JP3795265B2 - オーディオ情報再生方法及び装置並びにオーディオ情報出力装置 - Google Patents

オーディオ情報再生方法及び装置並びにオーディオ情報出力装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、オーディオ情報再生方法及び装置並びに当該オーディオ情報再生装置を含むオーディオ情報出力装置の技術分野に属し、より詳細には、ダンス用の楽曲等のオーディオ情報又はその一部を抽出し、それを他のオーディオ情報に重畳させるべく再生するオーディオ情報再生方法及び装置並びに当該オーディオ情報再生装置を含むオーディオ情報出力装置の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来、他の楽曲と組み合わせて出力させるために、一の楽曲の一部を当該一の楽曲から抽出して一時的に記憶させた後にこれを再生する、いわゆるサンプラと称されるオーディオ情報再生装置が一般化している。
【0003】
一方、近年、いわゆるクラブと称される、軽快なリズムの音楽に合わせて若者が主としてダンスを楽しむ店が流行している。そして、当該クラブにおいては、たとえ異なる楽曲間であっても、常に一定のリズムで連続して複数の楽曲を流しつづけることがダンスを楽しむ上で必要とされている。
【0004】
ここで、リズムとは、ある楽曲において音の強弱が周期的に繰り返される構造(すなわち、拍子)を言う。
【0005】
また、このような複数の楽曲は、楽曲を編集する編集者(以下、当該編集者をディスクジョッキーと称する。)が複数の再生装置から夫々出力される楽曲をその場で選曲/合成することにより当該クラブ内に出力されるものである。
【0006】
このとき、当該クラブにおいて、その場で一の楽曲からその一部分を抽出し、当該抽出した一部分を繰り返しつつ他の楽曲に重畳してクラブ内に出力することも頻繁に行われることである。
【0007】
ここで、従来のサンプラにおいて、記憶してある楽曲の一部を他の楽曲に重畳してクラブ内に出力する場合における夫々のリズムの統一化については、ディスクジョッキーが当該他の楽曲を聴取しながら当該楽曲の一部のリズムを当該他の楽曲のリズムに同期させた後に重畳させるようにしていた。
【0008】
また、当該楽曲の一部を重畳するタイミングについても、ディスクジョッキーが他の楽曲を聴取しつつ当該タイミングを計って重畳を行っていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の重畳方法によると、リズムの整合を誤ると重畳される楽曲同士のリズムが不一致となることにより当該クラブ内で踊っている者に対して不都合となるという問題点があった。
【0010】
また、当該楽曲の一部を重畳するタイミングを誤った場合にも当該リズムの不一致が生じてしまうという問題点もあった。
【0011】
そこで、本発明は、上記の各問題点に鑑みて為されたもので、その課題は、ある楽曲又はその一部を再生しつつ他の楽曲に重畳して出力する場合に、リズムの不整合に起因する聴感上の違和感の発生を防止して当該重畳を実行することが可能なオーディオ情報再生方法及び装置並びに当該オーディオ情報再生装置を含むオーディオ情報出力装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、一のオーディオ情報を他のオーディオ情報と共に出力すべく再生するオーディオ情報再生装置において、前記他のオーディオ情報における一拍当たりの所要時間である第1所要時間を検出するBPM検出部等の検出手段と、前記一のオーディオ情報における一拍当たりの所要時間である第2所要時間と前記検出された第1所要時間との比が、自然数又は自然数の逆数のいずれか一方として示される比となるように当該第2所要時間を変換し、前記一のオーディオ情報を再生する変換部等の変換手段と、を備える。
【0013】
よって、第2所要時間と第1所要時間との比が、自然数又は自然数の逆数のいずれか一方として示される比となるように第2所要時間が変換されて一のオーディオ情報が再生されるので、他のオーディオ情報と当該一のオーディオ情報との間に相関関係が生じることとなり、これらを重畳して出力する場合に聴感上の違和感なく出力することができる。
【0014】
上記の課題を解決するために、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のオーディオ情報再生装置において、前記変換手段は、前記比が1となるように前記第2所要時間を変換するように構成されれる。
【0015】
よって、他のオーディオ情報のリズムと一のオーディオ情報のリズムとが相互に一致するので、より違和感なく双方を重畳して出力することができる。
【0016】
上記の課題を解決するために、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のオーディオ情報再生装置において、前記一のオーディオ情報及び前記第2所要時間を予め記憶するメモリ等の記憶手段と、前記記憶されている一のオーディオ情報及び第2所要時間を読み出して前記変換手段に出力するメモリ制御部等の読出手段と、を更に備える。
【0017】
よって、予め記憶されている第2所要時間を読み出して変換するので、簡易な処理で第2所要時間を変換することができる。
【0018】
上記の課題を解決するために、請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載のオーディオ情報再生装置において、前記第2所要時間が変換された一のオーディオ情報における拍の開始タイミングと前記他のオーディオ情報における拍の開始タイミングとを一致させつつ当該一のオーディオ情報と前記他のオーディオ情報とを重畳して出力するCPU等の出力手段を更に備える。
【0019】
よって、双方のリズムを狂わせることなく聴感上の違和感をなくして双方のオーディオ情報を重畳して再生することができる。
【0020】
上記の課題を解決するために、請求項5に記載の発明は、一のオーディオ情報を他のオーディオ情報と共に出力すべく繰り返し再生するオーディオ情報再生装置において、前記他のオーディオ情報における一拍当たりの所要時間である拍所要時間を検出するBPM検出部等の検出手段と、前記一のオーディオ情報の繰り返し再生における繰り返し間隔を示す拍数である繰返拍数を外部から指定するための操作部等の指定手段と、前記指定された繰返拍数及び前記検出された拍所要時間に基づいて、前記一のオーディオ情報を繰り返し再生する変換部等の再生手段と、を備える。
