JP2580403B2 - 一方向性電磁鋼板用連続鋳造スラブの熱間圧延方法 - Google Patents
一方向性電磁鋼板用連続鋳造スラブの熱間圧延方法Info
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Description
造する工程において、連続鋳造により製造した一方向性
電磁鋼用スラブの熱間圧延方法に関し、特に、表面欠陥
が良好で、磁気特性に優れた一方向性電磁鋼板を得よう
とする熱間圧延方法に係わるものである。
束密度と低い鉄損を持つ優れた磁気特性により変圧器な
どの鉄芯材料として広く用いられている。その製造方法
の特徴として、〔110〕<001>のいわゆるゴス方
位が高度に集積した二次再結晶粒を得るために、Mn
S、AlNといった粒方向性を制御するインヒビター元
素が用いられている。このインヒビター元素が適性に意
図した作用をもたらすためには、熱間圧延に先立つスラ
ブ加熱時に充分に解離固溶(以下溶体化と呼ぶ)させた
後、適切な条件での熱間圧延と次いで行う冷却によって
微細かつ均一分散析出させることが非常に重要であり、
かかるインヒビター元素の溶体化には、例えば1300
℃以上のスラブ高温加熱を行っている。
ス燃焼型加熱炉を用いた場合には、加熱炉内で多量の溶
融スケールが発生し、歩留の悪化が生じるだけでなく、
加熱炉の安定した操業性を損なうと共に、成品表面欠陥
や幅方向端部のいわゆる耳割れ欠陥の発生原因となる。
加えて、この種の加熱炉で目標とする温度まで到達させ
るには極めて長時間を要することから、その間にスラブ
組織の粗大化が生じ、その後の圧延で巨大延伸粒を発現
させることになり、その結果成品磁気特性を不安定にさ
せる原因にもなっている。
3322号公報や特開昭62−10214号公報等で
は、スラブを1230℃程度までガス燃焼型加熱炉で予
備加熱し、その後の高温加熱を、不活性雰囲気に制御さ
れた誘導加熱炉で短時間行うことが提案されている。特
に、前者は、誘導加熱における周波数を調整して中心部
温度(この温度はMnS,Se,Al量によって決まる
と記述している。)と表面部温度が均一になるようにし
ており、一方、後者では、スラブ表面と中心部の温度差
を一定範囲にする誘導加熱法が開示されている。しかし
ながら、これらの方法によれば、誘導加熱を1250℃
或いは1300℃以上から1400℃近傍範囲でのいず
れの温度に加熱しても良く、前記(MnS,Se,Al
量によって決まる)の記述も具体的指定温度はない。こ
の様な加熱方法によるときは、スラブに過剰加熱が行わ
れることがあり、そのためスラブの内部溶融スラブ割
れ、結晶粒粗大化による磁気特性の劣化やエネルギー原
単位の増加によるコストアップ、或いは加熱不足による
磁気特性の低下が起こるという問題が生じる。
磁鋼板の製造過程で、上記した従来技術の問題点を解消
するものであって、雰囲気制御型で且つ内部発熱型の電
気式加熱によって、インヒビター元素の成分値から決定
される適切な温度でスラブのを加熱を行い、これにより
スラブの内部溶融等の欠陥が無く、磁気特性および生産
性に優れた一方向性電磁鋼板用連続鋳造スラブの熱間圧
延方法を提供することを目的とする。
め、本発明は以下の通りの構成とする。即ち、C:0.
02〜0.085%、Si:2〜4.5%を含む連続鋳
造により製造した一方向性電磁鋼板用スラブを、ガス燃
焼型加熱炉で900〜1250℃に予備加熱し、その
後、非酸化性ガス雰囲気にした電気式加熱炉に挿入して
1300〜1450℃の温度範囲に加熱する方法におい
て、予備加熱後のスラブに幅大圧下圧延を行った後、圧
延率40%未満の予備圧延をし、次いで行う電気式加熱
炉での均熱温度が、スラブに含有するMn,Sの成分値
に基づいて下記(1)式の範囲になるように処理し、次
いで、粗圧延及び仕上圧延することを特徴とする一方向
性電磁鋼板用連続鋳造スラブの熱間圧延方法である。 (43750×{Mn×S})+1231≦均熱温度 ≦(43750×{Mn×S})+1251‥‥(1)
続鋳造された一方向性電磁鋼板用スラブの中心部には、
S、P等の不純物の濃厚偏析帯が生じる。これは一方向
性電磁鋼板用スラブの熱伝達係数が小さいために生じる
避けられない現象である。
は、スラブ段階で高温の溶体化処理を行うが、この様な
濃厚偏析帯を持つスラブ内部に1300〜1450℃と
いう高温加熱を施した場合に、S濃化部が低融点である
ために粒界溶融が生じ、これがその後の加工段階で内部
開孔となって、鋼板にフクレ欠陥を発生させる原因にな
る。
し、幅大圧下圧延を行う場合には、この内部開孔が助長
される。これは、水平方向の大きな圧下に因って中心偏
析に対して押し広げの力がより大きく働く事によるもの
である。従って、1パスを軽圧下とし、これを多パス化
すれば、応力は分散されフクレ状欠陥を抑制することが
できるので1パスの圧下量を50mm以下にすることが好
ましい。
圧延を行う。即ちこの圧延で板厚方向に熱間変形を加え
れば、その後高温加熱してもフクレ状欠陥が生じない。
これは歪を加えたことで、中心偏析帯部分の再結晶が促
進され粒界強度が増加したものと推測できる。そのため
の圧下率は40%未満で十分である。又、幅大圧下圧延
