JP2004286695A - 核磁気共鳴装置の複同調回路 - Google Patents
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Abstract
【課題】HF共振周波数に影響を与えることなく、コンデンサーやコイルを追加して、LF共振周波数の可変範囲を広げることができ、しかも、HF周波数の1/4波長共振器の一部にバリコンを使用しなくても、LF周波数に対する同調が可能な核磁気共鳴装置の複同調回路を提供する。
【解決手段】端部A、Bを備えたサンプルコイルと、一端が第1の容量素子を介してサンプルコイルの端部Aに接続された第1の導体と、第1の導体と並べて配置され、一端が第2の容量素子を介してサンプルコイルの端部Bに接続された第2の導体と、一端がサンプルコイルの端部Aに接続された第3の導体と、一端がサンプルコイルの端部Bに接続された第4の導体と、サンプルコイルに第1の高周波を共振させるための同調および整合手段と、サンプルコイルに第2の高周波を共振させるための同調および整合手段とを備えた。
【選択図】 図5
【解決手段】端部A、Bを備えたサンプルコイルと、一端が第1の容量素子を介してサンプルコイルの端部Aに接続された第1の導体と、第1の導体と並べて配置され、一端が第2の容量素子を介してサンプルコイルの端部Bに接続された第2の導体と、一端がサンプルコイルの端部Aに接続された第3の導体と、一端がサンプルコイルの端部Bに接続された第4の導体と、サンプルコイルに第1の高周波を共振させるための同調および整合手段と、サンプルコイルに第2の高周波を共振させるための同調および整合手段とを備えた。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、核磁気共鳴装置の複同調回路に関し、特に、平衡動作することにより、RF電圧に対する耐圧性を高めた核磁気共鳴装置の複同調回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
まず、核磁気共鳴装置における従来の複同調回路の例(特許文献1)について説明する。尚、以下の説明においては、便宜上、2種類の核磁気共鳴用高周波のうち、周波数が高い方をHF(高周波数)、周波数が低い方をLF(低周波数)と呼ぶ。
【0003】
図1は、従来の核磁気共鳴装置の複同調回路の一例を示したものである。図中、31と32は、平行配置された導体である。この例では、導体31、32によって平行線路を構成する。そして、HF共振時、入力電力のサンプルコイル1への分配率の調整は、この導体31、32で構成される平行線路共振器の特性インピーダンスを調整することによって行なわれる。尚、この導体31、32は、伝送路として動作すれば良いので、必ずしも棒状導体に限定されるものではなく、ヘリカルコイルや、外部導体を接地した同軸線なども使用可能である。
【0004】
導体31、32の上端には、LF同調用のバリコン37、38を介して、ソレノイドコイルやサドルコイルなどから成るサンプルコイル1が接続されている。導体32の下端は直接接地され、導体31の下端はコンデンサー35を介して間接的に接地されている。尚、これは逆に、導体31の下端が直接接地され、導体32の下端がコンデンサーを介して間接的に接地されていても良いし、あるいは、導体31の下端と導体32の下端の両方が、2つのコンデンサーを介して間接的に接地されていても良い。いずれも回路的には等価である。
【0005】
導体32の中途の任意の位置には、HF整合用のコンデンサー33とバリコン34とで構成されたHF整合回路が接続されている。また、導体31の中途の任意の位置には、HF同調用のバリコン39が接続されている。尚、バリコン39は、導体32側の中途の任意の位置に接続されていても良いし、あるいは、導体31の中途の任意の位置と導体32の中途の任意の位置との間を結ぶ形に接続しても良い。いずれも回路的には等価である。
【0006】
また、この例では、導体31と、LF同調用のバリコン37とを含めた全体で、1つのHFの1/4波長共振器を形成している。また、同時に、導体32と、LF同調用のバリコン38とを含めた全体で、もう1つのHFの1/4波長共振器を形成している。また、導体31とコンデンサー35との接続点には、LF整合用のバリコン36が接続されている。
【0007】
図2は、従来の核磁気共鳴装置の複同調回路を、プローブに実装した場合の電子部品の配置構造を示したものである。図2(a)は、プローブの縦方向の断面図、(b)は、プローブのカバーを取った様子を示す図、(c)は、プローブの横方向の断面図である。尚、この従来例は、具体的には、外部磁場に対して所定の角度に傾斜させた試料管を高速回転させる、固体試料専用の核磁気共鳴測定プローブを想定している。
【0008】
図中、15はプローブのカバーである。カバー15の内側には、中空で円筒形をした筒状電極70が設けられており、更に、筒状電極70の上部内側には、外部磁場に対して所定の角度だけ傾斜させた試料回転機構11が設けられている。また、試料回転機構11の内部にはサンプルコイル1、更にその内側には固体試料を封入した試料管18が設けられている。また、試料回転機構11には、試料管18を高速回転させるために、エアー配管16が接続されており、加圧された駆動用のエアー・ジェットが、試料管18に対して適宜吹き付けられる構成になっている。また、筒状電極70には、上部に、試料管18を試料回転機構11から出し入れするための、プローブの内側と外側を連通させた窓101が設けられている。
【0009】
サンプルコイル1の両端には、LF同調用バリコン37、38が接続されており、シャフト46、45でその静電容量を可変させる構成になっている。そして、これらのLF同調用バリコン37、38の外に、導体31、32を内部導体、筒状電極70を外部導体として利用することにより、全体でHFに共振する1/4波長共振器を構成させている。また、筒状電極70を共通の接地電極として利用することにより、筒状電極70の内側に、HF整合用バリコン34、LF整合用バリコン36、HF同調用バリコン39、HF整合用コンデンサー33、コンデンサー35、同軸ケーブル43、44をコンパクトに実装している。
【0010】
この例の動作は、次の通りである。まず、導体31の下端はコンデンサー35を介して間接的に接地され、導体32の下端は直接接地されているので、導体31、32で構成される平行線路上に発生する定在波は、HF核の共鳴周波数に対しては、下端で最小振幅0、上端で最大振幅となり、その振幅の符号は、導体31と導体32とで、それぞれ逆符号となる。
【0011】
このとき、LF同調用バリコン37、38は容量が大きいので、HF核の共鳴周波数に対しては、充分にインピーダンスが低くなり、サンプルコイル1のインピーダンスに対して無視できるので、サンプルコイル1と導体31および導体32とは、直接短絡接続されている場合と等価になる。従って、LF同調用バリコン37、38に加わる端子間電圧はきわめて小さくなり、RF電圧によってLF同調用バリコン37、38が破損する心配はない。
【0012】
HF核の共鳴周波数に対しては、導体31、サンプルコイル1、導体32、およびコンデンサー35で、インダクタンスと、容量とから成り、サンプルコイル1の中点付近で、HF振幅電圧がゼロとなるような、平衡共振回路が形成される。そして、回路外のHF供給源と、導体31、サンプルコイル1、導体32、およびコンデンサー35で構成される共振回路との間の同調はバリコン39で、整合はバリコン34で、それぞれ行なわせることができるようになっている。
【0013】
サンプルコイル1で起きるHF共振は、逆符号でRF電圧の振幅が同じになる平衡共振なので、同じRF電力で比較すると、不平衡回路(特許文献2)の場合と比べて、サンプルコイル1の両端に印加されるRF電圧は半分の値になる。しかも、HF用同調整合回路の接続位置を、RF電圧の振幅が最大になる導体31の上端および導体32の上端(すなわち、サンプルコイル1の両端)ではなく、RF電圧の振幅が比較的小さい導体31および導体32の中途の任意の位置に設けたので、実際にコンデンサー33、バリコン34、バリコン39に印加されるRF電圧は、不平衡回路(特許文献2)の場合の半分の値よりも、更に小さく抑えることができる。
【0014】
一方、LF核の共鳴周波数に対しては、導体31はコンデンサー35を介して間接的に接地されているので、サンプルコイル1とサンプルコイル1の両端に接続されたLF同調用バリコン37および38とで、サンプルコイル1の中点付近で、LF振幅電圧がゼロとなるような、平衡共振回路を構成する。
【0015】
コンデンサー35の容量は、LF同調用バリコン37および38の容量に対して、充分に大きな値に設定されているので、LF核の共鳴周波数に対しては充分にインピーダンスが低くなり、サンプルコイル1やバリコン37、38のインピーダンスに対して無視できるので、バリコン37とバリコン38との間は、接地電位で直接短絡接続されている場合と等価になる。
【0016】
したがって、コンデンサー35の容量を大きくしても、LFの共振周波数が低下するという問題は発生しない。また、LF核の共鳴周波数帯域では、導体31、32の長さに対する波長の影響はほとんどないので、導体31、32のインピーダンスは無視できる程度に小さい。
【0017】
ここで、バリコン37とバリコン38を等しい容量に設定すれば、サンプルコイル1の両端のRF電圧の振幅は、HF共振時と同様に、逆符号で同じ電圧の振幅になる。そのため、バリコン37とバリコン38に印加されるRF電圧は、同じRF電力で比較すると、不平衡回路(特許文献2)の場合のRF電圧に比べて半分の値で済む。
【0018】
本回路は、導体31、バリコン37、サンプルコイル1、バリコン38、導体32を直列接続し、さらにコンデンサー35を並列接続する構成になっているが、導体31、32とコンデンサー35のインピーダンスは無視できるので、バリコン37、38とサンプルコイル1とによるLC共振回路と見なすことができ、バリコン37、38の容量を可変することで、導体31、32、およびコンデンサー35のインピーダンスに起因する共振周波数の低下を招くことなく、高いLF周波数に同調させることができる。
【0019】
【特許文献1】
特開2002−372575号公報
【特許文献2】
特開昭60−247146号公報
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
このような構成において、従来の複同調回路の問題点は、LF共振周波数を大幅に変更するのが、むつかしいことであった。そのことを説明するために、図3に回路図、図4に実体図を示す。
【0021】
