JP4026106B2 - インクジェット式記録装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット式記録装置に関し、より詳細には可撓性チューブをローラによって加圧し、チューブの変形を利用して圧力を発生するチューブポンプを搭載し、チューブポンプにより発生する負圧を利用して記録ヘッドよりインクを排出するインク吐出能力の回復手段を備えたインクジェット式記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット式記録装置は、印刷時の騒音が比較的小さく、しかも小さなドットを高い密度で形成できるため、昨今においてはカラー印刷を中心とした多くの印刷に使用されている。
このようなインクジェット式記録装置は、インクカートリッジからのインクの供給を受けるインクジェット式記録ヘッドと、記録用紙を記録ヘッドに対して相対的に移動させる紙送り手段を備え、印字信号に応じて記録ヘッドを移動させながら記録用紙にインク滴を吐出させてドットを形成することで記録が行われる。インクジェット式記録装置は、このようにインクという液体を扱う関係上、記録ヘッドへのインクの充填や、インク溶媒の揮散によるノズル開口の目詰まりを防止するために、記録ヘッドからインクを強制的に吸引排出させるインク吐出能力の回復処理が実行される。
このような記録ヘッドの目詰まり解消のため、または記録ヘッド内に気泡が残留している場合のためになされるインクの強制的な排出処理は、クリーニング操作と呼ばれ、記録装置の長時間の休止後に印刷を再開する場合や、ユーザが印字かすれ等の印字品質不良を認識し、クリーニングスイッチを操作した場合に実行される。
【0003】
このクリーニング操作においては、記録ヘッドをキャッピング手段により封止して負圧を作用させることで、記録ヘッドのノズル開口よりインクを排出させると共に、キャッピング手段内に排出されたインクを負圧により吸引して廃インクタンクに送り出し、その後にゴムなどの弾性板からなるクリーニング部材により、記録ヘッドのノズルプレートをワイピングするシーケンスが実行される。
【0004】
前記キャッピング手段内に負圧を与える手段としては、比較的構造が簡単で小形化が図りやすく、しかもインクの吸引および排出する機構部分で汚染を生じさせない、いわゆるチューブポンプが用いられている。
このチューブポンプは例えば図7に示すような構成とされている。
【0005】
即ち、このチューブポンプ100では、ポンプホイール101に軸支されたローラ102によって、チューブ103、104はポンプフレーム105に押し付けられる。
前記ローラ102は、前記チューブ103、104を押し潰しながら回転し、これによりチューブ103、104内に圧力を発生させてキャッピング手段106に負圧を与える。
そして、記録ヘッドから前記負圧により強制的にインクを排出させると共に、さらにキャッピング手段106内に排出されたインクを吸引して、廃インクタンクに送り出すように作用する。
【0006】
通常、前記チューブポンプ100におけるチューブとして、流路が1つ形成された1本のチューブが用いられているが、、チューブポンプの小型化ため、あるいはまたインクの吸引量(送出し量)を増大させるため、図7に示すように流路が1つ形成されたチューブ103、104が2本用いられることもある。
【0007】
前記チューブの構成材としては、可撓性を有し、繰返し反発弾性の持続性に優れ、容易に所望の外径、肉厚のチューブに成形加工できる天然ゴム、合成ゴム、熱可塑性エラストマー等のゴム質材料から選択される。
これらの中でも、強度的にもある程度強く、永久圧縮歪みが小さく、かつ耐熱、耐寒、耐候、耐オゾン、耐溶剤性等の諸特性に優れた珪素ゴム製のチューブが最も多く用いられている。
一般に、チューブ等の成型品製造用の珪素ゴムは、過酸化物により架橋された加硫品が用いられる。
そして、従来、上記チューブポンプに用いられるチューブは、通常、その硬度が60度(JIS−A硬度)程度のものが使用されていた。
