JP3892635B2 - 洗浄装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体ウエハ、液晶表示用ガラス基板、フォトマスク用ガラス基板などの薄板状の被処理体である基板に所定の洗浄処理を行う洗浄装置に関する。特に基板の端部をも効率的に洗浄できる基板の洗浄装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から基板の一種であるウェハの処理過程において、ウェハの表面に形成された多層構造化に伴う凹凸を取り除くために、化学研磨剤(スラリー)やパッド等を使用してウェハの表面を機械的に削ることにより、ウェハの表面の平坦化を行うCMP(Chemical Mechanical Polishing)処理を行っている。
【0003】
CMP(化学機械研磨)処理が行われたウェハ(以下、単に基板という)の表面には研磨によって研磨屑等が付着しているため、CMP処理後の基板に対する処理として基板を洗浄して研磨屑等を除去する処理が行われる。
【0004】
このCMP洗浄は、上記CMPにおいて、基板面を汚染させるスラリーを除去するための後処理洗浄であり、下記のように、ブラシスクラブ洗浄が一般に採用されている。
【0005】
上述のような基板の洗浄を行うための従来技術の概念的な構成は、図14および図15に示されている。すなわち、基板Wの端面が一対の端面支持ハンド210,211によって挟持されることにより、基板Wの支持が達成されている。そして、基板Wの上面は、円板状のベース部212とその下面に固設された洗浄用ブラシ214とからなるスクラブ洗浄部材216によってスクラブ洗浄される。すなわち、洗浄用ブラシ214の接触面218が基板Wの上面に接触した状態で、スクラブ洗浄部材216が図示しない回転駆動機構によって回転され、かつ洗浄用ブラシ214のほぼ中心に配置されたノズル220から洗浄液が吐出されて、基板Wの上面がスクラブ洗浄される。
【0006】
また、基板Wの下面も同様に、円板状のベース部213とその上面に固設された洗浄用ブラシ215とからなるスクラブ洗浄部材217が、洗浄用ブラシ215の接触面219が基板Wの下面に接触した状態で、図示しない回転駆動機構によって回転され、かつ洗浄用ブラシ215のほぼ中心に配置されたノズル221から洗浄液が吐出されて、基板Wの下面がスクラブ洗浄される。
【0007】
なお、この構成において、端面支持ハンド210,211は、基板Wを保持しつつ、図14に示すように基板Wの中心OWが円軌道を描くように、基板Wを円運動させる。この結果、接触面218,219は、基板Wのほぼ全面に接触することとなるから、基板Wのほぼ全面をスクラブ洗浄できる。
【0008】
ところで、基板Wは、一般に、その表面全体が半導体装置の形成に用いられるわけではなく、図16に示すように、周縁付近の上下面230および端面231を含む周縁部232を除く中央部233だけが半導体装置の形成に用いられる有効エリアである。したがって、基板Wの表面上に薄膜をパターン形成していくと、基板Wの中央部233と周縁部232とでは膜厚や膜硬などの膜質が異なってくる。そのため、本来なら、基板Wの中央部233の洗浄の仕方と周縁部232の洗浄の仕方とを変える必要がある。たとえば、用いられる洗浄液の種類や濃度を変えることにより、中央部233に残留しているスラリーを除去し、また、周縁部232に残留しているスラリーや不要な薄膜を除去する必要がある。
【0009】
しかし、上記従来技術の構成では、エッチング処理による基板Wの薄膜に対するパターン形成において、基板Wの中央部233の有効エリア内にのみ注意が払われているから、基板Wの周縁部232にエッチング不足領域が残ったままとなり、これが、不要な薄膜となる場合や、また、スラリーが基板Wの周縁部232に残ってしまうことがある。
【0010】
もしも、基板Wの周縁部232に不要な薄膜およびスラリーが残っていると、当該薄膜とスラリーとが反応し、その結果生成された物質が基板Wの周縁部232に残る場合もある。このように、上記従来技術の構成においては、基板Wの周縁部232に、不要な薄膜やスラリー、薄膜とスラリーとの反応生成物が残るという不具合がある。この場合、これらの物質はパーティクルとなるから、半導体装置の製造工程において歩留りの低下につながり、大きな問題となっていた。
【0011】
このように、基板の清浄度は年々厳しくなり、基板の端部汚染も無視できなくなってきており、端部を洗浄する装置が開発されている。その一例として、特開平11−625号公報には、基板の端部に接触して基板を定位置に保持するとともに、基板を回転させるための一対のエッジ部洗浄用ローラが開示されている。このエッジ部洗浄用ローラは、その表面の洗浄用弾性部材に、基板の端部が入り込むような略V字型の周溝が形成され、その周溝に基板の端部を押圧する。よって、基板は回転しつつ全周の端部がエッジ部洗浄用ローラの洗浄用弾性部材で擦られて洗浄される。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特開平11−625号公報に記載の洗浄装置は、基板に対して回転駆動を与える構成上、基板の端部とエッジ部洗浄用ローラの周速は同じである。そのため、洗浄用弾性部材により端部の不要な薄膜やスラリーを充分に擦り取るという洗浄力は発生せず、充分な洗浄が期待できない。
【0013】
更に、搬送されてくる基板に対して、エッジ部洗浄用ローラはサイドから移動されセットされる。そのため、装置構成として幅方向に大きくなってしまうという問題があった。
【0014】
また、この際、基板の高さ位置は正確に位置決めされる必要があるし、そうでなければエッジ部洗浄用ローラの周溝以外の部分が基板端部に当接して傷つける、もしくは、エッジ部洗浄用ローラから基板が落下してしまうことが考えられるという問題もあった。
【0015】
本発明は、かかる事情を鑑みてなされたものであって、上述の技術的課題を解決し、かつ基板の周縁部の粒子汚染物を確実に除去できる基板の洗浄装置を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、薄板状の被処理体を処理する洗浄装置において、前記被処理体の端部を洗浄する傾斜側面を有する洗浄部を有する周縁部洗浄手段と、前記周縁部洗浄手段を被処理体の平面側から当接させる移動手段と、前記被処理体の主面に垂直な軸を中心として前記周縁部洗浄手段を回転させる第1回転駆動部と、を有し、前記周縁部洗浄手段の前記洗浄部は、植設されたブラシ毛により前記傾斜側面を含む略円錐状に形成され、前記移動手段は被処理体の端部を周縁部洗浄手段の前記ブラシ毛により形成された前記傾斜側面に当接させ、前記ブラシ毛に押圧されて基板の平面部及び端面が洗浄されることを特徴とする洗浄装置である。