例えば、LF共振周波数を下げようとする場合、LF同調用コンデンサー41、42を、LF同調用バリコン37、38に並列に接続することになる。ところが、LF同調用コンデンサー41、42には、耐圧性が要求されるので、LF同調用バリコン37、38と同様に、大型のものとなり、筒状電極70の狭い内部空間に実装することが、困難となる。また、HF周波数共振時に、RF電圧が高くなる部分に、大型のLF同調用コンデンサー41、42が追加されるので、浮遊容量が増加して、HF共振周波数が大きくずれてしまう。また、追加された大型の同調コンデンサー41、42と、LF同調用バリコン38、39により、HF周波数付近の共振回路を形成してしまう場合があり、さらに、HF共振周波数がずれてしまう。
【0022】
一方、LF共振周波数を上げようとする場合、LF同調用コンデンサー41、42コンデンサー41、42の代わりに、LF同調用コイルを、LF同調用バリコン37、38に並列に接続することになる。ところが、このコイルにも、耐圧性が要求されるので、LF同調用バリコン37、38と同様に、大型のものとなり、筒状電極70の狭い内部空間に実装することが、困難となる。また、HF周波数共振時に、RF電圧が高くなる部分に、大型のLF同調用コイルが追加されるので、浮遊容量が増加して、HF共振周波数が大きくずれてしまう。また、追加された大型の同調コイルと、LF同調用バリコン38、39により、HF周波数付近の共振回路を形成してしまう場合があり、さらに、HF共振周波数がずれてしまう。
【0023】
また、LF側のみならず、HF側にも、制約が課せられる。すなわち、バリコン37、38が、HF周波数の1/4波長共振器の一部となっているので、バリコンの長さより短い共振器を構成することができない。その結果、HF共振周波数の上限は、バリコンの長さで制限されることとなる。
【0024】
本発明の目的は、上述した点に鑑み、HF共振周波数に影響を与えることなく、コンデンサーやコイルを追加して、LF共振周波数の可変範囲を広げることができ、しかも、HF周波数の1/4波長共振器の一部にバリコンを使用しなくても、LF周波数に対する同調が可能な核磁気共鳴装置の複同調回路を提供することにある。
【0025】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため、本発明にかかる核磁気共鳴装置の複同調回路は、
端部A、Bを備えたサンプルコイルと、
一端が第1の容量素子を介してサンプルコイルの端部Aに接続された第1の導体と、
第1の導体と並べて配置され、一端が第2の容量素子を介してサンプルコイルの端部Bに接続された第2の導体と、
一端がサンプルコイルの端部Aに接続された第3の導体と、
一端がサンプルコイルの端部Bに接続された第4の導体と、
サンプルコイルに第1の高周波を共振させるための同調および整合手段と、
サンプルコイルに第2の高周波を共振させるための同調および整合手段と
を備え、
サンプルコイル、第1の導体、第2の導体、第1の容量素子、第2の容量素子が、第1の高周波に対して、サンプルコイルの中点付近で振幅電圧がゼロとなるような平衡共振回路を構成するとともに、
サンプルコイル、第1の導体、第2の導体、第3の導体、第4の導体、第1の容量素子、第2の容量素子が、第2の高周波に対して、サンプルコイルの中点付近で振幅電圧がゼロとなるような平衡共振回路を構成していることを特徴としている。
【0026】
また、前記サンプルコイルに第1の高周波を共振させるための同調手段は、第1の導体と、第2の導体の両方に接触を保ちながら、前記第1および第2の導体の軸方向に摺動できる電極であることを特徴としている。
【0027】
また、前記サンプルコイルに第1の高周波を共振させるための同調手段は、第1の導体と、第2の導体の間を接続する、可変容量素子であることを特徴としている。
【0028】
また、前記第1の導体は、一端がサンプルコイルの端部Aに接続され、他端が第3の容量素子を介して、または直接接地されていることを特徴としている。
【0029】
また、前記第2の導体は、一端がサンプルコイルの端部Bに接続され、他端が第4の容量素子を介して、または直接接地されていることを特徴としている。
【0030】
また、前記第3の導体は、一端がサンプルコイルの端部Aに接続され、他端が第5の容量素子を介して接地されていることを特徴としている。
【0031】
また、前記第4の導体は、一端がサンプルコイルの端部Bに接続され、他端が第6の容量素子を介して接地されていることを特徴としている。
【0032】
また、前記第1の容量素子と、前記第2の容量素子は、容量の異なる別の容量素子と、交換可能であることを特徴としている。
【0033】
また、前記第1の導体は、前記第3の導体を囲繞する接地された筒状導体であることを特徴としている。
【0034】
また、前記第1の容量素子は、前記第3の導体と、前記第3の導体を囲繞する前記筒状導体と、前記第3の導体と前記第3の導体を囲繞する前記筒状導体との間に充填された誘電体とで構成されていることを特徴としている。
【0035】
また、前記第2の導体は、前記第4の導体を囲繞する接地された筒状導体であることを特徴としている。
【0036】
また、前記第2の容量素子は、前記第4の導体と、前記第4の導体を囲繞する前記筒状導体と、前記第4の導体と前記第4の導体を囲繞する前記筒状導体との間に充填された誘電体とで構成されていることを特徴としている。
【0037】
また、前記第1の容量素子、および/または、前記第2の容量素子は、前記第3の導体、および、前記第4の導体と一体のものとして、容量の異なる別の容量素子と、交換可能であることを特徴としている。
【0038】
また、前記サンプルコイルに第2の高周波を共振させるための同調手段は、前記第3の導体と、前記第4の導体の両方に接触を保ちながら、前記第3および第4の導体の軸方向に摺動できる電極であることを特徴としている。
【0039】
また、前記サンプルコイルに第2の高周波を共振させるための同調手段は、第3の導体と接地との間を接続する可変容量素子、および/または、第4の導体と接地との間を接続する可変容量素子であることを特徴としている。
【0040】
また、前記サンプルコイルに第1の高周波を共振させるための整合回路は、カップリング・ループであることを特徴としている。
【0041】
また、前記サンプルコイルに第2の高周波を共振させるための整合回路は、カップリング・ループであることを特徴としている。
【0042】
また、第1の高周波は、第2の高周波よりも周波数が高いことを特徴としている。
【0043】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。図5は、本発明にかかる核磁気共鳴装置の複同調回路の回路図の一実施例を示したものである。図中、54、55は、ほぼ同じ長さを持った棒状の導体である。導体54、55は、互いに平行配置され、両者で、平行線路を構成する。そして、HF共振時、入力電力のサンプルコイル1への分配率の調整は、この導体54、55で構成される平行線路共振器の特性インピーダンスを調整することによって行なわれる。
【0044】
導体54、55の上端には、LF同調用のコンデンサー52、53を介して、ソレノイドコイルやサドルコイルなどから成るサンプルコイル1が接続されている。尚、図5では、導体54、55の下端は、直接接地されているが、コンデンサーを介して、間接的に接地されていても良い。
【0045】
導体55の中途の任意の位置には、HF整合用のコンデンサー62とバリコン63とで構成されたHF整合回路が接続されている。HF整合用のコンデンサー62とバリコン63との接続点には、HF入力端子が接続されている。尚、このHF整合回路は、導体54側に設けられていても良い。
【0046】
また、導体54、55の中途の任意の位置には、導体54、55の両方に接触を保ちながら、両導体の軸方向に摺動できる、HF同調用の電極56が設けられている。この電極56は、シャフト64を用いて、導体54、55上を摺動させることにより、導体54、55上の任意の位置で、導体54、55間を短絡させることができる構成になっている。そして、導体54、55、コンデンサー52、53、電極56で、HFに対する、2つの1/4波長共振器となるように、設定されている。
【0047】
また、サンプルコイル1とコンデンサー52の接続点には、導体57の一端が接続され、導体57の他端は、LF同調用バリコン59を介して、間接的に接地されている。また、サンプルコイル1とコンデンサー53の接続点には、導体58の一端が接続され、導体58の他端は、LF同調用バリコン60を介して、間接的に接地されている。また、導体57とLF同調用バリコン59の接続点には、LF整合用バリコン61を介して、LF入力端子が接続されている。尚、このLF整合回路は、導体58側に設けられていても良い。
【0048】
図6は、この回路を、筒状電極70を接地電極として、プローブに実装した場合の電子部品の配置構造を示したものである。図6(a)は、プローブの縦方向の断面図、(b)は、プローブのカバーを取った様子を示す図、(c)は、プローブの横方向の断面図である。尚、この例は、具体的には、外部磁場に対して所定の角度に傾斜させた試料管を高速回転させる、固体試料専用の核磁気共鳴測定プローブを想定している。
【0049】
図中、15はプローブのカバーである。カバー15の内側には、中空で円筒形をした筒状電極70が設けられており、更に、筒状電極70の上部内側には、外部磁場に対して所定の角度だけ傾斜させた試料回転機構11が設けられている。また、試料回転機構11の内部にはサンプルコイル1、更にその内側には固体試料を封入した試料管18が設けられている。また、試料回転機構11には、試料管18を高速回転させるために、エアー配管16が接続されており、加圧された駆動用のエアー・ジェットが、試料管18に対して適宜吹き付けられる構成になっている。また、筒状電極70には、上部に、試料管18を試料回転機構11から出し入れするための、プローブの内側と外側を連通させた窓101が設けられている。
【0050】
サンプルコイル1の両端には、LF同調用コンデンサー52、53が接続されており、導体54、55を内部導体、筒状電極70を外部導体として利用することにより、全体でHFに共振する1/4波長共振器を構成させている。
【0051】
導体55の中途の任意の位置には、HF整合用のコンデンサー62と、HF整合用のバリコン63とで構成された、HF整合回路が接続されている。コンデンサー62とバリコン63の接続点には、HFを注入するための同軸ケーブル44が接続されている。
【0052】
また、導体54、55の中途の任意の位置には、導体54、55の両方に接触を保ちながら、両導体の軸方向に摺動できる、HF同調用の電極56が設けられている。この電極56は、シャフト64を用いて、導体54、55上を摺動させることにより、導体54、55上の任意の位置で、導体54、55間を短絡させることができる構成になっている。
【0053】
また、サンプルコイル1とコンデンサー52の接続点には、導体57の一端が接続され、導体57の他端は、LF同調用バリコン59を介して、間接的に接地されている。また、サンプルコイル1とコンデンサー53の接続点には、導体58の一端が接続され、導体58の他端は、LF同調用バリコン60を介して、間接的に接地されている。また、導体57とLF同調用バリコン59の接続点には、LF整合用バリコン61を介して、LFを注入するための同軸ケーブル43が接続されている。
