図1に、本発明を適用した感熱デジタル製版一体型の両面印刷装置の概略を示す。両面印刷装置1は、印刷部2と、製版部3と、給紙部4と、排版部5と、排紙部6と、画像読取部7と、図4に示す操作パネル103と、図5に示す、制御手段129と、切換手段32とを有している。
図1に示すように、印刷部2は、両面印刷装置1の本体である装置本体11のほぼ中央に配設されている。印刷部2は、印刷ドラムとしての版胴12と、インキ供給手段15と、フォトインタラプタとしてのホームポジションセンサ134と、押圧手段としてのプレスローラ13と、再給紙手段9と、図5に示す、版胴駆動手段121と、プレスローラ接離機構55と、図示しないプレスローラ駆動手段とを有している。
図1に示すように、版胴12は、インキ供給パイプを兼ねた支軸14と、版胴12の外周面上に配設された平面状のステージ部19aと、このステージ部19aに対して開閉し版胴12の外周面上にマスタ64の先端を保持させるためのクランパ19bと、版胴12が所定の位置まで回転されたときにクランパ19bをステージ部19aに対して開閉させる図示しない開閉手段と、支軸14に回転自在に支持された図示しない一対の端板と、端板の外面に取り付けられた位相タイミング検知板としてのドグ133と、各端板の外周面に巻装された図示しない多孔性支持板と、図示しない多孔性支持板の外周面に巻装された図示しないメッシュスクリーンとを有している。
版胴駆動手段121は、図示しないメインモータと図示しないエンコーダとを有している。エンコーダは、メインモータが一定角度回転する毎に回転パルス信号を発するものである。
版胴12は、制御手段129による制御により、版胴駆動手段121によって回転駆動される。版胴12は、装置本体11に対して着脱可能に構成されている。版胴12は、片面印刷時において最大でA3サイズの印刷物を得ることが可能な大きさを有している。
インキ供給手段15は、版胴12の内部に配設されている。インキ供給手段15は、支軸14と、インキローラ16と、ドクターローラ17と、図示しない駆動手段とを有している。
インキローラ16は、版胴12内に設けられた図示しない側板間に回転自在に支持されており、その周面を版胴12の内周面に近接して配置され、駆動手段によって版胴12と同方向に回転駆動される。ドクターローラ17も前記側板間に回転自在に支持されており、その周面をインキローラ16の周面に近接して配置され、駆動手段によって版胴12とは逆方向に回転駆動される。支軸14には複数の小さな孔が穿設されており、支軸14から供給されたインキがインキローラ16とドクターローラ17との近接部に形成される断面楔形状の空間に溜まることによりインキ溜まり18が形成される。
ホームポジションセンサ134は、版胴12の周囲近傍において装置本体11に取り付けられている。ホームポジションセンサ134は、クランパ19bがプレスローラ13と対向する位置を版胴12が占めたときにドグ133を検知して制御手段129に向けて位相タイミング信号としてのホームポジション信号を出力する。
プレスローラ13は、版胴12の下方に配設されている。プレスローラ13は金属製の芯部13aにゴム等の弾性体を巻成して構成されており、版胴12の軸方向に延在して設けられている。プレスローラ13は、少なくともその周面がポリテトラフルオロエチレン樹脂等の撥インキ性を有する部材によって構成されている。プレスローラ駆動手段は、プレスローラ13を、版胴12の周速と同じ周速で回転駆動するようになっている。
プレスローラ接離機構55は、図示を省略するが、芯部13aの両端部を回転自在に支持する一対のほぼL字形状を呈するアーム部材と、装置本体11によって回動自在に支持されているとともに、各アーム部材の曲折部近傍の部位に取り付けられ各アーム部材を一体化する揺動軸と、搖動軸を中心として各アーム部材を搖動させる図示しない駆動手段とを有している。プレスローラ接離機構55は、駆動手段が制御手段129によって駆動されることによって、プレスローラ13を、版胴12から離間する離間位置と版胴12に圧接する圧接位置とを選択的に占めさせる。
再給紙手段9は、プレスローラ13と、再給紙案内部材22と、再給紙レジストローラ23と、再給紙搬送ユニット25と、再給紙トレイとしての補助トレイ8と、再給紙位置決め部材24と、クリーニングローラ26と、ガイド板27と、ガイド板56と、給紙用紙検知手段としてのセンサ65と、図5に示す、ソレノイド33と、搬送ユニット駆動モータ122と、図示しないクリーニングローラ駆動手段とを有している。
図1に示すように、再給紙案内部材22は、プレスローラ13の右方近傍に配設されている。図1または図2に示すように、再給紙案内部材22は、それぞれの周面をプレスローラ13の周面に圧接させた複数のころ状のローラ28,29,30と、表面印刷済み用紙PAをプレスローラ13の周面に沿わせるための曲面状に形成された用紙ガイド板31とを有している。
ローラ28,29,30はそれぞれ、図示しない支軸により、アーム部材に回転自在に支持されており、図示しない付勢手段によってそれぞれ芯部13aに向けて付勢されている。各ローラ28,29,30は、図1において紙面と垂直な方向におけるプレスローラ13のほぼ全幅にわたって、プレスローラ13の周面上にそれぞれ所定の間隔をもって取り付けられている。
用紙ガイド板31はプレスローラ13の周面から各ローラ28,29,30の半径よりも小さな距離である所定距離だけ離れた位置に配設されており、その両端部を各アーム部材に固着されている。用紙ガイド板31は芯部13aを中心とした曲面となるように形成されており、用紙ガイド板31には各ローラ28,29,30の周面をプレスローラ13の周面に当接させるための図示しない複数の開口部が形成されている。
再給紙レジストローラ23は、プレスローラ13の下方に配設されている。再給紙レジストローラ23は、ころ状をなし、図2及び図3に示す支軸23aに支持されている。支軸23aは、ソレノイド33によって搖動される、図3に一部のみを示す揺動アーム32の一端に回転自在に取り付けられている。再給紙レジストローラ23は、ソレノイド33が作動されるとその周面を所定の圧接力でプレスローラ13の周面に圧接する圧接位置を占め、ソレノイド33の作動が解除されるとその周面がプレスローラ13の周面から離間する離間位置を占める。
再給紙搬送ユニット25は、プレスローラ13の左下方に配設されている。再給紙搬送ユニット25は、搬送ユニット本体35と、駆動ローラ36と、従動ローラ37と、用紙搬送部材としての無端ベルト38と、吸引ファン39と、図5に示す搬送ユニット駆動モータ122とを有している。
駆動ローラ36と従動ローラ37とは、ころ状をなし、図1における紙面と垂直な方向に、所定の間隔で、複数備えられている。図3に示すように、駆動ローラ36、従動ローラ37は、それぞれ駆動軸36a、従動軸37aと一体である。駆動軸36aと従動軸37aとは、搬送ユニット本体35に配設された図示しない軸受けにより、回転自在に支持されている。駆動軸36aの一端には図示しない駆動ギヤが取り付けられている。
搬送ユニット駆動モータ122は装置本体11に設けられており、駆動ギヤにより駆動軸36aを介して駆動ローラ36を回転駆動させる。
各駆動ローラ36とこれに対応した各従動ローラ37との間には、無端ベルト38が所定の張力でそれぞれ掛け渡されている。無端ベルト38は、摩擦抵抗部材からなっている。無端ベルト38は、搬送ユニット駆動モータ122によって駆動ローラ36が回転駆動されることにより図1に矢印で示す方向に移動される。
搬送ユニット本体35は、上面が開放され、その幅が各アーム部材間の間隔よりも若干小さくなるように形成された筐体である。搬送ユニット本体35は、プレスローラ接離機構55によりプレスローラ13が版胴12に対して接離される際に、各アーム部材の揺動に伴って駆動軸36aを中心とした揺動が可能となっている。
吸引ファン39は、搬送ユニット本体35の下面に搬送ユニット本体35と一体的に取り付けられている。吸引ファン39の取付面である搬送ユニット本体35の下面には図示しない穴部が設けられており、これにより吸引ファン39が作動することで筐体である搬送ユニット本体35の内部に負圧を発生させ、移動する各無端ベルト38の上面に表面印刷済み用紙PAを吸引させる。吸引ファン39の吸引力及び無端ベルト38の摩擦抵抗力は、表面印刷済み用紙PAの他端が再給紙位置決め部材24に当接した際に、表面印刷済み用紙PAと各無端ベルト38との間で滑りが発生し、用紙Pの座屈やたわみが生じない程度の強さにそれぞれ設定されている。
図1または図2または図3に示すように、補助トレイ8は、再給紙搬送ユニット25の上面に一体的に備えられている。補助トレイ8は、表面印刷済み用紙PAを一時的に載置し、貯容するものである。補助トレイ8は、その上面が用紙搬送面となっている。用紙搬送面には、各ローラ36,37の周面の一部が臨み、各無端ベルト38が用紙搬送面上に位置している。図3に示すように、用紙搬送面の、各無端ベルト38の両側には、複数の孔8bが穿設されている。補助トレイ8は、用紙搬送面の、用紙搬送方向上流側端部に、表面印刷済み用紙PAの一端を受け止めるための2個のエンドフェンス8aを一体的に有している。
補助トレイ8は、用紙搬送面上の、用紙搬送方向下流側端部近傍に、表面印刷済み用紙PAの他端が再給紙位置決め部材24に近接したことを検知する表面印刷済み用紙検知部材としてのセンサ8cを有している。センサ8cは、表面印刷済み用紙PAの他端を検知した際に後述する制御手段129へ向けて信号を出力する。
図1または図2または図3に示すように、再給紙位置決め部材24は、補助トレイ8の用紙搬送方向下流側端部に配設されている。再給紙位置決め部材24は、版胴12に向けて再給紙される表面印刷済み用紙PAの他端を定位置で一時停止させるための部材である。再給紙位置決め部材24は2個設けられており、それぞれ補助トレイ8に一体的に取り付けられている。
クリーニングローラ26は、プレスローラ13の近傍であって再給紙搬送ユニット25の上方に位置している。クリーニングローラ26は、プレスローラ13の幅とほぼ同じ幅を有する。クリーニングローラ26は、少なくともその表面が和紙やスポンジ等の吸湿性の高い材質によって構成されており、プレスローラ13の周面をクリーニングするものである。
クリーニングローラ26は、その中心に図示しない芯部を一体的に有している。クリーニングローラ26は、芯部が各アーム部材に形成された図示しない長穴に嵌合されることで回転自在に支持されており、この長穴内に設けられた図示しない付勢手段によってプレスローラ13に向けて付勢され、その周面をプレスローラ13の周面に所定の圧接力で常時圧接されている。
クリーニングローラ駆動手段は、一方のアーム部材に設けられている。クリーニングローラ駆動手段は、クリーニングローラ26を、プレスローラ13の回転時においてプレスローラ13と同方向に、プレスローラ13の周速度の10分の1程度の周速度で回転駆動させる。
ガイド板27は、クリーニングローラ26の上方の、プレスローラ13及びクリーニングローラ26の各周面に近接する位置に配設されている。ガイド板27は板材であり、その両端部を各アーム部材に固設されている。ガイド板27は、印刷部2より送られる表面印刷済み用紙PAがクリーニングローラ26に触れないように、かつ補助トレイ8に向かうように案内する。
ガイド板56は、補助トレイ8の上方に配設されている。ガイド板56は、装置本体11に固着されている。ガイド板56は、表面印刷済み用紙PAを、ガイド板27との間で案内しつつ、補助トレイ8に導くものであって、その一端が、エンドフェンス8aの上端近傍位置を占めている。
