JP4026185B2 - クレーンのフック振れ止め装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はブームの先端部に複数のフックを吊持し、負荷に応じてこれらを使い分けるクレーンにおいて、ブームの旋回、起伏等による不使用フックの振れを防止するフック振れ止め装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
台船に搭載されたクレーン(所謂浮きクレーン)を例にとって従来技術を説明する。
【0003】
図11において、1はクレーン本体、2はメインブームで、このメインブーム2の先端に補助ブーム3が張出されてブームが構成され、このブームにおけるメインブーム2の先端部に主巻フック4、補助ブーム3の中間部に副巻フック5、補助ブーム3の先端部に補巻フック6がそれぞれ吊りロープ(主巻、副巻、補巻各ロープ)7,8,9によって吊持される。
【0004】
各ロープ7,8,9は、それぞれクレーン本体1に搭載された主巻、副巻、補巻各ウィンチ10,11,12から各別に繰り出され、それぞれブームポイントシーブ13,14,15と、各フック4,5,6に設けられたフックシーブ(図示しない)との間に掛け回される。
【0005】
ここで、主巻ロープ7は多重に、補巻ロープ9は一乃至二重に、副巻ロープ8はこれらの中間の掛け数でそれぞれ掛け回され、主巻フック4によって大負荷の低速吊り作業、副巻フック5によって中負荷の中速吊り作業、補巻フック6によって軽負荷の高速吊り作業がそれぞれ行われる。
【0006】
なお、各フック4,5,6は上記のようにウィンチ10,11,12によって個別に操作可能となっているが、過負荷防止のためにいずれか一つのみが選択使用される。
【0007】
図中、16はガントリ、17はブーム起伏ロープ、18はガイケーブルである。
【0008】
このような浮きクレーンにおいて、作業時に、使用されないフックは宙吊り状態のまま放置されるため、旋回やブーム起伏動作によって前後左右に振れ、他のフックと衝突して損傷したり、他のロープに絡まって作業不能になったりする問題が生じる。
【0009】
この不使用フックの他のフック等との干渉は、オペレータによるブーム等の的確な操作によってある程度回避することが可能であるが、熟練を要するとともに、そのために本来の吊り作業が中断されて作業効率が悪くなるため、得策でない。
【0010】
そこで従来、上記干渉防止策として、
(i) ブームの先端部前面に、上面が開口したフックポケットを設け、不使用フックを巻上げた後、ブーム前面側に引き付けてこのフックポケットに落し込み、収納する手段、
(ii) 実開昭60−177191号公報に示されているように、不使用フックを巻上位置でフックケースで覆う手段、
(iii) 実開昭60−177192号公報に示されているように、干渉防止スクリーンを、フック間に位置する状態でブーム先端部から吊り下げる手段
が提案された。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、(i)の手段によると、上記のようにフックをフックポケットに収納するに当って、フックが高位置にあること、ロープ掛け数が多い場合にロープの掛け方によってフックが捻れた状態となることから、収納操作が面倒となる。
【0012】
一方、(ii)(iii)の手段によると、フックの振れそのものは止められないため、フックケースまたはスクリーン越しにフック同士が衝突し損傷する事態は避けられなかった。
【0013】
なお、このような問題は、とくに三つのフックを用いる(不使用フックが二つとなる)浮きクレーンにおいて発生し易く、かつ、二つの不使用フックの振れ方向が同一となるとは限らないため、オペレータの技量にては対応が困難である。また、主巻、補巻の二つのフックを用いる浮きクレーンあるいは他のクレーンにおいても同様の問題が生じていた。
【0014】
そこで本発明は、不使用フックの振れによる他のフック、ロープとの干渉を防止でき、しかもフック振れ止めのための操作が簡単なクレーンのフック振れ止め装置を提供するものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、ブームの先端部にフックが吊りロープによって昇降可能に吊り下げられたクレーンにおいて、上記フック吊り下げ状態のままフックの振れを止めるフック振れ止め装置であって、上記ブーム先端部に垂下状態で左右方向の水平軸まわりに前後方向に回動可能で左右方向に位置固定された状態で取付けられたフック保持ブラケットと、フック吊り下げ状態でこのフック保持ブラケットの下端部とフックとを連結する連結手段と、ブーム先端部に設けられて上記フック保持ブラケットの前後方向の振れを抑制する油圧ダンパ装置とを具備し、この油圧ダンパ装置は、油圧シリンダのピストンを隔てた二つの室が管路を介して接続され、この両管路間に、同シリンダの作動を規制するリリーフ弁と絞りとが並列に設けられて構成され、上記油圧シリンダの入力レバーが上記フック保持ブラケットに連動連結されたものである。
