JP2008014980A - 画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、高速の両面連続プリントを実施した場合においても、装置を大型化することなく、中間転写ベルトの昇温を防止して良好な画像を安定して出力可能な画像形成装置を提供することである。
【解決手段】複数の感光ドラム上に形成したトナー像を前記ドラムと前記ベルト1との間の各一次転写部T1にて前記ベルト1上に順次一次転写した後、前記ベルト1上の複数のトナー像を二次転写部T2にて記録材上に一括して二次転写する画像形成装置において、前記ベルト1を懸架している複数のローラのうちの一つは、前記ベルト1を像担持面側から内側に押圧して前記ベルト1を巻き付けるようにして屈曲させる押圧ローラ1dであり、前記押圧ローラ1dは、冷却可能な中空構造であり、前記二次転写部T2と、二次転写後に前記ベルト1に残留したトナーを除去する中間転写ベルトクリーニング装置18の間に配置されていることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、複数の像担持体上に形成されたトナー像を、複数のローラに懸架されて回転駆動される無端状の中間転写ベルト上に順次転写してカラー画像を得ることが可能な画像形成装置に関するものである。
従来、オフィス用途向けのカラー画像形成装置としては、複数の画像形成部の各感光ドラム上に形成したトナー像を、複数のローラに懸架された中間転写ベルト上に順次転写してカラー画像を得る画像形成装置が知られている。
近年、オフィス用途におけるカラープリントの益々の需要増を背景に、将来に向けては、更に高速化に対応して、かつカラー両面プリントの生産性も向上できる電子写真方式の画像形成装置が求められている。
しかしながら、上記画像形成装置において両面連続プリントを実施した場合、装置の高速化に加え、装置の小型化によるシート搬送経路の短縮化も相まって、1面目の画像が加熱定着されたシートが再び転写位置に搬送されるまでの時間がより短くなる。このため、従来よりも高温を保った状態のシートが連続して転写位置を通過することとなる。これにより、中間転写ベルトが像担持面側から加熱されて昇温し、更には中間転写ベルトに接触している感光ドラムやベルトクリーニング装置等の部材が昇温して画像不良が発生する。
例えば、ベルトクリーニング装置には、中間転写ベルトに残留したトナーを除去する手段として、一般的に弾性特性を有するクリーニングブレードが用いられているが、昇温の影響により前記ブレードの弾性や硬度の特性が変化してクリーニング不良が発生する。また、感光ドラムが昇温すると、感光体の帯電能/感光特性が変化して画像濃度が不安定になったり、カブリ画像が発生したりする。
更には、感光ドラムの周囲に配置されている現像装置やドラムクリーニング装置も昇温の影響を受ける。現像装置に関しては装置内の現像剤が劣化する。ドラムクリーニング装置に関しては、前述したベルトクリーニング装置と同様の現象が発生する。
ここで、以下に示す特許文献に開示されている中間転写ベルトの冷却手段について説明する。
特開2000−221791 特開2001−022186 特開2000−352879 特開2004−109756
特許文献1や特許文献2には、中間転写ベルトを内側から張架する複数のローラのうちの1つのローラが冷却ローラであることが開示されている。しかしながら、ベルト内側に冷却ローラを備えていても、中間転写ベルトが像担持面側から加熱されて昇温している場合には、前記ベルトが画像形成サイクル速度に間に合う程度に充分に熱容量の小さいものでなければならないという材質面の制約がある。近年、転写性、特に中抜けを改善する手段として、ゴム材料等で形成された弾性層を含む多層構成の中間転写ベルトを採用した画像形成装置が提案されてきている。こうした多層構成の弾性中間転写ベルトにおいては、特にに冷却効率を改善する必要がある。
特許文献3には、中間転写ベルトの像担持面側をファン冷却する技術が開示されている。しかしながら、この冷却手段では、中間転写ベルトに残留している現像剤にエアが吹き付けられるため、装置内への現像剤飛散の対策が必要となる。
