JP4057289B2 - ロック機構 - Google Patents

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崇 雑賀
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ロック部間のロック機構、例えば電気接続箱のロック部とブラケットのロック部とのロック機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車の電気配線に使用する電気接続箱は、ブラケットを介して車体に搭載されることがある。電気接続箱へのブラケットの取り付けは、それぞれにロック部を設け、前記ロック部同士をロックさせて行う。
即ち、図4(a)に示すように、ブラケット1のロック部2にはロック爪3と、ロック爪3の両側に対向するように嵌合条部4が設けられている。ロック爪3は、図5に示すように、片端部が固定された梁のような構造を有する可撓部5の先端に設けられている。
また、図4(b)に示すように、電気接続箱11の側壁に設けられたロック部12には、ロック爪13と、ロック爪13の両側に対向するように嵌合枠部14が設けられている。
上記ロック部2とロック部12のロックは、ロック部2の2個の嵌合条部4をロック部12の2個の嵌合枠部14に下側から挿入して行う。そのために、嵌合条部4は挿入方向の断面がL字状をしており、また、嵌合枠部14は挿入方向の断面がコ字状をしている。
【0003】
図5に示すように、ロック部2の対向する2個の嵌合条部4を、ロック部12の対向する2個の嵌合枠部14に下側から挿入すると、ロック爪3はロック爪13に当たるが、さらに挿入すると、可撓部5が撓むことにより(図5では、可撓部5は左側へ撓む)、ロック爪3はロック爪13を乗り越えて、ロック爪13と係合する。この状態で、嵌合条部4の上端は、嵌合枠部14上端の蓋部14aの内側に近接しているので、ロック部2とロック部12は相互に、上下方向に大きくずれることはなく、ロックされる。
【0004】
通常、電気接続箱11にブラケット1を取り付けて車両に搭載した後は、電気接続箱11とブラケット1を取り外すことは想定されていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の電気接続箱11のロック部12とブラケット1のロック部2とのロック機構には、以下のような問題があった。即ち、
1)図6に示すように、ロック部12の嵌合枠部14とロック部2の嵌合条部4の間には、嵌合した状態で若干の空隙が存在し、嵌合条部4を嵌合枠部14に容易に挿入できるようになっている。そのため、電気接続箱11をブラケット1を介して車体に搭載した場合、車体の振動により電気接続箱11は前後左右にがたつき、嵌合条部4と嵌合枠部14の嵌合面やロック爪3とロック爪13の係合面に摩耗を生じる。
2)ロック部2には下方に、ロック部12には上方に作用する力はすべて、ロック爪3とロック爪13の係合面で受けとめられるため、大きな力が作用すると、ロック爪3とロック爪13は損傷を受けることがある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記問題点を解決すべくなされたもので、請求項1記載の発明は、一方のロック部に他方のロック部を挿入してロックするロック機構であって、一方のロック部は、ロック基体部と、該ロック基体部上の両側に対向するように配置された嵌合枠部と、前記ロック基体部上の前記嵌合枠部間に設けられたロック爪を有し、他方のロック部は、ロック基体部と、該ロック基体部上の両側に対向するように配置された嵌合条部と、前記ロック基体部上の前記嵌合条部間に配置され、挿入方向に対して後端部が前記ロック基体部と一体化して連結され、挿入方向に対して先端部の両側が前記嵌合条部と一体化して連結された、梁状の可撓性のある面と、該可撓性のある面上に設けられたロック爪を有し、前記嵌合枠部の内面は挿入方向に向かって全体にわたり挿入口断面積が減少するよう傾斜しており、前記嵌合条部は挿入方向に向かって全体にわたり嵌合条断面積が減少するよう傾斜しており、前記嵌合枠部内面と、前記嵌合条部外面とが、面接触している状態で嵌合する、ことを特徴とするロック機構である。
【0007】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記嵌合条部は挿入方向に向かって全体にわたり嵌合条断面積が減少するよう厚さおよび幅が傾斜する部分を有することを特徴とするものである。
【0009】
請求項1記載の発明によれば、嵌合枠部の内面は挿入方向に向かって全体にわたり挿入口断面積が減少するよう傾斜しており、また、前記嵌合条部は挿入方向に向かって全体にわたり嵌合条断面積が減少するよう傾斜しているため、嵌合条部を嵌合枠部内に容易に挿入することができる。
