JP4058583B2 - 印刷制御装置、印刷制御方法および印刷制御プログラムを記録した媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ドットマトリクス状の画素からなる画像データに基づいて印刷装置で印刷を実行させる印刷制御プログラムを記録した媒体、印刷制御方法および印刷制御装置に関し、特に、印刷品質に応じて最適な処理を実行する印刷制御装置、印刷制御方法および印刷制御プログラムを記録した媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
コンピュータなどで画像を扱う際には、画像を複数の画素で表現し、各画素を階調値で表している。例えば、コンピュータの画面で水平方向に640ドット、垂直方向に480ドットの画素で写真やコンピュータグラフィックスを表示することが多い。
【0003】
一方、カラープリンタの性能向上がめざましく、そのドット密度は720dpi(dot/inch)というように極めて高精度となっている。すると、640×480ドットの画像をドット単位で対応させて印刷させようとすると極めて小さくなってしまう。この場合、階調値も異なる上、解像度の意味合い自体が異なるのであるから、ドット間を補間して印刷用のデータに変換しなければならない。すなわち、1体1の対応では画像が小さく印刷されてしまうなら画像データの画素を増やす処理(これを高解像度化あるいは拡大化と呼ぶ)を行うし、逆の場合には画像データの画素を減らす処理(これを低解像度化あるいは縮小化と呼ぶ)を行う。
【0004】
従来、このような場合にドットを補間する手法として、最近隣内挿法(ニアリストネイバ補間:以下、ニアリスト法と呼ぶ)や、3次たたみ込み内挿法(キュービックコンボリューション補間:以下、キュービック法と呼ぶ)などの手法が知られている。また、特開平6−225140号公報にはドットを補間したときの縁部のスムージングを行うにあたり、予め縁部がスムーズとなるような拡大形態となるようにドットパターンを用意しておく技術が開示されている。
【0005】
また、コンピュータの内部であるとかディスプレイにとっては階調表示が容易であるものの、カラープリンタにおいては一般的に色インクでドットを付すか否かの二階調表現しかできないことが多い。従って、多階調表示を二階調表示とする階調変換処理を実施することになる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように画像データに基づいて印刷装置で印刷を行うためには、画素補間処理や階調変換処理を実行しなければならない。
【0007】
画素補間処理や階調変換処理は、コンピュータ上の一つのユーザーインターフェイスで選択できるとはいうものの、それぞれは全く独立しており、画質や処理速度を意識しながら別個に指示していた。しかしながら、実際にはそれぞれの画質や処理速度の組合せ如何で所望の結果が得られるか否か影響を受け、熟練者以外は無駄が多くなるという課題があった。また、画素補間処理におけるニアリスト法やキュービック法などの各種の手法にはそれぞれに得失があるが、利用者がそれを選択するのは難しく、どちらか一方に固定したとすれば、不得手な画像に対して補間結果の品質が低下する。さらに、特開平6−225140号公報に開示された発明においては、予めパターンを用意しておくことから補間倍率が固定的にならざるを得ないし、カラーの画像を前提とするとパターンの数が膨大となって予め用意しておくこと自体が困難である。
【0008】
一方、本件発明に先立って本出願人は、キュービック法によって補間処理した後、補間後の画像データに対して重ねてニアリスト法による補間処理を行う補間手法を考案した。これにより、キュービック法による補間精度の良さを活かしつつ、ニアリスト法による演算処理速度の速さを活かすことができるようになった。この場合、180dpiをしきい値とし、入力される画像データを一旦キュービック法によって180dpi以上に補間処理した後、360dpiであるとか720dpiといった本来の印刷データとして必要となる解像度までニアリスト法による補間処理を行うこととした。すなわち、キュービック法だけで本来の補間倍率まで補間処理を実行しようとすると演算量が急激に増加してしまうし、ニアリスト法だけで補間処理を実行する場合にはジャギーが目立ってしまうため、これらを避けるために二段階に補間処理をすることとした。
【0009】
しかしながら、最終的に印刷される解像度が異なりながら同じしきい値で補間処理を切り替えることにしておくと、高解像度で印刷するときには次のような場合に不具合が生じる。例えば、元の画像データが170dpiのものと185dpiのものがあったとすると、前者のものはキュービック法によって180dpi以上に補間処理した後、720dpiまでニアリスト法で補間処理される。演算処理の都合から、キュービック法では整数倍の補間処理を行うようにしたため、キュービック法では340dpiに補間される。一方、185dpiで入力された画像はキュービック法による補間処理を経ることなく、ニアリスト法で720dpiまで補間処理される。
【0010】
この場合、前者のものはキュービック法によって340dpiまで補間処理されることによって画質が向上する一方、後者のものはニアリスト法だけで補間処理されているので、元の画像データは前者のものの方が劣るにも関わらず、アウトプットは前者のものの画質の方がよくなるという逆転現象が起きてしまう。本発明は、上記課題にかんがみてなされたもので、直接的あるいは間接的に印刷品質が指示されるような状況において、最適な印刷を実行させることが可能な印刷制御装置、印刷制御方法および印刷制御プログラムを記録した媒体を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1にかかる発明は、画像を複数の画素で表現した画像データを入力して印刷装置にて印刷させるために画素補間処理と階調変換処理とを含む印刷制御処理を行なう印刷制御装置であって、印刷用紙に対応する画素補間処理と階調変換処理との組合せを設定する手段と、印刷する上記印刷用紙に対応した上記組合せを選択する手段と、上記印刷制御処理では選択された上記組合せの画素補間処理を実行してから同選択された上記組合せの階調変換処理を実行する手段とを具備する構成としてある。
【0012】
上記のように構成した請求項1にかかる発明においては、予め画素補間手法と階調変換手法とで所定のパフォーマンスを得られる複数の組合せが印刷用紙に対応して設定してあり、印刷する上記印刷用紙に対応する組合せに基づいて画素補間処理と階調変換処理とが選択され、選択された画素補間処理と階調変換処理とが実行される。
【0013】
本発明の手法は必ずしも実体のある装置に限られる必要はなく、その方法としても機能することは容易に理解できる。このため、請求項5にかかる発明は、画像を複数の画素で表現した画像データを入力して印刷装置にて印刷させるために画素補間処理と階調変換処理とを含む印刷制御処理を行なう印刷制御方法であって、印刷用紙に対応する画素補間処理と階調変換処理との組合せを設定する工程と、印刷する上記印刷用紙に対応した上記組合せを選択する工程と、上記印刷制御処理では選択された上記組合せの画素補間処理を実行してから同選択された上記組合せの階調変換処理を実行する工程とを行う構成としてある。
【0014】
すなわち、必ずしも実体のある装置に限らず、その方法としても有効であることに相違はない。ところで、このような印刷用画像データ補間装置は単独で存在する場合もあるし、ある機器に組み込まれた状態で利用されることもあるなど、発明の思想としてはこれに限らず、各種の態様を含むものである。従って、ソフトウェアであったりハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。
【0015】
発明の思想の具現化例として印刷用画像データ補間装置のソフトウェアとなる場合には、かかるソフトウェアを記録した記録媒体上においても当然に存在し、利用されるといわざるをえない。その一例として、請求項6にかかる発明は、画像を複数の画素で表現した画像データを入力して印刷装置にて印刷させるために画素補間処理と階調変換処理とを含む印刷制御処理をコンピュータにて実行させる印刷制御プログラムを記録した媒体であって、印刷用紙に対応する画素補間処理と階調変換処理との組合せを設定する機能と、印刷する上記印刷用紙に対応した上記組合せを選択する機能と、上記印刷制御処理では選択された上記組合せの画素補間処理を実行してから同選択された上記組合せの階調変換処理を実行する機能とをコンピュータにて実行させる構成としてある。
【0016】
むろん、その記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし光磁気記録媒体であってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。また、一次複製品、二次複製品などの複製段階については全く問う余地無く同等である。さらに、一部がソフトウェアであって、一部がハードウェアで実現されている場合においても発明の思想において全く異なるものはなく、一部を記録媒体上に記憶しておいて必要に応じて適宜読み込まれるような形態のものとしてあってもよい。
【0017】
【発明の効果】
従来であれば、処理の内容と印刷品質との関連性を十分に把握できないまま補間処理や階調変換処理を選択しなければならず、最適な補間処理や階調変換処理を選択できないことがあったが、予め画素補間手法と階調変換手法とで印刷用紙に対応した複数の組合せを設定してあり、印刷する印刷用紙に対応する組合せに基づいて画素補間処理と階調変換処理とが選択され、非熟練者であっても最適な処理を実行できるようになった。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面にもとづいて本発明の実施形態を説明する。ディジタル印刷処理では、画像を複数の画素で表現し、各画素を表すデータの集まりで画像データが構成される。まず、このような画像データを処理する印刷システムのハードウェアについて説明する。本実施形態においてはこのような印刷システムを実現するハードウェアの一例としてカラープリンタを有するコンピュータシステム10を採用している。図1は、同コンピュータシステム10をブロック図により示している。
【0019】
本コンピュータシステム10は、画像入力デバイスとして、スキャナ11aとデジタルスチルカメラ11bとビデオカメラ11cとを備えており、コンピュータ本体12に接続されている。それぞれの入力デバイスは画像を複数の画素で表現した画像データを生成してコンピュータ本体12に出力可能となっており、ここで同画像データはRGBの三原色においてそれぞれ256階調表示することにより、約1670万色を表現可能となっている。
【0020】
コンピュータ本体12には、外部補助記憶装置としてのフロッピーディスクドライブ13aとハードディスク13bとCD−ROMドライブ13cとが接続されており、ハードディスク13bにはシステム関連の主要プログラムが記録されており、フロッピーディスクやCD−ROMなどから適宜必要なプログラムなどを読み込み可能となっている。また、コンピュータ本体12を外部のネットワークなどに接続するための通信デバイスとしてモデム14aが接続されており、外部のネットワークに同公衆通信回線を介して接続し、ソフトウェアやデータをダウンロードして導入可能となっている。この例ではモデム14aにて電話回線を介して外部にアクセスするようにしているが、LANアダプタを介してネットワークに対してアクセスする構成とすることも可能である。この他、コンピュータ本体12の操作用にキーボード15aやマウス15bも接続されている。
【0021】
さらに、画像出力デバイスとして、ディスプレイ17aとカラープリンタ17bとを備えている。ディスプレイ17aについては水平方向に800画素と垂直方向に600画素の表示エリアを備えており、各画素毎に上述した1670万色の表示が可能となっている。むろん、この解像度は一例に過ぎず、640×480画素であったり、1024×720画素であるなど、適宜、変更可能である。
【0022】
また、カラープリンタ17bは後述するようにCMYKの四色の色インクを用いて記録媒体たる印刷用紙上にドットを付して画像を印刷可能となっている。また、画像密度は720×720dpi(dot/inch)といった高密度印刷が可能となっているが、階調表限については色インクを付すか否かといった2階調の低階調表現となっている。一方、このような画像入力デバイスを使用して画像を入力しつつ、画像出力デバイスに表示あるいは出力するため、コンピュータ本体12内では所定のプログラムが実行されることになる。そのうち、基本プログラムとして稼働しているのはオペレーティングシステム(OS)12aであり、このオペレーティングシステム12aにはディスプレイ17aでの表示を行わせるディスプレイドライバ(DSP DRV)12bとカラープリンタ17bに印刷出力を行わせるプリンタドライバ(PRT DRV)12cが組み込まれている。これらのドライバ12b,12cの類はディスプレイ17aやカラープリンタ17bの機種に依存しており、それぞれの機種に応じてオペレーティングシステム12aに対して追加変更可能である。また、機種に依存して標準処理以上の付加機能を実現することもできるようになっている。すなわち、オペレーティングシステム12aという標準システム上で共通化した処理体系を維持しつつ、許容される範囲内での各種の追加的処理を実現できる。
【0023】
むろん、このようなプログラムを実行する前提として、コンピュータ本体12内にはCPU12eとRAM12fとROM12gとI/O12hなどが備えられており、演算処理を実行するCPU12eがRAM12fを一時的なワークエリアや設定記憶領域として使用したりプログラム領域として使用しながら、ROM12gに書き込まれた基本プログラムを適宜実行し、I/O12hを介して接続されている外部機器及び内部機器などを制御している。
【0024】
この基本プログラムとしてのオペレーティングシステム12a上でアプリケーション12dが実行される。アプリケーション12dの処理内容は様々であり、操作デバイスとしてのキーボード15aやマウス15bの操作を監視し、操作された場合には各種の外部機器を適切に制御して対応する演算処理などを実行し、さらには、処理結果をディスプレイ17aに表示したり、カラープリンタ17bに出力したりすることになる。
【0025】
ここで上述したカラープリンタ17bには、プリンタドライバ12cを介してアプリケーション12dの処理結果が印刷データとして出力され、同カラープリンタ17bは色インクを用いて印刷用紙上にドットを付すことにより、対応する画像を印刷する。図2〜図4にはこのようなカラープリンタの一例としてカラーインクジェットプリンタ21の概略構成を示している。本カラーインクジェットプリンタ21は、三つの印字ヘッドユニットからなる印字ヘッド21aと、この印字ヘッド21aを制御する印字ヘッドコントローラ21bと、当該印字ヘッド21aを桁方向に移動させる印字ヘッド桁移動モータ21cと、印刷用紙を行方向に送る紙送りモータ21dと、これらの印字ヘッドコントローラ21bと印字ヘッド桁移動モータ21cと紙送りモータ21dにおける外部機器とのインターフェイスにあたるプリンタコントローラ21eとからなるドット印刷機構を備え、印刷データに応じて印刷用紙である記録媒体上で印字ヘッド21aを走査しながら画像印刷可能となっている。
