JP4055424B2 - 熱硬化性樹脂組成物及びその使用 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱硬化性樹脂組成物及びこれを用いた電気絶縁材料用プリプレグ及び積層板に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子機器用のプリント配線板として、主にエポキシ樹脂を用いた積層板が広く使用されている。しかしながら、電子機器における実装密度の増大に伴うパターンの細密化、表面実装方式の定着並びに信号伝播速度の高速化と取り扱う信号の高周波化に伴い、プリント配線板材料の低誘電損失化や耐熱性の向上が強く要望されている。
【0003】
エポキシ樹脂を硬化剤とし、スチレンと無水マレイン酸からなる共重合樹脂を使用する樹脂組成物又は積層板の事例として、例えば、特開昭49−109476号公報には、可撓性付与のために、反応性エポキシ希釈剤とアクリロニトリル−ブタジエン共重合体を必須とする、可撓性エポキシ樹脂、スチレンと無水マレイン酸からなる共重合樹脂等による可撓性印刷配線板が記載されている。また、特開平1−221413号公報には、エポキシ樹脂、芳香族ビニル化合物及び無水マレイン酸から得られる酸価が280以上の共重合樹脂、並びにジシアンアミドを含有するエポキシ樹脂化合物が記載されている。更に、特開平9−25349号公報には、ブロム化されたエポキシ樹脂、スチレンと無水マレイン酸の共重合樹脂(エポキシ樹脂硬化剤)、スチレン系化合物、及び溶剤を含むプリプレグ、電気用積層板材料が記載されている。特開平10−17685号公報及び特開平10−17686号公報には、エポキシ樹脂、芳香族ビニル化合物と無水マレイン酸の共重合樹脂、フェノール化合物を含むプリプレグ、電気用積層板材料が記載されている。特表平10−505376号公報には、エポキシ樹脂、カルボン酸無水物型エポキシ樹脂用架橋剤、アリル網目形成化合物を含む樹脂組成物、積層板、プリント配線板が記載されている。しかし、これらはいずれもパターンの細密化、信号の高周波化等に伴い要求されている性能が不充分である、すなわち、低誘電損失性、高耐熱性、高耐湿性及び銅箔との高接着性等における性能が不充分である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記の問題を踏まえ、低誘電損失性、耐熱性、耐湿性及び銅箔との接着性の全てに優れる熱硬化性樹脂組成物及びその使用、例えば、プリプレグ及び積層板等を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一例は、(1)(a)一般式(I):
【0007】
【化6】
【0008】
(式中、R1は、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数1〜5個の炭化水素基であり、R2は、それぞれ、独立して、ハロゲン原子、炭素数1〜5個の脂肪族炭化水素基、又は芳香族炭化水素基であり、xは、0〜3の整数であり、好ましくは0であり、そしてmは、自然数である)で示されるモノマー単位、及び
(b) 一般式(II):
【0009】
【化7】
【0010】
(式中、nは、自然数である)で示されるモノマー単位を含む共重合樹脂;並びに
(2)該成分(1)とともに硬化する熱硬化性樹脂
を含む熱硬化性樹脂組成物であり、かつ、
該組成物の硬化物が、1GHz以上の周波数における比誘電率3.0以下、ガラス転移温度170℃以上であり、該成分(1)のみで構成されていないことを特徴とする熱硬化性樹脂組成物に関する。
【0011】
本発明の一例では、上記の成分(1)に代えて、(1)′上記のモノマー単位(a)及び(b)に加えて、モノマー単位(c)として、一般式(III):
【0012】
【化8】
【0013】
(式中、R3は、ハロゲン原子、炭素数1〜5個の脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、水酸基、チオール基、又はカルボキシル基であり、yは、0〜3の整数であり、好ましくは0であり、そしてrは、自然数である)
で示されるN−フェニルマレイミド及び/又はその誘導体である共重合体樹脂を含む熱硬化性樹脂組成物を用いることが好ましい。また、(2)熱硬化性樹脂は、(2)′1分子中に少なくとも2個のシアネート基を有するシアネート樹脂であることが好ましい。
【0014】
本発明の他の例は、(1)(a)一般式(I):
【0015】
【化9】
【0016】
(式中、R1は、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数1〜5個の炭化水素基であり、R2は、それぞれ、独立して、ハロゲン原子、炭素数1〜5個の脂肪族炭化水素基、又は芳香族炭化水素基であり、xは、0〜3の整数であり、好ましくは0であり、そしてmは、自然数である)で示されるモノマー単位、及び
(b) 一般式(II):
【0017】
【化10】
【0018】
(式中、nは、自然数である)で示されるモノマー単位を含む共重合樹脂、並びに
(2)′1分子中に少なくとも2個のシアネート基を有するシアネート樹脂を含むことを特徴とする熱硬化性樹脂組成物に関する。
【0019】
