JP4060993B2 - オーディオ情報記憶制御方法及び装置並びにオーディオ情報出力装置。 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、オーディオ情報記憶制御方法及び装置並びに当該オーディオ情報記憶制御装置を含むオーディオ情報出力装置の技術分野に属し、より詳細には、ダンス用の楽曲等のオーディオ情報の一部を抽出し、それを記憶させて再利用するオーディオ情報記憶制御方法及び装置並びに当該オーディオ情報記憶制御装置を含むオーディオ情報出力装置の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来、他の楽曲と組み合わせて出力させるために、一の楽曲の一部を当該一の楽曲から抽出して一時的に記憶させておく、いわゆるサンプラと称されるオーディオ情報記憶制御装置が一般化している。
【0003】
そして、当該従来のサンプラにおいては、一の楽曲における抽出開始タイミング及び抽出終了タイミングを夫々任意に使用者が指定し、当該指定された夫々のタイミングで部分的な抽出を行っていた。
【0004】
一方、近年、いわゆるクラブと称される、軽快なリズムの音楽に合わせて若者が主としてダンスを楽しむ店が流行している。そして、当該クラブにおいては、たとえ異なる楽曲間であっても、常に一定のリズムで連続して複数の楽曲を流しつづけることがダンスを楽しむ上で必要とされている。
【0005】
ここで、リズムとは、ある楽曲において音の強弱が周期的に繰り返される構造(すなわち、拍子)を言う。
【0006】
また、このような複数の楽曲は、楽曲を編集する編集者(以下、当該編集者をディスクジョッキーと称する。)が複数の再生装置から夫々出力される楽曲をその場で選曲/合成することにより当該クラブ内に出力されるものである。
【0007】
このとき、当該クラブにおいて、その場で一の楽曲からその一部分を抽出し、当該抽出した一部分を繰り返しつつ他の楽曲に重畳して出力することも頻繁に行われることである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の部分的な抽出(いわゆるサンプリング)方法によると、抽出した楽曲の一部分を繰り返しつつ他の楽曲に重畳する場合には、当該一部分が使用者が任意に抽出開始タイミング及び抽出終了タイミングを指定して抽出したものであるため、その開始部分と終了部分におけるリズムの態様が一致しておらず、換言すれば、当該終了部分から次の繰り返しにおける開始部分へ移行する際におけるリズムの連続性が崩れる場合があるという問題点があった。
【0009】
そして、この問題点は、上記クラブにおいて上述したような繰り返し出力を行う場合には、リズムの狂いを招き、踊っている者においても不都合となることになる。
【0010】
更に、このようなリズムの不整合を防止するためには、操作する者が繰り返しの度にリズムの整合性をとりつつ当該一部分と他の楽曲を重畳する必要があり、操作が煩雑になってしまうという問題点もあった。
【0011】
そこで、本発明は、上述した各問題点に鑑みて為されたもので、その課題は、一の楽曲からその一部分を抽出し、これを繰り返して出力する場合でも当該繰り返し中にリズムが狂うことがないように当該一部分を抽出して記憶させておくことが簡易な処理でできると共に、当該抽出した一部分を繰り返し出力しつつ他の楽曲を重畳して出力する場合でも、聴感上リズムが狂うことがないように当該一部分を抽出して記憶させておくことが簡易に可能となるオーディオ情報記憶制御方法及び装置並びに当該オーディオ情報記憶制御装置を含むオーディオ情報出力装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、一のオーディオ情報の一部である部分オーディオ情報を当該一のオーディオ情報から抽出して記憶手段に記憶させるオーディオ情報記憶制御装置において、抽出する前記部分オーディオ情報の抽出拍数を抽出の前に外部から指定するための抽出拍数指定手段と、前記一のオーディオ情報における一拍あたりの所要時間を前記抽出拍数指定手段による指定拍数倍した時間を抽出時間として算出する算出手段と、抽出する部分の最初の拍が開始されるタイミング判定手段により判定された前記最初の拍の部分を先頭とし、前記算出手段により算出した抽出時間分の部分オーディオ情報を、前記一のオーディオ情報から抽出する抽出手段と、前記抽出された部分オーディオ情報を前記記憶手段に記憶させる制御手段と、を備える。
【0013】
