JP3885264B2 - 方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、方向性電磁鋼板の製造に関し、とくに、磁気特性を安定して向上できる製造方法を提案するものである。
【0002】
方向性電磁鋼板は、主に変圧器の鉄心材料として用いられ、近年の省エネルギ化の要求にこたえ、ますます低鉄損化、高磁束密度化がはかられてきている。かかる優れた磁気特性を発現させるためには、鉄の磁化容易軸である 001 方向が鋼板の圧延方向に高度に集積した結晶粒群から構成される必要がある。このような結晶粒群の生成は、一般の方向性電磁鋼板においては、仕上げ焼鈍時に、いわゆる(110) 001 ゴス粒と称される方位の結晶粒を2次再結粒として優先的に発達成長させることによりほぼ達成できることになる。
【0003】
しかしながら、実際には、同じ素材成分組成、同じ工程条件で製造しても、微妙な成分および工程条件の変化によって、仕上げ焼鈍後に得られる2次再結晶方位の分布には差異を生じることが多く、それが製品の磁気特性のばらつきを生じさせていた。このようなばらつきの発生を防止するためには、通常では、仕上げ焼鈍を行い、2次再結晶後の磁気特性を調べてばらつきの存在を確認してからその原因を究明することになるが、これではすでに多量の不良コイルが製造されてしまうことになる。
【0004】
そこで、製造工程での比較的早い段階、少なくとも仕上げ焼鈍より前に、2次再結晶後に得られる磁気特性、すなわち2次再結晶粒方位を予測することが非常に重要になってくる。
【0005】
【従来の技術】
これまで、仕上げ焼鈍前に2次再結晶方位を予測する技術として、例えば特公平7−26155号公報(良好な2次再結晶組織を有する多結晶体の製造方法)には、2次再結晶前の結晶粒の方位を測定し、任意に選択した結晶粒の方位と前記の方位を測定した結晶粒との対応方位関係を求めることによって、2次再結晶集合組織を予測する手段が提案開示されている。
【0006】
しかし、この方法にしたがって板厚中心部の1次結晶粒方位の測定を行っても、この結果から予測される2次再結晶集合組織が必ずしも得られるわけではなく、その明細書にも記載されているように、2次再結晶焼鈍中の雰囲気を制御する等の必要があった。
【0007】
また、1次結晶粒径を計測制御することにより安定的に磁気特性の良好な電磁鋼板を製造する技術としては、例えば特開平2−182866号公報(一方向性電磁鋼板用板材)や特開平2−267223号公報(方向性電磁鋼板の1次再結晶焼鈍方法)などがある。
しかしながら、実際にコイルで実験を行ってみると、1次再結晶粒径が同程度でも仕上げ焼鈍後の磁束密度が大きくばらつく場合があった。このばらつきの原因を明らかにするため、1次再結晶よりも前の工程に着目し、成分、製造条件を詳細に調査・検討した結果、冷間圧延後の種々の材料特性のばらつきが製品での品質特性のばらつきを左右していることが明らかとなった。
【0008】
このような品質特性のばらつきは、方向性電磁鋼板の製造工程が長いため、様々の要因が複合的に影響することにより生じる。したがって、製造工程中の単一の要因だけを取り上げて制御する技術では、複合的な要因による品質特性のばらつきを減少させるには不十分である。
【0009】
したがって、上記した1次再結晶粒径の計測制御も、単一の要因を制御する技術と考えられ、方向性電磁鋼板で従来より指摘されている制御ポイントである1次再結晶板の微細析出物(インヒビタ)、集合組織、1次再結晶粒径および脱炭焼鈍後の酸化層被膜のうちの1次再結晶粒径についてのみ改善を加えたものにほかならない。
【0010】
実際には、1次再結晶粒だけでなく、熱間圧延等の上流工程条件の差異により1次再結晶板の集合組織も変化するので、この集合組織を制御することが極めて重要である。
【0011】
しかしながら、1次再結晶板の集合組織を制御するにあたって、1次再結晶粒径のオンライン計測結果に基づき窒化処理方法を調整する手法では不十分である。なぜならば、その集合組織に影響を及ぼす主因子が冷延板の変形(加工)組織にあるからである。
【0012】
