JPH0752239A - ポリエステル化粧板用賦型シート - Google Patents

ポリエステル化粧板用賦型シート

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JPH0752239A
JPH0752239A JP22395693A JP22395693A JPH0752239A JP H0752239 A JPH0752239 A JP H0752239A JP 22395693 A JP22395693 A JP 22395693A JP 22395693 A JP22395693 A JP 22395693A JP H0752239 A JPH0752239 A JP H0752239A
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sheet
film
resin
polyvinyl chloride
modulus
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JP22395693A
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Mitsutoyo Miyakoshi
光豊 宮越
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Dai Nippon Printing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 木目柄や抽象柄等の精細な凹凸模様を付与し
たポリエステル化粧板を製造するために、版の形状を忠
実に再現できる賦型シートを提供する。 【構成】 基材フィルム2にグラビア印刷版16にて、
プライマー層を形成した後、この基材フィルムにロール
凹版12を使用して、ノズル式塗工装置11で電離放射
線硬化性樹脂4aを版の凹部13に充填し、この上に基
材フィルム2を接触させる。次に、基材フィルムの上か
ら電離放射線照射装置15によって電離放射線を照射し
て樹脂を硬化させ、基材フィルムに硬化樹脂を接着させ
る。基材フィルム2をロール凹版12から剥離して、凹
凸形状のある電離放射線硬化性樹脂層4を形成して賦型
用フィルムを作る。更に、このフィルムの凹凸形状のな
い面に、接着剤を介して軟質熱可塑性シートを積層して
賦型シートとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリエステル化粧板製
造用の賦型シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、熱硬化性樹脂を含浸したシートを
用いて、エンボス型用原稿から凹凸形状を設ける方法が
とられていた。また、木材等の実物原稿からシリコンゴ
ムにより凹凸形状を型取りする方法が用いられていた。
賦型シートを使用する場合は、熱可塑性樹脂を含まない
シートが使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、熱硬化性樹脂
の含浸シートを用いて、エンボス型用原稿から凹凸形状
を設ける方法は凹凸形状に微細な柄(木目パターン、抽
象パターン等)の忠実な再現が不可能である。また、木
材等の実物原稿からシリコンゴムにより凹凸形状をを型
取りする方法は凹凸形状の付与に時間を要し、大量生産
が困難である。更に、熱可塑性樹脂を含まない賦型シー
トが使用される場合は、化粧板の製造時に、賦型シート
がうねりを生じ、再利用には問題がある。
【0004】
【課題を解決するための手段】弾性限度が60Kg/c
2 以上、ヤング率が2.5×104 Kg/cm2
下、曲げ弾性率が3.5×104 Kg/cm2 以下、厚
さ25〜100μmで且つJIS−K−7202−19
77の4.6Kg/cm2 荷重の熱変形温度が60℃以
上の耐熱性及び寸法安定性フィルムに、可塑剤含有量が