本発明の他の例では、上記の成分(1)に代えて、(1)′上記のモノマー単位(a)及び(b)に加えて、モノマー単位(c)として、一般式(III):
【0020】
【化11】
【0021】
(式中、R3は、ハロゲン原子、炭素数1〜5個の脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、水酸基、チオール基、又はカルボキシル基であり、yは、0〜3の整数であり、好ましくは0であり、そしてrは、自然数である)で示されるN−フェニルマレイミド及び/又はその誘導体である共重合体樹脂を含む熱硬化性樹脂組成物を用いることが好ましい。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0023】
本発明の成分(1)又は(1)′は、スチレンと無水マレイン酸の共重合樹脂であることができる。本発明によれば、モノマー単位(a)は、例えば、スチレン、1−メチルスチレン、ビニルトルエン、ジメチルスチレン、クロルスチレン及びブロムスチレン等から得られ、1種又は2種以上を混合した化合物から得ることができる。更に、上記のモノマー単位以外にも、各種の重合可能な成分と共重合させてもよく、これら各種の重合可能な成分として、例えば、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソブチレン、アクリロニトリル、塩化ビニル及びフルオロエチレン等のビニル化合物、メチルメタクリレートのようなメタクリレート、及びメチルアクリレートのようなアクリレート等のメタクリロイル基又はアクリロイル基を有する化合物等が挙げられる。ここで、任意に、モノマー単位(a)に、フリーデル・クラフツ反応やリチウム等の金属系触媒を用いた反応を通じて、アリル基、メタクリロイル基、アクリロイル基及びヒドロキシル基等の置換基を導入することができる。
【0024】
本発明によれば、モノマー単位(b)に、各種の水酸基含有化合物、アミノ基含有化合物、シアネート基含有化合物及びエポキシ基含有化合物等を導入することができる。
【0025】
本発明によれば、モノマー単位(c)は、N−フェニルマレイミド又はフェノール性水酸基を有するN−フェニルマレイミドの誘導体が、誘電特性やガラス転移温度の点から好ましく、N−フェニルマレイミドが耐熱性や耐湿性の点から特に好ましい。N−フェニルマレイミドの誘導体の例としては、一般式(IV)〜(IX):
【0026】
【化12】
【0027】
(式中、wは、それぞれ、独立して、1〜3の整数である)で示される化合物等が挙げられる。
【0028】
本発明によれば、成分(1)は、一般式(x):
【0029】
【化13】
【0030】
(式中、R1、R2、m、n及びxは、上記と同義である)で示される共重合樹脂であることが好ましい。R1としては、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数1〜5個の炭化水素基が挙げられ、水素原子又はメチル基が好ましい。R2としては、それぞれ、独立して、ハロゲン原子、炭素数1〜5個の脂肪族炭化水素基、又はモノマー(a)のベンゼン部分と一緒になってナフタレンを形成する基を含む芳香族炭化水素基が挙げられ、水素原子又はメチル基が好ましい。
【0031】
本発明によれば、成分(1)は、一般式(xi):
【0032】
【化14】
【0033】
(式中、R1、m及びnは、上記と同義である)で示される共重合樹脂であることがより好ましい。
【0034】
本発明の成分(1)の共重合組成比m/nは、比誘電率及び誘電正接と、ガラス転移温度、はんだ耐熱性及び銅箔に対する接着性とのバランスを考慮すると、0.8〜19が好ましい。
【0035】
本発明によれば、成分(1)′は、一般式(XII):
【0036】
【化15】
【0037】
(式中、R1、R2、R3、m、n、r、x及びyは、上記と同義である)
で示される共重合樹脂であることが好ましい。R3としては、ハロゲン原子、炭素数1〜5個の脂肪族炭化水素基、モノマー(c)のベンゼン部分と一緒になってナフタレンを形成する基を含む芳香族炭化水素基、水酸基、チオール基、又はカルボキシル基が挙げられ、水素原子又はメチル基が好ましい。
【0038】
本発明によれば、成分(1)′は、一般式(XIII):
【0039】
【化16】
【0040】
(式中、R1、m、n及びrは、上記と同義である)
で示される共重合樹脂であることがより好ましい。
【0041】
本発明の成分(1)′の共重合組成比m/(n+r)は、比誘電率及び誘電正接と、ガラス転移温度、はんだ耐熱性及び銅箔に対する接着性とのバランスを考慮すると、0.8〜19が好ましく、1〜3がより好ましい。
【0042】
本発明の成分(1)′の共重合組成比n/rは、比誘電率及び誘電正接と、ガラス転移温度、はんだ耐熱性及び銅箔に対する接着性とのバランスを考慮すると、1/49〜49が好ましく、1/9〜9がより好ましい。
【0043】
また、成分(1)又は(1)′の重量平均分子量は、耐熱性及び機械強度と200℃以下での成形加工性とのバランスを考慮すると、1,000〜300,000であることが好ましい。なお、重量平均分子量は、溶離液としてテトラヒドロフランを用いたゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーにより測定し、標準ポリスチレン検量線により換算した値である。