【0054】
また、筒状電極70を共通の接地電極として利用することにより、筒状電極70の内側に、HF整合用バリコン63、LF整合用バリコン61、HF同調用電極56、HF整合用コンデンサー62、LF同調用コンデンサー59、60、同軸ケーブル43、44をコンパクトに実装している。
【0055】
図7に、HF共振時の導体54、55におけるRF電圧の振幅分布を示す。導体54、55は、途中の位置で、電極56により、短絡されているので、それぞれ、短絡位置から上の部分が、1/4波長共振器となり、導体54、55で構成される平行線路上に発生する定在波は、HF共振周波数に対しては、電極56の接触点で、最小振幅0、導体の上端で、最大振幅となり、その振幅の符号は、電圧振幅72、73で示すように、導体54と、導体55とで、それぞれ逆符号となる。また、このときのRF電流の向きは、矢印71、74、75で示す通りとなる。
【0056】
HF共振周波数に対しては、導体54、コンデンサー52、サンプルコイル1、コンデンサー53、導体55、電極56で、伝送路と、インダクタンスとから成り、サンプルコイル1の中点付近で、HF振幅電圧がゼロとなるような、平衡共振回路が形成される。そして、回路外のHF供給源と、導体54、サンプルコイル1、導体55、電極56で構成される共振回路との間の同調は、電極56と導体54、55との接触位置の調節による、1/4波長共振器の波長の調節で、また、整合は、HF整合用バリコン63で、それぞれ、行なわせることができるようになっている。
【0057】
このとき、LF同調用コンデンサー52、53は、容量が大きいので、HF共振周波数に対しては、十分にインピーダンスが低くなり、サンプルコイル1のインピーダンスに対して無視できるので、サンプルコイル1と、導体54、55とは、直接短絡接続されている場合と等価になる。従って、LF同調用コンデンサー52、53に加わる端子間電圧は、きわめて小さくなり、RF電圧によってLF同調用コンデンサー52、53が破損する心配はない。
【0058】
しかも、従来のバリコンに代えて、固定コンデンサーを用いているので、HF共振中に、容量素子由来の分布インダクタンスが変化せず、HF共振周波数がずれることがない。
【0059】
図8に、LF共振時の等価回路を示す。LF共振周波数では、周波数が低いので、導体54、55のインダクタンスは無視できる。従って、サンプルコイル1と、LF同調用コンデンサー52、53と、導体57、58と、LF同調用バリコン59、60とで、サンプルコイル1の中点付近で、LF振幅電圧がゼロとなるような、平衡共振回路が形成され、LF同調用バリコン59、60の調節により、LFの同調周波数の微調整が行なわれる。尚、バリコン61は、LF整合用である。
【0060】
ここで、LF同調用コンデンサー52、53を、等しい容量に設定すれば、サンプルコイル1の両端における、LF周波数のRF電圧の振幅は、HF共振時と同様に、逆符号で同じ電圧の振幅になり、不平衡回路(特許文献2)の場合の、RF振幅電圧の半分の値になる。
【0061】
LF共振周波数を大きく変更したい場合は、LF同調用コンデンサー52、53を、他の容量のものと交換することにより、LFの同調周波数を変更させることができる。その場合、HF共振周波数側の同調周波数の調節は、電極56の位置の調節により、LF共振周波数とは関係なく、調節することができる。
【0062】
LF共振周波数を大きく変更する場合に、従来のように、LF同調用コンデンサーと、LF同調用バリコンとを、並列に並べて設置する必要がないので、狭い筒状電極70の内部空間であっても、支障は起きない。
【0063】
図9は、本発明にかかる核磁気共鳴装置の複同調回路の回路図の別の実施例を示したものである。図中、90、91は、ほぼ同じ長さを持った筒状の導体である。この筒状導体90、91は、互いに平行配置され、両者で、平行線路を構成する。そして、HF共振時、入力電力のサンプルコイル1への分配率の調整は、この筒状導体90、91で構成される平行線路共振器の特性インピーダンスを調整することによって行なわれる。
【0064】
筒状導体90、91の上端には、LF同調用のコンデンサー52、53を介して、ソレノイドコイルやサドルコイルなどから成るサンプルコイル1が接続されている。尚、図9では、筒状導体90、91の下端は、直接接地されているが、コンデンサーを介して、間接的に接地されていても良い。
【0065】
筒状導体91の中途の任意の位置には、HF整合用のコンデンサー62とバリコン63とで構成されたHF整合回路が接続されている。HF整合用のコンデンサー62とバリコン63との接続点には、HF入力端子が接続されている。尚、このHF整合回路は、筒状導体90側に設けられていても良い。
【0066】
また、筒状導体90、91の中途の任意の位置には、筒状導体90、91の両方に接触を保ちながら、両筒状導体の軸方向に摺動できる、HF同調用の電極56が設けられている。この電極56は、シャフト64を用いて、筒状導体90、91上を摺動させることにより、筒状導体90、91上の任意の位置で、筒状導体90、91間を短絡させることができる構成になっている。そして、筒状導体90、91、コンデンサー52、53、電極56で、HFに対する、2つの1/4波長共振器となるように、設定されている。
【0067】
また、サンプルコイル1とコンデンサー52の接続点には、導体57の一端が接続され、導体57の他端は、LF同調用バリコン59を介して、間接的に接地されている。導体57の本体部分は、筒状導体90によって囲繞されており、筒状導体90の軸心に沿って、筒状導体90の内側を貫通している。また、サンプルコイル1とコンデンサー53の接続点には、導体58の一端が接続され、導体58の他端は、LF同調用バリコン60を介して、間接的に接地されている。導体58の本体部分は、筒状導体91によって囲繞されており、筒状導体91の軸心に沿って、筒状導体91の内側を貫通している。
【0068】
また、導体57とLF同調用バリコン59の接続点には、LF整合用バリコン61を介して、LF入力端子が接続されている。尚、このLF整合回路は、導体58側に設けられていても良い。
【0069】
尚、この回路の動作は、図5の実施例と同じである。HFに共振している場合の動作は、図7、LFに対して共振しているときは、図8に、ほぼ準じる。
【0070】
図10は、この回路を、筒状電極70を接地電極として、プローブに実装した場合の電子部品の配置構造を示したものである。図10(a)は、プローブの縦方向の断面図、(b)は、プローブのカバーを取った様子を示す図、(c)は、プローブの横方向の断面図である。尚、この例は、具体的には、外部磁場に対して所定の角度に傾斜させた試料管を高速回転させる、固体試料専用の核磁気共鳴測定プローブを想定している。
【0071】
図中、15はプローブのカバーである。カバー15の内側には、中空で円筒形をした筒状電極70が設けられており、更に、筒状電極70の上部内側には、外部磁場に対して所定の角度だけ傾斜させた試料回転機構11が設けられている。また、試料回転機構11の内部にはサンプルコイル1、更にその内側には固体試料を封入した試料管18が設けられている。また、試料回転機構11には、試料管18を高速回転させるために、エアー配管16が接続されており、加圧された駆動用のエアー・ジェットが、試料管18に対して適宜吹き付けられる構成になっている。また、筒状電極70には、上部に、試料管18を試料回転機構11から出し入れするための、プローブの内側と外側を連通させた窓101が設けられている。
【0072】
サンプルコイル1の両端には、LF同調用コンデンサー52、53が接続されており、筒状導体90、91を内部導体、筒状電極70を外部導体として利用することにより、全体でHFに共振する1/4波長共振器を構成させている。
【0073】
筒状導体91の中途の任意の位置には、HF整合用のコンデンサー62と、HF整合用のバリコン63とで構成された、HF整合回路が接続されている。コンデンサー62とバリコン63の接続点には、HFを注入するための同軸ケーブル44が接続されている。
【0074】
また、筒状導体90、91の中途の任意の位置には、筒状導体90、91の両方の外壁に接触を保ちながら、両筒状導体の軸方向に摺動できる、HF同調用の電極56が設けられている。この電極56は、シャフト64を用いて、筒状導体90、91の外壁上を摺動させることにより、筒状導体90、91上の任意の位置で、筒状導体90、91間を短絡させることができる構成になっている。
【0075】
また、サンプルコイル1とコンデンサー52の接続点には、導体57の一端が接続され、他端は、LF同調用バリコン59を介して、間接的に接地されている。導体57の本体部分は、筒状導体90によって囲繞されており、筒状導体90の軸心に沿って、筒状導体90の内側を貫通している。また、サンプルコイル1とコンデンサー53の接続点には、導体58の一端が接続され、他端は、LF同調用バリコン60を介して、間接的に接地されている。導体58の本体部分は、筒状導体91によって囲繞されており、筒状導体91の軸心に沿って、筒状導体91の内側を貫通している。
【0076】
また、導体57とLF同調用バリコン59の接続点には、LF整合用バリコン61を介して、LFを注入するための同軸ケーブル43が接続されている。
【0077】
また、筒状電極70を共通の接地電極として利用することにより、筒状電極70の内側に、HF整合用バリコン63、LF整合用バリコン61、HF同調用電極56、HF整合用コンデンサー62、LF同調用コンデンサー59、60、同軸ケーブル43、44をコンパクトに実装している。
【0078】
この回路の、HF共振時、および、LF共振時の動作は、図7、および、図8で示したものと、基本的に同じである。
【0079】
図11は、本発明にかかるLF同調用コンデンサーの一実施例を示したものである。図11(a)の、点線で四角に囲んだ2つの部分が、本発明の該当箇所に当たる。また、(b)は、本発明にかかるLF同調用コンデンサーの横断面図、(c)は、本発明にかかるLF同調用コンデンサーの縦断面図である。
【0080】
本発明では、筒状導体90、91の上部円筒部95と、導体57、58の上部96との間に、誘電体97を挟み、95と96を電極とするコンデンサーを形成させ、図11(a)のLF同調用コンデンサー52、53として使用する。誘電体97には、ガラス、テフロン(登録商標)、クォーツ、アルミナ、マイカ、チタン酸系のセラミックなど、誘電率の大きな物質が使用できる。
【0081】
こうして形成されるコンデンサーは、HF共振時に、RF電場とRF磁場を乱して、損失の原因となるような、大型の高耐圧コンデンサーではないので、RF電力の損失が低減される。
【0082】
