JP4044733B2 - ベロ毒素iiを認識するヒト型化抗体、および該抗体を産生する細胞株 - Google Patents

ベロ毒素iiを認識するヒト型化抗体、および該抗体を産生する細胞株 Download PDF

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Description

【0001】
発明の分野
本発明は、一般的に新規の生物製剤を開発するための組み換えDNAとモノクロナール抗体技術との結合に関し、さらに詳細には、例えばベロ毒素II(VT2)抗原、ベロ毒素II変種抗原(VT2V)に対して特異的な非免疫原性(ヒトにおいて)免疫グロブリンの生産法、および同法のインビトロおよびインビボ使用法に関する。本発明は、特にVT2およびVT2Vを中和可能なVT2に対するヒト型化モノクロナール抗体、同抗体をコードするポリヌクレオチド配列、同抗体の生産法、同抗体を活性成分として含む薬剤組成物、同抗体を活性成分として含む、ベロ毒素生産性大腸菌(VTEC)感染および溶血性尿毒症症候群(HUS)治療用薬剤、ならびにそのような疾患の治療法に関する。
【0002】
発明の背景
ベロ毒素(VT)はシガ様毒素(SLT)という名でも知られるが、このものはベロ毒素生産性大腸菌(VTEC)感染において、出血性下痢をまねいたり、また溶血性尿毒症症候群を引き起こすことが知られている。VTEC感染をまねく病因のひとつに、有毒な大腸菌0157がある。VTはまた、VTEC感染を引き起こす細菌以外のものによって産生されることがある。その場合もヒトに毒性症状を引き起こすことがある。免疫反応の低下した小児や老人の場合、腸で生育している細菌によって生産されるVTが、腸の上皮細胞を破壊することによって血流中に入ることがある。これが溶血性尿毒症症候群(HUS)を誘発する可能性がある。この症状は腎臓機能不全や、場合によって脳損傷を起こす特徴をもつ(例えば、Karmali, M等、The Lancet, 1, 619-620 (1983)、Siegler, R., The Journal of Pediatrics, 125, 511-518 (1994) 参照)。現在まで上記有毒症状に対する有効な薬は存在しない。抗生物質はこの有毒症状の進行を防ぐ効力を示していない(例えば、Carter, A等、The New England Journal of Medicine, 316, 1497-1500 (1987), Griffen, P.等、Annals of Internal Medicine, 109, 705-712 (1988) 参照)。これは抗生物質に殺された細菌からVTが放出されるためかも知れないし、また抗生物質がVTに対して無効なためかも知れない。
【0003】
ベロ毒素(またはシガ様毒素)には二種類ある。すなわち、ベロ毒素I(VT1またはSLT−1)と、ベロ毒素II(VT2またはSLT−2)である(O’rien等、Curr. Top. Microbiol. Immunol., 180, 65-94 (1992) 参照)。VT2生産性大腸菌は、VTEC感染症を患っている患者から分離された。(Russmann等、J. Med. Microbiol., 40 (5), 338-343 (1994) 参照)。Ostroff等、J. Infect. Dis. 160, 994-998 (1989)、およびKleanthous等、Arch. Dis. child. 65, 722-727 (1990)は、VT2を含むがVT1は含まない大腸菌0157株の方がHUSと相関する場合が多いことを報告している。この他にも臨床的に分離されたVT2変種(VT2V)がある。(例えば、Microb. Pathog., 8, 47-60 (1990), FFBS Lett., 79, 27-30 (1991)、Microb. Pathog., 5, 419-426 (1988)、およびJ. Bacteriol., 170, 4223-4230 (1988) 参照)。Armstrong等J. Infect. Dis., 171 (4), 1042-1045 (1995) によれば、臨床治験においてVT吸収剤を試験したところ、この薬物は腸管では働くものの血流に達したVTを吸収するためには用いることができなかった。γ‐グロブリン製剤は、VT1に対する作用と比較するとVT2に対しては極めて低い中和活性しか示さなかった(Ashkenazi, S.等、The Journal of Pediatrics, 113, 1008-1014 (1988)、Morooka, T.等、Acta Pediatrica Japonica, 38, 294-295 (1996))。VT2を中和するマウスモノクロナール抗体が従来から報告されている。しかしながら、この抗体はVT2Vに対しては比較的低い結合親和性しか示さないことが報告されている(Schmitt, C.等、Infection and Immunity, 59, 1065-1073 (1991))。
【0004】
さらに、上記のようなげっ歯目モノクロナール抗体の使用は、人間の治療では、特にその治療処方が繰り返される場合には次のような欠点がある。例えばマウスモノクロナール抗体の半減期は人体では短くなり、またヒトに使用した場合、他の重要な免疫グロブリン機能特性を欠如する傾向がある。
【0005】
さらに、げっ歯目モノクロナール抗体はヒトの患者に注入した場合、免疫原性となる多くのアミノ酸配列を含んでいる。外来性抗体の注入後、その注入された抗体に対して患者の誘起する免疫反応が強烈であって、初回投与後の同抗体の治療効果をほとんど取り去ってしまうことがあることは、既に多くの研究が示している。さらに、マウスやその他の(ヒトに対して)抗原性のモノクロナール抗体を各種ヒトの疾患の治療に使用した場合、無関係のマウス抗体による爾後の治療が交差反応性のために無効となったり、場合によって危険なものになる可能性がある。
【0006】
いわゆる「キメラ抗体」(例えばマウスの可変領域をヒトの定常部に接合したもの)は幾分か成功を実証したけれども、相当な免疫原性をもつという問題は依然として残っている。一般に多くの抗原に対するのと同様に、VT2抗原に対しても高い親和性をもって反応するヒト免疫グロブリンを生産することは、通常のヒトモノクロナール抗体生産法を用いたのでは極めて難しい。
【0007】
したがって、ヒトにおいて実質的に非免疫原性であり、それでいて治療製剤やその他の用法に好適であるように、簡単かつ経済的に生産することのできるVT2抗原特異的なヒト型化免疫グロブリンの改良型が求められている。本発明はこうした需要およびその他の需要を満たすものである。
【0008】
発明の大要
本発明は、VT2および/またはVT2変種に対して特異的に結合するヒト型化抗体を提供する。この抗体のあるものは、VT2のBサブユニットおよび/またはVT2変種のBサブユニットに特異的に結合する。この抗体のあるものは、VT2および/またはVT2変種を中和する。好ましい抗体は、VT2またはVT2変種のLD50値の10倍量を投与したマウスまたは他の哺乳動物に対して、少なくとも50%、75%、95%、または100%の保護を与える程度に、VT2および/またはVT2変種を中和する。
【0009】
ヒト型化抗体のあるものは、軽鎖可変領域が図1(B)に示すものであり、重鎖可変領域が図1(A)に示すものであるマウス抗体VTm1−1をヒト型化したものである。
【0010】
本発明はさらに、VT2および/またはVT2変種に対する特異的結合関し、マウス抗体VTm1−1と競合する抗体を提供する。
【0011】
前述のように、ヒト型化抗体のうちのあるものは、マウスVTm1−1抗体由来の相補性決定領域と、ヒトGF4抗体重鎖・軽鎖枠組み領域由来の重鎖・軽鎖可変領域枠組み領域とを含み、L49、H29、H30、H49、およびH98からなる群から選ばれた少なくともひとつの位置がマウスVTm1−1抗体の重鎖または軽鎖可変領域枠組み領域の等価的位置に存在するアミノ酸残基によって占められたものである。このようなヒト型化抗体は、107-1からマウスVTm1−1抗体の親和性の3、5、または10倍の親和定数をもってベロ毒素IIに特異的に結合する。
【0012】
前節で述べたいくつかのヒト型化抗体においては、L49、H29、H30、H49、およびH98からなる群から選ばれた各位置は、マウスVTm1−1抗体重鎖、または軽鎖可変領域枠組み領域の等価位置に存在するアミノ酸残基によって占められている。
【0013】
前記ヒト型化抗体のうちのあるものにおいては、L3、L4、L19、L79、L85、H1、H4、H5、H79、H89、およびH93からなる群から選ばれた少なくともひとつの位置が、ヒト抗体の重鎖または軽鎖共通配列の等価位置に存在するアミノ酸残基によって占められている。
【0014】
また、前記ヒト型化抗体のうちのあるものにおいては、L3、L4、L19、L79、L85、H1、H4、H5、H79、H89、およびH93からなる群から選ばれたそれぞれの位置が、ヒト抗体の重鎖または軽鎖共通配列の等価位置に存在するアミノ酸残基によって占められている。
【0015】
また、ヒト型化抗体のうちのあるものは、図2(A)に示した重鎖可変領域と、図2(B)に示した軽鎖可変領域とを含む。ここで、L49、H29、H30、H49、H98、L3、L4、L19、L76、L85、H1、H4、H5、H79、H89、およびH93からなる群から選ばれたひとつ以上の位置が、第2表、第3表に示すように置換されていてもよい。
【0016】
ヒト型化抗体のうちのあるものは、図2(A)に示す重鎖可変領域と、図2(B)に示す軽鎖可変領域とを含む。
【0017】