【0026】
また、図3は印字ヘッド21aのより具体的な構成を示しており、図4はインク吐出時の動作を示している。印字ヘッド21aには色インクタンク21a1からノズル21a2へと至る微細な管路21a3が形成されており、同管路21a3の終端部分にはインク室21a4が形成されている。このインク室21a4の壁面は可撓性を有する素材で形成され、この壁面に電歪素子であるピエゾ素子21a5が備えられている。このピエゾ素子21a5は電圧を印加することによって結晶構造が歪み、高速な電気−機械エネルギー変換を行うものであるが、かかる結晶構造の歪み動作によって上記インク室21a4の壁面を押し、当該インク室21a4の容積を減少させる。すると、このインク室21a4に連通するノズル21a2からは所定量の色インク粒が勢いよく吐出することになる。このポンプ構造をマイクロポンプ機構と呼ぶことにする。
【0027】
なお、一つの印字ヘッドユニットには独立した二列のノズル21a2が形成されており、各列のノズル21a2には独立して色インクが供給されるようになっている。従って、三つの印字ヘッドユニットでそれぞれ二列のノズルを備えることになり、最大限に利用して六色の色インクを使用することも可能である。図2に示す例では、左列の印字ヘッドユニットにおける二列を黒インクに利用し、中程の印字ヘッドユニットにおける一列だけを使用してシアン色インクに利用し、右列の印字ヘッドユニットにおける左右の二列をそれぞれマゼンタ色インクとイエロー色インクに利用している。
【0028】
一方、印字ヘッド21aに形成されているノズル21a2の鉛直方向の間隔は印刷解像度とは一致せず、一般的にはこのノズル21a2は印刷解像度よりも大きな間隔で形成されている。これにもかかわらずより高解像度の印刷を可能とするのは、紙送り方向について紙送りモータ21dを制御するからである。例えば、ノズル21a2の間隔の間で紙を8段階で送り、各段階毎に印字ヘッド21aを桁送り方向に操作して印刷すれば解像度は向上する。むろん、桁送り方向については任意の間隔で色インクを吐出すればそれが解像度と言えるから、タイミングの制御次第と言える。なお、厳密な意味では色インクのドット径も解像度の要素となりえるが、ここでは理解の簡便のため無視することにする。
【0029】
本実施形態においては、上述したようなハードウェアシステムを前提とし、コンピュータシステム10の画像入力デバイスで取得した画像データに基づいて印刷を実行する。その際、元の画像データの解像度とカラープリンタ17bの解像度とに差がある場合には補間処理を実行することになる。ここで、アプリケーション12dが印刷処理を実行した際にカラープリンタ17bに対して印刷データが出力される際の解像度と階調度の変化について説明する。図5は画像データの流れを示している。
【0030】
アプリケーション12dはオペレーティングシステム12aに対して印刷要求を発生し、その際に出力サイズとRGB256階調の画像データを受け渡す。すると、オペレーティングシステム12aはプリンタドライバ12cに対してこの出力サイズと画像データを受け渡し、プリンタドライバ12cは印刷オプションを入力するためにオペレーティングシステム12aとデータの入出力を行なう。ここで、オペレーティングシステム12aはディスプレイドライバ12bを介してディスプレイ17aに表示を行いつつ、キーボード15aやマウス15bの操作結果をプリンタドライバ12cに出力し、プリンタドライバ12cは操作結果を印刷オプションとして反映して印刷データを生成する。通常、この印刷データはCMYK2階調であり、オペレーティングシステム12aを介してハードウェアポートよりカラープリンタ17bに出力されることになる。
【0031】
このように、本実施形態においては、印刷制御プログラムをコンピュータシスム10にて実行してカラープリンタ17bに印刷データを出力しているが、対象となる印刷装置は上述したインクジェット方式のカラープリンタ21に限定されるものではない。例えば、同カラープリンタ21はマイクロポンプ機構を採用するインクジェット方式のものであるがマイクロポンプ機構以外のものを採用することも可能である。図6に示すようにノズル21a6近傍の管路21a7の壁面にヒータ21a8を設けておくとともに、このヒータ21a8に加熱して気泡を発生させ、その圧力で色インクを吐出するようなバブルジェット方式のポンプ機構も実用化されている。
【0032】
また、他の機構として図7にはいわゆる電子写真方式のカラープリンタ22の主要部概略構成を示している。感光体としての回転ドラム22aの周縁には回転方向に対応して帯電装置22bと露光装置22cと現像装置22dと転写装置22eとが配置され、帯電装置22bにて回転ドラム22aの周面を均一に帯電させた後、露光装置22cによって画像部分の帯電を除去し、現像装置22dで帯電していない部分にトナーを付着させ、転写装置22eによって同トナーを記録媒体としての紙上に転写させる。その後、ヒータ22fとローラ22gとの間を通過させて同トナーを溶融して紙に定着させている。そして、これらが一組となって一色のトナーによる印刷を行わせることになるので、合計四色分が個別に備えられている。
【0033】
すなわち、その印刷装置の具体的な構成は特に限定されるものではないし、このような個別的な印刷手法の適用範囲のみならずその適用態様についても各種の変更が可能である。上述した実施形態においては、印刷データを取得するために画像入力デバイスや画像出力デバイスなどを含むコンピュータシステム10において所定のアプリケーション12dとプリンタドライバ12cとが印刷データを生成している。しかしながら、必ずしもかかるコンピュータシステム10を必要とするわけではない。
【0034】
例えば、図8に示すように、コンピュータシステムを介することなく画像データを入力して印刷するカラープリンタ17bにおいては、スキャナ11aやデジタルスチルカメラ11bあるいはモデム14a等を介して画像データを直に入力し、当該カラープリンタ17bの内部において後述する所定の処理を実行して印刷データに変換して印刷を行うように構成することも可能である。次に、上述した印刷システムを利用して出力解像度に応じた最適な画像処理を実行する処理について説明する。
【0035】
図9は、この印刷システムの概略構成を示している。ディジタル印刷処理のように画素単位で処理する系においては、印刷装置の記録解像度と元の画像データの解像度とが異なることが生じ、解像度が一致するように構成画素を補間することになる。印刷装置では所定の要素色のインクドットを紙などに付着せしめるが、スキャナやディスプレイなどの入力装置のように必ずしもフルカラーで高精細に表現できるわけではなく、低階調でありながら色の配列を調整してできる限り入力画像データの再現性を向上させようとしている。ただ、このような調整は人間の視認性能を無視して成り立つものではなく、微妙な相関関係を持っているので理論通りの結果が得られるとも限らない。
【0036】
以下においては、入力画像データに対して、精度の高い演算手法である解像度まで補間し、重ねて不足分を精度の低い演算手法で画素補間する場合に、印刷品質に密接に関連する印刷解像度に応じて最適な画素補間処理を実施する例について詳細に説明する。すなわち、上述した微妙な相関関係を持っている人間の視認性能を考慮しつつ構成画素の補間処理を実施するため、画像データ取得ユニットC1が画像をドットマトリクス状の画素で多階調表現した画像データを取得すると、画素補間ユニットC2が精度の高い演算手法で補間してから精度の低い演算手法で補間するが、同画素補間ユニットC2で上記画像データを基準として補間処理するにあたり、印刷する際の精細度を精細度検出ユニットC3が検出する。そして、この精細度検出ユニットC3で検出した精細度に基づいて補間倍率調整ユニットC4は上記画素補間ユニットC2における負担割合を算出するものとし、その際には高精細であるほど精度の高い演算手法に割り当てられる負担割合が増加するように補間倍率を調整する。上記画素補間ユニットC2は、このようにして調整される補間倍率に従って精度の高い演算手法で補間してから精度の低い演算手法で補間し、印刷データ出力ユニットC5は補間処理された補間画像データに基づいて所定の印刷データに変換して出力する。言い換えれば、精細度検出ユニットC3が印刷品質を取得すると、補間倍率調整ユニットC4は取得された印刷品質に対応して二つの補間処理における負担割合を決定する。全体としてみるとこの負担割合によって補間処理の品質が変化するから、補間処理を決定することに他ならない。そして、この負担割合に応じて画素補間ユニットC2が現実に画素補間を切り換えて行うため、決定された補間処理を実行することになり、その結果に基づいて印刷データ出力ユニットC5が所定の印刷データに変換して出力すれば、全体として印刷制御処理を実行するものといえる。なお、この実施形態においては、負担割合を決定することで補間処理を決定するようにしているが、後述する実施形態のように複数の補間処理の中からいずれかを選択するものも含むことはいうまでもない。
【0037】
上記印刷システムにおいては、プリンタドライバ12cが画像データ取得ユニットC1や画素補間ユニットC2や印刷データ出力ユニットC5とともに後述する処理内容に対応して精細度検出ユニットC3や補間倍率調整ユニットC4を構成することになる。なお、かかるプリンタドライバ12cは、ハードディスク13bに記憶されており、起動時にコンピュータ本体12にて読み込まれて稼働する。また、導入時にはCD−ROMであるとかフロッピーディスクなどの媒体に記録されてインストールされる。従って、これらの媒体は印刷用画像データ補間プログラムを記録した媒体を構成する。
【0038】
なお、本発明をソフトウェアで実現する場合、ハードウェアやオペレーティングシステムを利用する構成とすることも可能であるし、これらと切り離して実現することもできる。例えば、印刷品質を入力する処理といっても、その実現方法はオペレーティングシステムにおける所定の関数を呼び出してGUIの表示や入力処理を実現することも可能であれば、このような関数を呼び出すことなく入力することも可能である。そして、実際にはオペレーティングシステムの介在のもとで実現するとしても、プログラムが媒体に記録されて流通される過程においては、このプログラムだけで本発明を実施できるものと理解することができる。
【0039】
次に、上述したようなコンピュータシステム10において画像データを補間する具体的な処理について説明する。図10は本コンピュータシステム10における印刷処理の内容を示している。ステップST102では画像データを入力する。例えば、アプリケーション12dにてスキャナ11aから画像を読み込み、所定の画像処理を行った後で印刷処理すると、所定の解像度の画像データがオペレーティングシステム12aを介してプリンタドライバ12cに引き渡されるため、この引渡の段階が該当する。むろん、スキャナ11aにて画像を読み込むものであってもよい。
【0040】
ステップST102は、印刷する際の精細度を取得するために出力解像度の選択をする処理である。アプリケーション12dにて印刷処理を実行する際には、オペレーティングシステム12aがGUI環境を提供するものとすると図11に示すように印刷操作用のウィンドウ表示が行われる。ここで入力されるパラメータなどは各種のものを採用可能であるが、一例として、「(印刷の)部数」、「開始ページ」、「終了ページ」などがある。また、操作指示ボタンとしては「OK」ボタンと「キャンセル」ボタンとともに、「プリンタの設定」ボタンも用意されている。
【0041】
「プリンタの設定」を指示すると、図12に示すようなウィンドウ表示が行われる。このウィンドウ表示ではプリンタ毎の機能に応じた各種の設定を行うために用意されており、この例では「(印刷)解像度」として「360dpi」と「720dpi」の一方を選択できる。また、「用紙」として「A4」か「B5」、「印刷の向き」として「縦」か「横」を選択できる。本実施形態においては、この「解像度」の選択が重要な意味を持ち、ステップST104では解像度が既に選択されているのであれば設定ファイルを参照して読み出すし、操作者が印刷操作に伴って解像度を変更する場合には変更後の解像度を出力解像度として読み出す。本実施形態においては、このようなウィンドウ表示に基づいてソフトウェア的に選択される解像度を精細度として検出しているが、解像度の選択操作はこれに限られるものではなく、ソフトウェア的にもハードウェア的にも適宜変更可能である。ソフトウェアではウィンドウ表示以外の表示を行っても良いし、解像度を直に選択させるのではなく、印刷速度の速さ(精細であれば遅くなるし粗くなれば早くなるので)のように間接的に選択するようなものであっても構わない。
【0042】
次のステップST106の処理では、選択されている解像度に応じて処理を分岐し、ステップST108,ST110にて切替解像度を設定する処理を行う。この切替解像度について詳述する前に画素補間処理の流れについて説明しておく。ステップST108では切替解像度を180dpiに設定するし、ステップST110では切替解像度を240dpiに設定する。そして、ステップST112では補間倍率を取得し、この補間倍率と上記切替解像度との関係から第一段階の補間倍率を求めてステップST114にてMキュービック倍率とするとともに、続いて残りの補間倍率を求めてステップST116にてニアリスト倍率とした後、それぞれの補間倍率を利用してステップST118とステップST120にて補間処理を実行する。この二段階の補間処理は異なる手法によるものであり、前者のものがいわゆる精度の高い演算手法による補間処理であり、後者のものがいわゆる精度の低い演算手法による補間処理である。
【0043】
ここで、本実施形態において実行する補間処理の各手法について説明する。コンピュータグラフィックスのような非自然画に適した補間処理として、ステップST210ではニアリスト法の補間処理を実行可能となっている。ニアリスト法は図13に示すように、周囲の四つの格子点Pij,Pi+1j,Pij+1,Pi+1j+1と内挿したい点Puvとの距離を求め、もっとも近い格子点のデータをそのまま移行させる。これを一般式で表すと、Puv=Pijここで、i=[u+0.5]、j=[v+0.5]である。なお、[]はガウス記号で整数部分を取ることを示している。
【0044】
図14は、ニアリスト法で画素数を縦横3倍ずつに補間する状況を示している。補間する前には四隅の画素(□△○●)があるとして、補間して生成する画素にはこれらの画素のうちもっとも近い画素のデータをそのまま移行させている。すなわち、この例で言えば四隅の画素に隣接する画素についてそれぞれ複写することになる。また、かかる処理を行うと、図15に示すように白い画素を背景として黒い画素が斜めに配置される元画像は、図16に示すように黒の画素が縦横に3倍に拡大されつつ斜め方向に配置されることになる。
