JP4048686B2 - 黒インクを使用するカラー印刷において中央近辺のブラックノズルを使用する印刷 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、主走査を行いつつ印刷媒体上に画像を印刷する技術に関し、特に、カラー印刷時にブラックインクを使用して印刷を行う技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、コンピュータの出力装置として、数色のインクをヘッドから吐出するタイプのカラープリンタが広く普及している。このようなインクジェット型カラープリンタの中には、他の色のインクを吐出するノズルの数に比べてブラックインクを吐出するノズルの数が多く設けられているものがある。これは、ブラックインクのみ使用するモノクロ印刷の際に、高速に印刷を行うためである。このような印刷装置においては、各色等しい密度のカラー印刷を行うときには、ブラックインクを吐出するノズルについても、他の色のインクを吐出するノズルと同数のノズルだけが使用される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
プリンタの製造の際には、印刷ヘッドが設計の向きからわずかに傾いて取り付けられることがある。そのような場合には、主走査、副走査において印刷ヘッドが正確に送られても、印刷媒体へ上でのドットの形成位置がずれてしまうという問題がある。
【0004】
この発明は、従来技術における上述の課題を解決するためになされたものであり、カラープリンタにおいてカラー印刷を行う際の、印刷ヘッドの傾きに起因するブラックインクのドット記録位置ズレを低減することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
上述の課題の少なくとも一部を解決するため、本発明では以下の構成を採用した。本発明の印刷装置は、同一色のインク滴を吐出する複数のノズルからなるノズル群を複数備えた印刷ヘッドを有する。ノズル群は、ブラックインクを吐出するためのブラックノズル群と、複数の有彩色インクを吐出するための複数の有彩色ノズル群と、を含み、そのブラックノズル群は、他の色のインクを吐出するノズル群に比べて多数のノズルを含む。そして、ブラックインクを使用するカラー印刷の際に、ブラックノズル群のノズルのうち、副走査方向について両端に位置するノズル以外のノズルを使用して印刷を行う。
【0006】
印刷ヘッド上において互いに距離が離れたノズルは、印刷ヘッドが傾くと、異なった向き、異なった方向にずれる。よって、そのようなノズルによって記録されるドットも記録位置がずれることとなる。しかし、上記のような態様とすれば、ブラックノズルのうちの互いに離れたノズルは使用しないので、画質の劣化を低減することができる。
【0007】
なお、ブラックインクを使用するカラー印刷の際に、ブラックノズル群のノズルのうち、副走査方向について中央に位置するノズルを含む所定数のノズルを使用することが好ましい。さらに、ブラックインクを使用するカラー印刷の際に、ブラックノズル群のノズルのうち、副走査方向について略中央に位置する所定数のノズルを使用することが好ましい。このような態様とすれば、ブラック以外の色のドットとブラックドットとのドット記録位置ずれを少なくすることができる。
【0008】
また、ブラックインクを使用するカラー印刷の際に、ブラックを含む各色のインクを吐出するノズルについて、それぞれ同一数のノズルを使用することが好ましい。このような態様とすれば、各色について等しい密度でドットを記録する場合に、各色、同等の速度でドットを記録していくことができる。
【0009】
なお、複数の有彩色ノズル群が、イエロインクを吐出するイエロノズル群を含み、イエロノズル群が、ブラックノズル群よりも副走査方向について狭い範囲に配されている場合は、次のようにすることが好ましい。すなわち、ブラックインクを使用するカラー印刷の際に、ブラックノズル群のノズルのうち、副走査方向についてイエロノズル群のノズルと重ならない位置にあるノズルを使用する。ブラックインクとイエロインクは、近接する画素または同一の画素に、時間を空けないで打ち込むと、にじみやすい。しかし、上記のような態様とすれば、副走査送りを経なければ同一ラスタにブラックインクとイエロインクが吐出されることはないため、にじみが生じる可能性を低減することができる。
【0010】
なお、本発明は、以下に示すような種々の態様で実現することが可能である。
(1)印刷装置、印刷制御装置。
(2)印刷方法、印刷制御方法。
(3)上記の装置や方法を実現するためのコンピュータプログラム。
(4)上記の装置や方法を実現するためのコンピュータプログラムを記録した記録媒体。
(5)上記の装置や方法を実現するためのコンピュータプログラムを含み搬送波内に具現化されたデータ信号。
【0011】
【発明の実施の形態】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
A.装置の構成:
B.印刷方法:
C.比較例:
D.変形例:
【0012】
A.装置の構成:
図1は、本発明の第1の実施例としての画像処理装置および印刷装置の構成を示すブロック図である。図示するように、コンピュータ90にスキャナ12とプリンタ22とが接続されている。このコンピュータ90に所定のプログラムがロードされ実行されることにより画像処理装置として機能する他、プリンタ22と併せて印刷装置として機能する。このコンピュータ90は、プログラムに従って画像処理に関わる動作を制御するための各種演算処理を実行するCPU81を中心に、バス80により相互に接続された次の各部を備える。ROM82は、CPU81で各種演算処理を実行するのに必要な各種プログラムやデータを予め格納しており、RAM83は、同じくCPU81で各種演算処理を実行するのに必要な各種プログラムやデータが一時的に読み書きされるメモリである。入力インタフェース84は、スキャナ12やキーボード14からの信号の入力を司り、出力インタフェース85は、プリンタ22へのデータの出力を司る。CRTC86は、カラー表示可能なCRT21への信号出力を制御し、ディスクコントローラ(DDC)87は、ハードディスク16やフレキシブルドライブ15あるいは図示しないCD−ROMドライブとの間のデータの授受を制御する。ハードディスク16には、RAM83にロードされて実行される各種プログラムやデバイスドライバの形式で提供される各種プログラムなどが記憶されている。
【0013】
