JP2004077843A - 画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】転写紙等の記録体の両面にワンパス方式で画像を形成し、しかも、片面処理を実施する場合の無駄なエネルギー消費を抑えることができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】転写紙Pにトナー像を転写せしめる転写手段として、第1転写ユニット15と第2転写ユニットとを有する両面転写手段を用いた。また、転写紙Pの第2面だけに画像を形成する片面処理の場合には、定着装置30において、互いに当接しながら順方向に回転する第1加熱ローラ30a、第2加熱ローラ30bのうち、第1面に接触する方の前者のローラの表面温度を、両面処理のときよりも低くする制御を実施させるようにした。
【選択図】 図1
【解決手段】転写紙Pにトナー像を転写せしめる転写手段として、第1転写ユニット15と第2転写ユニットとを有する両面転写手段を用いた。また、転写紙Pの第2面だけに画像を形成する片面処理の場合には、定着装置30において、互いに当接しながら順方向に回転する第1加熱ローラ30a、第2加熱ローラ30bのうち、第1面に接触する方の前者のローラの表面温度を、両面処理のときよりも低くする制御を実施させるようにした。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、いわゆるワンパス方式で記録体の両面に画像を形成する画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、転写紙等の記録体の両面に画像を形成する方式として、いわゆるスイッチバック方式と、ワンパス方式とが知られている。スイッチバック方式は、転写手段と定着手段とを通過して一方の面に画像が形成された記録体を反転させた後、転写手段と定着手段とにスイッチバックさせて、そのもう一方の面にも画像を形成する方式である。これに対し、ワンパス方式は、両面転写手段によって両面に画像が転写された記録体を定着手段に一度だけ通す方式である。ワンパス方式は、次の点でスイッチバック方式よりも優れている。即ち、スイッチバック用の複雑な機構を設けることによるコストアップ、スイッチバックによる画像形成時間の長期化、定着手段による加熱でカールさせた記録体をスイッチバックさせることによるジャムを、何れも回避し得る点である。
【0003】
かかるワンパス方式を実現する画像形成装置としては、特開平1−209470号公報に記載のものが知られている。この画像形成装置(以下、公報装置という)は、像担持体たるドラム上の感光体に静電潜像を形成した後、これを可視像たるトナー像に現像する。このようにして得たトナー像を、前段転写部、後段転写部に順次通していく。具体的には、まず、感光体と中間転写ベルトとが対向する前段転写部で、感光体上のトナー像を中間転写ベルト上に静電的に中間転写する。次いで、このトナー像を中間転写ベルトの無端移動に伴って再び前段転写部に進入させるタイミングに同期させるように、感光体上に別のトナー像を形成する。また、このタイミングに合わせて、記録体を前段転写位置に送り込む。送り込まれた記録体は、その第1面に中間転写ベルト上のトナー像を接触させた状態で、その第2面に感光体上のトナー像が静電的に転写される。このとき、中間転写ベルト上のトナー像は、感光体側からベルト表面側に向かう静電力を受けるため、記録体の第1面に転写されることはない。前段転写部を通過した記録体は、転写されなかった方のトナー像に接触した状態で、中間転写ベルトの無端移動に伴って後段転写部に進入する。そして、中間転写ベルトと所定の間隙を介して対向している転写チャージャによって第2面にチャージがかけられることで、それまで転写されずにいた中間転写ベルト上のトナー像が第1面に転写される。この転写により、記録体に対する両面転写が完了する。両面転写後の記録体は、互いに当接しながら順方向に回転する定着ローラ対を有する定着手段を通過する際に加熱されて、両面のトナー像がそれぞれ定着せしめられる。以上のようなプロセスを経ることで、記録体を定着手段にスイッチバックさせることなく、その両面に画像を形成することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この画像形成装置では、記録体の一方の面(第2面)だけに画像を形成する片面処理を実施する場合に、定着手段による加熱エネルギーを無駄に消費するおそれがあった。具体的には、片面処理では、トナー像を記録体の一方の面だけに定着させればよく、両面に定着させる場合に比べて少ない加熱量で足りる。にもかかわらず、記録体の両面に画像を形成する両面処理と同じ条件で定着を実施すると、加熱エネルギーを過剰に消費することになる。
【0005】
本発明は、以上の問題点に鑑みなされたものである。そして、その目的とするところは、記録体の両面にワンパス方式で画像を形成し、しかも、片面処理を実施する場合の無駄なエネルギー消費を抑えることができる画像形成装置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、可視像を担持する像担持体と、該像担持体上の可視像を記録体の両面に転写せしめる両面転写手段と、該両面転写手段を経由した後の該記録体を加熱してその両面に可視像を定着せしめる定着手段と、該定着手段の記録体に対する加熱温度を制御する加熱温度制御手段とを用いて記録体の両面に画像を形成し、記録体の第1面及び第2面に画像を形成する両面処理と、記録体の片面として該第2面だけに画像を形成する片面処理とを切替可能に構成された画像形成装置において、上記片面処理の場合には、上記第1面に対する加熱温度を上記両面処理の場合よりも低くする制御を実施させるように、上記加熱温度制御手段を構成したことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の画像形成装置において、上記両面処理や片面処理で、上記第1面に対する加熱温度を上記第2面に対する加熱温度よりも低くする制御を実施させるように、上記加熱温度制御手段を構成したことを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1又は2の画像形成装置であって、第1発熱手段から発した熱によって上記第1面を加熱する第1加熱手段と、第2発熱手段から発した熱によって上記第2面を加熱する第2加熱手段とを有し、且つ、上記片面処理において該第1発熱手段の発熱を停止させることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1又は2の画像形成装置であって、第1発熱手段から発した熱によって上記第1面を加熱する第1加熱手段と、第2発熱手段から発した熱によって上記第2面を加熱する第2加熱手段とを有し、且つ、上記片面処理において、該第1発熱手段を発熱させながら、該第1加熱手段による第1面の加熱温度を上記両面処理の場合よりも低い温度に制御することを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項1、2、3又は4の画像形成装置であって、上記第1面に転写せしめる可視像については、少なくとも1つの中間転写体を介在させることで、上記第2面に転写せしめる可視像よりも多くの転写工程を経由させることを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項5の画像形成装置であって、上記片面処理の場合には、上記両面処理の場合よりも上記第2加熱手段の加熱能力を高めるように制御する加熱能力制御手段を備えることを特徴とするものである。
【0007】
これらの画像形成装置においては、両面転写手段によって両面に可視像が転写された記録体を定着手段に通すことにより、記録体の両面にワンパス方式で画像を形成することができる。
また、記録体の第1面に可視像が形成されず、第2面だけに可視像が形成される片面処理の場合には、記録体の第1面に対する加熱温度を両面処理の場合よりも低くする。かかる構成では、可視像の定着が必要な第2面を適切な加熱温度で加熱して第2面に該可視像を定着せしめる一方で、可視像の定着が不要な第2面に対する加熱温度を両面処理の場合よりも低くして記録体全体に対する加熱量を抑えることが可能になる。よって、片面処理を実施する場合の無駄なエネルギー消費を抑えることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した画像形成装置として、電子写真方式のプリンタ(以下、単にプリンタという)の一実施形態について説明する。
まず、本プリンタの基本的な構成について説明する。図1は、本プリンタの概略構成図である。図において、このプリンタ100は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック(以下、Y、M、C、Kと記す)のトナー像を生成するための4つのプロセスカートリッジ6Y,M,C,Kを備えている。これらは、像形成物質として、互いに異なる色のY,M,C,Kトナーを用いるが、それ以外は同様の構成になっており、寿命到達時に交換される。Yトナー像を生成するためのプロセスカートリッジ6Yを例にすると、図2に示すように、像担持体たるドラム状の感光体1Y、ドラムクリーニング装置2Y、除電装置3Y、帯電装置4Y、現像装置5Y等を備えている。感光体1Yは、例えば、直径10〜100[mm]のアルミ製円筒に光導電性物質である有機半導体の表面層が被覆されたものである。アモルファスシリコン性の表面層が被覆されたものであってもよい。また、ドラム状ではなく、ベルト状のものであってもよい。帯電装置4Yは、図示しない駆動手段によって図中時計回りに回転せしめられる感光体1Yの表面を一様帯電せしめる。一様帯電せしめられた感光体1Yの表面は、レーザ光Lによって露光走査されてY用の静電潜像を担持する。このY用の静電潜像は、Yトナーを用いる現像装置5YによってYトナー像に現像される。そして、後述の第1中間転写ベルト8上に1次転写される。ドラムクリーニング装置2Yは、1次転写工程を経た後の感光体1Y表面に残留したトナーを除去する。また、除電装置3Yは、クリーニング後の感光体1Yの残留電荷を除電する。この除電により、感光体1Yの表面が初期化せしめられて次の画像形成が可能になる。他のプロセスカートリッジ6M,C,Kにおいても、同様にして感光体1M,C,K上にM,C,Kトナー像が形成され、第1中間転写ベルト8上に1次転写される。
【0009】
先に示した図1において、上記プロセスカートリッジ6Y,M,C,Kの図中下方には露光装置7が配設され、その更に下方には画像データ処理装置E1が配設されている。画像データ処理装置E1は、図示しないパーソナルコンピュータ等から送られてくる画像情報信号に基づいて、露光走査制御信号を生成して露光装置7に送る。潜像形成手段たる露光装置7は、この露光走査制御信号に基づいて発したレーザ光Lを、プロセスカートリッジ6Y,M,C,Kにおけるそれぞれの感光体に照射する。この照射を受けて露光された感光体1Y,M,C,K上には、Y,M,C,K用の静電潜像が形成される。なお、露光装置7は、光源から発したレーザ光Lを、モータによって回転駆動したポリゴンミラーで走査しながら、複数の光学レンズやミラーを介して感光体に照射するものである。かかる構成の露光装置7に代えて、LEDアレイからのLED光を照射する露光手段を採用しても良い。また、露光装置7の筐体には、その上方に配設された各感光体1Y,M,C,Kから落下してくるトナーによる内部部品の汚染を防止するために、図示しないシール部材が設けられている。
【0010】
上記画像データ処理装置E1の図中下側には、第1紙収容カセット26a、第2紙収容カセット26b、これらカセットにそれぞれ個別に組み込まれた給紙ローラ27a,b、レジストローラ対28など有する給紙手段が配設されている。レジストローラ対28は、第1レジストローラ28aと第2レジストローラ28bとを有している。記録体収容手段たる2つの紙収容カセット(26a、b)は、記録体たる転写紙Pを複数枚重ねた転写紙束の状態で収容しており、それぞれの一番上の転写紙Pには給紙ローラ27a,bが当接している。これら給紙ローラ27a,bが図示しない駆動手段によって図中反時計回りに回転せしめられると、一番上の転写紙Pが記録体供給路たる給紙路35に向けて送られる。そして、給紙路35の最下流側に配設されているレジストローラ対28のローラ間に至る。レジストローラ対28は、転写紙Pを挟み込むべく両ローラを回転駆動させるが、挟み込んですぐに回転を一旦停止させる。そして、転写紙Pを適切なタイミングで後述の2次転写ニップに向けて送り出す。なお、プリンタ100の下方には、多量の転写紙Pをストックしている給紙バンク101が設けられており、ここからも転写紙Pが給紙路35に向けて送り出されるようになっている。
【0011】
