JP4021503B2 - 方向性電磁鋼板の1次再結晶粒径制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、方向性電磁鋼板の製造に際し、優れた電磁特性を安定して得るために好適な1次再結晶粒の粒径制御方法に関するものである。
【0002】
方向性けい素鋼板の製品特性には、2次再結晶した結晶粒の方位が密接に影響するため、この生産に携さわるものにとっては、いかにこの2次再結晶粒を安定して、良好な方位に揃えるかに多大の努力を払っている。
【0003】
しかし、この2次再結晶に影響を与える工程要因は、成分組成、熱延条件、焼鈍条件、冷延条件、さらには2次再結晶時の雰囲気まで多岐にわたるため、時として、原因不明の2次再結晶不良が多発することがある。そして、その不良原因の究明の間にも、多くの工程材は、既に問題の工程を終了していることがしばしばあり、多量の不良コイル発生につながる場合がある。さらに、この2次再結晶不良は同一コイル内でも熱間圧延位置等の要因でコイル長手方向に発生し、局部的な特性不良を引き起こしてもいた。
【0004】
【従来の技術】
これまで、これらの2次再結晶不良の発生を防止する手段として1次再結晶粒径を制御する技術があり、たとえば特開平2−267223号公報(方向性電磁鋼板の1次再結晶焼鈍方法)には、1次再結晶粒径をオンライン計測し、1次再結晶粒径が適正範囲となるように、焼鈍条件を制御する技術が、さらに特開平5−320776号公報(方向性電磁鋼板の1次再結晶粒径制御方法)には、1次再結晶粒径を目標粒径の±0.5 μm 以内に的中させる技術がそれぞれ提案開示されている。また特開平7−62434 号公報にもスラブ加熱温度、Al量およびN量から脱炭焼鈍温度を調整する方法が開示されているが、これも目標となる最適一次再結晶粒径をめざすものである。しかしながら、これらの技術はいずれも特定の鋼種、プロセスにおいては一定の目標粒径への適中を狙うものであり、これらの技術においても時には2次再結晶不良が予期せず生じる場合があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、前記した従来技術の問題点を有利に解決し、製品の電磁特性を劣化させる2次再結晶不良の発生を安定して防止できる、方向性電磁鋼板の製造工程での1次再結晶粒径制御方法を提案することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
発明者らは、前記従来技術に鋭意検討を加えたところ、同一の製造プロセスにおいてもインヒビター成分のうちの特定の成分に関しては、その含有量の変動に応じて、最適となる1次再結晶粒径が変化することを知見し、この発明を完成した。
【0007】
すなわち、従来の知見ではたとえば特開平6−145803号公報(磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の安定製造方法)にも示されるように「1次再結晶粒径は、製品の磁束密度と極めて強い相関がある」ため、従来技術においては脱炭焼鈍板の1次再結晶粒径を全体の製造プロセス毎に定まる粒径に一致させることを狙っていたのであるが、発明者らはAlN をインヒビターとして利用する方向性けい素鋼板において、含有成分量の変動のうちAl成分については2次再結晶挙動に大きく影響を与えるものの粒径には影響をほとんど与えないため、粒径のみをフィードバックする方法によってはその変動に対処できないこと、ならびにAl含有量の変動を検出して目標とする粒径に積極的に変化させることにより、2次再結晶不良を極限まで減らし、良好な磁気特性が安定して得られることなどを知見し、この発明を完成したものである。
すなわち、この発明の要旨とするところは以下の通りである。
【0008】
1.Si:1.5〜4.5 wt%、Al:0.005〜0.06 wt%およびN:0.001〜0.015 wt%を含有するけい素鋼スラブを素材として、方向性電磁鋼板を製造するにあたり、その製造工程にて1次再結晶粒径制御を行う際、
Al含有量の変動に対応する1次再結晶粒の最適粒径の変動についての関係を求め、1次再結晶粒径制御の目標粒径を、上記けい素鋼スラブのAl含有量に応じて上記関係から定まる最適粒径とすることを特徴とする方向性電磁鋼板の1次再結晶粒径制御方法(第1発明)。
