JP4043545B2 - 孔版印刷装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、孔版印刷装置の制御に関し、詳しくはマスタ及びインキの消費量を低減させる制御に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、簡便な印刷方法としてデジタル式感熱孔版印刷が知られている。これは、感熱孔版マスタ(以下「マスタ」という)に微細な発熱素子が1列に並んだサーマルヘッドを接触させ、この発熱素子に対しパルス的に通電を行いながらマスタをプラテンローラー等で搬送することで、マスタに画像情報に基づいた穿孔画像を熱溶融穿孔製版させた後、この穿孔されたマスタを多孔性円筒状の版胴に巻装させ、プレスローラー等の押圧部材によって印刷用紙を版胴の外周面に押圧させることで版胴の開孔部及びマスタの穿孔部からインキを滲出させ、このインキを印刷用紙に転移させて印刷画像を得るものである。
【0003】
上述の版胴は、インキが滲出する開孔部と、マスタの先端を挟持するクランパー、ステージ部等が配設された非開孔部とを有しており、開孔部の長さは印刷される用紙の最大サイズに合わせて設定されている。例えば、最大A3サイズの用紙が印刷可能である孔版印刷装置では、開孔部の長さは約420mmである。
【0004】
上述の孔版印刷装置では、印刷が終了して原稿を変更した後、次の印刷を行う際に、使用者が製版スタートキーを押すことにより排版手段が版胴から使用済みのマスタを剥離し、製版手段によって新しく製版されたマスタを版胴に自動的に巻装させるように構成されている。これは、印刷終了直後に版胴より使用済みのマスタを剥離すると、次の印刷に先立って新しい製版済みマスタが巻装されるまでは版胴の外周面が大気に晒された状態で放置されることとなり、この放置状態が長時間に及ぶと版胴の外周面や開孔部に残留したインキが蒸発し、次版の印刷に際してマスタへのインキの補給が阻害されて良好な印刷が行われないことがあるため、使用済みのマスタを版胴の外周面上に巻装させることで版胴外周面の乾燥を防止しているのである。
【0005】
従って、上述の孔版印刷装置に使用されるマスタとしては、開孔部全域を覆う必要があると共にクランパーによる挟持長さやプレスローラー接触位置等の余裕をみて、420mm+αの長さのものが用いられることとなるが、この孔版印刷装置によってA4サイズの印刷物を得る場合には、マスタの約半分が印刷に使用されない余白部分となると共に、マスタに付着して廃棄されるインキ量が増大してコストアップしてしまうという問題点がある。
【0006】
この問題点を解決するため、用紙サイズ毎に開孔長さの異なる複数の版胴を用意し、所望のサイズの印刷物に合わせて版胴を交換すると共に、装着された版胴の開孔長さに合わせて製版されたマスタを切断してマスタの消費量を低減する技術が知られている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述の技術では、複数の版胴を着脱することとなってその作業が面倒であると共に、特に多色印刷を行う場合には、用紙サイズ及びインキ種類に応じた版胴を用意する必要があり、版胴の数が膨大となって大幅にコストアップしてしまうと共に、版胴の保管場所として大きなスペースを占有してしまうという問題点がある。
【0008】
そこで、開孔長さの大きな版胴を使用し、巻装されるマスタの長さを使用される印刷用紙のサイズに応じて切断すると共に、短いマスタが巻装された場合にマスタの存在しない版胴の開孔部を押圧部材が押圧しないように、押圧部材の押圧範囲を制御する技術が特開昭64−24783号公報に開示されているが、この技術では短いマスタが巻装された版胴が放置された場合に、版胴の外周面が乾燥して次版の印刷開始時に損紙が発生する虞がある。特に機外で放置される場合には、版胴の開孔部に塵埃等が付着してしまう場合があり、次版の印刷時において、塵埃が付着した部分のインキの通過が阻害されて、印刷画像に白抜けが発生してしまうという不具合が生じていた。
【0009】
本発明の目的は、上記問題点を解決し、コストアップすることなく、マスタ及びインキの消費量を低減させつつ良好な印刷物を得ることができる孔版印刷装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、筐体に着脱自在かつ回転自在に支持されその外周面に開孔部を有する版胴と、マスタを製版・搬送・切断する製版手段と、前記外周面に対して接離自在に設けられた押圧部材とを有する孔版印刷装置において、前記製版手段と前記押圧部材の作動を制御する制御手段と、製版印刷モードを第1の製版印刷動作を行う第1の製版印刷モード若しくは第2の製版印刷動作を行う第2の製版印刷モードの何れかに切り換える切換手段と、前記製版印刷モードを記憶するメモリー手段と、警報を発する警報手段とを具備し、前記制御手段は、第1の製版印刷モードが選択されたときには前記マスタとして実質的に前記開孔部の全てを覆う長さのものを製版させかつ該マスタを前記外周面に巻装させるべく前記製版手段を制御し、第2の製版印刷モードが選択されたときには前記マスタとして前記開孔部よりも短い任意の長さのものを製版させかつ該マスタを前記外周面に巻装させるべく前記製版手段を制御すると共に前記任意の長さに応じて前記押圧部材の前記外周面への接触範囲を制御し、前記筐体からの前記版胴の抜脱時において前記メモリー手段に記憶された前記製版印刷モードが第2の製版印刷モードである場合には前記制御手段が前記警報手段を作動させることを特徴とする。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の孔版印刷装置において、さらに前記筐体に対する前記版胴の抜脱を規制する抜脱規制手段を具備し、前記警報手段の作動時に前記制御手段が前記抜脱規制手段を作動させることを特徴とする。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の孔版印刷装置において、さらに前記版胴の装着時において該版胴の外周面上のマスタの長さを検出するマスタ長さ検出手段を具備し、前記マスタ長さ検出手段によって検出された前記マスタの長さが前記メモリー手段に記憶された製版印刷モードに対応したマスタの長さと異なるときに前記制御手段が前記警報手段を作動させることを特徴とする。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項1ないし3の何れか1つに記載の孔版印刷装置において、さらに原稿画像を読み取る原稿読取手段を備えた原稿読取部と、前記原稿画像の一部の領域を製版画像領域として指定する製版画像領域指定手段とを具備し、前記製版画像領域指定手段によって指定された前記製版画像領域の長さに基づいて前記制御手段が前記切換手段を切り換えることを特徴とする。
【0014】
請求項5記載の発明は、請求項1ないし3の何れか1つに記載の孔版印刷装置において、さらに原稿画像を読み取る原稿読取手段と原稿の長さを検出する原稿長さ検出手段とを備えた原稿読取部を具備し、前記原稿の読取動作を行うとき前記原稿長さ検出手段によって検出された前記原稿の長さに基づいて前記制御手段が前記切換手段を切り換えることを特徴とする。
【0015】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の孔版印刷装置において、さらに前記原稿読取部が原稿を1枚ずつ自動的に前記原稿読取手段に送り込む自動分離搬送装置を有すると共に該自動分離搬送装置が前記原稿長さ検出手段を有し、前記自動分離搬送装置を使用した前記原稿読取手段による第1の原稿読取と前記自動分離搬送装置を使用しない前記原稿読取手段による第2の原稿読取とを選択可能であって、第2の原稿読取時に前記制御手段が前記切換手段を第1の製版印刷モードに切り換えることを特徴とする。
【0016】
請求項7記載の発明は、請求項6記載の孔版印刷装置において、さらに第1の原稿読取時における最終の原稿につてのみ前記制御手段が前記切換手段を第1の製版印刷モードに切り換えることを特徴とする。
【0017】
