本発明の実施形態について図面を用いて説明する。図1は、本発明の特徴的構成となる排紙装置1を備えた両面印刷可能な印刷装置(以下「両面印刷装置」と記す)を示す。両面印刷装置は、印刷部2、製版部3、給紙部4、排版部5、排紙部6、画像読取部7、補助トレイ8、再給紙手段9、切換部材10等を有している。
印刷装置本体11のほぼ中央に配設された印刷部2は、版胴12と印圧部材としてのプレスローラー13とを有している。版胴12は、インキ供給パイプを兼ねた支軸14に回転自在に支持された図示しない一対のフランジと、各フランジの外周面に巻装された図示しない多孔性支持板と、図示しない多孔性支持板の外周面に巻装された図示しないメッシュスクリーンとから主に構成されており、版胴駆動手段121(図11参照)によって回転駆動されると共に印刷装置本体11に対して着脱可能に構成されている。本実施例において版胴12は、片面印刷時において最大でA3サイズの印刷物を得ることが可能な大きさを有している。
版胴12の内部にはインキ供給手段15が配設されている。インキ供給手段15は、支軸14、インキローラー16、ドクターローラー17等を有している。インキローラー16は版胴12内に設けられた図示しない側板間に回転自在に支持されており、その周面を版胴12の内周面に近接して配置され、図示しない駆動手段によって版胴12と同方向に回転駆動される。ドクターローラー17も前記側板間に回転自在に支持されており、その周面をインキローラー16の周面に近接して配置され、図示しない駆動手段によって版胴12とは逆方向に回転駆動される。支軸14には複数の小さな孔が穿設されており、支軸14から供給されたインキがインキローラー16とドクターローラー17との近接部に形成される断面楔形状の空間に溜まることによりインキ溜まり18が形成される。
版胴12の外周面上には、版胴12の一母線に沿った平面をなす図示しないステージ部が形成されており、この上には版胴12の外周面上にマスタの先端を保持させるクランパー19が配設されている。クランパー19は、版胴12が所定の位置まで回転されたときに図示しない開閉手段によって開閉される。
版胴12の下方にはプレスローラー13が配設されている。プレスローラー13は金属製の芯部13aにゴム等の弾性体を巻成して構成されており、版胴12の軸方向に延在して設けられている。プレスローラー13は、図2に示すように芯部13aの両端部をプレスローラー支持部材としての一対のアーム部材20によって回転自在に支持されている。ほぼL字形状を呈する各アーム部材20は、その曲折部近傍の部位に取り付けられた揺動軸21によってそれぞれ一体化されており、揺動軸21は印刷装置本体11によって回動自在に支持されている。本実施例においてプレスローラー13は、少なくともその周面がポリテトラフルオロエチレン樹脂等の撥インキ性を有する部材によって構成されている。
各アーム部材20間には、プレスローラー13の他、再給紙案内部材22、再給紙レジスト部材としての再給紙レジストローラー23、再給紙位置決め部材24、再給紙搬送部材25、クリーニング部材としてのクリーニングローラー26、ガイド板27等が設けられている。
プレスローラー13の右方近傍に配設された再給紙案内部材22は、各支軸28a,29a,30a上にそれぞれ一体的に設けられそれぞれの周面をプレスローラー13の周面に圧接させた複数のころ状のローラー28,29,30と、用紙Pをプレスローラー13の周面に沿わせるための曲面状に形成された用紙ガイド板31とを有している。各支軸28a,29a,30aはそれぞれの両端部を各アーム部材20に回転自在に支持されており、図示しない付勢手段によってそれぞれ芯部13aに向けて付勢されている。各ローラー28,29,30は、対応する支軸28a,29a,30aに、プレスローラー13のほぼ全幅にわたってそれぞれ所定の間隔をもって一体的に取り付けられている。用紙ガイド板31はプレスローラー13の周面から各ローラー28,29,30の半径よりも小さな距離である所定距離だけ離れた位置に配設されており、その両端部を各アーム部材20に固着されている。用紙ガイド板31は芯部13aを中心とした曲面となるように形成されており、用紙ガイド板31には各ローラー28,29,30の周面をプレスローラー13の周面に当接させるための複数の開口部が形成されている。
プレスローラー13の下方には再給紙レジストローラー23が配設されている。コロ状の再給紙レジストローラー23は支軸23aに回転自在に支持されており、支軸23aは再給紙レジスト支持部材としての揺動アーム32の一端に取り付けられている。略へ字形状を呈する揺動アーム32は各アーム部材20間に固設された支軸32aにその曲折部を揺動自在に支持されており、その配設位置は再給紙レジストローラー23がプレスローラー13の幅方向のほぼ中央部に位置し、かつ自身が各ローラー30の配設位置の中間に位置するように定められている。揺動アーム32の他端には、図示しないブラケットを介して一方のアーム部材20に取り付けられたソレノイド33のプランジャ33aと、一端を一方のアーム部材20に固着され揺動アーム32に対して支軸32aを中心に図2において反時計回り方向への回動付勢力を付与する引張ばね34の他端とが取り付けられている。この構成より再給紙レジストローラー23は、ソレノイド33が作動されるとその周面を所定の圧接力でプレスローラー13の周面に圧接する図2に実線で示す圧接位置を占め、ソレノイド33の作動が解除されると引張ばね34の付勢力によってその周面がプレスローラー13の周面から離間する図2に二点鎖線で示す離間位置を占める。ソレノイド33と引張ばね34とによって再給紙レジスト接離機構40が構成されている。
再給紙レジストローラー23の上方近傍には再給紙位置決め部材24が配設されている。再給紙位置決め部材24は断面L字形状を呈する板材からなり、その幅はプレスローラー13の幅とほぼ同じ幅となるように形成されていて、その曲折端部24aが上方を向く態様で両端部を各アーム部材20に固着されている。再給紙位置決め部材24には、再給紙レジストローラー23が揺動時に衝突しないための図示しない切欠部が形成されている。
プレスローラー13の下方であって再給紙位置決め部材24の左方には再給紙搬送部材25が配設されている。再給紙搬送部材25は、搬送部材本体35、駆動ローラー36、従動ローラー37、無端ベルト38、吸引ファン39等を有しており、その上面に補助トレイ8を一体的に有している。
上面が開放され、その幅が各アーム部材20間の間隔よりも若干小さくなるように形成された筐体である搬送部材本体35は用紙搬送方向上流側及び下流側の両側面に図示しない軸受を有しており、図示しない各軸受は駆動軸36a及び従動軸37aをそれぞれ回転自在に支持している。駆動軸36aはその両端部が搬送部材本体35の両側面を貫通しており、貫通した両端部は印刷装置本体11に設けられた図示しない軸受部材によって回転自在に支持されている。また、駆動軸36aの一端には図示しない駆動ギヤが取り付けられており、駆動軸36aは印刷装置本体11に設けられた搬送部材駆動モータ122(図11参照)によって回転駆動される。従動軸37aはその両端部が搬送部材本体35の両側面を貫通しないように構成されている。搬送部材本体35の用紙搬送方向上流側端部の両側面外側にはボス35aがそれぞれ一体的に設けられており、各ボス35aは各アーム部材20に形成された図示しない長穴にそれぞれ嵌合されている。この構成より搬送部材本体35は、後述するプレスローラー接離機構55によりプレスローラー13が版胴12に対して接離される際に、各アーム部材20の揺動に伴って駆動軸36aを中心とした揺動が可能となっている。
コロ状をなす複数の駆動ローラー36はそれぞれ駆動軸36aに一体的に取り付けられており、各駆動ローラー36間にはそれぞれ所定の間隔が設けられている。駆動ローラー36と同形状である複数の従動ローラー37は、各駆動ローラー36と同間隔でそれぞれ従動軸37aに一体的に取り付けられている。各駆動ローラー36とこれに対応した各従動ローラー37との間には、図示しない複数の穴部を有する無端ベルト38が所定の張力で掛け渡されている。摩擦抵抗部材からなる無端ベルト38は、搬送部材駆動モータ122によって駆動軸36aが回転駆動されることにより図2に矢印で示す方向に移動される。
搬送部材本体35の下面には吸引ファン39が一体的に取り付けられており、搬送部材本体35の上面には補助トレイ8が一体的に取り付けられている。補助トレイ8には各無端ベルト38を用紙搬送面に臨ませるための図示しない複数の開口部が形成されており、その用紙搬送方向下流側端部には搬送される用紙Pを受け止めるためのフェンス8aが一体的に形成されている。吸引ファン39の取付面である搬送部材本体35の下面には図示しない穴部が設けられており、これにより吸引ファン39が作動することで筐体である搬送部材本体35の内部に負圧を発生させ、移動する各無端ベルト38の上面に用紙Pを吸引させる。吸引ファン39の吸引力及び無端ベルト38の摩擦抵抗力は、用紙Pの先端が再給紙位置決め部材24の曲折端部24aに当接した際に、用紙Pと各無端ベルト38との間で滑りが発生する程度の強さにそれぞれ設定されている。
上述した再給紙案内部材22、再給紙レジストローラー23、再給紙位置決め部材24、及び再給紙搬送部材25によって再給紙手段9が構成されている。
プレスローラー13の近傍であって再給紙搬送部材25の上方に位置する部位には、プレスローラー13の周面をクリーニングするクリーニングローラー26が配設されている。プレスローラー13の幅とほぼ同じ幅を有するクリーニングローラー26は、少なくともその表面が和紙やスポンジ等の吸湿性の高い材質によって構成されており、その中心に芯部26aを一体的に有している。クリーニングローラー26は芯部26aを各アーム部材20に形成された図示しない長穴に嵌合されることで回転自在に支持されており、この長穴内に設けられた図示しない付勢手段によってプレスローラー13に向けて付勢され、その周面をプレスローラー13の周面に所定の圧接力で常時圧接されている。クリーニングローラー26は、一方のアーム部材20に設けられた図示しないクリーニングローラー駆動手段によって、プレスローラー13の回転時においてプレスローラー13と同方向に、プレスローラー13の周速度の10分の1程度の周速度で回転駆動される。