切換手段32は、版胴12とプレスローラ13との接触位置の左方であって用紙Pの搬送経路上に配設されている。切換手段32は、用紙Pの搬送経路を切り換える図1に示す切換部材10と、図5に示すソレノイド123とを有している。切換部材10は、版胴12及びプレスローラ13とほぼ同じ幅を有する板材からなっている。
切換部材10は、その用紙搬送方向下流側端部を装置本体11に回動自在に支持された支軸に固着されており、ソレノイド123が作動することによって断面鋭角状に形成された用紙搬送方向上流側端部を図1に実線で示す第1の位置と一点鎖線で示す第2の位置とに選択的に位置決めされる。
切換部材10は、第1の位置を占めたときにその先端がプレスローラ13の周面に近接すると共に版胴12上のクランパ19bと干渉しない位置に置かれ、第2の位置を占めたときにその先端が版胴12の周面に近接する位置に置かれる。版胴12とプレスローラ13との間を通過した表面印刷済み用紙PAは、切換部材10が第1の位置を占めたときに排紙部6へと案内され、切換部材10が第2の位置を占めたときにガイド板27とガイド板56との間を通って補助トレイ8へと案内される。
センサ65は、図1または図2または図3に示すように、補助トレイ8に配設されている。
ここで、両面印刷装置1内における、用紙Pの搬送経路について説明すると、用紙Pの搬送経路には、大きく分けて給紙経路と排紙経路とがある。給紙経路は、給紙部3によって、用紙Pが給紙トレイ67から版胴12とプレスローラ13との間に搬送されるまでの初期給紙経路と、再給紙手段9によって、用紙P(表面印刷済み用紙PA)が版胴12とプレスローラ13との間から、補助トレイ8を経て、再度版胴12とプレスローラ13との間に搬送されるまでの再給紙経路とを有している。排紙経路は、排紙部6によって、用紙P(印刷済み用紙PB)が版胴12とプレスローラ13との間から、後述する排紙搬送ユニット85を経て、後述する排紙トレイ86に至るまで搬送される経路である。初期給紙経路と排紙経路とは、片面印刷時においても両面印刷時においても用紙Pが搬送されるが、再給紙経路は、両面印刷時にのみ用紙Pが搬送される。
センサ65は、本形態において、再給紙手段9に備えられた補助トレイ8上に配設されているため、用紙Pの搬送経路のうち、給紙経路、特に再給紙経路に配設されている。したがって、センサ65は、再給紙経路を通過する用紙Pの有無、特に補助トレイ8上に載置された表面印刷済み用紙PAの有無を検知するものである。
センサ65は、表面印刷済み用紙PAが、図2に示すように、再給紙位置決め部材24に当接した状態であっても、図13に示すように、エンドフェンス8aに当接した状態であっても、表面印刷済み用紙PAの有無を検知できるように、補助トレイ8の、再給紙搬送ユニット25による用紙搬送方向における比較的下流側の位置に配設されている。よってセンサ65は、表面印刷済み用紙PAが補助トレイ8上に貯容されれば、これを確実に検知する。
センサ65は、図示しない発光素子と、この発光素子から発せられ、表面印刷済み用紙PAの裏面によって反射された光を受光する図示しない受光素子とを有する、周知の反射型センサであって、補助トレイ8上の用紙の有無に関する信号を、制御手段129に送るようになっている。なおセンサ8cは、これに換えて、センサ65を用いても良い。
製版部3は、図1において装置本体11の右上部に配設されている。製版部3は、マスタ保持部材57と、プラテンローラ58と、サーマルヘッド59と、切断手段60と、マスタストック部61と、テンションローラ対62と、反転ローラ対63と、図5に示す製版駆動手段124と、テンションローラ対62、反転ローラ対63のそれぞれに対応して配設された図示しない付勢手段と、図示しない可動マスタガイド板と、可動マスタガイド板に対応して配設された図示しない支持部材及びソレノイドと、図示しないサーマルヘッドドライバとを有している。
製版部3はマスタ64に製版を行い、それ1つで画像領域の全体を占める第3製版画像を有する製版済みのマスタ64、またはそれぞれ略同じ面積を有し、それぞれ画像領域の約半分の領域を占める第1製版画像と第2製版画像とを有する分割製版済みのマスタ64を作成する。
第1製版画像は、分割製版済みのマスタ64が版胴12の外周面上に巻装されたときに図1に示す表面領域と対応する位置に形成され、第2製版画像は、分割製版済みのマスタ64が版胴12の外周面上に巻装されたときに図1に示す裏面領域と対応する位置に形成される。第1製版画像と第2製版画像との製版時において、第1製版画像と第2製版画像との間には、所定の空白部が設けられる。この空白部は、分割製版済みのマスタ64が版胴12の外周面上に巻装されたときに、図1に示す中間領域に対応する位置に設けられる。
マスタ保持部材57は製版部3の図示しない側板対にそれぞれ設けられており、熱可塑性樹脂フィルムと多孔性支持体とを貼り合わせたマスタ64をロール状に巻成してなるマスタロール64aの芯部64bの両端を回転自在かつ着脱自在に支持する。
製版駆動手段124は、図示しないステッピングモータを有している。
プラテンローラ58は、図1においてマスタ保持部材57の左方に配設されている。プラテンローラ58は、製版部3の図示しない側板に回転自在に支持されており、製版駆動手段124によって回転駆動される。
サーマルヘッド59は、プラテンローラ58の下方に配設されている。サーマルヘッド59は、製版部3の図示しない側板に取り付けられており、図示しない付勢手段の付勢力によってその発熱素子面をプラテンローラ58に圧接されている。サーマルヘッド59は、多数の発熱素子を有している。
サーマルヘッドドライバは、サーマルヘッド59がマスタ64の熱可塑性樹脂フィルム面に接触した状態で、サーマルヘッド59の発熱素子を選択的に発熱させ、これにより、サーマルヘッド59がマスタ64に対して熱溶融穿孔製版を行う。
切断手段60は、プラテンローラ58及びサーマルヘッド59の左方に配設されている。切断手段60は、製版部3の図示しないフレームに固設された固定刃60aと、この固定刃60aに移動自在に支持された可動刃60bとを有している。切断手段60は、固定刃60aに対して可動刃60bが回転移動することによりマスタ64を切断する周知の構成である。
マスタストック部61は、切断手段60のマスタ搬送方向下流側下方に配設されている。マスタストック部61は、分割製版済みのマスタ64あるいは通常の製版済みのマスタ64を一時的に貯容する空間である。マスタストック部61は、複数の板部材によってその内部を仕切られ、上部を除く部分が密閉された空間となっており、その最奥部には図示しない吸引ファンが配設されている。吸引ファンが作動することによりマスタストック部61の内部に負圧が発生し、製版搬送されてきた製版済みのマスタ64がマスタストック部61の最奥部に向けて貯容される。
テンションローラ対62は、切断手段60とマスタストック部61との間の部位に配設されている。テンションローラ対62は、それぞれ製版部3の図示しない側板に回転自在に支持された駆動ローラ62aと従動ローラ62bと、駆動ローラ62aの内部に配設された図示しないトルクリミッタとを有している。付勢手段は、従動ローラ62bを駆動ローラ62aに向けて付勢し、従動ローラ62bの周面を駆動ローラ62aの周面に圧接している。
テンションローラ対62は、駆動ローラ62aが製版駆動手段124によって回転駆動されることにより従動ローラ62bとの間でマスタ64を挟持して搬送する。駆動ローラ62aは、その周速度がプラテンローラ58の周速度よりも若干速く設定されていると共に、トルクリミッタにより、プラテンローラ58とテンションローラ対62との間においてマスタ64に対して所定の張力を付与するようになっている。
反転ローラ対63は、マスタストック部61のマスタ搬送方向下流側に配設されている。反転ローラ対63は、それぞれ製版部3の図示しない側板に回転自在に支持された駆動ローラ63aと従動ローラ63bと、駆動ローラ63aの内部に配設された図示しないワンウェイクラッチとを有している。付勢手段は、従動ローラ63bを駆動ローラ63aに向けて付勢し、従動ローラ63bの周面を駆動ローラ63aの周面に圧接している。反転ローラ対63は、駆動ローラ63aが製版駆動手段124によって回転駆動されることにより従動ローラ63bとの間でマスタ64を挟持して搬送する。
可動マスタガイド板は、テンションローラ対62と反転ローラ対63との間の部位に配設されている。可動マスタガイド板は支持部材に揺動自在に支持されており、ソレノイドによってその上面がマスタ64の搬送路を構成する搬送位置と、マスタ64のマスタストック部61への進入を妨げない退避位置とに選択的に位置決めされる。
給紙部4は、製版部3の下方に配設されている。給紙部4は、給紙トレイ67と、用紙サイズ検知センサ73と、給紙ローラ68と、分離ローラ69と、分離パッド70と、タイミングベルト69aと、レジストローラ対71と、給紙ガイド板136,137と、図5に示す給紙駆動手段125と、分離パッド70に対応して配設された図示しない付勢手段と、レジストローラ対71に対応して配設された図示しない駆動力伝達手段とを有している。
給紙駆動手段125は昇降手段を含んでいる。駆動力伝達手段は、ギヤやカム等を含んでいる。
給紙トレイ67は装置本体11に上下動自在に支持されており、給紙駆動手段125によって上下動される。給紙トレイ67は、A3サイズの用紙Pを縦置き可能な大きさを有している。給紙トレイ67は、その上面に、図示しないレール部材によって用紙搬送方向と直行する用紙幅方向に移動自在に支持された一対のサイドフェンス72を有しており、上面に多数の用紙Pを積載可能である。
用紙サイズ検知センサ73は、給紙トレイ67の自由端部側に複数配設されており、積載された用紙Pのサイズを検知し、用紙Pのサイズに関する信号を制御手段129に送るようになっている。
給紙ローラ68は、給紙トレイ67の上方に配設されている。給紙ローラ68は、装置本体11に揺動自在に支持された図示しないブラケットに回転自在に支持されており、給紙トレイ67が昇降手段によって上昇されたときに所定の圧接力で給紙トレイ67上の最上位の用紙Pに圧接する。給紙ローラ68は給紙駆動手段125によって回転駆動される。給紙ローラ68は、表面に高摩擦抵抗部材を有している。
分離ローラ69と分離パッド70とは、図1において給紙ローラ68の左方に配設されている。分離ローラ69と分離パッド70とは、表面にそれぞれ高摩擦抵抗部材を有している。タイミングベルト69aは、分離ローラ69を給紙ローラ68に連結するものであり、分離ローラ69は、給紙ローラ68の回転駆動時にこれと同期して同方向に回転駆動される。分離パッド70は付勢手段の付勢力によって分離ローラ69に圧接されている。
レジストローラ対71は、図1において分離ローラ69及び分離パッド70の左方に配設されている。レジストローラ対71は、駆動ローラ71aと従動ローラ71bとを有しており、版胴駆動手段121からの回転駆動力を駆動力伝達手段によって伝達されることで駆動ローラ71aが版胴12と同期した所定のタイミングで回転し、駆動ローラ71aに圧接された従動ローラ71bとによって用紙Pを印刷部2に向けて所定のタイミングで給送する。
給紙ガイド板136,137は、レジストローラ対71の用紙搬送方向上流側及び下流側に配設されている。各給紙ガイド板136,137は、装置本体11の図示しない側板間にそれぞれ固定されている。給紙ガイド板136,137は、給紙部4から印刷部2へと給送される用紙Pの搬送をガイドする部材である。
