JP2004205673A - 定着装置 - Google Patents

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Tsutomu Ando
力 安藤
Toru Inoue
井上  徹
Masanori Kobayashi
政憲 小林
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Abstract

【解決課題】予め加熱された第1のベルトと第2のベルトで用紙を挟持しつつ搬送することにより、未定着トナー像を用紙上に定着する定着装置において、ブリスターと呼ばれる画像欠陥が発生するのを防止可能とすることを課題とする。
【解決手段】複数本のローラによって張架された加熱用の第1のベルト69 と、複数本のローラによって張架された加圧用の第2のベルト75によって、トナー画像を担持した記録媒体を挟持した状態で搬送しつつ、定着ニップ部76の通過後からトナー画像が冷却されるまでの間、記録媒体と第1のベルトが密着した状態を維持して、記録媒体16上に担持されたトナー画像を定着する定着装置であって、前記第2のベルト76の記録媒体16の剥離位置77から定着ニップ部76までの間に、当該第2のベルト75を冷却する冷却手段90を設けるように構成して課題を解決した。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
この発明は、電子写真方式を適用した複写機、プリンタ、ファクシミリあるいはこれらの複合機等の画像形成装置に用いられる定着装置に関するものである。
【0002】
【特許文献1】特開平4−199169号公報
【特許文献2】特開2001−117397号公報
【0003】
【従来の技術】
従来、上記電子写真方式を適用した複写機、プリンタ、ファクシミリあるいはこれらの複合機等の画像形成装置に用いられる定着装置としては、種々の方式のものが提案されており、既に製品化されてきているが、これらの定着装置のうち、2本のベルトと用紙を密着させたまま搬送・冷却することにより、非オフセット性を確保し、かつ光沢を有する画像を高速定着可能な装置として、特開平4−199169号公報に開示されているものがある。
【0004】
この特開平4−199169号公報に係る定着装置は、ヒーターを内蔵した加熱ローラと第2のローラとで第1の定着ベルトを張架するとともに、加圧ローラと第3のローラで第2の定着ベルトを張架し、第1の定着ベルトと第2の定着ベルトのニップ部に用紙を挿入し、用紙と第1および第2の定着ベルトを所定時間密着させたまま搬送した後、剥離させるように構成したものである。
【0005】
また、加熱側にのみ定着ベルトを用いた定着装置としては、特開2001−117397号公報に開示されているものがある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術の場合には、次のような問題点を有している。すなわち、上記特開平4−199169号公報や特開2001−117397号公報等に開示された定着装置の場合には、第1の定着ベルトと第2の定着ベルトのニップ部や、第1の定着ベルトとローラ転写器や加圧ローラのニップ部で加熱されたトナーや用紙は、ニップ部を通過した後も、ベルトの余熱により加熱される。このとき、上記定着装置では、第1の定着ベルトと第2の定着ベルトのニップ部等を通過した後は、ニップ部の加圧がない状態で加熱されるため、図 に示すように、用紙やトナー内の水蒸気や空気が膨張し、トナーと定着ベルトの密着を阻害して、部分的に両者を剥離させる現象が発生する。このトナーと定着ベルトとの剥離は、トナーが十分に冷却固化していない状態で起こるため、定着ベルトから剥離した部分と剥離していない部分で画像の表面状態(光沢等)が変化してしまい、一般にブリスターと呼ばれる画像欠陥が発生してしまうという問題点を有していた。
【0007】
そこで、この発明は、上記従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、予め加熱された第1のベルトと第2のベルトで用紙を挟持しつつ搬送することにより、未定着トナー像を用紙上に定着する定着装置において、ブリスターと呼ばれる画像欠陥が発生するのを防止可能とした定着装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するためには、予め加熱された第1のベルトと第2のベルトで用紙を挟持しつつ搬送することにより、未定着トナー像を用紙上に定着する定着装置において、ブリスターと呼ばれる画像欠陥が発生するのを防止可能とした定着装置を提供することに請求項1に記載された発明は、複数本のローラによって張架された加熱用の第1のベルトと、複数本のローラによって張架された加圧用の第2のベルトによって、トナー画像を担持した記録媒体を挟持した状態で搬送しつつ、定着ニップ部の通過後からトナー画像が冷却されるまでの間、記録媒体と第1のベルトが密着した状態を維持して、記録媒体上に担持されたトナー画像を定着する定着装置であって、前記第2のベルトの記録媒体の剥離位置から定着ニップ部までの間に、当該第2のベルトを冷却する冷却手段を設けるように構成したものである。