【0045】
ニアリスト法においては、画像のエッジがそのまま保持される特徴を有する。それ故に拡大すればジャギーが目立つもののエッジはエッジとして保持される。これに対して他の補間処理では補間される画素を周りの画素のデータを利用してなだらかに変化するようにする。従って、ジャギーが目立たなくなる反面、本来の元画像の情報は削られていってしまい、エッジがなくなることになってコンピュータグラフィックスなどの非自然画には適さなくなる。
【0046】
一方、写真のような自然画に適した補間処理として、ステップST212ではキュービック法の補間処理を実行する。キュービック法は図17に示すように、内挿したい点Puvを取り囲む四つの格子点のみならず、その一周り外周の格子点を含む計16の格子点のデータを利用する。内挿点Puvを取り囲む計16の格子点がそれぞれに値を備えている場合に、内挿点Puvはそれらの影響を受けて決定される。例えば、一次式で補間しようとすれば、内挿点を挟む二つの格子点からの距離に反比例させて重みづけ加算すればよい。X軸方向に注目すると、内挿点Puvから上記16の格子点との距離は、図面上、左外側の格子点までの距離をx1、左内側の格子点までの距離をx2、右内側の格子点までの距離x3、右外側の格子点までの距離x4と表しつつ、このような距離に対応した影響度合いを関数f(x)で表すことにする。また、Y軸方向に注目すると、内挿点Puvから上記16の格子点との距離は、上方外側の格子点までの距離をy1、上方内側の格子点までの距離をy2、下方内側の格子点までの距離y3、下方外側の格子点までの距離y4と表しつつ、同様に影響度合いは関数f(y)で表せる。
【0047】
16の格子点は以上のような距離に応じた影響度合いで内挿点Puvに寄与するので、全ての格子点にデータに対してX軸方向とY軸方向のそれぞれの影響度合いを累積させる一般式は次式のようになる。
【数1】
また、ここで距離に応じた影響度合いを3次たたみ込み関数で表すとすると、
f(t) = {sin(πt)}/πt
となる。なお、上述した各距離x1〜x4,y1〜y4は格子点Puvの座標値(u,v)について絶対値を利用して次のように算出することになる。
x1 = 1+(u-|u|) y1 = 1+(v-|v|)
x2 = (u-|u|) y2 = (v-|v|)
x3 = 1-(u-|u|) y3 = 1-(v-|v|)
x4 = 2-(u-|u|) y4 = 2-(v-|v|)
以上の前提のもとでPについて展開すると、
【数2】
となる。なお、3次たたみ込み関数と呼ばれるように距離に応じた影響度合いf(t)は次のような三次式で近似される。
【数3】
このキュービック法では一方の格子点から他方の格子点へと近づくにつれて徐々に変化していき、その変化具合がいわゆる3次関数的になるという特徴を有している。
【0048】
図18と図19はキュービック法にて補間される際の具体例を示している。理解を容易にするため、垂直方向についてのデータの変化はなく、水平方向についてエッジが生じているモデルについて説明する。また、補間する画素を3点とする。まず、図19の具体的数値について説明する。補間前の画素の階調値を左列に「Original」として示しており、階調値「64」の画素(P0、P1、P2、P3)が4点並び、階調値「128」の画素(P4)を1点挟み、階調値「192」の画素(P5、P6、P7、P8、P9)が5点並んでいる。この場合、エッジは階調値「128」の画素の部分である。
【0049】
ここで各画素間に3点の画素(Pn1、Pn2、Pn3)を内挿することになると、内挿される画素間の距離は「0.25」となり、上述したx1〜x4は内挿点毎に表の中程の列の数値となる。x1〜x4に対応してf(x1)〜f(x4)も一義的に計算されることになり、例えば、x1,x2,x3,x4が、それぞれ「1.25」、「0.25」、「0.75」、「1.75」となる場合、それに対するf(t)については、概略「−0.14」、「0.89」、「0.30」、「−0.05」となる。また、x1,x2,x3,x4が、それぞれ「1.50」、「0.50」、「0.50」、「1.50」となる場合、それに対するf(t)については、「−0.125」、「0.625」、「0.625」、「−0.125」となる。また、x1,x2,x3,x4が、それぞれ「1.75」、「0.75」、「0.25」、「1.25」となる場合、それに対するf(t)については、概略「−0.05」、「0.30」、「0.89」、「−0.14」となる。以上の結果を用いて内挿点の階調値を演算した結果を表の右列に示しているとともに、図18においてグラフで示している。なお、このグラフの意味するところについて後に詳述する。
【0050】
垂直方向についてのデータの変化がないものとみなすと、演算は簡略化され、水平方向に並ぶ四つの格子点のデータ(P1,P2,P3,P4 )だけを参照しつつ、内挿点から各格子点までの距離に応じた影響度合いf(t)を利用して次のように算出できる。
P=P1・f(x1)+P21f(x2)+P3・f(x3)+P4・f(x4)
従って、内挿点P21について算出する場合には、
P21=64*f(1.25)+64*f(0.25)+64*f(0.75)+128*f(1.75)
=64*(0.14063)+64*(0.890625)+64*(0.296875)+128*(-0.04688)
=61
となる。
【0051】
キュービック法によれば3次関数的に表せる以上、そのカーブの形状を調整することによって補間結果の品質を左右することができる。その調整の一例として、
0<t<0.5 f(t) = -(8/7)t**3-(4/7)t**2+1
0.5<t<1 f(t) = (1-t)(10/7)
1<t<1.5 f(t) = (8/7)(t-1)**3+(4/7)(t-1)**2-(t-1)
1.5<t<2 f(t) = (3/7)(t-2)
としたものをMキュービック法と呼ぶことにする。
【0052】
図20はMキュービック法にて補間される際の具体例を示しており、キュービック法の場合と同じ仮定のモデルについて補間した結果を示している。また、図18にもMキュービック法による補間処理結果を示しており、この例では3次関数的なカーブがわずかに急峻となり、画像全体のイメージがシャープとなる。すなわち、ニアリスト法は極めて演算処理が少ない一方で、画像の変化が大きいエッジ部分がジャギーとして表れ、精度の低い演算と言えるし、Mキュービック法は写真などにおいてシャープさを増しつつ段差が生じないという好適な影響を及ぼすものの、3次たたみ込み関数を利用するので演算処理は大きく、それ故に精度の高い演算と言える。
【0053】
このように性格を異にする二つの演算手法を重ねて実行するのは次のような利点があるからである。Mキュービック法は一つの補間画素に要する演算処理量が多いので、補間倍率が大きくなると実質的にかかる補間処理を採用することは不可能となる。一方、印刷用に補間処理を行うのは解像度の相違を解消することが多いし、印刷装置の解像度が上げられているのは低階調の印刷でありながらより画質を向上させるためであることが多い。すると、ある程度までドット径が小さくなってくると精度の高い演算処理結果が必ずしも良好な画質を得られるとは限らなくなるという現実もある。すなわち、ある程度を越えると演算処理量の増大の程度に比べて画質の向上がさほど得られないという現象が生じる。このため、ある程度まではMキュービック法で補間処理するものの、それ以上についてはニアリスト法で補間処理しても画質の程度に大きな変化はない上、演算処理量は相対的に激減するという効果がある。
【0054】
従って、ステップST112にて補間倍率を取得したら、この補間倍率を二段階で達成するようにステップST114にてMキュービック倍率を設定するとともに、ステップST116にてニアリスト倍率を設定しなければならないが、この割り振りを行うのに必要となるのが切替解像度である。すなわち、上述したような演算処理量と画質の倍率のバランスを維持するために、Mキュービック倍率とニアリスト倍率との比が一定となるように決めるのではなく、Mキュービック法で切替解像度以上となるように補間処理を行い、残りの補間倍率をニアリスト法で補間処理することとしている。
【0055】
また、このような切替解像度も、Mキュービック法の補間処理で同切替解像度に一致させるように解像度を変換した後、不足分をニアリスト法とするわけではなく、あくまでも同切替解像度を超えるための最小整数倍率をMキュービック倍率としている。これは、任意の倍率で補間処理しようとすると補間後の画像データの全ての画素を演算により算出しなければならず、演算時間が多大となるのに対し、整数倍率であると一部の画素は既存の画素の格子点と一致することになって実質的な演算処理量を減らすことができるからである。
【0056】
図21は水平方向と垂直方向に2倍に補間する処理例を示している。予め、補間後の画像データについての変数領域を確保するとして、整数倍の補間処理であれば元画像の画像データは整数倍した座標値に対応する画素の画像データとなる。図に示す例で言えば、旧座標値(0,0)は新座標値(0,0)に対応し、旧座標値(1,0)は新座標値(2,0)に対応し、旧座標値(0,1)は新座標値(0,2)に対応し、旧座標値(1,1)は新座標値(2,2)に対応するということである。
【0057】
すなわち、補間処理自体は任意の倍率で実行可能であるにしても、整数倍の補間処理だけを受け付けるようにすると、演算すべき画素が減り、処理の高速化を図ることができる。さて、切替解像度を用いてMキュービック法の補間倍率やニアリスト法の補間倍率を調整しているものの、同切替解像度自体を出力解像度に応じてステップST108やステップST110にて変化させているのは次のような理由からである。
【0058】
具体例として、入力される画像データが170dpiのものと185dpiのものであるとし、切替解像度が180dpiというように固定された状態で、出力解像度を360dpiに設定した場合と出力解像度を720dpiに設定した場合とを比較してみる。この場合、前者の画像データはいずれにしてもMキュービック法で2倍して340dpiに補間されるし、後者の画像データはMキュービック法で補間されることはない。ただ、出力解像度が360dpiであるときには印刷の精細度があまり高いとはいえないので、Mキュービック法を経た前者の画像データとMキュービック法を経ない後者の画像データが最終的に360dpiとなったときでも画質の逆転は見られない。しかし、出力解像度が720dpiであるときには精細になった分だけ、前者のものについての画質の向上分を視認できてしまい、逆転現象が起きてしまう。
【0059】
このような微妙な感覚に基づく差であるから、切替解像度を出力解像度に比例して上げていくのが最適であるとも言えないし、さらには演算処理時間に対する寛容度も一因となっているので結果的には実験などによって定めていくほかはない。本実施形態の場合は、かかるバランスを考慮して出力解像度が360dpiの場合は切替解像度を180dpiに設定し、出力解像度が720dpiの場合は切替解像度を240dpiに設定している。すなわち、出力解像度が2倍になるのに対して切替解像度は1.33…倍となっている。
【0060】
このようにした場合、先程の例を当てはめると、出力解像度が720dpiと設定したときのMキュービック倍率については、170dpiのものと185dpiものとはともに切替解像度240dpiよりも小さいので、それぞれ整数倍で240dpiを越えるようにするために2倍を設定する。すると、Mキュービック法で340dpitと370dpiまで補間処理され、残りの720/340倍と720/370倍をニアリスト法で補間処理する。Mキュービック法で340dpitと370dpiと補間処理されるので、画質が逆転するということはない。なお、ニアリスト倍率は整数倍とはならないが、元もとの演算量が少ないので大した問題とはならない。
【0061】
以上は、理解の簡易のために画像データについて解像度が指定されているようにして説明したが、実際には上述したようにアプリケーション12dがオペレーティングシステム12aに対して出力サイズと画像データを受け渡している。従って、この場合の例について説明する。アプリケーション12dがVGAサイズ(640×480画素)の画像を2Lプリントサイズ(6×12cm)を指定して印刷要求したとする。2Lプリントサイズは6.299×4.724インチであり、101.6dpiとなる。出力解像度を720dpiに設定しているときには、切替解像度は240dpiとなり、Mキュービック法での補間倍率は240dpi以上となる最小整数倍であるので、3倍となる。3倍の補間処理によって304.8(101.6×3)dpiとなるので、残りのニアリスト法による補間処理では(720/304.8)倍の補間処理を行うことになる。
【0062】
別の表現で説明すると、最終解像度が720dpiであるなら2Lプリントサイズでは4536×3401画素となる。全体の補間倍率は4536/640=7.0875倍であり、最小整数倍率を3倍としてMキュービック倍率とすればニアリスト倍率は7.0875/3=2.3625倍となる。ステップST118やステップST120にて補間処理を終了したら、続くステップST122にて色変換処理を行う。上述したようにアプリケーション12dがオペレーティングシステム12aに受け渡すのはRGB256階調の画像データであってこれまで行った補間処理では画素数が変化するだけであってRGB256階調であることに変わりはない。これをカラープリンタ17bで使用する色インクに合わせてRGB色空間からCMYK色空間へと画像データの変換を行う。色変換は数式を利用して一義的に定まるものではないので予め対応関係を求めておいたルックアップテーブルを利用するのが基本であり、その場合でも全色分の巨大なルックアップテーブルを用意しておいて対応関係を求めるようにしても良いし、色数を減らした比較的小さめのルックアップテーブルを用意しておいて不足分を補間演算で補うようにしても良い。
【0063】
ルックアップテーブルで参照されるCMYKの色データの階調は必ずしも256階調である必要はないが、対応関係を定める以上は多階調でなければ思わぬ変換結果となってしまう。このため、別にステップST124にてカラープリンタ17bの性能に応じた2階調へのハーフトーン処理を行う。ハーフトーン処理によれば低階調でありながらも多数のドットを利用してマクロ的に色のずれの最小化を図ることができる。
【0064】
そして、このようにして最終的に得られたCMYK2階調の印刷データはステップST126にてカラープリンタ17bに出力される。むろん、印刷装置に応じて具体的な印刷データの形態は変化してくることになるし、必ずしも直に印刷装置に出力される必要はなく、ファイル形式で保存されるようにしても構わない。従って、印刷データを出力するというのは、次の段階へのデータの受け渡しを意味すればよい。
【0065】
以上の例では、カラープリンタ17bの印刷性能が2階調であり、印刷解像度を選択できるものとして説明した。これはバブルジェット方式のポンプ機構を採用するインクジェットプリンタや電子写真方式のカラープリンタ22においても、ほぼ同様のことがいえる。しかしながら、昇華式のカラープリンタを始め多階調表現可能なものもあり、この場合には印刷する精細度は解像度以外に階調数の要素も含まれることになる。以下に、このような階調数を変更可能な場合の実施形態について説明する。
