以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態による単純マトリックス方式の強誘電体メモリの全体構成を示したブロック図である。まず、図1を参照して、第1実施形態の単純マトリックス方式の強誘電体メモリの全体構成について説明する。第1実施形態の強誘電体メモリは、メモリセルアレイ1と、ロウデコーダ2と、カラムデコーダ3と、ロウアドレスバッファ4と、カラムアドレスバッファ5と、ライトアンプ6と、入力バッファ7と、カウンタ8と、電圧センスアンプからなるリードアンプ9と、出力バッファ10と、1/3Vcc・2/3Vcc生成回路11とを備えている。なお、カウンタ8は、本発明の「計数手段」の一例である。
メモリセルアレイ1は、強誘電体キャパシタ(図示せず)のみからなる単純マトリックス方式のメモリセルを複数個含んでいる。すなわち、第1実施形態による単純マトリックス方式のメモリセルは、図58に示した従来の単純マトリックス方式のメモリセルと同様、互いに交差する方向に延びるように形成されたワード線WLおよびビット線BLと、ワード線WLおよびビット線BLの間に配置された強誘電体膜(図示せず)とからなる強誘電体キャパシタ(図示せず)により構成されている。また、図1に示すように、メモリセルアレイ1のワード線WLには、ロウデコーダ2が接続されており、ビット線BLには、カラムデコーダ3が接続されている。ロウデコーダ2およびカラムデコーダ3には、1/3Vcc・2/3Vcc生成回路11が接続されている。これにより、非選択ワード線WL(非選択WL)および非選択ビット線BL(非選択BL)には、1/3Vccおよび2/3Vccを印加可能である。また、ロウデコーダ2およびカラムデコーダ3は、選択ワード線WL(選択WL)および選択ビット線BL(選択BL)に、Vcc(電源電圧または電源電圧に基づいて生成された電圧)および0Vを印加可能なように構成されている。
図2は、図1に示した第1実施形態による強誘電体メモリの1/3Vcc・2/3Vcc生成回路の内部構成を示した回路図である。図2に示すように、1/3Vcc・2/3Vcc生成回路11は、2つの1/2Vcc生成回路12aおよび12bを組み合わせることによって構成されている。この1/2Vcc生成回路12aおよび12bは、2つの電圧入力端子13a(13b)および14a(14b)と、1つの電圧出力端子15a(15b)とを有している。また、一方の1/2Vcc生成回路12aの電圧入力端子13aには、Vccが印加され、電圧入力端子14aは、他方の1/2Vcc生成回路12bの電圧出力端子15bと接続されている。また、一方の1/2Vcc生成回路12aの電圧出力端子15aは、他方の1/2Vcc生成回路12bの電圧入力端子13bと接続されている。さらに、他方の1/2Vcc生成回路12bの電圧入力端子14bには、0Vが印加されている。
このように構成することにより、1/3Vcc・2/3Vcc生成回路11の一方の電圧出力端子16a(一方の1/2Vcc生成回路12aの電圧出力端子15a)からは、Vccと1/3Vccとの中間の電圧である2/3Vccが得られる。また、他方の電圧出力端子16b(他方の1/2Vcc生成回路12bの電圧出力端子15b)からは、2/3Vccと0Vとの中間の電圧である1/3Vccが得られる。
次に、第1実施形態による単純マトリックス方式の強誘電体メモリにおける読み出し−再書き込み動作および書き込み動作について説明する。なお、この動作説明では、図3に示すワード線WL2とビット線BL2との交点に位置する第4セルを選択されたメモリセル(以下、選択セルという)として説明する。
この第1実施形態による単純マトリックス方式の強誘電体メモリでは、2つの駆動方法(駆動方法Aおよび駆動方法B)を用いてメモリの動作を行う。ここで、駆動方法Aは、必要な動作数は少なくなる一方、読み出し−再書き込み動作または書き込み動作時に非選択のメモリセル(以下、非選択セルという)の残留分極量が劣化する場合がある駆動方法である。また、駆動方法Bは、上記駆動方法Aに比べて必要な動作数は多くなる一方、読み出し−再書き込み動作時に非選択セルにデータの判別が不可能になるような大きな残留分極量の劣化は発生しない駆動方法である。
この第1実施形態では、通常のアクセス時には、駆動方法Aを用いて読み出し−再書き込み動作および書き込み動作を行うとともに、所定の回数のアクセス後、駆動方法Bを用いて、駆動方法Aによって蓄積されたメモリセルの残留分極量の劣化を回復させるためのリフレッシュ動作(回復動作)を行う。また、第1実施形態では、図1に示したカウンタ8を用いて駆動方法Aによる通常のアクセス回数を計数するとともに、カウンタ8によって計数された所定のアクセス回数毎にリフレッシュ動作を行う。以下、通常のアクセスに用いる駆動方法Aおよびリフレッシュ動作に用いる駆動方法Bについて説明する。
(駆動方法A:通常アクセス動作)
(1)読み出し−再書き込み動作
図4および図5は、第1実施形態の駆動方法Aによる通常のアクセス時の読み出し−再書き込み動作を説明するための電圧波形図である。図4および図5に示すT1およびT2の各動作の時間は、それぞれ、同じ時間(T秒)とする。図1、図3〜図5を参照して、駆動方法Aによる読み出し−再書き込み動作について説明する。
図4および図5に示したT1の期間では、読み出し動作を行う。まず、スタンバイ状態では、ワード線WLおよびビット線BLは、共に、0Vになっている。そして、スタンバイ状態から、選択BLをフローティング状態にする。同じタイミングで、選択WLをVcc、非選択WLを1/3Vcc、非選択BLを2/3Vccにする。この状態で、選択BLの電位を検知することによって、データ「0」またはデータ「1」の判定を行う。なお、このデータ「0」または「1」の判定は、選択BLの電位と、別途生成された参照電位とを、電圧センスアンプであるリードアンプ9(図1参照)により比較して増幅することによって行う。このT1の期間の読み出し動作において、第1セル〜第4セル(図3参照)には、以下の電位差がT秒間印加される。
すなわち、T1の期間の読み出し動作では、図3に示した選択WLと非選択BLとの交点に位置する非選択セルである第1セルには、1/3Vccの電位差がT秒間印加される。また、非選択WLと選択BLとの交点に位置する非選択セルである第2セルには、1/3Vcc−選択BLの電位(フローティング電位)がT秒間印加される。また、非選択WLと非選択BLとの交点に位置する非選択セルである第3セルには、−1/3Vccの電位差がT秒間印加される。また、選択WLと選択BLとの交点に位置する選択セルである第4セルには、Vcc−選択BLの電位(フローティング電位)の電位差がT秒間印加される。
この時、非選択セル(第1セル〜第3セル)に次のデータが保持されていた場合、残留分極量の劣化および回復が生じる。ここで、残留分極量の劣化とは、強誘電体キャパシタに蓄積されている電荷量が減少されることをいい、残留分極量の回復とは、減少した電荷量が増加することをいう。
非選択セルである第1セルに、データ「1」が保持されている場合には、残留分極量の劣化が生じ、データ「0」が保持されている場合には、残留分極量の回復が生じる。また、非選択セルである第2セルに、データ「1」が保持されている場合には、残留分極量の劣化が生じ、データ「0」が保持されている場合には、残留分極量の回復が生じる。また、非選択セルである第3セルに、データ「1」が保持されている場合には、残留分極量の回復が生じ、データ「0」が保持されている場合には、残留分極量の劣化が生じる。なお、選択セルである第4セルにデータ「1」が保持されている場合には、残留分極量の劣化が生じ、データ「0」が保持されている場合には、データ「0」の残留分極量が保持される。
上記したT1の期間の読み出し動作の後、一旦スタンバイ状態に戻す。その後、上記読み出し動作において、選択セルからデータ「1」が読み出された場合には、図4に示すように、T2の期間において、選択WLを0V、非選択WLを2/3Vcc、選択BLをVcc、非選択BLを1/3Vccにすることによって再書き込み動作を行う。この場合、T2の期間において、以下の電位差が第1セル〜第4セルに印加される。すなわち、非選択セルである第1セル、第2セルおよび第3セルには、それぞれ、−1/3Vcc、−1/3Vccおよび1/3Vccの電位差が印加される。これにより、非選択セルである第1セルに、データ「1」が保持されている場合には、残留分極量の回復が生じ、データ「0」が保持されている場合には、残留分極量の劣化が生じる。また、非選択セルである第2セルに、データ「1」が保持されている場合には、残留分極量の回復が生じ、データ「0」が保持されている場合には、残留分極量の劣化が生じる。また、非選択セルである第3セルに、データ「1」が保持されている場合には、残留分極量の劣化が生じ、データ「0」が保持されている場合には、残留分極量の回復が生じる。また、選択セルである第4セルでは、−Vccの電位差が印加されることにより、データ「1」の再書き込み動作が完了する。
一方、上記読み出し動作において、選択セル(第4セル)からデータ「0」が読み出された場合には、上記したようにT1の期間において、選択セルのデータ「0」の残留分極量が保持されるので、T1以降の期間において再書き込み動作を行わない。これにより、非選択セルである第1〜第3セルには、T1の期間の読み出し動作によって生じた残留分極量の劣化および回復が保持されている。
駆動方法Aによる読み出し−再書き込み動作では、上記のように、選択セル(第4セル)からデータ「1」が読み出された場合には、非選択セルである第1〜第3セルには、残留分極量の劣化と回復とが1回ずつ生じるので、残留分極量は変化しない。その一方で、選択セル(第4セル)からデータ「0」が読み出された場合には、非選択セルである第1セルにデータ「1」が保持されている場合と、非選択セルである第2セルにデータ「1」が保持されている場合と、非選択セルである第3セルにデータ「0」が保持されている場合とに、それぞれ、残留分極量の劣化が生じる。したがって、駆動方法Aを用いてデータ「0」の読み出し動作が繰り返されることによって、データ「1」を保持している第1セルと、データ「0」を保持している第2セルと、データ「0」を保持している第3セルとに残留分極量の劣化が蓄積される。
(2)書き込み動作
図6は、第1実施形態の駆動方法Aによる通常アクセス時の書き込み動作を説明するための電圧波形図である。図3および図6を参照して、駆動方法Aによる書き込み動作について説明する。
まず、スタンバイ状態では、ワード線WLおよびビット線BLは、共に、0Vになっている。そして、選択セルにデータ「0」を書き込む時には、T1の期間において選択WL、選択BL、非選択WLおよび非選択BLに、それぞれ、Vcc、0V、1/3Vccおよび2/3Vccを印加する。これにより、T1の期間の「0」書き込み動作において、第1セル〜第4セル(図3参照)には、以下の電位差が印加される。
すなわち、T1の期間の「0」書き込み動作では、非選択セルである第1セルには、1/3Vccの電位差が印加される。また、非選択セルである第2セルには、1/3Vccの電位差が印加される。また、非選択セルである第3セルには、−1/3Vccの電位差が印加される。また、選択セルである第4セルには、Vccの電位差が印加される。これにより、第4セルにはデータ「0」が書き込まれる。
この時、非選択セル(第1〜第3セル)に次のデータが保持されていた場合、残留分極量の劣化および回復が生じる。すなわち、非選択セルである第1セルに、データ「1」が保持されている場合には、残留分極量の劣化が生じ、データ「0」が保持されている場合には、残留分極量の回復が生じる。また、非選択セルである第2セルに、データ「1」が保持されている場合には、残留分極量の劣化が生じ、データ「0」が保持されている場合には、残留分極量の回復が生じる。また、非選択セルである第3セルに、データ「1」が保持されている場合には、残留分極量の回復が生じ、データ「0」が保持されている場合には、残留分極量の劣化が生じる。なお、上記したT1の期間の「0」書き込み動作の後、一旦スタンバイ状態に戻す。
次に、選択セルにデータ「1」を書き込む場合には、図6の期間T2に示すように、選択WL、選択BL、非選択WLおよび非選択BLにそれぞれ、0V、Vcc、2/3Vccおよび1/3Vccの電位差を印加する。これにより、T2の期間の「1」書き込み動作において、第1セル〜第4セル(図3参照)には、以下の電位差が印加される。
すなわち、T2の期間の「1」書き込み動作では、非選択セルである第1セルには、−1/3Vccの電位差が印加される。また、非選択セルである第2セルには、−1/3Vccの電位差が印加される。また、非選択セルである第3セルには、1/3Vccの電位差が印加される。また、選択セルである第4セルには、−Vccの電位差が印加される。これにより、第4セルにはデータ「1」が書き込まれる。
この時、非選択セル(第1〜第3セル)に次のデータが保持されていた場合、残留分極量の劣化および回復が生じる。すなわち、非選択セルである第1セルに、データ「1」が保持されている場合には、残留分極量の回復が生じ、データ「0」が保持されている場合には、残留分極量の劣化が生じる。また、非選択セルである第2セルに、データ「1」が保持されている場合には、残留分極量の回復が生じ、データ「0」が保持されている場合には、残留分極量の劣化が生じる。また、非選択セルである第3セルに、データ「1」が保持されている場合には、残留分極量の劣化が生じ、データ「0」が保持されている場合には、残留分極量の回復が生じる。
駆動方法Aによる書き込み動作では、上記のように、データ「0」の書き込み動作において、非選択セルである第1セルがデータ「1」を保持している場合と、非選択セルである第2セルがデータ「1」を保持している場合と、非選択セルである第3セルがデータ「0」を保持している場合とには、残留分極量の劣化が生じる。また、データ「1」の書き込み動作において、非選択セルである第1セルがデータ「0」を保持している場合と、非選択セルである第2セルがデータ「0」を保持している場合と、非選択セルである第3セルがデータ「1」を保持している場合とに残留分極量の劣化が生じる。したがって、駆動方法Aを用いてデータ「0」の書き込みのみを繰り返すような場合には、データ「1」を保持している第1および第2セルと、データ「0」を保持している第3セルに残留分極量の劣化が蓄積される。また、駆動方法Aを用いてデータ「1」の書き込みのみを繰り返すような場合には、データ「0」を保持している第1および第2セルと、データ「1」を保持している第3セルとに残留分極量の劣化が蓄積される。
(駆動方法B:リフレッシュ動作)
図7は、第1実施形態の駆動方法Bによるリフレッシュ動作(読み出し−再書き込み動作)を説明するための電圧波形図である。以下、図3および図7を参照して、駆動方法Bによるリフレッシュ動作(読み出し−再書き込み動作)について説明する。なお、この駆動方法Bによるリフレッシュ動作は、カウンタ8(図1参照)により計数された所定のアクセス回数毎に、全てのメモリセルに対して行われる。
(1)読み出し動作(T1)
図7に示したT1の期間では、読み出し動作を行う。まず、スタンバイ状態(0V)から、選択BLをフローティング状態にする。同じタイミングで、選択WLをVcc、非選択WLを1/3Vcc、非選択BLを2/3Vccにする。この状態で、選択BLの電位を検知することによって、データ「0」またはデータ「1」の判定を行う。このデータ「0」または「1」の判定は、上記駆動方法Aの読み出し−再書き込み動作の場合と同様にして行う。さらに、データ「0」または「1」の判定終了後、選択BLを再び0Vに戻す。なお、T1の期間をT秒間とし、選択BLがフローティング状態になっている時間をt1秒とする。
この場合、非選択セルである第1セル(図3参照)には、1/3Vccの電位差がT秒間印加される。また、非選択線WLと選択BLとの交点に位置する非選択セルである第2セル(図3参照)には、1/3Vcc−選択BLの電位(フローティング電位)がt1秒間印加されるとともに、1/3Vccの電位差がT−t1秒間印加される。また、非選択WLと非選択BLとの交点に位置する非選択セルである第3セル(図3参照)には、−1/3Vccの電位差がT秒間印加される。また、選択WLと選択BLとの交点に位置する選択セルである第4セル(図3参照)には、Vcc−選択BLの電位の電位差がt1秒間印加された後、Vccの電位差がT−t1秒間印加される。
なお、上記したt1秒は、非選択WLと選択BLとの交点に位置する非選択セルである第2セルにおいて、t1秒間に受ける1/3Vcc−選択BLの電位による分極量の変化が、T1−t1秒間に受ける1/3Vccによる分極量の変化と比較して十分に小さく、かつ、1/3VccがT−t1秒間印加されることにより、T1の期間の分極量の変化がT1の期間後のT2〜T4の期間において発生する分極量の変化とほぼ同じ量となるように、十分短い時間t1に設定されているものとする。このようにすれば、このT1の期間の読み出し動作において、残留分極量を以下のように変化させることができる。すなわち、非選択セルである第1セルでは、データ「1」が保持されている場合には、残留分極量の劣化が生じ、データ「0」が保持されている場合には、残留分極量の回復が生じる。また、非選択セルである第2セルでは、データ「1」が保持されている場合には、残留分極量の劣化が生じ、データ「0」が保持されている場合には、残留分極量の回復が生じる。また、非選択セルである第3セルでは、データ「1」が保持されている場合には、残留分極量の回復が生じ、データ「0」が保持されている場合には、残留分極量の劣化が生じる。また、選択セルである第4セルでは、データ「1」が保持されている場合には、残留分極量の劣化が生じ、データ「0」が保持されている場合には、データ「0」の残留分極量が保持される。
(2)データ「1」再書き込み動作(T2)