クリーニングローラー26の左上方にはガイド板27が配設されている。板材であるガイド板27はその両端部を各アーム部材20に固設されており、プレスローラー13によって版胴12に圧接された用紙Pがクリーニングローラー26に触れないように、かつ補助トレイ8に向かうように案内する。ガイド板27はプレスローラー13及びクリーニングローラー26の周面に近接する位置に配設されている。
各アーム部材20のプレスローラー13が支持された一端側と対向する他端側には、それぞれ回転自在なカムフォロア41が互いに外側を向く態様で配設されている。また、各アーム部材20のカムフォロア41が配設された位置の近傍には、一端を印刷装置本体11に固着された印圧ばね42の他端がそれぞれ取り付けられている。これにより各アーム部材20は、揺動軸21を中心に図において時計回り方向への回動付勢力をそれぞれ付与されている。
各カムフォロア41の左方近傍には、3枚のカム板43A,43B,43Cを有する多段カム43がそれぞれ配設されている。各カム板43A,43B,43Cは、両端を印刷装置本体11に回転自在かつ図2の紙面方向に移動自在に支持されたカム軸44にそれぞれ所定の間隙をもって固着されており、装置手前側からカム板43B、カム板43A、カム板43Cの順に配設されている。各カム板43A,43B,43Cは、カム軸44と同心の円板である基部とそれぞれ同一突出量の凸部とを有している。多段カム43は、図4に示すように、カム軸44に取り付けられた駆動ギヤ45及び印刷装置本体11に回転自在に支持された支軸46に取り付けられた伝達ギヤ47を介して版胴駆動手段121からの回転力を伝達され、図2において時計回り方向に回転駆動される。
プレスローラー13は、各カム板43A,43B,43Cの何れかの凸部がカムフォロア41と当接したときにその周面が版胴12の周面より離間する図2に示す離間位置を占め、何れかの凸部とカムフォロア41との当接が解除されたときに印圧ばね42の付勢力によってその周面が版胴12の周面に圧接する図3に示す圧接位置を占める。各カム板43A,43B,43Cは、プレスローラー13が圧接位置を占めたときにその基部とカムフォロア41とが接触しないように構成されている。各カム板43A,43B,43Cの凸部の形状は、プレスローラー13と版胴12との接触範囲が、カム板43Aでは図1に示す表面領域と中間領域と裏面領域とを全て合わせた範囲となるように、カム板43Bでは表面領域と同じ範囲となるように、カム板43Cでは表面領域の下流側部分と中間領域と裏面領域とを合わせた範囲となるようにそれぞれ形成されている。また、各カム板43A,43B,43C間の間隔は、アーム部材20の板厚よりも十分に大きくなるように設定されている。
図2において各アーム部材20の右方近傍には、プレスローラー13が離間位置を占めた状態で各アーム部材20の揺動を禁止する、図示しないプレスローラー係止手段が配設されている。図示しないプレスローラー係止手段は図示しないソレノイドを有しており、この図示しないソレノイドのオン・オフの切り換えによって各アーム部材20を保持する状態と保持を解除する状態とが選択的に切り換えられる。図示しないソレノイドは、カムフォロア41が各カム板43A,43B,43Cの何れかの凸部と当接した状態で作動される。
カム軸44の下方近傍には、図4に示すように移動アーム48と段差カム49とが配設されている。ほぼL字形状を呈する移動アーム48は、印刷装置本体11に回転自在に支持された支軸48aにその曲折部を取り付けられており、移動アーム48の一端にはローラー48bが、また他端にはカムフォロア48cがそれぞれ回転自在に取り付けられている。さらに移動アーム48の他端と曲折部との間の部位には、一端を印刷装置本体11に取り付けられた引張ばね50の他端が取り付けられており、移動アーム48には支軸48aを中心に、図において時計回り方向への回動付勢力が付与されている。
ローラー48bはカム軸44の中程に間隔をおいて固着された円板44a,44b間に配置されており、カムフォロア48cは引張ばね50の付勢力によりその周面を段差カム49の周面に当接させている。各円板44a,44b間の間隔は、ローラー48bの直径よりも僅かに大きくなるように設定されている。
段差カム49はその周面に3箇所のカム部49a,49b,49cを有しており、印刷装置本体11に回転自在に支持された支軸51に固着されている。支軸51には、印刷装置本体11に取り付けられたステッピングモータ52の出力軸に取り付けられたギヤ53と噛合するギヤ54が取り付けられており、ステッピングモータ52の作動により段差カム49は図4の矢印方向に回転駆動される。この構成より、ステッピングモータ52が作動して段差カム49が回転すると移動アーム48が支軸48aを中心に揺動し、ローラー48bが円板44aあるいは円板44bを押すことでカム軸44が図4の左右方向に移動する。
各カム部49a,49b,49cは、カムフォロア48cとカム部49aとが当接したときにカム板43Bがカムフォロア41と当接可能位置となるように、カムフォロア48cとカム部49bとが当接したときにカム板43Aがカムフォロア41と当接可能位置となるように、カムフォロア48cとカム部49cとが当接したときにカム板43Cがカムフォロア41と当接可能位置となるようにカム軸44を移動させる形状にそれぞれ形成されている。
上述したカムフォロア41、印圧ばね42、多段カム43、図示しないプレスローラー係止手段、移動アーム48、段差カム49によってプレスローラー接離機構55が構成されており、このプレスローラー接離機構55の作動によってプレスローラー13は図2に示す離間位置と図3に示す圧接位置とを選択的に占める。
版胴12とプレスローラー13との接触位置の左方であって用紙Pの搬送経路上には、用紙Pの搬送経路を切り換える切換部材10が配設されている。版胴12及びプレスローラー13とほぼ同じ幅を有する板材からなる切換部材10は、その用紙搬送方向下流側端部を印刷装置本体11に回動自在に支持された支軸に固着されており、ソレノイド123(図11参照)が作動することによって断面鋭角状に形成された用紙搬送方向上流側端部を図1に実線で示す第1の位置と二点鎖線で示す第2の位置とに選択的に位置決めされる。切換部材10は、第1の位置を占めたときにその先端がプレスローラー13の周面に近接すると共に版胴12上のクランパー19と干渉しない位置に置かれ、第2の位置を占めたときにその先端が版胴12の周面に近接する位置に置かれる。版胴12とプレスローラー13との間を通過した用紙Pは、切換部材10が第1の位置を占めたときに排紙部6へと案内され、切換部材10が第2の位置を占めたときにガイド板27と印刷装置本体11に固着されたガイド板56との間を通って補助トレイ8へと案内される。
印刷装置本体11の右上部には製版部3が配設されている。製版部3は、マスタ保持部材57、プラテンローラー58、サーマルヘッド59、切断手段60、マスタストック部61、テンションローラー対62、反転ローラー対63等を有している。製版部3は後述するマスタ64に製版を行い、図5(a)に示すような第1製版画像65Aと第2製版画像65Bとを有する分割製版済みマスタ65、あるいは図5(b)に示すような第1製版画像65Aと第2製版画像65Bとの2面分の画像量域を有する第3製版画像66Aを有する製版済みマスタ66を作成する。第1製版画像65Aは、分割製版済みマスタ65が版胴12の外周面上に巻装されたときに図1に示す表面領域と対応する位置に形成され、第2製版画像65Bは裏面領域と対応する位置に形成される。
マスタ保持部材57は印刷装置本体11の図示しない側板対にそれぞれ設けられており、熱可塑性樹脂フィルムと多孔性支持体とを貼り合わせたマスタ64をロール状に巻成してなるマスタロール64aの芯部64bの両端を回転自在かつ着脱自在に支持する。
マスタ保持部材57の左方に設けられたプラテンローラー58は印刷装置本体11の図示しない側板に回転自在に支持されており、ステッピングモータを含む製版駆動手段124(図11参照)によって回転駆動される。プラテンローラー58の下方に位置し多数の発熱素子を有するサーマルヘッド59は印刷装置本体11の図示しない側板に取り付けられており、図示しない付勢手段の付勢力によってその発熱素子面をプラテンローラー58に圧接されている。サーマルヘッド59はマスタ64の熱可塑性樹脂フィルム面に接触しつつ発熱素子を選択的に発熱させ、マスタ64に対して熱溶融穿孔製版を行う。
プラテンローラー58及びサーマルヘッド59の左方には切断手段60が配設されている。印刷装置本体11の図示しないフレームに固設された固定刃60aと、この固定刃60aに移動自在に支持された可動刃60bとを有する切断手段60は、固定刃60aに対して可動刃60bが回転移動することによりマスタ64を切断する周知の構成である。
切断手段60のマスタ搬送方向下流側下方にはマスタストック部61が配設されている。分割製版済みマスタ65あるいは製版済みマスタ66を一時的に貯容する空間であるマスタストック部61は複数の板部材によってその内部を仕切られており、その最奥部には図示しない吸引ファンが配設されている。この吸引ファンが作動することにより密閉された空間であるマスタストック部61の内部に負圧が発生し、製版して搬送されてきた分割製版済みマスタ65あるいは製版済みマスタ66はマスタストック部61の最奥部に向けて貯容される。
切断手段60とマスタストック部61との間の部位にはテンションローラー対62が配設されている。それぞれ印刷装置本体11の図示しない側板に回転自在に支持された駆動ローラー62aと従動ローラー62bとからなるテンションローラー対62は、従動ローラー62bが図示しない付勢手段によってその周面を駆動ローラー62aの周面に圧接されており、製版駆動手段124によって駆動ローラー62aが回転駆動されることによりマスタ64を挟持して搬送する。駆動ローラー62aは、その周速度がプラテンローラー58の周速度よりも若干速く設定されていると共にその内部には図示しないトルクリミッターが設けられており、プラテンローラー58とテンションローラー対62との間においてマスタ64に対して所定の張力が付与されるように構成されている。
