JP3893335B2 - 熱転写装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、単一の記録材の各面にそれぞれトナー像を熱転写させる熱転写装置及びこれを備えた画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、プリンタ等の画像形成装置において、次のようなプロセスで画像を形成するものが知られている。すなわち、まず、感光体等の潜像担持体を露光走査するなどして静電潜像を形成し、これに負または正の極性に帯電したトナーを付着させてトナー像を得る。次いで、このトナー像を、潜像担持体上から転写紙等の記録材に、直接転写するか、あるいは中間転写体を介して間接的に転写するかした後、加熱定着装置によって記録材上に定着させる。このようなプロセスを実施する画像形成装置においては、近年の画像形成スピードの高速化の要求を満たすための対策を講ずる必要がある。
【0003】
例えば、転写工程及び定着工程に転写・定着同時方式を採用する対策が考えられる。この転写・定着同時方式とは、像担持体上のトナー像を加熱によって軟化させながら記録材上に密着させて、そのトナー像の転写と定着を実質的に同時に行う方式のことである。この方式によれば、画像形成スピードの高速化を図ることができる。
また、例えば、転写工程にワンパス両面転写方式を採用する対策が考えられる。このワンパス両面転写方式とは、記録材の各面に画像を形成する際に、その記録材を1回搬送するだけでその両面に画像を転写することができる方式である。具体例の1つを挙げると、まず、記録材の第1面に保持させるための第1のトナー像を潜像担持体上に形成し、これを中間転写体に転写する。次に、第2のトナー像を潜像担持体上に形成し、これを中間転写体上の第1のトナー像とともに、潜像担持体と中間転写体との間の転写ニップに搬送されてくる単一の記録材の各面にそれぞれ同時に転写する。その後、記録材を加熱定着装置に送って両面のトナー像を記録材上に定着させる。このようなワンパス両面転写方式によれば、記録材の各面に画像を形成する場合、記録材を同一経路に2回搬送して各面にトナー像を個別に転写する方式に比べて、画像形成スピードの高速化を図ることができる。
【0004】
本出願人は、画像形成スピードの更なる高速化を図るべく、上記ワンパス両面転写方式の記録材への転写工程及び定着工程に、上記転写・定着同時方式を採用した画像形成装置を提案している。この画像形成装置では、第1のトナー像及び第2のトナー像を記録材の各面にそれぞれ同時に転写する際、各トナー像を加熱して軟化させながら記録材の各面に密着させる。これにより、記録材の各面に画像を形成する際、その記録材を1回搬送するだけで、その各面へのトナー像の転写及び定着を実質的に同時に行うことができる。
しかし、この画像形成装置においては、記録材に転写される第1のトナー像及び第2のトナー像をそれぞれ担持する各像担持体は、耐熱性を有する必要があるなど種々の制約を受けることになる。そのため、通常では、潜像担持体とは別に、少なくとも2つの像担持体を設置する方式が採用するのが望ましい。この方式では、まず、潜像担持体上の潜像を現像して得た第1のトナー像を第1の像担持体上に転写した後、これを第2の像担持体上に転写する。その後、潜像担持体上の潜像を現像して新たに第2のトナー像を形成し、これを第1の像担持体上に転写する。そして、この第1の像担持体上の第2のトナー像と、第2の像担持体上の第1のトナー像とを、単一の記録材の各面にそれぞれ熱転写する。なお、この熱転写では、熱だけでなく圧力も作用して転写と定着が行われるものと考えられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上述したようなワンパス両面転写方式と転写・定着同時方式とを併用した画像形成装置では、記録材の各面に形成される画像の先端位置が互いにズレてしまうという問題が発生する。このような問題が発生する原因は次のように考えられる。
すなわち、ワンパス両面転写方式を採用した画像形成装置では、通常、第1の像担持体上の第2のトナー像は第1の像担持体と第2の像担持体との間の転写ニップで記録材上に転写される。一方、第2の像担持体上における第1のトナー像の記録材への転写は、その転写ニップで行ってもよいし、その転写ニップとは異なる記録材搬送経路上の位置で行ってもよい。後者の場合、第1のトナー像の記録材への転写を行うための新たな転写手段が必要になる。前者の場合でも後者の場合でも、第2のトナー像の先端位置が上記転写ニップに侵入するタイミングと同時に、第1のトナー像の先端が進入するように構成する必要がある。しかし、転写・定着同時方式のようにトナーを加熱して融解させる場合には、第1の像担持体及び第2の像担持体の温度は記録材への転写工程での加熱によって上昇する。その場合、この上昇した温度及び各像担持体が有する熱膨張率に応じて、各像担持体の無端移動経路長が長くなる。これにより、各像担持体間における無端移動経路長の差分が変動した場合、第2のトナー像に対応する潜像を一定のタイミングで潜像担持体上に形成していると、各トナー像が転写ニップに進入するタイミングがズレることになる。
なお、この転写ニップで各トナー像を記録材に転写する際に、加熱せずに静電的に転写を行う静電転写方式の場合には、その転写時に像担持体が加熱されないため、像担持体間における無端移動経路長の差分にほとんど変動はない。よって、単に第2のトナー像に対応する潜像を一定のタイミングで潜像担持体上に形成しさえすれば、画像の先端位置はほとんどズレることがない。
【0006】
ここで、この転写ニップで各トナー像を記録材に転写する際に、転写・定着同時方式のようにトナーを加熱して融解させる場合であっても、画像形成時の加熱によって上昇する像担持体の温度が常に一定であれば、画像の先端位置はほとんどズレない。この場合、その熱膨張による像担持体の無端移動経路長の伸び量が画像形成時では常に一定であるため、画像形成時には各像担持体の無端移動経路長の差分に変動がないからである。したがって、その伸び量を予め考慮したタイミングで第2のトナー像に対応する潜像を形成すれば、静電転写方式を採用する場合と同様に、画像の先端位置がほとんどズレることはない。しかし、画像形成時における各像担持体の温度は、その画像形成装置の使用状況によって一定にはならない。例えば、画像形成を連続して行う場合には、画像形成を単発で行う場合に比べて、各像担持体の連続加熱時間が長く、各像担持体の温度も高くなる。したがって、各像担持体の温度は画像形成時ごとに異なり、そのため各像担持体の無端移動経路長の差分も画像形成時ごとに異なる場合がある。特に、熱転写時の加熱によって画像形成時の各像担持体の温度は100℃以上になることもあるので、無端移動経路長の差分が変動することによる画像の先端位置のズレは無視できないものとなる。
【0007】
本発明は、上記問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、各像担持体上のトナー像を記録材の各面に熱転写する場合に、熱膨張作用により各像担持体の無端移動経路長が伸縮しても、その各面に形成される画像の互いの先端位置のズレ量を小さくすることが可能な熱転写装置及び画像形成装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、トナー像を表面に担持しつつ無端移動する第1の像担持体及び第2の像担持体を備え、該第1の像担持体上の第1のトナー像を該第2の像担持体上に転写した後、該第1の像担持体上に新たに担持された第2のトナー像と、該第2の像担持体上の第1のトナー像とを加熱することで、これらのトナー像を単一の記録材の各面にそれぞれ熱転写させる熱転写装置において、0℃における上記第1の像担持体の無端移動経路長をL 01 とし、0℃における上記第2の像担持体の無端移動経路長をL 02 としたとき、該第1の像担持体及び該第2の像担持体がとり得る温度範囲内で、下記の式(1)を満たすように、該第1の像担持体の熱膨張率α 1 及び該第2の像担持体の熱膨張率α 2 をそれぞれ設定したことを特徴とするものである。
α 2 =α 1 ×(L 01 /L 02 )・・・(1)
