JP4030266B2 - 椅子式マッサージ機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、座部の先端側に回動自在にフットレストを枢支した椅子式マッサージ機で、特に脚部のマッサージを行えるようにしたものに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、座部の先端側に回動自在にフットレストを枢支して脚部のマッサージを行えるものとして、特開平9−271501号公報(A61H23/02)に示すように、ふくらはぎや足裏をマッサージできるものが知られている。
【0003】
このような従来のマッサージ機は、足裏やふくらはぎの限られた部分しかマッサージできない。また人体の平面的な部分しかマッサージできず、例えば、折れ曲がった状態の膝の裏側のような部分はマッサージできない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、足裏や踵からアキレス腱、ふくらはぎの広範囲に亘って、更には折れ曲がった状態の膝の裏側のような部分もマッサージできる椅子式マッサージ機を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、座部の先端側に回動自在にフットレストを枢支した椅子式マッサージ機で、フットレストを、座部に枢支される座部側フレームと、該座部側フレームの自由端側に回動自在に基端部が枢支されるマッサージユニットとから構成し、
座部側フレームは、座部に対しほぼ垂下した状態から座部とほぼ同一高さまでの範囲回動自在とし、この間の任意の角度にて保持されるようにし、
マッサージユニットは、座部側フレームに沿った折り畳み状態から座部側フレームのほぼ延長線上まで拡げた開放状態まで回動自在とし、
マッサージユニットの先端部には、マッサージユニットの表側、裏側及び先端側の3方の面がマッサージ面となる施療体を具備したものである。
【0008】
かかる構成により、座部側フレームの座部に対する回動位置や、マッサージユニットの座部側フレームに対する回動位置の組み合わせによって、マッサージユニットの表側のマッサージ面でマッサージを施したり、裏側のマッサージ面でマッサージを施したり、あるいは先端側のマッサージ面でマッサージを施すことができる。
【0009】
その結果、足裏や踵からアキレス腱、ふくらはぎの広範囲に亘って、更には折れ曲がった状態の膝の裏側のような部分もマッサージ可能となる。
【0010】
施療体としては、マッサージユニットの回動中心軸と平行な軸を中心に回転する円筒状回転体と、この円筒状回転体の外周面に配設された複数の刺激用突部とを有するものを例示できる。
【0011】
かかる施療体を用いることによって、円筒状回転体の外周面上の刺激用突部がマッサージユニットの表側、裏側及び先端側の3方のマッサージ面を構成する。即ち、一つの施療体で3方のマッサージ面が構成できる。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の椅子式マッサージ機を一実施例として示した各図に基づき説明する。ここでは、便宜上椅子に座った被施療者の足先側を先端側、腰側を後方側という。
【0019】
図1は椅子式マッサージ機1の側面図、図2は正面図で、座部2と、座部2の後方側に起倒自在に設けられる背もたれ部3と、座部2の先端側に回動自在に設けられるフットレスト4と、座部2の左右両側の後方側に位置して設けられる脚カバー5と、座部2の先端側から後方側にわたってその左右両側に設けられた肘掛け部6と、これらを支持する後述のフレーム機構より椅子本体が構成される。この背もたれ部3や座部2はクッションで覆われている。また、脚カバー5にはポケット7形成されており、このポケット7にマッサージ動作等を指示する操作ボックス8が収納可能となっている。
【0020】
前記フレーム機構は、以下の構造になっている。
【0021】
9は座部2の骨組みとなる座部フレームで、左右両側の左右フレーム10と、その先端側と後方側で左右フレーム10、10間を連結する架設フレーム11、12で構成されている。この左右フレーム10の後方側は床面Y側に屈曲されて第1の脚13を構成し、この第1の脚13が床面Yに当接する。第1の脚13には、床面Yとの間に隙間を有する状態でローラ14が設けられており、このローラ14にてマッサージ機1を容易に搬送できる。