【0009】
2.最適粒径d(μm)を、Al含有量を(%Al) として表わす下記式(1) の関係で定めることを特徴とする第1発明の方向性電磁鋼板の1次再結晶粒径制御方法(第2発明)。
〔記〕
1/d=a〔log(%Al) 〕+b ---(1)
a,b:定数
【0011】
3.オンラインでの1次再結晶板の鉄損測定により結晶粒径を検出し、その検出結果を1次再結晶焼鈍条件にフィードバックして1次再結晶粒径を目標粒径に制御することを特徴とする第1または第2発明の方向性電磁鋼板の1次再結晶粒径制御方法(第3発明)。
【0012】
4.鉄損測定を、磁束密度:0.3 〜1.2T、周波数:10〜60Hzの範囲で行うことを特徴とする第3発明の方向性電磁鋼板の1次再結晶粒径制御方法(第4発明)。
【0013】
【発明の実施の形態】
この発明の作用効果について記す。
まず、この発明に到った経緯を従来技術と対比しながら、以下に述べる。
【0014】
この発明は、前記したように、方向性電磁鋼板における2次再結晶方位を良好な方位(ゴス方位)に揃えるために最適な1次再結晶粒径が、インヒビター成分のうちのAlの含有量の変動によって変化するという新規知見にもとづいたものであり、方向性電磁鋼板の製造工程での1次再結晶粒径制御の目標粒径を、Al含有量の変動に応じて定まる最適粒径にすることを最大の特徴とするものである。
【0015】
この発明に対し、前掲特開平5−320776号公報に示される技術では、1次再結晶粒径がAlおよびN成分が影響することは記されているが、最適粒径が変化すること並びに、最適粒径にAlのみが影響することは示されていない。
すなわち、その明細書にも記されているように「もしインヒビター構成元素が変動すると、インヒビター強度が変動し、これが1次再結晶粒径にも影響し、2次再結晶挙動を適正条件から逸脱させ、磁束密度の低下を招く」というのが従来の知見であった。
【0016】
ところが今回発明者らの調査によればインヒビター構成成分のうちAlは1次再結晶粒径にはほとんど変化を与えないにもかかわらず、2次再結晶には大きな影響を与えるため、目標とする1次再結晶粒径をフィードバックにより一定粒径に調整しても、2次再結晶に影響するAl含有量の変動には対応できず、したがって、良好な2次再結晶を得るためには、Al含有量の変動によって変化する最適粒径に目標粒径を変化させなければならないことがわかった。
【0017】
またAl及びNの効果については、たとえば、特公昭62−53576 号公報(磁気特性の優れた高磁束密度一方向性電磁鋼板の製造方法)に記載されているが、1次再結晶粒径に及ぼす影響についての記載はなく、ましてや上記したような、1次および2次再結晶に及ぼすAlとNの異なる影響については今回はじめて知見したものである。
【0018】
以上をまとめると以下のように整理される。
従来の知見では、1次再結晶粒径はある目標の粒径に制御することが重要であるとしていた。この目標粒径は製品板厚や、仕上げ焼鈍条件などの異なるプロセスに対しては当然異なるものの、同一プロセスでの特に成分の変動があるにもかかわらず変化させることなく、これを一定に制御することに主眼が置かれていた。
すなわち、一定粒径に制御することにより、熱間圧延や途中焼鈍条件のばらつきに加え、Alを含めた成分変動にも対応して、その影響を吸収できると考えられていた。
【0019】
しかし、今回発明者らの調査によれば、N含有量や他のインヒビター成分の変動には上記方法で対応できるのに対し、Al含有量の変動に対しては積極的に目標粒径を変化させなければならないことがわかったのである。
【0020】
この理由は必ずしも明らかでないが以下のように考えられる。すなわちN含有量の変動が2次再結晶に及ぼす影響はAlN を主とする析出物の総量の変化にあらわれて1次再結晶粒径を介して間接的に影響するのに対し、Al含有量の変動はむしろ2次再結晶焼鈍過程でのAlN の分解に大きく影響するため1次再結晶粒径の変化としては検出できない。そこでこれを補償するために目標とする1次再結晶粒径を変化させることによって調整しなければならないものと思われる。
【0021】
つぎにこの発明に到った一連の実験例について説明する。
