JP3964517B2 - 洗浄装置とその方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は半導体ウエハの上下面を同時に洗浄するための洗浄装置とその方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
たとえば半導体装置の製造工程においては、半導体ウエハを高い清浄度で洗浄することが要求される工程がある。このような半導体ウエハを洗浄する方式としては、洗浄液中に複数枚の半導体ウエハを一度に浸漬するデイップ方式や半導体ウエハに向けて洗浄液を噴射して一枚づつ洗浄する枚葉方式があり、最近では高い清浄度が得られるとともに、少ロッドの場合にはコスト的に有利な枚葉方式が採用されることが多くなってきている。
【0003】
枚葉方式の1つとしてロ−ルブラシやディスクブラシを用いて上記半導体ウエハを洗浄する洗浄装置が知られている。その場合、上記ロ−ルブラシやディスクブラシを回転させるだけでなく、半導体ウエハも回転させることで、上記各ブラシを半導体ウエハにむらなく接触させて洗浄効果を高めるということが行われている。
【0004】
一方、半導体ウエハを洗浄する場合、回路パタ−ンが形成される上面だけでなく、下面も洗浄し、半導体ウエハを搬送したり、カセットに格納された状態などで、他の半導体ウエハにパ−ティクルなどの汚れが転移するのを防止するということが行われている。
【0005】
従来、ロ−ルブラシを用いて半導体ウエハの上下面を同時に洗浄するということは行われていた。その場合、半導体ウエハを保持機構によって回転駆動できるように保持するとともに、この保持機構に保持された半導体ウエハの上面側と下面側に、それぞれ回転駆動されるロ−ルブラシを軸線が上記半導体ウエハの板面と平行になるよう配置し、各ロ−ルブラシを上記半導体ウエハの上下両面に接触させることで洗浄するようにしている。
【0006】
しかしながら、このような洗浄方式によると、半導体ウエハの板面に対してロ−ルブラシを線接触させて洗浄するようにしている。そのため、ロ−ルブラシの寸法精度やロ−ルブラシと半導体ウエハの板面との平行度が高精度に設定されていないと、上記ロ−ルブラシが軸方向全長にわたって半導体ウエハの板面に均一に接触しないため、洗浄むらが生じるということがあった。
【0007】
洗浄むらをなくすために、ロ−ルブラシに代わりディスクブラシを半導体ウエハの径方向に円弧運動させて洗浄するという洗浄方式が開発されている。その場合、半導体ウエハを保持機構によって回転駆動できるように保持し、上記ディスクブラシを上記半導体ウエハの径方向に沿って円弧運動させるようにしている。
【0008】
たとえば、上記半導体ウエハの上面を洗浄する場合、ディスクブラシを半導体ウエハの上面の中心部に接触させ、ついで径方向外方に向かって円弧運動させる。ディスクブラシを半導体ウエハの径方向周辺部まで移動させたならば、その位置で上昇させて半導体ウエハの板面から離反させ、再び径方向中心部に戻して下降させてから、径方向外方にむかって円弧運動させるということを繰り返して行うことで、その上面を洗浄するようにしている。
【0009】
このように、ディスクブラシを円弧運動および上下運動させると、半導体ウエハの板面に付着したパ−ティクルなどが径方向中心部から外方へ送られることで、その板面を洗浄することができる。
【0010】
しかしながら、このようにして半導体ウエハを洗浄すると、ディスクブラシを旋回運動だけでなく、上下運動もさせなければならないため、ディスクブラシを駆動するための構造や制御が複雑化するということがある。構成の簡略化を計るために、ディスクブラシを上下運動させずに、円弧運動だけさせて半導体ウエハを洗浄するようにすると、半導体ウエハの板面に付着したパ−ティクルはディスクブラシによってその板面の径方向中心部から周辺部に動かされるだけであるため、半導体ウエハの板面からパ−ティクルを良好に除去することができないということがある。
【0011】