10〜70重量部で、平均重合度が1000〜2000
で且つ厚さが50〜200μmのポリ塩化ビニル樹脂、
又はこれと同等の破断時の伸び率、ヤング率及び曲げ弾
性率を有する軟質可撓性シートとを積層し、更に、該耐
熱性及び寸法安定性シートの表面に、三次元架橋硬化型
樹脂からなる凹凸模様を形成して賦型シートを構成し
た。また、上記シートは透明な基材シートの表面に透明
な凹凸形状の樹脂層を設け、裏面には、接着剤層を介し
て熱可塑性樹脂のシートを積層した構成とし、賦型フィ
ルム法によるポリエステル化粧板製造時において、作業
性、再利用性を向上させるようにした。
【0005】
【作用】本発明によれば、版の形状を忠実に再現できる
賦型シートを用いるので、意匠性に優れたポリエステル
化粧板を得ることができる。
【0006】
【実施例】以下、実施例に基づいて、図面を参照にして
本発明を詳しく説明する。図1は本発明の賦型シートの
一例を示す断面図であり、図2はその賦型シートの製造
方法の一例を示す説明図である。図3は本発明の賦型シ
ートを使用して作製したポリエステル化粧板の模式断面
図である。
【0007】以下に、本発明の賦型シートを作る場合の
一例を示す。図2に示すように、先ず、基材フィルム2
として、ポリエチレンテレフタレート(以下PETとす
る)フィルム等の耐熱性があり、寸法安定性のあるフィ
ルムを使用して、このフィルムにプライマー液3aをグ
ラビア印刷方式でグラビア版16を用いてコートし、直
ちに乾燥してプライマー層3を形成する。次に、ドラム
プリンティング法(図2に示すように、ノズル式塗工装
置11にて電離放射線硬化性樹脂4aをロール凹版12
にコートして、押し圧ロール14aにて電離放射線硬化
性樹脂4aを版の少なくとも凹部13に充填し、それと
同時に基材フィルム2をロール凹版に密着させ、基材フ
ィルム2の上から電離放射線照射装置15で電離放射線
を照射して凹部に充填された樹脂を硬化させると共に、
基材フィルムに硬化樹脂を接着させて、ロール凹版12
から基材フィルム2を剥離し、基材フィルムに電離放射
線硬化性樹脂からなる凹凸形状を形成させる方法をドラ
ムプリンティング法とする)にて、基材フィルム2上に
凹凸形状のある電離放射線硬化性樹脂層4を形成し、更
にこの基材フィルムの凹凸形状の形成面の反対側に接着
剤層6を介してポリ塩化ビニル(以下PVCとする)樹
脂等の軟質可撓性シート5を積層して、図1に示すよう
な賦型シート1を作製する。
【0008】次に、図3に示すように、チタン紙等の印
刷基材にグラビア印刷等で木目柄等の絵柄の印刷22を
施して化粧紙23を作製し、この化粧紙23を化粧板用
接着剤24を用いて合板25等の化粧板基材に貼り合わ
せる。更に、化粧紙23の上に不飽和ポリエステル樹脂
液を塗布してして不飽和ポリエステル樹脂層21を形成
し、該樹脂層が未硬化のうちにその上に前記賦型シート
1の凹凸形成面を重ね合わせ、必要に応じて加熱して不
飽和ポリエステル樹脂を硬化させる。樹脂が硬化後に、
賦型シート1を剥離して表面に凹凸形状を有するポリエ
ステル化粧板を得る。
【0009】本発明に使用する基材フィルムは、寸法安
定性、耐熱性を有し、電離放射線を透過するものであれ
ばよい。電離放射線として高圧水銀灯等の紫外線を使用
する場合は透明なPETフィルムが主に用いられる。厚
みは10〜200μmのものが使用できるが、賦型シー
ト作製時及び再使用、コストを考慮すると50μmが望
ましい。しかし、電離放射線として、電子線を使用する
場合は、電子線を透過するフィルムであればよく、必ず
しも透明である必要はない。
【0010】これらの要求を満たす寸法安定性基材シー
ト用プラスチックシートには、延伸PET、延伸ポリア
ミド(ナイロン6、ナイロン66)、三酢酸セルロー
ス、ポリスチレン、ポリアリレート、ポリカーボネー
ト、ノリル(GE社登録商標)、ポリエーテルスルフォ
ン等をベースとする単体シートである。厚さは25〜1
00μmが適当である。
