JP4037511B2 - ウェーハの研磨装置及びそのシステム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はウェーハの研磨装置及びそのシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
ウェーハの研磨装置とは、結晶質或いはガラス質等から成る薄板状ワークの表面を研磨する装置であり、例えば、シリコンウェーハの表面を鏡面仕上げするポリシング装置がある。そのポリシング装置としては、従来から、多数のシリコンウェーハの表面を同時に鏡面仕上げする、いわゆるバッチ式のポリシング装置が一般的に用いられている。
そのバッチ式のポリシング装置を用いる研磨方法によれば、先ず、シリコンウェーハ(以下単にウェーハという)をワックスを用いてキャリアプレートに接着し、そのキャリアプレートをポリシング装置の研磨クロスが貼られた定盤(研磨用定盤)に接触(当接)するように反転して供給する。そして、そのキャリアプレートを研磨クロス方向に加圧ヘッド(一般的に重り)により押圧すると共に、スラリー(液状研磨剤)を供給して研磨クロスとウェーハとの間に侵入させつつ、研磨用定盤を回転運動させてウェーハ表面を鏡面加工(ポリシング加工)している。
【0003】
さらに、研磨精度を向上させるためには、段階的且つ連続的に研磨することを可能に、図6に示すように複数のポリシング装置(1次ポリシング装置61、2次ポリシング装置62、3次ポリシング装置63)を直列に配置したウェーハの研磨システムが用いられている。
このウェーハの研磨システムでは、複数のウェーハを貼付したキャリアプレート12をアームロボット64によって移送し、各キャリアプレート12に貼付された複数のウェーハを研磨用定盤20に当接させて1次研磨、2次研磨、仕上げ研磨の順に加工していた。アームロボット64は、1次ポリシング装置61への供給用、隣合うポリシング装置間での受渡し用、及び3次ポリシング装置63からの排出用に各ポリシング装置の外部に配設されている。
このウェーハの研磨システムによれば、多数のウェーハを同時に研磨することが可能であり、効率良く研磨することができる。すなわち、生産性を向上できるという利点があった。
【0004】
なお、上記の各ポリシング装置の詳細は、図7に示すように、回転駆動される研磨用定盤20と、その研磨用定盤20の中央に設けたセンターローラ50と、研磨用定盤20の周辺に所定間隔をおいて複数個配置され、前記キャリアプレート12をセンターローラ50との間で挟持する位置および通過可能とする位置との間にわたって移動可能に設けられたガイドローラ52とを備えるものが好適に使用されている。このポリシング装置によれば、研磨用定盤20が一方向に回転することにより、センターローラ50とガイドローラ52とにキャリアプレート12が保持された状態で自転する。このとき、キャリアプレート12の自転は、研磨用定盤20の内周と外周との周速度の差によって発生するため、その自転方向は研磨用定盤20の回転方向と同じ方向になる。
【0005】
このようにキャリアプレート12が自転することにより、キャリアプレート12の一面(下面)に貼り付けられたウェーハを均一に研磨できる。また、キャリアプレート12には複数のウェーハ(例えば5枚)が貼り付けられて、複数のキャリアプレート12(例えば4枚)が研磨用定盤20の研磨面22(研磨クロス面)に載ることになるため、多数のウェーハを同時に好適に研磨できる。なお、ウェーハをキャリアプレート12を介して押圧する加圧ヘッドは、重り(ウエイト)が用いられている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
近年、半導体装置の高集積化及び生産の効率化が進むに伴い、その基材であるシリンウェーハの平坦度や表面品質のさらなる向上が求められていると共に、シリコンウェーハが大型化(例えば直径12インチ)してきており、これに適切に対応することが要請されている。このことは、シリコンウェーハ表面にデバイスを形成した際の堆積形成された層間絶縁膜や金属配線の研磨加工においても、同様である。