上記したT1の期間の読み出し動作の後、一旦スタンバイ状態に戻す。その後、T2の期間において、選択WLを0V、非選択WLを2/3Vcc、選択BLをVcc、非選択BLを1/3Vccにする。この場合、T2の期間では、以下の電位差が第1セル〜第4セルに印加される。すなわち、非選択セルである第1セル、第2セルおよび第3セルには、それぞれ、−1/3Vcc、−1/3Vccおよび1/3VccがT秒間印加される。これにより、非選択セルである第1セルに、データ「1」が保持されている場合には、残留分極量の回復が生じ、データ「0」が保持されている場合には、残留分極量の劣化が生じる。また、非選択セルである第2セルに、データ「1」が保持されている場合には、残留分極量の回復が生じ、データ「0」が保持されている場合には、残留分極量の劣化が生じる。また、非選択セルである第3セルに、データ「1」が保持されている場合には、残留分極量の劣化が生じ、データ「0」が保持されている場合には、残留分極量の回復が生じる。
また、選択セルである第4セルでは、−Vccの電位差がT秒間印加されるため、T1の期間の読み出し動作において、データ「1」が読み出された場合、このT2の期間の動作において、データ「1」の再書き込み動作が完了する。したがって、データ「1」が読み出された場合には、この時点で読み出し−再書き込み動作を終了させる。
(3)データ「0」再書き込みのための補償動作(T3)
上記したT2の期間のデータ「1」再書き込み動作の後、一旦スタンバイ状態に戻す。その後、T3の期間において、選択WLを0V、非選択WLを2/3Vcc、選択BLをVcc、非選択BLを1/3Vccにする。この場合、第1セル〜第4セルには、次の電位差がT秒間印加される。具体的には、非選択セルである第1セル、第2セルおよび第3セルには、それぞれ、−1/3Vcc、−1/3Vccおよび1/3Vccの電位差がT秒間印加される。また、選択セルである第4セルには、−Vccの電位差がT秒間印加される。この電位差の印加によって、非選択セルである第1セルでは、データ「1」が保持されている場合には、残留分極量の回復が生じ、データ「0」が保持されている場合には、残留分極量の劣化が生じる。また、非選択セルである第2セルでは、データ「1」が保持されている場合には、残留分極量の回復が生じ、データ「0」が保持されている場合には、残留分極量の劣化が生じる。また、非選択セルである第3セルでは、データ「1」が保持されている場合には、残留分極量の劣化が生じ、データ「0」が保持されている場合には、残留分極量の回復が生じる。また、選択セルである第4セルでは、上記T2の期間の動作により保持するデータは「1」になっているが、再度データ「1」を書き込む状態となる。
(4)データ「0」再書き込み動作(T4)
上記T3の期間のデータ「0」再書き込みのための補償動作の後、一旦スタンバイ状態に戻す。その後、T4の期間において、選択WLをVcc、非選択WLを1/3Vcc、選択BLを0V、非選択BLを2/3Vccにする。これにより、非選択セルである第1セル、第2セルおよび第3セルには、それぞれ、1/3Vcc、1/3Vcc、−1/3Vccの電位差がT秒間印加される。また、選択セルである第4セルには、Vccの電位差がT秒間印加される。これにより、非選択セルである第1セルでは、データ「1」が保持されている場合には、残留分極量の劣化が生じ、データ「0」が保持されている場合には、残留分極量の回復が生じる。また、非選択セルである第2セルでは、データ「1」が保持されている場合には、残留分極量の劣化が生じ、データ「0」が保持されている場合には、残留分極量の回復が生じる。また、非選択セルである第3セルでは、データ「1」が保持されている場合には、残留分極量の回復が生じ、データ「0」が保持されている場合には、残留分極量の劣化が生じる。また、選択セルである第4セルでは、Vccの電位差が印加されるため、データ「0」が再書き込みされた状態となっている。このT4の期間の動作によって、一連の読み出し−再書き込み動作を終了する。
この第1実施形態による駆動方法Bを用いたリフレッシュ動作では、読み出し−再書き込み動作において、データ「1」が読み出された場合にはT2の期間の動作まで進み、データ「0」が読み出された場合にはT4の期間の動作まで進む。その後、それぞれ次回の読み出しおよび再書き込み動作に移る。この第1実施形態による駆動方法Bを用いたリフレッシュ動作では、データ「1」が読み出された場合およびデータ「0」が読み出された場合の両方の場合において、残留分極量の劣化の回数と残留分極量の回復の回数とは等しくなる。したがって、読み出し−再書き込み動作を繰り返し行ったとしても、非選択セルにおいて残留分極量の劣化が蓄積されていくことはないので、最終的に保持しているデータが消失することはない。
すなわち、第1実施形態による駆動方法Bを用いたリフレッシュ動作では、読み出し−再書き込み動作を通じて、非選択セルのディスターブによる残留分極量の劣化を打ち消す方向に、非選択セルのうち第1セルおよび第3セルには、±1/3Vccを交互に印加するとともに、非選択セルのうち第2セルには、1/3Vcc−選択ビット線の電位、および、1/3Vccと、−1/3Vccとを交互に印加することによって、残留分極量の劣化による非選択セルのデータの消失を有効に抑制することができる。
図8は、メモリセルに残留分極量の劣化が蓄積された状態を示したヒステリシス図である。図9は、リフレッシュ動作を行う単純マトリックス方式のメモリセルの等価回路図である。図10は、第1実施形態によるメモリセルのリフレッシュ動作前の残留分極量を示したヒステリシス図である。図11は、第1実施形態によるメモリセルの1回目のリフレッシュ動作に伴う残留分極量の変化を示したヒステリシス図である。図12は、第1実施形態によるメモリセルの2回目のリフレッシュ動作に伴う残留分極量の変化を示したヒステリシス図である。図13は、第1実施形態によるメモリセルの3回目のリフレッシュ動作に伴う残留分極量の変化を示したヒステリシス図である。次に、図8〜図13を参照して、第1実施形態による強誘電体メモリの駆動方法Bによるリフレッシュ動作に伴うメモリセルの残留分極量の変化について説明する。
上記したように駆動方法Aによる通常アクセスを繰り返すことによって、非選択セルには、残留分極量の劣化が蓄積される。これにより、メモリセルの中には、図8に示すように、データが書き込まれた直後の状態(データ「1」書き込み直後の残留分極量)から、残留分極量が大きく劣化しているメモリセルが存在する。この第1実施形態では、上記した駆動方法Bを用いてリフレッシュ動作を行うことにより、図8のように大きく劣化した残留分極量をデータが書き込まれた直後の残留分極量に回復させる。また、第1実施形態では、リフレッシュ動作をワード線WL毎に行う。具体的には、図9に示すように、まず、ワード線WL1に繋がる{WL1、BL1}、{WL1、BL2}、{WL1、BL3}…{WL1、BLn}のメモリセルに対して、順番にリフレッシュ動作を行う。その後、ワード線WL2に繋がる{WL2、BL1}、{WL2、BL2}、{WL2、BL3}…{WL2、BLn}のメモリセルに対して、順番にリフレッシュ動作を行う。この後、同様に、ワード線WL3〜WLnに繋がるメモリセルに対して順次リフレッシュ動作を行う。これにより、全てのメモリセルに対してリフレッシュ動作を行う。
次に、駆動方法Aにより図10のように残留分極量が劣化した{WL1、BL1}、{WL1、BL2}および{WL1、BL3}のメモリセルに対して、駆動方法Bを用いて3回のリフレッシュ動作を行った場合の各メモリセルの残留分極量の変化について説明する。
まず、1回目のリフレッシュ動作では、{WL1、BL1}のメモリセルを選択セルとして駆動方法Bを用いてリフレッシュ動作を行う。{WL1、BL1}のメモリセルには、図11に示すように、T1(t1以外の期間)〜T4の各期間において、それぞれ、Vcc、−Vcc、−VccおよびVccの電位差が印加される。これにより、1回目のリフレッシュ動作後には、図11に示すように、{WL1、BL1}のメモリセル(選択セル)の残留分極量はデータ「0」書き込み直後の状態まで回復される。また、1回目のリフレッシュ動作のT1(T−t1の期間)〜T4の各期間において、{WL1、BL2}のメモリセル(非選択セル)には、それぞれ、1/3Vcc、−1/3Vcc、−1/3Vccおよび1/3Vccの電位差が印加されるとともに、{WL1、BL3}のメモリセル(非選択セル)には、それぞれ、1/3Vcc、−1/3Vcc、−1/3Vccおよび1/3Vccの電位差が印加される。これにより、{WL1、BL2}および{WL1、BL3}のメモリセル(非選択セル)には、互いに逆方向の±1/3Vccの電位差が同じ回数ずつ印加されるので、残留分極量の回復と劣化とが同じ回数ずつ発生する。このため、1回目のリフレッシュ動作後の{WL1、BL2}および{WL1、BL3}のメモリセル(非選択セル)は、リフレッシュ動作前(図10参照)と同じ残留分極量に保持される。
次に、{WL1、BL2}のメモリセルを選択セルとして、2回目のリフレッシュ動作を行う。この2回目のリフレッシュ動作において、{WL1、BL2}のメモリセル(選択セル)には、図12に示すように、T1(t1以外の期間)〜T4の各期間において、それぞれ、Vcc、−Vcc、−VccおよびVccの電位差が印加される。これにより、2回目のリフレッシュ動作後には、{WL1、BL2}のメモリセル(選択セル)の残留分極量は、データ「0」書き込み直後の状態まで回復される。
また、2回目のリフレッシュ動作のT1(t1以外の期間)〜T4の各期間において、{WL1、BL1}および{WL1、BL3}のメモリセル(非選択セル)には、それぞれ、1/3Vcc、−1/3Vcc、−1/3Vccおよび1/3Vccの電位差が印加される。これにより、{WL1、BL1}のメモリセル(非選択セル)では、T1の期間(t1以外の期間)において、ヒステリシス曲線に沿って1/3Vccに対応した残留分極量に移動した後、T1の動作後にスタンバイ状態に戻ることによってデータ「0」書き込み直後の残留分極量に戻るので、T1の期間(t1以外の期間)に印加される電位差は、残留分極量の劣化および回復のどちらにも寄与しない。そして、{WL1、BL1}のメモリセル(非選択セル)では、T2およびT3の期間において残留分極量の劣化が2回分発生するとともに、T4の期間において残留分極量の回復が1回分発生するので、2回目のリフレッシュ動作後には、1回の−1/3Vcc分の残留分極量の劣化が発生する。
また、2回目のリフレッシュ動作時の{WL1、BL3}のメモリセル(非選択セル)では、T1(t1以外の期間)〜T4の各期間で、互いに逆方向の±1/3Vccの電位差が同じ回数ずつ印加されることにより、残留分極量の回復と劣化とが同じ回数ずつ発生する。このため、2回目のリフレッシュ動作後の{WL1、BL3}のメモリセル(非選択セル)は、1回目のリフレッシュ動作後(図11参照)と同じ残留分極量に保持される。
次に、{WL1、BL3}のメモリセルを選択セルとして、3回目のリフレッシュ動作を行う。この3回目のリフレッシュ動作において、{WL1、BL3}のメモリセル(選択セル)には、図13に示すように、T1(t1以外の期間)およびT2の各期間において、それぞれ、Vccおよび−Vccの電位差が印加される。これにより、3回目のリフレッシュ動作後には、{WL1、BL3}のメモリセル(選択セル)の残留分極量は、データ「1」書き込み直後の状態まで回復される。
また、3回目のリフレッシュ動作のT1(t1以外の期間)およびT2の各期間において、{WL1、BL1}および{WL1、BL2}のメモリセル(非選択セル)には、それぞれ、1/3Vccおよび−1/3Vccの電位差が印加される。これにより、{WL1、BL1}のメモリセル(非選択セル)では、T1(t1以外の期間)およびT2の各期間で、互いに逆方向の±1/3Vccの電位差が同じ回数ずつ印加されることにより、残留分極量の回復と劣化とが同じ回数ずつ発生する。このため、3回目のリフレッシュ動作後の{WL1、BL1}のメモリセル(非選択セル)は、2回目のリフレッシュ動作後(図12参照)と同じ残留分極量に保持される。また、{WL1、BL2}のメモリセル(非選択セル)では、T1の期間(t1以外の期間)において、ヒステリシス曲線に沿って1/3Vccに対応した残留分極量に移動した後、T1の動作後にスタンバイ状態に戻ることによってデータ「0」書き込み直後の残留分極量に戻るので、T1の期間(t1以外の期間)に印加される電位差は、残留分極量の劣化および回復のどちらにも寄与しない。そして、{WL1、BL2}のメモリセル(非選択セル)では、T2の期間において残留分極量の劣化が1回分発生するので、3回目のリフレッシュ動作後には、データ「0」書き込み直後の残留分極量から1回の−1/3Vcc分の残留分極量の劣化が発生した状態になる。
上記したように、駆動方法Bによる1〜3回目のリフレッシュ動作によって、残留分極量の劣化が発生した{WL1、BL1}、{WL1、BL2}および{WL1、BL3}のメモリセルを、データの書き込み動作が行われた直後の残留分極量(データ「0」または「1」書き込み直後の残留分極量)に回復させることができる。また、一度リフレッシュ動作が行われたメモリセル({WL1、BL1})では、その後のリフレッシュ動作(2回目および3回目のリフレッシュ動作)において1回の−1/3Vcc分以上の残留分極量の劣化は発生しない。なお、1回の−1/3Vcc分の残留分極量の劣化が発生したとしても、この程度の劣化が発生した残留分極量は、リードアンプ9(図1参照)によってデータの判別が可能な残留分極量であるので、実質上、データの消失が発生するなどの問題が生じることはない。また、上記したように任意のメモリセル(図11の{WL1、BL1})に対してリフレッシュ動作を行っている間に、それ以外のメモリセルの内、リフレッシュ動作がまだ行われていないメモリセル(図11の{WL1、BL2}および{WL1、BL3})では、残留分極量の劣化が進行しない。
第1実施形態では、上記のように、駆動方法Aを用いて選択セル(第4セル)に対してアクセスすることにより非選択セル(第1〜第3セル)に残留分極量の劣化が発生した後、全てのメモリセルに対して駆動方法Bを用いて順番にリフレッシュ動作を行うことにより、残留分極量の劣化が発生したメモリセルを含む全てのメモリセルをデータ「0」または「1」書き込み直後の残留分極量、または、1回の−1/3Vcc(1/3Vcc)分の残留分極量の劣化が発生した状態に回復させることができるので、残留分極量の劣化が発生することに起因してメモリセルのデータが消失するディスターブ現象を抑制することができる。
また、第1実施形態では、駆動方法Bによるリフレッシュ動作を、駆動方法Aによる通常アクセス毎に行うのではなく、所定のアクセス回数後に任意のメモリセルに残留分極量の劣化が蓄積した後に行うことによって、リフレッシュ動作をアクセス毎に行う場合に比べて、リフレッシュ動作の動作時間を大幅に低減することができる。これにより、リフレッシュ動作を行った場合にも強誘電体メモリの動作数が増大するのを抑制することができる。
図14〜図23は、駆動方法Bを用いてリフレッシュ動作を行うことによる第1実施形態の効果を説明するための比較例として、駆動方法Aを用いてリフレッシュ動作を行った場合を説明するための図である。次に、図4、図5、図10および図14〜図23を参照して、駆動方法Aを用いてリフレッシュ動作を行った比較例では、リフレッシュ動作を行うことができなくなる場合が生じること、および、一度リフレッシュ動作が行われたメモリセルにおいて、その後のリフレッシュ動作によって1回の−1/3Vcc分以上の分極劣化が発生することについて説明する。
図14に示す比較例による駆動方法Aを用いた1回目のリフレッシュ動作では、図10の残留分極量の劣化を有する各メモリセルに対してリフレッシュ動作を行う。また、この1回目のリフレッシュ動作では、{WL1、BL1}のメモリセルを選択セルとしてリフレッシュ動作を行う。この際、{WL1、BL1}のメモリセル(選択セル)には、データ「0」が保持されているので、図5の「0」読み出し−再書き込み動作によりリフレッシュ動作を行う。{WL1、BL1}のメモリセル(選択セル)には、図14に示すように、T1の期間において、約Vccの電位差が印加される。これにより、1回目のリフレッシュ動作後には、{WL1、BL1}のメモリセル(選択セル)の残留分極量は、図14に示すように、データ「0」書き込み直後の状態まで回復される。また、1回目のリフレッシュ動作のT1の期間において、{WL1、BL2}および{WL1、BL3}のメモリセル(非選択セル)には、それぞれ、1/3Vccの電位差が印加される。これにより、{WL1、BL2}のメモリセル(非選択セル)では、残留分極量の回復が生じるので、1回目のリフレッシュ動作後は、リフレッシュ動作前の状態(図10参照)に比べて残留分極量が回復する。また、{WL1、BL3}のメモリセル(非選択セル)では、T1の期間において、残留分極量の劣化が発生するので、1回目のリフレッシュ動作後は、リフレッシュ動作前の状態(図10参照)に比べて、残留分極量が劣化する。
次に、{WL1、BL2}のメモリセルを選択セルとして、駆動方法Aを用いて、2回目のリフレッシュ動作を行う。この際、{WL1、BL2}のメモリセル(選択セル)には、データ「0」が保持されているので、図5の「0」読み出し−再書き込み動作を用いてリフレッシュ動作を行う。この2回目のリフレッシュ動作において、{WL1、BL2}のメモリセル(選択セル)には、図15に示すように、T1の期間において、約Vccの電位差が印加される。これにより、2回目のリフレッシュ動作後には、{WL1、BL2}のメモリセル(選択セル)の残留分極量は、データ「0」書き込み直後の状態まで回復される。
