以下、本発明の好ましい実施形態が、適宜図面が参照されながら説明される。以下に示す実施形態は、本発明に係るワイヤロープ掛数切換装置5を備えたクレーン11の一態様である。したがって、本発明の要旨を変更しない範囲で実施態様が変更されてもよいことは言うまでもない。
[実施形態1]
以下に実施形態1が説明される。
[クレーン]
図1は、ワイヤロープ掛数切換装置5が採用されたクレーン11の側面図(模式図)である。
図1が示すように、クレーン11は、走行体12、旋回台13及びブーム装置14を備えている。アウトリガ15が走行体12に搭載されている。アウトリガ15が走行体12の側面から張り出して接地することにより、クレーン11の吊荷作業時やワイヤロープ掛数切換時にクレーン11の姿勢が安定する。
ブーム装置14は、その長手方向101に沿って伸縮自在である。ブーム装置14は、起伏シリンダ16を介して旋回台13に対して起伏可能な状態で連結されている。ブーム装置14は、特許請求の範囲に記載された「ブーム」の一例である。旋回台13に備えられた吊荷用ウインチ17は、ドラム及び所要の長さのワイヤロープ18を備える。ワイヤロープ18の一端は、ドラムに巻き込まれて保持されている。
クレーン11は、ワイヤロープ掛数切換装置5を備えている。ワイヤロープ掛数切換装置5は、トップサポート19、フックブロック20、複数のシーブユニット21及び連結機構10を備える。なお、図1では、シーブユニット21のうち、シーブユニット211及び212が示されている。
ワイヤロープ掛数切換装置5は、クレーン作業における、いわゆるワイヤロープ掛数を切り換える。具体的には、ワイヤロープ18が掛け回された複数のシーブユニット21のうちの少なくとも一のシーブユニット21をフックブロック20に連結させ、その余のシーブユニット21をトップサポート19に連結させることにより、ワイヤロープ掛数が切り換えられる。
ワイヤロープ18は、特許請求の範囲に記載された「吊荷用ワイヤロープ」の一例である。シーブユニット21は、特許請求の範囲に記載された「遊動シーブユニット」の一例である。
ガイドシーブ23が、ブーム装置14の先端部34に回転可能に支持されている。ドラムから延びたワイヤロープ18は、ガイドシーブ23に掛け回される。ガイドシーブ23から延びたワイヤロープ18は、トップサポート19及びシーブユニット21を介してフックブロック20に接続される。ワイヤロープ18の掛け回しの要領は、後に詳細に説明される。
以下、ワイヤロープ掛数切換装置5の構成要素であるトップサポート19、フックブロック20、複数のシーブユニット21及び連結機構10の構成が、それぞれ詳述される。
[トップサポート]
図2は、クレーン11のトップサポート19の斜視図である。図3は、図2の仮想面III-断面矢視図である。図4は、ワイヤロープ掛数切換装置5におけるワイヤロープ18の掛け回しを説明するための模式図である。
図2が示すように、トップサポート19は、略直方体状を呈する。トップサポート19の上部はブーム装置14の先端部34(図1参照)に溶接等により結合されている。この先端部34及びトップサポート19は、特許請求の範囲に記載された「ブーム先端部」の一例である。
トップサポート19は、座部29が形成された本体部30と、本体部30の上方に設けられたシーブホルダ31と、トップシーブ22(図3参照)とから構成される。本体部30及びシーブホルダ31は、一体的に形成されている。図2において、矢印102、103、104が、それぞれ上下方向102、左右方向103及び前後方向104を示している。
なお、以下の説明では、図1において、ブーム装置14の基端側(旋回台13側)が後ろ、ブーム装置14の先端側(ガイドシーブ23側)が前として、水平方向に沿った方向が前後方向104と定義される。左右方向103は、前後方向104及び上下方向102と直交する方向と定義される。図1において、紙面に垂直な方向が左右方向103であり、紙面の手前側から奥側へ向かう向きが右向きである。
図3が示すように、シーブホルダ31は、内部空間50を有する角筒状を呈する。シーブホルダ31の上端及び下端は開放されている。支持軸27が、シーブホルダ31の内部空間50に配置されている。支持軸27は、左右方向103(図3において紙面に垂直な方向)に沿って延びている。支持軸27の左右両端は、シーブホルダ31に固定されている。
シーブホルダ31の内部空間50に、トップシーブ22が配置されている。本実施形態では、図4が示すように、同形状の3つのトップシーブ221、222、223が左右方向103に間隔を空けて並設されている。各トップシーブ221、222、223の形状は同形状に限られず、トップシーブ22の数も特に限定されない。なお、本明細書において、トップシーブ221、222、223を「トップシーブ22」と総称することがある。トップシーブ22は、特許請求の範囲に記載された「固定シーブ」の一例である。トップシーブ22には貫通孔が形成されており、支持軸27が、当該貫通孔に挿通されている。これにより、トップシーブ22は、支持軸27周りに回転可能である。なお、図示されていないが、トップシーブ22が支持軸27の軸方向に沿って移動することは、ストッパなどによって規制されている。
図2及び図3が示すように、3つの座部291、292、293が、本体部30の下面32に設けられている。本明細書において、座部291、292、293を「座部29」と総称することがある。座部29は、左右方向103に間隔を空けて並設されている。座部29は、下面32から上下方向102に沿って形成されている。座部29は、それぞれ同形状であり、前後方向104に延びる細長矩形の溝である。座部29は上下方向102に貫通しており、内部空間50と連通している。座部29は、特許請求の範囲に記載された「第2座部」の一例である。
本実施形態において、座部29はシーブユニット21と同数設けられているが、座部29の数はシーブユニット21の数より多くてもよい。
凸部28が、座部29の上端部(内部空間50との境界)に設けられている。凸部28は、本体部30の内壁33に突設されている。本実施形態において、凸部28は、内壁33を周回するように連続している。但し、凸部28は、内壁33の一部のみに設けられていてもよい。
図2が示すように、本体部30は、矩形の孔36、37を有している。孔36、37は、本体部30の左側面35から右側に貫通している。なお、孔36、37は、本体部30を貫通していなくてもよく、少なくとも座部29を貫いていればよい。孔36、37の形状は、矩形に限定されず、後述のスライダ60(図8参照)の断面形状に対応していればよい。
図3が示すように、孔36の内端位置P1は座部29の内端位置P2よりも内側に位置し、孔37の内端位置P3は座部29の内端位置P4よりも内側に位置する。したがって、孔36、37が設けられることにより、座部29の内壁面が切り欠かれた状態となり、孔36、37は座部29と空間的に相互に連通する。
図2が示すように、円筒形の孔38が、本体部30の下面32に設けられている。孔38は、上方に延びており、孔36と連通している。
[フックブロック]
図5は、クレーン11のフックブロック20の斜視図である。図6は、図5の仮想面VI-断面矢視図である。なお、図5において吊荷用フック24は図示されていない。
図5及び図6が示すように、フックブロック20は、略直方体状を呈する本体81と、本体81の下面83に設けられた吊荷用フック24とを有する。吊荷用フック24は、特許請求の範囲に記載された「フック」の一例である。
図5が示すように、3つの座部401、402、403が、本体81の上面42に設けられている。本明細書において、座部401、402、403を「座部40」と総称することがある。座部40は、上面42に設けられた凹部からなり、所定の深さを有する。座部40は、それぞれ同形状であり、前後方向104に延びる細長矩形の溝である。座部40は、特許請求の範囲に記載された「第1座部」の一例である。
本実施形態において、座部40はシーブユニット21と同数設けられているが、座部40の数はシーブユニット21の数より多くてもよい。
本体81は、矩形の孔43、44を有している。孔43、44は、本体81の左側面41から右側に貫通している。なお、孔43、44は、本体81を貫通していなくてもよく、少なくとも座部40を貫いていればよい。孔43、44の形状は、矩形に限定されず、後述のスライダ70(図9参照)の断面形状に対応していればよい。
図6が示すように、孔43の内端位置P5は座部40の内端位置P6よりも内側に位置し、孔44の内端位置P7は座部40の内端位置P8よりも内側に位置する。したがって、孔43、44が設けられることにより、座部40の内壁面が切り欠かれた状態となり、孔43、44は座部40と空間的に相互に連通する。
図5が示すように、円筒形の孔48が、本体81の上面42に設けられている。孔48は、下方に延びており、孔43と連通している。
[シーブユニット]
図4が示すように、ワイヤロープ掛数切換装置5は、シーブユニット21を有する。本実施形態では、3つのシーブユニット211、212、213が設けられている。シーブユニット211、212、213は、それぞれ、シーブ251、252、253を回転可能に支持している。本明細書において、シーブユニット211、212、213を「シーブユニット21」と総称することがある。また、本明細書において、シーブ251、252、253を「シーブ25」と総称することがある。シーブユニット21は、特許請求の範囲に記載された「遊動シーブユニット」の一例である。シーブ25は、特許請求の範囲に記載された「シーブ」の一例である。