【0017】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の洗浄装置において、前記被処理体の周縁部を保持しつつ前記被処理体を回転させる第2回転駆動部と、前記第1回転駆動部と前記第2回転駆動部とを反対方向に回転させる第1制御手段と、を更に有することを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の洗浄装置において、前記被処理体の表裏面を洗浄する表裏面洗浄手段と、前記表裏面洗浄手段を回転させる第3回転駆動部と、前記表裏面洗浄手段による洗浄動作と同時に前記周縁部洗浄手段による洗浄動作が行われ、前記表裏面洗浄手段による洗浄動作の終了後にも前記周縁部洗浄手段による洗浄動作が継続されるように、前記表裏面洗浄手段と前記周縁部洗浄手段とを制御する第2制御手段と、を更に有することを特徴とする。
【0019】
請求項4に係る発明は、薄板状の被処理体を処理する洗浄装置において、前記被処理体の端部を洗浄する傾斜側面を有する洗浄部を有する周縁部洗浄手段と、前記周縁部洗浄手段を被処理体の平面側から当接させる移動手段と、前記被処理体の主面に垂直な軸を中心として前記周縁部洗浄手段を回転させる第1回転駆動部と、を有し、前記周縁部洗浄手段の前記洗浄部は、一体形成されたPVAのスポンジ体により前記傾斜側面を含む略円錐状に形成され、前記移動手段は被処理体の端部を周縁部洗浄手段の前記スポンジ体により形成された前記傾斜側面に当接させ、前記スポンジ体に押圧されて基板の平面部及び端面が洗浄されることを特徴とする洗浄装置である。
【0020】
請求項5に係る発明は、請求項1から請求項4までのいずれかに記載の洗浄装置において、前記被処理体は、薄膜が形成された表面を研磨する加工処理がされた基板であることを特徴とする。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明に係る基板処理装置の一実施の形態について説明する。
【0022】
図1は、本発明の実施の形態に係る基板処理装置を示す平面図である。また、図2は、本発明の実施の形態に係る基板処理装置のYZ平面における概略断面図である。さらに、図3は、本発明の実施の形態に係る基板処理のZX平面における概略断面図である。
【0023】
この基板処理装置100では、基板の一種であるウエハWを複数枚収納するポッド(POD)9が収納器として使用されCMP処理の対象となる複数のウエハWがポッド9内に密閉された状態で基板収納部7に配置される。この基板収納部7には、複数のポッド9がX軸方向に一列に配置されている。なお、ポッド9の代わりにウエハカセットを用いてもよい。
【0024】
また、基板収納部7との間にX軸方向に沿って設けられた搬送路15を挟んで、複数の処理部30,40,50が設けられている。これらの処理部30,40,50もX軸方向に沿って一列に配置されており、ウエハWに対する処理手順に応じて隣接して設けられている。
【0025】
複数の処理部のうち一端側に配置された処理部30は、詳細には後述するが図3に示すように、CMP処理が終了した直後のウエハWを保持装置33が支持した状態で、ウエハWの表面に接触してウエハWの表面を洗浄する表面ブラシ31とウエハWの裏面に接触してウエハWの裏面を洗浄する裏面ブラシ32とを使用してウエハWの両面をブラッシングすることによって、CMP処理によってウエハWに付着した研磨屑等のパーティクルを除去する処理を行う処理部である。
【0026】
この処理部30では、表面ブラシ31及び裏面ブラシ32による洗浄効果を高めるために、図示しないノズルによってアルカリ液等の所定の処理液をウエハWの表面や裏面に供給することが行われる。また、保持装置33の近傍には保持装置33により保持されるウェハWをその裏面が上面になるように反転させる公知の反転装置3が配置されている。なお、この処理部30が、本発明の洗浄装置に相当する。
【0027】
また、処理部40は、さらにパーティクル除去能力の高いブラシ41を使用してウエハWの表面に付着している微細なパーティクルを取り除く処理部(表面処理部)である。処理部40では、ブラシ41による洗浄効果を高めるために、ノズル43よりウエハWの表面に対して所定の処理液が吐出することができるとともに、回転部42がウエハWを保持しながら回転させることも可能である。
【0028】
さらに、複数の処理部の内、他端側に配置された処理部50は、ウエハWが回転部52に回転可能な状態に載置され、ウエハWを回転させながらノズル53より純水等のリンス液をウエハWの表面に向けて吐出することにより、ウエハWに対する最終リンスを行った後、リンス液の吐出を停止させてウエハWを高速に回転させて、スピンドライ乾燥を行う処理部(リンス処理・乾燥処理部)である。
【0029】
なお、搬送路15と処理部30,40,50等との上方には、基板処理装置100の内部の雰囲気を清浄に保つために、ファンフィルタユニットFFUが設けられている。そして、ファンフィルタユニットFFUからは搬送路15や処理部30,40,50等に向けてクリーンエアのダウンフローが形成されている。
【0030】
この基板処理装置100では、図1に示すように、処理部30のX軸方向に隣接する部分をCMP装置200とのインタフェース部分として構成しており、この部分に載置部20が設けられている。載置部20では、CMP装置200に設けられた搬送部210との間でウエハWの受け渡しを行うことができる位置として、図3に示すように、上下方向に2箇所の受け渡し位置La,Lbが設定されている。
【0031】
受け渡し位置Lbは、ウエハWをCMP装置200に受け渡す際に、ウエハWが一旦載置される位置である。そして、CMP装置200の搬送部210の搬送アーム(図示せず)が載置部20の受け渡し位置Lbに対してアクセスし、この搬送アームがウエハWをCMP装置200側に搬送し、CMP装置200において所定の研磨処理を行う。
【0032】
また、受け渡し位置Laは、CMP処理が終了したウエハWをCMP装置200の搬送部210の搬送アームが基板処理装置100に渡す際に、ウエハWを一旦載置する位置である。CMP装置200の搬送部210の搬送アームが載置部20の受け渡し位置Laにアクセスし、CMP処理が終了したウエハWを載置するように構成されている。