排版部5は、図1において印刷部2の左上方に配設されている。排版部5は、上排版部材74と、下排版部材75と、排版ボックス76と、圧縮板77と、図5に示す排版駆動手段126と、図示しない駆動力伝達手段とを有している。
排版駆動手段126は、図示しない移動手段及び昇降手段を有している。駆動力伝達手段は、ギヤやベルト等を有している。
上排版部材74は、駆動ローラ78と、従動ローラ79と、無端ベルト80とを有している。下排版部材75は、駆動ローラ81と、従動ローラ82と、無端ベルト83とを有している。
排版駆動手段126は、駆動ローラ78を図の時計回り方向に回転駆動させ、無端ベルト80を図1の矢印方向に移動させるとともに、駆動ローラ78への駆動力を駆動力伝達手段を介して駆動ローラ81に伝達させ、駆動ローラ81を図の反時計回り方向に回転駆動させ、無端ベルト83を図1の矢印方向に移動させる。
移動手段は、下排版部材75を、図に示す、無端ベルト83が版胴12の外周面から離間した位置と、無端ベルト83が版胴12の外周面に当接する位置とを選択的に占めさせる。
排版ボックス76は、内部に使用済みマスタ64cを貯容する部材である。排版ボックス76は、装置本体11に対して着脱自在に設けられている。
圧縮板77は、上排版部材74と下排版部材75とによって運ばれた使用済みマスタ64cを排版ボックス76の内部に押し込む部材である。圧縮板77は、装置本体11に上下動自在に支持されており、昇降手段によって上下動される。
排紙部6は、図1において排版部5の下方に配設されている。排紙部6は、剥離爪84と、排紙搬送手段としての排紙搬送ユニット85と、排紙トレイ86と、排紙用紙検知手段としての、両面排紙用紙検知手段と片面排紙用紙検知手段とを兼ねたセンサ66と、図5に示す排紙駆動手段127と、図示しない爪揺動手段と、図示しない駆動力伝達手段とを有している。
剥離爪84は版胴12の幅方向に複数配置され、装置本体11に揺動自在に支持された支軸にそれぞれ一体的に取り付けられている。剥離爪84は爪揺動手段によって揺動され、その先端が版胴12の周面に近接する図に示す位置と、クランパ19b等の障害物を回避するためにその先端が版胴12の外周面から離間する位置とを選択的に占める。駆動力伝達手段は、版胴駆動手段121からの駆動力を爪揺動手段に伝達し、剥離爪84を版胴12の回転と同期して揺動させる。
排紙搬送ユニット85は、図1において剥離爪84の下方であって切換部材10の左方に配設されている。排紙搬送ユニット85は、駆動ローラ87と、従動ローラ88と、無端ベルト89と、吸引ファン90と、図示しないユニット側板とを有している。
駆動ローラ87はころ状をなしており、ユニット側板に回転自在に支持された図示しない支軸に、図1または図2の紙面と垂直な方向に所定の間隔で複数取り付けられている。従動ローラ88はころ状をなしており、ユニット側板に回転自在に支持された図示しない支軸に各駆動ローラ87と等間隔で複数設けられている。各駆動ローラ87及びこれと対応する各従動ローラ88には無端ベルト89がそれぞれ掛け渡されている。
排紙駆動手段127は、各駆動ローラ87を一体的に回転駆動させ、各無端ベルト89を回転駆動させ、各従動ローラ88を回転駆動させる。
吸引ファン90は、駆動ローラ87、従動ローラ88、無端ベルト89の下方に配設されている。
排紙搬送ユニット85は、吸引ファン90の吸引力によって各無端ベルト89上に印刷済み用紙PBを吸引し、各駆動ローラ87の回転によって印刷済み用紙PBを図1の矢印方向に搬送する。
排紙トレイ86は、その上面に、排紙搬送ユニット85によって搬送された印刷済み用紙PBを積載する部材である。排紙トレイ86は、その上面に、積載する用紙の搬送方向に移動自在な1個のエンドフェンス91と、積載する用紙の幅方向に移動自在な一対のサイドフェンス92とを有している。
センサ66は、図1または図2示すように、排紙搬送ユニット85に配設されている。よってセンサ66は、用紙Pの搬送経路のうち、特に排紙経路に配設されている。したがって、センサ66は、排紙経路を通過する用紙Pの有無、特に排紙搬送ユニット85によって搬送される印刷済み用紙PBの有無を検知する。センサ66は、排紙搬送ユニット85による用紙搬送方向における、排紙搬送ユニット85の比較的上流側の位置に配設されている。
すでに述べたように、両面印刷装置1においては、排紙経路には、片面印刷時においても両面印刷時においても印刷済み用紙PBが搬送される。したがって、センサ66は、両面印刷時に排紙経路を通過する両面印刷済みの印刷済み用紙PB、片面印刷時に排紙経路を通過する片面印刷済みの印刷済み用紙PBの何れも検知するため、両面印刷時に排紙経路を通過する両面印刷済みの印刷済み用紙PBを検知する両面排紙用紙検知手段と、片面印刷時に排紙経路を通過する片面印刷済みの印刷済み用紙PBを検知する片面排紙用紙検知手段とを兼ねている。
センサ66は、無端ベルト89の内側に配設された発光素子66aと、発光素子66aから発せられ、印刷済み用紙PBを透過した光を受光する受光素子66bとを有する、周知の透過型センサである。センサ66は、図1または図2の紙面と垂直な方向における各無端ベルト89間の間隙部分に配設されている。
ここでかりに、センサ66が反射型センサであるとすると、センサ66が、用紙Pの印刷面側に位置する場合には特に、検知感度が低下して用紙Pの検出が良好に行われないことがある。しかし、本形態におけるセンサ66は、透過型センサであるため、印刷済み用紙PBが、片面にのみ印刷が行われたものである場合のみならず、両面に印刷が行われたものであっても、用紙Pの有無を良好に検知することができる。センサ66は、補助トレイ8上の用紙の有無に関する信号を、制御手段129に送るようになっている。
画像読取部7は、装置本体11の上部に配設されている。画像読取部7は、原稿を載置するコンタクトガラス93と、コンタクトガラス93に対して接離自在に設けられた圧板94と、原稿画像を走査して読み取るための反射ミラー95,96,97,98及び蛍光灯99と、走査された原稿画像からの光を集束させるレンズ100と、集束された光を受けるCCD等の画像センサ101と、原稿のサイズを検知する複数の原稿サイズ検知センサ102と、読み取られた画像データを記憶する画像メモリ135と、図5に示す読取駆動手段128とを有している。読取駆動手段128は、原稿画像の読取動作を行う。画像メモリ135に記録される画像データはデジタルデータであり、画像読取り部7で読み取った原稿に関する画像データのほか、ネットワーク接続等されたコンピュータ等の外部装置により作成された画像データであっても良い。
操作パネル103は、装置本体11の上部前面に配設されている。図4に示すように、操作パネル103は、その上面に製版スタートキー104と、印刷スタートキー105と、試し刷りキー106と、連続キー107と、クリア/ストップキー108と、テンキー109と、エンターキー110と、プログラムキー111と、モードクリアキー112と、印刷速度設定キー113と、4方向キー114と、用紙サイズ設定キー115と、用紙厚み設定キー116と、両面印刷キー117と、片面印刷キー118と、7セグメントLEDからなる表示装置119と、LCDからなる表示装置120とを有している。
製版スタートキー104は両面印刷装置1に製版動作を行わせる際に押下されるものである。製版スタートキー104が押下されると排版動作及び原稿読取動作が行われた後に製版動作が行われ、その後、版付け動作が行われて両面印刷装置1は印刷待機状態となる。
印刷スタートキー105は両面印刷装置1に印刷動作を行わせる際に押下されるものである。印刷スタートキー105が、両面印刷装置1が印刷待機状態となり各種印刷条件が設定された後に押下されると、印刷動作が行われる。
試し刷りキー106は両面印刷装置1に試し刷りを行わせる際に押下されるものである。試し刷りキー106が、各種条件が設定された後に押下されると、印刷が1枚だけ行われる。連続キー107は製版動作と印刷動作とを連続して行う際に製版スタートキー104の押下前に押下されるものである。連続キー107の押下後、印刷条件が入力された後に製版スタートキー104が押下されると、排版動作、原稿読取動作、製版動作に引き続いて印刷動作が行われる。
クリア/ストップキー108は両面印刷装置1の動作を停止させる際あるいは置数のクリア時に押下されるものである。テンキー109は、数値入力に用いられるものである。エンターキー110は各種設定時に数値等を設定する際に押下されるものである。プログラムキー111はよく行う操作を登録したりそれを呼び出したりする際に押下されるものである。モードクリアキー112は各種のモードをクリアして初期状態に戻す際に押下されるものである。
印刷速度設定キー113は印刷動作に先立って印刷速度を設定する際に押下されるものである。印刷速度設定キー113は、濃いめの画像を得たい場合あるいは雰囲気温度が低い場合等には印刷速度を遅く設定し、薄めの画像を得たい場合あるいは雰囲気温度が高い場合等には印刷速度を速く設定するものである。4方向キー114は上キー114a、下キー114b、左キー114c、右キー114dを有している。4方向キー114は、画像編集時に画像位置を調整する場合あるいは各種設定時に数値や項目等を選択する場合等に押下される。
用紙サイズ設定キー115は用紙サイズを任意で入力する際に押下されるものである。用紙サイズ設定キー115で入力された用紙サイズは用紙サイズ検知センサ73によって検知された用紙サイズに優先される。用紙厚み設定キー116は両面印刷に先立って用紙Pの厚みを入力する際に押下されるものである。用紙厚み設定キー116は、「普通紙」、「薄紙」、「厚紙」の3種類のうちの何れかを選択する構成となっている。
両面印刷キー117は両面印刷装置1に両面印刷動作を行わせる際に製版スタートキー104の押下前に押下されるものである。両面印刷キー117が押下されるとその近傍に配置されたLED117aが点灯してオペレータに両面印刷モードであることが表示される。また、両面印刷キー117が押下された際には、用紙厚み設定キー116によって使用する用紙Pの厚みを入力した後でないと製版スタートキー104の入力が拒否される。
片面印刷キー118は両面印刷キー117と同様に両面印刷装置1に片面印刷動作を行わせる際にスタートキー104の押下前に押下されるものである。片面印刷キー118が押下されるとその近傍に配置されたLED118aが点灯してオペレータに片面印刷モードであることが表示される。両面印刷装置1は初期状態時においてLED118aが点灯しており、片面印刷モードとなっている。
7セグメントLEDからなる表示装置119は、主に印刷枚数等の数字を表示する。
表示装置120はLCDからなっている。表示装置120は、階層表示構造となっており、その下方に設けられた選択設定キー120a,120b,120c,120dを押下することにより、変倍や位置調整等の様々なモードへの変更及び各モードでの設定が可能に構成されている。また表示装置120には、図示したように「製版・プリントできます」のような両面印刷装置1の状態が表示される他、製版あるいは排版ジャム、給紙あるいは排紙ジャム等のアラーム、印刷用紙、マスタ、インキ等のサプライの供給指示等も表示される。
図5に示すように、制御手段129は、CPU130と、ROM131と、RAM132とを有する周知のマイクロコンピュータである。制御手段129は、装置本体11の内部に設けられている。
