JP4040759B2 - 洗浄装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は被洗浄物の外周面を洗浄するための洗浄ブラシを用いた洗浄装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体装置の製造工程においては、被洗浄物としての半導体ウエハを高い清浄度で洗浄することが要求される工程がある。上記半導体ウエハを洗浄する方式としては、洗浄液中に複数枚の半導体ウエハを浸漬するデイップ方式や半導体ウエハに向けて洗浄液を噴射して一枚づつ洗浄する枚葉方式があり、とくに最近では半導体ウエハの大口径化にともない高い清浄度が得られるとともに、コスト的に有利な枚葉方式が採用されることが多くなってきている。
【0003】
枚葉方式の1つとして洗浄ブラシを用いた洗浄装置が知られている。この洗浄装置は半導体ウエハをほぼ水平な状態で回転駆動できるように保持するとともに、その上下両面側にロ−ル状の一対の洗浄ブラシを上下駆動できるように配置する。
【0004】
そして、これら洗浄ブラシを上記半導体ウエハの上下面にそれぞれ接触させ、その接触部分に洗浄液を供給しながら上記半導体ウエハと洗浄ブラシとを回転させることで、上記半導体ウエハの上下両面を洗浄するようになっている。
【0005】
半導体ウエハは回路パターンが形成される上面側の清浄度が要求されるものの、下面側が汚れていると、半導体ウエハをケースに積層収容したときに、その下面側の汚れが下方に位置する半導体ウエハの上面に転移する。したがって、半導体ウエハの上下両面を洗浄し、半導体ウエハ間において汚れが転移するのを防止している。
【0006】
ところで、半導体ウエハはその上下面だけでなく、外周面が汚れている場合もある。しかも、半導体ウエハが大口径化した場合には、歩留まりを向上させるため、オリフラに代わり半導体ウエハの外周面にノッチを形成するようにしている。そのため、上記ノッチに塵埃が入り込んで付着し易いということもある。
【0007】
しかしながら、従来の洗浄装置では、一対の洗浄ブラシによって回転駆動される上記半導体ウエハの上下面は清浄に洗浄することができても、外周面を洗浄することができなかった。
【0008】
とくに、ノッチに入り込んだ塵埃を洗浄できるようにした洗浄ブラシや洗浄装置が開発されていなかった。そのため、半導体ウエハの外周面及びノッチに付着した塵埃が確実に除去されないことがあり、そのような場合には、その塵埃が他の半導体ウエハの清浄な上下面に転移するということがあった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来は被洗浄物の外周面を確実に洗浄することができなかったので、その外周面の汚れが他の被洗浄物に転移するということがあり、特に被洗浄物の外周面にノッチが形成されていると、そのノッチに入り込んだ塵埃を洗浄除去することが難しいということがあった。
この発明は、被洗浄物の外周面を確実に洗浄することができるようにした洗浄装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、回転駆動される被洗浄物の外周面を洗浄する洗浄装置において、
上記被洗浄物に対して接離する方向に駆動される可動部材と、
この可動部材に支持部材を介して回転可能に取り付けられ上記可動部材が上記被洗浄物に接近する方向へ駆動されることで上記被洗浄物の外周面に接触する洗浄ブラシとを具備し、
上記洗浄ブラシは弾性変形可能な合成樹脂によって形成された本体部を有し、この本体部の外周面には周方向に所定間隔で複数の凸部が形成されていて、
上記洗浄ブラシの本体部は、テーパ部及びこのテーパ部の大径部側の端部に形成された鍔部を有し、上記テーパ部の外周面に上記凸部が形成されているとともに、上記テーパ部の小径部側を上記被洗浄物に向けて配置されていることを特徴とする洗浄装置にある。
【0013】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、上記洗浄ブラシは回転自在に設けられ、上記被洗浄物の外周面に接触することで従動して回転する構成であることを特徴とする。
【0015】
請求項3の発明は請求項1の発明において、上記可動部材は被洗浄物の上面側と下面側とに配置され被洗浄物の上面側に位置する一方の可動部材にはこの被洗浄物の上面を洗浄する上部洗浄ブラシが設けられ、下面側に位置する他方の可動部材には被洗浄物の下面を洗浄する下部洗浄ブラシが設けられていることを特徴とする。