マスタストック部61のマスタ搬送方向下流側には、それぞれ印刷装置本体11の図示しない側板に回転自在に支持された駆動ローラー63aと従動ローラー63bとからなる反転ローラー対63が配設されている。反転ローラー対63は、製版駆動手段124によって回転駆動される駆動ローラー63aと図示しない付勢手段によってこれに圧接配置された従動ローラー63bとによってマスタ64を挟持して搬送する。駆動ローラー63aの内部には図示しないワンウェイクラッチが設けられている。
また、テンションローラー対62と反転ローラー対63との間の部位には、図示しない可動マスタガイド板が配設されている。この可動マスタガイド板は図示しない支持部材に揺動自在に支持されており、図示しないソレノイドによってその上面がマスタ64の搬送路を構成する搬送位置と、マスタ64のマスタストック部61への進入を妨げない退避位置とに選択的に位置決めされる。
製版部3の下方には給紙部4が配設されている。給紙部4は、給紙トレイ67、給紙ローラー68、分離ローラー69、分離パッド70、レジストローラー対71等を有している。
上面に多数の用紙Pを積載可能な給紙トレイ67は印刷装置本体11に上下動自在に支持されており、昇降手段を含む給紙駆動手段125(図11参照)によって上下動される。A3サイズの用紙Pを縦置き可能な給紙トレイ67の上面には、図示しないレール部材によって用紙搬送方向と直行する用紙幅方向に移動自在に支持された一対のサイドフェンス72が設けられている。また、給紙トレイ67の自由端部側には、積載された用紙Pのサイズを検知する複数の用紙サイズ検知センサ73が設けられている。
給紙トレイ67の上方には、表面に高摩擦抵抗部材を有する給紙ローラー68が配設されている。給紙ローラー68は印刷装置本体11に揺動自在に支持された図示しないブラケットに回転自在に支持されており、給紙トレイ67が図示しない昇降手段によって上昇されたときに所定の圧接力で給紙トレイ67上の最上位の用紙Pに圧接する。給紙ローラー68は給紙駆動手段125によって回転駆動される。
給紙ローラー68の左方には、表面にそれぞれ高摩擦抵抗部材を有する分離ローラー69と分離パッド70とが配設されている。分離ローラー69はタイミングベルト69aを介して給紙ローラー68に駆動連結されており、給紙ローラー68の回転駆動時にこれと同期して同方向に回転駆動される。分離パッド70は図示しない付勢手段の付勢力によって分離ローラー69に圧接されている。
分離ローラー69及び分離パッド70の左方にはレジストローラー対71が配設されている。駆動ローラー71aと従動ローラー71bとからなるレジストローラー対71は、版胴駆動手段121からの回転駆動力をギヤやカム等の図示しない駆動力伝達手段によって伝達されることで駆動ローラー71aが版胴12と同期した所定のタイミングで回転し、駆動ローラー71aに圧接された従動ローラー71bとによって用紙Pを印刷部2に向けて所定のタイミングで給送する。
印刷部2の左上方には排版部5が配設されている。排版部5は、上排版部材74、下排版部材75、排版ボックス76、圧縮板77等を有している。
上排版部材74は、駆動ローラー78、従動ローラー79、無端ベルト80等を有し、排版駆動手段126(図11参照)によって駆動ローラー78が図の時計回り方向に回転駆動されることにより無端ベルト80が図1の矢印方向に移動する。下排版部材75は、駆動ローラー81、従動ローラー82、無端ベルト83等を有し、駆動ローラー78を回転駆動する排版駆動手段126の駆動力をギヤやベルト等の図示しない駆動力伝達手段によって伝達されることで駆動ローラー81が図の反時計回り方向に回転駆動されることにより、無端ベルト83が図1の矢印方向に移動する。また、下排版部材75は排版駆動手段126に含まれる図示しない移動手段によって移動自在に設けられており、図に示す位置と従動ローラー82の外周面上に位置する無端ベルト83が版胴12の外周面に当接する位置とを選択的に占める。
内部に使用済みマスタを貯容する排版ボックス76は、印刷装置本体11に対して着脱自在に設けられている。上排版部材74と下排版部材75とによって運ばれた使用済みマスタを排版ボックス76の内部に押し込む圧縮板77は印刷装置本体11に上下動自在に支持されており、排版駆動手段126に含まれる図示しない昇降手段によって上下動される。
排版部5の下方には排紙部6が配設されている。排紙部6は、剥離爪84、排紙搬送手段85、排紙トレイ86を有している。このうち、剥離爪84は版胴12の幅方向に複数配置され、印刷装置本体11に揺動自在に支持された支軸にそれぞれ一体的に取り付けられている。複数の剥離爪84は図示しない爪揺動手段によって揺動され、その先端が版胴12の周面に近接する図に示す位置と、クランパー19等の障害物を回避するためにその先端が版胴12の外周面から離間する位置とを選択的に占める。図示しない爪揺動手段は、版胴駆動手段121からの駆動力を図示しない駆動力伝達手段により伝達され、版胴12の回転と同期して剥離爪84を揺動させる。
剥離爪84の下方であって切換部材10の左方に配設された用紙搬送手段85は、駆動ローラー87、従動ローラー88、無端ベルト89、吸引ファン90等を有している。コロ状の駆動口−ラー87は、箱状のユニット側板200に回転自在に支持された支軸87aに所定の間隔で複数取り付けられており、用紙駆動手段127(図11参照)によってそれぞれ一体的に回転駆動されるように構成されている。従動ローラー88も箱状のユニット側板200に回転自在に支持された支軸88aに各駆動ローラー87と等間隔で複数設けられており、各駆動ローラー87及びこれと対応する各従動ローラー88には複数の孔hを有する無端ベルト89がそれぞれ掛け渡されている。駆動ローラー87、従動ローラー88、無端ベルト89の下方には吸引ファン90が配設されている。
図7,図8において、箱状のユニット側板200を構成する上板200aの矢印Aで示す用紙搬送方向の下流側端部には、印刷されて搬送されて来た用紙Pに腰付けを行うための腰付け部材201A、201Bがそれぞれ配設されている。腰付け部材201A、201Bは、支軸202に固着されていて、支軸202を中心に用紙搬送経路から突出した第2の位置と、用紙搬送経路と同一平面をなす第1の位置に回動可能となっている。支軸202は箱状のユニット側板200に回転自在に支持されている。第1の位置は両面印刷時に占める位置であり、第2の位置は、片面印刷時に占める位置である。腰付け部材201A、201Bは、第1の位置の時に、図8に示すように、その上面201C、201Dが用紙搬送経路を構成する上板200aとほぼ同一平面を成す位置を占め、第2の位置の時に、図9に示すように、その上面201C、201Dが上板200aより突出した位置を占めるように構成されている。本形態において、用紙搬送手段85と腰付け部材201A、201Bと吸引ファン90とで排紙装置1が構成されている。
腰付け部材201A、201Bは図8、図9に示す駆動手段250によって、第1の位置と第2の位置とに切り換えられる。本形態において、駆動手段250は腰付け部材201Aと腰付け部材201Bと個別に設けられている。どちらの駆動手段も同一構成であるので、図8,図9では腰付け部材201Aに対応する駆動手段250を用いて、その構成について説明する。箱状のユニット側板200の下面に配設された駆動源としての駆動モータ203と、駆動モータ203の出力軸203aに一体結合された駆動ギヤ203b、アイドルギヤ204、従動ギヤ205を有する歯車伝達部と、カム部205aとから主に構成されている。駆動ギヤ203bは、アイドルギヤ204を介して従動ギヤ205と噛合していて、駆動モータ203の駆動力を従動ギヤ205に伝達している。カム部205aは、従動ギヤ205の上面に一体成型されていて、腰付け部材201Aの下面に形成された突起部201aにそのカム面205bが当接するように構成されている。このカム部205aは、従動ギヤ205が図8において時計回りに回転すると、カム面205bが上方向に変位し、反時計回りに回転するとカム面205bが下方向に変位するように構成されている。すなわち、このカム面205bは傾斜面で形成されていて、従動ギヤ205の時計回りの回転により腰付け部材201Aを上板200aから突出する方向に移動させ、従動ギヤ205の反時計回りの回転により腰付け部材201Aを第1の位置に向かって移動させるようになっている。
図9に示すように、従動ギヤ205の下面にはドグ206が形成されており、箱状のユニット側板200の下面に配設されたホームポジションセンサ207で腰付け部材201Aの待機位置を検出するように構成されている。駆動モータ203にはスッテピングモータが用いられ、そのステップ数を図11に占めすように、腰付け部材制御手段208によって制御することで腰付け部材201の変位量、すなわち突出量が可変可能とされている。腰付け部材201B側でも同様の構成の駆動手段250によって腰付け部材201Bが第1の位置と第2の位置とへ変位される。各駆動手段の駆動モータ203,203の駆動タイミングは同時に行われる。
排紙搬送部材85によって搬送された用紙Pをその上面に積載する排紙トレイ86は、用紙搬送方向に移動自在な1個のエンドフェンス91と、用紙幅方向に移動自在な一対のサイドフェンス92とを有している。
印刷装置本体9の上部には画像読取部7が配設されている。画像読取部7は、原稿を載置するコンタクトガラス93、コンタクトガラス93に対して接離自在に設けられた圧板94、原稿画像を走査して読み取る反射ミラー95,96,97,98及び蛍光灯99、走査された原稿画像を集束するレンズ100、集束された画像を処理するCCD等の画像センサ101、原稿のサイズを検知する複数の原稿サイズ検知センサ102、読み取られた画像データを記憶する画像メモリ135等を有しており、原稿画像の読取動作は読取駆動手段128(図11参照)の作動によって行われる。
