JP4047942B2 - 洗濯物の生地の種類を自動判断する洗濯機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、洗濯機のドラム内において洗濯物を構成する特定の生地の種類または各種生地の混合比を適切に識別可能にする特別の手段とそれに関連ある運転モードとを有する洗濯機、特に家庭用洗濯機に関する。
【0002】
本発明は、特に、洗濯機の前から洗濯物を入れるタイプの洗濯機に関し、簡単と便宜とのために、以下の説明では実際にこうしたタイプの洗濯機の場合を取り上げているが、洗濯機の上から洗濯物を入れるタイプの洗濯機等、これ以外のタイプの洗濯機にも同様に本発明を適用しうることが理解されよう。
【0003】
【従来の技術】
従来技術において、洗濯機のドラム内において処理される特定の洗濯物を構成している生地の種類または各種生地の混合比を識別するようにしてある手段を備えた洗濯機が周知である。こうした識別の目的は、洗濯機の動作と洗濯結果とが最適なものとなるように選択された種々の工程パラメータを用いて自動的に洗濯サイクルを選択する能力を洗濯機に与えることにある。例えばゼネラル・エレクトリック社の米国特許第5,161,393号に、洗濯物の生地の種類を識別する極めて効果的な方法が開示されている。しかし、このような方法は、垂直軸のまわりにおいて回転するドラムを有した洗濯機にしか適用されないため、水平軸のまわりにおいて回転するドラムを有した大部分の洗濯機、すなわち略全ての欧州製洗濯機には適さないことになる。さらに、このような方法は、一連の連続的な測定に基づく一種の試行錯誤法であるため、非常に時間のかかる複雑な方法になる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、水平軸のまわりにおいて回転するドラムを有する洗濯機であってもなお、容易に利用可能な技術を基本として信頼性のある安全かつ安価な方法と手段とを用いて、洗濯物の生地の種類を識別するために必要な測定を行ないうるものであることが望ましく、実際に本発明の主要な目的は、このような洗濯機を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
洗濯槽(1)と、前記洗濯槽内において回転するとともに、洗濯物を収容し、かつ低速および高速(回転脱水)の両速度で回転的に駆動されるようにしてあるドラム(2)と、前記洗濯槽の最下部の高さ(5)よりも下に位置する点(4)において圧力口と接続された適切な空気室内に配置される圧力スイッチ(3)と、主給水管から前記洗濯槽への給水を統制する給水口開閉手段(6)とからなる、特に家庭用の洗濯機において、まず一定量の水に対する洗濯物全体の吸水容量を測定し、次に前記洗濯物の既知の重さに基づいて前記測定値を処理することによって、前記ドラム内に入れられている洗濯物の平均浸漬特性を検出するべく構成する。
【0006】
好適には、前記洗濯槽内に入れられている水を再循環させる回路をさらに備え、前記洗濯物の既知の重さに対する布地の可能な最大浸漬容量と可能な最小浸漬容量とを表す値の中間値となるように計算された量(L1)の注水を行なう第1段階と;前記洗濯物が、注水量が完全浸漬に十分な量の場合には自身が吸収しうる最大量の水を吸収した状態に、注水量が完全浸漬には不十分な量の場合には注入された全量の水を吸収して不完全浸漬状態になるまで、前記再循環水回路を同時に運転しながら複数回のドラム低速回転サイクルを実行する第2段階と;新しい水位(L2)の測定と吸水量の計算とを行なう第3段階と;「吸水量に対する洗濯物の重量」比の計算と前記洗濯物の布地の種類および/または各種布地の混合比の識別とを行なう第4段階と、からなる一連の段階を遂行することによって前記測定が行なわれるようにする。
【0007】
または好適には、前記洗濯槽内に入れられている水を再循環させる回路をさらに備え、あらゆる種類の洗濯物を確実に完全浸漬させうるように、前記洗濯物の重さに照らして過剰と判断される量の注水を行なうとともに、前記水量に関する情報を装置の記憶装置に記憶させる第1段階と;前記洗濯物が、自身に吸収可能な最大量の水を吸収した状態になるまで、前記再循環水回路を同時に運転しながら複数回の低速ドラム回転サイクルを実行する第2段階と;水位が実質的に安定した状態において水位測定を行なう第3段階と;「検出圧力に対する洗濯物の重量」比を計算するとともに、事前記憶されている実験データベースに含まれている当該の最近似値を検索および認識することにより、前記洗濯物に含まれる各種布地の混合比を識別する第4段階と、からなる一連の段階を遂行することによって前記測定が行なわれるようにする。