【0066】
図22〜図25は図3〜図5に示したピエゾ素子を採用するマイクロポンプ機構を備えたインクジェット方式においてドット径を変化できるようにしたカラープリンタを示している。ドット径を変化させるためにはピエゾ素子21a5に対する印加電圧を変化させるものとし、その印加電圧波形を図22に示している。ピエゾ素子21a5は印加電圧の極性によって変形方向も異なるから、同図の波形に示すように最初に負の電圧を印加するとインク室21a4を広げることになり、次いで正の電圧を印加して色インク粒を吐出させている。これを引きの電圧と押しの電圧と呼ぶことにすれば、小さく引いて小さく押すときに小さな色インク粒が吐出されるし、大きく引いて大きく押すときに大きな色インク粒が吐出されることになる。なお、小さい色インク粒を小ドットと呼び、大きい色インク粒を中ドットと呼ぶ。
【0067】
ハードウェア的には図22に示すように出力電圧を任意に変化させることが可能なD/Aポートを印字ヘッドコントローラ21bに備えておき、図23に示すようにオペアンプを介してピエゾ素子21a5へ駆動電圧を出力する。駆動電圧の差は色インク粒のドット径のみならず、吐出速度にも影響を与える。図24には小ドットと中ドットの吐出タイミングを示している。印字ヘッド21aと用紙との間には一定の距離があるので、吐出速度によって到達するのに要する時間は異なる。一方、印字ヘッド21a自体は桁送り方向に移動しているので、吐出速度が速い場合と遅い場合とで吐出タイミングが同じだとすればドットの付着位置が変わってきてしまう。この例においては、小ドットの吐出タイミングと中ドットの吐出タイミングをずらして設定してあり、このずれは色インク粒が紙に付着するタイミングが一致するように調整してある。むろん桁送り方向での各位置ごとにこのタイミングのずれを設定してあり、付すべきドットが小ドットであれば小ドット吐出タイミングで色インク粒を吐出させるし、付すべきドットが中ドットであればわずかに遅れた中ドット吐出タイミングで色インク粒を吐出させる。また、両方の色インク粒を吐出させることも可能であり、この場合には1画素に対応する小ドット吐出タイミングと中ドット吐出タイミングの両方で駆動電圧を印加させることにより連続して色インク粒が吐出され、ちょうど紙面に付着するタイミングで両者は一体化しつつ紙上にドットを付すことになる。
【0068】
図25は色インク粒が吐出されて紙面上に形成するドットの大きさを示している。小ドットと中ドットが単独で付着する場合とともに、両者が複合して付着する場合とがあり、付着されるドットの大きさは3種類ある。むろん付着しない状態を含めれば4種類存在することになるし、ドットの大きさはその色の現れ方の強さと言えるから階調としては4階調となる。すなわち、印字ヘッドコントローラ21bにて二種類の印加電圧を出力可能としつつ、その出力タイミングも1画素あたり小ドット用と中ドット用との二つのタイミングを可能としておき、かつ、各タイミングでの印加電圧をオン・オフ制御することにより、4階調印刷が可能となる。
【0069】
一方、図26はこのような4階調印刷を可能とした場合におけるプリンタの設定を行う操作ウィンドウを示している。先の例では、印刷時の精細度として「解像度」を選択できるようにしたが、この例では「印刷階調」を「2階調」とするか「4階調」とするかを選択可能としている。その他の「用紙」や「印刷の向き」については同様である。なお、この例では解像度が720dpiに固定されているものとして説明するが、むろん解像度自体を併せて選択可能とすることも可能である。
【0070】
図27は階調数を変更可能なカラープリンタで印刷を行う場合における図10の印刷処理との相違点を示す部分フローチャートである。図27に示すフローと図10に示すフローとにおいて、それぞれ下二桁が一致する処理が相互に変更される処理であり、残りの処理は一致している。ステップST204では印刷階調数の選択処理であり、ここでは上述した場合と同様に既に階調数が設定されていればそれを読み込むことになるし、印刷オプションの入力操作が行われるような場合には入力される階調数を取得することになる。また、その後のステップST206ではこのようにして取得されている階調数が2階調であるか4階調であるかを判断し、2階調であればステップST208にて切替解像度を240dpiに設定するし、4階調であればステップST210にて切替解像度を360dpiに設定する。
【0071】
階調数が倍になることにより、フルカラー出力に必要なドット数は1/2に減り、理論上の表現解像度は縦横の二次元であることを考慮すると2**(1/2)倍となる。これを反映して概ね上のような切替解像度の設定としている。これが64階調か256階調かという選択になるとすれば、フルカラー出力に必要なドット数は1/4に減り、理論上の表現解像度は2倍になったことになる。そして、このように設定した切替解像度を基準として、ステップST112〜ST122にてMキュービック倍率とニアリスト倍率とを設定した上でそれぞれの補間処理を実行する。むろん、この場合もMキュービック倍率は上記切替解像度以上となる最小整数倍であるし、ニアリスト法は残りの倍率を補間する。
【0072】
上述したように理論上の表現解像度が高くなるにもかかわらず、切替解像度が240dpiのままであったとすると、230dpiの画像データについては240dpiを越えるようにMキュービック法で補間処理されるし、245dpiの画像データはMキュービック法では補間処理されない。ただ、この場合は切替解像度が十分に高いので、2階調での表示においては両者の画質の差が殆ど見られない。
【0073】
しかしながら、4階調表示となることによって理論上の表現解像度が高くなると、230dpiの画像データについて240dpiを越えるようにミニマムの整数倍である2倍の補間処理を実施したものの方が245dpiの画像データについてニアリスト法だけで720dpiにしたものよりも画質の差が良くなってしまい、逆転現象が生じてしまう。これに対して4階調の表示としつつ切替解像度を360dpiに上げることにより、245dpiの画像データについてもMキュービック法によって2倍に補間処理されることになり、逆転現象は生じなくなる。また、350dpiと365dpiの画像データについては前者のものについてだけMキュービック法による補間処理がなされるが、4階調表示の場合での両者の差異は視認できないといってよい。
【0074】
なお、先の例ではステップST124のハーフトーン処理で256階調を2階調に階調変換しているが、この場合はステップST224にてCMYK256階調をCMYK4階調に階調変換することになる。このように、インクジェット方式のカラープリンタ17bなどを有するコンピュータシステム10において、当該カラープリンタ17bの解像度と元の画像データの解像度とが一致しない場合に補間処理を実行するが、この補間処理は先に精度の高い演算処理で切替解像度以上にした上で精度の低い演算処理で最終の解像度に一致させるようにしており、かつ、カラープリンタ17bにおける印刷時の精細度に応じて同切替解像度を変えるようにしたため、最終的な精細度が高くなるにつれて精度の高い演算処理の負担割合が高くなり、精細度が高いにも関わらず画質的には劣化してしまうという逆転現象がおきにくくすることができる。
【0075】
以上説明したように、本実施形態においては、画像をドットマトリクス状の画素で多階調表現した画像データを取得する画像データ取得ユニットと、上記ドットマトリクス状の画素で多階調表現された画像の画素を所定の補間倍率となるように補間して生成するにあたり精度の高い演算手法で補間してから精度の低い演算手法で補間するものとしつつこれらを所定の負担割合で実行する画素補間ユニットと、この画素補間ユニットで上記画像データを基準として補間処理するにあたり印刷する際の精細度を検出する精細度検出ユニットと、この精細度検出ユニットで検出した精細度に基づいて上記画素補間ユニットにおける負担割合を算出するにあたり高精細であるほど精度の高い演算手法に割り当てられる負担割合が増加するように補間倍率を調整する補間倍率調整ユニットと、この補間倍率調整ユニットにて決定される負担割合で補間処理された補間画像データに基づいて所定の印刷データに変換して出力する印刷データ出力ユニットとを具備する構成としてある。
【0076】
このように構成した場合には、画像データ取得ユニットが画像をドットマトリクス状の画素で多階調表現した画像データを取得すると、画素補間ユニットが精度の高い演算手法で補間してから精度の低い演算手法で補間するが、同画素補間ユニットで上記画像データを基準として補間処理するにあたり、印刷する際の精細度を精細度検出ユニットが検出する。そして、この精細度検出ユニットで検出した精細度に基づいて補間倍率調整ユニットは上記画素補間ユニットにおける負担割合を算出するものとし、その際には高精細であるほど精度の高い演算手法に割り当てられる負担割合が増加するように補間倍率を調整する。上記画素補間ユニットは、このようにして調整される補間倍率に従って精度の高い演算手法で補間してから精度の低い演算手法で補間し、印刷データ出力ユニットは補間処理された補間画像データに基づいて所定の印刷データに変換して出力する。
【0077】
従って、印刷する際の精度が高くなると精度の高い演算手法で行われる補間倍率の負担割合は増加していき、精度の高い演算手法で補間される負担割合が上がることによって画質が向上する分、残りの負担割合を精度の低い演算手法で補間しても画質の逆転が起こりにくくなる。このように、印刷する際の精度が高くなると精度の高い演算手法で行われる補間倍率の負担割合が増加していくようにしたため、精度の高い演算手法で補間される負担割合が上がることによって画質が向上する分、残りの負担割合を精度の低い演算手法で補間しても画質の逆転がしにくくなるようにすることが可能な印刷用画像データ補間装置を提供することができる。
【0078】
すなわち、印刷する際の精細度が高くなると、精度の高い演算手法から精度の低い演算手法へと画像データを受け渡す際の精細度が画質に影響を与えることになるため、印刷する際の精細度が高まれば精度の高い演算手法の負担割合を増加させることにしている。従って、判断の基準となる印刷する際の精細度もかかる基準となるものであればよい。その一例として、上記精細度検出ユニットを、印刷する際の画像データにおける階調数を精細度として検出する構成とすることもできる。
【0079】
このように構成した場合は、精細度検出ユニットが印刷する際の画像データにおける階調数を精細度として検出する。印刷の例を上げると、ある色のドットを付すか否かというのであれば印刷する際の階調表現は2階調であるし、薄いマゼンタと濃いマゼンタとを使用するのであれば2×2の4階調であるといえる。また、シアン、マゼンタ、イエローという三要素色について言えば2階調であるときに8色表現となり、4階調であるときに64色表現となるので、色数といっても差し支えない。
【0080】
このようにすれば、印刷段階での階調数が変化する場合に逆転が起こりにくくなる。また、階調数についても各種の態様があり得るが、その一例として、上記階調数は、画素に付する記録剤の径の大きさを変えて変化させる構成とすることもできる。かかる構成においては、画素に付する記録剤の径の大きさを変えるような場合も階調表現の一例であるから、この径の大きさに基づいて階調数として検出する。
【0081】
このようにすれば、印刷段階での階調をドット径で変化させる場合に逆転が起こりにくくなる。精細度は階調数に限られるものではなく、他の一例として、上記精細度検出ユニットは、印刷する際の画像データにおける解像度を精細度として検出する構成とすることもできる。このように構成した場合は、精細度検出ユニットが印刷する際の画像データにおける解像度を精細度として検出する。例えば、印刷する解像度として360dpiと720dpiとを選択可能としているとき、精細度検出ユニットはどちらの解像度を選択されているかを検出することになる。むろん、300dpiであるとか600dpiであるとか、他の解像度であっても構わない。
【0082】
このようにすれば、印刷段階での解像度が変化する場合に逆転が起こりにくくなる。また、画像データ取得ユニットは、かかる画像データを取得するものであり、上記画素補間ユニットが構成画素を増やすための補間処理を行うにあたり、対象となる画像データを保持するようなものであればよい。従って、その取得手法は特に限定されるものではなく、各種のものを採用可能である。例えば、インターフェイスを介して外部機器から取得するものであってもよいし、撮像ユニットを備えて画像を撮像するものであっても良い。また、コンピュータグラフィックアプリケーションを実行してマウスやキーボードから入力するものであってもよい。
【0083】
画素補間ユニットは、精度の高い演算手法と精度の低い演算手法とで補間処理を行うことができるものであればよいが、これは二つの演算手法に限られるものではない。また、精度の高い演算手法か精度の低い演算手法は相対的なものであり、基準値がある必要もない。それぞれの演算手法は各種の手法を含むものであり、その一例として、上記画素補間ユニットは、精度の高い演算手法で行う補間処理として補間する画素の画像データがなだらかに変化するように周囲の画素の画像データから演算処理で補間画素の画像データを算出する補間処理を実行する構成とすることもできる。
【0084】
このように構成した場合は、周囲の画素の画像データを利用して演算処理することにより、補間する画素の画像データはなだらかに変化する。このように、なだらかに変化させると、変化度合いの大きい画素の並びがあったとして、この間を補間したとしても段差が目立たず、従って画質の良いものとなる。このようにすれば、周囲の画素の画像データから演算処理で補間画素の画像データを算出するため、補間する画素の画像データはなだらかに変化し、演算量が多くなる分、画質が向上する。補間する画素の画像データがなだらかに変化する演算手法は各種のものを採用可能であるが、その一例として、変化度合いの大きい画素間では画像データの変化態様を略S字型としつつその傾斜を調整するとともに、両端部位では低い側にアンダーシュートを発生させつつ高い側にオーバーシュートを発生させて高低差を形成してその高低差を調整することも可能である。このようにすると、なだらかには変化するもののその変化態様は単に直線的に結ぶ勾配よりは急峻とさせることができ、その傾斜を調整して画像の変化度合いを最適なものとすることが可能となる。また、両端部位で低い側にアンダーシュートを発生させつつ高い側にオーバーシュートを発生させると高低差は大きくなり、かつ、その高低差を調整することによっても見かけ上の画像の変化度合いを最適なものとすることが可能となる。このような演算処理の一例としては、多次演算処理の3次たたみ込み内挿法などを使用可能であるし、かかる調整を可能とする演算処理はこれに限られず、他の演算手法を採用することもできる。
【0085】