【0007】
しかしながら、上記従来のポリシング装置及びそのシステムでは、シリコンウェーハの大型化とその精度の向上について、適切に対応できないという課題があった。
すなわち、上記従来のポリシング装置では、多数のウェーハを平面的に並べて同時に研磨することになり、その一つの装置自体が大型化してしまうという課題があった。また、そのポリシング装置に関する付帯設備(例えば、接着機、プレート搬送装置、プレート洗浄機、ウェーハの剥離装置等)が多く、システムが複雑化すると共に、広い設置スペースを要するという課題があった。また、プレートを介してウェーハを移送するシステムになっているが、そのプレート自体がウェーハの大型化に伴って大きくて重いものになり、精度を高く製造することや、適切に取り扱うことが難しくなる。
【0008】
これに対して、従来、図8に示すような、一つの保持ヘッド70に対してウェーハを一枚ずつ保持して研磨する枚葉式の研磨装置システムが考案されている。図8(a)は平面図であり、図8(b)は側面図である。
このシステムでは、門型に形成され、直線ガイド71に沿って移動可能に設けられた移動部72に、二つの保持ヘッド70が垂下されている。その二つの保持ヘッド70は、ウェーハの供給部73、研磨装置からなる第1工程部74、第2工程部75、第3工程部76、及びウェーハの排出部77上を、その順に移動できる。第1工程部74では、保持ヘッド70に貼着(例えば吸着)されて保持されたウェーハを、研磨用定盤20へ押圧してウェーハを研磨し、第2工程部75及び第3工程部76においても研磨等の作業がなされる。保持ヘッド70に一旦保持されたウェーハは、排出されるまで保持され、ウェーハの持ち替えを行う必要がないという利点がある。
【0009】
しかしながら、このシステムによれば、枚葉式のシステムであるため、ウェーハの大型化については適切に対応できるが、生産効率を向上することができない。すなわち、複数の工程部74、75、76に対して移動部72が一つであり、一つの工程部が作動しているときに、他の工程部は休止状態になってしまい、全体システムを効率良く稼働できないという課題がある。
その課題については、移動部72を複数設け、ループ状のガイドに沿って移動させることが考えられる。しかし、保持ヘッド70はウェーハを吸着すると共に研磨用定盤20へ当接させて押圧しつつ回転運動させる等のための複雑な機構を備えることを要する。従って、その保持ヘッド70を備える移動部72を、ループ状に移動させることは困難であり、また、広いスペースを要することになり、現実的ではない。
【0010】
そこで、本発明は、ウェーハの大型化とその精度の向上について、適切に対応でき、且つウェーハの研磨にかかる加工効率を向上できるウェーハの研磨装置及びそのシステムを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために次の構成を備える。
すなわち、本発明は、ウェーハを保持する保持部と、該保持部に保持されたウェーハを研磨する研磨面を有する研磨用定盤と、該研磨用定盤に対して前記保持部を相対的に接離させ、前記ウェーハを前記研磨面に当接させて押圧する押圧手段と、前記保持部と前記研磨用定盤を相対的に平面運動させる相対運動手段とを備える研磨部によってウェーハを研磨するウェーハの研磨装置において、前記研磨部が、前記ウェーハを一枚ずつ供給する供給部と研磨したウェーハを一枚ずつ排出する排出部とを結ぶ移送経路の両側に配されて複数設けられ、前記研磨面と所定の間隔をおいて位置させた前記保持部の下方へ進退可能に設けられ、保持部との間で被研磨面側を下向きにして、かつ被研磨面を傷つけないでウェーハの受け渡しを行う受け部材を備え、前記供給部から前記排出部への移送経路の中途位置に配され、前記供給部、前記排出部、前記複数の研磨部および前記受け部材の各部の所定位置へ進退可能に届くとともにウェーハの上下面のどちら側からもウェーハを保持可能に設けられたアームの先端でウェーハを保持して移送する移送手段を具備することを特徴とする。
【0012】
