JP3892599B2 - 渦電流式減速装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、制動補助装置としてバスやトラック等の大型自動車に取付けられる渦電流式減速装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、バスやトラック等の大型自動車には、長い降坂時等において、安定した減速を行い、フットブレーキの使用回数を減少させて、ライニングの異常摩耗やフェード現象を防止すると共に、制動停止距離を短縮することを目的として、主ブレーキであるフットブレーキや補助ブレーキである排気ブレーキの他に渦電流減速装置が取付けられるようになってきている。この渦電流式減速装置には、磁石として、電磁石を使用するものと、永久磁石を使用するものがある。
【0003】
この渦電流式減速装置の一例である特開平1−234043号で提案されたものは、図7及び図8に示すように、回転軸1の片側端部にロータ6を嵌着すると共に、このロータ6から切離した円筒部8を有する磁気シールドケーシングを、ロータ6に隣接して固定配置し、周方向に隣接する磁石の極性が互いに逆向きとなるようにして、複数個の永久磁石4を周設した支持リング3を、回転軸1の軸線方向に永久磁石4の極面が所要の空隙でロータ6に全面対向する位置から全面離脱する磁気シールドケーシング位置までの長さを進退が可能なように構成したものである。なお、図7及び図8中、2は前記支持リング3の移動を案内するガイドレール11を頂面に取付けた支持部材、7は永久磁石4の外周面に貼着されたポールピースである。
【0004】
この特開平1−234043号で提案された渦電流式減速装置では、図7に示すように、永久磁石4をロータ6に全面対向させると、隣接する永久磁石4とロータ6で磁気回路を形成してロータ6に渦電流が発生し、いわゆる制動ON状態となって、制動トルクが発生する。
【0005】
この図7に示した制動ONの位置から永久磁石4を次第に後退させれば、発生する制動トルクは次第に小さくなって制動力が減少する。そして、永久磁石4が後退し終わって、図8に示すロータ6から全面離脱する位置にくれば制動は解除される。
【0006】
一方、特公平7−118901号で提案されたものは、図9〜図11に示すように、回転軸に設けられたロータ6と、このロータ6に対向して固定側から支持され、その周方向に沿って所定の間隔でN極、S極が交互に配置された永久磁石9a群を有する固定支持リング10aと、この固定支持リング10aに隣接すると共に、上記ロータ6に対向して設けられ、固定支持リング10aと同様の永久磁石9b群を有し、かつ、固定支持リング10aに対して回動が自在な回動支持リング10bと、固定支持リング10aの各永久磁石9aの上方から回動支持リング10bの上方へ延出されたスイッチ板5を備えた構成である。なお、図9〜図11中の12はベアリング、14は隣合うスイッチ板5間に介在される非磁性体を示す。
【0007】
この特公平7−118901号で提案された渦電流式減速装置では、図9に示すように、一つのスイッチ板5に対向する固定側と回動側の2つの永久磁石9a、9bの極性が同一となる位置に回動支持リング10bを移動させると、円周方向に隣接する永久磁石9a、9b間には、スイッチ板5及びロータ6の円筒部6aの内周面を含めて、図9(b)に矢印で示すように、磁気回路が形成されていわゆる制動ON状態となり、前記した円筒部6aの内周面に渦電流が起こって制動トルクが発生する。
【0008】
また、上記した制動ONの位置から回動支持リング10bを回し、図10に示すように、一つのスイッチ板5に対向する固定側と回動側の二つの永久磁石9a、9bの極性が互いに逆となる位置に回動支持リング10bを回動させると、一つのスイッチ板5とこれに対向する二つの永久磁石9a、9b間で、図10(a)に矢印で示すように、磁気回路が形成され、ロータ6の円筒部6aの内周面には永久磁石9a、9bから発生する磁束が作用しないので、渦電流は流れず制動トルクは発生しなくなる(制動OFFの状態)。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平1−234043号で提案された渦電流式減速装置は、永久磁石を回転軸の軸線方向にスライドさせ、ロータに全面対向又は全面離脱させることで制動のON・OFF切替を行っているので、軸方向の取付スペースが長くなって装置全体が大きくなることから、自動車への搭載性が悪いという問題がある。
