以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1(a)および図1(b)は、基板の一例であるウェハの断面図である。より詳しくは、図1(a)はいわゆるストレート型のウェハの断面図であり、図1(b)はいわゆるラウンド型のウェハの断面図である。本明細書では、ウェハ(基板)の表面とは、デバイスおよび配線(回路)が形成されている平坦な面をいい、ウェハ(基板)の裏面とは、デバイスおよび配線(回路)が形成されている面とは反対側の平坦な面をいう。ウェハの最外周面はベベル部と呼ばれる。ウェハの表面および裏面はベベル部の半径方向内側にある平坦な面である。
ウェハ裏面は、中心側領域と外周側領域とから構成される。中心側領域はウェハの中心を含む領域であり、外周側領域は中心側領域の半径方向外側に位置する領域である。中心側領域と外周側領域とは互いに隣接し、中心側領域と外周側領域とを組み合わせた領域は、ウェハの裏面全体に及ぶ。中心側領域は外周側領域に囲まれる。外周側領域はベベル部に隣接する。一例として、外周側領域の幅は十数ミリの円環状の領域であり、中心側領域はその内側の円形の領域である。
図2は、本発明の一実施形態に係る研磨装置を示す平面図である。この研磨装置は、基板の一例であるウェハを多段研磨し、洗浄し、乾燥させる一連の工程を行うことができる多段研磨装置である。図2に示すように、研磨装置は、略矩形状のハウジング2を備えており、ハウジング2の内部は隔壁2a,2b,2cによってロード/アンロード部1と、裏面研磨部3と、CMP部9と、洗浄部10とに区画されている。研磨装置は、処理動作を制御する動作制御部4を有している。ロード/アンロード部1、裏面研磨部3、およびCMP部9は、この順に直列に配列されており、裏面研磨部3は、ロード/アンロード部1とCMP部9との間に配置されている。
ロード/アンロード部1は、多数のウェハ(基板)を内部に収容したウェハカセットが載置される複数のロードポート5を備えている。このロード/アンロード部1には、ロードポート5の並びに沿って移動可能なローダー(搬送ロボット)6が設置されている。ローダー6はロードポート5に搭載されたウェハカセット内のウェハにアクセスできるようになっている。さらに、ローダー6は、ウェハを反転させることができるように構成されている。
裏面研磨部3は、ウェハの裏面の外周側領域を研磨するための外周側裏面研磨ユニット7と、ウェハの裏面の中心側領域を研磨するための中心側裏面研磨ユニット8を備えている。裏面研磨部3には、裏面が研磨されたウェハを洗浄するための洗浄ユニット70と、外周側裏面研磨ユニット7、中心側裏面研磨ユニット8、および洗浄ユニット70との間でウェハを搬送する搬送ロボット63とが配置されている。
さらに、2つの仮置き台65,66と、研磨されたウェハを乾燥させるための乾燥ユニット90と、洗浄部10で洗浄されたウェハを仮置き台66に搬送するための搬送ロボット64が、裏面研磨部3内に配置されている。搬送ロボット64は、洗浄部10と仮置き台66との間に配置されている。仮置き台65は、ローダー6と搬送ロボット63との間に配置されている。ローダー6と搬送ロボット63との間でのウェハの受け渡しは、仮置き台65を介して行われる。
ウェハの裏面研磨は、ウェハの裏面の外周側領域を研磨する工程と、ウェハの裏面の中心側領域を研磨する工程とから構成される。図3は、ウェハの裏面の外周側領域を研磨するための外周側裏面研磨ユニット7を示す模式図である。この外周側裏面研磨ユニット7は、ウェハ(基板)Wを保持して回転させる第1基板保持部12と、第1基板保持部12に保持されているウェハWの裏面に研磨具を押し当てる第1研磨ヘッド14とを備えている。第1基板保持部12は、ウェハWを真空吸着により保持する基板ステージ17と、基板ステージ17を回転させるステージモータ19とを備えている。
ウェハWはその裏面が下向きの状態で基板ステージ17上に載置される。基板ステージ17の上面には溝17aが形成されており、この溝17aは真空ライン20に連通している。真空ライン20は図示しない真空源(例えば真空ポンプ)に接続されている。真空ライン20を通じて基板ステージ17の溝17aに真空が形成されると、ウェハWは真空吸着により基板ステージ17上に保持される。この状態でステージモータ19は基板ステージ17を回転させ、ウェハWをその軸心を中心に回転させる。基板ステージ17の直径はウェハWの直径よりも小さく、ウェハWの裏面の中心側領域は基板ステージ17によって保持される。ウェハWの裏面の外周側領域は、基板ステージ17から外側にはみ出している。
第1研磨ヘッド14は、基板ステージ17に隣接して配置されている。より具体的には、第1研磨ヘッド14は、露出している外周側領域に対向して配置されている。第1研磨ヘッド14は、研磨具としての研磨テープ22を支持する複数のローラー23と、研磨テープ22をウェハWの裏面に押し付ける押圧部材24と、押圧部材24に押圧力を付与するアクチュエータとしてのエアシリンダ25とを備えている。エアシリンダ25は押圧部材24に押圧力を与え、これにより押圧部材24は研磨テープ22をウェハWの裏面に押し付ける。なお、研磨具として、研磨テープに代えて砥石を用いてもよい。
研磨テープ22の一端は繰り出しリール31に接続され、他端は巻取りリール32に接続されている。研磨テープ22は、繰り出しリール31から第1研磨ヘッド14を経由して巻取りリール32に所定の速度で送られる。使用される研磨テープ22の例としては、表面に砥粒が固定されたテープ、または硬質の不織布からなるテープなどが挙げられる。第1研磨ヘッド14は、研磨ヘッド移動機構35に連結されている。この研磨ヘッド移動機構35は、第1研磨ヘッド14をウェハWの半径方向外側に移動させるように構成されている。研磨ヘッド移動機構35は、例えばボールねじとサーボモータとの組み合わせから構成される。
基板ステージ17に保持されたウェハWの上方および下方には、ウェハWに研磨液を供給する液体供給ノズル37,38が配置されている。研磨液としては、純水が好ましく使用される。これは、エッチング作用のある化学成分を含む薬液を使用すると、裏面に形成されている凹部が広がってしまうことがあるからである。
ウェハWの裏面の外周側領域は次のようにして研磨される。基板ステージ17に保持されたウェハWをその軸心を中心としてステージモータ19により回転させ、回転するウェハWの表面および裏面に液体供給ノズル37,38から研磨液を供給する。この状態で、第1研磨ヘッド14は研磨テープ22をウェハWの裏面に押し付ける。研磨テープ22はウェハWの裏面の外周側領域に摺接し、これにより外周側領域を研磨する。研磨ヘッド移動機構35は、第1研磨ヘッド14が研磨テープ22をウェハWの裏面に押し付けながら、図4の矢印に示すように、第1研磨ヘッド14をウェハWの半径方向外側に所定の速度で移動させる。このようにして、ウェハWの裏面の外周側領域全体が研磨テープ22によって研磨される。研磨中、研磨液はウェハWの内側から外側に流れ、研磨屑は研磨液によってウェハWから除去される。