CPU130は、操作パネル103からの各種信号及び装置本体11に設けられた各種センサからの検知信号及びROM131から呼び出された動作プログラムに基づいて、印刷部2、製版部3、給紙部4、排版部5、排紙部6、画像読取部7に設けられた各駆動手段、表示装置119,120への表示動作、印刷部に備えられたプレスローラ接離機構55の動作、再給紙手段9に備えられたソレノイド33及び搬送部材駆動モータ122の動作、切換部材10を作動させるソレノイド123の作動等を制御し、両面印刷装置1全体の動作を制御する。
ROM131には両面印刷装置1全体の動作プログラムが記憶されており、この動作プログラムはCPU130によって適宜呼び出される。RAM132は、CPU130の計算結果を一時的に記憶する機能、操作パネル103上の各種キー及び各種センサから設定及び入力されたデータ信号及びオン・オフ信号を随時記憶する機能等を有している。
また制御手段129は、ホームポジションセンサ134からのホームポジション信号と、エンコーダからの信号とに基づいて、版胴12の位置の把握も行っている。具体的には、メインモータの回転に相関したエンコーダからの回転パルス信号を用いて、版胴12の回転位相位置、言い換えると回転位相タイミングをリアルタイムで検知・認識している。これにより、制御手段129は版胴12の任意の位相角度にて位相タイミング信号を発生することが可能となっている。
制御手段129は、センサ65、センサ66からの、用紙Pの有無に関する信号に基づいて、用紙Pのジャムを検出するようになっている。
すなわち、センサ65に関し、制御手段129は、両面印刷時に、用紙Pのジャムが生じないとすれば、用紙Pがセンサ65によって検知されるべきタイミングから、用紙Pがセンサ65によって検知される位置を通過すべきタイミングまでの間の所定のタイミングに、センサ65から、用紙Pを検出した旨の信号を受けなかったときには、用紙Pのジャムが給紙経路内で生じていることを検出する。
具体的には、制御手段129は、両面印刷時に、用紙Pのジャムが生じないとすれば、用紙Pが補助トレイ8上に積載されるタイミング(図6(T5、T17,T28))から、用紙Pが再給紙レジストローラ23によって版胴12に向けて搬送されその後端がセンサ65の配設位置を通過するまでの間の所定のタイミングに、センサ65から、用紙Pを検出した旨の信号を受けなかったときには、用紙Pのジャムが給紙経路内で生じていることを検出する。
またセンサ65に関し、制御手段129は、両面印刷時に、用紙Pのジャムが生じないとすれば、用紙Pがセンサ65によって検知される位置を通過すべきタイミング以後の所定のタイミングに、センサ65から、用紙Pを検出した旨の信号を受けたときには、用紙Pのジャムが搬送経路内で生じていることを検出する。
具体的には、制御手段129は、両面印刷時に、用紙Pのジャムが生じないとすれば、補助トレイ8上に積載された用紙Pが再給紙レジストローラ23によって版胴12に向けて搬送されるタイミング以降であって、次の用紙Pが補助トレイ8上に積載されるまでのタイミングに、センサ65から、用紙Pを検出した旨すなわち用紙Pが補助トレイ8上に積載されている旨の信号を受けたときには、用紙Pのジャムが搬送経路内で生じていることを検出する。
センサ66に関し、制御手段129は、両面印刷時に、用紙Pのジャムが生じないとすれば、用紙Pがセンサ66によって検知されるべきタイミングから、用紙Pがセンサ66によって検知される位置を通過すべきタイミングまでの間の所定のタイミングに、センサ66から、用紙Pを検出した旨の信号を受けなかったときには、用紙Pのジャムが搬送経路内で生じていることを検出する。
具体的には、制御手段129は、両面印刷時に、用紙Pのジャムが生じないとすれば、用紙Pが排紙搬送ユニット85によって搬送されその先端がセンサ66によって検知され始めるタイミングから、用紙Pが排紙搬送ユニット85によってさらに搬送されその後端がセンサ66の配設位置を通過するまでの間の所定のタイミングに、センサ66から、用紙Pを検出した旨の信号を受けなかったときには、用紙Pのジャムが搬送経路内で生じていることを検出する。
またセンサ66に関し、制御手段129は、両面印刷時に、用紙Pのジャムが生じないとすれば、用紙Pがセンサ66によって検知される位置を通過すべきタイミング以後の所定のタイミングに、センサ66から、用紙Pを検出した旨の信号を受けたときには、用紙Pのジャムが搬送経路内で生じていることを検出する。
具体的には、制御手段129は、両面印刷時に、用紙Pのジャムが生じないとすれば、用紙Pが排紙搬送ユニット85によって搬送されその後端がセンサ66の配設位置を通過するタイミング以降のタイミングに、センサ66から、用紙Pを検出した旨すなわち用紙Pがいまだに排紙搬送ユニット85によって搬送されつつある旨の信号を受けたときには、用紙Pのジャムが搬送経路内で生じていることを検出する。
また、センサ66に関し、制御手段129は、図6に示すように、片面印刷時にも、上記両面印刷時と同様の制御を行う。ただし、両面印刷時と片面印刷時とでは、印刷済みの用紙PBが、給紙部4から給送された後、排紙搬送ユニット85によって搬送されるまでの時間が異なるため、ジャムの検出を行うための、センサ66による、排紙経路を通過する用紙Pの有無の検知のタイミングは、図6に示すように、両面印刷時と片面印刷時とでは異なる。
また、センサ65、センサ66に関し、制御手段129は、後述する版付け時、試し刷り時、印刷時において同様の制御を行う。ただし、版付け時、試し刷り時、印刷時等において、版胴12の回転速度が異なる場合があったり、両面印刷時における、版付け時、試し刷り時において、片面にしか印刷を行われず再給紙経路を経ない用紙Pが生じたりするため、制御手段129は、センサ65、センサ66からの信号に基づくジャム発生の検出タイミングをこれらの各々の場合に応じて適宜異なるタイミングで行う。
さらに、用紙Pのサイズは一定でなく、制御手段129は、用紙サイズ設定キー115からの入力や用紙サイズ検知センサ73からの信号により用紙サイズを認識するため、制御手段129は、センサ65、センサ66からの信号に基づくジャム発生の検出タイミングを、認識した用紙サイズに応じて適宜異なるタイミングで行う。
制御手段129による、これらジャム検出態様のうちその一部については、次に述べる両面印刷装置1の動作の説明において併せて、図2及び図6以下の各図を参照しつつ説明する。
上述の構成に基づき、以下に両面印刷装置1の動作を説明する。
オペレータは給紙トレイ67上に印刷に使用される用紙Pを積載し、圧板94を開放してコンタクトガラス93上に印刷すべき原稿を載置した後、再び圧板94を閉じる。その後、操作パネル103上の各種キーによって製版条件を設定した後、両面印刷キー117あるいは片面印刷キー118を押下して印刷モードを設定して製版スタートキー104を押下する。
先ず、片面印刷キー118を押下して片面印刷を行う場合すなわち片面印刷時の動作を説明する。
オペレータは片面印刷モードであることをLED118aの点灯によって確認した後、製版スタートキー104を押下する。製版スタートキー104が押下されると、用紙サイズ検知センサ73から用紙サイズ検知信号が、また原稿サイズ検知センサ102から原稿サイズ検知信号がそれぞれ制御手段129に送られ、信号を受けた制御手段129は各信号を比較する。このとき、用紙サイズと原稿サイズとが同じ場合は直ちに画像読取動作が行われ、用紙サイズと原稿サイズとが異なる場合には、制御手段129はその旨を表示装置120に表示してオペレータに注意を促す。用紙サイズと原稿サイズとが異なる場合に、制御手段129からの指令で自動的に拡大または縮小の変倍を行い、原稿サイズと画像サイズとを整合させるように構成してもよい。
製版スタートキー104が押下されると、画像読取部7では原稿画像の読取動作が行われる。原稿画像の読み取りは、蛍光灯99によって露光された反射光を各反射ミラー95,96,97,98によって反射することにより行われ、読み取られた原稿画像はレンズ100で集束された後に画像センサ101に入射されて光電変換される。光電変換された電気信号は装置本体11内の図示しないA/D変換器に入力された後、画像メモリ135内に画像データ信号として格納される。
画像読取部7での画像読取動作と並行して、排版部5では版胴12の外周面から使用済みのマスタ64を剥離する排版動作が行われる。製版スタートキー104が押下されると版胴12が回転を開始し、版胴12が図1に示すホームポジションに達するとドグ133がホームポジションセンサ134に検知され、ホームポジションセンサ134から制御手段129に向けてホームポジション信号が送られる。ホームポジション信号を受けた制御手段129は、このホームポジションを基点としてエンコーダが発するパルス数を計測し、版胴12の外周面上に巻装された使用済みのマスタ64の先端が従動ローラ82の外周面上に位置する無端ベルト83と対応する所定の排版位置に達したと判断すると、版胴駆動手段121の作動を停止させる。
版胴駆動手段121が停止されて版胴12が所定の排版位置で停止すると、版胴駆動手段121及び排版駆動手段126が作動して各駆動ローラ78,81が回転駆動されると共に下排版部材75が版胴12側に移動し、従動ローラ82の外周面上に位置する無端ベルト83が版胴12上の使用済みのマスタ64と当接する。すると、版胴12の回転及び無端ベルト83の移動によって版胴12の外周面上よりすくい上げられた使用済みのマスタ64は、下排版部材75と上排版部材74とで挟持搬送されて版胴12の外周面より剥離される。剥離された使用済みのマスタ64は排版ボックス76内に廃棄された後、圧縮板77によって圧縮される。
版胴12は外周面上より使用済みのマスタ64が全て剥離された後も回転を継続し、クランパ19bが右上方に位置する所定の給版待機位置まで回転して停止する。版胴12が給版待機位置で停止すると開閉手段が作動してクランパ19bが開放され、両面印刷装置1は給版待機状態となる。
排版動作と並行して、製版部3では製版動作が行われる。製版スタートキー104が押下されると、プラテンローラ58、テンションローラ対62、反転ローラ対63がそれぞれ回転駆動されてマスタロール64aよりマスタ64が引き出される。このとき可動マスタガイド板は搬送位置に位置決めされている。マスタ64が引き出されてその画像形成領域がサーマルヘッド59の発熱素子と対応する位置に達すると、画像メモリ135内に格納されている画像データ信号が画像処理を施された後に呼び出され、サーマルヘッドドライバがサーマルヘッド59の各発熱素子を選択的に発熱させることにより、マスタ64の熱可塑性樹脂フィルム面に第3製版画像が形成される。マスタ64は製版されつつ搬送されその先端部が反転ローラ対63に挟持されると、可動マスタガイド板が退避位置に移動されると共に反転ローラ対63の回転が停止される。
反転ローラ対63の回転停止後もプラテンローラ58及びテンションローラ対62は回転を継続しており、サーマルヘッド59によって製版された製版済みのマスタ64はマスタストック部61内に貯容される。反転ローラ対63の停止時において吸引ファンが作動されており、製版済みのマスタ64は吸引ファンに吸引されることによって良好にマスタストック部61内に貯容される。
上述の製版動作中、排版動作が完了して両面印刷装置1が給版待機状態となると、反転ローラ対63が回転を開始して、マスタストック部61内に貯容されている製版済みのマスタ64が、ステージ部19aと開放されているクランパ19bとの間に向けて搬送される。製版済みのマスタ64の先端部がクランパ19bによって挟持可能な所定位置まで搬送されると、開閉手段が作動してクランパ19bが閉じられ、製版済みのマスタ64は、その先端部をステージ部19aとクランパ19bとによって版胴12の外周面上に保持される。
