なお、本発明では、以下のような構成も考えられる。すなわち、上記第1の局面において、読み出し動作および再書き込み動作の際に、選択第1記憶手段には、所定の電圧が印加され、非選択第1記憶手段には、所定の電圧のm/n(m,nは正の整数)の電圧が印加されるようにしてもよい。この場合において、非選択第1記憶手段には、所定の電圧の実質的に1/3の電圧および1/2の電圧のいずれかが印加されるようにしてもよい。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
この発明の第1実施形態は、単純マトリックス型の強誘電体メモリの任意のワード線WLに接続された全てのメモリセルに対して一括して行われる読み出し−再書き込み動作および書き込み動作に関する。
まず、図1を参照して、第1実施形態の単純マトリックス方式の強誘電体メモリの全体構成について説明する。第1実施形態の強誘電体メモリは、メモリセルアレイ1と、ロウデコーダ2と、カラムデコーダ3と、ロウアドレスバッファ4と、カラムアドレスバッファ5と、ライトアンプ6と、入力バッファ7と、電圧センスアンプからなるリードアンプ8と、出力バッファ9と、電圧生成回路10とを備えている。
メモリセルアレイ1は、強誘電体キャパシタ(図示せず)のみからなる単純マトリックス方式のメモリセルを複数個含んでいる。この強誘電体キャパシタは、本発明の「第1記憶手段」の一例である。メモリセルアレイ1のワード線WLには、ロウデコーダ2が接続されており、ビット線BLには、カラムデコーダ3が接続されている。ロウデコーダ2およびカラムデコーダ3には、電圧生成回路10が接続されている。この電圧生成回路10は、非選択ワード線WL(非選択WL)および特定のビット線BLに対して、1/3Vccおよび2/3Vccを印加可能なように構成されている。この場合の特定のビット線BLは、選択ワード線WL(選択WL)に接続されているメモリセルのうちデータ「0」を保持するメモリセルが接続されているビット線BLを意味する。また、ロウデコーダ2およびカラムデコーダ3は、選択WLおよび特定のビット線BLに対して、Vccおよび0Vを印加可能なように構成されている。この場合の特定のビット線BLは、選択WLに接続されているメモリセルのうちデータ「1」を保持するメモリセルが接続されているビット線BLを意味する。また、Vccは、電源電圧または電源電圧に基づいて生成された電圧である。
また、図2に示すように、1/3Vccおよび2/3Vcc生成回路(以下、1/3Vcc・2/3Vcc生成回路という)からなる電圧生成回路10は、2つの1/2Vcc生成回路40aおよび40bを組み合わせて構成されている。この1/2Vcc生成回路40aおよび40bは、2つの電圧入力端子50a(50b)および51a(51b)と、1つの電圧出力端子52a(52b)とを有している。従来の1/2Vcc生成回路は、後述するように、一方の電圧入力端子にVccを印加するとともに、他方の電圧入力端子に0Vを印加することによって、1/2Vcc生成回路の電圧出力端子に、両電圧の中間である1/2Vccの電圧が生じるように構成されている。これに対して、第1実施形態による1/3Vcc・2/3Vcc生成回路では、図2に示すように、一方の1/2Vcc生成回路40aの電圧入力端子50aにはVccが印加されている。また、一方の1/2Vcc生成回路40aの電圧入力端子51aは他方の1/2Vcc生成回路40bの電圧出力端子52bと接続している。また、一方の1/2Vcc生成回路40aの電圧出力端子52aは、他方の1/2Vcc生成回路40bの電圧入力端子50bと接続している。さらに、他方の1/2Vcc生成回路40bの電圧入力端子51bには、0Vが印加されている。このように構成することにより、1/3Vcc・2/3Vcc生成回路の一方の電圧出力端子62a(一方の1/2Vcc生成回路40aの電圧出力端子52a)からは、Vccと1/3Vccの中間の電圧である2/3Vccが得られる。また、他方の電圧出力端子62b(他方の1/2Vcc生成回路40bの電圧出力端子52b)からは、2/3Vccと0Vの中間の電圧である1/3Vccが得られる。
次に、図3〜図18を参照して、第1実施形態の単純マトリックス方式の強誘電体メモリにおける読み出し−再書き込み動作について説明する。なお、第1実施形態では、図3に示すように、選択WLがワード線WL3であるとする。また、この選択WL(ワード線WL3)に接続されたメモリセルのうち、ビット線BL3およびビット線BL5に接続されたメモリセルには、データ「1」が記憶されており、それ以外のビット線(BL0〜2、4、6、7)に接続されたメモリセルにはデータ「0」が記憶されているとする。また、図4に示すように、選択WLに接続されているメモリセルのうち、データ「0」を記憶しているメモリセル群を第1セル領域、選択WLに接続されているメモリセルのうち、データ「1」を記憶しているメモリセル群を第2セル領域とする。また、非選択WLに接続されたメモリセルのうち、ビット線BL3およびビット線BL5に接続されたメモリセル群を第3セル領域、非選択WLに接続されたメモリセルのうち、ビット線BL3およびビット線BL5以外のビット線に接続されたメモリセル群を第4セル領域とする。すなわち、第1セル領域および第2セル領域のメモリセルが選択セルであり、第3セル領域および第4セル領域のメモリセルが非選択セルである。なお、第1セル領域および第2セル領域に含まれるメモリセルは、本発明の「選択第1記憶手段」の一例であり、第3セル領域および第4セル領域に含まれるメモリセルは、本発明の「非選択第1記憶手段」の一例である。
(1)読み出し−再書き込み動作
図5に示すように、読み出し−再書き込み動作は、T1、T2およびT3の期間で行われる。T2およびT3の期間は、それぞれの期間において互いに逆方向の電界をメモリセルに与えた場合に、メモリセルで発生する分極の変化量が等しくなるように決定する。通常、T2およびT3の期間は同じT秒である。また、T1〜T3の期間で行う各動作は、連続して行ってもよいし、それぞれ独立して行ってもよい。t1は、全てのビット線BLをフローティング状態にする期間を示しており、t1を開始するタイミングは、選択WLにVccを印加するタイミングと同じか、または、数nsec〜数十nsec程度早くても良い。
以下に、T1〜T3の期間での各動作について説明する。なお、スタンバイ状態では、ワード線WLおよびビット線BLは0Vにする。この状態が、本発明における「ワード線とビット線とを実質的に同電位にした状態」の一例である。
(読み出し動作)
図5に示したT1の期間では、データの読み出しを行う。まず、スタンバイ状態から、全てのビット線BLをフローティング状態にする。そして、これと同じタイミングかまたは数nsec〜数十nsec遅らせて選択WL(WL3)をVccにする。この状態で、全ビット線BLの電圧を検知することによって、データ「0」またはデータ「1」の判定を行う。このデータ「0」または「1」の判定は、選択BLの電位と、別途生成された参照電位とを、電圧センスアンプであるリードアンプ8(図1参照)により比較して増幅することによって行う。このt1の期間において、第1セル領域〜第4セル領域(図4参照)のメモリセルには、図6の上図に示すような電位差が生じる。
図4および図6を参照して、第1セル領域のメモリセルには、Vcc−Vr0(「0」データ読み出し電位)の電位差がt1の期間印加される。また、第2セル領域のメモリセルには、Vcc−Vr1(「1」データ読み出し電位)の電位差がt1の期間印加される。また、第3セル領域のメモリセルには、−Vr1の電位差がt1の期間印加される。また、第4セル領域のメモリセルには、−Vr0の電位差がt1の期間印加される。
このとき、ビット線BL方向のセル数を多くして、ビット線BL全体の負荷容量を大きくすることにより、「1」データ読み出し電位Vr1および「0」データ読み出し電位Vr0を抗電圧よりも小さくすることができる。なお、抗電圧とは、強誘電体膜内部を分極反転させるために必要な最小の電圧のことをいう。したがって、抗電圧よりも小さい電圧を強誘電体膜に対して長時間印加したとしても、分極状態が反転することはない。これにより、Vr1およびVr0を抗電圧よりも小さい電圧に設定することにより、確実に第3および第4セル領域のメモリセルの分極状態の劣化を抑えることができる。
上記したように、t1の期間では、全ビット線BLに生じた電圧をリードアンプ8で参照電位と比較し、その比較結果を増幅することによりデータの判別を行う。したがって、全ビット線BLに生じた電圧をより早くリードアンプ8に伝達するようにすれば、t1の期間は十分短くすることができる。具体的には、全ビットBL線からリードアンプ8までの配線長さを短くすることにより配線負荷容量を小さくするようにすれば、全ビット線BLに生じた電圧をより早くリードアンプ8に伝達することができる。このようにt1の期間を十分短くすることにより、t1の期間に非選択WLに接続された全てのメモリセル(第3および第4セル領域のメモリセル)に−Vr1または−Vr0の電位差が印加されることによって生じる分極状態の劣化および改善を、後のT2およびT3の期間で行われる動作によって生じる分極状態の劣化および改善と比較して実質的に無視できるように十分小さくすることができる。ここで、分極状態の劣化とは、強誘電体キャパシタに蓄積されている電荷量が減少することをいい、分極状態の改善とは、減少した電荷量が増加することをいう。
t1の期間の経過後、全てのビット線BLを0Vにする。なお、この場合のビット線BLの0Vが本発明における「固定電位」の一例である。また、この期間が、t1以外のT1の期間に相当し、各メモリセルにおける電位差分布は、図6の下図に示すようになる。図4および図6を参照して、第1および第2セル領域のメモリセル(選択セル)には、Vccの電位差がT1−t1の期間印加され、第3および第4セル領域のメモリセル(非選択セル)には、電位差が生じない。