この他、バス80には、シリアル入出力インタフェース(SIO)88が接続されている。このSIO88は、モデム18に接続されており、モデム18を介して、公衆電話回線PNTに接続されている。コンピュータ90は、このSIO88およびモデム18を介して、外部のネットワークに接続されており、特定のサーバSVに接続することにより、画像処理に必要なプログラムをハードディスク16にダウンロードすることも可能である。また、必要なプログラムをフレキシブルディスクFDやCD−ROMによりロードし、コンピュータ90に実行させることも可能である。
【0014】
図2は、本印刷装置のソフトウェアの構成を示すブロック図である。コンピュータ90では、所定のオペレーティングシステムの下で、アプリケーションプログラム95が動作している。オペレーティングシステムには、ビデオドライバ91やプリンタドライバ96が組み込まれており、アプリケーションプログラム95からは、これらのドライバを介して、プリンタ22に転送するための画像データFNLが出力されることになる。画像のレタッチなどを行うアプリケーションプログラム95は、スキャナ12から画像を読み込み、これに対して所定の処理を行いつつビデオドライバ91を介してCRT21に画像を表示している。スキャナ12から供給されるデータORGは、カラー原稿から読み取られ、レッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)の3色の色成分からなる原カラー画像データORGである。
【0015】
このアプリケーションプログ95ラムが、印刷命令を発すると、コンピュータ90のプリンタドライバ96が、画像データをアプリケーションプログラム95から受け取り、これをプリンタ22が処理可能な信号(ここではシアン、マゼンタ、イエロ、ブラックの各色についての多値化された信号)に変換している。図2に示した例では、プリンタドライバ96の内部には、解像度変換モジュール97と、色補正モジュール98と、ハーフトーンモジュール99と、ラスタライザ100とが備えられている。また、色補正テーブルLUT、ドット形成パターンテーブルDTも記憶されている。
【0016】
解像度変換モジュール97は、アプリケーションプログラム95が扱っているカラー画像データの解像度、即ち、単位長さ当りの画素数をプリンタドライバ96が扱うことができる解像度に変換する役割を果たす。こうして解像度変換された画像データは、まだRGBの3色からなる画像情報であるから、色補正モジュール98は色補正テーブルLUTを参照しつつ、各画素ごとにプリンタ22が使用するシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロ(Y)、ブラック(K)の各色のデータに変換する。
【0017】
色補正されたデータは、例えば256階調等の幅で階調値を有している。ハーフトーンモジュール99は、ドットを分散して形成することによりプリンタ22で、この階調値を表現するためのハーフトーン処理を実行する。ハーフトーンモジュール99は、ドット形成パターンテーブルDTを参照することにより、画像データの階調値に応じて、それぞれのインクドットのドット形成パターンを設定した上で、ハーフトーン処理を実行する。こうして処理された画像データは、ラスタライザ100によりプリンタ22に転送すべきデータ順に並べ替えられ、最終的な画像データFNLとして出力される。本実施例では、プリンタ22は画像データFNLに従ってインクドットを形成する役割を果たすのみであり画像処理は行っていないが、勿論これらの処理をプリンタ22で行うものとしても差し支えない。
【0018】
次に、図3によりプリンタ22の概略構成を説明する。図示するように、このプリンタ22は、紙送りモータ23によって用紙Pを搬送する機構と、キャリッジモータ24によってキャリッジ31をプラテン26の軸方向に往復動させる機構と、キャリッジ31に搭載されたインクヘッド28を駆動してインクの吐出およびインクドットの形成を行う機構と、これらの紙送りモータ23、キャリッジモータ24、インクヘッド28および操作パネル32との信号のやり取りを司る制御回路40とから構成されている。
【0019】
キャリッジ31をプラテン26の軸方向に往復動させる機構は、プラテン26の軸と平行に架設され、キャリッジ31を摺動可能に保持する摺動軸34とキャリッジモータ24との間に無端の駆動ベルト36を張設するプーリ38と、キャリッジ31の原点位置を検出する位置検出センサ39等から構成されている。
【0020】
なお、このキャリッジ31には、ブラックインク用のカートリッジ71とシアン、マゼンタ、イエロの3色のインクを収納したカラーインク用カートリッジ72が搭載可能である。キャリッジ31の下部のインクヘッド28には、計6個のノズルユニット61a〜cおよび62,64,66が形成されており、キャリッジ31の底部には、この各色用ヘッドにインクタンクからのインクを導く導入管が立設されている。キャリッジ31にブラックインク用のカートリッジ71およびカラーインク用カートリッジ72を上方から装着すると、各カートリッジに設けられた接続孔に導入管が挿入され、各インクカートリッジからノズルユニット61a〜c,62,64,66へのインクの供給が可能となる。
【0021】
インクの吐出およびインクドット形成を行う機構について説明する。インク用カートリッジ71、72がキャリッジ31に装着されると、インク用カートリッジ内のインクが導入管を介して吸い出され、キャリッジ31下部に設けられたインクヘッド28の各ノズルユニットに導かれる。なお、初めてインクカートリッジが装着された時には、専用のポンプによりインクを各ノズルユニットに吸引する動作が行われる。
【0022】
ノズルユニット61a〜cおよび62,64、66には、各色毎に48個(24個×2列)のノズルが設けられており、各ノズル毎に電歪素子の一つであって応答性に優れたピエゾ素子が配置されている。これらの各ノズルユニットに配されるノズルは、同一色のインク滴を吐出する複数のノズルからなるノズル群である。ピエゾ素子は、ノズルまでインクを導くインク通路に接する位置に設置されている。ピエゾ素子は、周知のように、電圧の印加により結晶構造が歪み、極めて高速に電気―機械エネルギの変換を行う素子である。本実施例では、ピエゾ素子の両端に設けられた電極間に所定時間幅の電圧を印加することにより、ピエゾ素子が電圧の印加時間だけ伸張し、インク通路の一側壁を変形させる。この結果、インク通路の体積はピエゾ素子の伸張に応じて収縮し、この収縮分に相当するインクが粒子となってノズルの先端より高速に吐出される。このインク粒子がプラテン26に装着された用紙Pに染み込むことにより印刷が行われる。なお、48個のノズルの副走査方向(主走査と直交する用紙Pの搬送方向)の位置は互いに一致するように設けられている。それらは千鳥状に配置しても良いし、一直線上に配置しても良い。但し、千鳥状にすれば、製造上、ノズルピッチを小さく設定し易いという利点がある。
