まず、図1を用いて、プリンター1(画像形成装置)の全体の構成について説明する。
プリンター1は、箱型形状のプリンター本体2を備えており、プリンター本体2の下部には、用紙(記録媒体)を収納する給紙カセット3が収容され、プリンター本体2の上面には排紙トレイ4が設けられている。プリンター本体2の上面には、排紙トレイ4の側方に上カバー5が開閉可能に取り付けられ、上カバー5の下方にはトナーコンテナ6が収納されている。
プリンター本体2の上部には、レーザー・スキャニング・ユニット(LSU)で構成される露光器7が排紙トレイ4の下方に配置され、露光器7の下方には、画像形成部8が設けられている。画像形成部8には、像担持体である感光体ドラム10が回転可能に設けられており、感光体ドラム10の周囲には、帯電器11と、現像器12と、転写ローラー13と、クリーニング装置14とが、感光体ドラム10の回転方向(図1の矢印X参照)に沿って配置されている。
プリンター本体2の内部には、用紙の搬送経路15が設けられている。搬送経路15の上流端には給紙部16が設けられ、搬送経路15の中流部には、感光体ドラム10と転写ローラー13によって構成される転写部17が設けられ、搬送経路15の下流部には定着装置18が設けられ、搬送経路15の下流端には排紙部19が設けられている。搬送経路15の下方には、両面印刷用の反転経路20が形成されている。
次に、このような構成を備えたプリンター1の画像形成動作について説明する。
プリンター1に電源が投入されると、各種パラメーターが初期化され、定着装置18の温度設定等の初期設定が実行される。そして、プリンター1に接続されたコンピューター等から画像データが入力され、印刷開始の指示がなされると、以下のようにして画像形成動作が実行される。
まず、帯電器11によって感光体ドラム10の表面が帯電された後、露光器7からのレーザー光(図1の二点鎖線P参照)により感光体ドラム10に対して画像データに対応した露光が行われ、感光体ドラム10の表面に静電潜像が形成される。次に、この静電潜像を、現像器12がトナーによりトナー像に現像する。
一方、給紙部16によって給紙カセット3から取り出された用紙は、上記した画像形成動作とタイミングを合わせて転写部17へと搬送され、転写部17において感光体ドラム10上のトナー像が用紙に転写される。トナー像を転写された用紙は、搬送経路15を下流側へと搬送されて定着装置18に進入し、この定着装置18において用紙にトナー像が定着される。トナー像が定着された用紙は、排紙部19から排紙トレイ4に排出される。なお、感光体ドラム10上に残留したトナーは、クリーニング装置14によって回収される。
次に、図2〜図7を用いて、定着装置18について詳細に説明する。以下、説明の便宜上、図2における紙面手前側を定着装置18の前側(正面側)とする。図2の矢印Yは、用紙の搬送方向を示している。各図に適宜付される矢印Frは、定着装置18の前側(正面側)を示している。図4の矢印Iは前後方向内側を示し、図4の矢印Oは前後方向外側を示している。
図2、図3に示されるように、定着装置18は、定着フレーム21(図2では図示省略)と、定着フレーム21の上部に内設される定着ベルト22と、定着フレーム21の下部に内設される加圧ローラー23(加圧部材)と、定着ベルト22の径方向内側に配置される加熱ローラー24(加熱部材)と、加熱ローラー24の径方向内側に配置されるヒーター25(熱源)と、定着ベルト22の径方向内側において加熱ローラー24の右側(用紙搬送方向における上流側)に配置される押圧部材26と、定着ベルト22の径方向内側において押圧部材26の右側(用紙搬送方向における上流側)に配置される支持部材27と、定着ベルト22と押圧部材26の間に介装されるシート部材28と、定着ベルト22の前後両端部22a、22b(図2、図3では図示せず)の外周面(外周)に固定されるガイドレール29(ガイド部)と、定着ベルト22の左上側に配置されるカバー部材30と、を備えている。
図3に示されるように、定着フレーム21は、上フレーム32と下フレーム33によって構成されている。上フレーム32は、下フレーム33に対して昇降可能に設けられている。
定着フレーム21の上フレーム32は、鉛直方向に延びる前後一対の上側ベース板34を備えている。前後一対の上側ベース板34の上端部は、連結フレーム35によって連結されている。各上側ベース板34の上面には、左右一対のコイルバネ36(付勢部材)の下端部が当接している。コイルバネ36は、上フレーム32を下側(下フレーム33側)に付勢している。各上側ベース板34の外面には、支持片37が固定されている。支持片37の左右方向中央部には、取付溝38が凹設されている。
定着フレーム21の下フレーム33は、鉛直方向に延びる前後一対の下側ベース板41を備えている。前後一対の下側ベース板41の下部は、連結板42によって連結されている。連結板42の左右両縁部には、ガイド板43が固定されている。各ガイド板43は、左右方向内側に向かって屈曲されて加圧ローラー23の側方まで延びている。各下側ベース板41の外面には、軸受板44が固定されている。
定着ベルト22は、前後方向に長い円筒状を成している。定着ベルト22は、可撓性を有している。定着ベルト22は、前述のコイルバネ36によって下側(加圧ローラー23側)に付勢されている。定着ベルト22は、前後方向に沿って延びている。つまり、本実施形態では、前後方向が定着ベルト22の軸線方向である。図4の二点鎖線Zは、定着ベルト22の軸線方向(前後方向)を示している。
図2に示されるように、定着ベルト22は、上部に緩みのある状態で加熱ローラー24、押圧部材26及び支持部材27に架け渡されている。定着ベルト22は、回転可能に設けられている。図2の矢印Aは、定着ベルト22の回転方向を示している。
定着ベルト22は、例えば、直径24mmである。定着ベルト22は、例えば、基材層と、この基材層に周設される弾性層と、この弾性層を被覆する離型層と、によって構成されている。定着ベルト22の基材層は、例えば、厚さ50μmのPI(ポリイミド)によって形成されている。定着ベルト22の弾性層は、例えば、厚さ200μmのシリコンゴムによって形成されている。定着ベルト22の離型層は、例えば、厚さ10μmのPFAコーティングによって形成されている。なお、各図において、定着ベルト22の各層(基材層、弾性層、離型層)は、特に区別されていない。
加圧ローラー23は、前後方向に長い円柱状を成している。図3等に示されるように、加圧ローラー23は、定着ベルト22の下側(径方向外側)に配置されている。加圧ローラー23の前後両端部は、下フレーム33の各軸受板44に軸支されている。これにより、加圧ローラー23が下フレーム33に回転可能に支持されている。加圧ローラー23の後端部には、伝達ギア51が固定されている。伝達ギア51は、モーター等の駆動源52に接続されている。このような構成により、駆動源52が伝達ギア51を介して加圧ローラー23に接続されており、駆動源52の回転が伝達ギア51を介して加圧ローラー23に伝達され、加圧ローラー23が回転するように構成されている。つまり、駆動源52によって加圧ローラー23を回転させるように構成されている。
図2に示されるように、加圧ローラー23は、例えば、円柱状(中実状)の芯材53と、この芯材53に周設される弾性層54と、を備えている。加圧ローラー23の芯材53は、例えば、アルミニウムなどの金属によって形成されている。加圧ローラー23の弾性層54は、例えば、直径20mm、厚さ5mm、硬度44°の発泡シリコンゴムによって形成されている。加圧ローラー23の弾性層54は、加圧ローラー23の芯材53よりも摩擦係数が高い。
加熱ローラー24は、前後方向に長い円筒状を成している。加熱ローラー24は、加圧ローラー23との間に定着ベルト22を挟み込むように配置されている。加熱ローラー24は、例えば、基材層61と、この基材層61を被覆するコーティング層62と、を備えている。加熱ローラー24の基材層61は、例えば、直径15mm、厚さ1mmのアルミニウムによって形成されている。加熱ローラー24のコーティング層62は、例えば、厚さ50μmのシリコンゴムによって形成されており、加熱ローラー24の基材層61よりも摩擦係数が高い。加熱ローラー24のコーティング層62は、定着ベルト22の内周面に接触している。
