JP6823304B2 - Nmrプローブシステム及びnmrプローブシステム使用方法 - Google Patents

Nmrプローブシステム及びnmrプローブシステム使用方法 Download PDF

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Description

本発明は、NMRプローブシステム及びNMRプローブシステム使用方法に関する。
核磁気共鳴(NMR:Nuclear Magnetic Resonance)測定装置は、静磁場中におかれた原子核が固有の周波数をもつ電磁波と相互作用するNMR現象を利用して、原子レベルでの試料の測定を行う装置である。
NMR測定装置では、超電導磁石などが発生させる静磁場中に、試料を格納した容器を含むNMRプローブが配置される。NMRプローブの容器には、NMR回路と呼ばれる電気回路が設けられており、試料に対するラジオ波の照射と、試料からのNMR信号の検出を行っている。NMR回路には、一般的には、送受信コイル、同調回路(例えば同調用の可変コンデンサ)、整合回路(例えば整合用の可変コンデンサ)などが含まれている。
NMR測定装置では、感度を向上させるために、NMRプローブの容器内に冷却したガスを供給し、試料管及びNMR回路を冷却する場合がある。また、固体試料の測定では、結晶方向の違いによる影響を打ち消すために、いわゆるマジック角で試料を高速回転させることがあり、その場合に、供給したガスを利用して試料管の軸受や回転駆動を行わせる方式が知られている。
NMRプローブでは、容器から排出されたガスを大気中に放出するものがある。また、NMRプローブと冷却装置との間でガスを循環させる場合もある。例えば、下記特許文献1には、ガスを循環させるNMR測定装置が記載されている。このNMR測定装置では、動的核偏極法(DNP:Dynamic Nuclear Polarization)を利用したNMR信号の検出が行われており、極低温のヘリウムガスを循環させることで、高精度な測定とランニングコストの低減を実現している。
ところで、NMR回路では、印加される電圧が高くなると、放電を起こすことがある。放電の発生は、正確な測定の妨げとなる他、部品の故障を招くことにもなる。下記特許文献2には、NMRプローブ内の電気回路について、回路設計上の工夫をすることで、放電の発生を防止する技術が記載されている。
特開2016−142537号公報 特開2003−302452号公報
NMR回路では、その回路構成を工夫したとしても、印加する電圧を高めた場合には、放電を誘発してしまう。
本発明の目的は、放電の発生を防止または抑制する新たな仕組みを備えたNMRプローブシステムを実現することにある。
本発明にかかるNMRプローブシステムは、試料設置部とNMR回路が内部に設けられた容器と、前記容器の内部にガスを供給する供給路と、前記容器の内部から前記ガスを排出する排出路と、前記排出路に設けられ、前記容器の圧力を調整する調整機構と、を備えることを特徴とする。
本発明にかかるNMRプローブシステムの使用方法は、前記NMR回路に印加する電圧を変更する場合に、前記調整機構によって前記容器の圧力を変更する工程、または、前記容器の内部に供給するガスの種類を変更する場合に、前記調整機構によって前記容器の圧力を調整する工程を含む、ことを特徴とする。
本発明によれば、NMRプローブの容器内の圧力を調整することにより、放電の発生を防止または抑制することが可能となる。
実施形態にかかるNMRプローブシステムの全体構成を示す概略図である。 放電の発生について説明する概念図である。 ガス圧の放電発生の関係を示す図である。 非循環ガス制御を行うガス制御部の例を示す図である。 非循環ガス制御を行うガス制御部の変形例を示す図である。 非循環ガス制御を行うガス制御部の別の変形例を示す図である。 供給路と排気路の構成が異なるNMRプローブシステムの概略図である。 循環ガス制御を行うガス制御部の例を示す図である。 図8の装置を用いた実験により求めた圧力と放電開始電力の関係図である。
(A)実施形態の概要
実施形態にかかるNMRプローブシステムは、容器、供給路、排出路、及び排出路に設けられた調整機構を備える。容器の内部には、試料が設置される試料設置部と、NMR回路が設けられている。供給路は、容器の内部にガスを供給する経路であり、排出路は、前記容器の内部からガスを排出する経路である。排出路には、容器の圧力を調整する調整機構が設けられている。
容器並びに容器と一体的に作られた供給路及び排出路を備える装置は、通常、NMRプローブと呼ばれる。調整機構は、NMRプローブ内に設けられていてもよいし、NMRプローブと接続された排出路に設けられていてもよい。本実施形態では、前者のみならず、後者の態様を含むことができることを明示するために、NMRプローブシステムと呼んでいる。容器に供給されるガスは、冷却を目的とした冷却ガスであってもよいし、それ以外(例えば試料の回転など)を目的とするガスでもよい。