されたスラブは、いわゆるドッグボーン形状を呈する
が、この予備圧延のよりドッグボーンを消去すると共に
加熱効率の良い形状にし、後工程の誘導加熱炉への装入
を容易に、且つ安定にする役割も果たす。
続鋳造スラブを、ガス燃焼型加熱炉で900〜1250
℃という比較的低温での予備加熱を行う。
搬出し、上記した幅大圧下圧延および予備圧延を経て、
N2 やArガス等の非酸化性雰囲気にした誘導加熱等の
電気式加熱炉に装入し、ここで高温溶体化処理する。
ラブに含有されているMnSやAlN等の固溶を図り、
冷延、仕上焼鈍等を経た最終成品に優れた磁気特性を付
与するために、1300〜1450℃の温度範囲に加熱
するのであるが、この温度範囲において、以下に説明す
るようにスラブに含有するインヒビター形成元素として
のMnとSの成分値に応じて、該加熱温度を変化させる
ことに特色がある。
スラブ加熱温度を変化させる理由は以下の通りである。
先ず第一に、必要以上の高温加熱を行うことにより、 S、P等の濃厚偏析帯低融点領域の内部溶融によるフ
クレ状表面欠陥の発生率が高まること、 結晶粒粗大化による熱延板の耳割れが悪化し、歩留の
低下や後に続く工程での通板性が悪化すること、といっ
た中間品位や成品品位の劣化をもたらす。
りエネルギー原単位の増加、即ちコストの増加をもたら
すからである。
S、Al、NのうちMnとSの成分値により加熱温度を
変化させる理由は以下の通りである。
における熱平衡式から計算により求めると図1、2のよ
うになる。図から明らかのように、方向性電磁鋼板のイ
ンヒビター形成元素の成分範囲において、MnSの計算
溶体化温度は1305〜1335℃である。一方、Al
Nの計算溶体化温度は1165〜1295℃であり、M
nSと比較すると低温である。従って、Mn、S、A
l、Nをインヒビター成分とする方向性電磁鋼板のスラ
ブ加熱において、最も重要な項目であるインヒビター形
成元素の溶体化はMnSにより律速されているからであ
る。
て、スラブに含有する[Mn]×[S]値と電気式加熱
炉(誘導加熱炉)における均熱温度との関係で得られた
特性を示したものである。即ち、重量%で、C:0.0
8%、Si:3.25%、Al:0.027%、N:
0.0090%、Sn:0.10%、Cu:0.05%
を含み、且つMn:0.065〜0.090%とS:
0.020〜0.030%を組み合わせMn×Sを0.
0013〜0.0027の範囲にし、残部実質的にFe
よりなる連続鋳造スラブの各試片を、ガス加熱炉にて平
均温度1200℃に加熱した後、竪型粗圧延機にて15
0mmの幅圧下圧延を行い、更に粗圧延機にてドッグボー
ン矯正および20%の圧下後、N2 雰囲気に制御された
誘導加熱炉を用いてスラブ内温度最冷点を1300〜1
350℃の多水準の温度で20分間均熱保持を行い、こ
のように加熱したスラブを加熱炉から抽出し、直ちに粗
圧延と、仕上圧延を行って、2.3mm厚のホットコイル
として巻取った。これらの熱延条件の異なるホットコイ
ルを酸洗した後1.5mmの板厚に予備冷延してからホッ
トコイル焼鈍を施し、次いで最終冷延により0.22mm
厚の鋼帯とした。この冷延鋼帯に更に835℃での脱炭
焼鈍を施し焼鈍分離剤を塗布した後、1200℃での仕
上焼鈍を行い、張力コーティングを施して高磁束密度方
向性電磁鋼板を製造したものである。この様にして得た
各成品について磁気特性(鉄損・W17/50)、表面欠陥
(フクレ)及びホットコイルの耳われ深さを測定し、図
に付記した凡例のごとく、これらの測定結果を評価して
マーク毎に分け、図3に示している。
合においては磁気特性の劣化が見られ、逆に均熱温度が
高い場合には表面欠陥或いは耳われ深さの悪化が見られ
る。そして、磁気特性及び表面欠陥共に目標値を超える
良好な領域が存在する。即ち2重丸印のある線A及びB
以内の領域であり、この線A及びBを回帰式で求めると
下記(1)式のようになる。この領域は[Mn]×
[S]の値により、この値が低い場合は低温側に、高い
場合は高温側に変化する。 (43750×{Mn×S})+1231≦均熱温度 ≦(43750×{Mn×S})+1251‥‥(1)
分に固溶するのに,[Mn]と[S]の値に応じた適正
な溶体化均熱温度を見出だしたものであり、非酸化性雰
囲気での短時間加熱であるためにノロの発生がなく、し
かも前述したような過不足加熱に基づく特性上及び表面
状の劣化を解消できると共に加熱操業における生産性を
向上することができる。
ける加熱手段として、例えば誘導コイル内にスラブを竪
形に装入し、雰囲気を非酸化性にできる短時間加熱炉
(電気式加熱炉)を、オンライン或いはオンライン近傍
に、しかも予備圧延機能を持つ粗圧延機に近接して設置
することが好ましい。
機に噛み込まれこれ以降常法に従って粗−仕上圧延さ
れ、コイルに巻取って一方向性電磁鋼板用熱延鋼板とな
る。そして、この熱延鋼板を冷延、焼鈍等通常の一方向
性電磁鋼板の製造法で処理し、表面性状及び磁気特性の
優れた最終成品を安定して得ることができる。
%、Al:0.026%、N:0.0080%、Sn:
0.12%、Cu:0.05%、Mn:0.08%、
S:0.025%を含み、残部実質的にFeよりなる連
続鋳造スラブの各試片を、ガス加熱炉にて平均温度12