また、請求項2の発明は、請求項1の熱転写装置において、上記第1の像担持体と上記第2の像担持体とを互いに接触させた状態で配置し、その接触部分を加熱することで、該第1の像担持体上の第2のトナー像と、該第2の像担持体上の第1のトナー像とを、該接触部分で上記記録材の各面にそれぞれに熱転写させることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1又は2の熱転写装置において、上記第1の像担持体及び上記第2の像担持体として、所定温度での無端移動経路長が互いに等しく、かつ、上記温度範囲内での熱膨張率が互いに等しいものを用いたことを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項3の熱転写装置において、上記第1の像担持体及び上記第2の像担持体は、互いに同じ材質の単層構造を有することを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項3の熱転写装置において、上記第1の像担持体及び上記第2の像担持体は、互いに同じ材質の基体上に層が形成された複数層構造を有することを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項5の熱転写装置において、上記第1の像担持体及び上記第2の像担持体を、厚みが互いに等しい中空状の無端移動部材でそれぞれ構成し、該厚みを、30μm以上500μm以下としたことを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項6の熱転写装置において、上記基体を、上記層の2倍以上の厚みで形成したことを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項5、6又は7の熱転写装置において、上記基体をイミド基を含む材料で形成し、該基体上に形成される表面層を、シリコーンゴム又はフッ素樹脂で形成したことを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項3、4、5、6、7又は8の熱転写装置において、上記第1の像担持体及び上記第2の像担持体の無端移動経路上で、該第1の像担持体及び該第2の像担持体の加熱された部分をそれぞれ冷却するための冷却手段を設け、該第1の像担持体及び該第2の像担持体の温度変化が互いに同じとなるように、各無端移動経路上における該冷却手段による冷却位置を設定したことを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、請求項3、4、5、6、7、8又は9の熱転写装置において、上記第1の像担持体及び上記第2の像担持体に対する加熱条件が互いに等しくなるように構成したことを特徴とするものである。
また、請求項11の発明は、潜像担持体と、該潜像担持体上に潜像を形成する潜像形成手段と、該潜像にトナーを付着させて得られる該潜像担持体上のトナー像を無端移動する第1の像担持体上に転写させる転写手段と、該第1の像担持体上に担持された第1のトナー像を無端移動する第2の像担持体上に転写した後、該第1の像担持体上に新たに担持された第2のトナー像と、該第2の像担持体上の第1のトナー像とを加熱することで、これらのトナー像を単一の記録材の各面にそれぞれ熱転写させる熱転写手段とを備えた画像形成装置において、上記熱転写手段として、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9又は19の熱転写装置を用いたことを特徴とするものである。
また、請求項12の発明は、請求項11の画像形成装置において、上記転写手段は、上記潜像担持体と上記第1の像担持体との間に転写電界を形成して該潜像担持体上のトナー像を静電的に該第1の像担持体上に転写させるものであり、上記第1の像担持体及び上記第2の像担持体を、その体積抵抗率が106Ωcm以上1012Ωcm以下で、その表面抵抗率が108Ω/□以上1014Ω/□以下の範囲内となるように形成したことを特徴とするものである。
また、請求項13の発明は、請求項12の画像形成装置において、上記体積抵抗率又は上記表面抵抗率を調整するための抵抗制御剤として、電子伝導タイプの導電剤を用いたことを特徴とするものである。
【0009】
請求項1乃至10の熱転写装置では、各像担持体上のトナー像を加熱することで記録材の各面に熱転写する。そのため、その加熱によって各像担持体も加熱され、各像担持体の無端移動経路長は、それぞれの熱膨張率及び温度に従って熱膨張作用により変化することになる。ここで、本熱転写装置では、上記加熱等によって両像担持体がとり得る温度範囲内で、上記式(1)を満たすように、各像担持体の熱膨張率をそれぞれ設定している。
具体的には、各像担持体の熱膨張率は、次のような方法によって決定する。すなわち、温度t℃における像担持体の無端移動経路長Ltは、その熱膨張率(線膨張率)をαとし、0℃における無端移動経路長をL0とすると、下記の数1に示す演算式によって表すことができる。そして、第1の像担持体に関しては「1」の添え字を付け、第2の像担持体に関しては「2」の添え字を付けると、各像担持体の無端移動経路長の差分(L2−L1)は、下記の数2に示す演算式によって表すことができる。したがって、温度変化に関係なく差分(L2−L1)が一定になるには、第1の像担持体の熱膨張率がα1である場合、第2の像担持体の熱膨張率α2は、α1を(L01/L02)倍した値となるように設定すればよい。なお、各像担持体の温度分布は、その無端移動方向においてバラツキがあるため、そのバラツキを考慮するのが望ましい。
【数1】
Lt = L0(1+α×t)
【数2】
Lt2−Lt1 = (L02−L01)+(α2×L02−α1×L01)t
以上のように各像担持体の熱膨張率を設定することで、両像担持体の温度が上記温度範囲内でどのように変化しても、各像担持体間の無端移動経路長の差分の変動量を許容範囲内に抑えることができる。よって、上述したように画像形成時の両像担持体の温度が使用状況によってランダムに変化したとしても、各像担持体間の無端移動経路長の差分変動を十分に抑えることができる。
また、本熱転写装置を備える請求項11乃至13の画像形成装置においては、記録材の各面に形成される画像の先端位置が各像担持体の熱膨張によって互いにズレることを十分に抑制することができる。また、本画像形成装置によれば、各像担持体間の無端移動経路長の差分変動量を修正するために第2の像担持体の無端移動位置を修正したり、潜像の形成タイミングを制御したりするなどして、記録材の各面に熱転写されるトナー像の先端位置のズレを補正する必要がない。よって、本画像形成装置によれば、そのような補正をするための構成や制御が必要なくなる結果、装置の小型化、制御の簡略化を図ることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
〔実施形態1〕
以下、本発明を、画像形成装置としての電子写真方式のプリンタ(以下、単に「プリンタ」という。)に適用した実施形態(以下、本実施形態を「実施形態1」という。)について説明する。本プリンタは、イエロー(以下、「Y」と記す。)、シアン(以下、「C」と記す。)、マゼンタ(以下、「M」と記す。)、ブラック(以下、「K」と記す。)の4色のトナーから、カラー画像を形成するものである。
【0012】
まず、本プリンタの基本的な構成について説明する。
図1は、本実施形態1に係るプリンタの概略構成図である。本プリンタは、潜像担持体として4つの感光体ドラム1Y,1C,1M,1Kを備えている。感光体ドラム1Y,1C,1M,1Kは、その直径が30mm以上100mm以下の円筒状のアルミニウム基体の表面に、光導電性物質である有機半導体の層を設けたものである。なお、有機半導体の層の代わりに、アモルファスシリコンの層を設けたものも同様に採用することができる。また、ここでは、ドラム状の感光体を例に挙げているが、ベルト状の感光体を採用することもできる。各感光体ドラム1Y,1C,1M,1Kは、それぞれ第1の像担持体としての第1転写ベルト10に接触しながら、図中矢印の方向に回転駆動する。各感光体ドラム1Y,1C,1M,1Kの周りには、その表面移動方向に沿って、ドラムクリーニング装置2、除電装置L、帯電装置3、現像装置5の順に配置されている。帯電装置3と現像装置5との間には、潜像形成手段としての露光装置4から発せられる光が感光体ドラム1Y,1C,1M,1Kまで通過できるようにスペースが確保されている。なお、各感光体ドラム1Y,1C,1M,1Kの周りに配置されている各部品の構成は同じであるため説明を省略している。
