JP3762176B2 - 洗浄装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体ウェハ、液晶表示用ガラス基板、フォトマスク用ガラス基板などの薄板状の被処理体である基板に所定の洗浄処理を行う洗浄装置に関する。特に基板の端部をも効率的に洗浄できる基板の洗浄装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から基板の一種であるウェハの処理過程において、ウェハ(以下、基板という)の表面に形成された多層構造化に伴う凹凸を取り除くために、化学研磨剤(スラリー)やパッド等を使用してウェハの表面を機械的に削ることにより、ウェハの表面の平坦化を行うCMP(Chemical Mechanical Polishing)処理を行っている。
【0003】
CMP(化学機械研磨)処理が行われた基板の表面には研磨によって研磨屑等が付着しているため、CMP処理後の基板に対する処理として基板を洗浄して研磨屑等を除去する処理が行われる。このCMP洗浄は、上記CMPにおいて、基板面を汚染させるスラリーを除去するための後処理洗浄であり、下記のように、ブラシスクラブ洗浄が一般に採用されている。
【0004】
上述のような基板の洗浄を行うための従来技術の概念的な構成は、図15および図16に示されている。すなわち、基板Wの端面が一対の端面支持ハンド210,211によって挟持されることにより、基板Wの支持が達成されている。そして、基板Wの上面は、円板状のベース部212とその下面に固設された洗浄用ブラシ214とからなるスクラブ洗浄部材216によってスクラブ洗浄される。すなわち、洗浄用ブラシ214の接触面218が基板Wの上面に接触した状態で、スクラブ洗浄部材216が図示しない回転駆動機構によって回転され、かつ洗浄用ブラシ214のほぼ中心に配置されたノズル220から洗浄液が吐出されて、基板Wの上面がスクラブ洗浄される。
【0005】
また、基板Wの下面も同様に、円板状のベース部213とその上面に固設された洗浄用ブラシ215とからなるスクラブ洗浄部材217が、洗浄用ブラシ215の接触面219が基板Wの下面に接触した状態で、図示しない回転駆動機構によって回転され、かつ洗浄用ブラシ215のほぼ中心に配置されたノズル221から洗浄液が吐出されて、基板Wの下面がスクラブ洗浄される。
【0006】
なお、この構成において、端面支持ハンド210,211は、基板Wを保持しつつ、図15に示すように基板Wの中心OWが円軌道を描くように、基板Wを円運動させる。この結果、接触面218,219は、基板Wのほぼ全面に接触することとなるから、基板Wのほぼ全面をスクラブ洗浄できる。
【0007】
ところで、基板Wは、一般に、その表面全体が半導体装置の形成に用いられるわけではなく、図17に示すように、周縁付近の上下面230および端面231を含む周縁部232を除く中央部233だけが半導体装置の形成に用いられる有効エリアである。したがって、基板Wの表面上に薄膜をパターン形成していくと、基板Wの中央部233と周縁部232とでは膜厚や膜硬などの膜質が異なってくる。そのため、本来なら、基板Wの中央部233の洗浄の仕方と周縁部232の洗浄の仕方とを変える必要がある。たとえば、用いられる洗浄液の種類や濃度を変えることにより、中央部233に残留しているスラリーを除去し、また、周縁部232に残留しているスラリーや不要な薄膜を除去する必要がある。
【0008】
しかし、上記従来技術の構成では、エッチング処理による基板Wの薄膜に対するパターン形成において、基板Wの中央部233の有効エリア内にのみ注意が払われているから、基板Wの周縁部232にエッチング不足領域が残ったままとなり、これが、不要な薄膜となる場合がある。また、基板Wの周縁部232の全域、特に端面231の洗浄が不充分となり、スラリーが基板Wの周縁部232に残ってしまうことがある。
【0009】
もしも、基板Wの周縁部232に不要な薄膜およびスラリーが残っていると、当該薄膜とスラリーとが反応し、その結果生成された物質が基板Wの周縁部232に残る場合もある。このように、上記従来技術の構成においては、基板Wの周縁部232に、不要な薄膜やスラリー、薄膜とスラリーとの反応生成物が残るという不具合がある。この場合、これらの物質はパーティクルとなるから、半導体装置の製造工程において歩留りの低下につながり、大きな問題となっていた。
【0010】
ところで、基板の清浄度は年々厳しくなり、基板の周縁部汚染も無視できなくなってきており、周縁部を洗浄する装置が開発されている。その一例として、特開平11−625号公報には、基板の周縁部に接触して基板を定位置に保持するとともに、基板を回転させるための一対のエッジ部洗浄用ローラが開示されている。このエッジ部洗浄用ローラの表面の洗浄用弾性部材には、基板の周縁部が入り込むような略V字型の周溝が形成されている。そして、回転するエッジ部洗浄用ローラに基板の周縁部を押圧し、基板は回転しつつ全周の周縁部がエッジ部洗浄用ローラの洗浄用弾性部材で擦られて洗浄される。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特開平11−625号公報に記載の洗浄装置は、基板に対して回転駆動を与える構成上、基板の周縁部とエッジ部洗浄用ローラの周速は同じである。そのため、洗浄用弾性部材により周縁部の不要な薄膜やスラリーを充分な擦り取るという洗浄力は発生せず、充分な洗浄が期待できない。
【0012】
更に、基板の周縁部の洗浄用弾性部材に対する押圧状態が不均一であり、基板の回転駆動を定常的に行うことも困難であり、基板の周縁部において均一状態での洗浄が達成できないという問題もあった。
【0013】
本発明は、かかる事情を鑑みてなされたものであって、上述の技術的課題を解決し、かつ基板の周縁部の粒子汚染物を確実に除去できる基板の洗浄装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
上記目的を達成するために、本発明は、薄板状の被処理体を基板保持手段にて保持して処理する洗浄装置において基板保持手段は、被処理体の中心に対して接近または離隔するように移動する本体部と、前記本体部に配置され、被処理体の周縁部に当接して被処理体を保持するための少なくとも3本の保持具と、前記保持具のうち少なくとも1本の保持具を回転させるための回転駆動部と、本体部に配設され、前記保持具の回転により回転される被処理体の周縁部を洗浄する周縁部洗浄具と、を具備し、前記周縁部洗浄具は、保持具が被処理体を保持すると同時に、被処理体の周縁部に接触するよう前記保持具の間において本体部に配置されることを特徴とする洗浄装置である。
