JP2004086091A - 転写定着方法、画像形成方法、画像形成装置及び画像形成システム - Google Patents

転写定着方法、画像形成方法、画像形成装置及び画像形成システム Download PDF

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Kunihiko Tomita
富田 邦彦
Hiroharu Suzuki
鈴木 弘治
Tokumasa Somiya
宗宮 徳昌
Naotaka Iwata
岩田 尚貴
Shigeru Watanabe
渡邊 滋
Chiemi Kaneko
兼子 千恵美
Hideaki Mochimaru
持丸 英明
Hiroshi Yokoyama
横山 博司
Yasukuni Komata
小俣 安国
Hisao Murayama
村山 久夫
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Abstract

【課題】ワンパス方式の両面転写と加熱転写定着方式との両方を実現しながら、可視像を構成する画像形成剤の融点又は軟化温度よりも5〜50[℃]高い値に加熱温度を留めた転写及び定着を実現する。
【解決手段】第1転写ユニット内で無端移動せしめられる第1中間転写ベルト8と、第2転写ユニット内で無端移動せしめられる第2中間転写ベルト16とを当接させてニップを形成した。そして、このニップを加熱しながらそこに転写紙Pを通して、転写紙Pの第1面、第2面にそれぞれ第2中間転写ベルト16上のトナー像、第1中間転写ベルト8上のトナー像を転写及び定着せしめるようにした。また、ニップの大きさを、トナーの融点又は軟化点よりも5〜50[℃]高い加熱温度での転写及び定着が可能になる程度の大きさにした。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、互いの対向部で同じ向きに表面移動するように無端移動しながら当接する第1ベルト及び第2ベルトと、その当接部を加熱する加熱手段とを用いて記録体の両面に画像を転写及び定着せしめる転写定着方法に関するものである。また、この転写定着方法を用いる画像形成方法、画像形成装置及び画像形成システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、記録体の両面に画像を形成する方式として、いわゆるスイッチバック方式と、ワンパス方式とが知られている。スイッチバック方式は、転写手段と定着手段とを通過して一方の面に画像が形成された記録体を反転させた後、転写手段と定着手段とにスイッチバックさせて、そのもう一方の面にも画像を形成する方式である。これに対し、ワンパス方式は、記録体を定着手段にスイッチバックさせることなくその両面に画像を形成する。ワンパス方式は、次の点でスイッチバック方式よりも優れている。即ち、スイッチバック用の複雑な機構を設けることによるコストアップ、スイッチバックによる画像形成時間の長期化、定着手段による加熱でカールさせた記録体をスイッチバックさせることによるジャムを、何れも回避し得る点である。
【0003】
一方、従来、感光体等の像担持体や中間転写体上の可視像を記録体に転写せしめる方式として、静電転写方式や加熱転写定着方式が知られている。静電転写方式は、転写元(像担持体や中間転写体)と記録体とが密着する転写ニップに転写電界を作用させて、転写元の可視像を記録体に静電的に移動させる方式である。これに対し、加熱転写方式は、転写ニップにて転写元と記録体とを密着させながら転写元の可視像を加熱して軟化せしめた後、両者を引き離すことで、転写元の可視像を記録体に移動させるとともに定着せしめる方式である。加熱転写定着方式は、転写チリによる画像劣化を解消し得るという点で、静電転写方式よりも優れている。具体的には、静電転写方式では、上記転写ニップだけに転写電界を作用させることが極めて困難で、転写元と記録体とが離間しているニップ前後にまでどうしても転写電界が及んでしまう。そして、このニップ前後で転写電界の影響を受けた画像形成剤(例えばトナー)が転写元から飛翔し、記録体の本来転写されるべき箇所とは異なる箇所に付着して転写チリとなってしまう。かかる転写チリが起こると、転写後のトナー像の周囲に黒点状の汚れが生じたり、トナー像のエッジを滲ませたりといった画像劣化を生ずることになる。これに対し、加熱転写定着方式では、転写電界によらずに可視像を転写することが可能なので、転写チリを解消することができるのである。
【0004】
上述のワンパス方式と加熱転写定着方式との両方を実現する画像形成装置として、特開2000−250272号公報に記載のものがある。この画像形成装置は、互いの対向部で同じ向き(以下、順方向という)に表面移動するように無端移動しながら当接する第1ベルト及び第2ベルトと、これらを加熱する加熱手段とを用いてワンパス方式及び加熱転写定着方式を実現する。具体的には、まず、像担持体たる感光体上に形成した可視像たる第1トナー像を、第1ベルトたる第1中間転写ベルト上に静電転写する。この第1中間転写ベルトには、第2ベルトたる第2中間転写ベルトが当接しており、当接部で互いに順方向に表面移動するように両ベルトが無端移動せしめられる。この当接部には、第1中間転写ベルトを張架しながら加熱する加熱転写ローラと、第2中間転写ベルトを張架しながら加熱するプレッシャーローラとが配設されている。第1中間転写ベルト上に静電転写された第1トナー像は、この当接部で加熱されて第2中間転写ベルト上に転写される。この転写に前後して、感光体上には第2トナー像が形成される。そして、第1中間転写ベルト上に静電転写されて上記当接部に送られ、タイミングを合わせて搬送されてきた記録体の一方の面に密着せしめられる。このとき、先に第2中間転写ベルト上に転写された第1トナー像が、第2中間転写ベルトの無端移動に伴って再び当接部に戻ってきて、記録体のもう一方の面に密着せしめられる。そして、第1トナー像及び第2トナー像は、上記当接部で加熱されて記録体のそれぞれの面に転写せしめられるとともに定着せしめられる。このような構成を備える同公報に記載の画像形成装置では、ワンパス方式による利点と、加熱転写定着方式による利点との両方を得ることができる。更に、感光体上のトナー像を第1中間転写ベルト上に静電転写しておき、記録体に対する加熱転写定着については第1中間転写ベルトと第2中間転写ベルトとの当接部で行うことで、感光体を直接加熱するようなことがない。このため、感光体の温度上昇による損傷や画質劣化を抑えることもできる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この種の画像形成装置では、第1ベルトと第2ベルトとの間に挟み込んだ記録体をベルトの裏面側から加熱する必要があることから、熱損による無駄なエネルギー消費が非常に大きくなってしまう。具体的には、加熱転写定着を行わず、記録体に対する可視像の定着を転写とは別に行う場合、加熱定着ローラを記録体に直接接触させるなど、加熱手段によって記録体を直接加熱するのが一般的である。このような直接加熱を行えば、加熱手段からの熱を記録体に効率良く伝えることができる。ところが、第1ベルトと第2ベルトとの間に記録体を挟み込んだ状態で加熱転写定着を行う場合、記録体を直接加熱することができない。同公報に記載の上記加熱転写ローラやプレッシャーローラのように、第1ベルトや第2ベルトの裏面側に配設した加熱手段からの熱を、これらベルトを介して記録体に間接的に伝える必要がある。このため、両ベルトに蓄熱させることになる。蓄熱分を転写及び定着に無駄なく利用できればよいのだが、第1ベルトや第2ベルトに対しては、そのおもてと裏の両面を空間に露出させながら無端移動させることから、蓄熱分を放熱させてしまう。しかも、第1ベルトについては、せっかく蓄熱させても、像担持体の昇温による画質劣化を抑えるべく、必要に応じてベルト冷却手段によって意図的に冷却しなければならない。これらの結果、熱損による無駄なエネルギー消費が非常に大きくなってしまうのである。
【0006】
このような熱損による無駄なエネルギー消費は、上記当接部における記録体とベルトとの接触時間が短くなるほど大きくなる。具体的には、ベルトを介して記録体を間接的に加熱すると、ベルトを加熱手段によってその裏面側から加熱する一方で、記録体への熱伝搬によってそのおもて面側から冷却してしまう。このため、ベルトの裏面とおもて面とに温度勾配が生ずる。かかる温度勾配があるにもかかわらず、可視像をその融点や軟化温度まで昇温させるためには、加熱手段による加熱温度をそれよりも高く設定する必要がある。例えば、ベルトと記録体とを密着させる上記当接部において、可視像をその軟化温度である120[℃]まで昇温させるために、これよりも20[℃]高い140[℃]でベルトを裏面側から加熱する必要があるといった具合である。このとき、上記当接部の入口において、記録体との接触を開始する直前のベルト部分におけるおもて面(記録体との接触開始面)の温度が125[℃]であったとする。また、上記当接部において、ベルトのおもて面と記録体との接触時間が0.5[秒]であったとする。このような条件から、接触時間を半分の0.25[秒]に変更して、可視像を120[℃]まで昇温させようとしたとする。このような昇温を可能にするためには、半分の接触時間で変更前と変わらない熱量をベルトから記録体(ひいては可視像)に付与する必要があるため、ベルトの上記接触開始面の温度をより高くする必要がある。例えば、加熱手段による加熱温度を30[℃]高めて170[℃]とし、ベルトの上記接触開始面の温度を125[℃]よりも高い135[℃]にするといった具合である。こうすることで、ベルトから記録体に伝える単位時間あたりの熱量をほぼ倍に増やして、半分の接触時間に変更する前と同じ熱量を記録体に付与することが可能になるのである。接触時間が半分になっても、上記当接部でベルトから記録体に伝搬される熱量が同じであるので、その伝搬に伴うベルトの温度低下量も変更前とほぼ同じになる。このため、当接部通過後のベルト部分の温度が変更前より高くなる。例えば、上記接触時間を0.5、0.25[秒]にした場合で、当接部通過後のベルト部分の温度がそれぞれ120、130[℃]になるといった具合である。何れの場合でも、そのベルト部分を像担持体との対向位置まで移動させる前に所望のレベルまで冷却する必要があるので、上記接触時間を短くするほど余計な冷却が必要になって熱損が大きくなるのである。
【0007】
一般に、記録体に可視像を加熱定着させる画像形成装置においては、加熱定着用の加熱手段が最も多くのエネルギーを消費することになる。よって、上述のような熱損による無駄なエネルギー消費は、ランニングコストに与える影響が極めて大きく、場合によっては、実情にそぐわない程のコストアップを引き起こすおそれがある。実情に見合ったランニングコストという観点からすれば、加熱手段による加熱温度については、可視像中の画像形成剤の融点又は軟化温度よりも5〜50[°]高い範囲に留めることが望ましい。
【0008】