これは、上記程度の硬度のものが、チューブ押しつぶし後の復元力が良く、所定の液流速達成の確実性が高いと考えられていたからである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、最近のインクジェット式記録装置は、益々小型軽量化と省エネルギー化が要求され、しかも作動の高速化と確実性の向上も要求されるようになってきている。そのため、インクジェット式記録装置に装着されるチューブポンプもポンプ負荷の低減が強く要求されている。
インク液の吸引負圧や吸引流速を減ずることなくポンプ負荷を下げる方策として、チューブ材質の硬度を低下させることが考えられる。
しかしながら、従来のチューブ材料(過酸化物により架橋された加硫品)からなる低硬度のチューブを使用した場合、例えば、ポンプ回転途中に電源コンセントが抜かれた等の理由により、ローラがチューブを押しつぶした状態で放置されると、2、3日でチューブの内壁同士がはりつき、復帰(回復)せず、チューブポンプの故障につながるという技術的課題があった。
【0009】
本発明の目的は、上記した従来の問題点を解決し、インク液の吸引負圧や吸引流速等のポンプ性能を損なうことなく、ポンプ負荷のみを低減させ、かつ、長期の繰り返し使用にも流速低下等の不都合を起こすことなく耐久性に優れ、しかも、チューブのはりつきや異音の発生等の不都合がないチューブポンプを搭載したインクジェット式記録装置を提供するにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するためになされた本発明にかかるインクジェット式記録装置は、印刷データに対応してインク滴を吐出するインクジェット式記録ヘッドと、前記記録ヘッドのノズル形成面を封止すると共に、ポンプユニットからの負圧を受けて記録ヘッドよりインクを吸引するキャッピング手段とを備えたインクジェット式記録装置であって、前記ポンプユニットは、可撓性チューブと、前記可撓性チューブの外形を規制するチューブ支持面を有するポンプフレームと、可撓性チューブを加圧変形させる回転可能に取り付けられたローラとを備え、前記ローラによって可撓性チューブを加圧変形させて圧力を発生するチューブポンプであり、前記チューブポンプには、駆動手段からの動力により回転するポンプホイールが具備され、前記ポンプホイールの軸芯方向と外周方向との間に径方向に勾配をもって形成されたローラ支持溝に、当該支持溝の長手方向に移動可能に、かつ回転可能に前記ローラが取り付けられ、前記ポンプホイールの一方向への回転によって、ローラ支持溝に取り付けられた前記ローラが外周方向に偏って、前記チューブを前記ポンプフレームのチューブ支持面との間で加圧して吸引作用を生じさせるポンプ作用と、ポンプホイールの他方向への回転によって、前記ローラがポンプホイールの軸芯方向に偏って、チューブを加圧しないレリース作用とに切り換えられるように構成され、前記可撓性チューブとして、硬度が34乃至46度の付加反応加硫ゴム物質からなるチューブを用いることを特徴とする
【0011】
また、本発明によれば、前記可撓性チューブを構成するゴム物質が付加反応加硫珪素ゴムであることを特徴とするチューブポンプが提供される。
更に、本発明によれば、前記可撓性チューブが無色透明であることを特徴とするチューブポンプが提供される。
また、本発明によれば、前記ポンプフレームに設けられたチューブ支持面が円弧形状を有し、前記可撓性チューブが前記ローラにより該円弧形状のチューブ支持面に押圧される期間を角度で表したとき、該角度が171乃至177度の範囲にあることを特徴とするチューブポンプが提供される。
【0012】
また、本発明によれば、前記可撓性チューブには複数の流路が形成されると共に、前記流路を構成する管壁が連結部によって連結され一体化された構成にされる。
【0013】
本発明にかかるチューブポンプは、用いられる可撓性チューブが付加反応加硫されたゴム状弾性体からなる低硬度チューブであることが構成上の特徴である。従来使用されてきた可撓性チューブ、例えば珪素ゴム製チューブは、硬度(JIS−A硬度)が60度程度の過酸化物加硫品が一般的であり、この程度の硬度のものが押しつぶした後のチューブ復元力が良く、規定された流速を出し易いと一般に考えられていたのである。