【0015】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の洗浄装置において、前記周縁部洗浄具は弾性部材で形成されたことを特徴とする。
【0016】
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に記載の洗浄装置において、前記周縁部洗浄具は被処理板の回転方向に対して逆回転することを特徴とする。
【0017】
請求項4に係る発明は、請求項1または請求項2に記載の洗浄装置において、前記周縁部洗浄具は被処理体と異なる周速で回転するようにしたことを特徴とする。
【0018】
請求項5に係る発明は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の洗浄装置において、前記被処理体は、薄膜が形成された表面を研磨する加工処理がされた基板であることを特徴とする。
請求項6に係る発明は、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の洗浄装置において、前記周縁部洗浄具は、前記保持具よりも基板の回転方向下流側に配置された洗浄具を含むことを特徴とする。
請求項7に係る発明は、請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の洗浄装置において、前記本体部は、被処理体を挟んで対向配置された一対の本体部であり、前記一対の本体部のそれぞれに、前記3本の保持具と、前記周縁部洗浄具とが配設されていることを特徴とする。
【0019】
本発明の作用は次のとおりである。請求項1〜7に係る発明の洗浄装置においては、被処理体の周縁部を良好に洗浄することができる。即ち、被処理体の保持手段に周縁部洗浄具を配設し被処理体の保持と同時に周縁部洗浄具を洗浄位置に配置することで、被処理体を確実に保持した状態で回転による摺擦により充分な洗浄効果を得ることができる。また被処理板の保持と、周縁部洗浄具の洗浄位置へのセットを同じタイミングにするようにしているから、短い時間で被処理板の洗浄を行うことができる。
【0020】
特に、請求項2記載の発明は、周縁部洗浄具は弾性部材で形成される。本発明によれば、被処理体はその周縁部にて確実に保持され、かつその状態で回転させられる。その状態の被処理体に対して周縁部洗浄具が押し当てられる。周縁部洗浄具は弾性部材なのでその弾性で被処理体の周縁部で必要な洗浄面に当接する。したがって、回転している被処理体の周縁部のすべてを確実に洗浄することができる。すなわち、未洗浄領域をなくすことができる。そのため、被処理体を一層良好に洗浄することができる。
【0021】
特に、請求項3記載の発明は、周縁部洗浄具が被処理体の回転方向に対して逆回転する。即ち、相対的な摺擦により回転している被処理体の周縁部のすべてをさらに確実に洗浄することができる。
【0022】
特に、請求項4記載の発明は、周縁部洗浄具が被処理体と異なる周速で回転する。即ち、周速を異ならせることで摺擦作用を確実に発生させて、回転している被処理体の周縁部のすべてをさらに確実に洗浄することができる。
【0023】
特に、請求項5記載の発明は、被処理体が薄膜が形成された表面を研磨する加工処理がされた基板であっても周縁部のすべてをさらに確実に洗浄することができる。なお、ここでいう加工処理には、薄膜が形成された基板の表面を研磨するCMP処理等の研磨処理が考えられる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明に係る基板処理装置の一実施の形態について説明する。
【0025】
図1は、本発明の実施の形態に係る基板処理装置を示す平面図である。また、図2は、本発明の実施の形態に係る基板処理装置のYZ平面における概略断面図である。さらに、図3は、本発明の実施の形態に係る基板処理装置のZX平面における概略断面図である。
【0026】
この基板処理装置100では、薄板状の被処理体である基板の一種であるウェハWを複数枚収納するポッド(POD)9が収納器として使用されCMP処理の対象となる複数のウェハWがポッド9内に密閉された状態で基板収納部7に配置される。この基板収納部7には、複数のポッド9がX軸方向に一列に配置されている。なお、ポッド9の代わりにウェハカセットを用いてもよい。
【0027】
また、基板収納部7のX軸方向に沿って設けられた搬送路15を挟んで、複数の処理部30,40,50が設けられている。これらの処理部30,40,50もX軸方向に沿って一列に配置されており、ウェハWに対する処理手順に応じて隣接して設けられている。
【0028】
複数の処理部のうち一端側に配置された処理部30は、詳細には後述するが図3に示すように、CMP処理が終了した直後のウェハWを保持装置33が支持した状態で、ウェハWの表面に接触してウェハWの表面を洗浄する表面ブラシ31とウェハWの裏面に接触してウェハWの裏面を洗浄する裏面ブラシ32とを使用してウェハWの両面をブラッシングすることによって、CMP処理によってウェハWに付着した研磨屑等のパーティクルを除去する処理を行う処理部である。この処理部30では、表面ブラシ31及び裏面ブラシ32による洗浄効果を高めるために、図示しないノズルによってアルカリ液等の所定の処理液をウェハWの表面や裏面に供給することが行われる。なお、この処理部30が、本発明の洗浄装置に相当する。
【0029】
また、処理部40は、さらにパーティクル除去能力の高いブラシ41を使用してウェハWの表面に付着している微細なパーティクルを取り除く処理部(表面処理部)である。処理部40では、ブラシ41による洗浄効果を高めるために、ノズル43よりウェハWの表面に対して所定の処理液が吐出することができるとともに、回転部42がウェハWを保持しながら回転させることも可能である。
【0030】
さらに、複数の処理部の内、他端側に配置された処理部50は、ウェハWが回転部52に回転可能な状態に載置され、ウェハWを回転させながらノズル53より純水等のリンス液をウェハWの表面に向けて吐出することにより、ウェハWに対する最終リンスを行った後、リンス液の吐出を停止させてウェハWを高速に回転させて、スピンドライ乾燥を行う処理部(リンス処理・乾燥処理部)である。
【0031】