図12は、本発明にかかるLF同調用コンデンサーの別の実施例を示したものである。図12(a)の、点線で四角に囲んだ2つの部分が、本発明の該当箇所に当たる。また、(b)は、本発明にかかるLF同調用コンデンサーの縦断面図、(c)は、本発明にかかるLF同調用コンデンサーから、誘電体と導体を取り外したときの、筒状導体を示す縦断面図、(d)は、筒状導体から取り外された、誘電体と導体を示す縦断面図である。
【0083】
筒状導体90、91の上部円筒部95の内壁部分と、誘電体97の外周部分には、互いに螺合するようなネジが切ってある。導体96は、誘電体97に固着されているので、導体96を持って回転させることにより、筒状導体90、91の上部円筒部95から、誘電体97を取り外すことができる。これにより、異なる誘電率を備えた別の誘電体と、交換することができるので、LF同調用コンデンサーの容量値を容易に別の値に変更することができ、その結果、LF共振周波数を任意に変更することができる。
【0084】
尚、導体96の複同調回路内への組み込みは、導体96の上下端を、電極99、100に接触させることにより、行なうことができる。すなわち、導体96の上端を、電極99と接触させることにより、導体96は、サンプルコイル1に接続され、導体96の下端を、電極100と接触させることにより、導体96は、LF同調用バリコン59、60に接続される。
【0085】
図13は、本発明にかかる核磁気共鳴装置の複同調回路の回路図の一変形例を示したものである。この例は、回路の基本構成は、図9の例と同じ構成であるが、導体57、58の下端を、LF同調用バリコン59、60を介して、間接的に接地させていたのを改めて、導体57、58の下端を接地させず、導体57、58の中途の任意の位置に、導体57、58の両方に接触を保ちながら、両導体の軸方向に摺動できる、LF同調用の電極110を設けるようにしている。
【0086】
この電極110は、シャフト111を用いて、導体57、58上を摺動させることにより、導体57、58上の任意の位置で、導体57、58間を短絡させることができる構成になっている。これにより、導体57、58のインダクタンスを微調節することができ、複同調回路を、任意のLF共振周波数に同調させることができる。
【0087】
図14は、本発明にかかる核磁気共鳴装置の複同調回路の回路図の別の変形例を示したものである。この例は、回路の基本構成は、図13の例と同じ構成であるが、HFおよび/またはLFの整合を、同軸ケーブル112、114に設けたカップリング・ループ113、115を用いて行なうようにしている。
【0088】
これは、カップリング・ループ113、115を、複同調回路に近づけることにより、複同調回路との間に、適度の結合を行なわせるものである。これにより、整合用のバリコンを用いなくても、複同調回路を、任意のHF/LF共振周波数に整合させることができる。
【0089】
図15は、本発明にかかる核磁気共鳴装置の複同調回路の回路図の別の変形例を示したものである。この例は、回路の基本構成は、図9の例と同じ構成であるが、筒状導体90、91の両方に接触を保ちながら、両導体の軸方向に摺動できる、HF同調用の電極56を設ける代わりに、筒状導体90と、筒状導体91の間を、バリコン150で接続すると共に、筒状導体90、91の下端を、LF同調用のコンデンサー151、152で接地するようにしている。
【0090】
この場合、HF整合用のバリコン153など、インピーダンス調整用素子を接続すれば、HF整合を行わせることができる。
【0091】
図16は、本発明にかかる核磁気共鳴装置の複同調回路の回路図の別の変形例を示したものである。この例は、回路の基本構成は、図9の例と同じ構成であるが、HFの整合を、同軸ケーブル112に設けたカップリング・ループ113を用いて行なうようにしている。
【0092】
これは、カップリング・ループ113を、複同調回路に近づけることにより、複同調回路との間に、適度の結合を行なわせるものである。これにより、整合用のバリコンを用いなくても、複同調回路を、任意のHF共振周波数に整合させることができる。
【0093】
尚、この場合、筒状導体90、91の下端を接地する必要はない。また、同軸ケーブル112と、カップリング・ループ113の位置調節によって、HF同調を行なっても良い。
【0094】
また、上記実施例では、2つの導体の両方に接触を保ちながら、両導体の軸方向に摺動できる、電極56および/または110によって、HFおよび/またはLFに同調させる例を示したが、電極56、110の代わりに、バリコンを用いて、同調を行なわせるように構成しても良い。
【0095】
また、筒状導体90、91の形状は、円筒に限定されるものではない。
【0096】
【発明の効果】
以上述べたごとく、本発明の核磁気共鳴装置の複同調回路によれば、端部A、Bを備えたサンプルコイルと、一端が第1の容量素子を介してサンプルコイルの端部Aに接続された第1の導体と、第1の導体と並べて配置され、一端が第2の容量素子を介してサンプルコイルの端部Bに接続された第2の導体と、一端がサンプルコイルの端部Aに接続された第3の導体と、一端がサンプルコイルの端部Bに接続された第4の導体と、サンプルコイルに第1の高周波を共振させるための同調および整合手段と、サンプルコイルに第2の高周波を共振させるための同調および整合手段とを備え、サンプルコイル、第1の導体、第2の導体、第1の容量素子、第2の容量素子が、第1の高周波に対して、サンプルコイルの中点付近で振幅電圧がゼロとなるような平衡共振回路を構成するとともに、サンプルコイル、第1の導体、第2の導体、第3の導体、第4の導体、第1の容量素子、第2の容量素子が、第2の高周波に対して、サンプルコイルの中点付近で振幅電圧がゼロとなるような平衡共振回路を構成したので、HF共振周波数に影響を与えることなく、コンデンサーやコイルを追加して、LF共振周波数の可変範囲を広げることができ、しかも、HF周波数の1/4波長共振器の一部にバリコンを使用しなくても、LF周波数に対する同調が可能な核磁気共鳴装置の複同調回路を提供することが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の核磁気共鳴装置の複同調回路を示す図である。
【図2】従来の核磁気共鳴装置の複同調回路を示す図である。
【図3】従来の核磁気共鳴装置の複同調回路を示す図である。
【図4】従来の核磁気共鳴装置の複同調回路を示す図である。
【図5】本発明にかかる核磁気共鳴装置の複同調回路の一実施例を示す図である。
【図6】本発明にかかる核磁気共鳴装置の複同調回路の一実施例を示す図である。
【図7】本発明にかかる核磁気共鳴装置の複同調回路のHF周波数での動作例を示す図である。
【図8】本発明にかかる核磁気共鳴装置の複同調回路のLF周波数での動作例を示す図である。
【図9】本発明にかかる核磁気共鳴装置の複同調回路の別の実施例を示す図である。
【図10】本発明にかかる核磁気共鳴装置の複同調回路の別の実施例を示す図である。
【図11】本発明にかかる核磁気共鳴装置の複同調回路に用いられるLF同調用コンデンサーの一実施例を示す図である。
【図12】本発明にかかる核磁気共鳴装置の複同調回路に用いられるLF同調用コンデンサーの別の実施例を示す図である。
【図13】本発明にかかる核磁気共鳴装置の複同調回路の別の実施例を示す図である。
【図14】本発明にかかる核磁気共鳴装置の複同調回路の別の実施例を示す図である。
【図15】本発明にかかる核磁気共鳴装置の複同調回路の別の実施例を示す図である。
【図16】本発明にかかる核磁気共鳴装置の複同調回路の別の実施例を示す図である。
【符号の説明】
1・・・サンプルコイル、11・・・試料回転機構、15・・・プローブカバー、16・・・エアー配管、18・・・試料管、31・・・第1の導体、32・・・第2の導体、33・・・HF整合用コンデンサー、34・・・HF整合用バリコン、35・・・コンデンサー、36・・・LF整合用バリコン、37・・・LF同調用バリコン、38・・・LF同調用バリコン、39・・・HF同調用バリコン、41・・・LF同調用コンデンサー、42・・・LF同調用コンデンサー、43・・・同軸ケーブル、44・・・同軸ケーブル、45・・・シャフト、46・・・シャフト、52・・・LF同調用コンデンサー、53・・・LF同調用コンデンサー、54・・・第1の導体、55・・・第2の導体、56・・・電極、57・・・第3の導体、58・・・第4の導体、59・・・LF同調用バリコン、60・・・LF同調用バリコン、61・・・LF整合用バリコン、62・・・HF整合用コンデンサー、63・・・HF整合用バリコン、64・・・シャフト、70・・・筒状電極、71・・・RF電流、72・・・RF電圧振幅、73・・・RF電圧振幅、74・・・RF電流、75・・・RF電流、90・・・筒状導体、91・・・筒状導体、95・・・筒状導体、96・・・導体、97・・・誘電体、98・・・ネジ部、99・・・電極、100・・・電極、101・・・窓、110・・・電極、111・・・シャフト、112・・・同軸ケーブル、113・・・カップリング・ループ、114・・・同軸ケーブル、115・・・カップリング・ループ、150・・・HF同調用バリコン、151・・・コンデンサー、152・・・コンデンサー、153・・・HF整合用バリコン。
【発明の属する技術分野】
本発明は、核磁気共鳴装置の複同調回路に関し、特に、平衡動作することにより、RF電圧に対する耐圧性を高めた核磁気共鳴装置の複同調回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
まず、核磁気共鳴装置における従来の複同調回路の例(特許文献1)について説明する。尚、以下の説明においては、便宜上、2種類の核磁気共鳴用高周波のうち、周波数が高い方をHF(高周波数)、周波数が低い方をLF(低周波数)と呼ぶ。
【0003】
図1は、従来の核磁気共鳴装置の複同調回路の一例を示したものである。図中、31と32は、平行配置された導体である。この例では、導体31、32によって平行線路を構成する。そして、HF共振時、入力電力のサンプルコイル1への分配率の調整は、この導体31、32で構成される平行線路共振器の特性インピーダンスを調整することによって行なわれる。尚、この導体31、32は、伝送路として動作すれば良いので、必ずしも棒状導体に限定されるものではなく、ヘリカルコイルや、外部導体を接地した同軸線なども使用可能である。
【0004】
導体31、32の上端には、LF同調用のバリコン37、38を介して、ソレノイドコイルやサドルコイルなどから成るサンプルコイル1が接続されている。導体32の下端は直接接地され、導体31の下端はコンデンサー35を介して間接的に接地されている。尚、これは逆に、導体31の下端が直接接地され、導体32の下端がコンデンサーを介して間接的に接地されていても良いし、あるいは、導体31の下端と導体32の下端の両方が、2つのコンデンサーを介して間接的に接地されていても良い。いずれも回路的には等価である。
【0005】