請求項8記載の発明は、請求項6または7記載の孔版印刷装置において、さらに第1の原稿読取で複数の原稿の読取動作を行う場合に、所定の版数毎に前記制御手段が前記切換手段を第1の製版印刷モードに切り換えることを特徴とする。
【0021】
【実施例】
図1は、本発明の一実施例を採用した孔版印刷装置1の概略側面図である。
同図において、孔版印刷装置1は、印刷部2、製版部3、給紙部4、排版部5、排紙部6、原稿読取部7等から主に構成されている。
【0022】
筐体18の中央に配設された印刷部2は、図2に示すように、版胴8、インキ供給手段9、押圧部材としてのプレスローラー10等から主に構成されている。
【0023】
版胴8は、インキ供給パイプを兼ねた支軸11に回転自在に支持された一対のフランジ12,12と、フランジ12,12の外周面に巻装された多孔性支持板8aとから主に構成されており、後述する駆動手段13によって図1の矢印方向に回転駆動される。支軸11は先端部11a(図5参照)を筐体18の側板18a(図5参照)に支持され、その表面にはインキ供給手段9にインキを供給するための複数の小さな孔が穿設されており、フランジ12,12は図示しない軸受を介して支軸11に取り付けられている。
【0024】
ステンレスの薄板等で形成される多孔性支持板8aは開孔部と非開孔部とを有しており、開孔部には多数の開孔8bが穿設され、非開孔部には版胴8の一母線と平行な平面を有するステージ部14が配設されている。ステージ部14の上面には開閉自在なクランパー15が配設されている。また、多孔性支持板8aの外側には、ポリエステルあるいはステンレスの細線等で織られた図示しないメッシュスクリーンが1〜3層程度巻装されている。
【0025】
版胴1の内部であって支軸11の下方には、インキローラー16、ドクターローラー17等から主に構成されるインキ供給手段9が配設されている。インキローラー16は、フランジ12,12間の支軸11上に固着された図示しない一対の側板に支軸16aを回転自在に支持されており、駆動手段13からの回転力をギヤやベルト等の回転力伝達手段によって伝達されて版胴8と同方向に回転する。ドクターローラー17は、その外周面とインキローラー16の外周面との間に僅かな間隙が生じる位置において前記側板間に回転自在に支持されており、駆動手段13からの回転力によりインキローラー16とは反対の方向に回転駆動される。インキローラー16とドクターローラー17の各外周面の近接部において、支軸11より供給されたインキが楔状のインキ溜まり17aを形成する。
【0026】
図3は、版胴8、インキローラー16及びドクターローラー17を回転駆動する駆動手段13を示している。駆動手段13は、ギヤ19,20、歯付プーリー21、タイミングベルト22、ピニオンギヤ23、ステッピングモーター24等から主に構成されている。
【0027】
装置奥側に位置する一方のフランジ12の外側にはギヤ19が固着されている。ギヤ19は支軸11を中心として取り付けられており、支軸11に接しない大きさに形成された孔19aを中央に有している。支軸11の図示しない先端部は、ギヤ19を貫いて側板18aに支持されている。
【0028】
ギヤ19の近傍には、ギヤ19と噛合するギヤ20が配設されている。ギヤ20は、筐体18に回転自在に支持された支軸20aの端部に固着されており、ギヤ20が固着された位置よりも外側(フランジ12よりも離れる側)の支軸20a上には歯付プーリー21が固着されている。歯付プーリー21は、筐体18に取り付けられたステッピングモーター24の出力軸端に固着されたピニオンギヤ23とタイミングベルト22によって連結されている。ステッピングモーター24の作動は、後述する制御手段26によって制御される。
【0029】
この構成により、ステッピングモーター24の回転力が伝達されてフランジ12が支軸11を中心に回転して、版胴8が回転駆動される。また、一方のフランジ12の内側にも図示しないギヤが取り付けられており、このギヤと噛合する図示しないギヤによって回転力を伝達されることで、インキローラー16とドクターローラー17とがそれぞれ回転駆動される。
【0030】
フランジ12の外周縁寄りには軸方向に延出するドグ25が固着されており、フランジ12の回転に伴って回転移動するドグ25の円軌道上にはホームポジションセンサー27が配設されている。ホームポジションセンサー27は筐体18に取り付けられており、ドグ25がその検知部を通過する際に、制御手段26へ向けて信号を出力する。
【0031】
各フランジ12,12の外方には、図4に示すように、版胴8を持ち運ぶためのコ字形状を呈した取手28が、版胴8を軸方向に跨ぐように取り付けられている。取手28は、本体28aと各側板28b,28cから一体的に構成されており、各側板28b,28cが支軸11にそれぞれ取り付けられている。
【0032】
本体28aは、その側板28b側の端部にコロ28d,28dを有しており、図5に示すように、コロ28d,28dを筐体18の側板18aに取り付けられたレール部材29に係合させることで、筐体18に対して着脱自在に構成されている。なお、筐体18に対する版胴8の着脱は、版胴8がホームポジションに置かれたときに限って可能となるように構成されている。
【0033】
装置奥側に位置する側板28bには支軸11の先端部11aが貫通しており、この先端部11aは側板18aに設けられた位置決め部材30に係脱自在に支持されている。装置手前側に位置する他方のフランジ12側の側板28cには、支軸11へ供給するインキを補充するためのインキパックを有するインキ供給装置31が設けられている。
【0034】
筐体18の内部には、図5、図6に示すように、版胴8の抜脱規制手段32とマスタ長さ検出手段としてのセンサー33とが配設されている。抜脱規制手段32は、ソレノイド34、アーム35、引張バネ36等から主に構成されている。
【0035】
ソレノイド34は図示しない取付部材を介して側板18aに取り付けられており、制御手段26にその作動を制御される。アーム35は、基端を側板18aに植設されたピン35aに揺動自在に支持されており、その中央より自由端側寄りにはソレノイド34のプランジャ34aが取り付けられている。また、アーム35には、一端を側板18aに固着された引張バネ36の他端が取り付けられている。
【0036】
この構成により、抜脱規制手段32は、ソレノイド34の不作動時において、引張バネ36の付勢力によってアーム35の自由端が支軸11の先端部11a近傍に形成された切欠部11bと係合する図6の実線位置に位置決めされて、筐体18からの版胴8の抜脱を規制し、ソレノイド34の作動時において、アーム35の自由端と切欠部11bとの係合が解除される図6の二点鎖線位置に位置決めされて、筐体18からの版胴8の抜脱を許容する。
【0037】
反射型センサーであるセンサー33は筐体18に取り付けられており、版胴8の外周面上における反射量の違いによりマスタの有無を検知すると共に、版胴8を所定角度回転させたときのマスタの有無から、巻装されているマスタの長さを検出する。センサー33は、版胴8の回転時においてクランパー15等の障害物と干渉しない位置に取り付けられており、その出力信号は制御手段26に入力される。
【0038】
版胴8の下方にはプレスローラー10が配設されている。プレスローラー10は、図7に示すように、支軸10aの両端を一対のプレスローラーアーム37,37の一端間に回転自在に支持されており、各プレスローラーアーム37,37は、他端を支軸37aにそれぞれ固着されている。
【0039】
両端を筐体18に回転自在に支持された支軸37aには、プレスローラーアーム37,37の他、一端に回転自在なカムフォロア38aを有する揺動アーム38が固着されている。揺動アーム38には、一端を筐体18に固着された引張バネ39の他端が取り付けられており、支軸37aには図7において時計回り方向への回動付勢力が付与されている。また、揺動アーム38には、後述する係止アーム44の先端が係合するピン38bが植設されている。
【0040】
