JP3882399B2 - 渦電流式減速装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両、特にトラック等の大型車両のメインブレーキであるフットブレーキを補助するのに適用される渦電流式減速装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
本出願人であるいすゞ自動車株式会社が先に開発し、そして同社から出願された特願平10−105846号明細書に開示された渦電流式減速装置は、回転軸に連結された制動ドラムと、制動ドラムの内側に同軸に配設された環状のケースとを備えている。ケースは、制動ドラムの内周面に近接した、非磁性体からなる外周壁を備えている。この外周壁は薄板から形成されている。ケース内には静止支持筒及び可動支持筒が軸方向に並列して配設されている。静止支持筒はケースの内周壁に固定され、可動支持筒はケースの内周壁に正逆回動可能に支持されている。支持筒の各々は非磁性体から形成されている。支持筒の各々には、周方向に間隔おいて複数の永久磁石が配設されている。永久磁石の各々は、周方向両端に磁極面を有すると共に支持筒の各々間で並列されるよう配設されている。支持筒の各々にはまた、磁石の各々に対し、一端が各磁極面にそれぞれ密着しかつ他端が外周壁を介して制動ドラムの内周面に面する対向面を規定すると共に支持筒の各々間で並列されるように一対の強磁性部材が配設されている。強磁性部材の各々は、永久磁石の各々における磁極面の各々から半径方向外側に延び出すよう配設されている。ケースには、可動支持筒を正逆回動させて制動と非制動との切換を行なうアクチュエータが備えられている。
【0003】
また本出願人であるいすゞ自動車株式会社が先に開発し、そして同社から出願された他の出願である特願平10−106963号明細書に開示された渦電流式減速装置は、回転軸に連結された制動ドラムと、制動ドラムの内側に同軸に配設された環状のケースとを備えている。ケースは、制動ドラムの内周面に近接した、非磁性体からなる外周壁を備えている。ケース内には非磁性体からなる支持筒が軸方向移動可能に支持されている。支持筒には周方向に間隔おいて複数の永久磁石が支持されている。永久磁石の各々は、周方向両端に磁極面を有している。ケースの上記外周壁には、永久磁石の各々に対し、各磁極面との間にそれぞれ対向面が形成されるよう、一対の強磁性部材が半径方向内側に延び出すように一体に配設されている。強磁性部材の各々は、制動ドラムの内周面に面する一つの対向面を有するよう外周壁に配設されている。支持筒は、アクチュエータによって、永久磁石の各々における磁極面の各々が対応する強磁性部材の対向面と対向する制動位置と、対応する強磁性部材から退避する非制動位置とに軸方向に往復移動させられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
特願平10−105846号明細書に開示された渦電流式減速装置においては、強磁性部材の各々の対向面は、薄板からなる外周壁を介して制動ドラムの内周面に面する(対向する)よう構成されているので、上記外周壁が、該対向面の各々と制動ドラムの内周面との間に形成される磁束の流路におけるエアギャップとなって磁力を低下させ、したがって制動トルクを低下させる。また、強磁性部材の各々は、永久磁石の各々における磁極面の各々から半径方向外側に延び出すよう、支持筒の各々に配設されているので、永久磁石の各々における磁極面の各々と制動ドラムの内周面との間の磁束の流路の距離が比較的長くなる。その結果、磁力を低下させ、したがって制動トルクを低下させる。なお同明細書には、支持筒の各々において、永久磁石の各々及び強磁性部材の各々を対応する支持筒内に鋳込むよう構成する技術も開示されている。静止支持筒においてはケースの一方の端壁とも一体化されている。強磁性部材の各々の、制動ドラムの内周面に面する対向面のみが支持筒の各々の外周面において露呈されている。そして支持筒の各々の相互に隣接する外周部の側縁部間、及びケースの一方の端壁とそれに隣接する可動支持筒の外周部の側縁部間にはダストシールが配設されている。この技術によれば、上記したエアギャップの問題は解消されるが、ダストシールを設ける必要があるので、長期の使用によりダストシールが劣化してダストがケース内に侵入するおそれがある。
【0005】
他方、特願平10−106963号明細書に開示された渦電流式減速装置においては、強磁性部材の各々がケースの外周壁から半径方向内側に延び出すように一体に配設されているので、強磁性部材と一体型のケースの製造が困難となる。また永久磁石の各々における磁極面の各々と制動ドラムの内周面との間の磁束の流路の距離が比較的長くなるので、磁力を低下させ、したがって制動トルクを低下させる。
【0006】
本発明は上記事実に基づいてなされたものであり、その目的は、磁石側と制動ドラムとの間のエアギャップを少なくすることを可能にし、その結果、制動トルクを増大させることができる、新規な渦電流式減速装置を提供することである。
【0007】
本発明の他の目的は、磁石と制動ドラムとの間に形成される磁束の流路の距離を短縮することを可能にし、その結果、制動トルクを増大させることができる、新規な渦電流式減速装置を提供することである。
【0008】
本発明の更に他の目的は、製造及び組立が容易である、新規な渦電流式減速装置を提供することである。
【0009】