【0021】
よって、繰返拍数及び拍所要時間に基づいて一のオーディオ情報が繰り返し再生されるので、他のオーディオ情報と当該一のオーディオ情報との間に相関関係が生じることとなり、これらを重畳して出力する場合に聴感上の違和感なく出力することができる。
【0022】
上記の課題を解決するために、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のオーディオ情報再生装置において、前記再生手段は、前記指定された繰返拍数及び前記検出された拍所要時間に基づいて、前記他のオーディオ情報の拍のタイミングと前記一のオーディオ情報の拍のタイミングとを一致させつつ当該一のオーディオ情報を繰り返し再生するように構成される。
【0023】
よって、他のオーディオ情報における拍のタイミングと一のオーディオ情報における拍のタイミングとを一致させつつ一のオーディオ情報が繰り返し再生されるので、他のオーディオ情報と一のオーディオ情報とを重畳して出力する場合に双方のリズムが一致することとなり、より聴感上の違和感なくこれらを出力することができる。
【0024】
上記の課題を解決するために、請求項7に記載の発明は、請求項1から6のいずれか一項に記載のオーディオ情報再生装置と、前記一のオーディオ情報を前記他のオーディオ情報と共に出力するアンプ等のオーディオ出力手段と、を備える。
【0025】
よって、一のオーディオ情報と他のオーディオ情報双方のリズムを狂わせることなく聴感上の違和感をなくして双方のオーディオ情報を重畳して出力することができる。
【0026】
上記の課題を解決するために、請求項8に記載の発明は、一のオーディオ情報を他のオーディオ情報と共に出力すべく再生するオーディオ情報再生方法において、前記他のオーディオ情報における一拍当たりの所要時間である第1所要時間を検出する検出工程と、前記一のオーディオ情報における一拍当たりの所要時間である第2所要時間と前記検出された第1所要時間との比が、自然数又は自然数の逆数のいずれか一方として示される比となるように当該第2所要時間を変換し、前記一のオーディオ情報を再生する変換工程と、を備える。
【0027】
よって、第2所要時間と第1所要時間との比が、自然数又は自然数の逆数のいずれか一方として示される比となるように第2所要時間が変換されて一のオーディオ情報が再生されるので、他のオーディオ情報と当該一のオーディオ情報との間に相関関係が生じることとなり、これらを重畳して出力する場合に聴感上の違和感なく出力することができる。
【0028】
上記の課題を解決するために、請求項9に記載の発明は、一のオーディオ情報を他のオーディオ情報と共に出力すべく繰り返し再生するオーディオ情報再生方法において、前記他のオーディオ情報における一拍当たりの所要時間である拍所要時間を検出する検出工程と、前記一のオーディオ情報の繰り返し再生における繰り返し間隔を示す拍数である繰返拍数を外部から指定するための指定工程と、前記指定された繰返拍数及び前記検出された拍所要時間に基づいて、前記一のオーディオ情報を繰り返し再生する再生工程と、を備える。
【0029】
よって、繰返拍数及び拍所要時間に基づいて一のオーディオ情報が繰り返し再生されるので、他のオーディオ情報と当該一のオーディオ情報との間に相関関係が生じることとなり、これらを重畳して出力する場合に聴感上の違和感なく出力することができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に好適な実施の形態について、図面に基づいて説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、上記クラブにおいて楽曲を演奏するためのオーディオ情報出力装置であって、複数のプレーヤから出力される楽曲を重畳して演奏用の楽曲を生成するミキサを含むオーディオ情報出力装置に対して本発明を適用した場合の実施の形態である。
【0031】
(I)全体構成
始めに、実施形態に係るオーディオ情報出力装置の全体構成及び動作について、図1及び図2を用いて説明する。
【0032】
先ず、実施形態に係るオーディオ情報出力装置の概要構成及び動作について、図1を用いて説明する。なお、図1は実施形態に係るオーディオ情報出力装置の概要構成を示すブロック図である。
【0033】
図1に示すように、実施形態に係るオーディオ情報出力装置Sは、本発明に係るミキサ1と、プレーヤ2及び3と、オーディオ出力手段としてのアンプ4と、スピーカ5及び6と、により構成されている。このとき、プレーヤ2及び3は、夫々いわゆるアナログレコードを再生するアナログプレーヤであってもよいし、コンパクトディスク(CD(Compact Disc))又はDVDをディジタル的に再生するディジタルプレーヤであってもよい。
【0034】
次に、概要動作を説明する。
【0035】
先ず、各プレーヤ2及び3は、夫々にアナログレコード又はCD等を再生し、複数の楽曲を含む楽曲信号Si及びSiiを夫々に生成してミキサ1に出力する。
【0036】
そして、ミキサ1は、上記ディスクジョッキーの操作に基づいて、楽曲信号Si及びSiiを合成し、ミキサ信号Smxを生成してアンプ4へ出力する。
【0037】
その後、アンプ4は、ミキサ信号Smxに含まれる各楽曲を左チャンネル及び右チャンネルに分離すると共に増幅し、左チャンネルに含まれるべきオーディオ情報(楽器等の音情報及び歌唱等の音声情報の双方を含む。以下、同じ。)を含む左信号Solと右チャンネルに含まれるべきオーディオ情報を含む右信号Sorとを夫々生成し、左チャンネル用のスピーカ5及び右チャンネル用のスピーカ6へ夫々出力する。
【0038】
これらにより、各スピーカ5及び6は対応する左信号Sol及び右信号Sorに夫々含まれるオーディオ情報を音としてクラブ内に出力する。
【0039】