導体32の中途の任意の位置には、HF整合用のコンデンサー33とバリコン34とで構成されたHF整合回路が接続されている。また、導体31の中途の任意の位置には、HF同調用のバリコン39が接続されている。尚、バリコン39は、導体32側の中途の任意の位置に接続されていても良いし、あるいは、導体31の中途の任意の位置と導体32の中途の任意の位置との間を結ぶ形に接続しても良い。いずれも回路的には等価である。
【0006】
また、この例では、導体31と、LF同調用のバリコン37とを含めた全体で、1つのHFの1/4波長共振器を形成している。また、同時に、導体32と、LF同調用のバリコン38とを含めた全体で、もう1つのHFの1/4波長共振器を形成している。また、導体31とコンデンサー35との接続点には、LF整合用のバリコン36が接続されている。
【0007】
図2は、従来の核磁気共鳴装置の複同調回路を、プローブに実装した場合の電子部品の配置構造を示したものである。図2(a)は、プローブの縦方向の断面図、(b)は、プローブのカバーを取った様子を示す図、(c)は、プローブの横方向の断面図である。尚、この従来例は、具体的には、外部磁場に対して所定の角度に傾斜させた試料管を高速回転させる、固体試料専用の核磁気共鳴測定プローブを想定している。
【0008】
図中、15はプローブのカバーである。カバー15の内側には、中空で円筒形をした筒状電極70が設けられており、更に、筒状電極70の上部内側には、外部磁場に対して所定の角度だけ傾斜させた試料回転機構11が設けられている。また、試料回転機構11の内部にはサンプルコイル1、更にその内側には固体試料を封入した試料管18が設けられている。また、試料回転機構11には、試料管18を高速回転させるために、エアー配管16が接続されており、加圧された駆動用のエアー・ジェットが、試料管18に対して適宜吹き付けられる構成になっている。また、筒状電極70には、上部に、試料管18を試料回転機構11から出し入れするための、プローブの内側と外側を連通させた窓101が設けられている。
【0009】
サンプルコイル1の両端には、LF同調用バリコン37、38が接続されており、シャフト46、45でその静電容量を可変させる構成になっている。そして、これらのLF同調用バリコン37、38の外に、導体31、32を内部導体、筒状電極70を外部導体として利用することにより、全体でHFに共振する1/4波長共振器を構成させている。また、筒状電極70を共通の接地電極として利用することにより、筒状電極70の内側に、HF整合用バリコン34、LF整合用バリコン36、HF同調用バリコン39、HF整合用コンデンサー33、コンデンサー35、同軸ケーブル43、44をコンパクトに実装している。
【0010】
この例の動作は、次の通りである。まず、導体31の下端はコンデンサー35を介して間接的に接地され、導体32の下端は直接接地されているので、導体31、32で構成される平行線路上に発生する定在波は、HF核の共鳴周波数に対しては、下端で最小振幅0、上端で最大振幅となり、その振幅の符号は、導体31と導体32とで、それぞれ逆符号となる。
【0011】
このとき、LF同調用バリコン37、38は容量が大きいので、HF核の共鳴周波数に対しては、充分にインピーダンスが低くなり、サンプルコイル1のインピーダンスに対して無視できるので、サンプルコイル1と導体31および導体32とは、直接短絡接続されている場合と等価になる。従って、LF同調用バリコン37、38に加わる端子間電圧はきわめて小さくなり、RF電圧によってLF同調用バリコン37、38が破損する心配はない。
【0012】
HF核の共鳴周波数に対しては、導体31、サンプルコイル1、導体32、およびコンデンサー35で、インダクタンスと、容量とから成り、サンプルコイル1の中点付近で、HF振幅電圧がゼロとなるような、平衡共振回路が形成される。そして、回路外のHF供給源と、導体31、サンプルコイル1、導体32、およびコンデンサー35で構成される共振回路との間の同調はバリコン39で、整合はバリコン34で、それぞれ行なわせることができるようになっている。
【0013】
サンプルコイル1で起きるHF共振は、逆符号でRF電圧の振幅が同じになる平衡共振なので、同じRF電力で比較すると、不平衡回路(特許文献2)の場合と比べて、サンプルコイル1の両端に印加されるRF電圧は半分の値になる。しかも、HF用同調整合回路の接続位置を、RF電圧の振幅が最大になる導体31の上端および導体32の上端(すなわち、サンプルコイル1の両端)ではなく、RF電圧の振幅が比較的小さい導体31および導体32の中途の任意の位置に設けたので、実際にコンデンサー33、バリコン34、バリコン39に印加されるRF電圧は、不平衡回路(特許文献2)の場合の半分の値よりも、更に小さく抑えることができる。
【0014】
一方、LF核の共鳴周波数に対しては、導体31はコンデンサー35を介して間接的に接地されているので、サンプルコイル1とサンプルコイル1の両端に接続されたLF同調用バリコン37および38とで、サンプルコイル1の中点付近で、LF振幅電圧がゼロとなるような、平衡共振回路を構成する。
【0015】
コンデンサー35の容量は、LF同調用バリコン37および38の容量に対して、充分に大きな値に設定されているので、LF核の共鳴周波数に対しては充分にインピーダンスが低くなり、サンプルコイル1やバリコン37、38のインピーダンスに対して無視できるので、バリコン37とバリコン38との間は、接地電位で直接短絡接続されている場合と等価になる。
【0016】
したがって、コンデンサー35の容量を大きくしても、LFの共振周波数が低下するという問題は発生しない。また、LF核の共鳴周波数帯域では、導体31、32の長さに対する波長の影響はほとんどないので、導体31、32のインピーダンスは無視できる程度に小さい。
【0017】
ここで、バリコン37とバリコン38を等しい容量に設定すれば、サンプルコイル1の両端のRF電圧の振幅は、HF共振時と同様に、逆符号で同じ電圧の振幅になる。そのため、バリコン37とバリコン38に印加されるRF電圧は、同じRF電力で比較すると、不平衡回路(特許文献2)の場合のRF電圧に比べて半分の値で済む。
【0018】
本回路は、導体31、バリコン37、サンプルコイル1、バリコン38、導体32を直列接続し、さらにコンデンサー35を並列接続する構成になっているが、導体31、32とコンデンサー35のインピーダンスは無視できるので、バリコン37、38とサンプルコイル1とによるLC共振回路と見なすことができ、バリコン37、38の容量を可変することで、導体31、32、およびコンデンサー35のインピーダンスに起因する共振周波数の低下を招くことなく、高いLF周波数に同調させることができる。
【0019】
【特許文献1】
特開2002−372575号公報
【特許文献2】
特開昭60−247146号公報
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
このような構成において、従来の複同調回路の問題点は、LF共振周波数を大幅に変更するのが、むつかしいことであった。そのことを説明するために、図3に回路図、図4に実体図を示す。
【0021】
例えば、LF共振周波数を下げようとする場合、LF同調用コンデンサー41、42を、LF同調用バリコン37、38に並列に接続することになる。ところが、LF同調用コンデンサー41、42には、耐圧性が要求されるので、LF同調用バリコン37、38と同様に、大型のものとなり、筒状電極70の狭い内部空間に実装することが、困難となる。また、HF周波数共振時に、RF電圧が高くなる部分に、大型のLF同調用コンデンサー41、42が追加されるので、浮遊容量が増加して、HF共振周波数が大きくずれてしまう。また、追加された大型の同調コンデンサー41、42と、LF同調用バリコン38、39により、HF周波数付近の共振回路を形成してしまう場合があり、さらに、HF共振周波数がずれてしまう。
【0022】
一方、LF共振周波数を上げようとする場合、LF同調用コンデンサー41、42コンデンサー41、42の代わりに、LF同調用コイルを、LF同調用バリコン37、38に並列に接続することになる。ところが、このコイルにも、耐圧性が要求されるので、LF同調用バリコン37、38と同様に、大型のものとなり、筒状電極70の狭い内部空間に実装することが、困難となる。また、HF周波数共振時に、RF電圧が高くなる部分に、大型のLF同調用コイルが追加されるので、浮遊容量が増加して、HF共振周波数が大きくずれてしまう。また、追加された大型の同調コイルと、LF同調用バリコン38、39により、HF周波数付近の共振回路を形成してしまう場合があり、さらに、HF共振周波数がずれてしまう。
【0023】
また、LF側のみならず、HF側にも、制約が課せられる。すなわち、バリコン37、38が、HF周波数の1/4波長共振器の一部となっているので、バリコンの長さより短い共振器を構成することができない。その結果、HF共振周波数の上限は、バリコンの長さで制限されることとなる。
【0024】
本発明の目的は、上述した点に鑑み、HF共振周波数に影響を与えることなく、コンデンサーやコイルを追加して、LF共振周波数の可変範囲を広げることができ、しかも、HF周波数の1/4波長共振器の一部にバリコンを使用しなくても、LF周波数に対する同調が可能な核磁気共鳴装置の複同調回路を提供することにある。
【0025】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため、本発明にかかる核磁気共鳴装置の複同調回路は、
端部A、Bを備えたサンプルコイルと、
一端が第1の容量素子を介してサンプルコイルの端部Aに接続された第1の導体と、
第1の導体と並べて配置され、一端が第2の容量素子を介してサンプルコイルの端部Bに接続された第2の導体と、
一端がサンプルコイルの端部Aに接続された第3の導体と、
一端がサンプルコイルの端部Bに接続された第4の導体と、
サンプルコイルに第1の高周波を共振させるための同調および整合手段と、
サンプルコイルに第2の高周波を共振させるための同調および整合手段と
を備え、
サンプルコイル、第1の導体、第2の導体、第1の容量素子、第2の容量素子が、第1の高周波に対して、サンプルコイルの中点付近で振幅電圧がゼロとなるような平衡共振回路を構成するとともに、
サンプルコイル、第1の導体、第2の導体、第3の導体、第4の導体、第1の容量素子、第2の容量素子が、第2の高周波に対して、サンプルコイルの中点付近で振幅電圧がゼロとなるような平衡共振回路を構成していることを特徴としている。
【0026】
また、前記サンプルコイルに第1の高周波を共振させるための同調手段は、第1の導体と、第2の導体の両方に接触を保ちながら、前記第1および第2の導体の軸方向に摺動できる電極であることを特徴としている。
【0027】
また、前記サンプルコイルに第1の高周波を共振させるための同調手段は、第1の導体と、第2の導体の間を接続する、可変容量素子であることを特徴としている。
【0028】
また、前記第1の導体は、一端がサンプルコイルの端部Aに接続され、他端が第3の容量素子を介して、または直接接地されていることを特徴としている。