調整機構は、排出路(容器の排出口及びそれよりも下流の流路をいう)に設けられており、容器の圧力を調整する。調整機構としては、例えば、排出路の断面積を小さくする断面積可変機構(弁など)を用いることができる。また、調整機構として、例えば、排出路の圧力を高めるポンプを用いてもよい。調整機構により、容器内部の圧力を高めた場合には、NMR回路の放電開始電圧が高くなるため、NMR回路の放電の発生を防止または抑制することが可能となる。
実施形態では、排出路は、ガスを大気中に放出する流路である。すなわち、排出路は非循環に構成されており、一旦容器から排出されたガスは大気中に放出されて、再度容器内に供給されることはない。従来のNMRプローブでは、排出路を単にガスを大気中に捨ててしまう経路と捉えていたのに対し、本実施形態では、容器内の圧力を制御できる経路と捉え調整機構を設けている。
実施形態では、調整機構は、NMR測定中に、容器の内部の平均的圧力を1.3気圧以上に維持する。一般に、ガスを循環させないNMRプローブでは、調整機構を備えない場合、容器の圧力は大気圧(1気圧)よりも若干高い程度である。これは、容器内では、供給される相対的に高圧な冷却ガスと、大気に連通した排出路との兼ね合いで、圧力が決まるためである。本実施形態では、調整機構を備えないNMRプローブの容器よりも高い圧力を維持している。調整機構を備えないNMRプローブの容器の圧力は、1.1〜1.2気圧程度と想定しており、本実施形態では1.3気圧以上に維持することとしている。調整機構を備えないNMRプローブの容器の圧力が、排気路の大きさ、容器の形状などのために、もう少し高く維持されている場合には、本実施形態では、その圧力よりも高く(例えば、1.4気圧以上、1.5気圧以上、1.6気圧以上、1.8気圧以上あるいは2気圧以上)維持することになる。
なお、容器の圧力は、容器にガスを供給する供給口付近で相対的に高く、それ以外の場所では比較的均一(ただし圧力の空間的、時間的な揺らぎがある)と考えられる。そこで、本実施形態では、容器の内部の平均的圧力は、供給口付近の高圧部分を除く空間における時間及び空間的な平均値を指すものとする。ただし、容器内の平均的圧力は、一般的には、排出路中の圧力とほぼ同じである。そこで、簡易には、排出路の圧力をモニタしてその調整を行うことで、容器内の平均的圧力を目標圧力に維持することが可能となる。
実施形態では、供給路には、ガスを高圧化して容器に供給するポンプが設けられ、排出路と供給路とが接続されて、ガスを循環させる閉ループを形成している。循環系の流路においては、従来は、ガスを容器に供給するためのポンプなどの機構が設けられているにすぎなかった。本実施形態では、こうした供給のための機構とは別に、その上流側の排出路において、容器内の圧力を調整する調整機構を設けることで、容器内の圧力を柔軟に調整することが可能となっている。
実施形態にかかるNMRプローブシステムの使用方法は、NMR回路に印加する電圧を変更する場合に、調整機構によって容器の圧力を変更する工程を含む。また、実施形態にかかるNMRプローブシステムの使用方法は、容器の内部に供給するガスの種類を変更する場合に、前記調整機構によって前記容器の圧力を調整する工程を含む。NMRプローブシステム使用方法は、例えば、NMRプローブシステムを製造あるいは販売等する企業のサポートスタッフによって行われてもよいし、NMRプローブシステムを利用するユーザによって行われてもよい。また、コンピュータ制御によって、自動的に実施されるようにしてもよい。
(B)実施形態の詳細
以下に、図面を参照しながら、実施形態について説明する。説明においては、理解を容易にするため、具体的な態様について示すが、これらは実施形態を例示するものであり、他にも様々な実施形態をとることが可能である。
図1は、本実施形態にかかるNMRプローブシステム10の概略的な構成を示す図である。NMRプローブシステム10は、図示を省略した静磁場発生装置や、コンピュータなどとともに、NMR測定装置を構成している。NMRプローブシステム10には、NMRプローブ12と、分光器制御部40と、ガス制御部50が含まれる。
NMRプローブ12は、容器14と下部ユニット15によって構成されている。容器14は、気密性を確保された容器であり、鉛直方向に延びる円筒形状に形成されている。測定にあたっては、容器14は、図示を省略した静磁場発生装置のボア内に挿入される。容器14は、図示した例では一つの容器からなるとしているが、例えば、内容器と外容器の2重構造として、その間を真空状態にして断熱性を高めるように形成されることもある。