図1に示すように、版胴12を構成する図示しないフランジの外面にはドグ133が取り付けられており、版胴12の周囲近傍には印刷装置本体11に取り付けられたホームポジションセンサ134が配設されている。ホームポジションセンサ134は、クランパー19がプレスローラー13と対向する位置を版胴12が占めたときにドグ133を検知して後述する制御手段129に向けて信号を出力する。
図12は両面印刷装置の操作パネルを示している。同図において印刷装置本体11の上部前面に設けられた操作パネル103は、その上面に製版スタートキー104、印刷スタートキー105、試し刷りキー106、連続キー107、クリア/ストップキー108、テンキー109、エンターキー110、プログラムキー111、モードクリアキー112、印刷速度設定キー113、4方向キー114、用紙サイズ設定キー115、用紙厚み設定キー116、両面印刷キー117、片面印刷キー118、7セグメントLEDからなる表示装置119、LCDからなる表示装置120を有している。
製版スタートキー104は両面印刷装置に製版動作を行わせる際に押下され、製版スタートキー104が押下されると排版動作及び原稿読取動作が行われた後に製版動作が行われ、その後、版付け動作が行われて両面印刷装置は印刷待機状態となる。印刷スタートキー105は両面印刷装置に印刷動作を行わせる際に押下され、両面印刷装置が印刷待機状態となり各種印刷条件が設定された後に印刷スタートキー105が押下されることにより印刷動作が行われる。試し刷りキー106は両面印刷装置に試し刷りを行わせる際に押下され、各種条件が設定された後に試し刷りキー106が押下されることにより1枚だけ印刷が行われる。連続キー107は製版動作と印刷動作とを連続して行う際に製版スタートキー104の押下前に押下され、連続キー107の押下後、印刷条件が入力された後に製版スタートキー104が押下されると、排版動作、原稿読取動作、製版動作に引き続いて印刷動作が行われる。
クリア/ストップキー108は両面印刷装置の動作を停止させる際あるいは置数のクリア時に押下され、テンキー109は数値入力に用いられる。エンターキー110は各種設定時に数値等を設定する際に、プログラムキー111はよく行う操作を登録したりそれを呼び出したりする際にそれぞれ押下され、モードクリアキー112は各種のモードをクリアして初期状態に戻す際に押下される。印刷速度設定キー113は印刷動作に先立って印刷速度を設定する際に押下され、濃いめの画像を得たい場合あるいは雰囲気温度が低い場合等には印刷速度を遅く、薄めの画像を得たい場合あるいは雰囲気温度が高い場合等には印刷速度を速く設定する。4方向キー114は上キー114a、下キー114b、左キー114c、右キー114dを有しており、画像編集時に画像位置を調整する場合あるいは各種設定時に数値や項目等を選択する場合等に押下される。
用紙サイズ設定キー115は用紙サイズを任意で入力する際に押下され、用紙サイズ設定キー115で入力された用紙サイズは用紙サイズ検知センサ73によって検知された用紙サイズに優先される。用紙厚み設定キー116は両面印刷に先立って用紙Pの厚みを入力する際に押下され、本実施例では「普通紙」、「薄紙」、「厚紙」の3種類のうちの何れかを選択する構成となっている。
両面印刷キー117は両面印刷装置に両面印刷動作を行わせる際に製版スタートキー104の押下前に押下され、両面印刷キー117が押下されるとその近傍に配置されたLED117aが点灯してオペレータに両面印刷モードであることが表示される。また、両面印刷キー117が押下された際には、用紙厚み設定キー116によって使用する用紙Pの厚みを入力した後でないと製版スタートキー104の入力が拒否される。片面印刷キー118も両面印刷キー117と同様に両面印刷装置に片面印刷動作を行わせる際にスタートキー104の押下前に押下され、片面印刷キー118が押下されるとその近傍に配置されたLED118aが点灯してオペレータに片面印刷モードであることが表示される。両面印刷装置は初期状態時においてLED118aが点灯しており、片面印刷モードとなっている。
7セグメントLEDからなる表示装置119は、主に印刷枚数等の数字を表示する。LCDからなる表示装置120は階層表示構造となっており、その下方に設けられた選択設定キー120a,120b,120c,120dを押下することにより、変倍や位置調整等の様々なモードへの変更及び各モードでの設定が可能に構成されている。また表示装置120には、両面印刷装置の状態が表示される他、製版あるいは排版ジャム、給紙あるいは排紙ジャム等のアラーム、印刷用紙、マスタ、インキ等のサプライの供給指示等も表示される。
図11は、両面印刷装置に用いられる制御手段のブロック図を示している。同図において制御手段129は、内部にCPU130、ROM131、RAM132を有する周知のコンピューターであり、印刷装置本体11の内部に設けられている。CPU130は、操作パネル103からの各種信号及び印刷装置本体11に設けられた各種センサからの検知信号及びROM131から呼び出された動作プログラムに基づいて、印刷部2、製版部3、給紙部4、排版部5、画像読取部7に設けられた各駆動手段、再給紙手段9に設けられた再給紙レジスト接離機構40及び搬送部材駆動モータ122、切換部材10を作動させるソレノイド123の作動等を制御し、両面印刷装置全体の動作を制御する。ROM131には両面印刷装置全体の動作プログラムが記憶されており、この動作プログラムはCPU130によって適宜呼び出される。RAM132は、CPU130の計算結果を一時的に記憶する機能、操作パネル103上の各種キー及び各種センサから設定及び入力されたデータ信号及びオン・オフ信号を随時記憶する機能等を有している。制御手段129は、ホームポジションセンサ134からのホームポジション信号と、版胴駆動手段121に設けられた図示しないエンコーダーからの信号とに基づいて、版胴12の位置の把握も行っている。
排紙部6には、駆動モータ203の駆動制御とホームポジションセンサ207からの出力信号が入力される腰付け部材制御手段208が設けられている。排紙部6における排紙駆動手段127とは、本形態では駆動ローラー87と吸引ファンを作動させるものである。
腰付け部材制御手段208は、両面印刷時に、腰付け部材201A、201Bの突出量を選択的に可変するように駆動モータ203制御するものである。腰付け部材制御手段208には、腰付け部材201A、201Bの突出量(第2の位置)と、第1の位置への戻り量が予め設定されていて、駆動モータ203のステップ数から突出量と戻り量を判断している。
上述の構成に基づき、両面印刷装置の動作について説明する。オペレータは給紙トレイ67上に印刷に使用される用紙Pを積載し、圧板94を開放してコンタクトガラス93上に印刷すべき原稿を載置した後、再び圧板94を閉じる。その後、操作パネル103上の各種キーによって製版条件を設定した後、両面印刷キー117あるいは片面印刷キー118を押下して印刷モードを設定して製版スタートキー104を押下する。先ず、片面印刷キー118を押下して片面印刷を行う場合を説明する。
オペレータは片面印刷モードであることをLED118aの点灯によって確認した後、製版スタートキー104を押下する。製版スタートキー104が押下されると、用紙サイズ検知センサ73から用紙サイズ検知信号が、原稿サイズ検知センサ102から原稿サイズ検知信号がそれぞれ制御手段129に送られ、信号を受けた制御手段129は各信号を比較する。このとき、用紙サイズと原稿サイズとが同じ場合は直ちに画像読取動作が行われ、用紙サイズと原稿サイズとが異なる場合には、制御手段129はその旨を表示装置120に表示してオペレータに注意を促す。用紙サイズと原稿サイズとが異なる場合に、制御手段129からの指令で自動的に拡大または縮小の変倍を行い、原稿サイズと画像サイズとを整合させるように構成してもよい。
製版スタートキー104が押下されると、画像読取部7では原稿画像の読取動作が行われる。原稿画像の読み取りは、蛍光灯99によって露光された反射光を各反射ミラー95,96,97,98によって反射することにより行われ、読み取られた原稿画像はレンズ100で集束された後に画像センサ101に入射されて光電変換される。光電変換された電気信号は印刷装置本体11内の図示しないA/D変換器に入力された後、画像メモリ135内に画像データ信号として格納される。
画像読取部7での画像読取動作と並行して、排版部5では版胴12の外周面から使用済みマスタを剥離する排版動作が行われる。製版スタートキー104が押下されると版胴12が回転を開始し、版胴12が図1に示すホームポジションに達するとドグ133がホームポジションセンサ134に検知され、ホームポジションセンサ134から制御手段129に向けてホームポジション信号が送られる。ホームポジション信号を受けた制御手段129は、このホームポジションを基点として図示しないエンコーダーが発するパルス数を計測し、版胴12の外周面上に巻装された使用済みマスタの先端が従動ローラー82の外周面上に位置する無端ベルト83と対応する所定の排版位置に達したと判断すると、版胴駆動手段121の作動を停止させる。
版胴駆動手段121が停止されて版胴12が所定の排版位置で停止すると、版胴駆動手段121及び排版駆動手段126が作動して各駆動ローラー78,81が回転駆動されると共に下排版部材75が版胴12側に移動し、従動ローラー82の外周面上に位置する無端ベルト83が使用済みマスタと当接する。すると、版胴12の回転及び無端ベルト83の移動によって版胴12の外周面上よりすくい上げられた使用済みマスタは、下排版部材75と上排版部材74とで挟持搬送されて版胴12の外周面より剥離される。剥離された使用済みマスタは排版ボックス76内に廃棄された後、圧縮板77によって圧縮される。
外周面上より使用済みマスタが全て剥離された後も版胴12は回転を継続し、クランパー19が右上方に位置する所定の給版待機位置まで回転して停止する。版胴12が給版待機位置で停止すると図示しない開閉手段が作動してクランパー19が開放され、両面印刷装置は給版待機状態となる。