【0013】
各帯電装置3は、それぞれ感光体ドラム1Y,1C,1M,1Kの表面を例えば負極性に一様帯電する。このように一様帯電せしめられた感光体ドラム1Y,1C,1M,1Kの表面は、露光装置4によって露光されて各色に対応した静電潜像をそれぞれ担持する。この露光装置4は、公知のレーザ方式を採用することができ、各色に対応した画像情報に基づいて、各感光体ドラム1Y,1C,1M,1Kに対して各色に対応した静電潜像を形成する。なお、LEDアレイと結像手段からなる露光装置を採用することもできる。また、各現像装置5は、その詳細な構成は図示しないが、そのケーシングの開口から現像ローラを部分的に露出させている。各現像ローラは、それぞれ異なる色の像形成物質であるトナーを表面に担持して回転し、各感光体ドラム1Y,1C,1M,1Kと対向する現像領域でトナーを静電潜像に付着させる。この付着によって各感光体ドラム1Y,1C,1M,1K上の静電潜像がそれぞれ異なる色のトナー像に現像される。また、各ドラムクリーニング装置2は、トナー像転写後の感光体ドラム1Y,1C,1M,1Kに残留したトナーをドラム表面から除去してクリーニングする。除去されたトナーはドラムクリーニング装置2の内部に蓄えられる。また、各除電装置Lは、クリーニング後の各感光体ドラム1Y,1C,1M,1Kの残留電荷を除電する。この除電により、各感光体ドラム1Y,1C,1M,1Kの表面が初期化されて次の画像形成に備えられる。
【0014】
上記第1転写ベルト10は、3つの支持ローラ11,12,13に張架されており、図中矢印の方向に表面移動する構成となっている。これらの支持ローラ11,12,13のうちの少なくとも1つ又はこれらのローラとは別に設けるローラを、第1転写ベルト10に張力を与えるためのテンション手段として適宜設ける。本実施形態では、支持ローラ11,12,13とは別のテンションローラ14を設けた構成となっている。ここで、第1転写ベルト10には、容易に伸縮せず、感光体ドラム1Y,1C,1M,1Kからトナー像を静電的に転写するために必要な所望の抵抗率をもつことが必要となる。この所望の抵抗率は、体積抵抗率が106Ωcm以上1012Ωcm以下、表面抵抗率が108Ω/□以上1014Ω/□以下である。このような所望の抵抗率を得る場合、熱によって抵抗率が変動しないように、電子伝導タイプの抵抗制御剤(カーボンや金属酸化物等)によって抵抗率を調整するのが望ましい。また、第1転写ベルト10の厚みは、30μm以上500μm以下、好ましくは30μ以上100μm以下でであるのが望ましい。また、その基体には、耐熱性のあるPI(ポリイミド)、PAI(ポリアミドイミド)、PBI(ポリベンゾイミダゾール)などのイミド基を含む熱変形しにくい材料を用いるのが好ましい。また、その表面層には、シリコーンゴムや、テフロン(登録商標)ゴム、テフロン等のフッ素樹脂などの耐熱性があって低表面エネルギーである材料をコートしたものが好ましい。また、トナーとの接触角が110度、表面粗さ(Rz)が1μm以上4μm以下であることが好ましい。本実施形態では、厚さ20μm以上50μm以下のシームレスポリイミドを厚さ20μm以上30μm以下のPFAチューブに張り合わせたものを採用している。
なお、基体の厚みは、第1転写ベルト10全体の厚みが上記範囲内である場合において、表面層の厚みの2倍以上に設定するのが望ましい。このように設定することで、第1転写ベルト10の機械的強度を確保しつつ駆動の安定性を確保でき、また、後述する第2転写ニップ部における熱伝達効率を十分に高めることができる。
【0015】
静電的な転写方法としては、チャージャ転写方式を用いることもできるが、本実施形態では転写チリの発生が少ない第1転写ローラ20を使用するローラ転写方式を用いている。具体的には、各感光体ドラム1Y,1C,1M,1Kと接触する第1転写ベルト10の部分の裏面に、それぞれ第1転写手段としての第1転写ローラ20を配置している。各第1転写ローラ20により押圧された第1転写ベルト10の部分と各感光体ドラム1Y,1C,1M,1Kとによって、第1転写ニップ部が形成されている。本実施形態では、各第1転写ローラ20は、比較的低い電圧を印加する。第1転写ベルト10に接触するローラ11,12,13は、これらの第1転写ローラ20を除いて接地されている。また、支持ローラ11に張架された第1転写ベルト10の部分は、第2の像担持体としての第2転写ベルト30と接触している。この支持ローラ11は、図示しない発熱体が内臓されており、加熱手段として機能している。
【0016】
上記第1転写ベルト10の周りには、その表面に残留したトナーを除去するための第1クリーニング装置15が設けられている。この第1クリーニング装置15は、第1転写ベルト10の表面に残留したトナーをクリーニングローラ15aに付着させ、これをブレード15bで掻き取り、回収手段15cで図示しない回収部に搬送する構成となっている。クリーニングローラ15aの表面は、第1転写ベルト10の表面粗さより粗く形成されているため、その内部の発熱体によってクリーニングローラ15aが加熱されることで、第1転写ベルト10上のトナーを溶かし、これを表面に付着させることができる。クリーニングローラ15aの材質としては、例えば熱伝導性の高い銅やアルミニウムを採用することができる。
【0017】
また、第1転写ベルト10の表面側から接触するテンションローラ14は、支持ローラ11やクリーニングローラ15aによって加熱された第1転写ベルト10部分を冷却するための冷却手段として機能している。よって、上記加熱により高温状態となった第1転写ベルト10部分を、第1転写ニップ部に到達する前に冷却することができる。これにより、第1転写ニップ部での転写時に感光体ドラム1Y,1C,1M,1K上のトナー像が溶融し、ドラム表面にトナーが固着するのを防ぐことができる。
【0018】
本実施形態の第2転写ベルト30は、第1転写ベルト10と同じ抵抗率、厚み、構成比のものを使用しており、その基体は第1転写ベルト10と全く同じ材料で形成されている。また、その表面層は、第1転写ベルト10と全く同じ材料で形成されているが、第1転写ベルト10に比べてその表面抵抗が高めに設定されている。これは、第1転写ベルト10上の第1のトナー像を第2転写ベルト30上に適正に熱転写させるためである。第2転写ベルト30は、5つのローラ31,32,33,34,35に張架されており、図中矢印の方向に表面移動する構成となっている。これらのローラのうち、符号31で示すローラは、第2転写ベルト30を加熱するための加熱手段として機能している。第2転写ベルト30も、その厚みが30μm以上500μm以下の範囲内であって、耐熱性のあるPI、PAI、PBI等の熱変形しにくい材料を基体としたベルトである。具体的には、トナー接触角が90度、表面粗さ(Rz)が5μm以上10μm以下であるのが好ましい。本実施形態では、厚さ20μm以上50μm以下のシームレスポリイミドに厚さ20μm以上50μm以下のETFEをコートしたものを採用している。
また、第2転写ベルト30の周りには、上記第1転写ベルト10と同様に第2クリーニング装置36が配置されている。この第2クリーニング装置36は、そのクリーニングローラが第2転写ベルト30の表面に対して接離可能な構成となっている。その他の構成は、上記第1クリーニング装置15と同様である。
【0019】
また、第2転写ベルト30を張架するローラのうちのローラ34は、第2転写ベルト30を冷却するための冷却手段として機能している。第2転写ベルト30は、第1転写ベルト10のように感光体ドラムへのトナー固着という問題がないため、本来は強制的に冷却する必要はない。しかし、本実施形態では、第1転写ベルト10と第2転写ベルト30に対する加熱条件を互いにほぼ同一にする必要があるため、第2転写ベルト30に対しても冷却手段を設けている。ここで、本実施形態では、第2転写ニップからローラ34の巻き付き位置までの第2転写ベルト30の周長が、第2転写ニップからテンションローラ14の巻き付き位置までの第1転写ベルト10の周長とがほぼ同じになるように構成されている。
