JP4377477B2 - 高磁束密度一方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、変圧器等の鉄心に使用される一方向性電磁鋼板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一方向性電磁鋼板は主に変圧器や発電機の鉄心材料に使用される。この鋼板は製造工程の仕上焼鈍で、二次再結晶を利用して{110}<001>方位いわゆるゴス方位に高度に集積させた組織として低鉄損を得ている。方向性電磁鋼板の鉄損は、JIS C 2553 でW17/50 (B8 1.7T、50Hz の励磁条件下でのエネルギー損失)で評価され、グレード分けされている。
【0003】
変圧器の鉄心には巻き鉄心と積み鉄心の二種類があるが、巻き鉄心、積み鉄心においても、トランスを小型化するために1.7Tより高い、例えば1.9T程度の設計磁束密度とする場合がある。
積み鉄心では、“日”、“目”型に鋼板を積層し鉄心とするため、鉄心の設計磁束密度が1.7Tであっても鉄心の局部的には1.7T以上の磁束密度となるため、1.7T以上の例えばW19/50 もトランス鉄損には大きく影響する。
最近では地球環境の保全や省エネルギーの見地から、更に鉄損の少ない方向性電磁鋼板が市場から求められており、特に1.9Tのような高磁場でも鉄損の少ない鋼板が求められている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来は鉄損W17/50 を下げるべく、長年にわたり発明、改善がなされてきた。しかし、上記のような最近の状況に鑑み、本発明の目的は1.7Tより高く、励磁磁束密度の鉄損が少ない高磁束密度一方向性電磁鋼板の製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するため以下の構成を要旨とする。
(1)重量%で、
C :0.015〜0.078%、
Si:2.0〜7.0%、
Mn:0.03〜0.2%、
Sol.Al:0.010〜0.065%、
N :0.0040〜0.0100%、
SおよびSeの1種または2種の合計:0.005〜0.050%、
SbとMo、またはSnとCu、の組み合わせで、それらの元素各々で0.003〜0.3%含有し、
残部はFeと不可避的不純物の組成になるスラブを加熱したのち熱延したコイル、または溶鋼から直接鋳造されたコイルを出発材として、熱延板焼鈍し最終強冷延、または熱延板焼鈍、予備冷延、析出焼鈍し、最終強冷延する工程を経て、冷延率85〜90%の最終板厚とし、脱炭焼鈍、最終仕上焼鈍そして最終コ−ティングを施し、高磁束密度一方向性電磁鋼板を製造する方法において、脱炭焼鈍の加熱段階として100℃/s以上の加熱速度で、800℃以上の温度に加熱処理し、工程の途中または最後にレーザー照射、または、エッチングによる溝加工を行って磁区制御し、鋼板の結晶方位が{110}<001>の理想方位に対して平均値で5度以下の方位のずれであり、鋼板の180度磁区幅の平均が0.26mm以下であることを特徴とする一方向性電磁鋼板の製造方法。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の詳細について説明する。
本発明者らはW19/50 の少ない一方向性電磁鋼板を開発すべく鋭意研究を重ねた結果、結晶方位のずれと180度磁区幅を高度に制御することが非常に有効であることを見出した。
本発明者は、高磁束密度一方向性電磁鋼板の製造工程条件を種々変更し、W19/50 の低いものと高いものを製造した。本発明の範囲にあるC:0.002重量%(以下%と略す)、Si:3.25%、Mn:0.07%、S:0.001%、Al:0.01%、T.N:0.001%、Sn:0.11%、Cu:0.07%を含み、板厚0.23mm、鋼板の結晶方位が{110}<001>に対して平均値で3度のずれをもつサンプルの調査結果を以下に示す。
【0009】
試料(1)はW17/50 :0.70W/kg 、W19/50 :1.20W/kg で、試料(2)はW17/50 :0.77W/kg 、W19/50 :1.49W/kg である。
この鉄損の差を解明するため、本発明者らは180度磁区幅に着目した。鉄損は一般にヒステリシス損、古典的渦電流損、異常渦電流損に分けられ、異常渦電流損は総鉄損の約40%を占める。方向性電磁鋼板の場合、異常渦電流損は180度磁区幅に比例して増加することが知られている。