このT1の期間の経過後、選択WLであるワード線WL3の電圧を0Vにしてスタンバイ状態に戻すことによって、読み出し動作を完了する。T1の期間において、第1セル領域および第2セル領域のメモリセル(選択セル)の分極変化は、それぞれ、図7および図8に示されるようになる。すなわち、図7に示すように、読み出し動作により、データ「0」が記憶されていた第1セル領域のメモリセルのデータは破壊されない。その一方、図8に示すように、データ「1」が記憶されていた第2セル領域のメモリセルのデータ「1」は破壊されてデータ「0」が書き込まれた状態になる。したがって、第2セル領域のメモリセルにデータ「1」を再書き込みする必要がある。第1実施形態では、この再書き込み動作をT2、T3の期間で行う。
(再書き込み動作)
スタンバイ状態から、図5に示したT2の期間において、選択WL(WL3)をVcc、非選択WL(WL0〜2、4〜7)を1/3Vcc、読み出し動作においてデータ「1」が読み出されたメモリセルに接続されているビット線BL3およびBL5を0V、それ以外のビット線(BL0〜2、4、6、7)を2/3Vccにする。この場合、T2の期間であるT秒間において、図9に示す電位差が第1〜第4セル領域のメモリセルに印加される。すなわち、第1セル領域および第3セル領域のメモリセルには、1/3Vccの電位差が印加され、第2セル領域のメモリセルには、Vccの電位差が印加される。また、第4セル領域のメモリセルには、−1/3Vccの電位差が印加される。
このT2の期間の経過後、図5に示すように、再びスタンバイ状態に戻す。なお、T2の期間において、第1〜第4セル領域のメモリセルの分極変化は、それぞれ図10〜図13に示すようになる。図10に示すように、第1セル領域のメモリセルには、T2の期間、1/3Vccの電位差が印加されるため、分極状態が改善される。また、図11に示すように、T1の期間でデータ「0」が書き込まれた第2セル領域のメモリセルには、T2の期間、Vccの電位差が印加されるため、再びデータ「0」が書き込まれる。第3および第4セル領域のメモリセル(非選択セル)は、記憶しているデータの内容によって、分極状態の改善または劣化が生じる。具体的には、図12に示すように、第3セル領域のメモリセルが「0」を保持していた場合、分極状態の改善が生じ、「1」を保持していた場合、分極状態の劣化が生じる。また、図13に示すように、第4セル領域のメモリセルが「0」を保持していた場合、分極状態の劣化が生じ、「1」を保持していた場合、分極状態の改善が生じる。
次に、スタンバイ状態から、図5に示したT3の期間において、選択WL(WL3)を0V、非選択WL(WL0〜2、4〜7)を2/3Vcc、読み出し動作においてデータ「1」が読み出されたメモリセルに接続されているビット線BL3およびBL5をVcc、それ以外のビット線(BL0〜2、4、6、7)を1/3Vccにする。この場合、T3の期間であるT秒間において、図14に示す電位差が第1〜第4セル領域のメモリセルに印加される。すなわち、第1セル領域および第3セル領域のメモリセルには、−1/3Vccの電位差が印加され、第2セル領域のメモリセルには、−Vccの電位差が印加される。また、第4セル領域のメモリセルには、1/3Vccの電位差が印加される。
なお、上記T2およびT3の期間における特別な場合として、読み出し動作において選択WL(WL3)に接続された全てのメモリセル(第1および第2セル領域のメモリセル)からデータ「0」が読み出された場合は、ワード線WLおよびビット線BLに図19に示すような電圧を印加する。すなわち、T2の期間において、選択WL(WL3)をVcc、非選択WL(WL0〜2、4〜7)を1/3Vccとし、全てのビット線BL(BL0〜7)を2/3Vccにする。また、T3の期間において、選択WL(WL3)を0V、非選択WL(WL0〜2、4〜7)を2/3Vccとし、全てのビット線BL(BL0〜7)を1/3Vccにする。また、T2およびT3の期間における別の特別な場合として、読み出し動作において選択WL(WL3)に接続された全てのメモリセル(第1および第2セル領域のメモリセル)からデータ「1」が読み出された場合は、ワード線WLおよびビット線BLに図20に示すような電圧を印加する。すなわち、T2の期間において、選択WL(WL3)をVcc、非選択WL(WL0〜2、4〜7)を1/3Vccとし、全てのビット線BL(BL0〜7)を0Vにする。また、T3の期間において、選択WL(WL3)を0V、非選択WL(WL0〜2、4〜7)を2/3Vccとし、全てのビット線BL(BL0〜7)をVccにする。
T3の期間の経過後、図5に示すように、再びスタンバイ状態に戻し、一連の読み出し−再書き込み動作が終了する。なお、T3の期間において、第1〜第4セル領域のメモリセルの分極変化は、それぞれ、図15〜図18に示すようになる。図15に示すように、第1セル領域のメモリセルは、T3の期間、−1/3Vccの電位差が印加されるため、分極状態が劣化する。また、図16に示すように、第2セル領域のメモリセルには、T3の期間、−Vccの電位差が印加されるので、データ「1」が書き込まれる。これにより、読み出し動作によって破壊されたデータ「1」の再書き込みが完了する。第3および第4セル領域のメモリセル(非選択セル)では、T2の期間と同様、記憶しているデータの内容によって、分極状態の改善または劣化が生じる。具体的には、図17に示すように、第3セル領域のメモリセルが「0」を保持していた場合、分極状態の劣化が生じ、「1」を保持していた場合、分極状態の改善が生じる。また、図18に示すように、第4セル領域のメモリセルが「0」を保持していた場合、分極状態の改善が生じ、「1」を保持していた場合、分極状態の劣化が生じる。
すなわち、第1実施形態による単純マトリックス型の強誘電体メモリでは、読み出し−再書き込み動作を通じて、選択WL(WL3)に接続されているメモリセルのうち、データ「1」を保持していたメモリセル以外の全てのメモリセル(第1および第3および第4セル領域のメモリセル)で分極状態の改善と劣化とが、必ず1回ずつ生じる。したがって、読み出し−再書き込み動作を繰り返すことで、分極状態が劣化し続けるメモリセルは存在しない。
第1実施形態では、上記のように、読み出しおよび再書き込み動作を通じて、選択WL(WL3)に接続されているメモリセルのうち「1」を保持していたメモリセル以外の全てのメモリセル(第1、第3および第4セル領域のメモリセル)に互いに逆方向の電圧(±1/3Vcc)が1回ずつ印加されるので、読み出し動作時の分極劣化を抑制することができる。これにより、全ての非選択セル(第3および第4セル領域のメモリセル)および選択セルのうちデータ「0」を保持していた第1セル領域のメモリセルのディスターブ現象を抑制することができる。
また、特別な場合として、読み出し動作において選択WL(WL3)に接続された全てのメモリセル(第1および第2セル領域のメモリセル)からデータ「0」が読み出された場合、この読み出し動作によってデータが破壊される第1および第2セル領域のメモリセルは存在しない。すなわち、読み出し動作によって読み出された全てのデータは、読み出し後に選択WLに接続された全てのメモリセル(第1および第2セル領域のメモリセル)に保持されている全てのデータと同じである。さらに、この読み出し動作で、実質的に分極状態の劣化が生じる非選択セル(第3および第4セル領域のメモリセル)は存在しない。したがって、この特別な場合においては、図19に示した電圧波形に代えて、図21に示した電圧波形のように、上記したT2およびT3の動作は行わないようにしても良い。
図21に示すように再書き込み動作(T2およびT3の動作)を行わないようにするためには、T1の期間に行われる読み出し動作により、選択WLであるワード線WL3に接続されている第1セル領域および第2セル領域の全てのメモリセル(選択セル)からデータ「0」が読み出されたことを検出する必要がある。図22に、選択セルからのデータが全て「0」であることを検出してフラグ信号を出力するためのデータ判別回路の一例を示す。図22を参照して、データ判別回路11は、各ビット線に対応する複数の入力信号が入力されるNOR回路12と、NOR回路12の出力信号が入力され、フラグ信号を出力するバッファ回路13とから構成されている。すなわち、このデータ判別回路11は、各ビット線に対応する複数の入力信号が全てデータ「0」である場合のみ、フラグ信号出力として「1」を出力し、それ以外の場合は、フラグ信号出力として「0」を出力する。このデータ判別回路11を、図1に示した第1実施形態の単純マトリックス型の強誘電体メモリに追加した構成を有する第1実施形態の第1変形例による強誘電体メモリが図23に示されている。図23を参照して、この第1実施形態の第1変形例による単純マトリックス型の強誘電体メモリでは、リードアンプ8の出力をデータ判別回路11に入力し、データ判別回路11のフラグ信号出力をライトアンプ6に入力するように構成されている。そして、リードアンプ8からの複数の出力信号が全てデータ「0」であった場合のみ、ライトアンプ6にフラグ出力信号「1」が入力されるため、ライトアンプ6は、フラグ出力信号が「1」のときのみ、再書き込み動作を行わないようにロウデコーダ2およびカラムデコーダ3が制御される。したがって、選択WLであるワード線WL3に接続されている第1セル領域および第2セル領域の全てのメモリセル(選択セル)からデータ「0」が読み出されたときに、再書き込み動作を行わないようにすることができるので、読み出し時の動作数を低減することができる。
(2)書き込み動作
第1実施形態における書き込み動作の説明では、図3に示すように選択WLがWL3であり、選択WLに接続されたメモリセルのうちビット線BL3およびビット線BL5にデータ「1」を、それ以外のビット線(BL0〜2、4、6、7)に接続されたメモリセルにデータ「0」を書き込む場合を想定している。また、各セル領域の定義は図4と同様である。
書き込み動作は、図24のT1の期間で行われる一括「0」書き込み動作、T2の期間で行われる補償動作、および、T3の期間で行われる「1」書き込み動作を通じて行われる。T2とT3の期間は、同じT秒とする。また、T1〜T3の期間で行われる各動作は、連続して行ってもよいし、それぞれ独立して行ってもよい。以下に、各動作について説明を行う。