【0016】
請求項2の発明は、請求項1の構成において、連結手段は、フック保持ブラケットの下端部に下向きに開口する状態で設けられた係合部と、この係合部に対して係脱しうるようにフックの外側面に突設された係合軸と、上記係合部に差し込まれてこの係合軸を係合部に係合した状態に保持する保持ピンとによって構成されたものである。
【0017】
請求項3の発明は、請求項1または2の構成において、フック保持ブラケットがブーム先端部の左右両側に、互いの間にフックの進入を許容しうる間隔を置いて設けられ、この両側フック保持ブラケットの中間部同士を連結する連結杆が設けられるとともに、両側フック保持ブラケットの内面に、フックを両ブラケット間の中央部にガイドしかつ同フックの左右方向の動きを規制するフックガイド部が設けられたものである。
【0018】
請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれかの構成において、係合部に対する保持ピンの挿入を検出することによってフック保持ブラケットとフックが連結されたことを検知する連結状態検出手段を具備するものである。
【0019】
請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれかの構成において、フック保持ブラケットとフックが連結された状態で吊りロープによるフック巻上荷重を検出する荷重検出手段を具備するものである。
【0020】
上記構成によると、
(I) フック保持ブラケットの下端部とフックとを連結手段によって連結することにより、フック単独での上下方向の振れを防止できること、
(II) フック保持ブラケットがブーム先端部に左右方向の水平軸まわりに回転可能でかつ左右方向に位置固定された状態で取付けられているため、フックの左右方向の振れを防止することができること、
(III) フック保持ブラケットの前後方向の動きが油圧ダンパ装置によって抑制されること
により、総合的にフックの振れを抑制することができる。
【0021】
しかも、フック巻上状態でフック保持ブラケットとフックとを連結するだけでよいため、操作が簡単となる。
【0022】
また、フック保持ブラケットがブーム角度の変化に関係なく鉛直垂下姿勢に保たれる。このため、同ブラケットに無理な荷重が作用する可能性が少ない。
【0023】
この場合、請求項2の構成によると、フックを巻上げるとフックの係合軸がフック保持ブラケットの係合部に係合し、この係合状態を保持ピンによって保持することができる。すなわち、フック保持ブラケットとフックの連結操作がとくに簡単となる。
【0024】
また、請求項3の構成によると、フックが両側フック保持ブラケットによって左右両側均等に保持されるため、左右片側のみで保持する場合のようにフックに偏荷重が作用してフックが傾くおそれがないとともに、フック保持ブラケットとフックの一体状態が確実に保たれる。
【0025】
さらに、フックがフックガイド部によって両側フック保持ブラケット間の中央部にガイドされて左右方向に位置規制されるため、フックの左右方向の振れ止め効果が高いものとなる。
【0026】
請求項4の構成によるとフック保持ブラケットとフックの連結状態が、また請求項5の構成によるとフック巻上荷重がそれぞれ検出されるため、連結状態が不良のまま作業が行われ、あるいはフック巻上荷重が過大となって各部が損傷するおそれがなくなる。
【0027】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態を図1〜図10によって説明する。
【0028】
以下の実施形態では、適用対象として浮きクレーンにおける副巻フックを例にとっている。なお、実施形態において、図11と同一部分には同一符号を付して示し、その重複説明を省略する。
【0029】
第1実施形態(図1〜図6参照)
副巻フック用ブームポイントシーブ14を回転自在に支持するシーブ軸21(図4参照)の両端が補助ブーム3を貫通して外方に延長され、この両側延長部(以下、ブラケット支軸という)22,22に左右一対のパイプ状のフック保持ブラケット23,23の上端部が回転自在に支持されている。
【0030】
この両側フック保持ブラケット23,23は、互いの中間部で連結杆20により連結されて一体運動を行うように構成され、それぞれの下端に、下向きに開口しかつ開口部が下広がりとなった二股状の係合部24が設けられている。