【0017】
請求項1の発明によれば、洗浄ブラシの本体部は、外周面に凸部が形成されたテーパ部及びこのテーパ部の大径部側に形成された鍔部を有するから、テーパ部の小径部側を被洗浄物に向け、洗浄ブラシを被洗浄物に接近する方向へ駆動することで、テーパ部の外周面を被洗浄物の外周面に確実に接触させることができ、しかも鍔部を被洗浄物の外周縁部に接触させることができるから、被洗浄物の外周縁部も洗浄することができる。
【0018】
請求項2の発明によれば、洗浄ブラシを被洗浄物の回転に従動させて回転させるようにしたから、洗浄ブラシを回転させるための駆動機構が不要となるばかりか、洗浄ブラシが早期に損耗するのを防止できる。
【0019】
請求項3の発明によれば、被洗浄物の上面と下面を洗浄する上部洗浄ブラシと下部洗浄ブラシが設けられる可動部材に、被洗浄物の側部を洗浄する洗浄ブラシを設けるようにしたから、その洗浄ブラシを上下駆動させるために、専用の機構を必要とすることがない。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の第1の実施の形態を図1乃至図9を参照して説明する。
図2に示すブラシ洗浄装置は筐体21を備えている。この筐体21の内部には仕切板22が設けられ、この内部を上部室23と下部室24とに隔別している。上部室23には被洗浄物としての半導体ウエハUを保持して回転させる保持機構25が設けられている。この半導体ウエハUの外周面には結晶方向を示すV字状のノッチN( 図11に示す)が形成されている。上記保持機構25はそれぞれ4本の内側支持ピン26と外側支持ピン27とが周方向に90度間隔で配置されている。
【0021】
各支持ピン26、27は図7に示すように駆動軸28の上端のねじ部28aに着脱自在にねじ込まれた基軸部29aを有する。この基軸部29aはピ−ク材などの合成樹脂によって形成されていて、その上端面には弗素樹脂などによって形成された押え部材29bがねじ31によって着脱自在に取付けられている。この押え部材29bの外周面下端側には突部32が形成されている。この突部32にはゴムなどの摩擦係数の高い材料によってリング状に形成された支持部材29cが設けられ、上記基軸部29aの上端面とで挟持固定されている。
【0022】
4本の内側支持ピン26の支持部材29cには図4に鎖線で示すように所定径の半導体ウエハU1 が周辺部を係合載置して保持される。したがって、内側支持ピン26が図中矢印で示す反時計方向に回転駆動されれば、上記半導体ウエハU1 は上記支持部材29cとの接触摩擦によって逆方向である時計方向に回転駆動されるようになっている。
【0023】
4本の外側支持ピン27には、内側支持ピン26に支持される半導体ウエハU1 よりも大径な半導体ウエハU2 が周辺部を係合させて保持される。ノッチNは大径な半導体ウエハU2 に形成されることが多い。
【0024】
上記内側支持ピン26あるいは外側支持ピン27が図4に矢印で示す反時計方向に回転駆動されれば、上記半導体ウエハU2 は支持部材29cとの接触摩擦によって時計方向に回転駆動されることになる。つまり、内側支持ピン26と外側支持ピン27とを設けることで、サイズの異なる半導体ウエハU1 、U2 を保持できるようになっている。
【0025】
なお、外側支持ピン27に半導体ウエハU2 を保持する場合、内側支持ピン26は駆動軸28のねじ部28aから取り外される。
上記各支持ピン26、27が取付られた駆動軸28は図3に示すようにそれぞれ軸受筒体32によって上部と下部とが軸受32aにより回転自在に支持されている。各軸受筒体32は上記仕切板22に形成された通孔33に挿通され、下部室24に水平に配置された取付板34に立設されている。
【0026】
上記軸受筒体32の上部室23に位置する部分は上部カバ−35によって覆われている。この上部カバ−35は上記通孔33よりも大径に形成され、図4に示すように2組の内側支持ピン26と外側支持ピン27とを覆う大きさに設定されている。
【0027】
上記通孔33の周辺部には上記上部カバ−35の内部に入り込む下部カバ−36が立設されている。それによって、上記半導体ウエハUを洗浄するときに使用される洗浄液が上記通孔33から仕切板22の下面側へ侵入するのを阻止するラビリンス構造になっている。