特許文献4には、中間転写ベルトの像担持面の異物除去ローラが冷却手段を兼ねる技術が開示されている。この異物除去兼冷却ローラは、中間転写ベルトを内側から張架しているローラ間において中間転写ベルトに接触配置されており、ローラ外層はポリウレタンフォームなどの発泡材料で形成されている。このため、異物除去兼冷却ローラでは中間転写ベルトの冷却効率は不十分な面がある。この構成において冷却効率の改善を試みる場合、中間転写ベルトと異物除去兼冷却ローラの接触ニップ幅を広げなければならない。この場合、異物除去兼冷却ローラの大径化やより強力なローラ冷却手段が必要となり、装置が大型化してしまういった問題が生じる。
本発明の目的は、高速の両面連続プリントを実施した場合においても、装置を大型化することなく、中間転写ベルトの昇温を防止して良好な画像を安定して出力可能な画像形成装置を提供することである。
上記目的を達成するための本発明の代表的な構成は、複数のローラに懸架された無端状の中間転写ベルトの走行方向に沿って複数の画像形成ユニットを配設し、前記画像形成ユニットの像担持体上に形成したトナー像を、前記像担持体と前記中間転写ベルトとの間の一次転写部にて前記中間転写ベルト上に順次一次転写し、その後、前記中間転写ベルト上の複数のトナー像を、二次転写部にて記録材上に一括して二次転写する画像形成装置において、前記中間転写ベルトを懸架している複数のローラのうちの一つは、前記中間転写ベルトを像担持面側から内側に押圧して前記中間転写ベルトを巻き付けるようにして屈曲させる押圧ローラであり、前記押圧ローラは、冷却可能な中空構造であり、前記二次転写部と、二次転写後に前記中間転写ベルトに残留したトナーを除去する中間転写ベルトクリーニング装置の間に配置されていることを特徴とする。
本発明によれば、高速の両面連続プリントを実施した場合においても、装置を大型化することなく、中間転写ベルトの昇温を防止して良好な画像を安定して出力することができる。また、中間転写ベルトを像担持面側から内側に押圧する押圧ローラが、中間転写ベルトを冷却する冷却ローラも兼ねることで装置の小型化及び低コスト化にも対応することができる。
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、それらの相対配置などは、本発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものである。従って、特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
図1を用いて実施例1に係る画像形成装置について説明する。図1は実施例1に係る画像形成装置の概略構成を示す模式断面図である。図1に示す画像形成装置は、4個の画像形成ユニットと無端状の中間転写ベルトとを有する電子写真方式のレーザビームプリンタである。
各画像形成ユニットは、像担持体としてイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのそれぞれの色のトナーに対応した感光ドラム11a,11b,11c,11dを有している。各感光ドラムは、円筒形状のアルミ素管上に感光層を形成した物であり、ここでは前記感光層の材料にポリカーボ系の樹脂からなる有機系光導電性を有する物を用いている。また、トナーにはポリエステル系の樹脂に適切な電荷特性を有するように電荷制御剤等を混合、添加して成る物を用いている。尚、前記感光層の材料には、ポリカーボ系以外の樹脂からなる有機系光導電性のものやアモルファスシリコン系の材質のものを用いても構わない。また、トナー材料には、スチレンアクリル系樹脂からなる材質の物を用いても構わない。無端状の中間転写ベルト1は、上述の各感光ドラム11a〜11dに接触してそれぞれの一次転写部(一次転写ニップ部)T1を形成している。
中間転写ベルト1の抵抗特性としては、体積抵抗率が10〜1012Ω・cm程度、表面抵抗率が1010〜1014Ω・□程度のものが好ましい。具体的には、ウレタン系樹脂、フッ素系樹脂、ナイロン系樹脂、ポリイミド系樹脂のものや、シリコーン系ゴム、ウレタン系ゴム、ヒドリン系ゴム等の弾性材料や、これらにカーボンや導電粉体を分散させて抵抗調整を行ったもの等を用いることができる。
