JP4051259B2 - 自動車の側突用エアバッグ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、自動車の側突用エアバッグ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車の車体における乗員頭部よりも高い位置には、サイドルーフレールが配され、このサイドルーフレールに沿って、側面衝突時における乗員保護用のエアバッグが設けられてなる。このエアバッグは、センタピラーを越えて前後方向に延びる前後長さを有し、上下方向で折りたたまれた状態で、前記サイドレールに対して、その上端部が固定されてなる。
【0003】
そして、自動車の側面衝突時に、インフレータのガスがエアバッグ内に噴射されることにより、エアバッグがヘッドライニングの下端部を車室内側へ押し開きながら下方へ向けてカーテン状に展開し、乗員の頭部を保護するようになっている。
【0004】
但し、センタピラーの車室内側には、内装材としてガーニッシュが取付けられており、このガーニッシュが自動車の側面衝突時に車室内側に押し出されて、センタピラーとの隙間が広がるため、エアバッグが車室内側へ展開せずに、このガーニッシュとセンタピラーとの隙間に入り込んでしまうおそれがある。そのため、従来は、ガーニッシュの上端部に、エアバッグの隙間への侵入を防止するガイド壁を形成し、このガイド壁によりエアバッグの展開方向を車室内側へ導いている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特許第3125729号公報(図5、図6図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の技術にあっては、エアバッグがガーニッシュ上端部とセンタピラーとの隙間に侵入するのを防止するために、ガーニッシュの上端部にガイド壁を形成してなるため、ガーニッシュの構造が複雑になり、ガーニッシュの成形が難しくなると共に、ガイド壁を形成したことにより、ガーニッシュの表面にヒケや歪みが生じ、内装材としてのガーニッシュの外観品質にも悪影響を与えている。
【0007】
この発明は、このような従来の技術に着目してなされたものであり、ガーニッシュにガイド壁を形成せずに、エアバッグを確実に車室内側へ展開させることができる自動車の側突用エアバッグ装置を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、車室内側にガーニッシュを取付けたセンタピラーの上端部が結合されてなる車体上部に、該センタピラーを越えて前後方向に延びる前後長さを有するエアバッグが上下方向で折りたたまれた状態で収納され、該エアバッグが自動車の側面衝突時にヘッドライニングの下端部を車室内側へ押し開きながら下方へ向けてカーテン状に展開する自動車の側突用エアバッグ装置であって、前記エアバッグのガーニッシュ上端部に対応する位置で前記エアバッグの車外側面に、ガーニッシュ上端部とセンタピラーとの隙間内に前記エアバッグより早く膨張可能な小バッグ部を、エアバッグの内部空間と連通状態で形成したことを特徴とする。
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、小バッグ部がエアバッグの膨張より早くガーニッシュ上端部とセンタピラーとの隙間内で膨張して隙間を塞ぐため、エアバッグは隙間内に入り込むことなく、確実に車室内側に導かれて展開する。しかも、エアバッグの車外側面に配された小バッグ部が、展開初期において膨張することによりエアバッグ自体が小バッグ部によって車室内側に押し出されるため、その後のエアバッグの展開をガーニッシュからなるべく離れた開放空間で確実に行うことができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、前記エアバッグが2つの膨張を前後に有すると共に両膨張の上部同士が筒状の連通部にて連結され、前記小バッグ部が該連通部付近に形成されてなることを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、小バッグ部がエアバッグにおいて最初に膨張する連通部付近に形成されてなるため、小バッグ部をエアバッグの膨張より早期に膨張させて隙間を塞ぎ、エアバッグの展開を確実に車室内側へ導くことができる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、小バッグ部が、エアバッグの折りたたみ収納状態で、ガーニッシュ上端部とセンタピラーとの隙間内に位置決めされてなることを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、小バッグ部を予め隙間内に位置させてなるため、小バッグ部を隙間内で確実に膨張させることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の一実施形態を図1〜図5に基づいて説明する。図1は、自動車の側部の上部を車室内側から見た図で、エアバッグ1が展開した状態を示している。符号2はフロントピラー、3はセンタピラー、4はリヤピラーを示している。各ピラー2、3、4の上部には、前後方向に沿ってサイドルーフレール5が形成されてなる。
【0015】
このサイドルーフレール5に沿った状態で、センタピラー3を越えて前後方向に延びる長さを有するエアバッグ1が、図3に示すように、上下方向で折り畳まれた状態で取付けられている。取付けられたエアバッグ1は、ヘッドライニング6の左右両端部により覆われ、車室内側からは見えないようになっている。折りたたまれたエアバッグ1のセンタピラー3に対応する部分は、断面が逆L形の押さえブラケット7が設けられている。この押さえブラケット7は、エアバッグ1の上方への膨張を規制するためのものである。また、センタピラー3の車室内側には、内装材としてのガーニッシュ8が取付けられている。
【0016】
エアバッグ1は2枚の基布を縫合した袋状で、上端部の数カ所がブラケット9を介してサイドルーフレール5に固定されている。エアバッグ1を構成する2枚の基布のうち、車外側の基布は前後方向で略同じ幅だが、車室内側の基布だけが裁断されて、前席乗員に対応する前席膨張部10と、後席乗員に対応する後席膨張部11とが形成されるようになっている。
【0017】
後席膨張部11には上下2本のシール部12が形成され、後席膨張部11を上下方向で3つの空間に分割している。前席膨張部10には前後2本のシール部13が2本形成され、前席膨張部10を前後方向で3つの空間に分割している。
【0018】
後席膨張部11の上部後端には筒状のガス導入口14が形成され、そこからリアピラー4に固設されたインフレータ15から噴き出されるガスを後席膨張部11内に収納できるようになっている。また、後席膨張部11と前席膨張部10との間には、前記ガス導入口14から連続した状態で、後席膨張部11と前席膨張部10の上部同士を連結する筒状の連通部16が設けられている。
【0019】
この連通部16の前端付近にセンタピラー3が位置しており、このセンタピラー3に対応するエアバッグ1の車外側面に、エアバッグ1とガス孔17を介して連通した小バッグ部18が形成されている。この小バッグ部18は、エアバッグ1とは別の基布で形成され、縫製によりエアバッグ1に取付けた構造になっている(尚、最初からエアバッグ1と一体に形成しても良い)。
【0020】
この小バッグ部18は、ガーニッシュ8の上端部に対応する高さに取付けられ、ガス孔17は連通部16に形成されている。この小バッグ部18は、折りたたみ収納された状態で、ちょうどガーニッシュ8の上端部と、センタピラー3との間の隙間S内に位置するようにセットされている。
【0021】
エアバッグ1の前席膨張部10よりも前側の余剰基布部分には、一端がエアバッグ1に縫製され、他端がフロントピラー2に取けられたストラップ19が設けられている。このストラップ19は、エアバッグ1が下向きに展開する際に、エアバッグ1を前側へ引っ張って、前後方向への展開を助けるためのものである。
【0022】
次に、このエアバッグ1の展開状態を図4及び図5に基づいて説明する。自動車が側面衝突を起こすと、図示せぬセンサーからインフレータ15に信号が送られ、インフレータ15が作動してガスをガス導入口14から後席膨張部11の上部に噴射する。また、側面衝突の衝撃で、乗員Mの頭部は瞬間的に車外側へ変位する(図4に破線から実線の位置に移動)。後席膨張部11内に噴射されたガスは、連通部16に導かれる。
【0023】