【0010】
一方、特公平7−118901号で提案された渦電流式減速装置は、永久磁石群を回動させることで制動のON・OFF切替を行っているので、特開平1−234043号で提案された渦電流式減速装置のように、軸方向に長い取付スペースは必要なく、装置全体の小型化が可能であるものの、永久磁石群が回動支持リングと固定支持リングとからなるので、部品点数が増加し、製造コストが嵩んで経済的に不利となる。
【0011】
また、上記した特開平1−234043号や特公平7−118901号で提案されたものは、いずれも、磁石は、極が交互となるよう、周方向に所定の間隔を存して配置しているので、この間隔が狭すぎると、制動ON時、周方向に隣接する、極性が反対の磁石間で短絡的磁気回路が形成されることになって、ロータの円筒部に作用する磁束密度が減少する。従って、周方向に隣接する磁石間には一定値以上の間隔が必要となることから、円周上に配置できる磁石の数が制限されることになる。より多くの磁石を配置して制動力を大きくする場合には、磁石の形状をロータの回転軸方向又は半径方向に厚くする必要があり、装置全体が大型化してしまう。
【0012】
本発明は、上記した従来の問題点に鑑みてなされたものであり、装置を大型化せず、しかも、制動力に優れ、かつ、低コストで製作することができる渦電流式減速装置を提供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、本発明の渦電流式減速装置は、強磁性体からなる円筒部を有し、回転軸に一体的に取り付けられたロータにおける、前記円筒部の内周面と所定の間隔を存して対向配置される強磁性体からなるスイッチ板を、非磁性体を介して互いに磁気的に絶縁した状態で複数個固定し、これらスイッチ板の内周面と所定の間隔を存して対向配置された強磁性体からなる支持リングの外周面に、ロータの周方向に沿って極性の等しい永久磁石又は電磁石列を、回転軸の軸方向に、極性が交互に異なるように、複数列周設すると共に、前記スイッチ板か前記永久磁石又は電磁石列のどちらか一方を回転軸の軸方向に移動可能に設けることとしている。そして、このようにすることで、装置全体のサイズを大型化せず、しかも、制動力に優れ、かつ、低コストで製作することができる
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の渦電流式減速装置は、強磁性体からなる円筒部を有し、回転軸に一体的に取り付けられたロータと、このロータにおける前記円筒部の内周面と所定の間隔を存して対向配置され、非磁性体を介して互いに磁気的に絶縁した状態で固定された強磁性体からなる複数個の円筒形のスイッチ板と、これらスイッチ板の内周面と所定の間隔を存して対向配置された強磁性体からなる支持リングと、この支持リングの外周面に配置され、ロータの周方向に沿って極性の等しい永久磁石又は電磁石列とを備えてなり、この永久磁石又は電磁石列は、回転軸の軸方向に、極性が交互に異なるように、複数列周設すると共に、前記スイッチ板か前記永久磁石又は電磁石列のどちらか一方を回転軸の軸方向に移動可能に設けたものであり、
必要に応じて、回転軸の軸方向に、極性が交互に異なるように、複数列周設した、ロータの周方向に沿って極性の等しい永久磁石又は電磁石列を覆うケースの外周側が、スイッチ板と非磁性体を交互に回転軸の軸方向に並べてボルトで固定することにより形成したり、
また、前記永久磁石又は電磁石列を回転軸の軸方向に移動可能に設けたものにおいて、前記ケースの内側両側壁面に、スイッチ板に接触するように強磁性体からなるリングを設けると共に、支持リングを前記各永久磁石又は電磁石列毎に分割し、これら分割した各支持リングを、互いに接する位置と、前記強磁性体からなるリングに接する位置間を、回転軸の軸方向に移動が可能なように設けたりする。
【0015】
本発明の渦電流式減速装置では、スイッチ板と、ロータの周方向に沿って極性の等しい永久磁石又は電磁石列が重なり合うか、或いは、スイッチ板と永久磁石又は電磁石列が重なり合い、かつ、分割した各支持リングが互いに接するようになすと、支持リングと、回転軸の軸方向に隣接する永久磁石又は電磁石列と、回転軸の軸方向に隣接するスイッチ板と、ロータの円筒部で磁気回路が形成されて、いわゆる制動ON状態となり、前記した円筒部には永久磁石からの磁束が作用して渦電流が発生し、制動トルクが発生する。
【0016】