(一括「0」書き込み動作)
図24に示したT1の期間では、選択WLであるWL3に接続された全てのメモリセルに対してデータ「0」の書き込みを行う。まず、スタンバイ状態から、WL3のみをVccにする。このとき、各メモリセルにおける電位差分布は、図25に示すようになる。すなわち、第1および第2セル領域のメモリセル(選択セル)にはVcc電位差がT1の期間印加され、第3および第4セル領域のメモリセル(非選択セル)には電位差が生じない。
このT1の期間の経過後、WL3の電圧を0Vにしてスタンバイ状態に戻すことによって、一括「0」書き込み動作を完了する。T1の期間において、第1および第2セル領域のメモリセルにおける分極状態の変化は、それぞれ、図26および図27に示されるようになる。すなわち、データ「0」が保持されていた第1セル領域およびデータ「1」が保持されていた第2セル領域のメモリセルには、共にデータ「0」が書き込まれる。なお、第3および第4セル領域のメモリセル(非選択セル)には電位差が生じないため、分極状態の変化はない。
(補償動作)
図24に示したT2の期間では、後述するT3の期間で行われる「1」書き込み動作により分極状態の劣化が生じるメモリセルに対して、予め分極状態を改善しておくための動作(補償動作)を行う。
スタンバイ状態から、図24に示すT2の期間において、選択WL(WL3)をVcc、非選択WL(WL0〜2、4〜7)を1/3Vcc、データ「1」を書き込むべきメモリセルが接続されたビット線BL3およびBL5を0V、それ以外のビット線(BL0〜2、4、6、7)を2/3Vccにする。この場合、T2の期間であるT秒間において、図9に示した読み出し−再書き込み動作と同様の電位差が第1〜第4セル領域のメモリセルに印加される。すなわち、第1セル領域および第3セル領域のメモリセルには、1/3Vccの電位差が印加され、第2セル領域のメモリセルには、Vccの電位差が印加される。また、第4セル領域のメモリセルには、−1/3Vccの電位差が印加される。
このT2の期間の経過後、再びスタンバイ状態に戻す。T2の期間において、第1〜第4セル領域のメモリセルにおける分極状態の変化は、読み出し−再書き込み動作と同様であり、それぞれ、図10〜図13に示すようになる。すなわち、第1セル領域のメモリセルは、分極状態が改善され(図10参照)、第2セル領域のメモリセルは、再びデータ「0」が書き込まれる(図11参照)。また、第3セル領域のメモリセルが「0」を保持していた場合、分極状態の改善が生じ、「1」を保持していた場合、分極状態の劣化が生じる(図12参照)。また、第4セル領域のメモリセルが「0」を保持していた場合、分極状態の劣化が生じ、「1」を保持していた場合、分極状態の改善が生じる(図13参照)。
(「1」書き込み動作)
スタンバイ状態から、図24に示したT3の期間において、選択WL(WL3)を0V、非選択WL(WL0〜2、4〜7)を2/3Vcc、データ「1」を書き込むべきメモリセルが接続されたビット線BL3およびBL5をVcc、それ以外のビット線(BL0〜2、4、6、7)を1/3Vccにする。この場合、T3の期間であるT秒間において、図13に示した読み出し−再書き込み動作と同様の電位差が第1〜第4セル領域のメモリセルに印加される。すなわち、第1セル領域および第3セル領域のメモリセルには、−1/3Vccの電位差が印加され、第2セル領域のメモリセルには、−Vccの電位差が印加される。また、第4セル領域のメモリセルには、1/3Vccの電位差が印加される。
なお、上記T2およびT3の期間における特別な場合として、選択WL(WL3)に接続された全てのメモリセル(第1および第2セル領域のメモリセル)にデータ「0」を書き込む場合は、図28に示すように、T2の期間において、選択WL(WL3)をVcc、非選択WL(WL0〜2、4〜7)を1/3Vccとし、全てのビット線BL(BL0〜7)を2/3Vccにするとともに、T3の期間において、選択WL(WL3)を0V、非選択WL(WL0〜2、4〜7)を2/3Vccとし、全てのビット線BL(BL0〜7)を1/3Vccにする。また、T2およびT3の期間における別の特別な場合として、選択WL(WL3)に接続された全てのメモリセル(第1および第2セル領域のメモリセル)にデータ「1」を書き込む場合は、図29に示すように、T2の期間において、選択WL(WL3)をVcc、非選択WL(WL0〜2、4〜7)を1/3Vccとし、全てのビット線BL(BL0〜7)を0Vにするとともに、T3の期間において、選択WL(WL3)を0V、非選択WL(WL0〜2、4〜7)を2/3Vccとし、全てのビット線BL(BL0〜7)をVccにする。
T3の期間の経過後、再びスタンバイ状態に戻す。T3の期間において、第1〜第4セル領域のメモリセルにおける分極状態の変化は、読み出し−再書き込み動作と同様であり、図15〜図18に示すようになる。すなわち、第1セル領域のメモリセルは、分極状態が劣化し(図15参照)、第2セル領域のメモリセルには、所望のデータ「1」が書き込まれる(図16参照)。また、第3セル領域のメモリセルが「0」を保持していた場合、分極状態の劣化が生じ、「1」を保持していた場合、分極状態の改善が生じる(図17参照)。また、第4セル領域のメモリセルが「0」を保持していた場合、分極状態の改善が生じ、「1」を保持していた場合、分極状態の劣化が生じる(図18参照)。
補償動作および「1」書き込み動作における各セル領域のメモリセルの分極状態の劣化および改善状況を以下の表2に示す。
表2から分かるように、T3の終了後に分極状態が劣化しているメモリセル、すなわち、第1セル領域のメモリセル、第3セル領域で「0」を保持していたメモリセル、および、第4セル領域でデータ「1」を保持していたメモリセルは、全て補償動作時に分極状態の改善されたメモリセルである。また、逆にT3終了後に分極状態が改善されているメモリセルは、全て補償動作時に分極状態が劣化したメモリセルである。
このように、第1実施形態による単純マトリックス型の強誘電体メモリでは、書き込み動作を通じて、選択WL(WL3)以外のワード線(WL0〜2、4〜7)に接続されているメモリセル(第3および第4セル領域のメモリセル)、および、選択WLに接続されているメモリセルのうちデータ「0」を書き込むべきメモリセル(第1セル領域のメモリセル)で、分極状態の改善と劣化とが必ず1回ずつ生じる。したがって、書き込み動作を繰り返すことで、分極状態が劣化し続けるメモリセルは存在せず、選択WL(WL3)以外の非選択のワード線(WL0〜2、4〜7)に接続された全ての非選択セル(第3および第4セル領域のメモリセル)、および、選択WLに接続されているメモリセルのうちデータ「0」を書き込むべきメモリセル(第1セル領域のメモリセル)のディスターブ現象を抑制することができる。
また、特別な場合として、選択WL(WL3)に接続された全てのメモリセル(第1および第2セル領域のメモリセル)にデータ「0」を書き込む場合、上記した一括「0」書き込み動作(T1の期間)により、第1および第2セル領域のメモリセルに対してデータ「0」の書き込みが行われる。さらに、この一括「0」書き込み動作で、分極状態の劣化が生じる非選択セル(第3および第4セル領域のメモリセル)は存在しない。したがって、この特別な場合においては、図28に示した電圧波形に代えて、図30に示した電圧波形のように、上記したT2およびT3の動作は行わないようにしても良い。
図30に示したように補償動作(T2の動作)および「1」書き込み動作(T3の動作)を行わないようにするためには、少なくとも補償動作(T2の動作)を開始するまでに、選択WLであるワード線WL3に接続されている第1セル領域および第2セル領域の全てのメモリセル(選択セル)に書き込むべきデータが「0」であることを検出する必要がある。この検出を行う回路としては、図22に示したデータ判別回路11と同等の回路を用いることができる。このデータ判別回路11を含む第1実施形態の第2変形例による強誘電体メモリが図31に示されている。図31を参照して、この第1実施形態の第2変形例による強誘電体メモリは、図示しないメモリ制御回路より出力される書き込みデータをデータ判別回路11に入力し、データ判別回路11のフラグ信号出力をライトアンプ6に入力するように構成されている。そして、図示しないメモリ制御回路より出力される書き込みデータが全てデータ「0」であった場合のみ、ライトアンプ6にフラグ出力信号「1」が入力される。ライトアンプ6は、フラグ出力信号が「1」のときのみ、補償動作(T2の動作)および「1」書き込み動作(T3の動作)を行わないようにロウデコーダ2およびカラムデコーダ3を制御する。したがって、選択WLであるワード線WL3に接続されている第1セル領域および第2セル領域の全てのメモリセル(選択セル)にデータ「0」が書き込まれるときに、補償動作(T2の動作)および「1」書き込み動作(T3の動作)を行わないようにすることができるので、書き込み時の動作数を低減することができる。
なお、図32に示す第1実施形態の第3変形例のように、リードアンプ8の出力およびメモリ制御回路の出力である書き込みデータのうちどちらかを選択してデータ判別回路11に入力するようにしてもよい。この第3変形例による強誘電体メモリは、リードアンプ8の出力およびメモリ制御回路の出力である書き込みデータのうちどちらかを選択してデータ判別回路11に入力するための選択回路14を備えている。選択回路14には、リードアンプ8の出力信号と、図示しないメモリ制御回路から出力される書き込みデータと、書き込み許可信号WEとが入力されている。ここで、WE信号は、書き込み動作時(T1〜T3の動作完了まで)に「1」となり、それ以外の時に「0」となる信号であり、図示しないメモリ制御回路によって生成される。この場合、選択回路14は、WE信号が「1」の場合に図示しないメモリ制御回路から出力される書き込みデータを出力し、WE信号が「0」の場合に、リードアンプ8の出力信号を出力する。つまり、書き込み動作時(T1〜T3の動作完了まで)には、データ判別回路11に、図示しないメモリ制御回路から出力される書き込みデータが入力される。一方、書き込み動作時以外には、データ判別回路11に、リードアンプ8の出力信号が入力される。