【0029】
また、前記第2の導体は、一端がサンプルコイルの端部Bに接続され、他端が第4の容量素子を介して、または直接接地されていることを特徴としている。
【0030】
また、前記第3の導体は、一端がサンプルコイルの端部Aに接続され、他端が第5の容量素子を介して接地されていることを特徴としている。
【0031】
また、前記第4の導体は、一端がサンプルコイルの端部Bに接続され、他端が第6の容量素子を介して接地されていることを特徴としている。
【0032】
また、前記第1の容量素子と、前記第2の容量素子は、容量の異なる別の容量素子と、交換可能であることを特徴としている。
【0033】
また、前記第1の導体は、前記第3の導体を囲繞する接地された筒状導体であることを特徴としている。
【0034】
また、前記第1の容量素子は、前記第3の導体と、前記第3の導体を囲繞する前記筒状導体と、前記第3の導体と前記第3の導体を囲繞する前記筒状導体との間に充填された誘電体とで構成されていることを特徴としている。
【0035】
また、前記第2の導体は、前記第4の導体を囲繞する接地された筒状導体であることを特徴としている。
【0036】
また、前記第2の容量素子は、前記第4の導体と、前記第4の導体を囲繞する前記筒状導体と、前記第4の導体と前記第4の導体を囲繞する前記筒状導体との間に充填された誘電体とで構成されていることを特徴としている。
【0037】
また、前記第1の容量素子、および/または、前記第2の容量素子は、前記第3の導体、および、前記第4の導体と一体のものとして、容量の異なる別の容量素子と、交換可能であることを特徴としている。
【0038】
また、前記サンプルコイルに第2の高周波を共振させるための同調手段は、前記第3の導体と、前記第4の導体の両方に接触を保ちながら、前記第3および第4の導体の軸方向に摺動できる電極であることを特徴としている。
【0039】
また、前記サンプルコイルに第2の高周波を共振させるための同調手段は、第3の導体と接地との間を接続する可変容量素子、および/または、第4の導体と接地との間を接続する可変容量素子であることを特徴としている。
【0040】
また、前記サンプルコイルに第1の高周波を共振させるための整合回路は、カップリング・ループであることを特徴としている。
【0041】
また、前記サンプルコイルに第2の高周波を共振させるための整合回路は、カップリング・ループであることを特徴としている。
【0042】
また、第1の高周波は、第2の高周波よりも周波数が高いことを特徴としている。
【0043】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。図5は、本発明にかかる核磁気共鳴装置の複同調回路の回路図の一実施例を示したものである。図中、54、55は、ほぼ同じ長さを持った棒状の導体である。導体54、55は、互いに平行配置され、両者で、平行線路を構成する。そして、HF共振時、入力電力のサンプルコイル1への分配率の調整は、この導体54、55で構成される平行線路共振器の特性インピーダンスを調整することによって行なわれる。
【0044】
導体54、55の上端には、LF同調用のコンデンサー52、53を介して、ソレノイドコイルやサドルコイルなどから成るサンプルコイル1が接続されている。尚、図5では、導体54、55の下端は、直接接地されているが、コンデンサーを介して、間接的に接地されていても良い。
【0045】
導体55の中途の任意の位置には、HF整合用のコンデンサー62とバリコン63とで構成されたHF整合回路が接続されている。HF整合用のコンデンサー62とバリコン63との接続点には、HF入力端子が接続されている。尚、このHF整合回路は、導体54側に設けられていても良い。
【0046】
また、導体54、55の中途の任意の位置には、導体54、55の両方に接触を保ちながら、両導体の軸方向に摺動できる、HF同調用の電極56が設けられている。この電極56は、シャフト64を用いて、導体54、55上を摺動させることにより、導体54、55上の任意の位置で、導体54、55間を短絡させることができる構成になっている。そして、導体54、55、コンデンサー52、53、電極56で、HFに対する、2つの1/4波長共振器となるように、設定されている。
【0047】
また、サンプルコイル1とコンデンサー52の接続点には、導体57の一端が接続され、導体57の他端は、LF同調用バリコン59を介して、間接的に接地されている。また、サンプルコイル1とコンデンサー53の接続点には、導体58の一端が接続され、導体58の他端は、LF同調用バリコン60を介して、間接的に接地されている。また、導体57とLF同調用バリコン59の接続点には、LF整合用バリコン61を介して、LF入力端子が接続されている。尚、このLF整合回路は、導体58側に設けられていても良い。
【0048】
図6は、この回路を、筒状電極70を接地電極として、プローブに実装した場合の電子部品の配置構造を示したものである。図6(a)は、プローブの縦方向の断面図、(b)は、プローブのカバーを取った様子を示す図、(c)は、プローブの横方向の断面図である。尚、この例は、具体的には、外部磁場に対して所定の角度に傾斜させた試料管を高速回転させる、固体試料専用の核磁気共鳴測定プローブを想定している。
【0049】
図中、15はプローブのカバーである。カバー15の内側には、中空で円筒形をした筒状電極70が設けられており、更に、筒状電極70の上部内側には、外部磁場に対して所定の角度だけ傾斜させた試料回転機構11が設けられている。また、試料回転機構11の内部にはサンプルコイル1、更にその内側には固体試料を封入した試料管18が設けられている。また、試料回転機構11には、試料管18を高速回転させるために、エアー配管16が接続されており、加圧された駆動用のエアー・ジェットが、試料管18に対して適宜吹き付けられる構成になっている。また、筒状電極70には、上部に、試料管18を試料回転機構11から出し入れするための、プローブの内側と外側を連通させた窓101が設けられている。
【0050】
サンプルコイル1の両端には、LF同調用コンデンサー52、53が接続されており、導体54、55を内部導体、筒状電極70を外部導体として利用することにより、全体でHFに共振する1/4波長共振器を構成させている。
【0051】
導体55の中途の任意の位置には、HF整合用のコンデンサー62と、HF整合用のバリコン63とで構成された、HF整合回路が接続されている。コンデンサー62とバリコン63の接続点には、HFを注入するための同軸ケーブル44が接続されている。
【0052】
また、導体54、55の中途の任意の位置には、導体54、55の両方に接触を保ちながら、両導体の軸方向に摺動できる、HF同調用の電極56が設けられている。この電極56は、シャフト64を用いて、導体54、55上を摺動させることにより、導体54、55上の任意の位置で、導体54、55間を短絡させることができる構成になっている。
【0053】
また、サンプルコイル1とコンデンサー52の接続点には、導体57の一端が接続され、導体57の他端は、LF同調用バリコン59を介して、間接的に接地されている。また、サンプルコイル1とコンデンサー53の接続点には、導体58の一端が接続され、導体58の他端は、LF同調用バリコン60を介して、間接的に接地されている。また、導体57とLF同調用バリコン59の接続点には、LF整合用バリコン61を介して、LFを注入するための同軸ケーブル43が接続されている。
【0054】
また、筒状電極70を共通の接地電極として利用することにより、筒状電極70の内側に、HF整合用バリコン63、LF整合用バリコン61、HF同調用電極56、HF整合用コンデンサー62、LF同調用コンデンサー59、60、同軸ケーブル43、44をコンパクトに実装している。
【0055】
図7に、HF共振時の導体54、55におけるRF電圧の振幅分布を示す。導体54、55は、途中の位置で、電極56により、短絡されているので、それぞれ、短絡位置から上の部分が、1/4波長共振器となり、導体54、55で構成される平行線路上に発生する定在波は、HF共振周波数に対しては、電極56の接触点で、最小振幅0、導体の上端で、最大振幅となり、その振幅の符号は、電圧振幅72、73で示すように、導体54と、導体55とで、それぞれ逆符号となる。また、このときのRF電流の向きは、矢印71、74、75で示す通りとなる。
【0056】
HF共振周波数に対しては、導体54、コンデンサー52、サンプルコイル1、コンデンサー53、導体55、電極56で、伝送路と、インダクタンスとから成り、サンプルコイル1の中点付近で、HF振幅電圧がゼロとなるような、平衡共振回路が形成される。そして、回路外のHF供給源と、導体54、サンプルコイル1、導体55、電極56で構成される共振回路との間の同調は、電極56と導体54、55との接触位置の調節による、1/4波長共振器の波長の調節で、また、整合は、HF整合用バリコン63で、それぞれ、行なわせることができるようになっている。
【0057】
このとき、LF同調用コンデンサー52、53は、容量が大きいので、HF共振周波数に対しては、十分にインピーダンスが低くなり、サンプルコイル1のインピーダンスに対して無視できるので、サンプルコイル1と、導体54、55とは、直接短絡接続されている場合と等価になる。従って、LF同調用コンデンサー52、53に加わる端子間電圧は、きわめて小さくなり、RF電圧によってLF同調用コンデンサー52、53が破損する心配はない。
【0058】
しかも、従来のバリコンに代えて、固定コンデンサーを用いているので、HF共振中に、容量素子由来の分布インダクタンスが変化せず、HF共振周波数がずれることがない。
【0059】
図8に、LF共振時の等価回路を示す。LF共振周波数では、周波数が低いので、導体54、55のインダクタンスは無視できる。従って、サンプルコイル1と、LF同調用コンデンサー52、53と、導体57、58と、LF同調用バリコン59、60とで、サンプルコイル1の中点付近で、LF振幅電圧がゼロとなるような、平衡共振回路が形成され、LF同調用バリコン59、60の調節により、LFの同調周波数の微調整が行なわれる。尚、バリコン61は、LF整合用である。
【0060】
ここで、LF同調用コンデンサー52、53を、等しい容量に設定すれば、サンプルコイル1の両端における、LF周波数のRF電圧の振幅は、HF共振時と同様に、逆符号で同じ電圧の振幅になり、不平衡回路(特許文献2)の場合の、RF振幅電圧の半分の値になる。
【0061】
LF共振周波数を大きく変更したい場合は、LF同調用コンデンサー52、53を、他の容量のものと交換することにより、LFの同調周波数を変更させることができる。その場合、HF共振周波数側の同調周波数の調節は、電極56の位置の調節により、LF共振周波数とは関係なく、調節することができる。
【0062】
LF共振周波数を大きく変更する場合に、従来のように、LF同調用コンデンサーと、LF同調用バリコンとを、並列に並べて設置する必要がないので、狭い筒状電極70の内部空間であっても、支障は起きない。