また、2回目のリフレッシュ動作のT1の期間において、{WL1、BL1}および{WL1、BL3}のメモリセル(非選択セル)には、それぞれ、1/3Vccの電位差が印加される。これにより、{WL1、BL1}のメモリセル(非選択セル)では、ヒステリシス曲線に沿って1/3Vccの電位差に対応する残留分極量に移動した後、T1の動作後にスタンバイ状態に戻ることによって、データ「0」書き込み直後の残留分極量に戻るので、T1の期間に印加される1/3Vccの電位差は、残留分極量の劣化および回復のどちらにも寄与しない。このため、2回目のリフレッシュ動作後には、{WL1、BL1}のメモリセル(非選択セル)は、1回目のリフレッシュ動作後(図14参照)と同じデータ「0」書き込み直後の残留分極量に保持される。また、{WL1、BL3}のメモリセル(非選択セル)では、T1の期間において残留分極量の劣化が生じるので、2回目のリフレッシュ動作後には、1回目のリフレッシュ動作後の状態(図14参照)から、さらに1回の1/3Vcc分の残留分極量の劣化が生じる。
次に、{WL1、BL3}のメモリセルを選択セルとして、駆動方法Aを用いて3回目のリフレッシュ動作を行う。この際、{WL1、BL3}のメモリセル(選択セル)には、データ「1」が保持されているので、図4の「1」読み出し−再書き込み動作によりリフレッシュ動作を行う。この3回目のリフレッシュ動作において、{WL1、BL3}のメモリセル(選択セル)には、図16に示すように、T1およびT2の各期間において、それぞれ、約Vccおよび−Vccの電位差が印加される。これにより、3回目のリフレッシュ動作後には、{WL1、BL3}のメモリセル(選択セル)の残留分極量は、データ「1」書き込み直後の状態まで回復される。
また、3回目のリフレッシュ動作のT1の期間において、{WL1、BL1}および{WL1、BL2}のメモリセル(非選択セル)には、それぞれ、1/3Vccの電位差が印加される。これにより、{WL1、BL1}および{WL1、BL2}のメモリセル(非選択セル)では、T1の期間において、ヒステリシス曲線に沿って、データ「0」から1/3Vccの電位差に対応する残留分極量に移動した後、T1の動作後にスタンバイ状態に戻ることによって、データ「0」書き込み直後の残留分極量に戻る。このため、{WL1、BL1}および{WL1、BL2}のメモリセル(非選択セル)において、T1の期間に印加される1/3Vccの電位差は、残留分極量の劣化および回復のどちらにも寄与しない。この後、T2の期間において、{WL1、BL1}および{WL1、BL2}のメモリセル(非選択セル)には、それぞれ、−1/3Vccの電位差が印加される。これにより、{WL1、BL1}および{WL1、BL2}のメモリセル(非選択セル)には、それぞれ、残留分極量の劣化が生じる。このため、3回目のリフレッシュ動作後には、{WL1、BL1}および{WL1、BL2}のメモリセル(非選択セル)の残留分極量は、共に、2回目のリフレッシュ動作後のデータ「0」書き込み直後の状態(図15参照)から、1回の−1/3Vcc分だけ残留分極量が劣化する。
上記したように、3回目にリフレッシュ動作を行った{WL1、BL3}のメモリセルでは、図17に示すように、1回目および2回目の各リフレッシュ動作によって、それぞれ1/3Vcc分の残留分極量の劣化が生じる。これにより、2回の1/3Vcc分の残留分極量の劣化が蓄積されるので、2回目のリフレッシュ動作後は、リフレッシュ動作前に比べて大きく残留分極量が劣化する。このように大きく残留分極量が劣化したメモリセルでは、保持しているデータが「0」または「1」のどちらであるか判別することができなくなることにより、リフレッシュ動作を行うことができなくなることも考えられる。このため、駆動方法Aを用いてリフレッシュ動作を行った場合には、リフレッシュ動作が行われないメモリセルのデータが消失する場合も考えられる。これに対して、駆動方法Bを用いたリフレッシュ動作では、上記したように、リフレッシュ動作が行われないメモリセルにおいて、1回の−1/3Vcc分以上の残留分極量の劣化が蓄積されないので、メモリセルのデータが消失するのを抑制することができる。
次に、図18〜図23を参照して、図19に示すリフレッシュ動作前の残留分極量を有するメモリセル({WL1、BL1}、{WL1、BL2}および{WL1、BL3})に対して比較例による駆動方法Aを用いてリフレッシュ動作を行った場合の残留分極量の変化について説明する。
まず、1回目のリフレッシュ動作では、図18および図19に示す{WL1、BL1}のメモリセルを選択セルとして、駆動方法Aを用いてリフレッシュ動作を行う。この際、{WL1、BL1}のメモリセル(選択セル)には、データ「1」が保持されているので、図4に示した「1」読み出し−再書き込み動作によってリフレッシュ動作を行う。{WL1、BL1}のメモリセル(選択セル)には、図20に示すように、T1およびT2の期間において、それぞれ、約Vccおよび−Vccの電位差が印加される。これにより、1回目のリフレッシュ動作後には、{WL1、BL1}のメモリセル(選択セル)の残留分極量は、データ「1」書き込み直後の状態まで回復される。また、1回目のリフレッシュ動作のT1およびT2の期間において、{WL1、BL2}および{WL1、BL3}のメモリセル(非選択セル)には、それぞれ、1/3Vccおよび−1/3Vccの電位差が印加される。これにより、{WL1、BL2}および{WL1、BL3}のメモリセル(非選択セル)では、T1の期間に残留分極量の回復が生じるとともに、T2の期間に残留分極量の劣化が生じる。このため、{WL1、BL2}および{WL1、BL3}のメモリセル(非選択セル)では、残留分極量の回復および劣化が1回ずつ生じるので、1回目のリフレッシュ動作後は、リフレッシュ動作前の状態(図19参照)と同じ残留分極量に保持される。
次に、{WL1、BL2}のメモリセルを選択セルとして、駆動方法Aを用いて、2回目のリフレッシュ動作を行う。この際、{WL1、BL2}のメモリセル(選択セル)には、データ「0」が保持されているので、図5に示した「0」読み出し−再書き込み動作によってリフレッシュ動作を行う。この2回目のリフレッシュ動作のT1の期間において、{WL1、BL2}のメモリセル(選択セル)には、図21に示すように、約Vccの電位差が印加される。これにより、2回目のリフレッシュ動作後には、{WL1、BL2}のメモリセル(選択セル)の残留分極量は、データ「0」書き込み直後の状態まで回復される。また、2回目のリフレッシュ動作のT1の期間において、{WL1、BL1}および{WL1、BL3}のメモリセル(非選択セル)には、それぞれ、1/3Vccの電位差が印加される。これにより、{WL1、BL1}のメモリセル(非選択セル)では、残留分極量の劣化が発生するので、2回目のリフレッシュ動作後の状態では、1回目のリフレッシュ動作後(図20参照)のデータ「1」書き込み直後の状態から1回の1/3Vcc分、残留分極量が劣化する。また、{WL1、BL3}のメモリセル(非選択セル)では、1/3Vccの電位差が印加されることによって、残留分極量の回復が生じるので、2回目のリフレッシュ動作後は、1回目のリフレッシュ動作後の状態(図20参照)に比べて、1回の1/3Vcc分、残留分極量が回復する。
次に、{WL1、BL3}のメモリセルを選択セルとして、駆動方法Aを用いて3回目のリフレッシュ動作を行う。この際、{WL1、BL3}のメモリセル(選択セル)には、データ「0」が保持されているので、図5に示した「0」読み出し−再書き込み動作によってリフレッシュ動作を行う。この3回目のリフレッシュ動作において、{WL1、BL3}のメモリセル(選択セル)には、図22に示すように、T1の期間において、約Vccの電位差が印加される。これにより、3回目のリフレッシュ動作後には、{WL1、BL3}のメモリセル(選択セル)の残留分極量は、データ「0」書き込み直後の状態まで回復される。
また、3回目のリフレッシュ動作のT1の期間において、{WL1、BL1}のメモリセル(非選択セル)には、1/3Vccの電位差が印加される。これにより、{WL1、BL1}のメモリセル(非選択セル)では、残留分極量の劣化が生じるので、3回目のリフレッシュ動作後の状態では、2回目のリフレッシュ動作後の状態(図21参照)から、1回の1/3Vcc分、残留分極量が劣化する。また、3回目のリフレッシュ動作のT1の期間において、{WL1、BL2}のメモリセル(非選択セル)には、1/3Vccの電位差が印加される。これにより、{WL1、BL2}のメモリセル(非選択セル)では、ヒステリシス曲線に沿って、データ「0」書き込み直後の状態から1/3Vccの電位差に対応する残留分極量に移動した後、T1の動作後にスタンバイ状態に戻ることによって、データ「0」書き込み直後の残留分極量に戻る。このため、{WL1、BL2}のメモリセル(非選択セル)において、T1の期間に印加される1/3Vccの電位差は、残留分極量の劣化および回復のどちらにも寄与しない。これにより、3回目のリフレッシュ動作後の{WL1、BL2}のメモリセル(非選択セル)では、2回目のリフレッシュ動作後のデータ「0」の残留分極量(図21参照)が保持される。
上記したように1回目にリフレッシュ動作を行った{WL1、BL1}のメモリセルでは、2回目および3回目の各リフレッシュ動作によって、それぞれ、1/3Vcc分の残留分極量の劣化が生じるので、2回の1/3Vcc分の残留分極量の劣化が蓄積される。これにより、図23に示すように、1回目のリフレッシュ動作後から3回目のリフレッシュ動作後に渡って残留分極量の劣化が大きくなることが分かった。したがって、駆動方法Aを用いてリフレッシュ動作を行った場合には、一度リフレッシュ動作を行ったメモリセルにおいて、その後の他のメモリセルに対するリフレッシュ動作によって、後から残留分極量の劣化が進行するという問題点がある。これに対して、駆動方法Bを用いたリフレッシュ動作は、上記したように、一度リフレッシュ動作が行われたメモリセルにおいて、その後のリフレッシュ動作によって1回の−1/3Vcc分以上に残留分極量の劣化が大きくなることはないので、後から残留分極量の劣化が進行することはない。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。この第2実施形態では、リフレッシュ動作を行うまでの読み出し−再書き込み動作(通常アクセス)の合計の動作数とリフレッシュ動作を行うメモリセルの数との関係により、上記第1実施形態による駆動方法(駆動方法Aにより所定回数の通常アクセスを行った後、駆動方法Bを用いてリフレッシュ動作を行う駆動方法)を用いる場合の方が、駆動方法Bのみによる駆動方法を用いる場合よりも適した条件について説明する。
まず、上記第1実施形態による駆動方法を用いる場合において、リフレッシュ動作(駆動方法B)を行うまでの読み出し−再書き込み動作(駆動方法A)の合計の動作数をM、リフレッシュ動作を行うメモリセルの数をNとする。そして、以下の各条件において、上記第1実施形態による駆動方法を用いる場合と駆動方法Bのみを用いる場合との各々の動作数(メモリセルの充放電回数)を計算する。そして、第1実施形態による駆動方法を用いる場合の動作数と、駆動方法Bのみを用いる場合の動作数とを比較することにより、どちらがサイクルタイム(動作時間)および消費電力をより低減することができるかについて検討する。なお、上記駆動方法AおよびBのT1〜T4の各期間(図4、図5および図7参照)の動作が、それぞれ、1回の動作数に相当するものとする。
(条件1)
この条件1では、データ「0」の読み出し−再書き込み動作のみを連続して行った後、リフレッシュ動作を行う。なお、リフレッシュ動作を行うメモリセルは、全て、データ「0」を保持しているとする。この条件1において、第1実施形態による動作数と駆動方法Bのみを用いる場合の動作数とは、それぞれ、以下のような動作数になる。
第1実施形態による動作数=M+N×4
駆動方法Bのみを用いる場合の動作数=M×4
したがって、この条件1では、N<3M/4のとき、第1実施形態による動作数が駆動方法Bのみを用いる場合の動作数に比べて小さくなる。
(条件2)
この条件2では、データ「1」の読み出し−再書き込み動作のみを連続して行った後、リフレッシュ動作を行う。なお、リフレッシュ動作を行うメモリセルは、全て、データ「1」を保持しているとする。この条件2において、第1実施形態による動作数と駆動方法Bのみを用いる場合の動作数とは、それぞれ、以下のような動作数になる。
第1実施形態による動作数=M×2+N×2
駆動方法Bのみを用いる場合の動作数=M×2
したがって、この条件2では、駆動方法Bのみを用いる場合の動作数は、第1実施形態による動作数に比べて小さくなる。
上記した条件1および2の結果から、N<3M/4の場合には、第1実施形態による駆動方法を用いることによって、駆動方法Bのみを用いる場合に比べて、強誘電体メモリの動作数を低減しやすいことがわかる。したがって、第2実施形態では、N<3M/4の場合において、第1実施形態による駆動方法を用いて強誘電体メモリの駆動を行うことにより、サイクルタイムおよび消費電力の低減を実現することが可能である。なお、N>3M/4の場合には、駆動方法Bのみを用いる方が、第1実施形態による駆動方法を用いる場合に比べて、強誘電体メモリの動作数が少なくなるので、この場合には、駆動方法Bのみを用いて強誘電体メモリを駆動させてもよい。
(第3実施形態)
この第3実施形態では、上記第1実施形態と異なり、強誘電体メモリの任意のワード線WLに接続された全てのメモリセルに対して一括してアクセスを行う場合に、本発明を適用した例について説明する。
図24は、本発明の第3実施形態による強誘電体メモリの全体構成を示したブロック図である。まず、図24を参照して、第3実施形態の強誘電体メモリの全体構成について説明する。第3実施形態の強誘電体メモリは、メモリセルアレイ21と、ロウデコーダ22と、カラムデコーダ23と、ロウアドレスバッファ24と、カラムアドレスバッファ25と、ライトアンプ26と、入力バッファ27と、カウンタ28と、電圧センスアンプからなるリードアンプ29と、出力バッファ30と、1/3Vcc・2/3Vcc生成回路31とを備えている。なお、1/3Vcc・2/3Vcc生成回路31は、図1および図2に示した1/3Vcc・2/3Vcc生成回路11と同様の構成を有する。また、この第3実施形態による強誘電体メモリでは、リードアンプ29がメモリセルアレイ21に直接接続されている。これ以外の第2実施形態による強誘電体メモリの構成は、上記第1実施形態による強誘電体メモリの構成と同様である。
図25は、本発明の第3実施形態によるメモリセルアレイにおいて、選択WL(WL5)に接続されたメモリセルが保持するデータを説明するための概略図である。図26は、セル領域の定義を説明するための図である。また、図27は、第3実施形態の駆動方法Cによる通常アクセス時の読み出し−再書き込み動作を説明するための電圧波形図であり、図28は、第3実施形態の駆動方法Cによる通常アクセス時の書き込み動作を説明するための電圧波形図である。また、図29は、第3実施形態の駆動方法Dによるリフレッシュ動作(読み出し−再書き込み動作)を説明するための電圧波形図である。
以下、図24〜図29を参照して、第3実施形態による強誘電体メモリの動作について説明する。なお、第3実施形態の説明では、図25に示すように、選択WLがワード線WL5であるとする。また、この選択WL(ワード線WL5)に接続されたメモリセルのうち、ビット線BL4およびビット線BL6に接続されたメモリセルにはデータ「1」が記憶されており、それ以外のビット線(BL1〜3、5、7、8)に接続されたメモリセルにはデータ「0」が記憶されているとする。また、図26に示すように、選択WLに接続されているメモリセルのうち、データ「0」を記憶しているメモリセル群を第1セル領域、選択WLに接続されているメモリセルのうち、データ「1」を記憶しているメモリセル群を第2セル領域とする。また、非選択WLに接続されたメモリセルのうち、ビット線BL4およびビット線BL6に接続されたメモリセル群を第3セル領域、非選択WLに接続されたメモリセルのうち、ビット線BL4およびビット線BL6以外のビット線に接続されたメモリセル群を第4セル領域とする。すなわち、選択WL(WL5)に接続された第1セル領域および第2セル領域のメモリセルが選択セルであり、非選択WL(WL1〜4、6〜8)に接続された第3セル領域および第4セル領域のメモリセルが非選択セルである。
また、第3実施形態による強誘電体メモリでは、2つの駆動方法(駆動方法Cおよび駆動方法D)を用いてメモリの駆動を行う。ここで、駆動方法Cは、必要な動作数は少なくなる一方、読み出し−再書き込み動作または書き込み動作時に非選択セルの残留分極量が劣化する場合がある駆動方法である。また、駆動方法Dは、上記駆動方法Cに比べて必要な動作数は多くなる一方、読み出し−再書き込み動作時に非選択セルにデータの判別が不可能になるような大きな残留分極量の劣化は発生しない駆動方法である。
この第3実施形態では、通常のアクセス時には、駆動方法Cを用いて読み出し−再書き込み動作および書き込み動作を行うとともに、所定の回数の通常アクセス後、駆動方法Dを用いて、駆動方法Cによって蓄積されたメモリセルの残留分極量の劣化を回復させるためのリフレッシュ動作(回復動作)を行う。また、第3実施形態では、カウンタ28を用いて駆動方法Cによる通常のアクセス回数を計数するとともに、カウンタ28によって計数された所定のアクセス回数毎にリフレッシュ動作を行う。以下、通常のアクセスに用いる駆動方法Cおよびリフレッシュ動作に用いる駆動方法Dについて説明する。
(駆動方法C:通常アクセス動作)
(1)読み出し−再書き込み動作
図27には、駆動方法Cにより選択セルに読み出し−再書き込み動作を行う際のワード線WLおよびビット線BLに印加する電圧波形が示されている。図27に示すT1およびT2の各動作の時間は、それぞれ、同じ時間(T秒)とする。まず、図27を参照して、駆動方法Cによる読み出し−再書き込み動作について説明する。
