JP4042413B2 - 電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電池に関し、特にサイクル特性を向上させた電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ノート型コンピューター、小型携帯機器、自動車等に用いられるクリーンなエネルギー源として高性能二次電池の開発が盛んである。ここで用いられる二次電池には、小型軽量でありながら大容量・高出力であること、すなわち高エネルギー密度・高出力密度であることが求められている。また、高エネルギーを貯蔵することから安全性の確保が重要である。高エネルギー密度・高出力密度を達成できる二次電池としては、リチウム二次電池等の非水電解質二次電池が有力視されている。
【0003】
一般的にリチウム二次電池は、リチウムイオンを放出できる正極と、正極と対向し正極から放出されたリチウムイオンを吸蔵および放出できる負極と、正極及び負極の間に介在する多孔質セパレータと、正極と負極との間でリチウムイオンを移動させる電解液とを備えている。
【0004】
リチウム電池用のセパレ−タとして、耐電解液性、耐酸化還元性などの点からポリエチレンやポリプロピレン等の樹脂材料が用いられてきたが近年、安全性の向上や高温でのセル乾燥の必要性等の目的で高耐熱な樹脂を用いたセパレ−タが注目され種々の検討が行われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、高耐熱な樹脂をセパレータに用いたな電池のいくつかは従来のセパレ−タを用いた電池にくらべサイクル試験等の耐久性が充分とは言えないという問題があった。たとえば高耐熱の樹脂としてPETやPBTといったポリエステルを用いた場合、サイクル試験において従来のポリエチレンに比べ内部抵抗が上昇し大電流特性が低下するという問題点がある。
【0006】
そこで、本発明では高耐熱なセパレータを用いた電池においてサイクル特性を向上させることを解決すべき課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する目的で本発明者等は鋭意研究を行った結果、高耐熱性の樹脂からなるセパレータを用いた電池のサイクル特性が思わしくない理由として負極のみに接触しているセパレータの耐久性の低さに着目した。一般的なリチウム電池ではデンドライド形成抑制等の目的で負極面積を大きくしているので、負極にのみ接触し正極とは接触しないセパレータの部分(主に周辺部)が生ずることとなる。ここで、負極のみに接触しているセパレータについて検討を行うと、負極から供給される電子により非常に高い還元雰囲気が形成されセパレータが分解される結果、電池反応を阻害してサイクル特性が劣化することが判明した。そこで、高い還元雰囲気である負極にのみ接触するセパレータを保護するために負極のみに接触するセパレータと負極との間に耐還元性の高い電子絶縁性被膜を介在させることで電池のサイクル特性を向上できることを見出し以下の発明を行った。
【0008】
すなわち、本発明の電池は、リチウムイオンを放出及び吸蔵できる正極と、該正極から放出されたリチウムイオンを吸蔵および放出でき該正極と対向して配設され該正極よりも対向する面積が大きい負極と、該正極及び該負極に狭持された薄膜でありポリエステル系樹脂から形成されるセパレータと、を有する電池であって、
前記正極と接触しない前記セパレータの一部表面の反対面と接触する前記負極の一部表面は、該セパレータよりも耐還元性の高い電子絶縁性被膜が形成されていることを特徴とする(請求項1)。
【0009】
セパレータとして耐還元性はあまり高くないものの基本的な性能が高いポリエステル系樹脂から形成されるものを採用することで安全性及び製造時の操作性の高い電池とすることができる。
ここで電子絶縁性被膜は負極表面上に一体的に被覆することで(請求項2)、電子のセパレータへの移動を効率的に阻害できる。また、電子絶縁性被膜はLUMOの値を1.0eV以上とすることで(請求項3)、電池内部において充分な耐還元性を発揮することができる。そして電子絶縁性被膜はイオン導電性をもつことで(請求項4)、通常の電池反応の阻害を最小限とすることができる。また、電子絶縁性被膜はシランカップリング剤の重合物とすることが材料の入手性、電子絶縁性被膜形成の容易性等の観点からは好ましい(請求項5)。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の電池(リチウム二次電池)を実施形態に基づいて説明する。なお、本発明は、以下の実施形態により限定されるものではない。
【0012】