さらに、上記画素補間ユニットは、精度の低い演算手法で行う補間処理として補間処理前の最近隣画素の画像データを新たな構成画素の画像データに利用する補間処理を実行する構成とすることもできる。このように構成した場合は、一つの補間処理として補間処理前の最近隣画素の画像データを新たな構成画素の画像データに利用するので、実質的に殆ど演算量を要することが無く、処理量が極めて少ない手法と言える。
【0086】
このようにすれば、既存の画素の画像データをそのまま利用することになるので精度面では向上を望みにくいものの演算量は少なくなる。ここでいう負担割合とは、精度の高い演算手法が行うことになる補間倍率と精度の低い演算手法が行うことになる補間倍率との比であるとは限らない。従って、精度の高い演算手法が行うことになる補間倍率自体は徐々に減っていくこととなっても構わない。補間倍率が徐々に減っていきながら負担割合が増加するというのは、このように負担割合を変えるということをしなかった場合の補間倍率とする場合の補間倍率の比が上がるようなものであっても良いことを意味する。
【0087】
その一例として、上記画素補間ユニットは、所定の切替解像度を有しており、精度の高い演算手法でこの切替解像度を超えるように補間処理した上で、残りの補間倍率を精度の低い演算手法で補間するものであるとともに、上記補間倍率調整ユニットは、上記切替解像度を変化させて補間倍率の調整を行う構成とすることもできる。このように構成した場合は、精度の高い演算手法で一定の解像度である切替解像度を超えるまで補間し、精度の低い演算手法で残りの解像度となるまで補間するが、印刷する際の精細度が高ければこの切替解像度を高くする。いま、印刷する際の精細度が低いとすると、この場合に設定される切替解像度は低くなり、精度の高い演算手法ではこの切替解像度を超えるところまでの補間倍率の補間を行うことになる。しかしながら、印刷する際の精細度が高くなれば切替解像度も高くなり、その場合には精度の高い演算手法で同切替解像度を超えるところまで補間するのであるから補間倍率は増加することになる。この意味で負担割合が増加すると言える。
【0088】
また、印刷する際の精細度が低いときのしきい値であれば元の画像データの解像度の方が大きいがために補間処理されなかったとしても、印刷する際の精細度が高くなることによってこのしきい値が大きくなるので、元の画像データの解像度を越えることもある。すると、精度の高い演算手法で補間処理されることになり、この場合でも精度の高い演算手法の負担割合が増加したと言える。むろん、従来のような逆転現象も起こらなくなる。
【0089】
なお、しきい値が高くなった場合でも、しきい値よりも解像度が低い画像データについては精度の高い演算手法で補間処理されるし、しきい値よりも解像度が高い画像データについては精度の高い演算手法で補間処理されないということが起こることに変わりはないが、この場合のしきい値は十分に高くなっており、精度の高い演算手法による画質向上の効果が小さくなり、アウトプットに画質の差は出てこなくなる。
【0090】
このようにすれば、切替解像度を変化させるだけで負担割合が実質的に変化し、調整が容易となる。印刷データ出力ユニットは補間画像データに基づいて所定の印刷データに変換して出力するが、印刷データが供給されることになる印刷装置に応じて適宜変更可能である。例えば、印刷装置の記録剤に対応した印刷原理であるとか、記録剤の要素色数であるとか、階調数などに応じて必要となる印刷データは変化するから、これに対応した印刷データに変換すればよい。むろん、色座標変換であるとか、階調変換などを一要素として含むことになる。
【0091】
このように、印刷する際の精細度が高精細であるほど精度の高い演算手法に割り当てられる負担割合が増加するように補間倍率を調整する手法は必ずしも実体のある装置に限られる必要はなく、その方法としても機能することは容易に理解できる。ところで、このような印刷制御装置は単独で存在する場合もあるし、ある機器に組み込まれた状態で利用されることもあるなど、発明の思想としてはこれに限らず、各種の態様を含むものである。従って、ソフトウェアであったりハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。
【0092】
発明の思想の具現化例として印刷用画像データ補間装置のソフトウェアとなる場合には、かかるソフトウェアを記録した記録媒体上においても当然に存在し、利用されるといわざるをえない。むろん、その記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし光磁気記録媒体であってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。また、一次複製品、二次複製品などの複製段階については全く問う余地無く同等である。その他、供給方法として通信回線を利用して行なう場合でも本発明が利用されていることにはかわりない。
【0093】
さらに、一部がソフトウェアであって、一部がハードウェアで実現されている場合においても発明の思想において全く異なるものはなく、一部を記録媒体上に記憶しておいて必要に応じて適宜読み込まれるような形態のものとしてあってもよい。上述した実施形態においては、印刷品質に影響を与える出力解像度を基準として、切換解像度を設定して最適な印刷処理を実現できるようにしているが、印刷品質を基準として印刷制御を切り換えるのはこのような例に限られるものではない。以下においては、印刷品質を考慮した所望のパフォーマンスに対応した最適な印刷制御を実施する例について説明する。
【0094】
本実施形態においては、上述したようなハードウェアシステムを前提とし、コンピュータシステム10の画像入力デバイスで取得した画像データに基づいて印刷を実行する。その際、元の画像データの解像度と階調度がカラープリンタ17bの解像度と階調度と相違するため、プリンタドライバ12cにおいて画素補間処理と階調変換処理とを実行する。その概略構成は図28に示すようになっている。
【0095】
ここで、アプリケーション12dが印刷処理を実行した際にカラープリンタ17bに対して印刷データが出力される際の解像度と階調度の変化について説明する。図29はかかる処理を行うプリンタドライバ12cのフローチャートを示している。ドットマトリクス状の画素として表した元画像データの解像度は72dpiであって256階調であるとすると、最初のステップ150にてカラープリンタ17bの色インクに合わせるために色変換処理を実行してRGB256階調からCMYK256階調へと変換し、続くステップ160にて画素補間処理を実行してカラープリンタ17aの解像度である720dpiに解像度を一致させる。すると、補間された画像データは720dpiでCMYK256階調となり、この後、ステップ170の階調変換処理が行なうとカラープリンタ17bにおける表現階調度である2階調のCMYK画像データとなる。最後に、ステップ180にて制御データを含む印刷データとしてカラープリンタ17bに出力する。なお、本実施形態においては、先に色変換処理を実行してから解像度を一致させるようにしているが、先に解像度を一致させてから色変換処理を実行することも可能である。この場合、解像度の低い状態で色変換処理を実行すると色変換処理の対象となる画素数が少ないというメリットがある。
【0096】
ステップ150にて色変換する元の画像データはアプリケーション12dがスキャナ11aなどから取得して受け渡されるが、必ずしも直接に画像データを取得するのみならず、このように他のソフトウェアなどから画像データを引き継ぐものであっても画像データを取得することに他ならない。従って、この例であればステップ150の色変換処理で画像データを得る工程は画像データ取得工程A1に該当することになる。また、ステップ160では72dpiから720dpiへの解像度変換を行うので画素補間工程A2に該当するし、ステップ170では256階調から2階調へのハーフトーン処理を行うので階調変換工程A3に該当する。そして、ステップ180では720dpiで2階調となった画像データをカラープリンタ17bに出力するので画像データ出力工程A4に該当する。
【0097】
このように、一連の画像データ処理はプリンタドライバ12cが実施し、かかるプリンタドライバ12cは、ハードディスク13bに記憶されており、起動時にコンピュータ本体12にて読み込まれて稼働する。また、導入時にはCD−ROMであるとかフロッピーディスクなどの媒体に記録されてインストールされる。従って、これらの媒体は画像データ補間階調変換プログラムを記録した媒体を構成する。
【0098】
上述した実施形態においては、印刷データを取得するために画像入力デバイスや画像出力デバイスなどを含むコンピュータシステム10において所定のアプリケーションが印刷データを生成するという前提である。しかしながら、必ずしもかかるコンピュータシステムを必要とするわけではない。例えば、図30に示すようにデジタルスチルカメラ11b1内に組み込み、解像度と階調変換した画像データを用いてディスプレイ17a1に表示させたりカラープリンタ17b1に印字させるようなシステムであっても良い。また、図31に示すように、コンピュータシステムを介することなく画像データを入力して印刷するカラープリンタ17b2においては、スキャナ11a2やデジタルスチルカメラ11b2あるいはモデム14a2等を介して入力される画像データについて自動的に解像度と階調変換を行って印刷処理するように構成することも可能である。この他、図32に示すようなカラーファクシミリ装置18aや図33に示すようなカラーコピー装置18bといった画像データを扱う各種の装置においても当然に適用可能である。
【0099】
図29に示すプリンタドライバ12cのフローチャートはあくまでも大概念での手順であり、実際のプログラムにおいては必ずしもこのように明確に分離されている必要はない。図34は、上述したプリンタドライバ12cが実行する解像度変換と階調変換に関連するソフトウェアフローを示している。アプリケーション12dから印刷処理を実行するとRGB256階調の画像データがオペレーティングシステム12aを介してプリンタドライバ12cに出力され、図34に示すフローに従って印刷処理が実行されていく。最初のステップ200ではGUIを介して処理の指針となる設定値を取得する。図35は同設定値の設定画面表示を示しており、このGUI画面はディスプレイ17a上に表示され、マウス15bで各ラジオボタンをクリックして設定する。本プリンタドライバ12cでは画像データが自然画か非自然画かに応じて処理を変えるため、自然画を表す「写真」であるか非自然画を表す「グラフ」であるかを選択できるようにしている。また、自動認識の余地も残して有り、連続処理なども実現できるようにしている。
【0100】
この画像データの選択の他に、GUI画面では印刷時の色インクであるCMYKの各要素色ごとに画質優先か速度優先かを設定できるようにしている。図面上では、C成分とM成分とK成分については画質優先を選択しており、Y成分については速度優先を選択している。Y成分を速度優先としているのはY(黄色)が極めて淡く、意識的にドットを探そうとしても見いだせないほどであるので、あまり画質に影響を与えないからである。また、同様のことをRGBで指定するような場合、B成分だけを速度優先とするようにしても良い。これは、人間の視覚感度が青色成分について鈍感であることに対応する。例えば、輝度Yを簡易に表す計算式は、Y=3.0R+0.59G+0.11Bであり、B成分については均等な「0.33」程度に対して1/3と極めて低く、全体の10%程度ほどしかない。従って、画質を優先させても効果はあまり現れず、速度を優先させても支障はないからである。
【0101】
ここで画質優先と速度優先が意味する内容について説明する。図36はその具体的内容を図表にして示しており、複数の画素補間処理と階調変換処理とを組み合わせて段階的な組合せを実現している。実行可能な画素補間処理は後述する「ニアリスト法」と「バイリニア法」と「Mキュービック法」であり、階調変換処理はディザ法として「ディザA」と「ディザB」、それに誤差拡散法である。そして、最速の組合せは、画素補間処理として「ニアリスト法」を実行しつつ階調変換処理として「ディザA」あるいは「ディザB」を実行するし、高画質な組合せは、画素補間処理として「Mキュービック法」を実行しつつ階調変換処理として「誤差拡散法」を実行する。また、その中間が必要な場合は、画素補間処理として「バイリニア法」を実行しつつ階調変換処理として「ディザA」と「ディザB」と「誤差拡散法」とを適宜組み合わせて実行する。
【0102】
かかる組合せを選択しているのは、それぞれの画素補間処理と階調変換処理に得失があるからであり、これについて以下に詳述する。補間処理については上述した処理を採用するが、先に触れなかったバイリニアの補間手法について説明する。図37には各補間処理における補間関数f(t)を示している。同図において、横軸に位置を示し、縦軸に補間関数を示している。t=0、t=1、t=2の位置に格子点が存在し、内挿点はt=0〜1の位置となる。キュービック法とMキュービック法とを比較すると、Mキュービック法の方が3次関数的なカーブがわずかに急峻となり、画像全体のイメージがよりシャープとなる。
【0103】
バイリニア法(共1次内挿法)の補間手法を説明すると、図37に示すように、一方の格子点から他方の格子点へと近づくにつれて徐々に変化していく点でキュービック法と共通するが、その変化が両側の格子点のデータだけに依存する一次関数的となっている。すなわち、上述した図17に示すように内挿したい点Puvを取り囲む四つの格子点Pij,Pi+1j,Pij+1,Pi+1j+1で区画される領域を当該内挿点Puvで四つの区画に分割し、その面積比で対角位置のデータに重み付けする。これを式で表すと、
P={(i+1)−u}{(j+1)−v}Pij
+{(i+1)−u}{v−j}Pij+1
+{u−i }{(j+1)−v}Pi+1j
+{u−i }{v−j}Pi+1j+1
となる。なお、i=[u]、j=[v]である。
【0104】
キュービック法とバイリニア法では、その変化状況が3次関数的であるか1次関数的であるかが異なり、画像としてみたときの差異は大きい。バイリニア法の場合、隣接する二点間(t=0〜1)で直線的に変化するだけであるので境界をスムージングすることになり、画面の印象はぼやけてしまう。すなわち、角部のスムージングと異なり、境界がスムージングされると、コンピュータグラフィックスでは、本来あるべき輪郭がなくなってしまうし、写真においてはピントが甘くなってしまう。むろん、写真においてはシャープな方が好ましいのは当然であるが、演算量が多くなって速度が低下するのを回避するためにはジャギーの生じるニアリスト法がピントが甘くなるバイリニア法かを選択せざるを得ず、その場合にはバイリニア法の方が画質はよい。
【0105】