【0011】ポリエステル樹脂化粧板を作る際、賦型シ
ートは四方から張力をかけた状態で使用される(例えば
口の字型の枠に貼り合わされ、四辺を引っ張り固定させ
る等の方法)。そのため、基材シートに耐熱性及び寸法
安定性が要求されるが、この場合の張力は、通常、最大
でも厚さ25μmで1m幅当たり(最小の断面積の時)
15Kg(応力換算で60Kg/cm2 )であり、その
ときシートが破断することは勿論、塑性変形してしまっ
ては凹凸模様も歪み、又、ポリエステル塗膜の平坦性が
悪くなり、うねりが発生して不都合である。よって弾性
限度は60Kg/cm2 以上要求される。また、弾性限
度一杯の引っ張り応力が加わった時でも、凹凸模様の位
置ずれは、許容限度内であることが必要である。
【0012】通常、ポリエステル化粧板の一枚の寸法は
最大2000mm程度迄である。この最大寸法の丁度中
央部で化粧紙の絵柄と凹凸模様の位置を完全に合わせた
とするとき、両端(中央から1000mmの距離)にお
ける凹凸模様の位置が、伸びがなかったときと比べてΔ
Lだけ最大ズレたとすると、ΔLはシートのヤング率を
E〔Kg/cm2 〕、シートの長さをL〔mm〕、応力
をS〔Kg/cm2 〕とすると、ΔL=(S/E)×L
となる。凹凸模様と絵柄とのズレの最大許容値は、木目
模様の場合で、導管溝1個分の幅即ち最大で±2.5m
m程度である。大理石等の石目模様、布目模様等でも大
略この程度である。従って、ΔLは2.5mmより小さ
い値、即ちΔL≦2.4mmであればよく、前記S(6
0Kg/cm2 )、L(1000mm)の値を代入する
と、2.4〔mm〕≦(60〔Kg/cm2 〕/E)×
1000〔mm〕となり、ヤング率Eは、E≦2.5×
104 Kg/cm2 となる。
【0013】また、該基材フィルムを巻取として供給
し、凹凸模様の形成、軟質可撓性シートとの積層等の加
工適性、保管を行うことが必要であり、この場合、通
常、最小76mm(3インチ)直径の紙管に巻かれるこ
とになる。この径に巻取りができ、且つ少なくとも最大
60Kg/cm2 の応力をかければ、巻取時のカールが
平坦な状態に戻ることが必要である。更に、不飽和ポリ
エステル樹脂塗膜が硬化後、賦型シートを剥離するため
にはシートが適度に撓む必要がある。そのため必要な曲
げ弾性率としては、3.5×104 Kg/cm2 以下で
厚さが25〜100μmであることが、実験の結果判明
した。
【0014】ポリエステル樹脂化粧板の加工において
は、不飽和ポリエステル樹脂液の硬化時に、硬化樹脂自
体の発熱或いはそれに加えて硬化促進のための養生加熱
のため、最大60℃の温度がかかる。この温度で変形し
てしまうと、シートが残留応力の開放で歪んだり、巻き
癖がついたりして好ましくない。従って、シートの熱変
形温度は60℃以上が必要である。実際に各種シートを
実験した結果、シート変形に最も相関関係があるのは、
JIS−K−7202−1977によって測定する時の
4.6Kg/cm2 における熱変形温度(荷重たわみ温
度ともいう)であることが分かった。即ち、JIS−K
−7202−1977によって測定する時の4.6Kg
/cm2 における熱変形温度は60℃以上が必要とな
る。
【0015】一方、軟質可撓性シートについてである
が、前記耐熱性及び寸法安定性のある基材シートのみだ
と、硬過ぎるため、加工中に折り曲げ跡(永久変形)が
発生し易い。これはシートを変形させた際、応力が局部
的に集中するためである。これを防ぐためには、適度の
軟質で可撓性があり、低弾性率のシートを積層して、シ
ートの局部に集中する応力をシート全体に均一に分散さ
せてやる必要がある。
【0016】更に、不飽和ポリエステル樹脂液には、反
応性希釈剤として、スチレン単量体を添加するが、この
スチレン単量体が賦型シートの凹凸模様層を形成する三
次元の架橋硬化樹脂、更には、耐熱性及び寸法安定性を
有する基材シートに浸透し、これを膨潤させる。そのた