揺動アーム38の近傍には、4枚のカム板40a,40b,40c,40dを有する多段カム40が配設されている。各カム板40a,40b,40c,40dは、両端を筐体18に回転自在かつ図7の紙面方向に移動自在に支持された支軸41の一端部寄りにそれぞれ間隙をもって固着されており、装置手前側からカム板40a,カム板40b,カム板40c,カム板40dの順に配設されている。各カム板40a,40b,40c,40dは、図7に示すように、支軸41と同心の円板である基部と、それぞれ同一突出量の凸部とを有しており、各凸部の形状は、カム板40aの凸部の右側縁部を基準に、カム板40b、カム板40c、カム板40dの順でそれぞれの凸部が円周方向に大きくなるように形成されている。多段カム40は、図8に示すように、支軸41に取り付けられた駆動ギヤ42及び筐体18に回転自在に支持された支軸48に取り付けられた伝達ギヤ49を介して駆動手段13からの回転力を伝達され、図7に矢印で示す方向に回転駆動される。
【0041】
プレスローラー10は、各カム板40a,40b,40c,40dの何れかの凸部がカムフォロア38aと当接したときに図7に実線で示す位置に移動し、いずれかの凸部との当接が解除されたときに、引張バネ39の付勢力によって版胴8の外周面に押圧する。このとき、各カム板40a,40b,40c,40dの基部とカムフォロア38aとが接触しないように構成されている。
【0042】
各カム板40a,40b,40c,40dの凸部の円周方向の大きさは、プレスローラー10の外周面と版胴8の外周面との圧接範囲が、順にA3縦長さ、B4縦長さ、A4縦長さ、B5縦長さと対応する長さとなるようにそれぞれ設定されている。
【0043】
図7に示すように、揺動アーム38の近傍には係止アーム44が配設されている。先端44aが鈎型に形成された係止アーム44は、その基端を支軸44bに揺動自在に支持されている。係止アーム44には、筐体18に取り付けられたソレノイド45のプランジャ45aと、一端を筐体18に取り付けられた引張バネ46の他端とが取り付けられており、係止アーム44は、各カム板40a,40b,40c,40dの何れかの凸部がカムフォロア38aと当接し、かつ、ソレノイド45への通電が解除されたときに、図7に示すように先端44aをピン38bに係合させて、プレスローラー10を、その外周面が版胴8の外周面より離間した状態で保持するように構成されている。ソレノイド45の作動は制御手段26に制御される。
【0044】
支軸41の下方近傍には、図8に示すように、移動アーム43と段差カム47が配設されている。ほぼL字状を呈する移動アーム43は、その曲折部において支軸43cに揺動自在に支持されており、一端にはローラー43aが、他端にはカムフォロア43bがそれぞれ回転自在に取り付けられている。また、移動アーム43の他端と曲折部との間の部位には、一端を筐体18に取り付けられた引張バネ50の他端が取り付けられており、移動アーム43には、支軸43cを中心に図8において時計回り方向の回動付勢力が付与されている。
【0045】
ローラー43aは、支軸41の中程に間隔をおいて固着された円板41a,41b間に配置されており、カムフォロア43bは、引張バネ50の付勢力によりその外周面を段差カム47の周面に当接させている。各円板41a,41b間の間隔は、ローラー43aの直径よりも僅かに大きくなるように設定されている。
【0046】
段差カム47は、その周面に4箇所のカム部47a,47b,47c,47dを有しており、筐体18に回転自在に支持された支軸51に固着されている。支軸51には、筐体18に取り付けられたステッピングモーター52の出力軸に取り付けられたギヤ53と噛合するギヤ54が取り付けられており、ステッピングモーター52の作動により段差カム47は図8の矢印方向に回転される。ステッピングモーター52が作動して段差カム47が回転すると、移動アーム43が支軸43cを中心に揺動して、ローラー43aが円板41aあるいは円板41bを押すことで支軸41が図8の左右方向に移動する。ステッピングモーター52の動作は制御手段26によって制御される。
【0047】
各カム部47a,47b,47c,47dは、カムフォロア43bとカム部47aとが当接したときにカム板40aがカムフォロア38aと当接可能位置となるように、カムフォロア43bとカム部47bとが当接したときにカム板40bがカムフォロア38aと当接可能位置となるように、カムフォロア43bとカム部47cとが当接したときにカム板40cがカムフォロア38aと当接可能位置となるように、カムフォロア43bとカム部47dとが当接したときにカム板40dがカムフォロア38aと当接可能位置となるように支軸41を移動させる形状にそれぞれ形成されている。
【0048】
印刷部2の右上方には、製版手段としての製版部3が配設されている。製版部3は、マスタ貯容手段55、プラテンローラー56、サーマルヘッド57、切断手段58、マスタ搬送ローラー対59,60等から主に構成されている。
【0049】
マスタ貯容手段55は、熱可塑性樹脂フィルムと多孔性支持体とを貼り合わせたマスタ61をロール状に巻成したマスタロール62の芯部62aを回転自在かつ着脱自在に支持する。
【0050】
マスタ貯容手段55よりもマスタ搬送方向下流側には、プラテンローラー56とサーマルヘッド57が配設されている。プラテンローラー56は筐体18の図示しない側板に回転自在に支持されており、ステッピングモーター63によって回転駆動される。ステッピングモーター63の作動は制御手段26によって制御される。
【0051】
多数の発熱素子を有するサーマルヘッド57は筐体18の図示しない側板に取り付けられており、図示しない付勢手段によって付勢され、プラテンローラー56に圧接されている。サーマルヘッド57は、マスタ61の熱可塑性樹脂フィルム面に接触しつつ発熱素子を選択的に発熱させ、マスタ61に対して熱溶融穿孔製版を行う。サーマルヘッド57の作動は制御手段26によって制御される。
【0052】
プラテンローラー56及びサーマルヘッド57よりもマスタ搬送方向下流側には切断手段58が配設されている。固定刃58aと可動刃58bとからなる切断手段58は、筐体18の側板に固定された固定刃58aに対して可動刃58bが回転移動する周知の構成である。
【0053】
切断手段58のマスタ搬送方向下流側にはマスタ搬送ローラー対59,60及びガイド板64,65が配設されている。マスタ搬送ローラー対59,60は、図示しない駆動手段によって同期して回転駆動される駆動ローラー59a、60aと、図示しない付勢手段によって各駆動ローラー59a,60aに圧接された従動ローラー59b,60bとから構成されている。
【0054】
各マスタ搬送ローラー対59,60間にはガイド板64が、また、マスタ搬送ローラー対60よりマスタ搬送方向下流側にはガイド板65が配設されている。各ガイド板64,65は筐体18の側板に固定されており、各マスタ搬送ローラー対59,60によって搬送されるマスタ61をガイドし、マスタ61の先端を版胴8の外周面へと案内する。
【0055】
製版部3の下方には、給紙手段としての給紙部4が配設されている。給紙部4は、給紙トレイ66、給紙ローラー67、分離ローラー68、分離コロ69、レジストローラー対70等から主に構成されている。
【0056】
上面に多数の印刷用紙Pを積載する給紙トレイ66は筐体18に上下動自在に支持されており、図示しない昇降手段によって上下動される。また、給紙トレイ66には、用紙長さ検出手段としての4個のセンサー71a,71b,71c,71dと、印刷用紙Pをガイドする一対のサイドガイド72が取り付けられている。各センサー71a,71b,71c,71dからの出力信号は制御手段26に出力され、制御手段26は各センサー71a,71b,71c,71dからの出力信号によって印刷用紙Pのサイズを判別する。サイドガイド72は用紙幅方向(印刷用紙Pの搬送方向と直交する方向)に移動自在な周知の構成である。
【0057】
給紙トレイ66の上方には、表面がそれぞれ高摩擦抵抗の部材で形成された給紙ローラー67、分離ローラー68、分離コロ69が配設されている。給紙ローラー67と分離ローラー68は、給紙トレイ66上の印刷用紙Pと所定の圧力で圧接し、ギヤやベルト等の図示しない駆動力伝達手段を介して、共通のステッピングモーター73によって図1の矢印方向に回転駆動される。分離コロ69は、所定の圧力で分離ローラー68に圧接されており、分離ローラー68と同方向に間欠回転可能に配設されている。ステッピングモーター73の作動は制御手段26によって制御される。