ヒト型化抗体のうちのあるものは、図2(A)に示したヒト型化重鎖と少なくとも85%相同な配列のヒト型化重鎖と、図2(B)に示したヒト型化軽鎖と少なくとも85%相同な配列のヒト型化軽鎖であってもよい。ただしここに、L49、H29、H30、H49、およびH98からなる群から選ばれた少なくともひとつの位置が、マウスVTm1−1抗体の重鎖または軽鎖可変領域枠組み領域の等価的位置に存在するアミノ酸残基によって占められていなければならない。
【0018】
前述のヒト型化抗体のあるものは、2対の軽鎖、重鎖の二量体からなる。そして各鎖は一つの可変領域と一つの定常部とを含む。
【0019】
前述のヒト型化抗体のあるものはFabフラグメントまたはF(ab’)2である。
【0020】
必要により前述のヒト型化抗体は精製形として提供される。
【0021】
前述のヒト型化抗体のあるものは、免疫グロブリンのIgG1アイソタイプである。
【0022】
本発明はさらに、ヒト型化VTm1−1抗体生産法を提供する。この方法は、前述の抗体のいずれかの重鎖および軽鎖をコードする塩基配列を含み、それによってヒト型化抗体を発現することが可能な細胞株を培養し、その細胞株によって発現されるヒト型化抗体を回収することからなる。この方法のあるものは、さらに抗体を製薬学的に許容可能な担体と混ぜて製剤組成物を生産することを含む。
【0023】
本発明はさらに、前記抗体のいずれかと製薬学的に許容可能な担体を含む製剤組成物を提供する。好ましいそのような組成物は、図2(A)に示した重鎖可変領域と図2(B)に示した軽鎖可変領域を含むヒト型化抗体である。本発明はさらに、ベロ毒素による作用を被っている、または被る危険のある患者の治療用薬剤を製造するための前記いずれかの抗体の使用法を提供する。
【0024】
本発明はさらに、ベロ毒素による作用を被っている、または被る危険のある患者の治療法であって、同患者に対してベロ毒素IIおよび/またはベロ毒素II変種に特異的に結合するヒト抗体またはヒト型化抗体の有効量を投与することをからなる治療法を提供する。この方法のあるものにおいては、前記抗体はベロ毒素IIまたはベロ毒素II変種に対する特異的結合についてマウス抗体VTm1−1と競合する。この方法のあるものにおいては、前記ヒト型化抗体は、VT2および/またはVT2変種と特異的に結合する。この方法のあるものにおいては、前記ヒト型化抗体は、VT2および/またはVT2変種のBサブユニットと特異的に結合する。この方法のあるものにおいては、前記ヒト型化抗体は、VT2および/またはVT2変種と特異的に結合し、VT2および/またはVT2変種を中和する。この方法のあるものにおいては、前記ヒト型化抗体は、VT2のBサブユニットおよび/またはVT2変種のBサブユニットに特異的に結合し、VT2および/またはVT2変種を中和する。この方法のあるものにおいては、前記抗体はマウスVTm1−1抗体をヒト型化したヒト型化抗体である。この方法のあるものにおいては、前記抗体は図2(A)に示す重鎖可変領域と、第2B図に示す軽鎖可変領域を含むヒト型化抗体である。この方法のあるものにおいては、患者はベロ毒素生産性大腸菌に感染しており、同抗体が治療剤として投与される。この方法のあるものにおいては、患者はベロ毒素生産性大腸菌による感染の危険があり、同抗体が予防的に投与される。この方法のあるものはさらに、ベロ毒素IIまたはベロ毒素II変種の毒作用からの回復に関して患者を観察することを含む。
【0025】
さらにもうひとつの局面において、本発明は前述の抗体のいずれかを生産する細胞株を提供する。
【0026】
本発明は、例えばベロ毒素産生大腸菌(VTEC)感染、溶血性尿毒症症候群(HUS)治療に有用な新規組成物、すなわちVT2抗原のBサブユニットに特異的に結合し、それによってVT2およびVT2変種を中和することの可能なヒト型化免疫グロブリンを含む組成物を提供する。前記免疫グロブリンは、2対の軽鎖・重鎖複合体であって、少なくとも一鎖はヒト枠組み領域と機能的に接合した1個以上のマウス相補性決定領域を含んでいてもよい。例えばマウス相補性決定領域であるが、これはもともとある付加的マウスアミノ酸残基を含んでいてもいなくてもよいが、同決定領域をヒト枠組み領域に導入して約107-1よりも高い親和性レベルで前記抗原に結合することのできるヒト型化免疫グロブリンを生産することが可能である。このヒト型化免疫グロブリンはさらに、VT2に対するCDR供与性マウスモノクロナール抗体の結合を阻止することが可能である。
【0027】
結合フラグメント、およびそれから導かれる他の誘導体を含む本発明の免疫グロブリンは、好ましくは骨髄腫細胞やハイブリドーマ細胞のような不死化された真核細胞を形質転換して最終的に発現させることを含む、各種DNA組み換え法により簡単に生産できる。ヒト型化免疫グロブリン枠組み領域をコードする第一配列と、所期の免疫グロブリン相補性決定領域をコードする第二配列組を含むポリヌクレオチドは、合成することにより、または適当なcDNAやゲノムDNA断片と結合することによって生産できる。
【0028】
ヒト型化免疫グロブリンは、ベロ毒素生産性大腸菌(VTEC)感染、および溶血性尿毒症症候群(HUS)罹患時に発生するものと同様の、VT2またはVT2Vの毒作用による疾患を治療する際に、実質的に純粋な形で用いることも可能である。ヒト型化免疫グロブリンまたはその複合体は、投与方式に応じて変わる製薬学的に許容可能な剤形として調製することが可能である。
【0029】
定義
二つの核酸またはポリペプチド(例えばヒト型化免疫グロブリンをコードするDNAまたはヒト型化免疫グロブリンのアミノ酸配列)の場合において、「実質的に同一」という文言は、下記の配列比較法および/または目視検査による測定において最大の一致を得るように比較、整列させた場合、少なくとも80%、さらに好ましくは85%、90−95%もしくはそれ以上のヌクレオチドまたはアミノ酸残基の相同性を有する二つ以上の配列もしくは部分配列をいう。このような「実質的に同一な」配列は、通常、相同的と判断される。できればその「実質的同一性」は、配列のうちの少なくともその長さが約50残基の領域に渡って存在すること、さらには少なくとも100残基の領域に渡って存在することが好ましい。最も好ましくはそれらの配列が少なくとも約150残基に渡って、または比較される二つの配列の全長に渡って、実質的に同一であることである。後述するように、二つの抗体配列はKabatの残基番号割り当て法に従えば、あるひとつの方法でしか並べることができない。したがって抗体の場合、相同性パーセントは一意的で明確な意味をもつ。
【0030】
免疫グロブリンの成熟重鎖および軽鎖可変領域由来のアミノ酸配列は、それぞれHxおよびLxと命名される。ここに、xはKabatの「Sequences of Proteins of Immunological Interest」命名法(国立保健研究所、ベセスダ、メリーランド州、1987年および1991年)によってアミノ酸の位置を指定する数である。Kabatは各サブグループについて、たくさんの抗体アミノ酸配列をリストし、かつそのサブグループの中の各残基位置について共通配列を構成する最も一般的なアミノ酸をリストした。Kabatは、リストされた配列中の各アミノ酸に残基番号を割り当てる方法を用いているが、この残基番号割り当て法は、この分野における標準法になっている。Kabatの方法は、彼の配列集に収録されていない他の抗体にも拡張可能である。すなわち、保存されたアミノ酸を参照しながらKabatの共有配列のひとつに問題とする抗体を揃えることによってそれが可能である。例えばヒト抗体のL50位置のアミノ酸は、マウス抗体のL50のアミノ酸と等価な位置を占める。
【0031】
保存的アミノ酸置換とは、同種の側鎖をもつ残基同士の相互交換可能性をさす。例えば脂肪族側鎖をもつアミノ酸グループはグリシン、アラニン、バリン、ロイシン、およびイソロイシンであり、脂肪族ヒドロキシル側鎖をもつアミノ酸グループはセリンとスレオニンであり、アミドを含む側鎖をもつアミノ酸グループはアスパラギンとグルタミンであり、芳香族側鎖をもつアミノ酸グループはフェニルアラニン、チロシン、トリプトファンであり、塩基性側鎖をもつアミノ酸グループはリジン、アルギニン、ヒスチジンであり、硫黄を含む側鎖をもつアミノ酸グループはシスティンとメチオニンである。好ましい保存的アミノ酸置換体グループはバリン−ロイシン−イソロイシン、フェニルアラニン−チロシン、リジン−アルギニン、アラニン−バリン、およびアスパラギン−グルタミンである。
【0032】
ある抗体配列の類似体について、ファージディスプレイ法を用いて結合活性の保有性に関してスクリーニングを実施することができる。例えばそのような方法は、Cesareni, FEBS Lett 307:66-70 (1992); Swimmer等、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 3756-60 (1992); Gram等、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 3576-80 (1992); Clackson等、Nature 352: 624-8 (1991); Scott & Smith, Science 249: 386-90 (1990); Garrad等、Bio/Techniques 9: 1373-1377 (1991) に記載されている。これらを引用することによってその全体をすべての目的に渡って本明細書に含める。
【0033】
「実質的に純粋」という用語は、目的種が、存在するものの主な種であり(すなわち、モル比としてその目的種が組成中の他のどの種よりも多量であること)、望ましくは実質的に精製された分画が、その目的種が存在するすべての巨大分子種の少なくとも約50%(モル比として)を含む組成であることが好ましい。一般には、実質的に純粋な組成物は、同組成物中に存在するすべての巨大分子種の約80から90%以上を含む。最も好ましくは、目的種は事実上の均一性にまで精製され(混入種が通常の検出法ではその組成物中に検出されない)、同組成物は事実上単一種の巨大分子からなる。