したがって、ライトアンプ6は、データ判別回路11のフラグ信号出力を確認することにより、選択セルの読み出しデータが全てデータ「0」であった場合および選択セルへの書き込みデータが全て「0」であった場合の両方において、T2およびT3の動作を行わないようにロウデコーダ2およびカラムデコーダ3を制御することができる。これにより、全ての選択セルからデータ「0」が読み出された場合と、全ての選択セルにデータ「0」を書き込む場合との両方の場合について、T2およびT3の動作を行わないようにすることができる。なお、この第3変形例の選択回路14以外の回路構成は、図23および図31に示した第1および第2変形例と全く同等である。
また、読み出し−再書き込み動作と書き込み動作とを如何なる順序で組み合わせて行ったとしても、分極状態が劣化し続けるメモリセルは存在しない。
以上の説明は、書き込み動作が一括「0」書き込み動作→補償動作→「1」書き込み動作の順で行われる場合を想定したものであるが、一括「1」書き込み動作→補償動作→「0」書き込み動作としても同様の効果を得ることができる。この場合の印加電圧波形を図33に示す。なお、図33では、選択WLをワード線WL3としている。そして、この選択WL(WL3)に接続されたメモリセルのうち、ビット線BL3とビット線BL5に接続されたメモリセルにデータ「0」を書き込むとともに、それ以外のビット線(BL0〜2、BL4、BL6、BL7)に接続されたメモリセルにデータ「1」を書き込んでいる。
書き込み動作が一括「1」書き込み動作→補償動作→「0」書き込み動作の順で行われる場合の特別な例として、選択セルに全てデータ「1」を書き込む場合、一括「1」書き込み動作(T1の期間)により、分極状態の劣化が生じる非選択セル(第3および第4セル領域のメモリセル)は存在しない。したがって、この特別な場合においては、図33に示した電圧波形に代えて、図34に示した電圧波形のように、T2およびT3の動作は行わないようにしても良い。
図34に示すように書き込み動作が一括「1」書き込み動作→補償動作→「0」書き込み動作の順で行われる場合において、選択セルに全てデータ「1」を書き込むときに補償動作(T2の動作)および「0」書き込み動作(T3の動作)を行わないようにするためには、図35に示す第1実施形態の第4変形例のように、データ判別回路11に入力される書き込みデータを反転するためのインバータ回路15を追加する必要がある。
また、書き込み動作が一括「0」書き込み動作→補償動作→「1」書き込み動作の順で行われ、かつ選択セルへの書き込みデータが全てデータ「0」の場合と、書き込み動作が一括「1」書き込み動作→補償動作→「0」書き込み動作の順で行われ、かつ選択セルへの書き込みデータが全てデータ「1」の場合と、読み出し動作において、選択セルからの読み出しデータが全てデータ「0」であった場合との全ての場合において、T2およびT3の動作を行わないようにした第1実施形態の第5変形例による単純マトリックス型の強誘電体メモリが図36に示される。図36を参照して、この第1実施形態の第5変形例による強誘電体メモリは、図32に示した第3変形例による強誘電体メモリと同等の回路構成に加えて、図示しないメモリ制御回路から出力される書き込みデータを反転するインバータ回路15と、図示しないメモリ制御回路で生成される選択信号SLによって、インバータ回路15の出力または、書き込みデータを選択して出力する第2選択回路16とを備えている。ここで、選択信号SLは、書き込み時の動作が一括「0」書き込み動作→補償動作→「1」書き込み動作の順で行われる場合に「0」、書き込み時の動作が一括「1」書き込み動作→補償動作→「1」書き込み動作の順で行われる場合に「1」となる信号である。第2選択回路16は、選択信号SLが「0」の場合に書き込みデータをそのまま出力し、選択信号SLが「1」の場合に書き込みデータを反転したデータを出力する。したがって、WEを「1」と想定すると、データ判別回路11は、書き込み動作が一括「0」書き込み動作→補償動作→「1」書き込み動作の順で行われ、かつ選択セルへの書き込みデータが全てデータ「0」の場合には、フラグ信号「1」を出力し、書き込み動作が一括「1」書き込み動作→補償動作→「0」書き込み動作の順で行われ、かつ選択セルへの書き込みデータが全てデータ「1」の場合には、フラグ信号「1」を出力する。これにより、この第1実施形態の第5変形例では、ライトアンプ6は、フラグ信号が「1」の場合に、T2およびT3の動作を行わないようにロウデコーダ2およびカラムデコーダ3を制御することができる。
(第2実施形態)
この第2実施形態では、上記第1実施形態によるクロスポイント型の強誘電体メモリの全体構成において、リードアンプをビット線BLがほぼ0Vのままデータを判別できるようにした例について説明する。
図37は、第2実施形態のリードアンプの回路構成を示す。図37を参照して、この第2実施形態のリードアンプ8aでは、第1抵抗16の一端は、ビット線BLに接続されており、第1抵抗16の他端はオペアンプ18の反転入力に接続されている。なお、このリードアンプ8aは、本発明の「読み出しデータ判別回路」の一例である。また、オペアンプ18の非反転入力は0Vに接地されている。したがって、反転入力は、オペアンプ18の仮想接地(イマジナリーショート)により、初期状態で0Vとなる。オペアンプ18の出力は第2抵抗17を介して、反転入力にフィードバックされている。これにより、ビット線BLは、オペアンプ18によりほぼ0Vになるように制御される。この第2実施形態では、ビット線BLを入力とする反転増幅器が構成されている。さらに、オペアンプ18の出力は比較器19により参照電圧Vrefと比較される。そして比較結果がラッチ回路20に入力される。OEVは、データ出力が有効か無効かを制御する端子であり、ラッチ回路に入力されている。このOEVが「1」の時、データ出力は比較器19の出力と無関係に「0」となり、無効となる。逆にOEVが「0」の時、データ出力は有効となる。具体的には、比較器19の出力が「0」の場合、データ出力は「0」に保持され、比較器19の出力が「1」に変化した場合、データ出力は「1」に変化する。この後、データ出力は、OEVが「1」になるまで、比較器19の出力変化とは無関係に「1」になる。つまり、OEVが「0」の時、データ出力は、比較器19の出力の一時的な変化に伴って、「0」から「1」に変化し、これが保持される。
従来のリードアンプでは、ビット線BLに生じた電位と参照電圧とを、直接比較して、読み出したデータの「0」、「1」を判別する。具体的には、上記の第1実施形態に記載したデータ「0」が読み出されるビット線BLに生じる電圧Vr0と、データ「1」が読み出されるビット線BLに生じる電圧Vr1との中間の電圧を参照電圧として生成する。そして、ビット線BLに生じる電圧が参照電圧よりも大きい場合、データ「0」が読み出されたものとし、ビット線BLに生じる電圧が参照電圧より小さい場合、データ「1」が読み出されたものとする。一般に、Vr0とVr1とは非常に近い値である。したがって、データを正しく判別するためには、参照電圧を正確に生成することが要求される。
これに対して、第2実施形態のリードアンプ8aでは、ビット線BLに生じた電位をオペアンプ18により増幅した電圧と、参照電圧Vrefとを比較して、読み出したデータの「0」、「1」を判別する。したがって、参照電圧Vrefは、データ「0」が読み出されるビット線BLに生じる電圧をオペアンプにより増幅した電圧と、データ「1」が読み出されるビット線BLに生じる電圧をオペアンプにより増幅した電圧との間に設定すればよい。この場合、参照電圧として設定すべき電圧の範囲が従来に比べて大きくなるので、従来に比べて参照電圧の生成が容易になる。
また、この第2実施形態では、上記第1実施形態の読み出し−書き込み動作における、全ビット線をフローティングにする動作が不要となるため、高速動作が可能である。
図38を参照して、この第2実施形態では、読み出し−再書き込み動作はT1〜T3の期間で行われるが、第1実施形態におけるt1の期間を設ける必要がない。なぜなら、上記のように第2実施形態によるリードアンプ8aでは、全ビット線をフローティング状態にすることなくビット線BLのデータ判別が可能であるからである。
(読み出し動作)
図38に示すように、スタンバイ状態から、T1の期間において、選択WLであるWL3をVccにする。このとき、メモリセルアレイにおける電位差分布は、図25に示した第1実施形態の書き込み動作の際のT1の期間における電位差と同様の分布になる。すなわち、T1の期間において、WL3に接続された全てのメモリセル(第1および第2セル領域のメモリセル)にVccの電位差が生じ、第3および第4セル領域のメモリセル(非選択セル)には電位差が生じない。この状態で、図37に示したリードアンプ8aにより、全ビット線BLの電圧変化を検知することによって、データ「0」またはデータ「1」の判定を行う。この場合、全ビット線BLは、オペアンプ18により0Vになるように制御されているので、全ビット線BLの電圧変化は微小である。この微小な電圧変化をオペアンプ18により増幅した後、参照電位と比較することによりデータの判別を行う。これにより、ビット線BLがほぼ0Vの状態で、データの読み出しを行うことが可能になる。
この後、WL3を0Vにして読み出し動作を完了する。この読み出し動作により、第1実施形態の場合と同様、第1および第2セル領域のメモリセルにデータ「0」が書き込まれるので、データ「1」が保持されていた第2セル領域のメモリセルのデータが破壊される。第2セル領域のメモリセルへのデータ「1」の再書き込み動作は、T2とT3の期間で行う。
(再書き込み動作)
T2とT3の期間におけるワード線WLおよびビット線BLへの印加電圧および各メモリセルでの分極状況の変化は、第1実施形態の場合と全く同様である。
