JP4758027B2 - 孔版印刷装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、版胴にマスタを巻装して印刷を行う孔版印刷装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
多孔性の支持円筒体である多孔性支持板の周面に樹脂あるいは金属網体のメッシュスクリーンを複数層巻装してなる回転自在な版胴と、熱可塑性樹脂フィルム(厚み1〜3μm程度のものが一般的に用いられる)と和紙繊維あるいは合成繊維あるいは和紙繊維と合成繊維とを混抄したものとを貼り合わせてなるラミネート構造のマスタとを用い、マスタの熱可塑性樹脂フィルム面をサーマルヘッドにより加熱穿孔製版した後に版胴に巻装し、版胴内部に設けられたインキ供給手段よりインキを供給しつつプレスローラー等の押圧手段によって給紙手段より給送された印刷用紙を版胴外周面上の製版済みマスタに連続的に押圧することにより、版胴開口部及びマスタ穿孔部よりインキを滲出させて印刷用紙に転写することで印刷を行う感熱デジタル孔版印刷装置が一般的に知られている。
【0003】
この孔版印刷装置では、画像読取、製版、印刷、排版等の各工程を自動的かつ連続的に行う全自動タイプのものが主に用いられており、この全自動タイプの孔版印刷装置では、印刷すべき原稿の画像が読取装置で読み取られ、サーマルヘッド及びプラテンローラー等を有する製版装置によりマスタが加熱溶融穿孔製版された後に上述の版胴に自動的に巻装され、給紙部より給送された印刷用紙が押圧手段によって版胴外周面に連続的に押圧されることで印刷が行われる。
上述の全自動タイプの孔版印刷装置には、一般的に版胴の外周面上にマスタが巻装されているか否かを検出するマスタ検出手段が設けられており、何らかの理由により版胴外周面上にマスタが巻装されていない場合には印刷を行うことができないように構成されている。これは、マスタが巻装されていない版胴外周面を押圧手段が押圧して押圧手段表面が汚損してしまうこと、及び汚損した押圧手段により次の印刷物の裏面に汚れが生じてしまうこと等を防止するためである。マスタ検出手段は、通常はクランパー近傍におけるマスタの有無、すなわちマスタ先端部の有無を検出している。
【0004】
また、上述した全自動タイプの孔版印刷装置として、版胴に巻装されるマスタの長さを任意の長さに設定するマスタ長さ設定手段と、マスタ長さ設定手段により設定された長さに応じて押圧手段の版胴に対する圧接範囲を変化させる圧接範囲可変手段とを有する孔版印刷装置が知られており、これは例えば特開平10−193767号公報に開示されている。
この孔版印刷装置によれば、版胴に巻装されるマスタの長さを形成する製版画像の大きさに合わせて設定できるので、マスタを必要最小限のサイズにすると共にマスタに吸収されて廃棄されるインキ量も低減することができ、さらにマスタの長さに合わせて押圧手段の圧接範囲を変更するので、マスタが存在しない版胴開孔部を押圧手段が押圧することを防止でき、押圧手段表面の汚損及び次の印刷物の裏面に汚れが生じてしまうことを防止することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、通常の全自動タイプの孔版印刷装置では、製版時におけるカバーオープン等の異常操作時において、オペレーターの安全を守るために装置を強制的に停止させている。このとき、製版動作途中であった場合にはマスタの搬送はその時点で停止されており、所定の手順によって復帰がなされた場合には切断手段が作動してマスタを切断し、版胴上に中途半端な長さのマスタが巻装された状態となる。通常であればこの後に一度排版を行ってから再度製版を行うのであるが、上述の状態でも印刷待機状態となってしまい、さらにマスタ有無検出手段がマスタ有りを検出していることから、誤って印刷スタートキーが押下されると印刷動作が開始されてしまう。上述の状態で印刷動作が行われると、マスタが中途半端な長さであり版胴開孔部の全域を覆っていないため、押圧手段が版胴開孔部を直接押圧して押圧手段が汚損してしまうという問題点がある。
【0006】
また、特開平10−193767号公報に開示された孔版印刷装置では、版胴が筐体に対して着脱自在であると共に、版胴を筐体に装着したときに版胴外周面上のマスタの長さを検出するマスタ長さ検出手段を具備していて、マスタ長さ検出手段によって検出されたマスタの長さが印刷用紙の長さと異なる場合には印刷を停止させる技術が開示されているが、例えばA3サイズのマスタが巻装されている版胴を色換えのために取り外し、A4サイズのマスタが巻装されている版胴を装着した場合には、マスタのサイズと印刷用紙のサイズとが異なるために印刷を行うことができない。逆にA4サイズのマスタが巻装されている版胴を取り外し、A3サイズのマスタが巻装されている版胴を装着した場合にも印刷を行うことができない。また、比較対象が版胴上に巻装されているマスタサイズと給紙手段にセットされている印刷用紙サイズであり、版胴上に巻装されているマスタサイズと装置内に記憶されているマスタサイズとを比較する、すなわちマスタサイズ同士を比較する技術は開示されていない。
【0007】
本発明の目的は、上記問題点を解決し、押圧手段が版胴開孔部を直接押圧して押圧手段が汚損してしまうという不具合を確実に防止することが可能な孔版印刷装置、及び版胴を交換しても正常な印刷を行うことが可能な孔版印刷装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、マスタを巻装し筐体に対して着脱自在な版胴と、マスタを製版・搬送・切断する製版手段と、印刷用紙を給送する給紙手段と、前記版胴に対して接離自在に設けられ前記印刷用紙を前記版胴に押圧して画像を転写させる押圧手段と、画像が転写された前記印刷用紙を排紙する排紙手段とを具備し、前記版胴に巻装される前記マスタの長さを任意の長さに設定するマスタ長さ設定手段と、前記マスタ長さ設定手段により設定された長さに応じて前記押圧手段の前記版胴に対する押圧範囲を変化させる押圧範囲可変手段とを有する孔版印刷装置において、前記筐体に版胴が装着されたときに該版胴に巻装されたマスタの長さを検出するマスタ長さ検出手段を有し、該マスタ長さ検出手段によって検出された長さが前記マスタ長さ設定手段により設定された長さと異なる場合には、該マスタ長さ検出手段によって検出された長さに応じて前記押圧範囲可変手段を制御する制御手段を有することを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の孔版印刷装置において、さらに前記筐体に対して着脱自在な版胴を複数有し、これら複数の版胴はそれぞれの内部に互いに異なる色のインキを有することを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の孔版印刷装置において、さらに前記マスタ長さ検出手段は前記版胴の回転時に前記マスタの長さを検出することを特徴とする。
【0013】
【実施例】
図1は、本発明の一実施例を採用した孔版印刷装置1の概略正面図である。同図において孔版印刷装置1は、印刷部2、製版手段としての製版部3、給紙手段としての給紙部4、排版部5、排紙手段としての排紙部6、原稿読取部7を有している。
【0014】
筐体18の中央に配設された印刷部2は、図2に示すように版胴8、インキ供給手段9、押圧手段としてのプレスローラー10等から主に構成されている。
版胴8は、インキ供給パイプを兼ねた支軸11に回転自在に支持された一対のフランジ12と、各フランジ12の外周面に巻装された多孔性支持板8aとから主に構成されており、後述する版胴駆動手段13によって図1の矢印方向に回転駆動される。支軸11はその先端部11a(図5参照)を筐体18の側板18a(図5参照)に支持されており、その表面にはインキ供給手段9にインキを供給するための多数の小さな孔が穿設されている。各フランジ12は図示しない軸受を介して支軸11に回転自在に取り付けられている。