【0063】
図9は、本発明にかかる核磁気共鳴装置の複同調回路の回路図の別の実施例を示したものである。図中、90、91は、ほぼ同じ長さを持った筒状の導体である。この筒状導体90、91は、互いに平行配置され、両者で、平行線路を構成する。そして、HF共振時、入力電力のサンプルコイル1への分配率の調整は、この筒状導体90、91で構成される平行線路共振器の特性インピーダンスを調整することによって行なわれる。
【0064】
筒状導体90、91の上端には、LF同調用のコンデンサー52、53を介して、ソレノイドコイルやサドルコイルなどから成るサンプルコイル1が接続されている。尚、図9では、筒状導体90、91の下端は、直接接地されているが、コンデンサーを介して、間接的に接地されていても良い。
【0065】
筒状導体91の中途の任意の位置には、HF整合用のコンデンサー62とバリコン63とで構成されたHF整合回路が接続されている。HF整合用のコンデンサー62とバリコン63との接続点には、HF入力端子が接続されている。尚、このHF整合回路は、筒状導体90側に設けられていても良い。
【0066】
また、筒状導体90、91の中途の任意の位置には、筒状導体90、91の両方に接触を保ちながら、両筒状導体の軸方向に摺動できる、HF同調用の電極56が設けられている。この電極56は、シャフト64を用いて、筒状導体90、91上を摺動させることにより、筒状導体90、91上の任意の位置で、筒状導体90、91間を短絡させることができる構成になっている。そして、筒状導体90、91、コンデンサー52、53、電極56で、HFに対する、2つの1/4波長共振器となるように、設定されている。
【0067】
また、サンプルコイル1とコンデンサー52の接続点には、導体57の一端が接続され、導体57の他端は、LF同調用バリコン59を介して、間接的に接地されている。導体57の本体部分は、筒状導体90によって囲繞されており、筒状導体90の軸心に沿って、筒状導体90の内側を貫通している。また、サンプルコイル1とコンデンサー53の接続点には、導体58の一端が接続され、導体58の他端は、LF同調用バリコン60を介して、間接的に接地されている。導体58の本体部分は、筒状導体91によって囲繞されており、筒状導体91の軸心に沿って、筒状導体91の内側を貫通している。
【0068】
また、導体57とLF同調用バリコン59の接続点には、LF整合用バリコン61を介して、LF入力端子が接続されている。尚、このLF整合回路は、導体58側に設けられていても良い。
【0069】
尚、この回路の動作は、図5の実施例と同じである。HFに共振している場合の動作は、図7、LFに対して共振しているときは、図8に、ほぼ準じる。
【0070】
図10は、この回路を、筒状電極70を接地電極として、プローブに実装した場合の電子部品の配置構造を示したものである。図10(a)は、プローブの縦方向の断面図、(b)は、プローブのカバーを取った様子を示す図、(c)は、プローブの横方向の断面図である。尚、この例は、具体的には、外部磁場に対して所定の角度に傾斜させた試料管を高速回転させる、固体試料専用の核磁気共鳴測定プローブを想定している。
【0071】
図中、15はプローブのカバーである。カバー15の内側には、中空で円筒形をした筒状電極70が設けられており、更に、筒状電極70の上部内側には、外部磁場に対して所定の角度だけ傾斜させた試料回転機構11が設けられている。また、試料回転機構11の内部にはサンプルコイル1、更にその内側には固体試料を封入した試料管18が設けられている。また、試料回転機構11には、試料管18を高速回転させるために、エアー配管16が接続されており、加圧された駆動用のエアー・ジェットが、試料管18に対して適宜吹き付けられる構成になっている。また、筒状電極70には、上部に、試料管18を試料回転機構11から出し入れするための、プローブの内側と外側を連通させた窓101が設けられている。
【0072】
サンプルコイル1の両端には、LF同調用コンデンサー52、53が接続されており、筒状導体90、91を内部導体、筒状電極70を外部導体として利用することにより、全体でHFに共振する1/4波長共振器を構成させている。
【0073】
筒状導体91の中途の任意の位置には、HF整合用のコンデンサー62と、HF整合用のバリコン63とで構成された、HF整合回路が接続されている。コンデンサー62とバリコン63の接続点には、HFを注入するための同軸ケーブル44が接続されている。
【0074】
また、筒状導体90、91の中途の任意の位置には、筒状導体90、91の両方の外壁に接触を保ちながら、両筒状導体の軸方向に摺動できる、HF同調用の電極56が設けられている。この電極56は、シャフト64を用いて、筒状導体90、91の外壁上を摺動させることにより、筒状導体90、91上の任意の位置で、筒状導体90、91間を短絡させることができる構成になっている。
【0075】
また、サンプルコイル1とコンデンサー52の接続点には、導体57の一端が接続され、他端は、LF同調用バリコン59を介して、間接的に接地されている。導体57の本体部分は、筒状導体90によって囲繞されており、筒状導体90の軸心に沿って、筒状導体90の内側を貫通している。また、サンプルコイル1とコンデンサー53の接続点には、導体58の一端が接続され、他端は、LF同調用バリコン60を介して、間接的に接地されている。導体58の本体部分は、筒状導体91によって囲繞されており、筒状導体91の軸心に沿って、筒状導体91の内側を貫通している。
【0076】
また、導体57とLF同調用バリコン59の接続点には、LF整合用バリコン61を介して、LFを注入するための同軸ケーブル43が接続されている。
【0077】
また、筒状電極70を共通の接地電極として利用することにより、筒状電極70の内側に、HF整合用バリコン63、LF整合用バリコン61、HF同調用電極56、HF整合用コンデンサー62、LF同調用コンデンサー59、60、同軸ケーブル43、44をコンパクトに実装している。
【0078】
この回路の、HF共振時、および、LF共振時の動作は、図7、および、図8で示したものと、基本的に同じである。
【0079】
図11は、本発明にかかるLF同調用コンデンサーの一実施例を示したものである。図11(a)の、点線で四角に囲んだ2つの部分が、本発明の該当箇所に当たる。また、(b)は、本発明にかかるLF同調用コンデンサーの横断面図、(c)は、本発明にかかるLF同調用コンデンサーの縦断面図である。
【0080】
本発明では、筒状導体90、91の上部円筒部95と、導体57、58の上部96との間に、誘電体97を挟み、95と96を電極とするコンデンサーを形成させ、図11(a)のLF同調用コンデンサー52、53として使用する。誘電体97には、ガラス、テフロン(登録商標)、クォーツ、アルミナ、マイカ、チタン酸系のセラミックなど、誘電率の大きな物質が使用できる。
【0081】
こうして形成されるコンデンサーは、HF共振時に、RF電場とRF磁場を乱して、損失の原因となるような、大型の高耐圧コンデンサーではないので、RF電力の損失が低減される。
【0082】
図12は、本発明にかかるLF同調用コンデンサーの別の実施例を示したものである。図12(a)の、点線で四角に囲んだ2つの部分が、本発明の該当箇所に当たる。また、(b)は、本発明にかかるLF同調用コンデンサーの縦断面図、(c)は、本発明にかかるLF同調用コンデンサーから、誘電体と導体を取り外したときの、筒状導体を示す縦断面図、(d)は、筒状導体から取り外された、誘電体と導体を示す縦断面図である。
【0083】
筒状導体90、91の上部円筒部95の内壁部分と、誘電体97の外周部分には、互いに螺合するようなネジが切ってある。導体96は、誘電体97に固着されているので、導体96を持って回転させることにより、筒状導体90、91の上部円筒部95から、誘電体97を取り外すことができる。これにより、異なる誘電率を備えた別の誘電体と、交換することができるので、LF同調用コンデンサーの容量値を容易に別の値に変更することができ、その結果、LF共振周波数を任意に変更することができる。
【0084】
尚、導体96の複同調回路内への組み込みは、導体96の上下端を、電極99、100に接触させることにより、行なうことができる。すなわち、導体96の上端を、電極99と接触させることにより、導体96は、サンプルコイル1に接続され、導体96の下端を、電極100と接触させることにより、導体96は、LF同調用バリコン59、60に接続される。
【0085】
図13は、本発明にかかる核磁気共鳴装置の複同調回路の回路図の一変形例を示したものである。この例は、回路の基本構成は、図9の例と同じ構成であるが、導体57、58の下端を、LF同調用バリコン59、60を介して、間接的に接地させていたのを改めて、導体57、58の下端を接地させず、導体57、58の中途の任意の位置に、導体57、58の両方に接触を保ちながら、両導体の軸方向に摺動できる、LF同調用の電極110を設けるようにしている。
【0086】
この電極110は、シャフト111を用いて、導体57、58上を摺動させることにより、導体57、58上の任意の位置で、導体57、58間を短絡させることができる構成になっている。これにより、導体57、58のインダクタンスを微調節することができ、複同調回路を、任意のLF共振周波数に同調させることができる。
【0087】
図14は、本発明にかかる核磁気共鳴装置の複同調回路の回路図の別の変形例を示したものである。この例は、回路の基本構成は、図13の例と同じ構成であるが、HFおよび/またはLFの整合を、同軸ケーブル112、114に設けたカップリング・ループ113、115を用いて行なうようにしている。
【0088】
これは、カップリング・ループ113、115を、複同調回路に近づけることにより、複同調回路との間に、適度の結合を行なわせるものである。これにより、整合用のバリコンを用いなくても、複同調回路を、任意のHF/LF共振周波数に整合させることができる。
【0089】
図15は、本発明にかかる核磁気共鳴装置の複同調回路の回路図の別の変形例を示したものである。この例は、回路の基本構成は、図9の例と同じ構成であるが、筒状導体90、91の両方に接触を保ちながら、両導体の軸方向に摺動できる、HF同調用の電極56を設ける代わりに、筒状導体90と、筒状導体91の間を、バリコン150で接続すると共に、筒状導体90、91の下端を、LF同調用のコンデンサー151、152で接地するようにしている。
【0090】
この場合、HF整合用のバリコン153など、インピーダンス調整用素子を接続すれば、HF整合を行わせることができる。
【0091】
図16は、本発明にかかる核磁気共鳴装置の複同調回路の回路図の別の変形例を示したものである。この例は、回路の基本構成は、図9の例と同じ構成であるが、HFの整合を、同軸ケーブル112に設けたカップリング・ループ113を用いて行なうようにしている。
【0092】