【0031】
なお、連結杆20は、両側ブラケット23,23に対して着脱自在にピン連結される。この連結ピンは着脱が容易なスプリングピンを用いるのが望ましい。また、ピンに代えてボルト等の他の固定手段を用いてもよい。
【0032】
一方、副巻フック5のフックシーブ25を回転自在に支持するシーブ軸26も左右両端が外方に延長され、フック保持ブラケット23,23を取付けた状態で副巻フック5を巻上げることにより、この両側延長部(以下、係合軸という)27,27がフック保持ブラケット23,23の係合部24,24に下側から係合する。
【0033】
この場合、係合部24が下広がりに開口しているため、上記係合作用が確実に行われる。
【0034】
この状態で、係合軸27,27の直下方において係合部24,24に保持ピン28を差し込んで係合軸27,27を係合部24,24に保持し、かつ、副巻ロープ8を緊張させて係合軸27,27(副巻フック5)を係合部24,24(フック保持ブラケット23)に押し付ける。なお、保持ピン28についても着脱が容易なスプリングピンを用いるのが望ましい。
【0035】
こうすれば、副巻フック5の左右方向の動きをフック保持ブラケット23,23によって確実に防止することができる。
【0036】
また、副巻フック5とフック保持ブラケット23とが実質的に一体状態となってフック単独での振れを防止できること、フック5の上下方向の動きを規制できること等により、総合的にフック5の振れを抑制することができる。
【0037】
しかも、フック保持ブラケット23,23と副巻フック5とを係合連結するだけでよく、唯一の手動操作である保持ピン28の挿入は、ブーム2を倒した状態で地上にて行うことができるため、操作が簡単かつ安全となる。なお、保持ピン25の挿入は自動的に行うようにしてもよい。
【0038】
さらに、フック保持ブラケット23,23がブラケット支軸22まわりに回動可能に取付けられているため、ブーム角度の変化に関係なく同ブラケット23,23および副巻フック5をブラケット支軸22の直下に保持することができる。このため、フック保持ブラケット23,23に無理な荷重が作用するおそれがない。
【0039】
加えて、副巻フック5が両側フック保持ブラケット23,23によって左右両側均等に保持されるため、左右片側のみで保持する場合のようにフック5に偏荷重が作用してフック5が傾くおそれがないとともに、フック保持ブラケット23,23とフック5の一体状態が確実に保たれる。
【0040】
また、係合軸27,27がフックシーブ軸26と同一軸上に位置しているため、フック5をその中心線上で保持することができる。さらに、シーブ軸26を外方に延長させて係合軸27,27を形成しているため、構造が簡単で加工も容易となる。
【0041】
ところで、この実施形態ではさらに次のような構成をとっている。
【0042】
(イ) 両フック保持ブラケット23,23は、副巻フック5が互いの間に進入しうるように同フック5の左右方向の幅寸法よりも大きい間隔を置いて取付けられ、図4に示すようにこの両ブラケット23,23の下端部内面に、板材または棒材をくの字形に加工してなるフックガイド部29,29が、互いの凸面が対向しかつその間隔が副巻フック5の幅寸法よりもやや大きい間隔を置いて設けられている。
【0043】
こうすれば、副巻フック5を両ブラケット23,23に向かって巻上げた際に、同フック5がフックガイド部29によって両ブラケット23,23間の中央部にガイドされて左右方向に位置規制される。このため、フック5の左右方向の振れ止め効果が高いものとなる。
【0044】
(ロ) 図2に示すように、両フック保持ブラケット23,23の下端部に連結状態検出手段を構成するリミットスイッチ30が設けられている。
【0045】
このリミットスイッチ30は、保持ピン28が完全に挿入された状態でその操作子30aが同ピン先端面によってオン(またはオフ)操作される状態で設けられ、このリミットスイッチ30の作動により、運転室内に設置されたランプ(図示しない)が点灯(または消灯)するとともに、警報器によって警報が発せられるように構成されている。
【0046】
これにより、保持ピン28を入れ忘れた場合や完全に挿入されていない場合に、その旨がオペレータに報知されるため、フック保持ブラケット23,23と副巻フック5が連結不良のまま作業が行われるおそれがなくなる。
【0047】
なお、リミットスイッチ30に代えて光電スイッチ、電磁スイッチ等を用いてもよい。また、クレーン動作回路とインターロックを組み、ピン非挿入または挿入不良の場合にクレーン動作を停止させるようにしてもよい。
【0048】
