JP4016537B2 - 渦電流式減速装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、制動補助装置としてバスやトラック等の大型自動車に取付けられる渦電流減速装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、バスやトラック等の大型自動車には、長い降坂時等において、安定した減速を行い、フットブレーキの使用回数を減少させて、ライニングの異常摩耗やフェード現象を防止すると共に、制動停止距離を短縮することを目的として、主ブレーキであるフットブレーキや補助ブレーキである排気ブレーキの他に渦電流減速装置が取付けられるようになってきた。この渦電流減速装置には、磁石として、電磁石を使用するものと、永久磁石を使用するものがあるが、最近では、制動時に通電を必要としない永久磁石を使用したものが多くなってきている。
【0003】
この永久磁石を使用した渦電流式減速装置の一例である特開平1−298948号で提案されたものは、図6に示すように、回転軸1に軸受2を介して軸支された非磁性体の支持体3に、ヨーク用の支持リング4を、軸受5を介して回動自在に軸支し、この支持リング4に複数の永久磁石6を互いに極性を逆向きにして周設すると共に、これら永久磁石6群の外周面に対向するように、上記支持体3に互いに磁気的に絶縁した強磁性体の複数のスイッチ板7を周設し、回転軸1に固着したロータ8の円筒部8aの内周面を、所定の間隙を存して前記スイッチ板7に対向せしめ、上記支持リング4を支持体3に対して所定角度回動可能に構成したものである。なお図6中の3aは支持体3の取付け部、8bは冷却フィンを示す。
【0004】
この特開平1−298948号で提案された渦電流式減速装置では、図7(a)に示すように、永久磁石6がスイッチ板7と重なり合うように支持リング4を回動させると、支持リング4と、隣接する永久磁石6及び隣接するスイッチ板7と、ロータ8の円筒部8aで、矢印で示すように磁気回路が形成されて、いわゆる制動ON状態となり、前記した円筒部8aには永久磁石6からの磁束が作用して渦電流が発生し、制動トルクが発生する。
【0005】
また、上記した制動ONの位置から支持リング4を回し、図7(b)に示すように、一つの永久磁石6が隣接するスイッチ板7を跨いで半分ずつ重なり合った状態となすと、支持リング4と、隣接する永久磁石6と、一つのスイッチ板7で、矢印で示すように短絡的磁気回路が形成されて、いわゆる制動OFFの状態となる。
【0006】
この状態では、前記した円筒部8aに渦電流が流れず、制動トルクが発生しないのが理想であるが、現実には、図7(b)に破線で示す、永久磁石6上でスイッチ板7に覆われない部分からの漏れ磁束がロータ8の円筒部8aに作用するため、円筒部8aに引きずりトルクが発生するという問題が生じる。
【0007】
そこで、この引きずりトルクの発生を防止するために、例えば特開平5−211761号、特開平6−165477号、特開平6−189522号、特開平6−86534号が提案されている。
【0008】
例えば特開平5−211761号では、図8に示すように、制動OFF時にスイッチ板(7)に覆われない部分となる永久磁石6の周方向中央部分に開口部6aを設けたり(図8(a))、また、周方向中央両側に切欠き6bを設ける(図8(b))ことで、スイッチ板(7)に覆われない部分の永久磁石面積を縮小し、制動OFF時、スイッチ板(7)に覆われない部分からの漏れ磁束を低減しようとしている。
【0009】
また、特開平6−165477号では、図9に示すように、制動OFF時にスイッチ板7に覆われない部分となる永久磁石6の周方向中央部分に、極性が逆の磁石9を設け、制動OFF時、永久磁石6と磁石9とで短絡的磁気回路を形成させるようにしたものである。
【0010】
また、特開平6−189522号では、図10に示すように、制動OFF時にスイッチ板に覆われない部分となる永久磁石6の周方向中央部分に凹部6cを設けて、スイッチ板に覆われない部分の永久磁石体積を縮小し、制動OFF時、スイッチ板に覆われない部分からの漏れ磁束を低減しようとしている。
【0011】
また、特開平6−86534号では、図11に示すように、各永久磁石6の外周面の周方向両端側に、スイッチ板7の方向に突出する強磁性体からなる磁極材10を設けることで、制動OFF時、スイッチ板7に覆われない部分からの漏れ磁束を低減しようとしている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した特開平5−211761号、特開平6−165477号、特開平6−189522号で提案されたものは、いずれも、制動OFF時にスイッチ板に覆われない部分となる、永久磁石における周方向中央部分の磁力を弱めるものであるから、制動OFF時の漏れ磁束は低減できるものの、同時に制動ON時の制動トルクも低下するという問題がある。