図2に示すように、搬送ロボット63は、外周側裏面研磨ユニット7と中心側裏面研磨ユニットの近くに配置されている。この搬送ロボット63は、ウェハWを反転させることができるように構成されている。ウェハWの裏面の外周側領域が研磨された後、ウェハWは搬送ロボット63により外周側裏面研磨ユニット7から取り出される。搬送ロボット63はウェハWを反転させてその裏面を上向きにし、そして、ウェハWを以下に説明する中心側裏面研磨ユニット8に搬送する。
図5は、ウェハWの裏面の中心側領域を研磨するための中心側裏面研磨ユニット8を示す模式図であり、図6は中心側裏面研磨ユニット8の平面図である。中心側裏面研磨ユニット8は、ウェハWを保持して回転させる第2基板保持部42と、ウェハWの裏面に研磨具44を押し付ける第2研磨ヘッド46とを備えている。第2基板保持部42は、ウェハWのベベル部を保持する複数のチャック48と、これらチャック48をウェハWの軸心を中心に回転させる中空モータ51とを備えている。各チャック48はその上端にクランプ49を備えており、このクランプ49によりウェハWのベベル部が把持される。クランプ49がウェハWのベベル部を把持した状態で中空モータ51によってチャック48を回転させることにより、図6の矢印Aで示すようにウェハWがその軸心を中心に回転する。
中心側裏面研磨ユニット8では、ウェハWはその裏面が上向きの状態で第2基板保持部42により保持される。チャック48に保持されたウェハWの表面(裏面とは反対側の面)は、基板支持部52によって支持されている。この基板支持部52は、連結部材53によって中空モータ51に連結されており、中空モータ51によって基板支持部52は第2基板保持部42と一体に回転するようになっている。基板支持部52は、ウェハWの表面に接触する円形の上面を有している。この基板支持部52の上面は、不織布またはバッキングフィルムなどの弾性材からなるシートから構成されおり、ウェハWの表面に形成されているデバイスにダメージを与えないようになっている。基板支持部52は、単にウェハWの表面を支えているのみであり、ウェハWを真空吸着などで保持はしていない。ウェハWと基板支持部52は一体に回転し、両者の相対速度は0である。
第2研磨ヘッド46は、ウェハWの上方に配置されており、研磨具44をウェハWの裏面に押し付ける。使用される研磨具44の例としては、砥粒が表面に固定された不織布、硬質の不織布、砥石、または上述した外周側裏面研磨ユニット7で使用される研磨テープなどが挙げられる。例えば、研磨具44は、第2研磨ヘッド46の軸心のまわりに配列された複数の研磨テープから構成してもよい。
第2研磨ヘッド46は、ヘッドアーム55によって支持されている。このヘッドアーム55には図示しない回転装置が内蔵されており、この回転装置によって第2研磨ヘッド46は矢印Bで示すようにその軸心を中心に回転する。ヘッドアーム55の端部は揺動軸56に固定されている。この揺動軸56はモータなどの駆動機57に連結されている。駆動機57により揺動軸56を所定の角度で回転させることにより、第2研磨ヘッド46はウェハWの上方の研磨位置とウェハWの外側の待機位置との間を移動する。
第2研磨ヘッド46に隣接して、ウェハWの裏面に研磨液を供給する液体供給ノズル61が配置されている。研磨液としては、純水が好ましく使用される。
ウェハWの中心側領域は次のようにして研磨される。ウェハWの裏面が上向きの状態でウェハWのベベル部がチャック48によって保持される。ウェハWをその軸心を中心に中空モータ51により回転させ、回転するウェハWの裏面に液体供給ノズル61から研磨液を供給する。この状態で、第2研磨ヘッド46は研磨具44を回転させながら、研磨具44をウェハWの裏面中心を含む中心側領域に押し付ける。研磨具44は中心側領域と摺接し、これにより中心側領域を研磨する。研磨中は、研磨具44がウェハWの中心に接触した状態を保ちながら、第2研磨ヘッド46をウェハWの略半径方向に揺動させてもよい。このようにして、ウェハWの裏面の中心側領域が研磨具44によって研磨される。研磨中、研磨液はウェハWの内側から外側に流れ、研磨屑は研磨液によってウェハWから除去される。
外周側領域および中心側領域を含む裏面の全体は、外周側裏面研磨ユニット7および中心側裏面研磨ユニット8によって研磨される。上述した実施形態では、ウェハWの裏面の外周側領域が先に研磨され、その後に裏面の中心側領域が研磨される。一実施形態では、ウェハWの裏面の中心側領域を研磨した後に、裏面の外周側領域を研磨してもよい。
裏面の中心側領域が研磨された後、ウェハWは搬送ロボット63により中心側裏面研磨ユニット8から取り出される。搬送ロボット63はウェハWを反転させてその裏面を下向きにし、そして、ウェハWを以下に説明する洗浄ユニット70に搬送する。
図7は、洗浄ユニット70を示す斜視図である。図7に示すように、洗浄ユニット70は、ウェハWを保持して回転させる4つの保持ローラー71,72,73,74と、ウェハWの表面および裏面に接触するロールスポンジ(スクラブ洗浄具)77,78と、これらのロールスポンジ77,78を回転させる回転装置80,81と、ウェハWの表面および裏面に純水を供給する純水供給ノズル85,86と、ウェハWの表面および裏面に薬液を供給する薬液供給ノズル87,88とを備えている。保持ローラー71,72,73,74のうちの2つは、図示しない駆動機構(例えばエアシリンダ)によって、ウェハWに近接および離間する方向に移動可能となっている。
上側のロールスポンジ77を回転させる回転装置80は、その上下方向の動きをガイドするガイドレール89に取り付けられている。また、この回転装置80は昇降装置82に支持されており、回転装置80および上側のロールスポンジ77は昇降装置82により上下方向に移動されるようになっている。なお、図示しないが、下側のロールスポンジ78を回転させる回転装置81もガイドレールに支持されており、昇降装置によって回転装置81および下側のロールスポンジ78が上下動するようになっている。なお、昇降装置82としては、例えばボールねじを用いたモータ駆動機構、またはエアシリンダが使用される。ウェハWの洗浄時には、ロールスポンジ77,78は互いに近接する方向に移動してウェハWの表面および裏面にそれぞれ接触する。