(ハ) 図3に示すように、両フック保持ブラケット23における係合部24の上部に皿バネ31を介して検知ピン32が垂直にかつ皿バネ31に抗して上下移動可能に取付けられている。
【0049】
この検知ピン32の下端部は、係合部24内に導入され、下端面が係合軸27と接触し、フック巻上荷重がこの係合軸27を通じて検知ピン32に伝えられるようになっている。
【0050】
また、検知ピン32の上方に、磁気スイッチ33がピン上端面との間に隙間cを置いて設けられている。
【0051】
この磁気スイッチ33は、隙間cが所定寸法まで縮まると作動し、このスイッチ作動により、運転室に設置された荷重監視手段としてのランプ(図示しない)が点灯(または消灯)するように構成されている。
【0052】
この構成において、フック巻上荷重が予め設定された値(皿バネ31のバネ定数によって決まる)に達すると、磁気スイッチ33がオン作動してランプが点灯(または消灯)し、これにより巻上荷重が過大であることがオペレータに報知される。
【0053】
こうすれば、ブーム2の起伏動作に応じて、ブーム先端部とフック5との距離を一定に保つべく副巻フック5を上げ下げ操作する場合に、操作がうまくいかずに巻上荷重が過大となってフック保持ブラケット23,23に無理な力が加わり、同ブラケット23,23等が損傷するといった事態を防止することができる。
【0054】
なお、荷重検出手段として、上記磁気スイッチ33に代えて、副巻ロープ8の張力を検出するロードセルを用いてもよい。
【0055】
(ニ) 図5に示すように、補助ブーム3における両フック保持ブラケット23の近傍位置にそれぞれダンパシリンダ(揺動形ピストン方式アクチュエータ)34が取付けられ、このダンパシリンダ34の入力レバー35がリンク36,37を介してフック保持ブラケット23に連動連結されている。
【0056】
図6に示すように、両ダンパシリンダ34,34は、ピストン34a , 34aを隔てた二つの室34b , 34cが管路38,39を介して接続され、この両管路38,39間に、同シリンダ34 , 34の作動を規制する一対のリリーフ弁40,40と絞り41とが並列に設けられて油圧ダンパ装置が構成されている。
【0057】
この油圧ダンパ装置は、リリーフ弁40 , 40及び絞り41がマニフォールドブロックAとしてブロック化された状態でブーム2に取付けられ、内部に作動油を充填することによって油圧ダンパの役目を果たすようにしている。なお、絞り41は、機械の稼働状況に応じて変更できるように種々のサイズのものを準備しているが、流量と圧力によっては市販の可変絞り弁を採用することもできる。
【0058】
この構成によると、副巻フック5(フック保持ブラケット23,23)が大きく振られようとしたときはリリーフ弁40,40の作用により、また小さく振られようとしたときは絞り41の作用により、それぞれ同フック5の振れが抑えられる。
【0059】
こうして、フック5の前後の振れを抑制し、フック5を常にブームポイント直下に保持することができ、他のフックやロープとの観賞や絡まりを防止することができる。
【0060】
なお、フック保持ブラケット23の前後の振れをダンパシリンダ34のストローク範囲内に規制するために、図1に示すように補助ブーム3に前部および後部ストッパ42,43が設けられている。
【0061】
また、フック保持ブラケット23は、不使用時には垂下状態のまま放置しておいても差し支えないが、図1仮想線で示すように補助ブーム3側に引き寄せ、チェーン、ロープ等の係留具44によって係留しておいてもよい。
【0062】
第2実施形態(図7〜図10参照)
第1実施形態では、副巻フック5がブーム角度の変化に関係なく副巻フック用ブームポイントシーブ14の直下に位置するように構成したのに対し、第2実施形態では、特定のブーム角度(たとえば60°)で作業されることが多いクレーンを対象として、この特定のブーム角度でのみフック5をブームポイントシーブ直下に位置させて前後および左右方向に位置固定するように構成している。
【0063】
図7〜図10において、45は補助ブーム3の先端側にピン46まわりに回動可能に吊設された左右一対の前側ブラケット、47は補助ブーム基端側にピン48まわりに回動自在に吊設された左右一対の後側ブラケットである。
【0064】
前側ブラケット45の下端部には、副巻フック5を左右両側から挾み込みうるフック保持部49が設けられている。
【0065】
一方、後側ブラケット47の下端部には、前側ブラケット45を挾み込みうるフック保持部50が設けられている。
【0066】
また、この両側フック保持部49,50には、両保持部同士を連結するための二個ずつの連結穴51,52,53,54が設けられている。
【0067】