排版動作と並行して、製版部3では製版動作が行われる。製版スタートキー104が押下されると、プラテンローラー58、テンションローラー対62、反転ローラー対63がそれぞれ回転駆動されてマスタロール64aよりマスタ64が引き出される。このとき図示しない可動マスタガイド板は搬送位置に位置決めされている。マスタ64が引き出されてその画像形成領域がサーマルヘッド59の発熱素子と対応する位置に達すると、画像メモリ135内に格納されている画像データ信号が画像処理を施された後に呼び出され、図示しないサーマルヘッドドライバーがサーマルヘッド59の各発熱素子を選択的に発熱させることにより、マスタ64の熱可塑性樹脂フィルム面に第3製版画像66Aが形成される。マスタ64は製版されつつ搬送されその先端部が反転ローラー対63に挟持されると、図示しない可動マスタガイド板が退避位置に移動されると共に反転ローラー対63の回転が停止される。
反転ローラー対63の回転停止後もプラテンローラー58及びテンションローラー対62は回転を継続しており、サーマルヘッド59によって製版された製版済みマスタ66はマスタストック部61内に貯容される。反転ローラー対63の停止時においてマスタストック部61に設けられた図示しない吸引ファンが作動されており、製版済みマスタ66は図示しない吸引ファンに吸引されることによって良好にマスタストック部61内に貯容される。
上述の製版動作中、排版動作が完了して両面印刷装置が給版待機状態となると、反転ローラー対63が回転を開始してマスタストック部61内に貯容されている製版済みマスタ66が開放されているクランパー19に向けて搬送される。そして、製版済みマスタ66の先端部がクランパー19によって挟持可能な所定位置まで搬送されると、図示しない開閉手段が作動してクランパー19が閉じられ、製版済みマスタ66はその先端部を版胴12の外周面上に保持される。
その後、版胴12が図1において時計回り方向に間欠的に回転駆動され、製版済みマスタ66の版胴12への巻装動作が行われる。このとき反転ローラー対63は回転を停止しており、駆動ローラー63aは内部に設けられた図示しないワンウェイクラッチによって製版済みマスタ66の引き出しに伴い連れ回りする。そして、画像メモリ135からの画像データ信号が途絶えるとサーマルヘッド59の作動が停止し、1版分の製版済みマスタ66が製版搬送されるとプラテンローラー58、テンションローラー対62、反転ローラー対63の回転がそれぞれ停止されると共に切断手段60が作動して製版済みマスタ66が切断される。切断された製版済みマスタ66は版胴12の回転によって製版部3より引き出され、版胴12がホームポジションまで回転して停止することで製版動作及び給版動作が完了する。
給版動作に引き続き版付け動作が行われる。版胴12がホームポジションで停止すると、ソレノイド123が作動して切換部材10が第1の位置に位置決めされた後、図示しないプレスローラー係止手段が作動すると共にステッピングモータ52が作動して段差カム49が回転され、そのカム部49bをカムフォロア48cに当接させる。これにより移動アーム48が支軸48aを中心に揺動されてカム軸44がカム板43Aをカムフォロア41に対して当接可能となる位置に移動され、その後、図示しないプレスローラー係止手段の作動が解除される。
その後、給紙ローラー68、分離ローラー69、駆動ローラー87、吸引ファン90がそれぞれ駆動されると共に版胴12が低速で図1の時計回り方向に回転駆動され、給紙トレイ67上に積載された用紙Pの最上位の1枚が引き出されてその先端をレジストローラー対71に挟持される。そして、版胴12上に巻装された製版済みマスタ66の版胴回転方向における第3製版画像66Aの画像領域先端部がプレスローラー13と対応する位置に到達する所定のタイミングで駆動ローラー71aが回転駆動され、引き出された用紙Pは版胴12とプレスローラー13との間に向けて給送される。
版胴12の回転に同期して、プレスローラー接離機構55ではカム軸44及びこれと一体に設けられた多段カム43が回転駆動されており、上述したようにカムフォロア41と当接可能となる位置に移動されたカム板43Aは、上記所定のタイミングにおいてその凸部をカムフォロア41から離脱させる。これによりプレスローラー13がその周面を版胴12の外周面に印圧ばね42の付勢力によって圧接させ、レジストローラー対71によって給送された用紙Pが版胴12に巻装された製版済みマスタ66に押圧される。この押圧動作によりプレスローラー13と用紙Pと製版済みマスタ66と版胴12とが圧接し、インキローラー16によって版胴12の内周面に供給されたインキが版胴12の開口部より滲出し、版胴12を構成する図示しない多孔性支持板及び図示しないメッシュスクリーン、及び版胴12に巻装された製版済みマスタ66の多孔性支持体に充填された後に製版済みマスタ66の穿孔部を介して用紙Pに転写され、いわゆる版付けが行われる。
版付けにより第3製版画像66Aに応じた画像を印刷された用紙Pは、第1の位置を占めた切換部材10によって排紙搬送部材85へと案内されると共に、剥離爪84によってその先端部から版胴外周面上の製版済みマスタ66より剥離される。剥離された用紙Pは下方へと落下して排紙搬送部材85へと送られ、吸引ファン90の吸引力によって無端ベルト89の上面に引きつけられつつ左方へと搬送されて排紙トレイ86上に排出される。その後、版胴12が再びホームポジションまで回転して停止し、版付け動作を終えて両面印刷装置は印刷待機状態となる。
両面印刷装置が印刷待機状態となった後、印刷速度設定キー113及び操作パネル103上の各種キーによって印刷条件を入力した後に試し刷りキー106が押下されると試し刷りが行われる。試し刷りキー106が押下されると、設定された印刷速度で版胴12が回転駆動されると共に給紙部4から用紙Pが1枚給送される。給送された用紙Pはレジストローラー対71で一時停留された後に版付け時と同じタイミングで給送され、プレスローラー13によって版胴外周面上の製版済みマスタ66に圧接される。画像を印刷された用紙Pは切換部材10によって排紙部6へと案内された後、剥離爪84によって版胴外周面上の製版済みマスタ66より剥離され、排紙搬送部材85により搬送されて排紙トレイ86上に排出される。
試し刷りにより画像の位置あるいは濃度等が確認され、テンキー109によって印刷枚数が入力された後に印刷スタートキー105が押下されると、給紙部4から用紙Pが連続的に給送され、試し刷りと同条件で印刷動作が行われる。そして、設定された印刷枚数が消化されると版胴12がホームポジションで停止し、両面印刷装置は再び印刷待機状態となる。
次に、両面印刷キー117を押下して両面印刷を行う場合を説明する。オペレータは両面印刷モードであることをLED117aの点灯によって確認した後、用紙厚み設定キー116を押下して使用する用紙Pの厚みを設定する。この両面印刷モードでは、用紙厚み設定キー116が押下されない場合には製版スタートキー104の入力を拒否し、用紙厚み設定キー116が押下されずに製版スタートキー104が押下された場合には、制御手段129は用紙の厚みを設定して下さいという旨の表示を表示装置120に表示させる。本実施例において、用紙厚み設定キー116によって設定された用紙Pの厚みが「普通紙」あるいは「薄紙」の場合には製版スタートキー104の入力が許容され、「厚紙」が設定された場合には用紙Pの搬送ジャムを防止するために製版スタートキー104の入力が拒否されると共に、制御手段129は表示装置120に正しい用紙をセットして下さいという旨の警告を表示させる。このとき表示装置120は第1表示手段として機能する。
給紙トレイ67上に「普通紙」あるいは「薄紙」である用紙Pがセットされ、用紙Pに基づいた用紙厚みが用紙厚み設定キー116によって設定された後に製版スタートキー104が押下されると、片面印刷時と同様に各センサ73,102から用紙サイズ検知信号及び原稿サイズ検知信号がそれぞれ制御手段129に送られ、制御手段129は入力された各信号を比較する。本実施例では、版胴12で印刷可能な最大用紙サイズがA3サイズであるため、両面印刷時において使用可能な用紙サイズはA4横置きまでである。原稿サイズと用紙サイズとを比較した結果、両サイズが同じ場合には直ちに画像読取動作が行われ、両サイズが異なる場合には、制御手段129はその旨を表示装置120に警告として表示してオペレータに注意を促す。このとき表示装置120は第2表示手段として機能する。用紙サイズと原稿サイズとが異なる場合に、制御手段129からの指令で自動的に拡大または縮小の変倍を行って原稿サイズと画像サイズとを整合させる構成、表示装置120に縮小や画像データの回転等の手順を表示してオペレータの操作の手助けを行う構成としてもよい。また、用紙サイズがA4横置きを超える大きさの場合には、制御手段129は両面印刷を禁止して片面印刷を促す旨を表示装置120に表示させる。
製版スタートキー104が押下されると、画像読取部7では片面印刷時と同様に1枚目の原稿画像が読み取られる。読み取られた原稿画像は画像メモリ135内に1枚目の画像データ信号として格納される。1枚目の原稿の読取動作が完了して画像データ信号が画像メモリ135内に格納されると、制御手段129は表示装置120に2枚目の原稿をセットして下さいという旨の表示を行わせる。オペレータはこの表示に従って圧板94を開放してコンタクトガラス93上より1枚目の原稿を取り除き、2枚目の原稿を載置して再び圧板94を閉じる。圧板94が閉じられたことを図示しないセンサが検知し、コンタクトガラス93上に原稿があることを他の図示しないセンサが検知すると、1枚目と同様に2枚目の原稿の読取動作が行われる。読み取られた原稿画像は画像メモリ135内に2枚目の画像データ信号として格納される。