その後、版胴12が図1において時計回り方向に間欠的に回転駆動され、製版済みのマスタ64の版胴12への巻装動作が行われる。このとき反転ローラ対63は回転を停止しており、駆動ローラ63aは内部に設けられたワンウェイクラッチによって通常の製版済みマスタ64の引き出しに伴い連れ回りする。
画像メモリ135からの画像データ信号が途絶えるとサーマルヘッド59の作動が停止し、1版分の通常の製版済みマスタ64が製版搬送されるとプラテンローラ58、テンションローラ対62、反転ローラ対63の回転がそれぞれ停止されると共に切断手段60が作動して製版済みのマスタ64が切断される。切断された製版済みのマスタ64は版胴12の回転によって製版部3より引き出され、版胴12がホームポジションまで回転して停止することで製版動作及び給版動作が完了する。
給版動作に引き続き版付け動作が行われる。版胴12がホームポジションで停止するとソレノイド123が作動して切換部材10が第1の位置に位置決めされる。
その後、給紙ローラ68、分離ローラ69、駆動ローラ87、吸引ファン90がそれぞれ駆動されると共に版胴12が低速で図1の時計回り方向に回転駆動され、給紙トレイ67上に積載された用紙Pの最上位の1枚が引き出されてその先端をレジストローラ対71に挟持される。版胴12上に巻装された製版済みのマスタ64の、版胴回転方向における第3製版画像の画像領域先端部が、プレスローラ13と対応する位置に到達する所定のタイミングで、駆動ローラ71aが回転駆動され、引き出された用紙Pは版胴12とプレスローラ13との間に向けて給送される。
版胴12の回転に同期して、プレスローラ接離機構55により、プレスローラ13がその周面を版胴12の外周面に圧接され、レジストローラ対71によって給送された用紙Pが版胴12に巻装された製版済みのマスタ64に押圧される(図6(T1))。この押圧動作によりプレスローラ13と用紙Pと製版済みのマスタ64と版胴12とが圧接され、インキローラ16によって版胴12の内周面に供給されたインキが版胴12の開口部より滲出し、多孔性支持板及びメッシュスクリーン、及び版胴12に巻装された製版済みマスタの64の多孔性支持体に充填された後に製版済みのマスタ64の穿孔部を介して用紙Pに転写され、いわゆる版付けが行われる。
版付けにより第3製版画像に応じた画像を印刷されている用紙Pは、印刷済み用紙PBとなって第1の位置を占めた切換部材10により排紙搬送ユニット85へと案内されると共に、剥離爪84によってその先端部から版胴外周面上の通常の製版済みマスタ64より剥離され、図7に示すように、排紙搬送ユニット85によって搬送される。
この際、センサ66により、排紙搬送ユニット85によって搬送されている印刷済み用紙PBの有無が検知され(図6(T2))、この旨の信号が制御手段129に送られ、制御手段129はこの信号に基づいてジャムが生じているか否かを判断する。すなわち制御手段129は、センサ66が、用紙Pがある旨の信号を送ってきたときにはジャムが生じていないと判断し、用紙Pがない旨の信号を送ってきたときはジャムが生じていると判断する。制御手段129は、ジャムが生じていることを検出したときには、表示装置120にジャムが生じている旨のエラー表示を行わせるとともに、プレスローラ接離機構55により、プレスローラ13を離間位置に変位させ、さらに両面印刷装置1全体の動作を停止させる。
制御手段129は、ジャムが生じていないことを検出したときには両面印刷装置1の動作を継続させる。
剥離爪84によってその先端部から版胴外周面上の通常の製版済みマスタ64より剥離された印刷済み用紙PBは下方へと落下して排紙搬送ユニット85へと送られ、図8に示すように、吸引ファン90の吸引力によって無端ベルト89の上面に引きつけられつつ左方へと搬送されて排紙トレイ86上に排出される。印刷済み用紙PBが第3製版画像に応じた画像を印刷されるとプレスローラ13は離間位置を占める(図6(T7))。
その後、版胴12が再びホームポジションまで回転して停止し、版付け動作を終えて両面印刷装置1は印刷待機状態となる。
この際、センサ66により、排紙搬送ユニット85によって搬送されている印刷済み用紙PBの有無が検知され(図6(T8))、この旨の信号が制御手段129に送られ、制御手段129はこの信号に基づいてジャムが生じているか否かを判断する。すなわち制御手段129は、センサ66が、用紙Pがない旨の信号を送ってきたときにはジャムが生じていないと判断し、用紙Pがある旨の信号を送ってきたときはジャムが生じていると判断する。制御手段129は、ジャムが生じていることを検出したときには、表示装置120にジャムが生じている旨のエラー表示を行わせるとともに、両面印刷装置1全体の動作を停止させる。
制御手段129は、ジャムが生じていないことを検出したときには両面印刷装置1の動作を継続させる。
両面印刷装置1が印刷待機状態となった後、印刷速度設定キー113及び操作パネル103上の各種キーによって印刷条件を入力した後に試し刷りキー106が押下されると試し刷りが行われる。試し刷りキー106が押下されると、設定された印刷速度で版胴12が回転駆動されると共に給紙部4から用紙Pが1枚給送される。給送された用紙Pはレジストローラ対71で一時停留された後に版付け時と同じタイミングで給送され、プレスローラ13によって版胴外周面上の製版済みのマスタ64に圧接される(図6(T1))。画像を印刷されている印刷済み用紙PBは、切換部材10によって排紙部6へと案内された後、剥離爪84によって版胴外周面上の通常の製版済みマスタ64より剥離され、図7に示すように、排紙搬送ユニット85により搬送されて排紙トレイ86上に排出される。
この際、センサ66により、排紙搬送ユニット85によって搬送されている印刷済み用紙PBの有無が検知され(図6(T2))、この旨の信号が制御手段129に送られ、制御手段129はこの信号に基づいてジャムが生じているか否かを判断する。すなわち制御手段129は、センサ66が、用紙Pがある旨の信号を送ってきたときにはジャムが生じていないと判断し、用紙Pがない旨の信号を送ってきたときはジャムが生じていると判断する。制御手段129は、ジャムが生じていることを検出したときには、表示装置120にジャムが生じている旨のエラー表示を行わせるとともに、プレスローラ接離機構55により、プレスローラ13を離間位置に変位させ、さらに両面印刷装置1全体の動作を停止させる。
制御手段129は、ジャムが生じていないことを検出したときには両面印刷装置1の動作を継続させる。
剥離爪84によってその先端部から版胴外周面上の通常の製版済みマスタ64より剥離された印刷済み用紙PBは下方へと落下して排紙搬送ユニット85へと送られ、図8に示すように、吸引ファン90の吸引力によって無端ベルト89の上面に引きつけられつつ左方へと搬送されて排紙トレイ86上に排出される。印刷済み用紙PBが第3製版画像に応じた画像を印刷されるとプレスローラ13は離間位置を占める(図6(T7))。
その後、版胴12が再びホームポジションまで回転して停止し、版付け動作を終えて両面印刷装置1は印刷待機状態となる。
この際、センサ66により、排紙搬送ユニット85によって搬送されている印刷済み用紙PBの有無が検知され(図6(T8))、この旨の信号が制御手段129に送られ、制御手段129はこの信号に基づいてジャムが生じているか否かを判断する。すなわち制御手段129は、センサ66が、用紙Pがない旨の信号を送ってきたときにはジャムが生じていないと判断し、用紙Pがある旨の信号を送ってきたときはジャムが生じていると判断する。制御手段129は、ジャムが生じていることを検出したときには、表示装置120にジャムが生じている旨のエラー表示を行わせるとともに、両面印刷装置1全体の動作を停止させる。
制御手段129は、ジャムが生じていないことを検出したときには両面印刷装置1の動作を継続させる。
試し刷りにより画像の位置あるいは濃度等が確認され、テンキー109によって印刷枚数が入力された後に印刷スタートキー105が押下されると、給紙部4から用紙Pが連続的に給送され、試し刷りと同条件で印刷動作が行われる。センサ66による用紙Pの検知に基づく制御手段129によるジャムの検出も図6(T2)、(T8)を参照して上述したタイミングで繰り返し行われる。そして、設定された印刷枚数が消化されると版胴12がホームポジションで停止し、両面印刷装置1は再び印刷待機状態となる。
次に、両面印刷キー117を押下して両面印刷を行う場合すなわち両面印刷時の動作を説明する。
オペレータは両面印刷モードであることをLED117aの点灯によって確認した後、用紙厚み設定キー116を押下して使用する用紙Pの厚みを設定する。この両面印刷モードでは、用紙厚み設定キー116が押下されない場合には製版スタートキー104の入力を拒否し、用紙厚み設定キー116が押下されずに製版スタートキー104が押下された場合には、制御手段129は用紙の厚みを設定して下さいという旨の表示を表示装置120に表示させる。
本実施例において、用紙厚み設定キー116によって設定された用紙Pの厚みが「普通紙」あるいは「薄紙」の場合には製版スタートキー104の入力が許容され、「厚紙」が設定された場合には用紙Pの搬送ジャムを防止するために製版スタートキー104の入力が拒否されると共に、制御手段129は表示装置120に正しい用紙をセットして下さいという旨の警告を表示させる。
給紙トレイ67上に「普通紙」あるいは「薄紙」である用紙Pがセットされ、用紙Pに基づいた用紙厚みが用紙厚み設定キー116によって設定された後に製版スタートキー104が押下されると、片面印刷時と同様に各センサ73,102から用紙サイズ検知信号及び原稿サイズ検知信号がそれぞれ制御手段129に送られ、制御手段129は入力された各信号を比較する。本実施例では、版胴12で印刷可能な最大用紙サイズがA3サイズであるため、両面印刷時において使用可能な用紙サイズはA4横置きまでである。
原稿サイズと用紙サイズとを比較した結果、両サイズが同じ場合には直ちに画像読取動作が行われ、両サイズが異なる場合には、制御手段129はその旨を表示装置120に警告として表示してオペレータに注意を促す。用紙サイズと原稿サイズとが異なる場合に、制御手段129からの指令で自動的に拡大または縮小の変倍を行って原稿サイズと画像サイズとを整合させる構成、表示装置120に縮小や画像データの回転等の手順を表示してオペレータの操作の手助けを行う構成としてもよい。また、用紙サイズがA4横置きを超える大きさの場合には、制御手段129は両面印刷を禁止して片面印刷を促す旨を表示装置120に表示させてもよい。
製版スタートキー104が押下されると、画像読取部7では片面印刷時と同様に1枚目の原稿画像が読み取られる。読み取られた原稿画像は画像メモリ135内に1枚目の画像データ信号として格納される。1枚目の原稿の読取動作が完了して画像データ信号が画像メモリ135内に格納されると、制御手段129は表示装置120に2枚目の原稿をセットして下さいという旨の表示を行わせる。
オペレータはこの表示に従って圧板94を開放してコンタクトガラス93上より1枚目の原稿を取り除き、2枚目の原稿を載置して再び圧板94を閉じる。圧板94が閉じられたことを図示しないセンサが検知し、コンタクトガラス93上に原稿があることを他の図示しないセンサが検知すると、1枚目と同様に2枚目の原稿の読取動作が行われる。読み取られた原稿画像は画像メモリ135内に2枚目の画像データ信号として格納される。
なお、本実施例において、片面印刷モード時及び両面印刷モード時における原稿の読取動作はオペレータが圧板94を開閉してコンタクトガラス93上に読み取られる原稿をセットする構成としたが、ADFを用いて自動的に原稿をコンタクトガラス93上に搬送する構成、あるいは図示しない外部装置から画像データを取り込む構成としてもよい。また、両面印刷モード時において1枚の原稿を反転させて搬送し、その表面及び裏面から2枚分の画像データを取得する構成としてもよい。