本発明は、以上の背景に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、次のような転写定着方法、画像形成方法、画像形成装置及び画像形成システムを提供することである。即ち、ワンパス方式の両面転写と加熱転写定着方式との両方を実現しながら、加熱手段による加熱温度を上述の範囲に留めることができる転写定着方法等である。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、少なくとも、互いの対向部で同じ向きに表面移動するように無端移動しながら当接する第1ベルトと第2ベルトとの当接部を加熱手段によって加熱する工程と、該像担持体上の第1可視像を該第1ベルト上に転写せしめた後、該当接部にて加熱して該第2ベルト上に転写せしめる工程と、該像担持体上の第2可視像を該第1ベルト上に転写せしめる工程と、該当接部にて、該第2ベルト上の第1可視像を加熱して記録体の第1面に転写及び定着せしめるとともに、該第1ベルト上の第2可視像を加熱して該記録体の第2面に転写及び定着せしめる工程とからなる両面転写定着工程を実施して、該記録体の両面に可視像を転写及び定着せしめる転写定着方法であって、上記加熱手段による加熱温度が、上記第1可視像や第2可視像を構成する画像形成剤の融点又は軟化温度よりも5〜50[℃]高い値に設定され、且つ上記加熱手段による当接部加熱領域のベルト長さ方向における大きさが、該値の条件下で上記第1可視像及び第2可視像の記録体への転写及び定着を実現し得る程度の大きさに設定されていることを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、像担持体上に第1可視像を形成する工程と、該像担持体上に第2可視像を形成する工程と、該第1可視像を記録体の第1面に転写及び定着せしめるとともに該第2可視像を該記録体の第2面に転写及び定着せしめる両面転写定着工程とを実施して、該記録体の両面に画像を形成する画像形成方法において、上記両面転写定着工程として、請求項1の両面転写定着工程を用いることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、画像形成剤を収容している剤収容部と、該画像形成剤を用いて像担持体上に可視像を形成する可視像形成手段と、互いの対向部で同じ向きに表面移動するように無端移動しながら当接する第1ベルト及び第2ベルトと、両ベルトの当接部を加熱する加熱手段とを有し、像担持体上に形成した第1可視像を該第1ベルト上に転写せしめてから、該当接部にて加熱して該第2ベルト上に転写せしめる一方で、該像担持体上に形成した第2可視像を該第1ベルト上に転写せしめた後、該当接部にて、該第2ベルト上の第1可視像を加熱して該記録体の第1面に転写及び定着せしめるとともに、該第1ベルト上の第2可視像を加熱して該記録体の第2面に転写及び定着せしめて、該記録体の両面に画像を形成する画像形成装置であって、上記加熱手段による加熱温度が、上記第1可視像や第2可視像を構成する画像形成剤の融点又は軟化温度よりも5〜50[℃]高い値に設定され、且つ上記加熱手段による当接部加熱領域のベルト長さ方向における大きさが、該値の条件下で上記第1可視像及び第2可視像の記録体への転写及び定着を実現し得る程度の大きさに設定されていることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、画像形成剤を用いて像担持体上に可視像を形成する可視像形成手段と、互いの対向部で同じ向きに表面移動するように無端移動しながら当接する第1ベルト及び第2ベルトと、両ベルトの当接部を加熱する加熱手段とを有し、像担持体上に形成した第1可視像を該第1ベルト上に転写せしめてから、該当接部にて加熱して該第2ベルト上に転写せしめる一方で、該像担持体上に形成した第2可視像を該第1ベルト上に転写せしめた後、該当接部にて、該第2ベルト上の第1可視像を加熱して該記録体の第1面に転写及び定着せしめるとともに、該第1ベルト上の第2可視像を加熱して該記録体の第2面に転写及び定着せしめて、該記録体の両面に画像を形成する画像形成装置であって、上記可視像の形成に用いる上記画像形成剤が指定され、上記加熱手段による加熱温度が該画像形成剤の融点又は軟化温度よりも5〜50[℃]高く設定され、且つ、上記加熱手段による当接部加熱領域のベルト長さ方向における大きさが、該値の条件下で上記第1可視像及び第2可視像の記録体への転写及び定着を実現し得る程度の大きさに設定されていることを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項3又は4の画像形成装置であって、上記加熱手段が、上記当接部を第1ベルトの裏面側から加熱する第1加熱部材と、該当接部を上記第2ベルトの裏面側から加熱する第2加熱部材とを有することを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項5の画像形成装置であって、上記当接部加熱領域における上記記録体の通過時間が0.05秒以上であることを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項6の画像形成装置であって、上記当接部加熱領域における上記記録体の通過時間が1.00秒以下であることを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項5、6又は7の画像形成装置であって、上記当接部にて融点又は軟化温度以上に加熱した上記画像形成剤を、該当接部にて融点又は軟化点温度未満に冷却することを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項8の画像形成装置であって、上記当接部を、上記当接部加熱領域よりもベルト移動方向下流側の当接部冷却領域で冷却することを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、請求項9の画像形成装置において、上記第1加熱部材、第2加熱部材として、第1ベルトを張架するもの、第2ベルトを張架するものをそれぞれ用い、該第1ベルトにおける該第1加熱部材からこれよりもベルト移動方向下流側にある第1ベルト張架部材に至るまでの展張部分と、該第2ベルトにおける該第2加熱部材からこれよりもベルト移動方向下流側にある第2ベルト張架部材に至るまでの展張部分とを当接させたことを特徴とするものである。
また、請求項11の発明は、請求項8、9又は10の画像形成装置であって、上記当接部加熱領域で加熱された上記画像形成剤が、粘度10[Pa]以下まで軟化することを特徴とするものである。
また、請求項12の発明は、請求項11の画像形成装置であって、上記当接部冷却領域で冷却された上記画像形成剤が粘度10[Pa]以上まで硬化することを特徴とするものである。
また、請求項13の発明は、請求項3乃至12の何れかの画像形成装置であって、上記第1ベルト、第2ベルトの厚みが、それぞれ1〜400[μm]であることを特徴とするものである。
また、請求項14の発明は、請求項3乃至13の何れかの画像形成装置であって、上記当接部を通過した後、上記像担持体上との対向位置まで移動する前の第1ベルト部分を冷却する第1ベルト冷却手段を備えることを特徴とするものである。
また、請求項15の発明は、請求項14の画像形成装置であって、上記第1ベルト冷却手段がヒートパイプであることを特徴とするものである。
また、請求項16の発明は、請求項14又は15の画像形成装置において、上記当接部で転写されずに上記第1ベルトの表面に残留した画像形成剤をクリーニングする第1クリーニング手段を設け、且つ、上記当接部を通過した後、上記第1ベルト冷却手段に冷却される前の第1ベルト部分をクリーニングさせるように、該第1クリーニング手段を配設したことを特徴とするものである。
また、請求項17の発明は、請求項3乃至16の何れかの画像形成装置であって、上記当接部よりもベルト移動方向下流側で上記記録体を上記第1ベルト又は第2ベルトから分離する分離部材を備えることを特徴とするものである。
また、請求項18の発明は、請求項17の画像形成装置であって、上記第1ベルト又は第2ベルトとの間に0.01〜5[mm]の空隙を保持させるように、上記分離部材を配設したことを特徴とするものである。
また、請求項19の発明は、請求項3乃至18の何れかの画像形成装置であって、上記像担持体を複数備え、各像担持体上に形成した可視像を上記第1ベルトに重ね合わせて転写することを特徴とするものである。
また、請求項20の発明は、記録体に画像を形成する画像形成装置と、これに制御信号を送信するコンピュータとを備える画像形成システムであって、上記画像形成装置として、請求項3乃至19の画像形成装置の何れかを備えることを特徴とするものである。
【0010】
これらの発明においては、第1ベルトと第2ベルトとの当接部で、第1ベルト上の第2可視像、第2ベルト上の第1可視像を、それぞれ加熱によって軟化せしめる。そして、それぞれ記録体の第2面、第1面に転写して定着せしめることができる。このように第1可視像及び第2可視像の転写と定着とを行うことで、ワンパス方式の両面転写と加熱転写定着方式との両方を実現することができる。
また、加熱手段による加熱温度を画像形成剤の融点又は軟化温度よりも5〜50[℃]高くした温度条件下で、第1可視像及び第2可視像の記録体への転写及び定着を実現し得る程度に、加熱手段による当接部加熱領域をベルト長さ方向にに大きくしている。よって、加熱手段による加熱温度を画像形成剤の融点又は軟化温度よりも5〜50[℃]高い範囲に留めて、第1可視像及び第2可視像の加熱転写定着を行うことができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した画像形成装置として、電子写真方式のプリンタ(以下、単にプリンタという)の一実施形態について説明する。
まず、本プリンタの基本的な構成について説明する。図1は、本プリンタの概略構成図である。図において、このプリンタ100は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック(以下、Y、M、C、Kと記す)のトナー像を生成するための4つのプロセスカートリッジ6Y,M,C,Kを備えている。これらは、画像形成剤として、互いに異なる色のY,M,C,Kトナーを用いるが、それ以外は同様の構成になっており、寿命到達時に交換される。Yトナー像を生成するためのプロセスカートリッジ6Yを例にすると、図2に示すように、像担持体たるドラム状の感光体1Y、ドラムクリーニング装置2Y、除電装置3Y、帯電装置4Y、現像装置5Y等を備えている。感光体1Yは、直径30〜100[mm]のアルミ製円筒に、光導電性物質である有機半導体の表面層が被覆されている。アモルファスシリコン性の表面層が被覆されたものであってもよい。また、ドラム状ではなく、ベルト状のものであってもよい。帯電装置4Yは、図示しない駆動手段によって図中時計回りに回転せしめられる感光体1Yの表面を一様帯電せしめる。一様帯電せしめられた感光体1Yの表面は、レーザ光Lによって露光走査されてY用の静電潜像を担持する。このYの静電潜像は、Yトナーを用いる現像装置5YによってYトナー像に現像される。そして、後述の第1中間転写ベルト8上に1次転写される。ドラムクリーニング装置2Yは、1次転写工程を経た後の感光体1Y表面に残留したトナーを除去する。また、除電装置3Yは、クリーニング後の感光体1Yの残留電荷を除電する。この除電により、感光体1Yの表面が初期化されて次の画像形成に備えられる。他のプロセスカートリッジ6M,C,Kにおいても、同様にして感光体1M,C,K上にM,C,Kトナー像が形成され、第1中間転写ベルト8上に1次転写される。なお、本プリンタ100では、各プロセスカートリッジと露光装置7との組合せにより、トナーを用いて感光体に可視像を形成する可視像形成手段が形成されている。