図27に示したT1の期間では、読み出し動作を行う。まず、スタンバイ状態では、全てのワード線WLおよびビット線BLは、共に、0Vになっている。そして、スタンバイ状態から、全てのBLをフローティング状態にする。そして、同じタイミングで、選択WL(WL3)をVccにする。この状態で、全ビット線BLの電位を検知することによって、データ「0」またはデータ「1」の判定を行う。なお、このデータ「0」または「1」の判定は、上記第1実施形態と同様にして行う。このT1の期間の読み出し動作において、第1セル領域〜第4セル領域のメモリセル(図26参照)には、以下の電位差がT秒間印加される。
すなわち、第1セル領域のメモリセルには、Vcc−Vr0(「0」データ読み出し電位)の電位差がT秒間印加される。また、第2セル領域のメモリセルには、Vcc−Vr1(「1」データ読み出し電位)の電位差がT秒間印加される。また、第3セル領域のメモリセルには、−Vr1の電位差がT秒間印加される。また、第4セル領域のメモリセルには、−Vr0の電位差がT秒間印加される。
この時、非選択セル(第3および第4セル領域)に次のデータが保持されていた場合、残留分極量の劣化および回復が生じる。すなわち、非選択セルである第3セル領域のメモリセルに、データ「1」が保持されている場合には、残留分極量の回復が生じ、データ「0」が保持されている場合には、残留分極量の劣化が生じる。また、非選択セルである第4セル領域のメモリセルに、データ「1」が保持されている場合には、残留分極量の回復が生じ、データ「0」が保持されている場合には、残留分極量の劣化が生じる。なお、選択セルである第1セル領域のメモリセルのデータ「0」は、T1の期間の読み出し動作によって破壊されない一方、選択セルである第2セル領域のメモリセルのデータ「1」は、破壊されてデータ「0」が書き込まれた状態になる。
上記したT1の期間の読み出し動作の後、一旦スタンバイ状態に戻す。その後、T2の期間において、第2セル領域のメモリセルにデータ「1」を再書き込みするための再書き込み動作を行う。このT2の期間では、選択WL(WL5)を0V、非選択WL(WL1〜4、6〜8)を2/3Vcc、T1の読み出し動作においてデータ「1」が読み出されたメモリセルに接続されたビット線BL4およびBL6(以下、「1」読み出しBLという)をVcc、T1の読み出し動作においてデータ「0」が読み出されたメモリセルに接続されたビット線BL1〜3、5、7および8(以下、「0」読み出しBLという)を1/3Vccにする。この場合、T2の期間であるT秒間において、以下の電位差が第1〜第4セル領域のメモリセルに印加される。
第1セル領域のメモリセルには、−1/3Vccの電位差が印加される。これにより、データ「0」を保持する第1セル領域のメモリセルには、残留分極量の劣化が生じる。また、第2セル領域のメモリセルには、−Vccの電位差が印加される。これにより、第2セル領域のメモリセルにデータ「1」が書き込まれるので、T1の期間の読み出し動作によって破壊されたデータ「1」の再書き込みが完了する。また、第3セル領域のメモリセルには、−1/3Vccの電位差が印加される。これにより、第3セル領域のメモリセルでは、データ「1」を保持していた場合には、残留分極量の回復が生じ、データ「0」を保持していた場合には、残留分極量の劣化が生じる。また、第4セル領域のメモリセルには、1/3Vccの電位差が印加される。これにより、第4セル領域のメモリセルでは、データ「1」を保持していた場合には、残留分極量の劣化が生じ、データ「0」を保持していた場合には、残留分極量の回復が生じる。
上記したように、第3実施形態による強誘電体メモリでは、駆動方法Cによる通常アクセス時の読み出し−再書き込み動作を通じて、非選択セルである第3セル領域のメモリセルがデータ「0」を保持している場合には、2回分の残留分極量の劣化が生じる。このため、駆動方法Cによる読み出し−再書き込み動作が繰り返されることにより、非選択セルである第3セル領域のメモリセルに残留分極量の劣化が蓄積される。
(2)書き込み動作
図28には、駆動方法Cによる通常アクセス時の書き込み動作を行う際のワード線WLおよびビット線BLに印加する電圧波形が示されている。次に、図26および図28を参照して、駆動方法Cによる通常アクセス時の書き込み動作について説明する。書き込み動作は、図28のT1の期間で行われる「0」書き込み動作と、T2の期間で行われる「1」書き込み動作とを通じて行われる。また、T1およびT2の期間は、共に、T秒間とする。また、T1およびT2の期間で行われる各動作は、連続して行ってもよいし、それぞれ独立して行ってもよい。以下に、書き込み動作における各動作について説明する。なお、スタンバイ状態では、ワード線WLおよびビット線BLは、共に、0Vになっているとする。
図28に示したT1の期間では、選択WL(WL5)に接続された全てのメモリセルに対して、一括してデータ「0」の書き込みを行う。まず、スタンバイ状態から、全てのビット線BLを0Vに維持した状態で、WL5のみをVccにする。このとき、第1および第2セル領域のメモリセル(選択セル)にはVccの電位差がT1の期間印加される。また、第3および第4セル領域のメモリセル(非選択セル)には電位差が生じない。
このT1の期間の経過後、WL5の電圧を0Vにしてスタンバイ状態に戻すことによって、一括「0」書き込み動作を完了する。このT1の期間において、データ「0」が保持されていた第1セル領域のメモリセルと、データ「1」が保持されていた第2セル領域のメモリセルとには、共にデータ「0」が書き込まれる。なお、第3および第4セル領域のメモリセル(非選択セル)には電位差が生じないため、残留分極量の変化は生じない。
次に、図28に示したT2の期間では、データ「1」の書き込みを行う。このT2の期間では、スタンバイ状態から、選択WL(WL5)を0V、非選択WL(WL1〜4、6〜8)を2/3Vcc、データ「1」を書き込むべきメモリセル(第2セル領域)が接続されたビット線BL4およびBL6(以下、「1」書き込みBLという)をVcc、データ「0」を書き込むべきメモリセル(第1セル領域)が接続されたビット線BL1〜3、5、7および8(以下、「0」書き込みBLという)を1/3Vccにする。この場合、T2の期間であるT秒間において、第1および第3セル領域のメモリセルには、−1/3Vcc、第2セル領域のメモリセルには−Vcc、第4セル領域のメモリセルには1/3Vccの電位差が印加される。
この時、非選択セル(第3および第4セル領域)に次のデータが保持されていた場合、残留分極量の劣化および回復が生じる。第3セル領域のメモリセルがデータ「1」を保持していた場合には、残留分極量の回復が生じ、データ「0」を保持していた場合には、残留分極量の劣化が生じる。また、第4セル領域のメモリセルがデータ「1」を保持していた場合には、残留分極量の劣化が生じ、データ「0」を保持していた場合には、残留分極量の回復が生じる。なお、選択セルである第1セル領域のメモリセルには、T1の期間の「0」書き込み動作の後に続けて、T2の期間の「1」書き込み動作を行う場合には、残留分極量の劣化が生じる。また、第1セル領域のメモリセルが元々データ「1」を保持していた場合には、残留分極量の回復が生じる。また、選択セルである第2セル領域のメモリセルには、データ「1」が書き込まれる。
上記したように、第3実施形態による強誘電体メモリでは、駆動方法Cによる通常アクセス時の書き込み動作によりデータ「1」を書き込む際に、非選択セルである第3セル領域のメモリセルがデータ「0」を保持していた場合には、残留分極量の劣化が生じ、非選択セルである第4セル領域のメモリセルがデータ「1」を保持していた場合には、残留分極量の劣化が生じる。このため、駆動方法Cによる通常アクセス時の書き込み動作が繰り返されることにより、非選択セルである第3セル領域のデータ「0」を保持しているメモリセルと、非選択セルである第4セル領域のデータ「1」を保持しているメモリセルとに残留分極量の劣化が蓄積される。
(駆動方法D:リフレッシュ動作)
図29は、第3実施形態の駆動方法Dによるリフレッシュ動作(読み出し−再書き込み動作)を説明するための電圧波形図である。以下、図26および図29を参照して、駆動方法Dによる読み出し−再書き込み動作(リフレッシュ動作)について説明する。
図29に示すように、読み出し−再書き込み動作(リフレッシュ動作)は、T1、T2およびT3の期間で行われる。T1〜T3の期間は、同じT秒である。また、T1〜T3の期間で行う各動作は、連続して行ってもよいし、それぞれ独立して行ってもよい。t1は、全てのビット線BLをフローティング状態にする期間を示しており、t1を開始するタイミングは、選択WLにVccを印加するタイミングと同じか、または、数nsec〜数十nsec程度早くても良い。なお、このt1の期間は、上記第1実施形態の駆動方法Bと同様、十分短い期間に設定されている。
以下に、T1〜T3の期間での各動作について説明する。なお、スタンバイ状態では、ワード線WLおよびビット線BLは0Vとする。
(1)読み出し動作(T1)
図29に示したT1の期間では、データの読み出しを行う。まず、スタンバイ状態から、全てのビット線BLをフローティング状態にし、同じタイミングかまたは数nsec〜数十nsec遅らせて選択WL(WL5)をVccにする。この状態で全ビット線BLの電位を検知することによって、データ「0」またはデータ「1」の判定を行う。このデータ「0」または「1」の判定は、上記第1実施形態による駆動方法Aと同様にして行う。このt1の期間において、第1セル領域〜第4セル領域(図26参照)のメモリセルには、以下の電位差が生じる。
すなわち、第1セル領域のメモリセルには、Vcc−Vr0(「0」データ読み出し電位)の電位差がt1の期間印加される。また、第2セル領域のメモリセルには、Vcc−Vr1(「1」データ読み出し電位)の電位差がt1の期間印加される。また、第3セル領域のメモリセルには、−Vr1の電位差がt1の期間印加される。また、第4セル領域のメモリセルには、−Vr0の電位差がt1の期間印加される。
上記したように、t1の期間は、十分短く設定されているので、t1の期間に非選択WLに接続された全てのメモリセル(第3および第4セル領域のメモリセル)に生じる残留分極量の劣化および回復は、後のT2およびT3の期間で行われる動作によって生じる残留分極量の劣化および回復と比較して実質的に無視することができる。
t1の期間の経過後、全てのビット線BLを0Vにする。この期間が、t1以外のT1の期間に相当し、各メモリセルアレイにおける電位差は、次のようになる。すなわち、第1および第2セル領域のメモリセル(選択セル)には、Vccの電位差がT1−t1の期間印加され、第3および第4セル領域のメモリセル(非選択セル)には、電位差が生じない。
このT1の期間の経過後、選択WLであるワード線WL5の電圧を0Vにしてスタンバイ状態に戻すことによって、読み出し動作を完了する。T1の期間において、第1セル領域および第2セル領域のメモリセル(選択セル)の分極変化は、それぞれ、次のようになる。すなわち、読み出し動作により、データ「0」が記憶されていた第1セル領域のメモリセルのデータは破壊されない。その一方、データ「1」が記憶されていた第2セル領域のメモリセルのデータ「1」は破壊されてデータ「0」が書き込まれた状態になる。従って、第2セル領域のメモリセルにデータ「1」を再書き込みする必要がある。第3実施形態では、この再書き込み動作をT2、T3の期間で行う。
(2)再書き込み動作(T2、T3)
スタンバイ状態から、図29に示したT2の期間において、選択WL(WL5)をVcc、非選択WL(WL1〜4、6〜8)を1/3Vcc、「1」読み出しBL(BL4およびBL6)を0V、「0」読み出しBL(BL1〜3、5、7、8)を2/3Vccにする。この場合、T2の期間であるT秒間において、次の電位差が第1〜第4セル領域のメモリセルに印加される。すなわち、第1セル領域および第3セル領域のメモリセルには1/3Vcc、第2セル領域のメモリセルにはVcc、第4セル領域のメモリセルには−1/3Vccの電位差が印加される。
このT2の期間の経過後、図29に示すように、再びスタンバイ状態に戻す。なお、T2の期間において、第1〜第4セル領域のメモリセルの分極変化は、それぞれ次のようになる。第1セル領域のメモリセルは、T2の期間、1/3Vccの電位差が印加されるため、残留分極量が回復される。また、T1の期間でデータ「0」が書き込まれた第2セル領域のメモリセルには、T2の期間、Vccの電位差が印加されるため、再びデータ「0」が書き込まれる。第3および第4セル領域のメモリセル(非選択セル)は、記憶しているデータの内容によって、残留分極量の回復または劣化が生じる。具体的には、第3セル領域のメモリセルが「0」を保持していた場合、残留分極量の回復が生じ、「1」を保持していた場合、残留分極量の劣化が生じる。また、第4セル領域のメモリセルが「0」を保持していた場合、残留分極量の劣化が生じ、「1」を保持していた場合、残留分極量の回復が生じる。
次に、スタンバイ状態から、図29に示したT3の期間において、選択WL(WL5)を0V、非選択WL(WL1〜4、6〜8)を2/3Vcc、「1」読み出しBL(BL4およびBL6)をVcc、「0」読み出しBL(BL1〜3、5、7、8)を1/3Vccにする。この場合、T3の期間であるT秒間において、次の電位差が第1〜第4セル領域のメモリセルに印加される。すなわち、第1セル領域および第3セル領域のメモリセルには−1/3Vcc、第2セル領域のメモリセルには−Vcc、第4セル領域のメモリセルには1/3Vccの電位差が印加される。
T3の期間の経過後、図29に示すように、再びスタンバイ状態に戻し、一連の読み出し−再書き込み動作が終了する。T3の期間において、第1〜第4セル領域のメモリセルの分極変化は、それぞれ、次のようになる。第1セル領域のメモリセルは、T3の期間−1/3Vccの電位差が印加されるため、残留分極量が劣化する。また、第2セル領域のメモリセルには、T3の期間−Vccの電位差が印加され、データ「1」が書き込まれる。これにより、読み出し動作によって破壊されたデータ「1」の再書き込みが完了する。第3および第4セル領域のメモリセル(非選択セル)では、T2の期間と同様、記憶しているデータの内容によって、残留分極量の回復または劣化が生じる。具体的には、第3セル領域のメモリセルが「0」を保持していた場合、残留分極量の劣化が生じ、「1」を保持していた場合、残留分極量の回復が生じる。また、第4セル領域のメモリセルが「0」を保持していた場合、残留分極量の回復が生じ、「1」を保持していた場合、残留分極量の劣化が生じる。
すなわち、第3実施形態による駆動方法Dを用いたリフレッシュ動作では、読み出し−再書き込み動作を通じて、選択WL(WL5)に接続されているメモリセルのうち、データ「1」を保持していたメモリセル以外の全てのメモリセル(第1および第3および第4セル領域のメモリセル)で残留分極量の回復と劣化とが、必ず1回ずつ生じる。従って、読み出し−再書き込み動作を繰り返すことで、残留分極量が劣化し続けるメモリセルは存在しない。
第3実施形態による駆動方法Dを用いたリフレッシュ動作では、上記のように、読み出しおよび再書き込み動作を通じて、選択WL(WL5)に接続されているメモリセルのうち「1」を保持していたメモリセル以外の全てのメモリセル(第1、第3および第4セル領域のメモリセル)に互いに逆方向の電圧(±1/3Vcc)が1回ずつ印加されるので、読み出し動作時の分極劣化を抑制することができる。これにより、全ての非選択セル(第3および第4セル領域のメモリセル)および選択セルのうちデータ「0」を保持していた第1セル領域のメモリセルのデータが消失するディスターブ現象を抑制することができる。
図30は、リフレッシュ動作を行う単純マトリックス方式のメモリセルの等価回路図である。図31は、第3実施形態によるメモリセルのリフレッシュ動作前の残留分極量を示したヒステリシス図である。図32は、第3実施形態によるメモリセルの1回目のリフレッシュ動作に伴う残留分極量の変化を示したヒステリシス図であり、図33は、第3実施形態によるメモリセルの2回目のリフレッシュ動作に伴う残留分極量の変化を示したヒステリシス図である。次に、図30〜図33を参照して、第3実施形態による強誘電体メモリの駆動方法Dを用いたリフレッシュ動作に伴うメモリセルの残留分極量の変化について説明する。
この第3実施形態による駆動方法Dを用いたリフレッシュ動作では、各々のワード線WL毎に、そのワード線WLに繋がる全てのメモリセルを一括してリフレッシュさせる。具体的には、図30に示すように、まず、ワード線WL1に繋がる{WL1、BL1}、{WL1、BL2}、{WL1、BL3}、…{WL1、BL2n−1}、{WL1、BL2n}のメモリセルに対して、一括してリフレッシュ動作を行う。その後、ワード線WL2に繋がる{WL2、BL1}、{WL2、BL2}、{WL2、BL3}、…{WL2、BL2n−1}、{WL2、BL2n}のメモリセルに対して、一括してリフレッシュ動作を行う。この後、同様に、ワード線WL3〜WLnに繋がるメモリセルに対して、順番に、ワード線WL毎に一括してリフレッシュ動作を行う。これにより、全てのメモリセルに対してリフレッシュ動作を行う。
次に、図31のように残留分極量が劣化した{WL1、BL2n−1}、{WL1、BL2n}、{WL2、BL2n−1}および{WL2、BL2n}のリフレッシュ動作前のメモリセルに対して、駆動方法Dを用いて2回のリフレッシュ動作を行った場合の各メモリセルの残留分極量の変化について説明する。なお、リフレッシュ動作前の状態において、{WL1、BL2n−1}のメモリセルは、データ「1」を保持しており、{WL1、BL2n}のメモリセルは、データ「0」を保持している。また、{WL2、BL2n−1}のメモリセルは、データ「0」を保持しており、{WL2、BL2n}のメモリセルは、データ「1」を保持している。