よって、抽出する部分オーディオ情報の抽出拍数を外部から指定し、一のオーディオ情報における一拍あたりの所要時間を指定拍数倍した時間を抽出時間として算出し、この算出した抽出時間分の部分オーディオ情報を一のオーディオ情報から抽出するので、当該部分オーディオ情報を繰り返し出力する場合でも、当該繰り返し中にリズムが狂うことがない。
【0014】
また、当該部分オーディオ情報を繰り返し出力しつつ他のオーディオ情報を重畳して出力する場合でも、聴感上リズムが狂うことがない。また、抽出する部分オーディオ情報の抽出拍数を抽出の前に外部から指定し、一のオーディオ情報における一拍あたりの所要時間を、指定拍数倍した時間を抽出時間として算出するので、簡易な処理で抽出時間を算出して部分オーディオ情報を抽出し記憶させることができる。また、拍が開始されるタイミングから部分オーディオ情報が開始されることとなるので、当該抽出して記憶後の部分オーディオ情報を他のオーディオ情報に重畳させて出力させる場合に、当該他のオーディオ情報とのリズムの整合を簡易に取ることができる。
【0015】
上記の課題を解決するために、請求項2に記載の発明は、一のオーディオ情報の一部である部分オーディオ情報を当該一のオーディオ情報から抽出して記憶手段に記憶させるオーディオ情報記憶制御装置において、前記一のオーディオ情報における単位時間あたりの拍数を検出する拍数検出手段と、抽出する前記部分オーディオ情報の抽出拍数を抽出の前に外部から指定するための抽出拍数指定手段と、前記一のオーディオ情報における一拍あたりの所要時間を前記抽出拍数指定手段による指定拍数倍した時間を抽出時間として算出する算出手段と、抽出する部分の最初の拍が開始されるタイミング判定手段により判定された前記最初の拍の部分を先頭とし、前記算出手段により算出した抽出時間分の部分オーディオ情報を、前記一のオーディオ情報から抽出する抽出手段と、前記抽出された部分オーディオ情報を前記記憶手段に記憶させる制御手段と、を備える。
【0016】
よって、一のオーディオ情報における単位時間あたりの拍数を検出するので、簡易な処理で抽出時間を算出して部分オーディオ情報を抽出し記憶させることができる。また、拍が開始されるタイミングから部分オーディオ情報が開始されることとなるので、当該抽出して記憶後の部分オーディオ情報を他のオーディオ情報に重畳させて出力させる場合に、当該他のオーディオ情報とのリズムの整合を簡易に取ることができる。
【0019】
上記の課題を解決するために、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のオーディオ情報記憶制御装置において、前記制御手段は、抽出した前記部分オーディオ情報と、当該部分オーディオ情報における前記単位時間当たりの拍数と、前記指定拍数と、を前記記憶手段に記憶させる。
【0020】
よって、当該抽出して記憶後の部分オーディオ情報を他のオーディオ情報に重畳させて出力させる場合に、当該他のオーディオ情報との整合を簡易にとることができる。
【0021】
上記の課題を解決するために、請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のオーディオ情報記憶制御装置と、前記記憶されている部分オーディオ情報を前記記憶手段から読み出し、前記他のオーディオ情報と共に出力するアンプ等の出力手段と、を備える。
【0022】
よって、部分オーディオ情報のリズムと他のオーディオ情報のリズムとを的確に整合させつつそれらを重畳させて出力することができる。
【0023】
上記の課題を解決するために、請求項5に記載の発明は、一のオーディオ情報の一部である部分オーディオ情報を当該一のオーディオ情報から抽出し、当該部分オーディオ情報を記憶するための記憶手段に記憶させるオーディオ情報記憶制御装置のオーディオ情報記憶制御方法において、前記オーディオ情報記憶制御装置が、抽出する前記部分オーディオ情報の抽出拍数を抽出の前に外部から指定するための抽出拍数指定工程と、前記オーディオ情報記憶制御装置が、前記一のオーディオ情報における一拍あたりの所要時間を前記抽出拍数指定工程による指定拍数倍した時間を抽出時間として算出する算出工程と、前記オーディオ情報記憶制御装置が、抽出する部分の最初の拍が開始されるタイミング判定手段により判定された前記最初の拍の部分を先頭とし、前記算出工程により算出した抽出時間分の部分オーディオ情報を、前記一のオーディオ情報から抽出する抽出工程と、前記オーディオ情報記憶制御装置が、前記抽出された部分オーディオ情報を前記記憶手段に記憶させる制御工程と、を備える。