【0012】
先に示した図1において、上記プロセスカートリッジ6Y,M,C,Kの図中下方には露光装置7が配設され、その近傍には図示しない画像データ処理装置が配設されている。この画像データ処理装置は、図示しないパーソナルコンピュータ等から送られてくる画像情報信号に基づいて、露光走査制御信号を生成して露光装置7に送る。潜像形成手段たる露光装置7は、この露光走査制御信号に基づいて発したレーザ光Lを、プロセスカートリッジ6Y,M,C,Kにおけるそれぞれの感光体に照射する。この照射を受けて露光された感光体1Y,M,C,K上には、Y,M,C,K用の静電潜像が形成される。なお、露光装置7は、光源から発したレーザ光(L)を、モータによって回転駆動したポリゴンミラーで走査しながら、複数の光学レンズやミラーを介して感光体に照射するものである。かかる構成の露光装置7に代えて、LEDアレイからのLED光を照射する露光手段を採用しても良い。また、露光装置7の筐体には、その上方に配設された各感光体1Y,M,C,Kから落下してくるトナーによる内部部品の汚染を防止するために、図示しないシール部材を設けている。
【0013】
上記露光装置7の図中下方には、第1紙収容カセット26a、第2紙収容カセット26b、これらカセットにそれぞれ個別に組み込まれた給紙ローラ27a,bなどが配設されている。2つの紙収容カセット(26a,b)は、それぞれ内部に転写紙Pを複数枚重ねた転写紙束の状態で収容している。これら転写紙束の一番上の転写紙Pには、それぞれ給紙ローラ27a,bが当接している。給紙ローラ27a,bが図示しない駆動手段によって図中反時計回りに回転せしめられると、一番上の転写紙Pが給紙路35に向けて送られ、路内の末端に配設されたレジストローラ対28に挟み込まれる。レジストローラ対28は、ローラ間に挟み込んだ転写紙Pを所定のタイミングで後述の2次転写ニップの入口に向けて送り込む。
【0014】
上記レジストローラ対28の一方のローラには、レジストクリーニング装置60が当接している。このレジストクリーニング装置60は、この一方のローラに付着した異物を掻き取ってクリーニングする。本プリンタ100はフルカラー画像を形成することができるが(後に詳述する)、転写紙Pの運んでくる異物によってフルカラー画像の色調を大きく乱してしまうおそれがある。具体的には、転写紙Pの表面には、紙粉や、製造時に添加されるサイジング材などが付着している。これら紙粉やサイジング材などからなる異物がトナー像と同時に定着されてしまうと、フルカラー画像の色調が大きく乱れてしまうのである。そこで、レジストローラ対28の一方のローラに異物を積極的に付着させて転写紙Pから取り除くことで、異物によるフルカラー画像の色調の乱れを抑えるようになっている。なお、一方のローラではなく、両方のローラに異物を付着させるようにするとより好適である。ローラに異物を付着させる方法としては、ローラに電荷を付与する方法、ローラを摩擦帯電させる方法、粘着性のあるゴム材などでローラを形成する方法などが挙げられる。
【0015】
上記プロセスカートリッジ6Y,M,C,Kの図中上方には、第1ベルトたる第1中間転写ベルト8を張架しながら無端移動せしめる第1転写ユニット15が配設されている。この第1転写ユニット15は、第1中間転写ベルト8の他、4つの1次転写ローラ9Y,M,C,K、第1クリーニング装置10、冷却部材14などを備えている。また、第1加熱ローラ11、第1クリーニングバックアップローラ12、テンションローラ13なども備えている。第1中間転写ベルト8は、これら3つのローラに張架されながら、少なくとも何れか1つのローラの回転駆動によって図中反時計回りに無端移動せしめられる。4つの1次転写ローラ9Y,M,C,Kは、このように無端移動せしめられる第1中間転写ベルト8を感光体1Y,M,C,Kとの間に挟み込んでそれぞれ1次転写ニップを形成している。これらの1次転写ローラは、第1中間転写ベルト8の裏面(ループ内周面)にトナーとは逆極性(例えばプラス)の1次転写バイアスを印加する方式のものであるが、電極から放電させるチャージャ方式のものであってもよい。第1中間転写ベルト8は、1次転写バイアスによる静電転写を実現するのに適した電気抵抗条件になっている。具体的には、樹脂フィルムやゴムなどからなる20〜400[μm]の厚みのベルト基体に、低表面エネルギーの材料からなる表面層がコートされ、全体の体積抵抗値が10〜1014[Ωcm]になっている。また、表面抵抗率は、10〜1015[Ω/□]の範囲に調整されている。1次転写ローラ9Y,M,C,Kを除くローラは、全て電気的に接地されている。
【0016】
上記第1中間転写ベルト8は、その無端移動に伴ってY,M,C,K用の1次転写ニップを順次通過していく。第1転写部たる各1次転写ニップでは、4つの感光体1Y,M,C,K上でそれぞれ個別に形成される4つのY,M,C,Kトナー像がニップ圧や1次転写バイアスの作用によって重ね合わせて1次転写される。これにより、第1中間転写ベルト8上に4色重ね合わせトナー像(以下、4色トナー像という)が形成される。第1中間転写ベルト8と、後述の第2中間転写ベルト16とは、互いに当接しながら順方向に無端移動して2次転写ニップを形成している。第1中間転写ベルト8上に形成された可視像たる4色トナー像は、この2次転写ニップで第2中間転写ベルト16あるいは転写紙Pに2次転写される。2次転写ニップを通過した後の第1中間転写ベルト8には、第2中間転写ベルト16あるいは転写紙Pに2次転写されなかった転写残トナーが付着している。これは、第1クリーニング装置10によってクリーニングされる。具体的には、2次転写ニップを通過した第1中間転写ベルト8は、そのおもて面(ループ外面)に当接するように配設された第1クリーニング装置10と、その裏面側に配設された第1クリーニングバックアップローラ12との間に挟まれる。そして、おもて面上の転写残トナーが第1クリーニング装置10に機械的あるいは静電的に回収されてクリーニングされる。このような第1クリーニング装置10としては、発熱体を内包するクリーニングローラを第1中間転写ベルト8のおもて面に当接させながら回転させる方式ものが挙げられる。この方式では、第1中間転写ベルト8よりも表面の粗いクリーニングローラで転写残トナートナーを溶かしながらその表面に転移させる。クリーニングローラの材質としては、熱伝導の良い銅やアルミがよい。
【0017】
かかる構成の第1転写ユニット15の図中上方には、ボトル収容器54が配設されている。このボトル収容器54内には、各プロセスカートリッジ(6Y,M,C,K)内の現像器(5Y,M,C,K)に補給するためのトナーを内包するトナーボトルBY,BM,BC,BKが収められている。ボトル収容器54の図中右側方には、プリンタ本体内の空気を外部に排出する冷却ファンF1が配設され、本体内の温度の過昇を防いでいる。
【0018】
また、第1転写ユニット15の図中右側方には、第2ベルトたる第2中間転写ベルト16を張架しながら無端移動せしめる第2転写ユニット25が配設されている。この第2転写ユニット25は、第2中間転写ベルト16の他、第2クリーニング装置22を備えている。また、テンションローラ17、第2クリーニングバックアップローラ18、分離ローラ19、第2副加熱ローラ20、第2主加熱ローラ21なども備えている。第2中間転写ベルト16は、これら5つのローラに張架されながら、少なくとも何れか1つのローラの回転駆動によって図中時計回りに無端移動せしめられる。
【0019】
上述したレジストローラ対28は、ローラ間に挟み込んだ転写紙Pを第1中間転写ベルト8上に1次転写された上記4色トナー像に密着させ得るタイミングで上記2次転写ニップに向けて送り出す。但し、この4色トナー像が、転写紙Pの第1面(後述のスタック部40上で上を向く面)に転写されるべき第1可視像たる第1トナー像である場合には、転写紙Pを送り出さない。この場合、第1中間転写ベルト8上の第1トナー像は、2次転写ニップで第2中間転写ベルト16上に2次転写される。これに対し、第1中間転写ベルト8上の4色トナー像が転写紙Pの第2面(スタック部40上で下を向く面)に転写されるべき第2可視像たる第2トナー像であったとする。すると、レジストローラ対28は、この第2トナー像に同期させて転写紙Pを送り出す。この場合、第1中間転写ベルト8上の第2トナー像は、2次転写ニップで転写紙Pの第2面に2次転写され、転写紙Pの白色と相まってフルカラー画像となる。このとき、同時に、第2中間転写ベルト16上の第1トナー像が転写紙Pの第1面に3次転写されてフルカラー画像となる。なお、上記第2中間転写ベルト16は、ポリイミドやポリアミドイミドなどからなる厚み20〜400[μm]のベルト基体に、フッ素などの低表面エネルギーの材料からなる表面層がコートされている。
【0020】
図3は、上記2次転写ニップとその周囲構成を示す拡大構成図である。図において、第1加熱ローラ11、第2副加熱ローラ20、第2主加熱ローラ21は、それぞれ図示しないハロゲンランプ等の発熱手段を内部に有している。第1中間転写ベルト8を張架している第1加熱ローラ11の周面には、部分的に第1中間転写ベルト8が巻き掛けられている。互いに隣設された第2副加熱ローラ20、第2主加熱ローラ21は、第2中間転写ベルト16を張架している。第1加熱ローラ11は、第1中間転写ベルト巻き掛け部分を、第2中間転写ベルト8における第2副加熱ローラ20から第2主加熱ローラ21に至るまでの展張部分に食い込ませるように配設されている。このような食い込み配設により、第2中間転写ベルト8は第1中間転写ベルト8を介して、その一部を第1加熱ローラに巻き掛ける形状になっており、その長さ方向において第1中間転写ベルト8に広く接触している。
【0021】
2次転写ニップにおいては、転写紙Pが互いに順方向に表面移動する第1中間転写ベルト8と第2中間転写ベルト16との間に挟まれる。そして、第1中間転写ベルト8を介して第1加熱ローラ11に加熱されるとともに、第2中間転写ベルト16を介して第2加熱ローラ21と第2副加熱ローラ20とに加熱される。両面から加熱されるのである。このような両面加熱により、第1中間転写ベルト8上の上記第2トナー像、第2中間転写ベルト16上の第1トナー像を構成しているトナーが、それぞれ、融点又は軟化温度以上まで昇温せしめられて、転写紙Pの第2面、第1面に転写される。そして、その後の冷却によって硬化して転写紙Pに定着する。このようにしてトナー像を転写紙Pに転写及び定着せしめる本プリンタ100では、第1加熱ローラ11、第2副加熱ローラ20、第2主加熱ローラ21などによって当接部たる2次転写ニップを加熱する加熱手段が構成されている。