【0044】
本発明によれば、成分(1)又は(1)′、及び熱硬化性樹脂を含む樹脂組成物の硬化物は、1GHz以上の周波数における比誘電率が3.0以下であり、かつガラス転移温度が170℃以上であることが好ましい。比誘電率は、低誘電損失と耐熱性及び耐湿性等とのバランスを考慮すると、2.2〜3.0であることがより好ましく、2.4〜2.9であることが特に好ましい。ガラス転移温度は、耐熱性と、樹脂成分の配合、耐湿性及び低誘電損失性等とのバランスを考慮すると、170〜230℃がより好ましく、175〜220℃が特に好ましい。
【0045】
前記共重合樹脂を含む樹脂硬化物の比誘電率を3.0以下に調整し、ガラス転移温度を170℃以上とするために、本発明の樹脂組成物には、成分(1)又は(1)′以外に、該共重合樹脂とともに硬化する熱硬化性樹脂成分を含有させる。このような成分としては、該共重合樹脂とともに硬化する低比誘電率、高ガラス転移温度の樹脂を用いることができ、成分(1)又は(1)′と組み合せて組成物とすることにより、本発明の組成物の比誘電率3.0以下に、そしてガラス転移温度を170℃以上にすることができる。
【0046】
本発明によれば、(2)熱硬化性樹脂は、特に限定されず、本発明の目的を達成する樹脂であれば用いることができる。熱硬化性樹脂の例として、1分子中に少なくとも2個のシアネート基を有するシアネート樹脂が挙げられる。
本発明によれば、(2)′シアネート樹脂に用いるシアネート化合物の具体例としては、2,2−ジ(シアネートフェニル)プロパン、ジ(4−シアネート−3,5−ジメチルフェニル)メタン、ジ(4−シアネートフェニル)チオエーテル、2,2−ジ(4−シアネートフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ジ(シアネートフェニル)エタン、フェノールとジシクロペンタジエン共重合物のシアネート及びフェノールノボラックシアネート等が挙げられ、1種又は2種以上を混合して使用することができる。これらの中で誘電特性や耐熱性の点から2,2−ジ(シアネートフェニル)プロパンがより好ましく、予め自己重合によりトリアジン環を伴う3量体以上を形成させた、3量体以上を混合して含有するものが更に好ましく、比誘電率及び誘電正接と耐熱性及びゲル化防止とのバランスを考慮すると、2,2−ジ(シアネートフェニル)プロパンの10〜90モル%が3量体以上を形成しているものが特に好ましい。
【0047】
また、自己重合によりトリアジン環を伴う3量体以上を形成させる際に、予めシアネート樹脂と共に成分(1)又は(1)′を混合溶解し、成分(1)又は(1)′とシアネート樹脂によるトリアジン環を伴う3量体以上の重合体とのセミIPN(Interpenetrating Polymer Network)構造とすることも有効であり、このセミIPN構造とすることにより、ガラス転移温度や銅箔接着性、誘電特性を向上させることができる。以下、このような成分(1)又は(1)′と、(2)との重合体構造をセミIPNという。
【0048】
また、(2)′シアネート樹脂の硬化触媒の例としては、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸マンガン及びナフテン酸チタン等の有機金属触媒が挙げられ、そして硬化促進剤の例としては、フェノール、ノニルフェノール及びパラクミルフェノール等のモノフェノール化合物、ビスフェノールA、フェノールノボラック樹脂等の多価フェノール化合物が挙げられる。これらの中で硬化触媒としては、誘電特性や耐熱性の点からナフテン酸亜鉛、ナフテン酸マンガンが好ましく、熱硬化反応の際の反応率の点からナフテン酸亜鉛が特に好ましい。また、硬化触媒の使用量は、熱硬化反応の際の反応率、誘電特性や耐熱性と、ゲル化反応の進行、ワニスの安定性化の不足とを考慮すると、シアネート樹脂に対し0.01〜1.00重量%が好ましい。また、硬化促進剤としては、耐熱性の点からモノフェノール化合物が好ましく、誘電特性や耐熱性の点からパラクミルフェノールが特に好ましい。硬化促進剤は、シアネート樹脂のシアネート基当量に対しフェノール性水酸基当量で0.01〜1.00が好ましい。
【0049】
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、成分(1)又は(1)′100重量部に対し、ガラス転移温度、はんだ耐熱性及び銅箔との接着性と、比誘電率及び誘電正接とのバランスを考慮すると、成分(2)は、10〜300重量部とすることが好ましく、50〜300重量部とすることがより好ましく、50〜250重量部とすることが特に好ましい。
【0050】
本発明によれば、成分(3)として、任意に公知のエポキシ樹脂、エポキシ樹脂硬化剤、エポキシ樹脂硬化促進剤、イソシアヌレート化合物及びその硬化触媒、熱可塑性樹脂、エラストマー、難燃剤及び充填剤等を併用することができる。
【0051】