図1に示すように、中間転写ベルト1は、中間転写ベルト1の内側に回転自在に配置される駆動ローラ1a、二次転写対向ローラ1b、支持ローラ1cによって懸架されている。更に中間転写ベルト1は、中間転写ベルト1の外側(像担持面側)に回転自在に配置され、ベルト外側から内側に中間転写ベルト1を巻き付けるようにして押圧する押圧ローラ1dによって懸架されている。すなわち、中間転写ベルト1は合計4本の懸架ローラ1a〜1dによって懸架されている。押圧ローラ1dは、中間転写ベルト1に一定の張力を付与する手段も兼ねており、中間転写ベルト1の像担持面側から内側の方向に向けて中間転写ベルト1に一定の圧力をかけている。張力としては、中間転写ベルト1の材質にもよるが、伸び率が1%以内になるように設定して、中間転写ベルト1の破断や永久歪みが発生しないようにするのが望ましい。ここでは、ポリイミド樹脂系の中間転写ベルト1を使用して、該中間転写ベルト1に対して約176.4N(18kgf)の荷重がかかるように前記押圧ローラ1dの押圧力を設定してある。なお、押圧ローラ1dは、中間転写ベルト1の走行方向において、中間転写ベルト1上の二次転写部T2の下流側で、かつ、後述する中間転写ベルトクリーニング装置18の上流側に位置する。
各一次転写部T1においては、一次転写ローラ15a,15b,15c,15dが感光ドラム11a、11b、11c、11dとの間に中間転写ベルト1を挟み込んで一次転写部T1を形成している。各一次転写ローラは、芯金の外周面を中抵抗(1kV印加時の実抵抗が10〜1010Ω程度)の弾性体で被覆したローラ形状をしたものである。ここでは前記弾性体として、ウレタン系のゴムに導電剤を加えて加硫発泡させた材料を用いている。しかしながら、一次転写ローラの弾性体はこれに限定されるものではなく、例えばブタジエン系ゴムに導電剤やヒドリン系ゴム等を加えて加硫発泡した材料や、ブタジエン系やヒドリン系などのゴムに導電剤を加えたソリッド系の材料を用いても構わない。
二次転写ローラ3の部材構成も一次転写ローラとほぼ同様で、芯金の外周面を、中抵抗の抵抗値を有する弾性体で被覆したものである。二次転写ローラ3は、二次転写対向ローラ1bに対向する位置に配置されて二次転写対向ローラ1bとの間に中間転写ベルト1を挟み込んで中間転写ベルト1との間に二次転写部(二次転写ニップ部)T2を形成している。この二次転写部にて紙等の記録材Pを挟持搬送するものである。
以下、適宜、構成についての説明を追加しながら、画像形成装置全体の動作について説明する。
感光ドラム11aは、駆動手段(不図示)によって図1中の反時計回り方向に回転駆動され、一次帯電器12aにより一様に帯電され、ホストコンピュータより送られた画像情報信号により変調されたスキャナ13aからのレーザ光で表面に静電潜像が形成される。このときのレーザ光の強度及び照射スポット径は、画像形成装置の解像度及び所望の画像濃度によって適正に設定されている。ここでは、感光ドラム11a上の静電潜像は、レーザ光が照射された部分(明部)の電位VLが約−100Vに、照射されない部分(暗部)の電位VDが一次帯電器12aで帯電された約−700Vに保持されることによって形成される。静電潜像は感光ドラム11aの回転により、現像器14aとの対向部に達し、同一極性(ここではマイナス極性)に帯電されたトナーが静電潜像の明部に付着することでトナー像として顕像化される。
4色フルカラーの画像形成時には、各色に対応した感光ドラム11a〜11d、一次帯電器12a〜12d、スキャナ13a〜13d、現像器14a〜14dにより同様にトナー像が形成される。これら各色のトナー像は、各一次転写部T1において中間転写ベルト1上に順次一次転写されて、中間転写ベルト1上で重ね合わせられる。各一次転写部T1では、一次転写ローラ15a〜15dに印加されたトナーと逆極性の電圧(+100〜+1000V)によって形成された電界により、感光ドラム11a〜11d上に形成された各色のトナー像が中間転写ベルト1上に重畳転写される。中間転写ベルト1が感光ドラム11dとの一次転写部T1を通過した段階で4色のトナー像が中間転写ベルト1上に担持され、一次転写工程は完了する。一方、トナー像の一次転写を終えた各感光ドラム11a〜11dの表面はクリーニング装置16a〜16dによりそれぞれ表面を清掃された後、次の画像形成工程に備える。
次に、給送手段(不図示)により紙等の記録材Pが二次転写部T2に給送される。このとき、二次転写ローラ3にはトナーと逆極性の電圧(+1〜+6kV)が印加され、これにより重畳された4色のトナー像は、中間転写ベルト1上から記録材P上に一括して二次転写される。