本発明のその他の目的及び特徴は、本発明に従って構成された渦電流式減速装置の実施形態について添付図面を参照して詳細に説明する後の記載から明らかになるであろう。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の一局面によると、制動ドラムと、制動ドラムの内周面に近接した外周壁を含むケースと、ケース内に支持された非磁性体からなる支持筒と、支持筒に周方向に間隔をおいて配設されかつ周方向両端に磁極面を有する複数の磁石と、磁石の各々に対し、各磁極面にそれぞれ密着してかつ上記外周壁の内周面に面する対向面を有するよう支持筒に配設された一対の強磁性部材と、支持筒の強磁性部材の各々に対応して上記外周壁に配設された強磁性部材とを備え、上記外周壁の強磁性部材の各々は、支持筒の強磁性部材の各々の対向面に面する内側対向面と、制動ドラムの内周面に面する外側対向面とを有し、ケースは非磁性体からなる内周壁を有し、磁石の各々は永久磁石から構成され、内周壁には磁石の各々と同じピッチで周方向に間隔をおいて磁石の各々と同数の強磁性部材が配設され、該強磁性部材の各々の周方向長さは磁石の周方向長さと同一以上に規定され、支持筒はケースに正逆回動可能に支持され、支持筒を正逆回動させて制動と非制動との切換を行なうアクチュエータを備えている、
ことを特徴とする渦電流式減速装置が提供される。
【0012】
本発明の更に他の局面によれば、制動ドラムと、制動ドラムの内周面に近接した外周壁を含むケースと、ケース内に支持された非磁性体からなる支持筒と、支持筒に周方向に間隔をおいて配設されかつ周方向両端に磁極面を有する複数の磁石と、磁石の各々に対し、各磁極面にそれぞれ密着してかつ上記外周壁の内周面に面する対向面を有するよう支持筒に配設された一対の強磁性部材と、上記外周壁に周方向に間隔をおいて配設された複数の強磁性部材とを備え、上記外周壁の強磁性部材の各々は、支持筒においてそれぞれ磁石を介さないで周方向に間隔をおいて対向する強磁性部材の各々に対応してその一方から他方にわたって周方向に延在するよう配設されると共に該強磁性部材の各々の対向面に面する内側対向面と、制動ドラムの内周面に面する外側対向面とを有する、
ことを特徴とする渦電流式減速装置、が提供される。
【0013】
本発明の更に他の局面によれば、制動ドラムと、制動ドラムの内周面に近接した外周壁を含むケースと、ケース内に支持された非磁性体からなる支持筒と、支持筒の外周面に等間隔をおいて配設されかつ周方向両端に磁極面を有する複数の磁石と、磁石の各々間に各磁極面に密着して配設された強磁性部材と、上記外周壁に周方向に等間隔をおいて配設された、支持筒の強磁性部材と同数の強磁性部材とを備え、上記外周壁の強磁性部材の各々は、支持筒の強磁性部材の各々に対し、周方向長さが短く規定されると共に各々の周方向中央部に配置されかつ各々の外周面に面する内側対向面と、制動ドラムの内周面に面する外側対向面とを有する、
ことを特徴とする渦電流式減速装置、が提供される。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適実施形態を添付図面を参照して更に詳細に説明する。なお、図1〜図16において実質上同一部分は同一符号で示されている。図1を参照して、図示しないトラックにおけるトランスミッションの出力軸(回転軸)2には、半径方向外方に延びるフランジ部4が取り付けられている。フランジ部4には、パーキングブレーキ用の制動ドラム6と、渦電流式減速装置用のロータである制動ドラム7とが複数のボルト8により共締めされている。以上の構成により制動ドラム7は出力軸2に連結される。制動ドラム7は鉄などの透磁率の大なる強磁性体から形成されている。制動ドラム7の半径方向外側及び軸方向の外側には複数の冷却フィン9が一体に設けられている。制動ドラム7の内側(環状空間の内側)には、中空円環状のケース10が同軸に配設されている。ケース10はそのほぼ全体が制動ドラム7の内側に配置されている。図示しないミッションケースに装着されたケース10は、全体がほぼ円筒形状をなす外周壁12と、外周壁12よりも小径の内周壁14と、外周壁12及び内周壁14の軸方向両端においてそれらを連結するように配設された円環状の端壁16及び18とから構成されている。外周壁12は図1に示すように制動ドラム7の内側に配置されかつ制動ドラム7の内周面に近接して配置されている。外周壁12と端壁16、内周壁14と端壁18は、それぞれ一体に形成され、これら二つの構成部材は複数のボルトにより結合されている。ケース10は、後述する強磁性部材28の各々を除き、全体が例えばアルミニウムなどの非磁性体から構成されている。ケース10の円環状の中空部は、図1に示すように縦断面がほぼ矩形状をなしている。
【0015】
ケース10内の内周壁14には、それぞれ非磁性体からなる静止支持筒20と可動支持筒22とが軸方向に並列して支持されている。静止支持筒20は端壁18及び内周壁14に固定され、可動支持筒22は内周壁14に一対のベアリング24を介して正逆回動可能に支持されている。図1と共に図2を参照して、円筒形状をなす静止支持筒20及び可動支持筒22の各々の外周部には、周方向に等間隔をおいて複数の磁石26が鋳込まれる形態で一体に配設されている。磁石26の各々は、ほぼ直方体形状をなす永久磁石から構成され、それぞれ周方向両端に磁極面を有している。磁石26の各々は、相互に周方向に間隔をおいて対向する磁極面の極性が異極(N−S)となるように配列されている。静止支持筒20及び可動支持筒22の各々にはまた、磁石26の各々に対し、一対の強磁性部材27が鋳込まれる形態で一体に配設されている。各対における強磁性部材27の各々の周方向の一端は、対応する磁石26の磁極面に密着して位置付けられ、各々の周方向の他端は、半径方向外側に向かうにしたがって相互に周方向に離れてゆく傾斜面を有している。したがって強磁性部材27の各々は、制動ドラム7の軸方向から見てほぼ逆台形状をなしている。強磁性部材27の各々は、制動ドラム7の内周面に近接して配置された上記外周壁12の内周面に面する対向面27aを有し、各々の対向面27aのみが、静止支持筒20及び可動支持筒22の各々の外周面から露呈される形態で該支持筒20及び22に一体に成形されている。対向面27aの各々は静止支持筒20及び可動支持筒22の各々の外周面と実質上同一面上に位置付けられている。静止支持筒20及び可動支持筒22の各々はそれぞれに配設された強磁性部材27の各々よりも厚い肉厚を有している。磁石26の各々及び強磁性部材28の各々は、静止支持筒20及び可動支持筒22間で並列しうるよう(隣接しうるよう)配設されている(換言すれば、互いに同じ形態で配列されている)。静止支持筒20及び可動支持筒22間で並列された磁石26同士は相互に同極となる。