【0013】
また、特開平6−86534号で提案されたものでは、スイッチ板と永久磁石間の間隔が大きくなるので、必然的に永久磁石とロータの円筒部との距離も大きくなって、制動ON時にロータの円筒部に作用する磁束密度が低減する。特に、永久磁石の周方向中央部で、スイッチ板との間に空隙が形成されるので、永久磁石の周方向中央部から生じる磁束の減衰が大きくなる結果、制動ON時の制動トルクが低下するという問題がある。
【0014】
本発明は、上記した従来の問題点に鑑みてなされたものであり、制動ON時の制動力を損なわないで、制動OFF時に、隣接するスイッチ板間からロータの円筒部に漏れる磁束を抑え、引きずりトルクを抑制することができる渦電流式減速装置を提供することを目的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、本発明の渦電流式減速装置は、永久磁石群を覆うケースにおけるロータ回転軸方向の内側面に、前記支持体部分と同じ間隔を存して強磁性体を配置することとしている。そして、この強磁性体によって、制動OFF時、ロータの円筒部に漏れようとする磁束の流れを回転軸の方向に変え、ロータの円筒部への磁気漏れを低減する。
【0016】
【発明の実施の形態】
第1の本発明の渦電流式減速装置は、回転軸に一体的に取り付けられたロータと、このロータに対向して支持され、ロータの周方向に沿って磁極の向きを互いに逆向きとなるよう、強磁性体の支持リングに一定の間隔を存して配置された永久磁石群と、この永久磁石群と前記ロータとの間に、前記永久磁石群の各永久磁石と同じ間隔を存して介設された強磁性体のスイッチ板群と、このスイッチ板群の各スイッチ板の間に介設された非磁性体の支持体部分を備えた渦電流式減速装置において、前記永久磁石群を覆うケースにおけるロータ回転軸長手方向の内側面に、前記支持体部分と同じ間隔を存して強磁性体を配置したものである。
【0017】
第1の本発明の渦電流式減速装置では、スイッチ板と永久磁石が重なり合うと、支持リングと、隣接する永久磁石及び隣接するスイッチ板と、ロータの円筒部で磁気回路が形成されて、いわゆる制動ON状態となり、回転するロータの円筒部が永久磁石からの磁界を横切る時にロータの円筒部に生じる渦電流と磁界の作用により、ロータの円筒部に制動トルクが発生する。
【0018】
また、上記した制動ONの位置から、一つの永久磁石が、隣接するスイッチ板を跨いで半分ずつ重なり合った制動OFFの状態となすと、支持リングと、隣接する永久磁石と、これら永久磁石を跨いだスイッチ板で短絡的磁気回路が形成される。このため、ロータの円筒部には磁界がほとんど作用しないので、制動力は極めて小さくなる。この時、スイッチ板に覆われない永久磁石部から生じる磁束は、ケースの内側面に設けた強磁性体と支持リングの間で短絡的磁気回路が形成されるので、ロータの円筒部への漏れ磁束が減少し、ロータの円筒部に制動トルクが生じず、引きずりトルクが低減する。
【0019】
また、第2の本発明の渦電流式減速装置は、上記した第1の本発明の渦電流式減速装置における、永久磁石群を覆うケースにおけるロータ回転軸長手方向の内側面に、支持体部分と同じ間隔を存して配置した強磁性体を、永久磁石群の回動に合わせて、一端側がロータの半径方向に進退可能に設けたものである。
【0020】
第2の本発明の渦電流式減速装置では、スイッチ板と永久磁石が重なり合うと、支持リングと、隣接する永久磁石及び隣接するスイッチ板と、ロータの円筒部で磁気回路が形成されて、いわゆる制動ON状態となり、回転するロータの円筒部が永久磁石からの磁界を横切る時にロータの円筒部に生じる渦電流と磁界の作用により、ロータの円筒部に制動トルクが発生する。
【0021】
また、上記した制動ONの位置から、一つの永久磁石が、隣接するスイッチ板を跨いで半分ずつ重なり合った制動OFFの状態となすと、支持リングと、隣接する永久磁石と、これら永久磁石を跨いだスイッチ板で短絡的磁気回路が形成されるため、ロータの円筒部には磁界がほとんど作用せず、制動力は極めて小さくなる。この時、スイッチ板に覆われない永久磁石部から生じる磁束は、永久磁石とケースの内側両面に設けた強磁性体と支持リングの間で短絡的磁気回路を形成し、ロータの円筒部への漏れ磁束が減少するため、ロータの円筒部に制動トルクが生じず、引きずりトルクが低減する。