【0024】
よって、抽出する部分オーディオ情報の抽出拍数を外部から指定し、一のオーディオ情報における一拍あたりの所要時間を指定拍数倍した時間を抽出時間として算出し、この算出した抽出時間分の部分オーディオ情報を一のオーディオ情報から抽出するので、当該部分オーディオ情報を繰り返し出力する場合でも、当該繰り返し中にリズムが狂うことがない。
【0025】
また、当該部分オーディオ情報を繰り返し出力しつつ他のオーディオ情報を重畳して出力する場合でも、聴感上リズムが狂うことがない。また、抽出する部分オーディオ情報の抽出拍数を抽出の前に外部から指定し、一のオーディオ情報における一拍あたりの所要時間を、指定拍数倍した時間を抽出時間として算出するので、簡易な処理で抽出時間を算出して部分オーディオ情報を抽出し記憶させることができる。また、拍が開始されるタイミングから部分オーディオ情報が開始されることとなるので、当該抽出して記憶後の部分オーディオ情報を他のオーディオ情報に重畳させて出力させる場合に、当該他のオーディオ情報とのリズムの整合を簡易に取ることができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に好適な実施の形態について、図面に基づいて説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、上記クラブにおいて楽曲を演奏するためのオーディオ情報出力装置であって、複数のプレーヤから出力される楽曲を重畳して演奏用の楽曲を生成するミキサを含むオーディオ情報出力装置に対して本発明を適用した場合の実施の形態である。
【0027】
始めに、実施形態に係るオーディオ情報出力装置の概要構成及び動作について、図1を用いて説明する。なお、図1は実施形態に係るオーディオ情報出力装置の概要構成を示すブロック図である。
【0028】
図1に示すように、実施形態に係るオーディオ情報出力装置Sは、本発明に係るミキサ1と、プレーヤ2及び3と、出力手段としてのアンプ4と、スピーカ5及び6と、により構成されている。このとき、プレーヤ2及び3は、夫々いわゆるアナログレコードを再生するアナログプレーヤであってもよいし、コンパクトディスク(CD(Compact Disc))又はDVDをディジタル的に再生するディジタルプレーヤであってもよい。
【0029】
次に、概要動作を説明する。
【0030】
先ず、各プレーヤ2及び3は、夫々にアナログレコード又はCD等を再生し、複数の楽曲を含む楽曲信号Si及びSiiを夫々に生成してミキサ1に出力する。
【0031】
そして、ミキサ1は、上記ディスクジョッキーの操作に基づいて、楽曲信号Si及びSiiを合成し、ミキサ信号Smxを生成してアンプ4へ出力する。
【0032】
その後、アンプ4は、ミキサ信号Smxに含まれる各楽曲を左チャンネル及び右チャンネルに分離すると共に増幅し、左チャンネルに含まれるべきオーディオ情報(楽器等の音情報及び歌唱等の音声情報の双方を含む。以下、同じ。)を含む左信号Solと右チャンネルに含まれるべきオーディオ情報を含む右信号Sorとを夫々生成し、左チャンネル用のスピーカ5及び右チャンネル用のスピーカ6へ夫々出力する。
【0033】
これらにより、各スピーカ5及び6は対応する左信号Sol及び右信号Sorに夫々含まれるオーディオ情報を音としてクラブ内に出力する。
【0034】
このとき、上記の動作において、ミキサ1における楽曲信号Siに含まれる楽曲と楽曲信号Siiに含まれる楽曲との通常の合成処理としては、例えば、楽曲信号Siに含まれている一の楽曲をクラブ内に出力中にプレーヤ3を動作させて楽曲信号Siiを再生させ、当該楽曲信号Siiをヘッドホン等のクラブ内に出力されない方法で聴取しながら当該楽曲信号Siiに含まれる楽曲のリズムを調整し、当該出力されている一の楽曲のリズムに当該楽曲信号Siiに含まれる楽曲のリズムを整合させ、当該一の楽曲が終了間近になったときに当該一の楽曲の最後の部分をフェードアウト(すなわち、時間の経過に従って漸次音圧レベルを低減させ最終的にゼロレベルとすることを言う。)させると共にリズムを整合させた楽曲信号Siiに含まれる楽曲の最初の部分をフェードイン(すなわち、時間の経過に従ってゼロレベルから漸次音圧レベルを増大させ最終的に本来のレベルとすることを言う。)させること等により実行される。
【0035】