【0034】
抗体間の競合は、試験対象の免疫グロブリンにより抗原決定基に対する参照抗体の特異的結合が抑制される程度を定量することによって求められる。各種の競合的結合による定量法が知られている。例えば固相直接または間接ラジオイムノアッセー(RIA)、サンドイッチ競合定量法(Stahl等、 Methods in Enzymology 9: 242-253 (1983) 参照)、固相直接ビオチン・アビジンEIA (Kirkland等、J. Immunol. 137: 3614-3619 (1986) 参照)、固相直接標識定量法、固相直接標識サンドイッチ定量法(HarlowおよびLane著、「Antibodies, A Laboratory Manual」、Cold Spring Harbor Press (1988) 参照)、I−125ラベルによる固相直接標識RIA(Morel等、Molec. Immunol. 25 (1): 7-15 (1988) 参照)、固相直接ビオチン・アビジンEIA(Cheung等、Virology 176: 546-552 (1990) 参照)、および直接標識RIA(Moldenhauer等、Scand. J. Immunol. 32: 77-82 (1990))である。通常、試験免疫グロブリンは過量に存在する。競合定量法によって特定される抗体(競合抗体)は、参照抗体と同じエピトープに結合する抗体および立体障害を起こさせるのに十分なほど参照抗体の結合するエピトープに近いエピトープに結合する抗体を含む。通常、競合性抗体が過量に存在する場合、同抗体は指定の抗原標的に対する参照抗体の特異的結合を少なくとも50ないし75%抑制する。
【0035】
発明の詳細な説明
本発明によれば、VT2のBサブユニットに対して特異的反応性をもつヒト型化免疫グロブリンが提供される。この免疫グロブリンはVT2のBサブユニットに対して、少なくとも約107 -1から1010 -1の結合親和性をもち、また好ましくは108 -1から1010 -1、またはそれ以上の結合親和性をもつものであるが、このものは例えばVT2およびVT2V(VT2抗原)の毒性を中和することができる。かかるヒト型化免疫グロブリンは、ヒトの枠組み領域をもち、かつ免疫グロブリン、特にマウス免疫グロブリン由来のVT2抗原と特異的に反応する1個以上の相補性決定領域(CDR)をもつ。ある好ましい実施態様では、1個以上のCDRがMuVTm1.1抗体から得られる。したがって本発明の免疫グロブリンは経済的に大量に生産することが可能であるが、例えばヒトの患者におけるベロ毒素生産性大腸菌(VTEC)感染および溶血性尿毒症症候群(HUS)の中毒症状を処置する際に、さまざまの方法で用いられる。
【0036】
抗体の基本的構造単位は、4量体からなることが知られている。各4量体は、各対が1本の「軽」鎖(約25kD)と1本の「重」鎖(約50−70kD)をもつ、二対の同一ポリペプチド鎖からなる。各鎖のアミノ末端部分は、主に抗原認識にあずかる約100から110以上のアミノ酸からなる可変領域を含む。各鎖のカルボキシル末端部分は、主にエフェクター機能に与る定常部にあたる。
【0037】
軽鎖はカッパ鎖またはラムダ鎖に分類される。重鎖はガンマ、ミュー、アルファ、デルタ、またはイプシロンに分類され、それぞれIgG、IgM、IgA、IgD、およびIgEという抗体アイソタイプを定める。軽鎖と重鎖の内部において、可変領域と定常部は”J”領域と約12個以上のアミノ酸によって接合されるが、重鎖はさらに”D”領域ま
たは約10個以上のアミノ酸を含む(全般的に、Paul, W. 編、「Fundamental Immunology」、第7章、131-166、Raven Press, N.Y. (1984)参照。引用することによって本文献を本明細書に含める)。
【0038】
各軽鎖・重鎖ペアの可変領域は抗体結合部位を形成する。かかる鎖はすべて3個の超可変域によって接合される比較的保存された枠組み領域からなる同様な一般的構造を示す。この超可変域は、別に相補性決定域またはCDRとも呼ばれる(Kabat等著「Sequences of Proteins of Immunological Interest」、米国厚生省、1987年)およびChotiaとLesk, J. Mol. Biol., 196, 901-917 (1987)参照。引用することによって本文献を本明細書に含める)。各対の二本鎖由来のCDRは枠組み領域によって揃えられ、これにより特定のエピトープに結合することが可能になる。
【0039】
本明細書で使用する「免疫グロブリン」という用語は、実質的に免疫グロブリン遺伝子によってコードされる1個以上のポリペプチドからなる蛋白をさす。既知の免疫グロブリン遺伝子は、カッパ、ラムダ、アルファ、ガンマ、デルタ、イプシロン、およびミュー定常部遺伝子と、それと同時に莫大な数の免疫グロブリン可変領域遺伝子とを含む。免疫グロブリンは、抗体の他にもさまざまな形態において存在する。そのような形態としては、例えばFv、Fab、およびF(ab’)2や、二重機能性ハイブリッド抗体(Lanzavecchia等、Eur. J. Immunol. 17, 105 (1987) 参照)や、単一鎖(例えば、Huston等、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 85, 5879-5883 (1988)、およびBird等、Science 242, 423-426 (1988) を参照。引用することによってこれらの文献を本明細書に含める)。(全般的には、Hood等著、「Immunology」, Benjamin, N.Y., 2版、1984年、Harlow and Lane著、「Antibodies. A Laboratory Manual」、Cold Spring Harbor Laboratory (1988) およびHunkapillerとHood, Nature, 323, 15-16 (1986) を参照。引用することによってこれらの文献を本明細書に含める)。
【0040】
キメラ抗体は、その軽鎖および重鎖遺伝子が、典型的には遺伝子工学により別種に属する免疫グロブリン遺伝子セグメントから構築された抗体である。例えばマウスモノクロナール抗体遺伝子のうち、可変(V)セグメントをヒトの定常セグメント(C)、例えばY1およびY3に接合することも可能である。したがって、通常の治療用キメラ抗体はマウス抗体由来のV、すなわち抗原結合ドメインと、ヒト抗体由来のC、すなわちエフェクタードメインからなるハイブリッド蛋白である。もっとも、他の哺乳動物種を用いることも可能である。
【0041】
本明細書で使用する「枠組み領域」という用語は、Kabat等が上記引用文献で定義したように、単一種のさまざまな免疫グロブリンの間で比較的保存されている免疫グロブリンの軽鎖・重鎖可変領域(すなわちCDR領域以外の部分)をさす。本明細書で使用される「ヒト枠組み領域」とは、天然のヒト抗体の枠組み領域と実質的に同一(約85%以上)の枠組み領域である。
【0042】
本明細書で使用する「ヒト型化免疫グロブリン」という用語は、ヒトの枠組み領域と、少なくとも1個の非ヒト抗体由来のCDRを含む免疫グロブリンであって、その定常部が実質的にヒト免疫グロブリン定常部と同一である、すなわち少なくとも約85−90%、好ましくは少なくとも95%相同である免疫グロブリンをさす。したがって、ヒト型化免疫グロブリンの、恐らくCDRを除く全ての部分は、ヒトのひとつのまたはそれ以上の天然型免疫グロブリン配列上の対応部分と実質的に同一である。例えばヒト型化免疫グロブリンは、マウス可変領域・ヒト定常部からなるキメラ抗体を含まない。
【0043】
ヒト型化抗体は、ヒトの治療に使用するに際し、マウス抗体よりも、また場合によってはキメラ抗体よりも、少なくとも三つの利点をもつと考えられる。
【0044】
エフェクター部分がヒト由来であるから、ヒト免疫系の他の部分とより優れた相互作用をもつ可能性がある。例えば、補体依存性細胞傷害性(CDC)、抗体依存性細胞傷害性(ADCC)によって標的細胞をより効率的に破壊する。
【0045】
ヒト免疫系はヒト型化抗体の枠組み領域またはC領域を異物と認識しないであろうから、それが注入されても同抗体に対する抗体反応は、完全に異物であるマウス抗体または部分的に異物であるキメラ抗体に対するよりは、低度であろう。
【0046】
注入されたマウス抗体は、ヒトの循環系において正常の抗体の半減期よりもはるかに短い半減期をもつことが報告されている(Shaw等、J. Immunol, 138, 4534-4538 (1987))。注入されたヒト型化抗体は、天然のヒト抗体のものとほとんど同じ半減期をもつことが考えられる。そのため、投与の量と回数を減らすことが可能になる。
【0047】
また本発明は、例えばモノクロナール抗体MuVTm1.1のようなVT2のBサブユニットに結合することのできる免疫グロブリンの重鎖および/または軽鎖CDRをコードする組み換えポリヌクレオチドである。これらの領域をコードするポリヌクレオチドは、通常、適当なヒトの枠組み領域をコードするポリヌクレオチドに接合される。ヒトの枠組み領域に関しては、CDR含有非ヒト免疫グロブリンの枠組み領域、または可変領域のアミノ酸配列を、ヒト免疫グロブリン配列集の中の対応配列と比較し、高度の相同性をもつ配列を選択する。モノクロナール抗体MuVTm1.1の重鎖・軽鎖CDRを含むポリペプチド鎖をコードするポリヌクレオチドを図1に例示する。コドンの縮重と必須ではないアミノ酸置換がありうるため、他のポリヌクレオチド配列も、後述するように容易にこれらの配列と置換することが可能である。ヒト型化免疫グロブリンの設計は次のように行ってもよい。あるアミノ酸が下記の範疇に属する場合、使用するヒト免疫グロブリンの枠組み領域のアミノ酸(受容側免疫グロブリン)を、CDR含有非ヒト免疫グロブリン(供与側免疫グロブリン)由来の枠組み領域のアミノ酸と交換する。