本発明によれば、改質剤として、成分(3)のエポキシ樹脂を用いることが好ましい。エポキシ樹脂を添加することにより、樹脂組成物の耐湿性、耐熱性、特に吸湿後の耐熱性が改善される。エポキシ樹脂は、成分(1)100重量部当たり、0〜300重量部を、樹脂組成物に添加することができる。成分(3)としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂であれば、特に限定されず、例えば、ビスフェノールA系、ビスフェノールF系、ビフェニル系、ノボラック系、多官能フェノール系、ナフタレン系、脂環式系及びアルコール系等のグリシジルエーテル及びこれらのハロゲン化物、グリシジルアミン系並びにグリシジルエステル系等が挙げられ、1種又は2種以上を混合して使用することができる。これらの中で、誘電特性や耐熱性の点から、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、テトラブロムビスフェノールA型エポキシ樹脂及びポリジメチルシロキサン含有エポキシ樹脂等が好ましく、耐湿性及び銅箔接着性の点から、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂が特に好ましい。
【0052】
本発明によれば、エポキシ樹脂の硬化剤の例としては、酸無水物、アミン化合物及びフェノール化合物等が挙げられる。エポキシ樹脂の硬化促進剤の例としては、イミダゾール類及びその誘導体、第三級アミン類及び第四級アンモニウム塩等が挙げられる。
【0053】
本発明によれば、イソシアヌレート化合物の例としては、トリアリルイソシアヌレート、トリメタアリルイソシアヌレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート、トリアクリロイルエチルイソシアヌレート、トリメタクリロイルエチルイソシアヌレート等が挙げられる。これらの中で、低温硬化性の点からトリアリルイソシアヌレート、トリアクリロイルエチルイソシアヌレートが好ましく、誘電特性の点からトリアリルイソシアヌレートが特に好ましい。硬化触媒の例としてはラジカル開始剤であるベンゾイルパーオキサイド、2,5−ジメチル2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3−へキセン−3等の有機過酸化物等が挙げられる。
【0054】
本発明によれば、熱可塑性樹脂の例としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、キシレン樹脂、石油樹脂及びシリコーン樹脂等が挙げられる。
【0055】
本発明によれば、エラストマーの例としては、ポリブタジエン、ポリアクリロニトリル、エポキシ変性ポリブタジエン、無水マレイン酸変性ポリブタジエン、フェノール変性ポリブタジエン及びカルボキシ変性ポリアクリロニトリル等が挙げられる。
【0056】
本発明によれば、難燃剤の例としては、ヘキサブロムベンゼン、ブロム化ポリカーボネート、ブロム化エポキシ樹脂及びブロム化フェノール樹脂等のハロゲン系難燃剤、トリクレジルホスフェート及びトリスジクロロプロピルホスフェート等のリン酸エステル系難燃剤、赤リン、三酸化アンチモン、水酸化アルミニウム及び水酸化マグネシウム等の無機物の難燃剤等が挙げられる。
【0057】
本発明によれば、充填剤の例としては、シリカ、マイカ、タルク、ガラス短繊維又は微粉末及び中空ガラス等の無機物粉末、シリコーンパウダー、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、並びにポリフェニレンエーテル等の有機物粉末等が挙げられる。
【0058】
本発明では、任意に、有機溶剤を使用することができ、特に限定されない。有機溶剤の例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール系溶剤、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族系溶剤、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられ、1種又は2種以上を混合して使用できる。
【0059】
本発明において、任意に、該樹脂組成物、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光重合開始剤、蛍光増白剤及び密着性向上剤等の添加も可能であり、特に限定されない。これらの例としては、ベンゾトリアゾール系等の紫外線吸収剤、ヒンダードフェノール系やスチレン化フェノール等の酸化防止剤、ベンゾフェノン類、ベンジルケタール類、チオキサントン系等の光重合開始剤、スチルベン誘導体等の蛍光増白剤、尿素シラン等の尿素化合物やシランカップリング剤等の密着性向上剤等が挙げられる。
【0060】
本発明のプリプレグは、前記した本発明の熱硬化性樹脂組成物を、基材に含浸又は塗工してなるものである。以下、本発明のプリプレグについて詳述する。
【0061】