【0016】
ケース10の外周壁12には、周方向に間隔をおいて複数の強磁性部材28が一体に配設されている。強磁性部材28の各々は外周壁12の一部により周方向に仕切られている。強磁性部材28の各々は、静止支持筒20及び可動支持筒22間で並列される強磁性部材27の各々に対応してその一方(静止支持筒20の強磁性部材27)から他方(可動支持筒22の強磁性部材27)にわたって軸方向に延在するよう外周壁12に配設されている。したがって、外周壁12の強磁性部材28の各々は、静止支持筒20及び可動支持筒22の各々間で並列される強磁性部材27の各々の対向面27aにほぼ全面的に面する(対向する)内側対向面28aと、制動ドラム7の内周面に面する外側対向面28bとを有している。強磁性部材28の各々の内側対向面28aは外周壁12の内周面と実質上同一面上に位置付けられ、また各々の外側対向面28bは外周壁12の外周面と実質上同一面上に位置付けられている。したがって、外周壁12の、強磁性部材28の各々が一体に配設された部分は、強磁性部材28の各々を含めて肉厚がその全周にわたって実質上一定に形成される。図示の実施形態においては、外周壁12における強磁性部材28の各々、強磁性部材28の各々を周方向に仕切る外周壁12の一部の各々、静止支持筒20及び可動支持筒22における磁石26の各々及び強磁性部材27の各々の周方向長さは、それぞれ実質上同一に規定されている。なお、この場合の周方向長さとは、静止支持筒20及び可動支持筒22の外周面、外周壁12の内周面におけるそれぞれの長さを意味するものとする。
【0017】
ケース10には、可動支持筒22を静止支持筒20に対して正逆回動させて制動と非制動との切換を行なうアクチュエータであるエアシリンダ機構30が付設されている。図1に示すように、エアシリンダ機構30は、ケース10の端壁16を共有するシリンダ32と、シリンダ32内に摺動自在に収容されたピストン34と、ピストン34に連結されたピストンロッド36と、ピストンロッド36と可動支持筒22とを図示しないユニバーサルジョイントを介して連結する連結アーム38とを備えている。連結アーム38は、端壁16に、図において表裏方向に延在するよう形成されたスリットを貫通して、ピストンロッド36の先端からケース10の中空部内に延びるよう配設されている。エアシリンダ機構30の軸線は、可動支持筒22の接線方向と一致するよう配置される。エアシリンダ機構30は、周方向に等間隔をおいて複数個、例えば2個配置されることが好ましい。
【0018】
シリンダ32内はピストン34により二つの室に区画され、一方の室に、圧力エア供給源である図示しないエアタンクから圧力エアが供給されると、ピストン34、ピストンロッド36及び連結アーム38を介して可動支持筒22、可動支持筒22における磁石26の各々及び強磁性部材27の各々が一体に一方向に、後述する非制動位置から磁石26の各々における半ピッチだけ回動させられる。可動支持筒22における磁石26の各々及び強磁性部材27の各々は制動位置に位置付けられる(図2及び図3参照)。この制動状態において、シリンダ32内の他方の室に圧力エアが供給されると、ピストン34、ピストンロッド36及び連結アーム38を介して可動支持筒22、可動支持筒22における磁石26の各々及び強磁性部材27の各々が一体に、上記制動位置から逆方向に磁石26の各々における半ピッチだけ回動させられる。可動支持筒22における磁石26の各々及び強磁性部材27の各々は非制動位置に位置付けられる(図4及び図5参照)。
【0019】
以上のように構成された渦電流式減速装置を作動させて、走行中のトラックに制動(補助制動)を作用させる(制動ONとする)場合には、エアシリンダ機構30を作動させて可動支持筒22における磁石26の各々及び強磁性部材27の各々を制動位置に位置付ける(図2及び図3参照)。これにより、可動支持筒22における磁石26の各々は、静止支持筒20の磁石26の各々の同極側と並列して位置付けられ(同極同士が隣接され)、また可動支持筒22における強磁性部材27の各々は、静止支持筒20における強磁性部材27の各々の同極側に並列して位置付けられる(同極同士が隣接される)。外周壁12の強磁性部材28の各々の内側対向面28aは、静止支持筒20及び可動支持筒22の各々間で並列された強磁性部材27の各々の対向面27aに面するよう相対的に位置付けられる。その結果、可動支持筒22における磁石26の各々及び強磁性部材27の各々と制動ドラム7との間、及び、静止支持筒20における磁石26の各々及び強磁性部材27の各々と制動ドラム7との間に、それぞれ外周壁12の強磁性部材28の各々を介して磁気回路が形成されるので、それに対応して制動ドラム7に渦電流が発生し、制動ドラム7に対する制動が作動させられる。
【0020】
外周壁12の強磁性部材28の各々の外側対向面28bと制動ドラム7の内周面との間には、薄板のような介在物が存在しないので、その間のエアギャップを上記従来装置に較べて少なくすることができる。その結果、制動トルクを増大させることが可能となる。外周壁12側の強磁性部材28の各々は、外周壁12の一部としてその厚さ(肉厚)とほぼ同じ厚さ(半径方向寸法)で、外周壁12に一体に成形されるよう構成されているので、強磁性部材28の各々の厚さを外周壁12の厚さと共に可能な限り薄くすることが可能である。その結果、磁石26の磁極面の各々と制動ドラム7との間の磁束流路の距離を短縮することが可能となり、磁力の低下を防止することができ、結果として制動トルクを増大させることができる。また上記のように強磁性部材が、静止支持筒20及び可動支持筒22側の強磁性部材27の各々と、外周壁12側の強磁性部材28の各々とに2分割されるよう構成されているので、強磁性部材28の各々と一体型のケース10の製造が容易となり、また装置の組立も容易となる。更にはまた、上記従来装置におけるようなダストシールを設ける必要がないので、長期にわたりケース内へのダストの侵入を防止することができる。更にはまた、使用される磁石26の数が比較的多いので強力な制動トルクが得られ、特にトラック等の大型車両に有利である。