【0022】
第2の本発明の渦電流式減速装置では、この制動ONと制動OFFとの切替時における永久磁石列の回動に合わせて、強磁性体の一端側がロータの半径方向に進退移動が可能なように設けた、すなわち、制動OFF時には強磁性体の一端側がロータの半径方向に突出し、制動ON時には強磁性体の一端側がロータの内周部に移動するようにしたので、制動ON時に永久磁石と強磁性体と支持リングの間で短絡的磁気回路が形成されなくなり、制動ON時に制動トルクの損失がなくなる。
【0023】
また、第3の本発明の渦電流式減速装置は、上記した第1の本発明の渦電流式減速装置における、永久磁石群を覆うケースにおけるロータ回転軸長手方向の内側面に、前記支持体部分と同じ間隔を存して配置した強磁性体をどちらか一方となし、制動ON時にはこの強磁性体と離反し、制動OFF時にはこの強磁性体に接近するよう、回動に合わせて支持リング及び永久磁石群を移動させるように構成したものである。
【0024】
第3の本発明の渦電流式減速装置では、スイッチ板と永久磁石が重なり合うと、支持リングと、隣接する永久磁石及び隣接するスイッチ板と、ロータの円筒部で磁気回路が形成されて、いわゆる制動ON状態となり、回転するロータの円筒部が永久磁石からの磁界を横切る時にロータの円筒部に生じる渦電流と磁界の作用により、ロータの円筒部に制動トルクが発生する。
【0025】
また、上記した制動ONの位置から、一つの永久磁石が、隣接するスイッチ板を跨いで半分ずつ重なり合った制動OFFの状態となすと、支持リングと、隣接する永久磁石と、これら永久磁石を跨いだスイッチ板で短絡的磁気回路が形成されるため、ロータの円筒部には磁界がほとんど作用せず、制動力は極めて小さくなる。この時、スイッチ板に覆われない永久磁石部から生じる磁束は、永久磁石とケースの内側面に設けた強磁性体と支持リングの間で短絡的磁気回路を形成し、ロータの円筒部への漏れ磁束が減少するため、ロータの円筒部に制動トルクが生じず、引きずりトルクが低減する。
【0026】
第3の本発明の渦電流式減速装置では、この制動ONと制動OFFとの切替時における永久磁石列の回動に合わせて、制動ON時には永久磁石列がケースの一方内側面に設けた強磁性体から離れて位置する。この永久磁石の移動により、制動ON時には永久磁石とケース内側面に設けた強磁性体と支持リングの間で短絡的磁気回路が形成されなくなり、制動ON時に制動トルクの損失がなくなる。
【0027】
【実施例】
以下、本発明の渦電流式減速装置を図1〜図5に示す実施例に基づいて説明する。なお、図1〜図5中、図6〜図11と同一符号は同一部分或いは相当部分を示し、詳細な説明を省略する。
図1は第1の本発明の渦電流式減速装置の説明図で、左半分は制動ONの状態の磁気回路構成を示す説明図、右半分は制動OFFの状態の短絡的磁気回路構成を示す説明図、図2は第1の本発明の渦電流式減速装置の回転軸方向の断面図で、制動OFFの状態の短絡的磁気回路構成を示す説明図、図3は第2の本発明の渦電流式減速装置の説明図で、左半分は制動ONの状態の磁気回路構成を示す説明図、右半分は制動OFFの状態の短絡的磁気回路構成を示す説明図、図4は第2の本発明の渦電流式減速装置の回転軸方向の断面図で、制動OFFの状態の短絡的磁気回路構成を示す説明図、図5は第3の本発明の渦電流式減速装置の回転軸方向の断面図で、(a)は制動OFFの状態の短絡的磁気回路構成を示す説明図、(b)は制動ONの状態の磁気回路構成を示す説明図である。
【0028】
図1〜図5において、11は例えば低炭素鋼からなる強磁性体であり、図1及び図2に示した実施例では、永久磁石6群を覆うケース12におけるロータ8の回転軸方向の内側両面に、支持体3部分と同じ間隔を存して、例えば接着によって取り付けられている。
【0029】
また、図3及び図4に示した実施例では、図1及び図2に示した実施例のように、前記強磁性体11をケース12の内側面に取り付けるのではなく、例えば強磁性体11の他方端部を支持リング4にボルト13で回転が自在なように取り付けると共に、一方端部のケース12と対向する面にスライドピン14を突設し、ガイドレール16に沿う永久磁石6群の回動に合わせて、ケース12のスライドピン14と相対する内面に刻設した、図3に示したような湾曲状のスライドレール15に前記スライドピン14が案内され、強磁性体11がロータ8の半径方向に進退が可能なようになされている。
【0030】