ウェハWの洗浄は次のようにして行われる。ウェハWは、その表面(デバイスが形成された面)が上を向いた状態で、保持ローラー71,72,73,74に保持され、回転される。次いで、薬液供給ノズル87,88からウェハWの表面および裏面に薬液が供給される。この状態で、ロールスポンジ77,78がその水平に延びる軸心周りに回転してウェハWの表面および裏面に摺接することによって、ウェハWの表面および裏面をスクラブ洗浄する。スクラブ洗浄後、ロールスポンジ77,78を上方及び下方に移動させ、純水供給ノズル85,86からそれぞれウェハWの表面および裏面に純水を供給し、ウェハWの表面および裏面をリンスする。
図8は、乾燥ユニット90を示す斜視図である。乾燥ユニット90は、ウェハWを保持して回転させる基板保持部91と、IPAノズル92および純水ノズル93と、これらIPAノズル92および純水ノズル93を保持するノズルアーム94とを備えている。IPAノズル92は、ウェハWの表面にIPA蒸気(イソプロピルアルコールとN2ガスとの混合気)を供給するためのものであり、純水ノズル93はウェハWの表面の乾燥を防ぐために純水を供給するものである。これらIPAノズル92および純水ノズル93はウェハWの半径方向に沿って移動可能に構成されている。
基板保持部91は、ウェハWの周縁部を保持する複数の(図8では4つの)チャック95を備えており、これらチャック95でウェハWを水平に保持する。チャック95にはモータ98が連結されており、チャック95に保持されたウェハWはモータ98によってその軸心まわりに回転する。
ノズルアーム94はウェハWの上方に配置されている。ノズルアーム94の一端には純水ノズル93およびIPAノズル92が互いに隣接して配置され、ノズルアーム94の他端には旋回軸100が連結されている。この旋回軸100にはノズルアーム94を旋回させるアーム回転装置としてのモータ101が連結されている。アーム回転装置は、モータ101に加えて、減速ギヤなどを備えてもよい。モータ101は、旋回軸100を所定の角度だけ回転させることにより、ノズルアーム94をウェハWの表面と平行な平面内で旋回させるようになっている。したがって、ノズルアーム94の旋回により、これに固定された純水ノズル93およびIPAノズル92がウェハWの半径方向外側に移動する。
ウェハWの乾燥は次のようにして行われる。ウェハWは、その表面(デバイスが形成された面)が上を向いた状態で、基板保持部91に保持される。基板保持部91によりウェハWを回転させ、純水ノズル93およびIPAノズル92をウェハWの中心部の上方位置に移動させる。そして、IPAノズル92からIPA蒸気を、純水ノズル93から純水をウェハWの表面に向かって供給しながら、図9に示すように、純水ノズル93およびIPAノズル92をウェハWの半径方向にウェハWの中心から外側に移動させる。純水ノズル93はIPAノズル92の前方に位置している。したがって、IPAノズル92は純水ノズル93と同じ軌跡を描いて純水ノズル93の後を追って移動する。このようにしてウェハWの表面が乾燥される。その後、ウェハWを高速回転させ、ウェハWの裏面に付着している純水を振り落とす。このとき、ガスノズル(図示せず)から乾燥気体をウェハWの裏面に吹き付けてもよい。
上述した乾燥ユニット90はIPAを用いた乾燥機であるが、他のタイプの洗浄機を用いてもよい。例えば、ウェハを高速で回転させるスピンドライタイプの乾燥機を使用することもできる。
CMP部9は、デバイスが形成されているウェハの表面を化学機械的に研磨する領域である。このCMP部9は、第1CMPユニット111A、第2CMPユニット111B、第3CMPユニット111C、および第4CMPユニット111Dを備えている。第1CMPユニット111Aは、研磨面を有する研磨パッド112が取り付けられた第1研磨テーブル114Aと、ウェハを保持しかつウェハを第1研磨テーブル114A上の研磨パッド112に押圧するための第1トップリング116Aと、研磨パッド112に研磨液(スラリー)を供給するための第1研磨液供給ノズル118Aとを備えている。
同様に、第2CMPユニット111Bは、研磨パッド112が取り付けられた第2研磨テーブル114Bと、第2トップリング116Bと、第2研磨液供給ノズル118Bとを備えており、第3CMPユニット111Cは、研磨パッド112が取り付けられた第3研磨テーブル114Cと、第3トップリング116Cと、第3研磨液供給ノズル118Cとを備えており、第4CMPユニット111Dは、研磨パッド112が取り付けられた第4研磨テーブル114Dと、第4トップリング116Dと、第4研磨液供給ノズル118Dとを備えている。
第1CMPユニット111Aおよび第2CMPユニット111Bに隣接して、第1リニアトランスポータ121が配置されている。この第1リニアトランスポータ121は、4つの搬送位置(第1搬送位置TP1、第2搬送位置TP2、第3搬送位置TP3、第4搬送位置TP4)の間でウェハを搬送する機構である。また、第3CMPユニット111Cおよび第4CMPユニット111Dに隣接して、第2リニアトランスポータ122が配置されている。この第2リニアトランスポータ122は、3つの搬送位置(第5搬送位置TP5、第6搬送位置TP6、第7搬送位置TP7)の間でウェハを搬送する機構である。
裏面研磨部3に配置された搬送ロボット63は、第1搬送位置TP1に隣接している。CMP部9で研磨されるウェハは、搬送ロボット63によって第1リニアトランスポータ121に渡される。第1リニアトランスポータ121と搬送ロボット63との間に位置して、シャッタ(図示せず)が隔壁2bに設けられている。ウェハの搬送時にはシャッタが開かれて搬送ロボット63が第1リニアトランスポータ121にウェハを渡すことができるようになっている。
ウェハは、その表面(デバイスが形成された面)が下を向くように搬送ロボット63によって反転される。反転されたウェハは、搬送ロボット63から第1リニアトランスポータ121に渡される。第1リニアトランスポータ121は、第1搬送位置TP1でウェハを受け取る。ウェハは、第1リニアトランスポータ121によって第1CMPユニット111Aおよび/または第2CMPユニット111Bに搬送される。第1CMPユニット111Aのトップリング116Aは、そのスイング動作により第1研磨テーブル114Aの上方位置と第2搬送位置TP2との間を移動する。したがって、第1リニアトランスポータ121とトップリング116Aとの間でのウェハの受け渡しは第2搬送位置TP2で行われる。