【0022】
また、先端側の架設フレーム11には、2本の支柱パイプ15とその下端を連結する水平パイプ16からなる第2の脚17が溶接にて固着されており、この第2の脚17の水平パイプ16が床面Yと接し、前記第1の脚13と共にマッサージ機1の全重量を受ける。また、第2の脚17の2本の支柱パイプ15間を連結する連結パイプ(図示せず)と座部フレーム9間は、取付パイプ18で連結されている。
【0023】
座部2の後方に起倒自在に枢支された背もたれ部3の内部には、椅子に座った被施療者の首筋から腰にかけて揉みマッサージ、叩きマッサージ、ローリングマッサージ等を行うマッサージ装置20が上下に移動自在に内蔵されている。このマッサージ装置20については周知のものであり、説明を省略する。なお、図では、背もたれ部の内部にあって外からは見えないマッサージ装置20を、便宜上実線で表している。
【0024】
前記背もたれ部3の下端と座部フレーム9の先端側裏面間には、背もたれ部3を起倒させるリクライニング機構21が装備されている。このリクライニング機構21は、例えばモータ22により駆動される周知のものが用いられる。
【0025】
次に座部2の先端側に枢支されたフットレスト4について説明する。フットレスト4は、座部フレーム9の先端(左右フレーム10の先端)に支軸23にて枢支された座部側フレーム24と、座部側フレーム24の自由端側に枢支されたマッサージユニット25より構成される。
【0026】
座部側フレーム24は、左右フレーム26と、この左右フレーム間を架設する架設フレーム27と、これらの左右フレーム26と架設フレーム27間に足が入るのを防止する板材28から構成されており(図3参照)、この板材の周囲は図示しない布製のカバーが巻回されている。左右フレーム26の上端が支軸23にて枢支されている。
【0027】
座部側フレーム24は、図1や図7のように座部2に対してほぼ垂下した状態から、図8や図9のように座部2とほぼ同一高さまで持ち上がった状態まで回動自在となっている。この座部側フレーム24の回動操作機構を図3に基づき説明する。
【0028】
29は座部側フレーム24の枢支軸23と同軸上の図示しない別の軸にて枢支され、座部側フレーム24とは独立して回動可能なアームで、座部側フレーム24の架設フレーム27の後方側の面に当接可能である。30はシリンダ31とシリンダ31内をモータ32により移動するロッド33を具備する駆動部で、ロッド33が前記アーム29に枢支34され、シリンダ31が前記取付パイプ18に枢支35されている。
【0029】
そして、モータ32を駆動してロッド33を突出させることにより、アーム29、架設フレーム27を介して座部側フレーム24を押して持ち上げてゆき、図8や図9の状態にする。反対にロッド33を収納する方向に移動させることで、座部側フレーム24は自重によりアーム29に当接しながら後方側に回動して図1や図7の状態に戻る。モータ32を途中で停止すれば、その位置で座部側フレーム24はアーム29を介してロッド33により支えられる。
【0030】
なお、座部側フレーム24は駆動部30とは関係なく、手動でも回動できる。図3は駆動部30と関係なく座部側フレーム24を実線の状態から二点鎖線状態に回動した状態を示す。なお、この意味については後述する。
【0031】
次にマッサージユニット25について説明する。マッサージユニット25は左右両側にあるサイドケース36、36と、サイドケースに36、36に挟まれたメインケース37とで外郭ケースが構成される。両ケース36、37は、合成樹脂製で、夫々図3において上下方向に2分割され、適宜ネジで結合されている。図4に示すようにサイドケース36、36の内方側は、メインケース37の左右両端部に形成された溝38に嵌合してメインケース37と一体化されている。
【0032】
メインケース37には、図4や図5に示すような金属製でパイプ状のユニットフレーム39が適宜ネジ等で固着され、マッサージユニット25の骨組みとなる。このユニットフレーム39の左右両端部が前記座部側フレーム24の左右フレーム26の自由端側に、夫々後述する機構により節動的で且つ回動自在に枢支される。この枢支部は、マッサージユニット25全体の基端部に位置する。これにより、マッサージユニット25が座部側フレーム24に対して回動自在となる。