【0020】
第1転写ベルト10を張架する第1加熱ローラ11と、第2転写ベルト30を張架する第2加熱ローラ31には、同じワット数のヒータが内蔵されている。そして、第1加熱ローラ11と第2加熱ローラ31との間に形成される第2転写ニップ部で転写を行う際のベルト温度は、トナーのガラス転移温度と軟化温度の間の温度となるように温度制御される。この第2転写ニップ部のニップ幅としては、5mm以上10mm以下の範囲内に設定するのが好ましい。そのため、第1加熱ローラ11及び第2加熱ローラ31の外径は40mm以上60mm以下の範囲内とするのがよく、必要に応じて表面にゴム層を設ける。このゴム層の厚みはベルトの厚みを考慮して所望のニップ幅が得られるように決める。
【0021】
なお、感光体ドラム1Y,1C,1M,1K、第1転写ベルト10、第2転写ベルト30等を、一緒に又はそれぞれ別個に組み込んだプロセスカートリッジとして構成してもよい。例えば、図2に示すように、第2転写ベルト30及び第2クリーニング装置36を、一体に組み込んだプロセスカートリッジ37として構成することができる。この構成では、軸38aを支点にケーシング38を回動させることで、プロセスカートリッジ37を図示のように着脱することができる。このような構成とすれば、本プリンタを構成する部品の一部に寿命が到来したときにはその一部だけを交換することができる。
【0022】
また、露光装置4の図中下側には、給紙カセット40a,40b、給紙ローラ41、レジストローラ対42等を有する給紙手段が配設されている。給紙カセット40a,40bには記録材としての転写紙Pが複数枚収納されるようになっており、一番上の転写紙Pには給紙ローラ41が当接している。給紙ローラ41が図示しない駆動手段によって図中反時計回りに回転すると、その一番上の転写紙Pがレジストローラ対42のローラ間に挟み込まれる。レジストローラ対42は、挟み込んだ転写紙Pを適切なタイミングで第2転写ニップ部に向けて送り出す。
【0023】
また、第2転写ニップ部の転写紙搬送方向下流側には、加熱定着装置50が配置されている。この加熱定着装置50は、図示しないヒータを内蔵した2つの定着ローラ51a,51bを有しており、第2転写ニップ部を通過した転写紙Pがこれら両ローラ間に挟み込まれる。各定着ローラ51a,51bは、芯金上にシリコーンゴム層を設けたものであり、その層厚は2mm以上5mm以下の範囲内である。なお、シリコーンのほか、テフロン(登録商標)など離型性の良い樹脂やゴムを採用することもできる。また、各定着ローラ51a,51bの温度は160℃以上200℃以下の範囲内に制御されている。
【0024】
次に、本プリンタの動作について説明する。まず、第2転写ニップ部において転写紙Pの両面にトナー像を同時に転写する場合について説明する。
まず、露光装置4によって、帯電装置3で一様に帯電された各感光体ドラム1Y,1C,1M,1K上に各色に応じた静電潜像が形成される。この静電潜像は、第2転写ニップ部で図中右側に向いた転写紙Pの面(第1面)上の画像に対応するものである。露光装置4は、図中一番左側に位置する感光体ドラム1Yから順に静電潜像を形成する。各感光体ドラム1Y,1C,1M,1K上に形成された静電潜像は、それぞれ現像装置5によって現像され、トナー像となる。このようにして形成された各色トナー像は、それぞれ各第1転写ローラ20によって、第1転写ベルト10上に重なり合うように順次転写される。この転写の際、各第1転写ローラ20には転写バイアスが印加され、これにより形成される転写電界の作用を受けて、各感光体ドラム1Y,1C,1M,1K上のトナー像は、第1転写ベルト10上に移動する。
【0025】
各色トナー像が重なってできた合成トナー像は、第1転写ベルト10上に担持された状態で、第2転写ニップ部に搬送される。そして、この第2転写ニップ部において、その第1転写ベルト10上の合成トナー像が第2転写ベルト30上に熱転写される。このときの転写では、転写紙Pは第2転写ニップ部に送り込まれず、レジストローラ対42で待機している。また、このときには、第2クリーニング装置36のクリーニングローラは、第2転写ベルト30の表面から離間した状態になっている。よって、第2転写ベルト30上の合成トナー像は、そのクリーニングローラによって乱されることなく、再度第2転写ニップ部に搬送されることができる。
【0026】
ここで、本実施形態において、第1転写ベルト10から第2転写ベルト30への転写は、静電転写方式ではなく、熱転写方式である。静電転写方式の場合、第1転写ベルト10と第2転写ベルト30との間が密着していない部分があると、これらの接触時及び剥離時において放電や電界の乱れによる影響を受け、画像中にチリやニジミが発生し画像が劣化するおそれがある。これに対し、本実施形態では、静電転写方式のように転写電界を印加せずに、熱と圧力によって第1転写ベルト10上のトナーを第2転写ベルト30上に転移させるため、画像中にチリやニジミは発生しない。
このような熱と圧力による転写を行う場合、トナーのガラス転移温度と軟化温度との間の温度を第2転写ベルト30に与えるとともに、そのトナーに一定の圧を加える。このときの圧力は、2N/cm2以上10N/cm2以下の範囲内であるのが好ましい。これにより、第1転写ベルト10上のトナーは、塑性変形して第2転写ベルト30の凹凸部に食い込む。このとき、トナーは、トナー接触角で表されるベルトの離型性が低く、ベルトの表面粗さが大きい方のベルトに転移することになる。したがって、本実施形態の場合、第1転写ベルト10上のトナーは、第2転写ベルト30上に転移することになる。
【0027】
第2転写ベルト30上に合成トナー像が転写される間又は転写された後、第1転写ベルト10には、第2転写ニップ部で図中左側に向いた転写紙Pの面(第2面)上の画像に対応する各色トナー像が転写される。そして、その各色トナー像による合成トナー像の先端が第2転写ニップ部に到達するタイミングに合わせて、レジストローラ対42で待機していた転写紙Pが第2転写ニップ部に搬送される。また、このタイミングで、第2転写ベルト30上に転写された最初の合成トナー像の先端も第2転写ニップ部に到達する。そして、転写紙Pが第2転写ニップ部に入り込むと、その第1面には第2転写ベルト30上の合成トナー像が熱転写され、その第2面には第1転写ベルト10上の合成トナー像が熱転写される。この転写の際、各合成トナー像は、第1加熱ローラ11及び第2加熱ローラ31による熱によってトナーが溶け、転写紙Pの各面の繊維の隙間に入り込む。そして、本実施形態で使用している転写紙Pの表面粗さ(Rz)は30μm以上50μm以下の範囲内であるため、アンカー効果によって各合成トナー像は転写紙Pの各面に仮定着する。
【0028】
このようにして両面に合成トナー像が仮定着された転写紙Pは、そのまま図中上方に送られ、加熱定着装置50の定着ローラ51a,51b間に入り込む。これにより、各合成トナー像は、熱によって軟化しながら加圧されて転写紙Pの両面にそれぞれ最終的に定着される。その後、転写紙Pは、本体フレーム上部の排紙スタック部に排出される。なお、この排紙スタック部にスタックされる転写紙Pの上面には最初に作像された合成トナー像が形成され、その下面には後から作像された合成トナー像が形成されることになる。
【0029】
以上の説明は、転写紙Pの両面に同時にトナー像を転写して両面に画像を形成する場合であるが、本プリンタは転写紙Pの片面にだけ画像を形成することもできる。その場合、まず、上述と同様にして、各感光体ドラム1Y,1C,1M,1K上の各色トナー像を第1転写ベルト10に転写して合成トナー像を形成する。さくつつ記録媒体(用紙)Pに転写する。そして、その合成トナー像の先端が第2転写ニップ部に到達するタイミングに合わせて、転写紙Pを第2転写ニップ部に搬送する。そして、第2転写ニップ部において、第1転写ベルト10上の合成トナー像を転写紙P上に熱転写する。
【0030】
次に、本発明の特徴部分である第1転写ベルト10及び第2転写ベルト30の構成について説明する。
図3は、本実施形態における第1転写ベルト10及び第2転写ベルト30の断面図である。本実施形態では、両ベルト10,30とも基体101上に層102,103が形成された同一の複数層構造を有するため、一の断面図のみ図示する。