加熱ローラー24の前後両端部は、上フレーム32(図3参照)の支持片37にベアリング(図示せず)を介して軸支されている。これにより、前後方向に延びる回転軸S(図3参照)を中心に回転可能となるように加熱ローラー24が上フレーム32に支持されている。つまり、本実施形態では、前後方向が加熱ローラー24の回転軸方向である。
ヒーター25は、前後方向に長い形状を成している。図2に示されるように、ヒーター25は、加熱ローラー24の中央部に収容されている。ヒーター25は、例えば、800Wのハロゲンヒーターによって構成されている。ヒーター25は、通電によって発熱し、加熱ローラー24を加熱するように構成されている。ヒーター25の前後両端部は、上フレーム32(図3参照)の支持片37の取付溝38に挿入されている。これにより、ヒーター25が上フレーム32に支持されている。
押圧部材26は、前後方向に長い形状を成している。押圧部材26の前後両端部は、上フレーム32(図3参照)の各上側ベース板34に固定されている。これにより、押圧部材26が上フレーム32に支持されている。図2、図5に示されるように、押圧部材26は、押圧体67と、押圧体67の上側に配置される装着体68と、を備えている。
押圧部材26の押圧体67は、例えば、液晶ポリマーやPPS(ポリフェニレンサルファイド)などの耐熱性樹脂やアルミニウム、SUS又は鉄などの金属によって形成されている。押圧体67は、加圧ローラー23との間に定着ベルト22を挟み込むように配置されている。押圧体67は、定着ベルト22を下側(加圧ローラー23側)に向かって押圧している。
押圧体67は、ベース部69と、ベース部69の上面に設けられる複数の突出部70と、を備えている。ベース部69は、前後方向に長い板状を成している。ベース部69の上面には、複数の突出部70の形成間隔に突部71が設けられている。ベース部69の下面は、加圧ローラー23の外周面に沿って円弧状に湾曲している。ベース部69の左面(加熱ローラー24側の面)は、下側(加圧ローラー23側)に向かって左側(加熱ローラー24側)に傾斜している。複数の突出部70は、前後方向に間隔をおいて設けられている。各突出部70は、円柱状を成している。各突出部70の上面には、ビス穴72が設けられている。
押圧部材26の装着体68は、例えば、アルミニウム、SUS又は鉄などの金属によって形成されている。装着体68は、前後方向に長い形状を成している。装着体68は、押圧体67を支えるベースフレームとしての機能を果たしている。
装着体68は、鉛直方向に延びる側壁部73と、側壁部73の上端から左側(左右方向内側)に向かって屈曲される上壁部74と、を備えている。上壁部74には、前後方向に間隔をおいて複数の貫通穴76が上下方向に設けられている。そして、各貫通穴76を貫通するビス79が各突出部70のビス穴72に螺合することにより、装着体68が押圧体67に装着されている。
支持部材27は、前後方向に長い形状を成している。図2に示されるように、支持部材27は、加圧ローラー23との間に定着ベルト22を挟み込んでいない。支持部材27は、定着ベルト22の回転方向(図2の矢印A参照)において後述する定着ニップ90の上流側に配置されている。支持部材27の下面(定着ベルト22の回転方向における下流側の面)は、押圧部材26の押圧体67と装着体68の間に挟み込まれた補強板83によって支持されている。