【0009】
また、請求項2に記載された発明は、前記第2のベルトの定着ニップ部突入時の温度が、90℃以下となるように設定したものである。
【0010】
さらに、請求項3に記載された発明は、前記冷却手段が、第2のベルトを強制的に冷却する冷却ファンからなるように構成したものである。
【0011】
又、請求項4に記載された発明は、前記冷却手段が、第2のベルトに接触して冷却するヒートシンクからなるように構成したものである。
【0012】
更に、請求項5に記載された発明は、複数本のローラによって張架された加熱用の第1のベルトと、複数本のローラによって張架された加圧用の第2のベルトによって、トナー画像を担持した記録媒体を挟持した状態で搬送しつつ、定着ニップ部の通過後からトナー画像が冷却されるまでの間、記録媒体と第1のベルトが密着した状態を維持して、記録媒体上に担持されたトナー画像を定着する定着装置であって、前記第2のベルトの熱容量を、前記第1のベルトの熱容量よりも大きく設定するように構成したものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0014】
実施の形態1
図2はこの発明の実施の形態1に係る定着装置を適用したカラー画像形成装置を示す構成図である。
【0015】
このカラー画像形成装置1には、図示しないパーソナルコンピュータ等のホストコンピュータから送られてくるカラー画像情報や、図示しない原稿読取装置によって読み取られたカラー原稿のカラー画像情報などが入力される。そして、上記カラー画像形成装置1では、入力されたカラー画像情報に対し、画像処理装置2により、必要に応じて、シェーデイング補正、位置ズレ補正、明度/色空間変換、ガンマ補正、枠消し、色/移動編集等の所定の画像処理が施される。
【0016】
そして、上記の如く画像処理装置2で所定の画像処理が施された画像データは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(BK)(各8bit)の4色の色材階調データとしてROS3(Raster Output Scanner)に送られ、このROS3では、原稿色材階調データに応じてレーザー光による画像露光が行われる。
【0017】
上記カラー画像形成装置1の内部には、色の異なる複数のトナー像を形成可能な画像形成手段Aが配設されている。この画像形成手段Aは、主として、静電潜像が形成される像担持体としての感光体ドラム7と、前記感光体ドラム7の表面を所定の電位に一様に帯電する帯電装置としてのスコロトロン8と、前記感光体ドラム7の表面に画像露光を施す画像露光手段としてのROS3と、前記感光体ドラム7上に形成された静電潜像を現像して色の異なる複数のトナー像を形成可能な現像手段としてのロータリー方式の現像装置9とから構成されている。
【0018】
上記ROS3は、図2に示すように、図示しない半導体レーザーを原稿再現色材階調データに応じて変調し、この半導体レーザーからレーザー光LBを階調データに応じて出射する。この半導体レーザーから出射されたレーザー光LBは、回転多面鏡4によって偏向走査され、f・θレンズ5及び反射ミラー6を介して像担持体としての感光体ドラム7上に走査露光される。
【0019】
上記ROS3によってレーザー光LBが走査露光される感光体ドラム7は、図示しない駆動手段によって矢印方向に沿って所定の速度で回転駆動されるようになっている。この感光体ドラム7の表面は、予め一次帯電用の帯電装置としてのスコロトロン8によって、所定の極性(例えば、マイナス極性)及び電位に帯電された後、原稿再現色材階調データに応じてレーザー光LBが走査露光されることによって静電潜像が形成される。上記感光体ドラム7上に形成された静電潜像は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(BK)の4色の現像器9Y、9M、9C、9BKを備えたロータリー方式の現像装置9によって、例えば、感光体ドラム7の帯電極性と同極性のマイナス極性に帯電したトナー(帯電色材)によって反転現像され、所定の色のトナー像となる。上記ロータリー方式の現像装置9の各現像器9Y、9M、9C、9BKでは、例えば、平均粒径が5.5μmの球形トナーが用いられる。尚、上記感光体ドラム7上に形成されたトナー像は、必要に応じて転写前帯電器10によってマイナス極性の帯電を受け、電荷量が調整されるようになっている。