一方、階調変換処理で実行可能なものを大別するとディザ法と誤差拡散法とに別れ、後者の方が画質はよいものの演算処理量が大きい。ディザ法は所定の大きさのマトリクス内に階調値の範囲に相当する段階的な階調値を当てはめたものを用意しておき、実際の画像データの同一領域に当てはめて階調値を比較する。画像データの方が大きい升目にはドットを付し、画像データの方が小さい升目にはドットを付さない。マトリクスの大きさを5×5としつつ、階調値の範囲を1〜25として当てはめてみたものを図38と図39に示している。前者は中央集点型といわれるディザAのマトリクスパターンであり、後者は分散型といわれるディザBのマトリクスパターンである。ディザAは中央から順次外側に向けて階調値が当てはめられているため、ベタ部分が多いと図40に示すように中央から外側に向かってドットが付されやすい。これに対してディザBは階調値の割り当てをランダムにしているため、図41に示すようにベタ部分であっても全体的にばらつきやすい。グラフなどのCGを想定すると、ランダムにばらつくよりも網点印刷のような中央集点型の方が好まれるという特徴がある。また、ディザ法自体は画像データとの大小判定だけであって処理量は極めて少ない。
【0106】
これに対して誤差拡散法は画像データの階調値とドットの有無とで生じる誤差を近隣の画素に配分していく手法であり、誤差が生じない分だけ画質がよい反面、誤差を算出して割り振っていく際の演算処理が必要である。その具体的手法を、図42に簡易に示している。上段に現実の画像データを並べ、下段にドットを付すか否かを示す変換結果を示している。この例では、階調値の範囲を0〜255としてある。
【0107】
最初の画素の階調値は「250」であり、しきい値の「128」と比較して大きいため、ドットを付す。ドットが付されると「255」の階調値が付与されたのと同様であるから、ここで「−5」の誤差が生じる。この誤差を右に隣接する画素に割り振ると、本来の階調値は「52」であるので「52−5=47」の階調値となる。これはしきい値の「128」と比較して小さいため、ドットを付さないが、ドットが付されないことによって「0」の階調値が付与されたのと同様であるから、ここでは「47」の誤差が生じたことになって次の画素に繰り越される。
【0108】
すなわち、繰り越される誤差Dgと現実の画像データDnとを累算し、「128」よりも大きければ「255−Dn+Dg」を次の画素への繰り越し画素とする。この場合、一次元的に誤差を拡散するだけでなく、二次元的に誤差を拡散していっても良いし、隣接する画素のみならず、その周縁の画素に拡散していっても良い。このように、誤差拡散は誤差を正確に把握して割り振っていくので、トータル的な誤差は少なく、一般的には画質がよい。
【0109】
一方、階調変換処理と画素補間処理との組合せとなると、親和性の善し悪しも問題となる。図43はニアリスト法で拡大処理を実施した場合の画像データの割り当てを示しているが、ニアリスト法であれば当然に元の画像データがそのまま複写される。これによってある階調値の画素はその面積割合をそのまま維持されることになるが、他の補間処理を実行すると隣接する画素との関係からなだらかな変化が生じるなどして面積割合の維持ということは望めない。一方、ディザ法について言えばマトリクスの大きさに対応した領域ごとに当該領域の濃度が定まっていくことになるから、ニアリスト法のような面積割合を維持する補間処理の方が親和性があるということになる。すなわち、ディザ法にニアリスト法を対応させる組合せはそれぞれ画質が低いものの演算速度が速いという共通点のみならず、親和性のある組合せであるという特徴も有している。
【0110】
このような画素補間処理の得失と階調変換処理の得失とを鑑みると、単に画素補間処理だけの得失に基づいて処理を選択したとしても、階調変換処理を固定しておいたのでは最高のパフォーマンスとは言えない。すなわち、画素補間処理で高画質の処理を選択しても階調変換処理が高画質でないならば最高の画質には至らないし、画素補間処理で高速の処理を選択しても階調変換処理が高画質であると演算処理の負担があるので最速とはならない。また、別の視点では、階調変換処理の得失を重視したときに画素補間処理を追従して選択するということも意味のあることである。
【0111】
以上の各処理の得失を前提として、図34に示すフローチャートの説明に戻ると、ステップ200で設定値を取得した後、ステップ202では取得した設定値に基づいて処理を分岐し、「写真」を選択していればステップ204で「写真フラグ」をセットするし、「グラフ」を選択していればステップ206で「CGフラグ」をセットする。また、「自動認識」を選択している場合にはステップ208で画像データが利用している総色数をカウントし、ステップ210にて色数が「128色」以上であれば「写真」と判断してステップ204で「写真フラグ」をセットするし、色数が「128色」未満であれば「グラフ」と判断してステップ206で「CGフラグ」をセットする。自然画の場合、一色の物であっても明暗によって異なる色数とカウントされる結果、非常に多くの色数を使用しているが、CGなどであれば基本的に人が操作して色を決定している関係から利用色数はあまり多くならない。従って、このように総利用色数をカウントすることによって写真かグラフか、すなわち自然画か非自然画かを判断することができる。
【0112】
これらのフラグは後に利用することとし、続くステップ220ではRGB表色系からCMY表色系へと色変換する。CMY表色系においてはカラープリンタ17bの利用色インクに対応しているから、カラープリンタ17bがCMYKの四色の色インクを利用している場合にはRGB→CMYKという変換となる。この変換は予めRGBの三要素色の階調値で参照する3次元のルックアップテーブルを用意し、各階調値の組合せとCMYKの階調値とを対応づけておく。このようにすると、テーブルを参照するだけで即時に変換できるものの、RGBの三原色においてそれぞれ256階調を許容すると約1670万色になり、テーブルが巨大になりすぎる。このため、256階調の全てについてデータを用意するのではなく、とびとびの格子点上にだけデータを用意しておき、所望の座標値を取り囲む格子点のデータから補間演算で求めるようにする。また、このような格子座標に無理矢理移動させつつ、その誤差を近隣の画素に割り当てていくようにしてもよい。後者の手法によれば、誤差拡散法と同様の加減算処理だけで可能となり、補間演算の負担が減少する。
【0113】
色変換を終えたら、ステップ240で画素補間と階調変換を実行する。ここでは72dpiから720dpiへと拡大処理を実行しつつ、256階調から2階調へとハーフトーン変換を実行する。そして、各処理は上述したように相互に関連し、各色インクごとに個別に処理すべくループ処理で対処している。より具体的には、ステップ242にて現時点のループでの対象色インクに対してステップ200にて取得した設定値から画素補間処理を選択する。すなわち、CMK成分については画質優先であるので図37に示す図表からMキュービック法の画素補間処理が選択されているものと判断し、ステップ244にてMキュービック法で画素補間処理する。また、ステップ246では同様にステップ200にて取得した設定値から階調変換処理を選択するが、この場合は優先順位のみならず、ステップ204またはステップ206にて設定したフラグを参照して画像種類も考慮に入れている。ただし、画質優先を選択している場合には画像種類にかかわらず誤差拡散法が選択され、ステップ248にて同誤差拡散法にてハーフトーン化する。
【0114】
これに対して、Y成分の場合は速度優先が設定されているので、ステップ242ではニアリスト法が選択されてステップ244にて同ニアリスト法にて画素補間処理を実行する。また、ステップ246にて階調変換処理を選択する場合には、速度優先の設定値のみならず、写真フラグとCGフラグから画像種類を判定し、元の画像が写真であればディザBを選択するし、グラフなどのCGであればディザAを選択する。そして、ステップ248にて同選択され多階調変換処理によって階調変換処理する。従って、速度に注目してニアリスト法が選択されるのみならず、階調変換処理についてもこのニアリスト法に親和しつつ速度が速いディザ法が選択されるし、さらに、ディザ法としても画像の種類に応じてディザAかディザBかが適切に選択される。
【0115】
ところで、画質向上のために色インクを6色としてシアン色インクとマゼンタ色インクについて濃色と淡色のインクを使い分けるものもある。また、ピエゾ素子21a5に印加する電圧を二段階として、高い電圧で大きなドット径のインク粒を吐出させるとともに低い電圧で小さなドット径のインク粒を吐出させるバリアブルドットの手法を採用することもできる。この場合、大径のドット(CL,ML)は濃色の色インクに相当し、小径のドット(CS,MS)は淡色の色インクに相当するといえる。
【0116】
これらの場合でも、画素補間処理と階調変換処理とを適切に対応づけることは当然に有効であり、図44に示すようにステップ300にてRGBからLC、C、LM、M、Y、Kの6色に変換するか、ドット径に対応したCL,CS,ML,MS,Y,Kのドット径の異なる2色とドット径が単一の2色に色変換してから、ステップ310にて解像度変換し、ステップ320にて階調変換する。このとき、解像度変換と階調変換との対応を図45に示している。同図表に示す対応は、高画質組合せの場合にも画質と速度との調和を図るべく、淡色である場合や小径のドットの場合に画質の劣化を図る誤差拡散法を前提としてMキュービック法の画素補間処理を実行し、それ以外の場合にはディザ法を前提としてニアリスト法による画素補間処理を選択するようになっている。
【0117】
淡色のライトシアンやライトマゼンタは同じように淡いY成分の黄色とは異なり、画質に大きく影響を与える。これは黄色のドットが単一であると殆ど見えないくらいであるのに対してライトシアンやライトマゼンタは十分に視認でき、その拡散具合で見た感じが変わるからである。これに対して濃色のシアンやマゼンタのドットを付す際には既に近隣が所定の濃度となっているので、単一のドットが目立つこともないし、エッジ部分であってもジャギーは目立たない。従って、画質に大きな影響を与える淡色や小径のドットについてのみ高画質の処理を選択して実行するようにしている。なお、図4646は6色の色インクを使用しつつ、さらにドット径が異なる場合の対応の組合せを示している。この場合も、画質に対して最も影響の大きい淡色の小径ドットについてのみ高画質な組合せを対応させるようにしている。
【0118】
一方、図35に示す設定画面では、画質優先か速度優先かを選択することにより、画素補間処理と階調変換処理を組み合わせて選択しているが、画質に応じて階調変換処理を選択することにより、それに対応する画素補間処理だけが選べるようにしても良い。図47はそのような設定画面の一例を示しており、図48は許容される対応関係を示している。各色インクごとにハーフトーンの手法を個別に選択できるようにしてあり、中央集点型のディザAおよび分散型のディザBに対しては高速な画素補間処理であるニアリスト法とやや高速なバイリニア法とを選択可能となり、誤差拡散に対してはやや画質の良いバイリニア法と画質は良いが演算量の負担の大きいMキュービック法とを選択できるようになる。
【0119】
なお、上述した例においては、画素補間で拡大する場合についてだけ説明したが、縮小させる処理を実行させる場合についても、階調変換の得失に応じた画素補間処理を選択させることによってこのように、画素補間処理と階調変換処理とを全く独立に処理するのではなく、図37に示すような対応関係の割り当てに基づいて処理の目的に対応した組合せを用意しておいたり、図48に示すように階調変換処理を指定することによって選択可能な画素補間処理を限定することにより、ステップ160にて実行される解像度変換とステップ170にて実行される階調変換とが有機的に結合し、画素補間処理を選択するだけでは得られない最適なパフォーマンスを実現でき、さらに、階調変換処理と画素補間処理との個別の親和性からも特定の階調変換処理に画素補間処理とが対応することによってパフォーマンスの向上を図ることができる。
【0120】
以上説明したように、本実施形態においては、画像をドットマトリクス状の画素で多階調表現した画像データを取得する画像データ取得ユニットと、同画像データに対して順次画素補間処理と階調変換処理とを実行するに際して予め複数の画素補間手法と複数の階調変換手法とで所定のパフォーマンスを得られるような組合せを設定しておき、そのうちのいずれかのパフォーマンスに対応する一の画素補間手法で画素補間処理を実行する画素補間ユニットと、同画素補間手法と対応する階調変換手法で階調変換処理を実行する階調変換ユニットと、この階調変換ユニットにて所定階調に変換された画像データを出力する画像データ出力ユニットとを具備する構成としてある。
【0121】
このように構成した場合は、画素補間ユニットの画素補間処理に続いて階調変換ユニットの階調変換処理を実行するにあたり、画素補間ユニットで実行する画素補間処理と階調変換ユニットで実行する階調変換処理とが予め対応づけられており、個別に処理を実行するのではなく、最適な対応関係の処理だけが行われる。このようにすれば、順次実行される画素補間処理と階調変換処理とが最適な対応関係のもの同士が組み合わされて行われるため、熟練者でなくても所望通りのパフォーマンスを得ることが可能な画像データ補間階調変換装置を提供することができる。
【0122】
ここでいう対応付けは、画素補間処理と階調変換処理の特性に鑑みて定められ、その一例として、上記画素補間ユニットにて実行可能な画素補間処理と上記階調変換ユニットにて実行可能な画素補間処理はそれぞれ画質への影響度を異にするとともに、それぞれ画質の良否が類似する処理同士を対応づけて構成とすることもできる。このように構成した場合は、画質の良い画素補間処理には画質の良い階調変換処理が実行されて画質の劣化を防止するし、画質の良くない画素補間処理が実行されたときには同様に画質の良くない階調変換処理とを実行して速度面などのメリットを向上させる。
【0123】
このようにすれば、画質への影響度を異にする複数の画素補間処理と階調変換処理とがある場合に、それぞれ画質の良否が類似する処理同士を対応づけておくことにより、画質の良否に応じて組合せが定まるため、選択が容易になる。画素補間処理は特に限定されるものではないが、例えば、補間生成する画素の最近隣の既存画素を複写するニアリストネイバ法であるとか、補間生成する画素を取り巻く既存画素から距離に反比例した重み付けで合算するバイリニア法であるとか、補間生成する画素を二重(多重)に取り巻く既存画素から3次元(高次元)のたたみ込み関数で算出するキュービックコンボリューション法(以下キュービック法と呼ぶ)などがあり、これらに関して言えば後者になるほど画質は良好である反面、処理速度が低下する。
【0124】
また、階調変換処理は、中央集点型ディザ法や分散型ディザ法といった組織型ディザ法が可能であり、この場合、多値ディザ法も有効である。この、ディザよりも正確に階調変換が可能な誤差拡散法も有効であり、一般的にはこの誤差拡散法の画質の方がディザ法よりも良好と言える。従って、画質の良好な誤差拡散法とキュービック方とを対応付け、画質の良くないディザ法とニアリストネイバ法とを対応づけるといったことが好適である。
【0125】