シーブユニット211、212、213は、同形状である。そのため、以下の説明では、シーブユニット211の構成が説明され、シーブユニット212、213の説明は省略される。
図7は、シーブユニット211の斜視図である。
図7が示すように、シーブユニット211は、箱形状の筐体39と、筐体39の内部に配置されているシーブ251とを備える。筐体39は、略直方体の箱形状を呈している。シーブ251は、筐体39の内部に配置されている。シーブ251は、筐体39によって左右方向103に延びる軸47周りに回転可能に支持されている。同様に、シーブユニット212の筐体39がシーブ252を回転可能に支持し、シーブユニット213の筐体39がシーブ253を回転可能に支持している(図4参照)。
ワイヤロープ孔57、58が、筐体39の上面59に形成されている。ワイヤロープ孔57、58は、筐体39の外部と内部とを連通する。ワイヤロープ18は、ワイヤロープ孔57を介して筐体39の内部に入り、シーブ251に掛け回され、ワイヤロープ孔58を介して筐体39の外部へ出る。
筐体39は、被係合部52、53を有する。被係合部52、53は対をなし、筐体39の前側面95及び後側面96の上部に設けられている。被係合部52、53は、左右方向103に沿って延びる溝である。被係合部52、53は、特許請求の範囲に記載された「第2被係合部」の一例である。
筐体39は、被係合部55、56を有する。被係合部55、56は、被係合部52、53よりも下方に配置されている。被係合部55、56は対をなし、筐体39の前側面95及び後側面96の下部に設けられている。被係合部55、56は、左右方向103に沿って延びる溝である。被係合部55、56は、特許請求の範囲に記載された「第1被係合部」の一例である。
シーブユニット21の上部は、トップサポート19の座部29(図2参照)に挿抜される。シーブユニット21が座部29に挿入されると、シーブユニット21の上端が凸部28(図3参照)に当接する。これにより、シーブユニット21が座部29に対して位置決めされる。
シーブユニット21の下部は、フックブロック20の座部40(図5参照)に挿抜される。シーブユニット21が座部40に挿入されると、シーブユニット21の下端が座部40の底面82(図6参照)に当接する。これにより、シーブユニット21が座部40に対して位置決めされる。
[連結機構]
図1が示す連結機構10は、シーブユニット21をトップサポート19またはフックブロック20に連結するためのものである。連結機構10は、上述のシーブユニット21の被係合部52、53(図7参照)、シーブユニット21の被係合部55、56(図7参照)、トップサポート19の座部29(図2参照)及びフックブロック20の座部40(図5参照)、並びに、以下に詳述するスライダ60(図8参照)、スライダ70(図9参照)、固定ピン69(図2参照)及び固定ピン79(図5参照)を備える。連結機構10によるシーブユニット21のトップサポート19またはフックブロック20への連結は、後に詳述される。
スライダ60は、特許請求の範囲に記載された「第2スライダ」の一例である。スライダ70は、特許請求の範囲に記載された「第1スライダ」の一例である。
図8は、スライダ60の平面図である。スライダ60は、所定の肉厚の平板からなり、基部61と、基部61の両端から延びるアーム62、63とを有する。これらは一体的に形成されている。
スライダ60は、トップサポート19の本体部30に形成されている孔36、37(図2参照)に差し込まれる。詳細には、アーム62、63が、それぞれトップサポート19の本体部30の左側面35から孔36、37に対して差し込まれる。
係合部661、662、663が、アーム62の内側面64及びアーム63の内側面65に形成されている。本明細書において、係合部661、662、663を「係合部66」と総称する場合がある。係合部66は、それぞれ内側に突出した鍵状に形成されている。係合部66は、特許請求の範囲に記載された「第2係合部」の一例である。
スライダ60の上面86に、直線からなる印671、672、673が記されている。本明細書において、印671、672、673を「印67」と総称する場合がある。印67のそれぞれに、数字「2」、「4」、「6」が付されている。これらの数字は、ワイヤロープ掛数切換装置5によって切り換えられるワイヤロープ掛数を示している。印671は、ワイヤロープ掛数が2本のときのスライダ60の移動位置を示している。印672は、ワイヤロープ掛数が4本のときのスライダ60の移動位置を示している。印673は、ワイヤロープ掛数が6本のときのスライダ60の移動位置を示している。
円形の孔681、682、683がスライダ60に設けられている。これらは、印671、672、673のそれぞれに対応しており、スライダ60の肉厚方向(図8の紙面に垂直な方向)に沿って貫通している。スライダ60が本体部30の孔36、37(図2参照)に挿入され、印671が本体部30の左側面35(図2参照)に合わせられると、孔681が本体部30の孔38(図2参照)と上下に連続する。同様にして、印672が本体部30の左側面35に合わせられると、孔682が本体部30の孔38と上下に連続し、また、印673が本体部30の左側面35に合わせられると、孔683が孔38と上下に連続する。
図2が示すように、固定ピン69は、円柱状を呈する。固定ピン69は、特許請求の範囲に記載された「第2固定部材」の一例である。固定ピン69が孔38に挿入されると、スライダ60の挿入位置によって、固定ピン69が孔681、682、683(図8参照)のいずれかと嵌合する。固定ピン69が孔38と孔681、682、683のいずれかとに挿入されると、スライダ60がトップサポート19に固定され、スライダ60のトップサポート19に対する位置ずれが防止される。固定されたスライダ60の位置は、固定ピン69が孔681、682、683のいずれと嵌合したかに応じて決まる。なお、図示されていないが、固定ピン69は、挿入された孔681、682、683からの抜け落ちを防止するためのストッパを備えている。このストッパは、例えば孔681、682、683の内壁に設けられた雌ねじと、固定ピン69に形成された雄ねじから構成され、両者の螺合により固定ピン69の抜け落ちが防止される。
図9は、スライダ70の平面図である。スライダ70は、所定の肉厚の平板からなり、基部71と、基部71の両端から延びるアーム72、73とを有する。これらは、一体的に形成されている。
スライダ70は、フックブロック20の本体81に形成されている孔43、44(図5参照)に差し込まれる。詳細には、アーム72、73が、それぞれフックブロック20の本体81の左側面41から孔43、44に対して差し込まれる。
係合部761、762、763が、アーム72の内側面74及びアーム73の内側面75に形成されている。本明細書において、係合部761、762、763を「係合部76」と総称する場合がある。係合部76は、それぞれ内側に突出した鍵状に形成されている。係合部76は、特許請求の範囲に記載された「第1係合部」の一例である。
スライダ70の上面87に、直線から成る印771、772、773が記されている。本明細書において、印771、772、773を「印77」と総称する場合がある。印77のそれぞれに、数字「2」、「4」、「6」が付されている。これらの数字は、ワイヤロープ掛数切換装置5によって切り換えられるワイヤロープ掛数を示している。印771は、ワイヤロープ掛数が2本のときのスライダ70の移動位置を示している。印772は、ワイヤロープ掛数が4本のときのスライダ70の移動位置を示している。印773は、ワイヤロープ掛数が6本のときのスライダ70の移動位置を示している。
円形の孔781、782、783がスライダ70に設けられている。これらは、印771、772、773に対応しており、スライダ70の肉厚方向(図9の紙面に垂直な方向)に沿って貫通している。スライダ70が本体81の孔43、44(図5参照)に挿入され、印771が本体81の左側面41(図5参照)に合わせられると、孔781が本体81の孔48(図5参照)と上下に連続する。同様にして、印772が本体81の左側面41に合わせられると、孔782が本体81の孔48と上下に連続し、また、印773が本体81の左側面41に合わせられると、孔783が本体81の孔48と上下に連続する。
図5が示すように、固定ピン79は、円柱状を呈する。固定ピン79は、特許請求の範囲に記載された「第1固定部材」の一例である。固定ピン79が孔48に挿入されると、スライダ70の挿入位置によって、固定ピン79が孔781、782、783(図9参照)のいずれかと嵌合される。固定ピン79が孔48と孔781、782、783のいずれかとに挿入されると、スライダ70がフックブロック20に固定され、スライダ70のフックブロック20に対する位置ずれが防止される。固定されたスライダ70の位置は、固定ピン79が孔781、782、783のいずれと嵌合したかに応じて決まる。なお、図示されていないが、固定ピン79は、挿入された孔781、782、783からの抜け落ちを防止するためのストッパを備えている。このストッパは、上記固定ピン69に設けられたストッパと同様の構造が採用され得る。
[シーブユニットの連結]
図10(A)は、トップサポート19とシーブユニット21が、スライダ60によって連結している状態を示す断面図であり、図10(B)は、トップサポート19とシーブユニット21が、スライダ60によって連結していない状態を示す断面図である。同図は、シーブユニット21が座部29に挿入され、且つ、当該座部29と連通する孔36、37にスライダ60が挿入されている状態を示している。