上記プロセスカートリッジ6Y,M,C,Kの図中上方には、第1中間転写ベルト8を張架しながら無端移動せしめる第1転写ユニット15が配設されている。この第1転写ユニット15は、第1中間転写ベルト8の他、4つの1次転写ローラ9Y,M,C,K、第1クリーニング装置10などを備えている。また、2次転写バックアップローラ12、第1クリーニングバックアップローラ13、テンションローラ14なども備えている。第1中間転写ベルト8は、これら3つのローラに張架されながら、少なくとも何れか1つのローラの回転駆動によって図中反時計回りに無端移動せしめられる。1次転写ローラ9Y,M,C,Kは、このように無端移動せしめられる第1中間転写ベルト8を感光体1Y,M,C,Kとの間に挟み込んでそれぞれ1次転写ニップを形成している。これらは第1中間転写ベルト8の裏面(ループ内周面)にトナーとは逆極性(例えばプラス)の1次転写バイアスを印加する方式のものであるが、電極から放電させるチャージャ方式のものであってもよい。上記第1中間転写ベルト8は、1次転写バイアスによる静電転写を実現するのに適した電気抵抗条件になっている。具体的には、樹脂フィルムやゴムなどからなる50〜500[μm]の厚みのベルト基体に、低表面エネルギーの材料からなる表面層がコートされ、全体の体積抵抗値が106〜1014[Ωcm]になっている。また、表面抵抗率は、105〜1015[Ω/□]の範囲に調整されている。1次転写ローラ9Y,M,C,Kを除くローラは、全て電気的に接地されている。
【0012】
上記第1中間転写ベルト8は、その無端移動に伴ってY,M,C,K用の1次転写ニップを順次通過していく。各1次転写ニップでは、感光体1Y,M,C,K上のY,M,C,Kトナー像がニップ圧や1次転写バイアスの作用によって重ね合わせて1次転写される。これにより、第1中間転写ベルト8上に4色重ね合わせトナー像(以下、4色トナー像という)が形成される。第1中間転写ベルトを張架している2次転写バックアップローラ12は、後述の第2中間転写ベルト16に食い込むような配設位置になっている。このような食い込み配置により、第1中間転写ベルト8と第2中間転写ベルト16とをそれぞれ周長方向に広く当接させる2次転写ニップが形成されている。この2次転写ニップは、ワンパス方式の両面転写を実現するための前段転写部である。第1中間転写ベルト8上に形成された可視像たる4色トナー像は、2次転写ニップにおいて第2中間転写ベルト16あるいは転写紙Pに2次転写される。2次転写ニップを通過した後の第1中間転写ベルト8には、第2中間転写ベルト16あるいは転写紙Pに2次転写されなかった転写残トナーが付着している。これは、第1クリーニング装置10によってクリーニングされる。具体的には、第1中間転写ベルト8は、そのおもて面(ループ外面)側に当接するように配設された第1クリーニング装置10と、その裏面側に配設された第1クリーニングバックアップローラ13との間に挟まれる。そして、おもて面上の転写残トナーが第1クリーニング装置10に機械的あるいは静電的に回収されてクリーニングされる。
【0013】
かかる構成の第1転写ユニット15の図中上方には、ボトル収容器54が配設されている。このボトル収容器54内には、各プロセスカートリッジ(6Y,M,C,K)内の現像器に補給するためのトナーを内包するトナーボトルBY,BM,BC,BKが収められている。これらトナーボトルの図中右側方には、プリンタ本体内の空気を外部に排出する冷却ファンF1が配設され、本体内の温度の過昇を防いでいる。
【0014】
また、第1転写ユニット15の図中右側方には、第2中間転写ベルト16を張架しながら無端移動せしめる第2転写ユニット25が配設されている。この第2転写ユニット25は、第2中間転写ベルト16の他、第2クリーニング装置18、転写チャージャ23、廃トナー収容器24などを備えている。また、ニップ拡張ローラ19、2次転写ローラ17、テンションローラ20、第2クリーニングバックアップローラ21、3次転写バックアップローラ22なども備えている。第2中間転写ベルト16は、これら5つのローラに張架されながら、少なくとも何れか1つのローラの回転駆動によって図中時計回りに無端移動せしめられる。上述した第1転写ユニット15の2次転写バックアップローラ12は、ニップ拡張ローラ19と2次転写ローラ17との間の第2中間転写ベルト16架橋部分に食い込んで2次転写ニップを形成している。2次転写ローラ17は、金属製ローラか、あるいは芯金に導電性のゴム層が被覆されたローラで、図示しない電源によってトナーと反対極性(例えばプラス極性)の2次転写バイアスが印加される。第2転写ユニット25におけるこれ以外のローラは全て接地されている。
【0015】
上述したレジストローラ対28は、ローラ間に挟み込んだ転写紙Pを第1中間転写ベルト8上に1次転写された上記4色トナー像に密着させ得るタイミングで上記2次転写ニップに向けて送り出す。但し、この4色トナー像が、転写紙Pの第1面(後述のスタック部40上で上を向く面)に転写されるべき第1トナー像である場合には、転写紙Pを送り出さない。よって、このとき、第1中間転写ベルト8上の第1トナー像は、2次転写ニップにおいてニップ圧や2次転写バイアスの作用を受けて第2中間転写ベルト16上に2次転写される。これに対し、第1中間転写ベルト8上の4色トナー像が転写紙Pの第2面(スタック部40上で下を向く面)に転写されるべき第2トナー像である場合に、レジストローラ対28は、この第2トナー像に同期させて転写紙Pを送り出す。よって、第2トナー像は、2次転写ニップにおいて転写紙Pの第2面に2次転写される。そして、転写紙Pの白色と相まってフルカラー画像となる。このとき、2次転写ニップで転写紙Pの第1面と第2中間転写ベルト16との間に挟まれている第1トナー像は、2次転写バイアスの作用によってベルト側に引き寄せられる。このため、転写紙Pの第1面に密着しているが、そこに2次転写されるわけではない。上記第2中間転写ベルト16は、このような静電的な2次転写を実現するのに適した電気抵抗条件になっている。具体的には、ポリイミドやポリアミドイミドなどからなる厚み50〜500[μm]のベルト基体に、フッ素などの低表面エネルギーの材料からなる表面層がコートされ、全体の体積抵抗値が106〜1014になっている。また、表面抵抗率が105〜1015[Ω/□]に調整されている。
【0016】
上述の第1転写ユニット15において、2次転写バックアップローラ12は、第1中間転写ベルト8を、その移動方向がほぼ反転するような形状で張架している。そして、移動方向を反転させつつある第1中間転写ベルト部分を第2中間転写ベルト16に当接させて2次転写ニップを形成している。よって、2次転写ニップの出口では、第1中間転写ベルト8が転写紙Pから離間し、転写紙Pが第2中間転写ベルト16の表面だけに保持されて搬送されるようになる。そして、第2中間転写ベルト16の無端移動に伴って、後段転写部である3次転写部に送られる。この3次転写部では、第2中間転写ベルト16の3次転写バックアップローラ22による張架部分に対し、転写チャージャ23が所定の間隙を介して配設されている。第2中間転写ベルト16上の転写紙Pは、この3次転写部を通過する際に、転写チャージャ23によって第2面側にトナーと反対極性(例えばプラス極性)の電荷が付与される。これにより、転写紙Pの第1面と第2中間転写ベルト16との間に挟まれていた第1トナー像が転写紙Pの第1面に3次転写されてフルカラー画像になる。
【0017】
以上のようにして両面転写を実現する本プリンタ100では、第1転写ユニット15と第2転写ユニット25との組合せにより、記録体たる転写紙Pの両面に可視像たる4色トナー像を静電転写する両面転写手段が構成されている。なお、1次転写バイアスや2次転写バイアスが印加される部材として、ローラ(9,17)ではなく、ブラシなど他の形状のものを用いてもよい。また、転写バイアスを部材に印加する静電転写方式ではなく、非接触放電式を採用してもよい。
【0018】
上記3次転写バックアップローラ22は、第2中間転写ベルト16をほぼ90[°]に折り曲げるような形状で張架している。このような張架形状では、上記3次転写部を通過した転写紙Pの先端側が第2中間転写ベルト16の折れ曲がり地点付近でベルトから離間して、ベルトの折れ曲がり前の移動方向(図中矢印D方向)に延出する。この移動方向側には、定着手段たる定着装置30が配設されている。よって、第2中間転写ベルト16から離間した転写紙Pは、定着装置30内に送られる。
【0019】
上記定着装置30は、互いに順方向に回転しながら当接して定着ニップを形成する第1定着ローラ30a,第2定着ローラ30bを有している。これらは、何れも図示しないハロゲンランプ等の発熱手段を有している。そして、第1定着ローラ30aは、転写紙Pの第1面に接触しながら回転して第1面を加熱する。また、第2定着ローラ30bは、転写紙Pの第2面に接触しながら回転して第2面を加熱する。転写紙Pが加熱されると、転写紙Pの第1面、第2面に保持されている第1トナー像、第2トナー像中のトナーが軟化して、それぞれ紙面の微妙な凹凸に馴染んでいく。そして、後の冷却によって硬化して転写紙P上に定着する。定着装置30は、転写紙Pを2つの定着ローラ間に挟み込んで両面側から加熱することで、片面側だけから加熱してその両面を昇温せしめる場合に比べ、トナー像を効率良く両面に定着させることができる。
【0020】
上記第1定着ローラ30a、第2定着ローラ30bの線速については、給紙路35から第2転写ユニット25外への通紙速度であるプロセス線速よりも、5[%]程度遅い速度に設定されている。このことにより、先端側が2つの定着ローラ間に挟み込まれた転写紙Pを定着ローラの回転に伴って引っ張って、その後端側を第2中間転写ベルト16上で引きずってしまうことによる第1トナー像の乱れを抑えることができる。また、転写紙Pをプロセス線速よりも遅い線速で定着ニップに通過させて、第1トナー像及び第2トナー像をより確実に定着させることができる。
【0021】
上記定着装置30と通過した転写紙Pは、反転ガイド部材31に沿って移動して反転した後、排紙ローラ対32を経て機外へと排出される。そして、プリンタ本体の筺体の上面に形成されたスタック部40にスタックされる。
【0022】
上記第1定着ローラ30a、第2定着ローラ30bは、それぞれ図示しない温度検知手段によって表面温度が検知される。この温度検知手段は、上記ボトル収容器54の図中右側方に配設された制御部E2に送信する。制御部E2は、温度検知手段から送られてくる表面温度の検知結果に基づいて、各定着ローラの上記発熱手段に対する電源供給をON/OFF制御して、それぞれの表面温度を一定範囲(目標範囲)に維持する。よって、本プリンタ100では、定着手段の記録体に対する加熱温度を制御する加熱温度制御手段が構成されている。
【0023】
上記3次転写部を通過した後の第2中間転写ベルト16は、第2クリーニングバックアップローラ21と第2クリーニング装置18との間に挟み込まれて、表面の転写残トナーが機械的又は静電的にクリーニングされる。クリーニングによって第2クリーニング装置18に回収された転写残トナーは、スクリュウ部材等によって廃トナー収容器に落とし込まれる。廃トナー収容器24を第2クリーニング装置18とは別に設けることで、廃トナーの取り扱い性を向上させることができる。
【0024】
上記第2クリーニング装置18が第2中間転写ベルト16に常に当接していると、第2中間転写ベルト16上に2次転写された第1トナー像もクリーニングしてしまうことになる。そこで、第2クリーニング装置18は、図示しない揺動機構によって揺動軸18aを中心に図中矢印方向に揺動せしめられることで、第2中間転写ベルト16に接離するようになっている。そして、少なくともそのクリーニング位置を第1トナー像が通過する間は、第2中間転写ベルト16から離間して、第1トナー像のクリーニングを回避する。
【0025】
上記第1中間転写ベルト8を定着装置30からの放射熱によって昇温させてしまう場合には、第1中間転写ベルト8を冷却する冷却手段を設けることが望ましい。この冷却手段の配設位置については、第1ベルトクリーニング装置30によってクリーニングされた後、各1次転写ニップに進入する前のベルト部分をクリーニングできる位置にする。このような位置にすることで、定着装置30の熱を、第1中間転写ベルト8を介して各感光体に伝えてしまうことによる感光体劣化や画質劣化を抑えることができる。なお、冷却手段としては、第1中間転写ベルト8に接触しながらそれを冷却する冷却部材を用いる方法や、送風によって冷却する方法などが挙げられる。但し、後者の方法では、送風によって生じせしめた乱流によって未定着のトナー像を乱すおそれがあるので、装置内部での気流について考慮する必要がある。また、冷却部材としては、ヒートパイプを用いるとよい。
【0026】
本プリンタ100のように、感光体等の像担持体を複数並べて配設し、それぞれで形成した可視像を連続的に重ね合わせ転写して多色画像等の重ね合わせ画像を形成する方式をタンデム方式という。これに対し、1つの像担持体に可視像を形成して中間転写体に転写した後、再び像担持体に可視像を形成して中間転写体上の可視像に重ね合わせ転写する工程を繰り返して重ね合わせ画像を形成する方式もある。この方式では、可視像の形成、転写という工程を繰り返し行わなくてはならない。一方、タンデム方式では、重ね合わせ転写すべき複数の可視像をそれぞれに対応する像担持体上でほぼ同時に形成することができるので、画像形成速度を大幅に速めることができる。
【0027】