【0020】
上記感光体ドラム7上に形成された各色のトナー像は、当該感光体ドラム7の下部に配置された中間転写体としての中間転写ベルト11上に、第1の転写手段としての一次転写ロール12によって多重に転写される。この中間転写ベルト11は、駆動ロール13、従動ロール14a、テンションロール14b及び二次転写手段の一部を構成する対向ロールとしてのバックアップロール15によって、感光体ドラム7の周速と同一の移動速度で矢印方向に沿って回動可能に支持されている。
【0021】
上記中間転写ベルト11上には、形成する画像の色に応じて、感光体ドラム7上に形成されるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(BK)の4色のすべて又はその一部のトナー像が、一次転写ロール12によって順次重ね合わせた状態で転写される。この中間転写ベルト11上に転写されたトナー像は、所定のタイミングで二次転写位置へと搬送される記録媒体としての記録用紙16上に、中間転写ベルト11を支持するバックアップロール15と、当該バックアップロール15に圧接する第2の転写手段の一部を構成する二次転写ロール17の圧接力及び静電吸引力によって転写される。上記記録用紙16は、図2に示すように、カラー画像形成装置1内の下部に配置された転写用紙収容部材としての給紙カセット18から、所定のサイズのものがフィードロール18aによって給紙される。給紙された記録用紙16は、複数の搬送ロール22及びレジストロール23によって、所定のタイミングで中間転写ベルト11の二次転写位置まで搬送される。そして、上記記録用紙16には、上述したように、2次転写手段としてのバックアップロール15と二次転写ロール17とによって、中間転写ベルト11上から所定の色のトナー像が一括して転写されるようになっている。
【0022】
また、上記中間転写ベルト11上から所定の色のトナー像が転写された記録用紙16は、中間転写ベルト11から分離された後、搬送ベルト24によって定着装置25へと搬送され、この定着装置25によって熱及び圧力でトナー像が記録用紙16上に定着され、片面複写の場合には、そのまま機外に排出されてカラー画像の形成工程が終了する。
【0023】
一方、両面複写の場合には、第1面(表面)にカラー画像が形成された記録用紙16を、そのまま機外に排出せずに、図示しない反転ゲートによって下向きに搬送方向が変更され、3つのロールが圧接されたトリロール27及び反転ロール28によって、反転通路29へと一旦搬送される。そして、上記記録用紙16は、今度は逆転する反転ロール28によって両面用通路30へと搬送され、この両面用通路30に設けられた搬送ロール31によってレジストロール23まで一旦搬送されて停止する。記録用紙16は、中間転写ベルト11上のトナー像と同期して、再度レジストロール23によって搬送が開始され、当該記録用紙16の第2面(裏面)に対してトナー像の転写・定着工程が行われた後、機外に排出されるようになっている。
【0024】
なお、図2中、32は転写工程が終了した後の感光体ドラム7の表面から残留トナーや紙粉等を除去するためのクリーニング装置、33は中間転写ベルト11の清掃を行うための中間転写ベルト用クリーナー、34は手差しトレイ、35はイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(BK)の各色のトナーを収容したトナーカートリッジをそれぞれ示している。
【0025】
ところで、この実施の形態に係る定着装置は、複数本のローラによって張架された加熱用の第1のベルトと、複数本のローラによって張架された加圧用の第2のベルトによって、トナー画像を担持した記録媒体を挟持した状態で搬送しつつ、定着ニップ部の通過後からトナー画像が冷却されるまでの間、記録媒体と第1のベルトが密着した状態を維持して、記録媒体上に担持されたトナー画像を定着するように構成されている。
【0026】
図1は、この発明の実施形態1に係る定着装置を示すものである。この定着装置は、図2に示すカラー画像形成装置1の定着装置25の代わりに使用しても良いが、この発明の実施形態1に係る定着装置は、非常に高速の定着装置であり、図3に示すように、当該定着装置を備えた定着ユニットとして構成しても良い。