また、前記研磨部が前記移送経路の両側に2個ずつ配されて総計で4個設けられ、該各研磨部と前記移送手段とが等距離に配され、前記受け部材が、前記移送経路の一方側および他方側で隣接する前記保持部の下方へそれぞれ進退可能に、両保持部間について揺動可能に設けられ、隣接する保持部間にウェーハを受け渡し可能に設けられていることを特徴とする。
【0013】
また、前記受け部材が、前記保持部からウェーハを傷つけないように受け取るブラシを有することを特徴とする。
【0014】
また、前記受け部材が、昇降可能で上昇した際に前記保持部からウェーハを傷つけないように受け取るブラシと、該ブラシが下降した際にウェーハを位置決めする位置決めピンと、純水を噴霧してウェーハの被研磨面や保持部のウェーハ吸着面に純水を噴霧するノズルとを備えることを特徴とする。
【0015】
また、前記移送手段が、垂直多関節ロボットであることを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、以上に記載のウェーハの研磨装置を複数、前工程側の前記排出部と後工程側の前記供給部とを連続的に配し、連結したことを特徴とするウェーハの研磨装置システムにもある。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかる好適な実施例を添付図面と共に詳細に説明する。
図1はウェーハ研磨システムにおける研磨部の配置の一実施例を示す平面図であり、図2は研磨部の構成を模式的に説明する正面図である。
本実施例では、図1に示すように、複数(4つ)の研磨部14を備えるウェーハの研磨装置を、3台(第1研磨装置15、第2研磨装置25、第3研磨装置35)直列に連結した状態に設けてある。
3台のウェーハの研磨装置(第1研磨装置15、第2研磨装置25、第3研磨装置35)は、基本的に同一の構成を備えており、先ず代表例として第1研磨装置15について以下に説明する。
【0018】
研磨部14は、図2に示すように、ウェーハ10を保持する保持部16と、その保持部16に保持されたウェーハ10を研磨する研磨面22を有する研磨用定盤20と、その研磨用定盤20に対して保持部16を相対的に接離させ、ウェーハ10を研磨面に当接させて押圧する押圧手段18と、保持部16と研磨用定盤20を相対的に平面運動させる相対運動手段24とを備える。
【0019】
保持部16によるウェーハ10の保持方法としては、保持部16に内蔵されて平坦に形成された保持ヘッド盤17へウェーハ10を好適に貼着させるよう、真空による吸着や、表面張力を利用した水貼り等の貼着手段を利用すればよい。また、プレート状部材の表面にウェーハ10を接着等によって貼着し、そのプレート状部材を保持部16で吸着、又はクランプ等によって保持することで、ウェーハ10を保持するようにしてもよい。
【0020】
押圧手段18としては、ウェーハ10の貼着した保持ヘッド盤17を流体圧或いは重り(ウエイト)で研磨面22側へ押圧する押圧機構、及び保持部16全体を昇降させて、保持したウェーハ10を研磨面22に相対的に接離させる接離機構等を、選択的に構成要素とすればよい。
【0021】
また、相対運動手段24としては、研磨用定盤20を回転(例えば鉛直軸を軸心にする回転動)させる駆動機構、保持部16を回転(例えば鉛直軸を軸心にする回転動)させる駆動機構、研磨用定盤20又は保持部16を揺動(例えば水平往復動)させる駆動機構等を選択的に用いればよい。
【0022】
そして、前記研磨部14が、ウェーハ10を第1研磨装置15内へ一枚ずつ供給する供給部11と、その第1研磨装置15内で研磨したウェーハ10を一枚ずつ排出する排出部19とを結ぶ移送経路Lの両側に配されて複数(本実施例では2つずつ総計で4つ)設けられている。
【0023】
30は移送手段であり、供給部11から排出部19への移送経路Lの中途位置に配され、供給部11、排出部19、複数の研磨部14の各部の所定位置へ進退可能に届くアーム32(図3参照)を備え、そのアーム32の先端でウェーハ10を保持して移送する。本実施例では、アーム32の先端でウェーハ10を吸着(真空)することによって保持している。