また、プレーヤ2において再生された楽曲の一部を抽出し(サンプリングし)、これをプレーヤ3が再生した他の楽曲に重畳する本発明に係る後述するサンプリング処理もミキサ1において実行されるものである。
【0036】
次に、当該ミキサ1の細部構成及び動作について、図2を用いて説明する。
【0037】
図2に示すように、実施形態のミキサ1は、A/Dコンバータ10及び11と、スイッチ12と、抽出手段及び制御手段としてのメモリ制御部13と、記憶手段としてのメモリ14と、拍数検出手段としてのBPM(Beat Per Minute)検出部15と、ボリューム制御部16と、算出手段としてのCPU17と、指定手段としての操作部18と、表示部19と、ゲイン調整部20及び21と、加算部22と、D/Aコンバータ23と、により構成されている。
【0038】
次に、各構成部材の概要動作を説明する。
【0039】
先ず、A/Dコンバータ10は、プレーヤ2から出力されるアナログ信号である楽曲信号Siをディジタル化し、ディジタル楽曲信号Sdiを生成してスイッチ12の一方の入力端子へ出力する。
【0040】
一方、A/Dコンバータ11は、プレーヤ3から出力されるアナログ信号である楽曲信号Siiをディジタル化し、ディジタル楽曲信号Sdiiを生成してスイッチ12の他方の入力端子へ出力する。
【0041】
これにより、スイッチ12は、CPU17からの後述する制御信号Scsに基づきディジタル楽曲信号Sdi又はディジタル楽曲信号Sdiiのうちいずれか一方を選択し、スイッチ信号Sswとしてゲイン調整部20、メモリ制御部13及びBPM検出部15へ出力する。
【0042】
次に、BPM検出部15は、入力されるスイッチ信号Sswに含まれている楽曲のうち本発明によりサンプリングされる楽曲(すなわち、その一部が抽出される楽曲)における一分当たりの拍数(以下、単にBPM値と称する。)を検出し、検出信号Sbpmを生成してCPU17へ出力する。
【0043】
このとき、当該BPM検出部15におけるBPM値検出処理は、具体的には、当該サンプリングされる楽曲における拍の間隔を検出することを一定時間継続し、当該一定時間内に検出された拍の間隔の統計に基づいて当該BPM値が検出される。なお、当該BPM値の検出処理についてより詳細には、当該検出処理は、例えば、特開平8−201542号公報における段落番号[0010]乃至[0027]の範囲及び図1乃至図9の範囲に開示されている方法を用いて自動的に行われる。
【0044】
ここで、拍とは、楽曲のリズムの周期の中で繰り返される音の強弱の各部分を言い、強拍と弱拍とから成るものである。また、当該強拍とは、リズムの流れの中における小節又は拍子の強い部分を言う(通常は譜表上の第一拍がこれに当たり、指揮者の動作で言えば指揮棒を上から下へ振り下ろすことで示される部分である。)。更に、当該弱拍とは、リズムの流れの中における小節又は拍子の弱い部分を言う。例えば、二拍子では強拍―弱拍、三拍子では強拍−弱拍−弱拍、四拍子では強拍−弱拍−中強拍−弱拍となる。
【0045】
これらにより明らかなように、上記検出されるBPM値はその楽曲の演奏の進行速度を示すこととなり、同じ楽曲でもBPM値が高いと演奏時間は短くなり、一方BPM値が低いと演奏時間は長くなる。
【0046】
一方、CPU17は、後述するように、サンプリングする拍数及びサンプリングを開始するタイミングを指示する旨の操作が操作部18において為されることにより操作信号Sinが生成されると、当該操作信号Sinに基づいて上記制御信号Sswを生成してスイッチ12の動作を制御すると共に、上記生成された検出信号Sbpmに基づいてサンプリングする時間の算出等を実行し、メモリ制御部13におけるサンプリング処理を制御するための制御信号Scmを生成して当該メモリ制御部13へ出力する。
【0047】
なお、操作部18においては、上述した操作の他に、ミキサ1の動作全般を指定するための操作も実行される。更に、上記CPU17により制御されるミキサ1の動作に係る情報(具体的には、上記検出されたBPM値や操作部18において指定された拍数等)は当該CPU17から表示信号Sdpとして出力され、表示部19においてディスクジョッキー等に対して表示される。
【0048】
そして、メモリ制御部13は、当該制御信号Scmに基づいて、スイッチ信号Sswに含まれている指定された楽曲から当該楽曲の一部を抽出し、当該抽出した楽曲の一部をメモリ信号Smとしてメモリ14へ出力し、これに一時的に記憶させる。更に、当該メモリ制御部13は、サンプリングした楽曲の一部を他の楽曲に重畳して出力するときは、後述するようにメモリ14に記憶されている当該楽曲の一部をメモリ信号Smとして読み出し、サンプリング信号Spとしてボリューム制御部16へ出力する。