上述したように、上記第1トナー像は上記第2トナー像に先行して形成される。そして、2次転写ニップで第1中間転写ベルト8から第2中間転写ベルト16に2次転写された後、上記3次転写部で転写紙の第1面に3次転写される。この第1面とは、上記スタック部40で上方を向く面である。よって、スタック部40にスタックされる転写紙Pは、先行して形成された第1トナー像を上に向け、且つその後に形成された第2トナー像を下に向けた状態で順次スタックされていく。本プリンタ100は、このようにスタックされていく転写紙Pの頁番号を小さい方から順に揃えるべく、奇数、偶数と連続する2つの頁番号の画像について、頁番号の大きい方を先に上記第1トナー像として形成する。例えば1頁目の画像に先行して2頁目の画像を第1トナー像として形成するのである。そうすると、数頁にわたる原稿を連続して出力しても、スタック部40において、頁番号を下から順に揃えることが可能になる。但し、転写紙Pの第2面だけに画像を形成する片面処理を実行する際には、頁番号の小さい画像から順に形成していき、それぞれ転写紙Pの第2面に2次転写せしめる。このことにより、片面処理においても、スタック部40で頁番号を下から順に揃えることができる。
【0028】
4つの感光体1Y,M,C,Kにおいて、上記第2トナー像は非鏡像(以下、正像という)として形成される。これは、形成された第2トナー像が、1次転写、2次転写という2回の転写工程を経て転写紙Pに至る過程で鏡像、正像と変化するからである。各感光体ドラム上で正像として形成されることで、転写紙Pの第2面においても正像になるのである。これに対し、第1トナー像は、3次転写まで行われるため、第2トナー像よりも転写工程が1回多くなる。よって、各感光体ドラム上で鏡像として形成される。このことにより、転写毎に正像、鏡像、正像と変化して、転写紙Pの第1面において正像となることができる。
【0029】
プリンタ100の筺体の一部は、側方カバー50となっている。この側方カバー50は、回動軸50aを中心に回動自在に構成され、第2転写ユニット25と廃トナー収容器24と、定着装置30とを内包している。そして、回動軸50aを中心に図中時計回りに回転せしめられることで、プリンタ本体から見開かれた状態になる。この状態では、側方カバー50とともに回転した第2転写ユニット25がプリンタ本体側に固定された第1転写ユニット15から大きく離間し、2次転写ニップを形成しなくなる。また、2つの紙収容カセット26a,bから排紙ローラ対32に至るまでの紙搬送路が縦方向に2分して大きく露出する。このことにより、紙搬送路内で発生したジャム紙の処理作業や、紙搬送路回りの各装置の保守点検作業が容易になる。また、第2クリーニング装置18や廃トナー収容器24の交換も可能になる。
【0030】
本プリンタ100は、図3に示すように、パーソナルコンピュータ(以下、パソコンという)200などから送られてくる画像情報信号に基づいて画像を形成する。図3では、パソコン200とプリンタ100とを通信ケーブルによって接続した画像形成システムの例を示したが、無線方式による接続を採用してもよい。プリンタ本体の前面左隅には、タッチパネル等からなる操作表示器51が固定されている。ユーザーは、この操作表示器51のディスプレイに現れるガイド表示に従って、作像プロセス条件や用紙条件等の各種パラメータを入力することができる。上述の片面処理と、両面処理との切替については、この操作表示器51に用意されているモード切替ボタンを操作することによって行う。
【0031】
プリンタ本体の前面には、前扉52が開閉自在に設けられている。前扉52が開かれると、図示しない上記第1転写ユニット(15)を支持する支持体53が大きく露出する。この支持体53は、図示しないガイドレール上をプリンタ本体の前後方向にスライド移動可能に構成され、プリンタ本体内から前面側に向けて引き出されることで、上記第1転写ユニット(15)を露出させる。そして、この露出により、上記第1転写ユニットの保守点検作業を容易にしている。また、前扉52が開かれると、支持体53の上方に配設されたボトル収容器54内のトナーボトルBY、BM、BC、BKの端面が露出する。それぞれ端面を露出させたトナーボトルBY、BM、BC、BKは、ボトル収容器54に対してプリンタ前後方向に着脱可能される。前扉52を開けば、プリンタ本体に対するトナーボトルBY、BM、BC、BKの前後方向への着脱が可能になる構成である。スタック部40が形成されているプリンタ本体上面を開閉自在な上扉とし、これを開いてトナーボトルBY、BM、BC、BKを上下方向に着脱するといった構成ではない。このため、オプションの図示しないスキャナ装置をプリンタ100の上方に配設してコピー機を構成する場合でも、トナーボトルBY、BM、BC、BKを着脱することができる。2つの紙収容カセット26a,bは、前扉52の下方に配設され、前後方向のスライド移動によってプリンタ本体から着脱されるように構成されている。前扉52を開いても、紙収容カセット26a,bの着脱や、操作表示器51への入力の操作性を損ねることはない。
【0032】
次に、本実施形態に係るプリンタ100の特徴的な構成について説明する。
両面処理において、第2加熱手段たる上記第2定着ローラ30bは、これに接触する転写紙Pの第2面に担持されている上記第2トナー像のトナーを十分に軟化させ得る値にその表面温度が制御される。また、第1加熱手段たる上記第1定着ローラ30aも、これに接触する転写紙Pの第1面に担持されている上記第1トナー像のトナーを十分に軟化させ得る値にその表面温度が制御される。ところが、片面処理においては、転写紙Pの第1面に上記第1トナー像が形成されないので、第1定着ローラ30aによって第1トナー像のトナーを軟化させる必要がない。それにもかかわらず、第1トナー像のトナーを軟化させるのに十分な値に第1定着ローラ30aの表面温度を制御してしまうと、エネルギーを無駄に消費してしまうことになる。そこで、上記制御部E2は、片面処理において、第1定着ローラ30aの表面温度を両面処理の場合よりも低く制御するように構成されている。
【0033】
なお、片面処理においては、上記3次転写部における第1トナー像の3次転写が不要になる。そこで、本プリンタ100は、片面処理の場合に第2転写ユニット25の転写チャージャ23を不作動にするように構成されている。これによって3次転写部で転写紙Pに無駄なチャージをかけないことによっても、片面処理における無駄なエネルギー消費を抑えることができる。
【0034】
また、転写紙Pを第1定着ローラ30a、第2定着ローラ30bによって両面側から加熱する例について説明したが、何れか一方の側から加熱させるようにしてもよい。この場合、その一方の側が第1面側であるか第2面側であるかにかかわらず、片面処理時の加熱温度を両面処理時よりも低くすることで、転写紙Pの第1面に対する加熱温度も低くすることができる。
【0035】
また、転写紙Pを加熱部材である第1定着ローラ30aや第2定着ローラ30aとの接触によって加熱する例について説明したが、光照射や熱風照射によって非接触方式で加熱するようにしてもよい。但し、加熱部材を接触させる直接方式を採用することで、非接触方式よりも消費エネルギー量を少なくし得るのが一般的である。また、直接方式では、加熱部材を無端移動させるなどして、転写紙Pに搬送力を付与しながら加熱処理を施すことができるので、搬送力付与部材と加熱手段とを別々に設ける場合に比べて省スペース化を図ることができる。
【0036】
両面処理において、第1定着ローラ30aの表面温度と、第2定着ローラ30bの表面温度との差を大きくし過ぎると、転写紙Pの第1面と第2面とで画像の光沢性の違いを目立たせるなど、画質に大きな差が生じてしまう。よって、互いの表面温度差をある程度小さくすることが望ましい。しかしながら、両方の表面温度を全く同じ値にする必要はない。むしろ、ある程度の差を設けた方が、有利な場合もある。例えば、第1定着ローラ30aの表面温度を、第2定着ローラ30bよりも10[℃]低く設定したとする。すると、転写紙Pの第1面は、第1定着ローラ30aによって第2定着ローラ30bの表面温度よりも10[℃]低い温度まで直接加熱される。しかし、この温度で加熱が終了するとは限らない。転写紙Pとして普通紙などの厚みの比較的薄いものを用いた場合には、第2定着ローラ30bによって直接加熱される第2面側からの熱伝導によって第1面を更に加熱することができる。よって、表面温度差を適切な値に留めれば、両面に画質の差を殆ど生ずることなく、省エネルギー化を図ることができる。そこで、上記制御部E2は、両面処理において(ひいては片面処理においても)、第1定着ローラ30aの表面温度を第2定着ローラ30bの表面温度よりも低く制御するように構成されている。例えば、両面処理において、第1定着ローラ30a、第2定着ローラ30bの表面温度を、それぞれ160[℃]、170[℃]に制御する。そして、片面処理において、第2定着ローラ30bの表面温度を同様に170[℃]に制御する一方で、第1定着ローラ30aの表面温度を160[℃]よりも更に低く制御を実施するのである。
【0037】
なお、本発明者らの鋭意研究によれば、転写紙Pとして普通紙を用いた場合に、第1面と第2面とに20[℃]よりも大きな加熱温度差を設けると、両面の画像間に光沢性の差が認められるようになることがわかった。よって、両面処理において、第1定着ローラ30a、第2定着ローラ30bの表面温度差を20[℃]以下に留めることが望ましい。
【0038】
本プリンタ100は、上述のように、転写紙Pの第1面に転写する上記第1トナー像に対して、転写紙Pの第2面に転写する上記第2トナー像よりも1回多く転写工程を経由させている。このように第1トナー像に転写工程を多く経由させることで、同一のプロセスユニット群(6Y〜K)で形成した第1トナー像、第2トナー像を、それぞれ転写紙Pの反対側の面に対向せしめて転写することができる。よって、それぞれを形成するための専用のプロセスユニット群(6Y,M,C,K)を設けることによるコストアップを回避することができる。
【0039】
図4は、本プリンタ100の電気回路の一部を示すブロック図である。図において、制御部E2は、図示しないCPU(演算手段)やRAM(記憶手段)等から構成されている。これには、上記第1定着ローラ(30a)、第2定着ローラ(30b)の表面温度をそれぞれ検知する第1温度検知手段70、第2温度検知手段71が接続されている。また、受信部72、上記操作表示器51、第1電源スイッチ74、第2電源スイッチ76、補助スイッチ77なども接続されている。上記受信部76は、パソコン200からの信号を受信して制御部E2に送る。これらの他、電気回路内には、発熱電源73、第1発熱手段75、第2発熱手段78などが配設されている。
【0040】
上記第1発熱手段75、第2発熱手段78は、それぞれ上記第1定着ローラ(30a)、第2定着ローラ(30b)に内包されて発熱する。第1発熱手段75は、その定格電力が300[W]になっており、それに電源を供給する発熱電源73に第1電源スイッチ74を介して接続されている。一方、第2発熱手段78は、定格電力600[W]の第2主発熱手段78aと、定格電力300[W]の第2副発熱手段とを有している。第2主発熱手段78aは、第2電源スイッチ76を介して発熱電源73に接続されている。また、第2副発熱手段78bは、第2電源スイッチ76と補助スイッチ77とを介して発熱電源73に接続されている。
【0041】
上記制御部E2は、ユーザーによって両面処理が指定された場合、第1温度検知手段70から送られてくる第1定着ローラ表面温度の検知結果と、予め記憶している第1目標値T1とを比較する。そして、比較結果に基づいて第1電源スイッチ74を入り切りさせて、第1発熱手段75に対する電源供給をON/OFF制御することで、上記第1定着ローラ(30a)の表面温度を第1目標値T1付近に維持する。これに対し、片面処理が指定された場合、第1定着ローラ(30a)の表面温度を第1目標値T1よりも低くするような制御を行う。これにより、無駄なエネルギー消費が抑えられる。
【0042】
また、上記制御部E2は、両面処理、片面処理の何れが指定された場合でも、第2温度検知手段71から送られてくる第2定着ローラ表面温度の検知結果と、予め記憶している第2目標値T2とを比較する。そして、比較結果に基づいて第2電源スイッチ76を入り切りさせて、第2主発熱手段78aや第2副発熱手段78bに対する電源供給をON/OFF制御して、上記第2定着ローラ(30b)の表面温度を第2目標値T2付近に維持する。但し、両面処理が指定された場合には補助スイッチ77を切るのに対し、片面処理が指定された場合には補助スイッチ77を入れる。よって、片面処理が指定された場合には、第2主発熱手段78aだけに電源が供給される。両面処理、片面処理の何れにおいても、第2定着ローラ表面温度が第2目標値T2付近に維持されることに変わりはない。しかし、片面処理の場合には、第2発熱手段78の定格電力が600[W]から900(600+300)[W]にアップするため、第2定着ローラ(30b)の加熱能力が高められることになる。よって、制御手段E2は、片面処理のときには両面処理のときよりも第2定着ローラ(30b)の加熱能力を高めているのである。
【0043】