【0008】
または好適には、前記洗濯槽内に入れられている水を再循環させる回路をさらに備え、自由水面が決してドラム側面最下部の高さに達しないような量の水を前記洗濯槽に注入するとともに、前記水量に関する情報を記憶する段階と;各一連の動作が、水を同時に再循環させながら低速ドラム回転サイクルと高速ドラム回転サイクルとを複数回行なうことからなる一連の動作を複数回実行するとともに、各一連の前記高速ドラム回転サイクルの終了時点における水位を記録する段階と;前記複数回の高速ドラム回転サイクルの終了時点において測定される前記水位が事前記録水位以上になるまで、水位回復のための複数回の追加注水と、前記複数回の一連動作とを交互に行なう段階であって、前記水位回復のための追加注水が、前記洗濯槽内の自由水面が一貫して前記ドラム側面最下部の高さよりも常に確実に下に維持されるように何らかの方法で制限される段階と;前記洗濯槽内に注入された総水量から最後に記録された水位に対応する水量を差し引くことによって、前記洗濯物の吸水量を計算する段階と;「吸水量に対する洗濯物の重量」比を計算するとともに、前記洗濯物に含まれる各種布地の混合比を識別する段階と、によって前記測定が行なわれるようにする。
【0009】
ここで更に好適には、注水により得られる水位に関わりなく、後に水を再循環させながら低速および高速でドラムを回転させる一連の動作が行なわれた時に前記洗濯物に全量吸収されうると判断される量の水を前記洗濯槽内に注入することによって、第1回注水が行なわれるようにする。
【0010】
また前記いずれかの構成において更に好適には、前記各種段階における注水量が、前記洗濯槽への給水のために設けられた給水手段(6)により確保される実際の流量に基づいた時間制御方式の動作によってもたらされるようにする。
【0011】
ここで更に好適には、第1の基準水位(L3)と第2の基準水位(4)との間に形成される既知の容積に水を注入するとともに、水位を前記第1の水位(L3)から前記第2の水位(L4)まで上昇させるために要する時間を記録することにより、前記実際の流量が測定されるようにする。
【0012】
またここで特に好適には、前記実際の流量の前記測定が、前記請求項に記載の前記注水段階に先立って行なわれ、前記給水手段(6)の前記実際の流量の測定が開始される前に、前記第1の基準水位に達するように第1回注水が行なわれる。
【0013】
また上記いずれかの構成において更に好適には、前記洗濯槽の下部から前記洗濯槽内に水が注入されるようにする。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の内容は、添付図面を参照しながら以下に例をあげて示す詳細な説明から、より明確に理解されよう。ただし、以下の例は本発明を制限するものではない。
【0015】
以下の説明において、「水」という用語は、洗液およびすすぎ水の両方を意味するものとして区別なく用いられることとする。当業者には容易に理解されるように、こうした用語を用いて表現されている内容を見れば、以下の説明の明確さと明瞭さとが、このような単純化によって損なわれるものではない。
【0016】
本発明の好適な実施例を示す図1を参照しながら、本発明にしたがった方法とこれに関連ある動作原理とについて説明する。
【0017】
ここに示す洗濯機は、洗濯槽1と、前記洗濯槽内において回転するとともに洗濯物を入れておけるようにしてあるドラム2と、洗濯槽の下縁部5よりも下において一般に4に示す位置に吸気口が設けられた圧力スイッチ3とからなるとともに、さらに外部給水源からの給水を開閉する一般に電磁弁である制御手段6を含むプログラミング制御手段と、洗濯槽に入っている水を再循環させる回路(図示せず)であって、洗濯機の前記プログラミング制御手段によって選択的に作動せしめられるとともに、前記ドラム内に入れられている全ての洗濯物ができるだけ短時間で同時に再循環水流の作用を受けるように、洗濯槽の底部から水を流出させて再びドラム内またはドラム上へと戻すようにしてある回路とを備える。
【0018】
洗濯される繊維製品の浸漬特性が、その繊維材料の特定の性質と加工処理方法とによって非常に幅広く異なりうることは広く周知である。また、スポンジクロス製の製品が最も高い浸漬特性を有する一方、綿および/または合繊布は、それよりも低い浸漬特性を有することも公知の事実である。ここで、「浸漬」という用語は、衣類が飽和状態に達するまで、すなわちそれ以上の余分な水分が放出される状態になるまでに吸収する水の量を意味するものとして用いられるということを強調しておく。いずれにしても、この技術用語は、ここで用いられる他のいくつかの用語と同様に、当業者には公知の知識のひとつであり、従って公知のものと仮定する。