同図が示すように、シーブユニット21が座部29に挿入され、凸部28に当接した状態になると、被係合部52が孔36と連続し、被係合部53が孔37と連続する。
スライダ60は、本体部30の左側面35(図2参照)から孔36、37に挿入される。図10(A)が示すように、スライダ60の係合部66がシーブユニット21の被係合部52、53に係合すると、シーブユニット21とトップサポート19が連結される。図10(B)が示す状態のとき、スライダ60の係合部66(図8参照)は、被係合部52、53からずれた位置にある。このとき、スライダ60はシーブユニット21の被係合部52、53と係合しない。つまり、シーブユニット21とトップサポート19は連結されない。
図11(A)は、フックブロック20とシーブユニット21が、スライダ70によって連結している状態を示す断面図であり、図11(B)は、フックブロック20とシーブユニット21が、スライダ70によって連結していない状態を示す断面図である。同図は、シーブユニット21が座部40に挿入され、且つ、当該座部40と連通する孔43、44にスライダ70が挿入されている状態を示している。
同図が示すように、シーブユニット21が座部40に挿入され、上記底面82に当接した状態になると、被係合部55は孔43と連続し、被係合部56は孔44と連続する。
スライダ70が本体81の左側面41(図5参照)から孔43、44に挿入される。図11(A)が示すように、スライダ70の係合部76がシーブユニット21の被係合部55、56に係合すると、シーブユニット21とフックブロック20が連結される。図11(B)が示す状態のとき、スライダ70の係合部76(図9参照)は、被係合部55、56からずれた位置にある。このとき、スライダ70はシーブユニット21の被係合部55、56と係合しない。つまり、シーブユニット21とフックブロック20は連結されない。
このような要領でシーブユニット21は、トップサポート19、フックブロック20のいずれかと連結する。
図12は、シーブユニット21の連結の一例を示している。同図は、シーブユニット212がフックブロック20と連結している状態を示す斜視図である。同図において吊荷用フック24及び固定ピン79は図示されていない。同図において、スライダ70の係合部76(図9参照)は、シーブユニット212のみと係合している。なお、このとき、スライダ60の係合部66(図8参照)は、シーブユニット211、213の被係合部52、53と係合している(図10(A)参照)。
[ワイヤロープの掛け回し]
図1及び図4が示すように、吊荷用ウインチ17のドラムから延びたワイヤロープ18は、ガイドシーブ23に掛け回された後、トップサポート19の上部の開口部を通り、トップシーブ221に掛け回される。
トップシーブ221から延びたワイヤロープ18は、シーブ251、トップシーブ222、シーブ252、トップシーブ223及びシーブ253に順に掛け回される。シーブ253から延びたワイヤロープ18は、トップサポート19の所定位置26に固定される。つまり、吊荷用ウインチ17のドラムから延びたワイヤロープ18は、トップシーブ22とシーブ25とを交互に掛け回されて、所定位置26に固定される。なお、ワイヤロープ18の所定位置26への固定方法は、既知の方法により行われる。例えば、ワイヤロープ18は、ワイヤロープ固定用の取付ボルトを用いて確実に締め付ける方法等で、所定位置26に固定される。
[ワイヤロープ掛数]
図13(A)、(B)、(C)はシーブユニット21がトップサポート19またはフックブロック20のいずれに連結されているかを示す。
図14~図16は、スライダ60、70の挿入位置とワイヤロープ掛数との関係を示す模式図である。これらの図は、トップサポート19とスライダ60との連結、及びフックブロック20とスライダ70との連結を示している。なお、これらの図において、シーブユニット21、トップサポート19のシーブホルダ31及びトップシーブ22並びに固定ピン69、79の図示は、省略されている。
ワイヤロープ掛数の切り換えの要領は、以下のとおりである。
図13(A)は、ワイヤロープ掛数が2本であるときの模式図である。同図が示すように、シーブユニット211、213がトップサポート19に連結されている。一方、シーブユニット212がフックブロック20に連結されている。
図14(A)が示すように、スライダ60がトップサポート19に挿入され、印671が左側面35に合わせられる。これにより、トップサポート19の孔38とスライダ60の孔681(図8参照)とが上下に連続する。次に、固定ピン69(図2参照)が孔38、681に挿入される。これにより、スライダ60の位置ずれが防止される。なお、このとき、印671に対応する数字が参照されることによって、作業者はスライダ60の挿入位置に対応するワイヤロープ掛数が2本であることを容易に認識できる。
図14(A)では、スライダ60の係合部661、663がトップサポート19の座部291、293内に位置しており、スライダ60の係合部662がトップサポート19の座部292内から退避している。そのため、座部291に挿入されたシーブユニット213は、係合部661と係合し、座部293に挿入されたシーブユニット211が係合部663と係合する。一方、座部292に挿入されたシーブユニット212は係合部662と係合しない。つまり、シーブユニット211、213がトップサポート19に連結され、シーブユニット212がトップサポート19に連結されない。
図14(B)が示すように、スライダ70がフックブロック20に挿入され、印771が左側面41に合わせられる。これにより、フックブロック20の孔48とスライダ70の孔781(図9参照)とが上下に連続する。次に、固定ピン79(図5参照)が孔48、781に挿入される。これにより、スライダ70の位置ずれが防止される。なお、このとき、印771に対応する数字が参照されることによって、作業者はスライダ70の挿入位置に対応するワイヤロープ掛数が2本であることを容易に認識できる。
図14(B)では、スライダ70の係合部761がフックブロック20の座部402内に位置しており、スライダ70の係合部761、763がフックブロック20の座部401、403内から退避している。そのため、座部402に挿入されたシーブユニット212が係合部761と係合する。一方、座部401、403に挿入されたシーブユニット211、213は係合部761、763と係合しない。つまり、シーブユニット212がフックブロック20に連結され、シーブユニット211、213がフックブロック20に連結されない。
このように、スライダ60がトップサポート19に挿入され、スライダ70がフックブロック20に挿入された場合、図13(A)、図14が示す状態となり、ワイヤロープ掛数が2本となる。
図13(A)、図14が示す状態の場合、シーブユニット212が特許請求の範囲に記載された「少なくとも一つの遊動シーブユニット」に相当し、シーブユニット211、213が特許請求の範囲に記載された「その余の遊動シーブユニット」に相当する。
図13(B)は、ワイヤロープ掛数が4本であるときの模式図である。同図が示すように、シーブユニット212がトップサポート19に連結されている。一方、シーブユニット211、213がフックブロック20に連結されている。
図15(A)が示すように、スライダ60がトップサポート19に挿入され、印672が左側面35に合わせられる。これにより、トップサポート19の孔38とスライダ60の孔682(図8参照)とが上下に連続する。次に、固定ピン69(図2参照)が孔38、681に挿入される。これにより、スライダ60の位置ずれが防止される。なお、このとき、印672に対応する数字が参照されることによって、作業者はスライダ60の挿入位置に対応するワイヤロープ掛数が4本であることを容易に認識できる。
図15(A)では、スライダ60の係合部662がトップサポート19の座部292内に位置しており、スライダ60の係合部661、663がトップサポート19の座部291、293内から退避している。そのため、座部292に挿入されたシーブユニット212が係合部662と係合する。一方、座部291、293に挿入されたシーブユニット211、213は係合部661、663と係合しない。つまり、シーブユニット212がトップサポート19に連結され、シーブユニット211、213がトップサポート19に連結されない。
図15(B)が示すように、スライダ70がフックブロック20に挿入され、印772が左側面41に合わせられる。これにより、フックブロック20の孔48とスライダ70の孔782(図9参照)とが上下に連続する。次に、固定ピン79(図5参照)が孔48、782に挿入される。これにより、スライダ70の位置ずれが防止される。なお、このとき、印772に対応する数字が参照されることによって、作業者はスライダ70の挿入位置に対応するワイヤロープ掛数が4本であることを容易に認識できる。
図15(B)では、スライダ60の係合部761、763がフックブロック20の座部401、403内に位置しており、スライダ60の係合部762がフックブロック20の座部402内から退避している。そのため、座部401、403に挿入されたシーブユニット211、213が係合部761、763と係合する。一方、座部402に挿入されたシーブユニット212が係合部762と係合しない。つまり、シーブユニット211、213がフックブロック20に連結され、シーブユニット212がフックブロック20に連結されない。