さらに、図8に示すように、フック保持部49の外面およびフック保持部50の内面に、これらを連結する前に仮結合するための鈎形の噛み合い部55,56が設けられている。なお、図7,9においてはこの噛み合い部55,56の図示を省略している。
【0068】
両側ブラケット45,47は、図9に示すように互いのフック保持部49,50がピンまたはボルト57,57によって連結され、特定のブーム角度(たとえば60°)で副巻フック5を自然垂下姿勢に保持しうるようにそれぞれの長さおよび取付位置が設定されている。
【0069】
両側ブラケット45,47のフック保持部49,50同士は、次のようにして連結する。
【0070】
(イ)図7に示すように、前側ブラケット45のフック保持部49を副巻フック5にこれを左右から挾み込むようにセットした状態で、図10に示すようにフック5の両側係合軸27,27にピン58,58によって連結する。
【0071】
(ロ)この状態でフック5を巻上げると、前側ブラケット45の回転中心がフック巻上力(図8のF1)の作用線よりも前側にあることにより、同ブラケット45が後方に回転し、図8の二点鎖線で示すように前側フック保持部49の噛み合い部55が後側フック保持部50の噛み合い部56に、一旦これを押し上げた後、噛み合う。
【0072】
これにより、両フック保持部49,50(両ブラケット45,47)同士が仮結合される。図8中、F2はフック巻上力によって前側ブラケット45に作用する軸力、F3は同ブラケット45に作用する回転力をそれぞれ示している。
【0073】
(ハ)ブーム2を水平近くまで倒して両側ブラケット45,47をピンまたはボルト57,57によって連結(本結合)する。
【0074】
また、両フック保持部49,50は次のようにして分離させる。
【0075】
(i)ブーム2を倒した状態で、両保持部49,50同士を連結しているピンまたはボルト57,57を外す。
【0076】
(ii)ブーム2を起こして副巻フック5を徐々に巻上げる。こうすると、前側フック保持部49が後側フック保持部50を撥ね上げる状態となり、噛み合い部55,56の噛み合いが外れる。一旦、この噛み合いが外れると、後側ブラケット47が垂直になるように前側ブラケット45から逃げていくため、再度噛み合うことはない。
【0077】
(iii)副巻フック5を巻下げて同フック5を垂直にした後、ブーム2を倒してフック5をフックレスト(図示しない)等の所定のフック置場に下し、フック5と前側ブラケット45の結合を解く。
【0078】
この後、両側ブラケット45,47を補助ブーム3に収納固定する。
【0079】
この実施形態によるときは、副巻フック5を左右方向のみならず前後方向にも位置固定することができるため、フック振れ止め効果がより高いものとなる。
【0080】
なお、この第2実施形態においても、第1実施形態と同様に油圧ダンパ装置を設けてもよい。
【0081】
ところで、第1実施形態では、ブームポイントシーブ軸21を補助ブーム外方に延長して同ブーム外側にブラケット支軸22を形成したが、このブラケット支軸22を補助ブーム3の内側に設けてもよい。
【0082】
また、ブラケット支軸22をブームポイントシーブ軸21に対して着脱可能に取付けもよいし、シーブ軸21から切り離して補助ブーム3の外面または内面に取付けてもよい。
【0083】
【発明の効果】
上記のように本発明によるときは、
(I) フック保持ブラケットの下端部とフックとを連結手段によって連結することにより、フック単独での上下方向の振れを防止できること、
(II) フック保持ブラケットがブーム先端部に左右方向の水平軸まわりに回転可能でかつ左右方向に位置固定された状態で取付けられているため、フックの左右方向の振れを防止することができること、
(III) フック保持ブラケットの前後方向の動きが油圧ダンパ装置によって抑制されること
により、総合的にフックの振れを抑制することができる。
【0084】
しかも、フック巻上状態でフック保持ブラケットとフックとを連結するだけでよいため、操作が簡単となる。
【0085】
また、フック保持ブラケットがブーム角度の変化に関係なく鉛直垂下姿勢に保たれる。このため、同ブラケットに無理な荷重が作用する可能性が少ない。
【0086】
この場合、請求項2の発明によると、フックを巻上げるとフックの係合軸がフック保持ブラケットの係合部に係合し、この係合状態を保持ピンによって保持することができる。すなわち、フック保持ブラケットとフックの連結操作がとくに簡単となる。
【0087】
また、請求項3の発明によると、フックが両側フック保持ブラケットによって左右両側均等に保持されるため、左右片側のみで保持する場合のようにフックに偏荷重が作用してフックが傾くおそれがないとともに、フック保持ブラケットとフックの一体状態が確実に保たれる。