まず、1回目のリフレッシュ動作では、ワード線WL1を選択WLとして駆動方法Dを用いてリフレッシュ動作を行う。1回目のリフレッシュ動作のT1(t1以外の期間)〜T3の各期間において、{WL1、BL2n−1}のメモリセル(選択セル)には、図32に示すように、それぞれ、Vcc、Vccおよび−Vccの電位差が印加される。これにより、1回目のリフレッシュ動作後には、{WL1、BL2n−1}のメモリセル(選択セル)の残留分極量はデータ「1」書き込み動作直後の状態まで回復される。また、1回目のリフレッシュ動作のT1(t1以外の期間)〜T3の各期間において、{WL1、BL2n}のメモリセル(選択セル)には、それぞれ、Vcc、1/3Vccおよび−1/3Vccの電位差が印加される。これにより、{WL1、BL2n}のメモリセル(選択セル)では、T1の期間(t1以外の期間)に印加されるVccの電位差によって、一旦データ「0」書き込み動作直後の状態まで残留分極量が回復される。そして、T2の期間において、ヒステリシス曲線に沿って1/3Vccの電位差に対応する残留分極量に移動した後、T2の期間後にスタンバイ状態に戻ることによって、データ「0」書き込み動作直後の残留分極量まで戻る。この後、T3の期間において1回の−1/3Vcc分の残留分極量の劣化が生じる。このため、1回目のリフレッシュ動作後の{WL1、BL2n}のメモリセル(選択セル)は、データ「0」書き込み動作直後の残留分極量から1回の−1/3Vcc分の残留分極量の劣化が生じた状態になる。
また、1回目のリフレッシュ動作のT1(t1以外の期間)〜T3の各期間において、{WL2、BL2n−1}のメモリセル(非選択セル)には、それぞれ、0V、−1/3Vccおよび1/3Vccの電位差が印加される。これにより、{WL2、BL2n−1}のメモリセル(非選択セル)では、T1の期間(t1以外の期間)において残留分極量は変化しない。そして、T2の期間において残留分極量の劣化が生じるとともに、T3の期間において残留分極量の回復が生じる。このようにT2およびT3の期間において残留分極量の劣化と回復とが1回ずつ生じるので、T3の期間後の残留分極量は、T1(t1以外の期間)の期間後の残留分極量と同じ状態になる。このため、1回目のリフレッシュ動作後の{WL2、BL2n−1}のメモリセル(非選択セル)では、リフレッシュ動作前(図31参照)と同じ残留分極量が保持される。
また、1回目のリフレッシュ動作のT1(t1以外の期間)〜T3の各期間において、{WL2、BL2n}のメモリセル(非選択セル)には、それぞれ、0V、1/3Vccおよび−1/3Vccの電位差が印加される。これにより、{WL2、BL2n}のメモリセル(非選択セル)では、T1の期間(t1以外の期間)において残留分極量は変化しない。そして、T2の期間において残留分極量の劣化が生じるとともに、T3の期間において残留分極量の回復が生じる。このようにT2およびT3の期間において残留分極量の劣化と回復とが1回ずつ生じるので、T3の期間後の残留分極量は、T1(t1以外の期間)の期間後の残留分極量と同じ状態になる。このため、1回目のリフレッシュ動作後の{WL2、BL2n}のメモリセル(非選択セル)では、リフレッシュ動作前(図31参照)と同じ残留分極量が保持される。
次に、ワード線WL2を選択WLとして、駆動方法Dを用いて2回目のリフレッシュ動作を行う。2回目のリフレッシュ動作のT1(t1以外の期間)〜T3の各期間において、{WL2、BL2n}のメモリセル(選択セル)には、図33に示すように、それぞれ、Vcc、Vccおよび−Vccの電位差が印加される。これにより、1回目のリフレッシュ動作後には、{WL2、BL2n}のメモリセル(選択セル)はデータ「1」書き込み動作直後の残留分極量まで回復される。
また、2回目のリフレッシュ動作のT1(t1以外の期間)〜T3の各期間において、{WL2、BL2n−1}のメモリセル(選択セル)には、それぞれ、Vcc、1/3Vccおよび−1/3Vccの電位差が印加される。これにより、{WL2、BL2n−1}のメモリセル(選択セル)は、T1の期間(t1以外の期間)に印加されるVccの電位差によって、一旦データ「0」書き込み動作直後の残留分極量まで回復される。そして、T2の期間において、ヒステリシス曲線に沿って1/3Vccの電位差に対応する残留分極量に移動した後、T2の期間後にスタンバイ状態に戻ることによって、データ「0」書き込み動作直後の残留分極量まで戻る。この後、T3の期間において1回の−1/3Vcc分の残留分極量の劣化が生じる。このため、2回目のリフレッシュ動作後の{WL2、BL2n−1}のメモリセル(選択セル)は、データ「0」書き込み動作直後の残留分極量から1回の−1/3Vcc分の残留分極量の劣化が生じた状態になる。
また、2回目のリフレッシュ動作のT1(t1以外の期間)〜T3の各期間において、{WL1、BL2n−1}のメモリセル(非選択セル)には、それぞれ、0V、1/3Vccおよび−1/3Vccの電位差が印加される。これにより、{WL1、BL2n−1}のメモリセル(非選択セル)では、T1の期間(t1以外の期間)において残留分極量は変化しない。そして、T2の期間において、残留分極量の劣化が生じるとともに、T3の期間において残留分極量の回復が生じる。このようにT2およびT3の期間において、残留分極量の劣化および回復が1回ずつ生じるので、2回目のリフレッシュ動作後の{WL1、BL2n−1}のメモリセル(非選択セル)は、1回目のリフレッシュ動作後(図32参照)と同じデータ「1」書き込み動作直後の残留分極量が保持される。
また、2回目のリフレッシュ動作のT1(t1以外の期間)〜T3の各期間において、{WL1、BL2n}のメモリセル(非選択セル)には、それぞれ、0V、−1/3Vccおよび1/3Vccの電位差が印加される。これにより、{WL1、BL2n}のメモリセル(非選択セル)では、T1の期間(t1以外の期間)において残留分極量は変化しない。そして、T2の期間において残留分極量の劣化が生じるとともに、T3の期間において残留分極量の回復が生じる。このようにT2およびT3の期間において残留分極量の劣化と回復とが1回ずつ生じるので、T3の期間後の残留分極量は、T1(t1以外の期間)の期間後の残留分極量と同じ状態になる。このため、2回目のリフレッシュ動作後の{WL1、BL2n}のメモリセル(非選択セル)では、1回目のリフレッシュ動作後(図32参照)と同じ残留分極量が保持される。
上記したように、駆動方法Dによる1回目および2回目のリフレッシュ動作によって、残留分極量が劣化した{WL1、BL2n−1}、{WL1、BL2n}、{WL2、BL2n−1}および{WL2、BL2n}のメモリセルを、データの書き込み動作が行われた直後の残留分極量(データ「0」または「1」書き込み動作直後の残留分極量)、または、1回の−1/3Vcc(1/3Vcc)分の残留分極量の劣化が発生した状態に回復させることができる。また、一度リフレッシュ動作が行われたメモリセル({WL1、BL2n−1}および{WL1、BL2n})では、その後のリフレッシュ動作(2回目のリフレッシュ動作)において1回の−1/3Vcc分以上の残留分極量の劣化は発生しない。なお、1回の−1/3Vcc分の残留分極量の劣化が発生したとしても、この程度の劣化が発生した残留分極量は、リードアンプ29(図24参照)によってデータの判別が可能な残留分極量であるので、実質上、データの消失が発生するなどの問題が生じることはない。また、任意のワード線WLに繋がるメモリセル(たとえば、図32の{WL1、BL2n−1}および{WL1、BL2n})に対してリフレッシュ動作を行っている間に、それ以外のメモリセルの内、リフレッシュ動作がまだ行われていないメモリセル(たとえば、図32の{WL2、BL2n−1}および{WL2、BL2n})では、残留分極量の劣化は進行しない。
第3実施形態では、上記のように、駆動方法Cを用いて選択セル(第1および第2セル領域のメモリセル)に対してアクセスすることにより非選択セル(第3および第4セル領域のメモリセル)に残留分極量の劣化が発生した後、全てのメモリセルに対して駆動方法Dを用いてワード線WL毎に一括してリフレッシュ動作を行うことにより、残留分極量の劣化が発生したメモリセルを含む全てのメモリセルをデータ「0」または「1」書き込み直後の残留分極量、または、1回の−1/3Vcc(1/3Vcc)分の残留分極量の劣化が発生した状態に回復させることができるので、残留分極量の劣化が発生することに起因してメモリセルのデータが消失するディスターブ現象を抑制することができる。
また、第3実施形態では、駆動方法Dによるリフレッシュ動作を、駆動方法Cによる通常アクセス毎に行うのではなく、所定のアクセス回数後に任意のメモリセルに残留分極量の劣化が蓄積した後に行うことによって、リフレッシュ動作をアクセス毎に行う場合に比べて、リフレッシュ動作の動作時間を大幅に低減することができる。これにより、リフレッシュ動作を行った場合にも強誘電体メモリの動作数が増大するのを抑制することができる。
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について説明する。この第4実施形態では、リフレッシュ動作を行うまでの読み出し−再書き込み動作(通常アクセス)の合計の動作数とリフレッシュ動作を行うメモリセルが繋がるワード線WLの数との関係により、上記第3実施形態による駆動方法(駆動方法Cにより所定回数の通常アクセスを行った後、駆動方法Dを用いてリフレッシュ動作を行う駆動方法)を用いる場合の方が、駆動方法Dのみによる駆動方法を用いる場合よりも適した条件について説明する。
まず、上記第3実施形態による駆動方法において、リフレッシュ動作(駆動方法D)を行うまでの読み出し−再書き込み動作(駆動方法C)の合計の動作数をM、リフレッシュ動作を行うメモリセルが繋がるワード線WLの数をNとする。そして、以下の条件1において、上記第3実施形態による駆動方法を用いる場合と駆動方法Dのみを用いる場合との各々の動作数(メモリセルの充放電回数)を計算する。そして、第3実施形態による駆動方法を用いる場合の動作数と、駆動方法Dのみを用いる場合の動作数とを比較することにより、どちらがサイクルタイム(動作時間)および消費電力をより低減することができるかについて検討する。なお、上記駆動方法CおよびDのT1〜T3の各期間(図27および図29参照)の動作が、それぞれ、1回の動作数に相当するものとする。
(条件1)
この条件1では、読み出し−再書き込み動作のみを連続して行った後、リフレッシュ動作を行う。この条件1において、第3実施形態による動作数と駆動方法Dのみを用いる場合の動作数とは、それぞれ、以下のようになる。
第3実施形態による動作数=M×2+N×3
駆動方法Dのみを用いる場合の動作数=M×3
したがって、この条件1では、N<M/3のとき、第3実施形態による動作数が駆動方法Dのみを用いる場合の動作数に比べて小さくなる。
上記の結果から、N<M/3の場合には、第3実施形態による駆動方法を用いることによって、駆動方法Dのみを用いる場合に比べて、強誘電体メモリの動作数を低減しやすいことが分かる。したがって、第4実施形態では、N<M/3の場合において、第3実施形態による駆動方法を用いて強誘電体メモリの駆動を行うことにより、サイクルタイムおよび消費電力の低減を実現することが可能である。なお、N>M/3の場合には、駆動方法Dのみを用いる方が、第3実施形態による駆動方法を用いる場合に比べて、動作数が少なくなるので、この場合には、駆動方法Dのみを用いて強誘電体メモリを駆動させてもよい。
(第5実施形態)
図34は、本発明の第5実施形態による強誘電体メモリの全体構成を示したブロック図である。この第5実施形態では、上記第1実施形態によるランダムアクセス方式の強誘電体メモリにおいて、非選択セルに±1/3Vccの代わりに±1/2Vccの電位差を印加する場合の例について説明する。具体的には、この第5実施形態による強誘電体メモリでは、図34に示すように、図1に示した第1実施形態による強誘電体メモリの1/3Vcc・2/3Vcc生成回路11を、1/2Vcc生成回路41に置き換えている。これにより、非選択ワード線WL(非選択WL)および非選択ビット線BL(非選択BL)には、1/2Vccの電圧を印加可能である。第5実施形態による強誘電体メモリのその他の構成は、図1に示した第1実施形態による強誘電体メモリの構成と同様である。
この第5実施形態では、ワード線WLおよびビット線BLに印加する電圧は、0V、1/2Vcc、Vccの3種類であるので、上記第1および第2実施形態においてワード線WLおよびビット線BLに印加する4種類の電圧(0V、1/3Vcc、2/3VccおよびVcc)に比べて、1種類少ない。これにより、第5実施形態では、上記第1および第2実施形態に比べて、電圧生成回路(1/2Vcc生成回路41)および制御回路系を簡素化することができる。
次に、図3および図34〜図38を参照して、第5実施形態による強誘電体メモリにおける読み出し−再書き込み動作および書き込み動作について説明する。
第5実施形態による強誘電体メモリの読み出し−再書き込み動作および書き込み動作は、非選択WLおよび非選択BLに1/3Vccおよび2/3Vccを印加する代わりに、1/2Vccを印加すること以外は、上記第1実施形態による動作と同様である。また、この第5実施形態では、2つの駆動方法(駆動方法Eおよび駆動方法F)を用いて強誘電体メモリの動作を行う。ここで、駆動方法Eは、必要な動作数は少なくなる一方、読み出し−再書き込み動作または書き込み動作時に非選択セルの残留分極量が劣化する場合がある駆動方法である。また、駆動方法Fは、駆動方法Eに比べて必要な動作数は多くなる一方、非選択セルにデータの判別が不可能になるような大きな残留分極量の劣化は発生しない駆動方法である。
この第5実施形態では、通常のアクセス時には、駆動方法Eを用いて読み出し−再書き込み動作および書き込み動作を行うとともに、所定の回数の通常アクセス後、駆動方法Fを用いて、駆動方法Eにより蓄積されたメモリセルの残留分極量の劣化を回復させるためのリフレッシュ動作(回復動作)を行う。また、第5実施形態では、上記第1実施形態と同様、カウンタ8(図34参照)を用いて駆動方法Eによる通常のアクセス回数を計数するとともに、カウンタ8によって計数された所定のアクセス回数毎にリフレッシュ動作を行う。以下、通常のアクセスに用いる駆動方法Eおよびリフレッシュ動作に用いる駆動方法Fについて説明する。
(駆動方法E:通常アクセス動作)
(1)読み出し−再書き込み動作
図35および図36は、第5実施形態の駆動方法Eによる通常アクセス時の読み出し−再書き込み動作を説明するための電圧波形図である。図35に示すT1、T2および図36に示すT1の各動作の時間は、それぞれ、同じ時間(T秒)とする。まず、図3、図35および図36を参照して、駆動方法Eによる読み出し−再書き込み動作について説明する。
図35および図36に示したT1の期間では、読み出し動作を行う。まず、スタンバイ状態では、ワード線WLおよびビット線BLは、共に、0Vになっている。そして、スタンバイ状態から、選択BLをフローティング状態にする。同じタイミングで、選択WLをVccにするとともに、非選択WLおよび非選択BLを共に1/2Vccにする。この状態で、選択BLの電位差を検知することによって、データ「0」またはデータ「1」の判定を行う。さらに、データ「0」または「1」の判定終了後、選択BLを再び0Vに戻す。なお、T1の期間をT秒間とし、選択BLがフローティング状態になっている時間をt1とする。このt1秒は、上記第1実施形態の駆動方法Bと同様、十分短く設定されているものとする。
この場合、T1の期間の読み出し動作では、図3に示した選択WLと非選択BLとの交点に位置する非選択セルである第1セルには、1/2Vccの電位差がT秒間印加される。また、非選択WLと選択BLとの交点に位置する非選択セルである第2セルには、1/2Vcc−選択BLの電位(フローティング電位)の電位差がt1秒間印加されるとともに、1/2Vccの電位差がT−t1秒間印加される。また、非選択WLと非選択BLとの交点に位置する非選択セルである第3セルには、0Vの電位差がT秒間印加される。また、選択WLと選択BLとの交点に位置する選択セルである第4セルには、Vcc−選択BLの電位(フローティング電位)の電位差がt1秒間印加されるとともに、Vccの電位差がT−t1秒間印加される。
この時、非選択セル(第1セル〜第3セル)に次のデータが保持されていた場合、残留分極量の劣化および回復が生じる。非選択セルである第1セルに、データ「1」が保持されている場合には、残留分極量の劣化が生じ、データ「0」が保持されている場合には、残留分極量の回復が生じる。また、非選択セルである第2セルに、データ「1」が保持されている場合には、残留分極量の劣化が生じ、データ「0」が保持されている場合には、残留分極量の回復が生じる。また、非選択セルである第3セルでは、残留分極量の劣化および回復のどちらも生じない。なお、選択セルである第4セルにデータ「1」が保持されている場合には、残留分極量の劣化が生じ、データ「0」が保持されている場合には、データ「0」の残留分極量が保持される。
上記したT1の期間の読み出し動作の後、一旦スタンバイ状態に戻す。その後、上記読み出し動作において、選択セルからデータ「1」が読み出された場合には、図35に示すように、T2の期間において、選択WLを0V、非選択WLを1/2Vcc、選択BLをVcc、非選択BLを1/2Vccにすることによってデータ「1」の再書き込み動作を行う。この場合、T2の期間において、以下の電位差が第1セル〜第4セルに印加される。すなわち、非選択セルである第1セル、第2セルおよび第3セルには、それぞれ、−1/2Vcc、−1/2Vccおよび0Vの電位差が印加される。これにより、非選択セルである第1セルに、データ「1」が保持されている場合には、残留分極量の回復が生じ、データ「0」が保持されている場合には、残留分極量の劣化が生じる。また、非選択セルである第2セルに、データ「1」が保持されている場合には、残留分極量の回復が生じ、データ「0」が保持されている場合には、残留分極量の劣化が生じる。また、非選択セルである第3セルでは、残留分極量の劣化および回復のどちらも生じない。また、選択セルである第4セルでは、−Vccの電位差が印加されることにより、データ「1」の再書き込み動作が完了する。