【0022】
加熱によるトナー像の転写方向は、そのトナー像を挟み込んでいる2部材の表面性の差に依存する。例えば、2つの部材A,Bが互いに接触しながら順方向に表面移動し、且つトナー像を挟み込みながら加熱されると仮定する。この加熱に伴って軟化したトナー像は、部材A,Bが離間する際に、表面粗さの大きい方の部材に転移する。表面粗さの大きい方の部材がその表面の凹凸によってトナー像との接触面積をより広くして、トナー離型性を発揮し難くなるからである。よって、表面粗さが「部材A>部材B」という関係であれば、トナー像は部材Aの方に加熱転写される。なお、転写紙Pの表面粗さ(Rz)は30〜50[μm]程度である。
【0023】
2次転写ニップにおける加熱転写において、転写紙Pや第2中間転写ベルト16への4色トナー像(第1トナー像や第2トナー像)の転写元となる第1中間転写ベルト8に求められる条件は、次に列記する通りである。
・熱による伸縮率が極めて低い
・感光体からのトナー像の静電的な1次転写を実現するのに適した抵抗値(表面抵抗値及び体積抵抗値)である
・1次転写された4色トナー像を表面に保持することができる
・トナーとの接触角が110[度]程度である
・表面粗さが転写紙Pや第2中間転写ベルトよりも小さい
本プリンタ100では、これらの条件を具備させるべく、第1中間転写ベルト8として次に説明するものを用いた。即ち、厚み20〜50[μm]のシームレスポリイミドベルトのおもて面(ループ外側面)に、厚み20〜30[μm]のPFAチューブを張り合わせて表面層を形成したものである。なお、このPFAチューブの表面粗さ(RZ)は1〜4[μm]である。
【0024】
また、第1中間転写ベルト8上からの4色トナー像の転写先となる一方で、転写紙Pへの4色トナー像の転写元となる第2中間転写ベルト16に求められる条件は、次に列記する通りである。
・4色トナー像との接触角が90[度]程度である
・表面粗さが第1中間転写ベルト8よりも大きく、且つ転写紙Pよりも小さい
本プリンタ100では、これらの条件を具備させるべく、第2中間転写ベルト16として次に説明するものを用いた。即ち、厚み20〜50[μm]のシームレスポリイミドベルトのおもて面に、ETFE(エチレン・四フッ化エチレン共重合体)を厚み20〜100[μm]の表面層をコーティングしたものである。なお、このETFEからなる表面層の表面粗さ(RZ)は5〜10[μm]である。
【0025】
第1加熱ローラ11、第2副加熱ローラ20、第2主加熱ローラ21は、それぞれ図示しない温度検知手段によって表面温度が個別に検知される。これら検知結果は、図示しない制御部に送くられる。制御部は、送られてきた表面温度の検知結果に基づいて、第1加熱ローラ11、第2副加熱ローラ20、第2主加熱ローラ21それぞれの発熱手段に対する電源供給のON/OFF制御を個別に実施して、それぞれの表面温度を一定範囲(目標範囲)に維持する。
【0026】
2次転写ニップ出口では、第2中間転写ベルト16がそれまでとほぼ同じ方向で移動するのに対し、第1中間転写ベルト8が第1加熱ローラ11の曲率にならって、直角に近い角度で急激に移動方向を変える。すると、両面にトナー像が転写せしめられた転写紙Pから第1中間転写ベルト8が離間し、転写紙Pが第2中間転写ベルト16表面に保持されながら、図中上方に搬送されるようになる。
【0027】
先に図1に示したように、2次転写ニップよりもベルト移動方向下流側においては、第2中間転写ベルト16における第2副加熱ローラ20から分離ローラ19に至るまでの展張部分が、分離ローラ19に向けて直線的に移動する。そして、分離ローラ19による張架部分にさしかかると、その曲率にならって移動方向をほぼ反転させるように変化させる。このように第2中間転写ベルト16の移動方向が変化すると、それまで第2中間転写ベルト16表面に保持されていた転写紙Pは、その先端側をベルトから離間させて排紙路31内に進入させる。そして、排紙ローラ対32によって機外に排出され、プリンタ本体の上面に設けられたスタック部40にスタックされる。
【0028】
排紙路31に転写紙Pを受け渡した後の第2中間転写ベルト16は、第2クリーニングバックアップローラ18と第2クリーニング装置22との間に挟み込まれて、おもて面の転写残トナーが機械的又は静電的にクリーニングされる。クリーニングによって第2クリーニング装置22に回収された転写残トナーは、スクリュウ部材等によって図示しない廃トナー収容器に落とし込まれる。
【0029】
上記第2クリーニング装置22が第2中間転写ベルト16のおもて面に常に当接していると、第2中間転写ベルト16上に2次転写された第1トナー像もクリーニングしてしまうことになる。そこで、第2クリーニング装置22は、図示しない揺動機構によって揺動軸22aを中心に図中矢印方向に揺動せしめられることで、第2中間転写ベルト16に対して接離するようになっている。そして、少なくともそのクリーニング位置を第1トナー像が通過する間は、第2中間転写ベルト16から離間して、第1トナー像のクリーニングを回避する。
【0030】
本プリンタ100のように、感光体等の像担持体を複数並べて配設し、それぞれで形成した可視像を連続的に重ね合わせ転写して多色画像等の重ね合わせ画像を形成する方式をタンデム方式という。これに対し、1つの像担持体に可視像を形成して中間転写体に転写した後、再び像担持体に可視像を形成して中間転写体上の可視像に重ね合わせ転写する工程を繰り返して重ね合わせ画像を形成する方式もある。この方式では、可視像の形成、転写という工程を繰り返し行わなくてはならない。一方、タンデム方式では、重ね合わせ転写すべき複数の可視像をそれぞれに対応する像担持体上でほぼ同時に形成することができるので、画像形成速度を大幅に速めることができる。
【0031】
上述したように、上記第1トナー像は上記第2トナー像に先行して形成される。そして、2次転写ニップで第1中間転写ベルト8から第2中間転写ベルト16に2次転写される。そして、2次転写ニップを通過するが、第2中間転写ベルト16の無端移動に伴って再び2次転写ニップ内に進入して、転写紙Pの第1面に3次転写される。この第1面は、上述の如く、上記スタック部40で上方を向く面である。よって、スタック部40にスタックされる転写紙Pは、先行して形成された第1トナー像を上に向け、且つその後に形成された第2トナー像を下に向けた状態で順次スタックされていく。本プリンタ100は、このようにスタックされていく転写紙Pの頁番号を小さい方から順に揃えるべく、奇数、偶数と連続する2つの頁番号の画像について、頁番号の大きい方を先に上記第1トナー像として形成する。例えば1頁目の画像に先行して2頁目の画像を第1トナー像として形成するのである。そうすると、数頁にわたる原稿を連続して出力しても、スタック部40において、頁番号を下から順に揃えることが可能になる。但し、転写紙Pの第2面だけに画像を形成する片面プリントモードを実行する際には、頁番号の小さい画像から順に形成していき、それぞれ転写紙Pの第2面に2次転写せしめる。このことにより、片面プリントモードにおいても、スタック部40で頁番号を下から順に揃えることができる。
【0032】
4つの感光体1Y,M,C,Kにおいて、上記第2トナー像は非鏡像(以下、正像という)として形成される。これは、形成された第2トナー像が、1次転写、2次転写という2回の転写工程を経て転写紙Pの第2面に担持される過程で鏡像、正像と変化するからである。各感光体ドラム上で正像として形成されることで、転写紙Pの第2面においても正像になるわけである。これに対し、第1トナー像は、3次転写まで行われるため、第2トナー像よりも転写工程が1回多くなる。よって、各感光体ドラム上で鏡像として形成される。このことにより、転写毎に正像、鏡像、正像と変化して、転写紙Pの第1面において正像となることができる。
【0033】
プリンタ100本体には、側方カバー50が配設されている。この側方カバーは、排紙ローラ対32の一方のローラ、第2転写ユニット25、及びレジストローラ対28の一方のローラを内包している。また、給紙路35の縦断片側や、排紙路31の縦断片側も内包している。更に、回動軸50aを中心に回動自在に構成されている。図4に示すように、回動軸50aを中心に図中時計回りに回転せしめられた側方カバー50は、プリンタ本体から大きく見開かれた状態になる。この状態では、側方カバー50の回転に伴って公転移動した第2転写ユニット25がプリンタ本体側に固定された第1転写ユニット15から大きく離間し、2次転写ニップを形成しなくなる。また、レジストローラ対28の一方のローラや、排紙ローラ対32の一方のローラが、それぞれもう一方のローラから大きく離間する。更に、給紙路35や排紙路31が縦断2分される。この結果、2つの紙収容カセット26a,bから排紙ローラ対32に至るまでの紙搬送路が縦方向に2分されて大きく露出する。このことにより、プリンタ本体内の紙搬送路で発生したジャム紙の処理作業や、紙搬送路回りの各装置の保守点検作業が容易になる。また、第2クリーニング装置22の交換も可能になる。更に、第2転写ユニット25については、図中矢印で示すように、見開かれた状態の側方カバー50から上方に引き出して、その保守や交換を行うことができる。
【0034】
本プリンタ100は、図5に示すように、パーソナルコンピュータ(以下、パソコンという)200などから送られてくる画像情報信号に基づいて画像を形成する。図5では、パソコン200とプリンタ100とを通信ケーブルによって接続した画像形成システムの例を示したが、無線方式による接続を採用してもよい。プリンタ本体の前面左隅には、タッチパネル等からなる操作表示器51が固定されている。ユーザーは、この操作表示器51のディスプレイに現れるガイド表示に従って、作像プロセス条件や用紙条件等の各種パラメータを入力することができる。上述の片面プリントモードと、両面プリントモードとの切替については、この操作表示器51に用意されているモード切替ボタンを操作することによって行う。また、紙種の選択(紙収容カセットの選択)も、この操作表示器51に対する操作によって行う。但し、これらモードの切替や紙種の選択については、パーソナルコンピュータ200から設定信号を送信させることによっても行うことができる。
【0035】