この変形組織の評価としては、特開昭60−121223号公報(一方向性珪素鋼板の製造方法)に開示されているような、脱炭焼鈍前のヴィッカース硬度を制御する手段があるが、この手段では、測定値の個人差や測定に時間がかかるなどの点から、工業的に大規模に採用するには不適である。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、前記した問題を有利に解決しようとするものであり、迅速に、かつ冷延板でのより的確な評価を行うことのできる指標を採用して、さらなる品質特性の安定した方向性電磁鋼板の製造方法を提案することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
この発明の要旨とするところは以下の通りである。
C:0.02〜0.12wt%およびSi:2.5〜4.5wt%を含む方向性電磁鋼板用スラブを熱間圧延したのち、そのままもしくは熱延板焼鈍を施してから、1回または中間焼鈍を挟む2回の冷間圧延を行い、その後脱炭焼鈍ののち仕上げ焼鈍を施す一連の工程により方向性電磁鋼板を製造するにあたり、冷間圧延のパス間もしくは最終パス後に当該鋼板の鉄損をオンライン計測し、その計測結果に基づいて、フィードバックあるいはフィードフォワードにて圧延条件を調整することを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。(第1発明)。
【0015】
圧延条件の調整が、圧延温度である第1発明に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。(第2発明)。
【0016】
圧延条件の調整が、圧延速度、圧延パススケジュール、クーラント流量およびクーラント温度のうちいずれか1つ以上である第1発明に記載方向性電磁鋼板の製造方法。(第3発明)
【0017】
【発明の実施の形態】
まず、この発明に至った経緯を実験例にもとづいて以下に述べる。
【0018】
C:0.070wt%(以下、単に%であらわす)、Si:3.28%、Mn:0.07%、Se:0.013%、Al:0.025%、N:0.009%、Sb:0.030%を含有するスラブを1400℃の温度に加熱後、板厚:2.3mmに熱間圧延したのち、1080℃の温度で熱延板焼鈍を行い、その後圧延速度(300〜1000mpm)および圧延油温度(50〜100℃)を変えて冷間圧延を行ったのち、加熱速度(600〜800℃間の温度にて10〜15℃/s)および加熱温度(800〜900℃)を変えて脱炭焼鈍を施した。
かくして得られた各脱炭焼鈍板について(110)極密度を測定した。
【0019】
これらの測定結果を図1および図2に示す。
図1は、脱炭焼鈍における加熱速度および均熱温度と脱炭焼鈍板の(110)極密度との関係を示すグラフであり、図2は、冷間圧延における圧延速度および圧延油温度と脱炭焼鈍板の(110)極密度との関係を示すグラフである。
【0020】
これらの図1および図2から明らかなように、図1の脱炭焼鈍条件よりも図2の冷間圧延条件の方が1次再結晶(脱炭焼鈍)板の集合組織に大きく影響し、冷間圧延条件が1次再結晶板の集合組織に影響する主要因の一つであることが推察できる。
【0021】
もちろん、ここに挙げた因子は、数多くある種々の因子のうちの一部にすぎず、素材の成分組成や他の前工程条件などが変化すれば、影響する度合などが変ってくる可能性もあるが、上記実験結果に示されるように、1次再結晶板の集合組織を制御するという観点からは、圧延条件の調整が不可欠であると言える。
【0022】
そこで、1次再結晶板の集合組織に影響を及ぼす冷延板ないしは冷間圧延途中の鋼板の特性を評価でき、かつ、ばらつきが小さく、オンライン計測が可能な因子を探索した。その結果、鉄損が冷延板ないしは冷間圧延途中の鋼板の材料特性を的確に評価できることが判明した。
【0023】
図3に、冷延板の鉄損W10/50 (B:1.0T,50Hzにおける鉄損)と脱炭焼鈍板の(110)極密度との関係のグラフを示す。
なお、図3において、素材および処理条件などは上記実験例と同様である。
【0024】