一方、半導体ウエハを周方向に沿って回転できるように保持するための保持機構は、たとえば上記半導体ウエハの周方向に沿って所定間隔で配置される複数本の支持軸と、各支持軸の上端部に設けられ上記半導体ウエハの周縁部に係合する係合溝が形成されたロ−ラとからなり、複数のロ−ラの内の幾つかは回転駆動されるようになっている。それによって、半導体ウエハは周方向に回転させられる。
【0012】
このような保持機構に保持された半導体ウエハをディスクブラシで洗浄する場合、そのディスクブラシを揺動ア−ムの先端部に設け、この揺動ア−ムによって円弧運動させることで、半導体ウエハの板面全体を均一に洗浄できるようにしている。
【0013】
しかしながら、旋回ア−ムを旋回させる構成上、保持機構に保持された半導体ウエハの上面側には旋回ア−ムを旋回可能に設けることができても、下面側は保持機構の支持軸が邪魔になって旋回ア−ムを半導体ウエハの径方向に沿って円弧運動可能に設けることができない。
【0014】
そのため、ディスクブラシを用いた洗浄方式においては、半導体ウエハの上下両面を同時に洗浄することができないから、両面洗浄を行う場合には一方の面を洗浄してから半導体ウエハを反転させ、ついで他方の面を洗浄しなければならなず、洗浄に多くの時間がかかるということがあるばかりか、半導体ウエハを反転させる装置が必要になるなどのことがある。
【0015】
さらに、ディスクブラシには円柱状のスポンジ(酢酸ビニル)が用いられている。しかしながら、ディスクブラシに用いられるスポンジは高価であるため、その材料の使用量を、洗浄効果を低減させることなく減少させるようにすることが望まれている。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
このように、半導体ウエハをディスクブラシによって洗浄する場合、洗浄効果を高めるためにはディスクブラシを円弧運動および上下運動させなければならなかったので、構成や制御の複雑化を招くということがあった。
【0017】
また、ディスクブラシによって半導体ウエハを洗浄する場合、半導体ウエハの上面側ではディスクブラシを円弧運動させることができても、下面側では半導体ウエハを回転駆動するための保持機構が邪魔となって円弧運動させることができないということがあった。
【0018】
さらに、従来はスポンジによって円柱状に形成されたディスクブラシが用いられていたが、その材料は高価であるため、洗浄効果を低減させることなく材料の使用量を減少させることが望まれていた。
【0019】
この発明の目的は、ディスクブラシを上下運動させることなく、旋回運動させるだけで、半導体ウエハを確実に洗浄できるようにした洗浄装置および洗浄方法を提供することにある。
【0020】
この発明の目的は、保持機構に保持された半導体ウエハの上面側だけでなく、下面側においても、ディスクブラシを旋回運動させることができるようにした洗浄装置を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、半導体ウエハの上下面をディスクブラシによって洗浄する洗浄装置において、
上記半導体ウエハの周縁部に係合する係合溝が形成された従動ロ−ラおよび上記半導体ウエハの周縁部に係合する係合溝が形成されているとともに回転駆動されることで上記半導体ウエハを回転させる駆動ロ−ラを有する保持機構と、
先端に上記半導体ウエハの上面に接触する上部ディスクブラシが設けられこの上部ディスクブラシを上記半導体ウエハの上面中心部を通過する軌跡で円弧運動させながら上記半導体ウエハの上面を洗浄させるとともに、その円弧運動の軌跡の一端と他端とが上記半導体ウエハの外周端から外れる位置に設定された上部ブラシ駆動手段と、
先端に上記半導体ウエハの下面に接触する下部ディスクブラシが設けられこの下部ディスクブラシを上記半導体ウエハの下面中心部を通過する軌跡で円弧運動させながら上記半導体ウエハの下面を洗浄させるとともに、その円弧運動の軌跡の一端と他端とが上記半導体ウエハの外周端から外れる位置に設定された下部ブラシ駆動手段を具備し、
上記上部ディスクブラシと下部ディスクブラシとの円弧運動は、各ディスクブラシが半導体ウエハの外周端から外れたときに、互いに接触しないタイミングで行われることを特徴とする。
【0024】
この発明は、半導体ウエハの上下面をディスクブラシによって洗浄する洗浄方法において、