このように加熱能力を高めるのは、次に説明する理由による。即ち、転写紙Pに対してその第2面だけに画像を形成する片面処理では、第1中間転写ベルト8上に上記第2トナー像だけが形成される。このため、第1中間転写ベルト8上の第1トナー像を第2中間転写ベルト16上に2次転写してから転写紙Pの第1面に3次転写するといったことが行われない。そして、複数の転写紙Pに対して片面処理を施す片面連続プリント時には、2次転写ニップにおいて、第1中間転写ベルト8から転写紙Pの第2面への第2トナー像の転写が連続的に行われる。このような連続的な転写では、第2中間転写ベルト16上の第1トナー像との同期を待って転写紙Pを2次転写ニップに送るといったことが行われず、転写紙Pが連続的に送られることになる。このため、定着装置(30)への供給紙間隔が飛躍的に短くなる。そして、定着装置(30)内において、転写紙Pの第2面によって第2定着ローラ(30b)の熱を奪う頻度が増大する。この増大により、奪われる熱量が第2発熱手段78の発熱量を上回り、第2定着ローラ表面温度が第2目標値T2まで昇温されなくなるおそれがある。そうなると、加熱温度不足による第2トナー像の定着不良が発生してしまう。そこで、片面処理の場合には、第2定着ローラ(30b)の加熱能力を高めて、転写紙Pの第2面を確実に加熱させるようにしているのである。
【0044】
なお、両面処理のときに、300[W]の第1発熱手段75と、600[W]の第2主発熱手段78aとの組合せによって第1面側、第2面側をそれぞれ異なる加熱能力にする例について説明した。しかしながら、第1面側、第2面側をそれぞれ同じ加熱能力にしてもよい。
【0045】
次に、上記実施形態に係るプリンタ100に、より特徴的な構成を付加した各実施例装置について説明する。
[第1実施例装置]
転写紙Pの第2面に対する加熱については、当然ながら第1面側から加熱するよりも第2面側から加熱する方が、効率が良く且つ少ないエネルギー量で済む。よって、第1面に対する加熱の必要がない片面処理においては、第2面側からの加熱だけを実施する場合に、無駄なエネルギー消費を最も有効に抑えることができる。第1面側からの加熱も併用すると、たとえ第1定着ローラ表面温度を両面処理のときよりも低い温度で昇温させて省エネルギー化を図ったとしても、無駄なエネルギーロスがでてしまう。
【0046】
そこで、本第1実施例装置は、片面処理のときに第1発熱手段75の発熱を停止させ、上記第2定着ローラ(30b)による加熱だけを行うようになっている。具体的には、片面処理のときには、制御部E2が第1定着ローラ表面温度にかかわらず、第1電源スイッチ74を切るようになっている。これにより、第1発熱手段75に対する電源供給が停止して、第1発熱手段が発熱を停止する。
【0047】
[第2実施例装置]
上述の第1変形例装置では、第1発熱手段75の発熱を停止させて片面処理における無駄なエネルギー消費を最も有効に抑えることができる一方で、次のようなデメリットがある。即ち、片面処理において、第1発熱手段75の発熱を停止した第1定着ローラ(30a)は、第2定着ローラ(30b)から直接又は転写紙Pを介した熱伝達を受けるため、その表面温度が機内温度よりも高く維持される。しかし、第2定着ローラ(30b)に比べれば、その表面温度は遙かに低い値である。このように第1定着ローラ(30a)の表面温度を低くした状態で、両面処理を開始してしまうと、第1トナー像の定着不良を生じたり、転写紙Pの両面で画質に著しい差を引き起こしたりといった問題が生ずる。よって、このような問題を回避すべく、両面処理の開始に先立って、ウオーミングアップが必要になる。第1発熱手段75への電源供給を再開して、第1定着ローラ(30a)の表面温度を所望の値まで高めるというウオーミングアップである。かかるウオーミングアップの実施は、ユーザーを長時間待たせることになる。
【0048】
そこで、本第2変形例装置は、片面処理において、第1発熱手段75を発熱させながら、第1定着ローラ(30a)の表面温度を両面処理の場合よりも低い温度に制御するようになっている。具体的には、片面処理のときには、制御部E2が第1定着ローラ表面温度にかかわらず、第1電源スイッチ74を入れる。また、上記第1目標値T1(例えば160℃)に代えて、これよりも低い値の第1目標値T1’(例えば150℃)を用いる。そして、この第1目標値T1’と、第1定着ローラ表面温度との比較結果に基づいて、第1電源スイッチ74を入り切りして、第1定着ローラ表面温度を第1目標値T1’付近に維持する。
【0049】
なお、本発明者らは鋭意研究により、次のようなことを確認している。即ち、せっかく第1発熱手段75を発熱させても、上記表面温度差を50[℃]より大きくした設定では、第1発熱手段75を発熱させない場合と同様に、ウオーミングアップ時間が長くなってしまうのである。よって、片面処理における上記表面温度差については、50[℃]以下に留めることが望ましい。
【0050】
図5は、本第2変形例装置の定着装置30を示す要部構成図である。定着装置30は、上記第1定着ローラ(30a)の代わりに、第1定着ベルトユニット30a’を有している。この第1定着ベルトユニット30a’は、加熱ベルトを複数の張架ローラによって張架しながら無端移動させる。これら張架ローラのうち、何れか1つは図示しない第1発熱手段を内包しており、加熱ベルトを張架しながら昇温せしめる。第2定着ローラ30bは、互いに隣り合う2つの張架ローラ間を架橋している加熱ベルト部分に食い込んでベルト長さ方向に大きく延在する定着ニップを形成している。このような構成の第1定着ベルトユニット30a’では、次に説明する理由により、上記第1定着ローラ(30a)よりも熱容量を小さくすることができる。即ち、互いに当接する2つの加熱部材によって形成された定着ニップに転写紙Pを通してそれに両面定着を施す場合、ある程度の加熱時間を確保し得るように、定着ニップをある程度長く形成する必要がある。そして、2つの加熱部材として実施形態のような第1定着ローラ(30a)、第2定着ローラ(30b)を用いる場合、少なくとも何れか一方のローラの表面を大きな厚みの弾性材料(例えばゴム)で被覆する必要がある。弾性材料をもう一方との当接によって柔軟に変形させて、定着ニップを所望の長さにするためである。このように大きな厚みの弾性材料には、多くの熱を蓄積させてしまうため、熱容量がある程度大きくなってしまう。これに対し、定着ベルトユニットと、これに当接する定着ローラとを用いる場合には、加熱ベルトを定着ローラ周面の一部に巻き付けることで定着ニップの長さを確保することができる。このため、定着ローラに弾性材料を被覆する必要がなく、被覆するにしてもその厚みを大幅に低減することができる。また、加熱ベルトを昇温せしめる張架ローラについても同様である。加熱ベルトに対しては蓄熱させることになるが、ある程度厚みの小さいものを用いることで、2つの定着ローラを当接させる場合に比べ、熱容量を小さくすることができるのである。
【0051】
なお、図5では、2つの加熱部材のうち、転写紙Pの第1面を加熱する方を定着ベルトユニットに構成した例を示したが、両方を定着ベルトユニットにしてもよい。また、一方を定着ベルトユニットにする場合には、図5に示したように、第1面を加熱する第1定着ベルトユニット30a’を設けることが望ましい。片面処理と両面処理とで加熱部材の表面温度の切り替えが必要になる方をより熱容量の小さな定着ベルトユニットにすることで、より迅速に表面温度を変化させることができるからである。
【0052】
これまで、像担持体としてドラム状の感光体を用いたプリンタ100や実施例装置について説明したが、ベルト上の感光体など、他の方式のものを用いてもよい。また、中間転写体については、ベルト方式のものに限られず、ローラ方式などもものでも良い。また、粉体トナーではなく、トナーと液体キャリアとを含有する液体現像剤を用いる画像形成装置にも本発明の適用が可能である。また、フルカラー画像を形成する例について説明したが、1つの感光体(像担持体)を用いて単色画像を形成する画像形成装置でもよい。また、電子写真方式のプリンタについて説明したが、直接記録方式の画像形成装置にも本発明の適用が可能である。この直接記録方式とは、潜像担持体によらず、トナー飛翔装置からドット状に飛翔させたトナー群を中間転写体や記録体に直接付着させて画素像を形成することで、画像を直接形成する方式である。本発明に係る画像形成装置の直接記録方式では、トナー飛翔装置から飛翔したトナーが付着せしめられる中間転写体が像担持体としての機能を発揮することになる。
【0053】
以上、実施形態に係るプリンタ100や各実施例装置においては、転写紙Pの第1面に対する加熱温度である第1定着ローラ(又は加熱ベルト)表面温度を、次のようにする制御が実施される。即ち、両面処理や片面処理において、第1定着ローラ表面温度を、転写紙Pの第2面に対する加熱温度である第2定着ローラ表面温度よりも低くする制御である。このような制御を実施することで、表面温度差を適切な値に留めた場合には、転写紙Pの両面に画質の差を殆ど生ずることなく、省エネルギー化を図ることができる。
【0054】
また、第1実施例装置においては、第1発熱手段75の発熱によって転写紙Pの第1面を加熱する第1定着ローラ(30a)と、第2発熱手段78の発熱によって転写紙Pの第2面を加熱する第2定着ローラ(30b)とを定着装置(30)に有している。そして、片面処理のときには、第1発熱手段75の発熱を停止させるようになっている。第1定着ローラ(30a)と第2定着ローラ(30b)とを有することで、両面処理のときには転写紙Pを両面側から加熱して、片面側から加熱する場合よりも省エネルギー化を図ることができる。更に、片面処理のときに第1発熱手段の発熱を停止させることで、転写紙Pに対して第2面側からの加熱だけを施して、無駄なエネルギー消費を最も有効に抑えることができる。
【0055】
また、第2実施例装置においては、第1発熱手段の発熱によって転写紙Pの第1面を加熱する第1定着ベルトユニット(30a’)と、第2発熱手段78の発熱によって転写紙Pの第2面を加熱する第2定着ローラ(30b)とを定着装置(30)に有している。そして、片面処理のときには、第1発熱手段を発熱させながら、第1定着ベルトユニット(30’)による転写紙Pの第1面の加熱温度を両面処理のときよりも低い温度に制御するようになっている。第1定着ベルトユニット(30a’)と第2定着ローラ(30b)とを有することで、両面処理のときには転写紙Pを両面側から加熱して、片面側から加熱する場合よりも省エネルギー化を図ることができる。更に、片面処理のときに第1面の加熱温度を両面処理のときよりも低い温度に制御することで、両面処理の開始に先立つウオーミングアップの実施によるユーザーの待機時間を短縮することができる。
【0056】
また、プリンタ100や各実施例装置においては、転写紙Pの第1面に転写する第1トナー像については、第2中間転写ベルト16を介在させることで、第2面に転写する第2トナー像よりも多くの転写工程を経由させている。そして、このことにより、同一のプロセスユニット群(6Y〜K)で形成した第1トナー像、第2トナー像を、それぞれ転写紙Pの反対側の面に対向せしめて転写している。よって、第1トナー像、第2トナー像を形成するための専用のプロセスユニット群それぞれ別に設けることによるコストアップを回避することができる。
また、片面処理の場合には、両面処理の場合よりも第2加熱手段78の加熱能力を高めるように制御する加熱能力制御手段たる制御部E2を備えている。このことにより、定着装置(30)への供給紙間隔が飛躍的に短くなる片面処理のときに、第2定着ローラ表面温度を第2目標値T2まで昇温させることができなくなることによる第2トナー像の定着不良を抑えることができる。
【0057】
【発明の効果】
請求項1、2、3、4、5又は6の発明によれば、記録体の両面にワンパス方式で画像を形成し、しかも、片面処理を実施する場合の無駄なエネルギー消費を抑えることができるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態に係るプリンタの概略構成図。
【図2】同プリンタのY用のプロセスユニットを示す拡大構成図。
【図3】同プリンタと、これに接続されるパソコンとによる画像形成システムを示す斜視図。
【図4】プリンタ100の電気回路の一部を示すブロック図。
【図5】第2変形例装置の定着装置を示す要部構成図。
【符号の説明】
1Y,M,C,K 感光体(像担持体)
30 定着装置(定着手段)
30a 第1定着ローラ(第1加熱手段)
30b 第2定着ローラ(第2加熱手段)
70 第1温度検知手段(加熱温度制御手段の一部)
71 第2温度検知手段(加熱温度制御手段の一部)
75 第1発熱手段
78 第2発熱手段
E2 制御部(加熱温度制御手段の一部、加熱能力制御手段)
【発明の属する技術分野】
本発明は、いわゆるワンパス方式で記録体の両面に画像を形成する画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、転写紙等の記録体の両面に画像を形成する方式として、いわゆるスイッチバック方式と、ワンパス方式とが知られている。スイッチバック方式は、転写手段と定着手段とを通過して一方の面に画像が形成された記録体を反転させた後、転写手段と定着手段とにスイッチバックさせて、そのもう一方の面にも画像を形成する方式である。これに対し、ワンパス方式は、両面転写手段によって両面に画像が転写された記録体を定着手段に一度だけ通す方式である。ワンパス方式は、次の点でスイッチバック方式よりも優れている。即ち、スイッチバック用の複雑な機構を設けることによるコストアップ、スイッチバックによる画像形成時間の長期化、定着手段による加熱でカールさせた記録体をスイッチバックさせることによるジャムを、何れも回避し得る点である。