また、上記した制動ONの位置から、永久磁石又は電磁石列が、回転軸の軸方向に隣接するスイッチ板を跨いで半分ずつ重なり合った状態となすか、或いは、分割した各支持リングが強磁性体からなるリングに接するようになすと、支持リングと、回転軸の軸方向に隣接する永久磁石又は電磁石列と、これら永久磁石又は電磁石列を跨いだスイッチ板、或いは、支持リングと、永久磁石又は電磁石列と、スイッチ板と、リングとで短絡的磁気回路が形成されて、いわゆる制動OFFの状態となる。
【0017】
【実施例】
以下、本発明の渦電流式減速装置を図1〜図6に示す実施例に基づいて説明する。なお、図1〜図6中、図7〜図11と同一符号は同一部分或いは相当部分を示し、詳細な説明を省略する。
図1は本発明の渦電流式減速装置の要部説明図で、回転軸方向に断面した図、図2は本発明の渦電流式減速装置を構成する磁石列を説明する斜視図、図3は請求項2に対応する本発明の渦電流式減速装置の説明図で、上半分は制動ONの状態を示した図、下半分は制動OFFの状態を示した図、図4は請求項3に対応する本発明の渦電流式減速装置の説明図で、上半分は制動ONの状態を示した図、下半分は制動OFFの状態を示した図、図5は請求項4に対応する本発明の渦電流式減速装置の説明図で、上半分は制動ONの状態を示した図、下半分は制動OFFの状態を示した図、図6は本発明の渦電流式減速装置を構成する磁石列、スイッチ板を説明する斜視図である。
【0018】
図1〜図6において、21は回転軸1に軸受を介して回動自在に軸支されたケースであり、このケース21には、円筒形をなす例えば低炭素鋼等の強磁性体のスイッチ板23が、回転軸1の軸方向に例えばアルミニウム等の非磁性体22を介して互いに磁気的に絶縁した状態で、例えば図1及び図3、図4では3個、また、図5では2個、例えばアルミニウム等の非磁性体のボルト28によって、回転軸1の軸方向に直列状に設置されている。これらスイッチ板23は、回転軸1に例えば支持部材13を介して一体的に取り付けられたロータ6の、円筒部6aにおける内周面と所定の間隔を存して対向するように配置される。
【0019】
24は前記したスイッチ板23の内周面と所定の間隔を存して対向配置された例えば低炭素鋼等の強磁性体からなる支持リングであり、例えば図1〜図4に示した実施例では、回転軸1の軸方向に一体のものを、また、図5に示した実施例では、回転軸1の軸方向に2つに分割したものを示している。
【0020】
前記した支持リング24の外周面には、ロータ6の周方向に沿って極性の等しい例えば永久磁石列25が配置されている。そして、この永久磁石列25は、回転軸1の軸方向に、例えば図1及び図3、図4では3個、また、図5では各支持リング24毎に1個で、計2個、極性が交互に異なるように、支持リング24の外周面に周設されている。
【0021】
ところで、図3に示す実施例では、例えば前記した支持リング24とケース21の間にベアリング26を介設して、支持リング24を回転軸1の軸方向に移動が自在なようになし、支持リング24の一方側面に、エアーシリンダ27のロッド端を取付けることで、ロッドの出退移動で、前記した永久磁石列25が、回転軸1の軸方向に進退できるようにしている。
【0022】
このような図3に示した渦電流式減速装置では、図3の上半分のように、エアーシリンダ27のロッドを突出させて支持リング24を移動し、各スイッチ板23と各永久磁石列25を全面的に重なり合わせると、支持リング24と、隣接する永久磁石列25と、隣接するスイッチ板23、及び、ロータ6の円筒部6aで磁気回路が形成されて、回転する円筒部6aが永久磁石列25からの磁界を横切る時に、円筒部6aに生じる渦電流と磁界の作用により、円筒部6aに制動トルクが発生する、いわゆる制動ON状態となる。
【0023】
また、上記した制動ONの位置から、図3の下半分のように、エアーシリンダ27のロッドを退入させて、各永久磁石列25が、回転軸1の軸方向に隣接するスイッチ板23を跨いで半分ずつ重なり合った状態とすると、支持リング24と、隣接する永久磁石列25と、スイッチ板23で短絡的磁気回路が形成されて、いわゆる制動OFFの状態となる。この状態では、ロータ6の円筒部6aには永久磁石列24から発生する磁束が作用しないので、前記した円筒部6aには渦電流は流れず制動トルクは発生しなくなる。
【0024】
このように、図3に示す実施例では、制動のON・OFF切替は、永久磁石列25をスイッチ板23に対して若干移動させるだけで良く、永久磁石列25をロータ6の円筒部6aから全面離脱させる必要がないので、制動のON・OFF切替による永久磁石列25の移動量が少なくて済み、装置の小型化が図れる。