【0048】
受容側免疫グロブリンのヒト枠組み領域のアミノ酸が、その位置のヒト免疫グロブリンに対して異常であるが、一方供与側免疫グロブリンの対応アミノ酸は、その位置のヒト免疫グロブリンに対して通常のものである場合、
前記アミノ酸の位置がCDRのひとつに直近である場合、または、
前記アミノ酸が、免疫グロブリンの3次元構造モデルにおいて、CDRの約3A以内にある場合(それぞれ、Queen等、前述、および、Co等、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88, 2869 (1991)参照。引用することによって本文献を本明細書に含める)。
【0049】
受容側免疫グロブリンのヒト枠組み領域の各アミノ酸、それに対応する供与側免疫グロブリンのアミノ酸が、その位置におけるヒト免疫グロブリンに対して異常である場合、そのアミノ酸をその位置におけるヒト免疫グロブリンに対して典型的なアミノ酸と交換する。
【0050】
ヒト型化免疫グロブリン生産に関する詳細な説明に関しては、Queen等(前述)およびCo等(前述)を参照されたい。
【0051】
ポリヌクレオチドは、通常、ヒト型化免疫グロブリンコード配列に機能的に結合する発現制御ポリヌクレオチド配列を含む。この中には天然の関連するプロモーター領域、または異種のプロモーター領域が含まれる。好ましくはこの発現制御配列は、真核性の宿主細胞を形質転換もしくはトランスフェクトすることが可能なベクターに組み込まれた真核プロモーター系であるが、前核性宿主用の制御配列も使用可能である。ひとたびベクターが適当な宿主に導入されたならば、ヌクレオチド配列の高度の発現に適した条件で維持し、必要により軽鎖、重鎖、軽鎖・重鎖二量体、または完全長抗体、結合性フラグメントやその他の免疫グロブリン形の回収・精製を続けて行ってもよい。
【0052】
最終的に所望のヒト型化抗体を発現することのできる本発明の核酸配列は、さまざまのポリヌクレオチド(ゲノムまたはcDNA、RNA、合成オリゴヌクレオチド等)や各種成分(例えば、V、J、DおよびC領域)から、さまざまの方法を用いて形成することが可能である。適当なゲノム配列と合成配列とを接合することが現在のところもっとも一般的な製造法であるが、cDNA配列を用いてもよい(欧州特許第0239400号、およびRiechmann, L.等、Nature, 332, 323-327 (1988) 参照。引用することによって本文献の両方を本明細書に含める)。
【0053】
ヒトの定常部DNA配列は、さまざまのヒト細胞から既知の手法により単離が可能であるが、できれば不死化したB細胞株から単離することが好ましい(Kabat等、前述、およびWP 87/02671)。本発明の免疫グロブリン生産用CDRは、既知の方法によって抗体の生産可能なマウス、ラット、ウサギ、またはその他の脊椎動物を含む好適な哺乳動物供給源において生産されるVT2に結合可能なモノクロナール抗体から得ることができる。前記ポリヌクレオチド配列の好適な供給源細胞、および免疫グロブリンの発現と分泌のための宿主細胞は、いろいろな供給源、例えばAmerican Type Culture Collection(「Catalogue of Cell Lines and Hybridomas」、第5版、(1985)、Rockville、メリーランド州、米国。この文献を引用することによって本明細書に含める)から入手可能である。
【0054】
本明細書に詳細に記載するヒト型化免疫グロブリンに加え、その他の「実質的に相同な」修飾免疫グロブリン類も、当業者には既知の各種組み換えDNA技術を用いて簡単に設計・製造が可能である。例えば前記枠組み領域は、いくつかのアミノ酸置換、末端のあるいは中間の付加や欠失等を行うことによって一次構造レベルにおける天然型配列を改変することができる。さらに、本発明のヒト型化免疫グロブリンのための材料として、さまざまのヒト枠組み領域を単独で、または組合せて使用することが可能である。一般に、遺伝子の修飾は各種の既知の技術、例えば部位指向性突然変異法を用いて簡単に実行できる(Gillman and Smith, Gene 8, 81-97 (1979)、およびRoberts S.等、Nature 328, 731-734 (1987) 参照。いずれも引用することによって本明細書に含める)。
【0055】
また、別法として、抗体一次構造のほんの一部を含むポリペプチドフラグメントであって、1個以上の免疫グロブリン活性(例えば補体固定活性)をもつフラグメントを生産してもよい。このようなポリペプチドフラグメントは、当業者には既知の方法を用いて完全長の抗体を蛋白分解酵素によって切断して生産してもよい。あるいは、部位指向性突然変異法を用いてベクター中の所望の位置に、例えばCH1の後に終止コドンを挿入してFabフラグメントを、またはヒンジ領域の後に終止コドンを挿入してF(ab’)2フラグメントを生産してもよい。また、VLとVHをDNAリンカーで接合して一本鎖抗体を生産してもよい(Huston等、前述、およびBird等、前述)。さらに、多くの遺伝子と同様、免疫グロブリン関連遺伝子も、それぞれが1個以上の別個の生物学的活性をもつ別々の機能性領域を含むので、これらの遺伝子を他の遺伝子由来の機能的領域と融合して新規の性質をもつ融合蛋白を生産することもできる。
【0056】
前述したように、かかるポリヌクレオチドは、それを発現制御配列と機能的に結合した後(すなわち発現制御配列の機能を保証するように位置付けた後)、宿主において発現される。これらの発現ベクターは、通常、エピゾームとして、または宿主染色体DNAに組み込まれた一部としてホスト生物中で複製が可能である。通常、発現ベクターは、例えばテトラサイクリンまたはネオマイシンのような選択マーカーを含み、それによって所期のDNA配列で形質転換された細胞の検出が可能となっている(例えば米国特許第4704362号参照。引用することによって本文献を本明細書に含める)。
【0057】
大腸菌は本発明のポリヌクレオチドをクローニングするのに特に有用な前核性宿主である。その他の使用に好適な微生物宿主としては、Bacillus subtilisのような枯草菌、サルモネラ属、セラチア属のようなその他の腸内細菌類、および各種シュードモナス種がある。これら前核細胞性宿主において、通常、宿主細胞と両立が可能な発現制御用配列(例えば複製起点)を含む発現ベクターを造成することができる。さらに任意の数の各種既知のプロモーター系、例えばラクトースプロモーター系、トリプトファンプロモーター系、ベータ・ラクタマーゼプロモーター系、またはラムダファージ由来のプロモーター系が存在することになる。これらプロモーターは、通常、必要によりオペレーター配列を用いて発現を制御し、かつ転写・翻訳を開始・終了するためのリボソーム結合部位配列等をもつ。
【0058】
その他の微生物、例えば酵母を発現に用いてもよい。3−ホスホグリセリン酸キナーゼや、その他の解糖酵素を含む、プロモーターのような発現制御配列、複製開始点、終結配列等を必要に応じて備えた好適なベクターをもつサッカロミセス属が好ましい宿主である。
【0059】
微生物の他に哺乳類組織細胞培養系を本発明のポリペプチドの発現と生産に用いてもよい(Winnacker、「From Genes to Clones」、VCH Publishers, ニューヨーク、ニューヨーク州 (1987) 参照。本文献を引用することによって本明細書に含める)。実際には真核細胞が好ましい。なぜなら、この分野において完全長免疫グロブリンを分泌することが可能ないくつかの好適な宿主細胞株が開発されており、その中にはCHO細胞株、各種COS細胞株、HeLa細胞株があるが、好ましくは骨髄腫細胞系、または形質転換されたB細胞であるハイブリドーマがよい。上記細胞用発現ベクターは、複製開始点、プロモーター、エンハンサー(Queen等、Immunol. Rev. 89, 46-68 (1986)。本文献を引用することによって本明細書に含める)、リボソーム結合部位、RNAスプライシング部位、ポリアデニル化部位、および転写終結配列のような、加工処理のために必要な情報をもつ部位等の発現制御配列を含んでいてもよい。好ましい発現制御配列は、免疫グロブリン遺伝子、SV40、アデノウィルス、牛パピローマウィルス、サイトメガロウィルス等由来のプロモーターである。
【0060】
所期のポリヌクレオチド配列(例えば重鎖・軽鎖コード配列と発現制御配列)は、細胞性宿主の種類に応じて変わってくる既知の方法により宿主細胞に導入することができる。例えば、一般に前核細胞の場合には塩酸カルシウムによるトランスフェクションが利用されるのであるが、その他の細胞性宿主の場合、リン酸カルシウム処理または電気穿孔が用いられる。(全般的に、Maniatis等、「Molecular Cloning: A Laboratory Manual」、Cold Spring Harbor Press (1982) 参照。本文献を引用することによって本明細書に含める)。
【0061】
ひとたび発現されたならば、本発明の抗体全体、その二量体、個々の軽鎖・重鎖、またはその他の免疫グロブリン形を、例えば硫酸アンモニウム沈殿法、アフィニティーカラム、カラムクロマトグラフィー、ゲル電気泳動等を含む当分野における標準法に従って精製することができる(全般的に、Scopes, R.「Protein Purification」、Springer-Verlag、ニューヨーク(1982) を参照。本文献を引用することによって本明細書に含める)。製薬学的使用のためには、少なくとも約90から95%の均質性をもつものが好ましく、さらに好ましくは98から99%以上の均質性をもつ、実質的に純粋な免疫グロブリンを用いる。部分的に、または所望の均質性に精製しえたならば、次にそのポリペプチドを治療的に(体外的使用を含む)、または評価法、免疫蛍光染色法等の開発・実施に使用してもよい。(全般に、「Immunological Methods」IおよびII巻、LefkovitsおよびPernis編、Academic Press、ニューヨーク、ニューヨーク州(1979, 1981)参照)。