従来、硬度が40度程度の低硬度品を使用した場合、例えばポンプ回転途中に電源コンセントを抜かれた等の理由により、ローラがチューブを押しつぶした状態で放置されると、2、3日でチューブの内壁同士がはりつき、復帰しなくなり、チューブポンプとしての機能を果たせなくなるということが知られていた。
【0014】
本発明では、付加反応架橋(加硫)された低硬度のゴム状高分子物質、例えば珪素ゴム、からなるチューブを使用することにより上記不都合を回避し、ポンプ負荷を従来の高硬度品(60度程度)使用の場合に比較して35%以上も低下させることに成功したものである。
加硫ゴムの物性、特に、耐残留歪み、耐クリープ性等の物性は、例え、架橋密度が同一でも、架橋点の化学構造によってかなり変化することは知られていたが、後記の実施例、比較例からも分かるように、本発明で使用する付加反応加硫(架橋)された加硫ゴムは低硬度であるにも拘わらず、反発弾性が径時的に殆ど変化せず復元力持久性に優れている。
【0015】
一方、最近では、インクジェット式記録装置用チューブポンプ等の配管系統は、いわゆるバルブレスの採用によって空吸引工程が不要となり、従来に比べローラによるチューブの押しつぶし回数を減少させることが可能になったこと、及び、つぶし角度(ローラによりチューブが支持面に押圧される円弧距離を角度で表示したもの)が半円弧近くに短縮されかつ、2個つぶし(チューブの2か所を2つのローラで同時に潰すこと)をつくらないように構成されるようになってきているため、従来のチューブのような高耐久性は求められなくなってきている。
【0016】
本発明にかかる低硬度チューブは、従来の高硬度チューブのような高耐久性は有しないものの、実使用においては十分耐久性を有するものであり、ポンプ負荷を従来の高硬度品(60度程度)使用の場合に比較して35%以上も低下させることができる。
更に、上記ポンプ負荷の低減効果以外に、チューブの反発弾性が小さくなったためローラがチューブから離れる速度が落ち、ローラがポンプホイールに衝突する際の異音を減少させることができる。
【0017】
また、付加反応加硫のゴム物質は過酸化物加硫のものに比べて粘着性が少なく、チューブがつぶされた状態で放置されるとチューブの内壁同士がはり付いてしまうという従来の不都合を回避することができる利点もある。
また、前記可撓性チューブに複数の流路が形成されると共に、前記流路を構成する管壁が連結部によって連結され一体化された態様のものは、管壁の肉厚が通常の管チューブの肉厚と同等であれば、その流路を除く断面積は、従来のものの断面積よりも連結部の断面積分多くなり、その結果、ローラが可撓性チューブを押し潰しながら回転しても、可撓性チューブは伸ばされ難く、弛みも生じ難い。
【0018】
このように可撓性チューブに弛みが生じ難いため、可撓性チューブがポンプフレームから浮き上がり、ポンプホイールと接触し擦れることもなく、これに起因する破損を防止することができるという利点を有する。
また、複数の流路が形成されているために、複数の通常のチューブを組み付ける場合に比べて、容易に組みつけることができる。
また、本発明の上記チューブポンプを用いたインクジェット式記録装置は、所要電力が低減され、かつ、可撓性チューブに起因するチューブポンプの故障を極力防止することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかるチューブポンプを用いたインクジェット式記録装置について、図に示す実施の形態に基づいて説明する。
図1は本発明が適用されたインクジェット式記録装置の全体構成を示すものである。
図1において符号1はキャリッジであり、このキャリッジ1はキャリッジモータ2により駆動されるタイミングベルト3を介し、ガイド部材4に案内されてプラテン5の軸方向に往復移動されるように構成されている。
キャリッジ1の記録用紙6に対向する側には、図には現れていないがインクジェット式記録ヘッドが搭載され、またその上部には前記記録ヘッドにインクを供給するブラックインクカートリッジ7、およびカラーインクカートリッジ8が着脱可能に装填されている。
【0020】