【0033】
メインケース37は図4に示すように前記基端部に対する先端部より、左右一対の窪み部40が形成されており、この左右一対の窪み部40内に、夫々施療体41、42が配置されている。 施療体41、42は、夫々マッサージユニット25の枢支部(回動中心軸)と平行な軸を中心に回転する円筒状回転体43、44とこれら円筒状回転体の外周面に配設された多数の刺激用突部となるローラ45を有する。
【0034】
図4で右側の円筒状回転体43は、左右の端盤47、46と、この端盤46、47によって挟持される6本のローラ軸48と、この各ローラ軸48に回転自在に挿入された刺激用突部となる4個のローラ45と、左右の端盤46、47より夫々互いに向き合うように突設されて突き合わされる6本のボス49、50とで外郭が構成される。ローラ軸48とボス49、50は、図5に示すように円筒状回転体43の回転中心を中心とした円周上に交互に等間隔で配置される。突き合わせたボス49、50をネジ51で締結することにより、ローラ軸48が端盤46、47にて挟持される。
【0035】
この円筒状回転体43の内部には、モータ52が配設されている。モータ52の右端からは固定軸53が突設され、左端からは減速ギア部54を介して回転軸55が突設されている。固定軸53は、メインケース37に形成した受け部56にゴムクッション57を介して支持される。受け部56は2分割された夫々のメインケース37、37に形成された凹部からなる。この固定軸53の周りにベアリング58を介して前記右側の端盤46が回転自在に軸支されている。回転軸55はメインケース37の中央部に設けたベアリング59により回転自在に支持される。回転軸55にはピン60が挿入され、前記左側の端盤47がこのピン60と係合している。従ってモータ52の回転は、このピン60を介して左側端盤47に伝えられ、右側端盤46へも回転が伝えられ、右側の円筒状回転体43は回転する。
【0036】
図4で左側の円筒状回転体44も、左右の端盤61、62と、この端盤61、62によって挟持される6本のローラ軸48と、この各ローラ軸48に回転自在に挿入された刺激用突部となる4個のローラ45と、左右の端盤61、62より互いに向き合うように突設されて突き合わされてネジ51で締結される6本のボス63、64とで外郭が構成される。このローラ軸48とボス63、64との関係も右側の円筒状回転体43と同様、円筒状回転体44の回転中心を中心とした円周上に交互に等間隔で配置される。左側の円筒状回転体44の内部は、左右の端盤61、62より互いに向き合うように突設されて突き合わされて形成される筒部65となっている。右側の円筒状回転体43に左側の円筒状回転体44のように筒部65が形成されていないのは、空気を通してモータ52を冷却するためである。
【0037】
右側の端盤62は、前記回転軸55の先端部に挿入されたピン66と係合して回転が伝えられる。また右側の端盤62には中心軸67が固着され、この中心軸67は左側の端盤61を突き抜けてメインケース37に設けたベアリング68により回転自在に軸支されている、この中心軸67と左側の端盤61とは、中心軸に挿入されたピン69により結合されている。従って回転軸55の回転により、左側の円筒状回転体44も回転する。
【0038】
このような施療体41、42は前記窪み部40に回転自在に配備されることにより、刺激用突部であるローラ45が窪み部40から外方へ現れて、マッサージユニットの表側、裏側(便宜上、図1においてマッサージユニット25の座部側フレーム24側を表側、反対を裏側とする)それに基端部に対する先端側にマッサージを施すことのできるマッサージ面を形成する。メインケース37と施療体41、42は、図2、図4、図5において破線で表す布製のカバー70で覆われている。施療体41、42を回転することにより、多数のローラ45がカバー70を介して足等の被施療部位に刺激を与えてマッサージする。
【0039】
ここで、マッサージユニット25が座部側フレーム24に対して回動自在で、座部側フレーム24が座部2に対して回動自在であるので、座部側フレーム24とマッサージユニット25の位置によって図6乃至図10に示すような代表的なマッサージが可能となる。
【0040】