【0028】
上記各支持ピン26、27を回転駆動する駆動軸28は取付板34の下面側に突出し、各突出端部には従動歯車38が嵌着されている。内側支持ピン26の駆動軸28に嵌着された従動歯車38は外側支持ピン27の駆動軸28に嵌着された従動歯車38よりも上方に位置している。
【0029】
各従動歯車38は駆動歯車39に噛合している。この駆動歯車39は上部歯車部39aと下部歯車部39bとが一体的に形成されていて、上部歯車部39aに上記内側支持ピン26の従動歯車38が噛合し、下部歯車部39bに外側支持ピン26の従動歯車38が噛合している。
【0030】
上記駆動歯車39は駆動モ−タ41の回転軸41aに取付けられている。この駆動モ−タ41は上記取付板34にブラケット42を介して取付けられている。したがって、上記駆動モ−タ41が作動して駆動歯車39が回転されると、この回転に連動する従動歯車38を介して駆動軸28、つまり内側支持ピン26と外側支持ピン27とが回転駆動されるようになっている。
【0031】
なお、図7に示すように各支持ピン26、27の基軸部29aの下端部には凹部43が形成され、上記上部カバ−35には上記凹部43に入り込むフランジ44が突設されている。それによって、上記上部カバ−35の駆動軸28が挿通された部分からその内部へ洗浄液が侵入するのを防止するラビリンス構造となっている。
【0032】
上記仕切板22の下面側には上面側に連通する複数の排出管45が接続されている。各排出管45は図2に示すようにチュ−ブ46を介して気液分離器47に接続されている。この気液分離器47は上記排出管45から排出される気体と液体とを分離する。分離された液体は排液管48によって排液され、気体は排気管49によって排気されるようになっている。
【0033】
上記内側支持ピン26あるいは外側支持ピン27に保持された半導体ウエハUの上下面は上部洗浄ブラシ51と下部洗浄ブラシ52とによってブラシ洗浄されるようになっている。各洗浄ブラシ51、52は駆動機構53によって上記半導体ウエハUの上下面に接触する洗浄状態と、半導体ウエハUの上下面から所定距離離間する位置に退避する退避状態とに駆動されるようになっている。
【0034】
上記駆動機構53は図2に示すように上記取付板34の下面に上端を固定して垂設されたベ−ス板54を有する。このベ−ス板54の一方の板面側には図6に示すように平板状の取付け部材55の一方の板面が接合され、支軸56によって回動自在に保持されている。
【0035】
上記取付け部材55には図1に示すように上記支軸56を中心として所定の半径で4つの長孔57が形成され、各長孔57から上記ベ−ス板54にねじ58が螺合されている。したがって、上記ねじ58を緩めることで、上記取付け部材55は支軸56を中心として長孔57の範囲内で左右方向へ回動させることができるようになっている。
【0036】
上記取付け部材55の他方の板面にはレ−ル状の一対のガイド体61(図6に示す)が所定の間隔で、かつ上下方向に沿って設けられている。一方のガイド体61には第1のスライド体62がスライド自在に設けられ、他方のガイド体61には第2のスライド体63がスライド自在に設けられている。
【0037】
各スライド体62、63は図1に示すように上記ガイド体61にスライド自在に係合するスライダ64が設けられた基部65と、この基部65の上端面に立設された支柱部66とからなる。
【0038】
各スライド体62、63の支柱部66は、仕切板22に形成された通孔67を貫通して上部室23に突出ている。この貫通部は、図1に示すように上部カバ−70aと下部カバ−70bとによって洗浄液が侵入するのを阻止するラビリンス構造となっている。
【0039】
上記第1のスライド体62の支柱部66の上端には上部支持板68が水平に取付けられ、第2のスライド体63の支柱部66の上端には下部支持板69が水平に取付けられている。
【0040】
各支持板68、69には図4と図5に示すようにコ字状の凹部71aによって一対の支持部71が所定の間隔で形成されている。各支持部71にはそれぞれ支持軸72が軸線を一致させるとともに軸受73によって回転自在に支持されている。各支持軸72の上記凹部71a側に突出した一端部にはねじ74が形成され、そのねじ74にはナット体75およびこのナット体75の移動を阻止するために固定ナット76が螺合されている。上記ナット体75の先端部は外周面を傾斜させたテ−パ凸部77に形成されている。さらに支持軸72の先端面には第1の係合部としての係合凹部78が径方向に貫通して形成されている。