この場合、ディザ法とニアリストネイバ法とを対応づけることには別の意味合いもある。従って、上記画素補間ユニットにて補間生成する画素として既存の画素をそのまま利用する補間手法を実行するときに上記階調変換ユニットにてディザ法で階調変換する構成とすることもできる。このように構成した場合は、既存の画素をそのまま補間生成する画素として利用する補間処理はニアリストネイバ法に対応している。ディザ法は補間倍率に対して所定濃度の画素がそのまま拡大されるので、面積補間とも呼ばれる。一方、ディザ法は所定のディザパターンを利用しつつ一定濃度の画素について確率的にドットを付すことになるため、面積補間の方が確率的にドットを付すか否かを決定するのに親和性がある。従って、ニアリストネイバ法にディザ法を対応づけるのは、画質の程度の視点だけでなく技術的な親和性の点で有効である。
【0126】
このようにすれば、画素補間処理が面積補間である場合にディザ法を選択して親和性のある処理同士を実行することができる。画素補間処理と階調変換処理との対応付けは、画像データの各構成要素について一律に一定とする必要はなく、各構成要素ごとに対応付けを変更することも可能である。その前提として、上記画像データは、色分解した各要素色についての多階調データを有し、上記画素補間ユニットと階調変換ユニットは、各要素色ごとに組合せを設定可能とした構成とすることもできる。
【0127】
このように構成した場合は、画像データの構成要素が色分解した各要素色について、その濃度値を多階調データとして有しているので、要素色ごとの特性の相違が明確であるし、それ以外の意味では他の要素色との関係は同等に扱える。従って、各要素色ごとに最適なパフォーマンスを得られるように画素補間ユニットと階調変換ユニットでは各要素色ごとに組合せを変更するということができる。例えば、光の三原色であるRGB(赤緑青)の場合は、B成分に対する人間の視認感度が低いので、他の要素色と組合せを変えることも有効である。
【0128】
このようにすれば、画像データが色分解した要素色の構成要素を持つ場合に適用されるので、要素色ごとに対応付けを変えるといったことも容易になる。なお、階調変換処理と画素補間処理とが対応づけられていればよいのであって、階調変換処理のいずれかを指定することによって対応づけられた画素補間処理が実行されるようになっていても良いし、画素補間処理のいずれかを指定することによって対応づけられたが階調変換処理が実行されるようになっていても構わない。
【0129】
このような階調変換と補間処理とを対応づけた画像データを利用する好適な一例として、上記階調変換後の画像データは、印刷装置において要素色の記録材を付すか否かの制御データとして利用される構成とすることもできる。印刷装置においては多階調でなく、要素色の記録材を付すか否かによるハーフトーンの処理が簡易であって多用されており、このように構成した場合は、このような印刷装置に対する制御データとして利用されることにより、画質面において最適な対応が可能となる。
【0130】
このようにすれば、印刷装置での印刷を前提とすると画素補間処理と階調変換処理とが必要になり、所望の品質に応じた最適なパフォーマンスで印刷物を得ることができるようになる。また、印刷装置においても画質の向上を特に考慮されているものもあり、そのような場合には画質だけを最優先することによって処理時間が長くなってしまうのも使いづらくなる。このため、上記印刷装置は濃色系と淡色系の記録材を使用するとともに、上記画素補間ユニットと上記階調変換ユニットでは、淡色系の記録材に対して画質の良好な画素補間処理と階調変換処理とを実行する構成とすることもできる。
【0131】
このように構成した場合は、印刷装置が濃色系と淡色系の記録材を使い分けて画質の向上を図っており、これらを使い分けている。そして、この際に、淡色系の記録材に対しては画素補間ユニットと階調変換ユニットで画質の良好な画素補間処理と階調変換処理とを実行する。淡色と濃色とでは淡色の方が画質に影響を与えやすいことが多い。淡色については非常に薄い色を再現したいときに下地に対してまばらにドットを付すことがあり、一つ一つのドットが目立ちやすい。これに対し、濃色を付すときは既に淡色の濃度を越えている場合であるから周りにドットを付していることが多く、一つ一つのドットは目立ちにくい。従って、淡色について特に画質の向上を図っておけば、濃色について画質への配慮を減らしていても画質への影響は少ない。
【0132】
このようにすれば、濃色と淡色とを使い分ける印刷装置の場合にできるだけ画質を劣化させにくくすることができる。この濃色と淡色に対する処理とほぼ同様の関係にあるのが、大径と小径の記録材を使用する印刷装置の場合である。その一例として、上記印刷装置は大径と小径の記録材を使用するとともに、上記画素補間ユニットと上記階調変換ユニットでは、小径の記録材に対して画質の良好な画素補間処理と階調変換処理とを実行する構成とすることもできる。
【0133】
この場合、大径のドットは濃色のドットに対応し、小径のドットは淡色のドットに対応する。従って、ドットの目立ちにくい小径ドットについて特に画質の向上を図っておけば、大径ドットについて画質への配慮を減らしていても画質への影響は少ない。このようにすれば、異なるドット径を使い分ける印刷装置の場合にできるだけ画質を劣化させにくくすることができる。このようにして画素補間ユニットと階調変換ユニットにおける補間処理と階調変換処理とを対応づけたとして、どの組合せを実行するかを操作者が個別に指定するようにしても良いが、自動化することも可能であり、その一例として、上記画素補間ユニットと上記階調変換ユニットでは、上記画像データの種類に基づいて最適な画素補間処理と階調変換処理とが選択される構成とすることもできる。
【0134】
このように構成した場合は、画素補間処理と階調変換処理の対応付けに画像データの種類を組み合わせておき、同画像データの種類に基づいて最適な選択を行なう。このようにすれば、所望のパフォーマンスを得る基準として画像データの種類に応じて選択することができる。また、そのような画像データの種類の一例として、上記画素補間ユニットと上記階調変換ユニットでは、上記画像データが自然画か非自然画かを判定して画素補間処理と階調変換処理との組合せを変える構成とすることもできる。
【0135】
写真のような自然画においては自然物の画像であるが故に細部まで本来の情報が含まれているのでリアルであることが要求され、画素補間処理や階調変換処理において高画質なものを要求する。これに対して、非自然画の場合は人の操作によって情報を付加していっているので、一部を除いて細部にまで本来の情報があるとは言えないし、逆に塗りつぶしが一定パターンで行われているのであれば画素補間処理について簡易な処理の方がざらつきなどが生じにくい。
【0136】
このような自然画か非自然画かの相違を前提として、上記のように構成した場合は、画像データが自然画か非自然画かを判断し、その結果に基づいて画素補間処理と階調変換処理との組合せを変えている。この場合、画像データの種類の判断は自ら行うことも可能であるし、外部から判断結果だけを取得して組合せを変更するようにしても良い。このように、補間処理と階調変換処理とをその種類に応じて特定の対応付けをしておく手法は必ずしも実体のある装置に限られる必要はなく、その方法としても機能することは容易に理解できる。
【0137】
このようにすれば、自然画と非自然画とを区別してそれぞれの画質を良好にすることができる。ところで、このような画像データ補間階調変換装置は単独で存在する場合もあるし、ある機器に組み込まれた状態で利用されることもあるなど、発明の思想としてはこれに限らず、各種の態様を含むものである。従って、ソフトウェアであったりハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。
【0138】
発明の思想の具現化例として画像データ補間階調変換装置のソフトウェアとなる場合には、かかるソフトウェアを記録した記録媒体上においても当然に存在し、利用されるといわざるをえない。むろん、その記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし光磁気記録媒体であってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。また、一次複製品、二次複製品などの複製段階については全く問う余地無く同等である。その他、供給方法として通信回線を利用して行なう場合でも本発明が利用されていることにはかわりない。
【0139】
さらに、一部がソフトウェアであって、一部がハードウェアで実現されている場合においても発明の思想において全く異なるものではなく、一部を記録媒体上に記憶しておいて必要に応じて適宜読み込まれるような形態のものとしてあってもよい。所望される印刷品質に応じて対応する補間処理を変更する例としては、さらに各種の例を採用可能である。図49〜図51は、印刷用紙を選択することによって間接的に印刷品質を判断し、最適なパフォーマンスの印刷制御を実施する例を示している。
【0140】
この例では、図49に示すように印刷用紙の種類を表示してユーザーに選択させる。印刷用紙によってインクにじみの発生量や光沢度が相違し、要求する印字品質によって印刷用紙を交換している。「スーパーファイン」は光沢がありにじみの発生がほとんどなく高画質な印字品質を望む場合に利用する。以下、印字品質が低くても良い場合に「ファイン」「普通紙」を使用する。このため、印刷用紙を設定させれば印字品質が分かる。
【0141】
図50のフローチャートに示すように、ステップ400にて図49に示すGUIの設定外面を表示し、操作者に印刷用紙を選択させる。ここで入力された印刷用紙はステップ410にて図51に示すテーブルを参照するのに利用される。すなわち、用紙が「スーパーファイン」であれば、印刷品質は高いものを望まれていることになるから、画素補間処理としては「Mキュービック」を選択しつつ階調変換処理は「誤差拡散法」を選択する。これらはいずれも高画質を期待できる処理である。一方、「普通紙」であれば、印刷品質よりはさほど高いものが望まれておらず、逆に印刷品質は低くても高速処理が望まれていると分かる。このため、画素補間処理としては「ニアリスト」を選択しつつ階調変換処理は「ディザB」を選択する。また、「ファイン」であれば、印刷品質や処理速度の妥協点が求められており、画素補間処理としては「バイリニア」を選択しつつ階調変換処理は「誤差拡散法」を選択する。
【0142】
このテーブルの参照結果は、ステップ420にて画素補間処理を選択する際と、ステップ460にて階調変換処理を選択する際に利用され、ステップ430の「Mキュービック」か、ステップ440の「バイリニア」か、ステップ「450」の「ニアリスト」で画素補間処理が行われ、ステップ470の「誤差拡散法」か、ステップ480の「ディザB」で階調変換処理が行われる。以上のように、印刷用紙を選択することによって印刷品質が判定され、その印刷品質に見合う画質や処理速度の面での最適なパフォーマンスを得ることができる。
【0143】
次に、図52〜図55は、印字ヘッドをオーバーラップして駆動させることによって印刷品質を変更可能な場合に、最適なパフォーマンスを得られる処理の例を示す。まず、オーバーラップについて簡単に説明する。ごく一般的には、印字ヘッドに設けられている一つのノズルは、印刷用紙の幅方向に並ぶ一列のドット列の印字を担当する。これに対して、オーバーラップでは一列のドット列を異なる複数のノズルを使用して印字する。印字密度が高精細化してくると、ノズルから吐出されるインク粒の飛行方向のわずかなずれが白線を生じさせる。例えば、上下に並ぶ二列のドット列を対比したとき、上列を印字するノズルからの飛行方向は上方にずれ、下列を印字するノズルからの飛行方向が下方にずれたとすると、間に白線が生じやすくなる。ノズルからの飛行方向を調整するのは難しいため、上述したように複数のノズルを使用して一列のドット列を印字する。
【0144】
図52にはオーバーラップが2回の例と4回の例を参照して基本原理を示している。印字ヘッドのノズル列が1〜16まであるとすると、オーバーラップしなければ一回の桁移動で16列のドット列を印字できるが、オーバーラップを2回する場合には一列のドット列を1番目のノズル列と9番目のノズル列とを使用して印字する。むろん、先に1番目のノズル列だけを使用して一つ飛びのドット列を印字し、9番目のノズル列だけを使用して一つ飛びのドット列を印字する。次に、印刷用紙を半分の紙送り量で紙送りすると、1番目のノズル列は9番目のノズル列で印字したドット列に対面し、9番目のノズル列は1番目のノズル列で印字したドット列に対面する。1番目のノズル列と9番目のノズルの飛行方向が共に一致するのは稀であるから、印字されるドット列が基準位置から大幅にずれてしまうことが無くなる。
【0145】
図53の(a)はオーバーラップが4回の場合にドット列がどのノズルから吐出されたものか分かるように示しており、同図の(b)はオーバーラップが2回の場合の例を示している。すなわち、各ドットに付した数字がノズルの番号を示している。操作者が所有するカラープリンタで仕上げ用の印字を行なう場合、白線が表れるのであればオーバーラップを指定する。図55に示すステップ500にて印字品質を入力するには、図5454に示す「印字品質(オーバーラップ関連)」のGUI画面を表示し、「高精細」、「精細」、「通常」のいずれかの選択を促す。入力された印字品質に基づいてステップ510で分岐処理を実行し、ステップ520,530,540の各処理ではオーバーラップ回数を示す変数OVER_WRPに対して「4」、「2」、「1」を代入する。また、これと同時に選択された品質に対応してステップ525,535,545の各処理ではフラグ(HOKAN_FLG)に実行すべき補間処理の種類をセットする。ここでは、図51に示すのと同様に、最高品質の場合にはMキュービックを選択し、次に高品質の場合にはバイリニアを選択し、通常の品質の場合にはニアリストを選択する。
【0146】
この後、ステップ550にて色変換処理を実行し、ステップ560にて上記フラグ(HOKAN_FLG)を参照しつつ指示されている補間処理を実行する。また、補間処理を終了したらステップ570にて階調変換処理を実行する。そして、ステップ580にてラスタデータを作成する際にこの変数OVER_WRPを参照してラスタデータを生成していく。ただし、実際の印字処理では、物理的なノズル間隔よりも少ない紙送りを実施してノズル間隔の精細度以上の高精細な印字を行っており、このような印字処理に加えて上述したように一列のドット列を複数のノズルから印字する制御を行っている。以上の例では印字品質を直に選択させているが、実質的にはオーバーラップの回数を選択させており、その印刷品質に対応した補間処理を実現できる。
【0147】
図56と図57は印刷解像度に応じて印字ヘッドの移動方向を制御する例を示している。印字ヘッドを使用して印刷する場合、印字ヘッドを用紙の紙幅方向に往復動させながら紙を送って印刷用紙の全面にわたって印刷を可能としている。当初は、印字ヘッドを一方向に動かすときにだけ印字を行い、逆方向に動かすときには印字を行わないようにしていたが、印字データの順番を逆にし、戻る移動の際にも印字を行うことによって一往復で二列のドット列を印字できるようになった。
【0148】