図6は、座部側フレーム24が座部2に対してほぼ直角に垂下していると共に、マッサージユニット25が座部側フレーム24に沿って折り畳まれた状態であり、かかる状態で施療体41、42を回転することにより、裏側に現れたローラ45が足のふくらはぎの中央部に刺激を与えてマッサージすることができる。(裏側のマッサージ面を使用)
図7は、座部側フレーム24が座部2に対してほぼ直角に垂下していると共に、マッサージユニット25を座部側フレーム24に対してほぼ90度回動させて、マッサージユニット25の先端側底部を床面Yに設置した状態であり、この状態で施療体41、42を回転し、足裏を施療体上に載せることにより、表側に現れたローラ45が足裏を刺激して足裏をマッサージすることができる。(表側のマッサージ面を使用)なお、マッサージユニット25の先端側底部には、後述する脚用ローラ96が設けられており、このローラ96が床面に当たっている。
【0041】
図8は、座部側フレーム24が座部2とほぼ同一高さまで持ち上げられると共に、マッサージユニット25が座部側フレーム24に沿って折り畳まれた状態であり、この状態で施療体41、42を回転することにより、裏側に現れたローラ45がふくらはぎの膝より側に刺激を与えてマッサージすることができる。(裏側のマッサージ面を使用)
図9は、座部側フレーム24が座部2とほぼ同一高さまで持ち上げられると共に、マッサージユニット25が座部側フレームのほぼ延長線上まで回動した状態であり、この状態で施療体41、42を回転することにより、表側に現れたローラ45が踵からアキレス腱付近を刺激してマッサージすることができる。(表側のマッサージ面を使用)
また図10は、マッサージユニット25がほぼ垂直に立つように座部側フレーム24とマッサージユニット25の回動位置を調整した状態であり、この状態で施療体41、42を回転することにより、裏側と先端側に現れたローラ45によって、折れ曲げた状態の膝の裏側に刺激を与えてマッサージすることができる。(裏側のマッサージ面と先端側のマッサージ面を使用)
これ以外にも座部側フレーム24とマッサージユニット25の位置の組み合わせによって、マッサージ態様を拡げることができる。例えば、足裏をマッサージする際に、座った状態が窮屈な人は、図3の二点鎖線で示す如く、マッサージユニット25をもう少し前へ引き出して、足裏を楽な姿勢で施療体41、42上に載せられるようにすればよい。
【0042】
ところでマッサージユニット25のメインケース37には、図5に示すように、その基端部側の裏表両面に発泡ウレタン等よりなるクッション72を貼り付けている。これにより、足裏やふくらはぎ等を載せた際の感触をソフトにすることができる。特にマッサージをしないで椅子に座ってくつろぐ際にリラックスできる。このクッション72の厚みは、図7のように足裏をマッサージする際に足裏を適当な角度で施療体41、42に接触させるような厚みに設定されている。
【0043】
また、図4に示すように、施療体41、42の円筒状回転体43、44には、ローラ軸48とローラ軸48の間にボス49、50、63、64が位置しているが、これらのボスは図5から明らかなように、ローラ45の外径を結んだ円上より少し内側に位置している。こうすることにより、ローラ軸48とローラ軸48間の隙間が狭くなって、足を載せた際に受ける感触をソフトな感触とすることができる。またマッサージする際に円筒状回転体43、44をなめらかに回転させることができ、エネルギー損失を少なくできる。また、ローラ軸48間に指等が入りにくくなり、安全性を向上できる。またこのボス49、50、63、64により、円筒状回転体43、44の強度も向上できる。
【0044】
また、施療体は一つでなくて右足用、左足用と左右に分割して、マッサージには通常使用しないメインケース37中央部分73で左右の施療体41、42を連結し、且つベアリング59で回転軸55を支持しているので、メインケース37の中央部分を有効に活用できる。またこの中央部分37は、施療体41、42の外径とほぼ同じ外径の円筒状になっているので、マッサージ時にこの上に片足を載せて休ませたりするのに便利である。
【0045】
次にこのようなマッサージユニット25の座部側フレーム24に対する節動的に回動する機構を説明する。
【0046】
