JP4037716B2 - 核磁気共鳴装置の多重同調回路およびプローブ - Google Patents

核磁気共鳴装置の多重同調回路およびプローブ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、核磁気共鳴装置の多重同調回路に関し、特に、RF電圧に対する耐圧性を高めた核磁気共鳴装置の多重同調回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
図1は、共鳴周波数がLF1およびLF2であるような、2種類の低周波共鳴核に対し、同時にRFの照射またはNMR信号の検出を行なえるように構成した従来の多重同調回路を示すものである。ここで、LF1は、LF2よりも周波数が高いRFで、例えば、LF1は13C核の共鳴周波数、LF2は17Oの共鳴周波数に相当している。
【0003】
図中1は、ソレノイドコイルやサドルコイルなどから成るサンプルコイルである。サンプルコイル1の両端には、インダクタンス2、3が直接接続されている。これらのインダクタンス2、3は、一端がサンプルコイル1に接続され、他端がコンデンサー6および/または9を介し間接的に、またはコンデンサー6、9を介することなく直接的に接地して使用される。図では、2つのインダクタンスを共に間接的に接地させた例を示している。
【0004】
サンプルコイル1の両端は、LF1の2つの同調コンデンサー4、7を介して接地されている。また、LF1の同調バリコン10も、サンプルコイル1の一端に、同調コンデンサー7と並列に接続されている。このとき、LF1の同調コンデンサー4の容量と、LF1の同調コンデンサー7とLF1の同調バリコン10の和容量とは、ほぼ同程度になるように設定される。
【0005】
また、LF2の同調バリコン12と整合バリコン13は、インダクタンス2、または3のうち、どちらか一方の接地側端部に接続される。例えば、図1の例では、LF2の同調バリコン12と整合バリコン13は、インダクタンス3の接地側端部に接続され、LF2の同調コンデンサー6の容量と、LF2の同調コンデンサー9と同調バリコン12の和容量とが、ほぼ同程度になるように設定されている。
【0006】
このとき、サンプルコイル1、インダクタンス2、3、同調コンデンサー6、9、4、7は、サンプルコイル1の中点付近で振幅電圧がゼロとなるような平衡共振回路を構成している。
【0007】
尚、インダクタンス2、3は、電線をコイル状に巻いたヘリカルコイルのような集中インダクタンスであっても、導体棒のような分布インダクタンスであっても、インダクタンス成分の素子であれば何でも良い。
【0008】
次に、この多重同調回路の動作について説明する。図2は、周波数LF1のRFに対して共振しているときの多重同調回路の等価回路を示している。LF2に対する同調コンデンサー6および9は容量が大きく、LF1の周波数では十分に小さなインピーダンスなので、2つのインダクタンス2、3は、図のように直列に接続されていると見なされる。また、同調コンデンサー9の容量が大きいことにより、LF2側の同調バリコン12と整合バリコン13の寄与は小さい。
【0009】
その結果、LC共振回路は、直列接続された2つのインダクタンス2、3に、サンプルコイル1が並列接続された合成インダクタンスと、LF1に対する同調コンデンサー4および7とで構成され、LF1側の同調バリコン10と整合バリコン11とでLF1に対するLC共振回路の同調および整合が行なわれる。LF1に対する同調と整合が取れて、共振電流が最大になったある時点でのRF電流の向きの一例を、矢印21、22で示す。
【0010】
次に、図3に、周波数LF2のRFに対して共振しているときの多重同調回路の等価回路を示す。LF1に対する同調コンデンサー4および7は容量が小さく、LF2の周波数では十分に大きなインピーダンスなので、2つの同調コンデンサー4および7の寄与は小さい。また、LF1側の同調バリコン10と整合バリコン11も、容量が小さいので寄与が小さい。
【0011】
その結果、LC共振回路は、インダクタンス2、サンプルコイル1、インダクタンス3の順番に直列接続された合成インダクタンスと、LF2に対する同調コンデンサー6および9とで構成され、LF2側の同調バリコン12と整合バリコン13とでLF2に対する同調・整合が行なわれる。
【0012】
LF2に対する同調・整合が取れて、共振電流が最大になったある時点でのRF電流の向きの一例を、矢印31で示す。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、LF2に対して共振しているときの多重同調回路の等価回路を示した図3では、インダクタンス2、サンプルコイル1、インダクタンス3が直列接続された合成インダクタンスとなるので、RF電流31が流れた場合、インダクタンス2に発生するRF電圧、サンプルコイル1に発生するRF電圧、インダクタンス3に発生するRF電圧が加算され、32の位置と33の位置に、接地に対して極めて高いRF電圧が発生する。そのため、32、33と接地との間で放電事故が起こりやすいという問題があった。いったん放電事故が発生すると、コンデンサーなどの電子部品が焼損してしまい、高額な修理費用が必要となる。
【0014】
本発明の目的は、上述した点に鑑み、多重同調回路の耐圧を向上させて、高電力のRF注入を行なっても放電事故が起こりにくい核磁気共鳴装置の多重同調回路を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため、本発明にかかる核磁気共鳴装置の多重同調回路は、
端部A、Bを備え、端部Aが第1の容量素子を介して接地され、また、端部Bが第2の容量素子を介して接地されたサンプルコイルと、
一端が第3の容量素子を介してサンプルコイルの端部Aに接続され、他端が接地された第1のインダクタンスと、
一端が第4の容量素子を介してサンプルコイルの端部Bに接続され、他端が接地された第2のインダクタンスと、
前記サンプルコイルに第1の高周波を供給する整合回路および同調回路と、
前記サンプルコイルに第2の高周波を供給する整合回路および同調回路と
を備えた核磁気共鳴装置の多重同調回路であって、
接地、第1のインダクタンス、第3の容量素子、サンプルコイル、第4の容量素子、第2のインダクタンス、接地の順番で直列接続され、さらに第1の容量素子と第2の容量素子を介して前記サンプルコイルの両端を接地された回路全体で、前記第1の高周波と前記第2の高周波に対して、前記サンプルコイルの中点での振幅電圧がゼロとなるような平衡共振回路を構成し、前記第1のインダクタンスと前記サンプルコイルの間は前記第3の容量素子で、前記第2のインダクタンスと前記サンプルコイルの間は前記第4の容量素子で、それぞれ前記第2の高周波のRF電圧を分圧していることを特徴としている。
【0016】
また、前記第1のインダクタンスの接地端は、第5の容量素子を介して接地されていることを特徴としている。
【0017】
また、前記第2のインダクタンスの接地端は、第6の容量素子を介して接地されていることを特徴としている。
【0018】
また、前記第1の高周波のための整合回路および同調回路は、前記サンプルコイルの一端に直接接続されていることを特徴としている。
【0019】
また、前記第2の高周波のための整合回路および同調回路は、前記第1のインダクタンスと前記第5の容量素子との間、または前記第2のインダクタンスと前記第6の容量素子との間に接続されていることを特徴としている。
【0020】
また、前記第3の容量素子と第4の容量素子のうち、少なくとも一方が前記第2の高周波のための同調用可変容量素子であることを特徴としている。
【0021】
また、前記第2の高周波のための同調用可変容量素子は、一端が前記サンプルコイルと第2の容量素子との接続点に接続され、他端が前記第2のインダクタンスに接続されると共に、前記第2の高周波のための同調用可変容量素子と前記第2のインダクタンスとの接続点は、前記第1の高周波を共振させるための第8の容量素子を介して接地されていることを特徴としている。
【0022】
また、サンプルコイルの端部Aに接続された前記第3の容量素子を少なくとも2つに分割して直列に接続し、該直列接続された容量素子同士の接続点に、第1の容量素子の一端および第1の高周波のための整合回路および同調回路の一端を接続すると共に、該第1の容量素子の他端および該第1の高周波のための整合回路および同調回路の他端を共に接地すると共に、
サンプルコイルの端部Bに接続された前記第4の容量素子を少なくとも2つに分割して直列に接続し、該直列接続された容量素子同士の接続点に、第1の高周波を共振させるための第2の容量素子の一端を接続すると共に、該第2の容量素子の他端を接地したことを特徴としている。
【0023】
また、少なくとも前記第1のインダクタンスまたは第2のインダクタンスと並列に、可変または固定容量素子を接続したことを特徴としている。
【0024】
また、端部A、Bを備えたサンプルコイルと、
一端が第1の容量素子および第2の容量素子を介してサンプルコイルの端部Aに接続され、他端が接地された第1のインダクタンスと、
一端が第3の容量素子および第4の容量素子を介してサンプルコイルの端部Bに接続され、他端が接地された第2のインダクタンスと、
