JP3882402B2 - 渦電流式減速装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両、特にトラック等の大型車両のメインブレーキであるフットブレーキを補助するために適用される渦電流式減速装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
本出願人であるいすゞ自動車株式会社が先に開発し、そして同社から出願された特願平9−172910号明細書に開示された渦電流式減速装置は、回転軸に連結された制動ドラムと、制動ドラムの内側に同軸に配設された環状のケースとを備えている。ケースは、制動ドラムの内周面に近接した外周壁を備えている。ケース内には強磁性体からなる支持筒が軸方向移動可能に支持されている。支持筒には周方向に等間隔おいて複数の永久磁石が支持されている。磁石の各々は、半径方向両端に磁極面を有すると共に周方向に交互に異極となるよう配設されている。ケースの上記外周壁の、磁石の各々の外面を覆う部分は強磁性体の薄板から構成され、また磁石の各々間の空隙を覆う部分は非磁性体の薄板から構成されている。支持筒は、アクチュエータによって、磁石の各々における磁極面の片面(半径方向外側面)が薄板の対応する強磁性体と対向する制動位置と、制動ドラムの内側から軸方向外側に退避する非制動位置とに軸方向に往復移動させられる。制動時には、磁石、強磁性体、制動ドラム、前記強磁性体と周方向に隣接する他の強磁性体、前記磁石と周方向に隣接する他の磁石及び支持筒の間に磁気回路が形成され、制動ドラムに渦電流に基づく制動トルクが発生する。非制動時には、磁石の各々の磁界は制動ドラムに及ばなくなり、制動が解除される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記渦電流式減速装置においては、磁石の各々の磁極が半径方向に向けられており、したがって、磁極の片面(半径方向外側面)が制動ドラムの内周面に薄板からなる強磁性体を介して対向し、他面(半径方向内側面)が支持筒に密着するよう位置付けられるので、制動時における磁気回路が支持筒を迂回し、磁石と制動ドラム内周面との間の磁束の流れは磁石の片面側だけであるので、磁束の量が少なくなっている。このため、車両(自動車)においては、低速域(一般には10〜40km/h)における渦電流の発生量が少なく、十分な制動トルクが得られない。低速域での制動トルクをアップするためには、磁石の周方向長さを大きくしなければならなかった。すなわち磁石の体積を大きくしなければ制動トルクをアップさせることができなかった。
【0004】
本発明は上記事実に基づいてなされたものであり、その目的は、従来と同じ体積の磁石を使用して従来よりも大きな制動トルクが得られる、新規な渦電流式減速装置を提供することである。
【0005】
本発明の他の目的は、従来と同じ体積の磁石を使用して自動車の低速域における制動トルクを従来よりも増大させることができる、新規な渦電流式減速装置を提供することである。
【0006】
本発明の更に他の目的は、磁石側に設けられた強磁性部材の、制動ドラムの内周面に対向する先端部における磁束密度を高めることを可能にし、その結果、制動トルクを増大させることができる、新規な渦電流式減速装置を提供することである。
【0007】
本発明のその他の目的及び特徴は、本発明に従って構成された渦電流式減速装置の実施形態について添付図面を参照して詳細に説明する後の記載から明らかになるであろう。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の一局面によれば、制動ドラムと、制動ドラムの内周面に近接した外周壁を含むケースと、ケース内に支持された非磁性体からなる支持筒と、支持筒の外周部に周方向に間隔をおいて配設されかつ周方向両端に磁極面を有する複数の磁石と、磁石の各々の磁極面にそれぞれ実質上密着して支持筒の外周面に配設された複数の強磁性部材とを備え、強磁性部材の各々には、各々の基部から磁石よりも半径方向外側に延び出す突出部が形成され、突出部の各々の先端の周方向幅は上記基部の先端部における周方向幅よりも狭く形成され、磁石の各々は周方向に対向する磁極面が相互に同極となるように配設され、磁石の各々を周方向に挟んで位置する強磁性部材の各々の上記基部の先端であって、対応する磁石を周方向に挟んだ部位には、該磁石の先端面と実質上同じ半径方向レベルを有する取付面が形成され、強磁性部材の各々及び該磁石は、取付面の各々に跨がって配置された非磁性体からなる取付部材を介してボルトにより支持筒に装着される、ことを特徴とする渦電流式減速装置、が提供される。
【0009】
本発明の他の局面によれば、制動ドラムと、制動ドラムの内周面に近接した外周壁を含むケースと、ケース内に支持された非磁性体からなる支持筒と、支持筒の外周部に周方向に間隔をおいて配設されかつ周方向両端に磁極面を有する複数の磁石と、磁石の各々の磁極面にそれぞれ実質上密着して支持筒の外周面に配設された複数の強磁性部材とを備え、磁石の各々及び強磁性部材の各々は、支持筒の全周にわたって交互に周方向に実質上密着して配設され、かつ磁石の各々は制動ドラムの軸方向から見て細長い実質上矩形状をなすと共に長手方向が半径方向に向けられて配置され、磁石の各々は周方向に対向する磁極面が相互に同極となるように配設され、強磁性部材の各々は磁石の各々よりも半径方向外側に延び出すよう構成され、磁石の各々を周方向に挟んで位置する強磁性部材の各々の上記基部の先端であって、対応する磁石を周方向に挟んだ部位には、該磁石の先端面と実質上同じ半径方向レベルを有する取付面が形成され、強磁性部材の各々及び該磁石は、取付面の各々に跨がって配置された非磁性体からなる取付部材を介してボルトにより支持筒に装着される、ことを特徴とする渦電流式減速装置、が提供される。
【0010】
本発明の他の局面によれば、制動ドラムと、制動ドラムの内周面に近接した外周壁を含むケースと、ケース内に軸方向に並列して支持された非磁性体からなる支持筒と、支持筒の各々の外周部に周方向に間隔をおいて配設されかつ周方向両端に磁極面を有すると共に支持筒の各々間で並列される複数の磁石と、磁石の各々の磁極面にそれぞれ実質上密着して支持筒の各々に配設されると共に支持筒の各々間で並列される一対の強磁性部材とを備え、支持筒の各々における強磁性部材の各々には、各々の基部から磁石よりも半径方向外側に延び出す突出部が形成され、突出部の各々の先端の周方向幅は上記基部の先端部における周方向幅よりも狭く形成され、磁石の各々は周方向に対向する磁極面が相互に同極となるように配設され、磁石の各々を周方向に挟んで位置する強磁性部材の各々の上記基部の先端であって、対応する磁石を周方向に挟んだ部位には、該磁石の先端面と実質上同じ半径方向レベルを有する取付面が形成され、強磁性部材の各々及び該磁石は、取付面の各々に跨がって配置された非磁性体からなる取付部材を介してボルトにより支持筒に装着される、ことを特徴とする渦電流式減速装置が、提供される。
本発明の他の局面によれば、制動ドラムと、制動ドラムの内周面に近接した外周壁を含むケースと、ケース内に支持された非磁性体からなる支持筒と、支持筒の外周部に周方向に間隔をおいて配設されかつ周方向両端に磁極面を有する複数の磁石と、磁石の各々の磁極面にそれぞれ実質上密着して支持筒の外周面に配設された複数の強磁性部材とを備え、強磁性部材の各々には、各々の基部から磁石よりも半径方向外側に延び出す突出部が形成され、突出部の各々の先端の周方向幅は上記基部の先端部における周方向幅よりも狭く形成され、磁石と該磁石を周方向に挟んで位置する一対の強磁性部材の組が、周方向に間隔をおいて配設され、磁石の各々は周方向に対向する磁極面が相互に同極となるように配設される、ことを特徴とする渦電流式減速装置が、提供される。