【0010】
また、前記嵌合枠部内面と、前記嵌合条部外面とが、面接触している状態で嵌合しているため、振動などの外力が作用しても、互いにロックされたロック部が相互にがたつくことはなくなり、嵌合条部と嵌合枠部の嵌合面や相互に係合されたロック爪の係合面に摩耗が生じるのを防ぐことができる。また、相互にロックされたロック部に挿入方向と逆方向(相互に係合されたロック爪の係合を外す方向)の力が作用した場合、面接触している嵌合条部の外面と嵌合枠部の内面間に摩擦力が発生して、ロック爪の係合面に作用する力は減少するので、ロック爪の損傷を防ぐことができる。
【0011】
さらに、相互に係合されるロック爪のうち少なくとも一方は、挿入方向に対して後端部がロック基体部と一体化して連結され、挿入方向に対して先端部の両側が嵌合条部と一体化して連結された、梁状の可撓性のある面の上に設けられているため、相互に係合したロック爪の係合は、外れにくくなる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1(a)、(b)はそれぞれ、本発明にかかるロック機構の一実施形態である、相互にロックするブラケット21のロック部22および電気接続箱31のロック部32の斜視図である。
また、図2は、ロック部22をロック部32に挿入し、ロック部22とロック部32をロックさせた状態の断面図である。
さらに、図3(a)は図2のA−A断面図、図3(b)は図3(a)のB−B断面図、および図3(c)は図3(a)のC−C断面図である。
【0013】
図1(a)において、23はロック爪、24はロック爪23の両側に対向するように配置された嵌合条部である。ロック爪23は、挿入方向に伸びた帯状の可撓性のある面25上に一体に形成されている。可撓性のある面25は、図2に示すように、挿入方向の一端部25aがロック部22のロック基体部22aと一体化して連結され、他端部25bは両サイドがロック部22の対向する嵌合条部24、24と一体化して連結されている。言い換えると、可撓のある面25は両端部が固定された梁のような構造をしている。
【0014】
また、図1(b)において、33はロック爪、34はロック爪33の両側に対向するように配置された嵌合枠部である。ロック爪33はロック基体部32aに一体化して固定されている。
【0015】
上述のブラケット21のロック部22と電気接続箱31のロック部32とのロックは、ロック部22の対向する嵌合条部24を、ロック部32の対向する嵌合枠部34に挿入して行う。
【0016】
本実施形態が従来例と異なる特徴的なことは、嵌合枠部34の内面は挿入方向に向かって挿入口断面積が減少するよう傾斜しており、嵌合条部24は挿入方向に向かって嵌合条断面積が減少するよう傾斜しており、嵌合条部24と嵌合枠部34は嵌合した状態で面接触していることである。
【0017】
即ち、嵌合条部24は、図1(a)、図3(a)に示すように、挿入方向に直交する断面がL字状をなして、張出部24aを有している。張出部24aは挿入方向に直交する断面が四辺形(厚さT、幅W)であって、図3(b)に示すように、厚さTが挿入方向に薄くなるようにテーパを有し、また、図3(c)に示すように、幅Wが挿入方向に狭くなるように外側が傾斜を有している。言い換えると、嵌合条部24は、挿入方向に向かって嵌合条断面積が減少するように傾斜している。
【0018】
また、嵌合枠部34は、図1(b)、図3(a)に示すように、挿入方向に直交する断面がコ字状をなしており、その内面は挿入方向に向かって挿入口断面積が減少するように傾斜し、嵌合条部24の張出部24aを嵌合枠部34に挿入させて、嵌合条部24と嵌合枠部34が嵌合した状態では、嵌合枠部34と張出部24aが面接触するようになっている。
言い換えると、図3(b)に示すように、嵌合枠部34は、嵌合条部24の張出部24aが挿入する内面34a、34aが傾斜して、張出部24aの厚さTと同様に、挿入方向にテーパを有し、また、図3(c)に示すように、嵌合枠部34の内面34bは、張出部24aと同様に、挿入方向に傾斜を有している。
【0019】
上述のロック部22とロック部32をロックさせるために、ロック部22の対向する嵌合条部24を、ロック部32の対向する嵌合枠部34に挿入していくと、ロック部22のロック爪23はロック部32のロック爪33に当接する。さらに嵌合条部24を挿入すると、ロック爪23は可撓性のある面25の撓みによりロック爪33を乗り越えて、図2に示すように、ロック爪23とロック爪33は係合し、ロック部22とロック部32がロックされる。
【0020】