容器14の内部は、フレーム16が設けられて、通風可能な複数の空間に仕切られている。図1の例では、仕切られた一番上の空間は、試料設置室18となっており、内部に試料が格納された試料管20が設置されている。試料管20の設置場所には、試料管20をマジック角で傾けた状態で高速回転させる回転機構が設けられている。試料管20は、この回転機構に設置される。また、試料管20の周囲には、図示を省略した送受信コイルが配置されている。
試料設置室18の直下の空間は、電気回路室22となっている。電気回路室22には、送受信コイルに接続された電気回路が設置されている。この電気回路と送受信コイルによってNMR回路が構成されている。電気回路室22におけるNMR回路には、同調回路あるいは整合回路を構成する可変コンデンサ24が含まれている。
容器14の内部には、軸受用ガス供給路26とドライブ用ガス供給路28を通じて、冷却ガスが供給される。軸受用ガス供給路26は、ガス制御部50から供給される冷却ガスを誘導し、供給口26aから試料設置室18の試料管20付近に冷却ガスを放出する。この冷却ガスは、試料管20を含む容器14内の冷却に用いられるとともに、前述の回転機構において、試料管20の軸受用のガスとして使われる。また、ドライブ用ガス供給路28は、ガス制御部50から供給される冷却ガスを誘導し、供給口28aから試料設置室18の試料管20付近から冷却ガスを放出する。この冷却ガスは、試料管20を含むNMRプローブ12内の冷却に用いられるとともに、前述の回転機構において、試料管20を回転駆動するドライブ用のガスとして使われる。
排出路30は、容器14の内部から、冷却ガスを排出する流路である。排出路30は、容器14の下部に設けられた排出口30aからガス制御部50に延びている。
分光器制御部40は、NMR回路の制御を行う装置である。分光器制御部40は、コンピュータハードウエアとそれを制御するソフトウエアを用いて構成されている。分光器制御部40は、NMR回路におけるラジオ波の発生やその照射タイミングの調整、送受信コイルで検出された信号を増幅してスペクトルを得る処理などを行っている。分光器制御部40とNMRプローブ12との間には配線が行われており、電気信号42の送受信がなされている。
分光器制御部40では、ガス制御部50における冷却ガスの制御の指示も行っている。具体的には、分光器制御部40は、ガス制御部50に対して、試料管20の単位時間あたりの回転数を指示する回転数指令44を送信する。また、分光器制御部40は、ガス制御部50の複数の弁等で測定された冷却ガスの圧力情報46を取得する。そして、ガス制御部50に対して弁の開閉量を指示する弁制御指令48を送信する。
ガス制御部50は、コンピュータハードウエアとそれを制御するソフトウエアからなるコンピュータ部を備えるとともに、複数の弁、ポンプ、コンプレッサなどからなる機械的な装置群も備える。ガス制御部50は、分光器制御部40からの指示に基づいて、軸受用ガス供給路26やドライブ用ガス供給路28に流す冷却ガスの量の調節、排出路30から排出する冷却ガスの圧力の調節などを行っている。
ここで、NMRプローブシステム10の一般的な動作について簡単に説明する。NMRプローブ12では、試料設置室18内に試料管20が設置された後に、図示を省略した静磁場発生装置のボア内にNMRプローブ12の容器14が挿入される。このとき、分光器制御部40では、ガス制御部50に対して、弁制御指令48を送信し、弁の開閉を行わせる。そして、軸受用ガス供給路26の供給口26a及びドライブ用ガス供給路28の供給口28aから冷却ガスが試料管20を支持する回転機構に流される。これにより、試料管20は高速回転することになる。供給される冷却ガスの圧力や量は、ガス制御部50が検出する圧力情報に基づいて、分光器制御部40が適宜調整を行う。
さらに分光器制御部40では、NMRプローブ12に電気信号42を送信して、NMR回路の制御を行っている。具体的には、発生・照射するラジオ波の周波数やタイミングの制御、NMR信号を検出して分光器制御部40に送信させる処理などを行っている。こうした処理にあたっては、NMR回路における同調回路あるいは整合回路を構成する可変コンデンサ24に高い電圧が印加されることになる。
分光器制御部40では、取得したNMR信号を増幅し、スペクトルを得るなどの処理を行う。こうして得られたデータは、図示を省略したコンピュータに送信され、ユーザの指示の下で行われるデータ処理に供される。これにより、試料を構成する各種の情報(例えば、核磁気相互作用の情報)が得られる。
続いて、図2を参照して、NMR回路における放電現象について説明する。図2は、NMRプローブ12の容器14の内部を模式的に示した図である。