本発明の他の局面によれば、制動ドラムと、制動ドラムの内周面に近接した外周壁を含むケースと、ケース内に軸方向に並列して支持された非磁性体からなる支持筒と、支持筒の各々の外周部に周方向に間隔をおいて配設されかつ周方向両端に磁極面を有すると共に支持筒の各々間で並列される複数の磁石と、磁石の各々の磁極面にそれぞれ実質上密着して支持筒の各々に配設されると共に支持筒の各々間で並列される一対の強磁性部材とを備え、支持筒の各々における強磁性部材の各々には、各々の基部から磁石よりも半径方向外側に延び出す突出部が形成され、突出部の各々の先端の周方向幅は上記基部の先端部における周方向幅よりも狭く形成され、磁石と該磁石を周方向に挟んで位置する一対の強磁性部材の組が、周方向に間隔をおいて配設され、磁石の各々は周方向に対向する磁極面が相互に同極となるように配設される、ことを特徴とする渦電流式減速装置が、提供される。
本発明の他の局面によれば、制動ドラムと、制動ドラムの内周面に近接した外周壁を含むケースと、ケース内に支持された非磁性体からなる支持筒と、支持筒の外周部に周方向に間隔をおいて配設されかつ周方向両端に磁極面を有する複数の磁石と、磁石の各々の磁極面にそれぞれ実質上密着して支持筒の外周面に配設された複数の強磁性部材とを備え、強磁性部材の各々には、各々の基部から磁石よりも半径方向外側に延び出す突出部が形成され、突出部の各々の先端の周方向幅は上記基部の先端部における周方向幅よりも狭く形成され、磁石の各々は周方向に対向する磁極面が相互に同極となるように配設され、支持筒の軸方向両端には非磁性体からなる環状のサイドプレートが離脱自在に配設され、支持筒の外周面とサイドプレートの各々とによって断面がチャンネル形状をなす環状の溝が形成され、支持筒における磁石の各々及び強磁性部材の各々の半径方向内側の部位は溝内に嵌合保持される、ことを特徴とする渦電流式減速装置が、提供される。
本発明の他の局面によれば、制動ドラムと、制動ドラムの内周面に近接した外周壁を含むケースと、ケース内に支持された非磁性体からなる支持筒と、支持筒の外周部に周方向に間隔をおいて配設されかつ周方向両端に磁極面を有する複数の磁石と、磁石の各々の磁極面にそれぞれ実質上密着して支持筒の外周面に配設された複数の強磁性部材とを備え、磁石の各々及び強磁性部材の各々は、支持筒の全周にわたって交互に周方向に実質上密着して配設され、かつ磁石の各々は制動ドラムの軸方向から見て細長い実質上矩形状をなすと 共に長手方向が半径方向に向けられて配置され、磁石の各々は周方向に対向する磁極面が相互に同極となるように配設され、強磁性部材の各々は磁石の各々よりも半径方向外側に延び出すよう構成され、支持筒の軸方向両端には非磁性体からなる環状のサイドプレートが離脱自在に配設され、支持筒の外周面とサイドプレートの各々とによって断面がチャンネル形状をなす環状の溝が形成され、支持筒における磁石の各々及び強磁性部材の各々の半径方向内側の部位は溝内に嵌合保持される、ことを特徴とする渦電流式減速装置が、提供される。
本発明の他の局面によれば、制動ドラムと、制動ドラムの内周面に近接した外周壁を含むケースと、ケース内に軸方向に並列して支持された非磁性体からなる支持筒と、支持筒の各々の外周部に周方向に間隔をおいて配設されかつ周方向両端に磁極面を有すると共に支持筒の各々間で並列される複数の磁石と、磁石の各々の磁極面にそれぞれ実質上密着して支持筒の各々に配設されると共に支持筒の各々間で並列される一対の強磁性部材とを備え、支持筒の各々における強磁性部材の各々には、各々の基部から磁石よりも半径方向外側に延び出す突出部が形成され、突出部の各々の先端の周方向幅は上記基部の先端部における周方向幅よりも狭く形成され、磁石の各々は周方向に対向する磁極面が相互に同極となるように配設され、支持筒の軸方向両端には非磁性体からなる環状のサイドプレートが離脱自在に配設され、支持筒の外周面とサイドプレートの各々とによって断面がチャンネル形状をなす環状の溝が形成され、支持筒における磁石の各々及び強磁性部材の各々の半径方向内側の部位は溝内に嵌合保持される、ことを特徴とする渦電流式減速装置が、提供される。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適実施形態を添付図面を参照して更に詳細に説明する。なお、図1〜図16において実質上同一部分は同一符号で示されている。図1を参照して、図示しないトラックにおけるトランスミッションの出力軸(回転軸)2には、半径方向外方に延びるフランジ部4が取り付けられている。フランジ部4には、パーキングブレーキ用の制動ドラム6と、渦電流式減速装置用のロータである制動ドラム7とが複数のボルト8により共締めされている。以上の構成により制動ドラム7は出力軸2に連結される。制動ドラム7は鉄などの透磁率の大なる強磁性体から形成されている。制動ドラム7の半径方向外側及び軸方向の外側には複数の冷却フィン9が一体に設けられている。制動ドラム7の内側(環状空間の内側)には、中空円環状のケース10が同軸に配設されている。図示しないミッションケースに装着されたケース10は、全体がほぼ円筒形状をなす外周壁12と、外周壁12よりも小径の内周壁14と、外周壁12及び内周壁14の軸方向両端においてそれらを連結するように配設された円環状の端壁16及び18とから構成されている。ケース10の軸方向のほぼ半分は、制動ドラム7の内側(円錐面からなる開放端を除く内周面の内側)に配置されている。ケース10は、全体が例えばアルミニウムなどの非磁性体から構成されている。
【0012】
ケース10における外周壁12の、制動ドラム7の軸方向の外側に位置付けられた軸方向の一部分である外側部分12aと、外側部分12aの軸方向の一端から半径方向内側に延びる端壁16と、端壁16の半径方向内端から軸方向の他端に向かって制動ドラム7の内側まで延びる内周壁14とは、縦断面において、水平方向に向けられたほぼチャンネル形状(外周壁12の外側部分12aよりも内周壁14の方がほぼ倍ほど長いので長さ違いのチャンネル形状)をなすよう、例えばアルミニウムなどの非磁性体から一体に形成されている。また、外周壁12の、制動ドラム7の内側において制動ドラム7の内周面に近接して位置付けられた内側近接部分12bを含む軸方向の他の部分は、例えばアルミニウムなどの非磁性体からなる薄板から筒状体をなすように一体に形成されている(逆にこの部分を、鉄などの強磁性体からなる薄板により形成する実施形態も成立する)。半径方向に延在する端壁18はアルミニウムなどの非磁性体からなるリング形状に形成されている。ケース10はこれら三つの環状部材から構成されている。外周壁12の外側部分12aは制動ドラム7とほぼ同じ肉厚に形成されている。制動ドラム7の軸方向の開放端及び外周壁12の外側部分12aの軸方向の開放端は、それぞれ相互に間隔をおいて対向する円錐面をなしている。外周壁12の、薄板からなる内側近接部分12bの軸方向の一端部には内側近接部分12aの円錐面に整合する傾斜部12cが形成され、軸方向の他端には、半径方向内側に延びるフランジ部12dが形成されている。ケース10における内周壁14の、制動ドラム7の内側に位置する軸方向の他端には、半径方向内方に延びる環状のフランジ部12eが形成されている。端壁18は内周壁14にフランジ部12eを介してボルト12fにより結合され、外周壁12の、内側近接部分12bを含む軸方向の他の部分は、その傾斜部12cを外側部分12aの円錐面にボルト12gにより締結することにより外側部分12aに結合されると共に、そのフランジ部12dを端壁18の外周縁部の外側にボルト12hにより締結することにより端壁18に結合される。ケース10の円環状の中空部は、図1に示すように縦断面がほぼ矩形状をなしている。
【0013】