【0033】
そして、処理部30,40,50等および載置部20と、基板収納部7との間に設けられた搬送路15には、X軸方向に沿って移動可能な搬送ロボット10が設けられている。この搬送ロボット10は、上下方向に2つの搬送アーム11を備えており、この搬送アーム11がウエハWを保持した状態でウエハWの搬送を行う。また、図2に示すように、基台部分14には、X軸方向に設けられたボールネジ13が螺嵌されており、ボールネジ13が回転することによって搬送ロボット10がX軸方向に沿って移動可能となっている。また、搬送ロボット10は、昇降部分12が伸縮することによってウエハWをZ軸方向(上下方向)にも搬送することができるとともに、θ軸を中心とする回転動作も行うことが可能となっている。したがって、搬送ロボット10の搬送アーム11は、基板収納部7に配置された複数のポッド9と、ウエハ載置部20と、処理部50とにアクセスすることができ、これらの処理部間でウエハWの搬送を行う。
【0034】
ここで、搬送ロボット10の搬送アーム11がポッド9にアクセスする際には、密閉状態のポッド9を開放して搬送アーム11がアクセス可能な状態にする必要がある。そこで、基板処理装置100には、ポッド9が載置されるそれぞれの位置にポッドオープナ8が設けられている。図2に示す符号8aの状態のように、基板収納部7にポッド9が配置されると、ポッドオープナ8はアームを伸ばしてポッド9の蓋のロックを解除する。そして、図2に示す符号8bの状態のように、アームがポッド9の蓋を把持した状態でY軸方向に移動して、ポッド9を密閉状態から開放する。符号8bの状態のままでは、搬送ロボット10の搬送アーム11がポッド9内にアクセスすることができないので、図2に示す8cの状態のように、ポッドオープナ9は蓋を保持しているアームを下降させる。
【0035】
このような動作により、ポッド9の密閉状態が開放され、搬送ロボット10の搬送アーム11は、ポッド9内のウエハWにアクセスすることが可能となる。なお、ポッド9は、ウエハWを外気とは隔離した清浄な雰囲気に保つことでウエハWの汚染をしないように密閉されるものであるが、基板処理装置100の内部はポッド9内部と同様に清浄な雰囲気を維持するように構成されており、ポッド9の開放動作は、基板処理装置100の内部で蓋を開放するため、ウエハWを汚染する問題はない。
【0036】
そして、搬送ロボット10は、搬送アーム11がポッド9の内部に向けて伸ばし、ポッド9の内部からウエハWを1枚取り出す。搬送ロボット10は、X軸方向の移動やZ軸方向の移動を行うとともに、θ軸についての回転動作を行い、搬送アーム11は、ポッド9から取り出したウエハWを載置部20の受け渡し位置Lbに載置する。また、搬送ロボット10の搬送アーム11は、処理部50に対してアクセスし、全ての処理が完了したウエハWを取り出す。そして、搬送ロボット10は、X軸方向の移動やZ軸方向の移動を行うとともに、θ軸についての回転動作を行い、搬送アーム11はポッド9の所定位置にアクセスして、CMP処理後の洗浄処理が終了したウエハWをポッド9内に収納する。
【0037】
また、この基板処理装置100には、載置部20に載置されたCMP処理後のウエハWを処理部30に搬送し、処理部30での処理が終了したウエハWを処理部40に搬送し、処理部40での処理が終了したウエハWを処理部50に搬送するためにシャトル搬送ロボット60が設けられている。シャトル搬送ロボット60は、後述するように、X軸方向に沿って移動可能であり、基板受け渡し位置Laに載置されているウエハWを処理部30に、また、処理部30での処理が終了したウエハWを処理部40に、さらに、処理部40での処理が終了したウエハWを処理部50に搬送するので、それぞれの処理部間の搬送動作は一括して同時に行われる。
【0038】
このように、この基板処理装置100においては、搬送ロボット10がポッド9から載置部20へのウエハWの搬送動作を行い、シャトル搬送ロボット60が載置部20から処理部30,40,50へのウエハWの搬送動作を行う。そして、処理部50からポッド9へのウエハWの搬送は、再び搬送ロボット10が担当するように構成されている。
【0039】
また、この基板処理装置100には、処理部30,40,50における処理の際に使用される処理液等が処理部外部へ飛散しないように、昇降可能なカバー70が設けられている。このカバー70は、シャトル搬送ロボット60によって各処理部間のウエハWの搬送が行われる際には、図示しないシリンダやモータ等の昇降駆動機構によって上昇し、シャトル搬送ロボット60のX軸方向に沿った移動と緩衝しないように構成されており、シャトル搬送ロボット60による処理部間搬送が終了して各処理部において洗浄処理を行う際には、昇降駆動機構によってカバー70が下降し、各処理部30,40,50の側面等を覆う。したがって、各処理部においてウエハWに対する処理を行っている際に、他の処理部からの処理液やパーティクル等が付着することがなく、清浄な処理を行うことができる。
【0040】
この基板処理装置100の全体構成は上記のごとくであり、ウエハWに対して処理を行うための複数の処理部30,40,50をX軸方向に沿って隣接するように一列に配置しており、各処理部間のウエハWの搬送を1台のシャトル搬送ロボット60で一括して行うことができるように構成されているため、基板処理装置100のフットプリントを縮小することができる。また、載置部20によって直接外部装置であるCMP装置200とインライン化することができるため、基板処理装置100とCMP装置200とをインライン化したときのフットプリントも縮小することができる。
【0041】
次に、処理部30の詳細な構成について説明する。図4は、本発明の一実施形態の処理部である洗浄装置の構成を示す平面図である。また、図5は、図4のD−D断面図であり、一部を省略し、かつ一部を概念的に示している。
【0042】
この装置は、ウエハWの表面に形成された薄膜を研磨するCMP処理が行われた後にウエハWの表面に残っているスラリーおよび不要な薄膜を除去するためのもので、側壁30a,30b,30c,30dによって囲まれた平面視においてほぼ矩形の処理室301内においてウエハWを水平に保持し、かつこの状態でウエハWを回転させることができる保持装置33を備えている。
【0043】
さらに、この処理部30は、保持装置33により保持されたウエハWの上面および下面の各中央部に残っているスラリーをスクラブして除去するための両面洗浄装置34と、ウェハWの端部の一方の被洗浄平面である下面及び端面を含む周縁部を洗浄する周縁部洗浄手段90と、前述した反転装置3を備えている。