【0027】
上記定着ユニットとしては、図3に示すように、カラー画像形成装置1等から排出される一旦定着済みの記録用紙や、未定着状態の記録用紙16が導入される導入口51を備えており、この導入口51の内部には、記録用紙16の搬送路を切り替える切替ゲート52が設けられている。上記カラー画像形成装置1から排出される記録用紙16に対して、二次定着を施さず、そのまま外部の第1の排出トレイ上に排出する場合には、切替ゲート52によって搬送路が上方の第1の搬送路53に切り替えられ、排出ロール54によって第1の排出トレイ55上に排出される。また、カラー画像形成装置1から排出される記録用紙16に対して、二次定着処理を施すか、あるいはカラー画像形成装置1で定着されていない記録用紙16に対して、定着を処理を施す場合には、切替ゲート52によって搬送路が下方の第2の搬送路56に切り替えられ、複数の搬送ロール57によって、ベルト式定着装置58に搬送され、当該ベルト式定着装置58により定着処理を受けて、排出ロール59によって第2の排出トレイ60上に排出される。
【0028】
この定着装置58は、図1に示すように、定着ローラ61と、当該定着ローラ61を含む複数のローラ62〜68により回動可能に張架された第1のベルトとしての定着ベルト69と、加圧ローラ70と、当該加圧ローラ70を含む複数のローラ71〜74により回動可能に張架された第2のベルトとしての加圧ベルト75とを備えている。上記定着ローラ61と加圧ローラ70は、定着ベルト69と加圧ベルト75を介して互いに圧接することにより、記録用紙16の搬送方向の入口側の端部に、定着ニップ部76を形成するように配設されている。
【0029】
また、上記定着ベルト69と加圧ベルト70は、定着ニップ部76から剥離位置77の近傍まで、互いに接触した状態で走行し、これら定着ベルト69と加圧ベルト75の間に、トナー画像を担持した記録媒体16を挟持した状態で搬送しつつ、定着ニップ部76の通過後からトナー画像が冷却されるまでの間、記録媒体16と第1のベルト69が密着した状態を維持して、記録媒体16上に担持されたトナー画像を定着するように構成されている。
【0030】
上記定着ローラ61としては、例えば、図4に示すように、アルミニウムやステンレス等からなる金属製コア78の表面に、シリコンゴム等からなる弾性体層79を所定の厚さに被覆して、所定の外径(例えば、50mm)に形成したものが用いられる。この定着ローラ61の内部には、加熱源として例えば500〜1000Wのハロゲンランプ80が2本配設されており、ウオームアップ時に、当該定着ローラ61の表面温度が所定の温度(140℃〜150℃程度)となるように内部から加熱される。
【0031】
また、上記加圧ローラ70としては、例えば、図4に示す定着ローラ61と同様に構成したものが用いられ、アルミニウムやステンレス等からなる金属製コア78の表面に、シリコンゴム等からなる弾性体層79を所定の厚さに被覆して、所定の外径(例えば、50mm)に形成したものが用いられる。この加圧ロール70の内部には、加熱源として例えば300〜350Wのハロゲンランプ80が2本配設されており、ウオームアップ時に、当該加圧ロール70の表面温度が所定の温度(70℃〜80℃程度)となるように内部から加熱される。
【0032】
そして、上記定着ローラ61と加圧ローラ70は、定着ベルト69と加圧ベルト70を介して、図示しない加圧手段により、75kg〜200kgの荷重で互いに圧接するように構成されている。
【0033】
さらに、上記定着ベルト69は、定着ローラ61と、小径の剥離ローラ62と、アイドラーローラ63、64と、第1の加熱ローラ65と、ウオーク制御ローラを兼ねる第2の加熱ローラ66と、2本のアイドラーローラ67、68からなる複数のローラにより回動可能に支持されており、図示しない駆動源によって回転駆動される定着ローラ61により、所定の高速度(例えば、350mm/sec)で回転駆動される。この定着ベルト69としては、例えば、厚さ80μmのポリイミド製の無端状フィルム上に、厚さ50μmのシリコンゴム層を被覆し、必要に応じて、シリコンゴム層の上にフッ素ゴム等からなる離型層を設けたものが用いられる。また、上記定着ベルト69は、定着ローラ61から剥離ローラ62との間において、定着ベルト69と冷却用アルミ板84との良好な接触を保つように、所定の曲率(例えば、曲率半径が900mm程度)を持った状態で張架されており、定着ニップ部76から剥離位置77近傍までの間、加圧ベルト75と密着した状態で走行するようになっている。更に、上記定着ベルト69は、2本のアイドラーローラ67、68によって、定着ローラ61と加圧ローラ70とで形成される定着ニップ部76への突入角度が略水平となり、当該定着ベルト69の走行が安定するように構成されている。
