写紙Pの各面間で最も画像濃度差が小さいことが確認された。したがって、このような転写順序であれば、第1の合成トナー像と第2の合成トナー像との間で第1転写ベルト10への転写順序を変えなくても、転写紙Pの各面間で最も画像濃度差を小さくすることができる。
【0033】
〔実施形態2〕
次に、本発明を、上記実施形態1と同様のプリンタに適用した他の実施形態(以下、本実施形態を「実施形態2」という。)について説明する。
図3は、本実施形態2に係るプリンタの概略構成図である。このプリンタ200の基本構成は、上記実施形態1のプリンタとほぼ同様であるが、黒色用の感光体ドラム1K1,1K2が2つ設けられ、合計5つの感光体ドラム1K1,1Y,1C,1M,1K2を備えている点で異なっている。これらの感光体ドラム1K1,1Y,1C,1M,1K2は、図3に示すように、第1転写ベルト10の表面移動方向に沿って並んで配置されている。そして、第1転写ベルト10上に合成トナー像を形成する場合、第1転写ベルト10の表面移動方向下流側に位置する感光体ドラム1Yから、その配置順に各色トナー像が、第1転写ベルト10上に順次転写される。
【0034】
ここで、本プリンタ200は、第1の合成トナー像と第2の合成トナー像との間で、転写紙上に転写されたときの黒色トナー像の重なり順の順番が互いに同じになるように構成されている。具体的に説明すると、本プリンタ200では、第1の合成トナー像を第1転写ベルト10上に形成する場合、第1転写ベルト10の表面移動方向最上流側に位置する第1黒色用感光体ドラム1K1を用いない。すなわち、イエロー色用、シアン色用及びマゼンタ色用の感光体ドラム1Y,1C,1Mと、第1転写ベルト10の表面移動方向最下流側に位置する第2黒色用感光体ドラム1K2とを用いて、第1の合成トナー像を形成する。よって、第1の合成トナー像に関しては、第1転写ベルト10上への転写順序が、イエロー色トナー像、シアン色トナー像、マゼンタ色トナー像、黒色トナー像の順になる。一方、第2の合成トナー像を第1転写ベルト10上に形成する場合には、第2黒色用感光体ドラム1K2を用いない。すなわち、イエロー色用、シアン色用及びマゼンタ色用の感光体ドラム1Y,1C,1Mと、第1黒色用感光体ドラム1K1とを用いて、第2の合成トナー像を形成する。よって、第2の合成トナー像に関しては、第1転写ベルト10上への転写順序が、黒色トナー像、イエロー色トナー像、シアン色トナー像、マゼンタ色トナー像の順になる。
【0035】
このように、本プリンタ200のように感光体ドラムを配置すれば、第1の合成トナー像と第2の合成トナー像との間で、第1転写ベルト10上への転写順序を変えることができる。そして、本実施形態2のように、第1の合成トナー像に関しては第1転写ベルト10への黒色トナー像の転写順序を最後にし、第2の合成トナー像に関してはその転写順序を最初にする。これにより、転写紙P上における黒色トナー像の重なり順序が最も上となる。
【0036】
以上、本実施形態2によれば、転写紙P各面の黒色トナー像の重なり順序が第1の合成トナー像と第2の合成トナー像との間で互いに同じであるため、第2転写ニップ部で各合成トナー像の黒色トナーに伝わる熱量差を更に小さくできる。特に、第2転写ニップ部におけるトナーへの加熱条件が同じであれば、黒色トナーに伝わる熱量差をなくすこともできる。また、加熱定着装置50で各合成トナー像の黒色トナーに伝わる熱量差も更に小さくでき、加熱定着装置50におけるトナーへの加熱条件が同じであれば、黒色トナーに伝わる熱量差をなくすこともできる。よって、転写紙Pの各面に転写された合成トナー像間において、黒色トナーの融解度合いの差を更に小さし又はなくすことができるため、黒色トナーの光沢差を小さくし又はなくすことができる。その結果、転写紙Pの各面に形成されるカラー画像の画像濃度差を小さくし又はなくすことができる。
特に、本実施形態2では、転写紙P上における黒色トナー像の重なり順序が最も上となるので、転写紙Pの両面で黒色トナーの光沢を最大限に引き出すことができる。よって、高い画像濃度と黒色の光沢を実現することができる。
【0037】
〔参考例1〕