【0044】
そして、処理室301は底壁30eによりウェハWが処理される底壁30eより上部の処理区画302と、底壁30eより下部で保持装置33等の駆動部が配置される駆動区画303より構成される。
【0045】
保持装置33は、処理室301の側壁30bまたは30dに対して直交する方向(以下「保持方向」という。)Aに関して対向配置された一対の保持ハンド35a,35bを有している。保持ハンド35a,35bは本実施例において同一構造を採用し、図5中左右対称であるので以下、一方の保持ハンド35aをもって説明する。尚、他方の保持ハンド35bは同一構造に同符号を付与して説明を省略する。
【0046】
保持ハンド35aはその全体を図6及び図7に示すように、保持方向Aに沿って移動可能なもので、ベース取付部36に取り付けられたベース部37と、ベース部37の上方に配置されるハンド軸38と、ウエハWを保持するための3つの保持用ローラ(基板保持具)80(a〜c)を配設される本体部39をそれぞれ有している。
【0047】
ベース取付部36には、側壁30bに締結された連結部材361を介して保持方向Aに沿って長く形成され、ベース部37の下方まで延びた台部362の一端が連結されている。台部362の一端には、L字状の取付板363の立設面にシリンダ364が固定され、シリンダ364のロッド364aが連結板371を介してベース部37に取り付けられている。ロッド364aは、保持方向Aに沿って突出したり引っ込んだりできるようになっている。また、台部362上には保持方向Aに沿ってスライドレール365が配置される。
【0048】
一方、ベース部37は、スライドレール365上に装着されるスライド部372と、スライド部371上に底板373を配置して構成される。底板373には下面にブラケット374が装着され、このブラケット374にモータM1が支持される。また、底板373の上面にはハンド軸38が固定される。
【0049】
ハンド軸38は、2つの筒状体より構成され、底板373の挿通口373aの位置に合わせて底板373上面に装着される外筒体381と、その内部に装着される内筒体382により構成される。そして、内筒体382の上部は底壁30eの挿通穴30fを通って処理区画302に延在し、その内筒体382の上端に本体部39が装着され支持される。
【0050】
本体部39上面の保持用ローラ80は、ウエハWを保持した状態でウエハWを回転させるべく、本体部39に回転可能に設けられている。これらの保持用ローラ80(a〜c)は、ウエハWの端面形状に対応した円周上に配置されている。ウエハWは、保持用ローラ80(a〜c)の側面にその端面が当接した状態で保持される。すなわち、保持用ローラ80(a〜c)は、本体部39に鉛直軸まわりの回転が自在であるように支持されたローラ軸81(a〜c)と、ローラ軸81(a〜c)の上端に固定されている保持具82(a〜c)により構成される。
【0051】
保持具82(a〜c)は同じ構成であり、図9に示すように、軸部821と、外周面に略V字状の周溝822が形成された駆動伝達部823により構成される。この周溝822にウエハWの端部が当接しながら回転がウエハWに伝達される。保持具82は硬度の高い樹脂、例えポリエーテルエーテルケトン等で形成される。これは、ウエハWの端部の当接によっても傷がつかないような硬さに設定されている。
【0052】
ウエハWを回転させるために必要な駆動力は、保持用ローラ80bにのみ与えられるようになっている。すなわち、保持用ローラ80(a〜c)のうち中央の保持用ローラ80bには、ベース部37の下端に取り付けられたモータM1 の駆動力が連結部824とローラ軸81bを介して伝達されるようになっている。
【0053】
さらに詳述する。保持用ローラ80aのローラ軸81aは、図6に示すように、本体部39に形成された挿通穴391aを通って本体部39の内部に形成された空間392まで延ばされており、挿通穴391aに配置された2つの軸受393a,393bを介して本体部39に回転自在に支持されている。他の保持用ローラ80cのローラ軸01cも同様に、挿通穴391cを通って空間392まで延ばされ、かつ挿通穴391cに配置された2つの軸受394a,394bを介して本体部39に回転自在に支持されている。
【0054】
中央の保持用ローラ80bのローラ軸81bは、本体部39に形成された挿通穴391bを通って本体部39の内部に形成された空間392まで延ばされており、及び挿通穴395を介して本体部39の下方に突出している。そして、挿通穴391bに配置された軸受396aと、挿通穴395に配置された軸受396bを介して本体部39に回転自在に支持されている。
【0055】
中央のローラ軸81bには、2つのプーリ83b,84bが取り付けられている。そして、2つのプーリ83b,84bと他の2つのローラ軸81a,81cにそれぞれ取り付けられたプーリ83a,84cとの間に、ベルト85,86がそれぞれ巻き掛けられている。符号87,88はそれぞれのベルト85,86にテンションを付与するテンション軸である。
【0056】
この構成により、シリンダ364を駆動することによって、ベース部37が連結板371を介してスライドレール365上をスライド部372によって移動し、保持ハンド35aを保持方向Aに沿って進退させることができる。そして、保持ハンド35a,35bが互いに反対方向に進退することでウエハWを保持用ローラ70の間で挾持したり、この挾持を解放したりすることができる。即ち、シリンダ364が保持装置33の駆動手段を構成する。この際、底壁30eの挿通穴30fはハンド軸38のスライド領域より大きく開孔されており、保持ハンド35aの移動が妨げられることがない。
【0057】
そして、モータM1によって中央の保持用ローラ80bが駆動されると、中央の保持用ローラ80bに伝達されてきた駆動力は、ベルト85,86を介して他の2つの保持用ローラ80a,80cにも伝達され、これに伴って他の2つの保持用ローラ80a,80cが駆動される。その結果、保持用ローラ80(a〜c)に保持されているウエハWは回転を始める。このようにして、ウエハWは保持用ローラ80(a〜c)に保持された状態で回転方向Bに沿って回転する。この場合におけるウエハWの回転速度は、たとえば約10〜20(回転/分)である。以上のように、この実施形態では、モータM1およびベルト85,86が回転駆動部に対応している。
【0058】