マッサージユニットのメインケース37に固着されたユニットフレーム39には、図11や図12に示す如くラチェットプレート75と、ラチェットプレート75と向かい合うように回転規制プレート76が溶着等により固着されている。この両プレート75、76で囲まれる空間に、座部側フレーム24の左右フレーム26の先端に固着した先端プレート77が位置している。78はこれら3つのプレート75、76、77を貫通する段付きネジで、この段付きネジ78がマッサージユニット25の回動中心軸となる。段付きネジ78は回転規制プレート76にDカットにより嵌合して回転規制プレート76と一体となって回転する。
【0047】
先端プレート77と段付きネジ78の間にはスペーサ79が介在されている。スペーサ79は、段付きネジ78の外周に挿入されている。スペーサ79の外周は図11のように小判型をしており、ここに先端プレート77が嵌挿されている。スペーサ79の小判型をした外周にはさらにホルダー80が嵌挿されている。ホルダー80と、スペーサ79と先端プレート77の互いに回転方向の動きは阻止されている。
【0048】
ラチェットプレート75は、図11のように段付きネジ78を中心とした円周上に複数の大小2種類の係合孔81、82がほぼ等間隔で配設されている。一方ホルダー80には、剛球収納部83が形成され、この中に係合孔81、82と係合する係合部材となる剛球84が保持されている。この剛球84は、スプリング85により常時係合孔81、82と係合する方向に付勢される。
【0049】
段付きネジ78のラチェットプレート75を貫通した部分に、平ワッシャー86、スプリングワッシャー87を介してナット88が締結され、段付きネジ78が取り付けられるのであるが、スペーサ79と回転規制プレート76及びスペーサ79とラチェットプレート75に間には、夫々皿バネ89が介在され、スペーサ79と回転規制プレート76の摺動面及びスペーサ79とラチェットプレート75の摺動面に、回転中心軸方向の一定の面圧をかけている。
【0050】
先端プレート77にはストパーピン90が突設されており、回転規制プレート76には、ストパーピン90が当接可能な二つの規制面91、92が形成されている。
【0051】
93は、マッサージユニットのメインケース37とサイドケース36間に位置して、先端プレート77や回転規制プレート76等を覆い隠すジョイントカバーで、合成樹脂製で左右2分割され、適宜ネジ止めされて結合されている。
【0052】
かかる構成において、マッサージユニット25を座部側プレート24に対して回動中心軸(段付きネジ78)を中心に回転させると、ラチェットプレート75が回転して係合孔81、82に剛球84が嵌合する位置で節動動作をする。この嵌合した位置でマッサージユニット25を保持する。
【0053】
ここで係合孔81、82は大きな係合孔81と小さな係合孔82があり、夫々図11に示す位置関係に配置されている。剛球84が大きな係合孔81と係合するときは、係合力が強くマッサージユニット25をその位置で保持する保持力が大きく、剛球84が小さな係合孔82と係合するときは、係合力が弱くマッサージユニット25をその位置で保持する保持力は小さい。
【0054】
この保持力とマッサージユニットの位置関係について説明する。マッサージユニットが図11や図13及び図14の二点鎖線のように座部側フレーム24沿って折り畳まれた状態では、剛球84は小さな係合孔82に係合し、保持力は弱い。この時、回転規制プレート76の一方の規制面91がストパーピン90に当接し、マッサージユニット25がこれ以上折り畳まれないようにしている。
【0055】
マッサージユニット25を回動していき、座部側フレーム24に対してほぼ45度〜70度ぐらい開いた状態(図14の太い二点鎖線イやウの位置)では、剛球84は大きな係合孔81に係合し、保持力は強くなる。そして座部側フレーム24に対してほぼ直角(図14の細い二点鎖線エの位置)になると、剛球84は再び小さな係合孔82に係合し、保持力は弱くなる。さらにマッサージユニットを回動して、座部側フレーム24に対してほぼ135度〜160度ぐらい開いた状態(図14の太い二点鎖線カやキの位置)では、剛球84は再び大きな係合孔81に係合し、保持力は強くなる。マッサージユニットを座部側フレーム24のほぼ延長線上まで回転して開いた状態(図14のクの位置)では、剛球84が係合する係合孔は存在せず、回転規制プレート76の他方の規制面92がストパーピン90に当接し、マッサージユニット25がこれ以上開く方向に回動しないようにしている。
