JP4017131B2 - ポリエステル化粧合板の製法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明はポリエステル化粧合板の製法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、合板、中密度繊維板、パーティクルボードなどの木質系基材に化粧板用の化粧紙を貼着し、表面を不飽和ポリエステル樹脂よりなる樹脂液を硬化させたポリエステル化粧合板が知られている。
【0003】
この化粧合板の製法にはフローコーター法、スプレー法、フィルム法などがあるがとりわけ近年においては熟練度をあまり必要とせず生産が容易なフィルム法が主流となっている。
【0004】
このフィルム成形法に基づく化粧合板の製法について述べると、合板などの板状の基材に無地或は図柄を印刷した化粧紙をポリ酢酸ビニルエマルジョン、或は不飽和ポリエステル樹脂などの接着剤を用いて貼付け、その上に不飽和ポリエステル樹脂よりなる樹脂液を塗布し、しかる後粘着テープやポリ酢酸ビニルエマルジョンで鉄製枠に張ったフィルムで被覆してゴムローラーで脱泡し、樹脂液が硬化した後フィルムを除去する方法や、鉄製枠にゴムやバネの如き弾性体を使用してフィルムを張り同様に成形する方法などがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようなフィルム法では枠にフィルムを張るのに時間と人手を要し大量生産に不向きであった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明はかかる前記の課題を解決すべく検討されたもので、下記ステップに基づくポリエステル化粧合板の製法。
a)板状の基材に化粧紙を貼着するステップ、
b)該化粧紙の表面に不飽和ポリエステル樹脂を主成分とする樹脂液を塗布するステップ、c)表面がポリ塩化ビニルシートで被覆された金属製の枠に融着手段により張設された化粧表面仕上げ用のポリエチレンテレフタレートフィルムで塗布面を被覆し、脱泡するステップ、
d)該不飽和ポリエステル樹脂が硬化した後、該ポリエチレンテレフタレートフィルムを硬化面から剥がすステップ。また、融着する手段が高周波あるいは超音波であることを特徴とする請求項1記載のポリエステル化粧合板の製法である。以下、本発明について詳細に説明する。
【0007】
本発明に用いられる板状の基材としては、合板、パ−ティクルボ−ド、中密度繊維板等の木質系基材、石膏ボ−ド、珪酸カルシウム等の無機質系基材、或いはこれらを複合化した複合材、更にはハニカムコア、ロ−ルコア、ぺ−パ−コアの如き中空芯材を組み合わせたものなどが適用でき、化粧紙は坪量が20〜200g/m2の化粧板用に供されるものであればよい。
【0008】
板状の基材に化粧紙を貼着するための接着剤は特に制約はなく、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂などの熱硬化性樹脂や、スチレンーブタジエン樹脂ラテックス、ポリアクリルエマルジョン、ポリ酢酸ビニルエマルジョン、エチレンー酢酸ビニル樹脂エマルジョン、ブタジエン−ニトリル樹脂エマルジョンなどのエマルジョン系接着剤が挙げられ、フローコーター、ロールコーター、ハケなどで塗布すればよい。塗布方法については特に制約はない。
【0009】
化粧紙の表面に塗布される樹脂液は不飽和ポリエステル樹脂にスチレン、オルトクロルスチレン、ジアリルフタレ−ト、メチルメタクリレ−トなどの重合性モノマ−、硬化剤としてのメチルエチルケトンパ−オキサイド、ベンゾイルパ−オキサイドなどの有機過酸化物、ハイドロキノン、カテコールなどの重合禁止剤、ステアリン酸亜鉛の如き離型剤、トルエン、アセトンなどの有機溶剤及び必要に応じてナフテン酸コバルト、オクテン酸コバルト、コバルトアセチルアセテート、ジメチルアニリンなどの硬化促進剤、充填剤、着色用の顔料を加えたものが適用できる。
【0010】
不飽和ポリエステル樹脂は二価のアルコールと二塩基酸とを縮合反応せしめたもので、二価のアルコールとしてはエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3―ブチレングリコール、ネオペンチルグリコールなどが挙げられ、二塩基酸としてはマレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イソフタル酸、フタル酸、無水フタル酸、コハク酸、アジピン酸などが挙げられ、二価のアルコール、二塩基酸はいずれも1種以上を適宜選択して常法により反応させたものを用いればよい。
【0011】
必要に応じて用いる充填剤としては、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、マイカ、硫酸バリウムなどが挙げられ、中でも切削加工性、耐擦傷性、耐熱性を向上させるため水酸化アルミニウムを用いるのが特に好ましい。添加量は不飽和ポリエステル樹脂100重量部に対して60〜150重量部とするのが望ましく、充填剤の添加量が下限に満たないと、耐熱性が劣り、また、上限を超えると強度が劣りやすくなり好ましくない。
【0012】
金属製の枠の周囲を被覆する熱可塑性樹脂シートは後述の化粧表面仕上げ用の熱可塑性樹脂フィルムと融着可能なものであればよいが、中でもポリ塩化ビニルシート、ポリ塩化ビニリデンシートなどの低融点のものが好適で、熱可塑性樹脂フィルムは金属棒により前後左右に引っ張り緊張された後に融着される。
【0013】
化粧表面仕上げ用の熱可塑性樹脂フィルムは熱可塑性樹脂をインフレーション法、Tダイ法、延伸法などの公知の方法でフィルム状にし所望の艶、エンボス形状を賦与したもので、ヒートシールに代表される外部加熱法、及び高周波融着や超音波融着などの内部加熱法により融着可能なものはすべて使用することができ、例えば、ヒートシールの場合にはポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリアミドフィルムなどが挙げられる。