周縁部洗浄手段90は、図8に示すように軸部91と、軸部91の上部に連結される洗浄具92と、軸部91の下部に連結される回転駆動部93と昇降駆動部94から構成されている。そして、周縁部洗浄手段90は図4に示すように、ウエハWの端面形状に対応した円周上の下方に配置される。
【0059】
洗浄具92は図10に示すように、軸部91に連結される円柱状の本体部921と、この本体部921に万遍なく植毛されたブラシ毛922より構成される。このブラシ毛922は略円錐状になるようにその長さが外側から中心に向かって長く形成される。そしてそのブラシ毛922の先端により形成される側面が図10に示すように断面視で傾斜している。
【0060】
回転駆動部93は、軸部91に連結板931を介して接続されるモータM2により構成される。モータM2は軸部91を軸受932,933により回転自在に支持する外筒934に固定される。
【0061】
昇降駆動部94は外筒934の連結片935にロッド941aが接続されるシリンダー941と、外筒934の周面に配置されたレール部942と、このレール部942を案内するスライドレール943より構成される。
【0062】
この構成により、シリンダ941を駆動することによって、軸部91が外筒934を介してスライドレール943上をスライド部942によって移動し、上下方向に進退させることができる。即ち、シリンダ941が周縁部洗浄手段90の移動手段を構成する。
【0063】
この際、ウエハWは、その端部が洗浄具92のブラシ毛922の側面に押圧され、ウエハWの下面及び端面を含む周縁部がブラシ毛922により洗浄されるべく、ブラシ毛922は変形する。
【0064】
そして、モータM2によって軸部91が駆動されると、洗浄具92がウェハWに回転方向とは逆に駆動される。その結果、ウェハWの端面に対してはブラシ毛922が叩くように、下面に対しては擦るようにウェハWを洗浄する。
【0065】
なお、参照符号300は、保持ハンド35a及び周縁部洗浄手段90の移動とともに変形及び伸縮自在なベローズであり、両面洗浄装置34において使用される洗浄液ならびにその雰囲気が、駆動部に影響を与えないようにするため、あるいは処理区画302の外部に漏れるのを防ぐためのものである。また、シリンダ364,941のロッド364a,941aやハンド軸38及び軸部91から発生するパーティクルが処理区画302の内部に侵入するのを防止するためのものでもある。
【0066】
図5に戻って、両面洗浄装置34は、保持装置33により保持されたウエハWの上方および下方に配置された表面ブラシ31および裏面ブラシ32を備えている。表面ブラシ31および裏面ブラシ32は、それぞれ、保持ハンド35a,35bに干渉しない位置に、ウエハWの中心部から周縁部に至るウエハWの平面領域を覆うように配置されている。
【0067】
表面ブラシ31および裏面ブラシ32は、ウエハWに対向する側に取付面311,321を有するベース部312,322と、ベース部312,322に取り付けられた回転軸313,323とを有し、回転駆動部314,324により鉛直軸方向に沿う回転軸Oを中心に回転方向Cに沿って回転できるようにされている。さらに、表面ブラシ31および裏面ブラシ32は、それぞれ、昇降駆動部315,32によって上下方向に移動できるようになっている。これにより、ウエハ洗浄時においてはウエハWを表面ブラシ31および裏面ブラシ32で挟み込むことができ、また、ウエハ洗浄後においては、ウエハWから表面ブラシ31および裏面ブラシ32を離すことができるようになっている。
【0068】
ベース部312,322の各取付面311,321には、洗浄用ブラシ(両面スクラブ手段)316,326が設けられている。洗浄用ブラシ316,326の中央付近には、ウエハWに洗浄液を供給するための洗浄液供給ノズル317(a,b),327(a,b)がそれぞれ配置されている。洗浄液は、フッ酸、硝酸、塩酸、リン酸、酢酸、アンモニアなどの薬液、および純水を含む。
【0069】
洗浄液供給ノズル317(a,b),327(a,b)には、洗浄用パイプ318(a,b),328(a,b)が連結されている。洗浄用パイプ318(a,b),328(a,b)は、回転軸313,323内に回転しないように挿通されており、その他端には、図示しない薬液用タンクから薬液が導かれる薬液供給路319a,329a、および図示しない純水用タンクから純水が導かれる純水供給路319b,329bが開閉弁330(a,b),331(a,b)接続されている。この構成により、洗浄用パイプ318(a,b),328(a,b)に薬液および純水を選択的に供給でき、したがって洗浄液供給ノズル317(a,b),327(a,b)から薬液および純水を選択的に吐出させることができる。
【0070】
次に、シャトル搬送ロボット60の構成について説明する。図11は、シャトル搬送ロボットの平面図、図12(a),(b)はシャトル搬送ロボット60とウエハWの処理部との関係を示す概略側面図である。
【0071】
図11に示すシャトル搬送ロボット60には、ウエハWの処理部間搬送を行う際に、ウエハWを保持する3個の保持部61,62,63が設けられているが、このうち最も+X軸方向側に設けられている保持部61は載置部20から処理部30へのウエハWの搬送を担当し、中央に設けられている保持部62は処理部30から処理部40へのウエハWの搬送を担当し、最も−X軸方向側に設けられている保持部63は処理部40から処理部50へのウエハWの搬送を担当する。
【0072】
それぞれの保持部61,62,63は、第1アーム61a,62a,63aと第2アーム61b,62b,63bとを備えている。そして、各々のアームには、図12に示すようにウエハWを周縁部で保持するための保持部材64が各々2個設けられている。第1アーム61a,62a,63aと第2アーム61b,62b,63bは、XY平面内でのスライド動作を行うようになっている。
【0073】
そして、基板処理装置100内にある図示しないコントローラが、図示しない駆動手段に対して駆動命令を送ると、各第1アーム61a,62a,63aは+X軸方向に移動する一方、各第2アーム61b,62b,63bは−X軸方向に移動する。この動作により、シャトル搬送ロボット60によるウエハWを保持する動作(すなわち、ウエハWのチャッキング動作)が行われる。このチャッキング動作は、第1アーム61a,62a,63aと第2アーム61b,62b,63bとの2本のアームによってウエハWを挟み込む動作であるため、ウエハWの下面を支持するだけのものに比べると、各処理部に対して搬送するウエハWの位置アライメントを行う。
【0074】
