JP4017244B2 - ゴム組成物およびスリーピースソリッドゴルフボール - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、X線吸収分析を利用することにより、内層コアと外層コアが偏芯しているか否かを容易に検査することのできるスリーピースソリッドゴルフボールに関する。
【0002】
【従来の技術】
スリーピースソリッドゴルフボールは、内層コア、外層コアおよびカバーからなるソリッドゴルフボールであり、1層のコアとカバーからなるツーピースソリッドゴルフボールの打撃感触およびスピン性能の改良を目的として開発されている(特開昭60−241464号公報、特開昭62−137075号公報、特開平2−228978号公報、特開平2−264674号公報等)。
内層コアおよび外層コアは、ともにゴム組成物であるが、その組成を異ならせることにより、飛び性能、打撃感触、スピン性能等を優れたものにする試みがなされている。例えば、特開昭60−241464号公報、特開昭62−137075号公報等には、内層コアと外層コアに比重差を持たせる手法が記載されている。一方、内層コアと外層コアに大きな比重差を持たせず、所定の硬度分布にする手法が特開平2−228978号公報等に記載されている。
設計した諸性能を発揮させるためには、スリーピースソリッドゴルフボールの内部において、内層コアと外層コアの中心が一致している必要がある。従って、製造時の何らかの原因により、内層コアと外層コアが偏芯してしまったものは、検査して製品から取り除く必要がある。
内層コアと外層コアにおいては、飛び性能を高くするために、反発力のあるゴム成分の比率を高くし、かつ、ある程度大きな比重を持たせる必要があるので、硫酸バリウムや酸化亜鉛が充填剤として、即ち、比重調整剤として用いられる。従来から、スリーピースソリッドゴルフボールの内層コアと外層コアの偏芯のチェックには、X線吸収分析の結果であるX線画像における内層コアと外層コアの像を肉眼で観察することによって、偏芯のチェックを行うことができる。
しかし、内層コアと外層コアの比重差が小さい場合は、X線画像における内層コアと外層コアのコントラストがなく、両者の境界を特定するのは極めて困難である。即ち、そのような場合には、実際上X線吸収分析による偏芯のチェックができなかった。現実に、内層コアと外層コアが偏芯しているスリーピースソリッドゴルフボールが市場に出回り、問題となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、内層コアと外層コアの比重が実質的に同一の範囲にあるにもかかわらず、偏芯のチェックを容易に行えるスリーピースソリッドゴルフボールを提供することを課題とする。
また、本発明は、飛び性能、打撃感触およびスピン性能のいずれにも優れる前記スリーピースソリッドゴルフボールを提供することを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意研究した結果、スリーピースソリッドゴルフボールを偏芯のチェックを容易に行えるようなものにするためには、比重調整剤として硫酸バリウムと酸化亜鉛の組み合わせを用い、両者の合計中の硫酸バリウムの比率を変えることにより、内層コアと外層コアのX線吸収能を変え、X線画像のコントラストを鮮明にすればよいということを知見し、本発明を完成した。
【0005】
即ち、第1の発明は、内層と外層からなるツーピースソリッドコアをカバーで被覆してなるスリーピースソリッドゴルフボールのコアに用いるゴム組成物であって、基材ゴム100重量部に対して、硫酸バリウムおよび酸化亜鉛の合計配合量20〜30重量部で、硫酸バリウムと酸化亜鉛の合計中の硫酸バリウムの比率が55〜95重量%である内層コア用ゴム組成物と、基材ゴム100重量部に対して、硫酸バリウムおよび酸化亜鉛の合計配合量15〜25重量部で、硫酸バリウムと酸化亜鉛の合計中の硫酸バリウムの比率が5〜45重量%である外層コア用ゴム組成物とのセットからなるゴム組成物を提供する。
第2の発明は、内層と外層からなるツーピースソリッドコアをカバーで被覆してなるスリーピースソリッドゴルフボールにおいて、該ツーピースソリッドコアが前記ゴム組成物からなり、該カバーがジエン系ゴムが分散されたアイオノマー樹脂を含有し、ショアーD硬度が65以下である樹脂組成物からなるスリーピースソリッドゴルフボールを提供する。