【0015】
ステンレスの薄板等で形成される多孔性支持板8aは、多数の開孔が穿設された開孔部8bと非開孔部とを有しており、開孔部8bの周方向長さはA3サイズの印刷用紙に対して印刷を行うことが可能な長さに形成されている。非開孔部には版胴8の一母線と平行な平面を有するステージ部14が配設されており、ステージ部14の上面には後述するマスタ61の先端を係止する開閉自在なクランパー15が配設されている。また、多孔性支持板8aの外側には、ポリエステルあるいはステンレスの細線等からなる図示しないメッシュスクリーンが1〜3層程度巻装されている。
【0016】
版胴1の内部であって支軸11の下方に位置する部位には、インキローラー16及びドクターローラー17等を有するインキ供給手段9が配設されている。インキローラー16は、各フランジ12間の支軸11上に固着された図示しない一対の側板間にその支軸16aを回転自在に支持されており、版胴駆動手段13からの回転力をギヤやベルト等の回転力伝達手段によって伝達されて版胴8と同方向に回転する。ドクターローラー17は、その外周面とインキローラー16の外周面との間に僅かな間隙が生じる位置において前記側板間に回転自在に支持されており、版胴駆動手段13からの回転力を図示しない回転力伝達手段によって伝達されてインキローラー16とは反対の方向に回転する。インキローラー16とドクターローラー17との近接部において、支軸11より供給されたインキによって楔状のインキ溜まり17aが形成される。
【0017】
図3は、版胴8及びインキローラー16及びドクターローラー17を回転駆動する版胴駆動手段13を示している。版胴駆動手段13は、ギヤ19,20、タイミングプーリー21、タイミングベルト22、ピニオン23、版胴駆動モーター24等から主に構成されている。
【0018】
装置奥側に位置する一方のフランジ12の外側面にはギヤ19が固着されている。ギヤ19は支軸11を中心として取り付けられており、支軸11に接しない大きさに形成された孔19aを中央に有している。支軸11の先端部11aは、ギヤ19を貫いて側板18aに支持されている。
ギヤ19の近傍にはギヤ19と噛合するギヤ20が配設されている。ギヤ20は筐体18に回転自在に支持された支軸20aの端部に固着されており、ギヤ20が固着された位置よりも装置奥側に位置する支軸20a上にはタイミングプーリー21が固着されている。タイミングプーリー21は、筐体18に取り付けられた版胴駆動モーター24の出力軸端に固着されたピニオン23とタイミングベルト22によって連結されている。版胴駆動モーター24の作動は、後述する制御手段26によって制御される。
【0019】
上述の構成により、版胴駆動モーター24の回転力が伝達されてフランジ12が支軸11を中心に回転して版胴8が回転駆動される。また、一方のフランジ12の内側には図示しないギヤが取り付けられており、このギヤと接続された図示しない回転力伝達手段によって回転力を伝達されることで、インキローラー16及びドクターローラー17がそれぞれ回転駆動される。
【0020】
一方のフランジ12の外周縁部には軸方向に延出するドグ25が固着されており、フランジ12の回転に伴って移動するドグ25の円軌道上にはホームポジションセンサー27が配設されている。ホームポジションセンサー27は筐体18に取り付けられており、ドグ25がその検知部を通過する際に制御手段26へ向けて信号を出力する。
【0021】
各フランジ12の外方には、図4に示すように版胴8を持ち運ぶための略コ字形状を呈した取手28が、版胴8を軸方向に跨ぐように取り付けられている。取手28は本体28aと側板28b,28cとから一体的に構成されており、各側板28b,28cが支軸11にそれぞれ取り付けられている。
本体28aは、その側板28b側の端部に一対のコロ28dを有しており、図5に示すように各コロ28dを側板18aに取り付けられたレール部材29に係合させることで、筐体18に対して着脱自在に構成されている。なお、筐体18に対する版胴8の着脱は、版胴8がホームポジションを占めたときに限って可能となるように構成されている。
【0022】
装置奥側に位置する側板28bには支軸11が貫通しており、側板28bより突出した支軸11の先端部11aは側板18aに設けられた位置決め部材30に係脱自在に支持されている。一方、装置手前側に位置する側板28cには、支軸11へインキを供給するインキポンプ及び内部にインキを貯容したインキパック等を有するインキ供給装置31が設けられている。
【0023】
筐体18の内部であって先端部11aと位置決め部材30との係合部の近傍には、図5、図6に示すように、筐体18からの版胴8の抜脱を規制する抜脱規制手段32が配設されている。抜脱規制手段32は、ソレノイド34、アーム35、引張ばね36等を有している。
【0024】
ソレノイド34は図示しない取付部材を介して側板18aに取り付けられており、制御手段26にその作動を制御される。アーム35はその基端を側板18aに植設されたピン35aに揺動自在に支持されており、その中央より自由端側寄りの部位にはソレノイド34のプランジャ34aが取り付けられている。さらにアーム35には、一端を側板18aに固着された引張ばね36の他端が取り付けられている。
【0025】
この構成により抜脱規制手段32は、ソレノイド34の不作動時において、引張ばね36の付勢力によりアーム35の自由端が支軸11の先端部11aの近傍に形成された切欠部11bと係合する図6の実線位置を占めることにより筐体18からの版胴8の抜脱を規制し、ソレノイド34の作動時において、アーム35の自由端が切欠部11bから離脱する図6の二点鎖線位置を占めることにより筐体18からの版胴8の抜脱を許容する。
【0026】
筐体18の内部であって版胴8の外周面近傍の部位には、反射型センサーからなるマスタ長さ検出手段としてのマスタ長さ検出センサー33が配設されている。マスタ長さ検出センサー33は筐体18に取り付けられており、版胴8の外周面上における反射量の違いからマスタの有無を検知すると共に、版胴8を所定角度回転させたときのマスタの有無から巻装されているマスタの長さを検出する。マスタ長さ検出センサー33は、版胴8の回転時においてクランパー15等の障害物と干渉しない位置に取り付けられており、その出力信号は制御手段26に入力される。
【0027】
版胴8の下方にはプレスローラー10が配設されている。プレスローラー10は、図2及び図7に示すように、支軸10aの両端を一対のプレスローラーアーム37の一端間にそれぞれ回転自在に支持されており、各プレスローラーアーム37はそれぞれの他端を支持軸37aに固着されている。
【0028】
筐体18に回転自在に支持された支持軸37aには、一対のプレスローラーアーム37の他、一端に回転自在なカムフォロア38aを有する揺動アーム38の他端が固着されている。揺動アーム38には一端を筐体18に固着された引張ばね39の他端が取り付けられており、支持軸37aには図7において時計回り方向への回動付勢力が付与されている。また揺動アーム38には、後述する係止アーム44の先端が係合するピン38bが植設されている。
【0029】
揺動アーム38の近傍には、4枚のカム板40a,40b,40c,40dを有する多段カム40が配設されている。各カム板40a,40b,40c,40dは、両端を筐体18に回転自在かつ図7の紙面方向に移動自在に支持された支軸41の一端部寄りにそれぞれ間隙をもって固着されており、装置手前側からカム板40a,カム板40b,カム板40c,カム板40dの順に配設されている。各カム板40a,40b,40c,40dは、図7に示すように、支軸41と同心の円板である基部とそれぞれ同一突出量の凸部とを有しており、各凸部の形状は、カム板40aの凸部の右側縁部を基準に、カム板40b、カム板40c、カム板40dの順でそれぞれの凸部が円周方向に大きくなるように形成されている。多段カム40は、図8に示すように支軸41に取り付けられた駆動ギヤ42及び筐体18に回転自在に支持された支軸48に取り付けられた伝達ギヤ49を介して版胴駆動手段13からの回転力を伝達され、図7に矢印で示す方向に回転駆動される。