プリンタ本体の前面には、前扉52が開閉自在に設けられている。前扉52が開かれると、図示しない上記第1転写ユニット(15)を支持する支持体53が大きく露出する。この支持体53は、図示しないガイドレール上をプリンタ本体の前後方向にスライド移動可能に構成され、プリンタ本体内から前面側に向けて引き出されることで、上記第1転写ユニット(15)を露出させる。そして、この露出により、上記第1転写ユニットの保守点検作業を容易にしている。また、前扉52が開かれると、支持体53の上方に配設されたボトル収容器54内のトナーボトルBY、BM、BC、BKの端面が露出する。それぞれ端面を露出させたトナーボトルBY、BM、BC、BKは、ボトル収容器54に対してプリンタ前後方向に着脱可能される。前扉52を開けば、プリンタ本体に対するトナーボトルBY、BM、BC、BKの前後方向への着脱が可能になる構成である。スタック部40が形成されているプリンタ本体上面を開閉自在な上扉とし、これを開いてトナーボトルBY、BM、BC、BKを上下方向に着脱するといった構成ではない。このため、オプションの図示しないスキャナ装置をプリンタ100の上方に配設してコピー機を構成する場合でも、トナーボトルBY、BM、BC、BKを着脱することができる。2つの紙収容カセット26a,bは、前扉52の下方に配設され、前後方向のスライド移動によってプリンタ本体から着脱されるように構成されている。前扉52を開いても、紙収容カセット26a,bの着脱や、操作表示器51への入力の操作性を損ねることはない。
【0036】
上記第1転写ユニット(15)は、図6に示すように、第1加熱ローラ11を中心にして図中矢印A方向に揺動可能になっている。この揺動に伴い、第1中間転写ベルト8が4つの感光体1Y,M,C,Kに対して接離する。本プリンタ100においては、中間転写ベルト8を4つの感光体1Y,M,C,Kから離間させてから、側方カバー50を開放したり、第1転写ユニット15の上記支持体(53)をプリンタ本体から引き出したりするようになっている。よって、側方カバー50内の各機器の保守やジャム処理のために側方カバーを開放したり、第1転写ユニットの保守点検のために上記支持体(53)引き出したりする際に、第1中間転写ベルト8と各感光体とを摺擦させることがない。このことにより、摺擦による第1中間転写ベルト8や感光体の損傷などといった不具合を回避することができる。
【0037】
本プリンタ100は、図7に示すように、スキャナ300と組み合わせて複写機として用いることもできる。図7において、スキャナ300はプリンタ本体の上方に固定され、コンタクトガラス302上にセットされた原稿の画像情報を読み取る。そして、読み取った画像情報をプリンタ本体の上記画像データ処理装置に送る。なお、図7では、プリンタ100の下方に給紙バンク400を配設した例を示している。この給紙バンク400は、内部に多量の転写紙Pを収容しており、それを2枚ずつプリンタ100に供給することができる。供給された転写紙Pは、図1に矢印Aで示したように、給紙路35に送られる。
【0038】
スキャナとしては、図8に示すような原稿自動送り装置付きのもの(300A)を使用することもできる。図9は、このスキャナ300Aを示す縦断面図である。図において、スキャナ300Aは、原稿読取部310と、原稿自動送り部350とを備えている。
【0039】
上記原稿読取部310は、原稿フレーム301と、これの上部に固定された第1コンタクトガラス302、第2コンタクトガラス303とからなる筐体を有する。原稿読取部310内では、光源304や第1ミラーを有する第1走行体305と、第2ミラーや第3ミラーを有する第2走行体306とが、第1コンタクトガラス302に平行に移動して原稿を光走査する。第2走行体306には、第1走行体305の1/2の速度で移動する公知の光学系が採用されている。光源304から発せられて原稿で反射した走査光は、第1ミラー、第2ミラー、第3ミラー上で順次反射して、固定レンズ307で結像された後、固体撮像素子(CCD)308に取り込まれる。取り込まれた結像データはデジタル信号として適宜処理され、ファクシミリ機能によって電話回線を介して遠隔地へ送られたり、プリンタ100に送られたりする。
【0040】
上記原稿自動送り部350は、第1コンタクトガラス302、第2コンタクトガラス303に向けて押さえる第1圧板363、第2厚板357を有している。そして、図示しない回動軸を中心に回動せしめられることで、コンタクトガラスを境にして見開かれる。閉じられた状態では、本のような厚い原稿でも第1圧板363によって第1コンタクトガラスに密着せしめることができる。本のように綴じられていなシート状の原稿については、複数重ねた束の状態で、給紙台361の可動板362上に第1面(奇数頁)を上面にしてセットすることができる。スキャン開始命令が操作者によって送られると、最上部のシート原稿に当接している給紙ローラ352が図中矢印方向に回転し、そのシート原稿を給紙搬送部351に送る。この給紙搬送部351内では、2枚以上重なった状態でシート原稿が送られてきても、分離ローラ対353によって確実に1枚づつ分離されて搬送される。そして、搬送用ローラ対354、搬送ローラ355,358、排紙ローラ対359を経て図中矢印に排出され、原稿排紙トレイ360上に第1面を下にしてスタックされる。排出に至るまでの間に、シート原稿の第2面(偶数頁)の画像情報がイメージセンサ356によって読み取られる。この後、シート原稿が第2圧板357と第2コンタクトガラス303の間を通過しているときに、その第1面の画像情報が原稿読取部310に読み取られる。このとき、原稿読取部310は、第1走行体305、第2走行体306を移動させることなく、光走査を行うことができる。第1圧板363の原稿に接する部分には白色シート363aが貼りつけてある。裏面が透けるような薄い原稿であると、圧板363の色が読み取り手段で背景として読み取られてしまうからである。同じ理由で、搬送ローラ355、第2圧板357も白色にしてある。
【0041】
図10は、上記イメージセンサ356の平断面図である。イメージセンサ356は、原稿に対面するガラス356a、原稿の読み取り面を照明する光源たるLEDアレイ356b、結像素子であるレンズアレイ356c、等倍センサ356dなどを有している。結像レンズを使用しない密着センサなどを採用することも可能である。本などの厚い原稿については、コンタクトガラス302上にセットし、圧板363で押しつけるが、このとき、自動原稿送り部350が正規位置よりも浮き上がる。このため、第2厚板357も第2コンタクトガラス303から浮き上がってしまう。そこで、第2圧板357の第2コンタクトガラス303からの浮き上がりを検知するセンサ(図示せず)が設けられている。このセンサによる検知結果に基づいて、イメージセンサ356による読取が禁止されるようになっている。よって、厚い原稿が第1コンタクトガラス302上にセットされたままで、シート原稿の読み取りが行われるといった不具合が発生しない。シート原稿の画像情報がイメージセンサ356によって読み取られているときに、他の原稿を割り込み処理によって読み取らせてプリントアウトしたい場合には、原稿読取部310を用いる。具体的には、まず、図示しない「割り込み中断ボタン」を押下して自動送りによる原稿読取を中断させる。次に、シート原稿を給紙台361や原稿排紙トレイ360にスタックさせたままの状態で、自動原稿送り部350を見開いた後、新たな原稿を第1コンタクトガラス302上にセットする。そして、自動原稿送り部350を閉じた後、図示しない「割り込みスキャンボタン」を押下して、割り込みスキャンを実施させるのである。
【0042】
次に、本実施形態に係るプリンタ100の特徴的な構成について説明する。
上記2次転写ニップにおける上記第1トナー像や第2トナー像の加熱転写については、トナーをその融点又は軟化温度以上まで昇温せしめなくても実現することができる。しかしながら、加熱定着については、各トナー粒子を溶融又は軟化させて転写紙P表面の微妙な凹凸に馴染ませることで成立することから、トナーをその融点又は軟化温度以上まで昇温せしめないと実現することができない。そこで、本プリンタ100では、第1トナー像や第2トナー像中のトナーを融点又は軟化温度以上まで十分に昇温させる程度に、2次転写ニップの長さが設定されている。このことにより、転写紙Pの両面に対するトナー像の加熱転写定着をより確実に実現することができる。
【0043】
先に示した図3において、2次転写ニップは、転写紙Pが存在していない状態で、第1中間転写ベルト8と第2中間転写ベルトが当接している領域における両ベルトの当接面である。具体的には、両ベルトの接触開始点となっている点P2から、両ベルトの離間開始点となっている点P3に至るまでの領域におけるベルト当接面である。第1加熱ローラ11は、2次転写ニップが形成される点P2〜点P3間よりもベルト移動方向上流側にある点P1から第1中間転写ベルト8に接触して、これを加熱し始める。但し、点P1からニップ入口点である点P2に至るまでの領域では、第1中間転写ベルト8と第2中間転写ベルト16とが離間しているため、上記ベルト当接面が第1加熱ローラ11に加熱されることはない。また、同様にして、ニップ出口点である点P3から、第1加熱ローラ11と第1中間転写ベルト8との離間点である点P4に至るまでの領域においても、上記ベルト当接面が第1加熱ローラ11に加熱されることはない。第1加熱ローラ11は、第1中間転写ベルト8と第2中間転写ベルト16とが当接している点P2〜点P3間においてのみ、上記ベルト当接面たる2次転写ニップを加熱する。点P2〜点P3間は、2次転写ニップの全領域に該当する。よって、本プリンタ100では、2次転写ニップの全領域が、加熱手段による当接部加熱領域たるニップ加熱領域となる。なお、ニップ入口側では、上記ベルト当接面が、第2中間転写ベルト16の裏面に当接している第2主加熱ローラ21によっても加熱される。また、ニップ出口側では、上記ベルト当接面が、第2中間転写ベルト16の裏面に当接している第2副加熱ローラ20によっても加熱される。
【0044】
上記第1加熱ローラ11は、当接部たる2次転写ニップを第1ベルトたる第1中間転写ベルト8の裏面側から加熱する第1加熱部材として機能している。また、第2副加熱ローラ20、第2主加熱ローラ21は、それぞれ、2次転写ニップを第2ベルトたる第2中間転写ベルト16の裏面側から加熱する第2加熱部材として機能している。かかる構成では、2次転写ニップを何れか一方のベルトの裏面側からのみ加熱する場合に比べ、2次転写ニップを短時間で効率良く加熱することができる。
【0045】
上述のように、本プリンタ100の上記制御部は、第1加熱ローラ11の表面温度の検知結果に基づいて、第1加熱ローラ11内の発熱手段への電源供給をON/OFF制御して、その表面温度を所定の値に維持するようになっている。また、第2主加熱ローラ21や第2副加熱ローラ20の表面温度についても、同様にして所定の値に維持するようになっている。これら所定の値は、何れも剤収容部たるトナーボトルBY,BM,BC,BK内に収容されているY,M,C,Kトナーの融点又は軟化温度よりも、5〜50[℃]高い値である。第1加熱ローラ11、第2副加熱ローラ20、第2主加熱ローラ21等から構成される加熱手段による加熱温度設定値が、トナーの融点又は軟化温度よりも5〜50[℃]高くなっているのである。2次転写ニップにおける線速が極めて遅い場合には、第1中間転写ベルト8や第2中間転写ベルト16が十分に加熱されて、上記第1トナー像や第2トナー像も加熱温度設定値とほぼ同等の値まで加熱される。しかし、一般的なプロセス線速条件下では、ベルトと転写紙Pとの接触時間を十分に確保することが困難であることから、上記第1トナー像や第2トナー像を加熱温度設定値よりもかなり低い温度までしか昇温せしめることができない。このことにより、トナー像の転写や定着の実現が極めて困難になるおそれがある。そこで、本プリンタでは、上記ニップ加熱領域を次のようにしている。即ち、設定されているプロセス線速で且つ上記加熱温度設定値という条件下でも、上記第1トナー像及び第2トナー像を確実に昇温せしめて転写紙Pに転写及び定着せしめるだけの接触時間を確保できるように、上記ニップ加熱領域を大きくしている。なお、本プリンタ100では、2次転写ニップの全域が上記ニップ加熱領域になっているので、2次転写ニップがこのような接触時間を確保し得る大きさになっている。なお、上記加熱温度については、トナーの融点や軟化温度よりも10〜30[℃]高いという温度範囲内で設定するとより好適である。