このように、インフレータ15のガスは、最初にエアバッグ1の上部の連通部16に導かれるため、エアバッグ1は連通部16から膨張し始める。従って、その連通部16に形成したガス孔17を介して連通している小バッグ部18は、早期に膨張し、ガーニッシュ8の上端部とセンタピラー3との隙間Sを塞ぐ。次に、連通部16に至る前の後席膨張部11及び連通部16を通過した後の前席膨張部10が膨張することで、ガーニッシュ8の上端部が車内側に押し出されて、隙間Sが広がると共に、小バッグ部18はエアバッグ1の膨張に追従して膨張するため、隙間Sを小バッグ部18により完全に塞ぐことができる(図4参照)。
【0024】
そのため、膨張して展開するエアバッグ1が、ガーニッシュ8の上端部とセンタピラー3との隙間に入り込むことはなく、確実に車室内側に導かれて展開する(図4,5参照)。しかも、展開初期において、小バッグ部18の膨張によりエアバッグ1自体が車室内側に押し出され、エアバッグ1の展開がガーニッシュ8からなるべく離れた開放空間で行われるため、ガーニッシュ8に突起部(例えば、シートベルトアジャスター)等が形成されていても、それらと干渉することなく、確実に下方へ展開する。
【0025】
尚、以上の実施形態では、エアバッグ1の折りたたみ収納状態において、小バッグ部18を予め隙間S内に位置させたが、必ずしも最初から位置させておく必要はない。要は、小バッグ部18が隙間S内において膨張すれば良いため、エアバッグ1の「折りたたみ方」や、小バッグ部18の「構造・形状」を工夫することで、小バッグ部18が展開過程において隙間S内に入り込んで、そこで膨張するようにしても良い。
【0026】
【発明の効果】
この発明によれば、小バッグ部がエアバッグの膨張より早くガーニッシュ上端部とセンタピラーとの隙間内で膨張して隙間を塞ぐため、エアバッグは隙間内に入り込むことなく、確実に車室内側に導かれて展開する。しかも、エアバッグの車外側面に配された小バッグ部が、展開初期において膨張することによりエアバッグ自体が小バッグ部によって車室内側に押し出されるため、その後のエアバッグの展開をガーニッシュからなるべく離れた開放空間で確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の一実施形態に係るエアバッグが下向きに展開した状態を示す車室内斜視図。
【図2】 小バッグ部が形成されたエアバッグを車外側から見た斜視図。
【図3】 図1中矢示SA−SA線に沿うエアバッグの膨張前の状態を示す断面図。
【図4】 エアバッグの膨張過程の状態を示す図3相当の断面図。
【図5】 エアバッグの膨張後の状態を示す図3相当の断面図。
【符号の説明】
1 エアバッグ
3 センタピラー
6 ヘッドライニング
8 ガーニッシュ
前席膨張部
11 後席膨張部
16 連通部
18 小バッグ部
S 隙間
M 乗員頭部

Claims (3)

  1. 車室内側にガーニッシュを取付けたセンタピラーの上端部が結合されている車体上部に、該センタピラーを越えて前後方向に延びる前後長さを有するエアバッグが上下方向で折りたたまれた状態で収納され、該エアバッグが自動車の側面衝突時にヘッドライニングの下端部を車室内側へ押し開きながら下方へ向けてカーテン状に展開する自動車の側突用エアバッグ装置であって、
    前記エアバッグのガーニッシュ上端部に対応する位置で前記エアバッグの車外側面に、ガーニッシュ上端部とセンタピラーとの隙間内に前記エアバッグより早く膨張可能な小バッグ部を、エアバッグの内部空間と連通状態で形成したことを特徴とする自動車の側突用エアバッグ装置。
  2. 請求項1に記載の自動車の側突用エアバッグ装置であって、 前記エアバッグが、2つの膨張を前後に有すると共に両膨張の上部同士が筒状の連通部にて連結されてなり、
    前記小バッグ部が、該連通部付近に形成されてなることを特徴とする自動車の側突用エアバッグ装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の自動車の側突用エアバッグ装置であって、
    前記小バッグ部が、エアバッグの折りたたみ収納状態で、ガーニッシュ上端部とセンタピラーとの隙間内に位置決めされてなることを特徴とする自動車の側突用エアバッグ装置。
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