図2等に示されるように、支持部材27は、固定体81と、固定体81の右面(外面)に固定される弾性体82と、を備えている。固定体81は、例えば、アルミニウムやSUSや鉄などの金属又は液晶ポリマーやPPS(ポリフェニレンサルファイド)などの耐熱性樹脂によって形成されている。固定体81は、押圧部材26の装着体68の側壁部73の右面(外面)に固定されている。弾性体82は、例えば、シリコンスポンジ等の弾性材料によって形成されている。弾性体82の右面(外面)には、支持面84が設けられている。支持面84は、定着ベルト22の内周面に接触しており、定着ベルト22を径方向内側から支持している。
図6に示されるように、シート部材28は、前後方向に長い形状を成している。シート部材28は、例えば、ガラスクロスシート等の低摩擦材によって形成されており、押圧部材26及び支持部材27よりも摩擦係数が低い。シート部材28の表面には、PFA等のフッ素系樹脂によるコーティングが施されている。なお、図6の二点鎖線L1は、シート部材28の幅方向一側部28aと幅方向中央部28bの境界を示し、図6の二点鎖線L2は、シート部材28の幅方向中央部28bと幅方向他側部28cの境界を示している。シート部材28の幅方向一側部28aには、複数の取付穴85が前後方向に間隔をおいて形成されている。図2に示されるように、各取付穴85には、押圧部材26の押圧体67の各突出部70が貫通している。これにより、シート部材28の幅方向一側部28aが押圧部材26に固定されている。シート部材28の幅方向一側部28aは、押圧部材26の押圧体67と装着体68の間に挟み込まれている。シート部材28の幅方向中央部28bは、押圧部材26の押圧体67のベース部69の右面(外面)に当接している。シート部材28の幅方向他側部28cは、押圧部材26の押圧体67のベース部69の下面と定着ベルト22の内周面の間に介装されている。
各ガイドレール29は、無端状(環状)を成している。各ガイドレール29は、定着ベルト22の前後両端部22a、22bの外周面の全域に亘って設けられている。各ガイドレール29は、接着などの手段によって定着ベルト22の外周面に固定されている。各ガイドレール29は、例えば、シリコンゴム等の弾性体によって形成されており、可撓性を有している。
図2等に示されるように、カバー部材30は、定着ベルト22を挟んで加熱ローラー24と対向している。カバー部材30は、定着ベルト22の左上部の外周面を覆っている。カバー部材30の内周面は、定着ベルト22の外周面に沿って円弧状に湾曲しており、定着ベルト22の外周面と間隔を介して対向している。カバー部材30の外周面は、カバー部材30の内周面と同様に円弧状に湾曲している。
カバー部材30は、定着ベルト22の回転方向(図2の矢印A参照)において後述する定着ニップ90の下流側に配置されている。カバー部材30の径方向内側部30aは、内面に鏡面加工が施された金属(例えば、アルミニウム、SUS、鉄又はこれらの金属から成る基材の表面にアルミメッキやニッケルメッキを施したもの)によって構成されている。カバー部材30の径方向外側部30bは、樹脂(例えば、液晶ポリマー、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PET(ポリエチレンテレフタラート))によって構成されている。
図4に示されるように、カバー部材30は、各ガイドレール29の前後方向内側(前側のガイドレール29の後側、後側のガイドレール29の前側)に配置されている。カバー部材30は、定着ベルト22の前端側から後端側まで前後方向に沿って延びている。カバー部材30の外面の前後両端部は、連結片86を介して上フレーム32(図3等参照)に連結されている。カバー部材30の前後方向外側の面(前端面及び後端面)は、各ガイドレール29の前後方向内側の面と間隔を介して対向している。
図4、図7等に示されるように、カバー部材30の径方向外側部30bの前後方向外側の面(前端面及び後端面)には、挿入溝87が等間隔で3個凹設されている。各挿入溝87は、直方体形状を成している。