なお、ここで述べる1 次再結晶粒径は、1次再結晶焼鈍板の圧延方向に垂直な断面の組織観察を行って、一粒当たりの平均断面積から円相当直径を求めたものである。また成分は特に断りのない限り熱延板での分析値を用いている。
【0022】
実験1
C:0.055 wt%、Si:3.0 wt%、Mn:0.06wt%、Se:0.02wt%、Al:0.022 wt%、N:0.008 wt%、Sb:0.05wt%を含むけい素鋼を基本成分として溶製し、実験室規模で、2.3mm の熱延板とし、熱延板焼鈍後1回の中間焼鈍をはさむ2回の冷間圧延で0.23mmの冷延板となし、脱炭焼鈍を兼ねた 830〜910 ℃の1次再結晶焼鈍を行いMgO を焼鈍分離剤として1200℃×5時間の2次再結晶焼鈍を行い製品とした。
【0023】
その際
a)基本成分に対してN含有量を0.003 〜0.013 wt%まで変化させ、1次再結晶温度を860 ℃に固定してN含有量と1次再結晶粒径とを調査した。
また、上記各成分組成にて、1次再結晶温度を変化させて結晶粒径を変え、製品の磁束密度とN含有量ならびに1次再結晶粒径との関係を調査した。
【0024】
これらの調査結果を図1および図2に示す。
図1はN含有量と1次再結晶粒径との関係を示すグラフであり、図2は製品の磁束密度とN含有量ならびに1次再結晶粒径との関係を示すグラフである。
なお、図2において磁束密度(B8 )は1.93T 以上を○印、それ未満を×印として示した。
【0025】
これらの図より、磁気特性の良好な範囲は1次再結晶粒径11μm 近辺の極めて限られた領域にあり、この最適値はN含有量によって影響されないこと、またこの場合には適切な1次再結晶焼鈍条件の選択により1次再結晶粒径を一定に制御することでよいことがわかる。
【0026】
b)次に基本成分に対してAl含有量を0.014 〜0.030 wt%まで変化させ、1次再結晶温度を860 ℃に固定してAl含有量と1次再結晶粒径とを調査した。
さらにこれらの成分組成にて1次再結晶温度を変化させて結晶粒径を変え、製品の磁束密度とAl含有量ならびに1次再結晶粒径との関係を調査した。
【0027】
これらの調査結果を図3および図4に示す。図3はAl含有量と1次再結晶粒径との関係を示すグラフであり、図4は製品の磁束密度とAl含有量ならびに1次再結晶粒径との関係を示すグラフである。
なお、図4において磁束密度(B8 )は1.93T 以上を○印、それ未満を×印として示した。
【0028】
これらの図から、Al含有量の変動のみに対しては1次再結晶粒径はほとんど変化しない。しかし磁束密度はAl含有量に大きく依存していることが示される。そして、良好な製品の磁気特性を得るためにはAl含有量の変動に応じて焼鈍温度の変更などで1次再結晶粒径を変化させる、すなわちAl含有量の増加に対しては1次再結晶粒径を減少するように積極的に変化させなければならないことがわかる。
【0029】
実験2
C:0.05wt%、Si:2.9 wt%、Mn:0.05wt%、Se:0.013 〜0.034 wt%、N:0.0006wt%を含みAl含有量を変化させたけい素鋼を素材として熱間圧延し、熱延板焼鈍と1回の冷間圧延を施しそれぞれ板厚:0.35mmの冷延板とした。その後脱炭焼鈍、最終仕上焼鈍を行い実験1と同様に、脱炭焼鈍温度を変化させてそれぞれ製品とし、1次再結晶粒径と製品の磁束密度とを求めた。
【0030】
これらの調査結果を図5に示す。
図5は製品の磁束密度とAl含有量の対数ならびに1次再結晶粒の逆数との関係を示すグラフである。
なお、図5において磁束密度(B8 )は1.92T 以上を○印、それ未満を×印として示した。
【0031】
この図5に示すように、磁束密度が1.92T 以上を示す1次再結晶の最適粒径は、1次再結晶粒径の逆数と、Al含有量の対数との間にもっとも良い直線関係が得られた。この結果より最適な1次再結晶粒径d (μm)は、1/d=a〔log(%Al) 〕+b式であらわすことができる(a,bは定数)。
【0032】
つぎに、この発明のけい素鋼素材の成分組成の限定理由ならびに方向性電磁鋼板の製造工程について述べる。
【0033】
Si:1.5 〜4.5 wt%
Si量は、含有量が4.5 wt%を超すと、冷間圧延時の脆性が極度に増し好ましくない。また1.5 wt%未満ではα−γ変態が生じ、高度の方位集積が困難となり好ましくない。したがって、その含有量は1.5wt %以上、4.5wt %以下とする。