また、本発明は、基材ゴム、硫酸バリウムおよび酸化亜鉛を含有するゴム組成物において、比重を実質的に同一の範囲に維持して、硫酸バリウムと酸化亜鉛の合計中の硫酸バリウムの含有比率を変えてX線吸収能を変える方法を提供することもできる。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳細に説明する。
【0007】
第1の発明は、内層と外層からなるツーピースソリッドコアをカバーで被覆してなるスリーピースソリッドゴルフボールのコアに用いるゴム組成物であって、基材ゴム100重量部に対して、硫酸バリウムおよび酸化亜鉛の合計配合量20〜30重量部で、硫酸バリウムと酸化亜鉛の合計中の硫酸バリウムの比率が55〜95重量%である内層コア用ゴム組成物と、基材ゴム100重量部に対して、硫酸バリウムおよび酸化亜鉛の合計配合量15〜25重量部で、硫酸バリウムと酸化亜鉛の合計中の硫酸バリウムの比率が5〜45重量%である外層コア用ゴム組成物とのセットからなるゴム組成物である。以下、第1の発明について説明する。
【0008】
本発明のゴム組成物は、内層コアと外層コアの比重が実質的に同一の範囲である場合でも、偏芯のチェックを容易に行うことができる。ここで、比重が実質的に同一の範囲であるとは、全く同一でもよく、同一とみなされるほど近い範囲であってもよい。
具体的には、内層コアと外層コアの比重差0.03以内の場合である。また、偏芯のチェックを行うのが極めて困難な場合、具体的には内層コアと外層コアの比重差0.01以内の場合においても適用可能である。
【0009】
本発明に用いられる基材ゴムは、特に限定されず、天然ゴム、イソプレンゴム、高シス−ブタジエンゴム、低シス−ブタジエンゴム、1,2−ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、多硫化ゴム、シリコーンゴム、ふっ素ゴム、ウレタンゴム等が挙げられる。
本発明に用いられる基材ゴムは、好ましくはシス−1,4結合を40%以上、特に好ましくは90%以上有するポリブタジエンゴムである。本発明のゴム組成物は、スリーピースソリッドゴルフボールのコアに用いられるので反発性を要求される。基材ゴムがシス−1,4結合を40%以上有するポリブタジエンゴムであると、本発明のゴム組成物の反発性が良好となり、シス−1,4結合を90%以上有するポリブタジエンゴムであると、さらに良好となる。
これらのゴムは、単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0010】
本発明に用いられる硫酸バリウムは、一般の市販品を使用することができる。例えば、平均粒度が5〜10μmであるものを用いることができる。ここで、「平均粒度」とは、通常の沈降性粒度分布測定法によって測定される粒度をいう。後述のように本発明のゴム組成物がアクリル酸亜鉛等の不飽和カルボン酸金属塩を含有する場合には、硫酸バリウムは不活性充填剤であり、摩擦係数が小さいため、予め基材ゴム中に配合することで基材ゴムと不飽和カルボン酸金属塩および不飽和カルボン酸金属塩同士の摩擦帯電を低下させ、不飽和カルボン酸金属塩の混練加工性を向上させる。また、得られたゴム組成物における不飽和カルボン酸金属塩の分散性も改良される。即ち、硫酸バリウムは比重調整剤として働くほか、不飽和カルボン酸金属塩の加工助剤、分散助剤としても働く。
【0011】
本発明のゴム組成物に用いられる酸化亜鉛は、一般の市販品を使用することができる。
酸化亜鉛は比重調整剤として働くほか、基材ゴムの架橋助剤としても働く。
【0012】
本発明のゴム組成物における硫酸バリウムおよび酸化亜鉛の合計配合量は、内層コア用ゴム組成物では、基材ゴム100重量部に対して20〜30重量部、外層コア用ゴム組成物では、基材ゴム100重量部に対して15〜25重量部である。この範囲を満たすと、スリーピースソリッドゴルフボールの比重、反発性等が好適となる。
【0013】