容器14は、フレーム16の仕切りによって、試料設置室18と電気回路室22とに通風可能に隔てられている。試料設置室18では、試料管20がマジック角で傾けられて回転機構に設置されている。回転機構には、軸受用ガス供給路26やドライブ用ガス供給路28から冷却ガスが供給されており、試料管20は高速で回転駆動されている。そして、供給された冷却ガスは、容器14の内部の圧力を一定化するように、容器14の内部に拡がるとともに、排出路30へと流れ出ていく。図2においては、冷却ガスの例としてヘリウム分子を図示している。
試料管20の周囲には、送受信コイル23が巻回されている。この送受信コイル23は、電気回路室22に設置された可変コンデンサ24などの電気回路部品と電気的に結合されており、これらの電気回路部品とともにNMR回路を構成している。容器14の内部に配置されたNMR回路には高い電圧が印加されており、その電界によって生成した電子の衝突によりヘリウム分子がイオン化する。また、NMR回路の影響がない場合にも、イオンは確率的に発生する。
発生したヘリウム分子イオンは、例えば可変コンデンサの場合、両端の電極に印加された電圧によって可変コンデンサの表面を流れる。これにより、可変コンデンサの絶縁が破れて放電が起こる。なお、図2は、可変コンデンサに高電圧がかかりヘリウム分子イオンによって放電が起こる現象を示す図である。
放電が発生した場合には、NMR回路に本来流れるべきではない電流が流れることになり、NMR測定が不正確になる。また、放電量が大きいときには、NMR回路を構成する装置の故障を招く場合がある。故障個所の復旧にあたっては、部品の取り換えなどが必要となり、時間とコストを要してしまう。そこで、本実施形態にかかるNMRプローブシステム10では、NMR回路における放電を防止あるいは抑制するようにガス圧の制御を行っている。
図3は、平行な電極間における放電とガス圧の関係について示したパッシェンの法則(実験則)について説明する図である。横軸は電気回路の周囲におけるガス圧であり、縦軸は電気回路にかける電圧を示している。
図中の実線による曲線は、電気回路の周囲のガスがヘリウムである場合の放電開始電圧曲線であり、破線による曲線は窒素である場合の放電開始曲線である。例えば電気回路の周囲を適当なガス圧に維持されたヘリウムで充填し、電圧を徐々に増加させていくと、ある電圧に達したところで放電が始まる。この放電開始点を複数のガス圧について求め、曲線で近似したものがヘリウムの放電開始電圧曲線である。ある程度の誤差を含むが、放電開始電圧曲線よりも下側(低電圧側)は放電が発生しない非放電領域であり、上側(高電圧側)は放電が発生する放電領域となっている。
ヘリウムの放電開始電圧曲線では、ガス圧P0のときに放電開始電圧はV0で最小となる。すなわち、ガス圧P0より小さな領域では、ガス圧が高まるにつれて放電開始電圧が低下し、ガス圧P0よりも大きな領域では、ガス圧が高まるにつれて放電開始電圧が上昇する。ガス圧P0の値はガスの種類や回路特性によっても異なるが、例えば0.01〜0.05気圧程度である。また、そのときの放電開始電圧は、回路特性によって決まることになる。
NMR回路には、様々な特性をもつ複数の種類の電気回路部品が含まれている。そして、その電気回路部品ごとに放電開始電圧曲線が存在すると考えられる。そこで、ある所与のNMR回路構成の下で、放電発生を防止するためには、NMR回路を構成する全ての電気回路部品を、放電開始電圧曲線よりも(誤差を考慮した上で)下側の非放電領域に属す電圧及びガス圧下で動作させればよい。ただし、NMRプローブ12では、測定上の要求によって各電気回路部品に印加する電圧が決まり、電圧を自由に調整することはできないことから、本実施形態ではガス圧の調整を行っている。
本実施形態では、図3に示すように、最も放電が発生しやすい電気回路部品について、その使用電圧V1(これは一連の測定の中での最大値を想定している)の印加を行う場合に、非放電領域に属すガス圧を与えるように制御を行う。ただし、ガス圧は必要以上に高くしなくてよく、また、高すぎるガス圧での運転では装置の負荷も大きくなる。そこで、あまり高すぎない範囲で適切なガス圧P1を決定することになる。
このガス圧の制御は様々に行うことができる。例えば、窒素、ヘリウム、空気など使用可能性のあるガス種のうち、最も放電開始電圧が低いガスについて、印加可能性のある最大の使用電圧V1に対する適切なガス圧P1を求め、容器14の内部の圧力を常にそのガス圧P1(あるいはそれ以上のガス圧)に維持する態様が考えられる。この態様は、最も安全性の高い制御方法であるが、多くの測定条件では、必要以上のガス圧が与えられることになる。
別の例としては、測定条件が変わるタイミングで、制御目標となるガス圧を変更する態様が考えられる。例えば、使用されるガスの種類が変更されるタイミングで、そのガスについて、使用が想定される最大の使用電圧V1に対する適切なガス圧P1を求める。そして、容器14の内部の圧力を常にそのガス圧P1(あるいはそれ以上のガス圧)に維持するように、制御目標ガス圧を変更する。この態様では、実際に使用されるガスに応じたガス圧制御が行われるため、ガス圧の最適性の度合いが高まることになる。