上記半導体ウエハの上面に接触する上部ディスクブラシと下面に接触する下部ディスクブラシとを上記半導体ウエハの上下面のそれぞれの中心部を通過する軌跡で円弧運動させながら上記半導体ウエハの上下面を洗浄させるとともに、その円弧運動の一端と他端とを上記半導体ウエハの外周端から外れた位置に設定し、かつ上記上部ディスクブラシと下部ディスクブラシとの円弧運動は、これらディスクブラシが上記半導体ウエハの外周端から外れたときに、互いに接触しないタイミングで行うことを特徴とする。
【0028】
請求項1と請求項4の発明によれば、上部ディスクブラシと下部ディスクブラシとの円弧運動の一端と他端とを、半導体ウエハの外周端から外れる位置としたことで、各ディスクブラシを上下運動させずに、円弧運動だけさせることによって半導体ウエハの上下面からパ−ティクルを除去することができる。
【0029】
しかも、上部ディスクブラシと下部ディスクブラシとが半導体ウエハの外周端から外れたときに、これらが接触しないようにしたことで、一方のディスクブラシから他方のディスクブラシへパ−ティクルが転移するのを防止できる。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の一実施の形態を図面を参照して説明する。
図1はこの発明の洗浄装置の概略的構成を示す平面図で、この洗浄装置は洗浄槽1を備えている。この洗浄槽1は上面が開口した有底箱型状をなしていて、その内部には半導体ウエハUを所定の高さでほぼ水平に保持して周方向に回転駆動する保持機構2が設けられている。
【0034】
この保持機構2は2つの従動ロ−ラ3と4つの駆動ロ−ラ4とを有し、これらロ−ラ3、4は上記半導体ウエハUの周方向に沿って60度間隔で配置されている。各ロ−ラ3、4の外周面には図2に示すように係合溝3a、4aが全長にわたって形成され、これらの係合溝3a、4aには上記半導体ウエハUが周縁部を係合させて保持されている。そして、上記駆動ロ−ラ4が後述するごとく回転駆動されることで、この駆動ロ−ラ4との摩擦抵抗によって上記半導体ウエハUが周方向に回転されるようになっている。
【0035】
上記保持機構2は、上記洗浄槽1の内底部に配置された固定板5および矢印で示すように洗浄槽1の幅方向に沿ってスライド自在に配置された一対の可動板6とを有する。この可動板6には図2に示すように洗浄槽1の内底部に設けられた一対のガイド6aに沿ってスライド可能となっている。
【0036】
上記固定板5には固定支柱7が立設され、この固定支柱7の上端には約60度の角度でV字状をなした一対の直杆部8aを有する保持ア−ム8の基端部が取付け固定されている。一対の直杆部8aの先端部はコ字状に形成され、そこにはそれぞれ上記従動ロ−ラ3が回転軸線を垂直にして回転自在に設けられている。
【0037】
図2に示すように、上記一対の可動板6にはそれぞれ2本の可動支柱11が立設されている。可動支柱11は中空状をなしていて、この内部には回転軸13が上下端部を突出させて回転自在に支持されている。回転軸13の上端部には上記駆動ロ−ラ4が一体的に設けられ、下端部は上記洗浄槽1の底部に可動板6の移動方向に沿って細長く形成された第1の長孔14から外部に突出させている。
【0038】
図2と図3に示すように、各可動板6の一対の回転軸13のうちの一方の下端部には2つの従動プ−リ13aが嵌着され、他方には1つの従動プ−リ13aが嵌着されている。
【0039】
可動板6にはL字状の第1の取付板15の一端部が固着され、この第1の取付板15の他端部は上記洗浄槽1の底部に形成された第2の長孔16から外部に突出している。第1の取付板15の他端部には第1のモ−タ17が軸線を垂直にして取付けられている。この第1のモ−タ17の回転軸17aには駆動プ−リ18が嵌着されている。この駆動プ−リ18と一方の回転軸13の下端部に嵌着された一対の従動プ−リ13aの一方とには第1のベルト19が張設され、他方の従動プ−リ13aと他方の回転軸13に設けられた従動プ−リ13aとには第2のベルト21が張設されている。
【0040】
したがって、上記第1のモ−タ17が作動してその回転軸17aが回転駆動されると、各可動板6に設けられたそれぞれ一対の駆動ロ−ラ4が回転駆動されるから、その係合溝4aに周縁部を係合させた半導体ウエハUが駆動ロ−ラ4によって図1に矢印で示すように周方向に回転駆動されることになる。