【0023】
図4は、印刷ヘッドユニット60における各色ごとのノズルユニットの配列の例を示す平面図である。各ノズルユニットの配置は、ブラック(K)のノズルユニット61a〜cがその順に副走査方向に並び、そのとなりに、シアン(C)のノズルユニット62、マゼンタ(M)のノズルユニット64、イエロー(Y)のノズルユニット66がその順に副走査方向に並んでいる。また、ノズルユニット61a(K)とノズルユニット62(C)の組、ノズルユニット61b(K)とノズルユニット64(M)の組、ノズルユニット61c(K)とノズルユニット66(Y)の組は、それぞれのノズルが、互いに主走査方向に並ぶように配されている。すなわち印刷ヘッド上では、シアン(C)とブラック(K)、マゼンタ(M)とブラック(K)、イエロ(Y)とブラック(K)の対のノズルが主走査方向に並んでいる。
【0024】
次に、プリンタ22の制御回路40の内部構成を説明するとともに、複数のノズルからなるインクヘッド28を駆動する方法について説明する。制御回路40の内部には、CPU41、PROM42、RAM43の他、図示は省略するが、コンピュータ90とのデータのやり取りを行うPCインタフェースと、紙送りモータ23、キャリッジモータ24および操作パネル32などとの信号のやり取りを行う周辺入出力部(PIO)と、計時を行うタイマと、ノズルユニット61a〜c,62,64,66にインクドットのON、OFFの信号を出力する駆動用バッファ44などが設けられており、これらの素子および回路はバスで相互に接続されている。また、制御回路40には、所定周波数で駆動信号を出力する発信器、および発信器からの出力を各ノズルユニットに所定のタイミングで分配する分配出力器も設けられている。制御回路40は、コンピュータ90で処理されたドットデータを受け取り、これを一時的にRAM43に蓄え、所定のタイミングで駆動用バッファ44に出力する。
【0025】
CPU41から各ノズル毎にON、OFFを定め、駆動用バッファ44の各端子に信号を出力すると、ピエゾ素子のコモン側に供給される信号に応じて、駆動用バッファ側からON信号を受け取っていたピエゾ素子だけが駆動する。この結果、駆動用バッファからON信号を受け取っていたピエゾ素子のノズルから、一斉にインク粒子が吐出される。つまり、ピエゾ素子を駆動する信号自体は、インクドットを形成するか否かに関わらず全ノズルのピエゾ素子に印加されるが、駆動用バッファ44から出力される電圧を各ノズル毎に制御することによって、前記駆動信号の有効、無効を各ノズル毎に制御しているのである。
【0026】
以上説明したハードウェア構成を有するプリンタ22は、紙送りモータ23により用紙Pを搬送しつつ、キャリッジ31をキャリッジモータ24により往復動させ、同時にインクヘッド28の各ノズルユニットのピエゾ素子を駆動して、各色インク滴の吐出を行い、インクドットを形成して用紙P上に多色の画像を形成する。
【0027】
B.印刷方法:
(1)カラー印刷において使用するノズル:
図4に示すように、この実施例では、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロ(Y)のインクを吐出するノズルのノズルユニットが各1個であるのに対して、ブラック(K)のインクを吐出するノズルのノズルユニットは、3個設けられている。よって、ブラックインクを吐出するノズルの数は、他の色のインクを吐出するノズルの数に比べて3倍である。このため、ブラックインクのみ使用するモノクロ印刷の際に、他の各色と同数のノズルを有する場合に比べて高速に印刷を行うことができる。しかし、各色同一密度でドットを記録するカラー印刷においては、各色のインクを吐出するノズル数は、同一とすることが好ましい。各色のドットをほぼ一定の速度で形成していくためである。この実施例においては、カラー印刷の際には、副走査方向に並んで配されるブラック(K)のノズルユニット61a〜cのうち、副走査方向の中央に位置するノズルユニット61bのノズルのみを使用する。以下で、印刷ヘッドユニット60が印刷用紙Pに平行な面内で傾いている場合と、垂直な面内で傾いている場合それぞれについて、ドット記録位置ずれについて説明する。
【0028】
(2)印刷用紙に平行な面内で印刷ヘッドが傾いている場合のドット位置ずれ:
ここでは、副走査方向に交互に並ぶイエロドットとブラックドットを形成する場合を例に挙げて、印刷用紙に平行な面内で印刷ヘッドが傾いている場合のドット位置ずれについて説明する。なお、印刷ヘッドユニット60上の各ノズルユニットには、前述のとおり多数のノズルが設けられているが、以下では印刷方法の説明を簡単にするために、各ノズルユニットのノズル配置は、それぞれ副走査方向に配される3個とする。また、印刷用紙上には、その3個のノズルのノズルピッチの2倍の密度でドットを形成するものとする。
【0029】
図5は、実施例において、印刷ヘッドユニット60が正しい向きに取り付けられている場合のドットの形成を示す説明図である。図6は、図5の印刷結果の拡大図である。なお、図5は、印刷ヘッドユニット60を背面から見た説明図であるので、実際には各ノズルは見えないが、説明のために各ノズルユニットおよび各ノズルの位置を表示している。そして、印刷ヘッドユニット60において、カラー印刷に使用するノズルは白丸で表示しており、使用しないノズルは黒丸で表示している。後で説明する図7、図14および図16においても同様である。副走査方向に交互に並ぶイエロドットとブラックドットを形成するために、まず、図5において破線で示すように、主走査を行ってイエロ(Y)のノズルユニット66の各ノズルからインク滴を吐出し、副走査方向に画素一つおきにイエロのドットを3個形成する。その後、副走査を行って、一点鎖線で示すようにブラック(K)のノズルユニット61bからインク滴を吐出し、副走査方向に画素一つおきにブラックのドットを3個形成する。なお、図5において破線で示す四角は、イエロおよびブラックのドットを形成する際の、印刷ヘッドユニット60の位置を示している。印刷ヘッドユニット60が正しい向きに取り付けられている状態において、適切なタイミングでインク滴を吐出すれば、図5および図6に示すように、イエロとブラックの各3個のドットは、副走査方向に直線上に並んで形成される。
【0030】
図7は、実施例において印刷ヘッドユニット60がやや反時計回りに傾いている場合のドットの形成を示す説明図である。図8は、図7の印刷結果の拡大図である。図7に示したのは、印刷ヘッドユニット60のほぼ中央を回転中心として、印刷ヘッドユニット60がやや反時計回りに傾いている場合の印刷である。この場合は、図7に示すように主走査および副走査の送りが正確に行われても、図8に示すようにドットは正しい位置に形成されない。