このように、スライダ60がトップサポート19に挿入され、スライダ70がフックブロック20に挿入された場合、図13(B)、図15が示す状態となり、ワイヤロープ掛数が4本となる。
図13(B)、図15が示す状態の場合、シーブユニット211、213が特許請求の範囲に記載された「少なくとも一つの遊動シーブユニット」に相当し、シーブユニット212が特許請求の範囲に記載された「その余の遊動シーブユニット」に相当する。
図13(C)は、ワイヤロープ掛数が6本であるときの模式図である。同図が示すように、シーブユニット211、212、213がいずれもフックブロック20に連結されている。
図16(A)が示すように、スライダ60がトップサポート19に挿入され、印673が左側面35に合わせられる。これにより、トップサポート19の孔38とスライダ60の孔683(図8参照)とが上下に連続する。次に、固定ピン69(図2参照)が孔38、683に挿入される。これにより、スライダ60の位置ずれが防止される。なお、このとき、印673に対応する数字が参照されることによって、作業者はスライダ60の挿入位置に対応するワイヤロープ掛数が6本であることを容易に認識できる。
図16(A)では、スライダ60の係合部661、662、663がトップサポート19の座部291、292、293内から退避している。そのため、座部291、292、293に挿入されたシーブユニット211、212、213は係合部661、662、663と係合しない。つまり、シーブユニット211、212、213がトップサポート19に連結されない。
図16(B)が示すように、スライダ70がフックブロック20に挿入され、印773が左側面41に合わせられる。これにより、フックブロック20の孔48とスライダ70の孔783(図9参照)とが上下に連続する。次に、固定ピン79(図5参照)が孔48、783に挿入される。これにより、スライダ70の位置ずれが防止される。なお、このとき、印773に対応する数字が参照されることによって、作業者はスライダ70の挿入位置に対応するワイヤロープ掛数が6本であることを容易に認識できる。
図16(B)では、スライダ60の係合部761、762、763がフックブロック20の座部401、402、403内に位置している。そのため、座部401、402、403内に挿入されたシーブユニット211、212、213が係合部761、762、763と係合する。つまり、シーブユニット211、212、213がフックブロック20に連結される。
このように、スライダ60がトップサポート19に挿入され、スライダ70がフックブロック20に挿入された場合、図13(C)、図16が示す状態となり、ワイヤロープ掛数が6本となる。なお、図4も、シーブユニット211、212、213がフックブロック20に連結されており、ワイヤロープ掛数は6本である状態を示している。
図4、図13(C)、図16が示す状態の場合、シーブユニット211、212、213が特許請求の範囲に記載された「少なくとも一つの遊動シーブユニット」に相当する。
[ワイヤロープ掛数の切換の動作]
クレーン11のワイヤロープ掛数の切り換えは、典型的には以下の方法で実行される。
図1に示す姿勢のクレーン11から、ワイヤロープ18の巻き取りとブーム装置14の倒伏とが実行される。これにより、トップサポート19、フックブロック20、及びシーブユニット21が、作業者の手が届く位置に移動する。作業者は、さらにブーム装置14等を操作することにより、全てのシーブユニット21をトップサポート19の座部29及びフックブロック20の座部40に挿入する。作業者は、スライダ60をトップサポート19の所定の位置(設定するワイヤロープ掛数に応じた位置)へスライドする。同様に、作業者は、スライダ70をフックブロック20の所定の位置(設定するワイヤロープ掛数(上述したスライダ60と同じ数のワイヤロープ掛数)に応じた位置)へスライドする。なお、作業者は、スライダ60をトップサポート19から引き抜き、その後、設定するワイヤロープ掛数に応じた位置へスライダ60を再度挿入してもよい。同様に、作業者は、スライダ70をフックブロック20から引き抜き、設定するワイヤロープ掛数(上述したスライダ60と同じ数のワイヤロープ掛数)に応じた位置にスライダ70を再度挿入してもよい。
ワイヤロープ掛数が2本に設定される場合、スライダ60が図14(A)に示される位置へ挿入され、スライダ70が図14(B)に示される位置へ挿入される。これにより、ワイヤロープ掛数が2本となる(図13(A)参照)。ワイヤロープ掛数が4本に設定される場合、スライダ60が図15(A)に示される位置へ挿入され、スライダ70が図15(B)に示される位置へ挿入される。これにより、ワイヤロープ掛数が4本となる(図13(B)参照)。ワイヤロープ掛数が6本に設定される場合、スライダ60が図16(A)に示される位置へ挿入され、スライダ70が図16(B)に示される位置へ挿入される。これにより、ワイヤロープ掛数が6本となる(図13(C)参照)。
ワイヤロープ掛数を6本にする場合には、すべてのシーブユニット21がフックブロック20と連結しており、シーブユニット21はトップサポート19に連結しない。シーブユニット21がトップサポート19に一つも連結しない場合、スライダ60及び固定ピン69は、座部29に装着されなくてもよい。
[実施形態の作用効果]
このクレーン11では、シーブユニット21のフックブロック20及びトップサポート19への着脱作業だけで、ワイヤロープ掛数が変更され、一々ワイヤロープ18を外して巻き直すという煩雑な作業が不要となる。
作業者は、挿抜するスライダ60、70の位置を変えるだけで、トップサポート19、フックブロック20と連結するシーブユニット21を切り換えることができ、ワイヤロープ掛数切り換えの際、作業者の手順が軽減され、作業時間が短くなる。そのため、ワイヤロープ掛数の切り換えが容易かつ迅速に行われる。しかも、連結機構10は複数のシーブユニット21をフックブロック20あるいはトップサポート19に振り分けて固定するだけであるから、構造が簡単である。
シーブユニット21の数が増えるとワイヤロープ掛数のバリエーションが増加する。シーブユニット21の数が増えた場合であっても、シーブユニット21の増加数に応じてスライダ60、70の数を増やす必要はなく、スライダ60のアーム62、63及びスライダ70のアーム72、73を長くして、スライダ60、70の係合部66、76と、シーブユニット21の被係合部52、53、被係合部55、56とが係合する組み合わせの数を増やせばよい。つまり、構造の複雑化及びそれに伴うコストアップを抑制しつつ、ワイヤロープ掛数のバリエーションを増やすことができるという利点がある。
スライダ60及びトップサポート19が固定ピン69により固定されることにより、スライダ60のトップサポート19に対する位置ずれを防ぐことができる。また、スライダ70及びフックブロック20が固定ピン79により固定されることにより、スライダ70のフックブロック20に対する位置ずれを防ぐことができる。
[実施形態2]
図17は、実施形態2に係るワイヤロープ掛数切換装置110が採用されたクレーン111の側面図である。
クレーン111は、ワイヤロープ掛数切換装置110を備えている。ワイヤロープ掛数切換装置110は、トップサポート112、フックブロック113、複数のシーブユニット115、116、117及び連結機構114を備える。なお、図17では、シーブユニット115及び116が示されており、シーブユニット117は図23に示されている。ワイヤロープ掛数切換装置110は、実施形態1のワイヤロープ掛数切換装置5と同様にワイヤロープ掛数を切り換える。トップサポート112は、特許請求の範囲に記載された「回動体」の一例である。シーブユニット115、116、117は、特許請求の範囲に記載された「遊動シーブユニット」の一例である。
図18は、トップサポート112の斜視図である。
図18が示すように、トップサポート112は、略直方体状の本体部123と、一対の支持アーム125と、トップシーブ22とを有する。一対の支持アーム125は、板状であり、本体部123の上面124から上方に突出している。本体部123及び一対の支持アーム125は、一体的に形成されている。各支持アーム125は、貫通孔126を有している。貫通孔126は、支持アーム125を左右方向103に貫通している。支持軸127が、貫通孔126に挿通されている。支持軸127は、左側の支持アーム125よりも左方から、一対の支持アーム125の間を経て、右側の支持アーム125よりも右方にまで延びている。
一対の支持アーム125の間に、トップシーブ22が配置されている。実施形態1と同様に、トップシーブ22として同形状の3つのトップシーブ221、222、223が左右方向103に間隔を空けて並設されている。トップシーブ22には貫通孔が形成されており、支持軸127は、当該貫通孔に挿通されている。これにより、トップシーブ22は、支持軸127の周りに回転可能である。なお、実施形態1と同様に、トップシーブ22が支持軸127の軸方向に沿って移動することは、ストッパなどによって規制されている。