また、図5に示した実施例では、図1及び図2に示した実施例のように、前記強磁性体11をケース12の内側両面に取り付けるのではなく、ケース12の内側におけるどちらか片面に例えば接着によって取り付ける。そして、永久磁石6群の回動を案内するガイドレール16を、制動ON時には永久磁石6群が強磁性体11と離反し、制動OFF時には永久磁石6群が強磁性体11に接近するように敷設するのである。
【0031】
このような図1〜図5に示した渦電流式減速装置では、支持リング4を回動させて、図1、図3の左半分や、図5(b)に示すように、永久磁石6がスイッチ板7と重なり合うと、支持リング4と、隣接する永久磁石6及び隣接するスイッチ板7と、ロータ(8)の円筒部8aで磁気回路が形成されて、いわゆる制動ON状態となり、回転する前記円筒部8aが永久磁石6からの磁界を横切る時に、円筒部8aに生じる渦電流と磁界の作用により、円筒部8aに制動トルクが発生する。
【0032】
また、上記した制動ONの位置から、支持リング4を回動させて永久磁石6列を磁石の半配列ピッチ分だけ旋回させる。この状態では、図1、図3の右半分に示すように、一つの永久磁石6が、隣接するスイッチ板7を跨いで半分ずつ重なった状態となって、支持リング4と、隣接する永久磁石6及びスイッチ板7で短絡的磁気回路が形成されて、いわゆる制動OFFの状態となる。
【0033】
加えて、図3及び図4に示した実施例では、制動ON時に永久磁石6と強磁性体11と支持リング4の間で短絡的磁気回路が形成されなくなり、制動ON時に制動トルクの損失がなくなる。また、図5に示した実施例でも、制動ON時には永久磁石6とケース12の内側面に設けた強磁性体11と支持リング4の間で短絡的磁気回路が形成されなくなり、制動ON時に制動トルクの損失がなくなる。
【0034】
ちなみに、本発明の効果を確認するために、本発明の渦電流式減速装置の試験体を作製して性能試験を行った。
請求項1に対応する試験体1は、図6に示した渦電流式減速装置のケース内側の回転軸方向の壁面に、図1、図2に示したように、低炭素鋼からなる強磁性体を接着して作製した。
【0035】
また、請求項2に対応する試験体2は、図6に示した渦電流式減速装置のケース内側の回転軸方向の壁面に溝を加工して作製したスライドレール内に、このスライドレール内に嵌入するスライドピンを一方端部に取り付けた低炭素鋼からなる強磁性体の他方端部を回転が自在なように支持リングにボルトで固定して作製した。
【0036】
また、請求項3に対応する試験体3は、図6に示した渦電流式減速装置のケース内側の回転軸方向の壁面の片側に、図5に示すように、低炭素鋼からなる強磁性体を接着し、永久磁石の回動方向を決定するガイドレールを螺旋状に設けて作製した。
【0037】
これらの試験体を取り付けた渦電流式減速装置を、大型トラックのトランスミッション後部のプロペラシャフトの途中に装備して、制動ON時の制動トルクと、制動OFF時の引きずりトルクを測定した。試験に供した渦電流式減速装置のロータの円筒部はCr−Mo系の低合金鋼からなり、内径は約380mm、肉厚は約20mm、軸方向長さは約80mmであった。
【0038】
また、比較として、ケース内部に強磁性体を取り付けていない従来の渦電流式減速装置(従来例) と、図8(a)に示した、周方向中央部に、周方向長さの1/4、幅方向長さの2/3の開口部を形成した永久磁石を設けた渦電流式減速装置(比較例)も同時に試験に供した。
【0039】
制動トルクと引きずりトルクは、図6に示す回転軸を連結しているプロペラシャフトの回転速度が500、1000、1500、2000rpmの時点で、制動のON,OFFを切換えて測定した。その測定結果を下記表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
表1より明らかなように、本発明例では従来例と比べて、制動トルクはほぼ同じであるが、引きずりトルクは大幅に減少している。つまり、ケース内側の軸方向側面に強磁性体を取り付けることで、制動ON時の制動力を損なわないで、制動OFF時の引きずりトルクを大幅に減少することができることが判る。一方、比較例では、従来例と比べて引きずりトルクは低減できるものの、同時に制動ON時の制動トルクも減少している。
【0042】
図1〜図5に示した実施例では、永久磁石11を用いたものを示したが、電磁石を用いたものであっても同様の効果が得られることは言うまでもない。また、図1〜図5に示した実施例では、強磁性体11として低炭素鋼を示したが、強磁性体であれば、低炭素鋼に限らないことは言うまでもない。
【0043】