本発明のプリプレグは、例えば、成分(1)又は(1)′、及び成分(2)、並びに任意に成分(3)を含む熱硬化性樹脂組成物を、基材に含浸又は塗工し、次いで加熱等により半硬化(Bステージ化)させて、本発明のプリプレグを製造することができる。本発明の基材として、各種の電気絶縁材料用積層板に用いられている周知のものを使用することができる。その材質の例としては、Eガラス、Dガラス、Sガラス及びQガラス等の無機物繊維、ポリイミド、ポリエステル及びポリテトラフルオロエチレン等の有機繊維、並びにそれらの混合物等が挙げられる。これらの基材は、例えば、織布、不織布、ロービンク、チョップドストランドマット及びサーフェシングマット等の形状を有するが、材質及び形状は、目的とする成形物の用途や性能により選択され、必要に応じて単独又は2種類以上の材質及び形状を組み合わせることができる。基材の厚さは、特に制限されず、例えば、約0.03〜0.5mmを使用することができ、シランカップリング剤等で表面処理したもの又は機械的に開繊処理を施したものが、耐熱性や耐湿性、加工性の面から好適である。該基材に対する樹脂組成物の付着量が、乾燥後のプリプレグの樹脂含有率で、20〜90重量%となるように、基材に含浸又は塗工した後、通常、100〜200℃の温度で1〜30分加熱乾燥し、半硬化(Bステージ化)させて、本発明のプリプレグを得ることができる。
【0062】
本発明の積層板は、前述の本発明のプリプレグを用いて、積層成形して、形成することができる。本発明のプリプレグを、例えば、1〜20枚重ね、その片面又は両面に銅及びアルミニウム等の金属箔を配置した構成で積層成形することにより製造することができる。金属箔は、電気絶縁材料用途に用いるものであれば特に制限されない。また、成形条件は、例えば、電気絶縁材料用積層板及び多層板の手法が適用でき、例えば多段プレス、多段真空プレス、連続成形、オートクレーブ成形機等を使用し、温度100〜250℃、圧力2〜100kg/cm2、加熱時間0.1〜5時間の範囲で成形することができる。また、本発明のプリプレグと内層用配線板とを組合せ、積層成形して、多層板を製造することもできる。
【0063】
【実施例】
次に、下記の実施例により本発明を更に詳しく説明するが、これらの実施例は本発明をいかなる意味においても制限するものではない。下記例中の部は特に断らない限り、重量部を意味する。
【0064】
合成例1:成分(1):共重合樹脂溶液(1−1)の調製
温度計、撹拌装置及び還流冷却管を備えた、加熱及び冷却可能な2リットル容の反応容器に、スチレンと無水マレイン酸からの共重合樹脂(エルフ・アトケム社製:商品名SMA1000:式(X)において、m/n=1.3、重量平均分子量:8,000)410g、及びシクロヘキサノン273gを入れ、150〜160℃まで昇温し、24時間還流した。その後約100℃まで冷却し、トルエン398gを添加し、共重合樹脂溶液(固形分:38重量%)(1−1)を得た。
【0065】
合成例2:成分(1):共重合樹脂溶液(1−2)の調製
温度計、撹拌装置及び還流冷却管を備えた、加熱及び冷却可能な2リットル容の反応容器に、スチレンと無水マレイン酸からの共重合樹脂(エルフ・アトケム社製:商品名SMA2000:式(X)において、m/n=2.0、重量平均分子量:9,000)410g、及びシクロヘキサノン273gを入れ、150〜160℃まで昇温し、24時間還流した。その後約100℃まで冷却し、トルエン398gを添加し、共重合樹脂溶液(固形分:39重量%)(1−2)を得た。
【0066】
合成例3:成分(1):共重合樹脂溶液(1−3)の調製
温度計、撹拌装置及び還流冷却管を備えた、加熱及び冷却可能な2リットル容の反応容器に、スチレンと無水マレイン酸からの共重合樹脂(エルフ・アトケム社製:商品名SMA3000:式(X)において、m/n=3.0、重量平均分子量:10,000)410g、及びシクロヘキサノン273gを入れ、150〜160℃まで昇温し、24時間還流した。その後約100℃まで冷却し、トルエン398gを添加し、共重合樹脂溶液(固形分:38重量%)(1−3)を得た。
【0067】
合成例4:成分(1)′:共重合樹脂溶液(1−4)の調製
温度計、撹拌装置、還流冷却管付き水分定量器を備えた、加熱及び冷却可能な2リットル容の反応容器に、スチレンと無水マレイン酸の共重合樹脂(エルフ・アトケム社製、商品名SMA3000)410gとメシチレン273gを入れ、110℃に昇温し、107〜113℃に保ちながらアニリン46.5gを少量づつ滴下した。滴下後110℃で4時間反応を行った後、165℃に昇温し、12時間還流により反応を行った。その後約100℃に冷却してトルエン398gを添加し、スチレンと無水マレイン酸とN−フェニルマレイミドからなる共重合樹脂の溶液(1−4)を得た。(1−4)の固形分は40重量%であり、スチレンと無水マレイン酸とN−フェニルマレイミドの共重合組成比は、成分(1−4)においてm/(n+r)=3、n/r=1であった。また、重量平均分子量は10,000であった。
【0068】
合成例5:成分(1)′:共重合樹脂溶液(1−5)の調製
温度計、撹拌装置、還流冷却管付き水分定量器を備えた、加熱及び冷却可能な1リットル容の反応容器に、スチレンと無水マレイン酸の共重合樹脂(エルフ・アトケム社製、商品名SMA1000)202gとシクロヘキサノン134gを入れ、100℃に昇温し、97〜103℃に保ちながらアニリン46.5gを少量づつ滴下した。滴下後100℃で4時間反応を行った後、155〜160℃に昇温し、12時間還流により反応を行った。その後約100℃に冷却してトルエン159gを添加し、スチレンと無水マレイン酸とN−フェニルマレイミドからなる共重合樹脂の溶液(1−5)を得た。(1−5)の固形分は45重量%であり、スチレンと無水マレイン酸とN−フェニルマレイミドの共重合組成比は、成分(1−5)においてm/(n+r)=1、n/r=1であった。また、重量平均分子量は9,000であった。