図17が示すように、ブーム装置14の先端部118(特許請求の範囲に記載された「ブーム先端部」に相当)は、一対の取付板158を備えている。各取付板158は、左右方向103(同図において紙面に垂直な方向)に離間している。一対の取付板158は、左右方向103の外側からトップシーブ22及び支持アーム125を挟み込んでいる。支持軸127の右端127A及び左端127B(図18参照)は、それぞれ左右に配置された取付板158に支持されている。これにより、トップサポート112は、支持軸127の周りに回動可能な状態で上記先端部118に支持されている。トップサポート112は、外力が付与されない限り、自重によってブーム装置14の先端部118から垂下する。したがって、ブーム装置14の起伏角度にかかわらず、トップサポート112の下面129(図18参照)は、常時鉛直下方に向く。なお、トップサポート112は、先端部118に設けられており、先端部118の一部を構成している。つまり、先端部118に加えてトップサポート112も、特許請求の範囲に記載された「ブーム先端部」に相当する。
図18が示すように、3つの座部107、108、109が、本体部123の下面129に、左右方向103に間隔を空けて並設されている。座部107、108、109は、特許請求の範囲に記載された「第2座部」の一例であり、「位置決め部」の一例である。各座部107、108、109は、下面129に設けられた凹部からなり、所定の深さとなるように設計されている。後述のように、これら座部107、108、109にシーブユニット115、116、117が嵌め込まれるようになっている。
座部107、108、109の形状はすべて同じであり、細長矩形ないし細長平行四辺形を呈する。本実施形態では、座部107、108、109の長手方向130は、同図が示すように本体部123に対して傾斜している。すなわち、上記実施形態1では(図10参照)、トップシーブ22の支持軸27とシーブ25の支持軸47とが平行となるように座部29(図2参照)の長手方向が決定されている(座部29の長手方向が上記支持軸27及び支持軸47と直交する)のに対し、本実施形態では、図24が示すように、座部107、108、109の長手方向130は、上記支持軸127に直交する方向から所定の角度αだけ傾いた方向に設定されている。この角度αについては、後述される。
本実施形態では、座部107、108、109は、シーブユニット115、116、117と同数だけ設けられているが、シーブユニットの数より多く設けられていてもよい。
図18が示すように、本体部123は、矩形の孔131、132を有している。孔131、132は、それぞれ実施形態1の孔36、37(図2参照)に対応する。孔131、132は、本体部123を左右方向103に貫通している。なお、孔131、132は、本体部123を貫通していなくともよい。なお、孔131、132の形状は、矩形に限定されず、実施形態1と同様に、スライダ60の断面形状に対応していればよい。
スライダ60(図8参照)がトップサポート112の本体部123の右側面133から孔131、132に挿抜される。このスライダ60は、実施形態1に係るスライダ60と同様の構成である。実施形態1と同様に、スライダ60が孔131、132に挿抜されることにより、シーブユニット115、116、117の着脱が切り換えられる。なお、スライダ60は、本体部123の左側面134から孔131、132に挿抜されてもよい。実施形態1と同様に、本体部123の下面129に円筒状の孔38が設けられている。この孔38は、スライダ60を本体部123の所定位置に固定するためのものである。
図19は、フックブロック113の斜視図である。図20は、図19のXX-矢視図である。
図19及び図20が示すように、フックブロック113は、略直方体状を呈する本体135と、本体135の下面136に設けられた吊荷用フック24とを有する。
3つの座部137、138、139が、本体135の上面140に、左右方向103に間隔を空けて並設されている。座部137、138、139は、特許請求の範囲に記載された「第1座部」の一例であり、「位置決め部」の一例である。各座部137、138、139は、本体135の上面140に設けられた凹部からなり、所定の深さを有する。後述のように、これら座部137、138、139にシーブユニット115、116、117が嵌め込まれるようになっている。
座部137、138、139はすべて同形状であり、細長矩形ないし細長平行四辺形を呈する。図20が示すように、座部137、138、139の長手方向128は、本体135の長手方向141に直交する方向159に対して所定の角度αだけ傾斜している。
実施形態2では、座部137、138、139は、シーブユニット115、116、117と同数設けられているが、シーブユニットの数より多く設けられていてもよい。
図19が示すように、本体135は、矩形の孔142、143を有している。孔142、143は、それぞれ実施形態1の孔43、44(図5参照)に対応する。孔142、143は、本体135を左右方向103に貫通している。なお、孔142、143は、本体135を貫通していなくともよい。孔142、143の形状は、矩形に限定されず、実施形態1と同様に、スライダ70の断面形状に対応していればよい。
スライダ70(図9参照)がフックブロック113の本体135の孔142、143に挿抜される。このスライダ70は、実施形態1に係るスライダ70と同様の構成である。実施形態1と同様に、スライダ70が孔142、143に挿抜されることにより、シーブユニット115、116、117の着脱が切り換えられる。
実施形態1と同様に、本体135の上面140に円筒状の孔48が設けられている。この孔48は、スライダ70を所定位置に固定するためのものである。
図21は、シーブユニット115の斜視図である。図22は、図21のXXII-矢視図である。
実施形態2では、シーブユニット115、116、117は同形状であるため、シーブユニット115の構成が説明され、シーブユニット116、117の構成の説明は省略される。シーブユニット115は、図21及び図22が示すように、十字状を呈する支持フレーム160及びシーブ149を備える。
支持フレーム160は、同図において上下方向102に延びる基部146と、基部146に直交する腕部147とを有する。基部146及び腕部147は、一体的に形成されている。基部146は、矩形の筒状を呈する。具体的には、天板173及び底板174が上下方向102に対向しており、これらを接続する一対の側板175、176が対向配置されている。同図が示すように、基部146の内部にシーブ149が進入する空間が形成されている。腕部147は、対向する一対の平板からなる。各腕部147は、それぞれ上記一対の側板175、176の中央に連続して延びている。
基部146と腕部147とが交差する部位に支持軸152が設けられている。この支持軸152は、基部146を貫通し、側板175、176により支持されている。シーブ149は、支持フレーム160によって支持軸152周りに回転可能に支持されている。シーブ149は、基部146の内部に挿入され、当該基部146と腕部147によって囲繞される。腕部147の先端部は、連結ピン155により連結されている。連結ピン155は、シーブ149に掛け回されたワイヤロープ18がシーブ149から外れることを防ぐ。
天板173及び底板174にそれぞれ連続して、被係合部153、154が形成されている。被係合部153、154は、それぞれ、同図が示すように側板175、176が対向する方向に沿って延びる溝を有する。被係合部153は、特許請求の範囲に記載された「第2被係合部」の一例である。被係合部154は、特許請求の範囲に記載された「第1被係合部」の一例である。
実施形態1と同様に、上記被係合部153がトップサポート112の座部107(図18参照)に挿入される。このとき、上記被係合部153は、座部107の上面に当接するまで挿入される。シーブユニット116、117の被係合部153もそれぞれトップサポート112の座部108、109(図18参照)に挿入される。また、上記被係合部154がフックブロック113の座部137(図19参照)に挿入される。このとき、上記被係合部154は、座部137の底面に当接するまで挿入される。シーブユニット116、117の被係合部154もそれぞれフックブロック113の座部138、139(図19参照)に挿入される。これによりシーブユニット115、116、117は、座部107~109、座部137~139により位置決めされる。
図17が示す連結機構114は、実施形態1の連結機構10と同様に、シーブユニット115~117をトップサポート112またはフックブロック113に連結する。連結機構114は、上述した被係合部153、154(図21参照)、トップサポート112の座部107~109(図18参照)、フックブロック113の座部137~139(図19参照)、スライダ60、70(図8、9参照)及び固定ピン69、79(図18、19参照)とを備える。具体的には、トップサポート112の本体部123に設けられる孔131、132(図18参照)にスライダ60が挿抜され、フックブロック113の本体135に設けられる孔142、143(図19参照)にスライダ70が挿抜されることにより、シーブユニット115~117の着脱が切り換えられる。
図23は、シーブユニット115~117がトップサポート112の座部107~109及びフックブロック113の座部137~139に挿入された状態を示す。同図はクレーン111の前方右側から見た斜視図である。