【0062】
本発明の免疫グロブリンは、典型的にはベロ毒素生産大腸菌(VTEC)感染、および溶血性尿毒症症候群(HUS)の毒性作用の治療および/またはVT2抗原の中和化のために個別的に使用される。限定するという意味ではなく実例を示すという意味で、治療対象として好適ないくつかの典型的な病状を挙げると、腸に局在する出血性大腸炎、腎臓の機能不全、および脳損傷がある。
【0063】
本発明のヒト型化免疫グロブリンとその薬剤組成物は、非経口投与に、すなわち皮下、筋肉内、または静脈内投与に特に有用である。非経口投与用組成物は、通常、免疫グロブリンまたはその混合物を許容可能な担体、できれば水性担体に溶解した溶液である。さまざまな水性担体が使用可能であり、例えば水、緩衝水、0.4%生理食塩水、0.3%グリシン、5%グルコース、ヒトアルブミン液等が挙げられる。前記溶液は無菌であり、一般に粒状物質を含まない。前記組成物は、通常の既知の滅菌法によって滅菌してもよい。前記組成物は、生理的条件に近似させる必要から、製薬学的に許容可能な補助物質を含んでいてもよい。例えばpH調節剤、緩衝剤や、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、乳酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム等のような、浸透圧剤、毒性調節剤等である。これらの処方における免疫グロブリンの濃度は、重量として約0.5%未満から、通常は少なくとも約1%から、多い場合は15から20%まで広範に変動してよいが、選択した特定の投与法に応じ、主に液の容量や粘度等に基づいて決められる。
【0064】
したがって、注射用の典型的な製薬組成物は、最大1mlの滅菌緩衝水と、1−10mgの免疫グロブリンを含むように作製してもよい。静注輸液用の典型的な組成物は、250mlの滅菌リンゲル液と、150mgの免疫グロブリンを含むように作製できる。非経口的投与が可能な組成物の実際の調製法は、当業者には既知または明白であり、例えば「Remington's Pharmaceutical Science」、15版、Mack Publishing Company, Easton, Pennsylvania (1980) にさらに詳細に記載されている。ここに、引用することによって本文献を本明細書に含める。
【0065】
本発明の免疫グロブリンは、保存のために凍結または凍結乾燥し、使用前に適当な担体によって再構成させることができる。この方法は通常の免疫グロブリンについて有効であることが示されており、かつ当分野で既知の凍結乾燥法や再構成法が用いられる。凍結乾燥や再構成が種々の程度の免疫グロブリン活性損失を招く可能性のあること(例えば通常の免疫グロブリンの場合、IgM抗体はIgG抗体よりも活性損失が大きくなる傾向がある)、およびそれを補うために使用濃度を調節しなければならないことは当業者にはよく認識されている。
【0066】
本発明のヒト型化免疫グロブリン、またはその混合物を含む組成物は、治療処置のため、または予防処置のために投与することができる。治療用途の場合、組成物をベロ毒素生産大腸菌(VTEC)感染および溶血性尿毒症症候群(HUS)に罹患している、またはその他のVT2抗原による中毒症状を呈している患者に対し、その毒性症候群およびその合併症を治療する、または少なくとも部分的に停止させるのに十分な量を投与する。上記を達成するのに十分な量を「治療有効量」と定義する。予防用途の場合、前記組成物はVT2抗原による感染および/またはその毒性症状を予防、または検出可能なほどに抑制するのに十分な量を感染の危険のある患者に投与する。このような使用法における有効量は、病気の程度や患者自身の免疫系の一般的状態に依存するが、一般的には患者一人当り0.1から5mg/kg範囲の用量の免疫グロブリンが使用される。本発明の物質は一般に重大な病状、すなわち生命を脅かす、または生命を脅かす可能性のある状況で使用されることを念頭に置かなければならない。そのような場合、本発明のヒト型化免疫グロブリンは外来性の物質を極小としており、それによって惹起される「異物」拒絶反応の確率は比較的低く抑えられていることを考え合わせると、治療を担当する医師にとってはこの免疫グロブリンを実質的に過剰量投与することが可能であり、かつ好ましく思うことであろう。
【0067】
前記組成物の単回投与または複数回投与は投与濃度、パターンとも治療担当医師の選択のままに実行してよい。いずれにしろ製薬処方は患者を有効に治療するのに十分な量供給しなければならない。
【0068】
特定の実施態様においては、本発明のヒト型化免疫グロブリンを含む組成物は、ベロ毒素生産大腸菌(VTEC)感染と溶血性尿毒症症候群(HUS)および/またはVT2やVT2Vを産生するその他の感染症において、VT2抗原を検出するのに用いることが可能である。したがって、本発明のヒト型化免疫グロブリン、例えばMuVTm1.1抗体によって特定される抗原決定基に結合するヒト型化免疫グロブリンは、標識してVT2またはVT2Vを相当量含む解剖学的部位を特定するのに使用できる。例を挙げると、だからといってこれだけに限定されるわけではないが、このヒト型化免疫グロブリンにひとつ以上の標識体をつけてもよい。標識体としては、これだけに限定されるわけではないが、例えばX線不透過染色剤、X線造影剤、蛍光分子、スピン標識分子、酵素、放射線画像法もしくは核磁気共鳴画像法において特に診断的価値を有するその他の標識体が挙げられる。
【0069】
さらに、本発明のヒト型化免疫グロブリンはインビトロにおいても多種多様の使途を見出すことができる。例を挙げると、かかる免疫グロブリンはVT2抗原等の検出に利用することが可能である。
【0070】
診断目的のためにはこの免疫グロブリンを標識しても標識しなくともよい。未標識免疫グロブリンを、本発明のヒト型化免疫グロブリンと反応性をもつ他の標識抗体(二次抗体)と併用してもよい。そのような二次抗体としては、例えばヒト免疫グロブリン定常部に対して特異的な抗体である。別法として、前記免疫グロブリンを直接標識することも可能である。多種多様の標識の使用が可能であり、例えば放射性核種、蛍石、酵素、酵素基質、酵素補因子、酵素阻害剤、リガンド(特にハプテン類)等がある。各種のイムノアッセーが利用可能であるが、これは当業者にはよく知られているところである。
【0071】
細胞活性に対する予防のために、または細胞活性の検出のために、あるいは選択された抗原の存在検出のために、本発明の免疫グロブリン使用のためのキットを提供することも可能である。したがって、本発明の免疫グロブリン組成物は、通常、容器に凍結乾燥された形で、単独で、または所期の細胞型に対して特異的に反応する他の抗体と併せて提供されてもよい。標識体または毒素と結合された、または結合されていない本免疫グロブリンは、トリス、リン酸、炭酸等のバッファーや、安定化剤、防腐剤、殺生物剤、血清アルブミンのような不活性蛋白や、一組の使用説明書と共にキットに含められていてもよい。一般に、これらの材料は活性免疫グロブリンの量に応じて約5%重量未満として存在するが、通常は、この場合も免疫グロブリン濃度に応じて、全量として少なくとも約0.001%重量として存在する。活性成分を希釈するための不活性の希釈剤、または賦形剤を含めることが好ましい場合がしばしばある。この場合、賦形剤は全組成の約1から99%重量で存在させることができる。本免疫グロブリンに結合可能な二次抗体を定量法に使用する場合には、このものは通常別の瓶に納められる。通常、かかる二次抗体は標識化されており、本発明の免疫グロブリンと同様に調製される。
【0072】
ヒト抗体
本発明のもうひとつの局面においては、ベロ毒素IIまたはベロ毒素II変種との結合についてマウスVTm1−1と競合するヒト抗体が提供される。
【0073】
a.トリオーマ法
基本的な手法、および典型的細胞融合のパートナーであるSPAZ−4については、Oestberg等、Hybridoma 2: 361-367 (1983)、Oestberg、米国特許第4,634,664号、およびEngleman等、米国特許第4,634,666号に記載されている(本文献のそれぞれを引用することによってすべてを本明細書に含める)。この方法によって得られた抗体産生細胞株をトリオーマとよぶ。なぜなら、それは三つの細胞、すなわち二つのヒト細胞と一つのマウス細胞からの子孫だからである。最初にマウスの骨髄腫細胞株をヒトのBリンパ球と融合して非抗体生産性異種間ハイブリッド細胞を得る。例えばOestberg(前述)によって記載されたSPAZ−4細胞株のような異種細胞を、ヒト免疫化Bリンパ球と融合して抗体生産性トリオーマ細胞株を得る。トリオーマはヒト細胞から制作した通常のハイブリドーマよりもより安定に抗体を生産することが見出されている。
【0074】
前記Bリンパ球は、ヒトのドナーの血液、脾臓、リンパ節、または骨髄から入手する。生きているヒトをベロ毒素IIまたはベロ毒素II変種によりインビボで免疫化することは有害な反応を惹起する危険性があるので望ましくない。したがって、通常、Bリンパ球はこれらの抗原、またはその抗原性断片、またはそのいずれかを坦持する細胞を用いてインビトロで免疫化する。通常、Bリンパ球は、10%ヒト血清を添加したRPMI−1640(Engleman(前述)参照)のような培養液中で、7−14日間抗原に暴露する。
【0075】