以上のように本発明の第2実施形態に係る単純マトリクス方式の強誘電体メモリは、t1の期間を設ける必要がないため、ビット線を制御するための制御回路(たとえば図1におけるカラムデコーダ3)の構成が簡単になる。また、メモリセルアレイに図6の上図に示す電位差が発生しないため、分極状態が劣化するメモリセルをより削減することができる。
なお、第2実施形態の書き込み動作に関しては、第1実施形態の場合と全く同様である。
(第3実施形態)
この第3実施形態は、単純マトリックス型の強誘電体メモリに関して、読み出し時に必要となる参照電圧を、データ記憶用とは別に設けられたダミーセルからデータを読み出すことにより生成するように構成したメモリに関する。
まず、図39を参照して、第3実施形態における単純マトリックス型の強誘電体メモリの全体構成について説明する。第3実施形態における単純マトリックス型の強誘電体メモリは、メモリセルアレイ1aと、ダミーセルアレイ1bと、ロウデコーダ2a、2bと、カラムデコーダ3a、3bと、ロウアドレスバッファ4a、4bと、カラムアドレスバッファ5a、5bと、ライトアンプ6a、6bと、入力バッファ7と、電圧センスアンプからなるリードアンプ8と、出力バッファ9と、電圧生成回路10とを備えている。この電圧生成回路10は、1/3Vccおよび2/3Vccを印加可能なように構成されている(図2参照)。図中、ワード線WLmとビット線BLnとの交点に位置するメモリセルには、ワード線WLmdとビット線BLndとの交点に位置するダミーのメモリセル(ダミーセル)が対応する。また、第3実施形態においてメモリセルおよびダミーセルは、強誘電体キャパシタ(図示せず)のみからなる。この場合、メモリセルを構成する強誘電体キャパシタは、本発明の「第1記憶手段」の一例であり、ダミーセルを構成する強誘電体キャパシタは、本発明の「第2記憶手段」の一例である。
(1)書き込み動作
メモリセルアレイにおいて、選択WLをWL3とし、この選択WL(WL3)に接続されたメモリセルのうちビット線BL3とBL5に接続されたメモリセルにデータ「1」、それ以外のビット線(BL0〜2、4、6、7)に接続されたメモリセルに「0」を書き込む場合について説明する。このとき、ダミーセルには、メモリセルと逆の極性のデータを書き込む。すなわち、選択WLであるWL3dに接続されたダミーセルのうち、ビット線BL3dとBL5dに接続されているダミーセルにデータ「0」を、それ以外のビット線(BL0d〜2d、4d、6d、7d)に接続されたダミーセルに「1」を書き込む。
図40には、メモリセルおよびダミーセルに上記したデータを書き込む際の印加電圧波形の一例が示されている。図40を参照して、メモリセルアレイに対する印加電圧は図24に示すものと同等であり、書き込み動作によりメモリセルの分極状態が劣化し続けることはない。したがって、書き込み動作時において、少なくとも選択WL(WL3)以外のワード線(WL0〜2、4〜7)に接続された全ての非選択のメモリセルにおけるディスターブ現象を抑制することができる。また、ダミーセルアレイに対する印加電圧は図33に示すものと同等であり、書き込み動作によりダミーセルの分極状態が劣化し続けることはない。したがって、書き込み動作時において、少なくとも選択WL(WL3d)以外のワード線(WL0d〜2d、4d〜7d)に接続された全ての非選択のダミーセルにおけるディスターブ現象をも抑制することができる。また、図40に示した例では、ダミーセルに対する書き込み動作を、一括「1」書き込み動作→補償動作→「0」書き込み動作の順で行っているが、一括「0」書き込み動作→補償動作→「1」書き込み動作の順で行っても同様の効果が得られる。
(2)読み出し−再書き込み動作
選択WLがWL3であり、選択WL(BL3)に接続されたメモリセルのうち、ビット線BL3とBL5に接続されたメモリセルにデータ「1」が、それ以外のビット線(BL0〜2、4、6、7)に接続されたメモリセルにデータ「0」が記憶されている場合について説明する。このとき、上記したように、メモリセルと対応するダミーセルには、メモリセルと逆の極性のデータが記憶されている。すなわち、ワード線WL3dとビット線BL3dおよびBL5dの交点に位置するダミーセルにデータ「0」が、ワード線WL3dとそれ以外のビット線(BL0d〜2d、4d、6d、7d)との交点に位置するダミーセルにデータ「1」がそれぞれ記憶されている。
図41を参照して、まず、スタンバイ状態から、すべてのビット線BL0〜BLnおよびBL0d〜BLndをフローティング状態にし、同じタイミングで選択WLであるWL3およびWL3dをVccにする。この状態で、メモリセルアレイの各ビット線(BL0〜BLn)の電位とダミーセルアレイの各ビット線(BL0d〜BLnd)の電位を電圧センスアンプであるリードアンプ8で比較して増幅することによりデータの判別を行う。例えば、BL3の電位は、データ「1」を記憶したメモリセルの電荷によりVr1となり、BL3dの電位は、データ「0」を記憶したダミーセルの電荷によりVr0(<Vr1)となるので、BL3の電位とBL3dの電位とを比較するとBL3の電位の方が大きい。この場合、BL3とBL3dの交点に位置するメモリセルのデータは「1」とする。また、逆にBL3の電位が、BL3dの電位よりも小さい場合、BL3とBL3dの交点に位置するメモリセルのデータは「0」とする。
その後、すべてのビット線を0Vとする。このとき、メモリセルアレイにおいてBL3に接続されている全てのメモリセルおよびダミーセルアレイにおいてBL3dに接続されている全てのダミーセルには、T1−t1の期間、Vccの電圧が印加される。したがって、これらのセルにはデータ「0」が書き込まれる。
次に、WL3およびWL3dを0Vにしてスタンバイ状態に戻す。T2とT3の期間で行われるメモリセルアレイおよびダミーセルアレイに対する再書き込み動作は、第1実施形態の場合と同様であり、得られる効果も同様である。
(第4実施形態)
この第4実施形態は、単純マトリックス型の強誘電体メモリの任意のワード線WLに接続された全てのメモリセルに対して一括して行われる読み出し−再書き込み動作および書き込み動作に関し、所定の電圧を書き込み電圧の1/2の電圧としたものである。
この第4実施形態による単純マトリックス型の強誘電体メモリでは、図1に示した1/3Vcc・2/3Vcc生成回路からなる電圧生成回路10に代えて、図42に示すように、1/2Vcc生成回路からなる電圧生成回路10aを用いる。図42を参照して、第4実施形態による電圧生成回路10aを構成する1/2Vcc生成回路では、一方の電圧入力端子50にVccを印加するとともに、他方の電圧入力端子51に0Vを印加する。これにより、1/2Vcc生成回路の電圧出力端子52には、0VとVccとの中間の1/2Vccの電圧が生成される。第4実施形態のその他の全体構成は、図1に示した第1実施形態の全体構成と同様である。
次に、図43〜図53を参照して、第4実施形態の単純マトリックス方式の強誘電体メモリにおける読み出し−再書き込み動作について説明する。なお、この第4実施形態では、図3に示すように選択WLがワード線WL3であるとする。また、この選択WL(ワード線WL3)に接続されたメモリセルのうちビット線BL3およびビット線BL5に接続されたメモリセルにはデータ「1」が記憶されており、それ以外のビット線(BL0〜2、4、6、7)に接続されたメモリセルにデータ「0」が記憶されているとする。また、図4に示すように、選択WLに接続されているメモリセルのうち、データ「0」を記憶しているメモリセル群を第1セル領域、選択WLに接続されているメモリセルのうち、データ「1」を記憶しているメモリセル群を第2セル領域とする。また、非選択WLに接続されたメモリセルのうち、ビット線BL3およびビット線BL5に接続されたメモリセル群を第3セル領域、非選択WLに接続されたメモリセルのうち、ビット線BL3およびビット線BL5以外のビット線に接続されたメモリセル群を第4セル領域とする。すなわち、第1セル領域および第2セル領域のメモリセルが選択セルであり、第3セル領域および第4セル領域のメモリセルが非選択セルである。
(1)読み出し−再書き込み動作
図43に示すように、読み出し−再書き込み動作は、T1、T2およびT3の期間で行われる。T2およびT3の期間は、それぞれの期間において互いに逆方向の電界をメモリセルに与えた場合に、メモリセルで発生する分極の変化量が等しくなるように決定する。通常、T2およびT3の期間は同じT秒である。また、T1〜T3の期間で行う各動作は、連続して行ってもよいし、それぞれ独立して行ってもよい。t1は、全てのビット線BLをフローティング状態にする期間を示しており、t1を開始するタイミングは、選択WLにVccを印加するタイミングと同じか、または、数nsec〜数十nsec程度早くても良い。
以下に、T1〜T3の期間での各動作について説明する。なお、スタンバイ状態では、ワード線WLおよびビット線BLは、0Vとする。
(読み出し動作)
図43に示したT1の期間では、データ読み出しを行う。まず、スタンバイ状態から、全てのビット線BLをフローティング状態にし、同じタイミングかまたは数nsec〜数十nsec遅らせて選択WL(WL3)をVccにする。この状態で全ビット線BLの電圧を検知することによって、データ「0」またはデータ「1」の判定を行う。このデータ「0」または「1」の判定は、選択BLの電位と、別途生成された参照電位とを、電圧センスアンプであるリードアンプ8(図1参照)により比較して増幅することによって行う。このt1の期間において、第1セル領域〜第4セル領域(図4参照)のメモリセルには、図6の上図に示すような以下の電位差が生じる。
図4および図6を参照して、第1セル領域のメモリセルには、Vcc−Vr0(「0」データ読み出し電位)の電位差がt1の期間印加される。また、第2セル領域のメモリセルにはVcc−Vr1(「1」データ読み出し電位)の電位差がt1の期間印加される。また、第3セル領域のメモリセルには、−Vr1の電位差がt1の期間印加される。また、第4セル領域のメモリセルには、−Vr0の電位差がt1の期間印加される。