【0021】
制動を解除させて非制動状態に切り換える(制動をOFFに切り換える)場合には、エアシリンダ機構30を作動させて可動支持筒22における磁石26の各々及び強磁性部材27の各々を制動位置に位置付ける(図4及び図5参照)。これにより、可動支持筒22における磁石26の各々は、静止支持筒20の磁石26の各々における周方向の中間位置に位置付けられ、また可動支持筒22における強磁性部材27の各々は、静止支持筒20における強磁性部材27の各々の異極側に並列して位置付けられる(異極同士が隣接される)。その結果、可動支持筒22における磁石26の各々及び強磁性部材27の各々と、静止支持筒20における磁石26の各々及び強磁性部材27の各々との間に、外周壁12の強磁性部材28の各々を介して磁気回路が形成され、制動ドラム7との間は磁気的に遮断されるので、制動ドラム7に対する制動は解除される。
【0022】
図1〜図5を参照して説明した渦電流式減速装置の実施形態においては、静止支持筒20及び可動支持筒22の各々における磁石26の各々は、相互に周方向に間隔をおいて対向する磁極面の極性が異極(N−S)となるように配列されているが、同極(N−N及びS−S)となるように配列する他の実施形態も成立する。図6及び図7にはこのような他の実施形態が示されている。図6に示すように、エアシリンダ機構30を作動させて可動支持筒22における磁石26の各々及び強磁性部材27の各々を制動位置に位置付けると、静止支持筒20及び可動支持筒22の各々においてそれぞれ同極同士が並列された磁石26の各々及び強磁性部材27の各々と制動ドラム7との間に外周壁12の強磁性部材28の各々を介して磁気回路が形成され、制動ドラム7に対する制動が作動させられる。磁気回路の各々は、周方向に対向する磁石26の各々間で相互に独立して形成される。エアシリンダ機構30を作動させて可動支持筒22における磁石26の各々及び強磁性部材27の各々を、磁石26の各々の1ピッチだけ回動させて非制動位置に位置付けると、図7に示すように、可動支持筒22の磁石26及び強磁性部材27の各々と、静止支持筒20の磁石26及び強磁性部材27の各々とは相互に異極同士が並列して位置付けられる。その結果、可動支持筒22と静止支持筒20との間で相互に並列された磁石26の各々及び強磁性部材27の各々と、外周壁12の強磁性部材28の各々との間で磁気回路が形成され、制動ドラム7との間は磁気的に遮断されるので、制動ドラム7に対する制動は解除される。図6及び図7に示す実施形態においては、上記したように、静止支持筒20及び可動支持筒22に配設された磁石26の磁極面の向きが相違するのみで、その他の構成は図1〜図5を参照して説明した渦電流式減速装置の実施形態と実質上同一であるので、実質上同一の作用効果が達成される。
【0023】
図8には、図1〜図5を参照して説明した渦電流式減速装置の実施形態において、ケース10内に可動支持筒22のみを配設し、静止支持筒20を排除した形態の、渦電流式減速装置の他の実施形態が示されている。可動支持筒22には、磁石26の各々及び強磁性部材27の各々が、上記実施形態と実質上同一の形態で配設されている(図2参照)。ケース10の外周壁12には、周方向に間隔をおいて複数の強磁性部材28が一体に配設されている。強磁性部材28の各々は外周壁12の一部により周方向に仕切られている。強磁性部材28の各々は、可動支持筒22に配設された強磁性部材27の各々に対応して外周壁12に配設されている。したがって、外周壁12の強磁性部材28の各々は、可動支持筒22に配設された強磁性部材27の各々の対向面27aにほぼ全面的に面する内側対向面28aと、制動ドラム7の内周面に面する外側対向面28bとを有している(図2参照)。その他の構成は上記実施形態と実質上同一であるので説明は省略する。
【0024】
図8に示す渦電流式減速装置を作動させて制動を作動させる場合には、上記実施形態と同様にエアシリンダ機構30を作動させて、可動支持筒22における磁石26の各々及び強磁性部材27の各々を、後述する非制動位置から、一体に一方向に磁石26の各々の1/4ピッチだけ回動させて制動位置に位置付ける(図2参照)。これにより、可動支持筒22における強磁性部材27の各々の対向面27aは、外周壁12の、対応する強磁性部材28の内側対向面28aに面するよう位置付けられる。その結果、可動支持筒22における磁石26の各々及び強磁性部材27の各々と制動ドラム7との間に、それぞれ外周壁12の強磁性部材28の各々を介して磁気回路が形成されるので、制動ドラム7に対する制動が作動させられる(図2参照)。
【0025】
制動を解除させて制動をOFFに切り換える場合には、エアシリンダ機構30を作動させて可動支持筒22における磁石26の各々及び強磁性部材27の各々を、上記制動位置から、逆方向に磁石26の各々の1/4ピッチだけ回動させて非制動位置に位置付ける(図9参照)。これにより、可動支持筒22における磁石26の各々は、外周壁12の、対応する強磁性部材28に面して位置付けられ、また可動支持筒22における強磁性部材27の各々は、外周壁12の、対応する、強磁性部材28の各々を周方向に仕切る一部、に面して位置付けられる。その結果、図9に示すように、磁石26の各々及び磁石26の各々を周方向に挟む一対の強磁性部材27の各々と磁石26の各々に面する外周壁12の強磁性部材28の各々との間、及び可動支持筒22において周方向に磁石26の各々を介在することなく相互に対向する強磁性部材27の各々とそれらの間の可動支持筒22の周方向の一部の各々に面して位置する外周壁12の強磁性部材28の各々との間に、磁気回路が形成され、制動ドラム7との間は磁気的に遮断されるので、制動ドラム7に対する制動は解除される。上記説明から明らかなように、図8に示す渦電流式減速装置は、図1〜図5を参照して説明した先の実施形態よりも構成が簡単で低コストで製造可能であり、しかも、同実施形態と実質上同じ特徴を有する構成を備えているので、実質上同一の作用効果が達成される。ただし、先の実施形態の方が使用される磁石26の数が多いので、得られる制動力は先の実施形態の方が強力であるといえる。