ロックされた状態で、ロック部22に下方に力が作用し、相対的にロック部32に上方に力が作用すると、ロック爪23とロック爪33の係合により、ロック部22とロック部32の相対的動きが止められる。また、ロック部22に上方に力が作用し、あるいはロック部32に下方に力が作用すると、ロック部22の上端がロック部32の嵌合枠部34の蓋部34cの内側に当接し、ロック部22とロック部32の相対的動きが止められる。
【0021】
本実施形態では、上述のように、嵌合条部24は、張出部24aが挿入方向に向かって嵌合条断面積が減少するように傾斜しており、また、嵌合枠部34の内面は、挿入方向に向かって挿入口断面積が減少するように傾斜している。したがって、嵌合条部24を嵌合枠部34内に容易に挿入することができる。
また、嵌合した状態で、嵌合条部24の張出部24aと嵌合枠部34は面接触しているため、振動などによりロック部22とロック部32が相互にがたつくことはない。
さらに、ロックされたロック部22とロック部32に、挿入方向と逆方向(ロック爪23とロック爪33の係合を外す方向)の力が作用した場合、面接触している嵌合条部24と嵌合枠部34の間に摩擦力が発生して、ロック爪23とロック爪33の係合面に作用する力は減少するので、ロック爪23、33の損傷を防ぐことができる。
【0022】
本実施形態では、前述のように、ロック爪23が形成された可撓性のある面25は、挿入方向の前後両端部が固定されているので、係合しているロック爪23とロック爪33に係合を外す方向の力が作用した場合、図5に示した従来例のように一端部のみが固定され、他端部が自由である可撓部の場合に比して、ロック爪23とロック爪33の係合は外れにくくなる。
【0023】
なお、本実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本願発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0024】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の発明によれば、一方のロック部を他方のロック部に容易に挿入してロックさせることができる。
また、請求項記載の発明によれば、ロックさせた状態で、前記ロック部が相互にがたつくことがなく、また、ロックを外す方向の力が作用した場合、ロック爪の損傷を防ぐこともできるという優れた効果がある。
さらに、請求項記載の発明によれば、互いにロックしたロック爪の係合が外れにくくなるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)、(b)はそれぞれ、本発明にかかるロック機構の一実施形態である、相互にロックするブラケットのロック部の斜視図、および電気接続箱のロック部の斜視図である。
【図2】前記ブラケットのロック部と電気接続箱のロック部がロックした状態の断面図である。
【図3】(a)、(b)、(c)はそれぞれ、図2のA−A断面図、図3(a)のB−B断面図および図3(a)のC−C断面図である。
【図4】(a)、(b)はそれぞれ、従来のブラケットのロック部および電気接続箱のロック部の斜視図である。
【図5】図4に示したブラケットのロック部と電気接続箱のロック部がロックした状態の断面図である。
【図6】図5のA−A断面図である。
【符号の説明】
21 ブラケット
22、32 ロック部
22a、32a ロック基体部
23、33 ロック爪
24 嵌合条部
24a 張出部
25 可撓性のある面
25a、25b 端部
31 電気接続箱
34 嵌合枠部
34a、34b 内面
34c 蓋部

Claims (2)

  1. 一方のロック部に他方のロック部を挿入してロックするロック機構であって、
    一方のロック部は、ロック基体部と、該ロック基体部上の両側に対向するように配置された嵌合枠部と、前記ロック基体部上の前記嵌合枠部間に設けられたロック爪を有し、
    他方のロック部は、ロック基体部と、該ロック基体部上の両側に対向するように配置された嵌合条部と、前記ロック基体部上の前記嵌合条部間に配置され、挿入方向に対して後端部が前記ロック基体部と一体化して連結され、挿入方向に対して先端部の両側が前記嵌合条部と一体化して連結された、梁状の可撓性のある面と、該可撓性のある面上に設けられたロック爪を有し、
    前記嵌合枠部の内面は挿入方向に向かって全体にわたり挿入口断面積が減少するよう傾斜しており、
    前記嵌合条部は挿入方向に向かって全体にわたり嵌合条断面積が減少するよう傾斜しており、
    前記嵌合枠部内面と、前記嵌合条部外面とが、面接触している状態で嵌合する、
    ことを特徴とするロック機構。
  2. 前記嵌合条部は挿入方向に向かって全体にわたり嵌合条断面積が減少するよう厚さおよび幅が傾斜する部分を有することを特徴とする請求項1記載のロック機構。
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