【0031】
本実施形態では、加熱手段として機能する第1加熱ローラ11及び第2加熱ローラ31による加熱によって、第1転写ベルト10及び第2転写ベルト30は、その周長(無端移動経路長)が熱膨張作用により変動する。ここで、本実施形態では、第1転写ベルト10及び第2転写ベルト30は、その基体101、表面層102及びこれらを密着させるためのプライマー層103の材料が全く同じもので形成されている。そのため、第1転写ベルト10及び第2転写ベルト30の熱膨張率は、互いに等しくなっている。しかも、本実施形態では、第1転写ベルト10及び第2転写ベルト30は、所定温度での周長が互いに等しくなるように形成されている。更に、本実施形態では、第1転写ベルト10及び第2転写ベルト30に対する加熱条件がほぼ同一である。具体的には、第1転写ベルト10の温度変化の原因となるのは、第1加熱ローラ11及び第1クリーニング装置15であり、第2転写ベルト30の温度変化の原因となるのは、第2加熱ローラ31及び第2クリーニング装置36である。そして、第1加熱ローラ11及び第2加熱ローラ31並びに第1クリーニング装置15及び第2クリーニング装置36の加熱温度、加熱時間はともに同じに設定されている。しかも、第2転写ニップ部で加熱された両ベルト10,30が冷却手段14,34によって冷却されるまでのベルト周長はほぼ同じである。
【0032】
以上により、本実施形態では、第1転写ベルト10と第2転写ベルト30との間では、その熱膨張率は互いに等しく、しかも所定温度での周長も互いに等しく、更に加熱条件もほぼ同一である。よって、画像形成時における第1転写ベルト10及び第2転写ベルト30の温度は常に等しく、その温度がどのように変化しても、その周長は互いに等しいものとなる。したがって、画像形成を連続して行う場合でも、画像形成を単発で行う場合でも、画像形成時の周長は常に等しいものとなる。その結果、転写紙Pの各面に形成される画像の先端位置のズレ量を小さくすることができる。
【0033】
なお、本実施形態では、第1転写ベルト10及び第2転写ベルト30を基体101、表面層102及びプライマー層103からなる複数層構造で構成しているが、単層構造で構成することもできる。この場合、テフロン等のフッ素樹脂などから形成するのが好ましく、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PVDF(ポリビニリデンフルオライド)等又はイミド基を含む材料などから形成することができる。
また、本実施形態では、第1転写ベルト10及び第2転写ベルト30を全く同一材料で形成しているため、全体として熱膨張率が同じになっているが、少なくとも基体101の熱膨張率を同じにすれば、十分に画像先端位置のズレを抑制することができる。その理由は、第1転写ベルト10及び第2転写ベルト30として利用される基体101には一般に変形しにくい材料を用い、表面層102やプライマー層103には一般に樹脂等の基体101よりも変形しやすい材料を用いる。そのため、ベルト10,30全体の伸縮量は、その基体101の伸縮量でほぼ決まることになる。よって、熱膨張作用によるベルト10,30全体の伸縮量には、その基体101の熱膨張率が影響し、表面層102やプライマー層103の熱膨張率はほとんど影響しないからである。
また、本実施形態では、第1転写ベルト10及び第2転写ベルト30の所定温度での周長が互いに等しいが、互いに異なってもよい。この場合、両ベルト10,30の熱膨張率が互いに同じで加熱条件もほぼ同一であっても、その温度に応じて変動する周長は、両ベルト10,30間で互いに異なるものとなる。しかし、標準的に使用されているA4版サイズの画像においては、画像形成時に両ベルト10,30がとり得る温度範囲内において両ベルト10,30間の周長差が5mm以下、好ましくは3mm以下であれば許容範囲内と言える。すなわち、この許容範囲内であれば、転写紙Pの各面に形成される画像の互いの先端位置のズレは実用上問題ない。
【0034】
〔実施形態2〕
次に、本発明を、上記実施形態1と同様のプリンタに適用した他の実施形態(以下、本実施形態を「実施形態2」という。)について説明する。なお、本実施形態2に係るプリンタの電子写真プロセスなど、基本的な構成については上記実施形態1と同様であるので、以下ではこれとは異なる点のみを説明する。
【0035】
図4は、本実施形態2に係るプリンタの概略構成図である。本プリンタには、第2転写ベルト30上に形成される位置検知用マークとしてのマーク用トナー像を検知するためのマーク検知手段としてのマークセンサ201が設けられている。このマークセンサ201としては、マーク用トナー像の有無を検知できる光学センサを用いることができる。マークセンサ201は、第2クリーニング装置36の無端移動方向下流側に設置されている。マークセンサ201がマーク用トナー像を検知すると、マークセンサ201から後述する制御部に向けて検知信号が出力される。これにより、制御部は、第2転写ベルト30上のどの部分にトナー像の先端位置があるかを把握することができる。
【0036】
図5は、露光装置4の露光タイミングを制御する制御部の概略構成を示すブロック図である。
この制御部200は、上記マークセンサ201に接続されており、マークセンサ201から検知信号を受信する。また、制御部200は、その検知信号の受信タイミングに基づいて第2のトナー像に関する露光タイミングを制御するために、露光装置4にも接続されている。
【0037】
図6は、本実施形態における露光タイミングの制御の流れを示すフローチャートである。
本実施形態において転写紙Pの各面に画像を形成する場合、まず、第1のトナー像に対応する静電潜像を各感光体ドラム1Y,1C,1M,1K上に形成するための露光処理を行う(S1)。この露光処理において、露光装置4は、制御部200からの制御命令に従い、画像用の静電潜像と併せて、マーク用トナー像に対応する静電潜像を形成する。この静電潜像は、第1転写ベルト10上に形成される第1のトナー像の先端位置に対してマーク用トナー像がベルト幅方向に隣接するように位置決めされるように形成される。また、この静電潜像はブラック用の感光体ドラム1Kにのみ形成される。したがって、マーク用トナー像は、ブラックトナーのみによって構成される。また、マーク用トナー像に対応する静電潜像は、マーク用トナー像が第1転写ベルト10上に第1のトナー像が形成され得る領域外となるベルト幅方向端部付近に位置するように形成される。
【0038】
このようにして第1転写ベルト10上に第1のトナー像及びマーク用トナー像が形成されると、これらのトナー像は第2転写ベルト30上に転写される。そして、第2転写ベルト30上のマーク用トナー像は、マークセンサ201によって検知される(S2)。その検知信号が制御部200に送られると、制御部200は、その検知信号の受信タイミングを、基準の受信タイミングと比較し、その差分を算出する(S3)。この基準の受信タイミングは、例えば、第2転写ベルト30の周長が画像形成時の平均的な温度のときのものである場合に検知信号を受信する受信タイミングを用いることができる。この場合、上記S3において算出される差分は、およそ、本画像形成時の第2転写ベルト30の周長と、平均的な温度のときの第2転写ベルト30の周長との差分とみることができる。
【0039】
ここで、第2のトナー像に対応する静電潜像を形成するための露光装置4の露光タイミングは、平均的な温度のときの第2転写ベルト30の周長に対応して設定されている。すなわち、その周長のときに第1のトナー像の先端位置が第2転写ニップ部に到達するタイミングで、第1転写ベルト10上の第2のトナー像の先端位置が第2転写ニップ部に到達するように、その第2のトナー像の露光タイミングが設定されている。よって、本画像形成時の第2転写ベルト30の温度と平均的な温度とに差があると、熱膨張作用により本画像形成時の第2転写ベルト30の周長が平均的な温度のときの周長からズレる結果、その第2転写ベルト30上の第1のトナー像が第2転写ニップ部に到達するタイミングがズレることになる。
【0040】