【0026】
図10及び図11には、主として図8及び図9を参照して説明した渦電流式減速装置の他の実施形態が示されている。この実施形態において、ケース10の内周壁14は先の実施形態と同様に非磁性体から構成されている。そして内周壁14には、磁石26の各々と同じピッチで周方向に間隔をおいて磁石26の各々と同数の強磁性部材39が配設されている。強磁性部材39の各々の周方向長さは、磁石26の周方向長さと同一またはそれ以上に規定されている。その他の構成は、図8及び図9を参照して説明した渦電流式減速装置の実施形態と実質上同一であり、説明は省略する。
【0027】
制動をON−OFFする場合には、エアシリンダ機構30を作動させて、可動支持筒22における磁石26の各々及び強磁性部材27の各々を、磁石26の各々の1/4ピッチだけ正逆回動させることにより制動位置と非制動位置とに選択的に位置付ける。図10に示す制動ONの状態においては、先に述べたと同様に、可動支持筒22における磁石26の各々及び強磁性部材27の各々と制動ドラム7との間に、それぞれ外周壁12の強磁性部材28の各々を介して磁気回路が形成されるので、制動ドラム7に対する制動が作動させられる。この制動状態で、強磁性部材39の各々は、磁石26の各々の周方向の一方側に配置されている強磁性部材27の各々に面して相対的に位置付けられるよう配置されているので、上記磁気回路の形成を妨げることはない。制動OFFの状態においては、図11に示すように、可動支持筒22における磁石26の各々及び強磁性部材27の各々は、先に述べた図9に示す位置と実質上同じ位置に位置付けられる。また強磁性部材39の各々は、磁石26の各々に面して相対的に位置付けられる。その結果、図11に示すように、磁石26の各々及び磁石26の各々を周方向に挟む一対の強磁性部材27の各々と磁石26の各々に面する外周壁12の強磁性部材28の各々との間に磁気回路が形成されることに加えて、更に、磁石26の各々及び磁石26の各々を周方向に挟む一対の強磁性部材27の各々と磁石26の各々に面する内周壁14の強磁性部材39の各々との間にも磁気回路が形成されるので、非制動時における磁束洩れを効果的に防止することができる。上記説明から明らかなように、図10及び図11に示す渦電流式減速装置は、図8及び図9を参照して説明した先の実施形態と同様に、図1〜図5を参照して説明した先の実施形態と実質上同じ特徴を有する構成を備えているので、実質上同一の作用効果が達成される。
【0028】
図12及び図13には、主として図8及び図9を参照して説明した渦電流式減速装置の更に他の実施形態が示されている。この実施形態において、外周壁12には、先の実施形態と相違する形態で、周方向に間隔をおいて複数の強磁性部材40が配設されている。強磁性部材40の各々は、可動支持筒22においてそれぞれ磁石26を介さないで周方向に間隔をおいて対向する強磁性部材27の各々に対応してその一方から他方にわたって周方向に延在するよう配設される(図12参照)。強磁性部材40の各々は、上記強磁性部材27の各々の対向面27aに面する内側対向面40aと、制動ドラム7の内周面に面する外側対向面40bとを備えている。可動支持筒22における磁石26及び強磁性部材27の各々の形態は、図8及び図9を参照して説明した先の実施形態と実質上同一である。外周壁12の強磁性部材40の周方向長さは、磁石26の各々間の周方向間隔(周方向長さ)に相当する。なおここでの周方向長さも、先に述べたと同様に、可動支持筒22の外周面、外周壁12の内周面における長さを意味するものである。磁石26の各々は、相互に周方向に間隔をおいて対向する磁極面の極性が同極(N−N及びS−S)となるように配列されている。その他の構成は図8及び図9を参照して説明した渦電流式減速装置の実施形態と実質上同一であり、説明は省略する。
【0029】
制動をON−OFFする場合には、エアシリンダ機構30を作動させて、可動支持筒22における磁石26の各々及び強磁性部材27の各々を、磁石26の各々の半ピッチだけ正逆回動させることにより制動位置と非制動位置とに選択的に位置付ける。図12に示す制動ONの状態においては、強磁性部材40の各々の内側対向面40aは、可動支持筒22においてそれぞれ磁石26を介さないで周方向に間隔をおいて対向する強磁性部材27の各々の対向面27aに面してその一方から他方にわたって周方向に延在するよう相対的に位置付けられる(図12参照)。この制動状態において、可動支持筒22における磁石26の各々及び磁石26の各々を周方向に挟んで位置する一対の強磁性部材27の各々と、一対の強磁性部材27の各々に対向する外周壁12の強磁性部材40の各々における周方向の端部と、制動ドラム7との間に磁気回路がそれぞれ独立して形成されるので、制動ドラム7に対する制動が作動させられる。制動OFFの状態においては、図13に示すように、可動支持筒22における磁石26の各々及び磁石26の各々を周方向に挟む一対の強磁性部材27の各々と、外周壁12の強磁性部材40の各々とが周方向の同位置において相互に対向するよう位置付けられる(図13参照)。その結果、磁石26の各々及び磁石26の各々を周方向に挟む一対の強磁性部材27の各々と、これらに対向する強磁性部材40の各々との間に磁気回路が形成されるので、制動ドラム7との間は磁気的に遮断され、制動ドラム7に対する制動が解除される。上記説明から明らかなように、図12及び図13に示す渦電流式減速装置は、図8及び図9を参照して説明した先の実施形態と同様に、図1〜図5を参照して説明した先の実施形態と実質上同じ特徴を有する構成を備えているので、実質上同一の作用効果が達成される。
【0030】