一方、上記読み出し動作において、選択セル(第4セル)からデータ「0」が読み出された場合には、上記したようにT1の期間において、選択セルのデータ「0」の残留分極量が保持されるので、図36に示すように、T1以降の期間において再書き込み動作を行わない。これにより、非選択セルである第1〜第3セルでは、T1の期間の読み出し動作によって生じた残留分極量の劣化および回復が保持される。
駆動方法Eによる通常アクセス時の読み出し−再書き込み動作では、上記のように、選択セルからデータ「1」が読み出された場合には、非選択セルである第1および第2セルには、残留分極量の劣化と回復とが1回ずつ生じるので、残留分極量は変化しない。また、非選択セルである第3セルでは、残留分極量の劣化および回復のどちらも生じないので、残留分極量は変化しない。その一方で、選択セルからデータ「0」が読み出された場合には、非選択セルである第1セルにデータ「1」が保持されている場合と、非選択セルである第2セルにデータ「1」が保持されている場合とに、それぞれ、残留分極量の劣化が生じる。したがって、駆動方法Eを用いてデータ「0」の読み出し動作を繰り返すことによって、データ「1」を保持している第1セルと、データ「1」を保持している第2セルとに残留分極量の劣化が蓄積される。
図37は、第5実施形態の駆動方法Eによる通常アクセス時の書き込み動作を説明するための電圧波形図である。図3および図37を参照して、駆動方法Eによる書き込み動作について説明する。
(2)書き込み動作
まず、スタンバイ状態では、ワード線WLおよびビット線BLは、共に、0Vになっている。そして、選択セルにデータ「0」を書き込む時には、T1の期間において選択WL、選択BL、非選択WLおよび非選択BLに、それぞれ、Vcc、0V、1/2Vccおよび1/2Vccを印加する。これにより、T1の期間の「0」書き込み動作において、第1セル〜第4セル(図3参照)には、以下の電位差が印加される。
すなわち、T1の期間の「0」書き込み動作では、非選択セルである第1セルには、1/2Vccの電位差が印加される。また、非選択セルである第2セルには、1/2Vccの電位差が印加される。また、非選択セルである第3セルには、0Vの電位差が印加される。また、選択セルである第4セルには、Vccの電位差が印加される。これにより、第4セルにはデータ「0」が書き込まれる。
この時、非選択セル(第1〜第3セル)に次のデータが保持されていた場合、残留分極量の劣化および回復が生じる。すなわち、非選択セルである第1セルに、データ「1」が保持されている場合には、残留分極量の劣化が生じ、データ「0」が保持されている場合には、残留分極量の回復が生じる。また、非選択セルである第2セルに、データ「1」が保持されている場合には、残留分極量の劣化が生じ、データ「0」が保持されている場合には、残留分極量の回復が生じる。また、非選択セルである第3セルでは、残留分極量の劣化および回復のどちらも生じない。
次に、選択セルにデータ「1」を書き込む場合には、図37の期間T2に示すように、スタンバイ状態から、選択WL、選択BL、非選択WLおよび非選択BLにそれぞれ、0V、Vcc、1/2Vccおよび1/2Vccを印加する。これにより、T2の期間の「1」書き込み動作において、第1セル〜第4セル(図3参照)には、以下の電位差が印加される。
すなわち、T2の期間の「1」書き込み動作では、非選択セルである第1セルには、−1/2Vccの電位差が印加される。また、非選択セルである第2セルには、−1/2Vccの電位差が印加される。また、非選択セルである第3セルには、0Vの電位差が印加される。また、選択セルである第4セルには、−Vccの電位差が印加される。これにより、第4セルにはデータ「1」が書き込まれる。
この時、非選択セル(第1〜第3セル)に次のデータが保持されていた場合、残留分極量の劣化および回復が生じる。すなわち、非選択セルである第1セルに、データ「1」が保持されている場合には、残留分極量の回復が生じ、データ「0」が保持されている場合には、残留分極量の劣化が生じる。また、非選択セルである第2セルに、データ「1」が保持されている場合には、残留分極量の回復が生じ、データ「0」が保持されている場合には、残留分極量の劣化が生じる。また、非選択セルである第3セルでは、残留分極量の劣化および回復のどちらも生じない。
駆動方法Eによる通常アクセス時の書き込み動作では、上記のように、データ「0」書き込み動作において、非選択セルである第1セルがデータ「1」を保持している場合、および、非選択セルである第2セルがデータ「1」を保持している場合には、残留分極量の劣化が生じる。また、データ「1」書き込み動作において、非選択セルである第1セルがデータ「0」を保持している場合、および、非選択セルである第2セルがデータ「0」を保持している場合に残留分極量の劣化が生じる。したがって、駆動方法Eを用いてデータ「0」の書き込みのみを繰り返すような場合には、データ「1」を保持している第1セルおよび第2セルに残留分極量の劣化が蓄積される。また、駆動方法Eを用いてデータ「1」の書き込みのみを繰り返すような場合には、データ「0」を保持している第1セルおよび第2セルに残留分極量の劣化が蓄積される。ただし、データ「0」の書き込み動作とデータ「1」の書き込み動作とを同じ回数ずつ交互に行えば、それに応じて第1および第2セルに残留分極量の劣化および回復が同じ回数ずつ生じるので、残留分極量の劣化は蓄積されない。
(駆動方法F:リフレッシュ動作)
図38は、第5実施形態の駆動方法Fによるリフレッシュ動作(読み出し−再書き込み動作)を説明するための電圧波形図である。以下、図38を参照して、駆動方法Fによる読み出し−再書き込み動作について説明する。
(1)読み出し動作(T1)
図38に示したT1の期間では、読み出し動作を行う。まず、スタンバイ状態(0V)から、選択BLをフローティング状態にする。同じタイミングで、選択WLをVcc、非選択WLを1/2Vcc、非選択BLを1/2Vccにする。この状態で、選択BLの電位を検知することによって、データ「0」またはデータ「1」の判定を行う。このデータ「0」または「1」の判定は、上記第1実施形態と同様にして行う。さらに、データ「0」または「1」の判定終了後、選択BLを再び0Vに戻す。なお、T1の期間をT秒間とし、選択BLがフローティング状態になっている時間をt1秒とする。なお、選択BLがフローティング状態になっているt1秒間は、上記第1実施形態と同様、十分短い時間に設定されているものとする。
この場合、非選択セルである第1セルには、1/2Vccの電位差がT秒間印加される。また、非選択セルである第2セルには、1/2Vcc−選択BLの電位(フローティング電位)がt1秒間印加されるとともに、1/2Vccの電位差がT−t1秒間印加される。また、非選択セルである第3セルには、0Vの電位差がT秒間印加される。また、選択セルである第4セルには、Vcc−選択BLの電位(フローティング電位)の電位差がt1秒間印加された後、Vccの電位差がT−t1秒間印加される。
上記したように、選択BLがフローティング状態になっているt1秒間は十分短い時間に設定されているので、T1の期間の読み出し動作では、以下のように残留分極量が変化する。すなわち、非選択セルである第1セルでは、データ「1」が保持されている場合には、残留分極量の劣化が生じ、データ「0」が保持されている場合には、残留分極量の回復が生じる。また、非選択セルである第2セルでは、データ「1」が保持されている場合には、残留分極量の劣化が生じ、データ「0」が保持されている場合には、残留分極量の回復が生じる。また、非選択セルである第3セルでは、残留分極量の劣化および回復のどちらも生じない。また、選択セルである第4セルでは、データ「1」が保持されている場合には、残留分極量の劣化が生じ、データ「0」が保持されている場合には、データ「0」の残留分極量が保持される。
(2)データ「1」再書き込み動作(T2)
上記したT1の期間の読み出し動作の後、一旦スタンバイ状態に戻す。その後、T2の期間において、選択WLを0V、非選択WLを1/2Vcc、選択BLをVcc、非選択BLを1/2Vccにする。この場合、T2の期間では、以下の電位差が第1セル〜第4セルに印加される。すなわち、非選択セルである第1セル、第2セルおよび第3セルには、それぞれ、−1/2Vcc、−1/2Vccおよび0VがT秒間印加される。これにより、非選択セルである第1セルに、データ「1」が保持されている場合には、残留分極量の回復が生じ、データ「0」が保持されている場合には、残留分極量の劣化が生じる。また、非選択セルである第2セルに、データ「1」が保持されている場合には、残留分極量の回復が生じ、データ「0」が保持されている場合には、残留分極量の劣化が生じる。また、非選択セルである第3セルでは、残留分極量の劣化および回復のどちらも生じない。また、選択セルである第4セルでは、−Vccの電位差がT秒間印加される。このため、T1の期間の読み出し動作でデータ「1」が読み出された場合、このT2の期間の動作により、データ「1」の再書き込み動作が完了するので、この時点で読み出し−再書き込み動作を終了させる。
(3)データ「0」再書き込みのための補償動作(T3)
上記したT2の期間のデータ「1」再書き込み動作の後、一旦スタンバイ状態に戻す。その後、T3の期間において、選択WLを0V、非選択WLを1/2Vcc、選択BLをVcc、非選択BLを1/2Vccにする。この場合、第1セル〜第4セルには、次の電位差がT秒間印加される。具体的には、非選択セルである第1セル、第2セルおよび第3セルには、それぞれ、−1/2Vcc、−1/2Vccおよび0Vの電位差がT秒間印加される。また、選択セルである第4セルには、−Vccの電位差がT秒間印加される。この電位差の印加によって、非選択セルである第1セルでは、データ「1」が保持されている場合には、残留分極量の回復が生じ、データ「0」が保持されている場合には、残留分極量の劣化が生じる。また、非選択セルである第2セルでは、データ「1」が保持されている場合には、残留分極量の回復が生じ、データ「0」が保持されている場合には、残留分極量の劣化が生じる。また、非選択セルである第3セルでは、残留分極量の劣化および回復のどちらも生じない。また、選択セルである第4セルでは、上記T2の期間の動作により保持するデータは「1」になっているが、再度データ「1」を書き込む状態となる。
(4)データ「0」再書き込み動作(T4)
上記T3の期間のデータ「0」再書き込みのための補償動作の後、一旦スタンバイ状態に戻す。その後、T4の期間において、選択WLをVcc、非選択WLを1/2Vcc、選択BLを0V、非選択BLを1/2Vccにする。これにより、非選択セルである第1セル、第2セルおよび第3セルには、それぞれ、1/2Vcc、1/2Vcc、0Vの電位差がT秒間印加される。また、選択セルである第4セルには、Vccの電位差がT秒間印加される。これにより、非選択セルである第1セルでは、データ「1」が保持されている場合には、残留分極量の劣化が生じ、データ「0」が保持されている場合には、残留分極量の回復が生じる。また、非選択セルである第2セルでは、データ「1」が保持されている場合には、残留分極量の劣化が生じ、データ「0」が保持されている場合には、残留分極量の回復が生じる。また、非選択セルである第3セルでは、残留分極量の劣化および回復のどちらも生じない。また、選択セルである第4セルでは、Vccの電位差が印加されるため、データ「0」が再書き込みされた状態となる。このT4の期間の動作によって、一連の読み出し−再書き込み動作を終了する。
この第5実施形態による駆動方法Fを用いたリフレッシュ動作では、読み出し−再書き込み動作において、データ「1」が読み出された場合にはT2の期間の動作まで進み、データ「0」が読み出された場合にはT4の期間の動作まで進む。その後、それぞれ次回の読み出しおよび再書き込み動作に移る。この第5実施形態による駆動方法Fでは、データ「1」が読み出された場合およびデータ「0」が読み出された場合の両方の場合において、残留分極量の劣化の回数と残留分極量の回復の回数とが等しくなるか、または、残留分極量の劣化および回復のどちらも生じない。したがって、読み出し−再書き込み動作を繰り返し行ったとしても、非選択セルにおいて残留分極量の劣化が蓄積されていくことはないので、最終的に保持しているデータが消失することはない。
すなわち、第5実施形態による駆動方法Fを用いたリフレッシュ動作では、読み出し−再書き込み動作を通じて、非選択セルのディスターブによる残留分極量の劣化を打ち消す方向に、非選択セルのうち第1セルには、±1/2Vccを交互に印加するとともに、非選択セルのうち第2セルには、1/2Vcc−選択ビット線の電位、および、1/2Vccと、−1/2Vccとを交互に印加し、さらに非選択セルのうち第3セルには、0Vを印加することによって、残留分極量の劣化による非選択セルのデータの消失を有効に抑制することができる。
図39は、リフレッシュ動作を行う単純マトリックス方式のメモリセルの等価回路図である。図40は、第5実施形態によるメモリセルのリフレッシュ動作前の残留分極量を示したヒステリシス図である。図41は、第5実施形態によるメモリセルの1回目のリフレッシュ動作に伴う残留分極量の変化を示したヒステリシス図であり、図42は、第5実施形態によるメモリセルの2回目のリフレッシュ動作に伴う残留分極量の変化を示したヒステリシス図である。図43は、第5実施形態によるメモリセルの3回目のリフレッシュ動作に伴う残留分極量の変化を示したヒステリシス図である。次に、図39〜図43を参照して、第5実施形態による強誘電体メモリの駆動方法Fによるリフレッシュ動作に伴うメモリセルの残留分極量の変化について説明する。
この第5実施形態では、上記第1実施形態と同様、リフレッシュ動作をワード線WL毎に行う。具体的には、図39に示すように、まず、ワード線WL1に繋がる{WL1、BL1}、{WL1、BL2}、{WL1、BL3}…{WL1、BLn}のメモリセルに対して、順番にリフレッシュ動作を行う。その後、ワード線WL2に繋がる{WL2、BL1}、{WL2、BL2}、{WL2、BL3}…{WL2、BLn}のメモリセルに対して、順番にリフレッシュ動作を行う。この後、同様に、ワード線WL3〜WLnに繋がるメモリセルに対して順次リフレッシュ動作を行う。これにより、全てのメモリセルに対してリフレッシュ動作を行う。
次に、図40のように残留分極量が劣化した{WL1、BL1}、{WL1、BL2}および{WL1、BL3}のリフレッシュ動作前のメモリセルに対して、駆動方法Fを用いて3回のリフレッシュ動作を行った場合の各メモリセルの残留分極量の変化について説明する。なお、この駆動方法Fによる3回のリフレッシュ動作は、±1/3Vccの電位差の代わりに±1/2Vccの電位差をメモリセルに印加すること以外は上記第1実施形態による3回のリフレッシュ動作(図11〜図13参照)と同様である。
まず、1回目のリフレッシュ動作では、{WL1、BL1}のメモリセルを選択セルとして駆動方法Fを用いてリフレッシュ動作を行う。{WL1、BL1}のメモリセル(選択セル)には、図41に示すように、T1(t1以外の期間)〜T4の各期間において、それぞれ、Vcc、−Vcc、−VccおよびVccの電位差が印加される。これにより、1回目のリフレッシュ動作後には、図41に示すように、{WL1、BL1}のメモリセル(選択セル)の残留分極量はデータ「0」書き込み直後の状態まで回復される。また、1回目のリフレッシュ動作のT1(t1以外の期間)〜T4の各期間において、{WL1、BL2}のメモリセル(非選択セル)には、それぞれ、1/2Vcc、−1/2Vcc、−1/2Vccおよび1/2Vccの電位差が印加されるとともに、{WL1、BL3}のメモリセル(非選択セル)には、それぞれ、1/2Vcc、−1/2Vcc、−1/2Vccおよび1/2Vccの電位差が印加される。これにより、{WL1、BL2}および{WL1、BL3}のメモリセル(非選択セル)には、互いに逆方向の±1/2Vccの電位差が2回ずつ印加されるので、残留分極量の回復と劣化とが2回ずつ発生する。このため、1回目のリフレッシュ動作後の{WL1、BL2}および{WL1、BL3}のメモリセル(非選択セル)は、リフレッシュ動作前の残留分極量(図40参照)と同じ残留分極量に保持される。
次に、{WL1、BL2}のメモリセルを選択セルとして、駆動方法Fを用いて、2回目のリフレッシュ動作を行う。この2回目のリフレッシュ動作において、{WL1、BL2}のメモリセル(選択セル)には、図42に示すように、T1(t1以外の期間)〜T4の各期間において、それぞれ、Vcc、−Vcc、−VccおよびVccの電位差が印加される。これにより、2回目のリフレッシュ動作後には、{WL1、BL2}のメモリセル(選択セル)の残留分極量は、データ「0」書き込み直後の状態まで回復される。
また、2回目のリフレッシュ動作のT1(t1以外の期間)〜T4の各期間において、{WL1、BL1}および{WL1、BL3}のメモリセル(非選択セル)には、それぞれ、1/2Vcc、−1/2Vcc、−1/2Vccおよび1/2Vccの電位差が印加される。これにより、{WL1、BL1}のメモリセル(非選択セル)では、T1の期間(t1以外の期間)において、ヒステリシス曲線に沿って1/2Vccに対応した残留分極量に移動した後、T1の動作後にスタンバイ状態に戻ることによってデータ「0」書き込み直後の残留分極量に戻るので、T1の期間(t1以外の期間)に印加される電位差は、残留分極量の劣化および回復のどちらにも寄与しない。そして、{WL1、BL1}のメモリセル(非選択セル)では、T2およびT3の期間において残留分極量の劣化が2回分発生するとともに、T4の期間において残留分極量の回復が1回分発生するので、2回目のリフレッシュ動作後には、1回の−1/2Vcc分の残留分極量の劣化が発生する。