前記第1の容量素子と前記第2の容量素子との接続点と、前記第3の容量素子と前記第4の容量素子との接続点との間を直接的に、または接地を介して間接的に結ぶ第5の容量素子または容量素子群と、
前記サンプルコイルに第1の高周波を供給する整合回路と、
前記サンプルコイルに第2の高周波を供給する整合回路と
を備えた核磁気共鳴装置の多重同調回路であって、
接地、第1のインダクタンス、第3の容量素子、サンプルコイル、第4の容量素子、第2のインダクタンス、接地の順番で直列接続され、さらに第1の容量素子と第2の容量素子を介して前記サンプルコイルの両端を接地された回路全体で、前記第1の高周波と前記第2の高周波に対して、前記サンプルコイルの中点での振幅電圧がゼロとなるような平衡共振回路を構成し、前記第1のインダクタンスと前記サンプルコイルの間は前記第3の容量素子で、前記第2のインダクタンスと前記サンプルコイルの間は前記第4の容量素子で、それぞれ前記第2の高周波のRF電圧を分圧していることを特徴としている。
【0025】
また、前記第1のインダクタンスの接地端は、第6の容量素子を介して接地されていることを特徴としている。
【0026】
また、前記第2のインダクタンスの接地端は、第7の容量素子を介して接地されていることを特徴としている。
【0027】
また、前記第1の容量素子ないし第4の容量素子のうち、少なくとも1つが、前記第2の高周波のための同調用可変容量素子であることを特徴としている。
【0028】
また、前記第5の容量素子または容量素子群の中の少なくとも1つの容量素子が、前記第1の高周波のための同調用可変容量素子であることを特徴としている。
【0029】
また、少なくとも前記第1のインダクタンスまたは第2のインダクタンスと並列に、可変または固定容量素子を接続したことを特徴としている。
【0030】
また、第1の高周波は、第2の高周波よりも周波数が高いことを特徴としている。
【0031】
また、端部A、Bを備えたサンプルコイルと、
一端が第1の容量素子、第1のインダクタンス、および、第2の容量素子を介してサンプルコイルの端部Aに接続され、他端が接地された第2のインダクタンスと、
一端が第3の容量素子、第3のインダクタンス、および、第4の容量素子を介してサンプルコイルの端部Bに接続され、他端が接地された第4のインダクタンスと、
前記第1のインダクタンスと前記第2の容量素子との接続点と、前記第3のインダクタンスと前記第4の容量素子との接続点との間を直接的に、または接地を介して間接的に結ぶ第5の容量素子または容量素子群と、
前記サンプルコイルに第1の高周波を供給する整合回路と、
前記サンプルコイルに第2の高周波を供給する整合回路と、
前記サンプルコイルに第3の高周波を供給する整合回路と
を備えた核磁気共鳴装置の多重同調回路であって、
接地、第2のインダクタンス、第2の容量素子、第1のインダクタンス、第1の容量素子、サンプルコイル、第3の容量素子、第3のインダクタンス、第4の容量素子、第4のインダクタンス、接地の順番で直列接続された回路全体で、前記第1の高周波、前記第2の高周波、前記第3の高周波に対して、前記サンプルコイルの中点での振幅電圧がゼロとなるような平衡共振回路を構成し、前記第1のインダクタンスと前記サンプルコイルの間および前記第3のインダクタンスと前記サンプルコイルの間は、前記第1の容量素子および前記第3の容量素子で前記第1の高周波のRF電圧を分圧し、前記第2のインダクタンスと前記第1のインダクタンスの間および前記第4のインダクタンスと前記第3のインダクタンスの間は、前記第2の容量素子および前記第4の容量素子で前記第2の高周波のRF電圧を分圧していることを特徴としている。
【0032】
また、前記第2のインダクタンスの接地端は、第6の容量素子を介して接地されていることを特徴としている。
【0033】
また、前記第4のインダクタンスの接地端は、第7の容量素子を介して接地されていることを特徴としている。
【0034】
また、前記第1の容量素子ないし第4の容量素子のうち、少なくとも1つが、前記第2の高周波のための同調用可変容量素子であることを特徴としている。
【0035】
また、前記第5の容量素子または容量素子群の中の少なくとも1つの容量素子が、前記第1の高周波のための同調用可変容量素子であることを特徴としている。
【0036】
また、前記第3の高周波のための同調容量素子は、少なくとも前記第1のインダクタンスの所定の位置、または第3のインダクタンスの所定の位置に設けられていることを特徴としている。
【0037】
また、少なくとも前記第2のインダクタンスまたは第4のインダクタンスと並列に、可変または固定容量素子を接続したことを特徴としている。
【0038】
また、前記第1の高周波の入力端子と整合容量素子との間に、前記第2の高周波をリジェクトするバンド・リジェクト・フィルターを挿入したことを特徴としている。
【0039】
また、前記第2の高周波の入力端子と整合容量素子との間に、前記第1の高周波をリジェクトするバンド・リジェクト・フィルターを挿入したことを特徴としている。
【0040】
また、第3の高周波は、第1の高周波よりも周波数が高く、第1の高周波は、第2の高周波よりも周波数が高いことを特徴としている。
【0041】
また、請求項1記載の多重同調回路を用いた核磁気共鳴装置のプローブにおいて、該多重同調回路の外側を包囲する筒状電極を設け、該筒状電極を該多重同調回路の接地電極として用いるようにしたことを特徴としている。
【0042】
また、請求項10記載の多重同調回路を用いた核磁気共鳴装置のプローブにおいて、該多重同調回路の外側を包囲する筒状電極を設け、該筒状電極を該多重同調回路の接地電極として用いるようにしたことを特徴としている。
【0043】
また、請求項17記載の多重同調回路を用いた核磁気共鳴装置のプローブにおいて、該多重同調回路の外側を包囲する筒状電極を設け、該筒状電極を該多重同調回路の接地電極として用いるようにしたことを特徴としている。
【0044】
また、前記筒状電極は、所定の位置にプローブの内側と外側を連通させる窓を有することを特徴としている。
【0047】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。図4は、本発明にかかる核磁気共鳴装置の多重同調回路の一実施例を示したもので、共鳴周波数がLF1およびLF2であるような、2種類の低周波共鳴核に対し、同時にRFの照射またはNMR信号の検出を行なえるように構成した多重同調回路である。ここで、LF1は、LF2よりも周波数が高いRFで、例えば、LF1は13C核の共鳴周波数、LF2は17Oの共鳴周波数に相当している。
【0048】
図中1は、ソレノイドコイルやサドルコイルなどから成るサンプルコイルである。サンプルコイル1の両端には、インダクタンス2、3が、LF2の2つの同調コンデンサー6、9を介して間接的に接続されている。また、これらのインダクタンス2、3の他端は、コンデンサー6、9よりも大容量のコンデンサー14および/または15を介し間接的に、またはコンデンサー14、15を介することなく直接的に接地して使用される。図では、2つのインダクタンスを共に間接的に接地させた例を示している。
【0049】
サンプルコイル1の両端は、LF1核の2つの同調コンデンサー4、7を介して接地されている。また、LF1核の同調バリコン10も、サンプルコイル1の一端に、同調コンデンサー7と並列に接続されている。このとき、LF1核の同調コンデンサー4の容量と、LF1核の同調コンデンサー7と同調バリコン10の和容量とは、ほぼ同程度になるように設定される。
【0050】
また、LF2核の同調バリコン12と整合バリコン13は、インダクタンス2、または3のうち、どちらか一方の接地側端部に接続される。例えば、図4の例では、LF2核の同調バリコン12と整合バリコン13は、インダクタンス3の接地側端部に接続され、コンデンサー6と9とがほぼ同程度、またコンデンサー15とバリコン12との和容量とコンデンサー14とがほぼ同程度になるように設定されている。
【0051】
このとき、サンプルコイル1、インダクタンス2、3、同調コンデンサー6、9、4、7、14、15は、サンプルコイル1の中点付近で振幅電圧がゼロとなるような平衡共振回路を構成している。
【0052】
尚、インダクタンス2、3は、電線をコイル状に巻いたヘリカルコイルのような集中インダクタンスであっても、導体棒のような分布インダクタンスであっても、インダクタンス成分の素子であれば何でも良い。
【0053】
次に、この多重同調回路の動作について説明する。図5は、周波数LF1のRFに対して共振しているときの多重同調回路の等価回路を示している。LF2に対する4つの同調コンデンサー6、9、14、および15は容量が大きく、LF1の周波数では十分に小さなインピーダンスなので、2つのインダクタンス2、3は、図のように直列に接続されていると見なされる。また、同調コンデンサー15の容量が大きいことにより、LF2側の同調バリコン12と整合バリコン13の寄与は小さい。
【0054】
その結果、LC共振回路は、直列接続された2つのインダクタンス2、3に、サンプルコイル1が並列接続された合成インダクタンスと、LF1に対する同調コンデンサー4および7とで構成され、LF1側の同調バリコン10と整合バリコン11とでLF1に対するLC共振回路の同調および整合が行なわれる。LF1に対する同調と整合が取れて、共振電流が最大になったある時点でのRF電流の向きの一例を、矢印21、22で示す。