【0030】
プレスローラー10は、各カム板40a,40b,40c,40dの何れかの凸部がカムフォロア38aと当接したときに図7の実線位置に移動し、何れかの凸部との当接が解除されたときに引張ばね39の付勢力によって版胴8の外周面に圧接する。この圧接時において、各カム板40a,40b,40c,40dの基部とカムフォロア38aとが接触しないように構成されている。
【0031】
各カム板40a,40b,40c,40dの凸部の円周方向における大きさは、プレスローラー10と版胴8の外周面との圧接範囲が、順にA3縦長さ、B4縦長さ、A4縦長さ、B5縦長さと対応する長さとなるようにそれぞれ設定されている。
【0032】
図7に示すように、揺動アーム38の近傍には係止アーム44が配設されている。先端44aが鈎型に形成された係止アーム44は、その基端を支軸44bに揺動自在に支持されている。係止アーム44には、筐体18に取り付けられたソレノイド45のプランジャ45aと、一端を筐体18に取り付けられた引張ばね46の他端とが取り付けられており、係止アーム44は、各カム板40a,40b,40c,40dの何れかの凸部がカムフォロア38aと当接し、かつソレノイド45への通電が解除されたときに、図7に示すように先端44aをピン38bに係合させてプレスローラー10を版胴8の外周面より離間した状態で保持するように構成されている。ソレノイド45の作動は制御手段26に制御される。
【0033】
支軸41の下方近傍には、図8に示すように、移動アーム43と段差カム47が配設されている。ほぼL字状を呈する移動アーム43は、その曲折部において支軸43cに揺動自在に支持されており、一端にはローラー43aが、他端にはカムフォロア43bがそれぞれ回転自在に取り付けられている。また、移動アーム43の他端と曲折部との間の部位には、一端を筐体18に取り付けられた引張ばね50の他端が取り付けられており、移動アーム43には、支軸43cを中心に図8において時計回り方向の回動付勢力が付与されている。
【0034】
ローラー43aは、支軸41の中程に間隔をおいて固着された円板41a,41b間に配置されており、カムフォロア43bは、引張ばね50の付勢力によりその外周面を段差カム47の周面に当接させている。各円板41a,41b間の間隔は、ローラー43aの直径よりも僅かに大きくなるように設定されている。
【0035】
段差カム47は、その周面に4箇所のカム部47a,47b,47c,47dを有しており、筐体18に回転自在に支持された支軸51に固着されている。支軸51には、筐体18に取り付けられたステッピングモーター52の出力軸に取り付けられたギヤ53と噛合するギヤ54が取り付けられており、ステッピングモーター52の作動により段差カム47は図8の矢印方向に回転される。ステッピングモーター52が作動して段差カム47が回転すると、移動アーム43が支軸43cを中心に揺動して、ローラー43aが円板41aあるいは円板41bを押すことで支軸41が図8の左右方向に移動する。ステッピングモーター52の動作は制御手段26によって制御される。
【0036】
各カム部47a,47b,47c,47dは、カムフォロア43bとカム部47aとが当接したときにカム板40aがカムフォロア38aと当接可能位置となるように、カムフォロア43bとカム部47bとが当接したときにカム板40bがカムフォロア38aと当接可能位置となるように、カムフォロア43bとカム部47cとが当接したときにカム板40cがカムフォロア38aと当接可能位置となるように、カムフォロア43bとカム部47dとが当接したときにカム板40dがカムフォロア38aと当接可能位置となるように支軸41を移動させる形状にそれぞれ形成されている。
上述した構成のうち、多段カム40、支軸41、移動アーム43、段差カム47、ステッピングモーター52等により圧接範囲可変手段134が構成されている。
【0037】
印刷部2の右上方には製版部3が配設されている。製版部3は、マスタ貯容手段55、プラテンローラー56、サーマルヘッド57、切断手段58、マスタ搬送ローラー対59,60等を有している。
マスタ貯容手段55は、熱可塑性樹脂フィルムと多孔性支持体とを貼り合わせたマスタ61をロール状に巻成したマスタロール62の芯部62aを回転自在かつ着脱自在に支持する。
【0038】
マスタ貯容手段55よりもマスタ搬送方向下流側には、プラテンローラー56及びサーマルヘッド57が配設されている。プラテンローラー56は筐体18の図示しない側板に回転自在に支持されており、ステッピングモーター63によって回転駆動される。ステッピングモーター63の作動は制御手段26によって制御される。
【0039】
多数の発熱素子を有するサーマルヘッド57は筐体18の図示しない側板に取り付けられており、図示しない付勢手段の付勢力によってプラテンローラー56に圧接されている。サーマルヘッド57は、マスタ61の熱可塑性樹脂フィルム面に接触しつつ発熱素子を選択的に発熱させ、マスタ61に対して熱溶融穿孔製版を行う。サーマルヘッド57の作動は制御手段26によって制御される。
【0040】
プラテンローラー56及びサーマルヘッド57よりもマスタ搬送方向下流側には切断手段58が配設されている。固定刃58aと可動刃58bとからなる切断手段58は、筐体18の側板に固定された固定刃58aに対して可動刃58bが回転移動する周知の構成である。可動刃58bの作動は制御手段26によって制御される。
【0041】
切断手段58のマスタ搬送方向下流側にはマスタ搬送ローラー対59,60及びガイド板64,65が配設されている。マスタ搬送ローラー対59,60は、図示しない駆動手段によって同期して回転駆動される駆動ローラー59a、60aと、図示しない付勢手段によって各駆動ローラー59a,60aに圧接された従動ローラー59b,60bとから構成されている。
【0042】
各マスタ搬送ローラー対59,60間にはガイド板64が、また、マスタ搬送ローラー対60よりマスタ搬送方向下流側にはガイド板65が配設されている。各ガイド板64,65は筐体18の側板に固定されており、各マスタ搬送ローラー対59,60によって搬送されるマスタ61をガイドし、マスタ61の先端を版胴8の外周面へと案内する。
【0043】
製版部3の下方には給紙部4が配設されている。給紙部4は、給紙トレイ66、給紙ローラー67、分離ローラー68、分離コロ69、レジストローラー対70等を有している。
【0044】
上面に多数の印刷用紙Pを積載する給紙トレイ66は筐体18に上下動自在に支持されており、図示しない昇降手段によって上下動される。また、給紙トレイ66には、積載された印刷用紙Pの長さを検出する4個のセンサー71a,71b,71c,71dと、印刷用紙Pをガイドする一対のサイドフェンス72とが設けられている。各センサー71a,71b,71c,71dからの出力信号は制御手段26に出力され、制御手段26は各センサー71a,71b,71c,71dからの出力信号によって印刷用紙Pのサイズを判別する。サイドフェンス72は用紙幅方向(印刷用紙Pの搬送方向と直交する方向)に移動自在な周知の構成である。
【0045】
給紙トレイ66の上方には、表面にそれぞれ高摩擦抵抗部材を有する給紙ローラー67、分離ローラー68、分離コロ69が配設されている。給紙ローラー67及び分離ローラー68は、給紙トレイ66上の印刷用紙Pと所定の圧力で圧接し、ギヤやベルト等の図示しない駆動力伝達手段を介して、共通のステッピングモーター73によって図1の矢印方向に互いに同期して回転駆動される。分離コロ69は所定の圧力で分離ローラー68に圧接されており、分離ローラー68と同方向に間欠回転可能に配設されている。ステッピングモーター73の作動は制御手段26によって制御される。