【0031】
本実施例では、印刷ヘッドユニット60上において、各ノズルは主走査方向よりも副走査方向に長い分布で配されている。すなわち、各有彩色インクを吐出するノズルは、副走査方向沿って配されている。そして、他の色に比べて多数のノズルを有するブラックノズルも、有彩色ノズルに並ぶように副走査方向に沿って配されている。このようにノズルの分布が副走査方向に長い印刷ヘッドユニットにおいては、各ノズルが副走査方向のどの位置にあるかによって、印刷ヘッドユニットの回転中心からの距離が大きく異なることとなる。このため、回転中心から遠い位置にあるノズルは、傾きの方向に大きく変移し、回転中心に近い位置にあるノズルは、小さくしか変移しない。
【0032】
印刷ヘッドユニット60が、印刷ヘッドユニット60のほぼ中央を回転中心として、やや反時計回りに傾いている場合は、回転中心に近いノズルユニット61b(K)のノズルはほとんど変移しないが、図7において回転中心から下方に離れているノズルユニット66(Y)のノズルは、大きく右の方に変移する。したがって、図8に示すように、ノズルユニット61bのノズルによって記録されるブラックドットはあまり記録位置がずれないのに対して、ノズルユニット66のノズルによって記録されるイエロノズルは、右の方に変移して記録されることとなる。その結果、図8に示すように、ブラックドットとイエロドットは一列に並んだ状態からずれて記録されることとなる。なお、図8における破線は、図6の例においてイエロドットとブラックドットが副走査方向に直線上に並んでいたときの、ドットの並びの方向を表している。
【0033】
図9は、実施例において印刷ヘッドユニット60がやや反時計回りに傾いている場合の、シアンドットとブラックドットの印刷結果を示す図である。図を用いた主走査および副走査の送りの説明は省略するが、上記イエロの場合とは逆に、図7において回転中心から上方に離れているノズルユニット62のノズルによって記録されるシアンドットについても、上記と同様のことがいえる。すなわち、印刷ヘッドユニット60が傾いている場合は、ノズルユニット61bのノズルによって記録されるブラックドットはあまり記録位置がずれないのに対して、ノズルユニット62のノズルによって記録されるシアンドットは左方に大きく変移して記録されることとなる。このため、主走査および副走査の送りが正確に行われても、図9に示すように、ブラックドットとシアンドットは一列に並んだ状態からずれて記録されることとなる。
【0034】
(3)印刷用紙に垂直な面内で印刷ヘッドが傾いている場合のドット位置ずれ:
図10は、正常な向きに取り付けられている印刷ヘッドと印刷用紙Pの関係を示す側面図である。図11は、傾いた印刷ヘッドと印刷用紙Pの関係を示す側面図である。図10および図11においては、左右方向が副走査方向であり、紙面に垂直な方向が主走査方向である。ヘッドが紙面に対して垂直な面内で傾いている場合にも、ドットの位置ずれが発生する。たとえば、図11に示すように、図10の状態から、中央の#5のノズル近辺を中心にして、主走査方向を軸にθだけ印刷ヘッドユニット60が傾く場合を考える。この場合は、#5のノズルの先端と印刷用紙Pとの距離はほとんど変わらないのに対し、一端の#1のノズルは印刷用紙Pから遠くなり、他端の#9のノズルは印刷用紙Pに近くなる。ここで、#1と#5のノズルの間隔および#9と#5のノズルの間隔をともにL1 とすると、#1のノズルでは、印刷用紙Pからの距離がL1 sinθだけ広がるのに対し、#9のノズルでは、印刷用紙Pからの距離がL1 sinθだけ狭まる。同様に、#4と#5の間隔および#5と#6の間隔をL2 とすると、#4のノズルは、印刷用紙Pからの距離がL2 sinθだけ広がるのに対し、#6のノズルは、印刷用紙Pからの距離がL2 sinθだけ狭まる。
【0035】
図12は、実施例の場合について、#4,#5,#9の各ノズルの紙面からの距離の違いを示す説明図である。実施例においては、ブラックのドット形成にはノズル#4〜6に相当するノズルユニット61bを使用し、イエロのドット記録にはノズル#7〜9に相当するノズルユニット66を使用する(図5、図11参照)。したがって、図11からも分かるように、印刷用紙Pからノズル先端までの距離の最大の差は#4と#9との間において生じる。印刷ヘッドユニット60がθだけ傾くことによって、#9のノズルは、#5のノズルに対してL1 sinθだけ紙面に近づき、#4のノズルは、L2 sinθだけ紙面から遠ざかるので、ノズル#4と#9の紙面からの距離の差は、(L1 +L2 )sinθとなる。
【0036】
図13は、実施例の場合についての、ノズル#4とノズル#9のドット記録位置ずれを示す説明図である。ノズル#4と#9の紙面からの距離は、(L1 +L2 )sinθだけ異なる。このため、印刷ヘッドユニット60が図10の状態にあるときには主走査方向に同じ位置(副走査方向に並ぶ位置)にドットを形成することができるタイミングでインク滴を吐出しても、印刷ヘッドユニット60が図11の状態にあるときには、ノズル#4と#9のドット記録位置は、ずれることとなる。ここで、インク滴の飛行速度をv、印刷ヘッドの主走査速度をVとすると、そのずれ量はV/v(L1 +L2 )sinθとなる。
【0037】
なお、ここでは、イエロインクを吐出するノズルユニット66と、ブラックインクを吐出するノズルユニット61bのノズルに着目して、主走査方向のドット記録位置ずれの説明をした。その際、最大のドット記録位置ずれをおこすのは、ノズル#4と#9であった。一方、シアンインクを吐出するノズルユニット62と、ブラックインクを吐出するノズルユニット61bのノズルに着目した場合には、互いの距離が最も離れているのは、ノズル#1と#6である(図5、図11参照)。その際の印刷用紙Pからの距離の差は、ノズル#4と#9の場合と同じく(L1 +L2 )sinθである。イエロノズルユニット66とシアンノズルユニット62の配置が、ブラックノズルユニット61bをはさんで対称だからである。よって、最大のドット記録位置ずれの大きさは、上記の場合と同じくV/v(L1 +L2 )sinθとなる。
【0038】
C.比較例:
(1)カラー印刷において使用するノズル:
比較例においては、カラー印刷の際に、ブラック(K)のノズルユニット61a〜cのうち、副走査方向について上流側に位置するノズルユニット61aのノズルのみを使用する(図4参照)。
【0039】
(2)印刷用紙に平行な面内で印刷ヘッドが傾いている場合のドット位置ずれ:
図14は、比較例において、印刷ヘッドユニット60が正しい向きに取り付けられている場合のドットの形成を示す説明図である。図15は、図14の印刷結果の拡大図である。比較例においても、副走査方向に交互に並ぶイエロドットとブラックドットを形成する場合を例に挙げて、印刷用紙に平行な面内で印刷ヘッドが傾いている場合のドット位置ずれについて説明する。比較例においても、まず、図14に破線で示すように、主走査を行ってイエロ(Y)のノズルユニット66の各ノズルからインク滴を吐出し、副走査方向に画素一つおきにイエロのドットを3個形成する。その後、副走査を行って、図14において一点鎖線で示すように、ブラック(K)のノズルユニット61aからインク滴を吐出し、副走査方向に画素一つおきにブラックのドットを3個形成する。図14および図15から分かるように、比較例においても、印刷ヘッドユニット60が正しい向きに取り付けられている状態であれば、適切なタイミングでインク滴を吐出すれば、イエロとブラックの各3個のドットを、副走査方向に直線上に並んで形成することができる。
【0040】
図16は、比較例において印刷ヘッドユニット60がやや反時計回りに傾いている場合のドットの形成を示す説明図である。図17は、図16の印刷結果の拡大図である。図16に示したのは、印刷ヘッドユニット60のほぼ中央を回転中心として、印刷ヘッドユニット60が図7と同じ角度だけ反時計回りに傾いている場合の印刷である。この場合も、図16に示すように主走査および副走査の送りが正確に行われても、図17に示すようにドットは正しい位置に形成されない。
【0041】
印刷ヘッドユニット60が、印刷ヘッドユニット60のほぼ中央を回転中心として、やや反時計回りに傾いている場合は、前述と同様の理由から、図7において回転中心から下方に離れているノズルユニット66(Y)のノズルは、大きく右の方に変移し、回転中心から上方に離れているノズルユニット61a(K)のノズルは、大きく左の方に変移する。よって、ノズルユニット66のノズルによって記録されるイエロノズルは、本来の位置から右の方に変移して記録され、ノズルユニット61aのノズルによって記録されるブラックノズルは、左の方に変移して記録される。その結果、図17に示すように、ブラックドットとイエロドットは一列に並んだ状態から大きくずれて記録されることとなる。なお、図17における破線は、図15の例においてイエロドットとブラックドットが副走査方向に直線上に並んでいたときの、ドットの並びの方向を表している。
【0042】
図18は、比較例において印刷ヘッドユニット60がやや反時計回りに傾いている場合の、シアンドットとブラックドットの印刷結果を示す図である。印刷ヘッドユニット60のほぼ中央を回転中心として、印刷ヘッドユニット60がやや反時計回りに傾いている場合、ノズルユニット61a(K)とノズルユニット62(C)とは、回転中心から上方に同じ距離だけ離れている(図16参照)。したがって、印刷ヘッドユニット60が傾くことによって、ノズルユニット61a(K)とノズルユニット62(C)の各ノズルは、同じ量だけほぼ同じ方向に変移する。よって、ノズルユニット61a(K)によって記録されるブラックドットとノズルユニット62(C)によって記録されるシアンドットとは、図18に示すように、同じ量だけほぼ同じ方向にずれることとなる。
【0043】
比較例においては、図18に示すようにブラックドットとシアンドットのずれはほとんどないが、図17に示すようにブラックドットとイエロドットは大きくずれる。これに対して、実施例は、イエロドットもシアンドットもブラックドットに対してずれるが、図8および図9と図17を比較すれば分かるように、そのずれ量は比較例のブラックドットとイエロドットのずれよりも小さい。これは、実施例において使用するノズルが副走査方向について略中央の位置にあるノズルユニット61bのノズルであり、イエロノズルユニット66とシアンノズルユニット62の両方から均等に近い位置にあるのに対して、比較例で使用するノズルユニット61aは、シアンノズルユニット62には近いもののイエロノズルユニット66からは離れているためである。図17のような大きなドット記録位置ずれがある場合、印刷結果の画質は大きく劣化する。このため、印刷結果の画質を高くするためには、本実施例のように、副走査方向について略中央の位置にあって各有彩色のノズルから近い位置にあるブラックノズルを使用することが好ましい。
【0044】
(3)印刷用紙に垂直な面内で印刷ヘッドが傾いている場合のドット位置ずれ:
図19は、比較例の場合について、#1,#5,#9の各ノズルの紙面からの距離の違いを示す説明図である。比較例においては、ブラックのドット記録には、ノズル#1〜3に相当するノズルユニット61aを使用し、イエロのドット記録には、ノズル#7〜9に相当するノズルユニット66を使用する(図11、図14参照)。したがって、図11からも分かるように、印刷用紙Pからノズル先端までの距離の最大の差は#1と#9との間において生じる。印刷ヘッドユニット60がθだけ傾くことによって、#9のノズルは、#5のノズルに対してL1sinθだけ紙面に近づき、#1のノズルは、L1sinθだけ紙面から遠ざかる。よって、ノズル#1と#9の紙面からの距離は、2L1sinθだけ異なる。
【0045】
図20は、比較例の場合についての、ノズル#1とノズル#9のドット記録位置ずれを示す説明図である。#1のノズルと#9のノズルとでは、紙面からノズルまでの距離が2L1 sinθだけ異なる。このため、本来なら、主走査方向について同じ位置にドットを形成することができるタイミングでインク滴を吐出しても、印刷ヘッドユニット60が図11の状態にあるときは、図20に示すようにドットの形成位置ずれが生じる。その#1のノズルと#9のノズルとでのドット記録位置のずれの量は、2V/vL1 sinθとなる。
【0046】
なお、ブラックノズルユニット61aとシアンノズルユニット62に着目すると、両ノズルユニットは回転中心に対して副走査方向下流側の同じ距離にあるため、ブラックドットとシアンドットのドット位置ずれ量は等しくなる。しかし、印刷結果の画質は、ドット形成位置ずれの大きいドットが存在する場合に、大きく劣化する。このため、画質に対して大きな影響を与えるのは、上記のイエロドットとブラックドットの間のドット位置ずれである。
【0047】
図13に示す実施例の印刷結果と図20の比較例の印刷結果を比較すれば分かるように、ノズルユニット61bを使用する実施例では、ノズルユニット61aを使用する比較例に比べてイエロドットとブラックドットの主走査方向のずれが小さくなっている。すなわち、比較例では、最も離れたノズル間でのドット記録位置ずれは2V/vL1sinθであるのに対して、実施例では、(L1 +L2 )sinθである。図10からも明らかなようにL1 <L2 であるので、実施例の方が比較例に対してドット記録位置のずれが小さくなる。