図14及び図15には、図12及び図13を参照して説明した渦電流式減速装置の更に他の実施形態が示されている。この実施形態は、図12及び図13を参照して説明した渦電流式減速装置における、可動支持筒22の強磁性部材27の各々を周方向に一体に連続させたような形態をなし、その他の構成は実質上同一である。可動支持筒22の外周面には、周方向両端に磁極面を有する複数の磁石26が周方向に等間隔をおいて配設されている。可動支持筒22の外周面にはまた、複数の強磁性部材42が、磁石26の各々間に各磁極面に密着して配設されている。したがって磁石26の各々は強磁性部材42の各々によって相互に周方向に仕切られている。磁石26及び強磁性部材42の各々の肉厚はそれぞれ実質上同一に規定され、可動支持筒22の外周面の全周を覆うよう配設されている(各々の外周面はほぼ同一面上に位置付けられている)。強磁性部材42の各々は、外周壁12の内周面に近接して面する対向面42aを有している。外周壁12の強磁性部材40の各々は、可動支持筒22の強磁性部材42の各々に対し、周方向長さが短く規定されると共に各々の周方向中央部に配置されかつ各々の外周面である対向面42aに面する内側対向面40aと、制動ドラム7の内周面に面する外側対向面40aとを有している(図14参照)。
【0031】
制動をON−OFFする場合には、エアシリンダ機構30を作動させて、可動支持筒22における磁石26の各々及び強磁性部材27の各々を、磁石26の各々の半ピッチだけ正逆回動させることにより制動位置と非制動位置とに選択的に位置付ける。図14に示す制動ONの状態においては、外周壁12の強磁性部材40の各々は、可動支持筒22の強磁性部材42の各々に対し、周方向中央部に位置付けられる。強磁性部材40の各々の内側対向面40aは強磁性部材42の各々の対向面42aに面して位置付けられる。可動支持筒22における磁石26の各々は、外周壁12の、強磁性部材40の各々を周方向に仕切る一部の周方向中央部に位置付けられる。この制動状態において、可動支持筒22における磁石26の各々及び磁石26の各々を周方向に挟んで位置する強磁性部材42の各々における周方向の端部と、強磁性部材42の各々に対向する外周壁12の強磁性部材40の各々における周方向の端部と、制動ドラム7との間に磁気回路がそれぞれ独立して形成されるので、制動ドラム7に対する制動が作動させられる。制動OFFの状態においては、図15に示すように、可動支持筒22における磁石26の各々及び磁石26の各々を周方向に挟んで位置する強磁性部材42の各々における周方向の端部と、外周壁12の強磁性部材40の各々とが相互に対向するよう位置付けられ、それらの間に磁気回路が相互に独立して形成されるので、制動ドラム7との間は磁気的に遮断され、制動ドラム7に対する制動が解除される。上記説明から明らかなように、図14及び図15に示す渦電流式減速装置は、図8及び図9を参照して説明した先の実施形態と同様に、図1〜図5を参照して説明した先の実施形態と実質上同じ特徴を有する構成を備えているので、実質上同一の作用効果が達成される。
【0032】
図1〜図15に示す渦電流式減速装置において、制動と非制動との切換は、ケース10内に配置された可動支持筒22を周方向に正逆回動させることにより、制動と非制動との切換を行なうよう構成されているが、これに代えて、磁石26の支持筒を後述するエアシリンダ機構70により軸方向に往復移動させることにより行なうよう構成する他の実施形態もある。図16を参照して、制動ドラム7の内側(環状空間の内側)には、中空円環状のケース50が同軸に配設されている。図示しないミッションケースに装着されたケース50は、全体がほぼ円筒形状をなす外周壁52と、外周壁52よりも小径の内周壁54と、外周壁52及び内周壁54の軸方向両端においてそれらを連結するように配設された円環状の端壁56及び58とから構成されている。ケース50の軸方向のほぼ半分は制動ドラム7の内側に配置されている。
【0033】
ケース50における外周壁52の、制動ドラム7の軸方向の外側に位置付けられた軸方向の一部分である外側部分52aと、外側部分52aの軸方向の一端から半径方向内側に延びる端壁56と、端壁56の半径方向内端から軸方向の他端に向かって制動ドラム7の内側に延びる内周壁54とは、縦断面において、水平方向に向けられたほぼチャンネル形状(外周壁52の外側部分52aよりも内周壁54の方がほぼ倍ほど長いので長さ違いのチャンネル形状)をなすよう、例えばアルミニウムなどの非磁性体から一体に形成されている。また、外周壁52の、制動ドラム7の内側において制動ドラム7の内周面に近接して位置付けられた内側近接部分52bを含む軸方向の他の部分と、該他の部分の軸方向の一端から半径方向内側に延びる端壁58とは、縦断面がほぼ逆L形状をなすよう、例えばアルミニウムなどの非磁性体から一体に形成されている。ケース50はこれら二つの環状部材から構成されている。外周壁52の外側部分52aは、内側近接部分52bを含む他の部分よりも肉厚に形成されている。外周壁52の、内側近接部分52bを含む他の部分の軸方向の他端であって、制動ドラム7の開放端に対し軸方向の外側において近接した他端には、半径方向外方に延びる環状のフランジ部52cが形成されている。ケース50における内周壁54の、制動ドラム7の内側に位置する軸方向の他端には、半径方向内方に延びる環状のフランジ部52dが形成されている。ケース50を構成する上記二つの環状部材は、複数のボルト52e及び52fにより、上記フランジ部52c及び52dの各々を介して一体に結合されている。ケース50の円環状の中空部は、図16に示すように縦断面がほぼ矩形状をなしている。
【0034】