【0046】
分離ローラー68及び分離コロ69の印刷用紙搬送方向下流側にはレジストローラー対70が配設されている。駆動ローラー70aと従動ローラー70bとからなるレジストローラー対70は、版胴駆動手段13からの回転駆動力をギヤやカム等の駆動力伝達手段で伝達されることにより、駆動ローラー70aが版胴8の回転と同期した所定のタイミングで回転し、この駆動ローラー70aに圧接された従動ローラー70bとによって印刷用紙Pを印刷部2に向けて給送する。
【0047】
印刷部2の左上方には排版部5が配設されている。排版部5は、上排版部材74、下排版部材75、排版ボックス76、圧縮板77等を有している。
【0048】
上排版部材74は、駆動ローラー78、従動ローラー79、無端ベルト80等を有し、図示しない駆動手段によって駆動ローラー78が図1において時計回り方向に回転駆動されることによって無端ベルト80が図の矢印方向に移動する。下排版部材75は、駆動ローラー81、従動ローラー82、無端ベルト83等を有し、駆動ローラー78を回転駆動する図示しない駆動手段の駆動力をギヤやベルト等の駆動力伝達手段によって伝達されることで、駆動ローラー81が図1において反時計回り方向に回転駆動されることにより無端ベルト83が図の矢印方向に移動する。また、下排版部材75は図示しない移動手段によって移動自在に設けられており、図1に示す位置と駆動ローラー81の外周面上に位置する無端ベルト83が版胴8の外周面に当接する位置とに選択的に位置決めされる。
【0049】
内部に使用済みマスタ130を貯容する排版ボックス76は、筐体18に対して着脱自在に設けられている。上排版部材74と下排版部材75とによって運ばれた使用済みマスタ130を排版ボックス76の内部に押し込む圧縮板77は、図示しない昇降手段によって上下動自在に支持されており、図の実線位置と二点鎖線位置との間を上下動する。
【0050】
排版部5の下方には排紙部6が配設されている。排紙部6は、剥離爪84、排紙搬送部材85、排紙トレイ86等を有している。
版胴8の外周面上より印刷済みの印刷用紙Pを剥離する剥離爪84は、支軸84aによって筐体18の側板に揺動自在に支持されており、図示しない揺動手段によって、その先端が版胴8の外周面に近接する位置と、その先端が版胴8の回転によって移動するクランパー15等の障害物と干渉しない位置とに選択的に揺動される。
【0051】
排紙搬送部材85は、駆動ローラー87、従動ローラー88、無端ベルト89、吸引ファン90等を有している。駆動ローラー87は図示しないユニット側板に回転自在に支持されており、図示しない駆動手段で回転駆動される。従動ローラー88も同側板に回転自在に支持され、駆動ローラー87と従動ローラー88とには、複数の開孔を有する複数の無端ベルト89が掛け渡されている。駆動ローラー87、従動ローラー88及び無端ベルト89の下方には吸引ファン90が配設されている。排紙搬送部材85は、吸引ファン90の吸引力によって無端ベルト89上に印刷用紙Pを吸引し、駆動ローラー87の回転によって印刷用紙Pを図の矢印方向に搬送する。
【0052】
排紙搬送部材85によって搬送される印刷済みの印刷用紙Pをその上面に積載する排紙トレイ86は、用紙幅方向に移動自在な一対のサイドフェンス91と用紙搬送方向に移動自在な一つのエンドフェンス92とを有している。
【0053】
筐体18の上部には原稿読取部7が配設されている。原稿読取部7は、原稿93を積載する原稿受け台94、原稿93を載置するコンタクトガラス95、原稿93を搬送する原稿搬送ローラー対96及び原稿搬送ローラー97、搬送される原稿93をガイドするガイド板98,99、原稿93をコンタクトガラス95に沿って搬送する複数の原稿搬送ベルト100、読み取られた原稿93を積載する原稿トレイ101、コンタクトガラス95を除く上記各部材を支持しコンタクトガラス95に対して接離自在に設けられた圧板102、原稿画像を走査して読み取るための反射ミラー103,104及び蛍光灯105、走査された画像を集束するレンズ106、集束された画像を処理するCCD等の画像センサー107等を有している。
【0054】
上記構成中、原稿受け台94、原稿搬送ローラー対96、原稿搬送ローラー97、各ガイド板98,99、原稿搬送ベルト100、原稿トレイ101によって自動分離搬送装置108が、また、コンタクトガラス95、各反射ミラー103,104、蛍光灯105、レンズ106、画像センサー107によって原稿読取手段132がそれぞれ構成されている。
【0055】
複数の原稿搬送ベルト100の間には、搬送される原稿の長さを検出する原稿長さ検出センサー109が配設されている。マスタ長さ検出センサー33と同様の反射型センサーである原稿長さ検出センサー109は、コンタクトガラス95上における反射量の違いにより原稿93の有無を検知する。原稿長さ検出センサー109からの信号は制御手段26に入力され、この信号と原稿搬送ベルト100の作動時間とにより制御手段26は原稿93の長さを判定する。また、原稿受け台94の下方には、原稿受け台94上に残存している原稿93を検知する原稿検知センサー131が配設されている。原稿検知センサー131は、原稿受け台94上の原稿93がなくなったときに制御手段26に向けて信号を出力する。
【0056】
図9は、孔版印刷装置1の操作パネルを示している。筐体18の上部前面に設けられた操作パネル110は、その上面に製版スタートキー111、印刷スタートキー112、試し刷りキー113、連続キー114、クリア/ストップキー115、テンキー116、エンターキー117、プログラムキー118、モードクリアキー119、印刷速度設定キー120、4方向キー121、7セグメントLEDからなる表示装置122、LCDからなる表示装置123、画像領域指定キー133等の周知の構成の他、版胴8の全ての開孔部8bを覆う所定の長さでマスタ61を製版する第1製版印刷動作を行う第1製版印刷モードまたは所定の長さよりも短い任意の長さでマスタ61を製版する第2製版印刷動作を行う第2製版印刷モードの何れかに製版印刷モードを切り換えるモード選択キー124、モード選択キー124で選択された製版印刷モードを表示するLEDからなるモード表示手段124a、モード選択キー124によって第2製版印刷モードが選択されたときに製版印刷長さを選択するサイズ選択キー125、サイズ選択キー125で選択された製版印刷長さを表示するLEDからなるサイズ表示手段125a等を有している。これら各構成のうち、モード選択キー124及びサイズ選択キー125によってマスタ長さ設定手段126が構成されている。
【0057】
製版スタートキー111は孔版印刷装置1に製版動作を行わせる際に押下され、製版スタートキー111が押下されると排版動作及び原稿読取動作が行われた後に製版動作が行われ、その後、版付け動作が行われて孔版印刷装置1は印刷待機状態となる。印刷スタートキー112は孔版印刷装置1に印刷動作を行わせる際に押下され、孔版印刷装置1が印刷待機状態となり各種印刷条件が設定された後に印刷スタートキー112が押下されることにより印刷動作が行われる。試し刷りキー113は孔版印刷装置1に試し刷りを行わせる際に押下され、各種条件が設定された後に試し刷りキー113が押下されることにより1枚だけ印刷が行われる。連続キー114は製版動作と印刷動作とを連続して行う際に製版スタートキー111の押下前に押下され、連続キー114の押下後、印刷条件が入力された後に製版スタートキー111が押下されると、排版動作、原稿読取動作、製版動作に引き続いて印刷動作が行われる。
【0058】