【0046】
上述のトナーの軟化温度は、次のようにして測定された値である。即ち、φ1.0[mm]×長さ1.0[mm]のノズル内に1[g]のトナー粉体を充填し、島津製作所製のフローテスターCFT−500Cにて、押出圧力:1.9612[MPa]、昇温速度:6[℃/min]の条件下におく。そして、ノズルから1/2量のトナーが流出した時の温度値である。
【0047】
なお、プリンタ本体を、必ずトナーボトルBY、BM、BC、BKとともに出荷販売する場合には、ボトル内のトナーの軟化温度測定値に応じた値に上記加熱温度を設定すればよいが、別々で出荷販売することもあり得る。トナーがセットされていない状態のプリンタ本体を、トナーボトルとは別に単独で出荷販売するケースである。このような場合には、本プリンタ100に使用可能なトナーを指定しておき、指定したトナーの軟化温度測定値に応じた値に上記加熱温度を設定すればよい。この指定については、例えば、本プリンタ100に使用可能かトナーの情報(性状、種類、製品名、製品番号の少なくとも1つ)を、取り扱い説明書など、プリンタ本体とともに出荷する書類に明記することによって行えばよい。また、この情報をプリンタ本体やこれに貼付するシールに明記してもよい。また、プリンタ本体の製造元あるいは販売元が、この情報を文書、電子データ又は口頭によってユーザーに伝えることによって行ってもよい。
【0048】
上記ニップ加熱領域(本プリンタでは2次転写ニップの全領域)については、これに対する転写紙通過時間を0.05[秒]以上確保し得る長さにすることが望ましい。第1中間転写ベルト8や第2中間転写ベルト16を構成し得る材料の熱伝達係数を考慮すると、0.05[秒]未満の転写紙通過時間では、次のような条件下での加熱転写定着を実現するのが極めて困難だからである。即ち、一般的なプロセス線速で、加熱温度設定値を50[℃]以下にした条件である。換言すれば、一般的なプロセス線速で上記転写紙通過時間を0.05[秒]以上確保し得るだけ上記ニップ加圧領域を長くすれば、加熱温度設定値を50[℃]以下に設定した条件下での加熱転写定着を実現することができる。
【0049】
また、上記ニップ加熱領域については、これに対する転写紙通過時間を1.00[秒]以下にする長さに留めることが望ましい。
【0050】
上記第1中間転写ベルト8や第2中間転写ベルト16については、1〜400[μm]の厚みのものを用いることが望ましい。1[μm]未満の厚みのものでは、無端移動に伴って著しい皺を発生させて中間転写体としての機能を発揮させることができなくなるからである。また、400[μm]を超える厚みのものでは、蓄熱分の放熱や冷却による熱損が極めて大きくなるからである。なお、より望ましくは、第1中間転写ベルト8や第2中間転写ベルト16として、10〜200[μm]の厚みのものを用いるとよい。また、更に望ましくは、30〜100[μm]の厚みのものを用いるとよい。
【0051】
先に示した図1において、冷却部材14は、第1中間転写ベルト8をそのおもて面側から押圧して窪ませている。そして、第1中間転写ベルト8から熱を奪いながら、奪い取った熱を放熱することで、第1中間転写ベルト8を冷却する。この冷却部材14の配設位置は、次のようになっている。即ち、2次転写ニップを通過した後、各感光体のなかで最も上流工程側に配設されたY用の感光体1Yとの対向位置であるY用の1次転写ニップまで移動する前の第1中間転写ベルト8部分を冷却する位置である。よって、冷却部材14は、第1中間転写ベルト8の2次転写ニップにおける加熱部分を、Y用の1次転写ニップまで移動させる前に冷却する第1ベルト冷却手段として機能している。そして、第1中間転写ベルト8の2次転写ニップにおける加熱部分を各1次転写ニップまで移動させ、その熱を各感光体に伝えてしまうことによる各種不具合(各感光体の劣化や熱影響による画質劣化等)を抑えることができる。なお、第1ベルト冷却手段として、第1中間転写ベルト8に直接接触してそこから熱を奪い取る方式の冷却部材14について説明したが、送風などによって冷却する方式のものでもよい。但し、各感光体や第1中間転写ベルト8上の未定着トナー像を送風によって発生させた乱流によって乱してしまうといった事態を回避し得ることから、冷却部材14を用いることが望ましい。また、冷却部材14としては、特にヒートパイプを用いるとよい。
【0052】
このヒートパイプとは、次のような構成のものである。即ち、金属からなるパイプ部と、これの一端側周面に立設せしめられた複数の放熱フィンとを有している部材である。パイプ部は、第1中間転写ベルト8に接触しながら回転し、その内部には冷却液を内包している。第1中間転写ベルト8に接触しながら回転するパイプ部は、ベルトの熱を吸収して内部の冷却液に伝える。熱が伝えられた冷却液はパイプ内で気化して各放熱フィンの内部まで移動し、各放熱フィンを温める。温められた各放熱フィンは、パイプ部の回転軸を中心にそれぞれ公転する際、周囲の空気に触れることで放熱する。この放熱に伴い、各放熱フィン内のガスの一部が冷やされて液化して、冷却液に戻る。かかる構成のヒートパイプでは、特別な駆動源を用いることなく第1中間転写ベルト8を効率よく冷却することができる。また、冷却速度が極めて速く、パイプ軸線方向における冷却ムラがほとんどない。よって、何らかの原因によって第1中間転写ベルト8に温度ムラが生じても、それを幅方向に均一に冷却することができる。
【0053】
第1クリーニング手段たる上記第1クリーニング装置10は、第1中間転写ベルト8について、2次転写ニップを通過して加熱された後、冷却部材14に冷却される前の部分をクリーニングする。よって、2次転写ニップにおける加熱で軟化させたトナーを、冷却部材14による冷却で第1中間転写ベルト8に固着させてしまう前に、クリーニングすることができる。なお、2次転写ニップ出口から、第1クリーニング装置10との対向位置まで移動するまでの間に、トナーが放熱によってクリーニング困難なレベルまで硬化してしまう場合には、第1クリーニング装置10に発熱手段を設けるとよい。トナーを加熱によって再軟化せしめながらクリーニングさせるようにクリーニング装置10を構成するのである。
【0054】
次に、実施形態に係るプリンタ100の第1変形例装置について説明する。
図11は実施形態に係るプリンタ100の第1変形例装置における2次転写ニップから転写紙受け渡し位置までを示す拡大構成図である。この第1変形例装置は、2次転写ニップよりもベルト移動方向下流側に配設された第1分離爪55、第2分離爪56を備えている。
【0055】
上述のように、2次転写ニップの出口では、第1中間転写ベルト8が第1加熱ローラ11の曲率にならって、直角に近い角度で急激に移動方向を変えることで、転写紙Pが第1中間転写ベルト8から離間する。そして、第2中間転写ベルト16表面に保持されながら、分離ローラ19による第2中間転写ベルト張架部分である転写紙受け渡し位置まで移動する。そして、ここで、第2中間転写ベルト16が分離ローラ19の曲率にならって移動方向をほぼ反転させることで、転写紙Pが第2中間転写ベルト16から分離されて上記排紙路(31)に受け渡される。ところが、何らかの理由により、2次転写ニップの出口で転写紙Pが第1中間転写ベルト8から分離されないで、第2中間転写ベルト16ではなく第1中間転写ベルト8の表面に保持されるといった事態も起こり得る。例えば、突発的な原因で第1トナー像が第2トナー像よりも大きく軟化したとする。そうすると、「第1中間転写ベルト:第2トナー像:転写紙」という一連の結合力が、「転写紙:第1トナー像:第2中間転写ベルト」という一連の結合力を上回って、このような事態を引き起こすことがある。また例えば、何らかの理由により、転写紙受け渡し位置で転写紙Pが第2中間転写ベルト16から分離されずに、上記排紙路31に受け渡されなくなるといった事態も起こり得る。
【0056】
そこで、本第1変形例装置では、分離部材たる第1分離爪55と第2分離爪56とを設けているのである。第1分離爪55は2次転写ニップの出口の近傍に配設され、何らかの理由によって転写紙Pが出口で第1中間転写ベルト8側に引き寄せられて移動しようとしても、それを第1中間転写ベルト8から確実に分離する。このことにより、転写紙Pのジャムを抑えることができる。また、第2分離爪56は、転写紙受け渡し位置の近傍に配設されている。そして、何らかの理由によって転写紙Pが転写紙受け渡し位置で第2中間転写ベルト16表面に保持され続けて移動しようとしても、それを第2中間転写ベルト16から確実に分離する。このことにより、転写紙Pのジャムを更に抑えることができる。
【0057】
第1分離爪55と第1中間転写ベルト8との間のクリアランス(空隙)や、第2分離爪56と第2中間転写ベルト16との間のクリアランスについては、それぞれ0.01〜5[mm]の範囲内に設定することが望ましい。0.01[mm]未満では、微妙に振動するベルトと、分離爪とを接触させて、ベルトを損傷させるおそれがでてくるからである。また、5[mm]を超えると、転写紙Pとベルトとの分離性を急激に悪化させるからである。
【0058】
次に、実施形態に係るプリンタ100の第2変形例装置について説明する。
2次転写ニップの出口点では、2次転写ニップで互いに当接していた2つのベルトの離間が開始され、何れか一方のベルトが転写紙Pから離間し始める。このとき、離間し始める方のベルトと転写紙Pとの間に介在しているトナー像中のトナーが柔らか過ぎると、その一部をベルト表面に残留させるいわゆるホットオフセット現象が起こり、画像品質を低下させてしまう。実施形態に係るプリンタ100では、第1中間転写ベルト8と転写紙Pとの間に介在している上記第2トナー像にホットオフセット現象を引き起こすおそれがある。よって、2次転写ニップでは、トナーを加熱によって一旦軟化させた後、ホットオフセット現象を引き起こさないレベルまで冷却して硬化させることが望ましい。そこで、本第2変形例装置では、2次転写ニップを加熱するニップ加熱領域の他に、2次転写ニップを冷却する当接部冷却領域たるニップ冷却領域を設けている。冷却によってトナーを硬化させることで、第1トナー像や第2トナー像をそれぞれ1つの塊の状態にして、軟化トナーの転移によるホットオフセットを有効に抑えることができる。
【0059】