【0041】
一方の支持軸72の後端部は軸受73から突出し、その突出端には従動プ−リ79が嵌着されている。
図1に示すように、上部支持板68の上面の幅方向一端側には上部駆動モ−タ81が配置され、下部支持板69の上面の幅方向他端側には下部駆動モ−タ82が配置されている。各駆動モ−タ81、82の回転軸81a、82aには駆動プ−リ83が嵌着されている。
【0042】
上部駆動モ−タ81の駆動プ−リ83と上部支持板68の一方の支持軸72に設けられた従動プ−リ79とには第1の駆動ベルト84が張設され、下部駆動モ−タ82の駆動プ−リ83と下部支持板69の一方の支持軸72に設けられた従動プ−リ79とには第2の駆動ベルト85が張設されている。
【0043】
上部支持板68の一対の支持軸72には上記上部洗浄ブラシ51が保持され、下部支持板69の一対の支持軸72には上記下部洗浄ブラシ52が支持される。したがって、上記各駆動モ−タ81、82が作動することで、上記各洗浄ブラシ51、52が回転駆動されるようになっている。
【0044】
上記支持軸72による各洗浄ブラシ51、52の支持構造は図5に示すようになっている。つまり、洗浄ブラシ51、52は上記半導体ウエハUの直径寸法よりも長尺なブラシ軸86を有する。ブラシ軸86の外周面にはたとえばPVA(ポリビニルアルコール)などの弾性材料によって筒状に形成されたブラシ部材87が装着されている。ブラシ軸86の両端部はブラシ部材87から突出し、その突出端部には上記支持軸72の係合凹部78に係合する係合凸部88が径方向全長にわたって形成されている。さらに、ブラシ軸86の端面には上記ナット体75の先端部に形成されたテ−パ凸部77が係合する環状のテ−パ凹部89が形成されている。
【0045】
したがって、各洗浄ブラシ51、52は、各支持軸72に螺合されたナット体75を図5に鎖線で示すように後退させた状態で、そのブラシ軸86の両端部に形成された係合凸部88を一対の支持軸72の係合凹部78に係合させる。
【0046】
ついで、上記ナット体75を図5に実線で示す前進方向へ回転させることで、このナット体75が上記係合凹部78と係合凸部88の係合部分を覆ってその係合状態を保持し、さらに先端部のテ−パ凸部77がテ−パ凹部89に係合することで、ブラシ軸86の軸心が支持軸72の軸心に一致されることになる。
【0047】
つまり、各洗浄ブラシ51、52はナット体75を後退位置から前進方向へ回転させることで、支持軸72に対して軸心を一致させた状態で連結固定されることになる。
【0048】
なお、上記ブラシ部材87の材質は、ポリビニルアルコールだけに限定されず、ナイロンやウレタンなどの他の弾性材料で作るようにしてもよい。
図1に示すように、上記取付け部材55には、上記第1のスライド体62と第2のスライド体63の下方にそれぞれ第1の調整機構91と第2の調整機構92とが設けられている。
【0049】
各調整機構91、92はそれぞれのガイド体61にスライダ93aを介してスライド自在に設けられたほぼ三角形の板状の基体93を有する。この基体93の上端面はほぼ水平になっていて、その水平部にはL字状のテ−ブル94が設けられている。このテ−ブル94の上には上面がテ−パ面95aに形成された調整体95が上記テ−ブル94に沿う水平方向にスライド自在に設けられている。
【0050】
上記調整体95の一端部には調整ねじ96が螺合されている。この調整ねじ96は上記基体93の幅方向一端部に設けられた支持部97に回転自在に支持され、他端部にはハンドル98が設けられている。したがって、上記調整ねじ96を回転させることで、上記調整体95を上記テ−ブル94に沿ってスライドさせることができるようになっている。
【0051】
上記調整体95のテ−パ面95aには上記各スライド体61、62の下端に設けられたカムフォロア99が当接している。したがって、上記調整体95がスライドすると、上記各スライド体61、62は取付け部材55に設けられたガイド体61に沿って上下動するようになっている。なお、上記調整ねじ96は図2に示すストッパ96aによって回転不能に固定される。それによって、調整体95がスライドするのが阻止される。
【0052】