図1及び図2を参照して、ケース10の中空部内には、例えばアルミニウムなどの非磁性体からなる支持筒20が軸方向移動可能に支持されている。円筒形状をなす支持筒20の外周部には、断面がチャンネル形状をなす環状の溝20aが設けられている。支持筒20の溝20a内には、複数の磁石22及び強磁性部材24が、溝20aの全周にわたって交互に周方向に実質上密着して配設されている。この構成により、磁石22の各々及び強磁性部材24の各々の軸方向への移動が溝20aの軸方向両側壁によって阻止され、安定した保持が確保される。磁石22及び強磁性部材24の各々の半径方向内側の部位は溝20a内に実質上密着して嵌合されている。磁石22の各々は、ほぼ直方体形状をなす永久磁石から構成され、それぞれ周方向両端に磁極面を有すると共に相互に周方向に間隔をおいて対向する磁極面の極性が同極(N−N、S−S)となるように配列されている。磁石22の各々は、図2に示すように、支持筒20の軸方向から見て(すなわち制動ドラム7の軸方向から見て)、細長い矩形状をなすと共にその長手方向が半径方向に向けられるよう配置されている。強磁性部材24の各々は、磁石22の各々の先端(半径方向外側先端)よりも半径方向外側に延び出すよう構成され、強磁性部材24の各々における半径方向外側先端の周方向幅は、隣接する磁石22の半径方向外側先端と実質上同じ半径方向部位(強磁性部材24の各々が半径方向外側に延び出す基部の先端)の周方向幅よりも短く形成される。磁石22の各々を周方向に挟んで位置する強磁性部材24の各々の、対応する磁石22を周方向に挟んだ部位であって、強磁性部材24の各々の半径方向外側先端よりも半径方向内側の部位には、磁石22の半径方向外側先端面と実質上同じ半径方向レベルを有する取付面がそれぞれ形成されている。
【0014】
更に具体的に説明すると、強磁性部材24の各々は、図2に示すように、支持筒20の軸方向から見て、ほぼ矩形状をなしかつ周方向の両端が磁石22に密着される基部(磁石22の上記先端から半径方向外側へ突出しない部分である基部)24aと、基部24aの先端(半径方向外側先端)における周方向の中央部から半径方向外側に延び出すよう形成された突出部24bとからなる。突出部24bの各々は、上記軸方向から見て、基部24aの上記先端から延び出すにしたがって相互に近付くよう傾斜した周方向両側面と、ほぼ平坦に形成された先端面とからなり、全体としてほぼ台形状をなしている。磁石22及び強磁性部材24の各々が支持筒20の溝20a内に嵌合された状態で、強磁性部材24の各々における基部24aの周方向両端面は対応する磁石22の磁極面に実質上密着させられる。基部24aの各々の半径方向外側先端における突出部24bの周方向両側には、取付面(肩)24cが形成されている。取付面24cの各々は、基部24aの各々の上記先端を規定すると共に、隣接する磁石22の上記先端と実質上同じ半径方向レベルに位置付けられている。強磁性部材24の各々の突出部24bの半径方向外側先端の周方向幅は、隣接する磁石22の半径方向外側先端と実質上同じ半径方向レベルにおける強磁性部材24の周方向幅、したがって基部24aの半径方向外側先端部の周方向幅よりも狭く形成されている。強磁性部材24の各々及び磁石22の各々は、それぞれにおいて実質上同一の断面形状で上記軸方向にほぼ同じ長さ延在するよう形成されている。
【0015】
磁石22及び強磁性部材24の各々が支持筒20の溝20a内に嵌合された状態で、強磁性部材24の各々の取付面24cは、対応する磁石22を周方向に挟んで位置付けられる。磁石22の各々を周方向に挟む取付面24cの各々は、強磁性部材24の各々の半径方向外側先端面(突出部24bの先端面)よりも半径方向内側の位置に位置付けられると共に、磁石22の半径方向外側先端面と実質上同じ半径方向レベルを有するよう位置付けられる。磁石22の各々を周方向に挟む取付面24cの各々に跨がって取付部材26が配置され、強磁性部材24の各々及び磁石22の各々は、取付部材26を介してボルト27により支持筒20に離脱自在に装着(固着)される。この構成により、一つの磁石22と、これを周方向に挟んで位置する二つの強磁性部材24とを、一体的に半径方向外側から支持筒20に対し押さえ付ける形態で効率的に固定できる。ボルト27の各々はアルミニウム等の非磁性体からなり、各々の頭部は、強磁性部材24の各々の突出部24bの先端面よりも半径方向内側に位置付けられることが好ましい。取付部材26はステンレスあるいはアルミニウム等の非磁性体からなり、矩形状の平坦な板あるいはブロック体から構成される。なお、取付部材26の各々の周方向両端部及び強磁性部材24の各々の取付面24cには、ボルト27がそれぞれ挿入される貫通孔が半径方向に延在するよう形成され、支持筒20の溝20aの底部にはボルト27の各々が係合されるねじ孔が形成されている。これらの貫通孔及びねじ孔は同軸上に位置付けられるよう形成される。ボルト27は、強磁性部材24の各々の取付面24cについて少なくとも1個使用され、必要に応じてその数を増加すればよい。強磁性部材24の各々が磁石22と共に支持筒20に装着された状態において、強磁性部材24の各々の突出部24bの半径方向外側先端面は、薄板からなる外周壁12bを介して制動ドラム7の内周面に近接して対向させられる(上記先端面は制動ドラム7の内周面に面する対向面を規定する)。
【0016】
ケース10には、支持筒20を軸方向に往復移動させて制動と非制動との切換を行なうアクチュエータであるエアシリンダ機構30が付設されている。エアシリンダ機構30は、ケース10の端壁16の外側に装着されたシリンダ32と、シリンダ32内に摺動自在に収容されたピストン34と、ピストン34と支持筒20とを連結するピストンロッド36とを備えている。ピストンロッド36は、端壁16を貫通してピストン34からケース10の中空部内に延びるよう配設され支持筒20に連結されている。
【0017】
シリンダ32内はピストン34により二つの室に区画され、一方の室(図1において左側の室)に、圧力エア供給源である図示しないエアタンクから圧力エアが供給されると、ピストン34及びピストンロッド36を介して支持筒20、磁石22の各々及び強磁性部材24の各々が一体に図1において右方に移動させられて、制動ドラム7の内側である制動位置に位置付けられる。またこの制動状態において、シリンダ32内の他方の室(図1において右側の室)に図示しないエアタンクから圧力エアが供給されると、ピストン34及びピストンロッド36を介して支持筒20、磁石22の各々及び強磁性部材24の各々が一体に図1において左方に移動させられて、制動ドラム7の内側から退避した非制動位置に位置付けられる。なお、エアシリンダ機構30は周方向に等間隔をおいて複数個、例えば3個配設されることが好ましい。
【0018】
以上のように構成された渦電流式減速装置を作動させて、走行中のトラックに制動(補助制動)を作用させる(制動ONとする)場合には、エアシリンダ機構30を作動させて支持筒20、磁石22の各々及び強磁性部材24の各々を制動位置に位置付ける(図1において実線で示される位置及び図2参照)。制動ドラム7の内側において、磁石22の各々と、磁石22の各々を周方向に挟んで位置する強磁性部材24の各々及び制動ドラム7との間に、薄板からなる外周壁12を通過して磁気回路がそれぞれ形成されるので(図2参照)、制動ドラム7には渦電流が発生し、制動ドラム7に対する制動が作動させられる。上記したように、磁石22の各々は周方向両端に磁極面を有し、強磁性部材24の各々は、磁石22の各々の磁極面にそれぞれ実質上密着して配置されると共に、磁石22の各々よりも半径方向外側に延び出すよう構成されているので、制動時、磁石22の磁極の両面と制動ドラム7の内周面との間に強磁性部材24を介して磁気回路が形成される。すなわち、磁石22と制動ドラム7内周面との間の磁束の流れは磁石22の両面側で形成され、しかも制動時における磁気回路が従来のように支持筒20を迂回することがないので、従来に較べて磁束の量が大幅に増加し、したがって制動トルクが大幅にアップされる。その結果、従来と同じ体積の磁石22を使用して従来よりも大きな制動トルクが得られる。また、従来と同じ体積の磁石22を使用して自動車の低速域(一般には10〜40km/h)における渦電流の発生量を従来よりもアップさせることができ、したがって従来よりも大きな制動トルクが得られる。
【0019】