本実施形態のリチウム二次電池は、リチウムイオンを吸蔵・脱離できる活物質を含む活物質層をもつ正極及び負極と、セパレータとを有する。ここで、負極は正極とセパレータを介して対向するように配設されるが、それぞれの対向面の面積は負極が正極より大きい。セパレータは負極と正極との間を確実に絶縁する目的で少なくとも対向する面積の大きい負極表面を完全に覆うだけの大きさとし、より好ましくは負極の面積よりも大きくする。
【0013】
したがって、セパレータには負極には接触するが正極には接触しない部分が存在する。この正極には接触していない部分の反対側であるセパレータの一部表面と接触する負極の一部表面には電子絶縁性被膜が形成される。
【0014】
電子絶縁性被膜は電子の透過を阻害することで負極のみに接触するセパレータの一部表面の存在する雰囲気の還元性を低下させる。電子絶縁性被膜は負極全面に形成しても良いが、電池の内部抵抗低減のためには前述の負極の一部表面のみに形成することが好ましい。電子絶縁性被膜としては特に限定しないが、シランカップリング剤の重合物、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等の有機物イオン伝導体や、Li4SiO4−Li3PO4、LiO−Al2O3−TiO2−P2O5等の金属酸化物イオン伝導体が好ましい。
【0015】
電子絶縁性被膜としてはLUMOの値が1.0eV以上であることが好ましい。ここでLUMOの値は電子絶縁性被膜としてそれを構成する分子(高分子なら高分子)について、MOPAC(Ver.7)を用いてAusteinModel1(AM1)に基づく半経験的な分子軌道計算により求めた値である。
【0016】
電子絶縁性被膜は予め薄膜を形成して負極に重ね合わせても良いし、負極上に一体的に薄膜を形成しても良い。薄膜の形成方法としては公知の方法等どのような方法であっても良い。たとえば、適正な溶媒に電子絶縁性被膜を構成する材料を溶解させた溶液を塗布・乾燥したり、電子絶縁性被膜を構成する材料を構成するシランカップリング剤等のモノマーを重合させたりすることで電子絶縁性被膜を形成可能である。
【0017】
シランカップリング剤としては、メチルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−ユレイドプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリプロピルトリメトキシシランが好ましい。
【0018】
セパレータは、正極および負極を電気的に絶縁し、電解液を保持する役割を果たすものである。セパレータとしては融点乃至は軟化点(以下「融点等」という)が150℃以上の樹脂から形成できる。高い融点等を有する樹脂をセパレータに採用することで、高温における電池の安全性を向上できると共に、電池を劣化させる水分を除去するために高温で乾燥させることも可能となる。
【0019】
セパレータを構成する樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂やこれらを変性させた高分子から構成される。ポリエチレンテレフタレート、PBTが好ましい。
【0020】
これらの樹脂からセパレータを形成する方法としては特に限定しないが、生産性に優れるセパレータの製法として、セパレータを構成する高分子を常温あるいは高温化で溶剤に溶解し、電極等の基材表面に塗布(溶剤キャスティング)した後、その高分子を難溶性液体等に浸漬させたり高分子溶液を難溶性液体に接触、冷却する等して樹脂を析出、乾燥後高分子多孔質膜を得る溶剤キャスト法が好適である。そしてその後、必要に応じてセパレータを構成する高分子間を適正な方法で架橋させ、不溶化し対溶媒性を向上することが好ましい。また、基材として電極を選択した場合にはそのまま電極とセパレータとを一体化させたまま電池に適用することもできる。電極とセパレータとを一体化する場合にはセパレータを負極表面に形成する前に電子絶縁性被膜を負極表面に形成することが好ましい。なおセパレータは、正極と負極との絶縁を担保するため、正極および負極よりもさらに大きいものとするのが好ましい。
【0021】
以下にその他、本実施形態のリチウム電池の各構成要素等について説明する。本実施形態のリチウム二次電池は、その形状には特に制限を受けず、コイン型、円筒型、角型等、種々の形状の電池として使用できる。本実施形態では、円筒型のリチウム二次電池に基づいて説明を行う。
【0022】
本実施形態のリチウム二次電池は、正極および負極をシート形状として両者をセパレータを介して積層し渦巻き型に多数回巻回した巻回体を空隙を満たす電解液とともに所定の円筒状のケース内に収納したものである。正極と正極端子部とが、そして負極と負極端子部とが、それぞれ電気的に接合されている。
【0023】