二次転写部T2において、トナー像が転写された記録材Pは、中間転写ベルト1が二次転写対向ローラ1bに巻き付けられることで形成された曲率により、中間転写ベルト1から分離される。二次転写対向ローラ1bの直径としては30mm以下であれば、比較的薄手の記録材Pにも対応できる。坪量が60g/m以下の紙の場合には、より良好な分離を確保するために、記録材Pの搬送方向に沿って、二次転写部T2の下流側、かつ二次転写部T2の近傍に、記録材Pの背面電荷を低減又は除去するための除電針などの部材を設けても構わない。
次に、二次転写部T2を通過した記録材Pは搬送装置20によって定着装置17に送られ、加熱・加圧を受けることで担持している未定着トナー像を定着させる。一方、二次転写部T2を通過した中間転写ベルト1の表面は、中間転写ベルトクリーニング装置18によって清掃される。中間転写ベルトクリーニング装置18は、ウレタン系の弾性ゴム材料で形成されたクリーニングブレードを中間転写ベルト1表面に当接させて、中間転写ベルト1表面に付着している二次転写残トナーを中間転写ベルト1表面から除去する。ここで、二次転写残トナーとは、二次転写時に記録材Pに二次転写されないで中間転写ベルト1表面に残ったトナーのことである。更に中間転写ベルトクリーニング装置18は、中間転写ベルト1表面から除去したトナーを廃トナーとして廃トナーボックスへ回収する。なお、ここでは、中間転写ベルトクリーニング装置18は支持ローラ1cに対向配置している。このため、中間転写ベルトクリーニング装置18の対向部材を別途設ける必要がなく、中間転写ベルト1からトナーを除去するのに十分な押圧力をかけることができる。また、ここではブレード材質としてウレタン系材料を用いたが、フッ素系やシリコン系の弾性ゴム材料を用いても構わない。
また、画像形成装置では、押圧ローラ1dが、中間転写ベルト1を像担持面側から内側に向けて押圧して、中間転写ベルト1を巻き付けるように屈曲させている。これにより、二次転写対向ローラ1bから支持ローラ1cまでの間のベルト下方にスペースが作られる。この押圧ローラ1dによって作られたスペースに定着装置17を配置することで、装置全体を小型化している。その弊害として懸念される作像部(特に中間転写ベルト1、中間転写ベルトクリーニング装置18、感光ドラム11a〜11d)の昇温に対しては、定着装置17と中間転写ベルト1との間に断熱部材19(水循環式のヒートパイプパネル)を設けることで対応している。
押圧ローラ1dは、内部が中空形状となっている。押圧ローラ1dの材質としては比較的熱伝導性の高い物質が好ましい。ここでは、SUS製でローラ外径φ20mm、ローラ肉厚t=1mmのローラを使用した。図6に示すように中間転写ベルト1と押圧ローラ1dの巻き付けニップn≒10.5mm(巻き付け角=60°)とした。なお、押圧ローラ1dの材質にはSUSに限らず、例えばアルミや銅などの他の物質を用いても構わない。押圧ローラ1dの長手方向の前後には、図5に示すように押圧ローラ1dの中空形状の内部にエアーを送風するための送風手段としてのファン24a,24bと、ファン24a,24bからのエアーを押圧ローラ1dの中空内部に導くためのガイド部材25a,25bを設けている。ファン24aはローラ内部にエアーを吹き込む矢印F2方向、ファン24bはローラ内部のエアーを外部に吐き出す矢印F3方向に送風するように回転する。これにより、押圧ローラ1dが長手方向に渡って均一に冷却される。ファン24a,24bの動作は、画像形成動作に連動して行われる。また、押圧ローラ1dは、中間転写ベルト1に対して従動回転するように支持されている。これにより、中間転写ベルト1も効率的に冷却される構成となっている。
図7aは押圧ローラ1dの支持構成を示す概略断面図、図7bは装置上部から見た押圧ローラ1dの支持構成近傍を示す概略断面図である。図7aに基いて押圧ローラ1dの支持構成を説明する。押圧ローラ1dはその長手方向の前側と奥側の端部2か所にφ30mmのベアリング1eが嵌合されている。また、中間転写ベルト1の駆動ローラ1a、二次転写対向ローラ1b、支持ローラ1cを支持する様に中間転写ベルトユニット1u(図1参照、詳細図は省略)が形成されている。押圧ローラ1dの支持部材1fは、中間転写ベルトユニット1uの前側と奥側の2か所にて、支持部材1fの一端が中間転写ベルトユニット1uに回動可能に支持されている。支持部材1fの別の一端には、押圧ローラ1dに持たれているベアリング1eが嵌合される構成となっている。更に、押圧ローラ1dにより中間転写ベルト1に対して所定の荷重がかかるように、支持部材1fは、一端が中間転写ベルトユニット1uに支持された加圧バネ1hにより支持されている。