このとき、上記の動作において、ミキサ1における楽曲信号Siに含まれる楽曲と楽曲信号Siiに含まれる楽曲との通常の合成処理としては、例えば、楽曲信号Siに含まれている一の楽曲をクラブ内に出力中にプレーヤ3を動作させて楽曲信号Siiを再生させ、当該楽曲信号Siiをヘッドホン等のクラブ内に出力されない方法で聴取しながら当該楽曲信号Siiに含まれる楽曲のリズムを調整し、当該出力されている一の楽曲のリズムに当該楽曲信号Siiに含まれる楽曲のリズムを整合させ、当該一の楽曲が終了間近になったときに当該一の楽曲の最後の部分をフェードアウト(すなわち、時間の経過に従って漸次音圧レベルを低減させ最終的にゼロレベルとすることを言う。)させると共にリズムを整合させた楽曲信号Siiに含まれる楽曲の最初の部分をフェードイン(すなわち、時間の経過に従ってゼロレベルから漸次音圧レベルを増大させ最終的に本来のレベルとすることを言う。)させること等により実行される。
【0040】
また、プレーヤ2において再生された楽曲の一部を抽出し(サンプリングし)、これをプレーヤ3が再生した他の楽曲に重畳して再生する本発明に係る後述する再生制御処理もミキサ1において実行されるものである。
【0041】
次に、当該ミキサ1の細部構成及び動作について、図2を用いて説明する。
【0042】
図2に示すように、実施形態のミキサ1は、A/Dコンバータ10及び11と、スイッチ12と、読出手段としてのメモリ制御部13と、記憶手段としてのメモリ14と、検出手段としてのBPM(Beat Per Minute)検出部15と、ボリューム制御部16と、出力手段としてのCPU17と、指定手段としての操作部18と、表示部19と、ゲイン調整部20及び21と、加算部22と、D/Aコンバータ23と、変換手段及び再生手段としての変換部24と、により構成されている。
【0043】
次に、各構成部材の概要動作を説明する。
【0044】
先ず、A/Dコンバータ10は、プレーヤ2から出力されるアナログ信号である楽曲信号Siをディジタル化し、ディジタル楽曲信号Sdiを生成してスイッチ12の一方の入力端子へ出力する。
【0045】
一方、A/Dコンバータ11は、プレーヤ3から出力されるアナログ信号である楽曲信号Siiをディジタル化し、ディジタル楽曲信号Sdiiを生成してスイッチ12の他方の入力端子へ出力する。
【0046】
これにより、スイッチ12は、CPU17からの後述する制御信号Scsに基づきディジタル楽曲信号Sdi又はディジタル楽曲信号Sdiiのうちいずれか一方を選択し、スイッチ信号Sswとしてゲイン調整部20、メモリ制御部13及びBPM検出部15へ出力する。
【0047】
次に、BPM検出部15は、入力されるスイッチ信号Sswに含まれている楽曲のうちサンプリングされる楽曲(すなわち、その一部が抽出される楽曲)における一分当たりの拍数(以下、当該一分当たりの拍数を単にBPM値と称する。)を検出し、検出信号Sbpmを生成してCPU17へ出力する。
【0048】
このとき、当該BPM検出部15におけるBPM値検出処理は、具体的には、当該サンプリングされる楽曲における拍の間隔を検出することを一定時間継続し、当該一定時間内に検出された拍の間隔の統計に基づいて当該BPM値が検出される。なお、当該BPM値の検出処理についてより詳細には、当該検出処理は、例えば、特開平8−201542号公報における段落番号[0010]乃至[0027]の範囲及び図1乃至図9の範囲に開示されている方法を用いて自動的に行われる。
【0049】
ここで、拍とは、楽曲のリズムの周期の中で繰り返される音の強弱の各部分を言い、強拍と弱拍とから成るものである。また、当該強拍とは、リズムの流れの中における小節又は拍子の強い部分を言う(通常は譜表上の第一拍がこれに当たり、指揮者の動作で言えば指揮棒を上から下へ振り下ろすことで示される部分である。)。更に、当該弱拍とは、リズムの流れの中における小節又は拍子の弱い部分を言う。例えば、二拍子では強拍―弱拍、三拍子では強拍−弱拍−弱拍、四拍子では強拍−弱拍−中強拍−弱拍となる。
【0050】
これらにより明らかなように、上記検出されるBPM値はその楽曲の演奏の進行速度を示すこととなり、同じ楽曲でもBPM値が高いと演奏時間は短くなり、一方BPM値が低いと演奏時間は長くなる。
【0051】
一方、CPU17は、後述するように、サンプリングする拍数及びサンプリングを開始するタイミングを指示する旨の操作が操作部18において為されることにより操作信号Sinが生成されると、当該操作信号Sinに基づいて上記制御信号Sswを生成してスイッチ12の動作を制御すると共に、上記生成された検出信号Sbpmに基づいてサンプリングする時間の算出等を実行し、メモリ制御部13におけるサンプリング処理を制御するための制御信号Scmを生成して当該メモリ制御部13へ出力する。
【0052】
これと並行して、CPU17は、後述するように、サンプリングした楽曲の一部についての再生時間を伸縮するモードの指定又は当該一部の繰り返し間隔を設定するモードの指定を示す操作が操作部18において為されることにより操作信号Sinが生成されると、当該操作信号Sinに基づいて変換部24における後述する本発明に係る再生制御処理を制御するための制御信号Sctを生成して当該変換部24へ出力する。
【0053】
なお、操作部18においては、上述した各操作の他に、ミキサ1の動作全般を指定するための操作も実行される。
【0054】
更に、上記CPU17により制御されるミキサ1の動作に係る情報(具体的には、上記検出されたBPM値や操作部18において指定された拍数等)は当該CPU17から表示信号Sdpとして出力され、表示部19においてディスクジョッキー等に対して表示される。
【0055】
そして、メモリ制御部13は、当該制御信号Scmに基づいて、スイッチ信号Sswに含まれている指定された楽曲から当該楽曲の一部を抽出し、当該抽出した楽曲の一部をメモリ信号Smとしてメモリ14へ出力し、これに一時的に記憶させる。
【0056】
更に、当該メモリ制御部13は、サンプリングした楽曲の一部を他の楽曲に重畳して出力するときは、後述するようにメモリ14に記憶されている当該楽曲の一部をメモリ信号Smとして読み出し、サンプリング信号Spとして変換部24へ出力する。
【0057】
次に、変換部24は、上記制御信号Sctに基づいて、サンプリング信号Spに含まれている楽曲の一部の再生時間及び再生間隔を制御し、再生信号Sptを生成してボリューム制御部16へ出力する。
【0058】