本発明のゴム組成物における硫酸バリウムと酸化亜鉛の合計中の硫酸バリウムの比率は、内層コア用ゴム組成物では、55〜95重量%、好ましくは65〜85重量%であり、外層コア用ゴム組成物では、5〜45重量%、好ましくは20〜40重量%である。この範囲を満たすと、X線吸収分析をした場合におけるX線画像の内層コアと外層コアのコントラストが鮮明になり、内層コアと外層コアの偏芯のチェックが容易にできるようになる。また、後述する不飽和カルボン酸金属塩の混練性が良好となる。
なお、上記比率を内層コア用ゴム組成物と外層コア用ゴム組成物で逆にした場合には、内層コアと外層コアのX線吸収能の差は大きくなるが、X線が初めに透過する外層コアが大きなX線吸収能を有することになるので、内層コアにまで十分な強度のX線が到達せず、分析が困難となる。
【0014】
また、本発明のゴム組成物において、内層コア用組成物が、基材ゴム100重量部に対し、不飽和カルボン酸金属塩を10〜25重量部含有し、外層コア用組成物が、基材ゴム100重量部に対し、不飽和カルボン酸金属塩を26〜35重量部含有する場合も、好ましい態様である。ここで、不飽和カルボン酸金属塩は、共架橋剤として作用する。
【0015】
不飽和カルボン酸金属塩の不飽和カルボン酸は、不飽和結合を有する種々のカルボン酸を用いることができるが、α,β−不飽和カルボン酸が好ましく、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸等が挙げられ、なかでもアクリル酸および/またはメタクリル酸が特に好ましい。
不飽和カルボン酸金属塩の金属塩は、1〜3価の原子価を有する金属イオンを含むものを用いることができ、例えば、亜鉛、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム等が挙げられ、なかでも亜鉛が好ましい。
従って、不飽和カルボン酸金属塩としては、アクリル酸亜鉛および/またはメタクリル酸亜鉛を用いるのが特に好ましい。
【0016】
不飽和カルボン酸金属塩は、平均粒度が5.0μm以下であるとより好ましい。ここで、「平均粒度」とは、通常の沈降性粒度分布測定法によって測定される粒度をいう。5.0μm以下であると、混練時に基材ゴム中への分散性がよくなり、得られるゴム組成物の反発性が高くなるからである。
【0017】
不飽和カルボン酸金属塩の含有量が、内層コア用組成物では、基材ゴム100重量部に対し、10〜25重量部であり、外層コア用組成物では、基材ゴム100重量部に対し、26〜35重量部であると、スリーピースソリッドゴルフボールの硬度および打撃感触が良好となる。
【0018】
本発明のゴム組成物は、上記成分以外にも、必要に応じて、架橋剤、補強剤、充填剤、老化防止剤、加工助剤、可塑剤、軟化剤等の添加剤を配合することができる。
【0019】
架橋剤は、有機過酸化物、硫黄等を使用できる。有機過酸化物は、ゴム架橋に一般に用いられるものであれば特に限定されないが、ジクミルペルオキシド、ジターシャリブチルペルオキシド、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、4,4’−ジ(t−ブチルパーオキシ)吉草酸n−ブチル、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン等が挙げられる。
【0020】
充填剤は、必須成分である硫酸バリウムおよび酸化亜鉛の他に、炭酸カルシウム、タルク、クレー、酸化チタン、カーボンブラック、ホワイトカーボン、シリカ等を含有していてもよい。
【0021】
老化防止剤は、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン(6PPD)、N,N’−ジナフチル−p−フェニレンジアミン(DNPD)、N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン(IPPD)、スチレン化フェノール(SP)等が挙げられる。
【0022】
軟化剤は、プロセスオイル、石油樹脂、フタル酸エステル、アジピン酸エステル、脂肪酸エステル等の合成可塑剤、植物油、液状ゴム等が挙げられる。
【0023】