【0014】
また、高周波融着の場合にはポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、飽和ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルムなどが好適例として示される。超音波融着の場合には誘電損失の小さなプラスチックにも適用でき、例えばポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアミドフィルム、飽和ポリエステルフィルム、アセテートフィルムなどが例示される。
【0015】
その他、融着可能であれば異なるフィルムをラミネートしたものであっても一向に差し支えなく、また、融着しやすいように表面に熱可塑性樹脂フィルムより低融点の熱可塑性樹脂を塗布したものであってもよい。本発明においてはこれらのフィルムの中から融着しやすく前述の樹脂液の組成を考慮して劣化の少なく耐久性のあるものを適宜選択して用いればよい。
【0016】
融着する手段はヒートシール、高周波、超音波いずれでもよいが極めて短時間で融着可能な高周波や超音波を用いるのが特に好ましい。ヒートシールのように熱伝導によるものは融着に時間を要する上、均一な加熱ができず局部的な加熱によりフィルムを破損させやすいためできれば避けた方がよい。
【0017】
高周波融着装置は被加熱体である熱可塑性樹脂シートを被覆した金属製の枠及び緊張された熱可塑性樹脂フィルムを電極間に挟み高周波電圧を印加し、誘電体損失により発熱、溶融させ数kg/cm2の圧力を加えて熱可塑性樹脂シートを介して金属製の枠に融着可能なものであればよく、周波数、出力は融着が不充分とならないよう、かつ高周波エネルギーが集中して熱可塑性樹脂フィルムを破損することのないよう適宜調整される。融着については間隔を設けて融着すればよいが緊張の度合いによっては周辺をすべて融着しても一向に差し支えない。
【0018】
超音波融着装置は超音波発振器、電気振動を機械振動に換える振動子、ホーンなどから構成され、熱可塑性樹脂シート及び熱可塑性樹脂フィルムに機械振動を与え摩擦熱で溶融させ数kg/cm2の加圧で融着可能なものであればよく、周波数、出力などは前記同様融着が不充分とならないよう、かつ超音波エネルギーが集中してフィルムが破損しないよう適宜調整される。高周波融着と同様に間隔を設けても融着してもすべての周辺を融着してもよい。
【0019】
高周波や超音波により金属製の枠に融着された熱可塑性樹脂フィルムで樹脂液を塗布した面を被覆した後にローラーで脱泡し、樹脂液を硬化させた後に熱可塑性樹脂フィルムを硬化面から剥がすとポリエステル化粧合板が得られる。
【0020】
このような一連の工程、すなわちフィルムの緊張、金属製枠への融着、樹脂液の被覆、仕上り表面の艶などを考慮すれば前述のフィルムの中でも、引っ張り強度がある飽和ポリエステルフィルムを使用するのがとりわけ好ましく、ローラーで脱泡する際に破損することがなく、耐久性にも優れる。
【0021】
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明する。
【実施例】
実施例1
不飽和ポリエステル樹脂液の配合
不飽和ポリエステル樹脂 70重量部
スチレン 30重量部
硬化剤
(過酸化ベンゾイル) 1重量部
離型剤 1重量部
厚み2.7mmの合板(3×6)にポリ酢酸ビニルエマルジョン接着剤を用いて坪量80g/m2の木目柄印刷紙を接着した。次いで表面に上記の樹脂液を塗布量が80g/m2となるようにフローコーターで塗布した。
フィイルムの張り方
化粧表面仕上げ用の熱可塑性樹脂フィルムとしてPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムを用い金属棒で前後左右に引っ張り緊張した。次いで、表面がポリ塩化ビニルシートで被覆された鉄製の枠に10cm間隔で高周波を印加させ時間3秒、圧力1kg/cm2の条件で融着した。次いでPETフィルムで樹脂液塗布面を被覆し、ローラーで脱泡し硬化させた。しかる後PETフィルムを硬化面から剥がして実施例1のポリエステル化粧合板を得た。
【0022】
実施例2
実施例1において高周波の代わりに超音波を用い時間1秒、圧力1kg/cm2で融着した以外は同様に加工して実施例2のポリエステル化粧合板を得た。
【0024】
結果を表1に示す。
【表1】
【0025】
【発明の効果】
本発明の製法に基づくと、化粧表面仕上げ用のフィルム張りが容易で接着剤では枠に固定することが困難なフィルムでも使用できる上、労働負担も少なく大量生産ができる。
【0026】
【図面の簡単な説明】
【図1】 金属製の枠に化粧表面仕上げ用のポリエチレンテレフタレートフィルムを張設した時の斜視図。
【図2】 図1中の線A−Aに沿う断面図。
【符号の説明】
1 金属製枠
2 ポリ塩化ビニルシート
3 ポリエチレンテレフタレートフィルム
Claims (2)
- 下記ステップに基づくポリエステル化粧合板の製法。
a)板状の基材に化粧紙を貼着するステップ、
b)該化粧紙の表面に不飽和ポリエステル樹脂を主成分とする樹脂液を塗布するステップ、c)表面がポリ塩化ビニルシートで被覆された金属製の枠に融着手段により張設された化粧表面仕上げ用のポリエチレンテレフタレートフィルムで塗布面を被覆し、脱泡するステップ、
d)該不飽和ポリエステル樹脂が硬化した後、該ポリエチレンテレフタレートフィルムを硬化面から剥がすステップ。 - 融着する手段が高周波あるいは超音波であることを特徴とする請求項1記載のポリエステル化粧合板の製法。
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