これにより、ボリューム制御部16は、再生信号Sptのレベルを従来の方法により調整し、調整再生信号Svpを生成してゲイン調整部21へ出力する。
【0059】
そして、ゲイン調整部20及び21は、相互に協動しつつスイッチ信号Ssw及び調整再生信号Svpのゲインを調整し、夫々調整信号Sgs及びSgvを生成して加算器22へ出力する。
【0060】
このとき、楽曲の一部のサンプリングが行われている場合には、調整信号Sgsにはサンプリングされない通常の楽曲が含まれていることとなり、一方、調整信号Sgvにはサンプリングされると共に変換部24により再生時間等の制御が為された楽曲の一部が含まれることとなる。
【0061】
そして、加算器22は、調整信号Sgsに対して調整信号Sgvを重畳し、加算信号Sadを生成してD/Aコンバータ23に出力する。
【0062】
このとき、加算信号Sadにおいては、調整信号Sgs中に含まれる楽曲に調整信号Sgv中に含まれる楽曲の一部が重畳されている。
【0063】
最後に、D/Aコンバータ23は、生成された加算信号Sadをアナログ化し、上記ミキサ信号Smxを生成してアンプ4へ出力する。
【0064】
なお、上述した各動作以外に、楽曲の一部のサンプリングを実行しないときは、ミキサ1内の図示しない合成部等により、上述した楽曲の通常の合成処理が実行されてミキサ信号Smxが生成される。
【0065】
(II)サンプリング処理の実施形態
次に、ミキサ1において実行されるサンプリング処理の実施形態について、図3を用いて説明する。なお、図3は当該サンプリング処理を示すフローチャートである。
【0066】
また、以下の実施形態においては、楽曲信号Siに含まれる楽曲の一部を抽出してメモリ14に一時的に記憶させておき、これを楽曲信号Siiに含まれる他の楽曲に重畳して出力する場合について説明する。
【0067】
図3に示すように、実施形態のサンプリング処理においては楽曲信号Siに含まれる楽曲の一部を抽出するので、先ず、CPU17からの制御信号Scsに基づいてスイッチ12が楽曲信号Si側に切り替えられ、これにより、当該楽曲信号Siがスイッチ信号Sswとしてゲイン調整部20、メモリ制御部13及びBPM検出部15へ出力される。
【0068】
このとき、ゲイン調整部20は、当該スイッチ信号Sswのゲインを調整し加算器22及びD/Aコンバータ23を介して出力することにより、当該楽曲信号Siに含まれている楽曲をクラブ内に単独で出力するようにしてもよいし、当該ゲイン調整部20内でスイッチ信号Sswの出力を一時停止させておいてもよい。
【0069】
一方、BPM検出部15は、スイッチ信号Sswに含まれているサンプリングされる楽曲(すなわち、その一部が抽出される楽曲)におけるBPM値を検出する(ステップS1)。
【0070】
そして、サンプリングされる楽曲についてBPM値が検出されると、次に、ディスクジョッキーによって操作部18において指定されたサンプリングする拍数に基づいて、当該サンプリングされる楽曲におけるサンプリング時間(すなわち、サンプリングされた楽曲の一部の再生時間)が、検出されたBPM値に基づきCPU17において算出される(ステップS2)。
【0071】
このステップS2の処理について具体的には、例えば、サンプリングされる楽曲のBPM値が「120」であり、この楽曲から四拍分抽出するよう指定されたとすると、ステップS2において算出されるサンプリング時間Tsmpは、
【0072】
【数1】
Figure 0003795265
となる。
【0073】
このとき、当該ステップS1及びS2の処理により算出されるサンプリング時間Tsmpは、サンプリングされる楽曲における一拍当たりの所要時間(上記式(1)における「60000msec/120」に相当する。)の整数倍(上記式(1)の場合は「4」拍分)の長さとなる。
【0074】
サンプリング時間Tsmpが算出されると、次に、現在再生中の楽曲(楽曲信号Siに含まれている楽曲)において抽出したい部分が再生されたか否か、すなわち、サンプリングを開始するタイミングが到来したか否かが判定される(ステップS3)。そして、サンプリングを開始しないときは(ステップS3;いいえ)開始されるタイミングが到来するまで待機し、サンプリングを開始するときは(ステップS3;はい)そのままステップS4へ移行する。
【0075】
ここで、当該ステップS3における判定方法としては、種々の方法があるが、具体的には、例えば、上述したようにディスクジョッキーが操作部18内の図示しないサンプリングスタートボタンを操作したか否かを判定することでサンプリングを開始するようにしてもよいし、この他、サンプリングされる楽曲における再生レベルが予め設定された所定のレベル(例えば、−60dB)より高くなったか否かを判定し、当該高くなったときにサンプリングを開始してもよい。
【0076】
このうち、後者の手法は、サンプリングされる楽曲における先頭部分をサンプリングする場合に、ディスクジョッキーが当該サンプリングされる曲の先頭を検出(いわゆる頭出し)しておいた後にその再生を開始させ、その再生レベルが当該所定のレベルを越えたときにサンプリングを開始する場合に用いられる。
【0077】
なお、ステップS3の判定においては、上記いずれの手法を用いる場合でも、上記BPM値の検出を自動的に行っている(ステップS1)ことに起因して、サンプリングされる楽曲の拍の部分(拍タイミング)からサンプリングが開始されるように判定してもよい。
【0078】
ステップS3の判定において、サンプリングの開始が判定されると(ステップS3;はい)、次に、楽曲信号Siに含まれるサンプリングされる楽曲を上記算出した(ステップS2)サンプリング時間だけメモリ信号Smとしてメモリ14に蓄積する(ステップS4)。
【0079】
そして、サンプリングすべき楽曲の部分の蓄積が完了すると、次に、ステップS1において検出したBPM値とステップS2においてディスクジョッキーから指定されている拍数とを、当該蓄積した楽曲の部分に対応づけてメモリ14に記憶して(ステップS5)サンプリングを終了する。
【0080】
上述した一連のサンプリング処理により、メモリ14内には、楽曲信号Siに含まれる楽曲のうちのディスクジョッキーから指示された拍から始まる四拍分(上記式(1)の場合)の楽曲が記憶されていることとなる。
【0081】