クリア/ストップキー115は孔版印刷装置1の動作を停止させる際や置数のクリア時に押下され、テンキー116は数値入力に用いられる。エンターキー117は各種設定時に数値等を決定する際に、プログラムキー118はよく行う操作を登録したりそれを呼び出す際にそれぞれ押下され、モードクリアキー119は各種のモードをクリアして初期状態に戻す際に押下される。印刷速度設定キー120は印刷動作に先立って印刷速度を設定する際に押下され、濃いめの画像を得たい場合や雰囲気温度が低い場合等には印刷速度を遅く、薄めの画像を得たい場合や雰囲気温度が高い場合等には印刷速度を遅く設定する。4方向キー121は、上キー121a、下キー121b、左キー121c、右キー121dを有しており、画像編集時等において画像位置を調整する際や各種設定時に数値や項目等を選択する際等に押下される。
【0059】
7セグメントLEDからなる表示装置122は、主に印刷枚数等の数字を表示する。LCDからなる表示装置123は、初期状態時において図9に示すように原稿種類設定表示123a、変倍設定表示123b、用紙種類設定表示123c、位置調整設定表示123dを表示しており、各表示の下方にはそれぞれ対応する選択設定キー123A,123B,123C,123Dが配設されている。表示装置123は階層表示構造となっており、図9に示された状態から選択設定キー123Aが押下されると原稿画像モードとして文字モードや写真モード等を選択設定する原稿種類設定モードに、選択設定キー123Bが押下されると自動変倍や独立変倍等を選択設定する変倍設定モードに、選択設定キー123Cが押下されると使用される印刷用紙として標準紙や厚紙等を設定する用紙種類設定モードに、選択設定キー123Dが押下されると画像形成位置を調整する位置調整設定モードにそれぞれモード設定され、表示装置127の表示が各モードに対応してそれぞれ変化する。
【0060】
モード選択キー124は、1回押下する毎に製版印刷モードが第1製版印刷モードから第2製版印刷モードへ、第2製版印刷モードから第1製版印刷モードへと切り換えられ、通常の印刷あるいはこの印刷を最後に孔版印刷装置1を所定期間放置する場合には第1製版印刷モードが、版胴8に巻装されるマスタ61の長さを任意の長さとする場合には第2製版印刷モードが選択される。本実施例において、版胴8で印刷可能な最大の印刷用紙サイズはA3であるので、サイズ選択キー125で選択可能なマスタ61のサイズはA3サイズよりも小さいB5サイズ、A4サイズ、B4サイズの何れかに設定されている。
【0061】
図10は、制御手段26のブロック図を示している。筐体18の内部に配設された周知のマイクロコンピューターである制御手段26は、CPU127、RAM128、ROM129等を有している。ROM129には、第1製版印刷モード時(A3サイズの長さでマスタ61を作成する)及び第2製版印刷モード時(B5、A4、B4サイズのうちの何れかの長さでマスタ61を作成する)における製版部3の動作プログラムの他、孔版印刷装置1全体の動作プログラムが記憶されている。RAM128には、モード選択キー124によって選択された製版印刷モードが記憶される。なお、RAM128には図示しないバックアップ機構が設けられており、孔版印刷装置1のメイン電源が切られても記憶内容を消去されないように構成されている。
【0062】
上述の構成に基づき、以下に孔版印刷装置1の動作を説明する。先ず、自動分離搬送装置108を用いずに原稿読取手段132のみによって原稿93の読取動作を行う場合を説明する。
オペレーターは、圧板102を開放してコンタクトガラス95上に原稿93を載置した後、再び圧板102を閉じる。そして、操作パネル110上の各種キーによって製版条件を設定し、モード選択キー124を押して製版印刷モードを選択した後に製版スタートキー111を押す。ここでは最初に、モード表示手段124aの「第1」のLEDを点灯させて第1製版印刷モードが選択された場合を説明する。
【0063】
モード選択キー124が押下され、第1製版印刷モードが選択された後に製版スタートキー111が押下されると、CPU127はROM129より第1製版印刷モード時の動作プログラムを呼び出すと共に、RAM128に第1製版印刷モードが選択されたことを記憶させる。原稿読取部7では原稿93の画像が読み取られ、読み取られた画像は画像データ信号として図示しない画像メモリに送られる。
【0064】
原稿読取部7での原稿93の読取動作と並行して、排版部5では版胴8の外周面上から使用済みマスタ130を剥離する排版動作が行われる。
外周面上に使用済みマスタ130を巻装している版胴8は、制御手段26からの動作指令により作動する版胴駆動モーター24によって、図1において時計回り方向に回転駆動される。そして、使用済みマスタ130の先端が駆動ローラー81と対応する所定の排版位置に版胴8が到達したと制御手段26が判断すると、版胴8の回転が停止されると共に制御手段26から排版駆動回路に動作指令が送られて図示しない移動手段及び駆動手段が作動し、各駆動ローラー78,81を回転させると共に下排版部材75を版胴8側に移動させる。駆動ローラー81の外周面上に位置する無端ベルト83が使用済みマスタ130と当接すると版胴8が再び時計回り方向に回転し、無端ベルト83と当接してすくい上げられた使用済みマスタ130は下排版部材75と上排版部材74とで挟持されて版胴8の外周面より剥離される。剥離された使用済みマスタ130は、下排版部材75と上排版部材74とで搬送されて排版ボックス76内に廃棄された後、圧縮板77によって圧縮される。
【0065】
原稿読取部7での読取動作と並行して、印刷部2では圧接範囲可変手段134が作動して版胴8の外周面に対するプレスローラー10の圧接範囲が設定される。制御手段26は、設定された製版印刷モードを確認してステッピングモーター52に動作信号を送る。信号を受けたステッピングモーター52は図8において時計回り方向に回転駆動し、段差カム47を図8の矢印方向に回転させる。そして、ステッピングモーター52のステップ数より、カム部47aがカムフォロア43bと当接する位置まで段差カム47が回転したと制御手段26が判断すると、ステッピングモーター52の作動が停止される。
【0066】
カムフォロア43bがカム部47aと当接することにより、移動アーム43が支軸43cを中心に図8において反時計回り方向へ揺動され、この揺動に伴ってローラー43aが円板41bと当接することで支軸41は図8において左方へと移動され、カム板40aとカムフォロア38aとが当接可能となる位置に多段カム40が位置決めされる。なお、製版スタートキー111の押下と同時にソレノイド45への通電が遮断され、図7に示すように先端44aとピン38bとは係合状態にあり、プレスローラー10は、その外周面を版胴8の外周面より離間した図7に実線で示す状態で保持される。
【0067】
外周面上より使用済みマスタ130が全て剥離された後も版胴8はさらに回転を継続する。版胴8が図1に示す所定の給版位置であるホームポジションに到達してドグ25がホームポジションセンサー27に検知されると、ホームポジションセンサー27から制御手段26に向けて信号が出力される。ホームポジションセンサー27からの信号を受けた制御手段26は版胴駆動モーター24に信号を送ってその作動を停止させる。版胴8がホームポジションで停止すると、制御手段26より図示しない開閉手段へ動作信号が送られてクランパー15が開放され、版胴8が図1に示す給版待機状態となって排版動作が完了する。
【0068】
排版動作及びプレスローラー10の圧接範囲設定動作が完了すると、続いて製版動作が行われる。版胴8が給版待機状態となると、制御手段26からの指令によりステッピングモーター63が作動してプラテンローラー56が回転駆動されると共に、各駆動ローラー59a,60aが回転駆動されてマスタロール62よりマスタ61が引き出される。そして、ステッピングモーター63のステップ数より、マスタ61の画像形成領域がサーマルヘッド57の発熱素子と対応する位置に達したと制御手段26が判断すると、原稿読取部7より送られた画像データ信号に基づいてサーマルヘッド57の発熱素子が選択的に発熱し、マスタ61の熱可塑性樹脂フィルム面に製版画像が形成される。