なお、搬送路15と処理部30,40,50等との上方には、基板処理装置100の内部の雰囲気を清浄に保つために、フィルタファンユニットFFUが設けられている。そして、フィルタファンユニットFFUからは搬送路15や処理部30,40,50等に向けてクリーンエアのダウンフローが形成されている。
【0032】
この基板処理装置100では、図1に示すように、処理部30のX軸方向に隣接する部分をCMP装置200とのインタフェース部分として構成しており、この部分に載置部20が設けられている。載置部20では、CMP装置200に設けられた搬送部210との間でウェハWの受け渡しを行うことができる位値として、図3に示すように、上下方向に2箇所の受け渡し位置La,Lbが設定されている。
【0033】
受け渡し位置Lbは、ウェハWをCMP装置200に受け渡す際に、ウェハWが一旦載置される位置である。そして、CMP装置200の搬送部210の搬送アーム(図示せず)が載置部20の受け渡し位置Lbに対してアクセスし、この搬送アームがウェハWをCMP装置200側に搬送し、CMP装置200において所定の研磨処理を行う。
【0034】
また、受け渡し位置Laは、CMP処理が終了したウェハWをCMP装置200の搬送部210の搬送アームが基板処理装置100に渡す際に、ウェハWを一旦載置する位置である。CMP装置200の搬送部210の搬送アームが載置部20の受け渡し位置Laにアクセスし、CMP処理が終了したウェハWを載置するように構成されている。
【0035】
そして、処理部30,40,50等および載置部20と、基板収納部7との間に設けられた搬送路15には、X軸方向に沿って移動可能な搬送ロボット10が設けられている。この搬送ロボット10は、上下方向に2つの搬送アーム11を備えており、この搬送アーム11がウェハWを保持した状態でウェハWの搬送を行う。また、図2に示すように、基台部分14には、X軸方向に設けられたボールネジ13が螺嵌されており、ボールネジ13が回転することによって搬送ロボット10がX軸方向に沿って移動可能となっている。また、搬送ロボット10は、昇降部分12が伸縮することによってウェハWをZ軸方向(上下方向)にも搬送することができるとともに、θ軸を中心とする回転動作も行うことが可能となっている。したがって、搬送ロボット10の搬送アーム11は、基板収納部7に配置された複数のポッド9と、ウェハ載置部20と、処理部50とにアクセスすることができ、これらの処理部間でウェハWの搬送を行う。
【0036】
ここで、搬送ロボット10の搬送アーム11をポッド9にアクセスする際には、密閉状態のポッド9を開放して搬送アーム11がアクセス可能な状態にする必要がある。そこで、基板処理装置100には、ポッド9が載置されるそれぞれの位置にポッドオープナ8が設けられている。基板収納部7にポッド9が配置されると、図2に示す符号8aの状態のようにポッドオープナ8はアームを伸ばしてポッド9の蓋のロックを解除する。そして、図2に示す符号8bの状態のように、アームがポッド9の蓋を把持した状態でY軸方向に移動して、ポッド9を密閉状態から開放する。符号8bの状態のままでは、搬送ロボット10の搬送アーム11がポッド9内にアクセスすることができないので、図2に示す8cの状態のように、ポッドオープナ9は蓋を保持しているアームを下降させる。
【0037】
このような動作により、ポッド9の密閉状態が開放され、搬送ロボット10の搬送アーム11は、ポッド9内のウェハWにアクセスすることが可能となる。なお、ポッド9は、ウェハWを外気とは隔離した清浄な雰囲気に保つことでウェハWの汚染をしないように密閉されるものであるが、基板処理装置100の内部はポッド9内部と同様に清浄な雰囲気を維持するように構成されており、ポッド9の開放動作は、基板処理装置100の内部で蓋を開放するため、ウェハWを汚染する問題はない。
【0038】
そして、搬送ロボット10は、搬送アーム11をポッド9の内部に向けて伸ばし、ポッド9の内部からウェハWを1枚取り出す。搬送ロボット10は、X軸方向の移動やZ軸方向の移動を行うとともに、θ軸についての回転動作を行い、搬送アーム11は、ポッド9から取り出したウェハWを載置部20の受け渡し位置Lbに載置する。また、搬送ロボット10の搬送アーム11は、処理部50に対してアクセスし、全ての処理が完了したウェハWを取り出す。そして、搬送ロボット10は、X軸方向の移動やZ軸方向の移動を行うとともに、θ軸についての回転動作を行い、搬送アーム11はポッド9の所定位置にアクセスして、CMP処理後の洗浄処理が終了したウェハWをポッド9内に収納する。
【0039】
また、この基板処理装置100には、載置部20に載置されたCMP処理後のウェハWを処理部30に搬送し、処理部30での処理が終了したウェハWを処理部40に搬送し、処理部40での処理が終了したウェハWを処理部50に搬送するためにシャトル搬送ロボット60が設けられている。シャトル搬送ロボット60は、後述するように、X軸方向に沿って移動可能であり、基板受け渡し位置Laに載置されているウェハWを処理部30に、また、処理部30での処理が終了したウェハWを処理部40に、さらに、処理部40での処理が終了したウェハWを処理部50に搬送するので、それぞれの処理部間の搬送動作は一括して同時に行われる。
【0040】
このように、この基板処理装置100においては、搬送ロボット10がポッド9から載置部20へのウェハWの搬送動作を行い、シャトル搬送ロボット60が載置部20から処理部30,40,50へのウェハWの搬送動作を行う。そして、処理部50からポッド9へのウェハWの搬送は、再び搬送ロボット10が担当するように構成されている。
【0041】
また、この基板処理装置100には、処理部30,40,50における処理の際に使用される処理液等が処理部外部へ飛散しないように、昇降可能なカバー70が設けられている。このカバー70は、シャトル搬送ロボット60によって各処理部間のウェハWの搬送が行われる際には、図示しないシリンダやモータ等の昇降駆動機構によって上昇し、シャトル搬送ロボット60のX軸方向に沿った移動と緩衝しないように構成されており、シャトル搬送ロボット60による処理部間搬送が終了して各処理部において洗浄処理を行う際には、昇降駆動機構によってカバー70が下降し、各処理部30,40,50の側面等を覆う。したがって、各処理部においてウェハWに対する処理を行っている際に、他の処理部からの処理液やパーティクル等が付着することがなく、清浄な処理を行うことができる。