【0034】
また、上記定着ベルト69は、走行する間に、第1の加熱ローラ65と第2の加熱ローラ66によって、定着時、所定の温度(170〜200℃:例えば、190℃)に加熱されるようになっている。上記第1の加熱ローラ65は、アルミニウム等からなる金属製コアによって形成されており、当該第1の加熱ローラ65の内部には、加熱源としてハロゲンランプ81が2本配設されており、定着時に、第1の加熱ローラ65の表面が第2の加熱ローラ66の表面温度よりも5℃程度低く加熱されるように構成されている。また、上記第2の加熱ローラ66は、アルミニウム等からなる金属製コアの表面にテフロン(登録商標)を被覆して形成されており、当該第2の加熱ローラ66の内部には、加熱源としてハロゲンランプ82が3本配設されており、定着時に、第2の加熱ローラ66の表面が所定の温度(170〜200℃:例えば、190℃)に加熱されるようになっている。
【0035】
なお、上記第2の加熱ローラ66の表面には、クリーニングウエブ等のクリーニング部材を設けるように構成しても良い。
【0036】
一方、上記第2のベルトとしての加圧ベルト75は、加圧ローラ70と、アイドラーローラ71、72、73、74からなる複数のローラにより回動可能に支持されており、図示しない駆動源によって回転駆動される加圧ローラ70により、所定の高速度(例えば、350mm/sec)で回転駆動されるか、又は、定着ベルト69に従動回転するように構成されている。この加圧ベルト75としては、例えば、厚さ80μmのポリイミド製の無端状フィルム上に、厚さ50μmのシリコンゴム層を被覆し、当該シリコンゴム層の上にシリコン樹脂等からなる離型層を被覆したものが用いられている。また、上記加圧ベルト75は、ウオームアップ時に、加圧ローラ70によって、所定の温度(70〜80℃)に加熱されるようになっている。
【0037】
また、上記定着ベルト69の内面側には、定着ロール61と剥離ロール62との間に、当該定着ベルト64を強制的に冷却する熱循環器83の冷却域を構成する冷却用のアルミ板84が配設されており、この冷却用のアルミ板84によって定着ベルト69及び記録用紙16の冷却、並びに記録用紙16の搬送を行う冷却・用紙搬送部が形成されている。そして、上記定着ベルト69は、剥離ロール62付近において、70〜90℃程度まで冷却される。
【0038】
さらに、上記熱循環器83の冷却域を構成する冷却用のアルミ板84は、複数本の側面矩形状のループを形成するヒートパイプ85を介して、アイドラーローラ64と第1の加熱ロール65との間に配設された、定着ベルト69を予熱する熱循環器の熱戻し域を構成する予熱用のアルミ板86と、熱の授受が可能となるように接続されている。そして、上記熱循環器83では、冷却域を構成する冷却用のアルミ板84で、定着ベルト64からの熱を吸収するとともに、当該冷却用のアルミ板84が吸収した熱量を、ヒートパイプ85を介して、熱循環器83の熱戻し域を構成する予熱用のアルミ板86に伝達し、当該予熱用のアルミ板86によって定着ベルト69を予熱するように構成されている。なお、上記ヒートパイプ85の本数や性能は、適宜設定される。
【0039】
ところで、この実施の形態に係る定着装置では、上記の構成に加えて、前記第2のベルトの記録媒体の剥離位置から定着ニップ部までの間に、当該第2のベルトを冷却する冷却手段を設けるように構成されている。
【0040】
すなわち、この実施の形態に係る定着装置58では、図1に示すように、第2のベルトとしての加圧ベルト75を張架する複数のローラのうち、剥離位置の近傍に位置するアイドラーローラ72と、定着ニップ部76の近傍に位置するアイドラーローラ73との間が、略水平に張架されており、この略水平に張架された加圧ベルト75の表面近傍には、当該加圧ベルト75を強制的に冷却する冷却手段としての冷却ファン90が配設されている。この冷却ファン90は、剥離位置77から定着ニップ部76までに移動する間の加圧ベルト75に、強制的に冷たい空気Aを送ることによって、加圧ベルト75を例えば90℃以下の温度に冷却するものである。なお、図示例では、冷却ファン90が加圧ベルト75の表面に沿って冷たい空気Aを送るように配設されているが、当該冷却ファン90は、加圧ベルト75の表面に垂直に冷たい空気Aを送るように配設しても勿論よい。また、上記冷却ファン90は、基本的に、定着動作時にのみ駆動される。