【0019】
よって、本発明は実質的に、排水管や圧力スイッチの空気トラップ等のような洗濯槽に関連ある、考えられる全ての空洞部を含めて、洗濯槽に一定量の水を注入する段階と、水位回復のために必要に応じて後ほど追加注水を行なうことも含めて、衣類をできるだけ浸漬させる段階と、衣類を飽和状態まで浸漬させた後に残留水量を測定する段階と、その後、ドラムに入れられた衣類の重さと吸収された水の量とに基づいて、洗濯物の平均浸漬特性を計算し、以て洗濯物に含まれる各種生地の混合比を求める段階とからなる。
【0020】
洗濯物の吸水容量に基づいて洗濯物に含まれる各種生地の混合比と、当然ながらそれぞれの重さとを識別することは、当業者に広く周知の実験的に行ないうる技術であり、したがって、これについては、ここではこれ以上説明しないこととする。
【0021】
図2のグラフは、数種類の布地の吸水量をリットル単位で縦軸に、その重さを横軸に示したものであり、上の曲線Aはスポンジクロスを表し、下の曲線Cは綿を表す。
【0022】
未知の布地の性質は、その布地の吸水容量に基づいて識別されるため、洗濯槽に所定量の水を注入するとともに、生地材料全体が湿潤され、以て水を吸収しうるように再循環回路を通常に動作させながらドラムを一定回数低速回転させることによって試験対象の布地を固有の最大浸漬点に到達せしめた後に、関連水位の確認を行なう必要があることがわかる。
【0023】
しかし、注水量を確定させることが必要であり、ここで実際に問題になるのは特定の種類の布地が到達可能な最大浸漬点に達するように撹拌した後に吸収された水の割合なので、前記注水量は任意の値とすることができる。これに関する唯一の制限事項は、いかなる場合も前記任意の値を理論的に可能な最大吸水値と最小吸水値(曲線AとC)との間に位置させるということである。
【0024】
この時点において、洗濯機は、別の命令を受けると同時に、または本発明の一部分をなさないその他の何らかの態様で直接前記命令を受けることにより、ドラムに入れられた洗濯物の重さに関する情報を得る。
【0025】
次に、前記両極値曲線のちょうど中間に位置し、したがって各50重量%のスポンジクロスと綿織物とによって形成された仮定的洗濯物に対応する注水曲線Bが選択される。
【0026】
その結果、例えば総重量3kgの洗濯物に対しては12.5リットルの水が注入されるといった具合に、直接検出され、または他の何らかの手段によりプログラミング装置に入力として供給される洗濯物の総重量に対応する量の水が洗濯機に注入される。
【0027】
前記段階が終了すると、プログラミング装置が洗濯機を制御して、洗濯機のドラムを多数回回転させるとともに再循環回路を作動させて、最終的に洗濯物の生地材料全体に湿潤および吸水の機会を与え、または水が多すぎる場合は余分な量の水を放出する機会を与えるようにする。その結果、図1において、洗濯槽内の水位は、元の水位L1から圧力スイッチ3によって適当に検出される新たな水位L2へと変化する。
【0028】
この時点において、適切なプログラミングと必要な全てのデータの供給とが完了した洗濯機プログラミング制御装置が、試験対象の布地の平均浸漬値の識別と自動表示とを行ない、したがって検出された浸漬値に対応する挙動を持つ布地の種類または各種布地の混合比が識別されるとともに、自動的に表示される。
【0029】
通常水位まで注水を行なっている時に、水がドラムの壁面に接触するとともにこれを透過して衣類に吸収され、以て洗濯物と洗濯物全体としての吸水容量とに比例した測定誤差が生じることもありうる。
【0030】
このような誤差が生じると、往々にして流量の計算値が実際の流量よりも低くなってしまう。したがって、時間制御方式の注水は、実際に必要な量よりも多量の水が注入されてしまうという点で、ほとんどの場合は不適切である。しかし、こうしたわずかな誤差は、実験的に測定された習性に基づいて計算手段を適切に補正することにより、容易に補償可能である。
【0031】
前記手順の改良は、考えられるあらゆる種類の布地を完全に浸漬させうるように、所定の重量の洗濯物に対して、ある程度過剰な量の注水を行なう段階からなる。
【0032】