正極は、リチウムイオンを充電時には放出し且つ放電時には吸蔵することができる正極活物質をもつ。正極活物質としては、層状構造またはスピネル構造のリチウム−金属複合酸化物のうちの1種以上であるリチウム−金属複合酸化物含有活物質が例示できる。
【0024】
リチウム−金属複合酸化物含有活物質としては、たとえば、Li(1-X)NiO2、Li(1-X)MnO2、Li(1-X)Mn2O4、Li(1-X)CoO2、Li(1-X)FeO2等や、各々にLi、Al、そしてCr等の遷移金属を添加または置換した材料等である。この例示におけるXは0〜1の数を示す。なお、これらのリチウム−金属複合酸化物を正極活物質として用いる場合には単独で用いるばかりでなくこれらを複数種類混合して用いることもできる。このなかでもリチウム−金属複合酸化物含有活物質としては、層状構造またはスピネル構造のリチウムマンガン含有複合酸化物、リチウムニッケル含有複合酸化物およびリチウムコバルト含有複合酸化物のうちの1種以上であることが好ましい。コスト低減の観点からはリチウム−金属複合酸化物含有活物質は、層状構造またはスピネル構造のリチウムマンガン含有複合酸化物およびリチウムニッケル含有複合酸化物のうちの1種以上であることがさらに好ましい。
【0025】
正極は前述の正極活物質を結着材、導電材等の公知の添加材と混合した後に金属箔等からなる集電体上に塗布され正極合材層が形成される。
【0026】
負極は、リチウムイオンを充電時には吸蔵し、かつ放電時には放出する負極活物質を用いることができれば、その材料構成で特に限定されるものではなく、公知の材料・構成のものを用いることができる。たとえば、リチウム金属、グラファイト又は非晶質炭素等の炭素材料等である。そのなかでも特に炭素材料を用いることが好ましい。炭素材料は比表面積が比較的大きくでき、リチウムの吸蔵、放出速度が速いため大電流での充放電特性、出力・回生密度に対して良好となる。特に、出力・回生密度のバランスを考慮すると、充放電に伴ない電圧変化の比較的大きい炭素材料を使用することが好ましい。また、このような炭素材料を負極活物質に用いることで、より高い充放電効率と良好なサイクル特性とが得られる。
【0027】
このように負極活物質として炭素材料を用いた場合には、これに必要に応じて導電材および結着材を混合して得られた負極合材が集電体に塗布されてなるものを用いることが好ましい。
【0028】
非水電解液は、有機溶媒に支持塩を溶解させたものである。
【0029】
有機溶媒は、通常リチウム二次電池の電解液の用いられる有機溶媒であれば特に限定されるものではなく、例えば、カーボネート類、ハロゲン化炭化水素、エーテル類、ケトン類、ニトリル類、ラクトン類、オキソラン化合物等を用いることができる。特に、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等及びそれらの混合溶媒が適当である。
【0030】
例に挙げたこれらの有機溶媒のうち、特に、カーボネート類、エーテル類からなる群より選ばれた一種以上の非水溶媒を用いることにより、支持塩の溶解性、誘電率および粘度において優れ、電池の充放電効率も高いので、好ましい。
【0031】
支持塩は、その種類が特に限定されるものではないが、LiPF6、LiBF4、LiClO4およびLiAsF6から選ばれる無機塩、該無機塩の誘導体、LiSO3CF3、LiC(SO3CF3)2、LiN(SO3CF3)2、LiN(SO2C2F5)2およびLiN(SO2CF3)(SO2C4F9)から選ばれる有機塩、並びにその有機塩の誘導体の少なくとも1種であることが好ましい。
【0032】
これらの支持塩の使用により、電池性能をさらに優れたものとすることができ、かつその電池性能を室温以外の温度域においてもさらに高く維持することができる。支持塩の濃度についても特に限定されるものではなく、用途に応じ、支持塩および有機溶媒の種類を考慮して適切に選択することが好ましい。
【0033】
ケースは、特に限定されるものではなく、公知の材料、形態で作成することができる。
【0034】
ガスケットは、ケースと正負の両端子部の間の電気的な絶縁と、ケース内の密閉性とを担保するものである。たとえば、電解液にたいして、化学的、電気的に安定であるポリプロピレンのような高分子等から構成できる。
【0035】
【実施例】
(実施例1)
以下の方法で18650電池を作製し実施例1の試験電池とした。負極は負極活物質としての人造黒鉛98質量部、結着材としてのSBR1質量部及びカルボキシメチルセルロール1質量部から構成される合剤層が集電体としての帯状のCu箔上に形成されている。この負極の全面をシランカップリング剤(信越化学製KBM5103:3,3,3−トリプロロプロピルトリメトキシシラン)を5質量部と水1質量部とを溶解したエタノール液に浸漬後、150℃で3時間乾燥してシランカップリング剤を重合させることにより、負極の表面にシランカップリング剤からなる電子絶縁性被膜で覆った。