同様に、第2CMPユニット111Bのトップリング116Bは研磨テーブル114Bの上方位置と第3搬送位置TP3との間を移動し、第1リニアトランスポータ121とトップリング116Bとの間でのウェハの受け渡しは第3搬送位置TP3で行われる。第3CMPユニット111Cのトップリング116Cは研磨テーブル114Cの上方位置と第6搬送位置TP6との間を移動し、第2リニアトランスポータ122とトップリング116Cとの間でのウェハの受け渡しは第6搬送位置TP6で行われる。第4CMPユニット111Dのトップリング116Dは研磨テーブル114Dの上方位置と第7搬送位置TP7との間を移動し、第2リニアトランスポータ122とトップリング116Dとの間でのウェハの受け渡しは第7搬送位置TP7で行われる。
第1リニアトランスポータ121と、第2リニアトランスポータ122と、洗浄部10との間にはスイングトランスポータ130が配置されている。ウェハは、スイングトランスポータ130によって第1リニアトランスポータ121から第2リニアトランスポータ122に搬送される。ウェハは、第2リニアトランスポータ122によって第3CMPユニット111Cおよび/または第4CMPユニット111Dに搬送される。
スイングトランスポータ130の側方には、図示しないフレームに設置されたバッファステーション133が配置されている。このバッファステーション133は、CMP部9と洗浄部10との間に位置している。スイングトランスポータ130は、第4搬送位置TP4、第5搬送位置TP5、およびバッファステーション133の間でウェハを搬送することができるように構成されている。さらに、スイングトランスポータ130は、ウェハを反転させることができるように構成されている。
第1CMPユニット111A、第2CMPユニット111B、第3CMPユニット111C、および第4CMPユニット111Dは同一の構成を有している。したがって、以下、第1CMPユニット111Aについて説明する。図10は、第1CMPユニット111Aを示す斜視図である。図10に示すように、第1CMPユニット111Aは、研磨パッド112を支持する研磨テーブル114Aと、ウェハWを研磨パッド112に押し付けるトップリング116Aと、研磨パッド112に研磨液(スラリー)を供給するための研磨液供給ノズル118Aとを備えている。
研磨テーブル114Aは、テーブル軸115を介してその下方に配置されるテーブルモータ117に連結されており、このテーブルモータ117により研磨テーブル114Aが矢印で示す方向に回転されるようになっている。研磨パッド112は研磨テーブル114Aの上面に貼付されており、研磨パッド112の上面がウェハWを研磨する研磨面112aを構成している。トップリング116Aはトップリングシャフト119の下端に固定されている。トップリング116Aは、その下面に真空吸着によりウェハWを保持できるように構成されている。
ウェハWの表面の研磨は次のようにして行われる。トップリング116Aおよび研磨テーブル114Aをそれぞれ矢印で示す方向に回転させ、研磨液供給ノズル118Aから研磨パッド112上に研磨液(スラリー)を供給する。この状態で、トップリング116AによりウェハWの表面(デバイスが形成された面)を研磨パッド112の研磨面112aに押し付ける。ウェハWの表面は、研磨液に含まれる砥粒の機械的作用と研磨液の化学成分の化学的作用により研磨される。
図2に示すように、CMPユニット111A〜111Dに隣接して、洗浄部10が配置されている。この洗浄部10は、洗浄ユニット120、洗浄ユニット123、洗浄ユニット127、および仮置き台131を備えている。洗浄ユニット120と洗浄ユニット123との間には搬送ロボット126が配置され、洗浄ユニット123と洗浄ユニット127との間には搬送ロボット128が配置され、洗浄ユニット127と仮置き台131との間には搬送ロボット129が配置されている。洗浄ユニット120、搬送ロボット126、洗浄ユニット123、搬送ロボット128、洗浄ユニット127、搬送ロボット129、および仮置き台131は、この順に直列に並んでいる。搬送ロボット128は、バッファステーション133の近くに配置されている。
洗浄ユニット120および洗浄ユニット123は洗浄ユニット70と同一の構成を有しているので、その説明を省略する。洗浄ユニット127としては、ペンスポンジタイプの洗浄機または2流体ジェット洗浄機を使用することができる。図11は、ペンスポンジタイプの洗浄ユニット127を示す斜視図である。図11に示すように、この洗浄ユニット127は、ウェハWを保持して回転させる基板保持部141と、ペンスポンジ142と、ペンスポンジ142を保持するアーム144と、ウェハWの表面に純水を供給する純水供給ノズル146と、ウェハWの表面に薬液を供給する薬液供給ノズル147とを備えている。ペンスポンジ142は、アーム144内に配置された回転装置(図示せず)に連結されており、ペンスポンジ142は鉛直方向に延びる中心軸線まわりに回転されるようになっている。
基板保持部141は、ウェハWの周縁部を保持する複数の(図11では4つの)チャック145を備えており、これらチャック145でウェハWを水平に保持する。チャック145にはモータ148が連結されており、チャック145に保持されたウェハWはモータ148によってその軸心まわりに回転する。
アーム144はウェハWの上方に配置されている。アーム144の一端にはペンスポンジ142が連結され、アーム144の他端には旋回軸150が連結されている。この旋回軸150にはアーム144を旋回させるアーム回転装置としてのモータ151が連結されている。アーム回転装置は、モータ151に加えて、減速ギヤなどを備えてもよい。モータ151は、旋回軸150を所定の角度だけ回転させることにより、アーム144をウェハWの表面と平行な平面内で旋回させるようになっている。したがって、アーム144の旋回により、これに支持されたペンスポンジ142がウェハWの半径方向外側に移動する。
ウェハWは次のようにして洗浄される。ウェハWは、その表面(デバイスが形成された面)が上を向いた状態で、基板保持部141のチャック145に保持される。基板保持部141は、ウェハWをその軸心まわりに回転させる。次いで、薬液供給ノズル147からウェハWの表面に薬液が供給される。この状態で、ペンスポンジ142がその鉛直に延びる軸心周りに回転しながらウェハWの表面に摺接し、さらにウェハWの半径方向に揺動する。薬液の存在下でペンスポンジ142がウェハWの表面に摺接することにより、ウェハWがスクラブ洗浄される。スクラブ洗浄後、純水供給ノズル146からウェハWの表面に純水が供給され、これによりウェハWがリンスされる。