【0069】
マスタ61は製版画像を形成されつつ、各ガイド板64,65に案内されてクランパー15へと搬送される。ステッピングモーター63のステップ数より、マスタ61の先端がステージ部14とクランパー15との間の所定位置まで到達したと制御手段26が判断すると、図示しない開閉手段が作動してクランパー15が閉じられ、ステージ部14とクランパー15とによりマスタ61の先端が挟持される。
【0070】
その後、制御手段26より版胴駆動モーター24に信号が送られ、版胴8がマスタ61の搬送速度と同じ周速度で図1において時計回り方向に回転駆動され、マスタ61の版胴8への巻装動作が行われる。そして、原稿読取部7からの画像データ信号が途絶えるとサーマルヘッド57の作動が停止し、その後、ステッピングモーター63のステップ数よりA3サイズの長さのマスタ61が製版搬送されたと制御手段26が判断すると、ステッピングモーター63及び各駆動ローラー59a,60aを駆動する図示しない駆動手段に信号が送られ、プラテンローラー56及び各マスタ搬送ローラー対59,60の回転が停止されると共に、可動刃58bが回転移動してマスタ61が切断される。切断されたマスタ61は版胴8の回転によって製版部3より引き出され、版胴8が再びホームポジションに到達してドグ25がホームポジションセンサー27に検知されると、制御手段26から指令が送られて版胴駆動モーター24が停止し、給版動作が完了する。
【0071】
給版動作に引き続き、版付け動作が行われる。版胴8がホームポジションで停止すると、制御手段26より指令が送られて版胴駆動モーター24、ステッピングモーター73、排紙搬送部材85の図示しない駆動手段がそれぞれ作動すると共にソレノイド45への通電がなされる。これにより版胴8が低速で回転駆動されると共に給紙ローラー67、分離ローラー68、駆動ローラー87、吸引ファン90がそれぞれ駆動され、また、プレスローラー10の保持状態が解除される。給紙ローラー67及び分離ローラー68の回転により、給紙トレイ66上に積載された最上位の印刷用紙Pが1枚だけ引き出され、その先端をレジストローラー対70に挟持される。
【0072】
レジストローラー対70は、版胴8に巻装されたマスタ61の版胴回転方向における画像領域先端部がプレスローラー10と対応する位置に到達する所定のタイミングにおいて、印刷用紙Pを版胴8の外周面とプレスローラー10との間に向けて給送する。また、版胴駆動手段13からの回転力を伝達されて回転している多段カム40では、レジストローラー対70の回転とほぼ同時にカム板40aの凸部とカムフォロア38aとの当接状態が解除され、プレスローラー10が引張ばね39の付勢力によってその外周面を版胴8の外周面に圧接させる。
【0073】
レジストローラー対70より給送された印刷用紙Pは、プレスローラー10によって版胴8に巻装されたマスタ61に押圧される。この押圧動作により、プレスローラー10と印刷用紙Pとマスタ61と多孔性支持板8aとが圧接し、インキローラー16によって多孔性支持板8aの内周面に供給されたインキが開孔8b及び図示しないメッシュスクリーンより滲出し、多孔性支持板8aの外周面とマスタ61の多孔性支持体との空隙部に充填された後にマスタ61の穿孔部を介して印刷用紙Pに転写され、いわゆる版付けが行われる。印刷用紙Pに画像を転写し、印刷用紙Pとの圧接を終えてマスタ61の後端の非画像領域とプレスローラー10の外周面とが圧接したところで、カム板40aの凸部とカムフォロア38aとが再度当接してプレスローラーアーム37が図7において反時計回り方向に揺動され、プレスローラー10の外周面と版胴8の外周面との圧接が解除される。
【0074】
インキを転移された印刷用紙Pは、剥離爪84の先端で版胴8の外周面より剥離されて下方へと落下し、吸引ファン90の吸引力によって無端ベルト89の上面に引き付けられつつ左方へと搬送され、排紙トレイ86上に排出される。その後、版胴8が再びホームポジションで停止して版付け動作が完了し、孔版印刷装置1は印刷待機状態となる。
【0075】
孔版印刷装置1が印刷待機状態となった後に試し刷りキー113が押下されると、版付け時と同様に給紙トレイ66上の最上位の印刷用紙Pが1枚だけ引き出されてレジストローラー対70に挟持されると共に、制御手段26より指令が送られて版胴駆動モーター24が作動して版胴8が版付け時よりも高速で回転駆動される。レジストローラー対70は高速回転している版胴8とプレスローラー10との間に印刷用紙Pを給送し、給送された印刷用紙Pはプレスローラー10によって版胴8に巻装されたマスタ61に圧接されてインキを転写され、上述と同様に排紙トレイ86上に排出される。版胴8は再びホームポジションに戻されて試し刷り動作が完了する。
【0076】
この試し刷りによって印刷画像の濃度や位置を確認し、これらを操作パネル110上の各種キーで調整して再度試し刷りを行った後、テンキー116で印刷枚数を表示装置123に置数し、印刷速度設定キー120で印刷速度を設定して印刷スタートキー112を押下することにより、給紙部4より印刷用紙Pが連続的に給送されて印刷動作が行われる。印刷動作完了後、版胴8は再びホームポジションに戻る。
【0077】
上述した動作時において、製版動作中に製版ジャムが発生したりオペレーターにより筐体18のカバーが開かれるといった異常が発生した場合には、制御手段26は装置を保護するため及びオペレーターの安全を確保するために全ての動作を停止させる。このときに、例えばサーマルヘッド57によるマスタ61への製版が完了しておらず、プラテンローラー56が1版分のマスタ61を搬送していない場合であっても、異常発生と同時に全ての動作が非常停止される。この非常停止時においてメイン電源を切断してもよいが、通常はオペレーターに非常停止であることを知らせるために警報音を発したり警報表示を行うため、これらの電源のみは確保されている。
【0078】
非常停止状態からの復帰は、オペレーターにより操作パネル110上で所定の操作が行われることによりなされる。この復帰時には、先ず切断手段58が作動してマスタ61を切断し、次に版胴駆動手段13が作動して版胴8が回転し、切断されたマスタ61が版胴8上に巻装される。このときに版胴8に巻装されるマスタ61は、非常停止時において停止した位置で切断されるために必ずしも1版分の長さを有しているとは限らないため、通常は巻装後に排版動作を行って新しいマスタ61を巻装した後に印刷が行われる。しかし、何らかの理由によりこの状態で印刷スタートキー112が押下されてしまうと印刷動作が行われてしまい、版胴8上に所定長さよりも短いマスタ61が巻装されている場合には、プレスローラー10が開孔部8bを直接押圧することによりプレスローラー10の表面が汚損し、次の印刷に重大な悪影響を及ぼしてしまう。
【0079】
そこで、本実施例に示す孔版印刷装置1では、非常停止からの復帰時において、切断手段58が作動してマスタ61を切断し、版胴駆動手段13が作動して切断されたマスタ61が版胴8上に巻装された後に、再度版胴駆動手段13を作動させて版胴8を1回転させると共にマスタ長さ検出センサー33から制御手段26に向けて信号を出力させ、制御手段26により版胴8上におけるマスタ61の長さを検出する構成とした。そして、制御手段26により検出されたマスタ61の長さがRAM128に記憶されているマスタ61の長さ(A3サイズ相当)よりも短い場合には、制御手段26は印刷スタートキー112にプロテクトをかけて印刷動作を不能とすると共に、短いマスタ61が版胴8上に巻装されている旨の表示を表示装置123に行わせる。これにより上述した不具合の発生を確実に防止できる。
【0080】