【0056】
図14はマッサージユニット25の位置と係合孔81、82と剛球84の係合力の関係を表しており、細い二点鎖線(ア、エ、オ)は係合力の弱い位置を示し、太い二点鎖線(イ、ウ、カ、キ)は係合力の強い位置を示している。
【0057】
マッサージユニット25が座部側フレーム24沿って折り畳まれた状態で係合力を弱くしているのは、この状態からマッサージユニットを回動して開く際の操作力を小さくするためである。特に図8のように座部側フレーム24を持ち上げて足のふくらはぎの膝に近い位置をマッサージしている状態から、アキレス腱付近をマッサージするために図9の状態にする際に、椅子に座った状態で楽にマッサージユニット25を回動でき有効である。
【0058】
マッサージユニット25が座部側フレーム24に対してほぼ90度になる前のほぼ45度〜70度ぐらい開いた状態で、係合力を強くしているのは、図6の状態から足裏をマッサージするためにマッサージユニット25を回転して図7の状態にする際に、マッサージユニット25が床面に当接する前に強い係合力によって確実に一旦回動を止めて、マッサージユニット25が床面に不用意に激しく衝突することを阻止し、マッサージユニットを保護するためである。
【0059】
マッサージユニット25が座部側フレーム24のほぼ延長線上にくる前の座部側フレーム24に対してほぼ135度〜160度ぐらい開いた状態で係合力を強くしているのは、マッサージユニットが座部側フレーム24のほぼ延長線上まで回動される前に強い係合力によって確実に一旦回動を止めて、これによって、ストパーピン90や規制面92しいては座部側フレーム24に、マッサージユニットの回動による大きな荷重が加わるのを阻止してこれらを保護するためである。
【0060】
マッサージユニットを座部側フレーム24のほぼ延長線上まで回転した状態で剛球84が係合孔に係合していないのは、図9のアキレス腱付近をマッサージしている状態からマッサージユニット25を折り畳む方向に回動する際に、剛球84と係合孔81、82の係合がないので、椅子に座った状態で楽にマッサージユニットを回動できるようにするためである。
【0061】
以上説明した係合孔81、82と剛球84との関係では、マッサージユニット25が座部側フレーム24に対してほぼ90度になった状態では、係合力が弱く設定してあるが、図10のように折り曲げた膝裏をマッサージするためにマッサージユニット25をほぼ立てた状態に保持する場合には、この該当する位置に強い係合力をなす係合孔を設ければよい。
【0062】
ところで、スペーサ79と回転規制プレート76間及びスペーサ79とラチェットプレート75間に、皿バネ89、89、89を介在させ、スペーサ79とこれらのプレート76、75の摺動面に回転中心軸方向の面圧をかけており、これによって、マッサージユニット25の回動に際して適当なブレーキをかけ、急激な回動を阻止して、マッサージユニットや座部側フレーム等を保護している。
【0063】
この皿バネ89が摩耗してきた場合でも、前記係合孔81、82と剛球84の係合にて要所要所に回転を規制し、マッサージユニットや座部側フレーム等を保護している。
【0064】
マッサージユニット25を回動する際、両手でマッサージユニットを掴んで操作し易いようにするために、サイドケース36には手が掛かりやすいように取っ手となる凹部95が一体に形成してある。
【0065】
またサイドケース36の底面には、前記ローラ96が回転自在に装着されており、床面にはこのローラ96が当接するようになっている。ローラには弾性ゴムがはめられており、振動が床面に伝わりにくくしている。
【0066】
このローラ96は、例えば図9の状態から、誤ってマッサージユニット25をそのままにして持ち上げられている座部側フレーム24を降ろした場合に、図15に示すようにこのローラ96が床面Yに当たって、衝撃を受け止め、マッサージユニット25を保護する。
【0067】
以上の実施例では、座部側フレーム24は座部2に対して任意の角度で保持できるようになっているが、この任意の角度の意味は、実施例のように連続的な角度以外に段階的に保持できるもの、即ち座部フレーム24が節動的に回動するものも含まれる。