【0010】
180度磁区幅については、T. Nozawa et al. : IEEE Trans. Mag. No.4, MAG-14(1978), p.252 に、単結晶で結晶方位と180度磁区幅の関係を定量化した報告がある。
しかし、多結晶である一方向性電磁鋼板製品の180度磁区幅を定量化した例はない。鋼板へのスクラッチ付与、レーザー照射や歯形ロールによる溝加工は、180度磁区幅が狭幅化することはよく知られているが、これらと180度磁区幅の関係も定量的に評価した例はない。
【0011】
そこで本発明者らは、多結晶である高磁束密度一方向性電磁鋼板の180度磁区幅の定量化を以下の方法で行うことを考案した。図1にその方法を示す。
まず、鋼板試料をビッター法で180度磁区を現出させた。その後、5mmの升目をかぶせ、升目毎に180度磁区数を計測した。1試料について190升測定し、190升の磁区幅の平均と分布を求め、当該試料の測定値とした。合計すると、1試料について約2000の180度磁区数を計測し、180度磁区幅を定量した。
・1升の磁区幅 =5mm/180度磁区数
・当該試料の平均磁区幅 =190升の磁区幅の平均
【0012】
次に、この方法を用いて試料(1)と(2)の180度磁区幅を比較した。図2に試料(1)と(2)の磁区幅の分布を示す。図2において、磁区幅の縦幅は範囲の上限を示す。例えば0.2は0〜0.2以下、0.4は0.2mm超〜0.4mm以下である。この比較において平均磁区幅は、試料(1)は0.26mm、試料(2)は0.32mmであった。これより、180度磁区幅の平均が試料(1)と(2)で大きく異なることが判明した。
【0013】
180度磁区幅と鉄損W17/50 とW19/50 の関係を調査した実験結果を示す。C:0.002%、Si:3.25%、Mn:0.07%、S:0.001%、Al:0.01%、T.N:0.001%、Sn:0.11%、Cu:0.07%を含み、板厚0.23mmの製品を種々の製造方法で作成し、180度磁区幅の平均と鉄損W17/50 ,W19/50 を測定した。{110}<001>方位の平均のずれ角は3度であった。
【0014】
図3に180度磁区幅の平均とW17/50 の関係、図4に180度磁区幅の平均とW19/50 の関係を示す。図5には180度磁区幅の平均とW19/50 /W17/50 の関係を示す。W19/50 /W17/50 はW17/50 に対するW19/50 の劣化の程度を意味する。
180度磁区幅の平均とW17/50 、W19/50 は良い相関があり、180度磁区幅の平均が狭くなるほどW17/50 、W19/50 が下がることが分かる。さらに、180度磁区幅の平均が狭くなるほどW19/50 /W17/50 は小さくなり、180度磁区幅の平均を狭くするほど特に高磁場鉄損が良好になることが判明した。
【0015】
図6は、C:0.002%、Si:3.25%、Mn:0.07%、S:0.001%、Al:0.01%、T.N:0.001%、Sn:0.11%、Cu:0.07%を含み、板厚0.23mmの製品を種々の製造方法で作成し、180度磁区幅の平均が0.25〜0.26mmの試料について、{110}<001>方位の平均のずれ角とW19/50 /W17/50 の関係を調査した結果である。
{110}<001>方位の平均のずれ角はラウエ法で測定し、二次再結晶粒40個を測定した平均値である。これより、ずれ角が5度以下であると低いW19/50 /W17/50 を得られることが分かる。
【0016】
次に、本発明の製造方法により製造した高磁場鉄損の優れた高磁束密度一方向性電磁鋼板の限定理由を説明する。以下の成分は、鋼中に含まれる重量%である。
Cは、0.005%を超えると磁気時効により製品の磁気特性を劣化させるので、0.005%以下とした。
【0017】
Siは,下限2.0%未満では渦電流損が増大し良好な鉄損が得られず、上限7.0%を超えると加工性が著しく劣化するので、2.0〜7.0%とする。
【0018】
Mnは、0.2%以下を含む。製造工程でインヒビターMnS,MnSeを形成し、高温焼鈍でS,Seが純化された後に鋼中に残存したものであり、0.2%を上限に含有する。
【0019】
SおよびSeのうちから選んだ1種または2種合計は、インヒビターMnS,MnSeを形成し、高温焼鈍でS,Seが純化された後に鋼中に残存したものであり、0.005%以下を含む。0.005%を超えると鉄損が悪化する。