図中符号9は、非印字領域(ホームポジション)に配置されたキャッピング手段であって、キャリッジ1に搭載された記録ヘッドが直上に移動した時に上昇し、記録ヘッドのノズル形成面を封止できるように構成されている。
そしてキャッピング手段9の下方には、キャッピング手段9の内部空間に負圧を与えるためのポンプユニットとしての後述するチューブポンプ10が配置されている。
前記キャッピング手段9は記録装置の休止期間中における記録ヘッドのノズル開口の乾燥を防止する蓋体として機能する他、記録ヘッドに印刷とは関係のない駆動信号を印加してインク滴を空吐出させるフラッシング動作時のインク受けとして機能し、さらに前記チューブポンプ10からの負圧を記録ヘッドに作用させて、インクを吸引するクリーニング手段としての機能も兼ね備えている。
【0021】
そして、キャッピング手段9における印字領域側の近傍には、ゴムなどの弾性板を備えたワイピング手段11が、水平方向に進退可能となるように配置されていて、キャリッジ1がキャッピング手段9側に往復移動する際に、記録ヘッドの移動経路上にワイピング部材が進出できるように構成されている。
【0022】
図2は前記した記録装置に装備された記録用紙の給排紙機構およびチューブポンプに対する駆動力伝達機構の一例を示したものである。
符号21は紙送りローラを示しており、この紙送りローラ21の一端には歯車22が配置され、紙送りモータ23の軸上に配置されたピニオン24からアイドラ25を介して駆動されるように構成されている。
また給紙ローラ駆動軸26の一端には歯車27が配置され、クラッチ機構を構成する移動歯車28を介して前記歯車22と係合して図示せぬカットシートフィーダに動力を伝達し、記録用紙の給紙(ローディング)が行われるように構成されている。
クラッチ機構を構成する前記移動歯車28は、常時は図示しないバネにより図2に示すように両歯車22,27から離れた位置を保持し、またホームポジションと対向する端部に移動するキャリッジ1に押圧されて軸方向に移動し、前記歯車22,27に介在して両者の噛み合いが接続されるように構成されている。
【0023】
一方、チューブポンプ10は、紙送りモータ23に配置された前記ピニオン24からアイドラ29、および排紙ローラ歯車30を介して、排紙ローラ31の他端に装着された歯車32によって駆動される。
チューブポンプ10の駆動軸33には、排紙ローラ31の他端に装着された歯車32からアイドラ34を介して噛み合う歯車35が装着されている。
この歯車35が装着された軸33には、その背面に配置されたバネ36に押されて摩擦回転するアーム37を備えたクリーナカム38が遊転自在に取り付けられていて、アーム37の回転によりゴム等の弾性部材により形成されたワイピング部材39が水平方向に移動できるように構成されている。
これにより、モータ23の一方向への回転により、ワイピング部材39は記録ヘッドの移動軌跡に進出して、そのノズル形成面が払拭できるようになされ、またモータ23の他方向への回転により、ワイピング部材39は記録ヘッドの移動軌跡から退避されるように作用する。
【0024】
また、チューブポンプ10の駆動軸33には、ラチェットホイール40、中間伝達ホイール41、およびポンプホイール42が積層して装着されている。
ラチェットホイール40の中間伝達ホイール41と対向する面には突起40aが形成されており、また中間伝達ホイール41には、両面にそれぞれ突起41a,41bが形成され、さらにポンプホイール42には、中間伝達ホイール41と対向する面に突起42aが形成されている。
これにより、ラチェットホイール40が回転して、その突起40aが中間伝達ホイール41の突起41aに当接することで、中間伝達ホイール41に回転力が伝達され、さらに中間伝達ホイール41の突起41bが、ポンプホイール42の突起42cに当接することで、ポンプホイール42に回転力が伝達されるように構成されている。
したがって、紙送りモータ23の回転方向が切り替わると、ラチェットホイール41とポンプホイール42との間には、最大で2回転近くの回転伝達に遅れを発生させる回転遅延機構が構成されている。
【0025】