これは、カップリング・ループ113を、複同調回路に近づけることにより、複同調回路との間に、適度の結合を行なわせるものである。これにより、整合用のバリコンを用いなくても、複同調回路を、任意のHF共振周波数に整合させることができる。
【0093】
尚、この場合、筒状導体90、91の下端を接地する必要はない。また、同軸ケーブル112と、カップリング・ループ113の位置調節によって、HF同調を行なっても良い。
【0094】
また、上記実施例では、2つの導体の両方に接触を保ちながら、両導体の軸方向に摺動できる、電極56および/または110によって、HFおよび/またはLFに同調させる例を示したが、電極56、110の代わりに、バリコンを用いて、同調を行なわせるように構成しても良い。
【0095】
また、筒状導体90、91の形状は、円筒に限定されるものではない。
【0096】
【発明の効果】
以上述べたごとく、本発明の核磁気共鳴装置の複同調回路によれば、端部A、Bを備えたサンプルコイルと、一端が第1の容量素子を介してサンプルコイルの端部Aに接続された第1の導体と、第1の導体と並べて配置され、一端が第2の容量素子を介してサンプルコイルの端部Bに接続された第2の導体と、一端がサンプルコイルの端部Aに接続された第3の導体と、一端がサンプルコイルの端部Bに接続された第4の導体と、サンプルコイルに第1の高周波を共振させるための同調および整合手段と、サンプルコイルに第2の高周波を共振させるための同調および整合手段とを備え、サンプルコイル、第1の導体、第2の導体、第1の容量素子、第2の容量素子が、第1の高周波に対して、サンプルコイルの中点付近で振幅電圧がゼロとなるような平衡共振回路を構成するとともに、サンプルコイル、第1の導体、第2の導体、第3の導体、第4の導体、第1の容量素子、第2の容量素子が、第2の高周波に対して、サンプルコイルの中点付近で振幅電圧がゼロとなるような平衡共振回路を構成したので、HF共振周波数に影響を与えることなく、コンデンサーやコイルを追加して、LF共振周波数の可変範囲を広げることができ、しかも、HF周波数の1/4波長共振器の一部にバリコンを使用しなくても、LF周波数に対する同調が可能な核磁気共鳴装置の複同調回路を提供することが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の核磁気共鳴装置の複同調回路を示す図である。
【図2】従来の核磁気共鳴装置の複同調回路を示す図である。
【図3】従来の核磁気共鳴装置の複同調回路を示す図である。
【図4】従来の核磁気共鳴装置の複同調回路を示す図である。
【図5】本発明にかかる核磁気共鳴装置の複同調回路の一実施例を示す図である。
【図6】本発明にかかる核磁気共鳴装置の複同調回路の一実施例を示す図である。
【図7】本発明にかかる核磁気共鳴装置の複同調回路のHF周波数での動作例を示す図である。
【図8】本発明にかかる核磁気共鳴装置の複同調回路のLF周波数での動作例を示す図である。
【図9】本発明にかかる核磁気共鳴装置の複同調回路の別の実施例を示す図である。
【図10】本発明にかかる核磁気共鳴装置の複同調回路の別の実施例を示す図である。
【図11】本発明にかかる核磁気共鳴装置の複同調回路に用いられるLF同調用コンデンサーの一実施例を示す図である。
【図12】本発明にかかる核磁気共鳴装置の複同調回路に用いられるLF同調用コンデンサーの別の実施例を示す図である。
【図13】本発明にかかる核磁気共鳴装置の複同調回路の別の実施例を示す図である。
【図14】本発明にかかる核磁気共鳴装置の複同調回路の別の実施例を示す図である。
【図15】本発明にかかる核磁気共鳴装置の複同調回路の別の実施例を示す図である。
【図16】本発明にかかる核磁気共鳴装置の複同調回路の別の実施例を示す図である。
【符号の説明】
1・・・サンプルコイル、11・・・試料回転機構、15・・・プローブカバー、16・・・エアー配管、18・・・試料管、31・・・第1の導体、32・・・第2の導体、33・・・HF整合用コンデンサー、34・・・HF整合用バリコン、35・・・コンデンサー、36・・・LF整合用バリコン、37・・・LF同調用バリコン、38・・・LF同調用バリコン、39・・・HF同調用バリコン、41・・・LF同調用コンデンサー、42・・・LF同調用コンデンサー、43・・・同軸ケーブル、44・・・同軸ケーブル、45・・・シャフト、46・・・シャフト、52・・・LF同調用コンデンサー、53・・・LF同調用コンデンサー、54・・・第1の導体、55・・・第2の導体、56・・・電極、57・・・第3の導体、58・・・第4の導体、59・・・LF同調用バリコン、60・・・LF同調用バリコン、61・・・LF整合用バリコン、62・・・HF整合用コンデンサー、63・・・HF整合用バリコン、64・・・シャフト、70・・・筒状電極、71・・・RF電流、72・・・RF電圧振幅、73・・・RF電圧振幅、74・・・RF電流、75・・・RF電流、90・・・筒状導体、91・・・筒状導体、95・・・筒状導体、96・・・導体、97・・・誘電体、98・・・ネジ部、99・・・電極、100・・・電極、101・・・窓、110・・・電極、111・・・シャフト、112・・・同軸ケーブル、113・・・カップリング・ループ、114・・・同軸ケーブル、115・・・カップリング・ループ、150・・・HF同調用バリコン、151・・・コンデンサー、152・・・コンデンサー、153・・・HF整合用バリコン。
Claims (18)
- 端部A、Bを備えたサンプルコイルと、
一端が第1の容量素子を介してサンプルコイルの端部Aに接続された第1の導体と、
第1の導体と並べて配置され、一端が第2の容量素子を介してサンプルコイルの端部Bに接続された第2の導体と、
一端がサンプルコイルの端部Aに接続された第3の導体と、
一端がサンプルコイルの端部Bに接続された第4の導体と、
サンプルコイルに第1の高周波を共振させるための同調および整合手段と、
サンプルコイルに第2の高周波を共振させるための同調および整合手段と
を備え、
サンプルコイル、第1の導体、第2の導体、第1の容量素子、第2の容量素子が、第1の高周波に対して、サンプルコイルの中点付近で振幅電圧がゼロとなるような平衡共振回路を構成するとともに、
サンプルコイル、第1の導体、第2の導体、第3の導体、第4の導体、第1の容量素子、第2の容量素子が、第2の高周波に対して、サンプルコイルの中点付近で振幅電圧がゼロとなるような平衡共振回路を構成していることを特徴とする核磁気共鳴装置の複同調回路。 - 前記サンプルコイルに第1の高周波を共振させるための同調手段は、第1の導体と、第2の導体の両方に接触を保ちながら、前記第1および第2の導体の軸方向に摺動できる電極であることを特徴とする請求項1記載の核磁気共鳴装置の複同調回路。
- 前記サンプルコイルに第1の高周波を共振させるための同調手段は、第1の導体と、第2の導体の間を接続する、可変容量素子であることを特徴とする請求項1項に記載の核磁気共鳴装置の複同調回路。
- 前記第1の導体は、一端がサンプルコイルの端部Aに接続され、他端が第3の容量素子を介して、または直接接地されていることを特徴とする請求項1、2、または3記載の核磁気共鳴装置の複同調回路。
- 前記第2の導体は、一端がサンプルコイルの端部Bに接続され、他端が第4の容量素子を介して、または直接接地されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の核磁気共鳴装置の複同調回路。
- 前記第3の導体は、一端がサンプルコイルの端部Aに接続され、他端が第5の容量素子を介して接地されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の核磁気共鳴装置の複同調回路。
- 前記第4の導体は、一端がサンプルコイルの端部Bに接続され、他端が第6の容量素子を介して接地されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の核磁気共鳴装置の複同調回路。
- 前記第1の容量素子と、前記第2の容量素子は、容量の異なる別の容量素子と、交換可能であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の核磁気共鳴装置の複同調回路。
- 前記第1の導体は、前記第3の導体を囲繞する接地された筒状導体であることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の核磁気共鳴装置の複同調回路。
- 前記第1の容量素子は、前記第3の導体と、前記第3の導体を囲繞する前記筒状導体と、前記第3の導体と前記第3の導体を囲繞する前記筒状導体との間に充填された誘電体とで構成されていることを特徴とする請求項9記載の核磁気共鳴装置の複同調回路。
- 前記第2の導体は、前記第4の導体を囲繞する接地された筒状導体であることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1項に記載の核磁気共鳴装置の複同調回路。
- 前記第2の容量素子は、前記第4の導体と、前記第4の導体を囲繞する前記筒状導体と、前記第4の導体と前記第4の導体を囲繞する前記筒状導体との間に充填された誘電体とで構成されていることを特徴とする請求項11記載の核磁気共鳴装置の複同調回路。
- 前記第1の容量素子、および/または、前記第2の容量素子は、前記第3の導体、および、前記第4の導体と一体のものとして、容量の異なる別の容量素子と、交換可能であることを特徴とする請求項10または12記載の核磁気共鳴装置の複同調回路。
- 前記サンプルコイルに第2の高周波を共振させるための同調手段は、前記第3の導体と、前記第4の導体の両方に接触を保ちながら、前記第3および第4の導体の軸方向に摺動できる電極であることを特徴とする請求項1ないし13のいずれか1項に記載の核磁気共鳴装置の複同調回路。
- 前記サンプルコイルに第2の高周波を共振させるための同調手段は、第3の導体と接地との間を接続する可変容量素子、および/または、第4の導体と接地との間を接続する可変容量素子であることを特徴とする請求項1ないし13のいずれか1項に項に記載の核磁気共鳴装置の複同調回路。
- 前記サンプルコイルに第1の高周波を共振させるための整合回路は、カップリング・ループであることを特徴とする請求項1ないし15のいずれか1項に記載の核磁気共鳴装置の複同調回路。
- 前記サンプルコイルに第2の高周波を共振させるための整合回路は、カップリング・ループであることを特徴とする請求項1ないし16のいずれか1項に記載の核磁気共鳴装置の複同調回路。
- 第1の高周波は、第2の高周波よりも周波数が高いことを特徴とする請求項1ないし17のいずれか1項に記載の核磁気共鳴装置の複同調回路。
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-
2003
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