【0003】
かかるワンパス方式を実現する画像形成装置としては、特開平1−209470号公報に記載のものが知られている。この画像形成装置(以下、公報装置という)は、像担持体たるドラム上の感光体に静電潜像を形成した後、これを可視像たるトナー像に現像する。このようにして得たトナー像を、前段転写部、後段転写部に順次通していく。具体的には、まず、感光体と中間転写ベルトとが対向する前段転写部で、感光体上のトナー像を中間転写ベルト上に静電的に中間転写する。次いで、このトナー像を中間転写ベルトの無端移動に伴って再び前段転写部に進入させるタイミングに同期させるように、感光体上に別のトナー像を形成する。また、このタイミングに合わせて、記録体を前段転写位置に送り込む。送り込まれた記録体は、その第1面に中間転写ベルト上のトナー像を接触させた状態で、その第2面に感光体上のトナー像が静電的に転写される。このとき、中間転写ベルト上のトナー像は、感光体側からベルト表面側に向かう静電力を受けるため、記録体の第1面に転写されることはない。前段転写部を通過した記録体は、転写されなかった方のトナー像に接触した状態で、中間転写ベルトの無端移動に伴って後段転写部に進入する。そして、中間転写ベルトと所定の間隙を介して対向している転写チャージャによって第2面にチャージがかけられることで、それまで転写されずにいた中間転写ベルト上のトナー像が第1面に転写される。この転写により、記録体に対する両面転写が完了する。両面転写後の記録体は、互いに当接しながら順方向に回転する定着ローラ対を有する定着手段を通過する際に加熱されて、両面のトナー像がそれぞれ定着せしめられる。以上のようなプロセスを経ることで、記録体を定着手段にスイッチバックさせることなく、その両面に画像を形成することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この画像形成装置では、記録体の一方の面(第2面)だけに画像を形成する片面処理を実施する場合に、定着手段による加熱エネルギーを無駄に消費するおそれがあった。具体的には、片面処理では、トナー像を記録体の一方の面だけに定着させればよく、両面に定着させる場合に比べて少ない加熱量で足りる。にもかかわらず、記録体の両面に画像を形成する両面処理と同じ条件で定着を実施すると、加熱エネルギーを過剰に消費することになる。
【0005】
本発明は、以上の問題点に鑑みなされたものである。そして、その目的とするところは、記録体の両面にワンパス方式で画像を形成し、しかも、片面処理を実施する場合の無駄なエネルギー消費を抑えることができる画像形成装置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、可視像を担持する像担持体と、該像担持体上の可視像を記録体の両面に転写せしめる両面転写手段と、該両面転写手段を経由した後の該記録体を加熱してその両面に可視像を定着せしめる定着手段と、該定着手段の記録体に対する加熱温度を制御する加熱温度制御手段とを用いて記録体の両面に画像を形成し、記録体の第1面及び第2面に画像を形成する両面処理と、記録体の片面として該第2面だけに画像を形成する片面処理とを切替可能に構成された画像形成装置において、上記片面処理の場合には、上記第1面に対する加熱温度を上記両面処理の場合よりも低くする制御を実施させるように、上記加熱温度制御手段を構成したことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の画像形成装置において、上記両面処理や片面処理で、上記第1面に対する加熱温度を上記第2面に対する加熱温度よりも低くする制御を実施させるように、上記加熱温度制御手段を構成したことを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1又は2の画像形成装置であって、第1発熱手段から発した熱によって上記第1面を加熱する第1加熱手段と、第2発熱手段から発した熱によって上記第2面を加熱する第2加熱手段とを有し、且つ、上記片面処理において該第1発熱手段の発熱を停止させることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1又は2の画像形成装置であって、第1発熱手段から発した熱によって上記第1面を加熱する第1加熱手段と、第2発熱手段から発した熱によって上記第2面を加熱する第2加熱手段とを有し、且つ、上記片面処理において、該第1発熱手段を発熱させながら、該第1加熱手段による第1面の加熱温度を上記両面処理の場合よりも低い温度に制御することを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項1、2、3又は4の画像形成装置であって、上記第1面に転写せしめる可視像については、少なくとも1つの中間転写体を介在させることで、上記第2面に転写せしめる可視像よりも多くの転写工程を経由させることを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項5の画像形成装置であって、上記片面処理の場合には、上記両面処理の場合よりも上記第2加熱手段の加熱能力を高めるように制御する加熱能力制御手段を備えることを特徴とするものである。
【0007】
これらの画像形成装置においては、両面転写手段によって両面に可視像が転写された記録体を定着手段に通すことにより、記録体の両面にワンパス方式で画像を形成することができる。
また、記録体の第1面に可視像が形成されず、第2面だけに可視像が形成される片面処理の場合には、記録体の第1面に対する加熱温度を両面処理の場合よりも低くする。かかる構成では、可視像の定着が必要な第2面を適切な加熱温度で加熱して第2面に該可視像を定着せしめる一方で、可視像の定着が不要な第2面に対する加熱温度を両面処理の場合よりも低くして記録体全体に対する加熱量を抑えることが可能になる。よって、片面処理を実施する場合の無駄なエネルギー消費を抑えることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した画像形成装置として、電子写真方式のプリンタ(以下、単にプリンタという)の一実施形態について説明する。
まず、本プリンタの基本的な構成について説明する。図1は、本プリンタの概略構成図である。図において、このプリンタ100は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック(以下、Y、M、C、Kと記す)のトナー像を生成するための4つのプロセスカートリッジ6Y,M,C,Kを備えている。これらは、像形成物質として、互いに異なる色のY,M,C,Kトナーを用いるが、それ以外は同様の構成になっており、寿命到達時に交換される。Yトナー像を生成するためのプロセスカートリッジ6Yを例にすると、図2に示すように、像担持体たるドラム状の感光体1Y、ドラムクリーニング装置2Y、除電装置3Y、帯電装置4Y、現像装置5Y等を備えている。感光体1Yは、例えば、直径10〜100[mm]のアルミ製円筒に光導電性物質である有機半導体の表面層が被覆されたものである。アモルファスシリコン性の表面層が被覆されたものであってもよい。また、ドラム状ではなく、ベルト状のものであってもよい。帯電装置4Yは、図示しない駆動手段によって図中時計回りに回転せしめられる感光体1Yの表面を一様帯電せしめる。一様帯電せしめられた感光体1Yの表面は、レーザ光Lによって露光走査されてY用の静電潜像を担持する。このY用の静電潜像は、Yトナーを用いる現像装置5YによってYトナー像に現像される。そして、後述の第1中間転写ベルト8上に1次転写される。ドラムクリーニング装置2Yは、1次転写工程を経た後の感光体1Y表面に残留したトナーを除去する。また、除電装置3Yは、クリーニング後の感光体1Yの残留電荷を除電する。この除電により、感光体1Yの表面が初期化せしめられて次の画像形成が可能になる。他のプロセスカートリッジ6M,C,Kにおいても、同様にして感光体1M,C,K上にM,C,Kトナー像が形成され、第1中間転写ベルト8上に1次転写される。
【0009】
先に示した図1において、上記プロセスカートリッジ6Y,M,C,Kの図中下方には露光装置7が配設され、その更に下方には画像データ処理装置E1が配設されている。画像データ処理装置E1は、図示しないパーソナルコンピュータ等から送られてくる画像情報信号に基づいて、露光走査制御信号を生成して露光装置7に送る。潜像形成手段たる露光装置7は、この露光走査制御信号に基づいて発したレーザ光Lを、プロセスカートリッジ6Y,M,C,Kにおけるそれぞれの感光体に照射する。この照射を受けて露光された感光体1Y,M,C,K上には、Y,M,C,K用の静電潜像が形成される。なお、露光装置7は、光源から発したレーザ光Lを、モータによって回転駆動したポリゴンミラーで走査しながら、複数の光学レンズやミラーを介して感光体に照射するものである。かかる構成の露光装置7に代えて、LEDアレイからのLED光を照射する露光手段を採用しても良い。また、露光装置7の筐体には、その上方に配設された各感光体1Y,M,C,Kから落下してくるトナーによる内部部品の汚染を防止するために、図示しないシール部材が設けられている。
【0010】
上記画像データ処理装置E1の図中下側には、第1紙収容カセット26a、第2紙収容カセット26b、これらカセットにそれぞれ個別に組み込まれた給紙ローラ27a,b、レジストローラ対28など有する給紙手段が配設されている。レジストローラ対28は、第1レジストローラ28aと第2レジストローラ28bとを有している。記録体収容手段たる2つの紙収容カセット(26a、b)は、記録体たる転写紙Pを複数枚重ねた転写紙束の状態で収容しており、それぞれの一番上の転写紙Pには給紙ローラ27a,bが当接している。これら給紙ローラ27a,bが図示しない駆動手段によって図中反時計回りに回転せしめられると、一番上の転写紙Pが記録体供給路たる給紙路35に向けて送られる。そして、給紙路35の最下流側に配設されているレジストローラ対28のローラ間に至る。レジストローラ対28は、転写紙Pを挟み込むべく両ローラを回転駆動させるが、挟み込んですぐに回転を一旦停止させる。そして、転写紙Pを適切なタイミングで後述の2次転写ニップに向けて送り出す。なお、プリンタ100の下方には、多量の転写紙Pをストックしている給紙バンク101が設けられており、ここからも転写紙Pが給紙路35に向けて送り出されるようになっている。
【0011】
上記プロセスカートリッジ6Y,M,C,Kの図中上方には、第1中間転写ベルト8を張架しながら無端移動せしめる第1転写ユニット15が配設されている。この第1転写ユニット15は、第1中間転写ベルト8の他、4つの1次転写ローラ9Y,M,C,K、第1クリーニング装置10などを備えている。また、2次転写バックアップローラ12、第1クリーニングバックアップローラ13、テンションローラ14なども備えている。第1中間転写ベルト8は、これら3つのローラに張架されながら、少なくとも何れか1つのローラの回転駆動によって図中反時計回りに無端移動せしめられる。1次転写ローラ9Y,M,C,Kは、このように無端移動せしめられる第1中間転写ベルト8を感光体1Y,M,C,Kとの間に挟み込んでそれぞれ1次転写ニップを形成している。これらは第1中間転写ベルト8の裏面(ループ内周面)にトナーとは逆極性(例えばプラス)の1次転写バイアスを印加する方式のものであるが、電極から放電させるチャージャ方式のものであってもよい。上記第1中間転写ベルト8は、1次転写バイアスによる静電転写を実現するのに適した電気抵抗条件になっている。具体的には、樹脂フィルムやゴムなどからなる50〜500[μm]の厚みのベルト基体に、低表面エネルギーの材料からなる表面層がコートされ、全体の体積抵抗値が106〜1014[Ωcm]になっている。また、表面抵抗率は、105〜1015[Ω/□]の範囲に調整されている。1次転写ローラ9Y,M,C,Kを除くローラは、全て電気的に接地されている。
【0012】
上記第1中間転写ベルト8は、その無端移動に伴ってY,M,C,K用の1次転写ニップを順次通過していく。各1次転写ニップでは、感光体1Y,M,C,K上のY,M,C,Kトナー像がニップ圧や1次転写バイアスの作用によって重ね合わせて1次転写される。これにより、第1中間転写ベルト8上に4色重ね合わせトナー像(以下、4色トナー像という)が形成される。第1中間転写ベルトを張架している2次転写バックアップローラ12は、後述の第2中間転写ベルト16に食い込むような配設位置になっている。このような食い込み配置により、第1中間転写ベルト8と第2中間転写ベルト16とをそれぞれ周長方向に広く当接させる2次転写ニップが形成されている。この2次転写ニップは、ワンパス方式の両面転写を実現するための前段転写部である。第1中間転写ベルト8上に形成された可視像たる4色トナー像は、2次転写ニップにおいて第2中間転写ベルト16あるいは転写紙Pに2次転写される。2次転写ニップを通過した後の第1中間転写ベルト8には、第2中間転写ベルト16あるいは転写紙Pに2次転写されなかった転写残トナーが付着している。これは、第1クリーニング装置10によってクリーニングされる。具体的には、第1中間転写ベルト8は、そのおもて面(ループ外面)側に当接するように配設された第1クリーニング装置10と、その裏面側に配設された第1クリーニングバックアップローラ13との間に挟まれる。そして、おもて面上の転写残トナーが第1クリーニング装置10に機械的あるいは静電的に回収されてクリーニングされる。