め、賦型シートにうねりが発生し、ポリエステル樹脂塗
膜の平坦性が損なわれる。これを防ぐ意味からも、軟質
で可撓性のあるシートを裏打ちとして積層する必要があ
る。
【0017】実験の結果、可塑剤が10〜70重量部
(より好ましくは10〜35重量部)、平均重合度10
00〜2000、厚さが50〜400μm(より好まし
くは50〜200μm)のポリ塩化ビニル樹脂シート又
はこれと同等のヤング率、曲げ弾性率、弾性限度を有す
るシートが適合することが分かった。
【0018】基材フィルム上に凹凸形状を形成する樹脂
層としては、電離放射線を透過して電離放射線により硬
化して凹凸形状を賦型できる樹脂であり、且つ最低で6
0℃でも凹凸形状が変形したり消失しない樹脂であれば
よい。公知の紫外線硬化性樹脂及び電子線硬化性樹脂が
使用できる。
【0019】三次元架橋硬化型樹脂としては、分子中に
アクリロイル基、メタアクリロイル基、アクリロイルオ
キシ基等の重合性不飽和基、エポキシ基、チオール基等
を二個以上有する多官能のプレポリマー、オリゴマー及
び/又は単量体を主成分とする液状組成物を塗布し、電
離放射線で架橋させて形成する。これらのプレポリマ
ー、オリゴマー又は単量体の例としては、ウレタンアク
リレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリ
レート、シリコンアクリレート等のアクリレート、ウレ
タンメタアクリレート、エポキシメタアクリレート、ポ
リエステルメタアクリレート、シリコンメタアクリレー
ト等のメタアクリレート、不飽和ポリエステル、ポリチ
オール、ポリビニルピロリドン等がある。通常、単量体
とプレポリマー又はオリゴマーの混合割合は1/9〜9
/1の重量比で混合する。
【0020】可視光又は紫外線で硬化させる場合は、ベ
ンゾフェノン類、アセトフェノン類、チオキサントン類
等の光重合開始剤を添加する。電離放射線として、通
常、紫外線又は電子線が使用されるが、その他の可視光
線、X線等も使用可能である。
【0021】電離放射線として、高圧水銀灯等の紫外線
を使用する場合は、紫外線を透過して紫外線で硬化する
必要があり、透明な樹脂を使用する必要がある。凹凸形
状が木目導管等の深い場合は、電離放射線硬化性樹脂が
ロール凹版の凹部に充填され、基材フィルムがロール凹
版に接触している間に電離放射線を照射して樹脂を硬化
させる方法が再現性がよく望ましい。
【0022】基材フィルムの上に積層される熱可塑性樹
脂層としては、接着剤を介して基材フィルムと接着する
ものであればよい。この熱可塑性樹脂層はポリエステル
樹脂中のスチレンモノマーによる凹凸樹脂層の膨潤でP
ETフィルムのうねりを解消するために必要で、厚みは
50〜400μm(より好ましくは50〜200μm)
が使用可能で、この範囲外では効果がでない。ポリ塩化
ビニル樹脂の場合は、可塑剤含有量は10〜70重量部
(より好ましくは10〜35重量部)の範囲がよく、こ
の範囲外では効果がでない。或いはこれと同等の材料力
学的特性を有するものであればよい。
【0023】この場合に使用できる軟質可撓性プラスチ
ックシートは、例えば、平均重合度が1000〜200
0、可塑剤がジオクチルフタレート(DOP)換算で1
0〜70重量部、好ましくは10〜35重量部加えた軟
質ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、エチレンー酢酸ビニ
ル共重合体(EVA)、アイオノマー、エチレンーアク
リル酸エチル共重合体(EEA)、エチレンーアクリル
酸共重合体(EAA)、メチルペンテンポリマー、ポリ
ブテン等の未延伸シートがある。厚さは50〜400μ
mである。基材フィルムとの積層は公知の熱融着法やド
ライラミネート法にて行う。
【0024】電離放射線硬化性樹脂にて基材フィルムに
凹凸形状を形成する方法としては、賦型シートに形成す
る所望の凹凸模様と同形で逆の凹凸形状を有するロール
凹版を用いて、下記の方法が使用される。ロール凹版の