図12は本第2変形例装置における2次転写ニップから転写紙受け渡し位置までを示す拡大構成図である。この第2変形例装置において、第2転写ユニット25には、第2中間転写ベルト16を張架する張架ローラが実施形態に係るプリンタ100のものよりも1つ多く設けられている。プリンタ100にはなかった、第2副加熱ローラ20と分離ローラ19との間で第2中間転写ベルト16を補助的に張架する補助張架ローラ23が設けられているのである。また、第1転写ユニット15にも、第1中間転写ベルト8を張架する張架ローラがプリンタ100のものよりも1つ多く設けられている。1つ余計に設けられたのは、ニップ拡張ローラ57である。このニップ拡張ローラ57は、第1加熱部材11による張架位置を通過した第1中間転写ベルト8を、第2中間転写ベルト16に向けて押圧して2次転写ニップを拡張している。図12と、実施形態に係るプリンタ100の2次転写ニップを示した図3とを比較すると、ニップ拡張ローラ57によって2次転写ニップを大幅に拡張していることがわかる。具体的には、実施形態に係るプリンタ100では、図3に示したように、第1中間転写ベルト8と第2中間転写ベルト16との離間開始点であるニップ出口点が、第1加熱ローラ11と第2加熱ローラ16との対向位置にある点P3になっている。これに対し、本第2変形例装置では、図12に示すように、第1加熱ローラ11と第2加熱ローラ16との対向位置を通過しても、第1中間転写ベルト8と第2中間転写ベルト16とが当接し続けている。両ベルトの離間開始点であるニップ出口点は、分離ローラ19側に大きくずれた点P7となっている。この点P7は、ニップ拡張ローラ57と補助張架ローラ23との対向部に存在している。
【0060】
このようにして大幅に拡張された2次転写ニップは、ニップ入口点である点P2から、第2副加熱ローラ20と第2中間転写ベルト16との離間開始点である点P5までの領域で加熱される。点P2から点P5に至るまでの領域がニップ
加熱領域になっているのである。点P5よりも下流側では、第1中間転写ベルト8と、第2中間転写ベルト16との両方が加熱部材から離間するため、加熱部材から加熱されず、自然放熱を開始する。よって、点P5からニップ出口点であるP6に至るまでの領域がニップ冷却領域となる。
【0061】
上記ニップ加熱領域(点P2〜点P5)内で十分に加熱され、融点又は軟化温度以上に達して軟化した第1トナー像や第2トナー像中のトナーは、転写紙P表面の紙繊維内に浸透する。そして、上記ニップ冷却領域(点P5〜点P7)内で融点又は軟化温度未満まで冷却されて硬化してから、2次転写ニップの外に出る。よって、2次転写ニップよりも下流側でトナーを軟化させたままの状態で第1中間転写ベルト8を転写紙Pから離間させることによるホットオフセットを抑えることができる。また、ニップ冷却領域を設けてそこでトナーを冷却することにより、2次転写ニップ内でトナーを容易に融点又は軟化温度未満まで冷却することができる。
【0062】
先に示した図12において、第1加熱部材たる第1加熱ローラ11は、第1ベルトたる第1中間転写ベルト8を張架する張架部材としても機能している。また、第2加熱部材たる第2副加熱ローラ20や第2主加熱ローラ21は、第2ベルトたる第2中間転写ベルト16を張架する張架部材としても機能している。換言すれば、張架部材を、第1加熱ローラ11、第2副加熱ローラ20、第2主加熱ローラ21として機能させているのである。かかる構成では、第1中間転写ベルト8や第2中間転写ベルト16の張架部分を利用して2次転写ニップを加熱するので、コンパクトなレイアウトでの2次転写ニップ加熱を実現することができる。
【0063】
図12において、点P4は、第1中間転写ベルト8と第1加熱ローラ11との離間開始点である。また、点P5は、第2中間転写ベルト16と第2副加熱ローラ20との離間開始点である。また、点P6は、ニップ拡張ローラ57と補助張架ローラ23との対向部に、第1中間転写ベルト8と第2中間転写ベルト16とが進入を開始する点である。
【0064】
点P4から点P6に至るまでの領域には、第1中間転写ベルト8による「第1加熱下流側展張部分」が形成されている。第1中間転写ベルト8が、第1加熱ローラ11からこれよりも下流側の拡張ローラ57に至るまでを展張している部分である。また、点P5から点P6に至るまでの領域には、第2中間転写ベルト16による「第2加熱下流側展張部分」が形成されている。第2中間転写ベルト16が、第2副加熱ローラ20からこれよりも下流側の補助張架ローラ23に至るまでを展張している部分である。これら「第1加熱下流側展張部分」と「第2加熱展張部分」とを当接させると、図示のように、上述のニップ冷却領域(点5〜点P7)を容易に作り出すことができる。
【0065】
一般に、トナーの転写紙Pに対する定着性は、融点又は軟化温度におけるトナーの粘度よりも、ある所定の粘度値に依存する。融点又は軟化温度における粘度では転写紙Pに対する定着性が若干不足するトナーであっても、ある所定の粘度値まで軟化すれば良好に定着されるのである。また、ホットオフセットの発生も、融点又は軟化温度におけるトナーの粘度よりも、ある所定の粘度値に依存する。融点又は軟化温度よりも若干低い温度まで冷却されて少しだけ硬化したときの粘度ではホットオフセットを若干生じてしまうトナーであっても、ある所定の粘度値まで硬化すればホットオフセットを良好に抑えるのである。本発明者らは鋭意研究により、良好な定着性を発揮させるようになる粘度値が10[Pa]以下であることを見出した。また、ホットオフセットを良好に抑え得るようになる粘度値が10[Pa]以上であることも見出した。そこで、本第2変形例装置では、トナーを十分に加熱して10[Pa]以下の粘度まで軟化させる程度に上記ニップ加熱領域を長く設定するとともに、トナーを十分に冷却して10[Pa]以上の粘度まで硬化させる程度に上記ニップ冷却領域を長く設定している。
【0066】
これまで、像担持体としてドラム状の感光体を用いた例について説明したが、ベルト状の感光体など、他の方式のものを用いてもよい。この場合、ベルト状の感光体を、第1ベルトとして機能させることも可能である。また、粉体トナーではなく、トナーと液体キャリアとを含有する液体現像剤を用いる画像形成装置にも本発明の適用が可能である。また、フルカラー画像を形成する例について説明したが、1つの感光体(像担持体)を用いて単色画像を形成する画像形成装置でもよい。また、電子写真方式のプリンタについて説明したが、直接記録方式の画像形成装置にも本発明の適用が可能である。この直接記録方式とは、潜像担持体によらず、トナー飛翔装置からドット状に飛翔させたトナー群を中間転写体や記録体に直接付着させて画素像を形成することで、画像を直接形成する方式である。本発明に係る画像形成装置の直接記録方式では、トナー飛翔装置から飛翔したトナーが付着せしめられる被付着体が像担持体としての機能を発揮することになる。
【0067】
以上、実施形態に係るプリンタ100、第1変形例装置及び第2変形例装置においては、加熱手段が、2次転写ニップを第1加熱ローラ11によって第1中間転写ベルト8の裏面側から加熱する。同時に、第2主加熱ローラ21や第2副加熱ローラ20によって第2中間転写ベルト16の裏面側からも加熱する。このことにより、何れか一方のベルトの裏面側からのみ加熱する場合に比べ、2次転写ニップを短時間で効率良く加熱することができる。
また、ニップ加熱領域に対する転写紙通過時間を0.05[秒]以上確保し得る程度にニップ加熱領域を長くすれば、加熱温度設定値を50[℃]以下に設定した条件下での加熱転写定着を容易に実現することができる。
【0068】
また、第2変形例装置においては、2次転写ニップ内でトナーを融点又は軟化温度未満まで冷却して硬化させている。よって、2次転写ニップよりも下流側でトナーを軟化させたままの状態で第1中間転写ベルト8を転写紙Pから離間させることによるホットオフセットを抑えることができる。
また、2次転写ニップを、ニップ加熱領域よりもベルト移動方向下流側で冷却するためのニップ冷却領域を設けているので、2次転写ニップ内でトナーを容易に融点又は軟化温度未満まで冷却することができる。
また、第1中間転写ベルト8を張架しているローラを第1加熱ローラ11として利用するとともに、第2中間転写ベルトを張架しているローラを第2副加熱ローラ20や第2主加熱ローラ21として機能させている。このことにより、コンパクトなレイアウトでの2次転写ニップ加熱を実現することができる。更に、第1加熱ローラ11よりも下流側の「第1加熱下流側展張部分」と、第2副加熱ローラ20よりも下流側の「第2加熱展張部分」とを当接させている。このことにより、ニップ冷却領域を容易に作り出すことができる。
また、ニップ加熱領域での加熱によってトナーを10[Pa]以下の粘度まで軟化させるので、上記第1トナー像や第2トナー像を転写紙Pに更に確実に定着させることができる。
また、ニップ冷却領域での冷却によってトナーを粘度10[Pa]以上まで硬化させるので、ホットオフセットによる画像劣化を更に確実に抑えることができる。
【0069】
また、実施形態に係るプリンタ100、第1変形例装置及び第2変形例装置においては、第1中間転写ベルト8、第2中間転写ベルト16として、それぞれの厚みが1〜400[μm]のものを用いている。このことにより、両ベルトについて、無端移動に伴って発生する著しい皺を抑えるとともに、蓄熱分の放熱や冷却による熱損の増大を抑えることができる。
また、2次転写ニップを通過した後、感光体1Yとの対向位置であるY用1次転写ニップまで移動する前の第1中間転写ベルト8部分を冷却する第1ベルト冷却手段たる冷却部材14を設けている。このことにより、第1中間転写ベルト8の2次転写ニップにおける加熱部分を各1次転写ニップまで移動させ、その熱を各感光体に伝えてしまうことによる各種不具合を有効に抑えることができる。
また、冷却部材14としてヒートパイプを用いれば、特別な駆動源を用いることなく第1中間転写ベルト8を効率よく冷却することができる。しかも、何らかの原因によって第1中間転写ベルト8に温度ムラが生じても、それを幅方向に均一に冷却することができる。
また、2次転写ニップを通過して加熱された後、冷却部材14に冷却される前の部分の第1中間転写ベルト8をクリーニングさせる位置に、第1クリーニング手段たる第1クリーニング装置10を配設している。よって、2次転写ニップにおける加熱で軟化させたトナーを、冷却部材14による冷却で第1中間転写ベルト8に固着させてしまう前に、クリーニングすることができる。
【0070】
また、第1変形例装置においては、2次転写ニップよりも下流側で、転写紙Pを第1中間転写ベルト8から強制的に分離する第1分離爪55と、第2中間転写ベルト16から強制的に分離する分離爪56とを設けている。このことにより、紙搬送路内における転写紙Pのジャムを抑えることができる。
また、第1分離爪55と第1中間転写ベルト8との間のクリアランスや、第2分離爪56と第2中間転写ベルト16との間のクリアランスを、それぞれ0.01〜5[mm]の範囲内に設定すれば、次のようなことも可能になる。即ち、微妙に振動するベルトと分離爪との接触によるベルト損傷を有効に抑えるとともに、転写紙Pとベルトとの分離性の悪化を抑えることができる。