【0025】
一方、図4に示す実施例では、ボルト28によって一体的に固定したスイッチ板23と非磁性体22を、ケース21に対して回転軸1の軸方向に移動自在となし、これら一体的に固定したスイッチ板23と非磁性体22の一方側面に、エアーシリンダ27のロッド端を取付けることで、ロッドの出退移動で、スイッチ板23と非磁性体22が、回転軸1の軸方向に進退できるようにしている。
【0026】
このような図4に示した渦電流式減速装置では、図4の上半分のように、エアーシリンダ27のロッドを突出させてスイッチ板23と非磁性体22を移動し、各スイッチ板23と各永久磁石列25を全面的に重なり合わせると、支持リング24と、隣接する永久磁石列25と、隣接するスイッチ板23、及び、ロータ6の円筒部6aで磁気回路が形成されて、回転する円筒部6aが永久磁石列25からの磁界を横切る時に、円筒部6aに生じる渦電流と磁界の作用により、円筒部6aに制動トルクが発生する、いわゆる制動ON状態となる。
【0027】
また、上記した制動ONの位置から、図4の下半分のように、エアーシリンダ27のロッドを退入させて、各永久磁石列25が、回転軸1の軸方向に隣接するスイッチ板23を跨いで半分ずつ重なり合った状態とすると、支持リング24と、隣接する永久磁石列25と、スイッチ板23で短絡的磁気回路が形成されて、いわゆる制動OFFの状態となる。この状態では、ロータ6の円筒部6aには永久磁石列24から発生する磁束が作用しないので、前記した円筒部6aには渦電流は流れず制動トルクは発生しなくなる。
【0028】
このように、図4に示す実施例では、制動のON・OFF切替は、スイッチ板23を永久磁石列25に対して若干移動させるだけで良く、永久磁石列25をロータ6の円筒部6aから全面離脱させる必要がないので、制動のON・OFF切替によるスイッチ板23の移動量が少なくて済み、装置の小型化が図れる。
【0029】
上記した図3及び図4に示した実施例に対して、図5に示す実施例では、ケース21の内側両壁面に、スイッチ板23に接触するように、例えば低炭素鋼等の強磁性体からなるリング29を設ける。一方、前記2つに分割した支持リング24,24に、エアーシリンダ27のピストンに取付けたアーム30を取付け、ピストンがロータ6の回転方向に移動するのに併せて、エアーシリンダ27の作用により、支持リング24,24とケース21の間に介設したベアリング26を介して、支持リング24,24もロータ6の回転方向に旋回するようにする。この時、ケース21の内側底面に、各支持リング24,24の下方で方向の異なる螺旋状ガイドレールを取付けることで、各支持リング24,24は回転方向に旋回しながら軸方向に接離移動するようになる。
【0030】
このような図5に示した渦電流式減速装置では、図5の上半分のように、エアーシリンダ27のピストンを例えばロータ6の回転方向に移動させて、各スイッチ板23と各永久磁石列25を全面的に重なり合わせる共に、支持リング24,24同士が接するようにすると、支持リング24,24と、隣接する永久磁石列25と、隣接するスイッチ板23、及び、ロータ6の円筒部6aで磁気回路が形成されて、回転する円筒部6aが永久磁石列25からの磁界を横切る時に、円筒部6aに生じる渦電流と磁界の作用により、円筒部6aに制動トルクが発生する、いわゆる制動ON状態となる。
【0031】
また、上記した制動ONの位置から、図5の下半分のように、エアーシリンダ27のピストンをロータ6の反回転方向或いは回転方向に移動させて、各支持リング24,24を離反させて、それぞれがリング29に接するようにすると、各支持リング24,24と、各永久磁石列25と、各スイッチ板23と、各リング29とで短絡的磁気回路が形成されて、いわゆる制動OFFの状態となる。この状態では、ロータ6の円筒部6aには永久磁石列24から発生する磁束が作用しないので、前記した円筒部6aには渦電流は流れず制動トルクは発生しなくなる。
【0032】
このように、図5に示す実施例では、制動のON・OFF切替は、支持リング24を永久磁石列25に対して若干移動させれば良く、永久磁石列25をロータ6の円筒部6aから全面離脱させる必要がないので、制動のON・OFF切替によるスイッチ板23の移動量が少なくて済み、装置の小型化が図れる。
なお、図1、図3〜図5において、6bは円筒部6aの外周に形成された冷却フィンである。
【0033】