【0024】
本実施例の移送手段30は、具体的には、例えば、図3に示すような垂直多関節ロボットを利用できる。垂直多関節ロボットを採用することで、複数の研磨部14の内側(内部位置)に、移送手段30を好適に配することができ、結果的に第1研磨装置15を好適且つコンパクトに構成できる。これは、研磨部14が円盤状の研磨用定盤20を主要部として構成されるため円形であり、その研磨部14を矩形スペース内に複数並べた際等に発生する空きスペースを好適に利用する位置に、垂直多関節ロボットを配置できるためである。
なお、本実施例の垂直多関節ロボットは、鉛直軸(取付面について垂直な軸)を中心に全体が旋回可能に設けられ、鉛直面(取付面について垂直な面)内で水平軸を中心に旋回する複数のアームを備えている。
【0025】
特に本実施例では、第1研磨装置15(第2研磨装置25及び第3研磨装置35も同様)内に、研磨部14が移送経路Lの両側に2つずつ配されて総計で4つ設けられ、その各研磨部14と移送手段30(垂直多関節ロボット)とが等距離に配されている。従って、垂直多関節ロボットを、4つの研磨部14で周囲が囲まれた状態に配設できる。このため、限られたスペース内に好適且つコンパクト(小型)に生産効率の高い第1研磨装置15を構成できる。
なお、移送手段30としては、上記の垂直多関節ロボットに限らず、実質的に上記のように作動する垂直多関節ロボットと同等の機能を有するものであれば、他の運動機構を用いてもよいのは勿論である。
【0026】
前記供給部11は、例えば、多数枚のウェーハ10を収納するカセットを複数(例えば4つ)収容保持し、移送手段30によってウェーハ10を取り出し易い位置に、順次各カセットを位置させるように回転する回転式カセットストッカー、また、ウェーハ10及び移送手段30アーム32の先端(ウェーハ10を吸着する面)を純水等で洗浄する洗浄装置、及びウェーハ10の位置決めする位置決め装置(ウェーハ10を好適に移送し、所定の位置で保持されるために機能する位置決め装置)等を選択的に具備して構成されている。なお、図1では、供給部11が第1研磨装置15の矩形スペースに隣接して外部に配置されたように記載されているが、これに限定されることはなく、第1研磨装置15の矩形スペース内に少なくとも一部が配置されていてもよいのは勿論である。
【0027】
前記排出部19は、例えば、ウェーハ10及び移送手段30アーム32の先端を純水等で洗浄する洗浄装置、また、ウェーハ10の位置決めする位置決め装置、及び多数枚のウェーハ10を収納するカセットを複数、水没可能に収容保持し、移送手段30によってウェーハ10を収納し易い位置に、順次各カセットを位置させるよう作動する水没カセットストッカー(第3研磨装置35に該当)等を選択的に具備して構成されている。なお、カセットを水没させることで、ウェーハ10を水没させて収納するのは、ウェーハ10の表面を、乾燥させないで、化学成分を含む液状研磨液の化学作用を停止させると共に、スラリーの砥粒を好適に洗い流して保護するためである。また、図1では、排出部19が第1研磨装置15の矩形スペースに隣接して外部に配置されたように記載されているが、これに限定されることはなく、第1研磨装置15の矩形スペース内に少なくとも一部が配置されていてもよいのは勿論である。
【0028】
次に、以上の構成を備えるウェーハの研磨装置の作用、及びそのウェーハの研磨装置を複数連結して構成されるシステムの作用について、図1に基づいて説明する。
本実施例のウェーハの研磨装置システムは、3台のウェーハの研磨装置を複数(第1研磨装置15、第2研磨装置25、第3研磨装置35)、前工程側の排出部19と後工程側の供給部11とを連続的に配し、連結したことによって構成されている。
前記移送経路Lは、3台の研磨装置15、25、35に渡って連続しており、各研磨装置15、25、35の中央を貫くように設けられている。
【0029】
また、垂直多関節ロボット等のウェーハの搬送用ロボットから成る移送手段30は、各研磨装置15、25、35の略中央部に配設されている。そして、各研磨部14は、各研磨装置15、25、35内で、移送手段30の中心から等距離に配設されている。