画像読取部7での画像読取動作と並行して、排版部5では片面印刷時と同様に排版動作が行われる。外周面上より使用済みのマスタ64を剥離された版胴12は給版待機位置で停止し、開閉手段によってクランパ19bが開放される。また、この排版動作と並行して製版部3では製版動作が行われる。製版動作は片面印刷モード時と同様の手順で行われるが、マスタ64にはその熱可塑性樹脂フィルム面に第1製版画像と第2製版画像とが形成される。
分割製版済みのマスタ64はマスタストック部61内に貯容され、排版動作が完了して両面印刷装置1が給版待機状態となると、反転ローラ対63の作動によってステージ部19aと開放されているクランパ19bとの間に向けて搬送される。その後、版胴12が片面印刷モード時と同様に間欠回転され、分割製版済みのマスタ64の版胴12への巻装が行われる。
画像メモリ135から2枚分の画像データが全て送られると、切断手段60が作動して分割製版済みのマスタ64が切断される。切断された分割製版済みのマスタ64は版胴12の回転によって製版部3より引き出され、版胴12がホームポジションで停止して製版動作及び給版動作が完了する。
給版動作に引き続き版付け動作が行われる。版胴12がホームポジションで停止すると、給紙ローラ68、分離ローラ69、各駆動ローラ36,87、各吸引ファン39,90がそれぞれ駆動されると共に版胴12が低速で図1の時計回り方向に回転駆動され、給紙トレイ67上から1枚目の用紙Pが引き出されてその先端がレジストローラ対71に挟持される。クランパ19bが切換部材10と対応する位置を通過するとソレノイド123が作動して切換部材10が第2の位置に位置決めさる。版胴12上に巻装された分割製版済みのマスタ64の、版胴回転方向における第1製版画像の画像領域先端部が、プレスローラ13と対応する位置に到達する所定のタイミングで、駆動ローラ71aが回転駆動されることで、引き出された1枚目の用紙Pは版胴12とプレスローラ13との間に向けて給送される。
版胴12の回転に同期して、プレスローラ接離機構55により、プレスローラ13がその周面を版胴12の外周面に圧接される(図6(T1))。これによりプレスローラ13と、レジストローラ対71によって給送された1枚目の用紙Pと分割製版済みのマスタ64の第1製版画像形成部と版胴12とが圧接し、インキローラ16によって版胴12の内周面に供給されたインキが版胴12の開口部より滲出し、多孔性支持板及びメッシュスクリーン、及び分割製版済みのマスタ64の多孔性支持体に充填された後に第1製版画像の穿孔部を介して1枚目の用紙Pに転写され、分割製版済みのマスタ64のうちの第1製版画像が形成された部分の版付けが行われる。
版付けにより第1製版画像に応じた画像をその表面に印刷され表面印刷済み用紙PAとなった1枚目の用紙Pは、切換部材10の先端によってその一端から版胴外周面上の分割製版済みのマスタ64から剥離されつつ、第2の位置を占めた切換部材10によって再給紙手段9へと案内される。
1枚目の用紙Pが再給紙手段9に案内されている間も版胴12は回転を継続しており、プレスローラ13は、プレスローラ接離機構55により、分割製版済みのマスタ64の第1製版画像形成部との接触を終えると離間位置を占める(図6(T3))。よって、プレスローラ接離機構55の働きにより、用紙Pが存在しない状態で版胴12の裏面領域とプレスローラ13とが圧接することがなく、プレスローラ13の周面へのインキの転移を防止される。
図9に示すように、切換部材10によって下方へと導かれた表面印刷済み用紙PAは、各ガイド板27,56間を通り、その後、その一端をエンドフェンス8aに当接させ、分割製版済みのマスタ64の空白部がプレスローラ13との対向領域を通過し(図6(T4))、第2製版画像形成部がプレスローラ13との対向領域を通過している途中で、図12、図13に示すように、補助トレイ8上に載置される(図6(T5))。なお、この状態では、図12、図13に示す印刷済み用紙PBはない。
補助トレイ8上に搬送された表面印刷済み用紙PAは、吸引ファン39の吸引力によって無端ベルト38に保持されつつ図1の矢印方向に搬送され、図2に示すように、その他端すなわち第1製版画像の印刷時における後端を再給紙位置決め部材24に当接される。なお、この状態では、図2に示す印刷済み用紙PBはない。このときセンサ8cが表面印刷済み用紙PAの他端を検知し、センサ8cからの検知信号が制御手段129へ向けて出力されることにより、制御手段129から指令が送られて駆動ローラ36及び吸引ファン39の作動が停止される。
その後、分割製版済みのマスタ64の第2製版画像形成部がプレスローラ13との対向領域を通過し終えるまで(図6(T7))の間に、センサ65により、補助トレイ8上の表面印刷済み用紙PAの有無が検知され(図6(T6))、この旨の信号が制御手段129に送られ、制御手段129はこの信号に基づいてジャムが生じているか否かを判断する。すなわち制御手段129は、センサ65が、用紙Pがある旨の信号を送ってきたときにはジャムが生じていないと判断し、用紙Pがない旨の信号を送ってきたときはジャムが生じていると判断する。制御手段129は、ジャムが生じていることを検出したときには、表示装置120にジャムが生じている旨のエラー表示を行わせるとともに、両面印刷装置1全体の動作を停止させる。
制御手段120は、ジャムが生じていないことを検出したときには両面印刷装置1の動作を継続させる。
表面印刷済み用紙PAを再給紙位置決め部材24に当接させる動作とほぼ同時に給紙ローラ68及び分離ローラ69が駆動され、給紙トレイ67上から2枚目の用紙Pが引き出されてその先端をレジストローラ対71に挟持される。そして、上述と同様の所定のタイミングで駆動ローラ71aが回転駆動され、引き出された2枚目の用紙Pは版胴12とプレスローラ13との間に向けて給送される。
このとき、版胴12は、分割製版済みのマスタ64の第1製版画像形成部、第2製版画像形成部、及び空白部以外の部位である非開孔部がプレスローラ13と対向する位置を占めている。また、分割製版済みのマスタ64の第1製版画像形成部がプレスローラ13との対向部を通過し、クランパ19bが再び切換部材10と対応する位置を占めるまでの間にソレノイド123が作動され、切換部材10が第2の位置から第1の位置に変位される。
2枚目の用紙Pがレジストローラ対71によって給送される所定のタイミングにおいて、プレスローラ接離機構55が、プレスローラ13の周面を版胴12の外周面に圧接させる(図6(T9))。これによりプレスローラ13と2枚目の用紙Pと分割製版済みのマスタ64の第1製版画像形成部と版胴12とが圧接し、インキローラ16によって版胴12の内周面に供給されたインキが版胴12の開口部、多孔性支持板及びメッシュスクリーン、第1製版画像の穿孔部を介して2枚目の用紙Pに転写される。
第1製版画像に応じた画像を印刷され印刷済み用紙PBとなった2枚目の用紙Pは、第1の位置を占めた切換部材10によって排紙搬送ユニット85へと案内されると共に、剥離爪84によってその一端から版胴外周面上の分割製版済みのマスタ64より剥離される。剥離された印刷済み用紙PBは下方へと落下して排紙搬送ユニット85へと送られた後に、図2に示すように、排紙搬送ユニット85により搬送される。
この際、センサ66により、排紙搬送ユニット85によって搬送されている印刷済み用紙PBの有無が検知され(図6(T10))、この旨の信号が制御手段129に送られ、制御手段129はこの信号に基づいてジャムが生じているか否かを判断する。すなわち制御手段129は、センサ66が、用紙Pがある旨の信号を送ってきたときにはジャムが生じていないと判断し、用紙Pがない旨の信号を送ってきたときはジャムが生じていると判断する。制御手段129は、ジャムが生じていることを検出したときには、表示装置120にジャムが生じている旨のエラー表示を行わせるとともに、プレスローラ接離機構55により、プレスローラ13を離間位置に変位させ、さらに両面印刷装置1全体の動作を停止させる。
制御手段129は、ジャムが生じていないことを検出したときには両面印刷装置1の動作を継続させる。
レジストローラ対71によって2枚目の用紙Pが給送された後、分割製版済みのマスタ64の版胴回転方向における、第2製版画像の画像領域先端部が、プレスローラ13と対応する位置に到達するよりもやや早いタイミングである所定のタイミングで、ソレノイド33が作動され、揺動アーム32が揺動される。これにより再給紙レジストローラ23が離間位置から圧接位置に揺動され、他端を再給紙位置決め部材24に当接させた状態で停留されていた表面印刷済み用紙PAが版胴12と当接して従動回転しているプレスローラ13の周面に当接される(図6(T11))。
再給紙レジストローラ23によりプレスローラ13の周面に当接された表面印刷済み用紙PAは、図10,図11に示す表面印刷済み用紙PA1のように、プレスローラ13の回転力によってその回転方向下流側へと搬送され、用紙ガイド板31及び各ローラ28,29,30によってプレスローラ13の周面に密着した状態で版胴12との当接部に向けて搬送される。なお、この状態では、図10,図11に示す表面印刷済み用紙PA2はない。
このとき表面印刷済み用紙PAの表面には第1製版画像に応じた画像が印刷されているが、再給紙案内部材の働きによって表面印刷済み用紙PAがプレスローラ13の周面に密着されているので、一度プレスローラ13の周面に接触した表面印刷済み用紙PAがずれることがなく、擦れ汚れあるいは画線の太りといった不具合の発生が防止される。
一方、印刷済み用紙PBは排紙搬送ユニット85によって左方へと搬送されて排紙トレイ86上に排出される。印刷済み用紙PBが第1製版画像に応じた画像を印刷されるとプレスローラ13は離間位置を占める(図6(T12))。
表面印刷済み用紙PAは、分割製版済みのマスタ64の第1製版画像形成部及び空白部がプレスローラ13と対応する位置を通過した後、裏面領域の先端部がプレスローラ13と対応する位置に到達するタイミングで版胴12とプレスローラ13との当接部に送り込まれる。
これによりプレスローラ13と表面印刷済み用紙PAと分割製版済みのマスタ64の第2製版画像形成部と版胴12とが圧接し(図6(T13))、インキローラ16によって版胴12の内周面に供給されたインキが版胴12の開口部、多孔性支持板及びメッシュスクリーン、第2製版画像の穿孔部を介して表面印刷済み用紙PAの裏面に転写され、分割製版済みのマスタ64のうちの第2製版画像が形成された部分の版付けが行われる。
第1製版画像に応じた画像を表面に、第2製版画像に応じた画像を裏面にそれぞれ印刷され印刷済み用紙PBとなった1枚目の用紙Pは、第1の位置を占めた切換部材10によって排紙搬送ユニット85へと案内されると共に、剥離爪84によってその一端から版胴外周面上の分割製版済みのマスタ64より剥離される。剥離された印刷済み用紙PBは下方へと落下して、図12に示すように、排紙搬送ユニット85へと送られる。なお、この状態では、図12に示す表面印刷済み用紙PA2はない。
図12に示すように、排紙搬送ユニット85へと送られた2枚目の用紙Pである印刷済み用紙PBは、図8に示すように、吸引ファン90の吸引力によって無端ベルト89の上面に引きつけられつつ左方へと搬送される。なお、この状態では、図12に示す表面印刷済み用紙PA2はない。