本形態において、片面印刷モード時及び両面印刷モード時における原稿の読取動作はオペレータが圧板94を開閉してコンタクトガラス93上に読み取られる原稿をセットする構成としたが、ADFを用いて自動的に原稿をコンタクトガラス93上に搬送する構成、あるいは図示しない外部装置から画像データを取り込む構成としてもよい。また、両面印刷モード時において1枚の原稿を反転させて搬送し、その表面及び裏面から2枚分の画像データを取得する構成としてもよい。
画像読取部7での画像読取動作と並行して、排版部5では片面印刷時と同様に排版動作が行われる。外周面上より使用済みマスタを剥離された版胴12は給版待機位置で停止し、図示しない開閉手段によってクランパー19が開放される。また、この排版動作と並行して製版部3では製版動作が行われる。製版動作は片面印刷モード時と同様の手順で行われるが、マスタ64にはその熱可塑性樹脂フィルム面に第1製版画像65Aと第2製版画像65Bとが形成される。このとき第1製版画像65Aと第2製版画像65Bとの間には、図5に示すように所定の空白部Sが設けられるように各画像65A,65Bが製版される。この所定の空白部Sは、分割製版済みマスタ65が版胴12の外周面上に巻装されたときに、図1に示す中間領域と対応する位置に設けられる。各画像65A,65Bが形成された分割製版済みマスタ65はマスタストック部61内に貯容され、排版動作が完了して両面印刷装置が給版待機状態となると、反転ローラー対63の作動によって開放されているクランパー19に向けて搬送される。その後、版胴12が片面印刷モード時と同様に間欠回転され、分割製版済みマスタ65の版胴12への巻装が行われる。そして、画像メモリ135から2枚分の画像データが全て送られると、切断手段60が作動して分割製版済みマスタ65が切断される。切断された分割製版済みマスタ65は版胴12の回転によって製版部3より引き出され、版胴12がホームポジションで停止して製版動作及び給版動作が完了する。
給版動作に引き続き版付け動作が行われる。版胴12がホームポジションで停止するとステッピングモータ52が作動して段差カム49が回転されると共に図示しないプレスローラー係止手段が作動され、カム部49aをカムフォロア48cに当接させる。これにより移動アーム48が支軸48aを中心に揺動されてカム軸44がカム板43Bをカムフォロア41に対して当接可能となる位置に移動された後、図示しないプレスローラー係止手段の作動が解除される。
その後、給紙ローラー68、分離ローラー69、各駆動ローラー36,87、各吸引ファン39,90がそれぞれ駆動されると共に版胴12が低速で図1の時計回り方向に回転駆動され、給紙トレイ67上から1枚目の用紙P1が引き出されてその先端をレジストローラー対71に挟持される。そして、クランパー19が切換部材10と対応する位置を通過するとソレノイド123が作動して切換部材10が第2の位置に位置決めされ、その後、版胴12上に巻装された分割製版済みマスタ65の版胴回転方向における第1製版画像65Aの画像領域先端部がプレスローラー13と対応する位置に到達する所定のタイミングで駆動ローラー71aが回転駆動されることで、引き出された用紙P1は版胴12とプレスローラー13との間に向けて給送される。
上記所定のタイミングにおいて、カムフォロア41と当接可能である位置に移動されたカム板43Bはその凸部をカムフォロア41から離脱させ、プレスローラー13が印圧ばね42の付勢力によってその周面を版胴12の外周面に圧接させる。これによりプレスローラー13と用紙P1と分割製版済みマスタ65の第1製版画像65A形成部と版胴12とが圧接し、インキローラー16によって版胴12の内周面に供給されたインキが版胴12の開口部より滲出し、版胴12に巻装された図示しない多孔性支持板及び図示しないメッシュスクリーン、及び分割製版済みマスタ65の多孔性支持体に充填された後に第1製版画像65Aの穿孔部を介して用紙P1に転写され、分割製版済みマスタ65のうちの第1製版画像65Aが形成された部分の版付けが行われる。
版付けにより第1製版画像65Aに応じた画像をその表面に印刷された用紙P1は、切換部材10の先端によってその先端部から版胴外周面上の分割製版済みマスタ65から剥離されつつ、第2の位置を占めた切換部材10によって再給紙手段9へと案内される。切換部材10によって下方へと導かれた用紙P1は、各ガイド板27,56間を通ってその先端をフェンス8aに当接させ、補助トレイ8上に載置される。補助トレイ8上に搬送された用紙P1は吸引ファン39の吸引力によって無端ベルト38に保持されつつ図1の矢印方向に搬送され、その先端(第1製版画像65Aの印刷時における後端)を曲折端部24aに当接させる。このとき用紙P1と無端ベルト38との間で滑りが発生するので、用紙P1はその先端を曲折端部24aに当接させた状態で停留される。なお、用紙P1の先端が曲折端部24aに当接したときにこれを検知する図示しないセンサを設け、この図示しないセンサが用紙P1の先端を検知したときに駆動ローラー36及び吸引ファン39の作動を停止させる構成としてもよい。
用紙P1が補助トレイ8上に案内されている間も版胴12は回転を継続しており、プレスローラー13は版胴12の表面領域との接触を終えるとカム板43Bの凸部がカムフォロア41に当接することで離間位置を占める。このカム板43Bの働きにより、用紙Pが存在しない状態で版胴12の裏面領域とプレスローラー13とが圧接することがなく、プレスローラー13の周面へのインキの転移を防止できる。このとき図示しないプレスローラー係止手段が作動してプレスローラー13を離間位置で保持した後、ステッピングモータ52が作動して段差カム49が回転され、そのカム部49bをカムフォロア48cに当接させる。これにより移動アーム48が支軸48aを中心に揺動され、カム軸44がカム板43Aをカムフォロア41に対して当接可能となる位置に移動される。
上述の動作とほぼ同時に給紙ローラー68及び分離ローラー69が駆動され、給紙トレイ67上から2枚目の用紙P2が引き出されてその先端をレジストローラー対71に挟持される。そして、上述と同様の所定のタイミングで駆動ローラー71aが回転駆動され、引き出された用紙P2は版胴12とプレスローラー13との間に向けて給送される。
一方、プレスローラー接離機構55では、移動されたカム板43Aの凸部がカムフォロア41と当接可能な位置までカム軸44が回転すると、図示しないプレスローラー係止手段の作動が解除される。このときカム軸44と同期して回転している版胴12は、表面領域及び裏面領域及び中間領域以外の部位である非開口部がプレスローラー13と対向する位置を占めている。また、版胴12の表面領域がプレスローラー13との対向部を通過し、クランパー19が再び切換部材10と対応する位置を占めるまでの間にソレノイド123が作動され、切換部材10が第2の位置から第1の位置に変位される。
用紙P2がレジストローラー対71によって給送される所定のタイミングにおいて、カム板43Aがその凸部をカムフォロア41から離脱させることによりプレスローラー13が印圧ばね42の付勢力によってその周面を版胴12の外周面に圧接させる。これによりプレスローラー13と用紙P2と分割製版済みマスタ65の第1製版画像65A形成部と版胴12とが圧接し、インキローラー16によって版胴12の内周面に供給されたインキが版胴12の開口部、図示しない多孔性支持板及び図示しないメッシュスクリーン、第1製版画像65Aの穿孔部を介して用紙P2に転写される。
第1製版画像65Aに応じた画像を印刷された用紙P2は、第1の位置を占めた切換部材10によって排紙搬送部材85へと案内されると共に、剥離爪84によってその先端部から版胴外周面上の分割製版済みマスタ65より剥離される。剥離された用紙P2は下方へと落下して排紙搬送部材85へと送られた後に排紙トレイ86上に排出される。
レジストローラー対71によって用紙P2が給送された後、分割製版済みマスタ65の版胴回転方向における第2製版画像65Bの画像領域先端部がプレスローラー13と対応する位置に到達するよりもやや早いタイミングである所定のタイミングでソレノイド33が作動され、揺動アーム32が支軸32aを中心に図2における時計回り方向に揺動される。これにより再給紙レジストローラー23が離間位置から圧接位置に揺動され、先端を曲折端部24aに当接させた状態で停留されていた用紙P1が版胴12と当接して従動回転しているプレスローラー13の周面に当接される。
再給紙レジストローラー23によりプレスローラー13の周面に当接された用紙P1は、プレスローラー13の回転力によってその回転方向下流側へと搬送され、用紙ガイド板31及び各ローラー28,29,30によってプレスローラー13の周面に密着した状態で版胴12との当接部に向けて搬送される。このとき用紙P1の表面には第1製版画像65Aに応じた画像が印刷されているが、再給紙案内部材22の働きによって用紙P1がプレスローラー13の周面に密着されているので、一度プレスローラー13の周面に接触した用紙P1がずれることがなく、擦れ汚れあるいは画線の太りといった不具合の発生が防止される。そして、用紙P2の後端及び中間領域がプレスローラー13と対応する位置を通過した後、裏面領域の先端部がプレスローラー13と対応する位置に到達するタイミングで用紙P1が版胴12とプレスローラー13との当接部に送り込まれる。
これによりプレスローラー13と用紙P1と分割製版済みマスタ65の第2製版画像65B形成部と版胴12とが圧接し、インキローラー16によって版胴12の内周面に供給されたインキが版胴12の開口部、図示しない多孔性支持板及び図示しないメッシュスクリーン、第2製版画像65Bの穿孔部を介して用紙P1に転写され、分割製版済みマスタ65のうちの第2製版画像65Bが形成された部分の版付けが行われる。
第1製版画像65Aに応じた画像を表面に、第2製版画像65Bに応じた画像を裏面にそれぞれ印刷された用紙P1は、第1の位置を占めた切換部材10によって排紙搬送部材85へと案内されると共に、剥離爪84によってその先端部から版胴外周面上の分割製版済みマスタ65より剥離される。剥離された用紙P1は下方へと落下して排紙搬送部材85へと送られた後に排紙トレイ86上に排出され、これにより分割製版済みマスタ65の版付け動作が完了して両面印刷装置は印刷待機状態となる。