なお、本実施形態2では、転写紙P各面の黒色トナー像の重なり順の順番が第1の合成トナー像と第2の合成トナー像との間で互いに同じになるように、いわゆるタンデム型の画像形成装置を例に挙げて説明した。このようなタンデム型の画像形成装置であれば、画像形成スピードを高速化しつつ、転写紙Pの各面間で画像濃度差及び黒色の光沢差を小さくし、かつ、高い画像濃度と黒色の光沢を実現することができる。一方で、タンデム型の画像形成装置を用いない構成であっても、転写紙Pの各面間で画像濃度差及び黒色の光沢差を小さくし、かつ、高い画像濃度と黒色の光沢を実現することもできる。以下、潜像担持体としての感光体ドラム301を1つだけ備えたいわゆる1ドラム型の画像形成装置で、上記実施形態2と同様の効果を得るための参考例(以下、本参考例を「参考例1」という。)について説明する。
【0038】
図4は、本参考例1に係るプリンタの概略構成図である。このプリンタ300は、潜像担持体としての感光体ドラム301を1つだけ備えたいわゆる1ドラム型の画像形成装置である。この感光体ドラム301の周りには、その表面移動方向に沿って、ドラムクリーニング装置302、除電装置L、帯電装置303、4つの現像装置305K,305Y,305C,305Mの順に配置されている。また、帯電装置303と現像装置305Mとの間には、潜像形成手段としての露光装置304から発せられる光が感光体ドラム301まで通過できるようにスペースが確保されている。なお、各感光体ドラム301の周りに配置されている各部品の基本構成は上記実施形態とほぼ同様であるため説明を省略する。
【0039】
このプリンタ300においては、感光体ドラム301上に各色トナー像を順次形成し、これを順次第1転写ベルト10上に転写していくことで、第1転写ベルト10上に合成トナー像を形成する。具体的には、まず、第1の合成トナー像を形成するため、露光装置4によって、帯電装置3で一様に帯電された感光体ドラム301上にイエロー色に応じた静電潜像を形成する。この静電潜像は、イエロー色用の現像装置305Yによって現像され、イエロー色トナー像となる。このようにして形成されたイエロー色トナー像は、第1転写ローラ20によって、第1転写ベルト10上に転写される。以後、感光体ドラム301上に同様にしてシアン色トナー像、マゼンタ色トナー像、黒色トナー像を形成し、これらを第1転写ベルト10上のイエロー色トナー像に重なり合うように順次転写する。これにより、第1転写ベルト10上には、第1の合成トナー像が形成される。
【0040】
一方、第2の合成トナー像を形成する場合、感光体ドラム301上には、最初に黒色に応じた静電潜像が形成され、この静電潜像を黒色用の現像装置305Kによって現像する。これにより形成された黒色トナー像は、第1転写ローラ20によって、第1転写ベルト10上に転写される。以後、感光体ドラム301上には、マゼンタ色トナー像、シアン色トナー像、イエロー色トナー像が形成され、これらは、第1転写ベルト10上の黒色トナー像に重なり合うように順次転写される。すなわち、第2の合成トナー像を形成する場合、上記第1の合成トナー像とは逆の転写順序で各色トナー像を第1転写ベルト10上に転写する。
【0041】
上述のように、本参考例1では、第1の合成トナー像と第2の合成トナー像とでは、第1転写ベルト10上への転写順序が全く逆さまとなっている。したがって、本参考例1のプリンタ300によれば、転写紙P各面の黒色トナー像の重なり順序だけでなく他色トナー像の重なり順序までも、第1の合成トナー像と第2の合成トナー像との間で互いに同じとなる。その結果、転写紙Pの各面に転写された合成トナー像間において、黒色トナーだけでなく他色トナーの融解度合いの差も小さし又はなくすことができる。よって、転写紙Pの各面に形成されるカラー画像の画像濃度差を含む画質の差を小さくし又はなくすことができる。
【0042】
〔参考例2〕
次に、本発明を、上記実施形態1と同様のプリンタに適用した他の参考例(以下、本参考例を「参考例2」という。)について説明する。このプリンタの基本構成は、上記実施形態1のプリンタ100と同様であるが、第1転写ベルト10上において、黒色トナーが転写されるドット部分と、他色トナーが転写されるドット部分が互いに重複しないように構成されている。すなわち、本プリンタが形成する画像は、複数の画像構成色を組み合わせて構成されるものであり、各画像構成色は複数のドット画像が集まって表現される。そして、本参考例2では、その各画像構成色を表現する複数のドットにそれぞれ付着するトナーが、黒色トナーと他色トナーとの間で重なることがないように構成している。