また、逆に各第1アーム61a,62a,63aは−X軸方向に移動する一方、各第2アーム61b,62b,63bは+X軸方向に移動する動作により、シャトル搬送ロボット60のウエハWの保持状態を開放する動作が行われる。
【0075】
また、図示しないモータの駆動によってα方向に保持部61,62,63も回転軸65を中心にして回転する。よって保持部61,62,63がウエハWを保持した状態でモータを駆動することにより、ウエハWもYZ平面での回転動作を行う。
【0076】
ここで、図12(a)に示すように回転軸65にα方向の微少量の回転を与えると、ウエハWの保持状態の保持部61は、その状態でα方向に微少量の回転を行う。したがって、載置部20に載置されているウエハWは、保持部61に保持されてα方向に回転することによって、離脱することとなる。同様に、各処理部30,40で保持されていたウエハWについても、保持部61,62,63に保持されてα方向に回転することによって各処理部30,40における保持状態から開放されることになる。
【0077】
そして、保持部61,62,63は下部に移動台66が連結されており、移動台66は−X軸方向に沿って移動する。したがって、同時に保持部61,62,63も−X軸方向に沿って移動する。
【0078】
まず、図11に示すように、シャトル搬送ロボット60は、載置部20と処理部30,40に対応する側に位置する。処理部30,40におけるウエハWの処理中は、保持部61,62,63は図中一点鎖線で示す位置にある。そして、処理部30,40のおけるウエハWの処理が終了すると、各保持部61はそれぞれ図中実線で示す位置に移動し、載置部20,処理部30,処理部40にあるウエハWの保持を行う。そして、各ウエハWを上昇させた後、シャトル搬送ロボット60を−X軸方向に移動させる。
【0079】
そして、処理部30,処理部40,処理部50へ搬送したウエハWを下降させた後、保持部61,62,63を一点鎖線で示す位置に退避させることによって、各処理部へのウエハWの搬送動作を完了する。なお、保持部61,62,63が退避する際には、各処理部間等に設けられた退避位置67に退避する。
【0080】
このように、このシャトル搬送ロボット60は、隣接する処理部間でのウエハWの搬送を同時に行うようになっているため、効率的なウエハWの処理部間の搬送を実現しているとともに、載置部20から処理部30へのウエハWの搬送と、処理部30から処理部40へのウエハWの搬送と、処理部40から処理部50へのウエハWの搬送とについては個別に搬送ロボットを設ける必要がなく、基板処理装置100のフットプリントを減少させることが可能となる。
【0081】
なお、処理部50からのウエハWの取り出しは、上述のように搬送ロボット10の搬送アーム11が行うように構成されている。
【0082】
次に、カバー70について説明する。図12に示すように、カバー70は、処理部30,40,50におけるウエハWの処理の際に処理液等が飛散しないように各処理部を覆っている。また、カバー70は図11に示すように、下降した際に、退避位置67に退避しているシャトル搬送ロボット60の保持部61,62,63に緩衝しないように各退避位置67に対応する位置の凹部71が設けられている。したがって、シャトル搬送ロボット60の保持部61,62,63が図11の一点鎖線で示す位置に退避した場合に、カバー70を下降させれば、カバー70は保持部61,62,63に接触することなく各処理部30,40,50を良好に覆うことができる。
【0083】
また、シャトル搬送ロボット60の保持部61,62,63が退避位置67に退避した直後にカバー70を下降させれば、各処理部30,40,50における上述のウエハWの処理を開始することができる。
【0084】
次に、図12(a),(b)に基づいて、カバー70とシャトル搬送ロボット60との関係について説明する。図12(a)に示すように、シャトル搬送ロボット60の回転軸65がα方向に微少量回転し、保持部61がウエハWを持ち上げた状態で処理部間搬送を行う。このとき、カバー70は、シャトル搬送ロボット60の搬送動作の際に緩衝しないように図示しない昇降手段によって上昇した状態となっている。
【0085】
ところで、ウエハWの処理部間搬送が終了し、カバー70が下降して各処理部におけるウエハWの処理が開始された際に、処理部30,40,50に対応する位置にあるシャトル搬送ロボット60を次の処理部間搬送に備えて、載置部20,処理部30,40に対応する位置に予め移動させておくことが必要に応じて行われる。
【0086】
しかし、各処理部はウエハWの処理中であり、カバー70は閉じた状態であるため、保持部61が退避位置67にある状態で、シャトル搬送ロボット60を+X軸方向に移動させると、カバー70に衝突する。
【0087】
そこで、このシャトル搬送ロボット60では、図12(b)に示すように、シャトル搬送ロボット60の回転軸65を90度程度回転させることによって保持部61を起立状態にし、側面視でカバー70と保持部61とが重ならないようにな状態にする。こうすることにより、シャトル搬送ロボット60がX軸方向に移動しても保持部61がカバー70と緩衝しないようになり、各処理部におけるウエハWの処理中に、シャトル搬送ロボット60を載置部20,処理部30,40に対応する位置に予め移動させておくことが可能となる。
【0088】
そして、シャトル搬送ロボット60がX軸方向に移動して、載置部20,処理部30,40に対応する位置に到達すると、起立状態の保持部61を再び略水平状態に戻す。
【0089】
なお、ウエハWの処理中に図11の一点鎖線で示す保持部61の位置で待機しているときに保持部61の洗浄を行う場合は、載置部20の近辺に載置部20内のウエハWをチャッキングする保持部61に対してリンス液を吐出するノズル(図示せず)を設ければよい。そして、載置部20の近辺に設けられたノズルからリンス液を吐出することにより、保持部61を洗浄することが可能となる。また、保持部61,62,63の洗浄は、それぞれの退避位置67内に配置されたノズル等からのリンス液を吐出する手段を用いる事により洗浄することが可能となる。
【0090】
図13は、この基板処理装置100の主要な電気的構成を示すブロック図である。この基板処理装置100には、当該装置の制御中枢として機能するマイクロコンピュータなどで構成された制御部500が備えられている。制御部500は、ROM501に格納された制御プログラムに従って、シリンダ364,364,941、モータM1,M2、回転駆動部314,324,93、昇降駆動部315,325,94、および開閉弁330(a,b),331(a,b)を制御する。