本実施例では、各研磨部14に一つの保持部16が設けられ、ウェーハは一枚ずつ移送手段30によって移送される。従って、ウェーハ10にかかる研磨加工処理がいわゆる枚葉式(一枚処理)になっている。
また、本実施例では、ウェーハ10の保持部16による保持が、平坦度の高い保持ヘッド盤17のヘッド面へ直接吸着されることでなされ、保持部16(保持ヘッド盤17)へ迅速且好適にローディングを行うことができる。
【0030】
第1研磨装置15では、移送手段30である垂直多関節ロボットのアーム32(ロボットのハンド)先端で、ウェーハ10の被研磨面を吸着して、そのウェーハ10を供給部11、研磨部14、排出部19と受け渡すようになっている。
この第1研磨装置15では、ウェーハ10の一次研磨がなされる。例えば、先ず、供給部11でウェーハ10及びアーム32先端の洗浄、ウェーハ10の位置決めを行う。次いで、移送手段30で、3分間置きにウェーハ10を供給部11から順次各研磨部14へ移送し、各研磨部14では移送されたウェーハ10を保持部16で吸着保持して順次一次研磨を開始する。各研磨部14で所定の時間、例えば12分間経過したところで、各ウェーハ10の一次研磨を順次停止し、移送手段30で各ウェーハ10を順次排出部19へ移送する。また、ウェーハ10の研磨が終わって空になった研磨部14へは、移送手段30によって順次ウェーハ10を供給する。
【0031】
このように、本実施例によれば、タクトタイムに好適に対応して、ウェーハ10を移送手段30によって連続的に順次供給し、順次排出できる。従って、待ち時間なく、多数のウェーハ10を流れ作業的に好適に研磨することができ、生産効率を向上できる。
また、従来のバッチ式の研磨装置とは異なり、ウェーハをキャリアプレートに接着したり、剥がしたりする工程を要しない。すなわち、本発明では、基本的にウェーハ10を一枚ずつ移送手段30を介在させて持ち替えることで順次移送しつつ順次研磨を行うため、付帯設備を要せず、全体システムを簡略化でき、設置スペースを縮小できる。
【0032】
隣合う研磨装置、例えば第1研磨装置15と第2研磨装置25との連結部28は、第1研磨装置15の排出部19と、第2研磨装置25の供給部11によって構成される。
この連結部28では、ウェーハ10を乾燥させないように散水しながら洗浄するウェット洗浄部、ウェーハ10を搬送するコンベア装置(搬送装置)、或いは単なるウェーハの仮置台等の構成を選択的に用いればよい。なお、連結部28において純水によってウェット洗浄を行うことで、化学成分を含む液状研磨液(スラリー)の化学作用を停止させると共に、スラリーの砥粒を好適に洗い流すことができる。これにより、ウェーハ10にディンプルが発生することを好適に防止できる。
【0033】
また、以上の構成によるウェーハの研磨装置システムでは、複数の研磨装置15、25、35をつなげることにより、連続的で効率的な段階研磨が可能になっている。特にタクトタイムに関するバランスを好適にとることができる。例えば、1次研磨工程では10μm程度、2次研磨工程では2〜3μm程度、仕上げ研磨工程ではサブミクロン程度の研磨がそれぞれなされる場合、各研磨工程に対応する研磨部14の数を適宜調整することで、ロスのない連続的な研磨が可能となる。(初期の粗い研磨工程については長い研磨時間を要し、仕上げ研磨工程になると短い研磨時間で十分である。)
【0034】
そこで、本実施例では、例えば、第1研磨装置15の全ての研磨部14と第2研磨装置25の2つの研磨部14で1次研磨工程を行い、第2研磨装置25の残りの2つ研磨部14と第3研磨装置35の2つの研磨部14で2次研磨工程を行い、第3研磨装置35の残りの2つ研磨部14で仕上げ研磨工程を行うことができる。