【0069】
合成例6:成分(1)′:共重合樹脂溶液(1−6)の調製
温度計、撹拌装置、冷却管及び窒素ガス導入管を備えた、加熱及び冷却可能な2リットル容の反応容器に、スチレン104gと無水マレイン酸19.6gとN−フェニルマレイミド138.4g、及びアゾビスイソブチロニトリル4.0g、ドデカンチオール0.4g、メチルエチルケトン193g、トルエン200gを入れ、窒素雰囲気下70℃で4時間重合反応を行い、スチレンと無水マレイン酸とN−フェニルマレイミドからなる共重合樹脂の溶液(1−6)を得た。(1−6)の固形分は41重量%であり、スチレンと無水マレイン酸とN−フェニルマレイミドの共重合組成比は、成分(1−6)においてm/(n+r)=1、n/r=1/4であった。また、重量平均分子量は20,000であった。
【0070】
合成例7:成分(1):共重合樹脂(1−7)の調製
温度計、撹拌装置及び還流冷却管付き水分定量器を備えた加熱及び冷却可能な2リットル容の反応容器に、スチレン及び無水マレイン酸の共重合樹脂(Dylark社製、商品名Dylark D−232)410g及びシクロヘキサノン273gを入れ、150〜160℃に昇温し、2時間還流して、水分を除去した。その後約100℃に冷却し、トルエン398gを添加して、スチレンと無水マレイン酸からなる共重合樹脂の溶液(1−7)を得た。(1−7)の固形分は38重量%であり、スチレンと無水マレイン酸の共重合組成比は、成分(1−7)においてm/n=11.5であった。また、重量平均分子量は200000であった。
【0071】
合成例8:成分(1):共重合樹脂(1−8)の調製
温度計、撹拌装置及び還流冷却管付き水分定量器を備えた加熱及び冷却可能な2リットル容の反応容器に、スチレンと無水マレイン酸の共重合樹脂(Dylark社製、商品名Dylark D−332)410g及びシクロヘキサノン273gを入れ、150〜160℃に昇温し、2時間還流して、水分を除去した。その後約100℃に冷却し、トルエン398gを添加して、スチレンと無水マレイン酸からなる共重合樹脂の溶液(1−8)を得た。(1−8)の固形分は38重量%であり、スチレンと無水マレイン酸の共重合組成比は、成分(1−8)においてm/n=7.0であった。また、重量平均分子量は150000であった。
【0072】
合成例9:成分(2):シアネート樹脂(2−1)の調製
温度計、撹拌装置及び冷却管を備えた加熱及び冷却可能な3リットル容の反応容器に、2,2−ジ(シアネートフェニル)プロパン1519g、パラクミルフェノール23.1g及びトルエン1022gを入れ、80℃に昇温し、77〜83℃に保ちながら、ナフテン酸亜鉛8重量%溶液0.22gを添加した。添加した後、反応を80℃で3.5時間行い、シアネート樹脂の溶液(2−1)を得た。(2−1)の固形分は61重量%であり、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーを用いた測定により、自己重合により原料である2,2−ジ(シアネートフェニル)プロパンの45モル%が3量体以上の重合体を形成していることを確認した。
【0073】
合成例10:成分(2):シアネート樹脂(2−2)の調製
温度計、撹拌装置及び冷却管を備えた加熱及び冷却可能な3リットル容の反応容器に、2,2−ジ(シアネートフェニル)プロパン1519g、パラクミルフェノール23.1g及びトルエン1022gを入れ、80℃に昇温し、77〜83℃に保ちながら、ナフテン酸亜鉛8重量%溶液0.22gを添加した。添加した後、80℃で1時間反応を行い、シアネート樹脂の溶液(2−2)を得た。(2−2)の固形分は61重量%であり、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーを用いた測定により、自己重合により原料である2,2−ジ(シアネートフェニル)プロパンの20モル%が3量体以上の重合体を形成していることを確認した。
【0074】
合成例11:成分(1)と(2)とのセミIPNの調製
温度計、撹拌装置及び冷却管を備えた加熱及び冷却可能な5リットル容の反応容器に、2,2−ジ(シアネートフェニル)プロパン1519g、パラクミルフェノール23.1g、スチレンと無水マレイン酸の共重合樹脂(Dylark社製、商品名Dylark D−332)1519g、及びトルエン1022gを入れ、100℃に昇温して溶解した。溶解後、97〜103℃に保ちながら、ナフテン酸亜鉛8重量%溶液0.88gを添加した。添加した後、120℃で5時間反応を行い、スチレンと無水マレイン酸の共重合樹脂と、シアネート樹脂によるトリアジン環を伴う3量体以上の重合体とのセミIPN(Interpenetrating Polymer Network)構造の溶液を得た。この固形分は67重量%であり、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーを用いた測定により、自己重合により原料である2,2−ジ(シアネートフェニル)プロパンの60モル%が3量体以上の重合体を形成していることを確認した。なお、スチレンと無水マレイン酸の共重合組成比は、成分(1)においてm/n=7.0であった。