上述したように、本実施例によれば、高速の両面連続プリントを実施した場合においても、装置を大型化することなく、中間転写ベルトの昇温を防止して良好な画像を安定して出力することができる。また、中間転写ベルトを像担持面側から内側に押圧して屈曲させる押圧ローラが、中間転写ベルトの昇温防止手段である冷却ローラも兼ねることで装置の小型化及び低コスト化にも対応することができる。
図2を用いて実施例2に係る画像形成装置について説明する。図2は実施例2に係る画像形成装置の概略構成を示す模式断面図である。なお、基本的な装置構成は前述した実施例1と同様であるため、同等の機能を有する部材には同一符号を付し、その説明は援用するものとする。
本実施例では、中間転写ベルト1に対する押圧ローラ1dの巻き付けニップNを、前述した実施例1における巻き付けニップnよりも広くなるように構成している。具体的には、実施例1では、押圧ローラ1を巻き付けニップN≒21mm(巻付け角=120°)となるように、中間転写ベルト1に巻き付けている。なお、その他の構成は前述した実施例1と同様である。
上述したように、本実施例によれば、中間転写ベルト1に対する押圧ローラ1dの巻き付けニップNが、前述した実施例1(巻き付けニップn)よりも広いため、冷却機能を兼ねた押圧ローラにより、中間転写ベルトの昇温をより防止して良好な画像を安定して出力することができる。また、中間転写ベルトを外側から内側に押圧して屈曲させる押圧ローラが、中間転写ベルトの昇温防止手段である冷却ローラも兼ねることで装置の小型化及び低コスト化にも対応することができる。更に、装置内の部材設置スペースをより広げることができる。
図3を用いて実施例3に係る画像形成装置について説明する。図3は実施例3に係る画像形成装置の概略構成を示す模式断面図である。なお、基本的な装置構成は前述した実施例2と同様であるため、同等の機能を有する部材には同一符号を付し、その説明は援用するものとする。
本実施例の画像形成装置においては、弾性層を含む多層構成の中間転写ベルト1を用いている。ここでは、基層にポリイミド系樹脂材料、中間層にシリコン系ゴム材料、表層にフッ素系樹脂材料の3層構成とした中間転写ベルトを用いている。なお、弾性中間転写ベルト1の材質は、他に、基層としてPC系やPVDF系等の樹脂材料、中間層としてウレタン系やヒドリン系等のゴム材料、表層としてナイロン系等の樹脂材料を使用しても構わない。
また、本実施例の画像形成装置は、押圧ローラ1dと中間転写ベルトクリーニング装置18との間にて、中間転写ベルト1の像担持面に対向する位置に温度検知手段としての非接触の放射型温度センサ21を配置している。放射型温度センサ21は、物体が保有する温度に基づいて放射される赤外線を検知することで温度を測定する素子であり、センサ本体サイズや動作電圧仕様の関係から画像形成装置内部で使用するには適当である。そして、放射型温度センサ21が検知したベルト表面温度に応じて、押圧ローラ1dの冷却ファンへの印加電圧制御やON/OFF制御を行っている。これにより、ベルト表面温度を常に一定に保てるだけでなく、無駄な電力消費を防止できる利点がある。特に片面の小部数プリント時等において、より効果的である。
ここで、以下に比較例1,2を例示して、中間転写ベルトの温度、中間転写ベルトのクリーニング状態、画像濃度について、上述した実施例1〜3との比較を行った結果を説明する。
〔比較例1〕
比較例1では、中間転写ベルトを押圧する押圧ローラは、SUS製で中空形状ではあるが、ローラ両端部が回転駆動軸を備えたフランジで嵌合されたものを用いている。即ち、比較例1の押圧ローラは中空形状ではあるものの、中空内部がフランジによって密閉されており、冷却機能を持たない構成となっている。また、押圧ローラは、二次転写対向ローラから支持ローラに至る間の中間転写ベルトを押圧するように配置されている。更に比較例1では、中間転写ベルトクリーニング装置が、二次転写対向ローラから押圧ローラに至る間の中間転写ベルトの像担持面側(外側)に当接するように配置されている。その他の装置構成は、前述した実施例1と同様である。
〔比較例2〕
比較例2では、中間転写ベルトを押圧する押圧ローラは、SUS製で中空形状ではあるが、ローラ両端部が回転駆動軸を備えたフランジで嵌合されたものを用いている。即ち、比較例2の押圧ローラも比較例1の押圧ローラと同様に中空形状ではあるものの、中空内部がフランジによって密閉されており、冷却機能を持たない構成となっている。また、押圧ローラは、二次転写対向ローラから支持ローラに至る間の中間転写ベルトを押圧するように配置されている。なお、中間転写ベルトクリーニング装置は、実施例と同様に支持ローラの対向位置に配置されており、その他の装置構成も前述した実施形態と同様である。