また、上記したように、強磁性部材24の各々には、各々の基部24aから磁石22よりも半径方向外側に延び出す突出部24bが形成され、突出部24bの各々の先端の周方向幅は上記基部24aの先端部における周方向幅よりも狭く形成されているので(いわゆる絞り形状をなすので)、上記のように制動時に磁気回路が形成された状態において、強磁性部材24の各々の半径方向外側先端部(突出部24bの先端部)に磁束を集めることができ、該先端部における磁束密度が高められる。その結果、制動トルクが増大させられる。
【0020】
制動を解除させて非制動に切り換える(制動をOFFに切り換える)場合には、エアシリンダ機構30を作動させて磁石22の各々及び強磁性部材24の各々を非制動位置に位置付ける(図1において2点鎖線で示される位置参照)。磁石22の各々及び強磁性部材24の各々は、支持筒20と一体に制動ドラム7の内側から軸方向外側に退避させられ、ケース10の外周壁12a(制動ドラム7の外側に位置付けられた上記外側部分12a)に包囲された位置に位置付けられる。その結果、磁石22の各々は、制動ドラム7に対し磁気を及ぼさなくなり、制動ドラム7には渦電流が発生しないので、制動が完全に解除される。
【0021】
上記実施形態において、磁石22の各々の磁極面と強磁性部材24の各々の対応する周方向面とが全周にわたって相互に実質上密着した状態で支持筒20の外周部に組み付けることができるのであれば、支持筒20の軸方向から見た、各々の周方向の密着面の形状はどのようなものであってもよい。例えば、1個の磁石22の周方向の両端面(磁極面)は(したがってこれを周方向に挟んで位置する強磁性部材24の各々の、磁石22の磁極面に密着させられる周方向の端面)は、支持筒20の軸方向から見て、支持筒20の軸心を通る直線とそれぞれ一致するよう形成される実施形態、あるいは支持筒20の軸方向から見て、半径方向外側に向かって互いに近付くよう傾斜して形成される実施形態(図3参照)、あるいはまた支持筒20の軸方向から見て、半径方向外側に向かって互いに離れるよう傾斜して形成される実施形態(図4参照)、等の実施形態を挙げることができる。図3に示す実施形態においては、特に磁石22が抜けにくい構成であるといえる。上記説明から明らかなように、磁石22の各々及び磁石22の各々の磁極面にそれぞれ実質上密着して配設された強磁性部材24の各々は、支持筒20の全周にわたって交互に周方向に実質上密着して配設されているが、これらの組付を容易にするため、強磁性部材24の少なくとも1個を周方向に2分割してもよい。図2の2点鎖線はこの分割ラインを示す。組立時、周方向の隙間はこの分割部に適宜のシム(強磁性体からなるシム)を圧入することで容易に調整することができる。
【0022】
更にはまた、強磁性部材24の各々及び磁石22の各々は、取付部材26を介してボルト27により半径方向外側から支持筒20に締結される形態で装着されているが、取付部材26もボルト27も使用せずに接着により装着する実施形態もある。更にはまた、取付部材26を使用せずにボルト27のみにより強磁性部材24の各々の取付面24cから支持筒20に締結する実施形態もある。このボルト27のみ使用の実施形態において、対応する取付面24cにボルト27のための座ぐりを形成し、ボルト27の頭部の頂面と取付面24cとがほぼ同一面上に位置付けられるよう構成した場合には、ボルト27を強磁性体により構成してもよい。またボルト27のみ使用の実施形態において、突出部24bの半径方向外側先端と取付面24cとの半径方向の段差を比較的大きく構成した場合(突出部24bの、基部24aの上記先端からの突出量を大きくした場合)にも、ボルト27を強磁性体により構成してもよい。ボルト27の各々を強磁性体、例えば鉄により構成した場合には非磁性体から構成する場合に較べてコストを低減することができる。
【0023】
更にはまた、強磁性部材24の各々における突出部24bは、図2に示すように、上記軸方向から見て、ほぼ台形状をなしているが、ほぼ矩形状であってもよいし、矩形状とすると共にこの矩形状の上記先端面における周方向の両角部に面取りを施した形状であってもよい。更にはまた、上記実施形態においては、支持筒20に環状の溝20aが形成され、磁石22の各々及び強磁性部材24の各々は、溝20a内に嵌合されて取付部材26を介してボルト27により締結(磁石22の各々はその半径方向外側先端が取付部材26により押さえられることにより固定)されているが、これに代えて、支持筒20に溝20aを形成することなく、リング形状をなす一対のサイドプレートを支持筒20の軸方向両端に当接させてボルトにより締結することにより支持筒20の外周面との間で環状の溝を形成し、該溝内に磁石22の各々及び強磁性部材24の各々を上記のように配置し、強磁性部材24の各々とサイドプレートの各々とをボルトにより締結する実施形態もある。
【0024】
図5には本発明による渦電流式減速装置の他の実施形態の要部が示されている。強磁性部材24の各々において、上記取付面24cは、対応する磁石22を周方向に挟んだ部位のみに形成され、突出部24bは、該磁石22に対し周方向の反対側の端部に1個だけ形成されている。強磁性部材24の各々の、磁石22と密着する周方向端に対し反対側の周方向端には、相互に密着しうる端面24dが形成されている。端面24dの各々は、対応する強磁性部材24の基部24aにおける半径方向内側の部位に形成され、支持筒20の軸方向から見て、支持筒20の軸心を通る直線と一致するよう形成されている。端面24dの各々の半径方向外側先端と対応する突出部24bの上記外側先端との間は、上記軸方向から見て、半径方向外側に向かうにしたがって強磁性部材24の周方向幅が狭くなるよう傾斜している。図5に示す渦電流式減速装置のその他の構成は、図1及び図2に示す渦電流式減速装置の実施形態と実質上同一であるので説明は省略する。図5に示す渦電流式減速装置の実施形態においては、周方向に相互に隣接する強磁性部材24の各々同士が、半径方向内側の部位に形成された端面24dの各々において密着するよう構成されているので、組付が先の実施形態よりも容易である。端面24dの各々間に隙間が生じたときには、強磁性体からなる適宜のシムを圧入することにより容易に調整することができる。
【0025】
図6には本発明による渦電流式減速装置の更に他の実施形態の要部が示されている。この実施形態において、強磁性部材24の各々の突出部24bは、上記軸方向から見て、ほぼ逆台形状をなすよう形成されている。すなわち、突出部24bの各々の上記先端の周方向幅は、各々の基部24aの上記先端における周方向幅よりも大きく形成されている。突出部24bの各々の周方向両端面は、上記軸方向から見て、半径方向外側に向かうにしたがって相互に周方向に離れてゆくように傾斜しており、かつ該両端面の各々と上記先端面との間の両角部は鋭角をなすよう構成されている。図6に示す渦電流式減速装置のその他の構成は、図1及び図2に示す渦電流式減速装置の実施形態と実質上同一であるので説明は省略する。図6に示す渦電流式減速装置の実施形態においては、強磁性部材24の各々の突出部24bの半径方向外側先端における周方向の両角部が、上記軸方向から見て、鋭角をなすよう形成されているので、突出部24bの各々の上記先端部と制動ドラム7の内周面との間の磁束の流れにおける磁気飽和が効果的に防止される。
【0026】
図7には本発明による渦電流式減速装置の更に他の実施形態の要部が示されている。この実施形態において、強磁性部材24の各々の突出部24bの周方向の両端面は、上記軸方向から見て、周方向の一方(制動ドラム7の回転方向−図7において反時計方向)に向かってほぼ平行に傾斜して延びるよう構成されている。したがって突出部24bの各々の上記先端面と周方向の端面であって上記回転方向の下流側の端面との間の角部は、上記軸方向から見て、鋭角をなすよう形成され、また突出部24bの各々の上記先端面と周方向の反対側の端面(上記回転方向の上流側の端面)との間の角部は、上記軸方向から見て、鈍角をなすよう形成されている。この構成により、突出部24bの各々の上記先端部の特に上記下流側と制動ドラム7の内周面との間の磁束の流れにおける磁気飽和が効果的に防止される。図7に示す渦電流式減速装置のその他の構成は、図1及び図2に示す渦電流式減速装置の実施形態と実質上同一であるので説明は省略する。