ポンプホイール42には、ポンプホイールの軸芯方向と外周方向との間に径方向に勾配を持って形成された一対のローラ支持溝が設けられていて、ポンプホイール42の一方向への回転によって、これらの軸孔に軸支したローラ43a,43bが外周方向に偏ってチューブをポンプフレーム44に形成されたチューブ支持面との間で加圧して吸引作用を生じさせるポンプ作用と、ポンプホイール42の他方向への回転によって、ローラ43a,43bがホイール42の軸芯方向に偏ってチューブを加圧しないレリース作用とが切り換えられるように構成されている。
なお、前記したラチェットホイール40、中間伝達ホイール41、およびポンプホイール42との間で形成された回転遅延機構は、記録用紙を前記カットシートフィーダからローディングするに際して、用紙先端の位置決めとバックラッシュ取りを実行するために、紙送りモータ23を多少正転および逆転駆動させる必要があり、この場合において前記吸引ポンプ10には動力を伝達させないように作用する。
【0026】
更に、図3、図4に基づいてチューブポンプについて詳述すると、このチューブポンプには、可撓性チューブ51の外形を円弧状に規制するチューブ支持面52を有するポンプフレーム44と、駆動手段としての例えば紙送りモータからの動力により回動するポンプホイール42と、このポンプホイール42の軸芯方向と外周方向との間に径方向に勾配を持って形成された一対のローラ支持溝42a,42bに、当該支持溝42a,42bの長手方向に移動可能に、かつ回転可能にそれぞれ取り付けられたローラ43a,43bとが具備されている。
【0027】
このようなチューブポンプにおいては、図3に示すようにポンプホイール42を正方向(矢印A方向)に回転させることにより、各ローラ43a,43bはローラ支持溝42a,42bの外周方向に移動して、チューブ51を順次押し潰しながら回転し、これによりチューブ内に圧力を発生させてキャッピング手段に負圧を与えるようになされる。
そして、記録ヘッドから負圧により強制的にインクを排出させると共に、さらにキャッピング手段内に排出されたインクを吸引して、廃インクタンクに送り出すように作用する。
【0028】
また、ポンプフレーム44に形成されたチューブ支持面52と対向する位置に、ポンプホイール42の軸芯方向に突出させた弾性素材による一対のガイド部材53a,53bを配置している。
即ち、ポンプフレーム44にL字状の係止溝44a,44bが形成され、この各係止溝44a,44bにそれぞれガイド部材53a,53bを植設させた構成とされている。
この構成によると、前記一対のガイド部材53a,53bは、ポンプホイールの回動に伴い前記各ローラを支持溝の回転後退方向へ案内するように作用する。図3に示すようにホイール42が正転駆動されると、ローラ43a,43bは可撓性素材によるガイド部材53a,53bによって押し戻される作用を受け、これによってローラ43a,43bはローラ支持溝42a,42bの外周方向に移動して、チューブ51を順次押しつぶすようになされる。
これによりポンプの駆動作用の信頼性を向上させることができる。
【0029】
また、図4に示すようにポンプホイール42を逆方向(矢印B方向)に回転させることにより、各ローラ43a,43bはローラ支持溝42a,42bの内周方向に移動し、これによりローラはチューブに少しだけ接するレリース状態を保ち、チューブのはり付きなどの故障が発生するのが防止できるように構成されている。
【0030】
本発明では上記のように構成されたチューブポンプ10に用いるインク液流通用の可撓性チューブとして硬度(JIS−A硬度)が34乃至46度、より好ましくは37乃至46度、の付加反応加硫ゴムからなるチューブを用いる。
本発明においてチューブ材として用いることのできる加硫ゴム物質は、上記範囲の硬度を有しインクジェット式記録装置のチューブポンプ用のチューブ形状、サイズに成形加工が可能で、かつ、使用インク液に対し耐性を有する加硫ゴム物質であれば特に限定されることなく使用することができる。
このようなゴム材として、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴム、エピクロルヒドリン・エチレンオキシドゴム、シリコーンゴム(珪素ゴム)、フッ素ゴム、ウレタンゴム等からなる加硫ゴム材を例示することができる。