上述したように、洗浄ユニット127として2流体ジェット洗浄機を使用してもよい。2流体ジェット洗浄機は、少量のCO2ガス(炭酸ガス)を溶解させた純水(DIW)とN2ガスとを混合し、その混合流体をウェハの表面に吹き付ける洗浄機である。このタイプの洗浄機は、微小な液滴と衝撃エネルギーでウェハ上の微小なパーティクルを除去することができる。特に、N2ガスの流量および純水の流量を適切に調整することにより、ダメージのないウェハ洗浄を実現することができる。さらに、炭酸ガスを溶解させた純水を用いることにより、静電気が原因とされるウェハの腐食の影響が緩和される。
洗浄部10の動作は次の通りである。搬送ロボット128は、バッファステーション133上に載置されているウェハ(研磨されたウェハ)を取り出し、洗浄ユニット123の下方に配置された仮置き台(図示せず)にウェハを置く。搬送ロボット126は、この仮置き台からウェハを取り出し、洗浄ユニット120に搬送する。ウェハは洗浄ユニット120によって洗浄される。搬送ロボット126は、ウェハを洗浄ユニット120から洗浄ユニット123に搬送する。ウェハは洗浄ユニット123によってさらに洗浄される。搬送ロボット128は、ウェハを洗浄ユニット123から洗浄ユニット127に搬送する。ウェハは洗浄ユニット127によってさらに洗浄される。搬送ロボット129は、ウェハを洗浄ユニット127から仮置き台131に搬送する。
上述したローダー6、搬送ロボット63、第1リニアトランスポータ121、第2リニアトランスポータ122、スイングトランスポータ130、搬送ロボット126、搬送ロボット128、搬送ロボット129、および搬送ロボット64は、ウェハを搬送する搬送システムを構成する。この搬送システムおよび上述した各ユニットの動作は、動作制御部4によって制御される。
次に、上述した研磨装置を用いてウェハを研磨するときのウェハの搬送ルートについて図12を参照して説明する。図12は、研磨装置内を搬送されるウェハの搬送ルートの一例を示す図である。図12に示す搬送ルートは、ウェハをCMPユニット111A,111B、洗浄ユニット120,123,127、裏面研磨ユニット7,8、洗浄ユニット70、乾燥ユニット90の順に搬送するルートである。この搬送ルートは動作制御部4に予め記憶されている。
複数(例えば25枚)のウェハは、その表面が上を向いた状態で、ロードポート5上のウェハカセット内に収容されている。ローダー6は、ウェハカセットから1枚のウェハを取り出し、仮置き台65の上にウェハを載置する。搬送ロボット63は、仮置き台65からウェハを取り出し、ウェハの表面が下を向くようにウェハを反転させる。搬送ロボット63は、さらに、ウェハを第1リニアトランスポータ121に搬送する。
第1リニアトランスポータ121は、反転されたウェハを第1搬送位置TP1で受け取り、ウェハを第2搬送位置TP2に搬送する。第1CMPユニット111Aの第1トップリング116Aは、第2搬送位置TP2にあるウェハを保持し、ウェハを第1研磨テーブル114Aの上方位置に搬送する。そして第1トップリング116Aは、回転する第1研磨テーブル114A上の研磨パッド112にウェハの表面を押し付けてウェハの表面を研磨する。
研磨されたウェハは、第1トップリング116Aによって第2搬送位置TP2に戻され、さらに第1リニアトランスポータ121によって第2搬送位置TP2から第3搬送位置TP3に搬送される。第2CMPユニット111Bの第2トップリング116Bは、第3搬送位置TP3にあるウェハを保持し、ウェハを第2研磨テーブル114Bの上方位置に搬送する。そして第2トップリング116Bは、回転する第2研磨テーブル114B上の研磨パッド112にウェハの表面を押し付けてウェハの表面をさらに研磨する。
研磨されたウェハは、第2トップリング116Bによって第3搬送位置TP3に戻され、さらに第1リニアトランスポータ121によって第3搬送位置TP3から第4搬送位置TP4に搬送される。ウェハは、スイングトランスポータ130によって第4搬送位置TP4から取り出され、研磨された表面が上を向くようにスイングトランスポータ130によってウェハが反転される。さらに、ウェハは、スイングトランスポータ130によってバッファステーション133の上に載置される。
ウェハは、搬送ロボット128によってバッファステーション133から洗浄ユニット123の下方にある仮置き台(図示せず)に搬送される。搬送ロボット126は、洗浄ユニット123の下方にある仮置き台からウェハを取り出し、洗浄ユニット120に搬送する。ウェハは、洗浄ユニット120によって洗浄される。搬送ロボット126は、ウェハを洗浄ユニット120から洗浄ユニット123に搬送する。ウェハは、洗浄ユニット123によってさらに洗浄される。搬送ロボット128は、ウェハを洗浄ユニット123から洗浄ユニット127に搬送する。ウェハは、洗浄ユニット127によってさらに洗浄される。搬送ロボット129は、ウェハを洗浄ユニット127から仮置き台131に搬送する。
搬送ロボット64は、仮置き台131からウェハを取り出し、仮置き台66にウェハを置く。搬送ロボット63は、ウェハを仮置き台66から外周側裏面研磨ユニット7に搬送する。外周側裏面研磨ユニット7は、図3および図4を参照して説明したように、ウェハの裏面の外周側領域を研磨する。搬送ロボット63は、ウェハを外周側裏面研磨ユニット7から取り出し、ウェハの裏面が上を向くようにウェハを反転させる。そして、搬送ロボット63は、ウェハを中心側裏面研磨ユニット8に搬送する。中心側裏面研磨ユニット8は、図5および図6を参照して説明したように、ウェハの裏面の中心側領域を研磨する。このようにして、ウェハの裏面の全体が裏面研磨ユニット7,8によって研磨される。
裏面が研磨されたウェハは、搬送ロボット63によって中心側裏面研磨ユニット8から取り出され、ウェハの裏面が下を向くようにウェハが反転される。搬送ロボット63は、ウェハを洗浄ユニット70に搬送し、ここでウェハの表面および裏面が洗浄される。洗浄されたウェハは、搬送ロボット63によって乾燥ユニット90に搬送され、ここでウェハが乾燥される。乾燥されたウェハは、ローダー6によって乾燥ユニット90からウェハカセットの元の位置に戻される。このようにして、ウェハの表面研磨、洗浄、裏面研磨、洗浄、乾燥がこの順に行われる。
図13は、研磨装置内を搬送されるウェハの搬送ルートの他の例を示す図である。この搬送ルートも同様に、動作制御部4に予め記憶されている。図13に示す搬送ルートが図12に示す搬送ルートと異なる点は、CMPユニット111A,111Bに代えて、CMPユニット111C,111Dにウェハが搬送される点である。すなわち、第1リニアトランスポータ121は、反転されたウェハを搬送ロボット63から受け取り、ウェハを第1搬送位置TP1から第4搬送位置TP4に搬送する。スイングトランスポータ130は、ウェハを第4搬送位置TP4から第2リニアトランスポータ122の第5搬送位置TP5に搬送する。第2リニアトランスポータ122は、ウェハをさらに第5搬送位置TP5から第6搬送位置TP6に搬送する。