また、2回目のリフレッシュ動作時の{WL1、BL3}のメモリセル(非選択セル)では、T1(t1以外の期間)〜T4の各期間で、互いに逆方向の±1/2Vccの電位差が2回ずつ印加されることにより、残留分極量の回復と劣化とが2回ずつ発生する。このため、2回目のリフレッシュ動作後の{WL1、BL3}のメモリセル(非選択セル)は、1回目のリフレッシュ動作後(図41参照)と同じ残留分極量に保持される。
次に、{WL1、BL3}のメモリセルを選択セルとして、駆動方法Fを用いて3回目のリフレッシュ動作を行う。この3回目のリフレッシュ動作において、{WL1、BL3}のメモリセル(選択セル)には、図43に示すように、T1(t1以外の期間)およびT2の各期間において、それぞれ、Vccおよび−Vccの電位差が印加される。これにより、3回目のリフレッシュ動作後には、{WL1、BL3}のメモリセル(選択セル)の残留分極量は、データ「1」書き込み直後の残留分極量まで回復される。
また、3回目のリフレッシュ動作のT1(t1以外の期間)およびT2の各期間において、{WL1、BL1}および{WL1、BL2}のメモリセル(非選択セル)には、それぞれ、1/2Vccおよび−1/2Vccの電位差が印加される。これにより、{WL1、BL1}のメモリセル(非選択セル)では、T1(t1以外の期間)およびT2の各期間で、互いに逆方向の±1/2Vccの電位差が同じ回数ずつ印加されることにより、残留分極量の回復と劣化とが同じ回数ずつ発生する。このため、3回目のリフレッシュ動作後の{WL1、BL1}のメモリセル(非選択セル)は、2回目のリフレッシュ動作後の残留分極量(図42参照)と同じ残留分極量に保持される。また、{WL1、BL2}のメモリセル(非選択セル)では、T1の期間(t1以外の期間)において、ヒステリシス曲線に沿って1/2Vccに対応した残留分極量に移動した後、T1の動作後にスタンバイ状態に戻ることによってデータ「0」書き込み直後の状態に戻るので、T1の期間(t1以外の期間)に印加される電位差は、残留分極量の劣化および回復のどちらにも寄与しない。そして、{WL1、BL2}のメモリセル(非選択セル)では、T2の期間において残留分極量の劣化が1回分発生するので、3回目のリフレッシュ動作後には、1回の−1/2Vcc分の残留分極量の劣化が発生する。
上記したように、駆動方法Fによる1〜3回目のリフレッシュ動作によって、残留分極量の劣化が発生した{WL1、BL1}、{WL1、BL2}および{WL1、BL3}のメモリセルを、データの書き込み動作が行われた直後の残留分極量(データ「0」または「1」書き込み直後の残留分極量)に回復させることができる。また、一度リフレッシュ動作が行われたメモリセル({WL1、BL1})では、その後のリフレッシュ動作(2回目および3回目のリフレッシュ動作)において、1回の−1/2Vcc分以上の残留分極量の劣化は発生しない。なお、1回の−1/2Vcc分の残留分極量の劣化が発生したとしても、この程度の劣化が発生した残留分極量は、リードアンプ9(図34参照)によってデータの判定が可能な残留分極量であるので、実質上、データの消失が発生するなどの問題が生じることはない。また、上記したように任意のメモリセル(図41の{WL1、BL1})に対してリフレッシュ動作を行っている間に、それ以外のメモリセルの内、リフレッシュ動作がまだ行われていないメモリセル(図41の{WL1、BL2}および{WL1、BL3})では、残留分極量の劣化が進行しない。
第5実施形態では、上記のように、駆動方法Eを用いて選択セル(第4セル)に対してアクセスすることにより非選択セル(第1および第2セル)に残留分極量の劣化が発生した後、全てのメモリセルに対して駆動方法Fを用いて順番にリフレッシュ動作を行うことにより、残留分極量の劣化が発生したメモリセルを含む全てのメモリセルをデータ「0」または「1」書き込み直後の残留分極量、または、1回の−1/2Vcc(1/2Vcc)分の残留分極量の劣化が発生した状態に回復させることができるので、残留分極量の劣化が発生することに起因してメモリセルのデータが消失するディスターブ現象を抑制することができる。
また、第5実施形態では、駆動方法Fによるリフレッシュ動作を、駆動方法Eによる通常アクセス毎に行うのではなく、所定のアクセス回数後に任意のメモリセルに残留分極量の劣化が蓄積した後に行うことによって、リフレッシュ動作をアクセス毎に行う場合に比べて、リフレッシュ動作の動作時間を大幅に低減することができる。これにより、リフレッシュ動作を行った場合にも強誘電体メモリの動作数が増大するのを抑制することができる。
(第6実施形態)
図44は、本発明の第6実施形態による強誘電体メモリの全体構成を示したブロック図である。この第6実施形態では、上記第3実施形態によるワード線WL一括アクセス方式の強誘電体メモリにおいて、±1/3Vccの代わりに±1/2Vccの電位差をメモリセルに印加する例について説明する。
まず、図44を参照して、第6実施形態の強誘電体メモリは、上記第3実施形態による強誘電体メモリにおいて、1/3Vcc・2/3Vcc生成回路31(図24参照)を1/2Vcc生成回路51に置き換えた構成を有している。これ以外の第6実施形態による強誘電体メモリの構成は、上記第3実施形態による強誘電体メモリの構成と同様である。
この第6実施形態では、ワード線WLおよびビット線BLに印加する電圧は、0V、1/2Vcc、Vccの3種類であるので、上記第3および第4実施形態においてワード線WLおよびビット線BLに印加する4種類の電圧(0V、1/3Vcc、2/3VccおよびVcc)に比べて、1種類少ない。これにより、第6実施形態では、上記第3および4実施形態に比べて、電圧生成回路(1/2Vcc生成回路51)および制御回路系を簡素化することができる。
次に、図26、図45〜図47を参照して、第6実施形態による強誘電体メモリの動作について説明する。
この第6実施形態による強誘電体メモリでは、2つの駆動方法(駆動方法Gおよび駆動方法H)を用いてメモリの駆動を行う。ここで、駆動方法Gは、必要な動作数は少なくなる一方、読み出し−再書き込み動作または書き込み動作時に非選択セルの残留分極量が劣化する場合がある駆動方法である。また、駆動方法Hは、駆動方法Gに比べて必要な動作数は多くなる一方、読み出し−再書き込み動作時に非選択セルにデータの判別が不可能になるような大きな残留分極量の劣化は発生しない駆動方法である。
この第6実施形態では、通常のアクセス時には、駆動方法Gを用いて読み出し−再書き込み動作および書き込み動作を行うとともに、所定の回数の通常アクセス後、駆動方法Hを用いて、駆動方法Gによって蓄積されたメモリセルの残留分極量の劣化を回復させるためのリフレッシュ動作(回復動作)を行う。また、第6実施形態では、上記第3実施形態と同様、カウンタ28を用いて駆動方法Gによる通常のアクセス回数を計数するとともに、カウンタ28によって計数された所定のアクセス回数毎にリフレッシュ動作を行う。以下、通常のアクセスに用いる駆動方法Gおよびリフレッシュ動作に用いる駆動方法Hについて説明する。
(駆動方法G:通常アクセス動作)
(1)読み出し−再書き込み動作
図45は、第6実施形態の駆動方法Gによる通常アクセス時の読み出し−再書き込み動作を説明するための電圧波形図である。図46は、第6実施形態の駆動方法Gによる通常アクセス時の書き込み動作を説明するための電圧波形図である。図45および図46に示すT1およびT2の各動作の時間は、それぞれ、同じ時間(T秒)とする。以下、図45および図46を参照して、駆動方法Gによる読み出し−再書き込み動作および書き込み動作(通常アクセス)について説明する。
図45に示したT1の期間では、読み出し動作を行う。この読み出し動作は、上記第3実施形態の駆動方法Cによる動作と同様である。このT1の期間の読み出し動作において、第1セル〜第4セル(図26参照)には、次の電位差がT秒間印加される。第1セル領域のメモリセルには、Vcc−Vr0(「0」データ読み出し電位)の電位差がT秒間印加される。また、第2セル領域のメモリセルには、Vcc−Vr1(「1」データ読み出し電位)の電位差がT秒間印加される。また、第3セル領域のメモリセルには、−Vr1の電位差がT秒間印加される。また、第4セル領域のメモリセルには、−Vr0の電位差がT秒間印加される。
この時、非選択セル(第3および第4セル領域)に次のデータが保持されていた場合、残留分極量の劣化および回復が生じる。すなわち、非選択セルである第3セル領域のメモリセルに、データ「1」が保持されている場合には、残留分極量の回復が生じ、データ「0」が保持されている場合には、残留分極量の劣化が生じる。また、非選択セルである第4セル領域のメモリセルに、データ「1」が保持されている場合には、残留分極量の回復が生じ、データ「0」が保持されている場合には、残留分極量の劣化が生じる。なお、選択セルである第1セル領域のメモリセルのデータ「0」は、T1の期間の読み出し動作によって破壊されない一方、選択セルである第2セル領域のメモリセルのデータ「1」は、破壊されてデータ「0」が書き込まれた状態になる。
上記したT1の期間の読み出し動作の後、一旦スタンバイ状態に戻す。その後、T2の期間において、第2セル領域のメモリセルにデータ「1」を再書き込みするための再書き込み動作を行う。このT2の期間では、選択WL(WL5)を0V、非選択WL(WL1〜4、6〜8)を1/2Vcc、「1」読み出しBL(BL4および6)をVcc、「0」読み出しBL(BL1〜3、5、7および8)を1/2Vccにする。この場合、T2の期間であるT秒間において、以下の電位差が第1〜第4セル領域のメモリセルに印加される。
第1セル領域のメモリセルには、−1/2Vccの電位差が印加される。これにより、データ「0」を保持する第1セル領域のメモリセルには、残留分極量の劣化が生じる。また、第2セル領域のメモリセルには、−Vccの電位差が印加される。これにより、第2セル領域のメモリセルには、データ「1」が書き込まれる。また、第3セル領域のメモリセルには、−1/2Vccの電位差が印加される。これにより、第3セル領域のメモリセルでは、データ「1」を保持していた場合には、残留分極量の回復が生じ、データ「0」を保持していた場合には、残留分極量の劣化が生じる。また、第4セル領域のメモリセルには、0Vの電位差が印加される。これにより、第4セル領域のメモリセルでは、残留分極量の劣化および回復のどちらも生じない。
上記したように第6実施形態による強誘電体メモリでは、駆動方法Gによる通常アクセス時の読み出し−再書き込み動作を通じて、非選択セルである第3セル領域のメモリセルがデータ「0」を保持している場合には、2回分の残留分極量の劣化が生じ、非選択セルである第4セル領域のメモリセルがデータ「0」を保持している場合には、1回分の残留分極量の劣化が生じる。このため、駆動方法Gによる読み出し−再書き込み動作が繰り返されることにより、非選択セルである第3セル領域および第4セル領域のメモリセルに残留分極量の劣化が蓄積される。
(2)書き込み動作
図46は、駆動方法Gによる通常アクセス時の書き込み動作を説明するための電圧波形図である。次に、図26および図46を参照して、駆動方法Gによる通常アクセス時の書き込み動作について説明する。書き込み動作は、図46のT1の期間で行われる「0」書き込み動作と、T2の期間で行われる「1」書き込み動作とを通じて行われる。また、T1およびT2の期間は、共に、T秒間とする。また、T1およびT2の期間で行われる各動作は、連続して行ってもよいし、それぞれ独立して行ってもよい。以下に、書き込み動作における各動作について説明する。なお、スタンバイ状態では、ワード線WLおよびビット線BLは、共に、0Vになっているとする。
図46に示したT1の期間では、選択WL(WL5)に接続された全てのメモリセルに対して、一括してデータ「0」の書き込みを行う。まず、スタンバイ状態から、全てのビット線BLを0Vに維持した状態で、選択WL(WL5)のみをVccにする。このとき、第1および第2セル領域のメモリセル(選択セル)にはVccの電位差がT1の期間印加される。また、第3および第4セル領域のメモリセル(非選択セル)には電位差が生じない。
このT1の期間の経過後、選択WL(WL5)の電圧を0Vにしてスタンバイ状態に戻すことによって、一括「0」書き込み動作を完了する。このT1の期間において、データ「0」が保持されていた第1セル領域のメモリセルと、データ「1」が保持されていた第2セル領域のメモリセルとには、共にデータ「0」が書き込まれる。なお、第3および第4セル領域のメモリセル(非選択セル)には電位差が生じないため、残留分極量の変化は生じない。
次に、図46に示したT2の期間では、データ「1」の書き込みを行う。このT2の期間では、スタンバイ状態から、選択WL(WL5)を0V、非選択WL(WL1〜4、6〜8)を1/2Vcc、「1」書き込みBL(BL4およびBL6)をVcc、「0」書き込みBL(BL1〜3、5、7、8)を1/2Vccにする。この場合、T2の期間であるT秒間において、第1セル領域のメモリセルには、1/2Vcc、第2セル領域のメモリセルには−Vcc、第3セル領域のメモリセルには、−1/2Vcc、第4セル領域のメモリセルには0Vの電位差が印加される。
これにより、第3セル領域のメモリセルがデータ「1」を保持していた場合には、残留分極量の回復が生じ、データ「0」を保持していた場合には、残留分極量の劣化が生じる。また、第4セル領域のメモリセルでは、残留分極量の劣化および回復のどちらも生じない。また、選択セルである第1セル領域のメモリセルでは、データ「0」が保持される。また、選択セルである第2セル領域のメモリセルには、データ「1」が書き込まれる。
上記したように、第6実施形態による強誘電体メモリでは、駆動方法Gによる通常アクセス時の書き込み動作によりデータ「1」を書き込む際に、非選択セルである第3セル領域のメモリセルがデータ「0」を保持していた場合には、残留分極量の劣化が生じる。このため、駆動方法Gによる通常アクセス時の書き込み動作が繰り返されることにより、非選択セルである第3セル領域のデータ「0」を保持しているメモリセルに残留分極量の劣化が蓄積される。
(駆動方法H:リフレッシュ動作)
図47は、第6実施形態の駆動方法Hによるリフレッシュ動作(読み出し−再書き込み動作)を説明するための電圧波形図である。以下、図26および図47を参照して、駆動方法Hによる読み出し−再書き込み動作(リフレッシュ動作)について説明する。
図47に示すように、読み出し−再書き込み動作(リフレッシュ動作)は、T1、T2およびT3の期間で行われる。また、T1〜T3の期間は同じT秒とする。また、T1〜T3の期間で行う各動作は、連続して行ってもよいし、それぞれ独立して行ってもよい。t1は、全てのビット線BLをフローティング状態にする期間を示している。以下に、T1〜T3の期間での各動作について説明する。なお、スタンバイ状態では、ワード線WLおよびビット線BLは0Vとする。
(1)読み出し動作(T1)
図47に示したT1の期間では、データの読み出しを行う。まず、スタンバイ状態から、全てのビット線BLをフローティング状態にし、同じタイミングかまたは数nsec〜数十nsec遅らせて選択WL(WL5)をVccにする。この状態で、上記第3実施形態と同様にして、データ「0」またはデータ「1」の判定を行う。
また、全てのビット線BLをフローティング状態にするt1の期間において、第1セル領域のメモリセルには、Vcc−Vr0(「0」データ読み出し電位)の電位差が印加される。また、第2セル領域のメモリセルには、Vcc−Vr1(「1」データ読み出し電位)の電位差がt1の期間印加される。また、第3セル領域のメモリセルには、−Vr1の電位差がt1の期間印加される。また、第4セル領域のメモリセルには、−Vr0の電位差がt1の期間印加される。
t1の期間の経過後、全てのビット線BLを0Vにする。この期間が、t1以外のT1の期間に相当する。このt1以外のT1の期間では、第1および第2セル領域のメモリセル(選択セル)には、Vccの電位差がT−t1の期間印加され、第3および第4セル領域のメモリセル(非選択セル)には、電位差が生じないので残留分極量の劣化および回復のどちらも生じない。
このT1の期間の経過後、選択WLであるワード線WL5の電圧を0Vにしてスタンバイ状態に戻すことによって、読み出し動作を完了する。T1の期間において、第1セル領域および第2セル領域のメモリセル(選択セル)の分極変化は、次のようになる。すなわち、読み出し動作により、データ「0」が記憶されていた第1セル領域のメモリセルのデータは破壊されない。その一方、データ「1」が記憶されていた第2セル領域のメモリセルのデータ「1」は破壊されてデータ「0」が書き込まれた状態になる。従って、第2セル領域のメモリセルにデータ「1」を再書き込みする必要がある。第6実施形態では、この再書き込み動作をT2、T3の期間で行う。
(2)再書き込み動作(T2、T3)
スタンバイ状態から、図47に示したT2の期間において、選択WL(WL5)をVcc、非選択WL(WL1〜4、6〜8)を1/2Vcc、「1」読み出しBL(BL4およびBL6)を0V、「0」読み出しBL(BL1〜3、5、7、8)を1/2Vccにする。この場合、T2の期間であるT秒間において、第1セル領域および第3セル領域のメモリセルには1/2Vcc、第2セル領域のメモリセルにはVcc、第4セル領域のメモリセルには0Vの電位差が印加される。
このT2の期間の経過後、図47に示すように、再びスタンバイ状態に戻す。なお、T2の期間において、第1〜第4セル領域のメモリセルの分極変化は、次のようになる。データ「0」を保持している第1セル領域のメモリセルは、T2の期間、1/2Vccの電位差が印加されるため、残留分極量が回復される。また、T1の期間でデータ「0」が書き込まれた第2セル領域のメモリセルには、T2の期間、Vccの電位差が印加されるため、再びデータ「0」が書き込まれる。また、第3セル領域のメモリセル(非選択セル)は、記憶しているデータの内容によって、残留分極量の回復または劣化が生じる。具体的には、第3セル領域のメモリセルがデータ「0」を保持していた場合、残留分極量の回復が生じ、データ「1」を保持していた場合、残留分極量の劣化が生じる。また、第4セル領域のメモリセルには、残留分極量の劣化および回復のどちらも生じない。