この後は、上述したように、当該サンプリングした楽曲の一部に対して変換部24における再生制御処理が実行された後、他の楽曲との重畳が実行される。
【0082】
(III)再生制御処理の実施形態
次に、本発明に係る変換部24において実行される当該再生制御処理について、図4乃至図6を用いて説明する。
【0083】
なお、図4は当該再生制御処理を示すフローチャートであり、図5及び図6は当該再生制御処理を示す模式図である。
【0084】
また、以下の実施形態においては、メモリ制御部13を介してメモリ14から読み出される上述したサンプリング処理された楽曲の一部に対して当該再生制御処理を実行した後、楽曲信号Siiに含まれる他の楽曲に重畳して出力する場合について説明する。
【0085】
図4に示すように、実施形態の再生制御処理を含む再生時の処理においては、サンプリングされている楽曲の一部を読み出しこれを楽曲信号Siiに含まれている楽曲に重畳して出力するので、先ず、CPU17からの制御信号Scsに基づいてスイッチ12が楽曲信号Sii側に切り替えられ、これにより、当該楽曲信号Siiがスイッチ信号Sswとしてゲイン調整部20、メモリ制御部13及びBPM検出部15へ出力される。
【0086】
このとき、メモリ制御部13は入力されているスイッチ信号Sswに対しては何等処理を行わず、後述するメモリ14からサンプリングされている楽曲の一部を読み出す処理のみを実行する。
【0087】
これに対して、BPM検出部15は、スイッチ信号Sswに含まれている楽曲(すなわち、サンプリングされていた楽曲の一部が重畳されて再生される楽曲信号Siiに含まれる楽曲)におけるBPM値を検出する(ステップS6)。
【0088】
そして、楽曲信号Siiに含まれる楽曲についてBPM値が検出されると、次に、サンプリングされている楽曲の一部を再生する際のモードの指定が、ディスクジョッキーにより操作部18において実行されているか否かが操作信号Sinに基づいてCPU17により判定される(ステップS7)。
【0089】
次に、ステップS7の判定において、サンプリングされている楽曲の一部の時間を伸縮して再生するモード指定の操作が為されていると判定された場合には(ステップS7;時間伸縮モード)、次に、ディスクジョッキーによって操作部18において指定された再生する拍数(すなわち、サンプリングされている楽曲の一部のうちどれだけの拍数分を楽曲信号Sii内に含まれている楽曲に重畳して再生するかを示す拍数)及びステップS6において検出されているBPM値に基づいて、当該サンプリングされている楽曲の一部を再生する際の再生時間がCPU17において算出される(ステップS8)。
【0090】
このステップS8の処理について具体的には、例えば、楽曲信号Siiに含まれている(サンプリングされている楽曲の一部が重畳される)楽曲のBPM値が「130」であり、この楽曲に対してサンプリングされている楽曲の一部のうち四拍分(図3に示した場合にはサンプリングされている楽曲の一部の全て)を重畳するよう指定されたとすると、ステップS8において算出される再生時間Tplayは、
【0091】
【数2】
Figure 0003795265
となる。
【0092】
再生時間Tplayが算出されると、次に、楽曲信号Siiに含まれている楽曲に対するサンプリングされている楽曲の一部の重畳が操作部18においてディスクジョッキーにより指示されたか否かが判定され(ステップS9)、指示されていないときは(ステップS9;いいえ)指示されるまで待機し、指示されたときは(ステップS9;はい)、次に、当該サンプリングされている楽曲の一部をメモリ制御部13を介してメモリ14からサンプリング信号Spとして読み出し、そのうちのステップS8において指定されている拍数分をステップS8において算出した再生時間Tplayにより再生し、再生信号Sptとしてボリューム制御部16へ出力する(ステップS10)。
【0093】
このとき、上記式(2)に相当する場合には、図5に示すように、元の楽曲信号Si(BPM値120)における拍に相当するタイミングから四拍分だけ抽出されてメモリ14に記憶され、更にサンプリング信号Spとして読み出されている楽曲の一部(四拍分、図5上から二段目参照。)が、その再生時間をステップS8で算出された再生時間Tplayに変換した後に再生信号Spt(図5下から二段目参照。)として出力されることとなる。
【0094】
すなわち、変換部24は、サンプリングされている楽曲の一部のサンプリング時間(上記ステップS5においてメモリ14に記憶されているBPM値及び指定拍数を用いて算出されるものであり、図5の場合は上記式(1)より2,000msec)を上記式(2)で算出した再生時間で除した割合でデータ飛ばし再生(当該サンプリング時間が当該再生時間よりも長い場合)又はデータ繰り返し再生(当該サンプリング時間が当該再生時間よりも短い場合)を行って再生信号Sptを生成する。
【0095】
より具体的には、図5に示す場合、BPM値が「120」である楽曲の一部が四拍分サンプリングされており、これをBPM値が「130」である楽曲信号Siiに含まれる楽曲に重畳して再生する場合には、上記式(1)及び(2)より、
【0096】
【数3】
2,000msec/1,846msec=1.0834倍速
でデータ飛ばし再生を行うこととなる。
【0097】
そして、この場合に、当該楽曲の一部における一拍分の所要時間は、図5に示すようにメモリ14に記憶されていた段階における所要時間T1から所要時間T2に変換されており、当該所要時間T1と所要時間T2との比は、
【0098】
【数4】
1/T2=120/130
となる。
【0099】
なお、ステップS10における再生時間伸縮の手法としては、上述したデータ飛ばし再生又はデータ繰り返し再生の他に、変換部24における変換処理を司るクロック信号の周期を制御し、再生信号Sptの読み出し時間を長くしたり(サンプリング時間が再生時間よりも短い場合)又は短くする(サンプリング時間が再生時間よりも長い場合)ことにより当該再生時間を伸縮してもよい。
【0100】