そこで、本実施形態では、上記S3において算出される受信タイミングの差分に基づいて、第2のトナー像に対応する静電潜像を形成するための露光タイミングを補正する処理を行う(S4)。具体的には、その差分から、第2転写ベルト30上の第1のトナー像が第2転写ニップ部に到達するタイミングのズレを求める。そして、そのズレに相当する分だけ、第2のトナー像に対応する静電潜像を形成するための露光タイミングを遅らせたり、早めたりする。具体例を挙げて説明すると、本画像形成時における第2転写ベルト30の温度が平均的な温度よりも高い場合、その差分だけ第2転写ベルト30は熱膨張し、周長が長くなる。したがって、その第2転写ベルト30上の第1のトナー像が第2転写ニップ部に到達するタイミングが平均的な温度のときよりも遅れることになる。よって、第1のトナー像と第2のトナー像が第2転写ニップ部に同時に到達するためには、第2のトナー像の露光タイミングを、平均的な温度のときよりも遅らせる必要がある。このタイミングの遅れ量は、マークセンサ201からの検知信号の受信タイミングによって算出できるため、その遅れ量分だけ本画像形成時の第2のトナー像における露光タイミングを遅らせる補正を行う。
【0041】
このように露光タイミングを適正に補正した後、露光装置4は、第2のトナー像に対応する静電潜像を各感光体ドラム1Y,1C,1M,1Kに形成するために露光処理を行う(S5)。そして、上述のように露光タイミングを補正した結果、その第2のトナー像の先端位置が第2転写ニップ部に到達するのと同時に、第1のトナー像の先端位置が第2転写ニップ部に到達することになる。よって、転写紙Pの各面に形成される画像の先端位置のズレを抑制することができる。
【0042】
〔実施形態3〕
次に、本発明を、上記実施形態1及び上記実施形態2と同様のプリンタに適用した更に他の実施形態(以下、本実施形態を「実施形態3」という。)について説明する。なお、本実施形態3に係るプリンタの電子写真プロセスなど、基本的な構成については上記実施形態1と同様であるので、以下ではこれとは異なる点のみを説明する。
【0043】
本実施形態3に係るプリンタには、第2転写ベルト30の温度を検知する温度検知手段としての温度センサが設置されている。この温度センサは、上記実施形態2のマークセンサ201と同じ位置に配置されている。温度センサは、第2転写ベルト30の温度検出信号を、後述する制御部に連続的に出力している。これにより、制御部は、温度センサの検出領域を通過する第2転写ベルト30の部分の温度を把握することができる。
【0044】
図7は、露光装置4の露光タイミングを制御する制御部の概略構成を示すブロック図である。
この制御部300は、上記温度センサ301に接続されており、温度センサ301から温度検出信号を受信する。また、制御部300は、その温度検出信号の受信タイミングに基づいて第2のトナー像に関する露光タイミングを制御するために、露光装置4にも接続されている。
【0045】
図8は、本実施形態における露光タイミングの制御の流れを示すフローチャートである。
本実施形態においては、第2のトナー像に対応する静電潜像を形成する前までに、制御部300は温度センサ301の温度検出信号から第2転写ベルト30の温度を求める(S11)。この温度は、第2のトナー像に対応する静電潜像が形成されるタイミングに近ければ近いほどよい。そして、制御部300は、その温度検出信号から得た温度を、基準となる温度と比較し、その差分を算出する(S12)。この基準の温度は、上記実施形態2と同様に、画像形成時の平均的な温度を採用することができる。上記S12において算出される差分から、およそ、本画像形成時の第2転写ベルト30の周長と、平均的な温度のときの第2転写ベルト30の周長との差分を求めることができる。具体的には、第2転写ベルト30の材質や周長は設計段階で既にわかっているため、例えば、実験等により各温度の第2転写ベルト30の周長をサンプリングしておく。そして、温度センサ301の検出結果から得た本画像形成時の温度に対応するサンプリングデータを参照すれば、本画像形成時の第2転写ベルト30の周長を得ることができる。
【0046】
ここで、第2のトナー像に対応する静電潜像を形成するための露光装置4の露光タイミングは、平均的な温度のときの第2転写ベルト30の周長に対応して設定されている。よって、本画像形成時の第2転写ベルト30の温度と平均的な温度とに差があると、上記実施形態2と同様に、熱膨張作用により本画像形成時の第2転写ベルト30の周長が平均的な温度のときの周長からズレる。その結果、その第2転写ベルト30上の第1のトナー像が第2転写ニップ部に到達するタイミングがズレることになる。
【0047】
そこで、本実施形態では、上記S12において算出される温度の差分に基づいて、第2のトナー像に対応する静電潜像を形成するための露光タイミングを補正する処理を行う(S13)。具体的には、その差分から、第2転写ベルト30上の第1のトナー像が第2転写ニップ部に到達するタイミングのズレを求める。そして、そのズレに相当する分だけ、第2のトナー像に対応する静電潜像を形成するための露光タイミングを遅らせたり、早めたりする。この補正処理の内容は、上記実施形態2と同様である。そして、このように露光タイミングを適正に補正した後、露光装置4は、第2のトナー像に対応する静電潜像を各感光体ドラム1Y,1C,1M,1Kに形成するために露光処理を行う(S14)。そして、上述のように露光タイミングを補正した結果、その第2のトナー像の先端位置が第2転写ニップ部に到達するのと同時に、第1のトナー像の先端位置が第2転写ニップ部に到達することになる。よって、転写紙Pの各面に形成される画像の先端位置のズレを抑制することができる。
【0048】
なお、上記実施形態1であれば、マーク用トナー像を形成したり、温度センサ301を設けたり、露光タイミングを制御したりする必要がない点で、上記実施形態2及び上記実施形態3よりも優れている。しかし、上記実施形態1の場合、第1転写ベルト10と第2転写ベルト30との間で、熱膨張率を同じにしたり、ベルト周長を同じにしたり、加熱条件を同じにしたりするなど、種々の制約がある。これに対し、上記実施形態2及び上記実施形態3では、このような制約はほとんどなく、自由な構成、レイアウトを可能にしつつ転写紙Pの各面に形成される画像の先端位置のズレを抑制することができるという利点がある。特に、第1転写ベルト10及び第2転写ベルト30の材質や無端移動経路長等は、それぞれの機能、役割、配置条件等に応じて個別に設定するのが望ましい場合があり、その利点は大きいものといえる。
例えば、各実施形態のように第1転写ニップ部での転写工程に静電転写方式を採用する場合、その第1転写ベルト10の抵抗値を、その転写電界を形成するのに適したものに設定する必要がある。一方、第2転写ニップ部での転写工程は、熱と圧力による転写・定着同時方式を採用するため、第2転写ベルト30の抵抗値を考慮する必要がない。このような場合には、第1転写ベルト10及び第2転写ベルト30について、それぞれに適した材質を選定し、その材質で形成することになる。
また、例えば、感光体ドラム1Y,1C,1M,1Kではその温度が上昇し過ぎると、ドラム表面にトナーが固着してしまい、画質劣化等が生じるおそれがある。そのため、第2転写ニップ部で加熱された第1転写ベルト部分を、感光体ドラム1Y,1C,1M,1Kとの接触位置である第1転写ニップ部に到達するまでに十分冷却させる必要がある。このような場合、第1転写ベルト10の周長を、冷却を考慮する必要がない第2転写ベルト30の周長よりも長く設定することがある。また、図1に示したように複数の感光体ドラム1Y,1C,1M,1Kを一列に配列した画像形成装置である場合、第1転写ベルト10の周長は、ある程度長くせざるを得ない。これに対し、第2転写ベルト30の周長は、そのような制約がないため、本来であれば第1転写ベルト10の周長よりも短くしてスペースを小さくできる。上記実施形態2及び上記実施形態3では、ベルト周長を互いに等しくする必要がないため、第2転写ベルト30の周長を短くしてスペースを小さくすることが可能となるという利点がある。
【0049】