また、照射するラジオ波の周波数などが設定され、印加電圧が決定した段階で、その測定期間中に使用される最大の使用電圧V1に対する適切なガス圧P1を求め、そのガス圧P1(あるいはそれ以上のガス圧)を制御目標ガス圧として制御を行う態様も考えられる。この態様は、毎回の測定において、ガス圧を最適化するものである。
なお、NMR回路では、放電開始電圧曲線は、必ずしも明確に把握できるとは限らない。例えば、同型の電気回路部品であっても部品間の個体差によって放電開始電圧曲線が変わる可能性も考えられる。したがって、使用電圧V1に対する適切なガス圧P1は、かなりの誤差をもって考えた方がよい場合がある。しかし、こうした事情を加味しても、少なくとも、(ガス圧P0よりも高い圧力では)使用電圧が高くなる場合には、適切なガス圧が高くなるという定性的な見通しが成り立つことから、放電を防止あるいは抑制するために、ガス圧を高める操作は効果的である。また、例えば、ガスの種類によって、放電開始曲線がシフトすることも確かであり、放電開始電圧が低い種類のガスを使う場合にガス圧を高める操作も効果的である。
続いて、図4を参照して、ガス制御部50による制御態様について説明する。この例では、ガス制御部50は、ガスタンク52を備えている。ガスタンク52には、例えば、液体窒素が充填されており、適宜気化されてガス流路に誘導されている。ガス流路は二つに分岐しており、軸受用ガス供給路26とドライブ用ガス供給路28に接続されている。軸受用ガス供給路26には、ポンプ54と圧力調整弁56が並列に接続され、その下流に流量調節器58が接続されている。ポンプ54は、軸受用ガス供給路26に流すガス圧を生成している。圧力調整弁56は軸受用ガス供給路26のガス圧を調整するための弁である。流量調節器58は、軸受用ガス供給路26に流す冷却ガスの流量を調節している。同様にして、ドライブ用ガス供給路28には、ポンプ60、圧力調整弁62及び流量調節器64が接続されている。
ガス制御部50には、容器14から延びる排出路30も接続されている。排出路30の開放口30bは大気中で開口された状態に保たれている。すなわち、排出路30から排出される冷却ガスは、大気中に放出され、再度利用されることはない。この点で、ガス制御部50では、非循環ガス制御が行われていると言える。排出路30の途中には圧力調整弁66が設けられている。
ガス制御部50では、軸受用ガス供給路26に対して、例えば、2〜6気圧程度のガス圧を与えて冷却ガスを容器14に供給する。また、ドライブ用ガス供給路28に対して、例えば、2〜4気圧程度のガス圧を与えて冷却ガスを容器14に供給する。この圧力によって試料管20の軸受と回転駆動が行われる。試料管20に吹き付けられた後、冷却ガスは圧力を低下させながら容器14全体に拡がり、やがて排出路30から排出される。
排出路30に設けられた圧力調整弁66は、この排出路30の圧力を調整する。圧力調整弁66を完全に開放した場合には、排出路30の圧力は、大気中に開放された開放口30bを通じて大気圧に比較的近い値となる。そして、排出路30と連結された容器14内における圧力は、排出路30における摩擦などの影響で排出路30よりも若干高くなると考えられるが、一般的にその差は小さく、排出路30とほぼ同じ値を示す。排出路30と容器14の圧力の具体的な値は、軸受用ガス供給路26やドライブ用ガス供給路28から供給される冷却ガスの圧力や量、そして排出路30の太さや長さによっても変わるが、例えば、1.1〜1.2気圧程度である。
ガス制御部50が圧力調整弁66を調整した場合、排出路30では圧力調整弁66よりも上流側においてガス圧が高められ、容器14もこのガス圧とほぼ等しいガス圧を示すことになる。これにより、圧力調整弁66を設けない場合に比べて、容器14のガス圧を高め、NMR回路における放電を防止ないしは抑制することが可能となる。具体的なガス圧は、圧力調整弁66によって細かに調整することが可能である。圧力調整弁66には、圧力計(ガスセンサ)が設けられており、例えば、容器14内の圧力を、1.3気圧、1.4気圧、1.5気圧、1.6気圧、1.7気圧、1.8気圧、2.0気圧、2.2気圧、2.5気圧というように高めることが可能となる。あるいは、圧力調整弁66は、容器14の内部に設けられた圧力計をモニタしながら開閉の調整を行うようにしてもよい。
圧力調整弁66によって容器14内のガス圧を高めるほど、NMR回路における放電防止の効果が高まることになる。ただし、容器14内のガス圧を高めた場合には、気圧差を利用した試料管20の軸受・回転駆動の効果が減少することになる。そこで、必要に応じて、軸受用ガス供給路26、ドライブ用ガス供給路28に供給する冷却ガスの圧力も増大させるようにしてもよい。