各ガイドレール29の前後方向内側の面とカバー部材30の前後方向外側の面(前端面及び後端面)の間には、回転体88が介装されている。回転体88は、等間隔で3個設けられている。各回転体88は、球体状を成している。各回転体88の前後方向内側の部分は、カバー部材30の各挿入溝87に挿入されている。これにより、各回転体88がカバー部材30に回転可能に支持されている。各回転体88の前後方向外側の部分は、カバー部材30の各挿入溝87から露出し、各ガイドレール29の前後方向内側の面に接触している。
図2に示されるように、定着ベルト22と加圧ローラー23の圧接部分には、定着ニップ90が形成されている。定着ニップ90は、第1ニップ部91と、第1ニップ部91よりも右側に形成される第2ニップ部92と、第1ニップ部91と第2ニップ部92の間に形成される第3ニップ部93と、を備えている。
第1ニップ部91は、加圧ローラー23と加熱ローラー24が定着ベルト22を挟み込む部分に形成されている。第1ニップ部91は、加熱ローラー24によって定着ベルト22の径方向内側からバックアップされている。第1ニップ部91の形成幅は、例えば、1.5mmである。
第2ニップ部92は、加圧ローラー23と押圧部材26の押圧体67が定着ベルト22を挟み込む部分に形成されている。第2ニップ部92は、押圧部材26の押圧体67によって定着ベルト22の径方向内側からバックアップされている。第2ニップ部92は、定着ベルト22の回転方向(図2の矢印A参照)において第1ニップ部91よりも上流側に設けられている。第2ニップ部92にかかる力の総和は、第1ニップ部91にかかる力の総和よりも大きい。つまり、加圧ローラー23と押圧部材26の押圧体67が定着ベルト22を挟み込む力は、加圧ローラー23と加熱ローラー24が定着ベルト22を挟み込む力よりも大きい。第2ニップ部92の形成幅は、例えば9mmである。
第3ニップ部93は、加熱ローラー24の下端部と押圧部材26の押圧体67のベース部69の下端部の間に形成される隙間94と対応する位置に設けられている。そのため、第3ニップ部93は、定着ベルト22の径方向内側からバックアップされていない。第3ニップ部93の形成幅は、例えば、1.5mmである。
上記のように構成された定着装置18において、用紙にトナー像を定着させる際には、駆動源52を駆動させる。このように駆動源52を駆動させると、駆動源52の回転が伝達ギア51を介して加圧ローラー23に伝達され、図2に矢印Bで示されるように、加圧ローラー23が回転する。このように駆動源52によって加圧ローラー23を回転させると、図2に矢印Aで示されるように、加圧ローラー23の回転に従動して定着ベルト22が回転する。また、図2に矢印Cで示されるように、定着ベルト22の回転に従動して加熱ローラー24が回転する。なお、定着ベルト22は、加圧ローラー23と加熱ローラー24に挟み込まれた状態で、押圧部材26側から加熱ローラー24側に向かって回転する。
また、上記のように定着ベルト22が回転すると、これに伴って各ガイドレール29が回転し、各ガイドレール29の回転に従動して各回転体88が回転する。このように各回転体88が回転すると、各回転体88がカバー部材30に対して摺動する。
また、用紙にトナー像を定着させる際には、ヒーター25を稼働(点灯)させる。このようにヒーター25が稼働すると、ヒーター25によって加熱ローラー24が径方向内側から加熱され、加熱ローラー24からの伝熱によって定着ベルト22が径方向内側から加熱される。この状態で、用紙が定着ニップ90を通過すると、トナー像が加熱及び加圧されて用紙に定着する。
ところで、上記のように構成された定着装置18では、各構成部品の個体差等に起因して、定着ベルト22の回転時に定着ベルト22を前後方向片側(前端側又は後端側)に寄せる力が不可避的に発生する。これに伴って、定着ベルト22が前後方向片側に大きく寄ると、定着ベルト22の前後方向片側に配置された部材(例えば、定着ベルト22の蛇行を防止するためのフランジ)に定着ベルト22の前後両端部22a、22bが接触し、定着ベルト22の前後両端部22a、22bの座屈や破損につながる恐れがある。