【0034】
Al:0.005 〜0.06wt%
Alは、含有量が0.06wt%を超すと、工業的に有利な温度、時間範囲内で2次再結晶を生じさせることが困難となり好ましくない。また0.005 wt%未満では2次再結晶が不安定となり好ましくない。したがって、その含有量は0.005 wt%以上、0.06wt%以下とする。
【0035】
N:0.001 〜0.015 wt%
Nは、含有量が0.015 wt%を超えるとふくれの発生が増し、製品外観に悪影響を与え好ましくない。また0.001 wt%未満では2次再結晶の発現が不安定になり好ましくない。したがって、その含有量は0.001wt %以上、0.015wt %以下とする。
【0036】
また、その他の成分組成としては、従来公知のC:0.005 〜0.15wt%およびMn:0.002 〜0.15wt%を含み、インヒビターとしては公知の成分として、SeのほかS,Sb, Sn, Bi, Teなどを適宜添加することもよい。
【0037】
このような成分組成になるけい素鋼スラブを素材として用いる方向性電磁鋼板の製造は、従来より公知のたとえば転炉、電気炉などで溶製した溶鋼を、連続鋳造または造塊−分塊法によってスラブとなし、通常は均一化焼鈍処理を施してから熱間圧延し、場合によっては熱延板焼鈍を施したのち、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を行って最終製品板厚とする。ここで上記均一化焼鈍および中間焼鈍条件は、圧延後の結晶組織を均質化する再結晶処理を主目的として、通常は800 〜1200℃の温度範囲で30秒〜10分間の範囲の保持時間で行うことがよい。
【0038】
その後、湿水素中で700 〜900 ℃の温度域で1〜15分間の範囲の1次再結晶焼鈍を施して脱炭とSiO2を主体とするサブスケールの形成とを兼ねるとともに、その後の仕上焼鈍時に良好な磁気特性が得られるゴス方位の2次再結晶粒を発達させるために有利な1次再結晶組織を形成させる。
【0039】
しかるのち、鋼板表面に焼鈍分離剤を塗布してから、800 〜1000℃の温度範囲で1〜50時間の2次再結晶焼鈍についで1100〜1250℃の温度範囲で5〜25時間程度の純化焼鈍を行ういわゆる仕上焼鈍を施し、方向性電磁鋼板とする。
【0040】
このような一連の工程において、この発明においては前にも述べたように、2次再結晶方位をゴス方位に揃えるために、1次再結晶粒径をAl含有量によって定まる最適粒径に制御することを必須とする。
【0041】
なお、1次再結晶の最適粒径を定めるAl含有量の検出方法は特に定めないが、熱延板から脱炭焼鈍直前までの板を抜き取り採取して分析を行うことが分析精度上好ましいが、1次再結晶焼鈍中にオンライン計測することの方がより好ましい。
【0042】
そして、1次再結晶粒径の検出方法としては、直接鋼板の組織から求めても良いが、フィードバック、フィードフォワードの迅速性から鉄損測定、X線測定などのオンライン計測を行うことが好ましく、オンライン計測は磁束密度0.3 〜1.2T、周波数10〜60Hzの交流鉄損測定によることが望ましい。磁束密度が0.3T未満では外乱を受け、また、1.2T超えでは集合組織変化の影響を受けて粒径の検出精度が低下するので好ましくない。また、周波数10Hz未満では外乱の影響を受け、60Hz超えでは渦電流損失の変化の影響を受けて粒径の検出精度が低下するので好ましくない。
【0043】
この最適粒径は前記実験例で述べたように、Al含有量に応じて変動しSe:0.010〜0.035 wt%の場合では、0.4155×〔log(%Al) 〕+ 0.32 <1/d<0.4155×〔log(%Al) 〕+0.34 関係で制御することで、より大きなAl含有量の変動に対しても安定的に良好な2次再結晶を得ることができる
【0044】
また、この発明は工程途中で窒素を加えるプロセスに対しても有効であり、1次再結晶粒径の制御方法は、1次再結晶焼鈍条件として温度や時間調整のほか、熱延板焼鈍温度、中間焼鈍温度および鋼板の窒素量のコントロールなど任意の公知の手段が用いられる。
なお、他の成分の変動に関しても、目標粒径の変動の必要性が考えられるが発明者らの調査した限り、Al以外でこのような効果を及ぼす成分は見られなかった。例えばSi, Mnの増加に伴い1次再結晶粒径がわずかに増大するが、通常の成分変動範囲ではAlのように甚大な影響は及ぼさない。