【0055】
次に、図6に、周波数LF2のRFに対して共振しているときの多重同調回路の等価回路を示す。LF1に対する同調コンデンサー4および7は容量が小さく、LF2の周波数では十分に大きなインピーダンスなので、2つの同調コンデンサ4および7の寄与は小さい。また、LF1側の同調バリコン10と整合バリコン11も、容量が小さいので寄与は小さい。
【0056】
その結果、LC共振回路は、コンデンサー14、インダクタンス2、コンデンサー6、サンプルコイル1、コンデンサー9、インダクタンス3、コンデンサー15の順番に直列接続されたものとなり、LF2側の同調バリコン12と整合バリコン13とで、このLC共振回路に対する同調・整合が行なわれる。
【0057】
LF2に対する同調・整合が取れて、共振電流が最大になったある時点でのRF電流の向きの一例を、矢印61および62で示す。
【0058】
このとき、インダクタンス2にはRF電圧が発生するが、一端がコンデンサー6、9よりも大容量のコンデンサー14で接地されているので、67の位置には、インダクタンス2に発生するRF電圧分の電圧しか発生しない。インダクタンス3も同様で、インダクタンス3にはRF電圧が発生するが、一端がコンデンサー6、9よりも大容量のコンデンサー15で接地されているので、68の位置には、インダクタンス3に発生するRF電圧分の電圧しか発生しない。また、図6のLC共振回路は平衡共振回路なので、サンプルコイル1の中点がほぼゼロ電位になり、65と66の位置には、サンプルコイル1に発生するRF電圧の1/2が発生するに過ぎない。このため、LC共振回路内で、インダクタンス2に発生するRF電圧、サンプルコイル1に発生するRF電圧、インダクタンス3に発生するRF電圧が加算されることはない。
【0059】
ただ、同調コンデンサー6と同調コンデンサー9のそれぞれには、従来と同様に大きなRF電圧差が印加されるが、これに対しては、複数のコンデンサーを直列に接続して使用することにより、RF電圧を分圧して放電を防止するように構成させる。
【0060】
尚、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、さまざまな変形が可能である。例えば、図7は、本発明にかかる核磁気共鳴装置の多重同調回路の別の実施例を示したもので、共鳴周波数がLF1およびLF2であるような、2種類の低周波共鳴核に対し、同時にRFの照射またはNMR信号の検出を行なえるように構成した多重同調回路である。ここで、LF1は、LF2よりも周波数が高いRFで、例えば、LF1は13C核の共鳴周波数、LF2は17Oの共鳴周波数に相当している。
【0061】
図中1は、ソレノイドコイルやサドルコイルなどから成るサンプルコイルである。サンプルコイル1の両端には、インダクタンス2、3が、LF2の2つの同調コンデンサー6、9を介して間接的に接続されている。また、これらのインダクタンス2、3の他端は、LF2の同調コンデンサー14および/または15を介し間接的に、またはLF2の同調コンデンサー14、15を介することなく直接的に接地して使用される。図では、2つのインダクタンスを共に間接的に接地させた例を示している。
【0062】
サンプルコイル1の両端は、LF1の2つの同調コンデンサー4、7を介して接地されている。また、LF1の同調バリコン10も、サンプルコイル1の一端に、同調コンデンサー7と並列に接続されている。このとき、LF1の同調コンデンサー4の容量と、LF1の同調コンデンサー7と同調バリコン10の和容量とは、ほぼ同程度になるように設定される。
【0063】
また、LF2の同調バリコン12と整合バリコン13は、インダクタンス2、または3のうち、どちらか一方の接地側端部に接続される。例えば、図7の例では、LF2の同調バリコン12と整合バリコン13は、インダクタンス3の接地側端部に接続され、コンデンサー6と9とがほぼ同程度、またコンデンサー15とバリコン12との和容量とコンデンサー14とがほぼ同程度になるように設定されている。
【0064】
このとき、サンプルコイル1、インダクタンス2、3、同調コンデンサー6、9、4、7、14、15は、サンプルコイル1の中点付近で振幅電圧がゼロとなるような平衡共振回路を構成している。
【0065】
尚、インダクタンス2、3は、電線をコイル状に巻いたヘリカルコイルのような集中インダクタンスであっても、導体棒のような分布インダクタンスであっても、インダクタンス成分の素子であれば何でも良い。
【0066】
この実施例では、インダクタンス2および3に、可変容量素子71および72を並列接続している。可変容量素子71、72の値をそれぞれ適宜な値に設定することにより、LF1の並列共振回路を構成させ、LF1のRF電力がLF2の同調・整合回路側に通過するのを防ぐようにさせる。これにより、LF2の同調と整合を取る際に、バリコン12および13の容量を変化させても、LF1側に与える影響はほとんどなくなる。
【0067】
尚、このような可変容量素子71、72の用い方は、図7の場合に限らず、以下に述べる図8〜図10のような例に用いられるインダクタンスに対しても適用できることは言うまでもない。
【0068】
また、図8は、本発明にかかる核磁気共鳴装置の多重同調回路の更に別の実施例を示したもので、共鳴周波数がLF1およびLF2であるような、2種類の低周波共鳴核に対し、同時にRFの照射またはNMR信号の検出を行なえるように構成した多重同調回路である。ここで、LF1は、LF2よりも周波数が高いRFで、例えば、LF1は13C核の共鳴周波数、LF2は17Oの共鳴周波数に相当している。
【0069】
図中1は、ソレノイドコイルやサドルコイルなどから成るサンプルコイルである。サンプルコイル1の両端には、インダクタンス2、3が、LF2の2つの同調コンデンサー81、82、83、84を介して間接的に接続されている。また、これらのインダクタンス2、3の他端は、LF2の同調コンデンサー14および/または15を介し間接的に、またはLF2の同調コンデンサー14、15を介することなく直接的に接地して使用される。図では、2つのインダクタンスを共に間接的に接地させた例を示している。
【0070】
このとき、サンプルコイル1、インダクタンス2、3、同調コンデンサー4、7、14、15、81、82、83、84は、サンプルコイル1の中点付近で振幅電圧がゼロとなるような平衡共振回路を構成している。
【0071】
尚、インダクタンス2、3は、電線をコイル状に巻いたヘリカルコイルのような集中インダクタンスであっても、導体棒のような分布インダクタンスであっても、インダクタンス成分の素子であれば何でも良い。
【0072】
この実施例では、サンプルコイル1の両端に接続されたLF2の2つの同調コンデンサーをそれぞれ2分割して直列に接続している。そして、一方の直列接続されたコンデンサーである81と82の接続点には、LF1の同調コンデンサー4の一端が接続され、該同調コンデンサー4の他端側は接地されている。また、もう一方の直列接続されたコンデンサーである83と84の接続点には、LF1の同調コンデンサー7、同調バリコン10、および整合バリコン11の一端がそれぞれ接続され、該同調コンデンサー7、同調バリコン10、および整合バリコン11の他端側はそれぞれ接地されている。これにより、LF1側の同調・整合回路が接続されている同調コンデンサー83と84の接続点付近は、LF2共振時のRF振幅電圧がほとんどゼロになり、接地電位とほぼ等しくなる。その結果、LF1の同調と整合を取る際に、バリコン10および11の容量を変化させても、LF2側に与える影響はほとんどなくなる。
【0073】
また、図9は、本発明にかかる核磁気共鳴装置の多重同調回路の更に別の実施例を示したもので、共鳴周波数がLF1およびLF2であるような、2種類の低周波共鳴核に対し、同時にRFの照射またはNMR信号の検出を行なえるように構成した多重同調回路である。ここで、LF1は、LF2よりも周波数が高いRFで、例えば、LF1は13C核の共鳴周波数、LF2は17Oの共鳴周波数に相当している。
【0074】
図中1は、ソレノイドコイルやサドルコイルなどから成るサンプルコイルである。サンプルコイル1の両端には、インダクタンス2、3が、LF2の同調コンデンサー6およびLF2の同調バリコン93を介して間接的に接続されている。また、これらのインダクタンス2、3の他端は、LF2の同調コンデンサー14および/または15を介し間接的に、またはLF2の同調コンデンサー14、15を介することなく直接的に接地して使用される。図では、2つのインダクタンスを共に間接的に接地させた例を示している。
【0075】
尚、LF2の同調コンデンサー6とLF2の同調バリコン93とは、互いに逆の位置に設けられていても良いし、同調バリコン93と対の形で、もう1つのLF2用同調バリコンが同調コンデンサー6の代わりに設けられていても良い。
【0076】
また、インダクタンス2、3は、電線をコイル状に巻いたヘリカルコイルのような集中インダクタンスであっても、導体棒のような分布インダクタンスであっても、インダクタンス成分の素子であれば何でも良い。