【0071】
また、実施形態に係るプリンタ100、第1変形例装置及び第2変形例装置においては、4つの感光体1Y,M,C,Kに形成した各色トナー像を第1中間転写ベルトに重ね合わせて転写するタンデム方式を採用している。このことにより、1つの感光体に各色トナー像を個別に形成していって中間転写体に順次重ね合わせ転写していく方式に比べ、画像形成速度を大幅に速めることができる。
【0072】
また、プリンタ100とパソコン200とからなる画像形成システムにおいては、パソコン200からの制御信号に基づいてプリンタ100に画像を出力させる。そして、この出力の際に、ワンパス方式の両面転写と加熱転写定着方式との両方を実現しながら、加熱設定温度値をトナーの融点又は軟化温度よりも5〜50[℃]高い範囲に留めることができる。
【0073】
【発明の効果】
請求項1乃至20の発明によれば、ワンパス方式の両面転写と加熱転写定着方式との両方を実現しながら、加熱手段による加熱温度を上述の範囲に留めることができるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態に係るプリンタの概略構成図。
【図2】同プリンタのY用のプロセスカートリッジを示す拡大構成図。
【図3】同プリンタの2次転写ニップとその周囲構成を示す拡大構成図。
【図4】同プリンタの側方端部付近を示す拡大構成図。
【図5】同プリンタとパソコンとからなる画像形成システムを示す斜視図。
【図6】同プリンタの第1転写ユニットの揺動を説明する説明図。
【図7】同プリンタとスキャナとを組み合わせた複写機を示す斜視図。
【図8】同複写機に用いる自動原稿送り装置付きスキャナを示す斜視図。
【図9】同自動原稿送り装置付きスキャナを示す縦断面図。
【図10】同同自動原稿送り装置付きスキャナのイメージセンサを示す平断面図。
【図11】同プリンタの第1変形例装置における2次転写ニップから転写紙受け渡し位置までを示す拡大構成図。
【図12】同プリンタの第2変形例装置における2次転写ニップから転写紙受け渡し位置までを示す拡大構成図。
【符号の説明】
1Y,M,C,K    感光体(像担持体)
8           第1中間転写ベルト(第1ベルト)
10          第1クリーニング装置(第1クリーニング手段)
11          第1加熱ローラ(第1加熱部材)
14          冷却部材(第1ベルト冷却手段)
16          第2中間転写ベルト(第2ベルト)
20          第2副加熱ローラ(第2加熱部材)
21          第2主加熱ローラ(第2加熱部材)
55          第1分離爪(分離部材)
56          第2分離爪(分離部材)
BY、BM、BC、BK トナーボトル(剤収容部)

Claims (20)

  1. 少なくとも、互いの対向部で同じ向きに表面移動するように無端移動しながら当接する第1ベルトと第2ベルトとの当接部を加熱手段によって加熱する工程と、該像担持体上の第1可視像を該第1ベルト上に転写せしめた後、該当接部にて加熱して該第2ベルト上に転写せしめる工程と、該像担持体上の第2可視像を該第1ベルト上に転写せしめる工程と、該当接部にて、該第2ベルト上の第1可視像を加熱して記録体の第1面に転写及び定着せしめるとともに、該第1ベルト上の第2可視像を加熱して該記録体の第2面に転写及び定着せしめる工程とからなる両面転写定着工程を実施して、該記録体の両面に可視像を転写及び定着せしめる転写定着方法であって、
    上記加熱手段による加熱温度が、上記第1可視像や第2可視像を構成する画像形成剤の融点又は軟化温度よりも5〜50[℃]高い値に設定され、且つ上記加熱手段による当接部加熱領域のベルト長さ方向における大きさが、該値の条件下で上記第1可視像及び第2可視像の記録体への転写及び定着を実現し得る程度の大きさに設定されていることを特徴とする転写定着方法。
  2. 像担持体上に第1可視像を形成する工程と、該像担持体上に第2可視像を形成する工程と、該第1可視像を記録体の第1面に転写及び定着せしめるとともに該第2可視像を該記録体の第2面に転写及び定着せしめる両面転写定着工程とを実施して、該記録体の両面に画像を形成する画像形成方法において、
    上記両面転写定着工程として、請求項1の両面転写定着工程を用いることを特徴とする画像形成方法。
  3. 画像形成剤を収容している剤収容部と、該画像形成剤を用いて像担持体上に可視像を形成する可視像形成手段と、互いの対向部で同じ向きに表面移動するように無端移動しながら当接する第1ベルト及び第2ベルトと、両ベルトの当接部を加熱する加熱手段とを有し、像担持体上に形成した第1可視像を該第1ベルト上に転写せしめてから、該当接部にて加熱して該第2ベルト上に転写せしめる一方で、該像担持体上に形成した第2可視像を該第1ベルト上に転写せしめた後、該当接部にて、該第2ベルト上の第1可視像を加熱して該記録体の第1面に転写及び定着せしめるとともに、該第1ベルト上の第2可視像を加熱して該記録体の第2面に転写及び定着せしめて、該記録体の両面に画像を形成する画像形成装置であって、
    上記加熱手段による加熱温度が、上記第1可視像や第2可視像を構成する画像形成剤の融点又は軟化温度よりも5〜50[℃]高い値に設定され、且つ上記加熱手段による当接部加熱領域のベルト長さ方向における大きさが、該値の条件下で上記第1可視像及び第2可視像の記録体への転写及び定着を実現し得る程度の大きさに設定されていることを特徴とする画像形成装置。
  4. 画像形成剤を用いて像担持体上に可視像を形成する可視像形成手段と、互いの対向部で同じ向きに表面移動するように無端移動しながら当接する第1ベルト及び第2ベルトと、両ベルトの当接部を加熱する加熱手段とを有し、像担持体上に形成した第1可視像を該第1ベルト上に転写せしめてから、該当接部にて加熱して該第2ベルト上に転写せしめる一方で、該像担持体上に形成した第2可視像を該第1ベルト上に転写せしめた後、該当接部にて、該第2ベルト上の第1可視像を加熱して該記録体の第1面に転写及び定着せしめるとともに、該第1ベルト上の第2可視像を加熱して該記録体の第2面に転写及び定着せしめて、該記録体の両面に画像を形成する画像形成装置であって、
    上記可視像の形成に用いる上記画像形成剤が指定され、上記加熱手段による加熱温度が該画像形成剤の融点又は軟化温度よりも5〜50[℃]高く設定され、且つ、上記加熱手段による当接部加熱領域のベルト長さ方向における大きさが、該値の条件下で上記第1可視像及び第2可視像の記録体への転写及び定着を実現し得る程度の大きさに設定されていることを特徴とする画像形成装置。
  5. 請求項3又は4の画像形成装置であって、
    上記加熱手段が、上記当接部を第1ベルトの裏面側から加熱する第1加熱部材と、該当接部を上記第2ベルトの裏面側から加熱する第2加熱部材とを有することを特徴とする画像形成装置。
  6. 請求項5の画像形成装置であって、
    上記当接部加熱領域における上記記録体の通過時間が0.05秒以上であることを特徴とする画像形成装置。
  7. 請求項6の画像形成装置であって、
    上記当接部加熱領域における上記記録体の通過時間が1.00秒以下であることを特徴とする画像形成装置。
  8. 請求項5、6又は7の画像形成装置であって、
    上記当接部にて融点又は軟化温度以上に加熱した上記画像形成剤を、該当接部にて融点又は軟化点温度未満に冷却することを特徴とする画像形成装置。
  9. 請求項8の画像形成装置であって、
    上記当接部を、上記当接部加熱領域よりもベルト移動方向下流側の当接部冷却領域で冷却することを特徴とする画像形成装置。
  10. 請求項9の画像形成装置において、
    上記第1加熱部材、第2加熱部材として、第1ベルトを張架するもの、第2ベルトを張架するものをそれぞれ用い、該第1ベルトにおける該第1加熱部材からこれよりもベルト移動方向下流側にある第1ベルト張架部材に至るまでの展張部分と、該第2ベルトにおける該第2加熱部材からこれよりもベルト移動方向下流側にある第2ベルト張架部材に至るまでの展張部分とを当接させたことを特徴とする画像形成装置。
  11. 請求項8、9又は10の画像形成装置であって、
    上記当接部加熱領域で加熱された上記画像形成剤が、粘度10[Pa]以下まで軟化することを特徴とする画像形成装置。
  12. 請求項11の画像形成装置であって、
    上記当接部冷却領域で冷却された上記画像形成剤が粘度10[Pa]以上まで硬化することを特徴とする画像形成装置。
  13. 請求項3乃至12の何れかの画像形成装置であって、
    上記第1ベルト、第2ベルトの厚みが、それぞれ1〜400[μm]であることを特徴とする画像形成装置。
  14. 請求項3乃至13の何れかの画像形成装置であって、
    上記当接部を通過した後、上記像担持体上との対向位置まで移動する前の第1ベルト部分を冷却する第1ベルト冷却手段を備えることを特徴とする画像形成装置。
  15. 請求項14の画像形成装置であって、
    上記第1ベルト冷却手段がヒートパイプであることを特徴とする画像形成装置。
  16. 請求項14又は15の画像形成装置において、
    上記当接部で転写されずに上記第1ベルトの表面に残留した画像形成剤をクリーニングする第1クリーニング手段を設け、且つ、上記当接部を通過した後、上記第1ベルト冷却手段に冷却される前の第1ベルト部分をクリーニングさせるように、該第1クリーニング手段を配設したことを特徴とする画像形成装置。
  17. 請求項3乃至16の何れかの画像形成装置であって、
    上記当接部よりもベルト移動方向下流側で上記記録体を上記第1ベルト又は第2ベルトから分離する分離部材を備えることを特徴とする画像形成装置。
  18. 請求項17の画像形成装置であって、
    上記第1ベルト又は第2ベルトとの間に0.01〜5[mm]の空隙を保持させるように、上記分離部材を配設したことを特徴とする画像形成装置。
  19. 請求項3乃至18の何れかの画像形成装置であって、
    上記像担持体を複数備え、各像担持体上に形成した可視像を上記第1ベルトに重ね合わせて転写することを特徴とする画像形成装置。
  20. 記録体に画像を形成する画像形成装置と、これに制御信号を送信するコンピュータとを備える画像形成システムであって、
    上記画像形成装置として、請求項3乃至19の画像形成装置の何れかを備えることを特徴とする画像形成システム。
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JP2014160245A (ja) * 2013-02-19 2014-09-04 Xerox Corp 画像形成装置内でダブルベルトロール定着器形状を実現するシステムおよび方法

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