【0027】
図8には本発明による渦電流式減速装置の更に他の実施形態の要部が示されている。この実施形態において、強磁性部材24の各々の突出部24bは、基部24aの周方向の一端部(制動ドラム7の回転方向−図8において反時計方向の下流側端部)に形成されている。基部24a及び突出部24bは、上記軸方向から見て、ほぼ矩形状をなしている。磁石22及び強磁性部材24の各々は接着により相互にそして支持筒20に固着されている。図8に示す渦電流式減速装置のその他の構成は、図1及び図2に示す渦電流式減速装置の実施形態と実質上同一であるので説明は省略する。
【0028】
図9には本発明による渦電流式減速装置の更に他の実施形態の要部が示されている。この実施形態において、磁石22の各々及び強磁性部材24の各々が、支持筒20の溝20a内の全周にわたって交互に周方向に実質上密着して配設されている。磁石22の各々は、図9に示すように、支持筒20の軸方向から見て、細長い矩形状をなすと共にその長手方向が半径方向に向けられるよう配置されている。磁石22の各々は、それぞれ周方向両端に磁極面を有すると共に相互に周方向に間隔をおいて対向する磁極面の極性が同極(N−N、S−S)となるように配列されている。強磁性部材24の各々は、上記軸方向から見て、細長い矩形状をなすと共にその長手方向が半径方向に向けられるよう配置されている。強磁性部材24の各々の周方向幅は、磁石22の各々とほぼ同じ程度に比較的薄く形成され、磁石22の各々の半径方向外側先端よりも半径方向外側に延び出すよう構成されている。磁石22の各々及び強磁性部材24の各々は、その半径方向内側の部位が支持筒20の溝20a内に嵌合され、接着により装着されている。
【0029】
図9に示す渦電流式減速装置のその他の構成は、図1及び図2に示す渦電流式減速装置の実施形態と実質上同一であるので説明は省略する。図9に示す実施形態においては、磁石22の各々及び強磁性部材24の各々の周方向幅、特に強磁性部材24の各々の周方向幅が先の実施形態における強磁性部材24の各々の(基部24aの)周方向幅に比較して著しく狭い(薄い)ので、支持筒20に先の実施形態に比較してより多数の磁石22及び強磁性部材24を配設することが可能になる。その結果、磁石22側と制動ドラム7の内周面との間に形成される磁束の流路の数が大幅に増大され、したがって制動トルクが増大される。この実施形態においても、図1及び図2に示す発明と同様に、強磁性部材24の、制動ドラム7の内周面に対向する先端部における磁束密度を高めることを可能にし、その結果、制動トルクを増大させることができる、との効果が得られることはいうまでもない。
【0030】
図9に示す実施形態において、強磁性部材24の各々の突出部24bは、上記軸方向から見てほぼ矩形状をなしているが、上記軸方向から見てほぼ台形状をなすよう形成してもよい。図10にはこのように構成された実施形態が示されている。すなわち、この実施形態においては、強磁性部材24の各々の延び出した先端の周方向幅は、延び出す基端の周方向幅よりも狭く形成されている。図10に示す突出部24bの形状は図1及び図2を参照して説明した先の実施形態におけると実質上同じである。
【0031】
図1〜図10を参照して説明した渦電流式減速装置の実施形態においては、磁石22の各々及び強磁性部材24の各々が、支持筒20の溝20a内の全周にわたって交互に周方向に実質上密着して配設されているが、磁石22と該磁石22を周方向に挟んで位置する一対の強磁性部材24の組が、周方向に等間隔をおいて配設される実施形態もある。図11には、このような実施形態の要部が示されている。この実施形態においては、図5に示す実施形態と同じように、強磁性部材24の各々において、上記取付面24cは、対応する磁石22を周方向に挟んだ部位のみに形成され、突出部24bは、該磁石22に対し周方向の反対側の端部に1個だけ形成されている。強磁性部材24の各々の、基部24aは、上記軸方向から見て、ほぼ矩形状をなしている。強磁性部材24の各々の、磁石22と密着する周方向端に対して反対側の周方向端同士は、それぞれ周方向に等間隔をおいて位置付けられている。図11に示す渦電流式減速装置のその他の構成は、図1及び図2に示す渦電流式減速装置の実施形態と実質上同一であるので説明は省略する。制動時には、各組における磁石22、強磁性部材24の各々と制動ドラム7の内周面との間に、上記外周壁12bを通過して磁気回路がそれぞれ独立して形成され、制動が作動させられる。
【0032】
図11に示す渦電流式減速装置の実施形態においては、磁石22と該磁石22を周方向に挟んで位置する一対の強磁性部材24の組が、周方向に等間隔をおいて配設されるよう構成されているので、磁石22の各々及び強磁性部材24の各々が、支持筒20の溝20a内の全周にわたって交互に周方向に実質上密着して配設された先の実施形態に較べて、組付が先の実施形態よりも容易である。図11に示す渦電流式減速装置は、図3〜図10により説明した渦電流式減速装置の実施形態におけると同様に、図1及び図2に示す渦電流式減速装置の特徴ある構成を備えているので、同様に磁束密度を高めることができ、制動トルクを増大させることができる。なおこのように、磁石22と該磁石22を周方向に挟んで位置する一対の強磁性部材24の組が、周方向に等間隔をおいて配設される実施形態においては、磁石22の各々は、相互に周方向に間隔をおいて対向する磁極面の極性が同極(N−N及びS−S)となるように配列される実施形態の他に、異極(N−S)となるように配列する実施形態も成立する(後述する図12及び図13に示す実施形態においても同じことがいえる)。
【0033】
図12には、図11に示す渦電流式減速装置の変形例が示されている。この実施形態においては、磁石22と該磁石22を周方向に挟んで位置する一対の強磁性部材24の組の各々において、磁石22を周方向に挟んで位置する強磁性部材24の各々の突出部24bは、半径方向外側に向かうにしたがって周方向に離れるよう傾斜して配設されている。突出部24bの各々の周方向の両端面は、上記軸方向から見て、直線状に延びる傾斜面からなる。磁石22と該磁石22を周方向に挟んで位置する一対の強磁性部材24の組の各々における突出部24bの各々のうち、制動ドラム7の回転方向(図12において反時計方向)の下流側の突出部24bにおける、上記先端面の下流側の角部、及び、上記回転方向の上流側の突出部24bにおける、上記先端面の上流側の角部は、それぞれ鋭角に形成されている。その他の構成は図11に示す実施形態と実質上同一であり、説明は省略する。この実施形態においては、図6及び図7に示す実施形態と同様に、突出部24bの各々の上記先端部と制動ドラム7の内周面との間の磁束の流れにおける磁気飽和が効果的に防止される。
【0034】
図13には、図12に示す渦電流式減速装置の更に他の変形例が示されている。この実施形態においては、磁石22と該磁石22を周方向に挟んで位置する一対の強磁性部材24の組の各々において、突出部24bの各々の周方向端面であって、該磁石22を周方向に挟んで対向する端面の各々が、上記軸方向から見てアール形状に形成されている。突出部24bの各々には図12に示す実施形態と同じ角部が鋭角に形成されている。また強磁性部材24の各々の取付面24cには座ぐり部が形成され、この座ぐり部に取付部材26が配置されるよう構成されている。その他の構成は図12に示す実施形態と実質上同一であり、説明は省略する。この実施形態においても、図6及び図7に示す実施形態と同様に、突出部24bの各々の上記先端部と制動ドラム7の内周面との間の磁束の流れにおける磁気飽和が効果的に防止される。また座ぐり部の存在により、取付部材26がより安定して取付面24cに配置される。