【0048】
実施例の方が比較例に対してドット記録位置のずれが小さくなる理由は、印刷用紙と平行な面内で印刷ヘッドが傾いている場合と同様である。すなわち、比較例で使用するノズルユニット61aは、回転中心からの距離が大きいため、印刷ヘッドユニット60が傾くと印刷用紙Pからの距離が大きく変化する。そして、回転中心を挟んで逆側にあるノズルユニット66(Y)のノズルとは、逆の向きに変移することとなる。よって、ノズルユニット66(Y)のノズルが記録するドイエロットと、ノズルユニット61aが記録するブラックドットとの間での記録位置ずれが大きくなる。これに対して、実施例で使用するノズルユニット61bは、ノズルユニット61a〜c中で副走査方向の略中央に位置し、印刷ヘッドユニット60が傾いても印刷用紙Pからの距離が大きく変化しない。よって、印刷ヘッドユニット60上の全ての有彩色ノズルとの間で均等にドット記録位置ずれが生じを少なくすることができる。
【0049】
なお、一般に、回転中心からノズルまでの距離が異なれば、ノズルの位置の円周方向のずれ量が異なってくる。また、回転中心からノズルに向かう向きが異なれば、ずれの向きが異なってくる。したがって、印刷ヘッドユニットの傾きに起因するドットの形成位置のずれを小さくするためには、使用される各ノズルはなるべく近くに位置することが好ましい。本実施例のように副走査方向にノズルが配列されている印刷ヘッドにおいては、カラー印刷において、副走査方向の略中央に位置するブラックノズルを使用することとすれば、他の有彩色ドットとの間でのドット記録位置ずれを小さくすることができる。
【0050】
また、上記の理論は、異なる色のインクを吐出するノズル同士のみではなく、同一色のインクを吐出するノズルについてもあてはまる。すなわち、同一色のインクを吐出するノズルも、印刷ヘッド上で互いに近い位置にあるノズル同士の方が、互いのドット記録位置ずれが小さい。よって、ブラックインクを使用するカラー印刷において、ブラックインクを吐出できるノズルのうち副走査方向の両端に位置するノズル以外のノズルを使用することとすれば、ブラックドット同士についてもドット記録位置ずれを小さくすることができる。
【0051】
(3)その他の効果:
実施例においては、ブラックインクを使用するカラー印刷の際には、ブラックインクを吐出するノズルのうち、副走査方向についてイエロインクを吐出するノズルと重ならない位置にあるノズルを使用する。よって、印刷媒体上の近接した画素、または同一の画素に、イエロインクとブラックインクを時間を空けずに吐出して、インクをにじませてしまう可能性が低い。
【0052】
D.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0053】
(1)図21は、ブラックインクを使用するカラー印刷において使用されるノズルを示す説明図である。図21においては、カラー印刷において使用するノズルは白丸で示され、使用しないノズルは黒丸で示されている。また、インクの色については、ブラックのみ、ノズルユニットごとにK1,K2,K3と区別して表示しているが、同一のブラック(K)のインクを表すものである。図22以下の図面においても同様である。上記実施例では、ブラックインクを使用するカラー印刷において、図21(a)に示すように副走査方向略中央の連続して配されるノズルを使用していた。しかし、必ずしも連続して配されるノズルを使用する必要はなく、図21(b)に示すように、使用されるノズルの間に使用されないノズルが配されるような態様としてもよい。
【0054】
(2)図22は、ライトシアンインク、ライトマゼンタインクを吐出するノズルを有するヘッドにおいて、カラー印刷において使用されるノズルを示す説明図である。上記実施例では、ブラック、イエロ、シアン、マゼンタの4色でカラー印刷を行うこととしていたが、それらにライトシアン(LC)、ライトマゼンタ(LM)を加えて6色でカラー印刷を行うこととしてもよい。そのような場合にも、使用するブラックノズルは、図22に示すように、副走査方向について略中央に位置する所定数のノズルとすることができる。また、図22に示す例では、各色のインクを吐出する各ノズルユニットは、それぞれ16個のノズルを有している。よって、ブラックインクを吐出するノズルは48個である。この場合、副走査方向について厳密に中央に位置する唯一のノズルは存在しない。本発明では、そのような場合には、副走査方向の中央の位置に最も近い二つのノズルc1とc2のいずれかを使用するものであればよいものとする。なお、図22に示す例においても、副走査方向の両端に位置するブラックノズルe1,e2以外のノズルから、カラー印刷の際に使用するブラックノズルが選択されている。
【0055】
(3)図23は、ライトシアンインク、ライトマゼンタインクを吐出するノズルを有するヘッドにおいて、カラー印刷において使用されるノズルを示す説明図である。6色印刷の際にも、図21(b)の場合と同様、必ずしも副走査方向に連続して配されるブラックノズルを使用する必要はない。すなわち、図23に示すように、使用されるブラックノズルの間に使用されないブラックノズルが配されるような態様としてもよい。なお、図23に示す例においても、副走査方向の両端に位置するブラックノズルe1,e2以外のブラックノズルから、カラー印刷の際に使用するブラックノズルが選択されており、副走査方向の中央に位置するブラックノズルc1,c2は、使用するノズルとして選択されている。
【0056】
(4)図24は、ライトシアンインク、ライトマゼンタインクを吐出するノズルを有するヘッドにおいて、カラー印刷において使用されるノズルを示す説明図である。図24に示すように、6色印刷の場合も、ブラックインクを使用するカラー印刷の際には、ブラックインクを吐出するノズルのうち、副走査方向についてイエロインクを吐出するノズルと重ならない位置にあるノズルを使用することとすることが好ましい。そのような態様とすれば、イエロインクとブラックインクがにじむのを防止することができる。なお、図24に示す例においても、副走査方向の両端に位置するブラックノズルe1,e2以外のノズルから、カラー印刷の際に使用するブラックノズルが選択されている。そして、副走査方向中央に位置するブラックノズルc1が、使用するノズルとして選択されている。また、使用されるブラックノズルの間に使用されないブラックノズルが存在する。
【0057】
(5)上記実施例では、図4に示すように、一つのノズルユニットから各色のインクを吐出していたが、各色のインクを吐出するノズルユニットを複数備えることとしてもよい。そのような場合には、同一色のインクを吐出するノズルユニットは、まとめて一つのノズル群として取り扱うことができる。