【0042】
この基板処理装置100の全体構成は上記のごとくであり、ウェハWに対して処理を行うための複数の処理部30,40,50をX軸方向に沿って隣接するように一列に配置しており、各処理部間のウェハWの搬送を1台のシャトル搬送ロボット60で一括して行うことができるように構成されているため、基板処理装置100のフットプリントを縮小することができる。また、載置部20によって直接外部装置であるCMP装置200とインライン化することができるため、基板処理装置100とCMP装置200とをインライン化したときのフットプリントも縮小することができる。
【0043】
次に、処理部30である洗浄装置の詳細な構成について説明する。図4は、本発明の一実施形態である洗浄装置の構成を示す平面図である。図5は、図4のD−D断面図であり、一部を省略し、かつ一部を概念的に示している。また、図6は、洗浄装置の構成を示す要部を断面とした側面図である。
【0044】
この洗浄装置は、ウェハWの表面に形成された薄膜を研磨するCMP処理が行われた後にウェハWの表面に残っているスラリーおよび不要な薄膜を除去するためのもので、側壁30a,30b,30c,30dによって囲まれた平面視においてほぼ矩形の処理室301、および処理室301内においてウェハWを水平に保持し、かつこの状態でウェハWを回転させることができる保持装置(基板保持手段)33を備えている。
【0045】
さらに、この処理部30は、保持装置33により保持されたウェハWの上面および下面の各中央部に残っているスラリーをスクラブして除去するための表面ブラシ31と裏面ブラシ32よりなる両面洗浄装置34を備えている。
【0046】
そして、処理室301は底壁30eにより上記ウェハ保持装置33と両面洗浄装置34が配置される底壁30eより上部の処理区画302と、底壁30eより下部で主に保持装置33の駆動部が配置される駆動区画303より構成される。
【0047】
保持装置33は、処理室301の側壁30bまたは30dに対して直交する方向(以下「保持方向」という。)A(A′)に関して対向配置された一対の保持ハンド35a,35bを有している。保持ハンド35a,35bは本実施例において同一構造を採用し、図5中左右対称であるので以下、一方の保持ハンド35aをもって説明する。尚、他方の保持ハンド35bは同一構造に同符号を付与して説明を省略する。
【0048】
保持ハンド35aは図7に示すように、保持方向Aに沿って移動可能なもので、ベース取付部36に取り付けられたベース部37と、ベース部37の上方に配置されるハンド軸38と、ウェハWを保持するための3つの保持用ローラ(保持具)80(a〜c)を配設される本体部39をそれぞれ有している。
【0049】
また保持ハンド35aの本体部39には保持されたウェハWの周縁付近の上下面および端面を含む周縁部のみを洗浄するため後述する周縁部洗浄具90(a,b)を備えている。すなわち、周縁部洗浄具90(a,b)によってウェハWの周縁部に残っているスラリーや不要な薄膜を除去するようになっている。
【0050】
ベース取付部36には、側壁30aに締結された連結部材361を介して保持方向Aに沿って長く形成され、ベース部37の下方まで延びた台部362の一端が連結されている。台部362の一端には、L字状の取付板363の立設面にシリンダ364が固定され、シリンダ364のロッド364aが連結板371を介してベース部37に取り付けられている。ロッド364aは、保持方向Aに沿って突出したり引っ込んだりできるようになっている。また、台部362上には保持方向Aに沿ってスライドレール365が配置される。
【0051】
一方、ベース部37は、スライドレール365上に装着されるスライド部372と、スライド部372上に底板373を配置して構成される。底板373には下面にブラケット374が装着され、このブラケット374にモータM1が支持される。また、底板373の上面にはハンド軸38が固定される。
【0052】
ハンド軸38は、2つの筒状体より構成され、底板373の挿通口373aの位置に合わせて底板373上面に装着される外筒体381と、その内部に装着される内筒体382により構成される。そして、内筒体382の上部は底壁30eの挿通穴30fを通って処理区画302に延在し、その内筒体382の上端に本体部39が装着され支持される。
【0053】
本体部39上面の保持用ローラ80(a〜c)は、ウェハWを保持した状態でウェハWを回転させるべく、本体部39に回転可能に設けられている。これらの保持用ローラ80(a〜c)は、ウェハWの端面形状に対応した円周上に配置されている。ウェハWは、保持用ローラ80(a〜c)の側面にその端面が当接した状態で保持される。すなわち、保持用ローラ80(a〜c)は、本体部39に鉛直軸まわりの回転が自在であるように支持されたローラ軸81(a〜c)と、ローラ軸81(a〜c)の上端に固定されている保持具82(a〜c)により構成される。
【0054】
保持具82(a〜c)は同じ構成であり、図8に示すように、軸部821と、外周面に略V字状の周溝822が形成された駆動伝達部823により構成される。この周溝822にウェハWの端部が当接しながら回転がウェハWに伝達される。保持具82は周縁部洗浄具90a,90bの表面より硬度の高い樹脂等で一体成形で形成される。これは、ウェハWの端部の当接によっても傷がつかないような硬さに設定されている。
【0055】
ウェハWを回転させるために必要な駆動力は、保持用ローラ80bにのみ与えられるようになっている。すなわち、保持用ローラ80(a〜c)のうち中央の保持用ローラ80bには、ベース部37の下端に取り付けられたモータM1 の駆動力が連結部824とローラ軸81bを介して伝達されるようになっている。
【0056】
さらに詳述する。保持用ローラ80aのローラ軸81aは、図6に示すように、本体部39に形成された挿通穴391aを通って本体部39の内部に形成された空間392まで延ばされており、挿通穴391aに配置された2つの軸受393a,393bを介して本体部39に回転自在に支持されている。他の保持用ローラ80cのローラ軸81cも同様に、挿通穴391cを通って空間392まで延ばされ、かつ挿通穴391cに配置された2つの軸受394a,394bを介して本体部39に回転自在に支持されている。
【0057】