この図3から明らかなように、冷延板の鉄損と脱炭焼鈍板の(110)極密度とはよい相関があることがわかる。よって、冷延板の鉄損を指標とし、この指標に基づき圧延条件をオンラインで調整すれば、脱炭焼鈍後の集合組織を安定して制御できるという考えに至ったものである。
【0025】
一方、図4に示す仕上げ焼鈍後製品板の磁束密度と冷延板の鉄損との関係のグラフから明らかなように、仕上げ焼鈍後製品板の磁束密度と冷延板の鉄損とはよい相関を示している。
【0026】
したがって、冷延板の鉄損を指標として用い冷間圧延条件を調整すれば、1次再結晶板の集合組織ひいては仕上げ焼鈍後製品板の磁束密度を制御できることになる。
【0027】
つぎに、この発明において方向性電磁鋼板用素材の成分組成ならびに製造工程について述べる。
【0028】
・成分組成
C:0.02〜0.12%
Cは、含有量が0.02%未満では2次再結晶が不良となり、0.12%を超えると脱炭性および磁気特性を低下させる。したがって、その含有量は0.02%以上、0.12%以下とする。
【0029】
Si:2.5〜4.5%
Siは、含有量が2.5%未満では良好な鉄損が得られず、4.5%を超えると冷間圧延性が著しく劣化する。したがって、その含有量は2.5%以上、4.5%以下とする。
【0030】
Mn:0.03〜0.15%
Mnは、インヒビタとしてMnSやMnSeを用いる場合重要であり、インヒビタとしての作用を発揮させるためには少なくとも0.03%は含有させることがよく、逆に0.15%を超えて含有させると、MnS,MnSeの固溶温度が高くなり、通常のスラブ加熱温度では固溶せず製品での磁気特性が劣化するので、0.03〜0.15%の範囲で含有させることがよい。
【0031】
S+Se:0.01〜0.05%
Sおよび/またはSeは、含有量が合計で0.05%を超えると純化焼鈍での純化が困難となり、0.01%未満ではインヒビタとしての量が不足する。したがって、その含有量の合計は0.01〜0.05%の範囲がよい。ただし、Sを0.01%未満に規制することで磁束密度はさらに向上する。
【0032】
Al:0.01〜0.05%
N:0.004〜0.012%
AlおよびNはインヒビタとしてAlNを用いる場合に重要であり、Alの含有量は0.01〜0.05%の範囲とすることが好ましい。すなわち、これよりAlが少ないと磁束密度は低くなり、多いと2次再結晶が不安定になる傾向がある。また、Nは0.004%未満ではAlN量が不足し、0.012%を超えると製品にブリスタが発生する場合があるので、その含有量は0.004〜0.012%の範囲とすることがよい。
【0033】
これらMnSおよび/またはMnSe系のインヒビタとAlN系インヒビタは併用してもよいし、いずれか一方を単体で用いる場合にもこの発明は有効である。
【0034】
さらに、以下の成分を単独または複合して用いることもできる。
Sb:0.01〜0.20%
Cu:0.02〜0.20%
Sn:0.02〜0.20%
Sbは、含有量は0.01%未満では磁気特性の改善効果が少なく、0.20%を超えると脱炭性および表面被膜の形成に問題を生じる場合があるので0.01〜0.20%の範囲が好ましい。また、磁束密度のさらなる向上をはかるためにCuを含有させることができる。その含有量は0.02%未満ではその添加効果がなく、0.20%を超えると酸洗性が悪化し脆化するので0.02〜0.20%の範囲とすることが好ましい。さらに、鉄損の向上のためにSnを含有させることが有利で、その含有量は、0.02%未満では添加効果がなく、0.20%を超えると脆化するので0.02〜0.20%の範囲が望ましい。
【0035】
Mo:0.005〜0.05%
Moは、表面性状を改善するために含有させることができる。含有量は、0.005%未満ではその効果がなく、0.05%を超えると脱炭性が悪化するので0.005〜0.05%の範囲が好ましい。
【0036】
・製造工程
従来からの製鋼法で得られる上記成分組成に調整した溶鋼を連続鋳造法または造塊−分塊法により所定厚さのスラブとしたのち、望ましくは1350℃以上の温度に加熱後熱間圧延して熱延板とする。このとき、スラブ加熱温度を1350℃以上とするのは、これを下回る温度ではMnS,MnSeおよびAlN等の析出物の再固溶が困難になるからである。