【0049】
これにより、ボリューム制御部16は、サンプリング信号Spのレベルを従来の方法により調整し、調整サンプリング信号Svpを生成してゲイン調整部21へ出力する。
【0050】
これらにより、ゲイン調整部20及び21は、相互に協動しつつスイッチ信号Ssw及び調整サンプリング信号Svpのゲインを調整し、夫々調整信号Sgs及びSgvを生成して加算器22へ出力する。このとき、楽曲の一部のサンプリングが行われている場合には、調整信号Sgsにはサンプリングされない通常の楽曲が含まれていることとなり、一方、調整信号Sgvにはサンプリングされた楽曲の一部が含まれることとなる。
【0051】
そして、加算器22は、調整信号Sgsに対して調整信号Sgvを重畳し、加算信号Sadを生成してD/Aコンバータ23に出力する。このとき、加算信号Sadにおいては、調整信号Sgs中に含まれる楽曲に調整信号Sgv中に含まれる楽曲の一部が重畳されている。
【0052】
最後に、D/Aコンバータ23は、生成された加算信号Sadをアナログ化し、上記ミキサ信号Smxを生成してアンプ4へ出力する。
【0053】
なお、上述した各動作以外に、楽曲の一部のサンプリングを実行しないときは、ミキサ1内の図示しない合成部等により、上述した通常の楽曲の合成処理が実行されてミキサ信号Smxが生成される。
【0054】
次に、ミキサ1において実行される本発明のサンプリング処理について、図3を用いて説明する。なお、図3は当該サンプリング処理を示すフローチャートである。
【0055】
また、以下の実施形態においては、楽曲信号Siに含まれる楽曲の一部を抽出してメモリ14に一時的に記憶させておき、これを楽曲信号Siiに含まれる他の楽曲に重畳して出力する場合について説明する。
【0056】
図3に示すように、実施形態のサンプリング処理においては楽曲信号Siに含まれる楽曲の一部を抽出するので、先ず、CPU17からの制御信号Scsに基づいてスイッチ12が楽曲信号Si側に切り替えられ、これにより、当該楽曲信号Siがスイッチ信号Sswとしてゲイン調整部20、メモリ制御部13及びBPM検出部15へ出力される。このとき、ゲイン調整部20は、当該スイッチ信号Sswのゲインを調整し加算器22及びD/Aコンバータ23を介して出力することにより、当該楽曲信号Siに含まれている楽曲をクラブ内に単独で出力するようにしてもよいし、当該ゲイン調整部20内でスイッチ信号Sswの出力を一時停止させておいてもよい。
【0057】
一方、BPM検出部15は、スイッチ信号Sswに含まれているサンプリングされる楽曲(すなわち、その一部が抽出される楽曲)におけるBPM値を検出する(ステップS1)。
【0058】
そして、サンプリングされる楽曲についてBPM値が検出されると、次に、ディスクジョッキーによって操作部18において指定されたサンプリングする拍数に基づいて、当該サンプリングされる楽曲におけるサンプリング時間(すなわち、サンプリングされた楽曲の一部の再生時間)が、検出されたBPM値に基づきCPU17において算出される(ステップS2)。
【0059】
このステップS2の処理について具体的には、例えば、サンプリングされる楽曲のBPM値が「120」であり、この楽曲から四拍分抽出するよう指定されたとすると、ステップS2において算出されるサンプリング時間Tsmpは、
【0060】
【数1】
Tsmp=(60,000msec/120)×4
=2,000msec … (1)
となる。
【0061】
このとき、当該ステップS1及びS2の処理により算出されるサンプリング時間Tsmpは、サンプリングされる楽曲における一拍当たりの所要時間(上記式(1)における「60,000msec/120」に相当する。)の整数倍(上記式(1)の場合は「4」拍分)の長さとなる。
【0062】
サンプリング時間Tsmpが算出されると、次に、現在再生中の楽曲(楽曲信号Siに含まれている楽曲)において抽出したい部分が再生されたか否か、すなわち、サンプリングを開始するタイミングが到来したか否かが判定される(ステップS3)。そして、サンプリングを開始しないときは(ステップS3;いいえ)開始されるタイミングが到来するまで待機し、サンプリングを開始するときは(ステップS3;はい)そのままステップS4へ移行する。
【0063】