また、上記実施形態2と上記実施形態3を比較すると、実施形態2の場合にはマーク用トナー像を形成する処理が必要となるが、実施形態3の場合にはそのような処理を行う必要がなく、単に温度検出を行うだけでよい。したがって、実施形態3のプリンタは、上記実施形態2のプリンタよりも制御を簡略化できる点で優れている。しかし、実施形態3では、第2転写ベルト30が経時劣化してその熱膨張特性が変化した場合、転写紙Pの各面に形成される画像の先端位置のズレを抑制する精度が落ちることになる。これに対し、実施形態2では、第1のトナー像の先端位置を直接検知するため、第2転写ベルト30の熱膨張特性が経時的に変化しても、画像先端位置のズレを抑制する精度が落ちることはない。この点で、実施形態2のプリンタは、上記実施形態3のプリンタよりも優れているといえる。
【0050】
以上、上記実施形態1のプリンタ100は、第1の像担持体としての第1転写ベルト10及び第2の像担持体としての第2転写ベルト30を備えた熱転写装置を採用している。この熱転写装置は、その第1転写ベルト10上の第1のトナー像を第2転写ベルト30上に転写した後、第1転写ベルト10上に新たに担持された第2のトナー像と、第2転写ベルト30上の第1のトナー像とを第1加熱ローラ11と第2加熱ローラ31によって加熱する。これにより、各トナー像を第2転写ニップ部に搬送されてくる単一の記録材である転写紙Pの各面にそれぞれ熱転写させる。上記実施形態1では、両ベルト10,30は、その加熱条件によって変動し得るベルトの温度範囲内で、その無端移動経路長である周長差の変動量が許容範囲内となるように、各ベルトの熱膨張率がそれぞれ設定されている。したがって、その温度範囲内で両ベルト10,30の温度が上記温度範囲内でどのように変化しても、各ベルト間の周長差の変動量を許容範囲内に抑えることができる。よって、上述したように画像形成時の両ベルト10,30の温度が使用状況によってランダムに変化したとしても、各ベルト間の周長差の変動を十分に抑えることができる。その結果、転写紙Pの各面に形成される画像の先端位置が互いにズレるのを抑制することが可能となる。
また、上記実施形態1では、第1転写ベルト10と第2転写ベルト30とを互いに接触させた状態で配置している。そして、その接触部分である第2転写ニップ部を加熱することで、第1転写ベルト10上の第2のトナー像と、第2転写ベルト30上の第1のトナー像とを、その第2転写ニップ部で転写紙Pの各面にそれぞれに熱転写させる。これにより、第1のトナー像を転写紙Pに転写するための手段を、第2のトナー像を転写紙Pに転写するための手段と共通化することができる。これにより、装置の小型化を図ることができる。 また、上記実施形態1では、所定温度での周長が互いに等しく、かつ、上記温度範囲内での熱膨張率が互いに等しくなるように、第1転写ベルト10及び第2転写ベルト30が形成されている。そして、上述のように、両ベルト10,30に対する加熱条件が互いに等しくなるように構成されている。よって、両ベルト10,30の間の温度差はほとんどなく、画像形成時における両ベルト10,30の温度が上記温度範囲内でどのように変化しても、その周長は互いに等しいものとなる。したがって、両ベルト10,30の周長差も生じないため、転写紙Pの各面に形成される画像の先端位置が互いにズレるのを十分に抑制することが可能となる。
また、上記実施形態1の第1転写ベルト10及び第2転写ベルト30は複数層構造を有するが、上述したように、両ベルト10,30として、互いに同じ材質の単層構造を有するものを採用してもよい。この場合、両ベルト10,30は単一の材質で構成されるため、その材質の熱膨張率がそのまま両ベルト10,30の熱膨張率とすることができる。よって、両ベルト10,30の熱膨張率の調整が容易となり、ベルト製造を容易化することができる。
また、上記実施形態1の第1転写ベルト10及び第2転写ベルト30は、そのベルトを構成する基体101、表面層102及びプライマー層103のすべてが互いに同じ材質である。しかし、上述したように、少なくとも、基体101が互いに同じ材質であれば、その上に形成される層の材質によらず、十分に画像先端位置のズレを抑制することが可能となる。
特に、上記実施形態1では、第1転写ベルト10及び第2転写ベルト30を、厚みが互いに等しい中空状の無端移動部材である無端ベルトでそれぞれ構成されている。そして、その厚みを、30μm以上500μm以下としている。ベルト厚みが30μmよりも小さいと機械的強度を確保するのが困難となる。また、ベルト厚みが500μmよりも大きいと、ベルト裏面に接触する第1加熱ローラ11と第2加熱ローラ31からベルト表面上のトナーまでの熱伝達を適切に行うのが困難となる。したがって、ベルト厚みを30μm以上500μm以下の範囲内とすれば、機械的強度を確保しつつ、トナーへの熱伝達を適切に行うことができ、各ベルト10,30上のトナー像を転写紙Pの各面に適切に熱転写することが可能となる。
また、上記実施形態1では、基体101を、その上に形成される層の2倍以上の厚みで形成している。これにより、機械的強度を十分に確保しつつ、トナーへの熱伝達をより適切に行うことができる。
また、上記実施形態1では、基体101をイミド基を含む材料で形成し、その基体上に形成される表面層102を、シリコーンゴム又はフッ素樹脂で形成している。イミド基を含む材料は、耐熱性が高く、変形しにくい材料であるため、熱転写による熱変形に対する信頼性が高く、本実施形態1のベルト基体として適している。また、シリコーンゴム又はフッ素樹脂は、耐熱性が高く、表面エネルギーが低いため、熱転写時にベルト10,30上にトナーがオフセットするのを抑制するのに適している。
また、上記実施形態1のプリンタは、第1転写ベルト10及び第2転写ベルト30の無端移動経路上で、両ベルトの加熱された部分をそれぞれ冷却するための冷却手段としてのローラ14,34を備えている。そして、第1転写ベルト10及び第2転写ベルト30の温度変化が互いに同じとなるように、そのローラ14,34による冷却位置が設定されている。具体的には、本プリンタでは、両ベルトの加熱位置がともに第2転写ニップ部であるため、各ローラ14,34による冷却位置は、第2転写ニップ部との間の各無端移動経路長が互いに等しくなるように設定されている。これにより、第2転写ニップ部で加熱された両ベルト10,30がローラ14,34によって冷却されるまでのベルト周長はほぼ同じになる。よって、上記加熱によって各ベルト10,30が熱膨張する部分の長さが互いに等しい。その結果、上記加熱によって熱膨張するベルト全体の周長の伸び量をほぼ同じにすることができる。よって、転写紙Pの各面に形成される画像の先端位置のズレ量をより少なくすることができる。
また、上記実施形態1では、潜像担持体である感光体ドラム1Y,1C,1M,1Kと、その感光体ドラム上に潜像を形成する潜像形成手段としての露光装置4に加え、上述した熱転写装置を備えている。よって、画像形成時の両ベルト10,30の温度が使用状況によってランダムに変化したとしても、各ベルト間の周長差の変動を十分に抑えることができる。その結果、転写紙Pの各面に形成される画像の先端位置が互いにズレるのを抑制することができる。
また、上記実施形態1のプリンタは、第1転写ニップ部での転写を静電転写方式で行っている。そして、第1転写ベルト10及び第2転写ベルト30は、その体積抵抗率が106Ωcm以上1012Ωcm以下で、その表面抵抗率が108Ω/□以上1014Ω/□以下の範囲内となるように形成されている。したがって、第1転写ニップ部での転写に必要な転写電界を形成することができる。ここで、第2転写ベルト30の膨張率を第1転写ベルト10と同程度にするためには、第2転写ベルト30も上述した体積抵抗率又は表面抵抗率と同程度の体積抵抗率又は表面抵抗率であるのが望ましい。これは、上述した体積抵抗率又は表面抵抗率を実現するためには抵抗値を調節するための抵抗制御剤を含有させるが、その場合、通常、そのベルトの熱膨張率が変化するためである。よって、第2転写ベルト30については、本来上述したような体積抵抗率又は表面抵抗率を有する必要はないが、第1転写ベルト10と同程度の熱膨張率を得るために第1転写ベルト10と同程度の体積抵抗率又は表面抵抗率を有することとしている。
また、上記実施形態1のプリンタは、上記体積抵抗率又は上記表面抵抗率を調整するための抵抗制御剤として、電子伝導タイプの導電剤を用いている。このタイプの抵抗制御剤は、イオン剤や極性基等の抵抗制御剤に比べて、水分による抵抗値の変化が少なく、また熱伝導率も高い。よって、上記実施形態1のような熱転写を行うプリンタの場合、抵抗値が安定し、かつ、各ベルト10,30上のトナー像への熱の伝達を適切に行うことができるため、画質向上を図ることができる。