また、連設された第1〜3研磨装置15、25、35を、移送経路Lの一方側と他方側とに分けた状態で直線的に利用しても良い。すなわち、例えば、あるウェーハ10を、第1研磨装置15の移送経路Lの一方側に位置する2つの研磨部14に順次送って1次研磨工程の1回目、2回目を行い、次いで、第2研磨装置25の移動経路Lの一方側に位置する2つの研磨部14に順次送って1次研磨工程の3回目、4回目を行い、そして、第3研磨装置35の移動経路Lの一方側に位置する2つの研磨部14に順次送って2次研磨工程及び仕上げ研磨工程を行うように直線的に流し、同様に、他のウェーハ10を移動経路Lの他方側で直線的に流すようにしてもよい。
なお、ウェーハ10の流し方は、タクトタイムのバランスを好適にとる目的等のため、種々の経路をとることが可能であり、例えば、単純に、第1研磨装置15で1次研磨工程を行い、第2研磨装置25で2次研磨工程を行い、第3研磨装置35で仕上げ研磨工程を行うにしてもよいのは勿論である。
【0035】
また、以上の構成によるウェーハの研磨装置システムでは、ウェーハを一枚ずつ処理する枚葉式のシステムであるため、研磨用定盤20等が大型化することがなく、装置自体を小型化でき、ウェーハ10の大型化に好適に対応できる。
また、ウェーハ10を搬送する従来のようなプレートを要しないため、プレート搬送装置、プレート洗浄機、接着機、剥離機等を省くことができ、システムの小型化ができ、省スペースを実現できる。
【0036】
次に、図4及び図5に基づいて、本発明にしたがって、ウェーハ10を仮に受けて支持(保持)する受け部材36について説明する。
受け部材36は、研磨用定盤20の研磨面22と所定の間隔をおいて位置させた保持部16の下方へ進退可能に設けられ、保持部16に保持されていたウェーハ10を、研磨された面に傷をつけないで受け取るように形成されている。
また、移送手段30のアーム32は、その先端でウェーハ10上下面のどちら側からもウェーハ10を保持可能に設けられている。例えば、アーム32の先端が旋回してウェーハ10の吸着面(吸引口がある面)が反転するようにするか、表裏の両面に吸引口を設けて選択的に開閉できるようにしてもよい。
これより、極めて高精度の仕上げ研磨がなされた場合には、受け部材36に仮に受けられたウェーハ10の裏面(研磨されなかった面)にアーム32先端を当接させて、そのウェーハ10を吸着保持して移送すればよい。これにより、ウェーハ10を好適に取り扱うことができる。
【0037】
また、本実施例では、図4に示すように、受け部材36が、移送経路Lの一方側で隣接する保持部16の下方へそれぞれ進退可能に、両保持部16間について揺動可能に設けられている。このため、より迅速且つ適切に隣接する保持部16間についてのウェーハの受渡しが可能になっている。
また、図5に示すように、本実施例の受け部材36は、全体形状として円形のトレイ状に形成されており、37はブラシであり、シリンダ装置37aによって昇降可能に設けられている。38は位置決め用の部材であり、本実施例ではピン状に4つ設けられており、吸着が解除されて保持部16から離脱(落下)したウェーハ10を受けて位置決めをする。39はノズルであり4本配されており、純水を噴出してウェーハ10の被研磨面や、保持部16の主に保持ヘッド盤17の貼着(吸着面)を洗浄できる。
【0038】
次に、受け部材36を利用した研磨方法について説明する。
仕上げ研磨の後にウェーハ10の被研磨面に接触してチャック(貼着等の保持)することは、その保護のためできない。このため、本実施例では、受け部材36によって、ウェーハ10を、その裏面側でハンドリングできるよう、上述したように構成されており、以下のように作動させる。
先ず、研磨部14の保持部16が上がったとき、トレイ又は桶のように形成された受け部材36が、その保持部16と研磨面22の間に進入する。
【0039】
受け部材36は、ウェーハ10が保持部16に保持されていないときは、ブラシ37が上がって保持ヘッド盤17の吸着面へ当接し、ノズル39より純水を噴出させ、保持部16を回転及び/又は揺動させて、その保持ヘッド盤17の吸着面を洗浄する。このように保持ヘッド盤17の吸着面を洗浄すれば、確実に残留砥粒を除去でき、ウェーハ10の被吸着面に、ディンプルが発生することを防止できる。
【0040】