上述の版付け時において、分割製版済みマスタ65の第1製版画像65Aと第2製版画像65Bとの間に所定の空白部Sが設けられ、分割製版済みマスタ65が版胴12の外周面上に巻装された際に中間領域が形成されるので、給紙部4から送られた用紙P2の後端と再給紙手段9から送られた用紙P1の先端とが重合することが防止され、良好な版付けを行うことができる。また、再給紙手段9からの用紙P1の再給紙時において、用紙P1の印刷面と接触することでプレスローラー13の表面に用紙P1からのインキが再転移するが、プレスローラー13の周面が撥インキ性を有すると共にクリーニングローラー26がプレスローラー13の周面をクリーニングするので、用紙P1からプレスローラー13の周面への再転移インキ量が減少されると共にプレスローラー13の周面からの再転移インキの除去が促進され、以下の印刷時においてプレスローラー13から用紙Pの裏面へのインキの再転移を防止できる。
両面印刷装置が印刷待機状態となった後、印刷速度設定キー113及び操作パネル103上の各種キーによって印刷条件を入力した後に試し刷りキー106が押下されると、試し刷りが行われる。この試し刷りキー106の押下時においても制御手段129は用紙の厚みを設定して下さいという旨の表示を表示装置120に表示させ、「厚紙」が設定された場合には試し刷りキー106の入力を拒否して表示装置120に正しい用紙をセットして下さいという旨の警告を表示させる。
試し刷りキー106が押下されると、版付け時と同様にカム板43Bがカムフォロア41に当接可能となる位置にカム軸44が移動された後に設定された印刷速度で版胴12が回転駆動され、さらに版付け時と同様に切換部材10が第2の位置に位置決めされる。版胴12の回転開始後、給紙部4から1枚目の用紙P1が給送され、給送された用紙P1はレジストローラー対71で一時停留された後に版付け時と同じタイミングで給送されてプレスローラー13によって分割製版済みマスタ65の第1製版画像65Aに圧接される。表面に第1製版画像65Aに対応した画像を印刷された用紙P1は切換部材10によって版胴外周面上の分割製版済みマスタ65より剥離されつつ補助トレイ8へと案内される。補助トレイ8上に搬送された用紙P1は、吸引ファン39の吸引力によって無端ベルト38上に保持されつつ先端を曲折端部24aに当接させた状態で停留される。
その後、図示しないプレスローラー係止手段が作動してプレスローラー13が離間位置で保持され、段差カム49が回転してカム板43Aをカムフォロア41に対して当接可能となる位置にカム軸44が移動された後、図示しないプレスローラー係止手段の作動が解除される。切換部材10は、クランパー19が再び切換部材10と対応する位置を占めるまでの間に第2の位置から第1の位置に変位される。また、この動作とほぼ同時に給紙部4から2枚目の用紙P2が給送され、給送された用紙P2はレジストローラー対71で一時停留された後に用紙P1と同じタイミングで印刷部2に向けて給送される。
給送された用紙P2は揺動するプレスローラー13によって分割製版済みマスタ65の第1製版画像65Aに圧接され、表面に第1製版画像65Aに対応した画像を印刷された用紙P2は第1の位置を占めた切換部材10によって排紙搬送部材85へと案内される。用紙P2は剥離爪84によって分割製版済みマスタ65より剥離され、下方へと落下して排紙搬送部材85によって搬送されて排紙トレイ86上に排出される。
レジストローラー対71によって用紙P2が給送された後、版付け時と同じタイミングでソレノイド33が作動されて再給紙レジストローラー23が離間位置から圧接位置へと変位され、一時停留されていた用紙P1が回転しているプレスローラー13の周面に当接される。用紙P1はプレスローラー13の回転力によって搬送され、再給紙案内部材22によってプレスローラー13の周面に密着した状態で印刷部2へと搬送される。
搬送された用紙P1は揺動するプレスローラー13によって分割製版済みマスタ65の第2製版画像65Bに圧接され、その両面に各製版画像65A,65Bに対応した画像を印刷された用紙P1は切換部材10によって排紙搬送部材85へと案内される。その後、用紙P1が剥離爪84によって分割製版済みマスタ65より剥離され、排紙搬送部材85によって搬送されて排紙トレイ86上に排出されることにより試し刷りが完了する。
試し刷りにより画像の位置あるいは濃度等が確認され、テンキー109によって印刷枚数が入力された後に印刷スタートキー105が押下されると、印刷動作が行われる。この印刷スタートキー105の押下時においても制御手段129は用紙の厚みを設定して下さいという旨の表示を表示装置120に表示させ、「厚紙」が設定された場合には印刷スタートキー105の入力を拒否して表示装置120に正しい用紙をセットして下さいという旨の警告を表示させる。本実施例では、印刷枚数としてN枚が入力された場合を説明する。
印刷スタートキー105が押下されると、版付け時及び試し刷り時と同様にカム板43Bがカムフォロア41に対して当接可能となる位置にカム軸44が移動された後に設定された印刷速度で版胴12が回転駆動され、さらに版付け時及び試し刷り時と同様に切換部材10が第2の位置に位置決めされる。版胴12の回転開始後に給紙部4から1枚目の用紙P1が給送され、給送された用紙P1はレジストローラー対71で一時停留された後に試し刷り時と同じタイミングで給送される。用紙P1はプレスローラー13によって分割製版済みマスタ65の第1製版画像65Aに圧接されることで、その表面に第1製版画像65Aに対応した画像を印刷される。表面に画像を印刷された用紙P1は、第2の位置を占めた切換部材10によって剥離案内されて補助トレイ8上に搬送され、先端を曲折端部24aに当接させた状態で停留される。
その後、図示しないプレスローラー係止手段が作動してプレスローラー13が離間位置で保持され、カム板43Aがカムフォロア41に対して当接可能となる位置にカム軸44が移動された後、図示しないプレスローラー係止手段の作動が解除される。この動作とほぼ同時に給紙部4から2枚目の用紙P2が給送され、用紙P2はレジストローラー対71で一時停留された後に用紙P1と同じタイミングで印刷部2に向けて給送される。切換部材10はクランパー19との衝突を回避すべく第1の位置に位置決めされた後、クランパー19の通過後に再び第2の位置に位置決めされる。
給送された用紙P2はプレスローラー13によって分割製版済みマスタ65の第1製版画像65Aに圧接され、表面に第1製版画像65Aに対応した画像を印刷された後、第2の位置を占めた切換部材10によって剥離案内されて補助トレイ8上に搬送される。このとき試し刷り時と同じタイミングでソレノイド33が作動され、補助トレイ8上に停留されていた用紙P1がプレスローラー13の回転力によって印刷部2へと搬送される。用紙P1は用紙P2の後端が版胴12とプレスローラー13との当接部を抜けきった後、版胴12の中間領域がプレスローラー13と対向する位置を通過して裏面領域がプレスローラー13と対向するタイミングで版胴12とプレスローラー13との当接部に送られ、プレスローラー13によって分割製版済みマスタ65の第2製版画像65Bに圧接されることでその裏面に第2製版画像65Bに対応した画像を印刷される。
上述の動作中、版胴12の中間領域がプレスローラー13と対向する位置を占める直前にソレノイド123が作動され、切換部材10が第2の位置から第1の位置に変位される。これにより切換部材10によって案内されていた用紙P2の後端は、切換部材10の下面10aとプレスローラー13の周面との間の僅かな隙間を通って補助トレイ8上に案内され、これに続いて搬送された用紙P1の先端は、切換部材10の上面10bに沿って排紙搬送部材85へと案内される。用紙P1は、剥離爪84によって分割製版済みマスタ65より剥離された後に排紙搬送部材85によって搬送され、排紙トレイ86上に排出される。
その後、給紙部4から3枚目の用紙P3が給送され、用紙P3はレジストローラー対71で一時停留された後に用紙P1と同じタイミングで印刷部2に向けて給送される。切換部材10はクランパー19との衝突を回避すべく第1の位置に位置決めされ、クランパー19の通過後に再び第2の位置に位置決めされる。給送された用紙P3は表面に第1製版画像65Aに対応した画像を印刷された後、切換部材10によって補助トレイ8上に案内される。そして所定のタイミングでソレノイド33が作動され、補助トレイ8上に停留されていた用紙P2が印刷部2へと搬送される。用紙P2は上述の用紙P1と同様のタイミングで版胴12とプレスローラー13との当接部に送られ、その裏面に第2製版画像65Bに対応した画像を印刷される。切換部材10は上述と同様のタイミングで第2の位置から第1の位置に変位され、用紙P3の後端は切換部材10の下面10aとプレスローラー13の周面との間の僅かな隙間を通って補助トレイ8上に案内される。また、これに続いて補助トレイ8上より搬送された用紙P2の先端は切換部材10の上面10bに沿って排紙搬送部材85へと案内され、用紙P2は剥離爪84によって分割製版済みマスタ65より剥離された後に排紙搬送部材85によって搬送され、排紙トレイ86上に排出される。
以下、上述と同様の印刷動作が(N―1)枚目まで行われる。そして、N枚目の用紙PNが給紙部4から給送されその表面に第1製版画像65Aに対応した画像を印刷されて補助トレイ8上に案内された後、(N−1)枚目の用紙P(N−1)がその裏面に第2製版画像に対応した画像を印刷されて排紙トレイ86上に排出されると、図示しないプレスローラー係止手段が作動してプレスローラー13が離間位置で保持され、カム板43Cをカムフォロア41に対して当接可能となる位置にカム軸44が移動された後、図示しないプレスローラー係止手段の作動が解除される。このとき切換部材10は第1の位置を占めた状態を維持している。