【0037】
その後この熱延板に、必要に応じて、900〜1200℃の温度域に加熱後急冷する熱延板焼鈍を施したのち、1回あるいは中間焼鈍を挟む複数回の冷間圧延を施す。ここで、最終冷間圧延の圧下率は、MnSおよび/またはMnSeをインヒビタとして含む系では50〜70%の範囲が好ましく、AlNのみもしくはAlNとMnSやMnSeなどをインヒビタとして含む系では80%以上とすることが好ましい。
【0038】
この冷間圧延ののちは、常法にしたがって脱炭焼鈍を施したのち、焼鈍分離剤を塗布してから仕上げ焼鈍を行い製品板とする。
【0039】
この発明の骨子とするところは、上記工程において、冷延板(最終冷間圧延後の鋼板)もしくは冷間圧延途中の鋼板の鉄損をオンラインで測定し、この鉄損の値に応じて、フィードバークあるいはフィードフォワードにて圧延条件を調整することにある。
この冷間圧延板の鉄損の値に応じて調整する圧延条件には、動的歪時効、静的歪時効の程度に関係する圧延温度と、これに関連する圧延速度、圧下配分(圧延パススケジュール)、ロールや鋼板へのクーラント量とその温度、パス間の時効温度およびその時間などのほか、鋼板温度を上昇させる場合に限り冷間圧延入側または出側にて赤外線炉等により強制的に鋼板を加熱することなどがあり、これらを単独あるいは複合して用い調整することでよい。
【0040】
ここで、冷間圧延板の最適鉄損の値は、素材成分のC量やインヒビタ量などに応じて変化するので素材成分組成によって定めることが肝要である。たとえば、最終冷間圧延後冷延板について、C:0.03%の場合では鉄損W10/50 :13.5〜13.7W/Kg、C:0.05%の場合では鉄損W10/50 :14.4〜14.6W/Kgがそれぞれ最適範囲であった。
【0041】
このような最適範囲に鉄損を制御するためには、上記したように冷間圧延時の鋼板温度を調整することでよく、オンラインで計測した鉄損が目標値(最適値)を下回っている場合は、冷間圧延時の動的歪時効や静的歪時効を促進させるため、上記した圧延条件から鋼板温度を上昇させる手段を、逆に鉄損が目標値を上回っている場合には、鋼板温度を低下させる手段をとればよい。
【0042】
さらに、この発明は、前記したように冷間圧延後冷延板の鉄損をそれ以後に圧延される鋼板の圧延条件にフィードバックする方法に加えて、冷間圧延途中のパス間において測定した鉄損を、後半の冷間圧延条件にフィードフォワードすることもでき、たとえば、4パス圧延を行う場合に、最初の1パス終了後の目標の鉄損に応じて、その後の2パス目以降の圧下配分、圧延速度、クーラント等を先に述べた要領にしたがって調整すればよい。
【0043】
ここで、前記した冷延板の評価方法として鉄損W10/50 を用いたが、これとは異なる磁束密度、周波数での鉄損を用いてもよい。またオンラインでの連続的鉄損測定は、最終製品の評価等に用いられている公知の技術であり、冷間圧延工程に適用することは極めて容易である。
【0044】
【実施例】
実施例1
C:0.050%、Si:3.2%、sol Al:0.020%、N:0.0070%、Mn:0.060%、Se:0.019%およびCu:0.1%を含有し、残部は実質的にFeの組成になるけい素鋼板用スラブ2本を素材として、それぞれ板厚:2.0mmに熱間圧延し、1050℃の温度で熱延板焼鈍を行った。
【0045】
その後、板厚:0.3mmに冷間圧延し、その圧延出側で鉄損W10/50 (W/Kg)をオンラインで連続的に測定した。その際、1本は鉄損に関係なく一定条件にて冷間圧延を行い、他の1本は測定した鉄損の値をフィードバックして圧延条件をオンラインで調整しながら冷間圧延を行い、それぞれコイルに巻き取った。
【0046】
ここで、冷間圧延条件の調整は、圧延出側で測定した W10/50 (w/kg)の値が14.8w/kg以上となるように、圧延スピード低下時には、圧延油流量を減少させる方法によった。
【0047】
このときの各コイル内位置別の鉄損を表1に示す。
【0048】
【表1】
Figure 0003885264
【0049】