【0058】
分離ローラー68及び分離コロ69の印刷用紙搬送方向下流側にはレジストローラー対70が配設されている。駆動ローラー70aと従動ローラー70bとからなるレジストローラー対70は、駆動手段13からの回転駆動力をギヤやカム等の駆動力伝達手段で伝達されることにより駆動ローラー70aが所定のタイミングで回転し、この駆動ローラー70aに圧接された従動ローラー70bとによって印刷用紙Pを印刷部2に向けて給送する。
【0059】
印刷部2の左上方には排版部5が配設されている。排版部5は、上排版部材74、下排版部材75、排版ボックス76、圧縮板77等から主に構成されている。
【0060】
上排版部材74は、駆動ローラー78、従動ローラー79、無端ベルト80から構成され、図示しない駆動手段によって駆動ローラー78が図1において時計回り方向に回転駆動されることによって無端ベルト80が図の矢印方向に移動する。下排版部材75は、駆動ローラー81、従動ローラー82、無端ベルト83から構成されており、駆動ローラー78を回転駆動する図示しない駆動手段の駆動力をギヤやベルト等の駆動力伝達手段によって伝達されることで、駆動ローラー81が図1において反時計回り方向に回転駆動されることによって無端ベルト83が図の矢印方向に移動する。また、下排版部材75は図示しない移動手段によって移動自在に設けられており、図1に示す位置と駆動ローラー81の外周面が版胴8の外周面に当接する位置とに選択的に位置決めされる。
【0061】
内部に使用済みマスタを貯容する排版ボックス76は、筐体18に対して着脱自在に設けられている。上排版部材74と下排版部材75とによって運ばれた使用済みマスタを排版ボックス76の内部に押し込む圧縮板77は、図示しない昇降手段によって上下動自在に支持されており、図の実線位置と二点鎖線位置との間を上下動する。
【0062】
排版部5の下方には排紙部6が配設されている。排紙部6は、剥離爪84、排紙搬送部材85、排紙トレイ86等から主に構成されている。
【0063】
版胴8の外周面上より印刷済みの印刷用紙Pを剥離する剥離爪84は、支軸84aによって筐体18の側板に揺動自在に支持されており、図示しない揺動手段によって、その先端が版胴8の外周面に近接する位置と、その先端が版胴8の回転によって移動するクランパー15等の障害物と干渉しない位置とに選択的に揺動される。
【0064】
排紙搬送部材85は、駆動ローラー87、従動ローラー88、無端ベルト89、吸引ファン90等から主に構成されている。駆動ローラー87は図示しないユニット側板に回転自在に支持されており、図示しない駆動手段で回転駆動される。従動ローラー88も同側板に回転自在に支持され、駆動ローラー87と従動ローラー88とには、複数の開孔を有する複数の無端ベルト89が掛け渡されている。駆動ローラー87、従動ローラー88及び無端ベルト89の下方には吸引ファン90が配設されている。排紙搬送部材85は、吸引ファン90の吸引力によって無端ベルト89上に印刷用紙Pを吸引し、駆動ローラー87の回転によって印刷用紙Pを図の矢印方向に搬送する。
【0065】
排紙搬送部材85によって搬送される印刷済みの印刷用紙Pをその上面に積載する排紙トレイ86は、用紙幅方向に移動自在な一対のサイドフェンス91とエンドフェンス92とを有している。
【0066】
筐体18の上部には原稿読取部7が配設されている。原稿読取部7は、原稿93を積載する原稿受け台94、原稿93を載置するコンタクトガラス95、原稿93を搬送する原稿搬送ローラー対96及び原稿搬送ローラー97、搬送される原稿93をガイドするガイド板98,99、原稿93をコンタクトガラス95に沿って搬送する複数の原稿搬送ベルト100、読み取られた原稿93を積載する原稿トレイ101、コンタクトガラス95を除く上記各部材を支持し、コンタクトガラス95に対して接離自在に設けられた蓋体102、原稿画像を走査して読み取るための反射ミラー103,104及び蛍光灯105、走査された画像を集束するレンズ106、集束された画像を処理するCCD等の画像センサー107等から主に構成されている。
【0067】
上記構成中、原稿受け台94、原稿搬送ローラー対96、原稿搬送ローラー97、各ガイド板98,99、原稿搬送ベルト100、原稿トレイ101によって自動分離搬送装置108が、また、コンタクトガラス95、各反射ミラー103,104、蛍光灯105、レンズ106、画像センサー107によって原稿読取手段132がそれぞれ構成されており、複数の原稿搬送ベルト100の間には、搬送される原稿の長さを検知する原稿長さ検出手段としてのセンサー109が配設されている。
【0068】
センサー33と同様の反射型センサーであるセンサー109は、コンタクトガラス95上における反射量の違いにより原稿93の有無を検知する。センサー109からの信号は制御手段26に入力され、この信号と原稿搬送ベルト100の作動時間とにより、制御手段26は原稿93の長さを判定する。また、原稿受け台94の下方には、原稿受け台94上に残存している原稿93を検知するセンサー131が配設されている。センサー131は、原稿受け台94上の原稿93がなくなったときに制御手段26に信号を出力する。
【0069】
図9は、孔版印刷装置1の操作パネル110を示している。筐体18の上部前面であって蓋体102の手前側に配設された操作パネル110は、その上面に製版スタートキー111、印刷スタートキー112、試し刷りキー113、ストップキー114、テンキー115、クリアキー116、拡大縮小キー117、印刷速度設定キー118、7セグメントLEDからなる表示装置119、LCDからなる表示装置120、製版画像領域指定手段としての画像領域指定キー133等の周知の構成の他、原稿サイズに拘らずマスタ長さを変化させない第1製版印刷動作を行う第1製版印刷モード、または原稿サイズ(画像サイズ)に応じてマスタ長さを変化させる第2製版印刷動作を行う第2製版印刷モードの何れかに製版印刷モードを切り換える切換手段としてのモード選択キー121、モード選択キー121によって選択された製版印刷モードを表示するLEDからなるモード表示手段122、モード選択キー121で選択された製版印刷モードが第2製版印刷モードのときに製版印刷サイズを選択するサイズ選択キー123、サイズ選択キー123で選択された製版印刷サイズを表示するLEDからなるサイズ表示手段124、警報手段としてのブザー125及び警報ランプ126を有している。
【0070】
図10は、制御手段26のブロック図を示している。筐体18の内部に配設された、CPU、ROM、RAM等を有する周知のマイクロコンピューターである制御手段26は、CPU127、メモリー手段としてのRAM128、ROM129から構成されている。ROM129には、第1製版印刷モード時(A3サイズの印刷用紙Pに対応してマスタ61を作成する)及び第2製版印刷モード時(B5、A4、B4サイズの印刷用紙Pに対応してそれぞれマスタ61を作成する)における製版部3の動作プログラムの他、孔版印刷装置1全体の動作プログラムが記憶されている。RAM128には、モード選択キー121によって選択された製版印刷モードが記憶される。なお、RAM128には図示しないバックアップ機構が設けられており、孔版印刷装置1のメイン電源が切られても記憶内容を消去されないように構成されている。
【0071】
上記構成に基づき、以下に孔版印刷装置1の動作を説明する。先ず、自動分離搬送装置108を用いずに原稿読取手段132のみによって原稿93の読取動作を行う場合を説明する。
【0072】
オペレーターは、蓋体102を上方に開放してコンタクトガラス95上に原稿93を載置した後、再び蓋体102を閉じる。そして、操作パネル110上の各種キーによって製版条件を設定し、モード選択キー121を押して製版印刷モードを選択した後に製版スタートキー111を押す。ここでは最初に、モード表示手段122の「第1」のLEDを点灯させて第1製版印刷モードが選択された場合を説明する。