【0020】
Alは、製造工程でインヒビターAlNを形成し、高温焼鈍でNが純化された後に鋼中に残存したものであり、0.065%以下を含む。インヒビターとしてAlNを使用しなくても構わない。
【0021】
Nは、製造工程でインヒビターAlNを形成し、高温焼鈍でNが純化された後に鋼中に残存したものであり、0.005%以下を含む。0.005%を超えると鉄損が悪化する。インヒビターとしてAlNを使用しなくても構わない。
【0022】
SbとMo,またはSnとCu、の組み合わせは、インヒビター、粒界偏析として添加し、各々0.003〜0.3%含有させる。
【0023】
鋼板の180度磁区幅の平均は、図5より0.26mmを超えると高磁場鉄損を低くできない。また、鋼板の結晶方位のずれ角度が{110}<001>の理想方位に対する平均値で、図6より5度を超えると高磁場鉄損を低くできない。
本発明の高磁束密度一方向性電磁鋼板は、その表面にフォルステライトやスピネルを主成分とする一次皮膜と、絶縁皮膜(二次皮膜)を通常有する。しかし、一次皮膜、二次皮膜ともになし、一次皮膜のみ、一次皮膜なしで二次皮膜のみ、絶縁皮膜としてイオンプレーティングなどによるTiN皮膜などでも何ら問題はない。
【0024】
次に、高磁場鉄損の優れた高磁束密度一方向性電磁鋼板の製造方法について説明する。まず、熱延コイル、または溶鋼から直接鋳造されたコイルの成分について説明する。
Cは、下限0.015%未満であれば2次再結晶が不安定となり,上限の0.078%は、これよりCが多くなると脱炭所要時間が長くなり、経済的に不利となるために限定した。
【0025】
Siは、下限2%未満では良好な鉄損が得られず、上限7%を超えると冷延性が著しく劣下するため、2.0〜7.0%とする。
【0026】
Mnは、下限0.03%未満であれば熱間脆化を起こし、上限0.2%を超えるとかえって磁気特性を劣化させるため、0.03〜0.2%とする。
【0027】
S,Seは、MnS,MnSeを形成するために必要な元素で、これらの一種または2種の合計が下限0.005%未満ではMnS,MnSeの絶対量が不足し、上限0.050%を超えると熱間割れを生じ、また最終仕上焼鈍での純化が困難となるため、0.005〜0.050%とする。
【0028】
Sol.Alは、AlNを形成するために有効な元素で、下限0.010%未満ではAlNの絶対量が不足し、上限0.065%を超えるとAlNの適当な分散状態が得られない。インヒビターとしてAlNを使用しなくても構わない。
【0029】
Nは,AlNを形成するために有効な元素で、下限0.0040%未満ではAlNの絶対量が不足し、上限0.0100%を超えるとAlNの適当な分散状態が得られない。インヒビターとしてAlNを使用しなくても構わない。
【0030】
SbとMo,またはSnとCu、の組み合わせはインヒビター、粒界偏析として2次再結晶を安定化させるが、各々の含有量が下限0.003%未満では偏析量が不足し、上限0.3%は経済的理由と脱炭性の悪化を防止するためである。
【0031】
溶鋼は、スラブ、または直接鋼帯に鋳造される。スラブに鋳造した場合は、通常の熱延方法でコイルに仕上げられる。鋼帯または熱延コイルは、熱延板焼鈍し最終強冷延、または予備冷延、析出焼鈍し、最終強冷延、または熱延板焼鈍、予備冷延、析出焼鈍し、最終強冷延という工程を経て最終板厚とし、脱炭焼鈍、最終仕上焼鈍そして最終コ−ティングを施し製品となる。
【0032】
脱炭焼鈍する直前に100℃/s以上の加熱速度で、800℃以上の温度に加熱処理を行う。加熱速度が100℃/sより遅いとW19/50 /W17/50 が低い値を得られない。加熱温度が800℃より低くてもW19/50 /W17/50 が低い値を得られない。上記急速加熱処理は脱炭焼鈍の加熱段階に組み込んでもかまわず、この方が工程が少ないので望ましい。
製品には磁区制御、すなわちレーザー照射、プラズマ照射、歯形ロールやエッチングによる溝加工などを施す。または冷延板、脱炭焼鈍板、高温焼鈍板などの中間工程で歯形ロールやエッチングによる溝加工を行い磁区制御を行う。
【0033】
【実施例】
(実施例1)