しかしながら、印刷解像度が極端に向上してきた今日では、機構的なくせなどによって往復の各動作でずれが生じる。このため、印刷ヘッドを往復動作させる指示を与えつつ、高解像度の印刷を指定しても良好な結果を得られないことが多い。これに対して、図57に示すフローチャートのステップ600にて、図56に示すような印刷解像度の設定画面を表示し、印刷解像度を入力しておく。ステップ610ではその印刷解像度が高精細であるか否かに応じてステップ620またはステップ630にて印字方向を示すフラグをセットする。すなわち、印刷解像度が高精細なものを要求されていれば印刷品質の高いものが要求されているのであるからステップ630にて方方向でしか印刷を行わないようにさせるフラグを設定しておくし、印刷解像度が低いものを要求していれば印刷品質も低いもので十分であるからステップ620に双方向でしか印刷を行わせないようにフラグを設定しておく。また、ステップ610の分岐に伴ってステップ625,635の各処理ではフラグ(HOKAN_FLG)に実行すべき補間処理の種類をセットする。ここでは、選択肢が二つとなり、最高品質の場合にはMキュービックを選択し、通常の品質の場合にはニアリストを選択する。この後、ステップ640にて色変換処理を実行し、ステップ565にて上記フラグ(HOKAN_FLG)を参照しつつ指示されている補間処理を実行する。
【0149】
以上のように望まれる印刷品質の高低に応じて印刷品質に影響を与える印刷方向を指定するとともに補間処理を指定することにより、画像処理だけは高度になっても機構的に双方向に印字してしまって画質が低下してしまうというようなことがなくなる。ところで、図44に示す色変換ではRGBからLC、C、LM、M、Y、Kの6色に変換している。異なる色空間の間で独自の座標系を有する場合、色変換は単に計算だけで求められるものではなく、予め両色空間を対応づけた色変換テーブルを利用しなければならない。この色変換テーブルは、サンプリングパッチについてそれぞれの色空間で測色し、同じサンプリングパッチに対する測色データを組み合わせて作成する。ただし、RGBの各色について256階調あれば、その組合せ1670万色となり、全組合せについての色変換テーブルは巨大な容量となる。
【0150】
このため、一般には入力側の階調数を下げたテーブルを用意し、不足分は補間演算で補うことにしている。例えば、各色8階調とすると色変換テーブルは8×8×8の容量となってサイズが減少する。むろん、8×8×8の色変換テーブルでは実際の画像データが一致するわけではないので、実際の色空間で求めようとする画像データを取り囲む最近隣の8つの格子点を探し出し、この8つの格子点との対応関係から補間演算する。この補間演算の簡単な例は8点補演算である。
【0151】
しかし、8点補間演算といっても単純には8つの重みづけ加算とその結果の累算を行うので8回の乗算と7回の加算が必要になり、各画素毎にこの演算を行うのでは処理量が多大になる。この演算量を減らすために本出願人は「プレポスト変換」を実現した。図58と図59はプレポスト変換を簡易に理解するための模式図である。図58に示すように、RGB各256階調であった入力画像データをプレ階調変換部31において各9階調あるいは17階調あるいは33階調に階調変換し、階調変換後に色変換部32にて色補正テーブル33を参照して色変換する。プレ階調変換部31では誤差拡散法で階調変換するが、この誤差拡散法であれば基本的には加減算程度の演算で済むため、8点補間演算と比較して演算量は激減する。
【0152】
ところで、プレ階調変換部31にて階調変換する際、量子化誤差が発生する。誤差拡散によってマクロ的には誤差が発生しないというものの、現実には画質に影響を与える。むろん、量子化誤差は色変換テーブル33のサイズの影響を受け、色変換テーブル33のサイズが大きければ量子化誤差は低減する。この実施形態においては、印刷品質に影響を与える色変換の手法に応じて色補正テーブルのサイズを切り換えることとする。色変換は図60に示すようにドットマトリクス状の構成画素において対象画素を特定し、順次、この対象画素をX−Y方向に走査するように移動させて全画素についての処理を行なう。
【0153】
ステップ710にて図61に示すようなGUI設定画面を表示して操作者から印刷品質に対応する仕上がり画質を入力させ、ステップ720にてこの仕上がり画質に基づいてサイズの異なる色変換テーブルを参照すべくステップ721とステップ723とステップ725へと分岐する。ここでは仕上がり画質は色変換の手法に対応しており、最良の仕上がり画質は最大の色変換テーブルを利用することによって実現され、良好の仕上がり画質は中程度の色変換テーブルを利用することによって実現され、通常の仕上がり画質は最小の色変換テーブルを利用することによって実現される。
【0154】
仕上がり画質が最良のものを望むのであれば、33×33×33階調の色変換テーブルを使用するためにステップ721にてRGB256階調を33階調に誤差拡散によって階調変換し、ステップ722にて同色変換テーブルを参照する。同様にして良好の仕上がり画質を望むのであれば、ステップ723にてRGB256階調を17階調に変換し、ステップ724にて17×17×17階調の色変換テーブルを参照するし、通常の仕上がり画質を望むのであれば、ステップ725にてRGB256階調を9階調に変換し、ステップ726にて9×9×9階調の色変換テーブルを参照する。また、ここでもステップ720の分岐に伴ってステップ727,728,729の各処理ではフラグ(HOKAN_FLG)に実行すべき補間処理の種類をセットする。ここでは、選択肢が三つとなり、図51に示すのと同様に、最高品質の場合にはMキュービックを選択し、次に高品質の場合にはバイリニアを選択し、通常の品質の場合にはニアリストを選択する。この後、ステップ730にて上記フラグ(HOKAN_FLG)を参照しつつ指示されている補間処理を実行する。
【0155】
CMYK色空間における画像データに変換されたら、ステップ740にてプリンタ17bの階調に合わせるべく2階調へと階調変換する。この最終段階における256階調から2階調への色変換がポスト階調変換部33に相当する。以上のように、仕上がり画質を入力することによって印刷品質を判断し、その印刷品質に応じた最適な印刷制御処理を実現するようにしたため、無駄なく最良の画質で印刷処理を行うことが可能となる。このように、コンピュータシステム10を利用した印刷システムにおいて、印刷用紙のような印刷品質に影響を与える要素を選択させることにより(ステップ400)、印刷用紙の選択から印刷品質を推定し、予め対応づけておいた適切な印刷制御を選択しつつ(ステップ410)、この選択した印刷制御を実行するように処理を分岐させるようにした(ステップ420〜ステップ450、ステップ460〜ステップ480)ため、最適な印刷制御を実施できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係る印刷システムを実現するコンピュータシステムのブロック図である。
【図2】 インクジェット方式のカラープリンタの概略ブロック図である。
【図3】 同カラープリンタにおける印字ヘッドユニットの概略説明図である。
【図4】 同印字ヘッドユニットで色インクを吐出させる状況を示す概略説明図である。
【図5】 本印刷システムにおける画像データの流れを示すフロー図である。
【図6】 バブルジェット方式の印字ヘッドで色インクを吐出させる状況を示す概略説明図である。
【図7】 電子写真方式のプリンタの概略説明図である。
【図8】 本発明の印刷用画像データ補間装置の他の適用例を示す概略ブロック図である。
【図9】 本印刷システムの概略構成を示すブロックである。
【図10】 本発明の印刷用画像データ補間装置における印刷処理のフローチャートである。
【図11】 印刷処理の操作ウィンドウを示す図である。
【図12】 プリンタの設定の操作ウィンドウを示す図である。
【図13】 ニアリスト法の概念図である。
【図14】 ニアリスト法で各格子点のデータが移行される状況を示す図である。
【図15】 ニアリスト法の補間前の状況を示す概略図である。
【図16】 ニアリスト法の補間後の状況を示す概略図である。
【図17】 キュービック法の概念図である。
【図18】 キュービック法の具体的適用時におけるデータの変化状況を示す図である。
【図19】 キュービック法の具体的適用例を示す図である。
【図20】 Mキュービック法の具体的適用例を示す図である。
【図21】 整数倍の補間処理を示す概略図である。
【図22】 ドット径を変化させる場合のピエゾ素子に印加する電圧信号波形を示す図である。
【図23】 ドット径を変化させる場合のピエゾ素子に印加する電圧信号波形を示す図である。
【図24】 ドットの吐出タイミングと着紙タイミングとを示す図である。
【図25】 小ドットと中ドットを使用したドット径の変化を示す図である。
【図26】 プリンタの設定の操作ウィンドウを示す図である。
【図27】 階調数を変更可能とした場合の印刷処理のフローチャートである。
【図28】 本発明の一実施形態にかかる印刷システムの概略フローチャートである。
【図29】 印刷処理を実行するプリンタドライバの概略フローチャートである。
【図30】 本発明の画像データ補間階調変換装置の他の適用例を示す概略ブロック図である。
【図31】 本発明の画像データ補間階調変換装置の他の適用例を示す概略ブロック図である。
【図32】 本発明の画像データ補間階調変換装置の他の適用例を示す概略ブロック図である。
【図33】 本発明の画像データ補間階調変換装置の他の適用例を示す概略ブロック図である。
【図34】 プリンタドライバのより詳細なフローチャートである。
【図35】 GUIを利用した設定画面を示す図である。
【図36】 優先順位に基づいて組み合わせた画素補間処理と階調変換処理の対応を示す図表である。
【図37】 画素補間で利用する補間関数の変化を示す図である。
【図38】 中央集点型ディザマトリクスの一例を示す図である。
【図39】 分散型ディザマトリクスの一例を示す図である。
【図40】 中央集点型ディザをベタ画面に適用した場合にドットが付される状況を示す図である。
【図41】 分散型ディザをベタ画面に適用した場合にドットが付される状況を示す図である。
【図42】 誤差拡散法を簡易的に示す図である。
【図43】 ニアリスト法で拡大処理する状況を示す図である。
【図44】 色インク粒の多様性に対応したプリンタドライバの概略フローチャートである。
【図45】 色インク粒が多様化した場合の画素補間処理と階調変換処理の対応を示す図表である。
【図46】 色インク粒が多様化した場合の画素補間処理と階調変換処理の対応を示す図表である。
【図47】 GUIを利用してハーフトーンを指定する場合の設定画面を示す図である。
【図48】 ハーフトーンを指定して画素補間処理が限定される状況を示す図表である。
【図49】 印刷用紙の選択を行う設定画面を示す図である。
【図50】 印刷用紙に基づいて最適な印刷処理を実施するためのフローチャートである。
【図51】 印刷用紙と画素補間処理と階調変換処理との対応を示すテーブルを示す図である。
【図52】 印字ヘッドのオーバーラップ時の動作状況を示す模式図である。
【図53】 オーバーラップによってドット列を印字するときのノズルを示す図である。
【図54】 印字品質の選択を行う設定画面を示す図である。
【図55】 印刷用紙に基づいて最適な印刷処理を実施するためのフローチャートである。
【図56】 印刷解像度の選択を行う設定画面を示す図である。
【図57】 印刷解像度に基づいて最適な印刷処理を実施するためのフローチャートである。
【図58】 プレポスト変換の概略説明図である。
【図59】 プレ階調変換で256階調から33階調へと変換する際の対応関係を示す図である。
【図60】 対象画素を移動させながら色変換を行う過程を示す図である。
【図61】 仕上がり画質の選択を行う設定画面を示す図である。
【図62】 仕上がり画質に基づいて最適な印刷処理を実施するためのフローチャートである。
【符号の説明】
10…コンピュータシステム
11a…スキャナ
11a2…スキャナ
11b…デジタルスチルカメラ
11b1…デジタルスチルカメラ
11b2…デジタルスチルカメラ
11c…ビデオカメラ
12…コンピュータ本体
12a…オペレーティングシステム
12b…ディスプレイドライバ
12b…ドライバ
12c…プリンタドライバ
12d…アプリケーション
13a…フロッピーディスクドライブ
13b…ハードディスク
13c…CD−ROMドライブ
14a…モデム
14a2…モデム
15a…キーボード
15b…マウス
17a…ディスプレイ
17a1…ディスプレイ
17b…カラープリンタ
17b1…カラープリンタ
17b2…カラープリンタ
18a…カラーファクシミリ装置
18b…カラーコピー装置
21…カラーインクジェットプリンタ
22…カラープリンタ
Claims (6)
- 画像を複数の画素で表現した画像データを入力して印刷装置にて印刷させるために画素補間処理と階調変換処理とを含む印刷制御処理を行なう印刷制御装置であって、
印刷用紙に対応する画素補間処理と階調変換処理との組合せを設定する手段と、
印刷する上記印刷用紙に対応した上記組合せを選択する手段と、
上記印刷制御処理では選択された上記組合せの画素補間処理を実行してから同選択された上記組合せの階調変換処理を実行する手段とを具備する特徴とする印刷制御装置。 - 上記画像データは、色分解した各要素色についての多階調データを有し、各要素色ごとに上記組合せが設定可能となっていることを特徴とする請求項1に記載の印刷制御装置。
- 上記印刷装置は濃色系と淡色系の記録材を使用するとともに、上記画素補間処理と上記階調変換処理では、淡色系の記録材に対して画質の良好な画素補間処理と階調変換処理とを実行することを特徴とする請求項1に記載の印刷制御装置。
- 上記印刷装置は大径と小径の記録材を使用するとともに、上記画素補間処理と上記階調変換処理では、小径の記録材に対して画質の良好な画素補間処理と階調変換処理とを実行することを特徴とする請求項1に記載の印刷制御装置。
- 画像を複数の画素で表現した画像データを入力して印刷装置にて印刷させるために画素補間処理と階調変換処理とを含む印刷制御処理を行なう印刷制御方法であって、
印刷用紙に対応する画素補間処理と階調変換処理との組合せを設定する工程と、
印刷する上記印刷用紙に対応した上記組合せを選択する工程と、
上記印刷制御処理では選択された上記組合せの画素補間処理を実行してから同選択された上記組合せの階調変換処理を実行する工程とを行うことを特徴とする印刷制御方法。 - 画像を複数の画素で表現した画像データを入力して印刷装置にて印刷させるために画素補間処理と階調変換処理とを含む印刷制御処理をコンピュータにて実行させる印刷制御プログラムを記録した媒体であって、
印刷用紙に対応する画素補間処理と階調変換処理との組合せを設定する機能と、
印刷する上記印刷用紙に対応した上記組合せを選択する機能と、
上記印刷制御処理では選択された上記組合せの画素補間処理を実行してから同選択された上記組合せの階調変換処理を実行する機能とをコンピュータにて実行させることを特徴とする印刷制御プログラムを記録した媒体。
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