【0077】
このとき、サンプルコイル1、インダクタンス2、3、同調コンデンサー4、7、91、92、14、15、6、同調バリコン93は、サンプルコイル1の中点付近で振幅電圧がゼロとなるような平衡共振回路を構成している。
【0078】
この実施例では、サンプルコイル1とインダクタンス2の間にLF2の同調バリコンを挿入することにより、より実際的にLF1とLF2の回路調整ができるように構成されている。すなわち、LF1とLF2の同調を取るためには、まず最初に、サンプルコイル1と同調コンデンサー4、7で構成される部分を、同調バリコン10と整合バリコン11とを用いてLF1に同調させる。次に、同調コンデンサー91、92、インダクタンス2、3、および同調コンデンサー14、15で構成される部分を、整合バリコン13を用いてLF1に同調させる。そして、最後に、サンプルコイル1と同調コンデンサー4、7で構成される部分と同調コンデンサー91、92、インダクタンス2、3、および同調コンデンサー14、15で構成される部分とをつなぎ合わせ、全体を同調バリコン93を用いてLF2に同調させる。このように、3段階でLF1とLF2の同調を取ることにより、多重同調回路全体の複雑な回路調整が効率良く行なえるようになる。
【0079】
また、図10は、本発明にかかる核磁気共鳴装置の多重同調回路の更に別の実施例を示したもので、共鳴周波数がLF1およびLF2であるような、2種類の低周波共鳴核に対し、同時にRFの照射またはNMR信号の検出を行なえるように構成した多重同調回路である。ここで、LF1は、LF2よりも周波数が高いRFで、例えば、LF1は13C核の共鳴周波数、LF2は17Oの共鳴周波数に相当している。
【0080】
図中1は、ソレノイドコイルやサドルコイルなどから成るサンプルコイルである。サンプルコイル1の一端には、インダクタンス2がLF2の同調バリコン101およびコンデンサー102を介して間接的に接続されている。また、サンプルコイル1の他端には、インダクタンス3がコンデンサー103および104を介して間接的に接続されている。インダクタンス2、3のもう一端は、LF2の同調コンデンサー14および/または15を介し間接的に、またはLF2の同調コンデンサー14、15を介することなく直接的に接地して使用される。図では、2つのインダクタンスを共に間接的に接地させた例を示している。
【0081】
また、LF2の同調バリコン101とコンデンサー102との接続点と、コンデンサー103とコンデンサー104との接続点との間は、コンデンサー105、106、107、およびLF1の同調バリコン108で直接的に、または接地を介して間接的に接続されている。図では、2つの接続点間を、コンデンサー群で直接的に接続した例を示している。
【0082】
尚、インダクタンス2、3は、電線をコイル状に巻いたヘリカルコイルのような集中インダクタンスであっても、導体棒のような分布インダクタンスであっても、インダクタンス成分の素子であれば何でも良い。
【0083】
また、LF2の同調バリコン101は、コンデンサー102、103、104のうちのいずれかと置き換えられていても良い。また、コンデンサー105、106、107、およびLF1の同調バリコン108には、その他の組み合わせ方が可能であり、また、コンデンサー105、106、107は、バリコンなどに置き換えられていても良い。
【0084】
このような構成において、LC共振回路がLF2に対して共振しているときには、LF2の同調バリコン101とコンデンサー102との接続点付近、および、コンデンサー103とコンデンサー104との接続点付近が、共にゼロ電位に近くなるように調整されている。その結果、LF1の同調バリコン108は、LF2の共振自体に影響を与えない。また、LC共振回路がLF1に対して共振しているときには、コンデンサー106をコンデンサー105、107よりも大容量にしておけば、LF1の同調バリコン108にはLF1の高電圧が加わらない。
【0085】
以上、二重同調回路の実施例について述べたが、以下に述べる例は、三重同調回路の実施例である。
【0086】
図11は、本発明にかかる核磁気共鳴装置の三重同調回路の実施例を示したもので、共鳴周波数がHF、LF1、およびLF2であるような、1種類の高周波共鳴核と2種類の低周波共鳴核に対し、同時にRFの照射またはNMR信号の検出を行なえるように構成した多重同調回路である。ここで、HFは、LF1やLF2よりも周波数が高いRFで、例えば1H核や19F核の共鳴周波数に相当し、LF1は、LF2よりも周波数が高いRFで、例えば、LF1は13C核の共鳴周波数、LF2は17Oの共鳴周波数に相当している。
【0087】
図中1は、ソレノイドコイルやサドルコイルなどから成るサンプルコイルである。サンプルコイル1の一端は、LF2の同調バリコン101を介して導体110の一端に、また、サンプルコイル1の他端は、LF2の同調コンデンサー103を介して導体111の一端に、それぞれ間接的に接続されている。尚、LF2の同調バリコン101とLF2の同調コンデンサー103とは、互いに逆の位置に置かれていても良いし、あるいは、コンデンサー102やコンデンサー104の位置と置き換えられていても良い。
【0088】
また、導体111のサンプルコイル側端部から所定の距離だけ導体側に入った位置(すなわち、導体111の途中)には、HF用同調バリコン114の一端が接続され、このHF用同調バリコン114の他端は接地されている。尚、このHF用同調バリコン114は、導体110側に設けられていても良い。
【0089】
2つの導体110、111は、互いに平行線路を形成している。導体110の端部Xは、HFの整合コンデンサー112とHFの整合バリコン113とから成るHF整合回路を介して、HFの入力端子に接続されている。また、導体111の端部Yは、LF1の整合バリコン11を介して、LF1の入力端子に接続されている。また、導体110の端部Xと導体111の端部Yの間は、LF1用同調コンデンサー105、LF1用同調バリコン108、LF1用同調コンデンサー107により接続されている。尚、導体110の端部Xと導体111の端部Yの間は、図12のように、接地を介して、間接的にLF1同調用の容量素子で接続されていても良い。また、このときのHF整合回路とLF1用整合バリコン11の位置は、互いに逆であっても良い。
【0090】
導体110の端部Xは、コンデンサー102を介してインダクタンス2の一端に接続され、インダクタンス2の他端は、コンデンサー14を介して間接的に、またはコンデンサー14を介さず直接的に接地されている。図11は、コンデンサー14を介して接地させた例を示している。また、導体111の端部Yは、コンデンサー104を介してインダクタンス3の一端に接続され、インダクタンス3の他端は、コンデンサー15を介して間接的に、またはコンデンサー15を介さず直接的に接地されている。図11は、コンデンサー15を介して接地させた例を示している。インダクタンス2とコンデンサー14の接続部には、LF2の整合バリコン13を介して、LF2の入力端子が接続されている。尚、このLF2の整合バリコン13とLF2の入力端子は、インダクタンス3とコンデンサー15の接続部側に設けられていても良い。
【0091】
このとき、サンプルコイル1、LF2用同調バリコン101、同調コンデンサー103、導体110、導体111、同調コンデンサー102、同調コンデンサー104、インダクタンス2、インダクタンス3、同調コンデンサー14、同調コンデンサー15は、サンプルコイル1の中点付近で振幅電圧がゼロとなるような平衡共振回路を構成している。
【0092】
尚、インダクタンス2、インダクタンス3は、電線をコイル状に巻いたヘリカルコイルのような集中インダクタンスであっても、導体棒のような分布インダクタンスであっても、インダクタンス成分の素子であれば何でも良い。また、導体110、導体111も、電線をコイル状に巻いたヘリカルコイルのような集中インダクタンスであっても、導体棒のような分布インダクタンスであっても、インダクタンス成分の素子であれば何でも良い。
【0093】
次に、この三重同調回路の動作について説明する。図13は、周波数HFのRFに対して共振しているときの、ある瞬間におけるHFの振幅電圧を示す。LF2用同調バリコン101、同調コンデンサー103、同調コンデンサー105、同調コンデンサー107、LF1用同調バリコン108は、周波数HFでは、インピーダンスが十分に小さくなるので、短絡していると見なして良い。その結果、導体110、導体111、LF2用同調バリコン101、コンデンサー103で、1/4波長平行線路共振器が形成され、サンプルコイル1の両端に、電圧振幅が等しく、符号が互いに逆のRF電圧が発生し、HF共振する。サンプルコイル1から見た場合、このHF共振は、逆符号で電圧振幅が同じになる平衡共振なので、同じRF電力で比較した場合、不平衡共振回路に比べて、発生するRF電圧は半分で済む。その結果、本実施例は、通常の不平衡回路の場合の4倍のRF電力に耐えることができる。
【0094】