そして、サンプリングされていた楽曲の一部が再生信号Sptとして一度出力されると(ステップS10)、次に、ディスクジョッキーにより当該サンプリングされていた楽曲の一部を連続して繰り返し再生し楽曲信号Siiに含まれていた楽曲に重畳する旨の操作が操作部18において為されているか否かが判定され(ステップS11)、為されていないときは(ステップS11;いいえ)、そのまま当該楽曲の一部の再生を終了し、一方、当該操作が為されているときは(ステップS11;はい)、一度再生信号Sptとして再生した当該楽曲の一部に続けて繰り返し当該一部を再生すべく、ステップS10に戻って上記処理を繰り返す。
【0101】
この後は、上述したように、当該再生時間Tplayで再生した楽曲の一部である再生信号Sptがボリューム制御部16においてボリューム調整されて調整再生信号Svpとなり、当該調整再生信号Svpとプレーヤ3により再生された楽曲信号Siiに含まれる他の楽曲との重畳が上記ステップS9においてディスクジョッキーにより指定されたタイミングから加算器22並びにゲイン調整部20及び21において実行され(図5下から二段目及び最下段参照。)、当該重畳された楽曲を含む上記ミキサ信号Smxが生成され、アンプ4並びにスピーカ5及び6を介してクラブ内へ出力されることとなる。
【0102】
ここで、図5は、再生信号Sptの拍タイミングと楽曲信号Siiに含まれる他の楽曲の拍タイミングとが一致するようにステップS9において重畳タイミングが指定された場合について示している。
【0103】
一方、ステップS7の判定において繰り返し間隔の指定を行うモードの操作が為されていると判定された場合には(ステップS7;繰り返し間隔指定モード)、次に、ディスクジョッキーによって操作部18において指定された再生する間隔(すなわち、サンプリングされている楽曲の一部を楽曲信号Sii内に含まれている楽曲に重畳して繰り返して再生する際の再生間隔)に相当する楽曲信号Siiにおける拍数及びステップS6において検出されているBPM値に基づいて、当該サンプリングされている楽曲の一部を再生する際の再生間隔(時間換算した再生間隔)がCPU17において算出される(ステップS12)。
【0104】
このステップS12の処理について具体的には、例えば、楽曲信号Siiに含まれている楽曲のBPM値が「130」であり、サンプリングされている楽曲の一部の長さが楽曲信号Siに含まれていた楽曲のうち二拍分の長さに相当する長さであり、これを楽曲信号Siiにおける四拍分の間隔で繰り返し再生する場合には、ステップS12において算出される再生間隔Trepeatは、
【0105】
【数5】
Figure 0003795265
となる。
【0106】
再生間隔Trepeatが算出されると、次に、楽曲信号Siiに含まれている楽曲に対するサンプリングされている楽曲の一部の重畳が操作部18においてディスクジョッキーにより指示されたか否かが判定され(ステップS13)、指示されていないときは(ステップS13;いいえ)指示されるまで待機し、指示されたときは(ステップS13;はい)、次に、当該サンプリングされている楽曲の一部をメモリ制御部13を介してメモリ14からサンプリング信号Spとして読み出し、これをそのままの再生時間(サンプリング時における所要時間)により再生し、再生信号Sptとしてボリューム制御部16へ出力する(ステップS14)。
【0107】
このとき、上記式(3)に相当する場合には、図6に示すように、元の楽曲信号Siにおける拍に相当するタイミングから二拍分だけ抽出されてメモリ14に記憶され、更にサンプリング信号Spとして読み出されている楽曲の一部(図6上から二段目参照。)が、その再生時間をそのままにして再生信号Spt(図6下から二段目参照。)として出力されることとなる。そして、この場合に、当該楽曲の一部における一拍分の所要時間T1は不変である。
【0108】
そして、サンプリングされていた楽曲の一部が再生信号Sptとして一度出力されると(ステップS14)、次に、ステップS12において算出した再生間隔Trepeatが経過したか否かが判定され(ステップS15)、経過していないときは(ステップS15;いいえ)経過するまで待機する。
【0109】
他方、ステップS15の判定において再生間隔Trepeatが経過しているときは(ステップS15;はい)、次に、ディスクジョッキーにより当該サンプリングされていた楽曲の一部を再生間隔Trepeatだけ空けて繰り返し再生し楽曲信号Siiに含まれていた楽曲に重畳する旨の操作が操作部18において為されているか否かが判定され(ステップS16)、為されていないときは(ステップS16;いいえ)、そのまま当該楽曲の一部の再生を終了し、一方、当該操作が為されているときは(ステップS16;はい)、一度再生信号Sptとして再生した当該楽曲の一部を再生間隔Trepeatだけ空けて繰り返し再生すべく、ステップS14に戻って上記したステップS14及びS15の処理を繰り返す。
【0110】
この後は、上述したように、当該再生間隔Trepeat毎に再生された楽曲の一部である再生信号Sptがボリューム制御部16においてボリューム調整されて調整再生信号Svpとなり、当該調整再生信号Svpとプレーヤ3により再生された楽曲信号Siiに含まれる他の楽曲との重畳が上記ステップS13においてディスクジョッキーにより指定されたタイミングから再生間隔Trepeat毎に加算器22並びにゲイン調整部20及び21において実行され(図6下から二段目及び最下段参照。)、当該重畳された楽曲を含む上記ミキサ信号Smxが生成され、アンプ4並びにスピーカ5及び6を介してクラブ内へ出力されることとなる。
【0111】
ここで、図6は、再生信号Sptの拍開始タイミングと楽曲信号Siiに含まれる他の楽曲の拍開始タイミングとが一致するようにステップS13において重畳タイミングが指定された場合について示している。
【0112】
また、この場合には、図6下から二段目及び最下段に示すように、再生信号Sptに含まれている楽曲の一部における一拍の長さ(T1)と楽曲信号Siiに含まれる楽曲における一拍の長さ(T2)は一致しないこととなる。
【0113】
なお、繰り返し間隔の指定モードを実行する場合(ステップS7;繰り返し間隔指定モード)において、再生信号Sptに含まれている楽曲の一部における一拍の長さT1と楽曲信号Siiに含まれる楽曲における一拍の長さT2とが一致するのは、楽曲信号Siに含まれるサンプリングされる楽曲のBPM値と楽曲信号Siiに含まれる当該サンプリングされた楽曲の一部が重畳される楽曲のBPM値とが一致している場合である。