このとき、ビット線BL方向のセル数を多くして、ビット線BL全体の負荷容量を大きくすることにより、「1」データ読み出し電位Vr1および「0」データ読み出し電位Vr0を抗電圧よりも小さくすることができる。なお、抗電圧とは、強誘電体膜内部を分極反転させるために必要な最小の電圧のことをいう。したがって、抗電圧よりも小さい電圧を強誘電体膜に対して長時間印加したとしても、分極状態が反転することはない。これにより、Vr1およびVr0を抗電圧より小さい電圧に設定することにより、確実に第3および第4セル領域のメモリセルの分極状態の劣化を抑えることができる。
上記第1実施形態で記載した通り、t1の期間は、十分短くすることが可能である。t1の期間を十分短くすることにより、第3および第4セル領域のメモリセルにおいて、t1の期間で生じる分極状態の変化は、実質的に無視することができる。
t1の期間の経過後、全てのビット線BLを0Vにする。この期間が、t1以外のT1の期間に相当し、各メモリセルアレイにおける電位差分布は、図6の下図に示すようになる。図4および図6を参照して、第1および第2セル領域のメモリセル(選択セル)には、Vccの電位差がT1−t1の期間印加され、第3および第4セル領域のメモリセル(非選択セル)には、電位差が生じない。
このT1の期間の経過後、選択WLであるワード線WL3の電圧を0Vにしてスタンバイ状態に戻すことによって、読み出し動作を完了する。T1の期間において、第1セル領域および第2セル領域のメモリセル(選択セル)の分極変化は、それぞれ、図44および図45に示されるようになる。すなわち、図44に示すように読み出し動作により、データ「0」が記憶されていた第1セル領域のメモリセルのデータは破壊されない。その一方、図45に示すように、データ「1」が記憶されていた第2セル領域のメモリセルのデータ「1」は破壊されてデータ「0」が書き込まれた状態になる。したがって、第2セル領域のメモリセルにデータ「1」を再書き込みする必要がある。第4実施形態では、この再書き込み動作をT2、T3の期間で行う。
(再書き込み動作)
スタンバイ状態から、図43に示したT2の期間において、選択WL(WL3)をVcc、非選択WL(WL0〜2、4〜7)を1/2Vcc、読み出し動作において、データ「1」が読み出されたメモリセルに接続されているビット線BL3およびBL5を0V、それ以外のビット線(BL0〜2、4、6、7)を1/2Vccにする。この場合、T2の期間であるT秒間において、図46に示す電位差が第1〜4セル領域のメモリセルに印加される。すなわち、第1セル領域および第3セル領域のメモリセルには、1/2Vccの電位差が印加され、第2セル領域のメモリセルには、Vccの電位差が印加される。また、第4セル領域のメモリセルには、電位差が生じない。
T2の期間の経過後、再びスタンバイ状態に戻す。なお、T2の期間において、第1〜4セル領域のメモリセルの分極変化は、それぞれ、図47〜図49に示すようになる。図47に示すように、第1セル領域のメモリセルには、T2の期間、1/2Vccの電位差が印加されるため、分極状態が改善される。また、図48に示すように、T1の期間でデータ「0」が書き込まれた、第2セル領域のメモリセルには、T2の期間、Vccの電位差が印加されるため、再びデータ「0」が書き込まれる。第3セル領域のメモリセルは、記憶しているデータの内容によって、分極状態の改善または劣化が生じる。具体的には、図49に示すように、第3セル領域のメモリセルが「0」を保持していた場合、分極状態の改善が生じ、「1」を保持していた場合、分極状態の劣化が生じる。第4セル領域のメモリセルには電位差が生じないため、分極状態の変化はない。
次に、スタンバイ状態から、図43に示したT3の期間において、選択WL(WL3)を0V、非選択WL(WL0〜2、4〜7)を1/2Vcc、読み出し動作において、データ「1」が読み出されたメモリセルに接続されているビット線BL3およびBL5をVcc、それ以外のビット線(BL0〜2、4、6、7)を1/2Vccにする。この場合、T3の期間であるT秒間において、図50に示す電位差が第1〜4セル領域のメモリセルに印加される。すなわち、第1セル領域および第3セル領域のメモリセルには、−1/2Vccの電位差が印加され、第2セル領域のメモリセルには、−Vccの電位差が印加される。また、第4セル領域のメモリセルには、電位差が生じない。
なお、上記T2およびT3の期間における特別な場合として、読み出し動作において選択WL(WL3)に接続された全てのメモリセル(第1および第2セル領域のメモリセル)からデータ「0」が読み出された場合は、ワード線WLおよびビット線BLに図54に示すような電圧を印加する。すなわち、T2の期間において、選択WL(WL3)をVcc、非選択WL(WL0〜2、4〜7)を1/2Vccとし、全てのビット線BL(BL0〜7)を1/2Vccにする。また、T3の期間において、選択WL(WL3)を0V、非選択WL(WL0〜2、4〜7)を1/2Vccとし、全てのビット線BL(BL0〜7)を1/2Vccにする。また、T2およびT3の期間における別の特別な場合として、読み出し動作において選択WL(WL3)に接続された全てのメモリセル(第1および第2セル領域のメモリセル)からデータ「1」が読み出された場合は、ワード線WLおよびビット線BLに図55に示すような電圧を印加する。すなわち、T2の期間において、選択WL(WL3)をVcc、非選択WL(WL0〜2、4〜7)を1/2Vccとし、全てのビット線BL(BL0〜7)を0Vにする。また、T3の期間において、選択WL(WL3)を0V、非選択WL(WL0〜2、4〜7)を1/2Vccとし、全てのビット線BL(BL0〜7)をVccにする。
T3の期間の経過後、図43に示すように、再びスタンバイ状態に戻し、一連の読み出し−再書き込み動作が終了する。なお、T3の期間において、第1〜4セル領域のメモリセルの分極変化は、それぞれ、図51〜図53のようになる。図51に示すように、第1セル領域のメモリセルは、T3の期間、−1/2Vccの電位差が印加されるため、分極状態が劣化する。また、図52に示すように、第2セル領域のメモリセルには、T3の期間−Vccの電位差が印加されるので、データ「1」が書き込まれる。これにより、読み出し動作によって破壊されたデータ「1」の再書き込みが完了する。第3セル領域のメモリセルでは、T2の期間と同様、記憶しているデータの内容によって、分極状態の改善または劣化が生じる。具体的には、図53に示すように、第3セル領域のメモリセルが「0」を保持していた場合、分極状態の劣化が生じ、「1」を保持していた場合、分極状態の改善が生じる。第4セル領域のメモリセルには電位差が生じないため、分極状態の変化はない。
すなわち、第4実施形態による単純マトリックス型の強誘電体メモリでは、読み出し−再書き込み動作を通じて、選択WL(WL3)に接続されているメモリセルのうちデータ「0」を保持していたメモリセル(第1セル領域のメモリセル)で分極状態の改善と劣化とが必ず1回ずつ生じる。また、選択WL(WL3)以外のワード線(WL0〜2、4〜7)と、読み出し動作によってデータ「1」が読み出されたビット線BL3およびBL5以外のビット線(BL0〜2、4、6、7)との交点に位置するメモリセル(第4セル領域のメモリセル)には電圧が全く印加されない。したがって、読み出し−再書き込み動作を繰り返すことで、分極状態が劣化し続けるメモリセルは存在しない。
第4実施形態では、上記のように、読み出しおよび再書き込みを通じて、選択WL(WL3)に接続されているメモリセルのうち「0」を保持していたメモリセル(第1セル領域のメモリセル)と、非選択WL(WL0〜2、4〜7)に接続されたメモリセルのうち読み出し動作時にデータ「1」が読み出されたメモリセルが接続されたビット線BL3およびBL5に接続されたメモリセル(第3セル領域のメモリセル)とに、互いに逆方向の電圧(±1/2Vcc)が一回ずつ印加されるので、読み出し動作時の分極劣化を抑制することができる。また、読み出しおよび書き込みを通じて、非選択WL(WL0〜2、4〜7)に接続されたメモリセルのうち読み出し動作時にデータ「1」が読み出されたビット線BL3およびBL5以外のビット線(BL0〜2、4、6、7)に接続されたメモリセル(第4セル領域のメモリセル)には、電位差が生じない。これにより、全ての非選択セル(第3および第4セル領域のメモリセル)および選択セルのうちデータ「0」を保持していた第1セル領域のメモリセルのディスターブ現象を抑制することができる。
また、特別な場合として、読み出し動作において選択WL(WL3)に接続された全てのメモリセル(第1および第2セル領域のメモリセル)からデータ「0」が読み出された場合、この読み出し動作によってデータが破壊される第1および第2セル領域のメモリセルは存在しない。すなわち、読み出し動作によって読み出された全てのデータは、読み出し後に選択WLに接続された全てのメモリセル(第1および第2セル領域のメモリセル)に保持されている全てのデータと同じである。さらに、この読み出し動作で、実質的に分極状態の劣化が生じる非選択セル(第3および第4セル領域のメモリセル)は存在しない。したがって、この特別な場合においては、第1実施形態の場合と同様、図21に示したように、上記したT2およびT3の動作は行わないようにしても良い。
このように、第4実施形態による単純マトリックス型の強誘電体メモリにおいて、選択セルから読み出しデータが全てデータ「0」であった場合に再書き込み動作(T2およびT3の動作)を行わないようにするためには、図23に示した第1実施形態の第1変形例による回路を構成する1/3Vcc・2/3Vcc生成回路からなる電圧生成回路10を、図42に示す1/2Vcc生成回路からなる電圧生成回路10aに置き換えればよい。このとき、再書き込み動作(T2およびT3の動作)を行わない場合の回路動作は、第1実施形態の第1変形例で説明した回路動作と全く同じであり、得られる効果も全く同じである。
(2)書き込み動作