【0031】
これらの内でも耐熱耐寒性、耐候性に優れ、圧縮永久歪みの少ない珪素ゴム(シリコーンゴム)の付加反応加硫物が好ましい。
より具体的には、メチルビニルシリコン、メチルフェニルシリコン、フルオロシリコン等を付加反応加硫したものが好ましい。
付加反応加硫を形成させる方法としては、ビニル化合物、ジビニル化合物等の架橋剤モノマーを用い、これを熱、または熱と触媒等の助けにより付加結合させる方法、あるいは光、放射線等の照射により架橋結合を形成させる方法を例示できる。
【0032】
加硫ゴムの物性の内、耐残留歪み、耐クリープ性等の径時耐久特性は、例え架橋密度が同一でも、架橋点の化学構造によってかなり異なることが知られている。
しかし、後記の実施例、比較例から分かるように本発明で使用する付加反応加硫(架橋)ゴムは低硬度であるにも拘わらず、反発弾性が径時的に殆ど変化せず復元力持久性に優れている。
【0033】
本発明のチューブポンプでは、可撓性チューブの硬度が比較的低硬度のものを使用するため、その配管系統をバルブレスに形成すること、つぶし角度(ローラによりチューブが支持面に押圧される円弧距離を角度で表示したもの)を半円弧近く(173度程度)に長くすること、及び2個つぶしをつくらないように形成すること等の補完処置を講じて、ローラによりチューブを押しつぶす回数を15万回以下に設定することが前記チューブの復元力の長期持続性の観点から特に好ましい。
上記のように構成されたチューブポンプに於いて、ゴム材硬度40度のチューブを用いた場合は硬度60度程度の従来品チューブの場合に比べて約35%のポンプ負荷低減を達成することができる。
【0034】
本発明の可撓性チューブは、通常の円管形状に形成されて一向に差し支えなく有効にその機能を発揮できるが、例えば、図5に示すように、チューブ内に複数の流路51aを形成すると共に、前記流路51aを構成する管壁51bが連結部51cによって連結され一体化された形状に形成することもできる。
この場合管壁51b同士を連結する連結部51cは、連結する管壁51bの中心を結ぶ中心線上に形成されることが好ましい。
すなわち、前記した可撓性チューブ51は、あたかも従来2本であった可撓性チューブの管壁の中心を結ぶ中心線上に連結部を設け、該連結部によって一体化したものといえる。
しかも、図6に示すように、ローラ43a,43bによって押し潰す際、前記連結部51cが邪魔になることはなく、ローラ43a,43bによって押し潰すことができる。
【0035】
このように形成された可撓性チューブ51は、複数の流路51aが形成されると共に、前記流路51aを構成する管壁51bが連結部51cによって連結され一体化されているため、管壁51bの肉厚が従来のチューブポンプに用いられる可撓性チューブの肉厚と同等であれば、前記可撓性チューブ51の流路を除く断面積は、従来のものの断面積よりも、連結部51cの断面積分多くなる。
【0036】
その結果、ローラ43a,43bが可撓性チューブ51を押し潰しながら回転しても、可撓性チューブ51は伸ばされ難く、弛みも生じ難い。
また可撓性チューブ51が押し付けられるチューブ支持面52から浮き上がり、ポンプホイール42と接触し、擦れによって生ずる破損を防止することができる。
また、可撓性チューブ51には複数の流路51aが形成されているために、前記可撓性チューブ51を組み付けるのみで、複数の流路51aを形成することができ、作業が容易である。
【0037】
また、以上の述べたチューブポンプを用いたインクジェット式記録装置にあっては、容易に組み立て作業を行うことができると共に、可撓性チューブに起因するチューブポンプの故障を極力防止することができる。
【0038】
【実施例】
夫々表1に示した各硬度(JIS−A硬度)を有する付加反応加硫及び過酸化物加硫シリコンゴムからなるチューブ(内径2mm、肉厚1mm)を用意し、これらを図3、4に示したチューブポンプに夫々装着した。
更に、これらの各チューブポンプを夫々搭載したインクジェット式記録装置を用意し、これらを同時に稼働させて、各装置の性能を、表1に示した各項目に付いて相対比較評価した。