【0043】
図5(a)は、9ドットで表現される1つの画像構成色の例を示す説明図である。また、図5(b)は、図5(a)中最下列部分の第1転写ベルト10上における各色トナーの重なりの様子を示す説明図である。
本参考例2において、第1転写ベルト10上に転写された各色トナー像は、図示のように、黒色トナーKと他色トナーY,C,Mが互いに重なり合うことがない。なお、他色トナーY,C,Mは互いに重なり合っても、重なり合わなくてもよい。このような合成トナー像を得るためには、例えば、露光装置4によって形成される各色の静電潜像を、多数のドットの集まりとして形成する。すなわち、露光装置4は、各感光体ドラム1Y,1C,1K,1Mの表面に、各ドットに対してスポット状の露光を行い、ドット静電潜像を形成する。これにより、そのドット静電潜像を現像することで、各感光体ドラム1Y,1C,1K,1M上に各色ドット画像を形成することができる。
【0044】
本参考例2のようなドット静電潜像を形成する場合、例えば、形成すべき画像の画像情報から各ドットについて色配置を決定し、色ごとに各感光体ドラム1Y,1C,1K,1Mの表面における露光位置を制御する。このような処理を行うことで、各感光体ドラム1Y,1C,1K,1Mに、それぞれ各色のドット静電潜像を形成することができる。
【0045】
以上、本参考例2によれば、第1転写ベルト10上の合成トナー像は、黒色トナーと他色トナーが互いに重ならないように構成される。これにより、転写紙P上の黒色トナーは、両面とも他色のトナーと重なることがない。したがって、転写紙Pにおいては、両面とも黒色トナーが常に最も上に位置することになる。その結果、転写紙Pの各面に転写された合成トナー像間において、黒色トナーの融解度合いに差が生じることはなく、転写紙Pの各面に形成されるカラー画像の画像濃度差や黒色の光沢差を小さくし又はなくすことができる。しかも、本参考例2では、転写紙P上において黒色トナーは最も上となるので、転写紙Pの両面で黒色トナーの光沢を最大限に引き出すことができる。よって、高い画像濃度と黒色の光沢を実現することができる。
なお、本参考例2のプリンタであれば、感光体ドラムから第1転写ベルト10への転写順序に関係なく、転写紙Pの各面に形成されるカラー画像の画像濃度差や黒色の光沢差を小さくし又はなくすなどの効果を得ることができる。したがって、上記実施形態2のように黒色用の感光体ドラム1K1,1K2を2つ設けたりする必要がないため、装置構成を小型化することができる。また、上記参考例のように第1の合成トナー像と第2の合成トナー像との間で感光体ドラム301から第1転写ベルト10への転写順序を切り換える必要もない。
【0046】
以上、上述した実施形態1、実施形態2及び参考例1のプリンタ100,200,300においては、潜像担持体としての感光体ドラム1Y,1C,1K,1M,1K1,1K2,301上に各色の静電潜像を形成する。これにより、その各色潜像にそれぞれ対応する色のトナーを付着させて各色トナー像を得る。そして、その各色トナー像を、第1の転写手段としての第1転写ローラ20によって、第1の像担持体としての第1転写ベルト10上に順次転写する。また、各色トナー像によって得られた第1転写ベルト10上の第1の合成トナー像は、第2の転写手段としての第2加熱ローラ31によって、第2の像担持体としての第2転写ベルト30上に転写される。この第1の合成トナー像は、第3の転写手段としての第1加熱ローラ11及び第2加熱ローラ31によって、第1転写ベルト10上に新たに担持された第2の合成トナー像が記録材としての転写紙P上の第2面に転写されると同時にその転写紙Pの第1面に転写される。そして、上記実施形態1及び上記実施形態2のプリンタ100,200,300は、第1の合成トナー像が転写紙Pの第1面上に転写されたときの黒色トナーからなる黒色トナー像の重なり順の順番と、第2の合成トナー像がその転写紙Pの第2面上に転写されたときの黒色トナー像の重なり順の順番とのズレが1以内となるように、各第1転写ローラ20による第1転写ベルト10上への各色トナー像の転写順序が設定されている。これにより、上述したように、転写紙Pの各面に転写された合成トナー像間において、黒色トナーの融解度合いの差を小さくできるため、黒色トナーの光沢差を小さくできる。その結果、転写紙Pの各面に形成されるカラー画像の画像濃度差及び黒色の光沢差を小さくすることができる。