ガス制御部50における圧力調整弁66の調整は、例えば、NMRプローブシステム10の製造・販売者若しくはユーザの設定により、または、プログラミングに従って、目標となる圧力を予め設定した上で、ガス制御部50が自動的に行うことができる。また、圧力調整弁66の調整は、例えば、NMRプローブシステム10の製造・販売者またはユーザが手動で行うようにしてもよい。
続いて、図5と図6を参照して、図4に示した非循環ガス制御の実施形態にかかる変形例について説明する。図5と図6においては、図4と同一または対応する構成には同じ符号を付して説明を省略ないしは簡略化する。
図5に示したガス制御部70では、排出路30にポンプ72とバイパス路74が並列に接続されている。ポンプ72は、上流側に向かった流れを作るように設置されている。ポンプを駆動しない場合、容器14から排出路30に流れる冷却ガスは、一部がバイパス路74に流れて、また排出路30に戻ることになる。このため、全体として、排出路30に、バイパス路74もポンプ72も設けない場合とほぼ同様の流れが作られることになる。
ポンプ72を駆動した場合には、排出路30を逆流する流れが作られる。このため、排出路30では、ポンプ72よりも上流側において圧力が高くなり、容器14内のガス圧も高められる。そして、冷却ガスは、バイパス路74を経由して開放口30bから排出される。ガス制御部70では、ポンプ72の駆動出力を高めるほど、容器14内のガス圧を高めることができる。この実施形態では、ポンプ72の駆動出力を、排出路30または容器14の内部に設けた圧力計に基づいて制御することで、細かな圧力調整を行うことが可能となる。
図6に示したガス制御部80では、排出路30に向かってポンプ82が設置されている。ポンプ82を駆動しない場合、排出路30には、冷却ガスの流れの障害になるものはなく、冷却ガスは流れを乱されることなく、開放口30bから排出される。ポンプ82を駆動した場合、排出路30では、ガス圧が高められることになる。そして、上流側ではガス圧が上昇し、容器14内の圧力も高められる。また、下流側でもガス圧は上昇する傾向にあるが、開放口30bから速やかに冷却ガスが排出されるため、それほど高いガス圧は示さない。このように、ガス制御部80では、ポンプ82の駆動出力を高めるほど、容器14内の圧力を高めることが可能となる。この実施形態では、ポンプ82の駆動出力を、排出路30または容器14の内部に設けた圧力計に基づいて制御することで、細かな圧力調整を行うことが可能となる。
続いて、図7を参照して、非循環ガス制御の他の実施形態について説明する。図7は、図1に対応する図であり、他の実施形態にかかるNMRプローブシステム90の概略的な構成を示す図である。図1と同一または対応する構成には、同一の符号を付して、説明を書略または簡略化する。
図7に示したNMRプローブシステム90では、NMRプローブ92の容器94の上部に、排出路96が設けられている。排出路96には圧力調整弁98が設けられている。また、容器94の下部には、図1における排出路30に代えて、ガス供給路100が設けられている。ガス供給路100の先端の供給口100aからは、ガスが容器94に供給される。
ガス制御部102は、図1に示したガス制御部50と同様に、軸受用ガス供給路26とドライブ用ガス供給路28に供給する冷却ガスのガス圧と量を調整している。さらに、ガス制御部50では、ガス供給路100によって、容器94に供給する冷却ガスのガス圧と量を制御している。また、ガス制御部102では、排出路96に接続された圧力調整弁98の制御を行っている。
このNMRプローブシステム90では、容器94には、軸受用ガス供給路26、ドライブ用ガス供給路28、及びガス供給路100を通じて、冷却ガスが供給される。そして、排出路96から冷却ガスが排出され、大気中に放出される。排出路96の圧力調整弁98を開放した場合、容器94内は、大気圧に近い圧力(例えば1.1〜1.2気圧)に維持される。そして、圧力調整弁98を閉めるにしたがって、容器94内の圧力が高められることになる。
次に、図8を参照して、循環ガス制御について説明する。図8は、図1及び図4に記載したガス制御部50に代えて用いられるガス制御部110を示す図である。
ガス制御部110には、ガス制御部50と同様に、容器14と接続された軸受用ガス供給路26、ドライブ用ガス供給路28、排出路30が連結されている。ガス制御部110内において、排出路30には、圧力調整弁112が接続されている。排出路30は、圧力調整弁112の下流側の分岐点114において二つに分岐しており、一方は軸受用ガス供給路26に接続され、他方はドライブ用ガス供給路28に接続されている。