【0114】
以上説明したように、実施形態のミキサ1における再生制御処理によれば、サンプリングされた楽曲の一部における一拍当たりの所要時間T1と楽曲信号Siiに含まれる楽曲における一拍当たりの所要時間T2とが一致するように当該サンプリングされた楽曲の一部における一拍当たりの所要時間T1を変更するので、楽曲信号Siiに含まれる楽曲と当該サンプリングされた楽曲の一部との間に相関関係が生じることとなり、これらを重畳して出力する場合に聴感上の違和感なく出力することができる。
【0115】
また、当該楽曲の一部における元のBPM値が当該楽曲の一部と共にメモリ14に予め記憶されているので、簡易な処理で当該BPM値を読み出して変換することができる。
【0116】
更に、各楽曲信号Si及びSiiに夫々含まれている楽曲がダンス用の楽曲であるので、当該ダンス用の楽曲を出力させつつダンスをする場合に、リズム感よくサンプリングされた楽曲の一部と他の楽曲とを重畳させて出力させ、ダンスを継続することができる。
【0117】
なお、上述したステップS9及びS13の処理においては、ディスクジョッキーによる指示に基づいて楽曲同士の重畳を行ったが、これ以外に、楽曲信号SiiにおけるBPM値が検出されるので、当該BPM値の検出と同時に楽曲信号Siiにおける拍タイミングを検出し、当該拍タイミングに合わせてサンプリング信号Spの再生を開始してもよい。
【0118】
より具体的には、ディスクジョッキーによる重畳指示後に最初に検出される拍タイミングに合わせてサンプリング信号Spの再生を開始してもよい。
【0119】
この構成によれば、楽曲信号Siiに含まれている楽曲における拍のタイミングと当該楽曲の一部における拍のタイミングとを一致させつつ当該楽曲の一部が繰り返し再生されるので、楽曲信号Siiに含まれている楽曲と当該楽曲の一部とを重畳して出力する場合に双方のリズムが一致することとなり、聴感上の違和感なくこれらを重畳して出力することができる。
【0120】
また、図4及び図5に示す実施形態においては、再生される楽曲の一部における各拍のタイミングと楽曲信号Siiに含まれる楽曲における各拍のタイミングとを一致させるように当該再生される楽曲の一部における一拍当たりの所要時間を制御したが、これ以外に、再生される楽曲の一部における一拍当たりの所要時間が楽曲信号Siiに含まれる楽曲における一拍当たりの所要時間の自然数倍又は自然数分の一倍となるように当該再生される楽曲の一部における一拍当たりの所要時間を制御しても、リズムが狂うことなくダンスを継続できるように当該楽曲の一部と楽曲信号Siiに含まれる楽曲とを重畳して出力することができる。
【0121】
更に、上述した実施形態においては、楽曲の一部をサンプリングすると共にこれを他の楽曲に重畳する場合について説明したが、これ以外に、再生時間が元々ごく短時間である一の楽曲全体の再生時間を伸縮し又はその繰り返し間隔を設定しつつ他の楽曲と再生する場合についても、本発明を適用することが可能である。
【0122】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載の発明によれば、一のオーディオ情報における一拍当たりの所要時間である第2所要時間と他のオーディオ情報における一拍当たりの所要時間である第1所要時間との比が、自然数又は自然数の逆数のいずれか一方として示される比となるように第2所要時間が変換されて一のオーディオ情報が再生されるので、他のオーディオ情報と当該一のオーディオ情報との間に相関関係が生じることとなり、これらを重畳して出力する場合に聴感上の違和感なく出力することができる。
【0123】
従って、リズム感よく一のオーディオ情報を再生しつつ他のオーディオ情報と重畳出力することができる。
【0124】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加えて、当該比が1となるように第2所要時間を変換するので、他のオーディオ情報のリズムと一のオーディオ情報のリズムとが相互に一致することとなり、より違和感なく双方を重畳して出力することができる。
【0125】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2に記載の発明の効果に加えて、予め記憶されている第2所要時間を読み出して変換するので、簡易な処理で第2所要時間を変換することができる。
【0126】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1から3のいずれか一項に記載の発明の効果に加えて、第2所要時間が変換された一のオーディオ情報における拍の開始タイミングと他のオーディオ情報における拍の開始タイミングとを一致させつつ当該一のオーディオ情報と他のオーディオ情報とを重畳して出力するので、双方のリズムを狂わせることなく聴感上の違和感をなくして双方のオーディオ情報を重畳して再生することができる。
【0127】
請求項5に記載の発明によれば、繰返拍数及び拍所要時間に基づいて一のオーディオ情報が繰り返し再生されるので、他のオーディオ情報と当該一のオーディオ情報との間に相関関係が生じることとなり、これらを重畳して出力する場合に聴感上の違和感なく出力することができる。
【0128】
従って、リズム感よく一のオーディオ情報を繰り返し再生しつつ他のオーディオ情報と重畳して再生することができる。
【0129】
請求項6に記載の発明によれば、請求項5に記載の発明の効果に加えて、他のオーディオ情報における拍のタイミングと一のオーディオ情報における拍のタイミングとを一致させつつ一のオーディオ情報が繰り返し再生されるので、他のオーディオ情報と一のオーディオ情報とを重畳して出力する場合に双方のリズムが一致することとなり、より聴感上の違和感なくこれらを出力することができる。
【0130】
請求項7に記載の発明によれば、一のオーディオ情報と他のオーディオ情報双方のリズムを狂わせることなく聴感上の違和感をなくして双方のオーディオ情報を重畳して出力することができる。
【0131】