ワイヤロープ掛数の切り換えは、実施形態1と同様に実行される。すなわち、図17に示す姿勢のクレーン111から、ワイヤロープ18の巻き取りとブーム装置14の倒伏とが実行される。これにより、トップサポート112、フックブロック113、及びシーブユニット115~117が、作業者の手が届く位置に移動する。作業者は、さらにブーム装置14等を操作することにより、全てのシーブユニット115~117をトップサポート112の座部107~109及びフックブロック113の座部137~139に挿入する。作業者は、スライダ60をトップサポート112の所定の位置(設定するワイヤロープ掛数に応じた位置)へスライドする。同様に、作業者は、スライダ70をフックブロック113の所定の位置(設定するワイヤロープ掛数(上述したスライダ60と同じ数のワイヤロープ掛数)に応じた位置)へスライドする。なお、作業者は、スライダ60をトップサポート112から引き抜き、その後、設定するワイヤロープ掛数に応じた位置へスライダ60を再度挿入してもよい。同様に、作業者は、スライダ70をフックブロック113から引き抜き、設定するワイヤロープ掛数(上述したスライダ60と同じ数のワイヤロープ掛数)に応じた位置にスライダ70を再度挿入してもよい。
図17が示すように、吊荷用ウインチ17のドラムから延びたワイヤロープ18は、ガイドシーブ23に掛け回される。ガイドシーブ23から延びたワイヤロープ18は、トップシーブ221(図18参照)に掛け回される。
図24は、トップサポート112及びシーブユニット115、116、117の平面図である。なお、図24では、ワイヤロープ18の図示が省略されている。
前述のように(図18参照)、トップサポート112の座部107~109の長手方向130が支持軸127に対する直交方向から角度αだけ傾いている。したがって、図24が示すように、この支持軸127の軸線方向156は、シーブユニット115の支持軸152(図21参照)の軸線方向157と角度αで交差している。この状態で、シーブユニット115、116、117がトップサポート112に連結される。
図20が示すように、フックブロック113に設けられた座部137、138、139も前述のように本体135に対して角度αだけ傾斜している。換言すれば、上記座部107~109と同様に角度αだけ傾斜しており、上記座部137~139と上記座部107~109は、互いに平行に対向するように配置される。したがって、図23が示すように、シーブユニット115、116、117は、トップサポート112及びフックブロック113に対して上記角度αだけ傾斜した状態で連結する。
図23及び図24が示すように、トップシーブ221から延びたワイヤロープ18は、シーブユニット115の連結ピン155の内側を通ってシーブ149に掛け回される。シーブ149に掛け回されたワイヤロープ18は、連結ピン155の内側を通ってトップシーブ222に掛け回され、さらにシーブユニット116の連結ピン155の内側を通ってシーブ150に掛け回される。同様に、ワイヤロープ18は、トップシーブ223、シーブ151に掛け回され、トップサポート112の所定位置26(図4参照)に固定される。本実施形態2では、シーブ149~151が角度αだけ傾斜していることにより、シーブ149、150、151とトップシーブ221、222、223との間のフリートアングルが小さくなる。
なお、実施形態2では、角度αは、トップシーブ22から延びたワイヤロープ18が鉛直下方へ延びてシーブ149、150、151に掛け回されるような角度に設定されている。しかし、角度αは、前述したような角度に限らない。
以下、実施形態1に係るワイヤロープ掛数切換装置5の変形例が説明される。
[変形例1]
図25は、変形例1に係るワイヤロープ掛数切換装置105の模式図である。同図は、シーブユニット21とトップサポート119及びフックブロック120との連結構造を示している。
変形例1に係るワイヤロープ掛数切換装置105は、実施形態1に係るワイヤロープ掛数切換装置5と以下の点で異なる。実施形態1では、係合部66、76を有するスライダ60、70(図8及び図9参照)によってシーブユニットとトップサポート及びフックブロックが連結されている。これに対して、変形例1では、係合部66、76を備えていない棒状のスライダ97、98によってシーブユニット21とトップサポート119及びフックブロック120とが連結される。
図25が示すように、変形例1に係るワイヤロープ掛数切換装置105は、トップサポート119、フックブロック120、複数のシーブユニット21、及び連結機構100を備える。
トップサポート119は、左右方向103に対向した一対の支持アーム90と、これらを繋ぐ支持軸27と、支持軸27に回転可能に支持されたトップシーブ22とを備えている。一対の支持アーム90と支持軸27とは一体的に形成されている。各支持アーム90の下部に孔88が設けられている。
孔88は、支持アーム90を左右方向103に貫通している。孔88の断面形状(内壁面形状)は矩形であり、前後方向104(図25の紙面奥行き方向)に延びている。なお、孔88の形状は特に限定されるものではなく、スライダ97が左右方向103に沿って挿抜される形状であればよい。
フックブロック120は、基部93と、一対の支持アーム92とを備えている。各支持アーム92は、基部93の左右両端部から上方へ突出している。基部93及び一対の支持アーム92は一体的に形成されている。吊荷用フック24が基部93に設けられている。各支持アーム92の上部にそれぞれ孔89が設けられている。
孔89は、支持アーム92を左右方向103に貫通している。孔89の断面形状(内壁面形状)は矩形であり、前後方向104に延びている。変形例1では、上記孔88と孔89は同一形状であるが、これらは異なる形状であってもよい。なお、孔89の形状は、孔88と同様に、スライダ98が左右方向103に沿って挿抜される形状であればよい。
シーブユニット21は、孔121、122を備えている。変形例1では、実施形態1に係る被係合部52、53(図7参照)に代えて孔121が設けられ、被係合部55、56(図7参照)に代えて孔122が設けられている。これら孔121、122にそれぞれスライダ97、98が挿通されるようになっている。孔121、122の形状は、上記孔88、89と同様に、スライダ97、98が左右方向103に沿って挿抜される形状であればよい。
連結機構100は、上述のトップサポート119に設けられた孔88、フックブロック120に設けられた孔89、シーブユニット21に設けられた孔121、孔122、及びスライダ97、98を備える。
スライダ97、98は、細長棒状の部材である。スライダ97、98は、同図において左右方向103に沿って配置されている。スライダ97、98の断面形状は矩形であり、したがって、スライダ97、98は四角柱形状を呈する。スライダ97、98の外形形状は、上記孔88、孔89、孔121、孔122の内壁面形状に対応している。スライダ97、98の断面形状が矩形であることから、これらが上記孔88、孔89、孔121、孔122に挿通されると、スライダ97、98に対するシーブユニット21の回転が規制される。なお、スライダ97、98の断面形状は矩形に限らない。また、スライダ97、98はそれぞれ2本以上設けられていてもよい。
トップサポート119の孔88に挿通されたスライダ97がシーブユニット21の孔121にも挿通されると、シーブユニット21はトップサポート119に連結される。一方、スライダ97がシーブユニット21の孔121に挿通されない場合、シーブユニット21はトップサポート119に連結されない。同様に、フックブロック120の孔89に挿通されたスライダ98がシーブユニット21の孔122にも挿通されると、シーブユニット21はフックブロック120に連結される。一方、スライダ98がシーブユニット21の孔122に挿通されない場合、シーブユニット21はフックブロック120に連結されない。
以下に、変形例1におけるワイヤロープ掛数の切り換えの手順が説明される。
作業者は、ワイヤロープ掛数に応じて、各シーブユニット21をトップサポート119またはフックブロック120のいずれと連結するかを選択し、スライダ97、98を挿抜する。
ワイヤロープ掛数が2本に設定される場合、図25が示すように、トップサポート119の孔88に挿通されたスライダ97が、シーブユニット211、213の孔121にも挿通され、シーブユニット212の孔121には挿通されない。このとき、スライダ97によってシーブユニット211、213がトップサポート119と連結する。一方、シーブユニット212はトップサポート119と連結しない。一方、フックブロック120の孔89に挿通されたスライダ98が、シーブユニット212の孔122に挿通され、シーブユニット211、213の孔122には挿通されない。このとき、スライダ98によってシーブユニット212がフックブロック120と連結する。一方、シーブユニット211、213はフックブロック120と連結しない。
ワイヤロープ掛数が4本に設定される場合、スライダ97がトップサポート119の孔88とシーブユニット212の孔121に挿通され、スライダ98がフックブロック120の孔89とシーブユニット211、213の孔122に挿通される。これにより、トップサポート119とシーブユニット212とが連結し、フックブロック120とシーブユニット211、213とが連結する。
ワイヤロープ掛数が6本に設定される場合、スライダ98がフックブロック120の孔89とシーブユニット211、212、213の孔122に挿通される。これによりフックブロック120とシーブユニット211、212、213とが連結する。このとき、スライダ97は孔88に挿通されてもよいし、挿通されなくともよい。