【0058】
(6)上記実施例では、インクジェットプリンタについて説明したが、本発明はインクジェットプリンタに限らず、一般に、印刷ヘッドを用いて印刷を行う種々の印刷装置に適用可能である。
【0059】
(7)上記実施例において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例としての画像処理装置および印刷装置の構成を示すブロック図。
【図2】本印刷装置のソフトウェアの構成を示すブロック図。
【図3】本発明のプリンタの概略構成図。
【図4】印刷ヘッドユニット60における各色ごとのノズルユニットの配列の例を示す平面図。
【図5】実施例において、印刷ヘッドユニット60が正しい向きに取り付けられている場合のドットの形成を示す説明図。
【図6】図5の印刷結果の拡大図。
【図7】実施例において印刷ヘッドユニット60がやや反時計回りに傾いている場合のドットの形成を示す説明図。
【図8】図7の印刷結果の拡大図。
【図9】実施例において印刷ヘッドユニット60がやや反時計回りに傾いている場合の、シアンドットとブラックドットの印刷結果を示す図。
【図10】正常な向きに取り付けられている印刷ヘッドと印刷用紙Pの関係を示す側面図。
【図11】傾いた印刷ヘッドと印刷用紙Pの関係を示す側面図。
【図12】実施例の場合について、#4,#5,#9の各ノズルの紙面からの距離の違いを示す説明図。
【図13】実施例の場合についての、ノズル#4とノズル#9のドット記録位置ずれを示す説明図。
【図14】比較例において、印刷ヘッドユニット60が正しい向きに取り付けられている場合のドットの形成を示す説明図。
【図15】図14の印刷結果の拡大図。
【図16】比較例において印刷ヘッドユニット60がやや反時計回りに傾いている場合のドットの形成を示す説明図。
【図17】図16の印刷結果の拡大図。
【図18】比較例において印刷ヘッドユニット60がやや反時計回りに傾いている場合の、シアンドットとブラックドットの印刷結果を示す図。
【図19】比較例の場合について、#1,#5,#9の各ノズルの紙面からの距離の違いを示す説明図。
【図20】比較例の場合についての、ノズル#1とノズル#9のドット記録位置ずれを示す説明図。
【図21】ブラックインクを使用するカラー印刷において使用されるノズルを示す説明図。
【図22】ライトシアンインク、ライトマゼンタインクを吐出するノズルを有するヘッドにおいて、カラー印刷において使用されるノズルを示す説明図。
【図23】ライトシアンインク、ライトマゼンタインクを吐出するノズルを有するヘッドにおいて、カラー印刷において使用されるノズルを示す説明図。
【図24】ライトシアンインク、ライトマゼンタインクを吐出するノズルを有するヘッドにおいて、カラー印刷において使用されるノズルを示す説明図。
【符号の説明】
22…カラープリンタ
23…紙送りモータ
24…キャリッジモータ
26…プラテン
28…インクヘッド
31…キャリッジ
32…操作パネル
34…摺動軸
36…駆動ベルト
38…プーリ
39…位置検出センサ
40…制御回路
41…CPU
43…PROM
44…RAM
45…キャラクタジェネレータ(CG)
50…I/F専用回路
52…ヘッド駆動回路
54…モータ駆動回路
56…コネクタ
60…印刷ヘッドユニット
61〜66…ノズルユニット
68…インク通路
71〜76…インク用カートリッジ
90…コンピュータ
204…マスク回路
206…原駆動信号発生部
230…駆動信号補正部
Claims (12)
- 印刷画像信号に応じて印刷媒体上に画像を印刷する印刷装置であって、
同一色のインク滴を吐出する複数のノズルからなるノズル群を複数備えた印刷ヘッドと、
前記印刷ヘッドと前記印刷媒体の少なくとも一方を所定の方向に送る主走査を行う主走査駆動部と、
前記主走査の最中に前記複数のノズルのうちの少なくとも一部を駆動してインク滴を吐出させるヘッド駆動部と、
前記印刷ヘッドと前記印刷媒体の少なくとも一方を前記主走査の方向に対してほぼ垂直な方向に送る副走査を行う副走査駆動部と、
前記印刷ヘッド、前記主走査駆動部、前記ヘッド駆動部および前記副走査駆動部を制御するための制御部と、を備え、
前記ノズル群は、
ブラックインクを吐出するためのブラックノズル群と、
複数の有彩色インクを吐出するための複数の有彩色ノズル群と、を含み、
前記ブラックノズル群は、他の色のインクを吐出する前記ノズル群に比べて多数のノズルを含み、
前記複数の有彩色ノズル群のうち3個の有彩色ノズル群が副走査方向に配されており、
前記ブラックノズル群は、前記3個の有彩色ノズル群と並ぶ位置に配されており、
前記制御部は、
前記ブラックインクを使用するカラー印刷の際には、前記ブラックノズル群のノズルのうち、前記副走査方向について両端に位置するノズル以外のノズルを使用して印刷を行うように、前記主走査駆動部、前記ヘッド駆動部および前記副走査駆動部を制御し、
前記ブラックインクを使用し前記有彩色インクを使用しないモノクロ印刷の際には、前記ブラックノズル群のノズルのうち前記カラー印刷において使用されるノズルと、前記ブラックノズル群のノズルのうち前記カラー印刷において使用されないノズルと、を使用して印刷を行うように、前記主走査駆動部、前記ヘッド駆動部および前記副走査駆動部を制御する、印刷装置。 - 請求項1記載の印刷装置であって、
前記制御部は、
前記ブラックインクを使用するカラー印刷の際には、前記ブラックノズル群のノズルのうち、副走査方向について中央に位置するノズルを含む所定数のノズルを使用するように、前記主走査駆動部、前記ヘッド駆動部および前記副走査駆動部を制御する、印刷装置。 - 請求項2記載の印刷装置であって、
前記制御部は、
前記ブラックインクを使用するカラー印刷の際には、前記ブラックノズル群のノズルのうち、副走査方向について略中央に位置する所定数のノズルを使用するように、前記主走査駆動部、前記ヘッド駆動部および前記副走査駆動部を制御する、印刷装置。 - 請求項1記載の印刷装置であって、
前記制御部は、
前記ブラックインクを使用するカラー印刷の際には、ブラックを含む各色のインクを吐出するノズルについて、それぞれ同一数のノズルを使用するように、前記主走査駆動部、前記ヘッド駆動部および前記副走査駆動部を制御する、印刷装置。 - 印刷画像信号に応じて印刷媒体上に画像を印刷する印刷装置であって、
同一色のインク滴を吐出する複数のノズルからなるノズル群を複数備えた印刷ヘッドと、
前記印刷ヘッドと前記印刷媒体の少なくとも一方を所定の方向に送る主走査を行う主走査駆動部と、
前記主走査の最中に前記複数のノズルのうちの少なくとも一部を駆動してインク滴を吐出させるヘッド駆動部と、