第3CMPユニット111Cの第3トップリング116Cは、第6搬送位置TP6にあるウェハを保持し、ウェハを第3研磨テーブル114Cの上方位置に搬送する。そして第3トップリング116Cは、回転する第3研磨テーブル114C上の研磨パッド112にウェハの表面を押し付けてウェハの表面を研磨する。研磨されたウェハは、第3トップリング116Cによって第6搬送位置TP6に戻され、さらに第2リニアトランスポータ122によって第6搬送位置TP6から第7搬送位置TP7に搬送される。第4CMPユニット111Dの第4トップリング116Dは、第7搬送位置TP7にあるウェハを保持し、ウェハを第4研磨テーブル114Dの上方位置に搬送する。そして第4トップリング116Dは、回転する第4研磨テーブル114D上の研磨パッド112にウェハの表面を押し付けてウェハの表面をさらに研磨する。
研磨されたウェハは、第4トップリング116Dによって第7搬送位置TP7に戻され、さらに第2リニアトランスポータ122によって第7搬送位置TP7から第5搬送位置TP5に搬送される。ウェハは、スイングトランスポータ130によって第5搬送位置TP5から取り出され、研磨された表面が上を向くようにスイングトランスポータ130によってウェハが反転される。さらに、ウェハは、スイングトランスポータ130によってバッファステーション133の上に載置される。バッファステーション133上に載置された後のウェハの流れは、図12に示す搬送ルートと同じであるので、その重複する説明を省略する。
図14は、研磨装置内を搬送されるウェハの搬送ルートの他の例を示す図である。この搬送ルートは、ウェハを裏面研磨ユニット7,8、洗浄ユニット70、CMPユニット111A,111B、洗浄ユニット120,123,127、乾燥ユニット90の順に搬送するルートである。図14に示す搬送ルートは動作制御部4に予め記憶されている。
ローダー6は、ウェハカセットから1枚のウェハを取り出し、仮置き台65の上にウェハを載置する。搬送ロボット63は、仮置き台65からウェハを取り出し、ウェハを外周側裏面研磨ユニット7に搬送する。外周側裏面研磨ユニット7は、図3および図4を参照して説明したように、ウェハの裏面の外周側領域を研磨する。搬送ロボット63は、ウェハを外周側裏面研磨ユニット7から取り出し、ウェハの裏面が上を向くようにウェハを反転させる。そして、搬送ロボット63は、ウェハを中心側裏面研磨ユニット8に搬送する。中心側裏面研磨ユニット8は、図5および図6を参照して説明したように、ウェハの裏面の中心側領域を研磨する。このようにして、ウェハの裏面の全体が裏面研磨ユニット7,8によって研磨される。
裏面が研磨されたウェハは、搬送ロボット63によって中心側裏面研磨ユニット8から取り出され、ウェハの表面が上を向くようにウェハが反転される。搬送ロボット63は、ウェハを洗浄ユニット70に搬送し、ここでウェハの表面および裏面が洗浄される。洗浄されたウェハは、搬送ロボット63によって洗浄ユニット70から取り出され、ウェハの表面が下を向くようにウェハが反転される。さらに、ウェハは、搬送ロボット63によってCMP部9の第1リニアトランスポータ121に搬送される。CMP部9および洗浄部10でのウェハの流れは、図12に示す搬送ルートと同じであるので、その重複する説明を省略する。
洗浄部10で洗浄されたウェハは、搬送ロボット64によって仮置き台66に搬送される。さらに、ウェハは、搬送ロボット63によって仮置き台66から乾燥ユニット90に搬送され、ここでウェハが乾燥される。乾燥されたウェハは、ローダー6によって乾燥ユニット90からウェハカセットの元の位置に戻される。このようにして、ウェハの裏面研磨、洗浄、表面研磨、洗浄、乾燥がこの順に行われる。
図15は、研磨装置内を搬送されるウェハの搬送ルートの他の例を示す図である。図15に示す搬送ルートが図14に示す搬送ルートと異なる点は、CMPユニット111A,111Bに代えて、CMPユニット111C,111Dにウェハが搬送される点である。その他のウェハの流れは図14に示す搬送ルートと同じであるので、その重複する説明を省略する。図15に示す搬送ルートも同様に動作制御部4に予め記憶されている。
図16は、研磨装置内を搬送されるウェハの搬送ルートの他の例を示す図である。図16に示すように、ウェハは、裏面研磨部3に搬送されるが、CMP部9および洗浄部10には搬送されない。したがって、ウェハの表面は研磨されない。図16に示す搬送ルートによれば、ウェハは、裏面研磨ユニット7,8、洗浄ユニット70、乾燥ユニット90の順に搬送される。図16に示す搬送ルートも同様に、動作制御部4に予め記憶されている。
上述した図12乃至図16に示す搬送ルートでは、ウェハは、外周側裏面研磨ユニット7に搬送され、次いで中心側裏面研磨ユニット8に搬送されるが、ウェハを中心側裏面研磨ユニット8に先に搬送し、次いでウェハを外周側裏面研磨ユニット7に搬送してもよい。この場合は、搬送ロボット63は、ウェハを中心側裏面研磨ユニット8に搬送する前に、裏面が上を向くようにウェハを反転させる。
図17は、研磨装置内を搬送されるウェハの搬送ルートの他の例を示す図である。図17に示すように、ウェハは、CMP部9および洗浄部10に搬送されるが、裏面研磨ユニット7,8には搬送されない。したがって、ウェハの裏面は研磨されない。図17に示す搬送ルートによれば、ウェハは、CMPユニット111A,111B、洗浄ユニット120、洗浄ユニット123、洗浄ユニット127、乾燥ユニット90の順に搬送される。図17に示す搬送ルートも同様に、動作制御部4に予め記憶されている。CMPユニット111A,111Bに代えて、CMPユニット111C,111Dにウェハを搬送してもよい。
図18は、研磨装置の他の実施形態を示す図である。図2に示す符号と同一の符号が付されたユニットは、図2に示す実施形態の各ユニットと同じであるので、その重複する説明を省略する。本実施形態が図2に示す実施形態と異なる点は、CMP部9が2つのCMPユニット111A,111Bのみを備えている点と、裏面研磨部3には洗浄ユニット70が配置されていない点と、乾燥ユニット90が洗浄部10内に配置されている点と、CMP部9は、ロード/アンロード部1と裏面研磨部3との間に配置されている点である。