【0035】
図1〜図13に示す渦電流式減速装置において、制動と非制動との切換(ON−OFF)は、磁石22の支持筒20をエアシリンダ機構30により軸方向に往復移動させることにより行なうよう構成されているが、これに代えて、図14及び図15に示すように、ケース40内に磁石22の静止支持筒50及び可動支持筒52を軸方向に並列して(隣接して)配設し、エアシリンダ機構60により可動支持筒52を周方向に正逆回動させることにより、制動と非制動との切換を行なうよう構成する他の実施形態もある。図14及び図15を参照して、制動ドラム7の内側には、中空円環状のケース40が同軸に配設されている。ケース40はそのほぼ全体が制動ドラム7の内側に配置されている。図示しないミッションケースに装着されたケース40は、全体がほぼ円筒形状をなす外周壁42と、外周壁42よりも小径の内周壁44と、外周壁42及び内周壁44の軸方向両端においてそれらを連結するように配設された円環状の端壁46及び48とから構成されている。外周壁42は全体として円筒状の薄板から構成されると共に、図14に示すように制動ドラム7の内側に配置されかつ制動ドラム7の内周面に近接して配置されている。薄板からなる外周壁42は、端壁46及び48の外周面を覆うよう複数のボルトにより固定されている。端壁46及び48は、それぞれその半径方向内側の端部が、内周壁44の軸方向両端において半径方向内側に向かって延びるよう形成されたフランジ部に複数のボルトにより固定されることにより内周壁44に固定されている。ケース40は、後述する強磁性部材42aの各々を除き、全体が例えばアルミニウムなどの非磁性体から構成されている。ケース40の円環状の中空部は、図14に示すように縦断面がほぼ矩形状をなしている。
【0036】
ケース40内の内周壁44には、それぞれ非磁性体からなる静止支持筒50と可動支持筒52とが軸方向に並列して支持されている。静止支持筒50及び可動支持筒52の基本的構成は図1及び図2により説明した実施形態における支持筒20と実質上同一であり、各々の外周部には、断面がチャンネル形状をなす環状の溝50a及び52aが設けられている。静止支持筒50は内周壁44及び端壁48に固定され、可動支持筒52は内周壁44に一対のベアリング54を介して正逆回動可能に支持されている。静止支持筒50の溝50a内には、磁石22の各々及び強磁性部材24の各々が、図1及び図2に示す実施形態におけると実質上同じ形態で配設されている。また可動支持筒52の溝52a内にも、磁石22の各々及び強磁性部材24の各々が、図1及び図2に示す実施形態における同じ形態で一体に配設されている。磁石22の各々及び強磁性部材24の各々は、静止支持筒50及び可動支持筒52間で並列しうるよう(隣接しうるよう)配設されている(換言すれば、互いに同じ形態で配列されている)。静止支持筒50及び可動支持筒52間で並列された磁石22同士は相互に同極となる。
【0037】
静止支持筒50及び可動支持筒52の強磁性部材24の各々の軸方向の一側であって半径方向外側端部には、相互に軸方向に接近する方向に延び出る突起部24eが形成されている。ケース40の外周壁42には、周方向に等間隔をおいて複数の強磁性体からなる強磁性部材42aが一体に配設されている。強磁性部材42aの各々は、静止支持筒50及び可動支持筒52の各々間で並列される強磁性部材24の各々に対応してその一方(静止支持筒50の強磁性部材24)から他方(可動支持筒52の強磁性部材24)にわたって軸方向に延在するよう外周壁42に配設されている。したがって、外周壁42の強磁性部材42aの各々は、静止支持筒50及び可動支持筒52の各々間で並列される強磁性部材24の各々及び制動ドラム7の内周面に対向するよう配設される。外周壁42は全体が薄板から構成されており、そのうち強磁性部材42aの各々は鉄板等から構成され、その他の部分は非磁性体、例えばアルミニウム板あるいはステンレス板等の非磁性部材42bから構成され、それぞれ周方向の端部が溶接等により一体に結合されている。
【0038】
ケース40には、可動支持筒52を静止支持筒50に対して正逆回動させて制動と非制動との切換を行なうアクチュエータであるエアシリンダ機構60が付設されている。図14に示すように、エアシリンダ機構60は、ケース40の端壁46に固定されたシリンダ62と、シリンダ62内に摺動自在に収容されたピストン64と、ピストン64に連結されたピストンロッド66と、ピストンロッド66と可動支持筒52とを図示しないユニバーサルジョイントを介して連結する連結アーム68とを備えている。連結アーム68は、端壁46に、図の表裏方向に延びるよう形成されたスリットを貫通してピストンロッド66の先端からケース40の中空部内に延びるよう配設され、可動支持筒52に連結されている。エアシリンダ機構60の軸線は、可動支持筒52の接線方向と一致するよう配置される。エアシリンダ機構60は、周方向に等間隔をおいて複数個、例えば2個配置されることが好ましい。
【0039】
シリンダ62内はピストン64により二つの室に区画され、一方の室に、圧力エア供給源である図示しないエアタンクから圧力エアが供給されると、ピストン64、ピストンロッド66及び連結アーム68を介して可動支持筒52、可動支持筒52における磁石22の各々及び強磁性部材24の各々が一体に一方向に、後述する非制動位置から磁石22の各々における1ピッチだけ回動させられる。可動支持筒52における磁石22の各々及び強磁性部材24の各々は制動位置に位置付けられる。これにより、可動支持筒52における磁石22の各々は、静止支持筒50の磁石22の各々の同極側に並列して位置付けられ(同極同士が隣接され)、また可動支持筒52における強磁性部材24の各々は、静止支持筒50における強磁性部材24の各々の同極側に並列して位置付けられる(同極同士が隣接される)。その結果、可動支持筒52における磁石22の各々及び強磁性部材24の各々、静止支持筒50における磁石22の各々及び強磁性部材24の各々、及び制動ドラム7との間に、外周壁42の強磁性部材42aの各々を介して磁気回路が形成されるので(図15参照)、制動ドラム7に対する制動が作動させられる。
【0040】
またこの制動状態において、シリンダ62内の他方の室に圧力エアが供給されると、ピストン64、ピストンロッド66及び連結アーム68を介して可動支持筒52、可動支持筒52における磁石22の各々及び強磁性部材24の各々が一体に、上記制動位置から逆方向に磁石22の各々における1ピッチだけ回動させられる。可動支持筒52における磁石22の各々及び強磁性部材24の各々は非制動位置に位置付けられる。これにより、可動支持筒52における磁石22の各々は、静止支持筒50の磁石22の各々の異極側に並列して位置付けられ(異極同士が隣接され)、また可動支持筒52における強磁性部材24の各々は、静止支持筒50における強磁性部材24の各々の異極側に並列して位置付けられる(異極同士が隣接される)。可動支持筒52の強磁性部材24の各々の突起部24eと、静止支持筒50の強磁性部材24の各々の突起部24eとは、それぞれ、相互に接近して対向させられしかも互いに異極同士であるので、それらの間に短絡的な磁気流路が形成され、制動ドラム7に対する磁気的な遮断が効果的に行なわれる。また、可動支持筒52における磁石22の各々及び強磁性部材24の各々と、静止支持筒50における磁石22の各々及び強磁性部材24の各々との間に、外周壁42の強磁性部材42aの各々を介して磁気回路が短絡的に形成され、制動ドラム7側への磁気洩れが防止される。
【0041】
上記説明から明らかなように、図14及び図15に示す渦電流式減速装置は、図1及び図2を参照して説明した先の実施形態と実質上同じ特徴を有する構成を備えているので、実質上同一の作用効果が達成される。なお、ケース40内に磁石22の静止支持筒50及び可動支持筒52を軸方向に並列して配設し、エアシリンダ機構60により可動支持筒52を周方向に正逆回動させることにより、制動と非制動との切換を行なうよう構成する上記実施形態は、図3〜図13に示す形態の渦電流式減速装置においても適用することができる。