変形例1では、係合部66、76(図8及び図9参照)を備えていない棒状のスライダ97、98によってシーブユニット211、212、213とトップサポート119及びフックブロック120とが連結される。そのため、上述の実施形態1、2と比較して、シーブユニット211、212、213とトップサポート119及びフックブロック120とが連結される部分の構造、及びスライダ97、98の構造が、簡単になる。
[変形例2]
図26は、変形例2に係るワイヤロープ掛数切換装置161の、フックブロック165とシーブユニット91、94、99とスライダ169とを示している。同図において吊荷用フック24は図示されていない。図27は、変形例2に係るワイヤロープ掛数切換装置161のトップサポート167とスライダ168とを示している。
変形例2に係るワイヤロープ掛数切換装置161は、以下の点で、実施形態1に係るワイヤロープ掛数切換装置5と異なる。実施形態1においては、トップサポート19及びフックブロック20にそれぞれ挿入されたスライダ60、70の挿入位置に応じて、ワイヤロープ掛数が切り換えられた(図14~図16参照)。一方、変形例2においては、フックブロック165が複数の孔170、171、172を有する(図26参照)とともに、トップサポート167が複数の孔177、178、179を有している(図27参照)。そして、スライダ169がフックブロック165の複数の孔170、171、172のいずれに挿入され、スライダ168がトップサポート167の複数の孔177、178、179のいずれに挿入されるかに応じて、ワイヤロープ掛数が切り換えられる。
図26及び図27が示すように、ワイヤロープ掛数切換装置161は、トップサポート167、フックブロック165、シーブユニット91、94、99、スライダ168、及びスライダ169を備える。スライダ168は、特許請求の範囲に記載された「第2スライダ」の一例である。スライダ169は、特許請求の範囲に記載された「第1スライダ」の一例である。
図27が示すトップサポート167は、実施形態1に係るワイヤロープ掛数切換装置5のトップサポート19(図2参照)と、以下の2点で相違しており、当該2点以外は、トップサポート19と同構成である。よって、以下のトップサポート167の説明では、トップサポート19と相違する2点が説明され、当該2点以外の構成の説明は省略される。なお、トップサポート167は、上記実施形態のトップサポート19(図1参照)と同様に、特許請求の範囲に記載された「ブーム先端部」を構成するものである。
図27が示すように、トップサポート167は、トップサポート19が有する孔36、37(図2参照)に代えて、3つの孔177、178、179を有する。これが、トップサポート167とトップサポート19との第1の相違点である。孔177、178、179は、特許請求の範囲に記載された「第2挿入孔」の一例である。
孔177、178、179は、断面円形状である。孔177、178、179は、本体部30の左側面35から座部291、292、293を通って右側に貫通する。つまり、孔177、178、179の一部は、座部291、292、293と空間を共有している。
なお、孔177、178、179は、トップサポート167を貫通していなくともよく、少なくとも座部291、292、293と空間を共有していればよい。また、孔177、178、179は、断面円形状に限らず、後述するスライダ168が挿通可能な形状であればよい。
トップサポート167は、トップサポート19が有する孔38(図2参照)を有していない。これが、トップサポート167とトップサポート19との第2の相違点である。なお、トップサポート167は、孔38を有していてもよい。
図26が示すフックブロック165は、実施形態1に係るワイヤロープ掛数切換装置5のフックブロック20(図5参照)と、以下の2点で相違しており、当該2点以外は、フックブロック20と同構成である。よって、以下のフックブロック165の説明では、フックブロック20と相違する2点が説明され、当該2点以外の構成の説明は省略される。
図26が示すように、フックブロック165は、フックブロック20が有する孔43、44(図5参照)に代えて、3つの孔170、171、172を有する。これが、フックブロック165とフックブロック20との第1の相違点である。孔170、171、172は、特許請求の範囲に記載された「第1挿入孔」の一例である。
孔170、171、172は、断面円形状である。孔170、171、172は、フックブロック165の左側面41から座部401、402、403を通って右側に貫通する。つまり、孔170、171、172の一部は、座部401、402、403と空間を共有している。
なお、孔170、171、172は、フックブロック165を貫通していなくともよく、少なくとも座部401、402、403と空間を共有していればよい。また、孔170、171、172は、円形に限らず、後述するスライダ169が挿通可能な形状であればよい。
フックブロック165は、フックブロック20が有する孔48(図5参照)を有していない。これが、フックブロック165とフックブロック20との第2の相違点である。なお、フックブロック165は、孔48を有していてもよい。
図26が示すシーブユニット91、94、99は、実施形態1に係るワイヤロープ掛数切換装置5のシーブユニット21(図7参照)と、被係合部の構成のみ相違している。つまり、シーブユニット91、94、99は、シーブユニット21の被係合部52、53、55、56(図7参照)に代えて、被係合部911~916、941~946、991~996(図26参照)を有する。被係合部911~913、941~943、991~993は、特許請求の範囲に記載された「第1被係合部」の一例である。被係合部914~916、944~946、994~996は、特許請求の範囲に記載された「第2被係合部」の一例である。一方、シーブユニット91、94、99の被係合部以外の構成は、シーブユニット21と同構成である。よって、以下のシーブユニット91、94、99の説明では、被係合部911~916、941~946、991~996の構成が説明され、被係合部911~916、941~946、991~996以外の構成の説明は省略される。
図26が示すように、被係合部911~916、941~946、991~996の各々は、孔または凹部からなる。
シーブユニット91は、筐体39の上部に、凹部からなる被係合部914、915と孔からなる被係合部916とを備え、筐体39の下部に、孔からなる被係合部911、912と凹部からなる被係合部913とを備える。また、シーブユニット94は、筐体39の上部に、孔からなる被係合部944と凹部からなる被係合部945、946とを備え、筐体39の下部に、凹部からなる被係合部941と孔からなる被係合部942、943とを備える。また、シーブユニット99は、筐体39の上部に、凹部からなる被係合部994、995と孔からなる被係合部996とを備え、筐体39の下部に、孔からなる被係合部991、992と凹部からなる被係合部993とを備える。
被係合部911、912、916、942、943、944、991、992、996を構成する孔は、断面円形状であり、筐体39を左右方向103に貫通している。被係合部911、912、942、943、991、992は、特許請求の範囲に記載された「第1貫通孔」の一例である。被係合部916、944、996は、特許請求の範囲に記載された「第2貫通孔」の一例である。被係合部911、912、942、943、991、992を構成する孔は、スライダ169が貫通可能な形状であればよく、断面円形状に限らない。被係合部916、944、996を構成する孔は、スライダ168(図27参照)が貫通可能な形状であればよく、断面円形状に限らない。
被係合部913、914、915、941、945、946、993、994、995を構成する凹部は、矩形の切り欠きである。被係合部913、941、993は、特許請求の範囲に記載された「第1凹部」の一例である。被係合部914、915、945、946、994、995は、特許請求の範囲に記載された「第2凹部」の一例である。被係合部913、941、993を構成する凹部は、筐体39の下面49から上方へ凹んでいる。被係合部913、941、993を構成する凹部は、スライダ169が嵌まることが可能な形状であればよく、矩形に限らない。被係合部914、915、945、946、994、995を構成する凹部は、筐体39の上面59から下方へ凹んでいる。被係合部914、915、945、946、994、995を構成する凹部は、スライダ168(図27参照)が嵌まることが可能な形状であればよく、矩形に限らない。
なお、シーブユニット91、94、99の各々が備える被係合部は、上下3つずつに限らない。また、各被係合部が孔であるか凹部であるかは、図26が示すものに限らない。
図27に示すように、スライダ168は、円柱状である。スライダ168は、トップサポート167の孔177、178、179、及
びシーブユニット91、94、99の筐体39の上部に設けられた被係合部914~916、944~946、994~996(図26参照)に抜き差しができる形状である。
図26が示すように、スライダ169は、スライダ168と同様に円柱状である。スライダ169は、フックブロック165の孔170、171、172、及びシーブユニット91、94、99の筐体39の下部に設けられた被係合部911~913、941~943、991~993に抜き差しができる形状である。