第2の発明は、内層と外層からなるツーピースソリッドコアをカバーで被覆してなるスリーピースソリッドゴルフボールにおいて、該ツーピースソリッドコアが上記のゴム組成物からなるスリーピースソリッドゴルフボールである。本発明のスリーピースソリッドゴルフボールは、偏芯のチェックを容易に行うことができるので、得られるボール製品の品質が優れる。
【0024】
ここで、前記カバーがジエン系ゴムが分散されたアイオノマー樹脂を含有し、ショアーD硬度が65以下である樹脂組成物からなることが好ましい。
【0025】
アイオノマー樹脂は、エチレン−不飽和カルボン酸系共重合体をベース樹脂とするものであって、例えば、エチレン−不飽和カルボン酸系共重合体と陽イオンを供給し得る金属化合物から得られる。
エチレン−不飽和カルボン酸系共重合体は、例えば、エチレンと炭素数3〜6の不飽和カルボン酸、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、安息香酸ビニルとの共重合体である。
陽イオンを供給し得る金属化合物は、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属等の蟻酸塩、酢酸塩、硝酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、酸化物、水酸化物、アルコキシド等である。金属は、ナトリウム、亜鉛、リチウム、マグネシウム、マンガン、カルシウム、コバルト、カリウム等が挙げられる。
【0026】
アイオノマー樹脂は、ショアーD硬度が55〜80であることが好ましい。ショアーD硬度が80を超えると、本発明のスリーピースソリッドゴルフボールに用いられる樹脂組成物のショアーD硬度は65以下であるので、硬度の調整が困難となるからである。また、ショアーD硬度が55以上であると、樹脂組成物の反発性が良好となる。
【0027】
アイオノマー樹脂の具体例としては、例えば、エチレンとメタクリル酸との共重合体の金属塩が挙げられる。市販されているものでは、三井デュポン・ポリケミカル社製のハイミラン1605、ハイミラン1706、ハイミラン1707、ハイミランAM7315、ハイミランAM7317、ハイミランAM7318、デュポン社製のサーリン7930、サーリン7940等を用いることができる。
【0028】
ジエン系ゴムは、天然ゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム等が挙げられる。なかでも、好ましくはブタジエンゴム、特に好ましくはシス−1,4結合を40%以上有するポリブタジエンゴムである。
ジエン系ゴムの粒子径は、好ましくは0.1〜5μm以下である。樹脂組成物の反発性、耐久性、外観が好適となるからである。
【0029】
アイオノマー樹脂は、ジエン系ゴムが分散されているものである。
アイオノマー樹脂におけるジエン系ゴムの含有量は、アイオノマー樹脂とジエン系ゴムの重量比が50/50〜90/10であることが好ましい。打撃感触が硬すぎず柔らかすぎず、良好となるからである。
ジエン系ゴムは、熱架橋されているものが好ましい。熱架橋により、樹脂組成物の反発性、耐久性、外観が好適となる。ここで、外観が好適とは、樹脂組成物に毛羽立ちがなく、見た目がよいことをいう。有機過酸化物架橋によると、アイオノマー樹脂も同時に架橋されてしまうので、樹脂組成物の流動性が著しく低下し、成形が困難となる。また、硫黄架橋によると、樹脂組成物が黄色く着色する。
【0030】
樹脂組成物は、ショアーD硬度が65以下である。好ましくはショアーD硬度が45〜62である。ショアーD硬度が65を超えると、打撃感触が硬くなり過ぎ、また、スピンがかかりにくくなる。また、ショアーD硬度が45未満であると、反発性が不足し、飛び性能が十分でない場合がある。
【0031】
樹脂組成物は、0℃のtanδが0.01〜0.07であることが好ましい。樹脂組成物をソリッドゴルフボールのカバーとして用いた場合に、反発性が良好となるからである。
0℃のtanδを0.01〜0.07とするのは、例えば、硬度の高いアイオノマー樹脂およびガラス転移点の低いジエン系ゴムを用いることによる。
【0032】