【0042】
図16には、図14及び図15を参照して説明した渦電流式減速装置の実施形態において、ケース40の外周壁42を薄板から構成するのではなく、それよりも比較的厚い円筒部材から構成する実施形態が示されている。この実施形態において、端壁46と一体に形成された外周壁42はアルミニウム等の非磁性体からなり、図14及び図15に示す実施形態の強磁性部材42aに相当する部位には、それぞれ鉄等からなる強磁性部材43が一体に埋め込み形成されている。その他の構成は、図14及び図15を参照して説明した渦電流式減速装置の実施形態と実質上同一であり、説明は省略する。この実施形態においても、図14及び図15に示す実施形態と同様に、図1及び図2を参照して説明した先の実施形態と実質上同じ特徴を有する構成を備えているので、実質上同一の作用効果が達成される。なお、先に説明した図14及び図15に示す渦電流式減速装置の実施形態は、外周壁42が薄板から構成されているので、図16に示す渦電流式減速装置の実施形態よりも比較的軽量である。なお上記説明から明らかなように、図14〜図16に示す渦電流式減速装置は、図1及び図2に示す先の実施形態と比較して、使用される磁石22の数が多いので、得られる制動力は先の実施形態よりも強力であるといえる。
【0043】
図17には、図16に示す渦電流式減速装置の実施形態において、ケース40内に可動支持筒52のみを配設し、静止支持筒50を排除した形態の、渦電流式減速装置の他の実施形態が示されている。可動支持筒52には、磁石22の各々及び強磁性部材24の各々が、図15に示す実施形態、したがって図2に示す実施形態と実質上同一の形態で配設されている。ケース40の外周壁42には、複数の強磁性部材43が図16に示す実施形態と実質上同一の形態で一体に配設されている。
【0044】
図17に示す渦電流式減速装置を作動させて制動を作動させる場合には、上記実施形態と同様にエアシリンダ機構60を作動させて、可動支持筒52における磁石22の各々及び強磁性部材24の各々を、後述する非制動位置から、一体に一方向に磁石22の各々の1/2ピッチだけ回動させて制動位置に位置付ける。これにより可動支持筒52における強磁性部材24の各々の突出部24bは、外周壁42の、対応する強磁性部材43に対向して位置付けられる。その結果、可動支持筒52における磁石22の各々及び強磁性部材24の各々と制動ドラム7との間に、それぞれ外周壁42の強磁性部材43の各々を介して磁気回路が形成されるので、制動ドラム7に対する制動が作動させられる。
【0045】
制動を解除させて制動をOFFに切り換える場合には、エアシリンダ機構60を作動させて可動支持筒52における磁石22の各々及び強磁性部材24の各々を、上記制動位置から、逆方向に磁石22の各々の1/2ピッチだけ回動させて非制動位置に位置付ける。これにより、可動支持筒52における強磁性部材24の突出部24bの各々は、外周壁42の、強磁性部材43の各々間に位置する非磁性体の部分に対向して位置付けられる。その結果、磁石22の各々と制動ドラム7との間には磁気回路が形成されないので、制動ドラム7に対する制動は解除される。上記説明から明らかなように、図17に示す渦電流式減速装置は、図14〜図16に示す先の実施形態と比較して、構成が簡単で低コストで製造可能であるが、先の実施形態の方が使用される磁石22の数が多いので、得られる制動力は先の実施形態の方が強力であるといえる。図17に示す渦電流式減速装置は、図1及び図2に示す実施形態と実質上同じ特徴を有する構成を備えているので、実質上同一の作用効果が達成される。
【0046】
以上、本発明を実施形態に基づいて添付図面を参照しながら詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく、更に他の種々の変形あるいは修正が可能である。例えば、図14及び図15に示す実施形態においては、それぞれ、制動ドラム7の内周面に近接して配置されたケース40の外周壁42(薄板からなる)には、周方向に非磁性体で仕切られて複数の強磁性部材42aが配設されているが、外周壁42全体をアルミニウム等の非磁性体又は鉄等の強磁性体から構成する実施形態も成立する。また、上記実施形態において、磁石22の各々は永久磁石により形成されているが、これに代えて電磁石を使用する実施形態もある。電磁石は周知のとおりコイルと鉄心の組合せ体であるため、電磁石を上記実施形態において磁石22に置き換えて使用する場合には、電磁石の各々は上記した制動位置に常時固定され、制動(ON)と非制動(OFF)との切り換えは、電磁石の各々を励磁するか又は非励磁とするか、により行なわれる。したがって磁石22の各々を電磁石に置き換えて使用する実施形態においては、支持筒は全て固定され、支持筒を軸方向に往復移動させるためのエアシリンダ機構30あるいは支持筒を正逆回動させるためのエアシリンダ機構60は不要となる。また、上記実施形態において、強磁性部材24の突出部24bの上記先端の周方向幅及び突出部24bの延び出す高さ(突出部24bの、上記先端から上記基端までの深さ)は、所望する制動トルク特性に応じて自由に選定することができる。その場合、突出部24bの上記先端の半径方向位置が一定であるとすると、磁石22の半径方向長さが短くなることもあるので、磁石22の上記軸方向長さを増加させることで対応すればよい。
【0047】
【発明の効果】
本発明による渦電流式減速装置によれば、従来と同じ体積の磁石を使用して従来よりも大きな制動トルクが得られる。また、従来と同じ体積の磁石を使用して自動車の低速域における制動トルクを従来よりも増大させることができる。更にはまた、磁石側に設けられた強磁性部材の、制動ドラムの内周面に対向する先端部における磁束密度を高めることを可能にし、その結果、制動トルクを増大させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による渦電流式減速装置の実施形態の要部を示す縦断面図。
【図2】図1に示す渦電流式減速装置の制動状態を示す要部横断面図。
【図3】本発明による渦電流式減速装置の他の実施形態の要部を示す横断面図。
【図4】本発明による渦電流式減速装置の更に他の実施形態の要部を示す横断面図。
【図5】本発明による渦電流式減速装置の更に他の実施形態の要部を示す横断面図。
【図6】本発明による渦電流式減速装置の更に他の実施形態の要部を示す横断面図。
【図7】本発明による渦電流式減速装置の更に他の実施形態の要部を示す横断面図。
【図8】本発明による渦電流式減速装置の更に他の実施形態の要部を示す横断面図。
【図9】本発明による渦電流式減速装置の更に他の実施形態の要部を示す横断面図。
【図10】本発明による渦電流式減速装置の更に他の実施形態の要部を示す横断面図。
【図11】本発明による渦電流式減速装置の更に他の実施形態の要部を示す横断面図。
【図12】本発明による渦電流式減速装置の更に他の実施形態の要部を示す横断面図。
【図13】本発明による渦電流式減速装置の更に他の実施形態の要部を示す横断面図。
【図14】本発明による渦電流式減速装置の更に他の実施形態の要部を示す縦断面図。
【図15】図14に示す渦電流式減速装置の制動状態を示す要部横断面図。
【図16】本発明による渦電流式減速装置の更に他の実施形態の要部を示す縦断面図。
【図17】本発明による渦電流式減速装置の更に他の実施形態の要部を示す縦断面図。
【符号の説明】
7 制動ドラム
10、40 ケース
12、42 外周壁
20 支持筒
20a 溝
22 磁石
24、42a 強磁性部材
24c 取付面
26 取付部材
30、60 エアシリンダ機構
50 静止支持筒
52 可動支持筒

Claims (8)