書き込み動作のT1の期間において、メモリセルアレイに印加される電位差の分布は、図25に示した第1実施形態の場合と同様である。なお、第4実施形態における書き込み動作の説明では、図3に示すように選択WLがWL3であり、選択WL(WL3)に接続されたメモリセルのうちビット線BL3およびビット線BL5にデータ「1」を、それ以外のビット線(BL0〜2、4、6、7)に接続されたメモリセルにデータ「0」を書き込む場合を想定している。また、各セル領域の定義は第1実施形態(図4参照)と同様である。
書き込み動作は、図56のT1の期間で行われる一括「0」書き込み動作、T2の期間で行われる補償動作およびT3の期間で行われる「1」書き込み動作を通じて行われる。T2およびT3の期間は、それぞれの期間において互いに逆方向の電界をメモリセルに与えた場合に、メモリセルで発生する分極の変化量が等しくなるように決定する。通常、T2およびT3の期間は同じT秒である。また、T1〜T3の期間で行われる各動作は、連続して行ってもよいし、それぞれ独立して行ってもよい。以下に、各動作について説明を行う。
(一括「0」書き込み動作)
図56に示したT1の期間では、選択WLであるWL3に接続された全てのメモリセルに対してデータ「0」の書き込みを行う。まず、スタンバイ状態から、WL3のみをVccにする。このとき、各メモリセルにおける電位差分布は、図25に示すようになる。すなわち、第1および第2セル領域のメモリセル(選択セル)にはVcc電位差がT1の期間印加され、第3および第4セル領域のメモリセル(非選択セル)には電位差が生じない。
このT1の期間の経過後、WL3の電圧を0Vにしてスタンバイ状態に戻すことによって、一括「0」書き込み動作を完了する。T1の期間において、第1および第2セル領域のメモリセルにおける分極状態の変化は、それぞれ、図57および図58に示されるようになる。すなわち、データ「0」が保持されていた第1セル領域およびデータ「1」が保持されていた第2セル領域のメモリセルには、共にデータ「0」が書き込まれる。なお、第3および第4セル領域のメモリセルには電位差が生じないため、分極状態の変化はない。
(補償動作)
図56に示したT2の期間では、後述するT3の期間で行われる「1」書き込み動作により分極状態の劣化が生じるメモリセルに対して、予め分極状態を改善しておくための動作(補償動作)を行う。
スタンバイ状態から、図56に示すT2の期間において、選択WL(WL3)をVcc、非選択WL(WL0〜2、4〜7)を1/2Vcc、データ「1」を書き込むべきメモリセルが接続されたビット線BL3およびBL5を0V、それ以外のビット線(BL0〜2、4、6、7)を1/2Vccにする。この場合、T2の期間であるT秒間において、読み出し−再書き込み動作と同様の図46に示す電位差が第1〜4セル領域のメモリセルに印加される。すなわち、第1セル領域および第3セル領域のメモリセルには1/2Vcc、第2セル領域のメモリセルにはVccが印加される。また、第4セル領域のメモリセルには電位差が生じない。
T2の期間の経過後、再びスタンバイ状態に戻す。T2の期間において、第1〜4セル領域のメモリセルにおける分極状態の変化は、読み出し−再書き込み動作と同様であり、それぞれ、図47〜49に示すようになる。すなわち、第1セル領域のメモリセルは、分極状態が改善され(図47参照)、第2セル領域のメモリセルは、再びデータ「0」が書き込まれる(図48参照)。また、第3セル領域のメモリセルが「0」を保持していた場合、分極状態の改善が生じ、「1」を保持していた場合、分極状態の劣化が生じる(図49参照)。第4セル領域のメモリセルには電位差が生じないため、分極状態の変化はない。
(「1」書き込み動作)
スタンバイ状態から、図56に示したT3の期間において、選択WL(WL3)を0V、非選択WL(WL0〜2、4〜7)を1/2Vcc、データ「1」を書き込むべきメモリセルが接続されたビット線BL3およびBL5をVcc、それ以外のビット線(BL0〜2、4、6、7)を1/2Vccにする。この場合、T3の期間であるT秒間において、読み出し−再書き込み動作と同様の図50に示す電位差が第1〜4セル領域のメモリセルに印加される。すなわち、第1セル領域および第3セル領域のメモリセルには、−1/2Vccの電位差が印加され、第2セル領域のメモリセルには、−Vccの電位差が印加される。また、第4セル領域のメモリセルには、0Vの電位差が印加される。
なお、上記T2およびこのT3の期間における特別な場合として、選択WL(WL3)に接続された全てのメモリセル(第1および第2セル領域のメモリセル)にデータ「0」を書き込む場合は、図59に示すように、T2の期間において、選択WL(WL3)をVcc、非選択WL(WL0〜2、4〜7)を1/2Vccとし、全てのビット線BL(BL0〜7)を1/2Vccにするとともに、T3の期間において、選択WL(WL3)を0V、非選択WL(WL0〜2、4〜7)を1/2Vccとし、全てのビット線BL(BL0〜7)を1/2Vccにする。また、T2およびT3の期間における別の特別な場合として、選択WL(WL3)に接続された全てのメモリセル(第1および第2セル領域のメモリセル)にデータ「1」を書き込む場合は、図60に示すように、T2の期間において、選択WL(WL3)をVcc、非選択WL(WL0〜2、4〜7)を1/2Vccとし、全てのビット線BL(BL0〜7)を0Vにするとともに、T3の期間において、選択WL(WL3)を0V、非選択WL(WL0〜2、4〜7)を1/2Vccとし、全てのビット線BL(BL0〜7)をVccにする。
T3の期間の経過後、再びスタンバイ状態に戻す。T3の期間において、第1〜4セル領域のメモリセルにおける分極状態の変化は、読み出し−再書き込み動作と同様であり、それぞれ、図51〜図53に示すようになる。すなわち、第1セル領域のメモリセルは、分極状態が劣化し(図51参照)、第2セル領域のメモリセルには、所望のデータ「1」が書き込まれる(図52参照)。また、第3セル領域のメモリセルが「0」を保持していた場合、分極状態の劣化が生じ、「1」を保持していた場合、分極状態の改善が生じる(図53参照)。第4セル領域のメモリセルには電位差が生じないため、分極状態の変化はない。
補償動作および「1」書き込み動作における各セル領域のメモリセルの分極状態の劣化および改善状況を以下の表3に示す。
表3から分かるように、T3の終了後に分極状態が劣化しているメモリセル、すなわち、第1セル領域のメモリセル、第3セル領域で「0」を保持していたメモリセル、および、第4セル領域でデータ「1」を保持していたメモリセルは、全て補償動作時に分極状態の改善されたメモリセルである。また、逆にT3終了後に分極状態が改善されているメモリセルは、全て補償動作時に分極状態が劣化したメモリセルである。
このように、第4実施形態による単純マトリックス型の強誘電体メモリでは、書き込み動作を通じて、選択WL(WL3)に接続されているメモリセルのうち「0」を保持していたメモリセル(第1セル領域のメモリセル)と、非選択WL(WL0〜2、4〜7)に接続されたメモリセルのうち読み出し動作時にデータ「1」が読み出されたメモリセルが接続されたビット線BL3およびBL5に接続されたメモリセル(第3セル領域のメモリセル)とに、互いに逆方向の電圧(±1/2Vcc)が一回ずつ印加されるので、書き込み時の分極劣化を抑制することができる。また、書き込み動作を通じて、非選択WL(WL0〜2、4〜7)に接続されたメモリセルのうち読み出し動作時にデータ「1」が読み出されたビット線BL3およびBL5以外のビット線(BL0〜2、4、6、7)に接続されたメモリセル(第4セル領域のメモリセル)には、電位差が生じない。したがって、書き込み動作を繰り返すことで、分極状態が劣化し続けるメモリセルは存在しない。これにより、全ての非選択セル(第3および第4セル領域のメモリセル)および選択セルのうちデータ「0」を保持していた第1セル領域のメモリセルのディスターブ現象を抑制することができる。
また、特別な場合として、選択WL(WL3)に接続された全てのメモリセル(第1および第2セル領域のメモリセル)にデータ「0」を書き込む場合、一括「0」書き込み動作により、第1および第2セル領域のメモリセルに対してデータ「0」の書き込みが行われる。さらに、この一括「0」書き込み動作で、分極状態の劣化が生じる非選択セル(第3および第4セル領域のメモリセル)は存在しない。したがって、この特別な場合においては、図59に示した電圧波形に代えて、図61に示した電圧波形のように、上記したT2およびT3の動作は行わないようにしても良い。
図61に示したように、第4実施形態による単純マトリックス型の強誘電体メモリにおいて、選択セルへの書き込みデータが全てデータ「0」であった場合に、補償動作(T2の動作)および「1」書き込み動作(T3の動作)を行わないようにするためには、図31に示した第1実施形態の第2変形例による回路を構成する1/3Vcc・2/3Vcc生成回路からなる電圧生成回路10を、図42に示す1/2Vcc生成回路からなる電圧生成回路10aに置き換えればよい。このとき、補償動作(T2の動作)および「1」書き込み動作(T3の動作)を行わない場合の回路動作は、第1実施形態の第2変形例で説明した回路動作と全く同じであり、得られる効果も全く同じである。
さらに、この第4実施形態による単純マトリックス型の強誘電体メモリにおいて、選択セルの読み出しデータが全てデータ「0」であった場合および選択セルへの書き込みデータが全て「0」であった場合の両方において、T2およびT3の動作を行わないようにするためには、図32に示した第1実施形態の第3変形例による回路を構成する1/3Vcc・2/3Vcc生成回路からなる電圧生成回路10を、図42に示す1/2Vcc生成回路からなる電圧生成回路10aに置き換えればよい。
また、読み出し−再書き込み動作と書き込み動作とを如何なる順序で組み合わせて行ったとしても、分極状態が劣化し続けるメモリセルは存在しない。さらに第1実施形態で記載した読み出し−再書き込み動作と書き込み動作、および第4実施形態で記載した読み出し−再書き込み動作と書き込み動作を如何なる順序で組合わせて行ったとしても、分極が劣化し続けるメモリセルは存在しない。