【0045】
【実施例】
C:0.055 wt%、Si:3.0 wt%、Mn:0.06wt%、Se:0.02wt%、Al:0.022 wt%、N:0.008 wt%、Sb:0.05%を目標成分とする方向性けい素鋼を、転炉で溶製し、成分調製後220mm 厚スラブに連続鋳造し、粗圧延及び熱間仕上げ圧延により2.3mm の熱延板とした。その後、熱延板焼鈍と中間焼鈍をはさむ2回の冷間圧延にて0.23mmまで圧延し、脱炭焼鈍を兼ねる1次再結晶連続焼鈍を行い、その焼鈍条件により、この発明に適合する1次再結晶粒径に制御したもの(適合例)とこの発明に不適合の1次再結晶粒径のもの(比較例)とについて、それぞれ鋼板表面に焼鈍分離剤を塗布してから950 ℃の温度で2時間の2次再結晶焼鈍につづいて1180℃の温度で6時間の純化焼鈍を行い方向性電磁鋼板を製造した。
【0046】
上記において、適合例の1次再結晶粒径制御は、1次再結晶粒径をW10/50 の連続鉄損計(磁束密度:1.0T,周波数:50Hz)により間接的に検出し、一方、Al含有量は1次再結晶焼鈍前に湿式分析法により各コイル毎に測定し、さらに図6の良好な磁気特性を示すAl含有量と1次再結晶粒径との関係のグラフ(1/d=0.1455×〔log ( %Al) +0.3303の関係)からAl含有量に応じて1次再結晶連続焼鈍炉(炉温:880 ℃)での通板速度を調整して前記(1) 式を満たす粒径とした。
かくして得られた各方向性電磁鋼板について磁束密度(B8)を測定した。
【0047】
Al含有量、1次再結晶粒径および磁束密度を表1にまとめて示す。
【表1】
表1から明らかなように、この発明にしたがって1次再結晶粒径制御を行った適合例は安定して良好な磁性が得られている。
【0048】
【発明の効果】
この発明は、けい素鋼スラブを素材として、方向性電磁鋼板を製造するにあたり、1次再結晶粒径制御を行う際、1次再結晶粒径制御の目標粒径を、Al含有量の変動に応じて定まる最適粒径とするものであり、
この発明によれば、安定して良好な磁気特性を有する方向性電磁鋼板が製造でき、その製品歩留りを著しく向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】N含有量と1次再結晶粒径との関係を示すグラフである。
【図2】製品の磁束密度とN含有量ならびに1次再結晶粒径との関係を示すグラフである。
【図3】 Al含有量と1次再結晶粒径との関係を示すグラフである。
【図4】製品の磁束密度とAl含有量ならびに1次再結晶粒径との関係を示すグラフである。
【図5】製品の磁束密度とAl含有量の対数ならびに1次再結晶粒径の逆数との関係を示すグラフである。
【図6】良好な磁気特性を示すAl含有量と1次再結晶粒径との関係のグラフである。
Claims (4)
- Si:1.5〜4.5 wt%、Al:0.005〜0.06 wt%およびN:0.001〜0.015 wt%を含有するけい素鋼スラブを素材として、方向性電磁鋼板を製造するにあたり、その製造工程にて1次再結晶粒径制御を行う際、
Al含有量の変動に対応する1次再結晶粒の最適粒径の変動についての関係を求め、1次再結晶粒径制御の目標粒径を、上記けい素鋼スラブのAl含有量に応じて上記関係から定まる最適粒径とすることを特徴とする方向性電磁鋼板の1次再結晶粒径制御方法。 - 最適粒径d(μm)を、Al含有量を(%Al) として表わす下記式(1) の関係で定めることを特徴とする請求項1に記載の方向性電磁鋼板の1次再結晶粒径制御方法。
〔記〕
1/d=a〔log(%Al) 〕+b ---(1)
a,b:定数 - オンラインでの1次再結晶板の鉄損測定により結晶粒径を検出し、その検出結果を1次再結晶焼鈍条件にフィードバックして1次再結晶粒径を目標粒径に制御することを特徴とする請求項1または2に記載の方向性電磁鋼板の1次再結晶粒径制御方法。
- 鉄損測定を、磁束密度:0.3〜1.2T、周波数:10〜60Hzの範囲で行うことを特徴とする請求項3に記載の方向性電磁鋼板の1次再結晶粒径制御方法。
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