また、上記実施形態2のプリンタでは、第2転写ベルト30上に担持されている第1のトナー像の先端位置を把握するための位置検知用マークであるマーク用トナー像が第2転写ベルト30に形成される。そして、このプリンタは、そのマーク用トナー像を検知するマーク検知手段としてのマークセンサ201と、その検知結果から第2のトナー像に対応する潜像の形成タイミングである露光タイミングを制御する潜像形成タイミング制御手段としての制御部200を備えている。このような構成により、上記実施形態2の部分で説明したとおり、その第2のトナー像の先端位置が第2転写ニップ部に到達するのと同時に、第1のトナー像の先端位置が第2転写ニップ部に到達することになる。よって、転写紙Pの各面に形成される画像の先端位置のズレを抑制することができる。
また、上記実施形態3のプリンタでは、第2転写ベルト30の温度を検知する温度検知手段としての温度センサ301を備えている。また、その検知結果から第2のトナー像に対応する潜像の形成タイミングである露光タイミングを制御する潜像形成タイミング制御手段としての制御部300を備えている。このような構成により、上記実施形態3の部分で説明したとおり、その第2のトナー像の先端位置が第2転写ニップ部に到達するのと同時に、第1のトナー像の先端位置が第2転写ニップ部に到達することになる。よって、転写紙Pの各面に形成される画像の先端位置のズレを抑制することができる。
【0051】
なお、上述した各実施形態ではプリンタについて説明したが、本発明の適用範囲はこれらのプリンタに限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、第1の像担持体及び第2の像担持体の少なくとも一方をドラム状やローラ状にしたものであっても同様に適用することができる。もちろん、画像形成装置としてはプリンタに限らず、複写機やファクシミリでもよいことは言うまでもない。
【0052】
【発明の効果】
請求項1乃至13の発明によれば、各像担持体上のトナー像を単一の記録材の各面に熱転写する場合に、熱膨張作用により各像担持体の無端移動経路長が伸縮しても、各像担持体間の無端移動経路長の差分変動を十分に抑えることができるので、その各面に形成される画像の互いの先端位置のズレ量を小さくすることが可能となるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1に係るプリンタの概略構成図。
【図2】同プリンタのプロセスカートリッジの概略構成を示す説明図。
【図3】同プリンタの第1転写ベルト及び第2転写ベルトの断面図。
【図4】実施形態2に係るプリンタの概略構成図。
【図5】同プリンタの露光装置の露光タイミングを制御する制御部の概略構成を示すブロック図。
【図6】同プリンタの露光タイミングの制御の流れを示すフローチャート。
【図7】実施形態3に係るプリンタの露光装置の露光タイミングを制御する制御部の概略構成を示すブロック図。
【図8】同プリンタの露光タイミングの制御の流れを示すフローチャート。
【符号の説明】
1Y,1C,1M,1K 感光体ドラム
3 帯電装置
4 露光装置
5 現像装置
10 第1転写ベルト
11 第1加熱ローラ
14 テンションローラ(冷却手段)
15 第1クリーニング装置
30 第2転写ベルト
31 第2加熱ローラ
34 ローラ(冷却手段)
36 第2クリーニング装置
100 プリンタ
101 基体
102 表面層
103 プライマー層
200,300 制御部
201 マークセンサ
301 温度センサ
P 転写紙
Claims (13)
- トナー像を表面に担持しつつ無端移動する第1の像担持体及び第2の像担持体を備え、該第1の像担持体上の第1のトナー像を該第2の像担持体上に転写した後、該第1の像担持体上に新たに担持された第2のトナー像と、該第2の像担持体上の第1のトナー像とを加熱することで、これらのトナー像を単一の記録材の各面にそれぞれ熱転写させる熱転写装置において、
0℃における上記第1の像担持体の無端移動経路長をL 01 とし、0℃における上記第2の像担持体の無端移動経路長をL 02 としたとき、該第1の像担持体及び該第2の像担持体がとり得る温度範囲内で、下記の式(1)を満たすように、該第1の像担持体の熱膨張率α 1 及び該第2の像担持体の熱膨張率α 2 をそれぞれ設定したことを特徴とする熱転写装置。
α 2 =α 1 ×(L 01 /L 02 )・・・(1) - 請求項1の熱転写装置において、
上記第1の像担持体と上記第2の像担持体とを互いに接触させた状態で配置し、その接触部分を加熱することで、該第1の像担持体上の第2のトナー像と、該第2の像担持体上の第1のトナー像とを、該接触部分で上記記録材の各面にそれぞれに熱転写させることを特徴とする熱転写装置。 - 請求項1又は2の熱転写装置において、
上記第1の像担持体及び上記第2の像担持体として、所定温度での無端移動経路長が互いに等しく、かつ、上記温度範囲内での熱膨張率が互いに等しいものを用いたことを特徴とする熱転写装置。 - 請求項3の熱転写装置において、
上記第1の像担持体及び上記第2の像担持体は、互いに同じ材質の単層構造を有することを特徴とする熱転写装置。 - 請求項3の熱転写装置において、
上記第1の像担持体及び上記第2の像担持体は、互いに同じ材質の基体上に層が形成された複数層構造を有することを特徴とする熱転写装置。 - 請求項5の熱転写装置において、
上記第1の像担持体及び上記第2の像担持体を、厚みが互いに等しい中空状の無端移動部材でそれぞれ構成し、
該厚みを、30μm以上500μm以下としたことを特徴とする熱転写装置。 - 請求項6の熱転写装置において、
上記基体を、上記層の2倍以上の厚みで形成したことを特徴とする熱転写装置。 - 請求項5、6又は7の熱転写装置において、
上記基体をイミド基を含む材料で形成し、
該基体上に形成される表面層を、シリコーンゴム又はフッ素樹脂で形成したことを特徴とする熱転写装置。 - 請求項3、4、5、6、7又は8の熱転写装置において、
上記第1の像担持体及び上記第2の像担持体の無端移動経路上で、該第1の像担持体及び該第2の像担持体の加熱された部分をそれぞれ冷却するための冷却手段を設け、
該第1の像担持体及び該第2の像担持体の温度変化が互いに同じとなるように、各無端移動経路上における該冷却手段による冷却位置を設定したことを特徴とする熱転写装置。 - 請求項3、4、5、6、7、8又は9の熱転写装置において、
上記第1の像担持体及び上記第2の像担持体に対する加熱条件が互いに等しくなるように構成したことを特徴とする熱転写装置。 - 潜像担持体と、
該潜像担持体上に潜像を形成する潜像形成手段と、
該潜像にトナーを付着させて得られる該潜像担持体上のトナー像を無端移動する第1の像担持体上に転写させる転写手段と、
該第1の像担持体上に担持された第1のトナー像を無端移動する第2の像担持体上に転写した後、該第1の像担持体上に新たに担持された第2のトナー像と、該第2の像担持体上の第1のトナー像とを加熱することで、これらのトナー像を単一の記録材の各面にそれぞれ熱転写させる熱転写手段とを備えた画像形成装置において、
上記熱転写手段として、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10の熱転写装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。 - 請求項11の画像形成装置において、
上記転写手段は、上記潜像担持体と上記第1の像担持体との間に転写電界を形成して該潜像担持体上のトナー像を静電的に該第1の像担持体上に転写させるものであり、
上記第1の像担持体及び上記第2の像担持体を、その体積抵抗率が106Ωcm以上1012Ωcm以下で、その表面抵抗率が108Ω/□以上1014Ω/□以下の範囲内となるように形成したことを特徴とする画像形成装置。 - 請求項12の画像形成装置において、
上記体積抵抗率又は上記表面抵抗率を調整するための抵抗制御剤として、電子伝導タイプの導電剤を用いたことを特徴とする画像形成装置。
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