図3において、曲線1は、ドラムを静止させた状態における規定総重量の洗濯物に対する洗濯槽内の水位を外部からの注水時間(横軸)の関数として示したものである。この曲線において、段階1c は、水位がドラムの下縁部に達した瞬間に対応することがわかり、他方、同じ曲線上の点A、BおよびCは、前記規定にしたがったそれぞれの種類の布地または布地の混合体に対応するとともに、点Kは、それぞれの重量の洗濯物についてどんな種類の布地にでも選択される過剰水位に対応する。
【0033】
ドラムの回転と再循環ポンプの運転とが開始されることによって、それぞれの点に示される水位は、衣類が水を吸収するにつれて低下して、前記点Kは、吸水性が高い種類の布地(スポンジクロス)の場合の水位変化パターンを示す曲線pと、吸水性が中程度の種類の布地(例えば、ポリエステル/綿)の場合の同様の曲線qと、吸水性が低い種類の布地(合繊)を示す同様の曲線rとの複数の曲線を描くようになる。
【0034】
したがって、前記グラフから、水位安定後、すなわち所定の期間にわたってドラムの回転と水の再循環とを行なった後に、前記水位を測定し、これを装置に事前記憶させてある実験データと比較することにより、洗濯物の重量に基づいて、洗濯物の各種布地の混合比を一義的に認識かつ識別する(それぞれの吸水率による)ことができる。
【0035】
洗濯物に含まれる布地が極値を示す種類の場合の水位変化をより明確にするために、図5および6を詳細に参照されたい。図5は、前記動作モードにしたがった洗濯機において測定された水面の高さに関するグラフ(右から左に読む)であって、過剰量の水が注入され、この水が、水を再循環させながらドラムを複数回回転させた時に吸水性の高い衣類によって完全に保持された場合の例である。水位が上昇傾向を示してから、浸漬過程の不安定さにより略ゼロまで相応に下降する傾向にある数回の段階30を経た後に、まず一定距離31にわたって水位は非常に急激な態様で上昇し、その後、これに続く距離32にわたって上昇率を著しく低下させて、最終的には実質的に水位33に安定する様子に注目されたい。吸水性が低い種類の布地について行なわれた同じ実験から、図6に示すように、水位は、ドラムの回転に起因する振動が急速な変動に示されている距離34にわたって実質的に安定な漸増状態に保たれ、その後、これに続く距離35にわたって上昇率を低下させながらも漸増的な態様で上昇し、最終的に最終値36に安定することがわかる。前記2つの水位33、36の差と、装置にすでに記憶されている洗濯機パラメータと以前の実験データと洗濯物の実際の重量とを用いて、洗濯物の各種布地の混合比を計算する(それぞれの吸水率の関数として)ことができる。
【0036】
布地の吸水特性の測定と計算とを行なう前記方法を変形させた方法は、加圧脱水または回転脱水後の布地の保水特性の違いと加圧脱水または回転脱水前の同じ布地の保水容量とを比較することによって行なわれる。実際に、実験から、衣類を回転脱水した場合の方が、衣類の湿潤または浸漬のみを行なって回転脱水を行なわなかった場合よりも保水力の測定精度が高くなる(同じ条件下で変動性が低いという点から)ことがわかった。
【0037】
このような変形方法は、試験対象の全ての布地を必ず完全に湿潤および浸漬させうる操作手順を実行する段階と、自由水面の高さがどんな場合も常にドラム側面最下部の高さよりも下になるような条件を洗濯槽内において維持しながら(言うまでもなく回転脱水作用の効果を確保するため)、前記布地を回転脱水段階にかける段階と、その後、前記条件における吸水量を総注水量と洗濯槽内の残留水量との差として計算する段階とからなる。次に、当然ながら洗濯物の重量を十分に参照しながら、前記吸水量と、重量が既知かつ各種布地の混合比の観点から内容が既知の洗濯物を同様の回転脱水工程にかけて行なわれた複数回の測定に関する、事前に記録および記憶されている実験データとを比較する。
【0038】
これにより、前記比較に基づいて、洗濯物の重量毎に、判断対象の各種布地の混合比を容易に識別することができる。
【0039】
このような変形方法にしたがって、洗濯機は、以下の段階からなる一連の動作を行なう:
−自由水面がドラム側面最下部の高さを超えないような量の水を洗濯槽に注入するとともに、この水量を記憶する段階と;
−水の再循環と同時に低速ドラム回転サイクルおよび高速ドラム回転サイクルの両方を複数回行なうことからなる各一連の動作を複数回行ないながら、各一連の高速ドラム回転サイクルの終了時点において水位を記録および記憶する段階と;