この際、センサ66により、排紙搬送ユニット85によって搬送されている印刷済み用紙PBの有無が検知され(図6(T14))、この旨の信号が制御手段129に送られ、制御手段129はこの信号に基づいてジャムが生じているか否かを判断する。すなわち制御手段129は、センサ66が、用紙Pがない旨の信号を送ってきたときにはジャムが生じていないと判断し、用紙Pがある旨の信号を送ってきたときはジャムが生じていると判断する。制御手段129は、ジャムが生じていることを検出したときには、表示装置120にジャムが生じている旨のエラー表示を行わせるとともに、プレスローラ接離機構55により、プレスローラ13を離間位置に変位させ、さらに両面印刷装置1全体の動作を停止させる。
制御手段129は、ジャムが生じていないことを検出したときには両面印刷装置1の動作を継続させる。
一方、第1製版画像に応じた画像を表面に、第2製版画像に応じた画像を裏面にそれぞれ印刷され印刷済み用紙PBとなった1枚目の用紙Pは、再給紙レジストローラ23によりプレスローラ13の周面に当接されてプレスローラ13の回転力によって搬送されるが、図12に示すように、印刷済み用紙PBの後端が、センサ65の配設位置を通過したタイミングで、センサ65により、補助トレイ8上の用紙Aの有無が検知され(図6(T15))、この旨の信号が制御手段129に送られ、制御手段129はこの信号に基づいてジャムが生じているか否かを判断する。なお、この状態では、図12に示す表面印刷済み用紙PA2はない。
制御手段129は、センサ65が、用紙Pがある旨の信号を送ってきたときにはジャムが生じていると判断し、用紙Pがない旨の信号を送ってきたときはジャムが生じていないと判断する。制御手段129は、ジャムが生じていることを検出したときには、表示装置120にジャムが生じている旨のエラー表示を行わせるとともに、両面印刷装置1全体の動作を停止させる。
制御手段120は、ジャムが生じていないことを検出したときには両面印刷装置1の動作を継続させる。
図12に示すように、印刷済み用紙PBの後端が、センサ65の配設位置を通過すると、ソレノイド33が停止されて、図13に示すように、再給紙レジストローラ23が圧接位置から離間位置へと変位される(図6(T16))。なお、この状態では、図12、図13に示す表面印刷済み用紙PA2はない。
この後、センサ66により、排紙搬送ユニット85によって搬送されている印刷済み用紙PBの有無が検知され(図6(T18))、この旨の信号が制御手段129に送られ、制御手段129はこの信号に基づいてジャムが生じているか否かを判断する。すなわち制御手段129は、センサ66が、用紙Pがある旨の信号を送ってきたときにはジャムが生じていないと判断し、用紙Pがない旨の信号を送ってきたときはジャムが生じていると判断する。制御手段129は、ジャムが生じていることを検出したときには、表示装置120にジャムが生じている旨のエラー表示を行わせるとともに、プレスローラ接離機構55により、プレスローラ13を離間位置に変位させ、さらに両面印刷装置1全体の動作を停止させる。
制御手段129は、ジャムが生じていないことを検出したときには両面印刷装置1の動作を継続させる。なお、この状態では、図13に示す表面印刷済み用紙PA2はない。
排紙搬送ユニット85へと送られた印刷済み用紙PBは、図8に示すように、さらに搬送され、吸引ファン90の吸引力によって無端ベルト89の上面に引きつけられつつ左方へと搬送される。
印刷済み用紙PBが第2製版画像に応じた画像を印刷されるとプレスローラ13は離間位置を占める(図6(T20))。
印刷済み用紙PBはさらに搬送されて排紙トレイ86上に排出される。
この後、センサ66により、排紙搬送ユニット85によって搬送されている印刷済み用紙PBの有無が検知され(図6(T21))、この旨の信号が制御手段129に送られ、制御手段129はこの信号に基づいてジャムが生じているか否かを判断する。すなわち制御手段129は、センサ66が、用紙Pがない旨の信号を送ってきたときにはジャムが生じていないと判断し、用紙Pがある旨の信号を送ってきたときはジャムが生じていると判断する。制御手段129は、ジャムが生じていることを検出したときには、表示装置120にジャムが生じている旨のエラー表示を行わせるとともに、両面印刷装置1全体の動作を停止させる。
制御手段129は、ジャムが生じていないことを検出したときには両面印刷装置1の動作を継続させ、版胴12が再びホームポジションまで回転して停止する。これにより分割製版済みのマスタ64の版付け動作が完了して両面印刷装置1は印刷待機状態となる。
なお、図6においてT10,T14のときの動作として説明した上記の動作は、両面印刷時における版付け時と試し刷り時とでのみ行う動作である。
上述の版付け時において、分割製版済みのマスタ64の第1製版画像と第2製版画像との間に空白部が設けられ、分割製版済みのマスタ64が版胴12の外周面上に巻装された際に中間領域が形成されるので、給紙部4から送られた2枚目の用紙Pの後端と再給紙手段9から送られた表面印刷済み用紙PAの先端とが重合することが防止され、良好な版付けが行われる。
再給紙手段9からの表面印刷済み用紙PAの再給紙時において、表面印刷済み用紙PAの印刷面と接触することでプレスローラ13の表面に表面印刷済み用紙PAからのインキが再転移するが、プレスローラ13の周面が撥インキ性を有すると共にクリーニングローラ26がプレスローラ13の周面をクリーニングするので、表面印刷済み用紙PAからプレスローラ13の周面への再転移インキ量が減少されると共にプレスローラ13の周面からの再転移インキの除去が促進され、以下の印刷時においてプレスローラ13から用紙Pの裏面へのインキの再転移が防止される。
両面印刷装置1が印刷待機状態となった後、印刷速度設定キー113及び操作パネル103上の各種キーによって印刷条件を入力した後に試し刷りキー106が押下されると、試し刷りが行われる。この試し刷りキー106の押下時においても制御手段129は用紙の厚みを設定して下さいという旨の表示を表示装置120に表示させ、「厚紙」が設定された場合には試し刷りキー106の入力を拒否して表示装置120に正しい用紙をセットして下さいという旨の警告を表示させる。
試し刷りキー106が押下されると、版付け時と同様に版胴12が回転駆動され、さらに版付け時と同様に切換部材10が第2の位置に位置決めされる。その後、試し刷りは版付けと同様にして行われ両面印刷された印刷済み用紙PBが剥離爪84によって分割製版済みのマスタ64より剥離され、排紙搬送ユニット85によって搬送されて排紙トレイ86上に排出されることにより試し刷りが完了する。
試し刷りにより画像の位置あるいは濃度等が確認され、テンキー109によって印刷枚数が入力された後に印刷スタートキー105が押下されると、印刷動作が行われる。この印刷スタートキー105の押下時においても制御手段129は用紙の厚みを設定して下さいという旨の表示を表示装置120に表示させ、「厚紙」が設定された場合には印刷スタートキー105の入力を拒否して表示装置120に正しい用紙をセットして下さいという旨の警告を表示させる。
以下、印刷枚数としてN枚が入力された場合を説明する。
印刷スタートキー105が押下されると、版胴12が回転駆動され、さらに版付け時及び試し刷り時と同様に切換部材10が第2の位置に位置決めされる。版胴12の回転開始後に給紙部4から1枚目の用紙Pが給送され、給送された1枚目の用紙Pはレジストローラ対71で一時停留された後に試し刷り時と同じタイミングで給送される。
1枚目の用紙Pはプレスローラ13によって分割製版済みのマスタ64の第1製版画像に圧接される(図6(T1))ことで、その表面に第1製版画像に対応した画像を印刷されて、図9に示すように、1枚目の表面印刷済み用紙PAとなり、第2の位置を占めた切換部材10によって剥離案内されて、分割製版済みのマスタ64の第1製版画像形成部及び空白部がプレスローラ13との対向領域を通過し(図6(T3)、(T4))、第2製版画像形成部がプレスローラ13との対向領域を通過している途中で、図11,図12,図13に示す表面印刷済み用紙PA2のように、補助トレイ8上に搬送され(図6(T5))、図2に示す表面印刷済み用紙PAのように、他端を再給紙位置決め部材24に当接させた状態で停留される。
なお、この状態においては、図11に示す表面印刷済み用紙PA1、図12,図13,図2に示す印刷済み用紙PBはない。プレスローラ13はプレスローラ接離機構55の動作により離間位置で保持されている。
このときセンサ8cが表面印刷済み用紙PAの他端を検知し、センサ8cからの検知信号が制御手段129へ向けて出力されることにより、制御手段129から指令が送られて駆動ローラ36及び吸引ファン39の作動が停止される。
その後、分割製版済みのマスタ64の第2製版画像形成部がプレスローラ13との対向領域を通過し終えるまで(図6(T7))の間に、センサ65により、補助トレイ8上の表面印刷済み用紙PAの有無が検知され(図6(T6))、この旨の信号が制御手段129に送られ、制御手段129はこの信号に基づいてジャムが生じているか否かを判断する。すなわち制御手段129は、センサ65が、用紙Pがある旨の信号を送ってきたときにはジャムが生じていないと判断し、用紙Pがない旨の信号を送ってきたときはジャムが生じていると判断する。制御手段129は、ジャムが生じていることを検出したときには、表示装置120にジャムが生じている旨のエラー表示を行わせるとともに、両面印刷装置1全体の動作を停止させる。
制御手段120は、ジャムが生じていないことを検出したときには両面印刷装置1の動作を継続させる。
その後、給紙部4から2枚目の用紙Pが給送され、2枚目の用紙Pはレジストローラ対71で一時停留された後に1枚目の用紙Pと同じタイミングで印刷部2に向けて給送される。切換部材10はクランパ19bとの衝突を回避すべく第1の位置に位置決めされた後、クランパ19bの通過後に再び第2の位置に位置決めされる。
給送された2枚目の用紙Pはプレスローラ13によって分割製版済みのマスタ64の第1製版画像に圧接され(図6(T9))、表面に第1製版画像に対応した画像を印刷されて2枚目の表面印刷済み用紙PAとなった後、図10に示すように、第2の位置を占めた切換部材10によって剥離案内されて補助トレイ8上に搬送される。このとき試し刷り時と同じタイミングでソレノイド33が作動され、再給紙レジストローラ23が離間位置から圧接位置へと変位され(図6(T11))、補助トレイ8上に停留されていた1枚目の表面印刷済み用紙PA1がプレスローラ13の回転力によって版胴12に向けて搬送される。
図11に示すように、2枚目の表面印刷済み用紙PA2の後端が版胴12とプレスローラ13との当接部を抜け(図6(T12))、図11に示すように、切換部材10の下面とプレスローラ13の周面との間の僅かな隙間を通った後、ガイド板27,56の間を通って補助トレイ8に向けて案内される。この途中、分割製版済みのマスタ64の空白部がプレスローラ13と対向する位置を占める直前にソレノイド123が作動され、切換部材10が第2の位置から第1の位置に変位される。
これにより、1枚目の表面印刷済み用紙PAは、分割製版済みのマスタ64の空白部がプレスローラ13との対向領域を通過し、第2製版画像形成部がプレスローラ13と対向するタイミングで版胴12とプレスローラ13との当接部に送られ、プレスローラ13によって分割製版済みのマスタ64の第2製版画像に圧接される(図6(T13))ことで、その裏面に第2製版画像に対応した画像を印刷されて印刷済み用紙PBとなる。