その結果を表1に示す。
【0039】
【表1】
Figure 0004026106
【0040】
上記表1において、
耐久性:◎は○に対して約2倍
負荷:○は◎に対して約1.2倍、△は◎に対して約1.5倍
チューブはり付き:◎は△に対して4倍以上、○は△に対して2倍以上、×は容易にはり付く
異音:○は異音なし、△は異音あり
を意味する。
【0041】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなとおり、本発明によれば、ポンプ負荷が大幅に低減されるだけでなく、長期繰返し使用にも流速低下等を起こすことなく耐久性に優れ、かつ、チューブのはり付きや異音の発生等の不都合を生じないチューブポンプを得ることができる。
また、これを用いたインクジェット式記録装置は、電力消費量が低減できると共に可撓性チューブに起因するチューブポンプの故障を極力防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用されたインクジェット式記録装置の構成を示した斜視図である。
【図2】図1に示す記録装置に具備された駆動力伝達機構の例を示した平面図である。
【図3】本発明にかかる実施形態のチューブポンプを正転駆動させてポンプ作用を実行させた状態を示す透視図である。
【図4】図3に示すチューブポンプを逆転駆動させてレリース状態とした場合を示す透視図である。
【図5】本発明で用いる可撓性チューブの一態様を示す断面図である。
【図6】図5に示した可撓性チューブの押し潰し状態を示す断面図である。
【図7】従来のチューブポンプを示す概略図である。
【符号の説明】
1 キャリッジ
2 キャリッジモータ
6 記録用紙
7,8 インクカートリッジ
9 キャッピング手段
10 ポンプユニット(チューブポンプ)
11 ワイピング手段
21 紙送りローラ
23 紙送りモータ
26 給紙ローラ駆動軸
31 排紙ローラ
42 ポンプホイール
42a,42b ローラ支持溝
43a,43b ローラ
44 ポンプフレーム
44a,44b 係止溝
51 可撓性チューブ
51a 流路
51b 管壁
51c 連結部
52 チューブ支持面
53a,53b ガイド部材

Claims (2)

  1. 印刷データに対応してインク滴を吐出するインクジェット式記録ヘッドと、前記記録ヘッドのノズル形成面を封止すると共に、ポンプユニットからの負圧を受けて記録ヘッドよりインクを吸引するキャッピング手段とを備えたインクジェット式記録装置であって、
    前記ポンプユニットは、可撓性チューブと、前記可撓性チューブの外形を規制するチューブ支持面を有するポンプフレームと、可撓性チューブを加圧変形させる回転可能に取り付けられたローラとを備え、前記ローラによって可撓性チューブを加圧変形させて圧力を発生するチューブポンプであり、
    前記チューブポンプには、駆動手段からの動力により回転するポンプホイールが具備され、前記ポンプホイールの軸芯方向と外周方向との間に径方向に勾配をもって形成されたローラ支持溝に、当該支持溝の長手方向に移動可能に、かつ回転可能に前記ローラが取り付けられ、
    前記ポンプホイールの一方向への回転によって、ローラ支持溝に取り付けられた前記ローラが外周方向に偏って、前記チューブを前記ポンプフレームのチューブ支持面との間で加圧して吸引作用を生じさせるポンプ作用と、ポンプホイールの他方向への回転によって、前記ローラがポンプホイールの軸芯方向に偏って、チューブを加圧しないレリース作用とに切り換えられるように構成され、
    前記可撓性チューブとして、硬度が34乃至46度の付加反応加硫珪素ゴムからなるチューブを用いることを特徴とするインクジェット式記録装置。
  2. 前記可撓性チューブには複数の流路が形成されると共に、前記流路を構成する管壁が連結部によって連結され一体化されたものであることを特徴とする請求項1記載のインクジェット式記録装置。
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