【0073】
モード選択キー121が押され、第1製版印刷モードが選択された後に製版スタートキー111が押されると、CPU127はROM129より第1製版印刷モード時の動作プログラムを呼び出すと共に、RAM128に第1製版印刷モードが選択されたことが記憶される。原稿読取部7では原稿93の画像が読み取られ、読み取られた信号は画像データ信号として制御手段26に送られる。
【0074】
原稿読取部7での読取動作と並行して、排版部5では、版胴8の外周面上から使用済みマスタ130を剥離する排版動作が行われる。
外周面上に使用済みマスタ130を巻装している版胴8は、制御手段26からの動作信号によって作動するステッピングモーター24に回転駆動され、図1において時計回り方向に回転する。そして、版胴8が、その外周面上に巻装した使用済みマスタ130の先端が駆動ローラー81と対応する所定の排版位置に到達したことを、ステッピングモーター24のステップ数より制御手段26が確認すると、制御手段26から排版駆動回路に動作信号が送られて図示しない移動手段と駆動手段とが作動し、各駆動ローラー78,81を回転させると共に下排版部材75を版胴8側に移動させる。駆動ローラー81の外周面が使用済みマスタ130と当接した後、版胴8は時計回り方向に再び回転し、駆動ローラー81と当接してすくい上げられた使用済みマスタ130は、下排版部材75と上排版部材74とで挟持されて版胴8の外周面より剥離される。剥離された使用済みマスタ130は、下排版部材75と上排版部材74とで搬送されて排版ボックス76内に廃棄された後、圧縮板77によって圧縮される。
【0075】
原稿読取部7での読取動作と並行して、印刷部2では、プレスローラー10の、版胴8の外周面に対する押圧範囲の制御動作が行われる。
制御手段26は、設定された製版印刷モードを確認してステッピングモーター52に動作信号を送る。信号を受けたステッピングモーター52は図8において時計回り方向に回転駆動し、段差カム47が図8の矢印方向に回転する。そして、ステッピングモーター52のステップ数より、カム部47aがカムフォロア43bと当接する位置まで段差カム47が回転したと制御手段26が判断すると、ステッピングモーター52の作動が停止される。
【0076】
カムフォロア43bがカム部47aと当接することにより、移動アーム43が支軸43cを中心に反時計回り方向へ揺動され、この揺動に伴ってローラー43aが円板41bと当接することで、支軸41は図7において紙面奥側へと移動されて、図8に示す位置である、カム板40aとカムフォロア38aとが当接可能となる位置に多段カム40が位置決めされる。なお、製版スタートキー111の押下と同時にソレノイド45への通電が遮断され、図7に示すように先端44aとピン38bとは係合状態にあり、プレスローラー10は、その外周面を版胴8の外周面より離間した図7に実線で示す状態で保持される。
【0077】
外周面上より使用済みマスタ130が全て剥離された後も版胴8はさらに回転を継続する。版胴8が図1に示す所定の給版位置であるホームポジションに到達してドグ25がホームポジションセンサー27に検知されると、ホームポジションセンサー27から制御手段26に向けて信号が出力される。ホームポジションセンサー27からの信号を受けた制御手段26は、ステッピングモーター24に信号を送ってその作動を停止させる。版胴8がホームポジションで停止すると、制御手段26より図示しない開閉手段へ動作信号が送られてクランパー15が図2において時計回り方向に回動し、版胴8が図1に示す給版待機状態となって排版動作が完了する。
【0078】
排版動作が完了し、かつ、プレスローラー10の押圧範囲の制御動作が完了すると、続いて製版動作が行われる。版胴8が給版待機状態となると、制御手段26からの信号によってステッピングモーター63が作動してプラテンローラー56が回転駆動されると共に各駆動ローラー59a,60aが回転駆動されて、マスタロール62よりマスタ61が引き出される。そして、ステッピングモーター63のステップ数より、マスタ61の画像形成領域がサーマルヘッド57の発熱素子と対応する位置に達したことを制御手段26が確認すると、制御手段26より信号が送られ、原稿読取部7より送られた画像データ信号に基づいてサーマルヘッド57の発熱素子が選択的に発熱し、マスタ61の熱可塑性樹脂フィルム面に穿孔製版画像が形成される。
【0079】
マスタ61は、穿孔製版画像を形成されつつ、各ガイド板64,65に案内されてクランパー15へと搬送される。ステッピングモーター63のステップ数より、マスタ61の先端がステージ部14とクランパー15との間の所定位置まで到達したと制御手段26が判断すると、図示しない開閉手段に信号が送られてクランパー15が反時計回り方向に回動し、ステージ部14とクランパー15とでマスタ61の先端を挟持する。
【0080】
その後、制御手段26よりステッピングモーター24に信号が送られ、版胴8がマスタ61の搬送速度と同じ周速度で図1において時計回り方向に回転駆動され、マスタ61の版胴8への巻装動作が行われる。そして、原稿読取部7からの画像データ信号が途絶えるとサーマルヘッド57の作動が停止し、その後、ステッピングモーター63のステップ数より、A3サイズの印刷が可能な1版分の長さが製版・搬送されたと制御手段26が判断すると、ステッピングモーター63と各駆動ローラー59a,60aを駆動する図示しない駆動手段に信号が送られ、プラテンローラー56と各駆動ローラー59a,60aの回転が停止されると共に、可動刃58bが回転移動してマスタ61が切断される。切断されたマスタ61は版胴8の回転によって引き出され、版胴8が再びホームポジションに到達してドグ25がホームポジションセンサー27に検知されると、制御手段26からの指令によってステッピングモーター24が停止して給版動作が完了する。
【0081】
給版動作に引き続き、版付動作が行われる。
版胴8がホームポジションで停止すると、制御手段26より信号が送られてステッピングモーター24、ステッピングモーター73、排紙搬送部材85の図示しない駆動手段がそれぞれ作動すると共に、ソレノイド45への通電がなされる。これにより、版胴8が低速で回転駆動されると共に給紙ローラー67、分離ローラー68、駆動ローラー87、吸引ファン90がそれぞれ駆動され、また、プレスローラー10の保持状態が解除される。給紙ローラー67と分離ローラー68との回転により、給紙トレイ66上に積載された印刷用紙Pのうちの最上位の1枚が引き出され、その先端がレジストローラー対70にくわえ込まれる。
【0082】
印刷用紙Pは、版胴8に巻装されたマスタ61の画像領域の、版胴8の回転方向における先端部が、プレスローラー10と対応する位置に到達するタイミングにおいて、図示しない駆動力伝達手段からの回転力を受けて回転するレジストローラー対70によって、版胴8とプレスローラー10との間に向けて給送される。また、駆動手段13からの回転力を伝達されて回転している多段カム40では、レジストローラー対70の回転とほぼ同時にカム板40aの凸部とカムフォロア38aとの当接状態が解除され、プレスローラー10が引張バネ39の付勢力によってその外周面を版胴8の外周面に圧接させる。
【0083】
レジストローラー対70より給送された印刷用紙Pは、プレスローラー10によって版胴8に巻装されたマスタ61に押圧される。この押圧動作により、プレスローラー10と印刷用紙Pとマスタ61と多孔性支持板8aとが圧接し、インキローラー16によって多孔性支持板8aの内周面に供給されたインキが開孔8b及び図示しないメッシュスクリーンより滲出して多孔性支持板8aの外周面とマスタ61との空隙部に充填され、マスタ61の穿孔部を介して印刷用紙Pに転移される。印刷用紙Pに画像を転写し、印刷用紙Pとの圧接を終えてマスタ61の後端の非画像領域とプレスローラー10の外周面とが圧接したところで、カム板40aの凸部とカムフォロア38aとが再度当接してプレスローラーアーム37が図7において反時計回り方向に揺動され、プレスローラー10の外周面と版胴8の外周面との圧接が解除される。
【0084】