次に、図14は、周波数LF1のRFに対して共振しているときの三重同調回路を示している。LF2用同調バリコン101、コンデンサー14、15、102、103、104は、容量が大きく、LF1の周波数では十分に小さなインピーダンスなので、短絡に近い状態となる。また、導体110、111のインダクタンスの値は小さいので、誘導素子としての寄与は小さい。その結果、2つのインダクタンス2、3は直列に、また、2つのインダクタンス2、3とサンプルコイル1とは並列に、それぞれ接続されていると近似的に見なされる。
【0095】
その結果、共振回路は、直列接続された2つのインダクタンス2、3に、サンプルコイル1が並列接続された合成インダクタンスと、LF1に対する同調コンデンサー105、107、およびLF1用同調バリコン108とで構成され、LF1側の同調バリコン108と整合バリコン11とでLF1に対する共振回路の同調および整合が行なわれる。尚、HFとLF1とは、周波数が離れているため、HF整合回路がLF1共振に与える影響は小さい。また、LF2整合回路は、LF1の振幅電圧がほぼゼロ電位となる位置に設けられているため、LF2整合回路がLF1共振に与える影響は小さい。LF1に対する同調と整合が取れて、共振電流が最大になったある時点でのRF電流の向きの一例を、矢印120、121で示す。矢印120はサンプルコイル1側を流れるRF電流、矢印121は直列接続されたインダクタンス2、3側を流れるRF電流で、両者は並列の関係にある。これは、図5で示した電流21、22の流れ方とまったく同じである。
【0096】
次に、図15は、周波数LF2のRFに対して共振しているときの三重同調回路を示している。LF1に対する2つの同調コンデンサー105、107、LF1用同調バリコン108、HF整合回路、LF1整合回路は、いずれもLF2の振幅電圧がほぼゼロ電位となる位置に設けられているため、LF2共振への影響は小さい。また、コンデンサー14、15は、容量が大きく、LF2の周波数では十分に小さなインピーダンスなので、インダクタンス2、3は直列に接続されていると見なして良い。また、導体110、111のインダクタンスの値は小さいので、誘導素子としての寄与は小さい。その結果、サンプルコイル1と2つのインダクタンス2、3は直列に接続されていると近似的に見なされる。
【0097】
その結果、共振回路は、直列接続されたサンプルコイル1と2つのインダクタンス2、3による合成インダクタンスと、LF2用同調バリコン101、LF2に対する3つの同調コンデンサー102、103、104とで構成され、LF2側の同調バリコン101と整合バリコン13とでLF2に対するLC共振回路の同調および整合が行なわれる。直列接続されたサンプルコイル1、インダクタンス2、3による合成インダクタンスは、インダクタンスとしての値が大きいため、LF1よりも周波数の低いLF2に対して共振させるのに適している。LF2に対する同調と整合が取れて、共振電流が最大になったある時点でのRF電流の向きの一例を、矢印122、123で示す。矢印122はサンプルコイル1側を流れるRF電流、矢印123は直列接続されたインダクタンス2、3側を流れるRF電流で、両者は直列の関係にある。
【0098】
これは、図6で示した電流61、62の流れ方とまったく同じである。したがって、共振回路内において、インダクタンス2に発生するRF電圧、サンプルコイル1に発生するRF電圧、および、インダクタンス3に発生するRF電圧が加算されずに済むことも、図6の場合とまったく同じである。
【0099】
次に、図16は、本発明にかかる核磁気共鳴装置の三重同調回路の別の実施例を示したもので、共鳴周波数がHF、LF1、およびLF2であるような、1種類の高周波共鳴核と2種類の低周波共鳴核に対し、同時にRFの照射またはNMR信号の検出を行なえるように構成した三重同調回路である。ここで、HFは、LF1やLF2よりも周波数が高いRFで、例えば1H核や19F核の共鳴周波数に相当し、LF1は、LF2よりも周波数が高いRFで、例えば、LF1は13C核の共鳴周波数、LF2は17Oの共鳴周波数に相当している。
【0100】
図中1は、ソレノイドコイルやサドルコイルなどから成るサンプルコイルである。サンプルコイル1の一端は、LF2の同調バリコン101を介して導体110の一端に、また、サンプルコイル1の他端は、LF2の同調コンデンサー103を介して導体111の一端に、それぞれ間接的に接続されている。尚、LF2の同調バリコン101とLF2の同調コンデンサー103とは、互いに逆の位置に置かれていても良いし、あるいは、コンデンサー102やコンデンサー104の位置と置き換えられていても良い。
【0101】
また、導体111のサンプルコイル側端部から所定の距離だけ導体側に入った位置(すなわち、導体111の途中)には、HF用同調バリコン114の一端が接続され、このHF用同調バリコン114の他端は接地されている。尚、このHF用同調バリコン114は、導体110側に設けられていても良い。
【0102】
2つの導体110、111は、互いに平行線路を形成している。導体110の端部Xは、HFの整合コンデンサー112とHFの整合バリコン113とから成るHF整合回路を介して、HFの入力端子に接続されている。また、導体111の端部Yは、LF1の整合バリコン11を介して、LF1の入力端子に接続されている。また、導体110の端部Xと導体111の端部Yの間は、LF1用同調コンデンサー105、LF1用同調バリコン108、LF1用同調コンデンサー107により接続されている。尚、このHF整合回路とLF1用整合バリコン11の位置は、互いに逆であっても良い。
【0103】
導体110の端部Xは、コンデンサー102を介してインダクタンス2の一端に接続され、インダクタンス2の他端は、コンデンサー14を介して間接的に、またはコンデンサー14を介さず直接的に接地されている。図16は、コンデンサー14を介して接地させた例を示している。また、導体111の端部Yは、コンデンサー104を介してインダクタンス3の一端に接続され、インダクタンス3の他端は、コンデンサー15を介して間接的に、またはコンデンサー15を介さず直接的に接地されている。図16は、コンデンサー15を介して接地させた例を示している。インダクタンス2とコンデンサー14の接続部には、LF2の整合バリコン13を介して、LF2の入力端子が接続されている。尚、このLF2の整合バリコン13とLF2の入力端子は、インダクタンス3とコンデンサー15の接続部側に設けられていても良い。
【0104】
このとき、サンプルコイル1、LF2用同調バリコン101、同調コンデンサー103、導体110、導体111、同調コンデンサー102、同調コンデンサー104、インダクタンス2、インダクタンス3、同調コンデンサー14、同調コンデンサー15は、サンプルコイル1の中点付近で振幅電圧がゼロとなるような平衡共振回路を構成している。
【0105】
尚、インダクタンス2、インダクタンス3は、電線をコイル状に巻いたヘリカルコイルのような集中インダクタンスであっても、導体棒のような分布インダクタンスであっても、インダクタンス成分の素子であれば何でも良い。また、導体110、導体111も、電線をコイル状に巻いたヘリカルコイルのような集中インダクタンスであっても、導体棒のような分布インダクタンスであっても、インダクタンス成分の素子であれば何でも良い。
【0106】
この実施例では、インダクタンス2および3に、可変容量素子71および72を並列接続している。可変容量素子71、72の値をそれぞれ適宜な値に設定することにより、LF1の並列共振回路を構成させ、LF1のRF電力がLF2の同調・整合回路側に通過するのを防ぐようにさせる。これにより、LF2の同調と整合を取る際に、バリコン12および13の容量を変化させても、LF1側に与える影響はほとんどなくなる。尚、可変容量素子71および72は、固定容量素子であっても良い。
【0107】
次に、図17は、本発明にかかる核磁気共鳴装置の三重同調回路の別の実施例を示したもので、共鳴周波数がHF、LF1、およびLF2であるような、1種類の高周波共鳴核と2種類の低周波共鳴核に対し、同時にRFの照射またはNMR信号の検出を行なえるように構成した三重同調回路である。ここで、HFは、LF1やLF2よりも周波数が高いRFで、例えば1H核や19F核の共鳴周波数に相当し、LF1は、LF2よりも周波数が高いRFで、例えば、LF1は13C核の共鳴周波数、LF2は17Oの共鳴周波数に相当している。
【0108】
図中1は、ソレノイドコイルやサドルコイルなどから成るサンプルコイルである。サンプルコイル1の一端は、LF2の同調バリコン101を介して導体110の一端に、また、サンプルコイル1の他端は、LF2の同調コンデンサー103を介して導体111の一端に、それぞれ間接的に接続されている。尚、LF2の同調バリコン101とLF2の同調コンデンサー103とは、互いに逆の位置に置かれていても良いし、あるいは、コンデンサー102やコンデンサー104の位置と置き換えられていても良い。
【0109】
また、導体111のサンプルコイル側端部から所定の距離だけ導体側に入った位置(すなわち、導体111の途中)には、HF用同調バリコン114の一端が接続され、このHF用同調バリコン114の他端は接地されている。尚、このHF用同調バリコン114は、導体110側に設けられていても良い。
【0110】