免疫化されたBリンパ球をよく知られた方法によってSPAZ−4のような異種間ハイブリッド細胞に融合させる。例えば、これらの細胞を約37℃において約5−10分間、分子量1000−4000の40−50%ポリエチレングリコールで処理する。細胞を融合混合物から分離し、所期のハイブリッドに対して選択的な培地(例えばHATまたはAH)に移す。必要な結合特異性をもつ抗体を分泌するクローンは、トリオーマ培養液をベロ毒素IIまたはベロ毒素II変種に対する結合能力を定量して特定する。所期の特異性をもつヒト抗体を生産するトリオーマを、例えば限界希釈法によってサブクローニングし、インビトロで培地中にて培養する。
【0076】
トリオーマは遺伝的には安定であるが、抗体を高濃度に産生しない場合がある。このトリオーマ由来の抗体遺伝子を1個以上の発現ベクターにクローニングし、そのベクターを後述するような細胞株に形質転換し、組み換えまたはヒト型化免疫グロブリンを発現させることによって発現レベルを増加させることができる。
【0077】
b.トランスジェニック非ヒト哺乳動物
また、ベロ毒素IIおよび/またはベロ毒素II変種と反応するヒト抗体は、少なくともヒト免疫グロブリン遺伝子座の一部分をコードする導入遺伝子を有するヒト以外のトランスジェニック哺乳類から生産することもできる。通常、このようなトランスジェニック哺乳類の内在性免疫グロブリン遺伝子座は機能的に不活性化される。このヒト免疫グロブリン遺伝子座の部分は、重鎖と軽鎖成分が再編成されていない配列であることが好ましい。内在性免疫グロブリン遺伝子の不活性化、および外来免疫グロブリン遺伝子の導入の両方を、選択的相同組換え法、またはYAC染色体の導入で実現することが可能である。この方法によって得られるトランスジェニック哺乳類は、内在性免疫グロブリン遺伝子を発現させることなく、機能的に前記免疫グロブリン部分の配列を再構成し、ヒト免疫グロブリン遺伝子によってコードされる各種アイソタイプのいろいろな抗体を発現することができる。このような性質をもつ哺乳類の生産法や特性は、例えば、Lonberg等、WO93/12227 (1993)、およびKucherlapati, WO 91/10741 (1991) に詳細に記載されている(本文献それぞれの全部を引用することによって、すべての目的に関して本明細書に含める)トランスジェニックマウスが特に好適である。抗体は、LonbergまたはKucherlapati(前述)の記載するように、トランスジェニック非ヒト哺乳類を免疫化することによって取得する。モノクロナール抗体は、例えば通常のKohler-Milstein法を用い、そのような哺乳類から得たBリンパ球を適当な骨髄腫細胞に融合させて調製する。
【0078】
下記の実施例は、限定的意味ではなく、例示のために提供される。これらの実施例は、VT2抗原のBサブユニットに対する高い結合親和性をもつヒト型化抗体を生産するHuVTm1.1抗体に関連しているが、VT2エピトープに結合する他のモノクロナール抗体由来のCDRを用いることも考えられることは理解されよう。
【0079】
実験
実施例1 VT2トキソイドによるマウスの免疫化
VT2は、Oku等、Microb. Pathog., 1989, 6 (2), 113-122に記載される方法で調製した。VT2トキソイドは、1mgの精製VT2を0.1Mリン酸バッファー(pH7.6)に溶解させた0.4%ホルムアルデヒドにて37℃で7日間処理して調製した。
【0080】
Balb/cマウス(日本チャールズリバー)をフロインドの完全アジュバント(Gibco BRL)と混合したVT2トキソイドで、腹腔内注射(i.p.)により免疫化した。約4週後、フロインドの完全アジュバンドと混合したVT2トキソイド(1μg)を腹腔注射により投与した。次に、同マウスにフロインドの不完全アジュバンドと混合したVT2トキソイド(1μgを2回、4μgを2回、5μgを1回)を腹腔注射により1から5週間隔で連続的に投与した。
【0081】
マウスの尾静脈を切って出血させ、血液を37℃で30分間インキュベートし、3000rpmで10分間遠心して血清を収集した。VT2に対する血清力価をELISAにより以下のように測定した。
【0082】
96ウェル平底プレート(Falcon 3912、Becton Dickinson)の各ウェルを0.01Mリン酸バッファー/生理食塩水(PBS)で希釈した50μlの1μg/ml VT2でコートし、室温で1時間インキュベートした。
各ウェルをPBS−0.05%Tween20で3回洗浄した。
各ウェルを室温で1時間、PBS−3%BSAでブロッキング処理した。
各ウェルをPBS−0.05%Tween20で3回洗浄した。
PBSで連続希釈した50μlの血清を各ウェルに加え、室温で1時間インキュベートした。
各ウェルをPBS−0.05%Tween20で3回洗浄した。
各ウェルにPBS−3%BSAで希釈した(×1000)50μlのアルカリホスファターゼ複合ヤギ抗マウスIgG(ZYMED)を加え、室温で1時間インキュベートした。
各ウェルをPBS−0.05%Tween20で3回洗浄した。
各ウェルにp−ニトロフェノールホスフェート(PNPP、和光純薬)を加え、室温で1時間インキュベートした。
各ウェルにつき、405nmにおける吸収を測定、記録した。
【0083】
実施例2 細胞融合法によるハイブリドーマの調製
VT2に対して反応性の抗体を含有する血清をもつマウスを選び、脾臓摘出を行った。5×107 個の脾臓細胞と、5×106 P3X63Ag8U.1(P3U1)マウス骨髄腫細胞を結合し、RPMI 1640培地で一度洗浄し、1500rpmで5分間遠心した。この細胞塊を静かに分散し、1mlのポリエチレングリコール(PEG)液(RPMI培養液5.75ml+PEG3.5ml+ジメチルスルホキシド0.75ml)に再懸濁し、2分間静かに回転攪拌した。次にRPMI培養液1mlを添加し、2分間回転攪拌した。その後、RPMI培養液2mlを添加し、2分間回転攪拌した。4mlのGIT−HAT培養液(95μMヒポキサンチン、0.4μMアミノプテリン、1.6μMチミジン、5%FCS)を添加し、2分間回転攪拌した。次に8mlのGIT−HAT培養液を添加し、2分間回転攪拌した。37℃で30分間インキュベーション後、この細胞懸濁液をウェル当り104 個のマウス腹腔マクロファージをしいた96ウェル平底プレートの各ウェルに加えた。このプレートを5%CO2−95%空気のインキュベーター中、37℃で1週間インキュベートした。その後、各ウェルの培養液の半分を新鮮なGIT−HT培地と交換し(アミノフェリンを含まないGIT−HAT培地)、同プレートを約1週間インキュベートしてハイブリドーマ細胞を育成した。
【0084】
実施例3 VT2に対する抗体を分泌するマウスハイブリドーマ細胞のスクリーニング
VT2に結合し、VT2を中和する抗体を分泌するハイブリドーマ細胞を選択するスクリーニングを行った。ハイブリドーマ上清をスクリーニングに用いた。結合活性は、実施例1に記載のELISA法によって測定した。VT2中和活性は、以下の方法によって測定した。
【0085】
96ウェルプレートの各ウェルに30μlのハイブリドーマ上清と、10% FCS−MEMに溶解した200pg/mlのVT2を30μl加えた。
このプレートを37℃で1時間インキュベートした。
上記溶液の50μlを、Vero細胞(ATCC)をウェル当り4×104 個接種した96ウェル平底プレートの各ウェルに加えた。
このプレートを5%CO2−95%空気のインキュベーター中、37℃で4日間インキュベートした。
0.014%ニュートラルレッド溶液100μlを各ウェルに添加した。
プレートを37℃で1時間インキュベートして生細胞を染色した。
ウェルをPBSで洗浄した後、1%酢酸溶液を含む50%エタノール溶液100μlを各ウェルに加えた。
各ウェルについて、550nmにおける吸収度を測定し、記録した。
【0086】
実施例4 ハイブリドーマ細胞のクローニング
ハイブリドーマ細胞のクローニングは限界希釈法によって行った。1から2個のハイブリドーマ細胞を、あらかじめ104 個のマウス腹腔マクロファージをフィーダー細胞として接種した96ウェル平底プレートの各ウェルに添加した。約2週間後、その上清について、それぞれ実施例1、3に記載した方法に従ってVT2に対する結合能およびVT2に対する中和能を測定した。ここで述べたクローニング法を数回繰り返すことにより、VT2を中和するモノクロナール抗体(MuVTm1.1)を分泌するハイブリドーマ細胞クローンを確立した。
【0087】
実施例5 MuVTm1.1の精製
MuVTm1.1を分泌するハイブリドーマ細胞を、インスリン、トランスフェリン、エタノールアミン、および亜セレン酸塩を含む血清非含有eRDF基礎培地に適応させた。培養上清をプロテインGセファローズカラム(Pharmacia)に通し、標準法により抗体を溶出させた。抗体の純度はポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)にて確認し、その濃度をSRIDで求めた。この精製MuVTm1.1について、実施例3に記載の通りにVT2変種中和能についてテストした。結果を表1と図7に示す。
【0088】
【表1】
Figure 0004044733
【0089】
実施例6 マウスVTm1.1可変領域cDNAのクローニングと配列決定