また、上記実施形態1のプリンタ100は、感光体ドラム1K上の黒色トナーからなる黒色トナー像を第1転写ベルト10上に既に転写されているイエロー色及びシアン色のトナー像に重なり合うように転写される。そして、その黒色トナー像が転写された後に更にマゼンタ色トナー像を転写して、第1の合成トナー像及び第2の合成トナー像を形成する。このように、黒色トナー像の第1転写ベルト10への転写順序が最初又は最後である場合に比べて、転写紙Pの各面間における黒色トナー像の重なり順のズレを小さくすることができ、転写紙Pの各面に形成されるカラー画像の画像濃度差及び黒色の光沢差を小さくすることができる。しかも、第1の合成トナー像と第2の合成トナー像との間で第1転写ベルト10への転写順序を変えないため、転写順序を切り換えるための機構や制御が不要となる。したがって、装置構成や制御方法を複雑化することなく、転写紙Pの各面に形成されるカラー画像の画像濃度差及び黒色の光沢差を小さくすることができる。
また、上記実施形態1のプリンタ100は、感光体ドラム1Y,1C,1K,1Mを各色ごとに複数設け、その複数の感光体ドラムを、第1転写ベルト10の表面移動方向に沿って第2転写ニップ部よりも上流側に並べて配置している。そして、黒色に対応する感光体ドラム1Kは、第1転写ベルト10の表面移動方向の最上流に配置されるイエロー色に対応する感光体ドラム1Yと、最下流に配置されるマゼンタ色に対応する感光体ドラム1Mとの間に配置されている。これにより、いわゆるタンデム型の画像形成装置であっても、転写紙Pの各面に形成されるカラー画像の画像濃度差及び黒色の光沢差を小さくすることができる。タンデム型の画像形成装置であれば、単一の潜像担持体上に順次潜像を形成するいわゆる1ドラム型の画像形成装置に比べて、画像形成スピードが速い。よって、ワンパス両面転写方式の画像形成装置の作像プロセスをより効率化することができ、画像形成スピードが高速なカラー画像形成装置を実現することができる。
また、上記実施形態1のプリンタ100は、黒色トナー、マゼンタ色トナー、シアン色トナー、イエロー色トナーを用いている。そして、各感光体ドラム1Y,1C,1K,1M上から第1転写ベルト10上に転写される各色トナー像の順序を、イエロー色トナー像、シアン色トナー像、黒色トナー像、マゼンタ色トナー像の順にしている。このような順序とすることで、上記実験で確認したように、第1の合成トナー像と第2の合成トナー像との間で第1転写ベルト10への転写順序を変えなくても、転写紙Pの各面間で最も画像濃度差を小さくすることができる。また、上記実験で確認したように、マゼンタ色トナー像、黒色トナー像、シアン色トナー像、イエロー色トナー像の順であっても、同様に、上記転写順序を変えなくても、転写紙Pの各面間で最も画像濃度差を小さくすることができる。
また、上記実施形態2及び上記参考例1のプリンタ200,300では、転写紙P各面の黒色トナー像の重なり順の順番が第1の合成トナー像と第2の合成トナー像との間で互いに同じになるように、第1転写ベルト10への転写順序が設定されている。これにより、第2転写ニップ部及び加熱定着装置50において、転写紙Pの各面上の合成トナー像の黒色トナーの融解度合いの差を更に小さくすることができる。その結果、黒色トナーの光沢差をより小さくでき、転写紙Pの各面に形成されるカラー画像の画像濃度差及び黒色の光沢差を更に小さくすることができる。
また、上記実施形態2のプリンタ200では、感光体ドラムを、黒色については2つ、他色については色ごとに設け、その複数の感光体ドラム1K1,1Y,1C,1M,1K2を、第1転写ベルト10の表面移動方向に沿って第2転写ニップ部よりも上流側に配置している。そして、第1の合成トナー像を黒色に対応する一方の感光体ドラム1K2を用いて形成し、第2の合成トナー像を黒色に対応する他方の感光体ドラム1K1を用いて形成する。これにより、画像形成スピードの高速化が可能なタンデム型の画像形成装置において、転写紙P各面の黒色トナー像の重なり順の順番を、第1の合成トナー像と第2の合成トナー像との間で互いに同じにすることができる。したがって、画像形成スピードの高速化とともに、転写紙Pの各面に形成されるカラー画像の画像濃度差及び黒色の光沢差を小さくすることができる。