軸受用ガス供給路26には、ポンプ116と圧力調整弁118が並列に接続され、その下流に流量調節器120と熱交換器122が接続されている。ポンプ116は、軸受用ガス供給路26に流すガス圧を生成している。圧力調整弁118は軸受用ガス供給路26のガス圧を調整するための弁である。流量調節器120は、軸受用ガス供給路26に流す冷却ガスの流量を調節している。また、熱交換器122は、コールドヘッド132との熱交換を行って、冷却ガスの冷却を行う装置である。同様にして、ドライブ用ガス供給路28には、ポンプ124、圧力調整弁126、流量調節器128及び熱交換器130が接続されている。コールドヘッド132は、ヘリウムコンプレッサ134によって冷却された冷却装置である。
ガス制御部110では、容器14から排出路30を通じて排出された冷却ガスは、分岐点114によって分岐され、軸受用ガス供給路26とドライブ用ガス供給路28に分かれて、再び容器14に送り込まれる。このように冷却ガスが閉ループ内を循環することから、ガス制御部110では、循環ガス制御が行われていると言うことができる。
循環の過程で、軸受用ガス供給路26では、ポンプ116、圧力調整弁118及び流量調節器120によって容器14に送り込む冷却ガスの圧力と流量を制御している。また、ドライブ用ガス供給路28では、ポンプ124、圧力調整弁126及び流量調節器128によって容器14に送り込む冷却ガスの圧力と流量を制御している。また、排出路30では、圧力調整弁112によって、排出路30及びその上流にある容器14の内部の圧力を制御している。
ただし、ガス制御部110では、排出路30が軸受用ガス供給路26及びドライブ用ガス供給路28と接続されていることから、これらは互いに影響を及ぼしあうことになる。例えば、排出路30において圧力調整弁112を開放した場合には、排出路30及び容器14の内部の圧力は、軸受用ガス供給路26のポンプ116及び圧力調整弁118と、ドライブ用ガス供給路28のポンプ124及び圧力調整弁126における上流側の状態によって決定されることになる。このときの具体的な圧力は、循環する冷却ガスの総量や温度などにも依存して定まる。そして、圧力調整弁112を絞っていくと、排出路30及び容器14の内部の圧力は次第に上昇することになる。
圧力調整弁112は、このように開閉量に応じて排出路30及び容器14の内部の圧力を変更することができる。圧力調整弁112は、当該圧力調整弁112または容器14に設けられた圧力計に基づいて、細かな圧力調整を行うことが可能である。例えば、圧力調整弁112では、開放状態に比べて、0.2気圧以上、0.4気圧以上、0.6気圧以上、0.8気圧以上、1気圧以上、1.5気圧以上、2気圧以上、2.5気圧以上、あるいは3気圧以上の圧力に設定することが可能である。
このように、循環ガス制御を行うガス制御部110では、非循環ガス制御を行うガス制御部50と同様にして、放電の発生を防止ないしは抑制するガス圧制御を実施することが可能となっている。なお、圧力調整弁112は、ガス圧調整を行う機構の一例であり、例えば、図5や図6に示した機構を用いることも可能である。閉ループをなす軸受用ガス供給路26、ドライブ用ガス供給路28及び排出路30からなるガス供給排出路の構成を変更することも可能である。例えば、コールドヘッド132との熱交換を行う熱交換器122、130を排出路30に設けるようにしてもよい。また、上記特許文献1には、NMRプローブ12の取り外しも考慮した流路及び弁を追加する構成が記載されている。いずれにせよ、本実施形態では、供給のポンプ116、124などとは別に、その上流側において、排出路30の圧力を調整するための機構が設けられればよい。
続いて、図9を参照して、放電開始電力についての実験例について説明する。図9は、図8に示した循環ガス制御を行うガス制御部110を用いて実験を行った結果である。
図9は、排出路30における流量を一定とし(したがって容器14に供給される冷却ガスの流量も一定である)、圧力調整弁112によって容器14の内部のガス圧を変化させた場合における放電開始電力を示した結果である。横軸のガス圧力は、圧力調整弁112の開放状態を基準として、そこからどれだけガス圧が高まったかを表す相対値である。100kPaが近似的に1気圧に相当する。また、縦軸は、図3とは異なり、電力で示していることに注意されたい。電力は電圧の2乗に比例している。
図9によれば、相対的なガス圧が19kPa、52kPa、73kPaである場合の放電開始電力は、それぞれ62W,67W、93Wである。したがって、ガス圧を高めることで、放電開始電力は高くなっており、放電が起こりにくくなっていることが確認できる。この定性的な傾向は、パッシェンの法則を例示した図3の傾向と一致する。