ここで、当該ステップS3における判定方法としては、種々の方法があるが、具体的には、例えば、上述したようにディスクジョッキーが操作部18内の図示しないサンプリングスタートボタンを操作したか否かを判定することでサンプリングを開始するようにしてもよいし、この他、サンプリングされる楽曲における再生レベルが予め設定された所定のレベル(例えば、−60dB)より高くなったか否かを判定し、当該高くなったときにサンプリングを開始してもよい。
【0064】
このうち、後者の手法は、サンプリングされる楽曲における先頭部分をサンプリングする場合に、ディスクジョッキーが当該サンプリングされる曲の先頭を検出(いわゆる頭出し)しておいた後にその再生を開始させ、その再生レベルが当該所定のレベルを越えたときにサンプリングを開始する場合に用いられる。
【0065】
なお、ステップS3の判定においては、上記いずれの手法を用いる場合でも、上記BPM値の検出を自動的に行っている(ステップS1)ことに起因して、サンプリングされる楽曲の拍の部分(拍タイミング)からサンプリングが開始されるように判定してもよい。
【0066】
ステップS3の判定において、サンプリングの開始が判定されると(ステップS3;はい)、次に、楽曲信号Siに含まれるサンプリングされる楽曲を上記算出した(ステップS2)サンプリング時間だけメモリ信号Smとしてメモリ14に蓄積する(ステップS4)。
【0067】
そして、サンプリングすべき楽曲の部分の蓄積が完了すると、次に、ステップS1において検出したBPM値とステップS2においてディスクジョッキーから指定されている拍数とを、当該蓄積した楽曲の部分に対応づけてメモリ14に記憶して(ステップS5)サンプリングを終了する。
【0068】
この後は、上述したように、当該サンプリングした楽曲の部分とプレーヤ2又は3のいずれか一方により再生された楽曲信号Si又はSii(楽曲信号Siに含まれる楽曲の部分がメモリ14に記憶された(図3ステップS4参照)後に新たに再生されるものである。)に含まれる他の楽曲との重畳がディスクジョッキーが操作部18において指定したタイミングから加算器22等において開始され、当該重畳された楽曲を含む上記ミキサ信号Smxが生成され、アンプ4並びにスピーカ5及び6を介してクラブ内へ出力されることとなる。
【0069】
以上説明したように、実施形態のミキサ1の動作によれば、サンプリングされる楽曲における一拍当たりの所要時間を指定拍数倍した時間をサンプリング時間としてサンプリングするので、サンプリングされた楽曲の部分を繰り返し出力する場合でも、当該繰り返し中にリズムが狂うことがない。
【0070】
なお、このとき、サンプリングされた楽曲の部分を連続して繰り返し再生する場合だけでなく、リズムを維持しつつ断続的に当該楽曲の部分を繰り返して再生する場合でも、当該繰り返し中にリズムが狂うことを同様に防止できる。
【0071】
また、当該楽曲の部分を繰り返し出力しつつ他の楽曲を重畳して出力する場合でも、聴感上リズムが狂うことがない。
【0072】
更に、ディスクジョッキーから指定される指定拍数とBPM値に基づいてサンプリング時間を算出するので、簡易な処理でサンプリング時間を算出してサンプリングを行うことができる。
【0073】
更にまた、サンプリングされる楽曲における拍が開始されるタイミングからサンプリングを開始できるので、当該抽出した楽曲の部分を他の楽曲に重畳させて出力させる場合に、当該他の楽曲とのリズムの整合を簡易に取ることができる。
【0074】
また、サンプリングした楽曲の部分に対応するBPM値及び指定拍数を当該部分と共にメモリ14に記憶させるので、当該部分を他の楽曲に重畳させて出力させる場合に、当該他の楽曲との整合を簡易にとることができる。
【0075】
更にまた、各楽曲がクラブにおけるダンス用の楽曲であるので、ダンス用の楽曲を出力しつつダンスをする場合に、リズム感よく当該サンプリングされた楽曲の部分と他の楽曲とを重畳させて出力させ、ダンスを継続することができる。
【0076】
また、サンプリングされた楽曲の部分のリズムと他の楽曲のリズムとを的確に整合させつつそれらを重畳させて出力することができる。
【0077】
なお、上述した実施形態のオーディオ情報出力装置Sの構成に加えて、各楽曲に対して残響効果等の特殊効果を付加するいわゆるエフェクタを含むオーディオ情報出力装置に対して本発明を適用することも可能である。
【0078】
また、上述した実施形態においてはミキサ1に対して二つのプレーヤ2及び3を接続したオーディオ出力装置Sについて説明したが、これ以外に、三つ以上のプレーヤをミキサに接続し、二つ以上のプレーヤから出力される楽曲の一部をサンプリングして他のプレーヤから出力される楽曲に重畳させて出力するオーディオ情報出力装置に対して本発明を適用させることも可能である。