【0013】
かかる構成の第1転写ユニット15の図中上方には、ボトル収容器54が配設されている。このボトル収容器54内には、各プロセスカートリッジ(6Y,M,C,K)内の現像器に補給するためのトナーを内包するトナーボトルBY,BM,BC,BKが収められている。これらトナーボトルの図中右側方には、プリンタ本体内の空気を外部に排出する冷却ファンF1が配設され、本体内の温度の過昇を防いでいる。
【0014】
また、第1転写ユニット15の図中右側方には、第2中間転写ベルト16を張架しながら無端移動せしめる第2転写ユニット25が配設されている。この第2転写ユニット25は、第2中間転写ベルト16の他、第2クリーニング装置18、転写チャージャ23、廃トナー収容器24などを備えている。また、ニップ拡張ローラ19、2次転写ローラ17、テンションローラ20、第2クリーニングバックアップローラ21、3次転写バックアップローラ22なども備えている。第2中間転写ベルト16は、これら5つのローラに張架されながら、少なくとも何れか1つのローラの回転駆動によって図中時計回りに無端移動せしめられる。上述した第1転写ユニット15の2次転写バックアップローラ12は、ニップ拡張ローラ19と2次転写ローラ17との間の第2中間転写ベルト16架橋部分に食い込んで2次転写ニップを形成している。2次転写ローラ17は、金属製ローラか、あるいは芯金に導電性のゴム層が被覆されたローラで、図示しない電源によってトナーと反対極性(例えばプラス極性)の2次転写バイアスが印加される。第2転写ユニット25におけるこれ以外のローラは全て接地されている。
【0015】
上述したレジストローラ対28は、ローラ間に挟み込んだ転写紙Pを第1中間転写ベルト8上に1次転写された上記4色トナー像に密着させ得るタイミングで上記2次転写ニップに向けて送り出す。但し、この4色トナー像が、転写紙Pの第1面(後述のスタック部40上で上を向く面)に転写されるべき第1トナー像である場合には、転写紙Pを送り出さない。よって、このとき、第1中間転写ベルト8上の第1トナー像は、2次転写ニップにおいてニップ圧や2次転写バイアスの作用を受けて第2中間転写ベルト16上に2次転写される。これに対し、第1中間転写ベルト8上の4色トナー像が転写紙Pの第2面(スタック部40上で下を向く面)に転写されるべき第2トナー像である場合に、レジストローラ対28は、この第2トナー像に同期させて転写紙Pを送り出す。よって、第2トナー像は、2次転写ニップにおいて転写紙Pの第2面に2次転写される。そして、転写紙Pの白色と相まってフルカラー画像となる。このとき、2次転写ニップで転写紙Pの第1面と第2中間転写ベルト16との間に挟まれている第1トナー像は、2次転写バイアスの作用によってベルト側に引き寄せられる。このため、転写紙Pの第1面に密着しているが、そこに2次転写されるわけではない。上記第2中間転写ベルト16は、このような静電的な2次転写を実現するのに適した電気抵抗条件になっている。具体的には、ポリイミドやポリアミドイミドなどからなる厚み50〜500[μm]のベルト基体に、フッ素などの低表面エネルギーの材料からなる表面層がコートされ、全体の体積抵抗値が106〜1014になっている。また、表面抵抗率が105〜1015[Ω/□]に調整されている。
【0016】
上述の第1転写ユニット15において、2次転写バックアップローラ12は、第1中間転写ベルト8を、その移動方向がほぼ反転するような形状で張架している。そして、移動方向を反転させつつある第1中間転写ベルト部分を第2中間転写ベルト16に当接させて2次転写ニップを形成している。よって、2次転写ニップの出口では、第1中間転写ベルト8が転写紙Pから離間し、転写紙Pが第2中間転写ベルト16の表面だけに保持されて搬送されるようになる。そして、第2中間転写ベルト16の無端移動に伴って、後段転写部である3次転写部に送られる。この3次転写部では、第2中間転写ベルト16の3次転写バックアップローラ22による張架部分に対し、転写チャージャ23が所定の間隙を介して配設されている。第2中間転写ベルト16上の転写紙Pは、この3次転写部を通過する際に、転写チャージャ23によって第2面側にトナーと反対極性(例えばプラス極性)の電荷が付与される。これにより、転写紙Pの第1面と第2中間転写ベルト16との間に挟まれていた第1トナー像が転写紙Pの第1面に3次転写されてフルカラー画像になる。
【0017】
以上のようにして両面転写を実現する本プリンタ100では、第1転写ユニット15と第2転写ユニット25との組合せにより、記録体たる転写紙Pの両面に可視像たる4色トナー像を静電転写する両面転写手段が構成されている。なお、1次転写バイアスや2次転写バイアスが印加される部材として、ローラ(9,17)ではなく、ブラシなど他の形状のものを用いてもよい。また、転写バイアスを部材に印加する静電転写方式ではなく、非接触放電式を採用してもよい。
【0018】
上記3次転写バックアップローラ22は、第2中間転写ベルト16をほぼ90[°]に折り曲げるような形状で張架している。このような張架形状では、上記3次転写部を通過した転写紙Pの先端側が第2中間転写ベルト16の折れ曲がり地点付近でベルトから離間して、ベルトの折れ曲がり前の移動方向(図中矢印D方向)に延出する。この移動方向側には、定着手段たる定着装置30が配設されている。よって、第2中間転写ベルト16から離間した転写紙Pは、定着装置30内に送られる。
【0019】
上記定着装置30は、互いに順方向に回転しながら当接して定着ニップを形成する第1定着ローラ30a,第2定着ローラ30bを有している。これらは、何れも図示しないハロゲンランプ等の発熱手段を有している。そして、第1定着ローラ30aは、転写紙Pの第1面に接触しながら回転して第1面を加熱する。また、第2定着ローラ30bは、転写紙Pの第2面に接触しながら回転して第2面を加熱する。転写紙Pが加熱されると、転写紙Pの第1面、第2面に保持されている第1トナー像、第2トナー像中のトナーが軟化して、それぞれ紙面の微妙な凹凸に馴染んでいく。そして、後の冷却によって硬化して転写紙P上に定着する。定着装置30は、転写紙Pを2つの定着ローラ間に挟み込んで両面側から加熱することで、片面側だけから加熱してその両面を昇温せしめる場合に比べ、トナー像を効率良く両面に定着させることができる。
【0020】
上記第1定着ローラ30a、第2定着ローラ30bの線速については、給紙路35から第2転写ユニット25外への通紙速度であるプロセス線速よりも、5[%]程度遅い速度に設定されている。このことにより、先端側が2つの定着ローラ間に挟み込まれた転写紙Pを定着ローラの回転に伴って引っ張って、その後端側を第2中間転写ベルト16上で引きずってしまうことによる第1トナー像の乱れを抑えることができる。また、転写紙Pをプロセス線速よりも遅い線速で定着ニップに通過させて、第1トナー像及び第2トナー像をより確実に定着させることができる。
【0021】
上記定着装置30と通過した転写紙Pは、反転ガイド部材31に沿って移動して反転した後、排紙ローラ対32を経て機外へと排出される。そして、プリンタ本体の筺体の上面に形成されたスタック部40にスタックされる。
【0022】
上記第1定着ローラ30a、第2定着ローラ30bは、それぞれ図示しない温度検知手段によって表面温度が検知される。この温度検知手段は、上記ボトル収容器54の図中右側方に配設された制御部E2に送信する。制御部E2は、温度検知手段から送られてくる表面温度の検知結果に基づいて、各定着ローラの上記発熱手段に対する電源供給をON/OFF制御して、それぞれの表面温度を一定範囲(目標範囲)に維持する。よって、本プリンタ100では、定着手段の記録体に対する加熱温度を制御する加熱温度制御手段が構成されている。
【0023】
上記3次転写部を通過した後の第2中間転写ベルト16は、第2クリーニングバックアップローラ21と第2クリーニング装置18との間に挟み込まれて、表面の転写残トナーが機械的又は静電的にクリーニングされる。クリーニングによって第2クリーニング装置18に回収された転写残トナーは、スクリュウ部材等によって廃トナー収容器に落とし込まれる。廃トナー収容器24を第2クリーニング装置18とは別に設けることで、廃トナーの取り扱い性を向上させることができる。
【0024】
上記第2クリーニング装置18が第2中間転写ベルト16に常に当接していると、第2中間転写ベルト16上に2次転写された第1トナー像もクリーニングしてしまうことになる。そこで、第2クリーニング装置18は、図示しない揺動機構によって揺動軸18aを中心に図中矢印方向に揺動せしめられることで、第2中間転写ベルト16に接離するようになっている。そして、少なくともそのクリーニング位置を第1トナー像が通過する間は、第2中間転写ベルト16から離間して、第1トナー像のクリーニングを回避する。
【0025】
上記第1中間転写ベルト8を定着装置30からの放射熱によって昇温させてしまう場合には、第1中間転写ベルト8を冷却する冷却手段を設けることが望ましい。この冷却手段の配設位置については、第1ベルトクリーニング装置30によってクリーニングされた後、各1次転写ニップに進入する前のベルト部分をクリーニングできる位置にする。このような位置にすることで、定着装置30の熱を、第1中間転写ベルト8を介して各感光体に伝えてしまうことによる感光体劣化や画質劣化を抑えることができる。なお、冷却手段としては、第1中間転写ベルト8に接触しながらそれを冷却する冷却部材を用いる方法や、送風によって冷却する方法などが挙げられる。但し、後者の方法では、送風によって生じせしめた乱流によって未定着のトナー像を乱すおそれがあるので、装置内部での気流について考慮する必要がある。また、冷却部材としては、ヒートパイプを用いるとよい。
【0026】
本プリンタ100のように、感光体等の像担持体を複数並べて配設し、それぞれで形成した可視像を連続的に重ね合わせ転写して多色画像等の重ね合わせ画像を形成する方式をタンデム方式という。これに対し、1つの像担持体に可視像を形成して中間転写体に転写した後、再び像担持体に可視像を形成して中間転写体上の可視像に重ね合わせ転写する工程を繰り返して重ね合わせ画像を形成する方式もある。この方式では、可視像の形成、転写という工程を繰り返し行わなくてはならない。一方、タンデム方式では、重ね合わせ転写すべき複数の可視像をそれぞれに対応する像担持体上でほぼ同時に形成することができるので、画像形成速度を大幅に速めることができる。
【0027】
上述したように、上記第1トナー像は上記第2トナー像に先行して形成される。そして、2次転写ニップで第1中間転写ベルト8から第2中間転写ベルト16に2次転写された後、上記3次転写部で転写紙の第1面に3次転写される。この第1面とは、上記スタック部40で上方を向く面である。よって、スタック部40にスタックされる転写紙Pは、先行して形成された第1トナー像を上に向け、且つその後に形成された第2トナー像を下に向けた状態で順次スタックされていく。本プリンタ100は、このようにスタックされていく転写紙Pの頁番号を小さい方から順に揃えるべく、奇数、偶数と連続する2つの頁番号の画像について、頁番号の大きい方を先に上記第1トナー像として形成する。例えば1頁目の画像に先行して2頁目の画像を第1トナー像として形成するのである。そうすると、数頁にわたる原稿を連続して出力しても、スタック部40において、頁番号を下から順に揃えることが可能になる。但し、転写紙Pの第2面だけに画像を形成する片面処理を実行する際には、頁番号の小さい画像から順に形成していき、それぞれ転写紙Pの第2面に2次転写せしめる。このことにより、片面処理においても、スタック部40で頁番号を下から順に揃えることができる。
【0028】
4つの感光体1Y,M,C,Kにおいて、上記第2トナー像は非鏡像(以下、正像という)として形成される。これは、形成された第2トナー像が、1次転写、2次転写という2回の転写工程を経て転写紙Pに至る過程で鏡像、正像と変化するからである。各感光体ドラム上で正像として形成されることで、転写紙Pの第2面においても正像になるのである。これに対し、第1トナー像は、3次転写まで行われるため、第2トナー像よりも転写工程が1回多くなる。よって、各感光体ドラム上で鏡像として形成される。このことにより、転写毎に正像、鏡像、正像と変化して、転写紙Pの第1面において正像となることができる。
【0029】
プリンタ100の筺体の一部は、側方カバー50となっている。この側方カバー50は、回動軸50aを中心に回動自在に構成され、第2転写ユニット25と廃トナー収容器24と、定着装置30とを内包している。そして、回動軸50aを中心に図中時計回りに回転せしめられることで、プリンタ本体から見開かれた状態になる。この状態では、側方カバー50とともに回転した第2転写ユニット25がプリンタ本体側に固定された第1転写ユニット15から大きく離間し、2次転写ニップを形成しなくなる。また、2つの紙収容カセット26a,bから排紙ローラ対32に至るまでの紙搬送路が縦方向に2分して大きく露出する。このことにより、紙搬送路内で発生したジャム紙の処理作業や、紙搬送路回りの各装置の保守点検作業が容易になる。また、第2クリーニング装置18や廃トナー収容器24の交換も可能になる。