中央の保持用ローラ80bのローラ軸81bは、本体部39に形成された挿通穴391bを通って本体部39の内部に形成された空間392まで延ばされており、及び挿通穴395を介して本体部39の下方に突出している。そして、挿通穴391bに配置された軸受396aと、挿通穴395に配置された軸受396bを介して本体部39に回転自在に支持されている。
【0058】
中央のローラ軸81bには、2つのプーリ83b,84bが取り付けられている。そして、2つのプーリ83b,84bと他の2つのローラ軸81a,81cにそれぞれ取り付けられたプーリ83a,84cとの間に、ベルト85,86がそれぞれ巻き掛けられている。符号87,88はそれぞれのベルト85,86にテンションを付与するテンション軸である。
【0059】
以上の構成により、モータM1によって中央の保持用ローラ80bが駆動されると、中央の保持用ローラ80bに伝達されてきた駆動力は、ベルト85,86を介して他の2つの保持用ローラ80a,80cにも伝達され、これに伴って他の2つの保持用ローラ80a,80cが駆動される。その結果、保持用ローラ80に保持されているウェハWは回転を始める。このようにして、ウェハWは保持用ローラ80(a〜c)に保持された状態で回転方向Bに沿って回転する。この場合におけるウェハWの回転速度は、たとえば約10〜20(回転/分)である。以上のように、この実施形態では、モータM1およびベルト85,86が回転駆動部に対応している。
【0060】
周縁部洗浄具90(a,b)は、図9に示すように軸部91と、軸部91に連結される円柱状の本体部92と、本体部92の外周表面に被覆された洗浄用弾性部材93とから構成されている。本例で洗浄用弾性部材93はPVAが用いられるが、PVAに限らず、多数の気孔を有するスポンジ状の部材を用いてもよい。
【0061】
周縁部洗浄具90(a,b)は図4に示すように、ウェハWの端面形状に対応した円周上で保持用ローラ80(a〜c)の間に配置される。ウェハWは、その周縁部が洗浄用弾性部材93に押圧され、ウェハWの上下面及び端面を含む周縁部が洗浄用弾性部材93により洗浄されるべく、洗浄用弾性部材93は変形する。
【0062】
この構成により、シリンダ364を駆動することによって、ベース部37が連結板371を介してスライドレール365上をスライド部372によって移動し、保持ハンド35aを保持方向Aに沿って進退させることができる。そして、保持ハンド35a,35bが互いに反対方向に進退することでウェハWを保持用ローラ70の間で挾持したり、この挾持を解放したりすることができる。即ち、シリンダ364が保持装置33の駆動手段を構成する。この際、底壁30eの挿通穴30fはハンド軸38のスライド領域より大きく開孔されており、保持ハンド35aの移動が妨げられることがない。
【0063】
なお、参照符号300は、保持ハンド35aの移動とともに変形及び伸縮自在なベローズであり、両面洗浄装置34において使用される洗浄液ならびにその雰囲気が、駆動部に影響を与えないようにするため、あるいは処理区画302の外部に漏れるのを防ぐためのものである。また、シリンダ364のロッド364aや後述するハンド軸38から発生するパーティクルが処理区画302の内部に侵入するのを防止するためのものでもある。
【0064】
図5に戻って、両面洗浄装置34は、保持装置33により保持されたウェハWの上方および下方に配置された表面ブラシ31および裏面ブラシ32を備えている。表面ブラシ31および裏面ブラシ32は、それぞれ、保持ハンド35a,35bに干渉しない位置に、ウェハWの中心部から周縁部に至るウェハWの表面領域を覆うように配置されている。
【0065】
表面ブラシ31および裏面ブラシ32は、ウェハWに対向する側に取付面311,321を有するベース部312,322と、ベース部312,322に取り付けられた回転軸313,323とを有し、回転駆動部314,324により鉛直軸方向に沿う回転軸を中心に回転方向Cに沿って回転できるようにされている。さらに、表面ブラシ31および裏面ブラシ32は、それぞれ、昇降駆動部315,325によって上下方向に移動できるようになっている。これにより、ウェハ洗浄時においてはウェハWを表面ブラシ31および裏面ブラシ32で挟み込むことができ、また、ウェハ洗浄後においては、ウェハWから表面ブラシ31および裏面ブラシ32を離すことができるようになっている。
【0066】
ベース部312,322の各取付面311,321には、洗浄用ブラシ(両面スクラブ手段)316,326が設けられている。洗浄用ブラシ316,326の中央付近には、ウェハWに洗浄液を供給するための洗浄液供給ノズル317(a,b),327(a,b)がそれぞれ配置されている。洗浄液は、フッ酸、硝酸、塩酸、リン酸、酢酸、アンモニアなどの薬液、および純水を含む。
【0067】
洗浄液供給ノズル317(a,b),327(a,b)には、洗浄用パイプ318(a,b),328(a,b)が連結されている。洗浄用パイプ318(a,b),328(a,b)は、回転軸313,323内に回転しないように挿通されており、その他端には、図示しない薬液用タンクから薬液が導かれる薬液供給路319a,329a、および図示しない純水用タンクから純水が導かれる純水供給路319b,329bが開閉弁330(a,b),331(a,b)に接続されている。この構成により、薬液および純水を洗浄液供給ノズル317(a,b),327(a,b)から選択的に吐出させることができる。
【0068】
次に、シャトル搬送ロボット60の構成について説明する。図10は、シャトル搬送ロボットの平面図、図11(a),(b)はシャトル搬送ロボット60とウェハWの処理部との関係を示す概略側面図である。
【0069】
図10に示すシャトル搬送ロボット60には、ウェハWの処理部間搬送を行う際に、ウェハWを保持する3個の保持部61,62,63が設けられているが、このうち最も+X軸方向側に設けられている保持部61は載置部20から処理部30へのウェハWの搬送を担当し、中央に設けられている保持部62は処理部30から処理部40へのウェハWの搬送を担当し、最も−X軸方向側に設けられている保持部63は処理部40から処理部50へのウェハWの搬送を担当する。
【0070】
それぞれの保持部61,62,63は、第1アーム61a,62a,63aと第2アーム61b,62b,63bとを備えている。そして、各々のアームにはウェハWを周縁部で保持するための保持部材64が各々2個設けられている。
【0071】