また、上記実施形態2のプリンタ200では、第1転写ベルト10への転写順序が、第1の合成トナー像については黒色トナー像が最後となり、第2の合成トナー像については黒色トナー像を最初となる。これにより、転写紙P上における黒色トナー像は、両面とも最も上に位置することになる。よって、転写紙Pの両面で黒色トナーの光沢を最大限に引き出すことができ、高い画像濃度と黒色の光沢を実現することができる。
また、上記参考例2のプリンタにおいては、転写紙P上に形成される画像中の個々の画像構成色を表現するための黒色トナーと他色のトナーとが第1転写ベルト10上で互いに重ならないように、潜像形成手段としての露光装置4によって感光体ドラム1Y,1C,1K,1M上に各色に対応する静電潜像が形成される。これにより、転写紙P上の黒色トナーは、両面とも他色のトナーと重なることがなく、転写紙Pの両面とも黒色トナーが常に最も上に位置することになる。したがって、転写紙Pの各面に形成されるカラー画像の画像濃度差や黒色の光沢差を小さくでき、しかも高い画像濃度と黒色の光沢を実現することができる。更に、本参考例2のプリンタであれば、第1転写ベルト10への転写順序に関係なくその効果が得られる。したがって、転写紙P各面の黒色トナー像の重なり順の順番のズレを第1の合成トナー像と第2の合成トナー像との間で1以内にするために必要な機構や制御が不要となる。
【0047】
なお、上述した各実施形態ではプリンタについて説明したが、本発明の適用範囲はこれらのプリンタに限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、第1の像担持体及び第2の像担持体の少なくとも一方をドラム状やローラ状にしたものであっても同様に適用することができる。もちろん、画像形成装置としてはプリンタに限らず、複写機やファクシミリでもよいことは言うまでもない。
また、上述した各実施形態では、第1の合成トナー像と第2の合成トナー像の転写紙P上への転写タイミングが同時である場合について説明したが、その転写タイミングがズレていてもよい。この場合、例えば、上記第2転写ニップ部よりも転写紙搬送方向下流側の領域に、第2転写ベルト30に対向するように新たな転写手段を設ける構成を採用することができる。この構成によれば、第2の合成トナー像の転写紙P上への転写については上記第2転写ニップ部で行われ、第1の合成トナー像の転写紙P上への転写については上記新たな転写手段により行われる。
【0048】
【発明の効果】
本発明によれば、記録材の各面間における黒色トナーの融解度合いの差を少なくすることができるので、記録材の各面に形成される画像間において生じる画像濃度や黒色の光沢の違いを少なくすることができるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施形態1に係るプリンタの概略構成図。
【図2】 同プリンタのプロセスカートリッジの概略構成を示す説明図。
【図3】 実施形態2に係るプリンタの概略構成図。
【図4】 参考例1に係るプリンタの概略構成図。
【図5】 (a)は、参考例2において、9ドットで表現される1つの画像構成色の例を示す説明図。
(b)は、同図(a)中最下列部分の第1転写ベルト上における各色トナーの重なりの様子を示す説明図。
【図6】 (a)は、記録材上に転写された合成トナー像の断面を示す説明図。
(b)は、同合成トナー像を定着工程を経て記録材上に熱定着した後の断面を示す説明図。
【符号の説明】
1Y,1C,1K,1M,1K1,1K2,301 感光体ドラム
3,302 帯電装置
4,304 露光装置
5,305Y,305C,305K,305M 現像装置
10 第1転写ベルト
11 第1加熱ローラ
30 第2転写ベルト
31 第2加熱ローラ
100,200,300 プリンタ
P 転写紙
Claims (4)
- 潜像担持体と、