マウスVTm1.1(MuVTm1.1)の重鎖・軽鎖可変領域cDNAを、アンカーPCR法(Co等、J. Immunol. 148: 1149 (1992))を用いてハイブリドーマ細胞より単離したmRNAからクローニングした。使用した5’プライマーはcDNAに付加したポリdGテールにアニールし、3’プライマーは定常部にアニールした。次に、この増幅された遺伝子フラグメントをプラスミドpUC18に挿入した。VL およびVH cDNA両方のいくつかの独立クローンについて塩基配列を決定した。重鎖については、マウス重鎖可変領域において典型的な単一で一意な配列が決定された。軽鎖については、共にマウス軽鎖可変領域配列に相同的で一意な二つの配列が決定された。しかしながら、一方の配列はヌクレオチドが1残基消失しており、そのためにV−J接合部でフレームシフトが生じて機能を失っており、非生産的対立遺伝子と特定された。他方の配列は機能的なマウスカッパ鎖可変領域について典型的なものであった。重鎖と、機能をもつ軽鎖の可変領域cDNA配列、およびその翻訳されたアミノ酸配列を図1に示す。マウスのVK 配列は、Kabatのマウスカッパ鎖サブグループVに属する。マウスVH はKabatの重鎖サブグループIII(D)に属する。
【0090】
実施例7 ヒト型化VTm1.1可変領域の設計
ヒト型化抗体におけるマウス抗体の結合活性を維持するために、Queen等(Queen等、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86: 10029 (1989)、および米国特許第5,585,089号と第5,693,762号の一般的方法に従った。高い結合活性を維持するには枠組み領域部分の選択が決め手となる可能性がある。原理的にはいずれのヒト抗体に由来する枠組み領域配列であってもCDRグラフティングのための枠組みとすることができる。しかしながら、そのような枠組み領域へのCDRの単純な移植は結合親和性の相当の消失を招く可能性のあることが実証されている(Glaser等、J. Immunol. 149: 2606 (1992); Tempest等、Biotechnology 9:266 (1992); Shalaby等、J. Exp. Med. 17:217 (1992))。ヒトの抗体が元のマウス抗体に相同的であればあるほど、ヒトの枠組み領域が親和性を低下させる原因となると予想されるマウスCDRにもたらす歪みを少なくすることが考えられる。Kabatのデータベースにおける相同配列サーチの結果に基づいて(Kabat等著、「Sequence of Proteins of Immunological Interest」、第5版、米国厚生省、1991年)、MuVTm1.1抗体に対する好適な枠組み領域の相同性があるヒト抗体GF4を選んだ。他の相同性の高いヒト抗体鎖も、このヒト型化抗体枠組み領域として好適であることが予想される。特にKabatの定義するヒトサブグループIII由来のカッパ軽鎖、およびヒトサブグループIII由来の重鎖がそうである。
【0091】
コンピュータ・プログラムABMODとENCAD(Levitt等、J. Mol. Biol. 168: 595 (1983))を用いてVTm1.1の可変領域の分子モデルを構築した。このモデルを用いてVTm1.1枠組み領域においてCDRと相互作用をもつ可能性のあるほどCDRに近接しているアミノ酸を特定した。ヒト型化VTm1.1重鎖・軽鎖可変領域を設計するために、マウスVTm1.1抗体由来のCDRをヒトGF4枠組み領域に移植した。コンピュータモデルからCDRとの相当の接触のあることが予想された枠組み領域の位置については、マウス抗体由来のアミノ酸は元のヒト枠組み領域のアミノ酸に置換された。ヒト型化VTm1.1形成のために、この置換は重鎖の29、30、49および98番残基において、および軽鎖の49番残基において実行された。さらに、ヒト抗体のデータベースのその位置にめったに現れることのない枠組み領域のアミノ酸残基は、その位置におけるヒト共通アミノ酸で置換した。ヒト型化VTm1.1形成のために、この置換は重鎖の1、4、5、79、89および93番残基において、および軽鎖の3、4、19、76、79および85番残基において実行された。
【0092】
ヒト型化VTm1.1抗体の重鎖・軽鎖可変領域の配列は、開始コドンとシグナルペプチド配列を含めて図2に示す。CDR接触が予想される多くの残基は、それと置換しても抗原に対する実質的な親和性を維持することが可能な他のアミノ酸と置換してもよい。表2は前記枠組み領域において、代替アミノ酸が好適であると思われるいくつかの位置を示している(LC=軽鎖、HC=重鎖)。
【0093】
【表2】
Figure 0004044733
【0094】
同様に、ヒト型化VTm1.1重鎖・軽鎖においてCDRと接触しない枠組み領域のアミノ酸残基の多くは本発明のヒト型化抗体の親和性または非免疫原性を大きく失うことなく、ヒトGF4抗体、他のヒト抗体、マウスVTm1.1抗体、または他のマウス抗体における対応位置のアミノ酸残基による置換を受け入れる可能性がある。表3に、前記枠組み領域において、さらにいくつかの代替アミノ酸が好適と思われる位置を示す。
【0095】
【表3】
Figure 0004044733
【0096】
各種代替アミノ酸を選択することによって、親和性、特異性、非免疫原性、製造の容易さ、その他の好ましい性質をさまざまに組合せたヒト型化VTm1.1の改変体の生産が可能である。したがって、表3の実例は例示のために示されるのであって、限定のためにではない。
【0097】
実施例8 ヒト型化VTm1.1の構築
一旦ヒト型化可変領域のアミノ酸配列を前述のように設計したうえで、シグナルペプチド、スプライスドナー信号、および適当な制限酵素切断部位を含めたそれらをコードする遺伝子を構築した(図2)。軽鎖・重鎖可変領域遺伝子を、第3図に示すように、その長さが約65から80塩基長の範囲である8個の重複する合成オリゴヌクレオチドを用いて構築し、増幅した(He等、J. Immunol. 160: 1029 (1998) 参照)。このオリゴヌクレオチドのペア同士をアニールし、DNAポリメラーゼIのクレノー断片によって延長し、4個の二本鎖フラグメントを得た。この得られたフラグメントを変性し、アニールし、クレノー断片で延長し、2個のフラグメントを得た。これらのフラグメントを変性し、ペア同士アニールし、もう一度延長して完全長の遺伝子を得た。得られた産物をTaqポリメラーゼによるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)にて増幅し、ゲル精製し、XbaIにて消化し、再びゲル精製し、pVkまたはpVg1発現ベクターのXbaI部位にサブクローニングした。それぞれ、軽鎖および重鎖発現用として用いたpVkおよびpVg1ベクターについては以前に報告されている(Co等、J. Immunol. 148: 1149 (1992)参照)。
【0098】
最終的なプラスミドの構造は、ヌクレオチド配列法と制限酵素地図によって確認した。DNA操作はすべて当業者にはよく知られた標準法によって行った。
【0099】
ヒト型化VTm1.1を生産する細胞株を樹立するために、重鎖・軽鎖プラスミドでマウス骨髄腫細胞株Sp2/0−Ag14(ATCC CRL1581)を形質転換した。トランスフェクション前に、重鎖・軽鎖含有プラスミドはFspIを用いて直線化した。各プラスミド約20μgを、PBSに懸濁させた1×107 個の細胞にトランスフェクションした。トランスフェクションは遺伝子パルス装置(BioRad)を用い、メーカーの使用説明書に従って360V、25μFD容量による電気穿孔にて行った。トランスフェクションを経た細胞を、それぞれ4個の96ウェル細胞培養プレートに接種し、2日後に選択培地(DMEM、10%FCS、1×HT添加物(Sigma)、0.25mg/mlキサンチン、1μg/mlミコフェノール酸)を加えた。
【0100】
約2週間後、出現したクローンにつき、ELISAによる抗体産生についてのスクリーニングを行った。高生産性クローンによる抗体の調製は次のように行った。すなわち、細胞を通常培地(10%FCSを含むDMEM)にてコンフルエントになるまで培養し、次にこの培養液を血清無添加培地(ハイブリドーマSMF、Gibco)と交換し、同培養液中で最大の抗体価が得られるまで培養した。培養上清をプロテインAセファローズカラム(Pharmacia)に通し、抗体を0.1Mグリシン、100mM NaCl、pH3で溶出し、中和し、次いでリン酸緩衝液(PBS)にバッファー交換した。抗体の純度は、アクリルアミドゲル分析で確認し、1.0mgの抗体は1.4のOD280 読み取り値を与えると仮定してOD280 の読み取り値からその濃度を求めた。
【0101】
実施例9 ヒト型化VTm1.1の性質
親和度測定
ベロ毒素II(VT2)に対するMuVTm1.1とHuVTm1.1の親和度を、ビオチン化MuVTm1.1抗体による競合的結合によって求めた。実験行程は以下の通り。
【0102】
Dynatech Laboratories Immulon 2、96ウェルプレート(No.0110103455)を、ウェル当り50μlのVT2溶液(0.2μg/mlのPBS溶液)でコートした。ゆるやかに振とうしながら37℃で2時間インキュベートした。
【0103】
VT2溶液を吸引除去し、各ウェルを400μlの洗浄バッファー(PBSに溶解した0.1%Tween20)にて4回洗浄した。
【0104】
各ウェルを、PBSに溶解した400μlのPierce SuperBlockブロッキングバッファー(#37515)で、室温にて30分間ブロッキングした。
【0105】
このブロッキング液を吸引除去し、各ウェルを400μlの洗浄バッファーにて4回洗浄した。
【0106】
各ウェルに、20ngのビオチン化MuVTm1.1抗体とさまざまの濃度の未標識マウス抗体もしくはHuVTm1.1抗体を混合し、全量100μlの結合用バッファー(1%BSA、PBSに溶解させた0.1%Tween20)に溶解したものを加えた。ゆるやかに振とうしながら4℃で一晩インキュベートした。抗体液を吸引除去し、各ウェルを400μlの洗浄バッファーで4回洗浄した。
【0107】
各ウェルにパーオキシダーゼ結合ストレパビジン(Bioscource cat #5NN2004)(結合用バッファーで1:500に希釈)100μlを加えた。ゆるやかに振とうしながら37℃で1時間インキュベートした。
【0108】