【0036】
正極は正極活物質としてのニッケル酸リチウム86質量部、導電材としてのカーボンブラック10質量部及び結着材としてのポリ酸化ビニリデン4質量部から構成される合剤層が集電体としての帯状のAl箔上に形成されている。
【0037】
電解液は、エチレンカーボネート3体積部及びジエチルカーボネート7体積部からなる溶媒の1L当たりに1molのLiPF6を溶解したものを用いた。
【0038】
セパレ−タはPBT樹脂を用いた高耐熱セパレ−タを用いた。このセパレータは次の方法により得た。飽和ポリエステル(東洋紡績製、バイロンKS021)30質量部を溶媒としてのN−メチルピロリドン70質量部中に135℃で溶解し高分子溶液を得た。この溶液を剥離フィルム上に、ブレードコーターにて塗布したのち、エタノール浴に15秒間浸漬し、樹脂をゲル化して析出した後、40℃の水中に1分間浸漬してエタノールを洗い流した後、80℃で乾燥して剥離フィルム上に多孔質樹脂成型体を得た。この樹脂成型体を剥離フィルム上から剥離して帯状のセパレータを得ることができた。
【0039】
以上で得られた帯状の正極および帯状の負極が短絡せぬよう帯状のセパレータを間に挟んで、これらを重ね合わせて巻回させ、巻回型電極体を形成した。得られた巻回型電極体をケースの内部に挿入し、ケース内に保持した。このとき正極および負極のリードタブ溶接部に集電リードの一端を溶接し、その集電リードの他端のそれぞれをケースの正極端子及び負極端子に接合した。その後、電解液を巻回型電極体を保持したケース内に注入した後、ケースを密閉、封止した。以上の手順により、φ18mm、軸方向の長さ65mmの円筒型リチウム二次電池を製作した。
【0040】
(実施例2)
実施例1の負極のシランカップリング処理において、シランカップリング剤としての3,3,3−トリプロロプロピルトリメトキシシランに代えて、3−ユレイドプロピルトリエトキシシラン(信越化学製 KBE−585)とした以外は同様の方法で18650電池を作成し実施例2の試験電池とした。
【0041】
(実施例3)
実施例1の負極のシランカップリング処理において、シランカップリング剤としての3,3,3−トリプロロプロピルトリメトキシシランに代えて、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学製 KBE−903)とした以外は同様の方法で18650電池を作成し実施例3の試験電池とした。
【0042】
(実施例4)
実施例1の負極のシランカップリング処理に代えて、負極の表面をポリエチレンオキシド水溶液(10%)を塗布・乾燥させてポリエチレンオキシドの被膜を負極表面に形成した以外は同様の方法で18650電池を作成し実施例4の試験電池とした。
【0043】
(実施例5)
実施例5の負極表面へのポリエチレンオキシド溶液の塗布を正極に接触しないセパレータが接触する部分のみとするために負極の端部から1mmの範囲にだけ行った以外は同様の方法で18650電池を作成し実施例5の試験電池とした。
【0044】
(比較例1)
実施例1の負極のシランカップリング処理を行わず且つセパレータとしてポリエチレン多孔質膜(膜厚25μm)とした以外、同様に18650電池を作製し比較例1の試験電池とした。セパレータは電池の製造時に正極と負極との間に狭持して巻回した。
【0045】
(比較例2)
上記実施例の負極のシランカップリング処理を行わない以外、同様に18650電池を作製し比較例2の試験電池とした。
【0046】
(評価試験)
〈電池初期容量〉
各試験電池について、初回は充電電流0.25(mA/cm2)で4.1(V)までCC−CV充電を行い、その後、放電電流0.33(mA/cm2)で3.0(V)までCC放電を行った。次に充電電流1.1(mA/cm2)で4.1(V)までCC−CV充電を行い、その後、放電電流1.1(mA/cm2)で、3.0(V)までCC放電を行うサイクルを4サイクル行った。その後、充電電流1.1(mA/cm2)で4.1(V)までCC−CV充電を行い、その後、放電電流0.33(mA/cm2)で3.0(V)までCC放電を行った。この時の放電容量を電池初期容量とした。電池初期容量は、電池内に充填した正極活物質の質量で規格化した値を比較した。なお、以上の操作は20℃の雰囲気で行った。
【0047】
〈充放電サイクル試験〉
初期容量測定後の各試験電池を、雰囲気温度60℃の恒温槽内に入れ、充電電流2.2(mA/cm2)で4.1(V)までCC充電を行い、その後、放電電流2.2(mA/cm2)で3.0(V)までCC放電を行うサイクルを500サイクル繰り返した。
【0048】
〈電池の内部抵抗測定〉