ケース50の中空部内には、例えばアルミニウムなどの非磁性体からなる支持筒60が軸方向移動可能に支持されている。円筒形状をなす支持筒60の外周部には、複数の磁石26及び強磁性部材27が、図1〜図5を参照して説明した渦電流式減速装置の実施形態(したがって図8及び図9を参照して説明した渦電流式減速装置の実施形態)と実質上同一の形態で配設されている。ケース50の外周壁52、更に具体的には外周壁52b(制動ドラム7の内周面に近接して位置付けられた上記内側近接部分52b)の一部には、複数の強磁性部材28が、支持筒60の磁石26の各々及び強磁性部材27の各々に対し、上記各実施形態と実質上同一の形態で配設されている。
【0035】
ケース50には、支持筒60を軸方向に往復移動させて制動と非制動との切換を行なうアクチュエータであるエアシリンダ機構70が付設されている。エアシリンダ機構70は、ケース50の端壁56の外側に装着されたシリンダ72と、シリンダ72内に摺動自在に収容されたピストン74と、ピストン74と支持筒60とを連結するピストンロッド76とを備えている。ピストンロッド76は、端壁56を貫通してピストン74からケース50の中空部内に延びるよう配設されている。
【0036】
シリンダ72内はピストン74により二つの室に区画され、一方の室(図16において左側の室)に、圧力エア供給源である図示しないエアタンクから圧力エアが供給されると、ピストン74及びピストンロッド76を介して支持筒60及び磁石26の各々が一体に図16において右方に移動させられ、磁石26の各々における磁極面の各々が対応する強磁性部材28の周方向の対向面と近接して対向する、制動位置に位置付けられる。またこの制動状態において、シリンダ72内の他方の室(図16において右側の室)に図示しないエアタンクから圧力エアが供給されると、ピストン74及びピストンロッド76を介して支持筒60及び磁石26の各々が一体に図16において左方に移動させられ、磁石26の各々における磁極面の各々が、対応する強磁性部材28から退避する、非制動位置に位置付けられる。なお、エアシリンダ機構70は周方向に等間隔をおいて複数個、例えば3個配設されることが好ましい。
【0037】
以上のように構成された渦電流式減速装置を作動させて、制動ONとする場合には、エアシリンダ機構70を作動させて支持筒60及び磁石26の各々を制動位置に位置付ける(図16において実線で示す位置参照)。制動ドラム7の内側において、支持筒60における磁石26の各々及び強磁性部材27の各々はケース50の外周壁52bにおける強磁性部材28の各々に対し、図2及び図3に示す相対位置と実質上同一の相対位置に位置付けられ、制動ドラム7に対する制動が作動させられる。制動をOFFに切り換える場合には、エアシリンダ機構70を作動させて支持筒60、磁石26の各々及び強磁性部材27の各々を非制動位置に位置付ける(図16において2点鎖線で示される位置参照)。磁石26の各々及び強磁性部材27の各々は、支持筒60と共に制動ドラム7の内側から軸方向に退避させられ、ケース50の外周壁52a(制動ドラム7の外側に位置付けられた上記外側部分52a)に包囲された位置に位置付けられる。その結果、磁石26の各々は、制動ドラム7に対し磁気を及ぼさなくなり、制動が完全に解除される。上記説明から明らかなように、図16に示す渦電流式減速装置は、図1〜図5を参照して説明した先の実施形態と実質上同じ特徴を有する構成を備えているので、実質上同一の作用効果が達成される。なお上記したように、磁石26の可動支持筒60をエアシリンダ機構70により軸方向に往復移動させることにより制動と非制動との切換を行なう構成は、図12及び図13に示す実施形態及び図14及び図15に示す実施形態においても適用可能である。
【0038】
なお、ケース50は実施形態に示すように、その全体を非磁性体により形成することが磁気洩れを防止する観点では最も好ましいが、少なくとも、制動ドラム7の内側(その近傍も含む)において磁石26の各々に臨む部分(換言すれば、覆う部分もしくは比較的接近した部分)を非磁性体により構成する実施形態も可能である。具体的には、上記実施形態において、少なくも、外周壁52a、それに続く端壁58及び内周壁54における、制動ドラム7の内側に位置する部分を非磁性体により構成する実施形態を挙げることができる。この実施形態によっても、磁気洩れを防止することは十分可能である。更にはまた、ケース50の、少なくとも、制動ドラム7の内側に配置された上記外周壁52b及びそれに続く端壁58を非磁性体により構成することにより同様な効果を得ることは十分可能である。この実施形態においては、内周壁54が強磁性体により構成される場合を含んでいるが、支持筒60の肉厚を十分厚く形成することにより、磁気洩れを十分確実に防止することができる。またいずれの実施形態においても、ケース50の、制動ドラム7の内側(その近傍も含む)において磁石26の各々に臨む部分以外の部分(上記実施形態においては、外周壁52a、それに続く端壁56、内周壁54の制動ドラム7の内側に位置する部分)を強磁性体により形成しても、磁気洩れを防ぐことは十分可能である。したがって、本発明においては、上記ケース50の、少なくとも、制動ドラム7の内側に配置された上記外周壁52b及びそれに続く端壁58を非磁性体により構成することにより、磁気洩れを効果的に防止し、その結果、制動時においては制動トルクの増大に寄与し、非制動実施形態においては制動ドラム7における引きずりトルクの発生を確実に防止するものである。
【0039】
以上、本発明を実施形態に基づいて添付図面を参照しながら詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく、更に他の種々の変形あるいは修正が可能である。例えば、図8及び図9に示す実施形態、図10及び図11に示す実施形態において、磁石26の各々は、相互に周方向に間隔をおいて対向する磁極面の極性が異極(N−S)となるように配列されているが、同極(N−N及びS−S)となるように配列する実施形態も成立する。また、上記実施形態においては、磁石26の各々は永久磁石により形成されているが、これに代えて電磁石を使用する実施形態もある(図10及び図11に示す実施形態は除く)。電磁石は周知のとおりコイルと鉄心の組合せ体であるため、電磁石を上記実施形態において磁石26に置き換えて使用する場合には、電磁石の各々は上記した制動位置に常時固定され、制動(ON)と非制動(OFF)との切り換えは、電磁石の各々を励磁するか又は非励磁とするか、により行なわれる。したがって磁石26の各々を電磁石に置き換えて使用する実施形態においては、支持筒は全て固定され、支持筒を正逆回動させるためのエアシリンダ機構30あるいは支持筒を軸方向に往復移動させるためのエアシリンダ機構70は不要となる。