そして、基板処理装置100内にある後述する制御部が、図示しない駆動手段に対して駆動命令を送ると、各第1アーム61a,62a,63aは−X軸方向に移動する一方、各第2アーム61b,62b,63bは+X軸方向に移動する。この動作により、シャトル搬送ロボット60によるウェハWを保持する動作(すなわち、ウェハWのチャッキング動作)が行われる。このチャッキング動作は、第1アーム61a,62a,63aと第2アーム61b,62b,63bとの2本のアームによってウェハWを挟み込む動作であるため、ウェハWの下面を支持するだけのものに比べると、各処理部に対して搬送するウェハWの位置アライメントを行う。
【0072】
また、逆に各第1アーム61a,62a,63aは+X軸方向に移動する一方、各第2アーム61b,62b,63bは−X軸方向に移動する動作により、シャトル搬送ロボット60のウェハWの保持状態を開放する動作が行われる。
【0073】
また、図示しないモータ等の駆動によってα方向に保持部61,62,63も回転軸65を中心にして回転する。よって保持部61,62,63がウェハWを保持した状態でモータを駆動することにより、ウェハWもYZ平面での回転動作を行う。
【0074】
ここで、図11(a)に示すように回転軸65にα方向の微少量の回転を与えると、ウェハWの保持状態の保持部61は、その状態でα方向に微少量の回転を行う。したがって、載置部20に載置されているウェハWは、保持部61に保持されてα方向に回転することによって、離脱することとなる。同様に、各処理部30,40で保持されていたウェハWについても、保持部61,62,63に保持されてα方向に回転することによって各処理部30,40における保持状態から開放されることになる。
【0075】
そして、保持部61,62,63は下部に移動台66が連結されており、移動台66は−X軸方向に沿って移動する。したがって、同時に保持部61,62,63も−X軸方向に沿って移動する。
【0076】
まず、図10に示すように、シャトル搬送ロボット60は、載置部20と処理部30,40に対応する側に位置する。処理部30,40におけるウェハWの処理中は、保持部61,62,63は図中一点鎖線で示す位置にある。そして、処理部30,40のおけるウェハWの処理が終了すると、各保持部61はそれぞれ図中実線で示す位置に移動し、載置部20,処理部30,処理部40にあるウェハWの保持を行う。そして、各ウェハWを上昇させた後、シャトル搬送ロボット60を−X軸方向に移動させる。
【0077】
そして、処理部30,処理部40,処理部50へ搬送したウェハWを下降させた後、保持部61を一点鎖線で示す位置に退避させることによって、各処理部へのウェハWの搬送動作を完了する。なお、保持部61が退避する際には、各処理部間等に設けられた退避位置67に退避する。
【0078】
このように、このシャトル搬送ロボット60は、隣接する処理部間でのウェハWの搬送を同時に行うようになっているため、効率的なウェハWの処理部間の搬送を実現しているとともに、載置部20から処理部30へのウェハWの搬送と、処理部30から処理部40へのウェハWの搬送と、処理部40から処理部50へのウェハWの搬送については個別に搬送ロボットを設ける必要がなく、基板処理装置100のフットプリントを減少させることが可能となる。
【0079】
なお、処理部50からのウェハWの取り出しは、上述のように搬送ロボット10の搬送アーム11が行うように構成されている。
【0080】
次に、カバー70について説明する。図10に示すように、カバー70は、処理部30,40,50におけるウェハWの処理の際に処理液等が飛散しないように各処理部を覆っている。また、カバー70は、下降した際に、退避位置67に退避しているシャトル搬送ロボット60の保持部61,62,63に緩衝しないように各退避位置67に対応する位置の凹部71が設けられている。したがって、シャトル搬送ロボット60の保持部61,62,63が図10の一点鎖線で示す位置に退避した場合に、カバー70を下降させれば、カバー70は保持部61,62,63に接触することなく各処理部30,40,50を良好に覆うことができる。
【0081】
また、シャトル搬送ロボット60の保持部61,62,63が退避位置67に退避した直後にカバー70を下降させれば、各処理部30,40,50における上述のウェハWの処理を開始することができる。
【0082】
次に、図11(a),(b)に基づいて、カバー70とシャトル搬送ロボット60との関係について説明する。図11(a)に示すように、シャトル搬送ロボット60の回転軸65がα方向に微少量回転し、保持部61がウェハWを持ち上げた状態で処理部間搬送を行う。このとき、カバー70は、シャトル搬送ロボット60の搬送動作の際に緩衝しないように図示しない昇降手段によって上昇した状態となっている。
【0083】
ところで、ウェハWの処理部間搬送が終了し、カバー70が下降して各処理部におけるウェハWの処理が開始された際に、処理部30,40,50に対応する位置にあるシャトル搬送ロボット60を次の処理部間搬送に備えて、載置部20,処理部30,40に対応する位置に予め移動させておくことが必要に応じて行われる。
【0084】
しかし、各処理部はウェハWの処理中であり、カバー70は閉じた状態であるため、保持部61が退避位置67にある状態で、シャトル搬送ロボット60を+X軸方向に移動させると、カバー70に衝突する。
【0085】
そこで、このシャトル搬送ロボット60では、図11(b)に示すように、シャトル搬送ロボット60の回転軸65を90度程度回転させることによって保持部61を起立状態にし、側面視でカバー70と保持部61とが重ならないような状態にする。こうすることにより、シャトル搬送ロボット60が+X軸方向に移動しても保持部61がカバー70と緩衝しないようになり、各処理部におけるウェハWの処理中に、シャトル搬送ロボット60を載置部20,処理部30,40に対応する位置に予め移動させておくことが可能となる。
【0086】
そして、シャトル搬送ロボット60がX軸方向に移動して、載置部20,処理部30,40に対応する位置に到達すると、起立状態の保持部61を再び略水平状態に戻す。
【0087】
なお、ウェハWの処理中に図10の一点鎖線で示す保持部61の位置で待機しているときに保持部61の洗浄を行う場合は、載置部20の近辺に載置部20内のウェハWをチャッキングする保持部61に対してリンス液を吐出するノズル(図示せず)を設ければよい。そして、載置部20の近辺に設けられたノズルからリンス液を吐出することにより、保持部61を洗浄することが可能となる。
【0088】