以上の説明は、書き込み動作が一括「0」書き込み動作→補償動作→「1」書き込み動作の順で行われる場合を想定したものであるが、一括「1」書き込み動作→補償動作→「0」書き込み動作の順で行われた場合においても、全く同様の効果を得ることができる。この場合の印加電圧波形を図62に示す。なお、図62では、選択WLをワード線WL3としている。そして、この選択WL(WL3)に接続されたメモリセルのうち、ビット線BL3とビット線BL5に接続されたメモリセルにデータ「0」を書き込むとともに、それ以外のビット線(BL0〜2、BL4、BL6、BL7)に接続されたメモリセルにデータ「1」を書き込んでいる。
書き込み動作が一括「1」書き込み動作→補償動作→「0」書き込み動作の順で行われる場合の特別な例として、選択セルに全てデータ「1」を書き込む場合、一括「1」書き込み動作(T1の期間)により、分極状態の劣化が生じる非選択セル(第3および第4セル領域のメモリセル)は存在しない。したがって、この特別な場合においては、図62に示した電圧波形に代えて、図34に示した電圧波形のように、T2およびT3の動作は行わないようにしても良い。
このように、書き込み動作が一括「1」書き込み動作→補償動作→「0」書き込み動作の順で行われる場合において、選択セルに全てデータ「1」を書き込むときに補償動作(T2の動作)および「0」書き込み動作(T3の動作)を行わないようにするためには、上記した第1実施形態と同じように、データ判別回路11に入力される書き込みデータを反転するためのインバータ回路15を追加する必要がある(図35参照)。この場合、図35の回路構成において、1/3Vcc・2/3Vcc生成回路からなる電圧生成回路10を図42に示す1/2Vcc生成回路からなる電圧生成回路10aに置き換えればよい。
さらに、書き込み動作が一括「0」書き込み動作→補償動作→「1」書き込み動作の順で行われ、かつ選択セルへの書き込みデータが全てデータ「0」の場合と、書き込み動作が一括「1」書き込み動作→補償動作→「0」書き込み動作の順で行われ、かつ選択セルへの書き込みデータが全てデータ「1」の場合と、読み出し動作において、選択セルからの読み出しデータが全てデータ「0」であった場合との全ての場合において、T2およびT3の動作を行わない単純マトリックス型の強誘電体メモリは図36に示した、第1実施形態の第5変形例による回路構成において、1/3Vcc・2/3Vcc生成回路からなる電圧生成回路10を図42に示す1/2Vcc生成回路からなる電圧生成回路10aに置き換えることで実現される。この場合の回路動作は、第1実施形態の第5変形例で説明した回路動作と全く同じである。
(第5実施形態)
この第5実施形態では、上記第4実施形態によるクロスポイント型の強誘電体メモリの全体構成において、リードアンプをBLがほぼ0Vのままデータを判別できるようにした例について説明する。
リードアンプの回路構成は、第2実施形態に記載した構成と全く同様である(図37参照)。
図63を参照して、この第5実施形態では、読み出し−再書き込み動作はT1〜T3の期間で行われるが、第1実施形態におけるt1の期間を設ける必要がない。なぜなら、上記のように第5実施形態によるリードアンプ8a(図37参照)では、全ビットをフローティング状態にすることなくビット線のデータ判別が可能であるからである。
(読み出し動作)
図63に示すように、スタンバイ状態から、T1の期間において、選択WLであるWL3をVccにする。このとき、メモリセルアレイにおける電位差分布は、図25に示した第1実施形態の書き込み動作の際のT1の期間における電位差と同様の分布になる。すなわち、T1の期間において、WL3に接続された全てのメモリセル(第1および第2セル領域のメモリセル)にVccの電位差が生じ、第3および第4セル領域のメモリセルには電位差が生じない。この状態で、リードアンプ8aにより、全ビット線BLの電圧変化を検知することによって、データ「0」またはデータ「1」の判定を行う。
この後、WL3を0Vにして読み出し動作を完了する。この読み出し動作により、第4実施形態の場合と同様、第1セル領域および第2セル領域のメモリセルにデータ「0」が書き込まれるので、データ「1」が保持されていた第2セル領域のメモリセルのデータが破壊される。第2セル領域のメモリセルへのデータ「1」の再書き込み動作は、T2とT3の期間で行う。
(再書き込み動作)
T2とT3の期間におけるワード線WLおよびビット線BLへの印加電圧と、各メモリセルでの分極状況の変化とは、第4実施形態の場合と全く同様である。
以上のように本発明の第5実施形態に係る単純マトリクス方式の強誘電体メモリは、t1の期間を設ける必要がないため、ビット線を制御するための制御回路(たとえば図1におけるカラムデコーダ3)の構成が簡単になる。また、メモリセルアレイに図6の上図に示す電位差が発生しないため、分極状態が劣化するメモリセルをより削減することできる。
なお、第5実施形態の書き込み動作に関しては、第4実施形態の場合と全く同様である。
(第6実施形態)
この第6実施形態は、単純マトリックス型の強誘電体メモリに関して、読み出し時に必要となる参照電圧を、データ記憶用とは別に設けられたダミーセルからデータを読み出すことにより生成するように構成したメモリに関し、所定の電圧をデータ書き込み電圧の1/2の電圧としたものである。
この第6実施形態による単純マトリックス型の強誘電体メモリの全体構成は、図39に示した1/3Vcc・2/3Vcc生成回路からなる電圧生成回路10に代えて、図42に示した第4実施形態と同様の1/2Vcc生成回路からなる電圧生成回路10aを用いる。
(1)書き込み動作
メモリセルアレイにおいて、選択WLをWL3とし、この選択WL(WL3)に接続されたメモリセルのうちビット線BL3とBL5に接続されたメモリセルにデータ「1」、それ以外のビット線(BL0〜2、4、6、7)に接続されたメモリセルに「0」を書き込む場合について説明する。このとき、ダミーセルには、メモリセルと逆の極性のデータを書き込む。すなわち、選択WLであるWL3dに接続されたダミーセルのうち、ビット線BL3dとBL5dに接続されているダミーセルにデータ「0」を、それ以外のビット線(BL0d〜2d、4d、6d、7d)に接続されたダミーセルに「1」を書き込む。
図64を参照して、メモリセルアレイに対する印加電圧は図56に示すものと同等であり、書き込み動作によりメモリセルの分極状態が劣化し続けることはない。したがって、書き込み動作時において、少なくとも選択WL(WL3)以外のワード線(WL0〜2、4〜7)に接続された全ての非選択のメモリセルにおけるディスターブ現象を抑制することができる。また、ダミーセルアレイに対する印加電圧は図62に示すものと同等であり、書き込み動作によりダミーセルの分極状態が劣化し続けることはない。したがって、書き込み動作時において、少なくとも選択WL(WL3d)以外のワード線(WL0d〜2d、4d〜7d)に接続された全ての非選択のダミーセルにおけるディスターブ現象をも抑制することができる。
また、図64に示した例では、ダミーセルに対する書き込み動作を、一括「1」書き込み動作→補償動作→「0」書き込み動作の順で行っているが、一括「0」書き込み動作→補償動作→「1」書き込み動作の順で行っても同様の効果が得られる。
(2)読み出し−再書き込み動作
選択WLがWL3であり、これに接続されたメモリセルのうち、ビット線BL3とBL5に接続されたメモリセルにデータ「1」が、それ以外のビット線(BL0〜2、4、6、7)に接続されたメモリセルにデータ「0」が記憶されている場合について説明する。このとき、上記したように、メモリセルと対応するダミーセルには、メモリセルと逆の極性のデータが記憶されている。すなわち、ワード線WL3dとビット線BL3dおよびBL5dの交点に位置するメモリセルにデータ「0」が、ワード線WL3dとそれ以外のビット線(BL0d〜2d、4d、6d、7d)との交点に位置するメモリセルにデータ「1」がそれぞれ記憶されている。
図65を参照して、まず、スタンバイ状態から、すべてのビット線BL0〜BLnおよびBL0d〜BLndをフローティング状態にし、同じタイミングで選択WLであるWL3およびWL3dをVccにする。この状態で、メモリセルアレイの各ビット線(BL0〜BLn)の電位とダミーセルアレイの各ビット線(BL0d〜BLnd)の電位を電圧センスアンプであるリードアンプ8で比較して増幅することによりデータの判別を行う。例えば、BL3の電位は、データ「1」を記憶したメモリセルの電荷によりVr1となり、BL3dの電位は、データ「0」を記憶したダミーセルの電荷によりVr0(<Vr1)となるので、BL3の電位とBL3dの電位とを比較するとBL3の電位の方が大きい。この場合、BL3とBL3dの交点に位置するメモリセルのデータは「1」とする。また、逆にBL3の電位が、BL3dの電位よりも小さい場合、BL3とBL3dの交点に位置するメモリセルのデータは「0」とする。
その後、すべてのビット線を0Vとする。このとき、メモリセルアレイにおいてBL3に接続されている全てのメモリセルおよびダミーセルアレイにおいてBL3dに接続されている全てのダミーセルには、T1−t1の期間、Vccの電圧が印加される。したがって、これらのセルにはデータ「0」が書き込まれる。
次に、WL3およびWL3dを0Vにしてスタンバイ状態に戻す。T2とT3の期間で行われるメモリセルアレイおよびダミーセルアレイに対する再書き込み動作は、第4実施形態等の場合と同様であり、得られる効果も同様である。
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
上記の第1〜6実施形態では、記憶手段としてのメモリセルが強誘電体薄膜を有する容量素子によって構成されている場合について説明したが、記憶手段としてのメモリセルが抵抗素子で構成されている場合についても同様の効果が得られる。
また、上記の第1〜6実施形態の説明では、全て強誘電体メモリについて説明したが、本発明はこれに限らず、ビット線とワード線との間に記憶手段となる容量手段または抵抗手段が接続されているメモリであれば、他のメモリであっても良い。