少なくとも凹部に電離放射線硬化性樹脂を充填し、この
凹版に、透明な耐熱性があり寸法安定性のよいプラスチ
ックフィルムを押し当てるか、又は、該プラスチック製
フィルムに電離放射線硬化性樹脂を塗布して、塗布面が
ロール凹版に当たるように押し当てるかして、該基材フ
ィルムをロール凹版の回転方向に同期して走行させると
ともに、基材フィルムの上から電離放射線を照射して上
記電離放射線硬化性樹脂を硬化させると同時に硬化樹脂
層と基材フィルムを密着させ、次に、基材フィルムを硬
化樹脂層と共にロール凹版から分離することにより、基
材フィルムの一方の面に、化粧板に形成する所望の凹凸
模様と逆の凹凸形状を有する硬化樹脂層を形成して賦型
用フィルムを作製する。更に、この賦型フィルムの凹凸
模様面の反対側に、軟質可撓性シートを積層して賦型シ
ートを作製する。
【0025】基材フィルム上に凹凸形状を形成させるた
めのロール凹版は、彫刻、電鋳、サンドブラスト等によ
って製作される。
【0026】ポリエステル化粧板は化粧板基材に化粧紙
を貼り合わせ、その化粧紙の上に不飽和ポリエステル樹
脂液を塗布し、更に、その上に上記賦型シートを重ねて
樹脂を硬化させてポリエステル樹脂層に凹凸形状を形成
して製造する。
【0027】ポリエステル化粧板に使用する化粧紙は、
原紙上にグラビア印刷、オフセット印刷、又はシルクス
クリーン印刷等既知の技術で絵柄を印刷したものを用い
る。原紙としては、薄紙、上質紙、和紙等も使用できる
が、特にチタン等の隠蔽性顔料を混抄した「チタン紙」
と呼ばれる紙が樹脂液の含浸適性、化粧板基材の隠蔽性
の点で最適である。坪量としては通常50〜120g/
2 程度のものが使用される。
【0028】化粧板に使用される基材は、化粧材として
必要な厚さ及び強度を与えるためのものである。例え
ば、合板又はパーティクルボード等を適宜選択すればよ
い。
【0029】化粧板基材と化粧紙を貼り合わせる接着剤
としては、アクリル系エマルジョン型、酢酸ビニル系エ
マルジョン型等が通常使用できる。
【0030】化粧板の不飽和ポリエステル樹脂層は、化
粧紙の上に不飽和ポリエステル樹脂液を通常250〜3
50g/m2 塗布し、化粧紙に含浸させ、更に樹脂を硬
化させて形成する。不飽和ポリエステル樹脂液には、重
合開始剤や、必要に応じて重合促進剤を添加して使用す
る。
【0031】重合開始剤は、樹脂に対して重量比で0.
5〜3.0%添加すれば足り、メチルエチルケトンパー
オキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ハイドロパー
オキサイド等の過酸化物や、アゾビスイソブチロニトリ
ルのようなラジカル開始剤から適宜に選択して使用す
る。
【0032】重合促進剤としては、ナフテン酸コバルト
等のコバルト化合物、バナジウム化合物、マンガン化合
物等の金属化合物や、ジメチルアニリン等のアミン系化
合物が挙げられ、樹脂に対して重量比で0.1〜2.0
%添加するのが好ましい。
【0033】更に、樹脂の架橋密度、粘度調整を兼ね
て、スチレンモノマー等のビニル基を有する化合物を使
用し、樹脂液の10〜40重量%を占めるように添加し
てもよい。
【0034】化粧紙に樹脂液を塗布、含浸後、硬化させ
るにあたり、空気中の酸素を遮蔽する必要がある。これ
は樹脂液の硬化が酸素によって阻害されるからである。
酸素の遮蔽方法としては、ポリエチレンテレフタレー
ト、エチレンービニルアルコール共重合体、ポリプロピ
レン、ビニロン等の酸素ガス遮蔽性の良好且つ、硬化し
たポリエステル樹脂との離型性が良好な合成樹脂フィル
ム等で、樹脂液の塗布面上を被覆して硬化させるフィル
ム法が一般的である。
【0035】尚、本発明のように、該フィルム表面上に
凹凸模様を形成したものを用いると、硬化した不飽和ポ
リエステル樹脂表面に凹凸模様を形成することができ
る。その他の酸素遮蔽方法としては、樹脂液中にワック
スを添加し、フローコーター等で該樹脂液を塗工し、比