【0041】
図1と図3に示すように、上記可動板6の下面には駆動板22が一端部を固着して設けられている。この駆動板22の他端部は上記洗浄槽1の底部に形成された第3の長孔23から外部に突出し、そこには駆動シリンダ24のロッド24aが連結されている。この駆動シリンダ24は上記洗浄槽1の外底面に保持されている。したがって、駆動シリンダ24が作動すれば、上記一対の可動板6を矢印で示すように互いに接離する方向にスライドさせることができるようになっている。
【0042】
一対の可動板6を離反する方向にスライドさせると、4つの駆動ロ−ラ4の間隔が拡大される。それによって、保持機構2に未洗浄の半導体ウエハUを供給したり、洗浄された半導体ウエハUを取り出すことができるようになっている。
【0043】
なお、保持機構2に対する半導体ウエハUの供給、排出は図1に鎖線で示すロボットのア−ムAによって行われる。
上記固定板5には下部ブラシ駆動手段を構成する下部洗浄用支柱31が上記固定支柱7よりも所定寸法だけ、半導体ウエハUの径方向内方に位置して立設されている。この下部洗浄用支柱31の高さは、上記保持機構2に保持された半導体ウエハUの下面よりも低く、その上端には下部ア−ム32の基端部が回転自在に設けられている。
【0044】
上記下部洗浄用支柱31には図示しないモ−タが内蔵され、このモ−タの軸は上記下部ア−ム32の基端部に連結されている。したがって、そのモ−タにより上記下部ア−ム32を後述する所定の範囲内で円弧運動させることができるようになっている。
【0045】
上記下部ア−ム32の先端部の上面には酢酸ビニルなどのスポンジで形成された下部ディスクブラシ34が設けられている。この下部ディスクブラシ34は上記保持機構2に保持された半導体ウエハUの下面に所定の圧力あるいは洗浄液を介して接触するようになっている。
【0046】
上記下部ア−ム32の円弧運動は、上記下部ディスクブラシ34が半導体ウエハUの径方向中心部を通過するとともに、一端と他端とにおいて上記下部ディスクブラシ34が半導体ウエハUの外周端から外れる位置になるように設定されている。
【0047】
一対の可動板6の一方には、図1に示すように上部ブラシ駆動手段を構成する上部洗浄用支柱41が立設されている。この上部洗浄用支柱41の高さは上記保持機構2に保持された半導体ウエハUの上面よりも高く設定され、その上端面には上部ア−ム42の基端部が回動自在に連結されている。
【0048】
上記上部洗浄用支柱41には図示しないモ−タが内蔵されていて、このモ−タの軸は上記上部ア−ム42の基端部に連結されている。したがって、そのモ−タにより上記上部ア−ム42を後述する所定の範囲内で円弧運動させることができるようになっている。
【0049】
上記上部ア−ム42の先端部の下面には酢酸ビニルなどのスポンジで形成された上部ディスクブラシ43が設けられている。この上部ディスクブラシ43は上記保持機構2に保持された半導体ウエハUの上面に所定の圧力あるいは洗浄液を介して接触するようになっている。
【0050】
上記上部ア−ム42の円弧運動は、上部ディスクブラシ43が半導体ウエハUの径方向中心部を通過するとともに、一端と他端とにおいて上記上部ディスクブラシ43が半導体ウエハUの外周端から外れる位置になるように設定されている。
【0051】
下部ア−ム32と上部ア−ム42とを円弧運動させる各モ−タは、図示しない制御装置によって作動が制御されるようになっている。つまり、制御装置は、下部ディスクブラシ34と上部ディスクブラシ43とを図1に曲線X、Yで示すように円弧運動させるとともに、半導体ウエハUの外周縁の一端から外れる円弧運動の交点Zでは下部ディスクブラシ34と上部ディスクブラシ43とが接触することのないタイミングでそれぞれを円弧運動させるようになっている。
【0052】
上記保持機構2に保持された半導体ウエハUの上下面には、図2に示すようにそれぞれノズル体44a、44bによって薬液や純水などの洗浄液が供給されるようになっている。
【0053】