請求項8に記載の発明によれば、一のオーディオ情報における一拍当たりの所要時間である第2所要時間と他のオーディオ情報における一拍当たりの所要時間である第1所要時間との比が、自然数又は自然数の逆数のいずれか一方として示される比となるように第2所要時間が変換されて一のオーディオ情報が再生されるので、他のオーディオ情報と当該一のオーディオ情報との間に相関関係が生じることとなり、これらを重畳して出力する場合に聴感上の違和感なく出力することができる。
【0132】
従って、リズム感よく一のオーディオ情報を再生しつつ他のオーディオ情報と重畳出力することができる。
【0133】
請求項9に記載の発明によれば、繰返拍数及び拍所要時間に基づいて一のオーディオ情報が繰り返し再生されるので、他のオーディオ情報と当該一のオーディオ情報との間に相関関係が生じることとなり、これらを重畳して出力する場合に聴感上の違和感なく出力することができる。
【0134】
従って、リズム感よく一のオーディオ情報を繰り返し再生しつつ他のオーディオ情報と重畳して再生することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】オーディオ情報出力装置の概要構成を示すブロック図である。
【図2】ミキサの細部構成を示すブロック図である。
【図3】実施形態のサンプリング処理を示すフローチャートである。
【図4】実施形態の再生制御処理を示すフローチャートである。
【図5】実施形態の再生制御処理を示す模式図(I)である。
【図6】実施形態の再生制御処理を示す模式図(II)である。
【符号の説明】
1…ミキサ
2、3…プレーヤ
4…アンプ
5、6…スピーカ
10、11…A/Dコンバータ
12…スイッチ
13…メモリ制御部
14…メモリ
15…BPM検出部
16…ボリューム制御部
17…CPU
18…操作部
19…表示部
20、21…ゲイン調整部
22…加算器
23…D/Aコンバータ
24…変換部
S…オーディオ情報出力装置
Si、Sii…楽曲信号
Smx…ミキサ信号
Sol…左信号
Sor…右信号
Scs、Scm、Sct…制御信号
Sm…メモリ信号
Sp…サンプリング信号
Spt…再生信号
Svp…調整再生信号
Sgs、Sgv…調整信号
Sad…加算信号
Sin…操作信号
Sdp…表示信号
Ssw…スイッチ信号
Sbpm…検出信号
Sdi、Sdii…ディジタル楽曲信号

Claims (9)

  1. 一のオーディオ情報を他のオーディオ情報と共に出力すべく再生するオーディオ情報再生装置において、
    前記他のオーディオ情報における一拍当たりの所要時間である第1所要時間を検出する検出手段と、
    前記一のオーディオ情報における一拍当たりの所要時間である第2所要時間と前記検出された第1所要時間との比が、自然数又は自然数の逆数のいずれか一方として示される比となるように当該第2所要時間を変換し、前記一のオーディオ情報を再生する変換手段と、
    を備えることを特徴とするオーディオ情報再生装置。
  2. 請求項1に記載のオーディオ情報再生装置において、
    前記変換手段は、前記比が1となるように前記第2所要時間を変換することを特徴とするオーディオ情報再生装置。
  3. 請求項1又は2に記載のオーディオ情報再生装置において、
    前記一のオーディオ情報及び前記第2所要時間を予め記憶する記憶手段と、
    前記記憶されている一のオーディオ情報及び第2所要時間を読み出して前記変換手段に出力する読出手段と、
    を更に備えることを特徴とするオーディオ情報再生装置。
  4. 請求項1から3のいずれか一項に記載のオーディオ情報再生装置において、
    前記第2所要時間が変換された一のオーディオ情報における拍の開始タイミングと前記他のオーディオ情報における拍の開始タイミングとを一致させつつ当該一のオーディオ情報と前記他のオーディオ情報とを重畳して出力する出力手段を更に備えることを特徴とするオーディオ情報再生装置。
  5. 一のオーディオ情報を他のオーディオ情報と共に出力すべく繰り返し再生するオーディオ情報再生装置において、
    前記他のオーディオ情報における一拍当たりの所要時間である拍所要時間を検出する検出手段と、
    前記一のオーディオ情報の繰り返し再生における繰り返し間隔を示す拍数である繰返拍数を外部から指定するための指定手段と、
    前記指定された繰返拍数及び前記検出された拍所要時間に基づいて、前記一のオーディオ情報を繰り返し再生する再生手段と、
    を備えることを特徴とするオーディオ情報再生装置。
  6. 請求項5に記載のオーディオ情報再生装置において、
    前記再生手段は、前記指定された繰返拍数及び前記検出された拍所要時間に基づいて、前記他のオーディオ情報の拍のタイミングと前記一のオーディオ情報の拍のタイミングとを一致させつつ当該一のオーディオ情報を繰り返し再生することを特徴とするオーディオ情報再生装置。
  7. 請求項1から6のいずれか一項に記載のオーディオ情報再生装置と、
    前記一のオーディオ情報を前記他のオーディオ情報と共に出力するオーディオ出力手段と、
    を備えることを特徴とするオーディオ情報出力装置。
  8. 一のオーディオ情報を他のオーディオ情報と共に出力すべく再生するオーディオ情報再生方法において、
    前記他のオーディオ情報における一拍当たりの所要時間である第1所要時間を検出する検出工程と、
    前記一のオーディオ情報における一拍当たりの所要時間である第2所要時間と前記検出された第1所要時間との比が、自然数又は自然数の逆数のいずれか一方として示される比となるように当該第2所要時間を変換し、前記一のオーディオ情報を再生する変換工程と、
    を備えることを特徴とするオーディオ情報再生方法。
  9. 一のオーディオ情報を他のオーディオ情報と共に出力すべく繰り返し再生するオーディオ情報再生方法において、
    前記他のオーディオ情報における一拍当たりの所要時間である拍所要時間を検出する検出工程と、
    前記一のオーディオ情報の繰り返し再生における繰り返し間隔を示す拍数である繰返拍数を外部から指定するための指定工程と、
    前記指定された繰返拍数及び前記検出された拍所要時間に基づいて、前記一のオーディオ情報を繰り返し再生する再生工程と、
    を備えることを特徴とするオーディオ情報再生方法。
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