樹脂組成物の製造方法は、特に限定されないが、アイオノマー樹脂と未架橋ジエン系ゴムとを150〜260℃の温度で混練し、ジエン系ゴムを熱架橋させるとともにアイオノマー樹脂中に分散させればよい。この場合の混練は、混合機中で1000/秒以上のせん断速度で攪拌することにより行うのがよい。この攪拌によって、ジエン系ゴムがアイオノマー樹脂中に良好に分散した状態になり、さらに、分散したジエン系ゴムの粒子径を5μm以下の微小なものにすることができるから、樹脂組成物の反発性、耐久性、外観が良好となる。
【0033】
樹脂組成物は、上記成分以外にも、必要に応じて、その他のゴム、エラストマー、フィラー、顔料、加工助剤、安定剤等を配合することができる。
【0034】
本発明のスリーピースソリッドゴルフボールは、圧縮強度10mm/minにてボールを1/10インチ(2.54mm)変形させるのに要する力(コンプレッション)が、80〜130であると、打撃感触が良好となりやすいので好ましい。
【0035】
本発明のスリーピースソリッドゴルフボールの製造方法は、特に限定されない。ゴム組成物を加圧成形して得た内層コア上に同中心的に、ゴム組成物を圧入成形して外層コアを設け、カバーとなる樹脂組成物を射出成形してコアを包み込む方法等が好適に使用できる。
【0036】
【実施例】
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限られるものではない。
スリーピースソリッドゴルフボールの作成
以下に示される内層コア用原料を第1表に示される重量比で、ニーダーおよびロールで混練し、得られたゴム組成物を160℃で20分間加熱加圧成形して、直径25.0mmの球状ソリッドコア(内層コア)を得た。以下に示される外層コア用原料を第1表に示される重量比で、ニーダーおよびロールで混練し、得られたゴム組成物を該内層コア上に同中心的に加圧成形して2層成形体を得た。該2層成形体を160℃で20分間加熱加圧成形して、直径39.0mmのツーピースソリッドコアを得た。以下に示されるカバー用原料を第1表に示される重量比で、ニーダーおよびロールで混練し、得られた樹脂組成物で、該ツーピースソリッドコアを射出成形法で被覆し、直径42.7mmのスリーピースソリッドゴルフボールを作成した。
(1)内層コア用原料・外層コア用原料
ポリブタジエンゴム:シス−1,4結合97%、BR−01、日本合成ゴム社製
アクリル酸亜鉛1:平均粒度2.5μm(自然・遠心沈降式自動粒度分布測定装置CAPA−300(堀場製作所社製)で測定)、下記アクリル酸亜鉛2をラボジェットミルにて粉砕して製造
アクリル酸亜鉛2:平均粒度5.3μm(上記と同様の方法で測定)
老化防止剤 :スワノックスBHT、精工化学社製
有機過酸化物 :パークミルD、日本油脂社製
(2)カバー用原料
アイオノマー樹脂1:ナトリウムイオン性エチレン−メタクリル酸系共重合体、ショアーD硬度67、H1605、三井デュポン・ポリケミカル社製
アイオノマー樹脂2:亜鉛イオン性エチレン−メタクリル酸系共重合体、ショアーD硬度66、H1706、三井デュポン・ポリケミカル社製
ポリブタジエンゴム:シス−1,4結合97%、BR−01、日本合成ゴム社製
酸化チタン :石原産業社製
【0037】
上記のようにして得られたツーピースソリッドコアおよびスリーピースソリッドゴルフボールについて以下の試験を行った。
反発性試験
ツーピースソリッドコアをスイングロボットにより打球して、初速を測定した。ドライバー(ウッド♯1)を用い、ヘッドスピード43m/sとして行った。比較例1の初速を100としたときのそれぞれの初速の相対値を反発指数とした。
スリーピースソリッドゴルフボールについても同様にして反発指数を求めた。
X線検査の可否
X線吸収分析装置(島津製作所社製)を用いて、X線検査によりスリーピースソリッドゴルフボール内部の内層コアと外層コアの偏芯があるか否かを調査した。具体的には、モニターに映し出された画像から目視で判断できるものをX線検査可(○)、できないものをX線検査否(×)とした。
コンプレッション試験
圧縮強度10mm/minにてボールを1/10インチ(2.54mm)変形させるのに要する力を測定した。
打撃感触試験
プロゴルファーがドライバー(ウッド♯1)を用いて打球し、打撃感触を試験した。
その他
上記の各試験の他に、内層コアおよび外層コアの比重の測定、外層コアの混練加工性の良否の判断、カバーのショアーD硬度の測定を行った。