【0079】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載の発明によれば、抽出する部分オーディオ情報の抽出拍数を外部から指定し、一のオーディオ情報における一拍あたりの所要時間を指定拍数倍した時間を抽出時間として算出し、この算出した抽出時間分の部分オーディオ情報を一のオーディオ情報から抽出するので、当該部分オーディオ情報を繰り返し出力する場合でも、当該繰り返し中にリズムが狂うことがない。
【0080】
従って、簡易な操作でリズム感よく当該部分オーディオ情報の繰り返し出力を行うことができる。
【0081】
また、当該部分オーディオ情報を繰り返し出力しつつ他のオーディオ情報を重畳して出力する場合でも、聴感上リズムが狂うことがない。また、抽出する部分オーディオ情報の抽出拍数を抽出の前に外部から指定し、一のオーディオ情報における一拍あたりの所要時間を、指定拍数倍した時間を抽出時間として算出するので、簡易な処理で抽出時間を算出して部分オーディオ情報を抽出し記憶させることができる。また、拍が開始されるタイミングから部分オーディオ情報が開始されることとなるので、当該抽出して記憶後の部分オーディオ情報を他のオーディオ情報に重畳させて出力させる場合に、当該他のオーディオ情報とのリズムの整合を簡易に取ることができる。
【0082】
請求項2に記載の発明によれば、一のオーディオ情報の一部である部分オーディオ情報を当該一のオーディオ情報から抽出して記憶手段に記憶させるオーディオ情報記憶制御装置において、一のオーディオ情報における単位時間あたりの拍数を検出し、抽出する部分オーディオ情報の抽出拍数を抽出の前に外部から指定し、一のオーディオ情報における一拍あたりの所要時間を指定拍数倍した時間を抽出時間として算出し、算出した抽出時間分の部分オーディオ情報を、一のオーディオ情報から抽出し、抽出された部分オーディオ情報を記憶手段に記憶させるので、簡易な処理で抽出時間を算出して部分オーディオ情報を抽出し記憶させることができる。また、拍が開始されるタイミングから部分オーディオ情報が開始されることとなるので、当該抽出して記憶後の部分オーディオ情報を他のオーディオ情報に重畳させて出力させる場合に、当該他のオーディオ情報とのリズムの整合を簡易に取ることができる。
【0084】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2に記載の発明の効果に加えて、抽出した部分オーディオ情報と、当該部分オーディオ情報に対応する単位時間当たりの拍数と、指定拍数と、を記憶手段に記憶させるので、当該抽出して記憶後の部分オーディオ情報を他のオーディオ情報に重畳させて出力させる場合に、当該他のオーディオ情報との整合を簡易にとることができる。
【0085】
請求項4に記載の発明によれば、部分オーディオ情報のリズムと他のオーディオ情報のリズムとを的確に整合させつつそれらを重畳させて出力することができる。
【0086】
請求項5に記載の発明によれば、抽出する部分オーディオ情報の抽出拍数を抽出の前に外部から指定し、一のオーディオ情報における一拍あたりの所要時間を指定拍数倍した時間を抽出時間として算出し、この算出した抽出時間分の部分オーディオ情報を一のオーディオ情報から抽出するので、当該部分オーディオ情報を繰り返し出力する場合でも、当該繰り返し中にリズムが狂うことがない。
【0087】
従って、簡易な操作でリズム感よく当該部分オーディオ情報の繰り返し出力を行うことができる。
【0088】
また、当該部分オーディオ情報を繰り返し出力しつつ他のオーディオ情報を重畳して出力する場合でも、聴感上リズムが狂うことがない。また、抽出する部分オーディオ情報の抽出拍数を抽出の前に外部から指定し、一のオーディオ情報における一拍あたりの所要時間を、指定拍数倍した時間を抽出時間として算出するので、簡易な処理で抽出時間を算出して部分オーディオ情報を抽出し記憶させることができる。また、拍が開始されるタイミングから部分オーディオ情報が開始されることとなるので、当該抽出して記憶後の部分オーディオ情報を他のオーディオ情報に重畳させて出力させる場合に、当該他のオーディオ情報とのリズムの整合を簡易に取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】オーディオ情報出力装置の概要構成を示すブロック図である。