【0075】
比較合成例1:スチレン樹脂(a−1)の調製
温度計、撹拌装置、冷却管及び窒素ガス導入管を備えた加熱及び冷却可能な2リットル容の反応容器に、スチレン277g、アゾビスイソブチロニトリル4.0g、ドデカンチオール0.4g、メチルエチルケトン216g及びトルエン200gを入れ、窒素雰囲気下、重合反応を70℃で4時間行い、スチレン樹脂の溶液(a−1)を得た。(a−1)の固形分は41重量%であった。また、重量平均分子量は20000であった。
【0076】
比較合成例2:比較共重合樹脂(a−2)の調製
温度計、撹拌装置、冷却管及び窒素ガス導入管の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、スチレン104gとN−フェニルマレイミド173g、及びアゾビスイソブチロニトリル4.0g、ドデカンチオール0.4g、メチルエチルケトン216g、トルエン200gを入れ、窒素雰囲気下70℃で4時間重合反応を行い、スチレンとN−フェニルマレイミドからなる共重合樹脂の溶液(a−2)を得た。(a−2)の固形分は41重量%であり、スチレンとN−フェニルマレイミドの共重合組成比は、1:1であった。また、重量平均分子量は200,000であった。
【0077】
実施例1〜12、比較例1〜9
合成例1〜8(1-1〜1−8)、比較合成例1と2(a−1又はa−2)、合成例9及び10(2−1又は2−2)、合成例11(セミIPN)から得られたもの、及び場合により成分(3):エポキシ樹脂及び/又はイソシアヌレート化合物、並びに硬化反応触媒としてトリエチルアミン、ナフテン酸亜鉛及び/又はパラクミルフェノールを、表1〜4に示した配合(重量部)で混合して均一なワニスを得た。このワニスを厚さ0.1mmのEガラスクロスに含浸塗工し、160℃で10分加熱乾燥して樹脂含有量55重量%のプレプリグを得た。
次いで、それぞれのプレプリグを4枚重ね、18μmの電解銅箔を上下に配置し、圧力25kg/cm2、温度185℃で90分プレスして銅張積層板を得た。このようにして得られた銅張積層板を用いて、誘電率(1GHz)、誘電正接(1GHz)、吸湿性(吸水率)、はんだ耐熱性、接着性(ピール強度)、ガラス転移温度について、以下の方法で測定・評価した。
【0078】
(1) 比誘電率及び誘電正接の測定
得られた銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより銅箔を取り除いた評価基板を作製し、Hewllet・Packerd社製比誘電率測定装置(製品名:HP4291B)を用いて、周波数1GHzでの比誘電率及び誘電正接を測定した。
(2)吸湿性(吸水率)の評価
銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより銅箔を取り除いた評価基板を作製し、平山製作所(株)製プレッシャー・クッカー試験装置を用いて、121℃、2atmの条件で4時間までプレッシャー・クッカー処理を行った後、評価基板の吸水率を測定した。
(3)はんだ耐熱性の評価
銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより銅箔を取り除いた評価基板を作製し、温度288℃のはんだ浴に、評価基板を20秒間浸漬した後、外観を観察することによりはんだ耐熱性を評価した。
(4)接着性(ピール強度)の評価
銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより1cm幅の銅箔を形成して評価基板を作製し、レオメータを用いてピール強度を測定した。
(5)ガラス転移温度の測定
銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより銅箔を取り除いた評価基板を作製し、TMA(Thermal Mechanical Analyzer)試験装置(デュポン社製TMA2940)を用いて、昇温速度5℃/分、荷重0.05N、Expansion法、測定温度範囲20〜250℃の条件で、評価基板の熱膨張特性を観察し、熱膨張曲線の屈折点の温度をガラス転移温度とした。
結果を、表1、2(実施例)及び表3、4(比較例)に示した。
【0079】
実施例13〜18、比較例10〜15
合成例1〜8(1-1〜1−8)、比較合成例1と2(a−1又はa−2)、合成例9及び10(2−1又は2−2)、合成例11(セミIPN)から得られたもの、及び成分(3):エポキシ樹脂及び/又はイソシアヌレート化合物、また硬化反応触媒としてトリエチルアミン、ナフテン酸亜鉛、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3−へキサ−3−エン及び/又はパラクミルフェノールを、表5と表6に示した配合割合(重量部)で混合して均一なワニスを得た。
次に、このワニスをPETフィルム上に展開し、160℃で10分加熱乾燥してキャスト法により固形分を取り出した。次に、この固形分を用いて、圧力25kg/cm2、温度185℃で90分間プレスを行って、樹脂板を得た。このようにして得られた樹脂板を用いて、比誘電率(1GHz)、誘電正接(1GHz)、ガラス転移温度について、以下の方法で測定した。