また、請求項1及び3に記載の装置において、強磁性体11の取付方法も、ケース12の内面に取り付けられるものであれば、接着に限らず、ビス止めなどであっても良い。
また、本実施例では、ポールピースを省略したものを示しているが、永久磁石6の外周にポールピースを取付けたものであっても良い。
【0044】
なお、図1〜図5に示す実施例では、ドラムタイプの渦電流式減速装置に適用したものを示したが、本発明の渦電流式減速装置は、例えば特開平1−298947号で提案されているような、ディスクタイプの渦電流式減速装置にも適用できることは言うまでもない。そして、ディスクタイプも、永久磁石群の両側をディスクで挟むものに限らず、一枚のディスクの両側を永久磁石群で挟むものでも良い。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の渦電流式減速装置によれば、制動OFF時、スイッチ板に覆われない永久磁石部から生じる磁束は、永久磁石とケース内側面に配置した強磁性体と支持リングで短絡的磁気回路が形成されるため、ロータの円筒部への磁気漏れを大幅に抑制できる。従って、制動OFF時、ロータの円筒部に生じる制動トルクが抑制でき、その結果、引きずりトルクが低減して、非制動時の動力損失を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の本発明の渦電流式減速装置の説明図で、左半分は制動ONの状態の磁気回路構成を示す説明図、右半分は制動OFFの状態の短絡的磁気回路構成を示す説明図である。
【図2】第1の本発明の渦電流式減速装置の回転軸方向の断面図で、制動OFFの状態の短絡的磁気回路構成を示す説明図である。
【図3】第2の本発明の渦電流式減速装置の説明図で、左半分は制動ONの状態の磁気回路構成を示す説明図、右半分は制動OFFの状態の短絡的磁気回路構成を示す説明図である。
【図4】第2の本発明の渦電流式減速装置の回転軸方向の断面図で、制動OFFの状態の短絡的磁気回路構成を示す説明図である。
【図5】第3の本発明の渦電流式減速装置の回転軸方向の断面図で、(a)は制動OFFの状態の短絡的磁気回路構成を示す説明図、(b)は制動ONの状態の磁気回路構成を示す説明図である。
【図6】特開平1−298948号で提案された渦電流式減速装置の側面図で、上半分を断面して示した図である。
【図7】図6の渦電流式減速装置における磁気回路構成を示す説明図で、(a)は制動ONの状態、(b)は制動OFFの状態を示す図である。
【図8】(a)(b)は共に特開平5−211761号で提案された永久磁石の形状を説明する斜視図である。
【図9】特開平6−165477号で提案された渦電流式減速装置における制動OFF時の短絡磁気回路構成を示す説明図である。
【図10】特開平6−189522号で提案された永久磁石の形状を説明する断面図である。
【図11】特開平6−86534号で提案された渦電流式減速装置における制動OFF時の短絡磁気回路構成を示す説明図である。
【符号の説明】
3 支持体
4 支持リング
6 永久磁石
7 スイッチ板
8 ロータ
11 強磁性体
Claims (3)
- 回転軸に一体的に取り付けられたロータと、このロータに対向して支持され、ロータの周方向に沿って磁極の向きを互いに逆向きとなるよう、強磁性体の支持リングに一定の間隔を存して配置された永久磁石群と、この永久磁石群と前記ロータとの間に、前記永久磁石群の各永久磁石と同じ間隔を存して介設された強磁性体のスイッチ板群と、このスイッチ板群の各スイッチ板の間に介設された非磁性体の支持体部分を備えた渦電流式減速装置において、前記永久磁石群を覆うケースにおけるロータ回転軸長手方向の内側面に、前記支持体部分と同じ間隔を存して強磁性体を配置したことを特徴とする渦電流式減速装置。
- 永久磁石群を覆うケースにおけるロータ回転軸長手方向の内側面に、支持体部分と同じ間隔を存して配置した強磁性体を、永久磁石群の回動に合わせて、一端側がロータの半径方向に進退可能に設けたことを特徴とする請求項1記載の渦電流式減速装置。
- 請求項1記載の渦電流式減速装置における永久磁石群を覆うケースにおけるロータ回転軸長手方向の内側面に、前記支持体部分と同じ間隔を存して配置した強磁性体をどちらか一方となし、制動ON時にはこの強磁性体と離反し、制動OFF時にはこの強磁性体に接近するよう、回動に合わせて支持リング及び永久磁石群を移動させるように構成したことを特徴とする渦電流式減速装置。
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