【0041】
以上の構成において、この実施の形態に係る定着装置では、次のようにして、、予め加熱された第1のベルトと第2のベルトで用紙を挟持しつつ搬送することにより、未定着トナー像を用紙上に定着する定着装置において、ブリスターと呼ばれる画像欠陥が発生するのを防止することが可能となっている。
【0042】
すなわち、この実施の形態に係る定着装置58では、図1に示すように、ウオームアップ時に、定着ベルト69が遅い速度で回転移動しながら、定着ローラ61と加圧ローラ70と第1の加熱ローラ65、第2の加熱ローラ66によって、所定の温度(70〜100℃)に予め加熱されるようになっている。そして、この定着装置58では、定着時に、第1の加熱ローラ65と第2の加熱ローラ66によって所定温度(170〜200℃:例えば、190℃)に加熱されるとともに、速い速度(350mm/sec)で回転移動し、定着ローラ61と加圧ローラ70のニップ部76でトナー画像が転写された記録用紙16を、定着ベルト69と加圧ベルト75とによって挟持した状態で、記録用紙16上のトナーをトナー融点以上に加熱・溶融し、トナー画像を記録用紙16上に定着する。
【0043】
更に説明すると、上記定着装置58では、図1に示すように、表面にカラートナー画像が転写・定着された記録用紙16が、定着ロール61と当該定着ロール61に定着ベルト69及び加圧ベルト75を介して圧接する加圧ロール70との圧接部76(ニップ部)に、カラートナー画像が定着ロール61側に位置するようにして導入され、上記定着ロール61と加圧ロール70との圧接部76を通過する間に、カラートナー画像が記録用紙16上に加熱溶融されて定着される。その際、上記記録用紙16の表面に形成されたトナー画像は、加熱されて軟化し、定着ベルト69の表面に密着した状態となり、当該定着ベルト69の表面が写し取られ(レプリカが形成され)、高い光沢を有する画像となる。
【0044】
その後、上記定着ベルト69は、記録用紙16と共に、冷却域において、熱循環器63の冷却用のアルミ板64で冷却され、所定温度以下まで温度が低下した後、剥離ロール62が位置する剥離位置で記録用紙16が剥離される。その後、定着ベルト69は、熱循環器の予熱用のアルミ板86に接触することで、予備加熱された後、第1の加熱ローラ65に戻る。
【0045】
一方、加圧ベルト75は、図1に示すように、用紙16が剥離された後、冷却ファン90からの送風によって、剥離温度より低い所定温度(90℃以下の温度)まで冷却されて、定着ローラ61と加圧ローラ70が圧接する定着ニップ部76に戻るようになっている。
【0046】
このように、上記実施の形態では、加圧ベルト75が用紙16の剥離が終了した後、冷却ファン90からの送風によって、剥離温度より低い所定温度(90℃以下の温度)まで冷却されて、定着ニップ部76に戻るように構成されているため、定着ニップ部76内でトナーが溶融した後、定着ニップ部76を通過した直後の記録用紙16及びトナー画像を、加圧ベルト75によって素早く冷却することができ、記録用紙16中等に水蒸気が発生する100℃(大気圧での水の沸点)よりも低い温度となる。そのため、上記定着装置58では、定着ニップ部76を通過した直後の記録用紙16及びトナー画像の温度が高温であるために発生するブリスターを防止することが可能となる。
【0047】
実施の形態2
図5はこの発明の実施の形態2を示すものであり、前記実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して説明すると、この実施の形態2では、複数本のローラによって張架された加熱用の第1のベルトと、複数本のローラによって張架された加圧用の第2のベルトによって、トナー画像を担持した記録媒体を挟持した状態で搬送しつつ、定着ニップ部の通過後からトナー画像が冷却されるまでの間、記録媒体と第1のベルトが密着した状態を維持して、記録媒体上に担持されたトナー画像を定着する定着装置であって、前記第2のベルトの熱容量を、前記第1のベルトの熱容量よりも大きく設定するように構成されている。
【0048】
すなわち、この実施の形態2に係る定着装置58は、図5に示すように、加圧ベルト75を強制的に冷却する冷却ファンを設けるのではなく、当該加圧ベルト75の熱容量が、定着ベルト69の熱容量よりも大きくなるように設定したものである。
【0049】