2つの導体110、111は、互いに平行線路を形成している。導体110の端部Xは、HFの整合コンデンサー112とHFの整合バリコン113とから成るHF整合回路を介して、HFの入力端子に接続されている。また、導体110の端部Xと導体111の端部Yの間は、LF1用同調コンデンサー105、LF1用同調バリコン108、LF1用同調コンデンサー107により接続されている。尚、このHF整合回路の位置は、端部X側であっても端部Y側であっても良い。
【0111】
導体110の端部Xは、コンデンサー102を介してインダクタンス2の一端に接続され、インダクタンス2の他端は、コンデンサー14を介して間接的に、またはコンデンサー14を介さず直接的に接地されている。図17は、コンデンサー14を介して接地させた例を示している。また、導体111の端部Yは、コンデンサー104を介してインダクタンス3の一端に接続され、インダクタンス3の他端は、コンデンサー15を介して間接的に、またはコンデンサー15を介さず直接的に接地されている。図17は、コンデンサー15を介して接地させた例を示している。インダクタンス2とコンデンサー14の接続部には、LF2の整合バリコン13を介して、LF2の入力端子が接続されている。尚、このLF2の整合バリコン13とLF2の入力端子は、インダクタンス3とコンデンサー15の接続部側に設けられていても良い。また、インダクタンス3とコンデンサー15の接続部には、LF1の整合バリコン11を介して、LF1の入力端子が接続されている。尚、このLF1の整合バリコン11とLF1の入力端子は、インダクタンス2とコンデンサー14の接続部側に設けられていても良い。
【0112】
また、図17の例では、HF整合回路は、導体110の端部Xに設けられているが、これは、導体111の端部Yに設けられていても良く、インダクタンス2とコンデンサー14との接続点、すなわちLF2の整合回路と同じ場所に設けられていても良く、あるいは、インダクタンス3とコンデンサー15との接続点、すなわちLF1の整合回路と同じ場所に設けられていても良い。これは、HF共振回路のQ値が高いため、HF共振回路からやや離れた位置からでも、HFのRF電力を、HF共振回路に注入することが可能なためである。
【0113】
このとき、サンプルコイル1、LF2用同調バリコン101、同調コンデンサー103、導体110、導体111、同調コンデンサー102、同調コンデンサー104、インダクタンス2、インダクタンス3、同調コンデンサー14、同調コンデンサー15は、サンプルコイル1の中点付近で振幅電圧がゼロとなるような平衡共振回路を構成している。
【0114】
尚、インダクタンス2、インダクタンス3は、電線をコイル状に巻いたヘリカルコイルのような集中インダクタンスであっても、導体棒のような分布インダクタンスであっても、インダクタンス成分の素子であれば何でも良い。また、導体110、導体111も、電線をコイル状に巻いたヘリカルコイルのような集中インダクタンスであっても、導体棒のような分布インダクタンスであっても、インダクタンス成分の素子であれば何でも良い。
【0115】
この実施例では、LF1の入力端子とLF1の整合バリコン11との間には、LF2に並列共振するコイル130とコンデンサー131とから成り、LF2をリジェクトするバンド・リジェクト・フィルターが挿入されている。また、LF2の入力端子とLF2の整合バリコン13との間には、LF1に並列共振するコイル132とコンデンサー133とから成り、LF1をリジェクトするバンド・リジェクト・フィルターが挿入されている。これにより、LF2の入力端子へのLF1の透過、およびLF1の入力端子へのLF2の透過を抑制することができ、強いRF電力による送信器の破損を防ぐことができる。
【0116】
図18は、本発明にかかる核磁気共鳴装置の多重同調回路を、プローブに実装した場合の電子部品の配置構造を示したものである。図18(a)は、プローブの縦方向の断面図、(b)は、プローブのカバーを取った様子を示す図、(c)は、プローブの横方向の断面図である。尚、この実施例は、具体的には、外部磁場に対して所定の角度に傾斜させた試料管を高速回転させる、固体試料専用の核磁気共鳴測定プローブを想定している。
【0117】
図中、200はプローブのカバーである。カバー200の内側には、中空で円筒形をした筒状電極201が設けられており、更に、筒状電極201の上部内側には、外部磁場に対して所定の角度だけ傾斜させた試料回転機構202が設けられている。また、試料回転機構202の内部にはサンプルコイル1、更にその内側には固体試料を封入した試料管203が設けられている。また、試料回転機構202には、試料管203を高速回転させるために、エアー配管204が接続されており、加圧された駆動用のエアー・ジェットが、試料管203に対して適宜吹き付けられる構成になっている。また、筒状電極201には、上部に、試料管203を試料回転機構202から出し入れするための、プローブの内側と外側を連通させた窓205が設けられている。
【0118】
サンプルコイル1の両端には、LF2同調用バリコン101、LF2同調用コンデンサー103が接続されており、LF2同調用バリコン101は、シャフト206でその静電容量を可変させる構成になっている。そして、これらのLF2用同調バリコン101、LF2同調用コンデンサー103の外に、導体110、111を内部導体、筒状電極201を外部導体として利用することにより、全体でHFに共振する1/4波長共振器を構成させている。また、筒状電極201を共通の接地電極として利用することにより、筒状電極201の内側に、LF1同調用コンデンサー105、107、LF1同調用バリコン114、HF整合用コンデンサー112、HF整合用バリコン113、HF同調用バリコン114、LF1整合用バリコン11、LF2同調用コンデンサー102、104、インダクタンス2、3、コンデンサー14、15、LF2整合用バリコン13、同軸ケーブル207、208をコンパクトに実装している。
【0119】
今回、中空の筒状電極201を接地電極として利用したことにより、従来の接地電極であった支柱と円板とから成るフレームが不要となり、電子部品を実装するための内部空間が広く取れるようになった。その結果、LF2同調用バリコン101、LF2同調用コンデンサー103に外径の大きな高耐圧容量素子を設置することが可能になり、LF2共振時、多重同調回路が従来よりも高電圧に耐えられるようになった。また、筒状電極201を接地電極に採用して、接地インピーダンスを従来よりも小さくした結果、高周波の電力損失を低減させることが可能になると共に、従来よりも高い共振周波数のHFが得られるようになった。また、共振器の外部導体として、大型の筒状電極201を採用したので、共振器のQ値自体も高まった。
【0120】
尚、大型の容量素子101、103は、電極間の寸法が大きいので、導体110、111は、1/4波長の長さよりも短くして調整する必要がある。それゆえ、導体110、111は、1/4波長の長さである必要はない。導体110、111の一端をサンプルコイル1に接続する容量素子101、103と、導体110、111の他端をインダクタンス2、3に接続するするLF2同調用コンデンサー102、104とを含めて、全体で1/4波長共振器として動作すれば良い。
【0121】
また、上記筒状電極201の形状は、必ずしも円筒形に制限されるものではない。また、筒状電極201は、必ずしもプローブ全体を覆っている必要はない。多重同調回路の電気回路部分を覆うのみであっても良い。
【0122】
以上、代表例として、図11に示した多重同調回路を実装した核磁気共鳴装置のプローブについて説明したが、筒状電極201を外部電極および接地電極として用いる実装方法が、図4から図17に示した他の実施例に対しても、同様に適用できる実装方法であることは言うまでもない。
【0123】
また、このような実装方法は、サンプルコイル以外にインダクタンス素子を持たない平衡共振型プローブ、例えば、共振回路のRF振幅電圧がサンプルコイルの中点付近でゼロとなるようなMQ−MAS(Multi Quantum−Magic Angle Spinning)プローブに対しても、応用することができる。
【0124】
図19は、MQ−MASプローブの電気回路の一例を示す図である。図中、301は、サンプルコイルである。サンプルコイル301は、第1のコンデンサー302、第のコンデンサー303、同調バリコン304、および整合バリコン305と共に、サンプルコイル301の中点付近でRFの振幅電圧がゼロとなるような平衡動作をするLC共振器を構成している。本回路では、同調バリコン304と整合バリコン305により、同調整合を行なわせている。
【0125】
また、図20は、MQ−MASプローブに対して本発明の実装方法を実施した一実施例を示したものである。図20(a)は、プローブの縦方向の断面図、(b)は、プローブのカバーを取った様子を示す図、(c)は、バリコン304、305付近の横方向の断面図である。
【0126】
図中、314はプローブのカバーである。カバー314の内側には、円筒形の筒状電極341が設けられ、電気回路共通の接地電極として利用されている。筒状電極341の内側の最上部には、外部磁場に対して所定の角度だけ傾斜させた試料回転機構306が設けられている。また、試料回転機構306の内部にはサンプルコイル301、更にその内側には固体試料を封入した試料管315が設けられている。また、試料回転機構306には、試料管315を高速回転させるために、エアー配管307が接続されており、加圧された駆動用のエアー・ジェットが、試料管315に対して適宜吹き付けられる構成になっている。また、筒状電極341には、上部に、試料管315を試料回転機構306から出し入れするための、プローブの内側と外側を連通させた窓342が設けられている。