【0030】
本プリンタ100は、図3に示すように、パーソナルコンピュータ(以下、パソコンという)200などから送られてくる画像情報信号に基づいて画像を形成する。図3では、パソコン200とプリンタ100とを通信ケーブルによって接続した画像形成システムの例を示したが、無線方式による接続を採用してもよい。プリンタ本体の前面左隅には、タッチパネル等からなる操作表示器51が固定されている。ユーザーは、この操作表示器51のディスプレイに現れるガイド表示に従って、作像プロセス条件や用紙条件等の各種パラメータを入力することができる。上述の片面処理と、両面処理との切替については、この操作表示器51に用意されているモード切替ボタンを操作することによって行う。
【0031】
プリンタ本体の前面には、前扉52が開閉自在に設けられている。前扉52が開かれると、図示しない上記第1転写ユニット(15)を支持する支持体53が大きく露出する。この支持体53は、図示しないガイドレール上をプリンタ本体の前後方向にスライド移動可能に構成され、プリンタ本体内から前面側に向けて引き出されることで、上記第1転写ユニット(15)を露出させる。そして、この露出により、上記第1転写ユニットの保守点検作業を容易にしている。また、前扉52が開かれると、支持体53の上方に配設されたボトル収容器54内のトナーボトルBY、BM、BC、BKの端面が露出する。それぞれ端面を露出させたトナーボトルBY、BM、BC、BKは、ボトル収容器54に対してプリンタ前後方向に着脱可能される。前扉52を開けば、プリンタ本体に対するトナーボトルBY、BM、BC、BKの前後方向への着脱が可能になる構成である。スタック部40が形成されているプリンタ本体上面を開閉自在な上扉とし、これを開いてトナーボトルBY、BM、BC、BKを上下方向に着脱するといった構成ではない。このため、オプションの図示しないスキャナ装置をプリンタ100の上方に配設してコピー機を構成する場合でも、トナーボトルBY、BM、BC、BKを着脱することができる。2つの紙収容カセット26a,bは、前扉52の下方に配設され、前後方向のスライド移動によってプリンタ本体から着脱されるように構成されている。前扉52を開いても、紙収容カセット26a,bの着脱や、操作表示器51への入力の操作性を損ねることはない。
【0032】
次に、本実施形態に係るプリンタ100の特徴的な構成について説明する。
両面処理において、第2加熱手段たる上記第2定着ローラ30bは、これに接触する転写紙Pの第2面に担持されている上記第2トナー像のトナーを十分に軟化させ得る値にその表面温度が制御される。また、第1加熱手段たる上記第1定着ローラ30aも、これに接触する転写紙Pの第1面に担持されている上記第1トナー像のトナーを十分に軟化させ得る値にその表面温度が制御される。ところが、片面処理においては、転写紙Pの第1面に上記第1トナー像が形成されないので、第1定着ローラ30aによって第1トナー像のトナーを軟化させる必要がない。それにもかかわらず、第1トナー像のトナーを軟化させるのに十分な値に第1定着ローラ30aの表面温度を制御してしまうと、エネルギーを無駄に消費してしまうことになる。そこで、上記制御部E2は、片面処理において、第1定着ローラ30aの表面温度を両面処理の場合よりも低く制御するように構成されている。
【0033】
なお、片面処理においては、上記3次転写部における第1トナー像の3次転写が不要になる。そこで、本プリンタ100は、片面処理の場合に第2転写ユニット25の転写チャージャ23を不作動にするように構成されている。これによって3次転写部で転写紙Pに無駄なチャージをかけないことによっても、片面処理における無駄なエネルギー消費を抑えることができる。
【0034】
また、転写紙Pを第1定着ローラ30a、第2定着ローラ30bによって両面側から加熱する例について説明したが、何れか一方の側から加熱させるようにしてもよい。この場合、その一方の側が第1面側であるか第2面側であるかにかかわらず、片面処理時の加熱温度を両面処理時よりも低くすることで、転写紙Pの第1面に対する加熱温度も低くすることができる。
【0035】
また、転写紙Pを加熱部材である第1定着ローラ30aや第2定着ローラ30aとの接触によって加熱する例について説明したが、光照射や熱風照射によって非接触方式で加熱するようにしてもよい。但し、加熱部材を接触させる直接方式を採用することで、非接触方式よりも消費エネルギー量を少なくし得るのが一般的である。また、直接方式では、加熱部材を無端移動させるなどして、転写紙Pに搬送力を付与しながら加熱処理を施すことができるので、搬送力付与部材と加熱手段とを別々に設ける場合に比べて省スペース化を図ることができる。
【0036】
両面処理において、第1定着ローラ30aの表面温度と、第2定着ローラ30bの表面温度との差を大きくし過ぎると、転写紙Pの第1面と第2面とで画像の光沢性の違いを目立たせるなど、画質に大きな差が生じてしまう。よって、互いの表面温度差をある程度小さくすることが望ましい。しかしながら、両方の表面温度を全く同じ値にする必要はない。むしろ、ある程度の差を設けた方が、有利な場合もある。例えば、第1定着ローラ30aの表面温度を、第2定着ローラ30bよりも10[℃]低く設定したとする。すると、転写紙Pの第1面は、第1定着ローラ30aによって第2定着ローラ30bの表面温度よりも10[℃]低い温度まで直接加熱される。しかし、この温度で加熱が終了するとは限らない。転写紙Pとして普通紙などの厚みの比較的薄いものを用いた場合には、第2定着ローラ30bによって直接加熱される第2面側からの熱伝導によって第1面を更に加熱することができる。よって、表面温度差を適切な値に留めれば、両面に画質の差を殆ど生ずることなく、省エネルギー化を図ることができる。そこで、上記制御部E2は、両面処理において(ひいては片面処理においても)、第1定着ローラ30aの表面温度を第2定着ローラ30bの表面温度よりも低く制御するように構成されている。例えば、両面処理において、第1定着ローラ30a、第2定着ローラ30bの表面温度を、それぞれ160[℃]、170[℃]に制御する。そして、片面処理において、第2定着ローラ30bの表面温度を同様に170[℃]に制御する一方で、第1定着ローラ30aの表面温度を160[℃]よりも更に低く制御を実施するのである。
【0037】
なお、本発明者らの鋭意研究によれば、転写紙Pとして普通紙を用いた場合に、第1面と第2面とに20[℃]よりも大きな加熱温度差を設けると、両面の画像間に光沢性の差が認められるようになることがわかった。よって、両面処理において、第1定着ローラ30a、第2定着ローラ30bの表面温度差を20[℃]以下に留めることが望ましい。
【0038】
本プリンタ100は、上述のように、転写紙Pの第1面に転写する上記第1トナー像に対して、転写紙Pの第2面に転写する上記第2トナー像よりも1回多く転写工程を経由させている。このように第1トナー像に転写工程を多く経由させることで、同一のプロセスユニット群(6Y〜K)で形成した第1トナー像、第2トナー像を、それぞれ転写紙Pの反対側の面に対向せしめて転写することができる。よって、それぞれを形成するための専用のプロセスユニット群(6Y,M,C,K)を設けることによるコストアップを回避することができる。
【0039】
図4は、本プリンタ100の電気回路の一部を示すブロック図である。図において、制御部E2は、図示しないCPU(演算手段)やRAM(記憶手段)等から構成されている。これには、上記第1定着ローラ(30a)、第2定着ローラ(30b)の表面温度をそれぞれ検知する第1温度検知手段70、第2温度検知手段71が接続されている。また、受信部72、上記操作表示器51、第1電源スイッチ74、第2電源スイッチ76、補助スイッチ77なども接続されている。上記受信部76は、パソコン200からの信号を受信して制御部E2に送る。これらの他、電気回路内には、発熱電源73、第1発熱手段75、第2発熱手段78などが配設されている。
【0040】
上記第1発熱手段75、第2発熱手段78は、それぞれ上記第1定着ローラ(30a)、第2定着ローラ(30b)に内包されて発熱する。第1発熱手段75は、その定格電力が300[W]になっており、それに電源を供給する発熱電源73に第1電源スイッチ74を介して接続されている。一方、第2発熱手段78は、定格電力600[W]の第2主発熱手段78aと、定格電力300[W]の第2副発熱手段とを有している。第2主発熱手段78aは、第2電源スイッチ76を介して発熱電源73に接続されている。また、第2副発熱手段78bは、第2電源スイッチ76と補助スイッチ77とを介して発熱電源73に接続されている。
【0041】
上記制御部E2は、ユーザーによって両面処理が指定された場合、第1温度検知手段70から送られてくる第1定着ローラ表面温度の検知結果と、予め記憶している第1目標値T1とを比較する。そして、比較結果に基づいて第1電源スイッチ74を入り切りさせて、第1発熱手段75に対する電源供給をON/OFF制御することで、上記第1定着ローラ(30a)の表面温度を第1目標値T1付近に維持する。これに対し、片面処理が指定された場合、第1定着ローラ(30a)の表面温度を第1目標値T1よりも低くするような制御を行う。これにより、無駄なエネルギー消費が抑えられる。
【0042】
また、上記制御部E2は、両面処理、片面処理の何れが指定された場合でも、第2温度検知手段71から送られてくる第2定着ローラ表面温度の検知結果と、予め記憶している第2目標値T2とを比較する。そして、比較結果に基づいて第2電源スイッチ76を入り切りさせて、第2主発熱手段78aや第2副発熱手段78bに対する電源供給をON/OFF制御して、上記第2定着ローラ(30b)の表面温度を第2目標値T2付近に維持する。但し、両面処理が指定された場合には補助スイッチ77を切るのに対し、片面処理が指定された場合には補助スイッチ77を入れる。よって、片面処理が指定された場合には、第2主発熱手段78aだけに電源が供給される。両面処理、片面処理の何れにおいても、第2定着ローラ表面温度が第2目標値T2付近に維持されることに変わりはない。しかし、片面処理の場合には、第2発熱手段78の定格電力が600[W]から900(600+300)[W]にアップするため、第2定着ローラ(30b)の加熱能力が高められることになる。よって、制御手段E2は、片面処理のときには両面処理のときよりも第2定着ローラ(30b)の加熱能力を高めているのである。
【0043】
このように加熱能力を高めるのは、次に説明する理由による。即ち、転写紙Pに対してその第2面だけに画像を形成する片面処理では、第1中間転写ベルト8上に上記第2トナー像だけが形成される。このため、第1中間転写ベルト8上の第1トナー像を第2中間転写ベルト16上に2次転写してから転写紙Pの第1面に3次転写するといったことが行われない。そして、複数の転写紙Pに対して片面処理を施す片面連続プリント時には、2次転写ニップにおいて、第1中間転写ベルト8から転写紙Pの第2面への第2トナー像の転写が連続的に行われる。このような連続的な転写では、第2中間転写ベルト16上の第1トナー像との同期を待って転写紙Pを2次転写ニップに送るといったことが行われず、転写紙Pが連続的に送られることになる。このため、定着装置(30)への供給紙間隔が飛躍的に短くなる。そして、定着装置(30)内において、転写紙Pの第2面によって第2定着ローラ(30b)の熱を奪う頻度が増大する。この増大により、奪われる熱量が第2発熱手段78の発熱量を上回り、第2定着ローラ表面温度が第2目標値T2まで昇温されなくなるおそれがある。そうなると、加熱温度不足による第2トナー像の定着不良が発生してしまう。そこで、片面処理の場合には、第2定着ローラ(30b)の加熱能力を高めて、転写紙Pの第2面を確実に加熱させるようにしているのである。
【0044】
なお、両面処理のときに、300[W]の第1発熱手段75と、600[W]の第2主発熱手段78aとの組合せによって第1面側、第2面側をそれぞれ異なる加熱能力にする例について説明した。しかしながら、第1面側、第2面側をそれぞれ同じ加熱能力にしてもよい。
【0045】
次に、上記実施形態に係るプリンタ100に、より特徴的な構成を付加した各実施例装置について説明する。
[第1実施例装置]
転写紙Pの第2面に対する加熱については、当然ながら第1面側から加熱するよりも第2面側から加熱する方が、効率が良く且つ少ないエネルギー量で済む。よって、第1面に対する加熱の必要がない片面処理においては、第2面側からの加熱だけを実施する場合に、無駄なエネルギー消費を最も有効に抑えることができる。第1面側からの加熱も併用すると、たとえ第1定着ローラ表面温度を両面処理のときよりも低い温度で昇温させて省エネルギー化を図ったとしても、無駄なエネルギーロスがでてしまう。
【0046】
そこで、本第1実施例装置は、片面処理のときに第1発熱手段75の発熱を停止させ、上記第2定着ローラ(30b)による加熱だけを行うようになっている。具体的には、片面処理のときには、制御部E2が第1定着ローラ表面温度にかかわらず、第1電源スイッチ74を切るようになっている。これにより、第1発熱手段75に対する電源供給が停止して、第1発熱手段が発熱を停止する。
【0047】
[第2実施例装置]