上記加圧ベルト75は、前述したように、例えば、ポリイミド製の無端状フィルム上に、シリコンゴム層を被覆し、当該シリコンゴム層の上にシリコン樹脂等からなる離型層を被覆して構成されている。そのため、この加圧ベルト75の熱容量を、定着ベルト69の熱容量よりも大きく設定するには、基材層であるポリイミド製の無端状フィルムの厚さや、弾性体層であるシリコンゴム層の厚さを厚く設定したり、これらポリイミド製の無端状フィルムや、シリコンゴム層中に、充填材を充填することにより材質を変える手段が挙げられる。
【0050】
そこで、本発明者らは、図1に示すような定着装置58を試作し、加圧ベルト75として、基材層であるポリイミド製の無端状フィルムや、弾性体層であるシリコンゴム層の厚さや材質を異ならせることにより、定着ベルト69に対して、熱容量が0.8倍、1.2倍、1.8倍となるものを用いて、ブリスターの発生状況を評価する実験を行なった。
【0051】
図6は上記実験の結果を示すものである。ここで、図6中、○はブリスターが発生しなかったものを、△はブリスターが発生したが実使用上問題のないレベルであったものを、×は明らかにブリスターが発生したものをそれぞれ示している。
【0052】
この図6から明らかなように、加圧ベルト75の熱容量を変化させて、なお且つ加圧ベルト75の定着ニップ部76突入時の温度を変化させた場合、加圧ベルト75の熱容量を定着ベルト69よりも大きく設定することによって、ブリスターの発生を防止できるか、ブリスターの発生を実使用上問題のないレベルまで低減できることがわかる。
【0053】
また、図6から明らかなように、加圧ベルト75の熱容量を定着ベルト69よりも大きく設定した場合であっても、加圧ベルト75の定着ニップ部76突入時の温度が、90℃以下でないと、ブリスターが発生してしまうことがわかった。
【0054】
その他の構成及び作用は、前記実施の形態1と同様であるので、その説明を省略する。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、予め加熱された第1のベルトと第2のベルトで用紙を挟持しつつ搬送することにより、未定着トナー像を用紙上に定着する定着装置において、ブリスターと呼ばれる画像欠陥が発生するのを防止可能とした定着装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はこの発明の実施の形態1に係る定着装置を示す構成図である。
【図2】図2はこの発明の実施の形態1に係る定着装置を適用し得るカラー画像形成装置を示す構成図である。
【図3】図3はこの発明の実施の形態1に係る定着装置を適用した定着ユニットを示す構成図である。
【図4】図4は定着ローラを示す断面構成図である。
【図5】図5はこの発明の実施の形態2に係る定着装置を示す構成図である。
【図6】図6は実験結果を示す図表である。
【図7】図7は従来の定着装置におけるブリスターと呼ばれる画像欠陥の発生状態を示す模式図である。
【符号の説明】
16:記録媒体、69:定着ベルト(第1のベルト)、75:加圧ベルト(第2のベルト)、76:定着ニップ部、84:冷却用アルミ板、90:冷却ファン(冷却手段)。

Claims (5)

  1. 複数本のローラによって張架された加熱用の第1のベルトと、複数本のローラによって張架された加圧用の第2のベルトによって、トナー画像を担持した記録媒体を挟持した状態で搬送しつつ、定着ニップ部の通過後からトナー画像が冷却されるまでの間、記録媒体と第1のベルトが密着した状態を維持して、記録媒体上に担持されたトナー画像を定着する定着装置であって、
    前記第2のベルトの記録媒体の剥離位置から定着ニップ部までの間に、当該第2のベルトを冷却する冷却手段を設けたことを特徴とする定着装置。
  2. 前記第2のベルトの定着ニップ部突入時の温度が、90℃以下となるように設定したことを特徴とする請求項1記載の定着装置。
  3. 前記冷却手段は、第2のベルトを強制的に冷却する冷却ファンからなることを特徴とする請求項1又は2記載の定着装置。
  4. 前記冷却手段は、第2のベルトに接触して冷却するヒートシンクからなることを特徴とする請求項1又は2記載の定着装置。
  5. 複数本のローラによって張架された加熱用の第1のベルトと、複数本のローラによって張架された加圧用の第2のベルトによって、トナー画像を担持した記録媒体を挟持した状態で搬送しつつ、定着ニップ部の通過後からトナー画像が冷却されるまでの間、記録媒体と第1のベルトが密着した状態を維持して、記録媒体上に担持されたトナー画像を定着する定着装置であって、
    前記第2のベルトの熱容量を、前記第1のベルトの熱容量よりも大きく設定したことを特徴とする定着装置。
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