しかしながら、本実施形態では、各ガイドレール29の前後方向内側にカバー部材30が配置されている。そのため、定着ベルト22の前後方向片側への大きな寄りを抑制することが可能となる。これに伴って、定着ベルト22の前後方向片側に配置された部材に定着ベルト22の前後両端部22a、22bが接触するのを抑制することができ、定着ベルト22の前後両端部22a、22bの座屈や破損を防止することが可能となる。
また、定着ベルト22を前後方向片側に寄せる力が発生した時に、圧縮力では無く、引っ張り力を定着ベルト22に発生させることが可能となる。これに伴って、定着ベルト22の前後両端部22a、22bに掛かる負荷を軽減し、定着ベルト22の前後両端部22a、22bの座屈や破損を効果的に防止することが可能となる。
また、定着ベルト22の外周面をカバー部材30によって部分的に覆うことで、定着ベルト22の熱が外部に逃げるのを抑制することが可能となる。これに伴って、定着装置18の省エネルギー化を図ることができる。
また、各ガイドレール29とカバー部材30の間に各回転体88が介装されることで、各ガイドレール29をカバー部材30に接触させる場合と比較して、各ガイドレール29の摺動負荷を軽減させることが可能となる。そのため、各ガイドレール29及びカバー部材30の寿命を長くすることができる。
また、カバー部材30の前後方向外側の面に設けられた各挿入溝87に球体状の各回転体88が部分的に挿入されている。このような構成を採用することで、簡易な構成によって各回転体88を支持することが可能となる。
また、挿入溝87及び回転体88は、等間隔で複数個設けられている。このような構成を採用することで、各ガイドレール29と回転体88を複数箇所で接触させることが可能となる。これに伴って、定着ベルト22の回転軌道を安定させやすくなる。
また、各ガイドレール29は、定着ベルト22の前後両端部22a、22bの外周面に固定され、カバー部材30は、定着ベルト22の前端側から後端側まで前後方向に沿って延びている。このような構成を採用することで、定着ベルト22の前後方向片側への大きな寄りを一層確実に抑制することができると共に、カバー部材30の保温機能を高めることが可能となる。
また、定着装置18は、加圧ローラー23との間に定着ベルト22を挟み込むように配置され、回転可能に設けられる加熱ローラー24と、加圧ローラー23との間に定着ベルト22を挟み込むように配置され、定着ベルト22を加圧ローラー23側に向かって押圧する押圧部材26と、を備えている。このような構成を採用することで、定着ニップ90の形成幅を大きくすることが可能となり、用紙にトナー像を確実に定着させることが可能となる。
また、加熱ローラー24の径方向内側にはヒーター25が配置され、カバー部材30は、定着ベルト22を挟んで加熱ローラー24と対向している。このような構成を採用することで、定着ベルト22の中で高温化しやすい領域(ヒーター25及び加熱ローラー24の周辺領域)の外周面を覆うようにカバー部材30を配置することが可能となる。これに伴って、カバー部材30による保温効果を高めることが可能となる。
また、カバー部材30の径方向内側部30aは、内面に鏡面加工が施された金属によって構成され、カバー部材30の径方向外側部30bは、樹脂によって構成されている。このような構成を採用することで、カバー部材30の重量化を抑制しつつ、カバー部材30の保温機能を高めることが可能となる。
また、加圧ローラー23と加熱ローラー24によって定着ベルト22を挟み込んでいるため、定着ベルト22を確実に回転させることが可能となる。
本実施形態では特に、加熱ローラー24の基材層61よりも摩擦係数が高い加熱ローラー24のコーティング層62を定着ベルト22の内周面に接触させている。このような構成を採用することにより、加圧ローラー23と加熱ローラー24によって定着ベルト22を強力にグリップし、定着ニップ90の第1ニップ部91において定着ベルト22を左側(定着ベルト22の回転方向における下流側)に引っ張ることができる。これに伴って、定着ニップ90の第1ニップ部91と第2ニップ部92の間で定着ベルト22が張架されることになるため、定着ニップ90の第3ニップ部93における定着ベルト22の撓みや座屈を効果的に防止することが可能となり、画像劣化を抑制することができる。