【0127】
サンプルコイル301の両端には、同調用のコンデンサー302、303が接続されている。この同調用のコンデンサー302、303の片側の電極は、筒状電極341の内壁に直接はんだ付けされることにより、接地されている。また、これらの同調用コンデンサー302、303の外に、同調用バリコン304、整合用バリコン305が設けられ、シャフト312で可変させる構成になっている。また311は、外部の分光器とMQ−MASプローブの電気回路とを接続する同軸ケーブルである。
【0128】
今回、中空の筒状電極341を接地電極として利用したことにより、従来の接地電極であった支柱と円板とから成るフレームが不要となり、同調用バリコン304と整合用バリコン305の実装空間を広く取ることが可能になった。その結果、外径の大きな高耐圧バリコンを採用することができ、RF回路の耐圧性を向上させることが可能になった。また、筒状電極341を接地電極に採用した結果、RFの接地電流は、筒状電極341の広い表面を伝わって流れるようになり、接地インピーダンスが小さいので、RFの電力損失が少なくて済むようになった。
【0129】
尚、上記筒状電極341の形状は、必ずしも円筒形に制限されるものではない。また、筒状電極341は、必ずしもMQ−MASプローブ全体を覆っている必要はない。図21に示すように、RF回路の電気回路部分を覆うのみであっても良い。
【0130】
【発明の効果】
以上述べたごとく、本発明の核磁気共鳴装置の多重同調回路およびプローブによれば、平衡共振回路を構成するサンプルコイルと2つのインダクタンスの間、またはサンプルコイルと2つの導体の間を、容量素子を介して接続したので、サンプルコイルと2つのインダクタンス、またはサンプルコイルと2つの導体それぞれに発生するRF電圧が相互に加算されることがなく、多重同調回路の耐圧性が向上し、高電力のRF注入を行なっても放電事故が起こりにくい核磁気共鳴装置の多重同調回路およびプローブを提供することが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の核磁気共鳴装置の多重同調回路を示す図である。
【図2】従来の核磁気共鳴装置の多重同調回路における共振状態の一例を示す図である。
【図3】従来の核磁気共鳴装置の多重同調回路における共振状態の一例を示す図である。
【図4】本発明にかかる核磁気共鳴装置の多重同調回路の一実施例を示す図である。
【図5】本発明にかかる核磁気共鳴装置の多重同調回路の一実施例における共振状態の一例を示す図である。
【図6】本発明にかかる核磁気共鳴装置の多重同調回路の一実施例における共振状態の一例を示す図である。
【図7】本発明にかかる核磁気共鳴装置の多重同調回路の一実施例を示す図である。
【図8】本発明にかかる核磁気共鳴装置の多重同調回路の一実施例を示す図である。
【図9】本発明にかかる核磁気共鳴装置の多重同調回路の一実施例を示す図である。
【図10】本発明にかかる核磁気共鳴装置の多重同調回路の一実施例を示す図である。
【図11】本発明にかかる核磁気共鳴装置の三重同調回路の一実施例を示す図である。
【図12】本発明にかかる核磁気共鳴装置の三重同調回路の一実施例を示す図である。
【図13】本発明にかかる核磁気共鳴装置の三重同調回路の一実施例における共振状態の一例を示す図である。
【図14】本発明にかかる核磁気共鳴装置の三重同調回路の一実施例における共振状態の一例を示す図である。
【図15】本発明にかかる核磁気共鳴装置の三重同調回路の一実施例における共振状態の一例を示す図である。
【図16】本発明にかかる核磁気共鳴装置の三重同調回路の一実施例を示す図である。
【図17】本発明にかかる核磁気共鳴装置の三重同調回路の一実施例を示す図である。
【図18】本発明にかかる核磁気共鳴装置のプローブの一実施例を示す図である。
【図19】MQ−MASプローブの電気回路の一例を示す図である。
【図20】本発明にかかるMQ−MASプローブの一実施例を示す図である。
【図21】本発明にかかるMQ−MASプローブの一実施例を示す図である。
【符号の説明】
1・・・サンプルコイル、2・・・インダクタンス、3・・・インダクタンス、4・・・LF1用同調コンデンサー、6・・・LF2用同調コンデンサー、7・・・LF1用同調コンデンサー、9・・・LF2用同調コンデンサー、10・・・LF1用同調バリコン、11・・・LF1用整合バリコン、12・・・LF2用同調バリコン、13・・・LF2用整合バリコン、14・・・LF2用同調コンデンサー、15・・・LF2用同調コンデンサー、21・・・RF電流、22・・・RF電流、31・・・RF電流、32・・・RF電圧発生点、33・・・RF電圧発生点、61・・・RF電流、62・・・RF電流、65・・・RF電圧発生点、66・・・RF電圧発生点、67・・・RF電圧発生点、68・・・RF電圧発生点、71・・・可変容量素子、72・・・可変容量素子、81・・・LF2用同調コンデンサー、82・・・LF2用同調コンデンサー、83・・・LF2用同調コンデンサー、84・・・LF2用同調コンデンサー、91・・・LF1用同調コンデンサー、92・・・LF1用同調コンデンサー、93・・・LF2用同調バリコン、101・・・LF2用同調バリコン、102・・・LF2用同調コンデンサー、103・・・LF2用同調コンデンサー、104・・・LF2用同調コンデンサー、105・・・LF1用同調コンデンサー、106・・・LF1用同調コンデンサー、107・・・LF1用同調コンデンサー、108・・・LF1用同調バリコン、110・・・導体、111・・・導体、112・・・HF用整合コンデンサー、113・・・HF用整合バリコン、114・・・HF用同調バリコン、120・・・LF1の共振電流、121・・・LF1の共振電流、122・・・LF2の共振電流、123・・・LF2の共振電流、130・・・コイル、131・・・コンデンサー、132・・・コイル、133・・・コンデンサー、200・・・プローブカバー、201・・・筒状電極、202・・・試料回転機構、203・・・試料管、204・・・エアー配管、205・・・窓、206・・・シャフト。301・・・サンプルコイル、302・・・第1のコンデンサー、303・・・第2のコンデンサー、304・・・同調バリコン、305・・・整合バリコン、306・・・試料回転装置、307・・・エアー配管、308・・・支柱、309・・・円板、310・・・バネ、311・・・同軸ケーブル、312・・・シャフト、313・・・ブラケット、314・・・カバー、315・・・試料管、341・・・筒状電極、342・・・窓。

Claims (30)

  1. 端部A、Bを備え、端部Aが第1の容量素子を介して接地され、また、端部Bが第2の容量素子を介して接地されたサンプルコイルと、
    一端が第3の容量素子を介してサンプルコイルの端部Aに接続され、他端が接地された第1のインダクタンスと、
    一端が第4の容量素子を介してサンプルコイルの端部Bに接続され、他端が接地された第2のインダクタンスと、
    前記サンプルコイルに第1の高周波を供給する整合回路および同調回路と、
    前記サンプルコイルに第2の高周波を供給する整合回路および同調回路と
    を備えた核磁気共鳴装置の多重同調回路であって、
    接地、第1のインダクタンス、第3の容量素子、サンプルコイル、第4の容量素子、第2のインダクタンス、接地の順番で直列接続され、さらに第1の容量素子と第2の容量素子を介して前記サンプルコイルの両端を接地された回路全体で、前記第1の高周波と前記第2の高周波に対して、前記サンプルコイルの中点での振幅電圧がゼロとなるような平衡共振回路を構成し、前記第1のインダクタンスと前記サンプルコイルの間は前記第3の容量素子で、前記第2のインダクタンスと前記サンプルコイルの間は前記第4の容量素子で、それぞれ前記第2の高周波のRF電圧を分圧していることを特徴とする核磁気共鳴装置の多重同調回路。
  2. 前記第1のインダクタンスの接地端は、第5の容量素子を介して接地されていることを特徴とする請求項1記載の核磁気共鳴装置の多重同調回路。
  3. 前記第2のインダクタンスの接地端は、第6の容量素子を介して接地されていることを特徴とする請求項1記載の核磁気共鳴装置の多重同調回路。
  4. 前記第1の高周波のための整合回路および同調回路は、前記サンプルコイルの一端に直接接続されていることを特徴とする請求項1記載の核磁気共鳴装置の多重同調回路。
  5. 前記第2の高周波のための整合回路および同調回路は、前記第1のインダクタンスと前記第5の容量素子との間、または前記第2のインダクタンスと前記第6の容量素子との間に接続されていることを特徴とする請求項1、2、3、または4記載の核磁気共鳴装置の多重同調回路。
  6. 前記第3の容量素子と第4の容量素子のうち、少なくとも一方が前記第2の高周波のための同調用可変容量素子であることを特徴とする請求項1、2、3、または4記載の核磁気共鳴装置の多重同調回路。