上述の第1変形例装置では、第1発熱手段75の発熱を停止させて片面処理における無駄なエネルギー消費を最も有効に抑えることができる一方で、次のようなデメリットがある。即ち、片面処理において、第1発熱手段75の発熱を停止した第1定着ローラ(30a)は、第2定着ローラ(30b)から直接又は転写紙Pを介した熱伝達を受けるため、その表面温度が機内温度よりも高く維持される。しかし、第2定着ローラ(30b)に比べれば、その表面温度は遙かに低い値である。このように第1定着ローラ(30a)の表面温度を低くした状態で、両面処理を開始してしまうと、第1トナー像の定着不良を生じたり、転写紙Pの両面で画質に著しい差を引き起こしたりといった問題が生ずる。よって、このような問題を回避すべく、両面処理の開始に先立って、ウオーミングアップが必要になる。第1発熱手段75への電源供給を再開して、第1定着ローラ(30a)の表面温度を所望の値まで高めるというウオーミングアップである。かかるウオーミングアップの実施は、ユーザーを長時間待たせることになる。
【0048】
そこで、本第2変形例装置は、片面処理において、第1発熱手段75を発熱させながら、第1定着ローラ(30a)の表面温度を両面処理の場合よりも低い温度に制御するようになっている。具体的には、片面処理のときには、制御部E2が第1定着ローラ表面温度にかかわらず、第1電源スイッチ74を入れる。また、上記第1目標値T1(例えば160℃)に代えて、これよりも低い値の第1目標値T1’(例えば150℃)を用いる。そして、この第1目標値T1’と、第1定着ローラ表面温度との比較結果に基づいて、第1電源スイッチ74を入り切りして、第1定着ローラ表面温度を第1目標値T1’付近に維持する。
【0049】
なお、本発明者らは鋭意研究により、次のようなことを確認している。即ち、せっかく第1発熱手段75を発熱させても、上記表面温度差を50[℃]より大きくした設定では、第1発熱手段75を発熱させない場合と同様に、ウオーミングアップ時間が長くなってしまうのである。よって、片面処理における上記表面温度差については、50[℃]以下に留めることが望ましい。
【0050】
図5は、本第2変形例装置の定着装置30を示す要部構成図である。定着装置30は、上記第1定着ローラ(30a)の代わりに、第1定着ベルトユニット30a’を有している。この第1定着ベルトユニット30a’は、加熱ベルトを複数の張架ローラによって張架しながら無端移動させる。これら張架ローラのうち、何れか1つは図示しない第1発熱手段を内包しており、加熱ベルトを張架しながら昇温せしめる。第2定着ローラ30bは、互いに隣り合う2つの張架ローラ間を架橋している加熱ベルト部分に食い込んでベルト長さ方向に大きく延在する定着ニップを形成している。このような構成の第1定着ベルトユニット30a’では、次に説明する理由により、上記第1定着ローラ(30a)よりも熱容量を小さくすることができる。即ち、互いに当接する2つの加熱部材によって形成された定着ニップに転写紙Pを通してそれに両面定着を施す場合、ある程度の加熱時間を確保し得るように、定着ニップをある程度長く形成する必要がある。そして、2つの加熱部材として実施形態のような第1定着ローラ(30a)、第2定着ローラ(30b)を用いる場合、少なくとも何れか一方のローラの表面を大きな厚みの弾性材料(例えばゴム)で被覆する必要がある。弾性材料をもう一方との当接によって柔軟に変形させて、定着ニップを所望の長さにするためである。このように大きな厚みの弾性材料には、多くの熱を蓄積させてしまうため、熱容量がある程度大きくなってしまう。これに対し、定着ベルトユニットと、これに当接する定着ローラとを用いる場合には、加熱ベルトを定着ローラ周面の一部に巻き付けることで定着ニップの長さを確保することができる。このため、定着ローラに弾性材料を被覆する必要がなく、被覆するにしてもその厚みを大幅に低減することができる。また、加熱ベルトを昇温せしめる張架ローラについても同様である。加熱ベルトに対しては蓄熱させることになるが、ある程度厚みの小さいものを用いることで、2つの定着ローラを当接させる場合に比べ、熱容量を小さくすることができるのである。
【0051】
なお、図5では、2つの加熱部材のうち、転写紙Pの第1面を加熱する方を定着ベルトユニットに構成した例を示したが、両方を定着ベルトユニットにしてもよい。また、一方を定着ベルトユニットにする場合には、図5に示したように、第1面を加熱する第1定着ベルトユニット30a’を設けることが望ましい。片面処理と両面処理とで加熱部材の表面温度の切り替えが必要になる方をより熱容量の小さな定着ベルトユニットにすることで、より迅速に表面温度を変化させることができるからである。
【0052】
これまで、像担持体としてドラム状の感光体を用いたプリンタ100や実施例装置について説明したが、ベルト上の感光体など、他の方式のものを用いてもよい。また、中間転写体については、ベルト方式のものに限られず、ローラ方式などもものでも良い。また、粉体トナーではなく、トナーと液体キャリアとを含有する液体現像剤を用いる画像形成装置にも本発明の適用が可能である。また、フルカラー画像を形成する例について説明したが、1つの感光体(像担持体)を用いて単色画像を形成する画像形成装置でもよい。また、電子写真方式のプリンタについて説明したが、直接記録方式の画像形成装置にも本発明の適用が可能である。この直接記録方式とは、潜像担持体によらず、トナー飛翔装置からドット状に飛翔させたトナー群を中間転写体や記録体に直接付着させて画素像を形成することで、画像を直接形成する方式である。本発明に係る画像形成装置の直接記録方式では、トナー飛翔装置から飛翔したトナーが付着せしめられる中間転写体が像担持体としての機能を発揮することになる。
【0053】
以上、実施形態に係るプリンタ100や各実施例装置においては、転写紙Pの第1面に対する加熱温度である第1定着ローラ(又は加熱ベルト)表面温度を、次のようにする制御が実施される。即ち、両面処理や片面処理において、第1定着ローラ表面温度を、転写紙Pの第2面に対する加熱温度である第2定着ローラ表面温度よりも低くする制御である。このような制御を実施することで、表面温度差を適切な値に留めた場合には、転写紙Pの両面に画質の差を殆ど生ずることなく、省エネルギー化を図ることができる。
【0054】
また、第1実施例装置においては、第1発熱手段75の発熱によって転写紙Pの第1面を加熱する第1定着ローラ(30a)と、第2発熱手段78の発熱によって転写紙Pの第2面を加熱する第2定着ローラ(30b)とを定着装置(30)に有している。そして、片面処理のときには、第1発熱手段75の発熱を停止させるようになっている。第1定着ローラ(30a)と第2定着ローラ(30b)とを有することで、両面処理のときには転写紙Pを両面側から加熱して、片面側から加熱する場合よりも省エネルギー化を図ることができる。更に、片面処理のときに第1発熱手段の発熱を停止させることで、転写紙Pに対して第2面側からの加熱だけを施して、無駄なエネルギー消費を最も有効に抑えることができる。
【0055】
また、第2実施例装置においては、第1発熱手段の発熱によって転写紙Pの第1面を加熱する第1定着ベルトユニット(30a’)と、第2発熱手段78の発熱によって転写紙Pの第2面を加熱する第2定着ローラ(30b)とを定着装置(30)に有している。そして、片面処理のときには、第1発熱手段を発熱させながら、第1定着ベルトユニット(30’)による転写紙Pの第1面の加熱温度を両面処理のときよりも低い温度に制御するようになっている。第1定着ベルトユニット(30a’)と第2定着ローラ(30b)とを有することで、両面処理のときには転写紙Pを両面側から加熱して、片面側から加熱する場合よりも省エネルギー化を図ることができる。更に、片面処理のときに第1面の加熱温度を両面処理のときよりも低い温度に制御することで、両面処理の開始に先立つウオーミングアップの実施によるユーザーの待機時間を短縮することができる。
【0056】
また、プリンタ100や各実施例装置においては、転写紙Pの第1面に転写する第1トナー像については、第2中間転写ベルト16を介在させることで、第2面に転写する第2トナー像よりも多くの転写工程を経由させている。そして、このことにより、同一のプロセスユニット群(6Y〜K)で形成した第1トナー像、第2トナー像を、それぞれ転写紙Pの反対側の面に対向せしめて転写している。よって、第1トナー像、第2トナー像を形成するための専用のプロセスユニット群それぞれ別に設けることによるコストアップを回避することができる。
また、片面処理の場合には、両面処理の場合よりも第2加熱手段78の加熱能力を高めるように制御する加熱能力制御手段たる制御部E2を備えている。このことにより、定着装置(30)への供給紙間隔が飛躍的に短くなる片面処理のときに、第2定着ローラ表面温度を第2目標値T2まで昇温させることができなくなることによる第2トナー像の定着不良を抑えることができる。
【0057】
【発明の効果】
請求項1、2、3、4、5又は6の発明によれば、記録体の両面にワンパス方式で画像を形成し、しかも、片面処理を実施する場合の無駄なエネルギー消費を抑えることができるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態に係るプリンタの概略構成図。
【図2】同プリンタのY用のプロセスユニットを示す拡大構成図。
【図3】同プリンタと、これに接続されるパソコンとによる画像形成システムを示す斜視図。
【図4】プリンタ100の電気回路の一部を示すブロック図。
【図5】第2変形例装置の定着装置を示す要部構成図。
【符号の説明】
1Y,M,C,K 感光体(像担持体)
30 定着装置(定着手段)
30a 第1定着ローラ(第1加熱手段)
30b 第2定着ローラ(第2加熱手段)
70 第1温度検知手段(加熱温度制御手段の一部)
71 第2温度検知手段(加熱温度制御手段の一部)
75 第1発熱手段
78 第2発熱手段
E2 制御部(加熱温度制御手段の一部、加熱能力制御手段)
Claims (6)
- 可視像を担持する像担持体と、該像担持体上の可視像を記録体の両面に転写せしめる両面転写手段と、該両面転写手段を経由した後の該記録体を加熱してその両面に可視像を定着せしめる定着手段と、該定着手段の記録体に対する加熱温度を制御する加熱温度制御手段とを用いて記録体の両面に画像を形成し、記録体の第1面及び第2面に画像を形成する両面処理と、記録体の片面として該第2面だけに画像を形成する片面処理とを切替可能に構成された画像形成装置において、上記片面処理の場合には、上記第1面に対する加熱温度を上記両面処理の場合よりも低くする制御を実施させるように、上記加熱温度制御手段を構成したことを特徴とする画像形成装置。
- 請求項1の画像形成装置において、
上記両面処理や片面処理で、上記第1面に対する加熱温度を上記第2面に対する加熱温度よりも低くする制御を実施させるように、上記加熱温度制御手段を構成したことを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1又は2の画像形成装置であって、
第1発熱手段から発した熱によって上記第1面を加熱する第1加熱手段と、第2発熱手段から発した熱によって上記第2面を加熱する第2加熱手段とを有し、且つ、上記片面処理において該第1発熱手段の発熱を停止させることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1又は2の画像形成装置であって、
第1発熱手段から発した熱によって上記第1面を加熱する第1加熱手段と、第2発熱手段から発した熱によって上記第2面を加熱する第2加熱手段とを有し、且つ、上記片面処理において、該第1発熱手段を発熱させながら、該第1加熱手段による第1面の加熱温度を上記両面処理の場合よりも低い温度に制御することを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1、2、3又は4の画像形成装置であって、
上記第1面に転写せしめる可視像については、少なくとも1つの中間転写体を介在させることで、上記第2面に転写せしめる可視像よりも多くの転写工程を経由させることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項5の画像形成装置であって、
上記片面処理の場合には、上記両面処理の場合よりも上記第2加熱手段の加熱能力を高めるように制御する加熱能力制御手段を備えることを特徴とする画像形成装置。
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Cited By (3)
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JP2008089769A (ja) * | 2006-09-29 | 2008-04-17 | Ricoh Co Ltd | 画像形成装置及び画像形成システム |
JP2008299289A (ja) * | 2007-06-04 | 2008-12-11 | Ricoh Co Ltd | 定着装置、画像形成装置、及び画像形成システム |
-
2002
- 2002-08-19 JP JP2002238608A patent/JP2004077843A/ja active Pending
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