本実施形態では、加圧ローラー23に伝達ギア51を固定し、この伝達ギア51を介して加圧ローラー23に駆動源52を接続する場合について説明した。一方で、他の異なる実施形態では、図8に示されるように、加熱ローラー24に伝達ギア51を固定し、この伝達ギア51とギア列95を介して加熱ローラー24に駆動源52を接続しても良い。この場合には、駆動源52によって加熱ローラー24を回転させると、加熱ローラー24の回転に従動して定着ベルト22及び加圧ローラー23が回転することになる。
本実施形態では、コイルバネ36(付勢部材)によって定着ベルト22を下側(加圧ローラー23側)に付勢する場合について説明した。一方で、他の異なる実施形態では、図8に示されるように、コイルバネ36(付勢部材)によって加圧ローラー23を上側(定着ベルト22側)に付勢しても良い。
本実施形態では、カバー部材30が定着ベルト22の回転方向において定着ニップ90の下流側に配置される場合について説明した。一方で、他の異なる実施形態では、カバー部材30が定着ベルト22の回転方向において定着ニップ90の上流側に配置されていても良い。
本実施形態では、カバー部材30が定着ベルト22を挟んで加熱ローラー24と対向する場合について説明した。一方で、他の異なる実施形態では、カバー部材30が定着ベルト22を挟んで押圧部材26や支持部材27と対向しても良い。
本実施形態では、定着ベルト22の左上部の外周面をカバー部材30が覆う場合について説明した。一方で、他の異なる実施形態では、定着ニップ90の周辺部を除く定着ベルト22の略全域の外周面をカバー部材30が覆っても良い。
本実施形態では、カバー部材30の各挿入溝87が直方体形状を成している場合について説明した。一方で、他の異なる実施形態では、カバー部材30の各挿入溝87が半球状等の直方体形状以外の形状を成していても良い。本実施形態では、定着ベルト22が上部に緩みのある状態で加熱ローラー24、押圧部材26及び支持部材27に架け渡される場合について説明した。一方で、他の異なる実施形態では、定着ベルト22が緩みの無い状態で加熱ローラー24、押圧部材26及び支持部材27に架け渡されていても良い。
本実施形態では、定着ベルト22の基材層が樹脂(PI(ポリイミド))によって形成される場合について説明した。一方で、他の異なる実施形態では、定着ベルト22の基材層がSUSやニッケルなどの金属によって形成されていても良い。
本実施形態では、加圧ローラー23が芯材53と弾性層54を備えている場合について説明した。一方で、他の異なる実施形態では、加圧ローラー23が、芯材53と弾性層54の他に弾性層54を被覆する離型層を備えていても良い。加圧ローラー23の離型層は、例えば、PFAチューブによって形成される。
本実施形態では、ハロゲンヒーターによって構成されるヒーター25を熱源として用いる場合について説明したが、他の異なる実施形態では、カーボンヒーター、セラミックヒーター又はIHコイルなどを熱源として用いても良い。
本実施形態では、加熱ローラー24及び押圧部材26と加圧ローラー23の間に定着ベルト22が挟み込まれる場合について説明した。一方で、他の異なる実施形態では、加熱ローラー24又は押圧部材26のいずれか一方と加圧ローラー23の間に定着ベルト22が挟み込まれていても良い。なお、加熱ローラー24と加圧ローラー23の間に定着ベルト22が挟み込まれる場合(押圧部材26を用いない場合)には、加熱ローラー24に定着ベルト22が周設されていても良いし、加熱ローラー24と他のローラーに定着ベルト22が巻き掛けられていても良い。
本実施形態では、プリンター1に本発明の構成を適用する場合について説明したが、他の異なる実施形態では、複写機、ファクシミリ、複合機等の他の画像形成装置に本発明の構成を適用することも可能である。