重差でワックスが塗膜表面に浮上被覆し、酸素を遮蔽す
るフローコーター法がある。
【0036】以下に本発明の賦型シート及びその賦型シ
ートを用いたポリエステル化粧板を製造する際の具体例
を示す。先ず、賦型シートは、図2に示すように、基材
2として二軸延伸PETフィルム(帝人(株)製「HP
−7」)50μmの片面に易接着処理を施したものを使
用し、このフィルムの処理面に、グラビア印刷方式でグ
ラビア版16を用いてプライマー液3a(ザ・インクテ
ック(株)製「ケミカルメジウム」)をコートし、10
0℃で30秒乾燥させて、プライマー層3を形成する。
【0037】次に、図2に示すように、木目版のロール
凹版12を使用して、ノズル式塗工装置11にてウレタ
ンアクリレート系紫外線硬化性樹脂液(浅井物産(株)
製「DA−513」)をコートして版の凹部13及び凸
部に紫外線硬化性樹脂4aを充填し、この上にPETフ
ィルム2を密着させ、PETフィルム2の上から高圧水
銀灯15(160W/cm、2灯)で2秒照射して、紫
外線硬化性樹脂を硬化させると共にPETフィルムに硬
化樹脂を接着させる。紫外線硬化性樹脂が硬化後に、P
ETフィルム2をロール凹版12から剥離して、図1に
示すように、凹凸形状を有する紫外線硬化性樹脂層4を
形成した賦型用フィルム10を作製する。前記木目版の
ロール凹版は版深50〜150μmの導管版で電鋳法で
天然木目板から型取りして製作したもので、実際の木材
を忠実に再現したものである。
【0038】次に、上記凹凸形状を形成した賦型用フィ
ルム10の凹凸形成面の反対側にイソシアネート硬化型
ウレタン系樹脂の接着剤(大日精化工業(株)製)を乾
物として10g/m2 塗布して接着剤層6を形成し、更
に、ポリ塩化ビニルフィルム5(理研ビニル工業(株)
製「BK30R11T」、可塑剤含有量30重量部、厚
さ200μm)とドライラミネートして、図1に示すよ
うな賦型シート1を作製した。
【0039】チタン紙(興人(株)製「KW1001
P」坪量100g/m2 )にグラビアインキ(ザ・イン
クテック(株)製「MDL」)を用いて、グラビア印刷
にて絵柄の印刷22を設けて化粧紙23を得た。次に、
この化粧紙23を化粧板用接着剤24(中央理化(株)
製「AC−500」)を用いて、合板25に貼り合わせ
る。
【0040】上記化粧紙23を貼り合わせた合板の化粧
紙面に、不飽和ポリエステル樹脂プレポリマー(大日本
インキ(株)製「ポリライトCH−304」)と硬化剤
メチルエチルケトンパーオキサイド(大日本インキ
(株)製「パーナックN」)を100対3の重量比で混
合し、更にこの混合物に対してナフテン酸コバルト1重
量部とスチレン単量体10重量部を添加した樹脂組成物
を300g/m2 塗布し、その上に上記凹凸形状を有す
る賦型シート1を凹凸形成層4がポリエステル樹脂層2
1に接するように重ね合わせてローラーで脱泡後ポリエ
ステル樹脂を硬化させる。樹脂の硬化を促進させるため
表面を60℃に加温した。ポリエステル樹脂が硬化後
に、賦型シート1を剥離して、凹凸模様を有するポリエ
ステル化粧板20を得た。
【0041】以上のようにして得た化粧板は、ポリエス
テル樹脂塗膜に賦型シートの折り曲げ跡やうねりによる
凹凸の欠点もなく、又シートをポリエステル樹脂塗布面
に重ねた時も、脱泡適性が良く塗膜に泡の残留はなかっ
た。剥離した賦型シート1は再度化粧板のポリエステル
樹脂層21に重ね合わせてポリエステル樹脂層に凹凸形
状を賦与させることができた。この賦型シート1は繰り
返し使用することができ50回迄は使用できた。
【0042】
【発明の効果】以上説明したように、本発明による版の
形状を忠実に再現できる賦型シートを使用することによ
り、木目柄や抽象柄等の精細でリアルな凹凸模様を付与
したポリエステル化粧板を製造することができる。本発
明の賦型シートは寸法安定性のよいフィルムと可撓性が
あるシートの積層シートであるため、軟質可撓性シート