以上説明した、本発明に係る渦電流式減速装置では、制動ON時と、制動OFF時の磁気回路は、共に回転軸方向の断面内で形成されるので、図2に示したように、磁石を周方向に連続的に配置することができる。従って、極が異なる磁石を周方向に所定間隔を存して配置する従来の渦電流式減速装置と比べて、同一空間内に配置可能な磁石量が増し、装置が同一サイズの場合、制動力が大きくなる。なお、磁石は周方向に分割したものを円筒形に組立てたものでも良いことは言うまでもない。また、図1〜図6では、永久磁石又は電磁石列は、回転軸の軸方向に2又は3列周設したものを示したが、4列以上でも良い。
【0034】
また、従来の渦電流式減速装置では、極が異なる磁石9a、9bを周方向に所定の間隔を存して配置するので、図11に示したように、スイッチ板5も周方向に所定の間隔を存して非磁性体14で固定する必要があり、通常は、鋳造によって作製される。これに対して、本発明に係る渦電流式減速装置では、スイッチ板23と、スイッチ板23を固定する非磁性体22は共に径が等しい円筒形であるから、例えばスイッチ板23と非磁性体22を交互に回転軸1の軸方向に重ねてボルト28等で固定することで、ケース21の外周側が形成できる。従って、従来の渦電流式減速装置に比べて製造に要する時間が短縮し、コストも低減できる。
【0035】
ちなみに、本発明の効果を確認するための、図3〜図5に示す渦電流式減速装置として、ロータ6の円筒部6a(内径が約380mm,肉厚が約20mm、軸方向長さが約80mm)にはCr−Mo系の低合金鋼を、また、永久磁石列25にはネオジウム−鉄−ボロン系の永久磁石を、また、支持リング24、スイッチ板23及びリング29には低炭素鋼を、非磁性体22及びボルト28にはアルミニウムを採用したものを作製した。
【0036】
そして、これらの渦電流式減速装置を試験体として、制動試験を行った。制動試験は、試験体を大型トラックにおけるトランスミッション後部のプロペラシャフトの途中に装備し、プロペラシャフトの回転速度が2000rpmになった時の制動トルク(kg・m)を測定した。なお、図3に示した構造の渦電流式減速装置を試験体No.1、図4に示した構造の渦電流式減速装置を試験体No.2、図5に示した構造の渦電流式減速装置を試験体No.3とする。また、比較例として、ロータ6の円筒部6aや永久磁石4、9a,9b等に同じサイズ、材質のものを使用した、図7及び図8に示した構造の渦電流式減速装置と、図9〜図11に示した構造の渦電流式減速装置についても同様の試験を行った。前者を試験体No.4、後者を試験体No.5とする。なお、試験体No.1〜No.5は全てスイッチ板23の外径は378mmで同じにした。
【0037】
測定結果を下記表1に示す。表1より、本発明例である試験体No.1〜No.3は、比較例である試験体No.4及びNo.5と比べて、制動力が大きくなっていることが判る。さらに、本発明例である試験体No.1〜No.3は、スイッチ板23と非磁性体22を交互に回転軸1の軸方向に重ねてボルト28で固定することでケース21の外周側を形成しているので、鋳造により作製する比較例である試験体No.4及びNo.5に比べて製造時間が短縮し、低コスト化が可能である。なお、比較例である試験体No.5は、回転軸1の軸方向長さを本発明例よりも若干短くできるが、制動トルク、製造時間、製造コストの点で、本発明例よりも大幅に劣っている。
【0038】
【表1】
Figure 0003892599
【0039】
なお、本実施例では、永久磁石列25の外周にポールピースを取付けていないものを示しているが、ポールピースを取付けたものであっても良い。また、本実施例では、永久磁石を使用したものについて説明したが、電磁石を使用したものでも良い。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の渦電流式減速装置では、強磁性体からなる支持リングに周設した極性の等しい磁石列を、極性を交互に異ならせて、回転軸の軸方向に複数列交互に並べたので、同一容積内に配置できる磁石量を増加させることができ、装置の全体のサイズを大型化せずに高い制動力を得ることができる。また、本発明の渦電流式減速装置では、スイッチ板と非磁性体は共に径が等しい円筒形であるため、例えばスイッチ板と非磁性体を交互に回転軸の軸方向に並べてボルトで固定することで、ケースの外周側を形成できることになり、鋳造によって作製する従来装置と比較して製造時間の短縮と低コスト化が可能になる。また、本発明の渦電流式減速装置では、特公平7−118901号で提案されたものに比べて部品点数が少なくてすむことからも、製造時間の短縮と低コスト化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の渦電流式減速装置の要部説明図で、回転軸方向に断面した図である。