図1に示すように、上記取付け部材55の下端部で、一対のスライド体61、62の中間部にはリンク101の中途部が支軸102によって回動自在に支持されている。このリンク101の両端部にはそれぞれ長孔103が形成されている。
【0053】
上記各調整機構91、92の基体93の板面の下端部にはそれぞれ係止軸104が突設されている。各係止軸104は上記リンク101の長孔103に係合している。
【0054】
上記リンク101には駆動手段としてのシリンダ105のロッド106が回動自在に連結されている。図2に示すように、上記シリンダ105は下部室24に上記ベ−ス板54と一体的に設けられた支持部材107にスタッド107aによって揺動自在に連結されている。
【0055】
図1は上部洗浄ブラシ51と下部洗浄ブラシ52とが半導体ウエハUの上下面から退避した状態を示しており、この退避状態においてリンク101は第1の調整機構91に連結された一端部が上方に位置する状態で傾斜し、下方となる他端部側に上記シリンダ105のロッド106が連結されている。この退避状態において、上記シリンダ105のロッド106は没入方向の後退限にある。
【0056】
上記シリンダ105のロッド106が突出方向に駆動されると、上記リンク101が図1に矢印で示す反時計方向に回動する。それによって、第1の調整機構91が下降し、第2の調整機構92が上昇するから、これら調整機構91、92の動きに第1のスライド体62と第2のスライド体63とが連動する。つまり、上記シリンダ105のロッド106が突出方向の前進限まで駆動されると、上部洗浄ブラシ51が下降し、下部洗浄ブラシ52が上昇して、これら洗浄ブラシが半導体ウエハUの上下面にそれぞれ接触する洗浄状態に後述するごとく位置決めされることになる。
【0057】
上記シリンダ105による上部洗浄ブラシ51の下降と、下部洗浄ブラシ52の上昇とは重量的にバランスがとれている。そのため、上記各洗浄ブラシ51、52の上下駆動を小型のシリンダ105によって行うことができる。
【0058】
上記第1、第2のスライド体62、63の基部65の一側にはそれぞれダイヤルゲ−ジ108が設けられている。各ダイヤルゲ−ジ108のスピンドル108aは、各洗浄ブラシ51、52を洗浄状態に変位させたときに、取付け部材55の両側に設けられた当接体109に当接するようになっている。
【0059】
なお、洗浄状態においては、図示せぬ洗浄液の供給ノズルから上記半導体ウエハUの上面と下面とに洗浄液が供給されるようになっている。
図4及び図8に示すように、上記上部支持体68と下部支持体69とには、上記半導体ウエハUの外周面を洗浄するための側部洗浄ブラシ111が支持部材112を介して設けられている。
【0060】
上記支持部材112は、図9に示すように第1のアーム113aと第2のアーム113bの一端部が高さ調整部材114によって連結されてなる。上記第1のアーム113aの他端が上記上部支持体68と下部支持体69とにそれぞれ連結固定され、上記第2のアーム113bの他端に上記側部洗浄ブラシ111が設けられている。
【0061】
すなわち、上記第2のアーム113bの端部にはねじ軸114がナット115によって高さ調節自在に取り付けられている。このねじ軸114の保持機構25側に位置する一端部はすり割り軸116に形成されている。
【0062】
上記側部洗浄ブラシ111は、上記すり割り軸116に回転自在かつ弾性的に着脱自在に外嵌保持されるスリーブ117を有し、このスリー部117の外周面にポリビニルアルコールなどの合成樹脂によって弾性変形可能に形成された本体部118が装着されている。
【0063】
上記本体部118は、図10(a)、(b)に示すようにテーパ部119aと、このテーパ部119aの大径部側の端部に一体形成された鍔部119b及び上記テーパ部119aの外周面に周方向に沿って所定間隔で、しかも軸方向全長にわたって突設形成された凸部119cとから形成されている。この実施の形態では、上記テーパ部119aの外周面には周方向に45度間隔で8つの凸部119cが形成されている。
【0064】
上記側部洗浄ブラシ111はテーパ部119aの小径部側を上記保持機構25に保持された半導体ウエハU側に向けている。つまり、図8に示すように、上部支持板68側の一方の側部洗浄ブラシ111は鍔部119bを上側にして配置され、下部支持板69側の側部洗浄ブラシ111は鍔部119bを下側にして配置している。つまり、上下の側部洗浄ブラシ111は逆向きに配置されている。
【0065】