の応力発散効果によって、化粧板加工時に、シート変形
による局部的な折り曲げ跡、ピラミッド状突起、ポリエ
ステル樹脂液によって生じるシートのうねり等の変形を
最小限にすることができる。また、賦型シートが繰り返
し使用できるので、製品のコスト低減及び作業効率の向
上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の賦型シートの一例を示す断面図。
【図2】本発明の賦型シートの製造方法を一例を示す説
明図。
【図3】本発明の賦型シートを使用して作製した化粧板
の模式断面図。
【符号の説明】
1 賦型シート 2 基材フィルム(PETフィルム) 3 プライマー層 3a プライマー液 4 電離放射線硬化性樹脂層(硬化後) 4a 電離放射線硬化性樹脂(硬化前) 5 軟質熱可塑性シート(ポリ塩化ビニルシート) 10 賦型用フィルム 11 ノズル式塗工装置 12 ロール凹版 13 版の凹部 14a 押し圧ロール 14b 剥離ロール 15 電離放射線照射装置(紫外線照射装置) 16 グラビア版 17 インキパン 20 ポリエステル化粧板 21 ポリエステル樹脂層 22 絵柄の印刷 23 化粧紙 24 化粧板用接着剤 25 合板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B32B 27/30 101 8115−4F 33/00 7148−4F

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 弾性限度が60Kg/cm2 以上、ヤン
    グ率が2.5×104 Kg/cm2 以下、曲げ弾性率が
    3.5×104 Kg/cm2 以下、厚さ25〜100μ
    mで且つJIS−K−7202−1977の4.6Kg
    /cm2 荷重の熱変形温度が60℃以上の耐熱性及び寸
    法安定性フィルムに、可塑剤含有量が10〜70重量部
    で、平均重合度が1000〜2000で且つ厚さが50
    〜200μmのポリ塩化ビニル樹脂、又はこれと同等の
    破断時の伸び率、ヤング率、及び曲げ弾性率を有する軟
    質可撓性シートとを積層し、更に、該耐熱性及び寸法安
    定性フィルムの表面に、三次元架橋硬化型樹脂からなる
    凹凸模様を形成したことを特徴とする賦型用シート。
JP22395693A 1993-08-18 1993-08-18 ポリエステル化粧板用賦型シート Pending JPH0752239A (ja)

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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07276569A (ja) * 1994-04-13 1995-10-24 Dainippon Printing Co Ltd 熱硬化性樹脂化粧板用賦型シート
JP2004276416A (ja) * 2003-03-17 2004-10-07 Nissha Printing Co Ltd 凹凸インサートシートとその製造方法
JP2007268942A (ja) * 2006-03-31 2007-10-18 Dainippon Printing Co Ltd 樹脂化粧板
US8187695B2 (en) 2005-09-30 2012-05-29 Dai Nippon Printing Co., Ltd. Shaping sheet, resin decorative material and method of producing the same
JP2013031927A (ja) * 2010-06-30 2013-02-14 Dainippon Printing Co Ltd 化粧板の製造方法及び化粧板

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