−前記複数回の高速ドラム回転サイクルの終了時点において測定された水位が以前の記録水位以上になるまで、水位回復のための複数回の追加注水と前記複数回の一連動作とを交互に行なう段階であって、前記水位回復のための追加注水が、洗濯槽内の自由水面が一貫してドラム側面最下部の高さよりも常に必ず下に保たれるように何らかの方法で制限される段階と;
−洗濯槽に注入された総水量から最後に記録された水位に対応する水量を差し引くことにより、洗濯物の吸水量を計算する段階と;
−「吸水量に対する洗濯物の重量」比を計算するとともに、これを以前に記憶されているデータベースと比較することにより、各種布地の混合比を選択する段階。
【0040】
このような態様で動作を進行させると、水が衣類に吸収されるために、どんな状況においても水位は必ず元の水位よりも下において安定する傾向となる。しかし、このような状況において前記一連の連続的な追加注水と回転脱水と測定と比較とを遂行または続行する動作モード計画により、こうした状態は完全に考慮されているため、何の問題も起こらない。
【0041】
前記変形方法により、所要測定時間の短縮という点で特に有利な改良を実現することができる。実際に、到達可能最高水位(ドラム側面)により設定される限度まで第1回注水を行なってから、追加注水等、時間のかかる一連の動作を行なわせる代わりに、最小限の注水量を1回だけ測定して、数分(約3分)間にわたって水を再循環させながら行なわれる低速ドラム回転段階において衣類に前記水を全量吸収させて、水位回復のための第1回追加注水を行なう段階から前記モードにしたがった動作を行なわせることができる。この変形方法を用いると、終了までの時間が相応に長くなる数回の連続注水と追加注水とに対応する水量を最初に1回注入するだけでよくなるので、全体の所要時間が短縮される。
【0042】
以下に、洗濯槽内において水面が到達しうる水位にかかわりなく注水量を所定量にしなければならない場合に適用可能な特に有利な特徴について説明する。
【0043】
例えば合繊/綿布によって構成される洗濯物の場合に前記特徴を適用すると、後の安定サイクルにおいて、濾過器のベル形トラップに加わる圧力を適切な時間長にわたって有意な大きさに保ちながら、布地がちょうど浸漬されるだけの水を注入することができる。
【0044】
これと正反対に、洗濯物がスポンジクロス布によって構成されている場合は、同じ量の水では、確実に全面的な浸漬効果を得るという観点から不十分なことは明らかであり、したがって、相対的に短時間の内に有意な値未満まで前記圧力が急降下して、水が急速に全量吸収されてしまうため、新しい水位が記録不能になることは明らかである。
【0045】
注水量を直接測定できない圧力スイッチの問題を解消するためには、圧力スイッチに加わる圧力水頭にかかわりなく、注水量を正確に測定することが必要になる。
【0046】
そのための方法として、実質的に給水手段と給水管路の圧力との両方に依存している流量を一旦確認することができれば、時間制御の下で注水を行なわせることが可能になる。
【0047】
しかし、実際の流量を知るために、極めて重要な要素であることが確実な主管からの給水圧等、多数の要素によって実際の流量が変動しうることを考慮し、以下の手順の実行にあたって、まず導管内の水位を水位L3まで上げ、次に、出口導管内において水位L3より上かつ好ましくは前記水位の間において形成される容積Vがわかるような態様に位置付けられる第2の水位L4(図4参照)を確定することとする。この時点で、給水装置のスイッチを入れ、前記導管内において水位が水位L3から水位L4まで上昇させるために要する時間を記録することにより、流量測定手順を開始する。このようにして、時間に対する容積Vの比により、実際の注水流量が正確に表される。
【0048】
一旦正確な注水流量がわかると、洗濯機のプログラミング制御装置により、所要量ちょうどの水を洗濯槽に注入するために要する時間にわたって、洗濯機の給水手段に給水を行なわせることができ、この時の精度は、採用されている機械構成の検出器の感度により許容される公差内の精度および使用されている計算機構の精度となることは言うまでもない。
【0049】
最後に、注水段階において、注入される水の一部分がドラム壁面に沿って流下する時に前記ドラムを透過して洗濯物の一部分を浸漬させることにより、測定誤差が発生する場合もある。このような場合には、装置により計算された流量が実際の流量よりも低くなってしまうので、当然ながら流量の計算誤差が生じることになる。
【0050】
こうした誤差が発生する可能性をなくすために、ドラムに入れられている衣類に流入水が接触しないように適切に工夫するべきである。そのためには、洗濯槽の下部から直接注水を行なうとよい。