【0040】
【発明の効果】
本発明による渦電流式減速装置によれば、磁石側と制動ドラムとの間のエアギャップを少なくすることを可能にし、その結果、制動トルクを増大させることができる。また、磁石と制動ドラムとの間に形成される磁束の流路の距離を短縮することを可能にし、その結果、制動トルクを増大させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による渦電流式減速装置の実施形態の要部を示す縦断面図。
【図2】図1に示す渦電流式減速装置の制動状態を示す要部横断面図。
【図3】図2に示すケースの内部の一部を展開して概略的に示す上面図。
【図4】図1に示す渦電流式減速装置の非制動状態を示す要部横断面図。
【図5】図4に示すケースの内部の一部を展開して概略的に示す上面図。
【図6】本発明による渦電流式減速装置の他の実施形態の要部を示す横断面図であって、制動状態を示す図。
【図7】図6に示す渦電流式減速装置の一部を省略して示す斜視概略図。
【図8】本発明による渦電流式減速装置の更に他の実施形態の要部を示す縦断面図。
【図9】図8に示す渦電流式減速装置の非制動状態を示す要部横断面図。
【図10】本発明による渦電流式減速装置の更に他の実施形態の要部を示す横断面図であって、制動状態を示す図。
【図11】図10に示す渦電流式減速装置の非制動状態を示す要部横断面図。
【図12】本発明による渦電流式減速装置の更に他の実施形態の要部を示す横断面図であって、制動状態を示す図。
【図13】図12に示す渦電流式減速装置の非制動状態を示す要部横断面図。
【図14】本発明による渦電流式減速装置の更に他の実施形態の要部を示す横断面図であって、制動状態を示す図。
【図15】図14に示す渦電流式減速装置の非制動状態を示す要部横断面図。
【図16】本発明による渦電流式減速装置の更に他の実施形態の要部を示す縦断面図。
【符号の説明】
7 制動ドラム
10、50 ケース
12、52(52a、52b) 外周壁
20 静止支持筒
22 可動支持筒
26 磁石
27、28、39、40、42 強磁性部材
30 エアシリンダ機構
60 支持筒
70 エアシリンダ機構

Claims (6)

  1. 制動ドラムと、制動ドラムの内周面に近接した外周壁を含むケースと、ケース内に支持された非磁性体からなる支持筒と、支持筒に周方向に間隔をおいて配設されかつ周方向両端に磁極面を有する複数の磁石と、磁石の各々に対し、各磁極面にそれぞれ密着してかつ上記外周壁の内周面に面する対向面を有するよう支持筒に配設された一対の強磁性部材と、支持筒の強磁性部材の各々に対応して上記外周壁に配設された強磁性部材とを備え、上記外周壁の強磁性部材の各々は、支持筒の強磁性部材の各々の対向面に面する内側対向面と、制動ドラムの内周面に面する外側対向面とを有し、ケースは非磁性体からなる内周壁を有し、磁石の各々は永久磁石から構成され、内周壁には磁石の各々と同じピッチで周方向に間隔をおいて磁石の各々と同数の強磁性部材が配設され、該強磁性部材の各々の周方向長さは磁石の周方向長さと同一以上に規定され、支持筒はケースに正逆回動可能に支持され、支持筒を正逆回動させて制動と非制動との切換を行なうアクチュエータを備えている、ことを特徴とする渦電流式減速装置。
  2. 制動ドラムと、制動ドラムの内周面に近接した外周壁を含むケースと、ケース内に支持された非磁性体からなる支持筒と、支持筒に周方向に間隔をおいて配設されかつ周方向両端に磁極面を有する複数の磁石と、磁石の各々に対し、各磁極面にそれぞれ密着してかつ上記外周壁の内周面に面する対向面を有するよう支持筒に配設された一対の強磁性部材と、上記外周壁に周方向に間隔をおいて配設された複数の強磁性部材とを備え、上記外周壁の強磁性部材の各々は、支持筒においてそれぞれ磁石を介さないで周方向に間隔をおいて対向する強磁性部材の各々に対応してその一方から他方にわたって周方向に延在するよう配設されると共に該強磁性部材の各々の対向面に面する内側対向面と、制動ドラムの内周面に面する外側対向面とを有する、ことを特徴とする渦電流式減速装置。
  3. 制動ドラムと、制動ドラムの内周面に近接した外周壁を含むケースと、ケース内に支持された非磁性体からなる支持筒と、支持筒の外周面に等間隔をおいて配設されかつ周方向両端に磁極面を有する複数の磁石と、磁石の各々間に各磁極面に密着して配設された強磁性部材と、上記外周壁に周方向に等間隔をおいて配設された、支持筒の強磁性部材と同数の強磁性部材とを備え、上記外周壁の強磁性部材の各々は、支持筒の強磁性部材の各々に対し、周方向長さが短く規定されると共に各々の周方向中央部に配置されかつ各々の外周面に面する内側対向面と、制動ドラムの内周面に面する外側対向面とを有する、ことを特徴とする渦電流式減速装置。
  4. 磁石の各々は永久磁石から構成され、支持筒はケース内に軸方向移動可能に支持され、支持筒を軸方向に往復移動させて制動と非制動との切換を行なうアクチュエータを備えている、請求項3、5又は6のいずれか1項に記載の渦電流式減速装置。
  5. 磁石の各々は永久磁石から構成され、支持筒はケース内に正逆回動可能に支持され、支持筒を正逆回動させて制動と非制動との切換を行なうアクチュエータを備えている、請求項2又は3に記載の渦電流式減速装置。
  6. 磁石の各々は電磁石から構成され、電磁石を励磁又は非励磁させて制動と非制動との切換を行なう、請求項2又は3に記載の渦電流式減速装置。
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