そして、図12に示すように、1枚目の印刷済み用紙PBの後端が、センサ65の配設位置を通過したタイミングで、センサ65により、補助トレイ8上の用紙Aの有無が検知され(図6(T15))、この旨の信号が制御手段129に送られ、制御手段129はこの信号に基づいてジャムが生じているか否かを判断する。すなわち制御手段129は、センサ65が、用紙Pがある旨の信号を送ってきたときにはジャムが生じていると判断し、用紙Pがない旨の信号を送ってきたときはジャムが生じていないと判断する。制御手段129は、ジャムが生じていることを検出したときには、表示装置120にジャムが生じている旨のエラー表示を行わせるとともに、両面印刷装置1全体の動作を停止させる。
制御手段120は、ジャムが生じていないことを検出したときには両面印刷装置1の動作を継続させる。なおこのとき2枚目の表面印刷済み用紙PAは、一端がエンドフェンス8aに当接した状態で落下を続ける。
このとき、図12に示すように、第1製版画像に応じた画像を表面に、第2製版画像に応じた画像を裏面にそれぞれ印刷され印刷済み用紙PBとなった1枚目の用紙Pは、第1の位置を占めた切換部材10によって排紙搬送ユニット85へと案内されると共に、剥離爪84によってその一端から版胴外周面上の分割製版済みのマスタ64より剥離され、下方へと落下して、排紙搬送ユニット85へと送られている。
1枚目の印刷済み用紙PBの後端が、センサ65の配設位置を通過し、制御手段129によるかかるジャムの判断が終了すると、ソレノイド33が停止されて、図13に示すように、再給紙レジストローラ23が圧接位置から離間位置へと変位され(図6(T16))、続いて、2枚目の表面印刷済み用紙PAが補助トレイ8上に積載される(図6(T17))。
このとき、図13に示すように、排紙搬送ユニット85へと送られた1枚目の印刷済み用紙PBは、図8に示すように、吸引ファン90の吸引力によって無端ベルト89の上面に引きつけられつつ左方へと搬送されている。
この後、センサ66により、排紙搬送ユニット85によって搬送されている1枚目の印刷済み用紙PBの有無が検知され(図6(T18))、この旨の信号が制御手段129に送られ、制御手段129はこの信号に基づいてジャムが生じているか否かを判断する。すなわち制御手段129は、センサ66が、用紙Pがある旨の信号を送ってきたときにはジャムが生じていないと判断し、用紙Pがない旨の信号を送ってきたときはジャムが生じていると判断する。制御手段129は、ジャムが生じていることを検出したときには、表示装置120にジャムが生じている旨のエラー表示を行わせるとともに、プレスローラ接離機構55により、プレスローラ13を離間位置に変位させ、さらに両面印刷装置1全体の動作を停止させる。
制御手段129は、ジャムが生じていないことを検出したときには両面印刷装置1の動作を継続させる。
その後、分割製版済みのマスタ64の第2製版画像形成部がプレスローラ13との対向領域を通過し終えるまで(図6(T20))の間に、図14に示すように、無端ベルト38によって搬送され再給紙位置決め部材24によって位置決めされた、補助トレイ8上の表面印刷済み用紙PA2の有無が、センサ65により検知され(図6(T19))、この旨の信号が制御手段129に送られ、制御手段129はこの信号に基づいてジャムが生じているか否かを判断する。
すなわち制御手段129は、センサ65が、用紙Pがある旨の信号を送ってきたときにはジャムが生じていないと判断し、用紙Pがない旨の信号を送ってきたときはジャムが生じていると判断する。制御手段129は、ジャムが生じていることを検出したときには、表示装置120にジャムが生じている旨のエラー表示を行わせるとともに、プレスローラ接離機構55により、プレスローラ13を離間位置に変位させ、さらに両面印刷装置1全体の動作を停止させる。
制御手段120は、ジャムが生じていないことを検出したときには両面印刷装置1の動作を継続させる。
排紙搬送ユニット85へと送られた1枚目の印刷済み用紙PBは、さらに、吸引ファン90の吸引力によって無端ベルト89の上面に引きつけられつつ左方へと搬送される。
印刷済み用紙PBが第2製版画像に応じた画像を印刷されるとプレスローラ13は離間位置を占める(図6(T20))。
この後、センサ66により、排紙搬送ユニット85によって搬送されている1枚目の印刷済み用紙PBの有無が検知され(図6(T21))、この旨の信号が制御手段129に送られ、制御手段129はこの信号に基づいてジャムが生じているか否かを判断する。すなわち制御手段129は、センサ66が、用紙Pがない旨の信号を送ってきたときにはジャムが生じていないと判断し、用紙Pがある旨の信号を送ってきたときはジャムが生じていると判断する。制御手段129は、ジャムが生じていることを検出したときには、表示装置120にジャムが生じている旨のエラー表示を行わせるとともに、両面印刷装置1全体の動作を停止させる。
制御手段129は、ジャムが生じていないことを検出したときには両面印刷装置1の動作を継続させ、1枚目の印刷済み用紙PBはさらに搬送されて排紙トレイ86上に排出される。
その後、給紙部4から3枚目の用紙Pが給送され、3枚目の用紙Pはレジストローラ対71で一時停留された後に1枚目及び2枚目の用紙Pと同じタイミングで印刷部2に向けて給送される。切換部材10はクランパ19bとの衝突を回避すべく第1の位置に位置決めされ、クランパ19bの通過後に再び第2の位置に位置決めされる。給送された3枚目の用紙Pは表面に第1製版画像に対応した画像を印刷されて表面印刷済み用紙PAとなった後、切換部材10によって補助トレイ8上に案内される。そして所定のタイミングでソレノイド33が作動され、補助トレイ8上に停留されていた2枚目の表面印刷済み用紙PAが版胴12に向けて搬送される。
その後、2枚目の印刷済み用紙PBが排紙トレイ86上に排出されるまで、上述した図6におけるT9からT21までのそれぞれのタイミングで行われた動作が、図6におけるT22からT33までのそれぞれの動作として行われる。
以下、同様の印刷動作が繰り返され、N枚目の印刷済み用紙PBが排紙トレイ86上に排出され、N枚の印刷が終了する。版胴12はホームポジションで停止して両面印刷装置1は印刷動作を終えて再び印刷待機状態となる。
上述の印刷時において、分割製版済みのマスタ64の第1製版画像と第2製版画像との間に空白部が設けられ、分割製版済みのマスタ64が版胴12の外周面上に巻装された際に中間領域が形成されるので、給紙部4から送られた用紙Pの後端と再給紙手段9から送られた表面印刷済み用紙PAの先端とが重合することが防止され、切換部材10の切換によって給紙部4からの用紙Pを補助トレイ8に、再給紙手段9からの表面印刷済み用紙PAを排紙トレイ86に、それぞれ確実に搬送することができる。
また、再給紙手段9からの表面印刷済み用紙PAの再給紙時において、表面印刷済み用紙PAの印刷面及び版胴12の外周面と接触することでプレスローラ13の表面に表面印刷済み用紙PAからのインキ及び版胴外周面からのインキが再転移するが、プレスローラ13の周面が撥インキ性を有すると共にクリーニングローラ26がプレスローラ13の周面をクリーニングするので、表面印刷済み用紙PAからプレスローラ13の周面への再転移インキが減少されると共にプレスローラ13の周面からの再転移インキの除去が促進され、以下の印刷時においてプレスローラ13から用紙Pの裏面へのインキの再転移を防止できる。
この両面印刷装置1によれば、片面印刷時には通常の孔版印刷装置と同様に片面印刷を行うことができるのみならず、両面印刷時には製版部3が分割製版済みのマスタ64を作成してこれを版胴12に巻装し、給紙部4より1枚目の用紙Pを給送してこの表面をプレスローラ13によって版胴12に圧接させた後に補助トレイ8上に排出し、給紙部4より2枚目の用紙Pを給送してこの表面をプレスローラ13によって版胴12に圧接させた後に補助トレイ8上に排出すると共に、再給紙手段9によって1枚目の表面印刷済み用紙PAを反転給送してこの裏面をプレスローラ13によって版胴12に圧接させた後に印刷済み用紙PBとして排紙トレイ86上に排出するので、用紙Pに印刷される表面画像及び裏面画像が共にプレスローラ13により版胴12から転移されるインキによって形成され、良好な両面印刷物を得ることができる。また、通常の片面印刷用の孔版印刷装置に比して大幅に大型化することなく装置を構成でき、設置スペースの増大を抑制することができる。
以上、本発明を実施するための形態として、本発明を適用した両面印刷装置1及びこれを用いた両面印刷装置のジャム検出方法について説明したが、給紙用紙検知手段は、補助トレイに対応した部分に配設されるに限らず、再給紙経路の他の部分、さらには初期給紙経路など、給紙経路中の何れの部分に配設されても良い。同様に、排紙用紙検知手段は、排紙搬送手段に対応した部分に配設されるに限らず、排紙経路中の何れの部分に配設されても良い。
給紙用紙検知手段、排紙用紙検知手段等による検知のタイミングは、上述の形態のタイミングに限定されない。たとえば、給紙用紙検知手段にあっては、用紙のジャムが発生しないとすれば、用紙が給紙用紙検知手段によって検知されるべきタイミングから、用紙が給紙用紙検知手段によって検知される位置を通過すべきタイミングまでの間の時間幅内において検知を行えばよいし、排紙用紙検知手段にあっては、用紙のジャムが発生しないとすれば、用紙が排紙用紙検知手段によって検知されるべきタイミングから、用紙が排紙用紙検知手段によって検知される位置を通過すべきタイミングまでの間の時間幅内において検知を行えばよい。検知は、かかる時間幅の間で単数回行っても、複数回行っても良いし、検知1回あたりの検知時間幅は、検知回数との関係によって左右されるが、上記時間幅内に収まる幅であれば良い。
また、排紙用紙検知手段は、上述の形態においては、構造の簡素化、低コスト化の観点から、両面印刷時に用いられる両面排紙用紙検知手段と片面印刷時に用いられる片面排紙用紙検知手段とを兼ねた構成として説明したが、両面排紙用紙検知手段と片面排紙用紙検知手段とは、それぞれ独立した用紙検知手段であっても良い。
この場合、制御の簡易化の観点から、それぞれの用紙検知手段による検知タイミングが同じになるように両面排紙用紙検知手段と片面排紙用紙検知手段との位置関係が設定されることが望ましい。たとえば、上記の形態においては、両面印刷用のマスタにあっては、版胴の回転方向において第1製版画像と第2製版画像とがこの順で並んでおり、片面印刷用のマスタにあっては、版胴の回転方向において、かかる第1製版画像の先頭位置と同じ位置から第2製版が位置しているため、両面印刷時には片面印刷時よりも排紙タイミングが遅れる。すなわち、両面印刷時には、第3製版画像よりも先頭位置が遅れた第2製版画像の印刷を行って排紙を行うため、片面印刷時よりも排紙タイミングが遅れる。したがって、用紙の搬送方向の上流側に片面排紙用紙検知手段、下流側に両面排紙用紙検知手段を配設し、これらの距離を、それぞれの用紙検知手段による検知タイミングが同じになるように調節することが望ましい。
また、両面排紙用紙検知手段と片面排紙用紙検知手段とをそれぞれ独立した用紙検知手段とする場合、用紙の有無の検知感度の観点から、少なくとも両面排紙用紙検知手段を透過型の用紙検知手段とすることが望ましい。給紙用紙検知手段を透過型の用紙検知手段としても良い。両面排紙用紙検知手段と片面排紙用紙検知手段とをそれぞれ独立した検知手段とする構成は、両面に印刷された用紙のための排紙経路と片面に印刷された用紙のための排紙経路とが異なる両面印刷装置に適している。
本発明は、版胴を用いて印刷を行うどのようなタイプの印刷装置にも適用することができる。カラー印刷等を行う目的で版胴が複数備えられている印刷装置に適用することもできる。本発明の適用は、上述の説明において特に限定を行っていない限り、上述の形態に限られるものではない。