【0091】
次に、この基板処理装置100の洗浄動作について説明する。洗浄前においては、保持ハンド35a,35bはウエハWを保持する保持位置から退避した待機位置で待機し、かつ表面ブラシ31および裏面ブラシ32も互いにウエハWから離れた状態で待機している。前工程であるCMP処理が終了しシャトル搬送ロボット60によってウエハWが搬送されてくると、制御部500は、シリンダ364のロッド364aを進出させる。その結果、保持ハンド35a,35bは互いに近づく。これにより、ウエハWがその端面において保持用ローラ80(a〜c)に保持される。
【0092】
少し遅れて周縁部洗浄手段90もシリンダ941のロッド941aが進出され、上方へ移動することでウエハWの端部の洗浄位置に正確に配置されることとなる。そしてウェハWの端部がブラシ毛922による側面に押圧されることとなる。
【0093】
その後、制御部500は、回転駆動部314,324を駆動し、上表面ブラシ31および裏面ブラシ32を回転させる。これと同時に、制御部500は、開閉弁330a,331aを制御し、薬液供給路319a,329aを接続させる。その結果、洗浄液供給ノズル317a,327aから薬液がそれぞれウエハWの上面および下面に供給される。
【0094】
その後、制御部500は、モータM1,M2を駆動する。その結果、保持用ローラ80(a〜c)が回転駆動され、これに伴って、ウエハWが低速回転する。また洗浄具92は逆回転駆動される。
【0095】
さらに、制御部500は、昇降駆動部315,325を制御し、表面ブラシ31および裏面ブラシ32を互いに近づく方向に移動させる。その結果、保持用ローラ80(a〜c)に保持されているウエハWは、表面ブラシ31および裏面ブラシ32によって挟み込まれ、表面ブラシ31および裏面ブラシ32によりウエハWの上面および下面が擦られる。これにより、ウエハWの上面および下面が薬液が供給されつつ表面ブラシ31および裏面ブラシ32によってスクラブ洗浄される。その結果、ウエハWの上面および下面に残っていたスラリーが除去される。
【0096】
同時にウエハWの端部は周縁部洗浄手段90により洗浄される。周縁部洗浄手段90はウエハWの回転とは逆に回転するので、洗浄位置にて充分な洗浄作用をウエハWの端部の周縁に対して行うこととなる。
【0097】
所定の時間経過後、制御部500は、昇降駆動部315,325を制御し、表面ブラシ31および裏面ブラシ32を互いにウエハWから離れる方向に移動させ、ウエハWから表面ブラシ31および裏面ブラシ32を離れさせる。その後、開閉弁319a,319bを閉じて開閉弁329a,329bを開くよう制御し、洗浄用パイプ318b,328bと純水供給路319b,329bとを接続させる。その結果、洗浄液供給ノズル317b,327bから純水がウエハWの上面および下面に供給され、ウエハWの上面および下面に残っている薬液等が洗い流される。
【0098】
その後、制御部500は、開閉弁329a,329bを制御し純水の吐出を停止させ、また、回転駆動部314,324の駆動を停止して表面ブラシ31および裏面ブラシ32の回転を停止させる。さらに、モータM1,M2の駆動を停止させ、ウエハWと周縁部洗浄手段90の回転を停止させる。これにより、両面洗浄装置34におけるスクラブ洗浄処理が終了する。
【0099】
その後、制御部500は、反転装置3によりウエハWは表裏が反転され保持装置33に保持され、上記と同じようにスクラブ洗浄処理が行われる。
【0100】
その結果、ウエハWの周縁部の表面上に残っているエッチング液が洗い流されるとともに、ウエハWの周縁部に残っていたスラリーが除去されたり、不要な薄膜がエッチングされる。
【0101】
洗浄処理終了後、制御部500は、保持ハンド35a,35bをウエハWに向けて移動させる。これにより、シャトル搬送ロボット60はウエハWを次の処理部40へ搬送する。処理部40では、ブラシ41により表面洗浄処理を行う。そして、処理部50では、純水等のリンス液を使用してウエハの最終リンスを行った後、ウエハを高速に回転させて、スピンドライ乾燥(リンス処理・乾燥処理)を行う。
【0102】
さらに、搬送ロボット10は、処理部50での最終リンス処理が行われて、乾燥処理されたウエハWを取り出してウエハWを基板収納部7に設けられているポッド9に収納する。
【0103】
以上のように本実施形態によれば、ウエハWの端部を下方から保持して洗浄できるようにしているから、ウエハW端部への当接状態を確実に出来るとともに、別途、洗浄位置まで横移動させる構造を必要としない。したがって、ウエハWの周縁部にスラリーが残っている場合であっても、当該スラリーを確実に除去できる。その結果、スラリーと薄膜との反応生成物が発生することもなくなる。そのため、CMP処理後のウエハWの全体を良好に洗浄できる。よって、高品質な半導体製造装置を提供できる。
【0104】
本発明の実施の一形態の説明は以上のとおりであるが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。たとえば上記実施形態では、ウエハWの中央部と周縁部とを1つの処理室301にて洗浄する場合を例にとって説明しているが、たとえばウエハWの中央部を第1の処理室にて洗浄した後、別の第2の処理室にてウエハWの周縁部を洗浄するようにしてもよい。この構成によっても、ウエハWの中央部と周縁部とを洗浄することができるから、上記実施形態と同様に、膜残り等の不具合を解消でき、ウエハWの表面の全体を良好に洗浄できる。
【0105】
また、上記実施形態では、図4から図7まで及び図9に示すように、ウエハWを6つの保持用ローラ80によって保持する構成を例にとって説明しているが、ウエハWを保持すべき保持用ローラは少なくとも3つ以上あればよい。この場合、3つ以上の保持用ローラのうちいずれか1つに対してだけ駆動力を伝達するようにしてもよい。この構成によっても、ウエハWを端面にて保持しつつ回転させることができる。
【0106】
さらに、上記実施形態では、周縁部洗浄手段90をウエハWの回転方向Bと反対方向に回転させているが、固定としてもよい。または、同方向にウエハWの回転速度(周速)と異なる回転速度(周速)で回転させてもよい。
【0107】
さらに、上記実施形態では、周縁部洗浄手段90を1個配置する構成としているが、複数配置する構成としてもよい。
【0108】
さらに、上記実施形態では、周縁部洗浄手段90の洗浄具92をブラシ毛922で構成したが、例えばPVAによる多数の気孔を有するスポンジ状の部材で構成してもよい。