上記下部ディスクブラシ34と上部ディスクブラシ43とは、図4(a)、(b)に示すようにブラシ部51と、このブラシ部51が取付けられる取付部52とを有する。ブラシ部51はシ−ト状のスポンジ材料53からなり、取付部52は軸部54を有する台座55および上記軸部54に外嵌される押えリング56からなり、上記台座55は下部ア−ム32の上面および上部ア−ム42の下面にそれぞれ取着されている。
【0054】
そして、上記スポンジ部材53の高さ方向一端部を上記軸部54の外周面に巻き付けて筒状にしたならば、その軸部54の外側に上記押えリング56を上記スポンジ部材53を厚さ方向に弾性的に圧縮させて嵌込む。それによって、上記スポンジ部材53を筒状にして上記取付部52に保持することができる。
【0055】
各ディスクブラシ34、43を筒状とすることで、中実な円柱状の場合に比べてスポンジ部材53の使用量を少なくすることができる。スポンジ部材53は高価であるから、その使用量を少なくできることでコストの低減を計れる。しかも、ディスクブラシ34、43を円弧運動させて使用、つまり半導体ウエハUを洗浄する場合、洗浄に作用する部分である、パ−ティクルの除去に有効に作用する部分は、半導体ウエハUと接触する接触面(下端面)の周辺部であるから、ディスクブラシ34、43が筒状であっても、柱状の場合とほとんど変わらない洗浄効果を期待することができる。
【0056】
なお、ブラシ部51はシ−ト状のスポンジ部材53を筒状に曲げて使用してもよいが、シ−ト状のスポンジ部材53を予め筒状に曲げて両端面を接着固定しておいてもよく、さらには筒状に成形されたスポンジ部材を所定の長さに切断するようにしてもよい。
【0057】
上記構成の洗浄装置において、半導体ウエハUを洗浄するには、まず、保持機構2の一対の可動板6を離反する方向にスライドさせ、各可動板6に設けられたそれぞれ一対の駆動ロ−ラ4の対向間隔を拡大する。ついで、ロボットのア−ムAにより未洗浄の半導体ウエハUを上記保持機構2に供給し、その外周部の一部を従動ロ−ラ3の係合溝3aに係合させたならば、一対の可動板6を接近方向にスライドさせ、4つの駆動ロ−ラ4の係合溝4aを半導体ウエハUの周辺部に係合させる。それによって、半導体ウエハUは、2つの従動ロ−ラ3と4つの駆動ロ−ラ4とによってほぼ水平に保持されることになる。
【0058】
このようにして半導体ウエハUを保持機構2に保持したならば、駆動ロ−ラ4を回転させて半導体ウエハUを矢印方向に回転させるとともに、各ノズル体44a、44bから洗浄液を供給しながら下部ア−ム32と上部ア−ム42とを揺動運動させる。
【0059】
各ア−ム32、42を揺動運動させることで、上記各ア−ムの先端に設けられた下部ディスクブラシ34と上部ディスクブラシ43とは半導体ウエハUの中心部を通過する円弧運動を行う。各ディスクブラシ34、43が円弧運動し、半導体ウエハUが回転駆動されることで、各ディスクブラシ34、43は半導体ウエハUの上下面の全面にむらなく摺接するから、この半導体ウエハUの上下面を全体にわたって確実に洗浄することができる。
【0060】
各ディスクブラシ34、43の円弧運動の一端と他端とは半導体ウエハUの外周端から外れた位置になるように設定されている。そのため、半導体ウエハUの板面に付着したパ−ティクルは各ディスクブラシ34、43によってこれらの円弧運動の方向に洗浄液とともに押し寄せられ、ディスクブラシ34、43が半導体ウエハUの外周端から外れることで、半導体ウエハUの板面から掃き出されることになる。
【0061】
そのため、ディスクブラシ34、43を上下運動させず、円弧運動させるだけで半導体ウエハUの上下面を確実に洗浄することが可能となるから、上下運動させる場合に比べて構成や制御を簡略化することができる。
【0062】
下部ディスクブラシ34と上部ディスクブラシ43との円弧運動は、これらが半導体ウエハUの外周端から外れたときに、互いに接触しないタイミングで行われる。たとえば、各ディスクブラシ34、43を逆方向に円弧運動させたり、同方向であっても上下方向の位置をずらして駆動することで、これらディスクブラシ34、43が半導体ウエハUの外周端から外れたときに互いに接触するのが防止される。
【0063】