【0068】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、フットレストを、座部に枢支される座部側フレームと、座部側フレームの自由端側に回動自在に基端部が枢支されるマッサージユニットとから構成し、座部側フレームは、座部に対しほぼ垂下した状態から座部とほぼ同一高さまでの範囲回動自在とし、この間の任意の角度にて保持されるようにし、マッサージユニットは、座部側フレームに沿った折り畳み状態から座部側フレームのほぼ延長線上まで拡げた開放状態まで回動自在とし、マッサージユニットの先端部には、マッサージユニットの表側、裏側及び先端側の3方の面がマッサージ面となる施療体を具備したので、座部側フレームの座部に対する回動位置や、マッサージユニットの座部側フレームに対する回動位置の組み合わせによって、マッサージユニットの表側のマッサージ面でマッサージを施したり、裏側のマッサージ面でマッサージを施したり、あるいは先端側のマッサージ面でマッサージを施すことができ、施療者の多種多様の要望に応じた使用態様が可能になる。
その結果、足裏や踵からアキレス腱、ふくらはぎの広範囲に亘って、更には折れ曲がった状態の膝の裏側のような部分もマッサージ可能となる。
【0069】
また請求項2に記載の発明によれば、施療体として、マッサージユニットの回動中心軸と平行な軸を中心に回転する円筒状回転体と、この円筒状回転体の外周面に配設された複数の刺激用突部を有するものを用いることによって、一つの施療体で3方のマッサージ面を構成することができ、構造の簡略化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の椅子式マッサージ機の側面図である。
【図2】同マッサージ機の正面図である。
【図3】同マッサージ機の要部拡大側面図である。
【図4】同マッサージ機のマッサージユニットの横断面図である。
【図5】図4のA−A線に基づく断面図である。
【図6】同マッサージ機のマッサージ状態を示す側面図である。
【図7】同マッサージ機の異なるマッサージ状態を示す側面図である。
【図8】同マッサージ機の更に異なるマッサージ状態を示す側面図である。
【図9】同マッサージ機の更に異なるマッサージ状態を示す側面図である。
【図10】同マッサージ機の更に異なるマッサージ状態を示す側面図である。
【図11】同マッサージ機のマッサージユニットの節動機構を表す要部拡大縦断面図である。
【図12】同マッサージ機のマッサージユニットの節動機構を表す要部拡大横断面図である。
【図13】同マッサージ機のマッサージユニットの節動機構部を表す要部縦断面図である。
【図14】同マッサージ機のマッサージユニットの位置による剛球と係合孔の保持力の状態を表す説明図である。
【図15】同マッサージ機のフットレストの一状態を示す側面図である。
【符号の説明】
2 座部
4 フットレスト
24 座部側フレーム
25 マッサージユニット
41 施療体
42 施療体
81 制御部
78 断付きネジ(回動中心軸)
43 円筒状回転体
44 円筒状回転体
45 ローラ(刺激用突部)
95 取っ手
89 皿バネ(弾性部材)
75 ラチェットプレート
81 係合孔
82 係合孔
84 剛球(係合部材)
Claims (2)
- 座部の先端側に回動自在にフットレストを枢支したものにおいて、フットレストを、座部に枢支される座部側フレームと、該座部側フレームの自由端側に回動自在に基端部が枢支されるマッサージユニットとから構成し、
前記座部側フレームは、座部に対しほぼ垂下した状態から座部とほぼ同一高さまでの範囲回動自在とし、この間の任意の角度にて保持されるようにし、
前記マッサージユニットは、前記座部側フレームに沿った折り畳み状態から座部側フレームのほぼ延長線上まで拡げた開放状態まで回動自在とし、
前記マッサージユニットの先端部には、マッサージユニットの表側、裏側及び先端側の3方の面がマッサージ面となる施療体を具備してなる椅子式マッサージ機。 - 施療体は、前記マッサージユニットの回動中心軸と平行な軸を中心に回転する円筒状回転体と、該円筒状回転体の外周面に配設された複数の刺激用突部とを有する請求項1に記載の椅子式マッサージ機。
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