次に、スタンバイ状態から、図47に示したT3の期間において、選択WL(WL5)を0V、非選択WL(WL1〜4、6〜8)を1/2Vcc、「1」読み出しBL(BL4およびBL6)をVcc、「0」読み出しBL(BL1〜3、5、7、8)を1/2Vccにする。この場合、T3の期間であるT秒間において、次のような電位差が第1〜第4セル領域のメモリセルに印加される。すなわち、第1セル領域および第3セル領域のメモリセルには−1/2Vcc、第2セル領域のメモリセルには−Vcc、第4セル領域のメモリセルには0Vの電位差が印加される。
T3の期間の経過後、図47に示すように、再びスタンバイ状態に戻し、一連の読み出し−再書き込み動作が終了する。T3の期間において、第1〜第4セル領域のメモリセルの分極変化は、それぞれ、次のようになる。データ「0」を保持している第1セル領域のメモリセルは、T3の期間−1/2Vccの電位差が印加されるため、残留分極量が劣化する。また、第2セル領域のメモリセルには、T3の期間−Vccの電位差が印加され、データ「1」が書き込まれる。これにより、読み出し動作によって破壊されたデータ「1」の再書き込みが完了する。第3セル領域のメモリセル(非選択セル)では、T2の期間と同様、記憶しているデータの内容によって、残留分極量の回復または劣化が生じる。具体的には、第3セル領域のメモリセルが「0」を保持していた場合、残留分極量の劣化が生じ、「1」を保持していた場合、残留分極量の回復が生じる。また、第4セル領域のメモリセルでは、残留分極量の劣化および回復のどちらも生じない。
この第6実施形態による駆動方法Hを用いたリフレッシュ動作では、読み出し−再書き込み動作を通じて、第1および第3セル領域のメモリセルで残留分極量の回復と劣化とが、必ず1回ずつ生じるとともに、第4セル領域のメモリセルで残留分極量の劣化および回復のどちらも生じない。従って、読み出し−再書き込み動作を繰り返すことで、残留分極量が劣化し続けるメモリセルは存在しない。
第6実施形態による駆動方法Hを用いたリフレッシュ動作では、上記のように、読み出しおよび再書き込み動作を通じて、第1および第3セル領域のメモリセルに互いに逆方向の電圧(±1/2Vcc)が1回ずつ印加されるとともに、第4セル領域のメモリセルに0Vの電位差が印加されるので、第1、第3および第4セル領域のメモリセルの残留分極量の劣化を抑制することができる。これにより、全ての非選択セル(第3および第4セル領域のメモリセル)および選択セルのうちデータ「0」を保持していた第1セル領域のメモリセルのデータが消失するディスターブ現象を抑制することができる。
図48は、リフレッシュ動作を行う単純マトリックス方式のメモリセルの等価回路図である。図49は、第6実施形態によるメモリセルのリフレッシュ動作前の残留分極量を示したヒステリシス図である。図50は、第6実施形態によるメモリセルの1回目のリフレッシュ動作に伴う残留分極量の変化を示したヒステリシス図であり、図51は、第6実施形態によるメモリセルの2回目のリフレッシュ動作に伴う残留分極量の変化を示したヒステリシス図である。次に、図48〜図51を参照して、第6実施形態による強誘電体メモリの駆動方法Hを用いたリフレッシュ動作に伴うメモリセルの残留分極量の変化について説明する。
この第6実施形態による駆動方法Hを用いたリフレッシュ動作では、上記第3実施形態と同様、各々のワード線WL毎に、そのワード線WLに繋がる全てのメモリセルを一括してリフレッシュさせる。具体的には、図48に示すように、まず、ワード線WL1に繋がる{WL1、BL1}、{WL1、BL2}、{WL1、BL3}、…{WL1、BL2n−1}、{WL1、BL2n}のメモリセルに対して、一括してリフレッシュ動作を行う。その後、ワード線WL2に繋がる{WL2、BL1}、{WL2、BL2}、{WL2、BL3}、…{WL2、BL2n−1}、{WL2、BL2n}のメモリセルに対して、一括してリフレッシュ動作を行う。この後、同様に、ワード線WL3〜WLnに繋がるメモリセルに対して、順番に、ワード線毎に一括してリフレッシュ動作を行う。これにより、全てのメモリセルに対してリフレッシュ動作を行う。
次に、図49のように残留分極量が劣化した{WL1、BL2n−1}、{WL1、BL2n}、{WL2、BL2n−1}および{WL2、BL2n}のリフレッシュ動作前のメモリセルに対して、駆動方法Hを用いて2回のリフレッシュ動作を行った場合の各メモリセルの残留分極量の変化について説明する。なお、リフレッシュ動作前の状態において、{WL1、BL2n−1}のメモリセルは、データ「1」を保持しており、{WL1、BL2n}のメモリセルは、データ「0」を保持している。また、{WL2、BL2n−1}のメモリセルは、データ「0」を保持しており、{WL2、BL2n}のメモリセルは、データ「1」を保持している。
まず、1回目のリフレッシュ動作では、ワード線WL1を選択WLとして駆動方法Hを用いてリフレッシュ動作を行う。1回目のリフレッシュ動作のT1(t1以外の期間)〜T3の各期間において、{WL1、BL2n−1}のメモリセル(選択セル)には、図50に示すように、それぞれ、Vcc、Vccおよび−Vccの電位差が印加される。これにより、1回目のリフレッシュ動作後には、{WL1、BL2n−1}のメモリセル(選択セル)の残留分極量はデータ「1」の書き込み直後の状態に回復される。また、1回目のリフレッシュ動作のT1(t1以外の期間)〜T3の各期間において、{WL1、BL2n}のメモリセル(選択セル)には、それぞれ、Vcc、1/2Vccおよび−1/2Vccの電位差が印加される。これにより、{WL1、BL2n}のメモリセル(選択セル)では、T1の期間(t1以外の期間)に印加されるVccの電位差によって、一旦データ「0」書き込み直後の状態まで残留分極量が回復される。そして、T2の期間において、ヒステリシス曲線に沿って1/2Vccの電位差に対応する残留分極量に移動した後、T2の期間後にスタンバイ状態に戻ることによって、データ「0」書き込み直後の状態に戻る。この後、T3の期間において1回の−1/2Vcc分の残留分極量の劣化が生じる。このため、1回目のリフレッシュ動作後の{WL1、BL2n}のメモリセル(選択セル)は、データ「0」書き込み直後の状態から1回の−1/2Vcc分の残留分極量の劣化が生じた状態になる。
また、1回目のリフレッシュ動作のT1(t1以外の期間)〜T3の各期間において、{WL2、BL2n−1}のメモリセル(非選択セル)には、それぞれ、0V、1/2Vccおよび−1/2Vccの電位差が印加される。これにより、{WL2、BL2n−1}のメモリセル(非選択セル)では、T1の期間(t1以外の期間)において残留分極量は変化しない。そして、T2の期間において残留分極量の回復が生じるとともに、T3の期間において残留分極量の劣化が生じる。このようにT2およびT3の期間において残留分極量の劣化と回復とが1回ずつ生じるので、T3の期間後の残留分極量は、T1(t1以外の期間)の期間後の残留分極量と同じ状態になる。このため、1回目のリフレッシュ動作後の{WL2、BL2n−1}のメモリセル(非選択セル)では、リフレッシュ動作前(図49参照)と同じ残留分極量が保持される。また、1回目のリフレッシュ動作のT1(t1以外の期間)〜T3の各期間において、{WL2、BL2n}のメモリセル(非選択セル)には、全て、0Vの電位差が印加される。これにより、1回目のリフレッシュ動作後の{WL2、BL2n}のメモリセル(非選択セル)では、リフレッシュ動作前(図49参照)と同じ残留分極量が保持される。
次に、ワード線WL2を選択WLとして、駆動方法Hを用いて2回目のリフレッシュ動作を行う。2回目のリフレッシュ動作のT1(t1以外の期間)〜T3の各期間において、{WL2、BL2n}のメモリセル(選択セル)には、図51に示すように、それぞれ、Vcc、Vccおよび−Vccの電位差が印加される。これにより、2回目のリフレッシュ動作後には、{WL2、BL2n}のメモリセル(選択セル)の残留分極量はデータ「1」書き込み直後の状態まで回復される。また、2回目のリフレッシュ動作のT1(t1以外の期間)〜T3の各期間において、{WL2、BL2n−1}のメモリセル(選択セル)には、それぞれ、Vcc、1/2Vccおよび−1/2Vccの電位差が印加される。これにより、{WL2、BL2n−1}のメモリセル(選択セル)では、T1の期間(t1以外の期間)に印加されるVccの電位差によって、一旦データ「0」書き込み直後の状態まで残留分極量が回復される。そして、T2の期間において、ヒステリシス曲線に沿って1/2Vccの電位差に対応する残留分極量に移動した後、T2の期間後にスタンバイ状態に戻ることによって、データ「0」書き込み直後の状態に戻る。この後、T3の期間において1回の−1/2Vcc分の残留分極量の劣化が生じる。このため、2回目のリフレッシュ動作後の{WL2、BL2n−1}のメモリセル(選択セル)は、データ「0」書き込み直後の状態から1回の−1/2Vcc分の残留分極量の劣化が生じた状態になる。
また、2回目のリフレッシュ動作のT1(t1以外の期間)〜T3の各期間において、{WL1、BL2n−1}のメモリセル(非選択セル)には、全て、0Vの電位差が印加される。このため、2回目のリフレッシュ動作後の{WL1、BL2n−1}のメモリセル(非選択セル)では、1回目のリフレッシュ動作後の状態(図50参照)であるデータ「1」書き込み直後の残留分極量が保持される。また、2回目のリフレッシュ動作のT1(t1以外の期間)〜T3の各期間において、{WL1、BL2n}のメモリセル(非選択セル)には、それぞれ、0V、1/2Vccおよび−1/2Vccの電位差が印加される。これにより、{WL1、BL2n}のメモリセル(非選択セル)では、T1の期間(t1以外の期間)において残留分極量は変化しない。そして、T2の期間において残留分極量の回復が生じるとともに、T3の期間において残留分極量の劣化が生じる。このようにT2およびT3の期間において残留分極量の回復と劣化とが1回ずつ生じるので、T3の期間後の残留分極量は、T1(t1以外の期間)の期間後の残留分極量と同じ状態になる。このため、2回目のリフレッシュ動作後の{WL1、BL2n}のメモリセル(非選択セル)では、1回目のリフレッシュ動作後(図50参照)と同じ残留分極量が保持される。
上記したように、駆動方法Hによる1回目および2回目のリフレッシュ動作によって、残留分極量の劣化が発生した{WL1、BL2n−1}、{WL1、BL2n}、{WL2、BL2n−1}および{WL2、BL2n}のメモリセルを、データの書き込み動作が行われた直後の残留分極量(データ「0」または「1」の書き込み直後の残留分極量)に回復させることができる。また、一度リフレッシュ動作が行われたメモリセル({WL1、BL2n−1}および{WL1、BL2n})では、その後のリフレッシュ動作(2回目のリフレッシュ動作)において1回の−1/2Vcc分以上の分極劣化は発生しない。なお、1回の−1/2Vcc分の残留分極量の劣化が発生したとしても、この程度の劣化が発生した残留分極量は、リードアンプ29(図44参照)によってデータの判別が可能な残留分極量であるので、実質上、データの消失が発生するなどの問題が生じることはない。また、任意のワード線WLに繋がるメモリセル(たとえば、図50の{WL1、BL2n−1}および{WL1、BL2n})に対してリフレッシュ動作を行っている間に、それ以外のメモリセルの内、リフレッシュ動作がまだ行われていないメモリセル(たとえば、図50の{WL2、BL2n−1}および{WL2、BL2n})では、残留分極量の劣化は進行しない。
第6実施形態では、上記のように、駆動方法Gを用いて選択セル(第1および第2セル領域のメモリセル)に対してアクセスすることにより非選択セル(第3セル領域のメモリセル)に残留分極量の劣化が発生した後、全てのメモリセルに対して駆動方法Hを用いてワード線WL毎に一括してリフレッシュ動作を行うことにより、残留分極量の劣化が発生したメモリセルを含む全てのメモリセルをデータ「0」または「1」書き込み直後の残留分極量、または、1回の−1/2Vcc(1/2Vcc)分の残留分極量の劣化が発生した状態に回復させることができるので、残留分極量の劣化が発生することに起因してメモリセルのデータが消失するディスターブ現象を抑制することができる。
また、第6実施形態では、駆動方法Hによるリフレッシュ動作を、駆動方法Gによる通常アクセス毎に行うのではなく、所定のアクセス回数後に任意のメモリセルに残留分極量の劣化が蓄積した後に行うことによって、リフレッシュ動作をアクセス毎に行う場合に比べて、リフレッシュ動作の動作時間を大幅に低減することができる。これにより、リフレッシュ動作を行った場合にも強誘電体メモリの動作数が増大するのを抑制することができる。
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
たとえば、上記実施形態では、メモリセルに対する通常の読み出し−再書き込み動作に用いる駆動方法とリフレッシュ動作に用いる駆動方法との組み合わせとして、駆動方法AおよびBの組み合わせ、または、駆動方法CおよびDの組み合わせ、または、駆動方法EおよびFの組み合わせ、または、駆動方法GおよびHの組み合わせを用いたが、本発明はこれに限らず、通常の読み出し−再書き込み動作を駆動方法A、C、EおよびGのいずれかを用いて行うとともに、リフレッシュ動作を駆動方法B、D、FおよびHのいずれかを用いて行ってもよい。
また、上記実施形態では、ワード線WLとビット線BLとに直接接続されたメモリセルによって構成されたメモリセルアレイを備えたメモリに本発明を適用した例について説明したが、本発明はこれに限らず、メモリセルを含む複数のローカルメモリセルアレイからなる階層構造を有するメモリセルアレイを備えたメモリに本発明を適用してもよい。具体的には、図52に示す第1実施形態の変形例のように、メモリセルアレイ61を、複数のローカルメモリセルアレイ61aを含むように構成するとともに、ローカルメモリセルアレイ61aを、複数のメモリセル(図示せず)を含むように構成する。
この図52に示した第1実施形態の変形例による強誘電体メモリの動作としては、ローカルメモリセルアレイ61a毎に個別に、駆動方法A、C、EおよびGのいずれかを用いて通常の読み出し−再書き込み動作および書き込み動作を行うとともに、駆動方法B、D、FおよびHのいずれかを用いてリフレッシュ動作を行う。具体的には、たとえば、任意のローカルメモリセル(1)(図52参照)に対して通常の読み出し−再書き込み動作および書き込み動作を行うのと同時に、別のローカルメモリセル(2)(図52参照)に対してリフレッシュ動作を行う。このようにローカルメモリセルアレイ61a毎に個別に、通常の読み出し−再書き込み動作および書き込み動作とリフレッシュ動作とを行うようにすれば、リフレッシュ動作を行うことによって、外部から通常のアクセス(読み出し−再書き込み動作および書き込み動作)を行うことができない期間が発生するのを実質的に回避することができる。
また、上記実施形態では、リフレッシュ動作を行うまでに行う通常アクセスの回数を特に明示しなかったが、本発明では、メモリ毎に適切なリフレッシュ動作を行うまでの通常アクセスの回数を設定することができる。具体的には、リフレッシュ動作を行うまでの通常のアクセス回数の最大値は、メモリの回路構成およびメモリセルを構成する強誘電体キャパシタの特性に依存する。たとえば、強誘電体キャパシタが12μC/cm2以上の分極量のデータを保持する場合に、そのデータを判別することができるようにリードアンプおよびリードアンプまでの配線容量を調節した回路構成を用いる場合を考える。この場合に、図53に示すような分極量と1/3Vcc印加回数との関係を有する強誘電体キャパシタAでは、リフレッシュ動作を行うまでに、最大105回の1/3Vccが印加される回数の通常アクセスを行うことができる。また、同様の回路構成を用いて、図54に示すような分極量と1/3Vcc印加回数との関係を有する強誘電体キャパシタBでは、リフレッシュ動作を行うまでに、最大103回の1/3Vccが印加される回数の通常アクセスを行うことができる。また、強誘電体キャパシタが10μC/cm2以上の分極量のデータを保持する場合に、そのデータを判別することができるようにリードアンプおよびリードアンプまでの配線容量を調節した回路構成を用いる場合を考える。この場合に、図53の強誘電体キャパシタAでは、リフレッシュ動作を行うまでに、約106〜約107回の1/3Vccが印加される回数の通常アクセスを行うことができる。また、同様の回路構成を用いて、図54の強誘電体キャパシタBでは、リフレッシュ動作を行うまでに約104回の1/3Vccが印加される回数の通常アクセスを行うことができる。
また、上記実施形態では、カウンタを用いてメモリセルに対する通常アクセスのアクセス回数を計数するとともに、リフレッシュ動作を、カウンタによって計数された所定のアクセス回数毎に行うようにしたが、本発明はこれに限らず、アクセス時間を計測するための計測手段(たとえば、タイマ)を用いて、メモリセルに対して通常のアクセスが行われた時間を計測するとともに、リフレッシュ動作を計測手段によって計測された所定のアクセス時間が経過する毎に行うようにしてもよい。この場合には、上記実施形態によるメモリの構成において設けたカウンタをアクセス時間を計測するための計測手段(タイマ)に置き換えればよい。
また、上記実施形態では、リフレッシュ動作をワード線WLに繋がるメモリセル毎に行うようにしたが、本発明はこれに限らず、ビット線BLに繋がるメモリセル毎に行うようにしてもよい。
また、上記実施形態では、本発明のメモリの一例としての強誘電体メモリについて説明したが、本発明はこれに限らず、強誘電体メモリ以外のメモリにも適用可能である。