上記充放電サイクル試験後に、雰囲気温度20℃にて充電電流1.1(mA/cm2 )で3.75(V)までCC−CV充電し、交流インピーダンス測定装置(周波数応答アナライザsolartron1260、ポテンショ/ガルバノスタットsolartron1287、(株)東陽テクニカ製)にて周波数100kHz〜0.02Hzまで走査し、コール−コールプロットを作成し、円弧部分を円でフィッティングして、実数部軸と交差する大きい方の抵抗値を求め、本電池の内部抵抗とした。その初期容量測定後と充放電サイクル試験後の内部抵抗の値の比を求めた。
【0049】
〈保存特性〉
初期容量測定後の各試験電池を、雰囲気温度20℃において、充電電流1.1(mA/cm2)で4.1(V)までCC−CV充電を行った後、雰囲気温度60℃の恒温槽内に入れ、720時間開回路保存を行った。その後、雰囲気温度を20℃に戻し、充電電流0.33(mA/cm2)で3.0(V)までCC放電し、この時の放電容量と電池初期容量の比を比較した。なお、この時の放電容量の値も電池内の正極活物質の質量で規格化した。
【0050】
〈出力〉
初期放電容量測定後、雰囲気温度を25℃に保ち、充電電流1000mAで、3.750V(SOC60%)までCC−CV充電した。
【0051】
その後、300mA、900mA、2.7A、8.1Aの順にそれぞれ10秒間放電、10秒間充電を繰り返し、それぞれの点の電流値、開回路電池電圧を直線近似し、その直線が3.0Vと交差する点の電流値を読み取り、その電流値に3Vを乗ずることにより出力を求めた。なお、測定はすべて25℃で行った。
【0052】
〈LUMO値〉
PBT、実施例1〜3で用いたシランカップリング剤の重合物及びポリエチレンオキシドについて、MOPAC(Vcr.7)を用い、AusteinModel1(AM1)に基づく半試験的な分子軌道計算を行った。
【0053】
(評価結果)
結果を表1に示す。
【0054】
【表1】
【0055】
表1から明らかなように、ポリエチレン製セパレータを用いた比較例1の電池ではサイクル試験後の内部抵抗増加率は初期の内部抵抗を100%としたときに189%であった(以下同じ)のに対し、PBT製セパレータを用いた比較例2の電池ではサイクル試験後の内部抵抗増加率は243%であった。これはポリエチレンが耐還元性に優れるのに対してPBTの耐還元性が低いことに起因するものと考えられる。ここで、PBTのLUMOの値は−1.07eVである。なお、ここでは詳細を示さないがPBTの融点は185℃であるので、融点が120℃付近であるポリエチレンよりもPBTは耐熱性に優れPBTをセパレータに採用した比較例2の試験電池は比較例1の試験電池よりも高温安定性に優れている。なお、各実施例の試験電池もセパレータに耐熱性の高いPBTを用いているので耐熱性の高い電池であると推察できる。
【0056】
また、各実施例の試験電池はサイクル試験後の内部抵抗増加率が比較例2よりも小さくなっており、負極表面に形成した電子絶縁性被膜の効果が現れている。特に電子絶縁性被膜のLUMO値が大きくなるにつれて抵抗増加率の値が小さくなっていることが表1から明らかである。なお、出力の値について実施例5の試験電池方が実施例4の試験電池よりも高く、抵抗増加率の値はほとんど同じであることから、電子絶縁性被膜を配設する部位としては、負極の表面全体のうち、正極に接触していないセパレータが接触している一部表面のみとすることが好ましいことが明らかとなった。
【0057】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の電池は、正極と接触しないセパレータの一部表面の反対面と接触する負極の一部表面に、耐還元性の高い電子絶縁性被膜を介在させることで、サイクル特性に優れる安全性等の高い電池を提供できる。
Claims (5)
- リチウムイオンを放出及び吸蔵できる正極と、該正極から放出されたリチウムイオンを吸蔵および放出でき該正極と対向して配設され該正極よりも対向する面積が大きい負極と、該正極及び該負極に狭持された薄膜でありポリエステル系樹脂から形成されるセパレータと、を有する電池であって、
前記正極と接触しない前記セパレータの一部表面の反対面と接触する前記負極の一部表面は、該セパレータよりも耐還元性の高い電子絶縁性被膜が形成されていることを特徴とする電池。 - 前記電子絶縁性被膜は負極表面上に一体的に被覆される請求項1に記載の電池。
- 前記電子絶縁性被膜はLUMOの値が1.0eV以上である請求項1又は2に記載の電池。
- 前記電子絶縁性被膜はイオン導電性をもつ請求項1〜3のいずれかに記載の電池。
- 前記電子絶縁性被膜はシランカップリング剤の重合物である請求項1〜4のいずれかに記載の電池。
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