図12は、この基板処理装置100の主要な電気的構成を示すブロック図である。この基板処理装置100には、当該装置の制御中枢として機能するマイクロコンピュータなどで構成された制御部500が備えられている。制御部500は、ROM501に格納された制御プログラムに従って、シリンダ364,364、モータM1、回転駆動部314,324、昇降駆動部315,325、および開閉弁330(a,b),331(a,b)を制御する。
【0089】
次に、この基板処理装置100の洗浄動作について説明する。洗浄前においては、保持ハンド35a,35bはウェハWを保持する保持位置から退避した位置で待機し、かつ表面ブラシ31および裏面ブラシ32も互いにウェハWから離れた状態で待機している。前工程であるCMP処理が終了しシャトル搬送ロボット60によってウェハWが搬送されてくると、制御部500は、シリンダ364のロッド364aを進出させる。その結果、保持ハンド35a,35bは互いに近づく。これにより、ウェハWがその端面において保持用ローラ80(a〜c)に保持される。同時に周縁部洗浄具90(a,b)もウェハWの端部の洗浄位置に正確に配置されることとなる。
【0090】
その後、制御部500は、回転駆動部314,324を駆動し、表面ブラシ31および裏面ブラシ32を回転させる。これと同時に、制御部500は、開閉弁330a,331aを制御し、薬液供給路319a,329aを接続させる。その結果、洗浄液供給ノズル317a,327aから薬液がそれぞれウェハWの上面および下面に供給される。
【0091】
その後、制御部500は、モータM1を駆動する。その結果、保持用ローラ80(a〜c)が回転駆動される。これに伴って、ウェハWが低速回転する。さらに、制御部500は、昇降駆動部315,325を制御し、表面ブラシ31および裏面ブラシ32を互いに近づく方向に移動させる。その結果、保持用ローラ80(a〜c)に保持されているウェハWは、表面ブラシ31および裏面ブラシ32によって挟み込まれ、表面ブラシ31および裏面ブラシ32によりウェハWの上面および下面が擦られる。これにより、ウェハWの上面および下面に薬液が供給されつつ表面ブラシ31および裏面ブラシ32によってスクラブ洗浄される。その結果、ウェハWの上面および下面に残っていたスラリーが除去される。
【0092】
同時にウェハWの周縁部は周縁部洗浄具90a,90bにより洗浄される。周縁部洗浄具90a,90b は固定的に配置されているので、ウェハWの回転に追従して回転することはなく、洗浄位置にて充分な洗浄作用をウェハWの周縁部に対して行うこととなる。
【0093】
所定の時間経過後、制御部500は、昇降駆動部315,325を制御し、表面ブラシ31および裏面ブラシ32を互いにウェハWから離れる方向に移動させ、ウェハWから表面ブラシ31および裏面ブラシ32を離れさせる。その後、開閉弁319a,319bを閉じて開閉弁329a,329bを開くよう制御し、洗浄用パイプ318b,328bと純水供給路319b,329bとを接続させる。その結果、洗浄液供給ノズル317b,327bから純水がウェハWの上面および下面に供給され、ウェハWの上面および下面に残っている薬液等が洗い流される。
【0094】
その後、制御部500は、開閉弁329a,329bを制御し純水の吐出を停止させ、また、回転駆動部314,324の駆動を停止して表面ブラシ31および裏面ブラシ32の回転を停止させる。さらに、モータM1の駆動を停止させ、ウェハWの回転を停止させる。これにより、両面洗浄装置34におけるスクラブ洗浄処理が終了する。その結果、ウェハWの周縁部の表面上に残っているエッチング液が洗い流されるとともに、ウェハWの周縁部に残っていたスラリーが除去されたり、不要な薄膜がエッチングされる。
【0095】
洗浄処理終了後、制御部500は、シャトル搬送ロボット60をウェハWに向けて移動させる。これにより、シャトル搬送ロボット60はウェハWを次の処理部40へ搬送する。処理部40では、ブラシ41により表面洗浄処理を行う。そして、処理部50では、純水等のリンス液を使用してウェハの最終リンスを行った後、ウェハを高速に回転させて、スピンドライ乾燥(リンス処理・乾燥処理)を行う。
【0096】
さらに、搬送ロボット10は、処理部50での最終リンス処理が行われて、乾燥処理されたウェハWを取り出してウェハWを基板収納部7に設けられているポッド9に収納する。
【0097】
以上のように本実施形態によれば、ウェハWの周縁部をウェハWの保持と同時に洗浄できるようにしているから、別途、周縁部の洗浄手段を洗浄位置まで移動させる構造を必要とせずウェハWの周縁部の洗浄を行うことができる。したがって、ウェハWの周縁部の不要な薄膜が残っている場合であっても、当該薄膜を確実に除去できる。また、ウェハWの周縁部にスラリーが残っている場合であっても、当該スラリーを確実に除去できる。その結果、スラリーと薄膜との反応生成物が発生することもなくなる。そのため、CMP処理後のウェハWの全体を良好に洗浄できる。よって、高品質な半導体装置を提供できる。
【0098】
本発明の実施の一形態の説明は以上のとおりであるが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。たとえば上記実施形態では、ウェハWの中央部と周縁部とを1つの処理室301にて洗浄する場合を例にとって説明しているが、たとえばウェハWの中央部を第1の処理室にて洗浄した後、別の第2の処理室にてウェハWの周縁部を洗浄するようにしてもよい。この構成によっても、ウェハWの中央部と周縁部とを洗浄することができるから、上記実施形態と同様に、膜残り等の不具合を解消でき、ウェハWの表面の全体を良好に洗浄できる。
【0099】
また、上記実施形態では、図1から図9までに示すように、ウェハWを6つの保持用ローラ80によって保持する構成を例にとって説明しているが、ウェハWを保持すべき保持用ローラは少なくとも3つ以上あればよい。この場合、3つ以上の保持用ローラのうちいずれか1つに対してだけ駆動力を伝達するようにしてもよい。この構成によっても、ウェハWを端面にて保持しつつ回転させることができる。
【0100】
さらに、上記実施形態では、周縁部洗浄具90a,90bを固定しているが、ウェハWの回転方向Bと反対方向に回転させてもよい。または、同方向にウェハWの回転速度(周速)と異なる回転速度(周速)で回転させてもよい。図13に示すように周縁部洗浄具601,602は軸部603,604を本体部39の内部に延設し、軸部604をさらに本体部39の下方にて図示しないモータに連結する。各々の軸部603,604はプーリ605,606にベルト607が架け渡され、軸部604の回転が軸部603に伝達される。この構成において、軸部604の回転方向または回転速度(周速)を制御することで充分な洗浄効果を得るものである。