前記印刷ヘッドと前記印刷媒体の少なくとも一方を前記主走査の方向に対してほぼ垂直な方向に送る副走査を行う副走査駆動部と、
前記各部を制御するための制御部と、を備え、
前記ノズル群は、
ブラックインクを吐出するためのブラックノズル群と、
複数の有彩色インクを吐出するための複数の有彩色ノズル群と、を含み、
前記ブラックノズル群は、他の色のインクを吐出する前記ノズル群に比べて多数のノズルを含み、
前記複数の有彩色ノズル群のうち3個の有彩色ノズル群が副走査方向に配されており、
前記ブラックノズル群は、前記3個の有彩色ノズル群と並ぶ位置に配されており、
前記制御部は、前記ブラックインクを使用するカラー印刷の際には、前記ブラックノズル群のノズルのうち、前記副走査方向について両端に位置するノズル以外のノズルを使用して印刷を行うように、前記主走査駆動部、前記ヘッド駆動部および前記副走査駆動部を制御し、
前記複数の有彩色ノズル群は、イエロインクを吐出するイエロノズル群を含み、
前記イエロノズル群のノズルは、前記ブラックノズル群のうち前記カラー印刷において使用されるノズルの前記副走査方向についての位置と重ならない位置に設けられている、印刷装置。 - 同一色のインク滴を吐出する複数のノズルからなるノズル群を複数備えた印刷ヘッドを有する印刷装置を使用した印刷方法であって、
(a)複数の有彩色インクを吐出するための複数の有彩色ノズル群と、前記有彩色ノズル群に比べて多数のノズルを有するブラックノズル群と、を含む、前記ノズル群を準備する工程であって、前記複数の有彩色ノズル群のうち3個の有彩色ノズル群が副走査方向に配されており、前記ブラックノズル群は、前記3個の有彩色ノズル群と並ぶ位置に配されている工程と、
(b)ブラックインクを使用するカラー印刷の際に、前記ブラックノズル群のノズルのうち、前記副走査方向について両端に位置するノズル以外のノズルを使用して印刷を行う工程と、
(c)前記ブラックインクを使用し前記有彩色インクを使用しないモノクロ印刷の際に、前記ブラックノズル群のノズルのうち前記カラー印刷において使用されるノズルと、前記ブラックノズル群のノズルのうち前記カラー印刷において使用されないノズルと、を使用して印刷を行う工程と、を含む印刷方法。 - 請求項6記載の印刷方法であって、
前記工程(b)は、
前記ブラックインクを使用するカラー印刷の際に、前記ブラックノズル群のノズルのうち、副走査方向について中央に位置するノズルを含む所定数のノズルを使用する工程を含む、印刷方法。 - 請求項7記載の印刷方法であって、
前記工程(b)は、
前記ブラックインクを使用するカラー印刷の際に、前記ブラックノズル群のノズルのうち、副走査方向について略中央に位置する所定数のノズルを使用する工程を含む、印刷方法。 - 請求項6記載の印刷方法であって、
前記工程(b)は、
前記ブラックインクを使用するカラー印刷の際に、ブラックを含む各色のインクを吐出するノズルについて、それぞれ同一数のノズルを使用する工程を含む、印刷装置。 - 同一色のインク滴を吐出する複数のノズルからなるノズル群を複数備えた印刷ヘッドを有する印刷装置を使用した印刷方法であって、
(a)複数の有彩色インクを吐出するための複数の有彩色ノズル群と、前記有彩色ノズル群に比べて多数のノズルを有するブラックノズル群と、を含む、前記ノズル群を準備する工程であって、前記複数の有彩色ノズル群のうち3個の有彩色ノズル群が副走査方向に配されており、前記ブラックノズル群は、前記3個の有彩色ノズル群と並ぶ位置に配されている範囲内に設けられている工程と、
(b)ブラックインクを使用するカラー印刷の際に、前記ブラックノズル群のノズルのうち、前記副走査方向について両端に位置するノズル以外のノズルを使用して印刷を行う工程と、を含み、
前記複数の有彩色ノズル群は、イエロインクを吐出するイエロノズル群を含み、
前記イエロノズル群のノズルは、前記ブラックノズル群のうち前記カラー印刷において使用されるノズルの前記副走査方向についての位置と重ならない位置に設けられている、印刷方法。 - 同一色のインク滴を吐出する複数のノズルからなるノズル群を複数備えた印刷ヘッドを有する印刷部に供給すべき印刷データを生成する印刷制御装置であって、
前記ノズル群は、
ブラックインクを吐出するためのブラックノズル群と、
複数の有彩色インクを吐出するための複数の有彩色ノズル群と、を含み、
前記ブラックノズル群は、他の色のインクを吐出する前記ノズル群に比べて多数のノズルを含み、
前記複数の有彩色ノズル群のうち3個の有彩色ノズル群が副走査方向に配されており、
前記ブラックノズル群は、前記3個の有彩色ノズル群と並ぶ位置に配されており、
前記印刷制御装置は、
前記ブラックインクを使用するカラー印刷の際には、前記ブラックノズル群のノズルのうち、前記副走査方向について両端に位置する以外のノズルを使用させ、
前記ブラックインクを使用し前記有彩色インクを使用しないモノクロ印刷の際には、前記ブラックノズル群のノズルのうち前記カラー印刷において使用されるノズルと、前記ブラックノズル群のノズルのうち前記カラー印刷において使用されないノズルと、を使用させる、印刷制御装置。 - 同一色のインク滴を吐出する複数のノズルからなるノズル群を複数備えた印刷ヘッドを有する印刷部を備えたコンピュータに、前記印刷部を制御させるための、コンピュータプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、
前記ノズル群は、
ブラックインクを吐出するためのブラックノズル群と、
複数の有彩色インクを吐出するための複数の有彩色ノズル群と、を含み、
前記ブラックノズル群は、他の色のインクを吐出する前記ノズル群に比べて多数のノズルを含み、
前記複数の有彩色ノズル群のうち3個の有彩色ノズル群が副走査方向に配されており、
前記ブラックノズル群は、前記3個の有彩色ノズル群と並ぶ位置に配されており、
前記コンピュータプログラムは、
前記ブラックインクを使用するカラー印刷の際には、前記ブラックノズル群のノズルのうち、前記副走査方向について両端に位置するノズル以外のノズルを使用して印刷を行い、
前記ブラックインクを使用し前記有彩色インクを使用しないモノクロ印刷の際には、前記ブラックノズル群のノズルのうち前記カラー印刷において使用されるノズルと、前記ブラックノズル群のノズルのうち前記カラー印刷において使用されないノズルと、を使用して印刷を行う、印刷機能を、コンピュータに実現させる、コンピュータプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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