図18に示す研磨装置を用いてウェハを研磨するときのウェハの搬送ルートについて図19を参照して説明する。図19は、図18に示す研磨装置内を搬送されるウェハの搬送ルートの一例を示す図である。この例の搬送ルートによれば、ウェハはCMPユニット111A,111B、裏面研磨ユニット7,8、洗浄ユニット120,123,127、乾燥ユニット90の順に搬送される。この搬送ルートは動作制御部4に予め記憶されている。
図19に示すように、ローダー6は、ウェハカセットから1枚のウェハを取り出し、ウェハの表面が下を向くようにウェハを反転させる。ローダー6は、さらに、ウェハをリニアトランスポータ121に搬送する。リニアトランスポータ121は、反転されたウェハを第1搬送位置TP1で受け取り、ウェハを第2搬送位置TP2に搬送する。
第1CMPユニット111Aの第1トップリング116Aは、第2搬送位置TP2にあるウェハを保持し、ウェハを第1研磨テーブル114Aの上方位置に搬送する。そして第1トップリング116Aは、回転する第1研磨テーブル114A上の研磨パッド112にウェハの表面を押し付けてウェハの表面を研磨する。研磨されたウェハは、第1トップリング116Aによって第2搬送位置TP2に戻され、さらにリニアトランスポータ121によって第2搬送位置TP2から第3搬送位置TP3に搬送される。第2CMPユニット111Bの第2トップリング116Bは、第3搬送位置TP3にあるウェハを保持し、ウェハを第2研磨テーブル114Bの上方位置に搬送する。そして第2トップリング116Bは、回転する第2研磨テーブル114B上の研磨パッド112にウェハの表面を押し付けてウェハの表面をさらに研磨する。
研磨されたウェハは、第2トップリング116Bによって第3搬送位置TP3に戻され、さらにリニアトランスポータ121によって第3搬送位置TP3から第4搬送位置TP4に搬送される。ウェハは、スイングトランスポータ130によって第4搬送位置TP4から取り出され、研磨された表面が上を向くようにスイングトランスポータ130によってウェハが反転される。さらに、ウェハは、スイングトランスポータ130によって裏面研磨部3の仮置き台65の上に載置される。ウェハは、搬送ロボット63によって仮置き台65から外周側裏面研磨ユニット7に搬送される。一実施形態では、スイングトランスポータ130はウェハを反転させずに、搬送ロボット63が研磨された表面が上を向くようにウェハを反転させてもよい。
外周側裏面研磨ユニット7は、図3および図4を参照して説明したように、ウェハの裏面の外周側領域を研磨する。搬送ロボット63は、ウェハを外周側裏面研磨ユニット7から取り出し、ウェハの裏面が上を向くようにウェハを反転させる。そして、搬送ロボット63は、ウェハを中心側裏面研磨ユニット8に搬送する。中心側裏面研磨ユニット8は、図5および図6を参照して説明したように、ウェハの裏面の中心側領域を研磨する。このようにして、ウェハの裏面の全体が裏面研磨ユニット7,8によって研磨される。
裏面が研磨されたウェハは、搬送ロボット63によって中心側裏面研磨ユニット8から取り出され、ウェハの表面が上を向くようにウェハが反転され、仮置き台65の上に置かれる。さらに、ウェハは、スイングトランスポータ130によってバッファステーション133の上に載置される。一実施形態では、搬送ロボット63はウェハを反転させずに、スイングトランスポータ130がウェハをその表面が上を向くように反転させてもよい。
ウェハは、搬送ロボット128によってバッファステーション133から洗浄ユニット123の下方にある仮置き台(図示せず)に搬送される。搬送ロボット126は、洗浄ユニット123の下方にある仮置き台からウェハを取り出し、洗浄ユニット120に搬送する。ウェハは、洗浄ユニット120によって洗浄される。搬送ロボット126は、ウェハを洗浄ユニット120から洗浄ユニット123に搬送する。ウェハは、洗浄ユニット123によってさらに洗浄される。搬送ロボット128は、ウェハを洗浄ユニット123から洗浄ユニット127に搬送する。ウェハは、洗浄ユニット127によってさらに洗浄される。搬送ロボット129は、ウェハを洗浄ユニット127から乾燥ユニット90に搬送する。洗浄されたウェハは乾燥ユニット90によって乾燥される。乾燥されたウェハは、ローダー6によって乾燥ユニット90からウェハカセットの元の位置に戻される。このようにして、ウェハの表面研磨、裏面研磨、洗浄、乾燥がこの順に行われる。
上述した図19に示す搬送ルートでは、ウェハは、外周側裏面研磨ユニット7に搬送され、次いで中心側裏面研磨ユニット8に搬送されるが、ウェハを中心側裏面研磨ユニット8に先に搬送し、次いでウェハを外周側裏面研磨ユニット7に搬送してもよい。
図20は、研磨装置のさらに他の実施形態を示す図である。図2に示す符号と同一の符号が付されたユニットは、図2に示す実施形態の各ユニットと同じであるので、その重複する説明を省略する。本実施形態が図18に示す実施形態と異なる点は、裏面研磨部3は、ロード/アンロード部1とCMP部9との間に配置されている点である。
図20に示す研磨装置を用いてウェハを研磨するときのウェハの搬送ルートについて図21を参照して説明する。図21は、図20に示す研磨装置内を搬送されるウェハの搬送ルートの一例を示す図である。この例の搬送ルートによれば、ウェハは、裏面研磨ユニット7,8、CMPユニット111A,111B、洗浄ユニット120,123,127、乾燥ユニット90の順に搬送される。この搬送ルートは動作制御部4に予め記憶されている。
図21に示すように、ローダー6は、ウェハカセットから1枚のウェハを取り出し、裏面研磨部3の仮置き台65の上に載置する。ウェハは、搬送ロボット63によって仮置き台65から外周側裏面研磨ユニット7に搬送される。外周側裏面研磨ユニット7は、図3および図4を参照して説明したように、ウェハの裏面の外周側領域を研磨する。搬送ロボット63は、ウェハを外周側裏面研磨ユニット7から取り出し、ウェハの裏面が上を向くようにウェハを反転させる。そして、搬送ロボット63は、ウェハを中心側裏面研磨ユニット8に搬送する。中心側裏面研磨ユニット8は、図5および図6を参照して説明したように、ウェハの裏面の中心側領域を研磨する。このようにして、ウェハの裏面の全体が裏面研磨ユニット7,8によって研磨される。
裏面が研磨されたウェハは、その表面は下向きのままで、搬送ロボット63によって中心側裏面研磨ユニット8からリニアトランスポータ121に搬送される。リニアトランスポータ121は、ウェハを第1搬送位置TP1で受け取り、ウェハを第2搬送位置TP2に搬送する。