前記した実施例1〜3、比較例1〜2の画像形成装置について、次の通りの比較実験を行った。感光ドラム11、並び中間転写ベルト1の像担持面の移動速度を300mm/sec、プリントスピード=80枚/分の条件にて、両面連続プリントの動作中における中間転写ベルト1の像担持面の温度と、クリーニング不良、画像濃度不良やカブリの発生状況を調べた。
なお、中間転写ベルト1の温度測定は、実施例1〜2、比較例1〜2についても、実施例3と同様に、押圧ローラ1dから支持ローラ1cまでの間にて、中間転写ベルト1の像担持面に対向する位置に非接触の放射型温度センサを配置して測定した。また、中間転写ベルト1の温度測定読み値は、両面連続プリントをスタートさせた後、温度上昇が止まって一定になったポイントとした。
また、クリーニング不良、画像濃度不良などの現象については、中間転写ベルト1の温度上昇が一定となった付近で出力された画像をサンプリングし、主観評価による○/△/×のレベル付けを行った。主観評価のレベル付けは、現象がほぼ観られず画像品位が許容できるレベルを○、現象が明らかに観察されて画像品位を低下させているレベルを×、前記○と×の中間を△とした。その比較実験の結果を表1に示す。
Figure 2008014980
比較例1、2については、中間転写ベルトの温度がともに50℃を超過してしまい、クリーニング不良、画像濃度不良/カブリ共に×以下のレベルであった。前記不良現象の発生は、50℃を超過すると、トナーの硬度特性が著しく変化して軟らかくなることや、クリーニングブレードの弾性や硬度の特性、感光体の帯電能や感度の特性が著しく変化する傾向にあるためと考えられる。中間転写ベルトの温度が「比較例1<比較例2」であるにもかかわらず、クリーニング不良のレベルが比較例2に対して比較例1が悪かった。この原因について考察する。比較例1の場合、二次転写部にて温められた中間転写ベルトが温度センサ位置に到達するまでに、中間転写体クリーニング装置、押圧ローラを通過している。これに対し比較例2の場合、二次転写部にて温められた中間転写ベルトが温度センサ位置に到達するまでに、押圧ローラのみを通過している。すなわち、比較例1の場合、温度センサ位置に到達するまでに比較例2よりも放熱の機会が多くなっている。このため、中間転写ベルトの温度が「比較例1<比較例2」であるにもかかわらず、クリーニング不良のレベルが比較例2に対して比較例1が悪かったと考えられる。一方、比較例1は中間転写体クリーニング装置が二次転写部の直後に位置しているため、中間転写体クリーニング装置における中間転写ベルトの温度が「比較例2<比較例1」になっていたと考えられる。
次に、実施例1については、比較例1,2に対して、押圧ローラ1dの中空内部を送風によってを冷却している効果が現れ、中間転写ベルト1の温度<50℃となった。実施例1では、不良現象については○レベルに対してやや劣る○△レベルであったが、許容レベルに近い結果が得られた。実施例1に対して、更に押圧ローラ1dの中間転写ベルト1の巻き付けニップ(N>n)を広げた構成である実施例2については、中間転写ベルト1の温度が40℃前後となった。また実施例2では、不良現象については○レベルであった。実施例3は、実施例2と同じ巻き付けニップNを確保して中間転写ベルト1に弾性中間転写ベルトを用いた構成であるが、結果は実施例2とほぼ同レベルで良好な結果であった。
このように本実施例によれば、押圧ローラが冷却機能を有する中空構造であるため、高速の両面連続プリントを実施した場合であっても、装置を大型化することなく、中間転写ベルトの昇温を防止して良好な画像を安定して出力することができた。
尚、前述した実施例では、押圧ローラ1dの中空内部を冷却する冷却手段としてファン(送風手段)を用いた構成を例示したが、これに限定されるものではない。例えば、図4に示している押圧ローラ1dの中空内部に水などの冷媒を循環させるヒートパイプ22を配置して、前記ヒートパイプ22の端部をファン23で冷却する構成としても良い。更には、前述したセンサの検知情報に基いて、前記ヒートパイプの動作を制御するようにしても良い。このように構成することで、前述してきた結果と同様の効果が得られる。