  1. 制動ドラムと、制動ドラムの内周面に近接した外周壁を含むケースと、ケース内に支持された非磁性体からなる支持筒と、支持筒の外周部に周方向に間隔をおいて配設されかつ周方向両端に磁極面を有する複数の磁石と、磁石の各々の磁極面にそれぞれ実質上密着して支持筒の外周面に配設された複数の強磁性部材とを備え、強磁性部材の各々には、各々の基部から磁石よりも半径方向外側に延び出す突出部が形成され、突出部の各々の先端の周方向幅は上記基部の先端部における周方向幅よりも狭く形成され、磁石の各々は周方向に対向する磁極面が相互に同極となるように配設され、磁石の各々を周方向に挟んで位置する強磁性部材の各々の上記基部の先端であって、対応する磁石を周方向に挟んだ部位には、該磁石の先端面と実質上同じ半径方向レベルを有する取付面が形成され、強磁性部材の各々及び該磁石は、取付面の各々に跨がって配置された非磁性体からなる取付部材を介してボルトにより支持筒に装着される、ことを特徴とする渦電流式減速装置。
  2. 制動ドラムと、制動ドラムの内周面に近接した外周壁を含むケースと、ケース内に支持された非磁性体からなる支持筒と、支持筒の外周部に周方向に間隔をおいて配設されかつ周方向両端に磁極面を有する複数の磁石と、磁石の各々の磁極面にそれぞれ実質上密着して支持筒の外周面に配設された複数の強磁性部材とを備え、磁石の各々及び強磁性部材の各々は、支持筒の全周にわたって交互に周方向に実質上密着して配設され、かつ磁石の各々は制動ドラムの軸方向から見て細長い実質上矩形状をなすと共に長手方向が半径方向に向けられて配置され、磁石の各々は周方向に対向する磁極面が相互に同極となるように配設され、強磁性部材の各々は磁石の各々よりも半径方向外側に延び出すよう構成され、磁石の各々を周方向に挟んで位置する強磁性部材の各々の上記基部の先端であって、対応する磁石を周方向に挟んだ部位には、該磁石の先端面と実質上同じ半径方向レベルを有する取付面が形成され、強磁性部材の各々及び該磁石は、取付面の各々に跨がって配置された非磁性体からなる取付部材を介してボルトにより支持筒に装着される、ことを特徴とする渦電流式減速装置。
  3. 制動ドラムと、制動ドラムの内周面に近接した外周壁を含むケースと、ケース内に軸方向に並列して支持された非磁性体からなる支持筒と、支持筒の各々の外周部に周方向に間隔をおいて配設されかつ周方向両端に磁極面を有すると共に支持筒の各々間で並列される複数の磁石と、磁石の各々の磁極面にそれぞれ実質上密着して支持筒の各々に配設されると共に支持筒の各々間で並列される一対の強磁性部材とを備え、支持筒の各々における強磁性部材の各々には、各々の基部から磁石よりも半径方向外側に延び出す突出部が形成され、突出部の各々の先端の周方向幅は上記基部の先端部における周方向幅よりも狭く形成され、磁石の各々は周方向に対向する磁極面が相互に同極となるように配設され、磁石の各々を周方向に挟んで位置する強磁性部材の各々の上記基部の先端であって、対応する磁石を周方向に挟んだ部位には、該磁石の先端面と実質上同じ半径方向レベルを有する取付面が形成され、強磁性部材の各々及び該磁石は、取付面の各々に跨がって配置された非磁性体からなる取付部材を介してボルトにより支持筒に装着される、ことを特徴とする渦電流式減速装置。
  4. 制動ドラムと、制動ドラムの内周面に近接した外周壁を含むケースと、ケース内に支持された非磁性体からなる支持筒と、支持筒の外周部に周方向に間隔をおいて配設されかつ周方向両端に磁極面を有する複数の磁石と、磁石の各々の磁極面にそれぞれ実質上密着して支持筒の外周面に配設された複数の強磁性部材とを備え、強磁性部材の各々には、各々の基部から磁石よりも半径方向外側に延び出す突出部が形成され、突出部の各々の先端の周方向幅は上記基部の先端部における周方向幅よりも狭く形成され、磁石と該磁石を周方向に挟んで位置する一対の強磁性部材の組が、周方向に間隔をおいて配設され、磁石の各々は周方向に対向する磁極面が相互に同極となるように配設される、ことを特徴とする渦電流式減速装置。
  5. 制動ドラムと、制動ドラムの内周面に近接した外周壁を含むケースと、ケース内に軸方向に並列して支持された非磁性体からなる支持筒と、支持筒の各々の外周部に周方向に間隔をおいて配設されかつ周方向両端に磁極面を有すると共に支持筒の各々間で並列される複数の磁石と、磁石の各々の磁極面にそれぞれ実質上密着して支持筒の各々に配設されると共に支持筒の各々間で並列される一対の強磁性部材とを備え、支持筒の各々における強磁性部材の各々には、各々の基部から磁石よりも半径方向外側に延び出す突出部が形成され、突出部の各々の先端の周方向幅は上記基部の先端部における周方向幅よりも狭く形成され、磁石と該磁石を周方向に挟んで位置する一対の強磁性部材の組が、周方向に間隔をおいて配設され、磁石の各々は周方向に対向する磁極面が相互に同極となるように配設される、ことを特徴とする渦電流式減速装置。
  6. 制動ドラムと、制動ドラムの内周面に近接した外周壁を含むケースと、ケース内に支持された非磁性体からなる支持筒と、支持筒の外周部に周方向に間隔をおいて配設されかつ周方向両端に磁極面を有する複数の磁石と、磁石の各々の磁極面にそれぞれ実質上密着して支持筒の外周面に配設された複数の強磁性部材とを備え、強磁性部材の各々には、各々の基部から磁石よりも半径方向外側に延び出す突出部が形成され、突出部の各々の先端の周方向幅は上記基部の先端部における周方向幅よりも狭く形成され、磁石の各々は周方向に対向する磁極面が相互に同極となるように配設され、支持筒の軸方向両端には非磁性体からなる環状のサイドプレートが離脱自在に配設され、支持筒の外周面とサイドプレートの各々とによって断面がチャンネル形状をなす環状の溝が形成され、支持筒における磁石の各々及び強磁性部材の各々の半径方向内側の部位は溝内に嵌合保持される、ことを特徴とする渦電流式減速装置。
  7. 制動ドラムと、制動ドラムの内周面に近接した外周壁を含むケースと、ケース内に支持された非磁性体からなる支持筒と、支持筒の外周部に周方向に間隔をおいて配設されかつ周方向両端に磁極面を有する複数の磁石と、磁石の各々の磁極面にそれぞれ実質上密着して支持筒の外周面に配設された複数の強磁性部材とを備え、磁石の各々及び強磁性部材の各々は、支持筒の全周にわたって交互に周方向に実質上密着して配設され、かつ磁石の各々は制動ドラムの軸方向から見て細長い実質上矩形状をなすと共に長手方向が半径方向に向けられて配置され、磁石の各々は周方向に対向する磁極面が相互に同極となるように配設され、強磁性部材の各々は磁石の各々よりも半径方向外側に延び出すよう構成され、支持筒の軸方向両端には非磁性体からなる環状のサイドプレートが離脱自在に配設され、支持筒の外周面とサイドプレートの各々とによって断面がチャンネル形状をなす環状の溝が形成され、支持筒における磁石の各々及び強磁性部材の各々の半径方向内側の部位は溝内に嵌合保持される、ことを特徴とする渦電流式減速装置。
  8. 制動ドラムと、制動ドラムの内周面に近接した外周壁を含むケースと、ケース内に軸方向に並列して支持された非磁性体からなる支持筒と、支持筒の各々の外周部に周方向に間隔をおいて配設されかつ周方向両端に磁極面を有すると共に支持筒の各々間で並列される複数の磁石と、磁石の各々の磁極面にそれぞれ実質上密着して支持筒の各々に配設されると共に支持筒の各々間で並列される一対の強磁性部材とを備え、支持筒の各々における強磁性部材の各々には、各々の基部から磁石よりも半径方向外側に延び出す突出部が形成され、突出部の各々の先端の周方向幅は上記基部の先端部における周方向幅よりも狭く形成され、磁石の各々は周方向に対向する磁極面が相互に同極となるように配設され、支持筒の軸方向両端には非磁性体からなる環状のサイドプレートが離脱自在に配設され、支持筒の外周面とサイドプレートの各々とによって断面がチャンネル形状をなす環状の溝が形成され、支持筒における磁石の各々及び強磁性部材の各々の半径方向内側の部位は溝内に嵌合保持される、ことを特徴とする渦電流式減速装置。
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