上記構成の洗浄装置において、半導体ウエハUを洗浄する場合には、保持機構25に保持された半導体ウエハUを回転させ、その上下面に洗浄液を供給するとともに、上部洗浄ブラシ51を下降させる一方、下部洗浄ブラシ52を上昇させることで、これら洗浄ブラシ51,52を上記半導体ウエハUの上面と下面とにそれぞれ所定の圧力で接触させる。
【0066】
上部洗浄ブラシ51を下降させることで、上部支持板68に設けられた側部洗浄ブラシ111も下降し、上記半導体ウエハUの外周面に弾性変形しながら接触する。同様に、下部洗浄ブラシ53を上昇させることで、下部支持板69に設けられた側部洗浄ブラシ111が上昇し、上記半導体ウエハUの外周面に弾性変形しながら接触する。
【0067】
したがって、半導体ウエハUは上部洗浄ブラシ51と下部洗浄ブラシ52とで上下面が洗浄されるだけでなく、一対の側部洗浄ブラシ111によって外周面も洗浄されることになる。
【0068】
上記側部洗浄ブラシ111は、半導体ウエハUが回転駆動されることで、この半導体ウエハUとの接触抵抗によって従動する。つまり半導体ウエハUと逆方向に回転する。
【0069】
半導体ウエハUが回転してそのノッチNの部分が側部洗浄ブラシ111のところにくると、それまで押し潰されていた本体部118の凸部119aが図11に示すように弾性的に復元して上記ノッチNに入り込む。したがって、ノッチNに塵埃が付着していても、そのノッチNも確実に洗浄することができる。
【0070】
上記本体部118は、テーパ部119a及びこのテーパ部119aの大径部側に形成された鍔部119bとからなる。そのため、半導体ウエハUの上側に位置する側部洗浄ブラシ111は下降させるだけで、その凸部119aが弾性変形してテーパ部119bの外周面が半導体ウエハUの外周面に徐々に強く接触することになる。同様に、下側の側部洗浄ブラシ111は上昇させることによって本体部118の凸部119a及びテーパ部119の外周面が徐々に強く当接する。
【0071】
つまり、側部洗浄ブラシ111を上下方向に駆動させるだけで、その本体118を半導体ウエハUの外周面に確実に圧接させることができ、しかも半導体ウエハUの回転に従動させてその外周面を洗浄する構成である。そのため、側部洗浄ブラシ111を駆動機構を用いて駆動する必要がないから、構成を簡略化することができる。
【0072】
上記側部洗浄ブラシ111の本体部118に鍔部119bを形成したことで、この鍔部119bを半導体ウエハUの外周縁部に接触させることができる。半導体ウエハUの外周縁部は図12に示すように緩やかな曲面形状をなしている。
【0073】
そのため、上下洗浄ブラシ51,52では半導体ウエハUの上下面の平面部分を洗浄することができても、半導体ウエハUの上下面側に位置する外周縁部の曲面部分を確実に洗浄することができないが、上記鍔部119bが外周縁部に当接するため、その部分も確実に洗浄することができる。
【0074】
つまり、図8に示すように、一方の側部洗浄ブラシ111は半導体ウエハUの上面側から外周面に接触させ、他方の側部洗浄ブラシ111は下面側から接触させるようにしている。そのため、一対の側部洗浄ブラシ111の鍔部119bによって半導体ウエハUの外周縁部の上面側と下面側とを確実に洗浄することができる。
【0075】
このように、半導体ウエハUは上記一対の洗浄ブラシ51,52によって上下面が洗浄されると同時に側部洗浄ブラシ111によって外周面さらには外周面に形成されたノッチNの部分も洗浄されるため、上記半導体ウエハUに汚れた部分が残ることがなくなる。そのため、洗浄された半導体ウエハUを図示しないケースに収容しても、他の半導体ウエハUに汚れが転移するのが防止できる。
【0076】
しかも、半導体ウエハUは上下面と同時に外周面やノッチNも洗浄されるから、外周面やノッチNを別工程で洗浄せずにすむため、生産性の低下を招くとことがない。
【0077】
この発明は上記一実施の形態に限定されず、種々変形可能である。たとえば上記一実施の形態では側部洗浄ブラシを半導体ウエハの回転に従動させて回転させるようにしたが、この側部洗浄ブラシは回転駆動させるようにしてもよい。その場合、側部洗浄ブラシが回転不能に取り付けられた軸を支持部材に回転自在に取り付け、この軸を回転駆動すればよい。
【0078】
また、洗浄ブラシは本体部をテーパ部と鍔部とから形成したが、テーパ部に代わり円柱状あるいは円筒状とし、その外周面に凸部を形成するようにしてもよい。