インキを転移された印刷用紙Pは、剥離爪84の先端で版胴8の外周面より剥離されて下方へと落下し、吸引ファン90の吸引力によって無端ベルト89の上面に引き付けられつつ左方へと搬送され、排紙トレイ86上に排出される。その後、版胴8が再びホームポジションで停止して版付動作が完了し、孔版印刷装置1は印刷待機状態となる。
【0085】
孔版印刷装置1が印刷待機状態となった後に試し刷りキー113が押されると、版付動作時と同様に、給紙トレイ66上の最上位の1枚の印刷用紙Pが給紙ローラー67及び分離ローラー68によって引き出されてレジストローラー対70にくわえ込まれると共に、制御手段26より指令が送られてステッピングモーター24が作動し、版胴8が高速で回転駆動される。レジストローラー対70は、高速回転している版胴8とプレスローラー10との間に印刷用紙Pを給送し、給送された印刷用紙Pは、プレスローラー10によって版胴8に巻装されたマスタ61に押圧されてインキを転移され、その上面に印刷画像を形成された後に剥離爪84によって版胴8の外周面より剥離され、排紙搬送部材85によって左方へと搬送されて排紙トレイ86上に排出される。版胴8は再びホームポジションに戻されて試し刷り動作が完了する。
【0086】
この試し刷りによって印刷画像の濃度や位置を確認し、これらを操作パネル110上の各種キーで調整して再度試し刷りを行った後、テンキー115で印刷枚数を表示装置119に置数し、印刷速度設定キー118で印刷速度を設定して印刷スタートキー112を押すことにより、給紙部4より印刷用紙Pが連続的に送られて印刷動作が行われる。印刷動作完了後、版胴8は再びホームポジションに戻る。
【0087】
次に、モード表示手段122の「第2」のLEDを点灯させて第2製版印刷モードが選択された場合を説明する。
オペレーターは、モード選択キー121を押して第2製版印刷モードを選択した後、サイズ選択キー123を押して製版印刷サイズを選択する。ここでは、サイズ選択キー123を2回押してサイズ表示手段124の「A4」を点灯させてA4サイズを選択した場合を説明する。
【0088】
モード選択キー121、サイズ選択キー123が順次押され、第2製版印刷モードのA4サイズが選択された後に製版スタートキー111が押されると、CPU127はROM129より第2製版印刷モードA4サイズ時の動作プログラムを呼び出すと共に、RAM128に第2製版印刷モードA4サイズが選択されたことが記憶される。原稿読取部7ではA4サイズの原稿93の画像が読み取られ、読み取られた信号は画像データ信号として制御手段26に送られる。
【0089】
原稿読取動作と並行して、排版部5では上述と同様の排版動作が行われ、印刷部2ではプレスローラー10の押圧範囲の制御動作が行われる。制御手段26からの指令を受けてステッピングモーター52が作動し、カム部47cがカムフォロア43bと当接する位置まで段差カム47が回転駆動され、カム板40cとカムフォロア38aとが当接可能となる位置に多段カム40が位置決めされる。版胴8は、外周面上より使用済みマスタ130を全て剥離された後ホームポジションで停止し、クランパー15が開放されて給版待機状態となる。
【0090】
版胴8が給版待機状態となると製版動作が行われる。プラテンローラー56、各駆動ローラー59a,60aがそれぞれ回転駆動され、マスタロール62よりマスタ61が引き出されると共に、サーマルヘッド57の発熱素子に通電がなされてマスタ61が製版される。製版されたマスタ61は、ステージ部14とクランパー15とで挟持され、版胴8の回転によって版胴8の外周面に巻装される。そして、ステッピングモーター63のステップ数より、A4サイズの印刷が可能な1版分の長さのマスタ61が製版・搬送されたと制御手段26が判断すると、ステッピングモーター63、各駆動ローラー59a,60aの回転が停止されると共に可動刃58bが回転移動してマスタ61が切断される。切断されたマスタ61は版胴8の回転によって引き出され、版胴8が再びホームポジションで停止して給版動作が完了する。
【0091】
版胴8がホームポジションで停止すると、給紙トレイ66上の最上位の1枚の印刷用紙Pが引き出されて、その先端をレジストローラー対70にくわえ込まれる。そして、印刷用紙Pは、第1製版印刷モードと同じタイミングで版胴8とプレスローラー10との間に向けて給送される。また、レジストローラー対70の回転とほぼ同時にカム板40cの凸部とカムフォロア38aとの当接状態が解除され、プレスローラー10の外周面が版胴8の外周面に圧接される。
【0092】
レジストローラー対70に給送された印刷用紙Pは、プレスローラー10によって版胴8に巻装されたマスタ61に押圧されて印刷画像を転写される。印刷用紙Pに画像を転写し、印刷用紙Pとの圧接を終えてマスタ61の後端の非画像領域とプレスローラー10の外周面とが圧接したところで、カム板40cの凸部とカムフォロア38aとが再度当接してプレスローラーアーム37が図7において反時計回り方向に揺動され、プレスローラー10の外周面と版胴8の外周面との圧接が解除される。
【0093】
印刷画像を転写された印刷用紙Pは、剥離爪84によって版胴8の外周面より剥離され、排紙搬送部材85によって搬送されて排紙トレイ86上に排出される。版胴8は再びホームポジションまで回転して停止し、孔版印刷装置1が印刷待機状態となる。
【0094】
その後、試し刷りキー113を押して試し刷りを行い、画像状態を調整した後に印刷スタートキー112を押すことにより、版胴8が高速回転すると共に給紙部4より印刷用紙Pが連続的に送られて印刷動作が行われる。
【0095】
ここで、孔版印刷装置1における、筐体18に対する版胴8の着脱動作について説明する。版胴8はインキの色替え、あるいはジャム処理時等において筐体18に対して着脱される。
【0096】
筐体18より版胴8を抜脱する際には、筐体18の前面に設けられた図示しない扉を開放し、図4に示した取手28の本体28aを掴んで手前側に引き出すことにより達成される。
【0097】
この抜脱時において、RAM128に記憶された製版印刷モードが第1製版印刷モードの場合には、何の問題もなく筐体18から版胴8を抜脱することができる。しかし、RAM128に記憶された製版印刷モードが第2製版印刷モードの場合には、制御手段26から操作パネル110に指令が送られ、ブザー125が作動すると共に警報ランプ126が点灯し、さらに表示装置120に短いマスタを巻装している旨の表示がなされてオペレーターに注意を促す。このような構成とすることにより、第2製版印刷モードで製版されたマスタ61を巻装した版胴8、すなわち開孔8bの一部がマスタ61で覆われていない版胴8が簡単に筐体18から抜脱されることを防止して、版胴抜脱時における筐体18内部のインキ汚れ、あるいは開孔8bがむき出しの版胴8が放置されることによって引き起こされるインキの蒸発、固化等の不具合を未然に防止することができる。
【0098】
また、この孔版印刷装置1では、ブザー125及び警報ランプ126の作動時において、図5、図6に示すソレノイド34への通電が断たれてアーム35が切欠部11bと係合して、筐体18から版胴8を抜脱することができないように構成されている。ソレノイド34への通電は、製版印刷モードが任意にあるいは自動的に選択されてRAM128に第2製版印刷モードが記憶されると、制御手段26より指令が出されて遮断される。
【0099】
このような抜脱規制手段32を設けることにより、ブザー125、警報ランプ126、表示手段120による警告に比較してより確実に上記不具合の発生を防止することができる。なお、ブザー125、警報ランプ126、抜脱規制手段32の解除方法としては、第1製版印刷モードに設定しなおして製版スタートキー111を押す、あるいは操作パネル110上のキーの組み合わせ(例えばストップキー114を2回押してクリアキー116を押す等)によってソレノイド34に通電を行わせるようにプログラムする等の方法がある。
【0100】
次に、筐体18に版胴8を装着する場合を説明する。装着は、抜脱時と逆の手順によって行われる。