溶鋼を連続鋳造し、スラブ加熱し、熱間圧延し、C:0.071%、Si:3.22%、Mn:0.088%、S:0.028%、Sol.Al:0.022%、N:0.0091%、Sn:0.12%、Cu:0.07%を含有する2.3mm厚のホットコイルを得た。そして、1100℃×10秒+950℃×60秒の均熱後、急冷する熱延板焼鈍をし、0.22mmに強冷延し製品板厚とした。
その後、得られた冷延板を脱炭焼鈍する際、加熱段階を種々の加熱速度で850℃まで加熱し、その後850℃の湿潤水素中で脱炭焼鈍し、続いて焼鈍分離剤を塗布した後、水素気流中で1200℃で20時間保持し最終仕上焼鈍を行ない、コ−ティング液を塗布し製品とした。
【0034】
{110}<001>方位の平均のずれ角は3度であり、製品の鋼中の成分はC:0.002%、Si:3.18%、Mn:0.080%、S:0.001%、Sol.Al:0.012%、N:0.0010%、Sn:0.12%、Cu:0.07%であった。これに、照射列間隔6.5mm、照射点間隔0.5mm、照射エネルギー1.0mJ/mm2 の条件でレーザー照射し磁区制御した。脱炭焼鈍の加熱速度と磁気特性の関係を表1に示す。これより、本発明例は比較例と比べ高磁場鉄損が優れていることがわかる。
【0035】
【表1】
【0036】
(実施例2)
溶鋼を連続鋳造し、スラブ加熱し、熱間圧延し、C:0.070%、Si:3.28%、Mn:0.078%、S:0.024%、Sol.Al:0.021%、N:0.0089%、Sn:0.12%、Cu:0.07%を含有する2.0mm厚のホットコイルを得た。そして,1100℃×10秒+950℃×60秒の均熱後、急冷する熱延板焼鈍をし、0.22mmに強冷延し製品板厚とした。
その後、得られた冷延板を脱炭焼鈍する際、加熱段階を300℃/sの加熱速度で種々の温度まで加熱し、その後850℃の湿潤水素中で脱炭焼鈍し、続いて焼鈍分離剤を塗布した後、水素気流中で1200℃で20時間保持し最終仕上焼鈍を行ない、コ−ティング液を塗布し製品とした。
【0037】
{110}<001>方位の平均のずれ角は3度であり、製品の鋼中の成分はC:0.002%、Si:3.17%、Mn:0.070%、S:0.001%、Sol.Al:0.009%、N:0.0009%、Sn:0.12%、Cu:0.07%であった。これに、照射列間隔6.5mm、照射点間隔0.5mm、照射エネルギー1.0mJ/mm2 の条件でレーザー照射し磁区制御した。この時の加熱段階の到達温度と磁気特性の関係を表2に示す。これより、本発明例は比較例と比べ高磁場鉄損が優れていることがわかる。
【0038】
【表2】
【0039】
(実施例3)
溶鋼を直接鋼帯に鋳造し、C:0.078%、Si:3.30%、Mn:0.078%、S:0.022%、Sol.Al:0.032%、N:0.0078%、Sn:0.15%、Cu:0.07%を含有する2.3mm厚のコイルとした。そして、1100℃×10秒+950℃×60秒の均熱後、急冷する熱延板焼鈍をし、0.22mmに強冷延し製品板厚とした。
その後、得られた冷延板を脱炭焼鈍する際、加熱段階を400℃/sで850℃まで加熱し、その後850℃の湿潤水素中で脱炭焼鈍し、続いて焼鈍分離剤を塗布した後、水素気流中で1200℃で20時間保持し最終仕上焼鈍を行ない、コ−ティング液を塗布し製品とした。
【0040】
{110}<001>方位の平均のずれ角は3度であり、製品の鋼中の成分はC:0.002%、Si:3.18%、Mn:0.070%、S:0.001%、Sol.Al:0.012%、N:0.0010%、Sn:0.15%、Cu:0.07%であった。一部の試料に、エッチングによる溝加工を行い180度磁区幅の平均を変更した。溝加工の条件は、溝間隔5mm、溝幅150μm、溝深さ30μmである。この時の180度磁区幅の平均とW17/50 、W19/50 、及びW19/50 /W17/50 を表3に示す。これより、本発明例は高磁場鉄損が優れていること分かる。
【0041】
【表3】
【0042】
(実施例4)
溶鋼を連続鋳造し、スラブ加熱し、熱間圧延し、C:0.078%、Si:3.30%、Mn:0.078%、S:0.022%、Sol.Al:0.032%、N:0.0078%、Sn:0.15%、Cu:0.07%を含有する種々の板厚のホットコイルとした。そして、1100℃×10秒+950℃×60秒の均熱後、急冷する熱延板焼鈍をし、0.22mmに強冷延し製品板厚とした。