さらに詳細にみると、相対的なガス圧が、19kPaから52kPaまで33kPa上昇したとき、放電開始電力は62Wから67Wへと5W増加している。この間のガス圧変化に対する放電開始電力の変化の比は0.15(W/kPa)である。また、相対的なガス圧が、19kPaから73kPaまで54kPa上層したとき、放電開始電力は62Wから93Wへと31W増加している。この間のガス圧変化に対する放電開始電力の変化の比は0.57(W/kPa)である。したがって、図9から読み取れるように、ガス圧が大きくなるにつれて放電開始電力の上昇度合いが高まるのみならず、ガス圧が大きくなるにつれて放電開始電力の上昇度合いも高まることがわかる。また、計算は省略するが、電圧の変化率を電力の平方根に基づいて見積もることで、ガス圧が大きくなるにつれて放電開始電圧の上昇度合いが高まることがわかる。すなわち、現実的な制御範囲においては、与えるガス圧に対して放電抑制効果は非線形的に向上することが示されている。
10 NMRプローブシステム、12 NMRプローブ、14 容器、15 下部ユニット、16 フレーム、18 試料設置室、20 試料管、22 電気回路室、23 送受信コイル、24 可変コンデンサ、26 軸受用ガス供給路、26a 供給口、28 ドライブ用ガス供給路、28a 供給口、30 排出路、30a 排出口、30b 開放口、40 分光器制御部、42 電気信号、44 回転数指令、46 圧力情報、48 弁制御指令、50 ガス制御部、52 ガスタンク、54、60 ポンプ、56、62、66 圧力調整弁、58、64 流量調節器、70、80 ガス制御部、72、82 ポンプ、74 バイパス路、90 NMRプローブシステム、92 NMRプローブ、94 容器、96 排出路、98 圧力調整弁、100 ガス供給路、100a 供給口、102 ガス制御部、110 ガス制御部、112 圧力調整弁、114 分岐点、116、124 ポンプ、118、126 圧力調整弁、120、128 流量調節器、122、130 熱交換器、132 コールドヘッド、134 ヘリウムコンプレッサ。

Claims (7)

  1. 試料設置部とNMR回路が内部に設けられた容器と、
    前記容器の内部にガスを供給する供給路と、
    前記容器の内部から前記ガスを排出する排出路と、
    前記排出路に設けられ、前記容器の圧力を調整する調整機構と、
    を備え
    前記調整機構は、前記NMR回路に印加する電圧を変更する場合に、前記容器の圧力を変更する、
    ことを特徴とするNMRプローブシステム。
  2. 試料設置部とNMR回路が内部に設けられた容器と、
    前記容器の内部にガスを供給する供給路と、
    前記容器の内部から前記ガスを排出する排出路と、
    前記排出路に設けられ、前記容器の圧力を調整する調整機構と、
    を備え、
    前記調整機構は、前記容器の内部に供給するガスの種類を変更する場合に、前記容器の圧力を調整する、
    ことを特徴とするNMRプローブシステム。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のNMRプローブシステムにおいて、
    前記排出路は、前記ガスを大気中に放出する流路である、ことを特徴とするNMRプローブシステム。
  4. 請求項に記載のNMRプローブシステムにおいて、
    前記調整機構は、NMR測定中に、前記容器の内部の平均的圧力を1.3気圧以上に維持することを特徴とするNMRプローブシステム。
  5. 請求項1又は請求項2に記載のNMRプローブシステムにおいて、
    前記供給路には、前記ガスを高圧化して前記容器に供給するポンプが設けられ、
    前記排出路と前記供給路とが接続されて、前記ガスを循環させる閉ループを形成している、ことを特徴とするNMRプローブシステム。
  6. 試料設置部とNMR回路が内部に設けられた容器と、
    前記容器の内部にガスを供給する供給路と、
    前記容器の内部から前記ガスを排出する排出路と、
    前記排出路に設けられ、前記容器の圧力を調整する調整機構と、
    を備えるNMRプローブシステムの使用方法であって、
    前記NMR回路に印加する電圧を変更する場合に、前記調整機構によって前記容器の圧力を変更する工程を含む、ことを特徴とするNMRプローブシステム使用方法。
  7. 試料設置部とNMR回路が内部に設けられた容器と、
    前記容器の内部にガスを供給する供給路と、
    前記容器の内部から前記ガスを排出する排出路と、
    前記排出路に設けられ、前記容器の圧力を調整する調整機構と、
    を備えるNMRプローブシステムの使用方法であって、
    前記容器の内部に供給するガスの種類を変更する場合に、前記調整機構によって前記容器の圧力を調整する工程を含む、ことを特徴とするNMRプローブシステム使用方法。
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