つぎに、これらの冷延板を、湿水素雰囲気中で820℃・140秒間の脱炭焼鈍を施したのち、1200℃・5時間の純化焼鈍を行いそれぞれ製品板とし、これらの磁気特性を調査した。
【0050】
それらの調査結果を表2に示す。
【0051】
【表2】
Figure 0003885264
【0052】
表1から明らかなように、圧延条件をオンラインで調整したコイルの鉄損のばらつきは当然のことながら小さく、また、表2から明らかなように、圧延条件をオンラインで調整したこの発明の適合例は、比較例に比し製品板での磁気特性ならびにそのばらつきが大幅に改善されている。
【0053】
実施例2
C:0.070%、Si:3.35%、sol Al:0.024%、N:0.0085%、Mn:0.070%、Se:0.015%およびSb:0.025%を含有し、残部は実質的にFeの組成になるけい素鋼スラブ2本を素材として、それぞれ板厚:1.8mmに熱間圧延し、1000℃の温度で熱延板焼鈍を施したのち、板厚:0.22mmに冷間圧延し、その圧延出側で鉄損をオンラインで連続的に測定した。その際、1本は鉄損に関係なく一定条件にて冷間圧延を行い、他の1本は測定した鉄損をフィードバックして圧延条件をオンラインで調整しながら冷間圧延を行い、それぞれコイルに巻き取った。
【0054】
ここで、冷間圧延条件の調整は、圧延出側で測定した W10/50 (w/kg) の値が15.2w/kg以上となるように、圧延スピード低下時には、圧延油温度を上昇させる方法によった。
【0055】
このときの各コイル内位置別の鉄損を表3に示す。
【表3】
Figure 0003885264
【0056】
つぎに、これらの冷延板を、湿水素雰囲気中で830℃・120秒間の脱炭焼鈍を施したのち、1200℃・5時間の純化焼鈍を行いそれぞれ製品板とし、これらの磁気特性を調査した。
【0057】
それらの調査結果を表4に示す。
【表4】
Figure 0003885264
【0058】
表3から明らかなように、圧延条件をオンラインで調整したコイルの鉄損のばらつきは小さく、また、表4から明らかなように、圧延条件をオンラインで調整したこの発明の適合例は、比較例に比し製品板の磁気特性ならびにそのばらつきが大幅に改善されている。
【0059】
実施例3
C:0.074%、Si:3.40%、sol Al:0.022%、N:0.0088%、Mn:0.067%、Se:0.016%およびSb:0.09%を含有し、残部は実質的にFeの組成になるけい素鋼スラブ2本を素材として、それぞれ板厚:2.3mmに熱間圧延し、900℃の温度で熱延板焼鈍を施したのち、酸洗後板厚:1.4mmに冷間圧延し、さらに、これらを1050℃の温度に加熱し急冷する中間焼鈍を施したのち、板厚:0.20mmに冷間圧延し、その圧延出側で鉄損をオンラインで連続的に測定した。
【0060】
その2回目の冷間圧延の際、1本は一定条件にて冷間圧延し、他の1本は測定した鉄損の値をフィードバックして圧延条件をオンラインで調整しながら冷間圧延し、それぞれコイルに巻き取った。
【0061】
ここで、2回目の冷間圧延の調整は、圧延出側で測定した W10/50(w/kg) の値が15.3w/kg以上となるように、圧延スピード低下時には、圧延油流量を減少させる方法によった。
【0062】
このときの、各コイル内位置別の鉄損を表5に示す。
【0063】
【表5】
Figure 0003885264
【0064】
つぎに、これらの冷延板を、湿水素雰囲気中で835℃・120秒間の脱炭焼鈍を施したのち、1180℃・10時間の純化焼鈍を施しそれぞれ製品板とし、これらの磁気特性を調査した。
【0065】
それらの調査結果を表6に示す。
【表6】
Figure 0003885264
【0066】
表5から明らかなように、2回目の冷間圧延条件をオンラインで調整したコイルの鉄損のばらつきは小さく、表6から明らかなように、2回目の冷間圧延条件をオンラインで調整したこの発明の適合例は、比較例に比し製品板の磁気特性ならびにそのばらつきが大幅に改善されている。
【0067】
実施例4