次に、モード表示手段124aの「第2」のLEDを点灯させて第2製版印刷モードが選択された場合を説明する。オペレーターは、モード選択キー124を押下して第2製版印刷モードを選択した後、サイズ選択キー125を押下して製版印刷サイズを選択する。本実施例では、サイズ選択キー125を2回押下し、サイズ表示手段125aの「A4」を点灯させてA4サイズを選択した場合を説明する。
【0081】
モード選択キー124、サイズ選択キー125が順次押され、第2製版印刷モードのA4サイズが選択された後に製版スタートキー111が押下されると、CPU127はROM129より第2製版印刷モードA4サイズ時の動作プログラムを呼び出す。また、これと同時に、RAM128に第2製版印刷モードA4サイズが選択されたことが記憶される。原稿読取部7ではA4サイズの原稿93の画像が読み取られ、読み取られた信号は画像データ信号として図示しない画像メモリに送られる。
【0082】
原稿読取動作と並行して排版部5では上述と同様の排版動作が行われ、印刷部2では圧接範囲可変手段134が作動してプレスローラー10の圧接範囲が設定される。制御手段26からの指令を受けてステッピングモーター52が作動し、カム部47cがカムフォロア43bと当接する位置まで段差カム47が回転駆動され、カム板40cとカムフォロア38aとが当接可能となる位置に多段カム40が位置決めされる。版胴8は、外周面上より使用済みマスタ130を全て剥離された後にホームポジションで停止し、クランパー15が開放されて給版待機状態となる。
【0083】
版胴8が給版待機状態となると製版動作が行われる。プラテンローラー56、各駆動ローラー59a,60aがそれぞれ回転駆動され、マスタロール62よりマスタ61が引き出されると共に、サーマルヘッド57の発熱素子に通電がなされてマスタ61が製版される。製版されたマスタ61はステージ部14とクランパー15とで挟持され、版胴8の回転によって版胴8の外周面に巻装される。そして、ステッピングモーター63のステップ数よりA4サイズの印刷が可能な1版分の長さのマスタ61が製版搬送されたと制御手段26が判断すると、ステッピングモーター63、各駆動ローラー59a,60aの回転が停止されると共に可動刃58bが回転移動してマスタ61が切断される。切断されたマスタ61は版胴8の回転によって製版部3より引き出され、版胴8が再びホームポジションで停止して給版動作が完了する。
【0084】
版胴8がホームポジションで停止すると、給紙トレイ66上の最上位の印刷用紙Pが1枚だけ引き出されると共に、版胴駆動手段13が作動して版胴8が低速で回転駆動される。給紙トレイ66より引き出されてその先端をレジストローラー対70に挟持された印刷用紙Pは、レジストローラー対70の回転により第1製版印刷モード時と同じタイミングで版胴8とプレスローラー10との間に向けて給送される。また、レジストローラー対70の回転とほぼ同時にカム板40cの凸部とカムフォロア38aとの当接状態が解除され、プレスローラー10の外周面が版胴8の外周面に圧接される。
【0085】
レジストローラー対70によって給送された印刷用紙Pは、プレスローラー10によって版胴8に巻装されたマスタ61に押圧されて印刷画像を転写される。印刷用紙Pとの圧接を終えてマスタ61の後端の非画像領域とプレスローラー10の外周面とが圧接する位置まで版胴8が回転すると、カム板40cの凸部とカムフォロア38aとが再度当接してプレスローラーアーム37が図7において反時計回り方向に揺動され、プレスローラー10の外周面と版胴8の外周面との圧接が解除される。
【0086】
印刷画像を転写された印刷用紙Pは、剥離爪84によって版胴8の外周面より剥離され、排紙搬送部材85によって搬送されて排紙トレイ86上に排出される。版胴8は再びホームポジションまで回転して停止し、孔版印刷装置1が印刷待機状態となる。
その後、試し刷りキー113を押して試し刷りを行い、画像状態を調整した後に印刷スタートキー112を押すことにより、版胴8が高速回転すると共に給紙部4より印刷用紙Pが連続的に送られて印刷動作が行われる。
【0087】
上述した印刷動作の終了後に、色替えのために版胴8を交換して印刷動作を行う場合がある。筐体18からの版胴8の抜脱は、筐体18の前面に設けられた図示しない扉を開放し、図4に示した取手28の本体28aを掴んで手前側に引き出すことにより達成される。この後、他の版胴8を筐体18に装着し、印刷スタートキー112を押下することにより、上述と同様に印刷動作が行われる。なお、印刷スタートキー112の押下時において、筐体18に設けられた図示しないマスタ有無検知センサー(版胴8がホームポジションを占めているときにクランパー15によって挟持されたマスタ61の先端部を検知する)により版胴8の外周面上にマスタ61が巻装されていないと判断された場合には、印刷スタートキー112にプロテクトがかけられて印刷動作が不能とされる。
【0088】
しかし、版胴8の交換時において、筐体18に装着された版胴8の外周面に巻装されているマスタ61が筐体18より抜脱された版胴8に巻装されていたマスタ61よりも短い場合(本実施例ではB5サイズ)には、図示しないマスタ検知センサーがマスタ61の先端部を検知しているので印刷スタートキー112を押下することで印刷が行われてしまい、プレスローラー10が開孔部8bを直接押圧することによりプレスローラー10の表面が汚損して次の印刷に重大な影響を及ぼしてしまう。
【0089】
そこで、本実施例に示す孔版印刷装置1では、版胴8の交換時において、版胴駆動手段13を作動させて版胴8を1回転させると共にマスタ長さ検出センサー33から制御手段26に向けて信号を出力させ、制御手段26により版胴8上におけるマスタ61の長さを検出する構成とした。そして、制御手段26により検出されたマスタ61の長さがRAM128に記憶されているマスタ61の長さ(A4サイズ相当)よりも短い場合には、制御手段26は印刷スタートキー112にプロテクトをかけて印刷動作を不能とすると共に、短いマスタ61が版胴8上に巻装されている旨の表示を表示装置123に行わせる。これにより上述した不具合の発生を確実に防止できる。
【0090】
なお、版胴交換時にマスタ長さ検出センサー33を作動させて版胴8上に巻装された長さを検出し、検出された長さがRAM128に記憶された長さよりも短い場合に印刷動作を不能とする構成は第1製版印刷モード選択時も同様であり、また、第1製版印刷モード時に示した非常停止後の復帰時にマスタ長さ検出センサー33を作動させて版胴8上に巻装された長さを検出し、検出された長さがRAM128に記憶された長さよりも短い場合に印刷動作を不能とする構成は第2製版印刷モード選択時も同様である。
【0091】
さらに、第2製版印刷モード時において、版胴8の交換時に、筐体18に装着された版胴8の外周面に巻装されているマスタ61が筐体18より抜脱された版胴8に巻装されていたマスタ61よりも長い場合(本実施例ではB4またはA3サイズ)には、従来の孔版印刷装置では印刷を行うことができなかった。そこで、本実施例に示す孔版印刷装置1では、制御手段26により検出されたマスタ61の長さがRAM128に記憶されているマスタ61の長さ(A4サイズ相当)よりも長い場合には、制御手段26は圧接範囲可変手段134を作動させて版胴8の外周面に対するプレスローラー10の圧接範囲を、マスタ長さ検出センサー33によって検出された長さに合わせて変化させる構成とした。この構成により、版胴交換時に元の版胴8に巻装されていたマスタ61よりも長いマスタ61が巻装された版胴8が装着された場合であっても印刷を行うことができる。しかし、この場合において、給紙部4にセットされている印刷用紙Pのサイズがマスタ61のサイズよりも小さい場合には、プレスローラー10が印刷用紙Pを介さずに直接マスタ61を押圧してしまい、プレスローラー10の表面が汚損して次の印刷に重大な影響を及ぼしてしまう虞がある。このため、元の版胴8よりも長いマスタ61が巻装された版胴8が装着された場合には、圧接範囲可変手段を作動させると共に各センサー71a,71b,71c,71dからの情報に基づいて印刷用紙Pの長さを検出し、印刷用紙Pの長さがマスタ61の長さ以上の場合にのみ印刷を許容する構成とすればよい。