オペレーターは筐体18の図示しない扉を開き、本体28aを掴んで各コロ28dをレール部材29に係合させて版胴8を押し込む。そして、ドグ25がホームポジションセンサー27に検知される所定の位置に版胴8がセットされ、筐体18の図示しない扉が閉じられると、制御手段26からステッピングモーター24に指令が送られ、版胴8が図1において時計回り方向に回転し、ドグ25が再びホームポジションセンサー27に検知されるとステッピングモーター24の作動が停止する。この版胴8の回転時において、制御手段26にはセンサー33からの信号が入力されており、この信号に基づいて制御手段26は、版胴8に巻装されているマスタの長さを検出する。
【0101】
この装着時において、制御手段26は、検出されたマスタの長さと給紙トレイ66上の印刷用紙Pの長さとを比較し、これらが対応していない場合には、制御手段26から操作パネル110に指令が送られ、ブザー125が作動すると共に警報ランプ126が点灯し、さらに表示装置120にマスタと印刷用紙とが不整合である旨の表示がなされてオペレーターに注意を促す。このような構成とすることにより、マスタと印刷用紙とが整合しないことに起因する、損紙の発生やプレスローラーの汚損等を未然に防止することができる。
【0102】
さらに、制御手段26は、検出されたマスタの長さとRAM128に記憶された製版印刷モードとを比較し、これらが対応していない場合にもブザー125を作動させると共に警報ランプ126を点灯させ、表示装置120にマスタと製版印刷モードとが不整合である旨の表示を行わせる。
【0103】
また、この孔版印刷装置1では、ブザー125及び警報ランプ126の作動時において、制御手段26からの指令によってステッピングモーター73が不作動となるように構成されている。従って、ブザー125及び警報ランプ126の作動時に印刷スタートキー112が押されても孔版印刷装置1は作動しない。ブザー125、警報ランプ126の解除方法としては、ストップキー114あるいはクリアキー116を押す等の簡単な方法が望ましい。これは、例えばA3サイズのマスタが巻装されていてもA4サイズの製版画像しか有していない場合等にはA4の印刷用紙で印刷を行うことができるためであり、意図的(版胴開孔の乾燥防止等)に大きいサイズのマスタを巻装させた場合に対応しやすくするためである。
【0104】
次に、自動分離搬送装置108を用いて原稿読取手段132により原稿93の読取動作を行う場合を説明する。
オペレーターは、原稿受け台94に原稿93を載置した後、製版スタートキー111を押す。
【0105】
製版スタートキー111が押されると、原稿搬送ローラー対96、原稿搬送ローラー97、原稿搬送ベルト100がそれぞれ回転駆動され、原稿受け台94上の原稿93がコンタクトガラス95上に搬送されて原稿画像を読み取られる。画像を読み取られた原稿93は、原稿搬送ベルト100及び原稿搬送ローラー97によって搬送され、原稿トレイ101上に排出される。この原稿93の読取時において、搬送される原稿93はセンサー109によって検知され、センサー109からの信号に基づいて制御手段26は原稿93のサイズを検出する。制御手段26は、検出した原稿93のサイズに基づいて、原稿93のサイズがA3の場合には第1製版印刷モードに、原稿93のサイズがB4、A4、B5の場合には第2製版印刷モードに製版印刷モードを自動的に切り換え、製版印刷モードに対応した動作プログラムをROM129より読み込むと共に、この製版印刷モードをRAM128に記憶させる。
【0106】
製版印刷モードが設定されると、上述と同様に、排版動作とプレスローラー10の押圧範囲の制御動作とが行われた後、製版動作、給版動作、版付動作が行われて版胴8が印刷待機状態となる。そして、試し刷りキー113が押されて試し刷りが行われた後、印刷スタートキー112が押されることで印刷動作が行われる。
【0107】
上記実施例では、自動分離搬送装置108を用いたときに、センサー109からの信号によって自動的に製版印刷モードを設定する構成としたが、操作パネル110上に製版印刷モードを自動設定するか手動設定するかを切り換えるキーを設け、自動分離搬送装置108の使用時にも原稿サイズに拘らず製版印刷モードを任意に設定可能とした構成を採用してもよい。
【0108】
上記実施例では、製版印刷モードを手動あるいは自動で切り換える際に、原稿93のサイズに基づいて第1製版印刷モードあるいは第2製版印刷モードに切り換える構成としたが、画像領域指定キー133と周知のコマンドシートとを用いて原稿93の原稿画像より製版すべき製版画像領域を任意に指定し、指定された製版画像領域の長さに合わせて製版印刷モードを手動あるいは自動で切り換えることも可能である。画像領域を指定して製版を行う技術は、例えば特開昭63−224468号公報に開示されている。また、周知のデジタイザ等を用いて製版画像領域を任意に指定してもよい。
【0109】
さらに、各センサー71a,71b,71c,71dからの信号に基づいて印刷用紙Pのサイズを検知し、検知された印刷用紙Pのサイズに合わせて原稿93の画像から製版画像領域を決定して、これに応じて製版印刷モードを製版印刷モードを選択する構成、あるいは検知された印刷用紙Pのサイズに合わせて原稿93の画像を拡大または縮小して、これに応じて製版印刷モードを製版印刷モードを選択する構成とすることももちろん可能である。
【0110】
上記実施例の変形例として、自動分離搬送装置108を用いて原稿読取手段132により原稿93の読取動作を行ったときには、製版印刷モードを原稿93のサイズ(製版画像領域)に合わせて自動設定し、自動分離搬送装置108を用いずに原稿読取手段132により原稿93の読取動作を行ったときには、製版印刷モードを原稿93のサイズ(製版画像領域)に拘らず第1製版印刷モードに切り換えるプログラムを採用してもよい。
【0111】
このような構成とすることにより、終了直前あるいは中断直前の製版動作時において、自動分離搬送装置108を用いずに原稿読取手段132により原稿93の読取動作を行うことで、印刷終了時あるいは印刷中断時には、版胴8に巻装されているマスタ61が常に開孔8bを覆っていることとなるので、孔版印刷装置1を長期間放置してもインキの蒸発や固化等の不具合を防止することができる。
【0112】
また、上記実施例の他の変形例として、原稿受け台94上に複数の原稿93が積載されて印刷が行われる場合に、センサー109からの信号に基づいて原稿93のサイズに応じた製版印刷モードを自動設定し、最後の1版の原稿93はそのサイズに拘らず第1製版印刷モードとするプログラムを採用してもよい。最後の1版の原稿であるという確認は、原稿読取時においてセンサー131からの信号が制御手段26に出力されることで確認できる。
【0113】
このような構成とすることにより、印刷終了時あるいは印刷中断時において、版胴8に巻装されているマスタ61が常に開孔8bを覆っていることとなるので、孔版印刷装置1を長期間放置してもインキの蒸発や固化等の不具合を防止することができる。
【0114】
さらに、上記実施例の他の変形例として、原稿受け台94上に複数の原稿93が積載されて印刷が行われる場合に、センサー109からの信号に基づいて原稿93のサイズに応じた製版印刷モードを自動設定し、所定版数目毎の原稿93についてはそのサイズに拘らず第1製版印刷モードとするプログラムを採用してもよい。
【0115】
このような構成とすることにより、所定の版数毎に開孔8bを全て覆うマスタ61を巻装させることで、開孔8bを有する露出した多孔性支持板8a表面に付着した塵埃等を、マスタ61に付着させて廃棄する形で定期的に清掃を行うことができ、良好な印刷物を得ることができる。
【0116】
上記実施例では、押圧部材としてプレスローラーを用いたが、版胴8と同径の圧胴を用いた構成としてもよい。この場合の圧胴の揺動動作は、カムあるいはソレノイド等を用いた構成を採用することができ、押圧範囲の制御動作としては、上記実施例と同様に多段カムを用いる構成あるいはソレノイドへの通電時間を制御する構成等が挙げられる。
【0117】
また、上記実施例では、多段カムと段差カムとを用いて押圧部材の押圧範囲の制御を行ったが、これらに代えて、差動歯車機構を用いた可変カムを用いた構成を採用してもよい。