第1CMPユニット111Aの第1トップリング116Aは、第2搬送位置TP2にあるウェハを保持し、ウェハを第1研磨テーブル114Aの上方位置に搬送する。そして第1トップリング116Aは、回転する第1研磨テーブル114A上の研磨パッド112にウェハの表面を押し付けてウェハの表面を研磨する。研磨されたウェハは、第1トップリング116Aによって第2搬送位置TP2に戻され、さらにリニアトランスポータ121によって第2搬送位置TP2から第3搬送位置TP3に搬送される。第2CMPユニット111Bの第2トップリング116Bは、第3搬送位置TP3にあるウェハを保持し、ウェハを第2研磨テーブル114Bの上方位置に搬送する。そして第2トップリング116Bは、回転する第2研磨テーブル114B上の研磨パッド112にウェハの表面を押し付けてウェハの表面をさらに研磨する。
研磨されたウェハは、第2トップリング116Bによって第3搬送位置TP3に戻され、リニアトランスポータ121によって第3搬送位置TP3から第1搬送位置TP1に搬送される。ウェハは、スイングトランスポータ130によって第1搬送位置TP1から取り出され、研磨された表面が上を向くようにスイングトランスポータ130によってウェハが反転される。さらに、ウェハは、スイングトランスポータ130によってバッファステーション133の上に載置される。
ウェハは、搬送ロボット128によってバッファステーション133から洗浄ユニット123の下方にある仮置き台(図示せず)に搬送される。搬送ロボット126は、洗浄ユニット123の下方にある仮置き台からウェハを取り出し、洗浄ユニット120に搬送する。ウェハは、洗浄ユニット120によって洗浄される。搬送ロボット126は、洗浄ユニット120によって洗浄されたウェハを洗浄ユニット123に搬送する。ウェハは、洗浄ユニット123によってさらに洗浄される。搬送ロボット128は、洗浄ユニット123によって洗浄されたウェハを洗浄ユニット127に搬送する。ウェハは、洗浄ユニット127によってさらに洗浄される。搬送ロボット129は、洗浄ユニット127によって洗浄されたウェハを乾燥ユニット90に搬送する。洗浄されたウェハは乾燥ユニット90によって乾燥される。乾燥されたウェハは、ローダー6によって乾燥ユニット90からウェハカセットの元の位置に戻される。このようにして、ウェハの裏面研磨、表面研磨、洗浄、乾燥がこの順に行われる。
上述した図21に示す搬送ルートでは、ウェハは、外周側裏面研磨ユニット7に搬送され、次いで中心側裏面研磨ユニット8に搬送されるが、ウェハを中心側裏面研磨ユニット8に先に搬送し、次いでウェハを外周側裏面研磨ユニット7に搬送してもよい。この場合は、搬送ロボット63は、ウェハを中心側裏面研磨ユニット8に搬送する前に、裏面が上を向くようにウェハを反転させる。
図18乃至図21に示す実施形態でも、CMPユニット111A,111Bにウェハを搬送するが、裏面研磨ユニット7,8には搬送しない搬送ルート、または裏面研磨ユニット7,8にウェハを搬送するが、CMPユニット111A,111Bには搬送しない搬送ルートに従って搬送システムがウェハを搬送してもよい。
図22は、図2に示す研磨装置を用いてウェハを研磨したときのスループットを示す図であり、図23は、図18に示す研磨装置を用いてウェハを研磨したときのスループットを示す図である。図22には、ウェハを、CMPユニット、裏面研磨ユニットで研磨した場合のスループットを示すグラフと、ウェハを4つのCMPユニットのみで研磨した場合のスループットを示すグラフが描かれている。図23には、ウェハを、CMPユニット、裏面研磨ユニットで研磨した場合のスループットを示すグラフと、ウェハを2つのCMPユニットのみで研磨した場合のスループットを示すグラフが描かれている。図22および図23の対比から分かるように、図18に示す研磨装置は2つのCMPユニットを持つため、これらCMPユニットのみで研磨した場合のスループットは、4つのCMPユニットを持つ図2に記載の研磨装置のスループットの約半分であるが、ウェハを図18に示すCMPユニットおよび裏面研磨ユニットで研磨した場合のスループットは、図2に示す研磨装置のスループットと同等である。したがって、図18に示す研磨装置は、よりコンパクトなサイズで、ウェハの表面および裏面の両方を高いスループットで研磨することができる。
上述した搬送ルートは、図13乃至図21に示すように、予め設定された搬送ルートであり、これら搬送ルートは動作制御部4に予め記憶されている。動作制御部4はこれら複数の搬送ルートから1つの搬送ルートを選択し、研磨装置の搬送システムは選択された搬送ルートに従ってウェハを搬送する。図12乃至図17に示す実施形態では、研磨装置の搬送システムは、ローダー6、搬送ロボット63、第1リニアトランスポータ121、第2リニアトランスポータ122、スイングトランスポータ130、搬送ロボット126、搬送ロボット128、搬送ロボット129、および搬送ロボット64から構成される。図18乃至図21に示す実施形態では、研磨装置の搬送システムは、ローダー6、搬送ロボット63、リニアトランスポータ121、スイングトランスポータ130、搬送ロボット126、搬送ロボット128、および搬送ロボット129から構成される。
上述した各実施形態によれば、ウェハの表面(デバイスが形成されている面)の研磨と、ウェハの裏面の研磨の両方を連続して実行することができる。ウェハの表面を先に研磨し、次いでウェハの裏面を研磨する実施形態によれば、次のような効果が得られる。CMPユニットでウェハの表面を研磨しているときに、ウェハの裏面にスラリーが付着したり、あるいはトップリングの吸着痕がウェハの裏面に形成されることがある。ウェハの裏面に残るスラリーや吸着痕は、CMP工程の後に行われる露光工程に悪影響を及ぼすことがある。このようなスラリーや吸着痕は、従来のスポンジ洗浄具によるスクラブ洗浄では除去することが難しい。そこで、CMPユニットによってウェハの表面を研磨した後に、ウェハの裏面を研磨することにより、ウェハの裏面からスラリーや吸着痕を除去することができる。
ウェハの裏面を先に研磨し、次いでウェハの表面を研磨する実施形態によれば、次のような効果が得られる。CMPユニットでウェハの表面を研磨しているときに、ウェハの裏面に付着していたパーティクルなどの汚染物が研磨パッドの研磨面上に落下して、ウェハの表面のスクラッチの原因になる可能性がある。そこで、CMPユニットによってウェハの表面を研磨する前に、ウェハの裏面を研磨することによって、ウェハの裏面からパーティクルなどの汚染物を除去することができる。
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうる。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。