【0092】
次に、自動分離搬送装置108を用いて原稿読取手段132により原稿93の読取動作を行う場合を説明する。
オペレーターは、原稿受け台94に原稿93を載置した後、製版スタートキー111を押す。製版スタートキー111が押されると、原稿搬送ローラー対96、原稿搬送ローラー97、原稿搬送ベルト100がそれぞれ回転駆動され、原稿受け台94上の原稿93がコンタクトガラス95上に搬送されて原稿画像を読み取られる。画像を読み取られた原稿93は、原稿搬送ベルト100及び原稿搬送ローラー97によって搬送され、原稿トレイ101上に排出される。この原稿93の読取時において、搬送される原稿93の長さは原稿長さ検出センサー109によって検知され、原稿長さ検出センサー109からの信号に基づいて制御手段26は原稿93のサイズを検出する。また、原稿検知センサー131によって読み込まれた原稿93が最終原稿か否かの判断を容易に行うことができる。制御手段26は、検出した原稿93のサイズに基づいて、原稿93のサイズがA3の場合あるいは最終原稿の場合には第1製版印刷モードに、原稿93のサイズがB4、A4、B5の場合には第2製版印刷モードに製版印刷モードを自動的に切り換え、各製版印刷モードに対応した動作プログラムをROM129より読み込むと共に、この製版印刷モードをRAM128に記憶させる。
【0093】
製版印刷モードが設定されると、上述と同様に、排版動作とプレスローラー10の圧接範囲の制御動作とが行われた後、製版動作、給版動作、版付動作が行われて版胴8が印刷待機状態となる。そして、試し刷りキー113が押されて試し刷りが行われた後、印刷スタートキー112が押されることで印刷動作が行われる。
【0094】
上記実施例では、自動分離搬送装置108を用いたときに原稿長さ検出センサー109及び原稿検知センサー131からの信号によって自動的に製版印刷モードを設定する構成としたが、操作パネル110上に製版印刷モードを自動設定するか手動設定するかを切り換えるキーを設け、自動分離搬送装置108の使用時にも原稿サイズにかかわらず製版印刷モードを任意に設定可能とした構成、あるいは自動分離搬送装置108の使用時に、原稿93のサイズにかかわらず給紙トレイ66上に載置された印刷用紙Pのサイズに基づいて自動的に製版印刷モードを設定する構成を採用してもよい。
【0095】
上記実施例では、製版印刷モードを手動で切り換えるモード選択キー124を設ける構成としたが、モード選択キー124を設けず、自動分離搬送装置108を用いずに原稿読取手段132のみによって原稿93の読取動作を行う場合には第1製版印刷モードに、自動分離搬送装置108を用いて原稿93の読取動作を行う場合には、上述と同様に自動的に製版印刷モードを切り換える構成を採用してもよい。
【0096】
上記実施例では、製版印刷モードを手動あるいは自動で切り換える際に、原稿93のサイズに基づいて第1製版印刷モードあるいは第2製版印刷モードに切り換える構成としたが、画像領域指定キー133と周知のコマンドシートとを用いて原稿93の原稿画像より製版すべき製版画像領域を任意に指定し、指定された製版画像領域の長さに合わせて製版印刷モードを手動あるいは自動で切り換えることも可能である。画像領域を指定して製版を行う技術は、例えば特開昭63−224468号公報に開示されている。また、周知のデジタイザー等を用いて製版画像領域を任意に指定してもよい。
【0097】
上記実施例では、押圧手段としてプレスローラーを用いたが、版胴8と同径の圧胴を用いた構成としてもよい。この場合の圧胴の揺動動作は、カムあるいはソレノイド等を用いた構成を採用することができ、圧接範囲の制御動作としては、上記実施例と同様に多段カムを用いる構成あるいはソレノイドへの通電時間を制御する構成等が挙げられる。また、上記実施例では、多段カムと段差カムとを用いて押圧部材の圧接範囲の制御を行ったが、これらに代えて、差動歯車機構を用いた可変カムを用いた構成を採用してもよい。
【0098】
さらに、上記実施例ではマスタ長さ検出手段として筐体18に固設された一つのマスタ長さ検出センサー33を用い、版胴8を回転させることにより版胴8上に巻装されたマスタ61の長さを検出する構成としたが、版胴8が特定位置(例えばホームポジション)を占めたときに、版胴8上に巻装されるマスタ61の各サイズに相当した後端部近傍に複数のセンサーを設け、各センサーからの出力信号に基づいてマスタ61の長さを検出する構成を採用してもよい。この構成によれば版胴8を回転させることなくマスタ61の長さを検出できるので、ファーストプリントタイムを短縮することができる。
【0099】
【発明の効果】
本発明によれば、筐体に版胴が装着されたときに版胴に巻装されたマスタの長さを検出するマスタ長さ検出手段を有し、マスタ長さ検出手段によって検出された長さがマスタ長さ設定手段により設定された長さと異なる場合には、マスタ長さ検出手段によって検出された長さに応じて圧接範囲可変手段を制御する制御手段を有するので、例えば色替え等の版胴交換時においても通常時と同様の印刷動作を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を採用した孔版印刷装置の概略正面図である。
【図2】本発明の一実施例を示す印刷部要部の概略正面図である。
【図3】本発明の一実施例に用いられる版胴駆動手段を説明する斜視図である。
【図4】本発明の一実施例に用いられる版胴を説明する斜視図である。
【図5】本発明の一実施例に用いられる版胴の着脱機構を説明するの部分側断面図である。
【図6】本発明の一実施例に用いられる版胴の抜脱規制手段を示す概略図である。
【図7】本発明の一実施例に用いられる圧接範囲可変手段を説明する正面図である。
【図8】本発明の一実施例に用いられる圧接範囲可変手段を説明する側面図である。
【図9】本発明の一実施例に用いられる操作パネルを示す概略図である。
【図10】本発明の一実施例に用いられる制御手段のブロック図である。
【符号の説明】
1 孔版印刷装置
3 製版手段(製版部)
4 給紙手段(給紙部)
7 排紙手段(排紙部)
8 版胴
10 押圧手段(プレスローラー)
18 筐体
26 制御手段
33 マスタ長さ検出手段(マスタ長さ検出センサー)
61 マスタ
126 マスタ長さ設定手段
134 圧接範囲可変手段
P 印刷用紙
Claims (3)
- マスタを巻装し筐体に対して着脱自在な版胴と、マスタを製版・搬送・切断する製版手段と、印刷用紙を給送する給紙手段と、前記版胴に対して接離自在に設けられ前記印刷用紙を前記版胴に押圧して画像を転写させる押圧手段と、画像が転写された前記印刷用紙を排紙する排紙手段とを具備し、
前記版胴に巻装される前記マスタの長さを任意の長さに設定するマスタ長さ設定手段と、前記マスタ長さ設定手段により設定された長さに応じて前記押圧手段の前記版胴に対する押圧範囲を変化させる押圧範囲可変手段とを有する孔版印刷装置において、
前記筐体に版胴が装着されたときに該版胴に巻装されたマスタの長さを検出するマスタ長さ検出手段を有し、該マスタ長さ検出手段によって検出された長さが前記マスタ長さ設定手段により設定された長さと異なる場合には、該マスタ長さ検出手段によって検出された長さに応じて前記押圧範囲可変手段を制御する制御手段を有することを特徴とする孔版印刷装置。 - 請求項1記載の孔版印刷装置において、
前記筐体に対して着脱自在な版胴を複数有し、これら複数の版胴はそれぞれの内部に互いに異なる色のインキを有することを特徴とする孔版印刷装置。 - 請求項1または2記載の孔版印刷装置において、
前記マスタ長さ検出手段は前記版胴の回転時に前記マスタの長さを検出することを特徴とする孔版印刷装置。
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