図26及び図27が示すように、ワイヤロープ掛数切換装置161は、連結機構162を備える。連結機構162は、トップサポート167の座部29(図27参照)、フックブロック165の座部40(図26参照)、シーブユニット91、94、99の被係合部911~916、941~946、991~996(図26参照)、スライダ168(図27参照)、及びスライダ169(図26参照)から構成される。連結機構162は、以下に詳述するように、複数のシーブユニット91、94、99のうち少なくとも一つのシーブユニットをフックブロック165に連結すると共に、その余のシーブユニットをトップサポート167に連結するための機構である。
以下に、フックブロック165及びトップサポート167と、シーブユニット91、94、99との連結が説明される。
図26に一点鎖線の矢印で示すように、シーブユニット91の下部が、フックブロック165の座部401に挿入され、シーブユニット94の下部がフックブロック165の座部402に挿入され、シーブユニット99の下部がフックブロック165の座部403に挿入される。各シーブユニット91、94、99がフックブロック165の座部40に挿入されると、フックブロック165に設けられた孔170、171、172と、各シーブユニット91、94、99の下部に設けられた被係合部911、912、913、被係合部941、942、943、被係合部991、992、993とがそれぞれ連続する。図28は、シーブユニット94がフックブロック165の座部402に挿入されている状態を示す。図28において、シーブユニット91、99の図示は省略されている。
同様にして、図26が示すシーブユニット91の上部が、トップサポート167の座部291(図27参照)に挿入され、シーブユニット94の上部がトップサポート167の座部292(図27参照)に挿入され、シーブユニット99の上部がトップサポート167の座部293(図27参照)に挿入される。各シーブユニット91、94、99がトップサポート167の座部29(図27参照)に挿入されると、トップサポート167に設けられた孔177、178、179(図27参照)と、各シーブユニット91、94、99の上部に設けられた被係合部914、915、916、被係合部944、945、946、被係合部994、995、996とがそれぞれ連続する。
上述したように、シーブユニット91、94、99の下部(図26参照)がそれぞれフックブロック165の座部40(図26参照)に挿入された状態において、図26に二点鎖線の矢印で示すように、スライダ169が孔170、171、172のいずれかに挿入される。これにより、シーブユニット91、94、99のうち所定のシーブユニットとフックブロック165とが連結する。
詳述すると、孔170、171、172のいずれかに挿入されたスライダ169が、孔である被係合部911、912、942、943、991、992のうちの、いずれかの被係合部に挿通された場合、スライダ169が挿通された当該いずれかの被係合部を有するシーブユニット91、94、99とフックブロック165とが連結する。一方、孔170、171、172のいずれかに挿入されたスライダ169が、凹部である被係合部913、941、993のいずれかの被係合部に挿通された場合、スライダ169が挿通された当該いずれかの被係合部を有するシーブユニット91、94、99とフックブロック165とは連結しない。
また、上述したように、シーブユニット91、94、99の上部(図26参照)がそれぞれトップサポート167の座部29(図27参照)に挿入された状態において、図27に二点鎖線の矢印で示すように、孔177、178、179のいずれかにスライダ168が挿入されることにより、シーブユニット91、94、99のうちその余のシーブユニットとトップサポート167とが連結する。
詳述すると、孔177、178、179のいずれかに挿入されたスライダ168が、孔である被係合部916、944、996のうちの、いずれかの被係合部に挿通された場合、スライダ168が挿通された当該いずれかの被係合部を有するシーブユニット91、94、99とトップサポート167とが連結する。一方、孔177、178、179のいずれかに挿入されたスライダ168が、凹部である被係合部914、915、945、946、994、995のいずれかの被係合部に挿通された場合、スライダ168が挿通された当該いずれかの被係合部を有するシーブユニット91、94、99とトップサポート167とは連結しない。
図29は、スライダ168、169及びシーブユニット91、94、99を模式的に示している。同図では、各シーブユニット91、94、99がフックブロック165の座部40及びトップサポート167の座部29に挿入された後に、スライダ168、169がそれぞれ孔177~179、170~172挿入された状態を示す。なお、フックブロック165及びトップサポート167は同図で省略されている。図29(A)は、シーブユニット91、99がスライダ169と係合し、シーブユニット94がスライダ168と係合した状態を示している。図29(B)は、シーブユニット91、94、99がスライダ169と係合し、いずれのシーブユニット91、94、99もスライダ168と係合していない状態を示している。図29(C)は、シーブユニット94がスライダ169と係合し、シーブユニット91、99がスライダ168と係合した状態を示している。
以下に、変形例2におけるワイヤロープ掛数の切り換えの手順が説明される。
作業者は、シーブユニット91、94、99の下部(図26参照)をそれぞれフックブロック165の座部401、402、403(図26参照)に挿入し、シーブユニット91、94、99の上部(図26参照)をそれぞれトップサポート167の座部291、292、293(図27参照)に挿入する。
次に、作業者は、ワイヤロープ掛数に応じた位置へスライダ169を挿通する。
ワイヤロープ掛数が2本に設定される場合、スライダ169がフックブロック165の孔172(図26参照)に挿通され、スライダ168がトップサポート167の孔179(図27参照)に挿通される。このとき、図29(C)が示すように、スライダ169は、シーブユニット94の孔である被係合部943と係合する一方、シーブユニット91、99の凹部である被係合部913、993と係合しない。つまり、シーブユニット94がフックブロック165と連結し、シーブユニット91、99がフックブロック165と連結しない。一方、スライダ168は、シーブユニット91、99の孔である被係合部916、996と係合する一方、シーブユニット94の凹部である被係合部946と係合しない。つまり、シーブユニット91、99がトップサポート167と連結し、シーブユニット94がトップサポート167と連結しない。
また、ワイヤロープ掛数が4本に設定される場合、スライダ169がフックブロック165の孔170(図26参照)に挿通され、スライダ168がトップサポート167の孔177(図27参照)に挿通される。このとき、図29(A)が示すように、スライダ169は、シーブユニット91、99の孔である被係合部911、991と係合する一方、シーブユニット94の凹部である被係合部941とは係合しない。つまり、シーブユニット91、99がフックブロック165と連結し、シーブユニット94がフックブロック165と連結しない。一方、スライダ168は、シーブユニット94の孔である被係合部944と係合する一方、シーブユニット91、99の凹部である被係合部914、994と係合しない。つまり、シーブユニット94がトップサポート167と連結し、シーブユニット91、99がトップサポート167と連結しない。
また、ワイヤロープ掛数が6本に設定される場合、スライダ169がフックブロック165の孔171(図26参照)に挿通され、スライダ168がトップサポート167の孔178(図27参照)に挿通される。このとき、図29(B)が示すように、スライダ169は、シーブユニット91、94、99の孔である被係合部912、942、992と係合する。一方、スライダ168は、シーブユニット91、94、99の凹部である被係合部915、945、995と係合しない。つまり、全てのシーブユニット91、94、99が、フックブロック165と連結する一方でトップサポート167とは連結しない。なお、このときスライダ168は、孔178(図27参照)に挿通されなくともよい。
変形例2では、スライダ169が、フックブロック165の複数の孔170、171、172のうちのいずれに挿入されるかに応じて、フックブロック165と連結するシーブユニット91、94、99を切り換えることができる。よって、ワイヤロープ掛数切り換えの際、作業者の手順を軽減し、作業時間を少なくすることができる。
また、スライダ168が、トップサポート19の複数の孔177、178、179のうちのいずれに挿入されるかに応じて、トップサポート19と連結するシーブユニット91、94、99を切り換えることができる。よって、ワイヤロープ掛数切り換えの際、作業者の手順を軽減し、作業時間を少なくすることができる。
[その他の変形例]
上記実施形態1では、固定ピン69(図2参照)によってスライダ60がトップサポート19に固定され、固定ピン79(図5参照)によってスライダ70がフックブロック20に固定されていた。しかし、スライダ60、70をトップサポート19やフックブロック20に固定するための手段は、固定ピン69、79に限らず、公知の種々の手段(例えば、ボルト及びナットによって固定する手段や、嵌合によって固定する手段)が採用可能である。
ワイヤロープ掛数切換装置が採用されるクレーンは、図1及び図17が示すクレーン11、111に限らない。例えば、ワイヤロープ掛数切換装置が採用されるクレーンは、積載型トラッククレーンであってもよい。