それによって、一対のディスクブラシ34、43の一方によって半導体ウエハUの板面から掃き出されたパ−ティクルが他方の端面に転移するのが防止されるから、ディスクブラシ34、43が相互汚染されることがない。
【0064】
とくに、各ディスクブラシ34、43が半導体ウエハUの外周端から外れるタイミングが一致していると、上部ディスクブラシ43によって掃き出されるパ−ティクルが下部ディスクブラシ34に転移し易いが、半導体ウエハUの外周端から外れた交点Zを同時に通過することがないよう、これらのタイミングをずらしたことで、そのような虞がない。
【0065】
さらに、従動ロ−ラ3を保持ア−ム8の一対の直杆部8aの先端部に設け、この保持ア−ム8の基端部を固定支柱7に連結するようにした。それによって、この固定支柱7は、先端に下部ディスクブラシ34が設けられた下部ア−ム32の円弧運動の邪魔にならないよう、可動支柱11よりも保持機構2に保持された半導体ウエハUの径方向外方に設けることができるから、下部ディスクブラシ34を半導体ウエハUの下面側で確実に円弧運動させることができる。
【0066】
つまり、従来は従動ロ−ラ3や駆動ロ−ラ4が設けられた固定支柱7や可動支柱11によって下部ア−ム32の旋回運動が制限されるため、下部ディスクブラシ34を半導体ウエハUの中心部を通る軌跡で円弧運動させることが難しかったが、上述したように従動ロ−ラ3が保持ア−ム8を介して固定支柱7に設けられることで、下部ディスクブラシ34を半導体ウエハUの中心部を通る軌跡で円弧運動させることができる。
【0067】
上記下部ディスクブラシ34と上部ディスクブラシ43とが半導体ウエハUの外周端から外れたときに、これらディスクブラシ34、43の端面からパ−ティクルを除去するようようにすれば、パ−ティクルが各ディスクブラシ34、43から半導体ウエハUに逆転移するのが防止されるから、上記半導体ウエハUの洗浄効果をさらに向上させることができる。
【0068】
ディスクブラシ34、43の端面からパ−ティクルを除去するには、図1に示すように各ディスクブラシ34、43が半導体ウエハUの外周端から外れたときに、これらの端面が接触する位置に、メッシュ部材などの板材61を配置し、この板材61をたとえば振動させる。
【0069】
それによって、各ディスクブラシ34、43の端面に付着したパ−ティクルを効率よく確実に除去することが可能となるから、パ−ティクルがディスクブラシ34、43から半導体ウエハUへ逆転移するのを防止できる。
【0070】
なお、板材61を振動させず、単にディスクブラシ34、43の端面を接触させるだけであっても、パ−ティクルを除去することは可能であり、さらにディスクブラシ34、43と板材61との接触部分に純水などの洗浄液を供給すれば、パ−ティクルの除去効果をさらに向上させることができる。
【0071】
なお、上記下部ディスクブラシ34と上部ディスクブラシ43とは下部ア−ム32と上部ア−ム42との先端部にそれぞれ固定的に設けたが、回転駆動できるようにし、半導体ウエハUを洗浄するときに回転させるようにしても差し支えない。
【0072】
また、下部ブラシ洗浄手段の下部洗浄用支柱31を固定板5でなく、可動板6に設けるようにしてもよい。その場合、駆動ロ−ラ4は保持ア−ム8を介して可動支柱11に設けるようにすることで、可動支柱11を下部ア−ム32の旋回運動の邪魔ないならないよう、半導体ウエハUの径方向外方に位置させるようにすればよい。
【0073】
【発明の効果】
請求項1と請求項4の発明によれば、上部ディスクブラシと下部ディスクブラシとを円弧運動させて半導体ウエハの上下面を同時に洗浄する場合、上記各ディスクブラシの円弧運動の一端と他端とを、半導体ウエハの外周端から外れる位置となるようにした。
【0074】
そのため、各ディスクブラシが半導体ウエハの外周端から外れることで半導体ウエハに付着したパ−ティクルをその板面から確実に掃き出すことができるから、上記ディスクブラシを上下運動させず、円弧運動させるだけで半導体ウエハの上下面を確実に洗浄することができる。つまり、各ディスクブラシを駆動するための構成や制御を簡略化することができる。
【0075】