【0079】
さらに、洗浄ブラシは上下動させて半導体ウエハの外周面に接触させるようにしたが、保持機構に保持された半導体ウエハとほぼ同じ高さ位置の平面上で旋回させて半導体ウエハの外周面に当接させるようにしてもよく、さらには上下動と旋回との両方ができる構成とし、旋回角度を制御すれば、半導体ウエハの外周面に対する当接力を調整できるようにしてもよい。
【0081】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、洗浄ブラシの本体部は、外周面に凸部が形成されたテーパ部及びこのテーパ部の大径部側に形成された鍔部を有する。
そのため、テーパ部の小径部側を被洗浄物に向け、洗浄ブラシを被洗浄物に接近する方向へ駆動するだけで、テーパ部の外周面を被洗浄物の外周面に確実に接触させることができるから、洗浄ブラシの駆動機構を簡略化することができ、しかも鍔部を被洗浄物の外周縁部に接触させることができるから、被洗浄物の外周縁部も洗浄することができる。
【0082】
請求項2の発明によれば、洗浄ブラシを被洗浄物の回転に従動させて回転させるようにした。
そのため、洗浄ブラシを回転させるための駆動機構が不要となることで構成を簡略化できるとともに、洗浄ブラシが被洗浄物に強く擦られるのが防止されるから、上記洗浄ブラシが早期に損耗するのが防止される。
【0083】
請求項3の発明によれば、被洗浄物の上面と下面を洗浄する上部洗浄ブラシと下部洗浄ブラシが設けられる可動部材に、被洗浄物の側部を洗浄する洗浄ブラシを設けるようにした。
【0084】
そのため、被洗浄物の側部を洗浄するための洗浄ブラシを、上下面を洗浄する上部洗浄ブラシ及び下部洗浄ブラシに連動させることができるから、側部を洗浄する洗浄ブラシを駆動させるために、専用の機構を必要とすることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施の形態の洗浄ブラシ洗浄装置の概略的構成を示す正面図。
【図2】同じく側面図。
【図3】同じく半導体ウエハを回転駆動する機構の断面図。
【図4】同じく洗浄ブラシの配置状態の平面図。
【図5】同じく洗浄ブラシの支持構造の断面図。
【図6】同じくスライド体の支持構造の断面図。
【図7】同じく支持ピンの構造を示す断面図。
【図8】(a) は同じく一対の上下洗浄ブラシと側部洗浄ブラシとによる半導体ウエハの洗浄状態を示す側面図、( b) は同じく平面図。
【図9】同じく側部洗浄ブラシを取り付けた支持部材の側面図。
【図10】(a)は同じく側部洗浄ブラシの縦断面図、( b) は同じく下面側から見た平面図。
【図11】同じく側部洗浄ノズルによって半導体ウエハのノッチを洗浄する状態の説明図。
【図12】同じく半導体ウエハの外周面を洗浄する状態の説明図。
【符号の説明】
68…上部支持板(可動部材)
69…下部支持板(可動部材)
111…側部洗浄ブラシ
118…本体部
119a…テーパ部
119b…鍔部
119c…凸部
U…半導体ウエハ(被洗浄物)
Claims (3)
- 回転駆動される被洗浄物の外周面を洗浄する洗浄装置において、
上記被洗浄物に対して接離する方向に駆動される可動部材と、
この可動部材に支持部材を介して回転可能に取り付けられ上記可動部材が上記被洗浄物に接近する方向へ駆動されることで上記被洗浄物の外周面に接触する洗浄ブラシとを具備し、
上記洗浄ブラシは弾性変形可能な合成樹脂によって形成された本体部を有し、この本体部の外周面には周方向に所定間隔で複数の凸部が形成されていて、
上記洗浄ブラシの本体部は、テーパ部及びこのテーパ部の大径部側の端部に形成された鍔部を有し、上記テーパ部の外周面に上記凸部が形成されているとともに、上記テーパ部の小径部側を上記被洗浄物に向けて配置されていることを特徴とする洗浄装置。 - 上記洗浄ブラシは回転自在に設けられ、上記被洗浄物の外周面に接触することで従動して回転する構成であることを特徴とする請求項1記載の洗浄装置。
- 上記可動部材は被洗浄物の上面側と下面側とに配置され被洗浄物の上面側に位置する一方の可動部材にはこの被洗浄物の上面を洗浄する上部洗浄ブラシが設けられ、下面側に位置する他方の可動部材には被洗浄物の下面を洗浄する下部洗浄ブラシが設けられていることを特徴とする請求項1記載の洗浄装置。
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