そして、分割製版済みマスタ65の版胴回転方向における第2製版画像65Bの画像領域先端部がプレスローラー13と対応する位置に到達するよりも早い第1のタイミングでカムフォロア41と当接可能である位置に移動されたカム板43Cはその凸部をカムフォロア41から離脱させ、プレスローラー13が印圧ばね42の付勢力によってその周面を版胴12の外周面に圧接させる。その後、分割製版済みマスタ65の版胴回転方向における第2製版画像65Bの画像領域先端部がプレスローラー13と対応する位置に到達するよりもやや早い第2のタイミングでソレノイド33が作動され、揺動アーム32が支軸32aを中心に図2における時計回り方向に揺動される。これにより再給紙レジストローラー23が離間位置から圧接位置に揺動され、先端を曲折端部24aに当接させた状態で停留されていた用紙PNが版胴12と当接して従動回転しているプレスローラー13の周面に当接される。
用紙PNは用紙P1と同様のタイミングで版胴12とプレスローラー13との当接部に送られ、その裏面に第2製版画像65Bに対応した画像を印刷される。画像を印刷された用紙PNは切換部材10の上面10bに沿って排紙搬送部材85へと案内され、剥離爪84によって分割製版済みマスタ65より剥離された後に排紙搬送部材85によって搬送され、排紙トレイ86上に排出される。その後、プレスローラー13は版胴12の裏面領域との接触を終えるとカム板43Cの凸部がカムフォロア41に当接することで離間位置を占める。このカム板43Cの働きにより、用紙Pが存在しない状態で版胴12の表面領域とプレスローラー13とが圧接することがなく、プレスローラー13の周面へのインキの転移を防止できる。このとき図示しないプレスローラー係止手段が作動してプレスローラー13が離間位置で保持され、その後に版胴12がホームポジションで停止して両面印刷装置は印刷動作を終えて再び印刷待機状態となる。
次に、腰付け部材201A、201Bの制御について以下に示すフローチャートを用いて説明する。図13に示すように、オペレータによりステップS1で片面印刷キー118を押下し片面印刷が選択し、ステップS2で製版スタートキー104が押下されると、ステップS3に進んで、腰付け部材制御手段208は、ドグ206がホームポジションセンサ207を遮っている(オン)か否かをステップS3で判断する。ステップS3で遮っていなければステップS4に進んで各駆動モータ203を回転させて従動ギヤ205のドグ206がホームポジションセンサ207を遮るまでそれぞれ回転させる。ドグ206がホームポジションセンサ207を遮った(オン)状態となるとステップS5で駆動モータ203を一旦停止してリセットする。リセット後、腰付け部材制御手段208は、ステップS6で予め設定されている片面印刷時の腰付け部材201A、201Bの上板200aからの突出量(第2の位置)となるように各駆動モータ203をそれぞれ回転駆動する。
このように片面印刷時には、図6に示すように、腰付け部材201A、201Bを、上板200aから突出した第2の位置へと移動させるので、印刷された用紙Pの中央部が端部に対して凸状の逆U字となっても、突出している腰付け部材201A、201Bによって、用紙端部をそれぞれ上方に案内されるので、用紙Pの逆U字の撓みが強制され、排紙台86上に積層載置しても良好な揃えが得られる。また、各駆動モータ203にステッピングモータを用いるので、腰付け制御手段208から出力されるパルス数で突出量が管理でき、安価な構成となる。
図14に示すように、オペレータによりステップT1で両面印刷キー117を押下して両面印刷を選択し、ステップT2で製版スタートキー104が押下されると、ステップT3に進んで腰付け部材制御手段208は、ドグ206がホームポジションセンサ207を遮っている(オン)か否かをステップT3で判断する。ステップT3で判断し、遮っていなければステップT4に進んで各駆動モータ203を回転させて従動ギヤ205のドグ206がホームポジションセンサ207を遮るまで回転させる。ドグ206がホームポジションセンサ207を遮った(オン)状態となるとステップT5で駆動モータ203を一旦停止してリセットする。リセット後、腰付け部材制御手段208は、予め設定されている両面印刷時の腰付け部材201A、201Bの位置である第1の位置を腰付け部材201A、201Bが占めように各駆動モータ203をそれぞれ回転駆動する。
このように、両面印刷時には、図7に示すように、腰付け部材201A、201Bを、用紙搬送経路を構成する上板200aと略同一となる第1の位置へと移動させるので、両面印刷時に用紙Pの中央部が端部に対して凹状のU字となる場合でも、腰付け部材201A、201Bによって凹状のカールが助長されることがなくなり、印刷後の用紙Pの凹状のカールが適正となり、排紙台86上の用紙揃えが良好となる。
次に、腰付け部材制御手段208による別な制御形態について説明する。
用紙Pの表面に印刷される画像比率が高い場合、用紙Pの裏面に印刷される画像比率が高い場合、あるいは表裏に印刷される画像比率が同程度の場合と、印刷される画像比率は千差万別である。そこで、本形態では、印刷された用紙Pへの表面印刷データと裏面印刷データとの比較結果により駆動モータ203の駆動量を制御して、上板200aに対する腰付け部材201A、201Bの突出量を可変するようにした。表面印刷データと裏面印刷データは、画像読取部7で読み取った原稿の画像データを、例えばRAM132に一旦記憶させ、この記憶した表面印刷データと裏面印刷データとの比率するための図11に示す製版画像判別手段209を設けた。
以下、この制御ついて図15のフローチャートに沿って説明する。
図15に示すように、オペレータによりステップT1で両面印刷キー117を押下して両面印刷を選択し、ステップT2で製版スタートキー104が押下されると、ステップT3に進んで腰付け部材制御手段208は、ドグ206がホームポジションセンサ207を遮っている(オン)か否かをステップT3で判断する。ステップT3で判断し、遮っていなければステップT4に進んで各駆動モータ203を回転させて従動ギヤ205のドグ206がホームポジションセンサ207を遮るまで回転させる。ドグ206がホームポジションセンサ207を遮った(オン)状態となるとステップT5で駆動モータ203を一旦停止してリセットする。リセット後、ステップU6において表面印刷データの比率と裏面印刷データとを比較し、表面印刷データの比率>裏面印刷データの比率となる場合と、表裏に印刷される画像比率が同程度の場合、すなわち、表面印刷データの比率≧裏面印刷データの比率の場合には、ステップU7に進んで腰付け部材201A、201Bの上板200aからの突出量が大きく(第2の位置)となるように各駆動モータ203を駆動する。
一方、表面印刷データの比率≧裏面印刷データの比率でない場合、すなわち、表面印刷データの比率<裏面印刷データの比率となる場合は、ステップU8に進んで腰付け部材201A、201Bの突出量が少なく(第1の位置)なるように、各駆動モータ203を駆動する。
このように、表面印刷データの比率≧裏面印刷データの比率の場合には、腰付け部材201A、201Bの上板200aからの突出量を大きくし、表面印刷データの比率≧裏面印刷データの比率でない場合には、腰付け部材201A、201Bの上板200aからの突出量を小さくするので、両面印刷後の用紙Pのカールが適正となり、排紙台上の用紙の揃えが良好となる。
腰付け部材制御手段208による別な制御形態について説明する。
図1に示す、両面印刷装置は、版胴12が印刷装置本体11に対して着脱自在に構成されていることから、版の色替え等で版胴12を交換する場合がある。この場合、製版工程を製版部3で実行しなくても予め所望の製版がさなれたマスタが巻着された版胴12と交換することで印刷のみ可能となる。印刷のみ場合は、製版工程を経ないので、交換した版胴にどのような画像が製版されているか判別できないため、腰付け部材201A、201Bの突出量を自動で設定することは不可能である。すなわち、片面印刷用に製版されたマスタなのか、両面印刷用に製版されたマスタなのか不明である。また、上述のように腰付け部材201A、201Bの位置を機械的に決定しても、機器の状態や用紙の湿度、インキの粘性変化により用紙P1のカール状態にはバラツキが発生することが想定される。
そこで、この形態は、腰付け部材201A、201Bの突出量を任意に調整する調整キー210,211を、図12に示すように操作パネル103に設け、この調整キー210,211をオペレータが操作することで、適宜突出量を調整構可能としたものである。調整キー210は腰付け部材201A、201Bを第2の位置の方向(突出方向)へ移動する際にマニュアル操作するスイッチであり、調整キー211は腰付け部材201A、201Bを第1の位置の方向(退避方向)へ移動する際にマニュアル操作するスイッチである。
腰付け部材制御手段208は、調整キー210が操作されると、上板200aから搬送経路内に侵入(突出)する第2の位置へ向かって腰付け部材201A、201Bを移動させる方向に駆動モータ203の駆動を制御すると共に、調整キー211が操作されると、上板200aとほぼ同一面(退避方向)となる第1の位置へ向かって腰付け部材201A、201Bを移動させる方向にする駆動モータ203の駆動を制御する。
このため、腰付け部材201A、201Bは、調整キー210が操作されると、上板200aから搬送経路内に侵入(突出)する第2の位置へ向かって移動して、その突出量が大きくなり、調整キー211が操作されると、上板200aとほぼ同一面(退避方向)となる第1の位置へ向かって移動して、その突出量が少なくなるので、試し刷りの際に用紙の状態を確認し、印刷される画像に応じてオペレータが適宜突出量を調整することができる。このため、用紙Pのカール状態を任意に調整することができ、排紙台上の用紙揃えがさらに良好なものとなる。
上記形態において、腰付け部材201A、201Bを第1の位置と第2の位置とに切り換える駆動手段250の駆動源として駆動モータ(ステッピングモータ)203を用いて説明したが、腰付け部材201A、201Bの突出量を調整するものではなく、第1の位置と第2の位置の2つの位置を占めるだけの構成であれば、駆動モータ203ではなく、電磁ソレノイドを用いて腰付け部材制御手段208で電磁ソレノイドをオン/オフ制御すればよく、制御性の構成の簡素化を図れる。