【0051】
従来技術において容易に利用可能な技術と知識とにより、当業者は、本発明に関連ある構成要素および部材の使用において、これ以外にも対策および最適化を講じうることが理解されよう。したがって、ここに一般的な用語を用いて本発明について説明したが、当業者には、本発明に数多くの変形または改変を加えうることが可能であるので、本発明は、この説明に示す例によって制限されると見なされるべきではない。よって、当業者に一般的な可能な範囲内に含まれうる可能なあらゆる自明の改変は、添付の特許請求の範囲に含まれるものとする。
【0052】
【発明の効果】
上述のように、本発明によれば、洗濯物の生地を吸水特性により自動的に判定する機構を安価また信頼性よく備えた洗濯機が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にしたがった洗濯機の構成部材と水位との第1の構成の略図である。
【図2】性質の異なる生地の吸水容量を示すグラフである。
【図3】種類の異なる生地について、洗濯機のドラムを静止および回転の両状態にした時の水位と時間との関係を示す曲線である。
【図4】本発明にしたがった洗濯機の構成部材と水位との第2の構成の略図である。
【図5】吸水性の低い種類の生地について、本発明にしたがった洗濯機において測定された水面の高さの変化を洗濯サイクルの進行時間の関数として示したグラフである。
【図6】吸水性の高い種類の生地である以外は全て同じ条件で測定された図5と同様のグラフである。
【符号の説明】
1 洗濯槽
2 ドラム
3 圧力スイッチ
6 給水口開閉手段
Claims (5)
- 洗濯槽(1)と、前記洗濯槽内において回転するとともに、洗濯物を収容し、かつ低速および高速の両速度で回転的に駆動されるようにしてあるドラム(2)と、前記洗濯槽の最下部の高さ(5)よりも下に位置する点(4)において圧力口と接続された空気室内に配置される圧力スイッチ(3)と、主給水管から前記洗濯槽への給水を統制する給水口開閉手段(6)と、前記洗濯槽内に入れられている水を再循環させる回路と、を備える、家庭用の洗濯機において、
自由水面が決してドラム側面最下部の高さに達しないような量の水を前記洗濯槽に注水するとともに、前記水量に関する情報を記憶する段階と;
各一連の動作が、水を同時に再循環させながら低速ドラム回転サイクルと高速ドラム回転サイクルとを複数回行なうことからなる一連の動作を複数回実行するとともに、前記高速ドラム回転サイクルの各一連の動作の終了時点における水位を記録する段階と;
前記複数回の高速ドラム回転サイクルの終了時点において測定される前記水位が事前に記録した前記高速ドラム回転サイクルの各一連の動作の終了時点における水位以上になるまで、水位回復のための複数回の追加注水と、前記複数回の一連動作とを交互に行なう段階であって、前記水位回復のための追加注水が、前記洗濯槽内の自由水面が一貫して前記ドラム側面最下部の高さよりも常に確実に下に維持されるように制限する段階と;
前記洗濯槽内に注水された総水量から最後に記録された水位に対応する水量を差し引くことによって、前記洗濯物の吸水量を計算する段階と;
「吸水量に対する洗濯物の重量」比を計算するとともに、前記比と、前記洗濯機に記録および記憶され、かつ既知の重さや既知の各種布地の混合比の洗濯物における吸水測定に関する実験データとを比較する段階と、
によって、前記洗濯物に含まれる各種布地の混合比を識別するべく構成されることを特徴とする、家庭用の洗濯機。 - 前記各種段階における注水量が、前記洗濯槽への給水のために設けられた給水手段(6)により確保される流量に基づいた時間制御方式の動作によってもたらされることを特徴とする前記請求項1に記載の洗濯機。
- 第1の基準水位(L3)と第2の基準水位(L4)との間に形成される既知の容積に水を注水するとともに、水位を前記第1の水位(L3)から前記第2の水位(L4)まで上昇させるために要する時間を記録することにより、前記流量が測定されることを特徴とする請求項2に記載の洗濯機。
- 前記流量の前記測定が、請求項1に記載の前記注水に先立って行なわれ、前記給水手段(6)の前記流量の測定が開始される前に、前記第1の基準水位(L3)に達するように第1回注水が行なわれることを特徴とする請求項3に記載の洗濯機。
- 前記洗濯槽の下部から前記洗濯槽内に水が注水されることを特徴とする前記請求項1〜4のいずれかに記載の洗濯機。
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