【0038】
結果を第1表に示す。第1表から明らかなように、本発明のスリーピースソリッドゴルフボール(実施例1〜4)は、内層コアと外層コアの比重差が小さい場合に、従来(比較例1)は実現できなかったX線吸収分析による内層コアと外層コアの偏芯のチェックが可能であることが分かる。従って、従来は困難であった内層コアと外層コアが偏芯している不良品の検査を効率的に行うことができるので、工業上極めて有用である。
これに対して、比較例3のように、内層コアと外層コアにおける硫酸バリウムと酸化亜鉛の合計中の硫酸バリウムの比率が等しい場合は、偏芯のチェックはできない。また、硫酸バリウムと酸化亜鉛の合計中の硫酸バリウムの比率が内層コアより外層コアにおいて高いと、内層コアにまで十分な強度のX線が到達せず、分析が困難となる(比較例4)。
ゴム組成物に共架橋剤として不飽和カルボン酸金属塩を含有させる場合には、不飽和カルボン酸金属塩の加工助剤、分散助剤として働く硫酸バリウムが必要であり、硫酸バリウムを含有しないときは、分散性が悪く、混練加工性に劣る(比較例2)。
【0039】
また、第1表から明らかなように、本発明のスリーピースソリッドゴルフボール(実施例1〜4)は、飛び性能(反発性)、打撃感触およびスピン性能のいずれにも優れることが分かる。これに対して、樹脂組成物のショアーD硬度が65を超える場合(比較例1)は、打撃感触が硬すぎ、また、スピンがかかりにくい。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
【発明の効果】
本発明のゴム組成物は、スリーピースソリッドゴルフボールのコアに用いるられ、内層コアと外層コアの比重が実質的に同一の範囲にあるにもかかわらず、偏芯のチェックを容易に行うことを可能とする。これにより、従来は困難であった内層コアと外層コアが偏芯している不良品の検査を効率的に行うことができるようになるので、工業上極めて有用である。
また、本発明のスリーピースソリッドゴルフボールは、内層コアと外層コアの比重が実質的に同一の範囲にあるにもかかわらず、偏芯のチェックを容易に行うことができ、かつ、飛び性能、打撃感触およびスピン性能のいずれにも優れる。
Claims (8)
- 内層と外層からなるツーピースソリッドコアをカバーで被覆してなるスリーピースソリッドゴルフボールのコアに用いるゴム組成物であって、
基材ゴム100重量部に対して、硫酸バリウムおよび酸化亜鉛の合計配合量20〜30重量部で、硫酸バリウムと酸化亜鉛の合計中の硫酸バリウムの比率が55〜95重量%である内層コア用ゴム組成物と、
基材ゴム100重量部に対して、硫酸バリウムおよび酸化亜鉛の合計配合量15〜25重量部で、硫酸バリウムと酸化亜鉛の合計中の硫酸バリウムの比率が5〜45重量%である外層コア用ゴム組成物と、のセットからなるゴム組成物。 - 前記内層コアと前記外層コアの比重差が0.03以内である請求項1記載のゴム組成物。
- 前記内層コア用ゴム組成物および前記外層コア用ゴム組成物における基材ゴムがシス−1,4結合を40%以上有するポリブタジエンゴムを含有する請求項1または2に記載のゴム組成物。
- 前記内層コア用ゴム組成物が、前記基材ゴム100重量部に対し、不飽和カルボン酸金属塩を10〜25重量部含有し、前記外層コア用ゴム組成物が、前記基材ゴム100重量部に対し、不飽和カルボン酸金属塩を26〜35重量部含有する請求項1〜3のいずれかに記載のゴム組成物。
- 前記不飽和カルボン酸金属塩の平均粒度が5.0μm以下である請求項4記載のゴム組成物。
- 内層と外層からなるツーピースソリッドコアをカバーで被覆してなるスリーピースソリッドゴルフボールにおいて、該ツーピースソリッドコアが請求項1〜5のいずれかに記載のゴム組成物からなるスリーピースソリッドゴルフボール。
- 前記カバーがジエン系ゴムが分散されたアイオノマー樹脂を含有し、ショアーD硬度が65以下である樹脂組成物からなる請求項6記載のスリーピースソリッドゴルフボール。
- 前記樹脂組成物のショアーD硬度が45〜62である請求項7記載のスリーピースソリッドゴルフボール。
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