ウェーハ10が保持部16に保持されているときは、その保持が解除されることでウェーハ10がブラシ37の上へ落とされ、そのブラシ37を下げて位置決め用の部材38でウェーハ10の位置決めを行いつつ受け取る。
なお、位置決め用の部材38は、直径の異なるウェーハ10に対応して利用可能に、図5に明らかなように、取付位置を変更できるように設けられている。
【0041】
そして、前述した移送手段30によって、受け部材36上に支持されていたウェーハ10を吸着保持して、アンローダ位置(排出部19)へ移送する。
このように作動させることで、ウェーハ10を仕上げ研磨から排出部19の水没したカセットに入れるまでの移送については、前述したアーム32によって、ウェーハ10の裏面側を吸着することによって行うことができる。また、受け部材36ではウェーハ10を柔軟なブラシ37で支持する。従って、ウェーハ10の鏡面研磨された面を傷つけることなく、好適に排出することができる。
【0042】
次に、隣接する研磨部14同士間の移送について図5に基づいて説明する。
ウェーハ10を受け部材36で受け取るまでの操作は、前述したとおりである。そして、例えば、二次研磨用の研磨部14から受け部材36を軸36aを中心に回動(ターン)して、隣接する仕上げ用の研磨部14へ持っていき、仕上げ用の研磨部14における保持部16で貼着し、ウェーハ10の仕上研磨を行う。また、このウェーハ10の受渡し工程中において、受け部材36によって、ウェーハ10を保持していない各保持部16の貼着面(保持ヘッド盤17の吸着面)等を、必要に応じて適宜洗浄すればよい。
【0043】
このように、隣合う研磨部14間(隣合う保持部16間)のウェーハ10の受渡しは、受け部材36を両者間で回動(揺動)させるによって、容易且つ迅速に行うことが可能である。
また、このようにウェーハ10の受渡しを行うことで、1つのウェーハの研磨装置内で異なる仕様の連続研磨が効率よく適切にできるようになる。
以上の実施例では、受け部材36によって、ウェーハ10を2次研磨工程用の研磨部14から仕上げ研磨工程用の研磨部14への移送について説明したが、1次研磨工程用の研磨部14から2次研磨工程用の研磨部14への移送の際にも利用できることは勿論である。
【0044】
また、40は研磨面修正装置であり、研磨用定盤20の研磨面22をブラッシング等して好適に再生させるために設けられている。
通常はヘッド部42が研磨面22の外にあって、研磨面22を修正する際には回動軸41を中心にして、アームの先端に設けられたヘッド部42が研磨面22上に移動する。ヘッド部42には、例えばブラシ等が内蔵されており、研磨用定盤20の表面に設けられた研磨クロス等を洗浄(ブラッシング)する。
【0045】
以上の実施例では、ウェーハ10の表面に窪み状等の傷(ディンプル)が発生することを防止するため、ウェーハ10の被吸着面と、ウェーハ10を吸着するアーム32と 保持部16(保持へッド盤17)の吸着面洗浄を行っている。その洗浄方法は、前述したものに限定されることはなく、適宜洗浄手段を採用できるのは勿論である。
また、ディンプル対策としては、例えば空気中の塵埃(浮遊粒子)を高い清浄効率で除去するHEPAフィルタ、ULPAフィルタを取り付けて各装置内の雰囲気の清浄化してもよい。
以上、本発明につき好適な実施例を挙げて種々説明してきたが、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、発明の精神を逸脱しない範囲内で多くの改変を施し得るのは勿論のことである。
【0046】
【発明の効果】
本発明によれば、研磨部が、ウェーハを一枚ずつ供給する供給部と研磨したウェーハを一枚ずつ排出する排出部とを結ぶ移送経路の両側に配されて複数設けられ、そして、前記供給部から前記排出部への移送経路の中途位置に配され、前記供給部、前記排出部、前記複数の研磨部の各部の所定位置へ進退可能に届くアームの先端でウェーハを保持して移送する移送手段を具備することで、いわゆる枚葉式のウェーハの研磨装置を好適に構成している。すなわち、基本的にウェーハを一枚ずつ処理する枚葉式であるため、研磨用定盤等の大型化を抑制でき、さらに従来のいわゆるバッチ式のような付帯設備を要せず、設置スペースを縮小できる。そして、タクトタイムに好適に対応して段階的な研磨工程を連続的且つ好適に行うことができる。