また前述した実施形態において、押圧ローラ1dの巻き付けニップn,Nを例示したが、これに限定されるものではない。押圧ローラ1dの巻き付けニップ(巻き付け角)は、中間転写ベルトの昇温を防止でき十分な冷却効果が得られ、且つ装置内の部材設置スペースを確保できるように設定すれば良い。
また前述した実施形態では、多色画像形成のために画像形成ユニットを4つ使用しているが、この使用個数は限定されるものではなく、必要に応じて適宜設定すれば良い。
また前述した実施形態では、画像形成装置としてプリンタを例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば複写機、ファクシミリ装置等の他の画像形成装置や、或いはこれらの機能を組み合わせた複合機等の他の画像形成装置であっても、無端状の中間転写ベルトを有する画像形成装置であれば良い。これらの画像形成装置に本発明を適用することにより同様の効果を得ることができる。
実施例1に係る画像形成装置の概略構成を示す断面図 実施例2に係る画像形成装置の概略構成を示す断面図 実施例3に係る画像形成装置の概略構成を示す断面図 押圧ローラの冷却機構(ヒートパイプ)の概略構成を示す断面図 押圧ローラの冷却機構(ファン)の概略構成を示す断面図 実施例1〜3の押圧ローラの中間転写ベルトの巻き付け量を示す概略断面図 押圧ローラの支持構成を示す概略断面図 装置上部から見た押圧ローラの支持構成近傍を示す概略断面図
符号の説明
T1 …一次転写部
T2 …二次転写部
1 …中間転写ベルト
1a …駆動ローラ
1b …二次転写対向ローラ
1c …支持ローラ
1d …押圧ローラ
1e …ベアリング
1f …支持部材
1h …加圧バネ
1u …中間転写ベルトユニット
3 …二次転写ローラ
11a,11b,11c,11d …感光ドラム
12a,12b,12c,12d …一次帯電器
13a,13b,13c,13d …スキャナ
14a,14b,14c,14d …現像器
15a,15b,15c,15d …一次転写ローラ
17 …定着装置
18 …中間転写ベルトクリーニング装置
20 …搬送装置
21 …放射型温度センサ
22 …ヒートパイプ
23,24a,24b …ファン
25a,25b …ガイド部材

Claims (5)

  1. 複数のローラに懸架された無端状の中間転写ベルトの走行方向に沿って複数の画像形成ユニットを配設し、前記画像形成ユニットの像担持体上に形成したトナー像を、前記像担持体と前記中間転写ベルトとの間の一次転写部にて前記中間転写ベルト上に順次一次転写し、その後、前記中間転写ベルト上の複数のトナー像を、二次転写部にて記録材上に一括して二次転写する画像形成装置において、
    前記中間転写ベルトを懸架している複数のローラのうちの一つは、前記中間転写ベルトを像担持面側から内側に押圧して前記中間転写ベルトを巻き付けるようにして屈曲させる押圧ローラであり、前記押圧ローラは、冷却可能な中空構造であり、前記二次転写部と、二次転写後に前記中間転写ベルトに残留したトナーを除去する中間転写ベルトクリーニング装置の間に配置されていることを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記押圧ローラの中空内部にエアーを送風する送風手段を有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記中間転写ベルトの像担持面の温度を検知する温度検知手段を有し、前記温度検知手段の検知情報に基いて、前記押圧ローラの中空内部へのエアー送風動作を制御することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
  4. 前記押圧ローラの中空内部に冷媒を循環させるヒートパイプを設けたことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  5. 前記中間転写ベルトの像担持面の温度を検知する温度検知手段を有し、前記温度検知手段の検知情報に基いて、前記押圧ローラの中空内部に配置されているヒートパイプの動作を制御することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
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