【0109】
さらに、上記実施形態では、CMP処理後のウエハWの洗浄を行う場合を例にとって説明しているが、本発明は、CMP処理後に限らずに、ウエハWの中央部と周縁部とを洗浄する必要のある場合に広く適用することができる。
【0110】
さらに、上記実施形態では、ウエハWの洗浄が行われる場合について説明しているが、本発明は、液晶表示装置用ガラス基板およびPDP(プラズマ・ディスプレイ・パネル)基板など他の各種の基板の洗浄に対して広く適用することができる。その他、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【0111】
【発明の効果】
以上説明したように、本願請求項1〜5の発明によれば、被処理体の中央部はもちろん、被処理体の周縁部をも良好に洗浄することができる。また被処理体の端部を洗浄する洗浄部に傾斜側面を有する周縁部洗浄手段で、被処理体の平面側から洗浄部の傾斜側面に当接させることで洗浄するようにしているから、被処理体の端部を掴み損ねて落下することを防止できる。また、周縁部洗浄手段を一方向に移動するだけでセットできるので駆動機構が少なくて構成できる。
【0112】
また、請求項1〜5に記載の洗浄装置は、前記周縁部洗浄手段を回転させる第1回転駆動部を有する。本発明によれば、被処理体の端部の平面部と端面に対して相対移動により擦るように洗浄する。したがって、回転している被処理体の周縁部のすべてを確実に洗浄することができる。
【0113】
特に、請求項1記載の発明は、洗浄部は植設されたブラシ毛より成る。本発明によれば、回転している被処理体の周縁部のすべてをさらに確実に洗浄することができる。
【0114】
特に、請求項4記載の発明は、洗浄部は一体形成されたスポンジ体より成る。本発明によれば、回転している被処理体の周縁部のすべてをさらに確実に洗浄することができる。
【0115】
特に、請求項5記載の発明によれば、被処理体が薄膜が形成された表面を研磨する加工処理がされた基板であっても周縁部のすべてをさらに確実に洗浄することができる。なお、ここでいう加工処理には、薄膜が形成された基板の表面を研磨するCMP処理等の研磨処理が考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る基板処理装置を示す平面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る基板処理装置のYZ平面における概略断面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る基板処理装置のZX平面における概略断面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る洗浄装置の構成を示す概略平面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る洗浄装置を示す図4のD−D矢視の断面図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る洗浄装置を示す要部を断面とした側面図である。
【図7】図5の保持ハンド35aの拡大図である。
【図8】周縁部洗浄手段を示す概略断面図である。
【図9】保持ローラを示す側面図である。
【図10】周縁部洗浄手段を示す断面図である。
【図11】シャトル搬送ロボットによる処理部間搬送の様子を示す説明図である。
【図12】カバーと保持部との動作関係を示す概略側面図で、(a)はウェハを保持した状態、(b)は保持部を起立状態にした状態である。
【図13】基板処理装置の制御部の構成を示すブロック図である。
【図14】従来の洗浄装置の概略構成図である。
【図15】従来の洗浄装置の構成を示す側面図である。
【図16】従来の基板の端部の洗浄領域を示す説明図である。
【符号の説明】
30、40、50 処理部
33 保持装置
34 両面洗浄装置
90 周縁部洗浄手段
91 軸部
92 洗浄具
922 ブラシ毛
93 回転駆動部
100 基板処理装置
200 CMP装置
W ウエハ
Claims (5)
- 薄板状の被処理体を処理する洗浄装置において、
前記被処理体の端部を洗浄する傾斜側面を有する洗浄部を有する周縁部洗浄手段と、
前記周縁部洗浄手段を被処理体の平面側から当接させる移動手段と、
前記被処理体の主面に垂直な軸を中心として前記周縁部洗浄手段を回転させる第1回転駆動部と、
を有し、
前記周縁部洗浄手段の前記洗浄部は、植設されたブラシ毛により前記傾斜側面を含む略円錐状に形成され、
前記移動手段は被処理体の端部を周縁部洗浄手段の前記ブラシ毛により形成された前記傾斜側面に当接させ、
前記ブラシ毛に押圧されて基板の平面部及び端面が洗浄されることを特徴とする洗浄装置。 - 請求項1に記載の洗浄装置において、
前記被処理体の周縁部を保持しつつ前記被処理体を回転させる第2回転駆動部と、
前記第1回転駆動部と前記第2回転駆動部とを反対方向に回転させる第1制御手段と、
を更に有することを特徴とする洗浄装置。 - 請求項2に記載の洗浄装置において、
前記被処理体の表裏面を洗浄する表裏面洗浄手段と、
前記表裏面洗浄手段を回転させる第3回転駆動部と、
前記表裏面洗浄手段による洗浄動作と同時に前記周縁部洗浄手段による洗浄動作が行われ、前記表裏面洗浄手段による洗浄動作の終了後にも前記周縁部洗浄手段による洗浄動作が継続されるように、前記表裏面洗浄手段と前記周縁部洗浄手段とを制御する第2制御手段と、
を更に有することを特徴とする洗浄装置。 - 薄板状の被処理体を処理する洗浄装置において、
前記被処理体の端部を洗浄する傾斜側面を有する洗浄部を有する周縁部洗浄手段と、
前記周縁部洗浄手段を被処理体の平面側から当接させる移動手段と、
前記被処理体の主面に垂直な軸を中心として前記周縁部洗浄手段を回転させる第1回転駆動部と、
を有し、
前記周縁部洗浄手段の前記洗浄部は、一体形成されたPVAのスポンジ体により前記傾斜側面を含む略円錐状に形成され、
前記移動手段は被処理体の端部を周縁部洗浄手段の前記スポンジ体により形成された前記傾斜側面に当接させ、
前記スポンジ体に押圧されて基板の平面部及び端面が洗浄されることを特徴とする洗浄装置。 - 請求項1から請求項4までのいずれかに記載の洗浄装置において、
前記被処理体は、薄膜が形成された表面を研磨する加工処理がされた基板であることを特徴とする洗浄装置。
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