【図2】本発明の渦電流式減速装置を構成する磁石列を説明する斜視図である。
【図3】請求項2に対応する本発明の渦電流式減速装置の説明図で、上半分は制動ONの状態を示した図、下半分は制動OFFの状態を示した図である。
【図4】請求項3に対応する本発明の渦電流式減速装置の説明図で、上半分は制動ONの状態を示した図、下半分は制動OFFの状態を示した図である。
【図5】請求項4に対応する本発明の渦電流式減速装置の説明図で、上半分は制動ONの状態を示した図、下半分は制動OFFの状態を示した図である。
【図6】本発明の渦電流式減速装置を構成する磁石列、スイッチ板を説明する斜視図である。
【図7】特開平1−234043号で提案された渦電流式減速装置の上半分を断面して示す側面図で、制動ONの状態を示す説明図である。
【図8】特開平1−234043号で提案された渦電流式減速装置の上半分を断面して示す側面図で、制動OFFの状態を示す図である。
【図9】特公平7−118901号で提案された渦電流式減速装置の制動ONの状態を示す説明図で、(a)は縦断面側面図、(b)は縦断面正面図である。
【図10】特公平7−118901号で提案された渦電流減速装置の制動OFFの状態を示す説明図で、(a)は縦断面側面図、(b)は縦断面正面図である。
【図11】 従来の渦電流式減速装置を構成する磁石列、スイッチ板を説明する斜視図である。
【符号の説明】
1 回転軸
6 ロータ
6a 円筒部
21 ケース
22 非磁性体
23 スイッチ板
24 支持リング
25 永久磁石列
27 エアーシリンダ
28 ボルト
29 リング

Claims (5)

  1. 強磁性体からなる円筒部を有し、回転軸に一体的に取り付けられたロータと、
    このロータにおける前記円筒部の内周面と所定の間隔を存して対向配置され、非磁性体を介して互いに磁気的に絶縁した状態で固定された強磁性体からなる複数個の円筒形のスイッチ板と、
    これらスイッチ板の内周面と所定の間隔を存して対向配置された強磁性体からなる支持リングと、
    この支持リングの外周面に配置され、ロータの周方向に沿って極性の等しい永久磁石又は電磁石列とを備えてなり、
    この永久磁石又は電磁石列は、回転軸の軸方向に、極性が交互に異なるように、複数列周設され、かつ回転軸の軸方向に移動可能に設けられていることを特徴とする渦電流式減速装置。
  2. 回転軸の軸方向に、極性が交互に異なるように、複数列周設した、ロータの周方向に沿って極性の等しい永久磁石又は電磁石列を覆うケースの外周側が、スイッチ板と非磁性体を交互に回転軸の軸方向に並べてボルトで固定することにより形成されていることを特徴とする請求項1記載の渦電流式減速装置。
  3. 前記ケースの内側両側壁面に、スイッチ板に接触するように強磁性体からなるリングを設けると共に、支持リングを前記各永久磁石又は電磁石列毎に分割し、これら分割した各支持リングを、互いに接する位置と、前記強磁性体からなるリングに接する位置間を、回転軸の軸方向に移動が可能なように設けたことを特徴とする請求項2に記載の渦電流式減速装置。
  4. 強磁性体からなる円筒部を有し、回転軸に一体的に取り付けられたロータと、
    このロータにおける前記円筒部の内周面と所定の間隔を存して対向配置され、非磁性体を介して互いに磁気的に絶縁した状態で固定された強磁性体からなる複数個の円筒形のスイッチ板と、
    これらスイッチ板の内周面と所定の間隔を存して対向配置された強磁性体からなる支持リングと、
    この支持リングの外周面に配置され、ロータの周方向に沿って極性の等しい永久磁石又は電磁石列とを備えてなり、
    この永久磁石又は電磁石列は、回転軸の軸方向に、極性が交互に異なるように、複数列周設されていると共に、前記複数個の円筒形のスイッチ板、回転軸の軸方向に移動可能に設けられていることを特徴とする渦電流式減速装置。
  5. 回転軸の軸方向に、極性が交互に異なるように、複数列周設した、ロータの周方向に沿って極性の等しい永久磁石又は電磁石列を覆うケースの外周側が、スイッチ板と非磁性体を交互に回転軸の軸方向に並べてボルトで固定することにより形成されていることを特徴とする請求項4に記載の渦電流式減速装置。
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