【0080】
(6) 樹脂板の比誘電率及び誘電正接の測定
Hewllet・Packerd社製比誘電率測定装置(製品名:HP4291B)を用いて、得られた樹脂板の周波数1GHzでの比誘電率及び誘電正接を測定した。
(7)ガラス転移温度の測定
得られた樹脂板の熱膨張特性を、TMA試験装置(デュポン社製TMA2940)を用いて、昇温速度5℃/分、荷重0.05N、Expansion法、測定温度範囲20〜250℃の条件で、評価基板の熱膨張特性を観察し、熱膨張曲線の屈折点の温度をガラス転移温度とした。
また、上記ワニスを厚さ0.1mmのEガラスクロスに含浸塗工し、160℃で10分加熱乾燥して樹脂含有量55重量%のプリプレグを得た。次に、このプリプレグを4枚重ね、18μmの電解銅箔を上下に配置し、圧力25kg/cm2、温度185℃で90分間プレスを行って、銅張積層板を得た。このようにして得られた銅張積層板を用いて、比誘電率(1GHz)、誘電正接(1GHz)、吸湿性(吸水率)、はんだ耐熱性、接着性(ピール強度)、ガラス転移温度について前述の実施例1と同様の方法で測定又は評価した。
表5(実施例)及び6(比較例)に結果を示した。
【0081】
下記表中、成分(1)〜(3)は固形分の重量部により示されている。
注書きは、それぞれ、*1:ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、*2:ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、*3:トリエチルアミン、*4:ナフテン酸亜鉛8重量%溶液、*5:パラクミルフェノール、*6:ビフェニル型エポキシ樹脂、*7:トリアリルイソシアヌレート、*8:2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3−へキサ−3−エンを意味する。
【0082】
【表1】
【0083】
【表2】
【0084】
【表3】
【0085】
【表4】
【0086】
【表5】
【0087】
【表6】
【0088】
表から明らかなように、本発明の実施例は、低誘電性、低誘電正接性、耐熱性、耐湿性及び銅箔との接着性の全てに優れている。
【0089】
一方、比較例は、低誘電性、低誘電正接性、耐熱性、耐湿性及び銅箔との接着性という特性の全てを満たすものはなく、いずれかの特性に劣っている。
【0090】
【発明の効果】
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、低誘電性、低誘電正接性、耐熱性、耐湿性及び銅箔との接着性に優れ、該組成物を基材に含浸又は塗工して得たプレプリグ、及び該プレプリグを積層成形することにより製造した積層板は、低誘電性、低誘電正接性、耐熱性、耐湿性及び銅箔との接着性に優れ、電子機器用プリント配線板として有用である。
Claims (12)
- (1)共重合樹脂:(a)一般式(I)及び(b)一般式( II ):
(2)2,2−ジ(シアネートフェニル)プロパン
を含む熱硬化性樹脂組成物であり、かつ、
該組成物の硬化物が、1GHz以上の周波数における比誘電率3.0以下、ガラス転移温度170℃以上であることを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。 - 該成分(1)が、該一般式(I)及び(II)から形成される共重合樹脂である、請求項1記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 該成分(1)100重量部当たり、該成分(2)又は(2)′ 10〜300重量部を含む、請求項1〜3のいずれか1項記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 該成分(1)において、モノマー単位の共重合組成比m/nが、0.8〜19である、請求項1〜4のいずれか1項記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 該成分(1)において、xが、0である、請求項1〜5のいずれか1項記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 該成分(1)′において、モノマー単位の共重合組成比m/(n+r)が、0.8〜19である、請求項7記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 該成分(1)′において、モノマー単位の共重合組成比n/rが、1/9〜9である、請求項7又は8記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 更に、(3)エポキシ樹脂及び/又はイソシアヌレート化合物を含む、請求項1〜9のいずれか1項記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 請求項1〜10のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物を用いたプリプレグ。
- 請求項11記載のプリプレグを用いて積層形成した積層板。
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