【0118】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、版胴の開孔部全てを実質的に覆うマスタと前記開孔部の一部を覆うマスタとを任意に製版し、かつそれぞれのマスタの長さに応じて押圧部材の前記版胴の外周面への接触範囲を制御することができるので、原稿の長さに応じたマスタを製版して印刷を行うことによりマスタ及びマスタに吸収されるインキの消費を抑え、また前記開孔部全てを実質的に覆うマスタを製版して印刷を行うことにより版胴内部からのインキの蒸発や開孔でのインキの固化等を防止して損紙の発生を抑えることができ、さらに前記開孔部の一部が露出した版胴であることをオペレーターに報知することにより、前記版胴の抜脱時における前記筐体の内部のインキ汚れあるいは前記版胴が放置されることによって引き起こされるインキの蒸発や固化等といった不具合の発生を未然に防止することができる。
【0119】
請求項2記載の発明によれば、前記開孔部の一部が露出した版胴が簡単に筐体から抜脱されることを防止することにより、前記版胴の抜脱時における前記筐体の内部のインキ汚れあるいは前記版胴が放置されることによって引き起こされるインキの蒸発や固化等といった不具合の発生を未然に防止することができる。
【0120】
請求項3記載の発明によれば、マスタとメモリー手段に記憶された製版印刷モードとが整合していないことをオペレーターに報知することにより、損紙の発生やプレスローラーの汚損等を未然に防止することができる。
【0121】
請求項4記載の発明によれば、指定された製版画像領域のサイズに応じたマスタを製版して印刷を行うことができ、マスタ及びマスタに吸収されるインキの消費を抑えることができる。
【0122】
請求項5記載の発明によれば、原稿のサイズに応じたマスタを製版して印刷を行うことができ、マスタ及びマスタに吸収されるインキの消費を抑えることができる。
【0123】
請求項6記載の発明によれば、第1の原稿読取時には原稿のサイズに応じたマスタを製版して印刷を行うことでマスタ及びマスタに吸収されるインキの消費を抑えることができ、第2の原稿読取時には版胴の開孔部全てを実質的に覆うマスタを製版して印刷を行うことで印刷終了後に孔版印刷装置を長期間放置してもインキの蒸発や固化等といった不具合の発生を防止することができる。
【0124】
請求項7記載の発明によれば、最終の原稿についてのみ版胴の開孔部全てを実質的に覆うマスタが製版されるので、印刷終了後に孔版印刷装置を長期間放置してもインキの蒸発や固化等といった不具合の発生を防止することができる。
【0125】
請求項8記載の発明によれば、所定の版数毎に版胴の開孔部全てを実質的に覆うマスタが製版されるので、開孔部の表面に付着した塵埃等をマスタに付着させて廃棄する形で定期的に清掃を行うことができ、良好な印刷物を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を採用した孔版印刷装置要部の概略側面図である。
【図2】本発明の一実施例を示す印刷部要部の側面図である。
【図3】本発明の一実施例を示す印刷部要部の斜視図である。
【図4】本発明の一実施例に用いられる版胴を説明する斜視図である。
【図5】本発明の一実施例に用いられる版胴の着脱機構を説明するの部分側断面図である。
【図6】本発明の一実施例に用いられる版胴の抜脱規制手段を説明する正面図である。
【図7】本発明の一実施例に用いられる押圧部材の揺動機構を説明する部分側面図である。
【図8】本発明の一実施例に用いられる押圧部材の押圧範囲可変機構を説明する正面図である。
【図9】本発明の一実施例に用いられる操作パネルを示す図である。
【図10】本発明の一実施例に用いられる制御手段のブロック図である。
【符号の説明】
1 孔版印刷装置
3 製版手段(製版部)
4 給紙手段(給紙部)
7 原稿読取手段(原稿読取部)
8 版胴
8b 開孔部(開孔)
10 押圧部材(プレスローラー)
18 筐体
26 制御手段
32 抜脱規制手段
33 マスタ長さ検出手段(センサー)
61 マスタ
71a,71b,71c,71d 用紙長さ検出手段(センサー)
93 原稿
108 自動分離搬送装置
109 原稿長さ検出手段(センサー)
121 切換手段(モード選択キー)
125 警報手段(ブザー)
126 警報手段(警報ランプ)
128 メモリー手段(RAM)
132 原稿読取手段
133 製版画像領域指定手段(画像領域指定キー)
P 印刷用紙
Claims (8)
- 筐体に着脱自在かつ回転自在に支持されその外周面に開孔部を有する版胴と、マスタを製版・搬送・切断する製版手段と、前記外周面に対して接離自在に設けられた押圧部材とを有する孔版印刷装置において、
前記製版手段と前記押圧部材の作動を制御する制御手段と、製版印刷モードを第1の製版印刷動作を行う第1の製版印刷モード若しくは第2の製版印刷動作を行う第2の製版印刷モードの何れかに切り換える切換手段と、前記製版印刷モードを記憶するメモリー手段と、警報を発する警報手段とを具備し、
前記制御手段は、第1の製版印刷モードが選択されたときには前記マスタとして実質的に前記開孔部の全てを覆う長さのものを製版させかつ該マスタを前記外周面に巻装させるべく前記製版手段を制御し、第2の製版印刷モードが選択されたときには前記マスタとして前記開孔部よりも短い任意の長さのものを製版させかつ該マスタを前記外周面に巻装させるべく前記製版手段を制御すると共に前記任意の長さに応じて前記押圧部材の前記外周面への接触範囲を制御し、前記筐体からの前記版胴の抜脱時において前記メモリー手段に記憶された前記製版印刷モードが第2の製版印刷モードである場合には前記制御手段が前記警報手段を作動させることを特徴とする孔版印刷装置。 - 請求項1記載の孔版印刷装置において、
前記筐体に対する前記版胴の抜脱を規制する抜脱規制手段を具備し、前記警報手段の作動時に前記制御手段が前記抜脱規制手段を作動させることを特徴とする孔版印刷装置。 - 請求項1記載の孔版印刷装置において、
前記版胴の装着時において該版胴の外周面上のマスタの長さを検出するマスタ長さ検出手段を具備し、前記マスタ長さ検出手段によって検出された前記マスタの長さが前記メモリー手段に記憶された製版印刷モードに対応したマスタの長さと異なるときに前記制御手段が前記警報手段を作動させることを特徴とする孔版印刷装置。 - 請求項1ないし3の何れか1つに記載の孔版印刷装置において、
原稿画像を読み取る原稿読取手段を備えた原稿読取部と、前記原稿画像の一部の領域を製版画像領域として指定する製版画像領域指定手段とを具備し、前記製版画像領域指定手段によって指定された前記製版画像領域の長さに基づいて前記制御手段が前記切換手段を切り換えることを特徴とする孔版印刷装置。 - 請求項1ないし3の何れか1つに記載の孔版印刷装置において、
原稿画像を読み取る原稿読取手段と原稿の長さを検出する原稿長さ検出手段とを備えた原稿読取部を具備し、前記原稿の読取動作を行うとき前記原稿長さ検出手段によって検出された前記原稿の長さに基づいて前記制御手段が前記切換手段を切り換えることを特徴とする孔版印刷装置。 - 請求項5記載の孔版印刷装置において、
前記原稿読取部が原稿を1枚ずつ自動的に前記原稿読取手段に送り込む自動分離搬送装置を有すると共に該自動分離搬送装置が前記原稿長さ検出手段を有し、前記自動分離搬送装置を使用した前記原稿読取手段による第1の原稿読取と前記自動分離搬送装置を使用しない前記原稿読取手段による第2の原稿読取とを選択可能であって、第2の原稿読取時に前記制御手段が前記切換手段を第1の製版印刷モードに切り換えることを特徴とする孔版印刷装置。 - 請求項6記載の孔版印刷装置において、
第1の原稿読取時における最終の原稿につてのみ前記制御手段が前記切換手段を第1の 製版印刷モードに切り換えることを特徴とする孔版印刷装置。 - 請求項6または7記載の孔版印刷装置において、
第1の原稿読取で複数の原稿の読取動作を行う場合に、所定の版数毎に前記制御手段が前記切換手段を第1の製版印刷モードに切り換えることを特徴とする孔版印刷装置。
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