従って、本発明によれば、ウェーハの大型化とその精度の向上について、適切に対応でき、ウェーハの研磨にかかる加工効率を向上できるという著効を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ウェーハの研磨装置システムの研磨部の配置の一実施例を示す平面図である。
【図2】 研磨部を模式的に説明する正面図である。
【図3】 垂直多関節ロボットを模式的に説明する斜視図である。
【図4】 図1の実施例のウェーハの研磨装置単体を説明する平面図である。
【図5】 受け部材の一実施例を示す平面図である。
【図6】 従来技術を説明する平面図である。
【図7】 図6の従来技術のウェーハの研磨装置単体を説明する平面図である。
【図8】 他の従来技術を説明する説明図である。
【符号の説明】
10 ウェーハ
11 供給部
14 研磨部
15 第1研磨装置
16 保持部
17 保持ヘッド盤
18 押圧手段
19 排出部
20 研磨用定盤
22 研磨面
24 相対運動手段
25 第2研磨装置
28 連結部
30 移送手段
32 アーム
35 第3研磨装置
36 受け部材
L 移送経路

Claims (6)

  1. ウェーハを保持する保持部と、該保持部に保持されたウェーハを研磨する研磨面を有する研磨用定盤と、該研磨用定盤に対して前記保持部を相対的に接離させ、前記ウェーハを前記研磨面に当接させて押圧する押圧手段と、前記保持部と前記研磨用定盤を相対的に平面運動させる相対運動手段とを備える研磨部によってウェーハを研磨するウェーハの研磨装置において、
    前記研磨部が、前記ウェーハを一枚ずつ供給する供給部と研磨したウェーハを一枚ずつ排出する排出部とを結ぶ移送経路の両側に配されて複数設けられ、
    前記研磨面と所定の間隔をおいて位置させた前記保持部の下方へ進退可能に設けられ、保持部との間で被研磨面側を下向きにして、かつ被研磨面を傷つけないでウェーハの受け渡しを行う受け部材を備え、
    前記供給部から前記排出部への移送経路の中途位置に配され、前記供給部、前記排出部、前記複数の研磨部および前記受け部材の各部の所定位置へ進退可能に届くとともにウェーハの上下面のどちら側からもウェーハを保持可能に設けられたアームの先端でウェーハを保持して移送する移送手段を具備することを特徴とするウェーハの研磨装置。
  2. 前記研磨部が前記移送経路の両側に2個ずつ配されて総計で4個設けられ、該各研磨部と前記移送手段とが等距離に配され、前記受け部材が、前記移送経路の一方側および他方側で隣接する前記保持部の下方へそれぞれ進退可能に、両保持部間について揺動可能に設けられ、隣接する保持部間にウェーハを受け渡し可能に設けられていることを特徴とする請求項1記載のウェーハの研磨装置。
  3. 前記受け部材が、前記保持部からウェーハを傷つけないように受け取るブラシを有することを特徴とする請求項1または2記載のウェーハの研磨装置。
  4. 前記受け部材が、昇降可能で上昇した際に前記保持部からウェーハを傷つけないように受け取るブラシと、該ブラシが下降した際にウェーハを位置決めする位置決めピンと、純水を噴霧してウェーハの被研磨面や保持部のウェーハ吸着面に純水を噴霧するノズルとを備えることを特徴とする請求項1または2記載のウェーハの研磨装置。
  5. 前記移送手段が、垂直多関節ロボットであることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載のウェーハの研磨装置。
  6. 前記請求項1、2、3、4又は5記載のウェーハの研磨装置を複数、前工程側の前記排出部と後工程側の前記供給部とを連続的に配し、連結したことを特徴とするウェーハの研磨装置システム。
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