【0101】
さらに、上記実施形態では、周縁部洗浄具90a,90bを保持用ローラ80aと80bの間、保持用ローラ80bと80cの間にそれぞれ1個配置する構成としているが、図14に示すように各々の保持ハンド35a,35bのウェハWの回転方向B下流側に更に1個の周縁部洗浄具700a,700bを配置するようにしてもよい。これによって、保持ローラ80c 直後においてもウェハWの端部が充分洗浄されることとなる。
【0102】
さらに、上記実施形態では、保持ハンド35aと保持ハンド35bをそれぞれ保持方向Aと保持方向A′に移動させるようにしているが、一方を固定して他方を移動するように構成しウェハWを保持するようにしてもよい。
【0103】
さらに、上記実施形態では、CMP処理後のウェハWの洗浄を行う場合を例にとって説明しているが、本発明は、CMP処理後に限らずに、ウェハWの中央部と周縁部とを洗浄する必要のある場合に広く適用することができる。
【0104】
さらに、上記実施形態では、ウェハWの洗浄が行われる場合について説明しているが、本発明は、液晶表示装置用ガラス基板およびPDP(プラズマ・ディスプレイ・パネル)基板など他の各種の基板の洗浄に対して広く適用することができる。その他、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【0105】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、被処理体の周縁部を良好に洗浄することができる洗浄装置が提供される。即ち、被処理体の保持手段に周縁部洗浄具を配設し被処理体の保持と同時に周縁部洗浄具を洗浄位置に配置することで、被処理体を確実に保持した状態で回転による摺擦により充分な洗浄効果を得ることができる。また被処理板の保持と、周縁部洗浄具の洗浄位置へのセットを同じタイミングにするようにしているから、短い時間で被処理板の洗浄を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る基板処理装置を示す平面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る基板処理装置のYZ平面における概略断面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る基板処理装置のZX平面における概略断面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る洗浄装置の構成を示す平面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る洗浄装置を示す図4のD−D矢視の断面図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る洗浄装置を示す要部を断面とした側面図である。
【図7】図5の保持ハンド35aの拡大図である。
【図8】保持ローラを示す側面図である。
【図9】周縁部洗浄具を示す一部切欠断面図である。
【図10】シャトル搬送ロボットによる処理部間搬送の様子を示す説明図である。
【図11】カバーと保持部との動作関係を示す概略側面図で、(a)はウェハを保持した状態、(b)は保持部を起立状態にした状態である。
【図12】基板処理装置の制御部の構成を示すブロック図である。
【図13】他の実施例を示す概略断面図である。
【図14】他の実施例を示す概略平面図である。
【図15】従来の洗浄装置の概略構成図である。
【図16】従来の洗浄装置の構成を示す側面図である。
【図17】従来の基板の周縁部の洗浄領域を示す説明図である。
【符号の説明】
20 載置部
30、40、50 処理部
33 保持装置
34 両面洗浄装置
35a、35b 保持ハンド
36 ベース取付部
37 ベース部
38 ハンド軸
39 本体部
60 シャトル搬送ロボット
90a、90b、700a、700b 周縁部洗浄具
93 洗浄用弾性部材
100 基板処理装置
200 CMP装置
Claims (7)
- 薄板状の被処理体を基板保持手段にて保持して処理する洗浄装置において、
基板保持手段は、被処理体の中心に対して接近または離隔するように移動する本体部と、
前記本体部に配置され、被処理体の周縁部に当接して被処理体を保持するための少なくとも3本の保持具と、
前記保持具のうち少なくとも1本の保持具を回転させるための回転駆動部と、
本体部に配設され、前記保持具の回転により回転される被処理体の周縁部を洗浄する周縁部洗浄具と、
を具備し、
前記周縁部洗浄具は、保持具が被処理体を保持すると同時に、被処理体の周縁部に接触するよう前記保持具の間において本体部に配置されることを特徴とする洗浄装置。 - 請求項1に記載の洗浄装置において、
前記周縁部洗浄具は弾性部材で形成されたことを特徴とする洗浄装置。 - 請求項1または請求項2に記載の洗浄装置において、
前記周縁部洗浄具は被処理板の回転方向に対して逆回転することを特徴とする洗浄装置。 - 請求項1または請求項2に記載の洗浄装置において、
前記周縁部洗浄具は被処理体と異なる周速で回転するようにしたことを特徴とする洗浄装置。 - 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の洗浄装置において、
前記被処理体は、薄膜が形成された表面を研磨する加工処理がされた基板であることを特徴とする洗浄装置。 - 請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の洗浄装置において、
前記周縁部洗浄具は、前記保持具よりも基板の回転方向下流側に配置された洗浄具を含むことを特徴とする洗浄装置。 - 請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の洗浄装置において、
前記本体部は、被処理体を挟んで対向配置された一対の本体部であり、
前記一対の本体部のそれぞれに、前記3本の保持具と、前記周縁部洗浄具とが配設されていることを特徴とする洗浄装置。
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