該潜像担持体上に形成された複数の潜像にそれぞれ異なる色のトナーを付着させて得られる各色トナー像を、第1の像担持体上に順次重ね合わせて転写する第1の転写手段と、
各色トナー像が重なり合うことで得られた該第1の像担持体上の第1の合成トナー像を第2の像担持体上に転写する第2の転写手段と、
上記第1の像担持体上の第1の合成トナー像を上記第2の像担持体上に転写させた後、該第1の像担持体上に新たに担持された第2の合成トナー像と、該第2の像担持体上の第1の合成トナー像とを、単一の記録材の各面にそれぞれ転写する第3の転写手段とを備えたカラー画像形成装置において、
上記複数の潜像にそれぞれ付着するトナーの色数は、黒色を含む3色以上であり、
上記第1の転写手段による上記第1の像担持体上への各色トナー像の転写順序は、上記第1の合成トナー像が上記記録材の第1面上に転写されたときの黒色トナーからなる黒色トナー像の重なり順の順番と、上記第2の合成トナー像が該記録材の第2面上に転写されたときの黒色トナー像の重なり順の順番とのズレが1以内であり、
上記潜像担持体上の黒色トナーからなる黒色トナー像を上記第1の像担持体上に既に転写されている他色のトナー像に重なり合うように転写し、かつ、該黒色トナー像が転写された後に更に別の他色のトナー像を転写して、上記第1の合成トナー像及び上記第2の合成トナー像を形成するものであり、
上記潜像担持体を各色ごとに複数設け、その複数の潜像担持体を、上記第1の像担持体の表面移動方向に沿って上記第2の転写手段による転写位置よりも該表面移動方向上流側に並べて配置した上で、黒色に対応する潜像担持体を、該第1の像担持体における表面移動方向の最上流に配置される他色に対応する潜像担持体と、該表面移動方向の最下流に配置される別の他色に対応する潜像担持体との間に配置したことを特徴とするカラー画像形成装置。 - 請求項1のカラー画像形成装置において、
上記複数の潜像にそれぞれ付着するトナーは、黒色トナーと、マゼンタ色トナーと、シアン色トナーと、イエロー色トナーとからなり、
上記潜像担持体上から上記第1の像担持体上に転写される各色トナー像の順序を、イエロー色トナー像、シアン色トナー像、黒色トナー像、マゼンタ色トナー像の順か、又は、マゼンタ色トナー像、黒色トナー像、シアン色トナー像、イエロー色トナー像の順としたことを特徴とするカラー画像形成装置。 - 潜像担持体と、
該潜像担持体上に形成された複数の潜像にそれぞれ異なる色のトナーを付着させて得られる各色トナー像を、第1の像担持体上に順次重ね合わせて転写する第1の転写手段と、
各色トナー像が重なり合うことで得られた該第1の像担持体上の第1の合成トナー像を第2の像担持体上に転写する第2の転写手段と、
上記第1の像担持体上の第1の合成トナー像を上記第2の像担持体上に転写させた後、該第1の像担持体上に新たに担持された第2の合成トナー像と、該第2の像担持体上の第1の合成トナー像とを、単一の記録材の各面にそれぞれ転写する第3の転写手段とを備えたカラー画像形成装置において、
上記複数の潜像にそれぞれ付着するトナーの色数は、黒色を含む3色以上であり、
上記第1の転写手段による上記第1の像担持体上への各色トナー像の転写順序は、上記第1の合成トナー像が上記記録材の第1面上に転写されたときの黒色トナーからなる黒色トナー像の重なり順の順番と、上記第2の合成トナー像が該記録材の第2面上に転写されたときの黒色トナー像の重なり順の順番とのズレが1以内であり、
上記重なり順の順番が上記第1の合成トナー像と上記第2の合成トナー像との間で互いに同じであり、
上記潜像担持体を、黒色については2つ、他色については色ごとに設け、その複数の潜像担持体を、上記第1の像担持体の表面移動方向に沿って上記第2の転写手段による転写位置よりも該表面移動方向上流側に配置し、
上記第1の合成トナー像を上記黒色に対応する一方の潜像担持体を用いて形成し、上記第2の合成トナー像を該黒色に対応する他方の潜像担持体を用いて形成することを特徴とするカラー画像形成装置。 - 請求項3のカラー画像形成装置において、
上記転写順序は、上記第1の合成トナー像については黒色トナー像を最後に転写し、上記第2の合成トナー像については黒色トナー像を最初に転写することを特徴とするカラー画像形成装置。
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