【0088】
さらに、フックがフックガイド部によって両側フック保持ブラケット間の中央部にガイドされて左右方向に位置規制されるため、フックの左右方向の振れ止め効果が高いものとなる。
【0089】
請求項4の発明によるとフック保持ブラケットとフックの連結状態が、また請求項5の発明によるとフック巻上荷重がそれぞれ検出されるため、連結状態が不良のまま作業が行われ、あるいはフック巻上荷重が過大となって各部が損傷するおそれがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態にかかるフック振れ止め装置の使用状態を示す側面図である。
【図2】 同装置の下端部の拡大側面図である。
【図3】 同装置下端部をさらに拡大して示す一部断面正面図である。
【図4】 同装置全体の正面図である。
【図5】 同装置上端部の拡大側面図である。
【図6】 同装置における油圧ダンパ装置の油圧回路図である。
【図7】 本発明の第2実施形態にかかるフック振れ止め装置の組立前の状態を示す側面図である。
【図8】 同装置の一部拡大側面図である。
【図9】 同装置の組立状態の側面図である。
【図10】 同一部正面図である。
【図11】 本発明の適用対象例である浮きクレーンの全体概略側面図である。
【符号の説明】
2 ブームを構成するメインブーム
3 補助ブーム
5 副巻フック
8 副巻ロープ
23 フック保持ブラケット
22 同ブラケットを回転自在に支持する水平軸
24 係合部
27 係合軸
28 保持ピン
29 フックガイド部
30 連結状態検出手段を構成するリミットスイッチ
31 荷重検出手段を構成する皿バネ
32 同検知ピン
33 同磁気スイッチ
34, 34 油圧ダンパ装置を構成するダンパシリンダ(油圧シリンダ)
34a , 34a ダンパシリンダのピストン
34b , 34c ピストンを隔てた二つの室
35 ダンパシリンダの入力レバー
36,37 ダンパシリンダとフック保持ブラケットとを連結するリンク
38,39 ダンパシリンダの両側管路
40,40 リリーフ弁
41 絞り
45 フック保持ブラケットを構成する前側ブラケット
47 同後側ブラケット
49,50 両ブラケットのフック保持部
55,55 フック保持部同士を連結するピン
Claims (5)
- ブームの先端部にフックが吊りロープによって昇降可能に吊り下げられたクレーンにおいて、上記フック吊り下げ状態のままフックの振れを止めるフック振れ止め装置であって、上記ブーム先端部に垂下状態で左右方向の水平軸まわりに前後方向に回動可能で左右方向に位置固定された状態で取付けられたフック保持ブラケットと、フック吊り下げ状態でこのフック保持ブラケットの下端部とフックとを連結する連結手段と、ブーム先端部に設けられて上記フック保持ブラケットの前後方向の振れを抑制する油圧ダンパ装置とを具備し、この油圧ダンパ装置は、油圧シリンダのピストンを隔てた二つの室が管路を介して接続され、この両管路間に、同シリンダの作動を規制するリリーフ弁と絞りとが並列に設けられて構成され、上記油圧シリンダの入力レバーが上記フック保持ブラケットに連動連結されたことを特徴とするクレーンのフック振れ止め装置。
- 連結手段は、フック保持ブラケットの下端部に下向きに開口する状態で設けられた係合部と、この係合部に対して係脱しうるようにフックの外側面に突設された係合軸と、上記係合部に差し込まれてこの係合軸を係合部に係合した状態に保持する保持ピンとによって構成されたことを特徴とする請求項1記載のクレーンのフック振れ止め装置。
- フック保持ブラケットがブーム先端部の左右両側に、互いの間にフックの進入を許容しうる間隔を置いて設けられ、この両側フック保持ブラケットの中間部同士を連結する連結杆が設けられるとともに、両側フック保持ブラケットの内面に、フックを両ブラケット間の中央部にガイドしかつ同フックの左右方向の動きを規制するフックガイド部が設けられたことを特徴とする請求項1または2記載のクレーンのフック振れ止め装置。
- 係合部に対する保持ピンの挿入を検出することによってフック保持ブラケットとフックが連結されたことを検知する連結状態検出手段を具備することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のクレーンのフック振れ止め装置。
- フック保持ブラケットとフックが連結された状態で吊りロープによるフック巻上荷重を検出する荷重検出手段を具備することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のクレーンのフック振れ止め装置。
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