その後、得られた冷延板を脱炭焼鈍する際、加熱段階を400℃/sで850℃まで加熱し、その後850℃の湿潤水素中で脱炭焼鈍し、続いて焼鈍分離剤を塗布した後、水素気流中で1200℃で20時間保持し最終仕上焼鈍を行ない、コ−ティング液を塗布し製品とした。
【0043】
製品の鋼中の成分は、C:0.002%、Si:3.20%、Mn:0.068%、S:0.001%、Sol.Al:0.011%、N:0.0010%、Sn:0.15%、Cu:0.07%であった。これに、照射列間隔6.5mm、照射点間隔0.5mm、照射エネルギー1.0mJ/mm2 の条件でレーザー照射し磁区制御した。180度磁区幅の平均の平均は0.23〜0.26mmであった。
冷延率、{110}<001>方位の平均のずれ角とW17/50 、W19/50 、及びW19/50 /W17/50 を表4に示す。これより、本発明例は高磁場鉄損が優れていることが分かる。
【0044】
【表4】
【0045】
(実施例5)
溶鋼を連続鋳造し、スラブ加熱し、熱間圧延し、C:0.075%、Si:3.31%、Mn:0.075%、S:0.014%、Se:0.014%、Sol.Al:0.027%、N:0.0089%、Sb:0.15%、Mo:0.03%を含有するスラブを連続鋳造し、スラブ加熱し、熱間圧延し、2.7mm厚の熱延板を得た。熱延板焼鈍は1000℃で2分間行い、1.60mmに冷延し、析出焼鈍は1100℃で2分均熱後急冷し、0.22mmに最終冷延した。
その後、得られた冷延板を脱炭焼鈍する際、加熱段階を300℃/sの加熱速度で種々の温度まで加熱し、その後850℃の湿潤水素中で脱炭焼鈍し、続いて焼鈍分離剤を塗布した後、水素気流中で1200℃で20時間保持し最終仕上焼鈍を行ない、コ−ティング液を塗布し製品とした。
【0046】
{110}<001>方位の平均のずれ角は4度であり、製品の鋼中の成分は、C:0.003%、Si:3.21%、Mn:0.070%、S:0.001%、Se:0.001%、Sol.Al:0.010%、N:0.0015%、Sb:0.15%、Mo:0.03%であった。
製造工程の途中で、一部の試料には、溝間隔は3mm、溝幅150μm、溝深さ20μmという条件で、冷延板にエッチングによる溝加工を行い磁区制御を行った。この時の磁気特性を表5に示す。これより、本発明例は比較例と比べ高磁場鉄損が優れていることが分かる。
【0047】
【表5】
【0051】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、高磁場鉄損の優れた高磁束密度一方向性電磁鋼板を提供でき、その工業的効果は非常に大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】180度磁区幅測定方法を示す図。
【図2】試料(1)と試料(2)の180度磁区幅の分布を示す図。
【図3】180度磁区幅とW17/50 の関係を示す図。
【図4】180度磁区幅とW19/50 の関係を示す図。
【図5】180度磁区幅とW19/50 /W17/50 の関係を示す図。
【図6】{110}<001>方位の平均のずれ角とW19/50 /W17/50 の関係を示す図。
Claims (1)
- 重量%で、
C :0.015〜0.078%、
Si:2.0〜7.0%、
Mn:0.03〜0.2%、
Sol.Al:0.010〜0.065%、
N :0.0040〜0.0100%、
SおよびSeの1種または2種の合計:0.005〜0.050%、
SbとMo、またはSnとCu、の組み合わせで、それらの元素各々で0.003〜0.3%含有し、
残部はFeと不可避的不純物の組成になるスラブを加熱したのち熱延したコイル、または溶鋼から直接鋳造されたコイルを出発材として、熱延板焼鈍し最終強冷延、または熱延板焼鈍、予備冷延、析出焼鈍し、最終強冷延する工程を経て、冷延率85〜90%の最終板厚とし、脱炭焼鈍、最終仕上焼鈍そして最終コ−ティングを施し、高磁束密度一方向性電磁鋼板を製造する方法において、脱炭焼鈍の加熱段階として100℃/s以上の加熱速度で、800℃以上の温度に加熱処理し、工程の途中または最後にレーザー照射、または、エッチングによる溝加工を行って磁区制御し、鋼板の結晶方位が{110}<001>の理想方位に対して平均値で5度以下の方位のずれであり、鋼板の180度磁区幅の平均が0.26mm以下であることを特徴とする一方向性電磁鋼板の製造方法。
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