しかも、上部ディスクブラシと下部ディスクブラシとが半導体ウエハの外周端から外れたときに、これらが接触しないようにした。
【0076】
そのため、各ディスクブラシが半導体ウエハの外周端から外れたときに、一方のディスクブラシから他方のディスクブラシへパ−ティクルが転移して互いに汚染し合うのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施の形態の概略的構成を示す平面図。
【図2】同じく概略的構成を示す側面図。
【図3】同じく洗浄槽の下面側の平面図。
【図4】(a)は同じくペンシルブラシの分解斜視図、(b)は同じくペンシルブラシの組立て状態の斜視図。
【符号の説明】
2…保持機構
3…従動ロ−ラ
4…駆動ロ−ラ
3a、4a…係合溝
31…下部洗浄用支柱(下部ブラシ駆動手段)
32…下部ア−ム(下部ブラシ駆動手段)
34…下部ペンシルブラシ
41…上部洗浄用支柱(上部ブラシ駆動手段)
42…上部ア−ム(上部ブラシ駆動手段)
43…上部ペンシルブラシ
51…ブラシ部
52…取付部
53…スポンジ部材
56…押えリング

Claims (5)

  1. 半導体ウエハの上下面をディスクブラシによって洗浄する洗浄装置において、
    上記半導体ウエハの周縁部に係合する係合溝が形成された従動ロ−ラおよび上記半導体ウエハの周縁部に係合する係合溝が形成されているとともに回転駆動されることで上記半導体ウエハを回転させる駆動ロ−ラを有する保持機構と、
    先端に上記半導体ウエハの上面に接触する上部ディスクブラシが設けられこの上部ディスクブラシを上記半導体ウエハの上面中心部を通過する軌跡で円弧運動させながら上記半導体ウエハの上面を洗浄させるとともに、その円弧運動の軌跡の一端と他端とが上記半導体ウエハの外周端から外れる位置に設定された上部ブラシ駆動手段と、
    先端に上記半導体ウエハの下面に接触する下部ディスクブラシが設けられこの下部ディスクブラシを上記半導体ウエハの下面中心部を通過する軌跡で円弧運動させながら上記半導体ウエハの下面を洗浄させるとともに、その円弧運動の軌跡の一端と他端とが上記半導体ウエハの外周端から外れる位置に設定された下部ブラシ駆動手段を具備し、
    上記上部ディスクブラシと下部ディスクブラシとの円弧運動は、各ディスクブラシが半導体ウエハの外周端から外れたときに、互いに接触しないタイミングで行われることを特徴とする洗浄装置。
  2. 上記保持機構の従動ロ−ラと駆動ロ−ラは、それぞれ支柱の上端に回転可能に設けられているとともに、上記下部ディスクブラシの円弧運動の範囲に対応位置する支柱は、その円弧運動の範囲から所定寸法外れた位置に立設されるとともに、上端には上記所定寸法に対応する長さの保持ア−ムを介して上記従動ロ−ラまたは駆動ロ−ラが回転可能に設けられていることを特徴とする請求項1記載の洗浄装置。
  3. 上記上部ディスクブラシと上記下部ディスクブラシは、ブラシ部と、このブラシ部が取付けられる取付部とを有し、上記ブラシ部はシ−ト状のスポンジ部材からなり、上記取付部は外周面に上記スポンジ部材の一端部が巻回される軸部およびこの軸部に外嵌されて上記スポンジ部材の一端部を上記軸部の外周面とで保持する押えリングとからなることを特徴とする請求項1記載の洗浄装置。
  4. 半導体ウエハの上下面をディスクブラシによって洗浄する洗浄方法において、
    上記半導体ウエハの上面に接触する上部ディスクブラシと下面に接触する下部ディスクブラシとを上記半導体ウエハの上下面のそれぞれの中心部を通過する軌跡で円弧運動させながら上記半導体ウエハの上下面を洗浄させるとともに、その円弧運動の一端と他端とを上記半導体ウエハの外周端から外れた位置に設定し、かつ上記上部ディスクブラシと下部ディスクブラシとの円弧運動は、これらディスクブラシが上記半導体ウエハの外周端から外れたときに、互いに接触しないタイミングで行うことを特徴とする洗浄方法。
  5. 上記上部ディスクブラシと下部ディスクブラシとを、上記半導体ウエハの外周端から外れる円弧運動の一端と他端との少なくとも一方において洗浄することを特徴とする請求項4記載の洗浄方法。
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