00℃に加熱した後、竪型粗圧延機にて150mmの幅圧
下圧延を行い、非酸化性雰囲気に制御された誘導加熱炉
を用いてスラブ内温度最冷点1300、1310、13
20、1330、1340、1350℃の6水準の温度
で20分間均熱保持を行い、このように加熱したスラブ
を誘導加熱炉から抽出し、直ちに粗圧延、仕上圧延を行
って2.3mm厚のホットコイルを得た。
酸洗した後、1.55mmの板厚に予備冷延した後、ホッ
トコイル焼鈍を施し、次いで最終冷延により0.22mm
厚の鋼帯とした。この冷延鋼帯に更に835℃で脱酸焼
鈍を施し、焼鈍分離剤を塗布した後、1200℃での仕
上焼鈍を行い、張力コーティングを施して高磁束密度方
向性電磁鋼板を得た。
ホットコイル耳割れ深さを表1に示す。本発明の温度領
域で加熱したものは、磁気特性、成品表面欠陥、ホット
コイル耳割れ深さ全てにおいて良好である。
気制御可能な電機式加熱炉でのスラブ加熱を、インヒビ
ター形成元素であるMn、Sの成分値に応じて得られる
適切な温度で行うことにより、表面性状、磁気特性およ
び生産性に優れた方向性電磁鋼板を得ることができる。
加熱炉(誘導加熱炉)における均熱温度との関係で得ら
れた特性を示す図。
図。
示す図。
Claims (1)
- 【請求項1】 C:0.02〜0.085%、Si:2
〜4.5%を含む連続鋳造により製造した一方向性電磁
鋼板用スラブを、ガス燃焼型加熱炉で900〜1250
℃に予備加熱し、その後、非酸化性ガス雰囲気にした電
気式加熱炉に挿入して1300〜1450℃の温度範囲
に加熱する方法において、予備加熱後のスラブに幅大圧
下圧延を行った後、圧延率40%未満の予備圧延をし、
次いで行う電気式加熱炉での均熱温度が、スラブに含有
するMn,Sの成分値に基づいて下記(1)式の範囲に
なるように処理し、次いで、粗圧延及び仕上圧延するこ
とを特徴とする一方向性電磁鋼板用連続鋳造スラブの熱
間圧延方法。 (43750×{Mn×S})+1231≦均熱温度 ≦(43750×{Mn×S})+1251‥‥(1)
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP3113286A JP2580403B2 (ja) | 1991-05-17 | 1991-05-17 | 一方向性電磁鋼板用連続鋳造スラブの熱間圧延方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JPH05117751A JPH05117751A (ja) | 1993-05-14 |
JP2580403B2 true JP2580403B2 (ja) | 1997-02-12 |
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ID=14608334
Family Applications (1)
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---|---|---|---|
JP3113286A Expired - Lifetime JP2580403B2 (ja) | 1991-05-17 | 1991-05-17 | 一方向性電磁鋼板用連続鋳造スラブの熱間圧延方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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Families Citing this family (2)
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---|---|---|---|---|
JP5001611B2 (ja) | 2006-09-13 | 2012-08-15 | 新日本製鐵株式会社 | 高磁束密度方向性珪素鋼板の製造方法 |
CN103667881B (zh) * | 2013-12-19 | 2015-06-17 | 武汉钢铁(集团)公司 | 高磁感取向硅钢的生产方法 |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH03170615A (ja) * | 1989-11-29 | 1991-07-24 | Kawasaki Steel Corp | 方向性けい素鋼用スラブの加熱方法 |
-
1991
- 1991-05-17 JP JP3113286A patent/JP2580403B2/ja not_active Expired - Lifetime
Patent Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPH03170615A (ja) * | 1989-11-29 | 1991-07-24 | Kawasaki Steel Corp | 方向性けい素鋼用スラブの加熱方法 |
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JPH05117751A (ja) | 1993-05-14 |
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