C:0.049%、Si:3.35%、Mn:0.060%、Se:0.018%、Sb:0.025%およびMo:0.01%を含有し、残部は実質的にFeの組成になるけい素鋼スラブ2本を素材として、それぞれ板厚:2.2mmに熱間圧延し、1050℃の温度で熱延板焼鈍を行ったのち、酸洗後板厚:0.6mmに冷間圧延し、さらに、これらを1050℃の温度に加熱し急冷する中間焼鈍を施したのち板厚:0.22mmに冷間圧延した。
【0068】
その2回目の冷間圧延の際、圧延3パスのうち1パス後にオンラインで連続的に鉄損を測定し、1本は一定条件にて冷間圧延し、他の1本は鉄損の値をフィードフォワードして2パス以降の冷間圧延条件をオンラインで調整しながら冷間圧延し、それぞれコイルに巻取った。
【0069】
ここで、2パス目以降の冷間圧延条件の調整は、オフラインにて同一成分材で磁性良好となる1パス後の W10/50 を決定し、( W10/50 ≧8.7w/kgが磁性良好)、この W10/50 の目標値を下回るコイル位置では、圧延油温度を上昇させる方法によった。
【0070】
このときの、各コイル内位置別の鉄損を表7に示す。
【0071】
【表7】
Figure 0003885264
【0072】
つぎに、これらの冷延板を湿水素雰囲気中で820℃・100秒間の脱炭焼鈍を施したのち、1180℃・5時間の純化焼鈍を施してそれぞれ製品板とし、これらの磁気特性を調査した。
【0073】
それらの調査結果を表8に示す。
【0074】
【表8】
Figure 0003885264
【0075】
表7から明らかなように、2回目の冷間圧延の2パス目以降をオンライン調整したコイルの鉄損のばらつきは小さく、表8から明らかなように、2回目の冷間圧延の2パス目以降をオンライン調整したこの発明の適合例は、比較例に比し製品板での磁気特性ならびにそのばらつきが大幅に改善されている。
【0076】
【発明の効果】
この発明は、方向性電磁鋼板を製造するにあたり、冷間圧延のパス間もしくは最終パス後に鉄損をオンライン計測し、その結果を圧延条件にフィードバックあるいはフィードフォワードするものであり、
この発明によれば、製品での品質特性とそのばらつきを大幅に改善することができ、工業的価値は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】脱炭焼鈍における加熱速度および均熱温度と脱炭焼鈍板の(110)極密度との関係を示すグラフである。
【図2】冷間圧延における圧延速度および圧延油温度と脱炭焼鈍板の(110)極密度との関係を示すグラフである。
【図3】冷延板の鉄損W10/50 と脱炭焼鈍板の(110)極密度との関係のグラフである。
【図4】仕上げ焼鈍後製品板の磁束密度と冷延板の鉄損との関係のグラフである。

Claims (3)

  1. C:0.02〜0.12wt%およびSi:2.5〜4.5wt%を含む方向性電磁鋼板用スラブを熱間圧延したのち、そのままもしくは熱延板焼鈍を施してから、1回または中間焼鈍を挟む2回の冷間圧延を行い、その後脱炭焼鈍ののち仕上げ焼鈍を施す一連の工程により方向性電磁鋼板を製造するにあたり、
    冷間圧延のパス間もしくは最終パス後に当該鋼板の鉄損をオンライン計測し、その計測結果に基づいて、フィードバックあるいはフィードフォワードにて圧延条件を調整することを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
  2. 圧延条件の調整が、圧延温度である請求項1に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
  3. 圧延条件の調整が、圧延速度、圧延パススケジュール、クーラント流量およびクーラント温度のうちいずれか1つ以上である請求項1に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
JP00063097A 1997-01-07 1997-01-07 方向性電磁鋼板の製造方法 Expired - Fee Related JP3885264B2 (ja)

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