  7. 前記第2の高周波のための同調用可変容量素子は、一端が前記サンプルコイルと第2の容量素子との接続点に接続され、他端が前記第2のインダクタンスに接続されると共に、前記第2の高周波のための同調用可変容量素子と前記第2のインダクタンスとの接続点は、前記第1の高周波を共振させるための第8の容量素子を介して接地されていることを特徴とする請求項1、2、3、または4記載の核磁気共鳴装置の多重同調回路。
  8. サンプルコイルの端部Aに接続された前記第3の容量素子を少なくとも2つに分割して直列に接続し、該直列接続された容量素子同士の接続点に、第1の容量素子の一端および第1の高周波のための整合回路および同調回路の一端を接続すると共に、該第1の容量素子の他端および該第1の高周波のための整合回路および同調回路の他端を共に接地すると共に、
    サンプルコイルの端部Bに接続された前記第4の容量素子を少なくとも2つに分割して直列に接続し、該直列接続された容量素子同士の接続点に、第1の高周波を共振させるための第2の容量素子の一端を接続すると共に、該第2の容量素子の他端を接地したことを特徴とする請求項1、2、3、4、または5記載の核磁気共鳴装置の多重同調回路。
  9. 少なくとも前記第1のインダクタンスまたは第2のインダクタンスと並列に、可変または固定容量素子を接続したことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、または8記載の核磁気共鳴装置の多重同調回路。
  10. 端部A、Bを備えたサンプルコイルと、
    一端が第1の容量素子および第2の容量素子を介してサンプルコイルの端部Aに接続され、他端が接地された第1のインダクタンスと、
    一端が第3の容量素子および第4の容量素子を介してサンプルコイルの端部Bに接続され、他端が接地された第2のインダクタンスと、
    前記第1の容量素子と前記第2の容量素子との接続点と、前記第3の容量素子と前記第4の容量素子との接続点との間を直接的に、または接地を介して間接的に結ぶ第5の容量素子または容量素子群と、
    前記サンプルコイルに第1の高周波を供給する整合回路と、
    前記サンプルコイルに第2の高周波を供給する整合回路と
    を備えた核磁気共鳴装置の多重同調回路であって、
    接地、第1のインダクタンス、第3の容量素子、サンプルコイル、第4の容量素子、第2のインダクタンス、接地の順番で直列接続され、さらに第1の容量素子と第2の容量素子を介して前記サンプルコイルの両端を接地された回路全体で、前記第1の高周波と前記第2の高周波に対して、前記サンプルコイルの中点での振幅電圧がゼロとなるような平衡共振回路を構成し、前記第1のインダクタンスと前記サンプルコイルの間は前記第3の容量素子で、前記第2のインダクタンスと前記サンプルコイルの間は前記第4の容量素子で、それぞれ前記第2の高周波のRF電圧を分圧していることを特徴とする核磁気共鳴装置の多重同調回路。
  11. 前記第1のインダクタンスの接地端は、第6の容量素子を介して接地されていることを特徴とする請求項10記載の核磁気共鳴装置の多重同調回路。
  12. 前記第2のインダクタンスの接地端は、第7の容量素子を介して接地されていることを特徴とする請求項10記載の核磁気共鳴装置の多重同調回路。
  13. 前記第1の容量素子ないし第4の容量素子のうち、少なくとも1つが、前記第2の高周波のための同調用可変容量素子であることを特徴とする請求項10、11、または12記載の核磁気共鳴装置の多重同調回路。
  14. 前記第5の容量素子または容量素子群の中の少なくとも1つの容量素子が、前記第1の高周波のための同調用可変容量素子であることを特徴とする請求項10、11、12、または13記載の核磁気共鳴装置の多重同調回路。
  15. 少なくとも前記第1のインダクタンスまたは第2のインダクタンスと並列に、可変または固定容量素子を接続したことを特徴とする請求項10、11、12、13、または14記載の核磁気共鳴装置の多重同調回路。
  16. 第1の高周波は、第2の高周波よりも周波数が高いことを特徴とする請求項1ないし15のいずれかに記載の核磁気共鳴装置の多重同調回路。
  17. 端部A、Bを備えたサンプルコイルと、
    一端が第1の容量素子、第1のインダクタンス、および、第2の容量素子を介してサンプルコイルの端部Aに接続され、他端が接地された第2のインダクタンスと、
    一端が第3の容量素子、第3のインダクタンス、および、第4の容量素子を介してサンプルコイルの端部Bに接続され、他端が接地された第4のインダクタンスと、
    前記第1のインダクタンスと前記第2の容量素子との接続点と、前記第3のインダクタンスと前記第4の容量素子との接続点との間を直接的に、または接地を介して間接的に結ぶ第5の容量素子または容量素子群と、
    前記サンプルコイルに第1の高周波を供給する整合回路と、
    前記サンプルコイルに第2の高周波を供給する整合回路と、
    前記サンプルコイルに第3の高周波を供給する整合回路と
    を備えた核磁気共鳴装置の多重同調回路であって、
    接地、第2のインダクタンス、第2の容量素子、第1のインダクタンス、第1の容量素子、サンプルコイル、第3の容量素子、第3のインダクタンス、第4の容量素子、第4のインダクタンス、接地の順番で直列接続された回路全体で、前記第1の高周波、前記第2の高周波、前記第3の高周波に対して、前記サンプルコイルの中点での振幅電圧がゼロとなるような平衡共振回路を構成し、前記第1のインダクタンスと前記サンプルコイルの間および前記第3のインダクタンスと前記サンプルコイルの間は、前記第1の容量素子および前記第3の容量素子で前記第1の高周波のRF電圧を分圧し、前記第2のインダクタンスと前記第1のインダクタンスの間および前記第4のインダクタンスと前記第3のインダクタンスの間は、前記第2の容量素子および前記第4の容量素子で前記第2の高周波のRF電圧を分圧していることを特徴とする核磁気共鳴装置の多重同調回路。
  18. 前記第2のインダクタンスの接地端は、第6の容量素子を介して接地されていることを特徴とする請求項17記載の核磁気共鳴装置の多重同調回路。
  19. 前記第4のインダクタンスの接地端は、第7の容量素子を介して接地されていることを特徴とする請求項17記載の核磁気共鳴装置の多重同調回路。
  20. 前記第1の容量素子ないし第4の容量素子のうち、少なくとも1つが、前記第2の高周波のための同調用可変容量素子であることを特徴とする請求項17、18、または19記載の核磁気共鳴装置の多重同調回路。
  21. 前記第5の容量素子または容量素子群の中の少なくとも1つの容量素子が、前記第1の高周波のための同調用可変容量素子であることを特徴とする請求項17、18、19、または20記載の核磁気共鳴装置の多重同調回路。
  22. 前記第3の高周波のための同調容量素子は、少なくとも前記第1のインダクタンスの所定の位置、または第3のインダクタンスの所定の位置に設けられていることを特徴とする請求項17、18、19、20、または21記載の核磁気共鳴装置の多重同調回路。
  23. 少なくとも前記第2のインダクタンスまたは第4のインダクタンスと並列に、可変または固定容量素子を接続したことを特徴とする請求項17、18、19、20、21、または22記載の核磁気共鳴装置の多重同調回路。
  24. 前記第1の高周波の入力端子と整合容量素子との間に、前記第2の高周波をリジェクトするバンド・リジェクト・フィルターを挿入したことを特徴とする請求項17、18、19、20、21、22、または23記載の核磁気共鳴装置の多重同調回路。
  25. 前記第2の高周波の入力端子と整合容量素子との間に、前記第1の高周波をリジェクトするバンド・リジェクト・フィルターを挿入したことを特徴とする請求項17、18、19、20、21、22、または23記載の核磁気共鳴装置の多重同調回路。
  26. 第3の高周波は、第1の高周波よりも周波数が高く、第1の高周波は、第2の高周波よりも周波数が高いことを特徴とする請求項17ないし25のいずれかに記載の核磁気共鳴装置の多重同調回路。
  27. 請求項1記載の多重同調回路を用いた核磁気共鳴装置のプローブにおいて、該多重同調回路の外側を包囲する筒状電極を設け、該筒状電極を該多重同調回路の接地電極として用いるようにしたことを特徴とする核磁気共鳴装置のプローブ。
  28. 請求項10記載の多重同調回路を用いた核磁気共鳴装置のプローブにおいて、該多重同調回路の外側を包囲する筒状電極を設け、該筒状電極を該多重同調回路の接地電極として用いるようにしたことを特徴とする核磁気共鳴装置のプローブ。
  29. 請求項17記載の多重同調回路を用いた核磁気共鳴装置のプローブにおいて、該多重同調回路の外側を包囲する筒状電極を設け、該筒状電極を該多重同調回路の接地電極として用いるようにしたことを特徴とする核磁気共鳴装置のプローブ。
  30. 前記筒状電極は、所定の位置にプローブの内側と外側を連通させる窓を有することを特徴とする請求項27、28、または29記載の核磁気共鳴装置のプローブ。
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