【図2】ミキサの細部構成を示すブロック図である。
【図3】実施形態のサンプリング処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1…ミキサ
2、3…プレーヤ
4…アンプ
5、6…スピーカ
10、11…A/Dコンバータ
12…スイッチ
13…メモリ制御部
14…メモリ
15…BPM検出部
16…ボリューム制御部
17…CPU
18…操作部
19…表示部
20、21…ゲイン調整部
22…加算器
23…D/Aコンバータ
S…オーディオ情報出力装置
Si、Sii…楽曲信号
Smx…ミキサ信号
Sol…左信号
Sor…右信号
Scs、Scm…制御信号
Sm…メモリ信号
Sp…サンプリング信号
Svp…調整サンプリング信号
Sgs、Sgv…調整信号
Sad…加算信号
Sin…操作信号
Sdp…表示信号
Ssw…スイッチ信号
Sbpm…検出信号
Sdi、Sdii…ディジタル楽曲信号
Claims (5)
- 一のオーディオ情報の一部である部分オーディオ情報を当該一のオーディオ情報から抽出して記憶手段に記憶させるオーディオ情報記憶制御装置において、
抽出する前記部分オーディオ情報の抽出拍数を抽出の前に外部から指定するための抽出拍数指定手段と、
前記一のオーディオ情報における一拍あたりの所要時間を前記抽出拍数指定手段による指定拍数倍した時間を抽出時間として算出する算出手段と、
抽出する部分の最初の拍が開始されるタイミングを判定するタイミング判定手段により判定された前記最初の拍の部分を先頭とし、前記算出手段により算出した抽出時間分の部分オーディオ情報を、前記一のオーディオ情報から抽出する抽出手段と、
前記抽出された部分オーディオ情報を前記記憶手段に記憶させる制御手段と、
を備えることを特徴とするオーディオ情報記憶制御装置。 - 一のオーディオ情報の一部である部分オーディオ情報を当該一のオーディオ情報から抽出して記憶手段に記憶させるオーディオ情報記憶制御装置において、
前記一のオーディオ情報における単位時間あたりの拍数を検出する拍数検出手段と、
抽出する前記部分オーディオ情報の抽出拍数を抽出の前に外部から指定するための抽出拍数指定手段と、
前記一のオーディオ情報における一拍あたりの所要時間を前記抽出拍数指定手段による指定拍数倍した時間を抽出時間として算出する算出手段と、
抽出する部分の最初の拍が開始されるタイミングを判定するタイミング判定手段により判定された前記最初の拍の部分を先頭とし、前記算出手段により算出した抽出時間分の部分オーディオ情報を、前記一のオーディオ情報から抽出する抽出手段と、
前記抽出された部分オーディオ情報を前記記憶手段に記憶させる制御手段と、
を備えることを特徴とするオーディオ情報記憶制御装置。 - 請求項1又は2に記載のオーディオ情報記憶制御装置において、
前記制御手段は、抽出した前記部分オーディオ情報と、当該部分オーディオ情報における単位時間当たりの拍数と、前記指定拍数と、を前記記憶手段に記憶させることを特徴とするオーディオ情報記憶制御装置。 - 請求項1乃至3の何れか一項に記載のオーディオ情報記憶制御装置と、
前記記憶されている部分オーディオ情報を前記記憶手段から読み出し、前記他のオーディオ情報と共に出力する出力手段と、
を備えることを特徴とするオーディオ情報出力装置。 - 一のオーディオ情報の一部である部分オーディオ情報を当該一のオーディオ情報から抽出し、当該部分オーディオ情報を記憶するための記憶手段に記憶させるオーディオ情報記憶制御装置のオーディオ情報記憶制御方法において、
前記オーディオ情報記憶制御装置が、抽出する前記部分オーディオ情報の抽出拍数を抽出の前に外部から指定するための抽出拍数指定工程と、
前記オーディオ情報記憶制御装置が、前記一のオーディオ情報における一拍あたりの所要時間を前記抽出拍数指定工程による指定拍数倍した時間を抽出時間として算出する算出工程と、
前記オーディオ情報記憶制御装置が、抽出する部分の最初の拍が開始されるタイミング判定手段により判定された前記最初の拍の部分を先頭とし、前記算出工程により算出した抽出時間分の部分オーディオ情報を、前記一のオーディオ情報から抽出する抽出工程と、
前記オーディオ情報記憶制御装置が、前記抽出された部分オーディオ情報を前記記憶手段に記憶させる制御工程と、
を備えることを特徴とするオーディオ情報記憶制御方法。
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