このストレパビジン液を吸引除去し、各ウェルを400μlの洗浄バッファーで6回洗浄した。
【0109】
ウェル当り100μlのパーオキシダーゼ基質(BioRad #172-1064)を加えた。色彩が現れるまで室温でインキュベートした。このプレートにつき、Molecular Devices社製ELISAプレートリーダーで415nmにて測定した。
【0110】
図4に示す結果は、ヒト型化VTm1.1抗体が競合的ELISA定量において、マウス抗体と比較した場合、係数2以内でビオチン化マウス抗体に対してよく競合することを示す。さらに、BIAcore法を用いてHuVTm1.1とMuVTm1.1の親和度を求めた。表4に示すように、HuVTm1.1のKD 計算値は約3.6×10-9 Mであり、それに対してMuVTm1.1では1.9×10-9 Mであった。
【0111】
【表4】
Figure 0004044733
【0112】
実施例10 HuVTm1.1のインビトロ中和活性
HuVTm1.1
さらに、以下のインビトロ定量によりHuVTm1.1の中和活性をマウスMuVTm1.1と比較した。
【0113】
ヒト腎臓由来細胞株(ACHN)を、ウェル当り1×104 個の細胞となるように96ウェルプレートに接種し、37℃で24時間インキュベートした。
【0114】
培養液を吸引し、10%FCS−MEMで希釈した540pg/ml VT2溶液30μlと、あらかじめ37℃で1時間インキュベートした10%FCS−MEMで連続希釈した試験抗体(マウスまたはヒト型化VTm1.1)30μlとの混合液のうち、50μlを各ウェルに加え、37℃で4日間インキュベートした。
【0115】
培養液に溶解させた0.028%ニュートラルレッド液100μlを各ウェルに加え、37℃で1時間インキュベートした(Mullbacher等、1984, Journal of Immunological Methods, 68, 205-215)。
【0116】
溶液を吸引し、各ウェルを150μlのPBSで2回洗浄した。
【0117】
各ウェルに50%EtOH/1%AcOHを100μl加え、室温で5−10分間インキュベートした。
【0118】
各ウェルについて、Molecular Devices製ELISAプレートリーダーを用い、550nmにおける吸収値を記録した。
【0119】
中和活性は、下記式に従って求めた。
中和化(%)=[OD(VT2+Ab)−OD(VT2のみ)]÷[OD(培養液のみ)−OD(VT2のみ)]×100
MuVTm1.1と比較した場合のHuVTm1.1の中和活性を図5に示す。HuVTm1.1におけるED50は、MuVTm1.1で0.2μg/mlであったのに対し、0.33μg/mlであった。VT2変種に対するHuVTm1.1の中和活性を以下に示す。
【0120】
【表5】
Figure 0004044733
【0121】
実施例11 認識されたVT2抗原の分析
VT2を還元し、AサブユニットとBサブユニットとをSDSを含むポリアクリルアミドゲル電気泳動によって分離し、ウェスタンブロット法によってニトロセルロース膜(BioRad)に転写した。このニトロセルロース膜をPBSに溶解した3%BSAで一晩ブロッキングし、次に10μg/mlのHuVTm1.1、または3%BSA/PBSで希釈したウサギ抗VT2血清と室温で1時間反応させた。この膜を1%BSA/PBSにて6回洗浄し、3%BSA/PBSで希釈したアルカリホスファターゼ結合ヤギ抗ヒトIgG(TAGO)、またはアルカリホスファターゼ結合ヤギ抗ウサギIgG(TAGO)25μg/mlと室温で1時間反応させた。この膜を1%BSA/PBSにて6回洗浄し、NBT(ニトロブルー塩化テトラゾリウム)−BCIP(5−ブロモ−4−クロロ−3’−インドリルホスフェート p−トルイジン塩)溶液(PIERCE)と室温で10分間反応させた。図6に示す結果は、HuVTm1.1が主にVT2のBサブユニットに結合することを示す。
【0122】
実施例12−VT2に対するHuVTm1.1のインビボ活性
DdYマウス(日本SLC)に、滅菌したHuVTm1.1、MuVTm1.1、またはPBSの4.8μgを静脈注射した。1時間後、マウスの腹腔に46ngのVT2(10LD50に相当)を注射した。1週間後、マウスの生存率を測定した。
【0123】
表6にその結果を示す。HuVTm1.1はVT2による死亡からマウスを完全に保護した。
【0124】
【表6】
Figure 0004044733
【0125】
以上より、本発明のヒト型化免疫グロブリンは他の抗VT特異的抗体に優る多くの利点を提供することが理解されたであろう。このヒト型化免疫グロブリンは、非ヒトであるがゆえに免疫原性を潜在的にもつアミノ酸配列をマウスモノクロナール抗体に比べて実質的に少なくしか含まない。ヒト患者への注入後に抗原性をもつ可能性が小さいということは、治療法の大きな改善である。
【0126】
上に引用した全ての出版物や特許出願は、あたかもそれらが特に、個別的に参考文献として組み入れられたごとくに、ここに引用することによって本明細書に含める。明瞭さと理解を助けるために、本発明を例示と実施例を用いてやや詳細に説明したけれども、本願特許請求の範囲内において、いくらかの変更や変形をなしうることは明白であろう。
【図面の簡単な説明】
【図1】 マウスVTm1−1抗体(MuVTM1.1)の重鎖(A)および軽鎖(B)可変領域のcDNAと翻訳されたアミノ酸配列を示す図。相補性決定領域(CDR)には下線を施し、また成熟鎖の第1アミノ酸には二重下線を施した。
【図2】 ヒト型化VTm1.1抗体(HuVTm1.1)の重鎖(A)および軽鎖(B)可変領域のcDNAと翻訳されたアミノ酸配列を示す図。相補性決定領域(CDR)には下線を施し、また成熟鎖の第1アミノ酸には二重下線を施した。
【図3】 ヒト型化抗体可変領域cDNA合成の概念図。
【図4】 大腸菌ベロ毒素II(VT2)に対するMuVTm1.1とHuVTm1.1抗体の競合的結合を示す図。競合抗体の濃度を増加させてビオチン化したトレーサーMuVTm1.1の存在下にコートしたVT2と共にインキュベートし、吸収を測定して未標識競合抗体の濃度に対してプロットした。
【図5】 HuVTm1.1とMuVTm1.1のインビトロ中和活性を示す図。
【図6】 HuVTm1.1により認識された抗原(VT2のBサブユニット)の同定を示す図。
【図7】 MuVTm1.1のVT2およびVT2変種に対するインビトロ中和活性を示す図。

Claims (15)

  1. 配列番号に示す重鎖可変領域と、配列番号に示す軽鎖可変領域を有するマウス抗体VTm1.1のヒト型化形態であるヒト型化抗体。
  2. ベロ毒素IIおよび/またはベロ毒素II変種に対する特異的結合に関してマウス抗体VTm1.1と競合する請求項1に記載のヒト型化抗体。
  3. マウスVTm1.1抗体由来の相補性決定領域、およびヒトGF4抗体の重鎖・軽鎖枠組み配列由来の重鎖・軽鎖可変領域枠組み配列を含み、かつ軽鎖の49番残基(LC49)、および重鎖の29、30、49および98番残基(HC29、HC30、HC49、およびHC98)からなる群から選ばれた少なくとも一つの位置がマウスVTm1.1抗体の重鎖または軽鎖可変領域枠組み配列の等価位置に存在するアミノ酸残基で占められ、かつベロ毒素IIに特異的に結合する請求項1または請求項2に記載のヒト型化抗体。
  4. 軽鎖の49番残基(LC49)、および重鎖の29、30、49および98番残基(HC29、HC30、HC49、およびHC98)からなる群から選ばれた各位置が、マウスVTm1.1抗体の重鎖または軽鎖可変領域枠組み配列の等価位置に存在するアミノ酸残基で占められている請求項3に記載のヒト型化抗体。
  5. 配列番号に示す重鎖可変領域と、配列番号に示す軽鎖可変領域を含み、かつ軽鎖の49番残基(LC49)、重鎖の29、30、49および98番残基(HC29、HC30、HC49、およびHC98)、軽鎖の3、4、19、76、79および85番残基(LC3、LC4、LC19、LC76、LC79、LC85)、ならびに重鎖の1、4、5、79、89および93番残基(HC1、HC4、HC5、HC79、HC89、およびHC93)からなる群から選ばれた1個以上の位置が、次表に示すように置換されてい請求項1に記載のヒト型化抗体。
    Figure 0004044733
    Figure 0004044733
  6. 配列番号に示す重鎖可変領域と、配列番号に示す軽鎖可変領域を含む請求項1に記載のヒト型化抗体。
  7. 2対の軽鎖・重鎖二量体からなり、各鎖は一つの可変領域と一つの定常部とを含む請求項1から請求項6のいずれかに記載のヒト型化抗体。
  8. FabフラグメントまたはF(ab’)である請求項1から請求項6のいずれかに記載のヒト型化抗体。
  9. 精製された請求項1から請求項6のいずれかに記載のヒト型化抗体。
  10. IgG免疫グロブリンサブタイプである請求項1から請求項6のいずれかに記載のヒト型化抗体。
  11. 請求項1から請求項6のいずれかに記載のヒト型化抗体の重鎖・軽鎖をコードする遺伝子を導入した細胞株を培養し、それによって該ヒト型化抗体を発現させ、かつ該細胞株によって発現されたヒト型化抗体を回収することを含む、ヒト型化抗体の製造法。
  12. さらに該抗体を製薬学的に許容可能な担体と混合して薬剤組成物を製造することを含む、請求項11に記載の方法。
  13. 請求項1から請求項6のいずれかに記載のヒト型化抗体と、製薬学的に許容可能な担体とを含む薬剤組成物。
  14. 請求項6に記載のヒト型化抗体と、製薬学的に許容可能な担体とを含む薬剤組成物。
  15. 請求項1から請求項6のいずれかに記載のヒト型化抗体をコードする遺伝子を導入した細胞株。
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